JP2004107215A - シロアリ駆除部材およびそれを用いたシロアリ駆除方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のシロアリ駆除部材は、シロアリ防除用薬剤を含む食毒剤の少なくとも一部が、シロアリによって破壊侵入可能な防湿性フィルムによって被包されていることを特徴としている。
【効果】本発明によれば、シロアリの食害を阻害することなく、中長期にわたって食毒剤を湿度や水蒸気から保全することの可能なシロアリ駆除部材を提供することができる。また、本発明によれば、シロアリの監視及び駆除に有用で、自然環境への負荷が少なく、かつ、シロアリの監視及び駆除に係わる人的作業を大幅に削減することを可能とするシロアリ駆除部材及びそれを用いたシロアリ監視駆除方法を提供することができる。
【選択図】 なし
【効果】本発明によれば、シロアリの食害を阻害することなく、中長期にわたって食毒剤を湿度や水蒸気から保全することの可能なシロアリ駆除部材を提供することができる。また、本発明によれば、シロアリの監視及び駆除に有用で、自然環境への負荷が少なく、かつ、シロアリの監視及び駆除に係わる人的作業を大幅に削減することを可能とするシロアリ駆除部材及びそれを用いたシロアリ監視駆除方法を提供することができる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シロアリ駆除部材およびそれを用いたシロアリ駆除方法に関し、シロアリの集団を駆除するのに特に有用なシロアリ駆除部材およびそれを用いたシロアリ駆除方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
シロアリは、建築構造物である木材もしくはセルロース源を餌として、周辺の土壌から建築物にも侵入する。日本に生息するシロアリは、イエシロアリ、ヤマトシロアリ、サツマシロアリ、カタンシロアリ、オオシロアリであり、最近ではカンザイシロアリが外国より侵入してその被害が拡大している。その中でも、シロアリ目ミゾガシラシロアリ科に属するイエシロアリ、ヤマトシロアリは広く日本各地に分布している。
【0003】
イエシロアリは関東以西に分布し、家屋、樹木、もしくは土中の木材を食害し、建築構造物を侵すシロアリとして最も恐れられている。また、ヤマトシロアリは北海道の一部を除く日本全土に分布し鉄道の枕木、家屋の土台などの木質材料などを食害する。上記2種のシロアリの日本における被害額は2000億円以上といわれている。
【0004】
これらの建築構造物のシロアリからの被害を防ぐ方法として、家屋に侵入したシロアリや土壌中のシロアリが存在すると思われる周囲広範囲に接触毒として作用する化学合成殺虫剤、有機リン系、カーバメイト系、ピレスロイド系薬剤を散布する方法が採られてきた。
しかしながら、有機リン系、カーバメイト系薬剤の残効性は期待できるが、一般的に人畜および非標的昆虫類に対する毒性が高いため、取り扱いに注意を要していた。また、ピレスロイド系薬剤は人畜に対する毒性が比較的高くはないが、天敵昆虫を含むほとんどの昆虫目に強い毒性があるとともに効果の持続性に問題があった。そしていずれの薬剤も、発見されたシロアリを殺虫するための対症療法として主に使用されてきた。したがって従来の防除法では、薬剤と接触したシロアリは短時間の内に死滅するが、その他の場所にいるシロアリに対してはほとんど効果がなかった。一方、予防的に使用する場合には土壌処理剤として定期的に大量の薬剤を地面に撒く必要があり、それらが土壌中に流失し、環境汚染の一因となる可能性があった。
【0005】
このため、シロアリ防除技術の進歩により、比較的少量の殺虫剤を含む食毒剤の使用が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。このような方法および装置は、シロアリの存在の監視工程と駆除工程とを含み、監視の結果シロアリの存在が検出されると、シロアリ監視・駆除装置内に食毒剤を収納するようになっている。そして、シロアリは食物源の位置をフェロモンなどの化学信号によって、同一コロニーの他のシロアリに連絡する。これらの特性は食毒剤を用いて、シロアリを駆除する上で重要であり、これによって、同一コロニーのシロアリ全体が、この食毒剤によって駆除されることになる。
【0006】
また、このような原理を応用したシロアリ監視駆除装置としては、害虫の活動を監視し、しかも毒物を提供する改良装置が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。ここでは、シロアリ誘引設備に収容された中身の取り外しによってシロアリが混乱し設備を放棄するという従来システムの欠点に鑑み、設備の据え付け期間から始まって監視活動・制御活動の期間を通して連続した、乱されない餌供給システムが開示されている。
【0007】
【特許文献1】
特表平9−501041号公報
【特許文献2】
特表2001−520517号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このようなシロアリ監視駆除装置ないしシロアリ監視駆除方法においては、一般にシロアリの存在の監視工程と駆除工程とを含み、いずれの工程においても監視員の継続した点検が必要となっている。
監視は、シロアリ誘因性を有するセルロース材料、多くの場合は木材をあらかじめベイトステーションと呼ばれる容器内に収納し、監視員がこの木材の食害状況を観察することによって行われる。定期的な監視作業は2週間〜1ヶ月ごとに実施され、監視員の時間的負担および監視に要する費用的負担は大きい。
【0009】
また、シロアリ用食毒剤のマトリックスは、多くの場合、シロアリが好んで食するセルロース含有材料から作られる。中でも、和紙に代表される添加物の少ない紙が用いられる。しかしながら、紙剤は吸湿性が高く、監視装置及び駆除装置内で容易に水分を吸収し、土壌中の微生物などにより腐食する。カビなどが繁茂したシロアリ用食毒剤は、シロアリの好食性という観点から使用に耐えるとは言い難い。したがって監視員は、監視工程のみならず食毒剤を容器内に収納した後も、定期的に食害の様子を観察しなければならない。
【0010】
このように、従来のシロアリ監視駆除装置ないしシロアリ監視駆除方法においては、監視駆除装置を設置後、シロアリの存在が確認された場合も確認されない場合も、継続した点検が必要となっている。シロアリ防除用食毒剤の使用は、環境中への殺虫剤の放出量を最小限に設定できると共に、食毒剤を食したシロアリと共にコロニー全体を駆除することができるにもかかわらず、上述したような点検作業の煩雑さから広く普及しているとは言えず、当業界において監視員の点検作業の低減が強く求められている。
【0011】
本発明は、このような現況に鑑み、シロアリの監視および駆除に有用で、自然環境への負荷が少なく、かつ、シロアリの監視及び駆除に係わる人的作業を大幅に削減することを可能とするシロアリ駆除部材及びそれを用いたシロアリ監視駆除方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は前述したような従来技術における課題および目的を達成するためになされたものであって、本発明に係るシロアリ駆除部材は、シロアリ防除用薬剤を含む食毒剤の少なくとも一部が、シロアリによって破壊侵入可能な防湿性フィルムによって被包されていることを特徴とする。
【0013】
このように、シロアリによって破壊侵入可能な防湿性フィルムによってシロアリ防除用薬剤を含む食毒剤の少なくとも一部が被包されているので、シロアリ駆除部材を監視、交換する際などにも、食毒剤にじかに手で触れることがなく出し入れすることができ、衛生安全上からも優れている。
また、前記フィルムはシロアリが破壊侵入可能な材料からなるので、これを破壊しもしくは食して、孔を空けて、シロアリの通路を構成して、フィルム内部に収容したシロアリ防除用薬剤を含む食毒剤を食することができ、これによって、シロアリを駆除することができる。
【0014】
本発明に係るシロアリ駆除部材の前記フィルムは、防湿性を有する。このように構成することによって、地中の湿気や、降雨の際の土砂、雨水によって、フィルムの内部に収容されたシロアリ防除用薬剤を含む食毒剤が溶け出したり、カビが発生することを防止でき、シロアリ防除効果が低下または消失することがなく、長期間使用することが可能となる。しかも周囲の土壌が食毒剤で汚染されることがなく、衛生安全上および環境面においても優れている。
【0015】
従来のシロアリ監視駆除装置においては、環境中への殺虫剤の放出量を最小限に抑えるという観点から、監視装置である誘引体(餌木)をシロアリが食することを確認した後に、毒物を投入するという工程を経る。ところが、木製の誘引体は、特に湿った土壌において菌による浸食を被りやすく、監視期間の間頻繁な取替えを必要とする。これに対し本発明においては、前記フィルムが防湿性を有することから、駆除部材が地中に設置されたときでもカビの発生がなく、腐敗性または腐食性に優れ、長期間使用可能であるとともに、環境中に毒物を大量放出することもない。したがって、あらかじめ誘引体(餌木)を使用して食害状況を確認するまでもなく、シロアリ監視駆除の最初の工程から、本発明のシロアリ駆除部材(防湿性フィルムによって被包されたシロアリ防除用薬剤を含む食毒剤)を設置することができ、これにより、監視員の作業量を大幅に削減することができる。
【0016】
また、シロアリは菌(カビ)を忌避する性向を有するが、前記フィルムは防湿性を有することから、カビの発生を予防でき、シロアリが忌避性を示さずにフィルムを破壊して食毒剤に接近することができる。
また、本発明のシロアリ駆除部材は、前記フィルムが生分解性であることが望ましい。
【0017】
生分解性フィルムは、地球環境への負荷が少ないため自然環境中での使用に適し、またシロアリの誘引を阻害することがない。シロアリはこれを好んで食し、もしくは破壊侵入して、害虫の通路を構成し、フィルムの内部に収容した食毒剤を食することができ、これによって害虫を駆除する効果をより向上することができる。
【0018】
また、本発明のシロアリ駆除部材は、食毒剤に含まれるシロアリ防除用薬剤が、遅効性殺虫剤または昆虫生育調整剤であることが好ましい。
前記薬剤が遅効性殺虫剤または昆虫生育調整剤である場合、殺虫活性の発現には時間がかかるため、シロアリは死ぬ前にコロニーに戻り、食毒剤の位置をフェロモン等の化学的信号によって同一コロニーの他のシロアリに連絡する。これにより、同一コロニーのシロアリを効率よく防除できる。
【0019】
また、本発明のシロアリ駆除部材は、前記食毒剤がセルロースを含有する材料からなることが好ましい。このようなシロアリが好んで食する材料を用いることにより、シロアリの誘引を効率よく促すことができる。
また、本発明のシロアリ駆除方法は、前記シロアリ駆除部材をベイトステーションに収容した状態で、地下部または地上部に設置することによって、シロアリを駆除することを特徴とする。本発明のベイトステーションとは、シロアリ駆除部材を収容するための内空を有する容器であって、地下部または地上部に設置できるものであれば、構造や材質について特に限定されるものではない。
【0020】
このように、シロアリ駆除部材をベイトステーションに収容して地下部または地上部に設置するだけで、そのまま、シロアリ駆除部材にてシロアリをベイトステーションに誘引するとともに、シロアリ駆除部材によってシロアリを駆除することができる。したがって、この場合には、シロアリの存在を検出するための監視作業を行う必要がなく、また、シロアリ駆除部材が長期間の使用に耐えるため、ベイトステーションの設置後も頻繁な監視作業を行う必要がない。その結果、作業の手間とコストを大幅に低減できる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態をより詳細に説明する。
本発明のシロアリ駆除部材は、食毒剤がシロアリによって破壊侵入可能な防湿性フィルムで被包されている。このようなフィルムの材料は、防湿性を有し適度な機械強度を有するものであれば特に限定されるものではないが、たとえば、熱可塑性プラスチックのうち、ポリオレフィン、スチレン系樹脂、MMA、含ハロゲン樹脂、ポリエステル、生分解性樹脂、ポリアミド、酢ビ系ポリマーを用いることができる。これらのうち、特に生分解性樹脂であることが好ましい。
【0022】
本発明の実施形態のひとつは、図1が示すように、前記フィルム40bによって食毒剤40aを密封して被包するが、フィルムの包装は全面被包に限定されるものではなく、たとえば底面を除いた上面及び側面包装にすることもできる。
本発明で用いられる前記フィルムの厚さは、該フィルム材料によって変化するが、一般に1〜30μm、好ましくは2〜25μm、より好ましくは3〜20μmであるのが望ましい。
【0023】
前記フィルムの水蒸気透過度(g/m2/day)は、3〜200の範囲にあるのが望ましい。水蒸気透過度がこのような範囲を満たす場合には、防湿性が良好であるため、長期間の使用に耐えることができる。
また、上述のように、前記フィルムは生分解性であることが望ましい。前記フィルムに用いられる材料は微生物分解を受ける高分子素材であれば特に限定されるものではないが、たとえば、生分解性樹脂として、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリカプロラクトン等を用いることができる。また、羊毛、絹等の織物を用いることもできる。
【0024】
本発明のシロアリ駆除部材に使用される食毒剤は、遅効性殺虫剤または昆虫生育調整剤を含有しているのが好ましい。このような遅効性殺虫剤とは、シロアリが食してから殺虫活性の発現に時間のかかるものであれば特に限定されるものではないが、たとえば、ヒドラメチルノン、スルフルアミド、ニテンピラム、アセタミプリド、イミダクロプリド、フィプロニル等が挙げられる。
【0025】
また、昆虫生育調整剤とは、シロアリのキチン質合成阻害活性、クチクラ硬化活性、幼若ホルモン阻害活性を有するものであれば特に限定されるものではないが、たとえば、トリフルムロン、ジフルベンズロン、テフルベンズロン、ヘキサフルムロン、ノバルロン、ルフェヌロン、フルフェヌクスロン、クロルフルアズロン、シロマジン、メトプレン、ハイドロプレン、キノプレン、ピリプロキシフェン、フェノキシカルブを用いることができる。
【0026】
シロアリの巣は、概ね一対の生殖虫と副生殖虫、約1割の兵蟻と約9割の職蟻により構成されており、生殖虫・副生殖虫・兵蟻は直接的または間接的に職蟻によって養われている。また、シロアリは帰巣本能があるとも言われており、職蟻が前記のような遅効性の殺虫剤、昆虫生育調整剤を食した場合、またはこれらの薬剤、生物資材に接触した場合、この職蟻に養われたシロアリに影響を及ぼすことができ、よって、同一コロニーのシロアリ全体を効率よく駆除することができる。
【0027】
このような薬剤を含む本発明の食毒剤は、人畜に対し無毒性であることから、建築物内部や屋外の害虫管理に有用であり、有害な化学物質を環境に放出することを大幅に削減することができる。
本発明の食毒剤のベースは、セルロースを含有する材料からなることが好ましい。セルロースを含有する材料とは、紙、木材、精製セルロースを製剤化したものであれば特に限定されるものではない。また、本発明の食毒剤は、たとえば図2のシロアリ駆除部材40が示すように、ティッシュペーパーなどのシート材料をロール形状に巻いた食毒剤40aとすることができる。
【0028】
本発明のシロアリ駆除部材を用いたシロアリ駆除方法は、前記シロアリ駆除部材をベイトステーションに収容した状態で、地下部または地上部に設置することによって、シロアリを駆除する。以下、図面に基づいて、本発明のシロアリ駆除方法の実施形態を説明する。
図3(A)は、本発明のシロアリ駆除部材を用いたシロアリ駆除方法の第1の実施形態を説明する概略図である。
【0029】
図3(A)に示したように、ベイトステーション12の下部餌収容部20に、シロアリ駆除部材40を直接収容して、蓋部材18にてベイトステーション12を閉蓋して、ベイトステーション12を地中に埋設する。
そして、シロアリ駆除部材40にてシロアリをベイトステーション12の下部餌収容部20に誘引するとともに、このシロアリ駆除部材40によってシロアリを直接駆除する。
【0030】
すなわち、誘引されたシロアリは、食毒剤を食した後ベイトステーション12本体に形成された開口部を介して、ベイトステーションから外へ出てコロニーに戻り、シロアリ駆除部材40によってコロニー全体のシロアリを駆除することができる。
このように、シロアリ駆除部材40を下部餌収容部20に収容するだけで、シロアリを下部餌収容部20に誘引するとともに、シロアリ駆除部材40によってシロアリを駆除することができる。
【0031】
従って、この場合には、シロアリの存在をあらかじめ検出するための監視作業を行う必要がないので、作業が簡単になるとともに、餌部材も不要であり、コストが低減できる。
図3(B)は、本発明のシロアリ駆除方法の第2の実施形態を説明する概略図である。
【0032】
図3(B)に示したように、シロアリ用の餌部材38をベイトステーション12の下部餌収容部20に収容するとともに、シロアリ駆除部材40を上部駆除部材収容部22に収容する。そして、蓋部材18にてベイトステーション12を閉蓋して、ベイトステーション12を地中に埋設する。
これによって、餌部材38にてシロアリをベイトステーション12の下部餌収容部20に誘引するとともに、上部駆除部材収容部22のシロアリ駆除部材40によってシロアリを駆除する。
【0033】
このように、シロアリ用の餌部材38を下部餌収容部20に収容するとともに、シロアリ駆除部材40を上部駆除部材収容部22に収容するだけで、シロアリを下部餌収容部20に誘引することができ、誘引されたシロアリが下部餌収容部20に収容した餌部材38を食した後、上方の上部駆除部材収容部22の内部に侵入して、シロアリ駆除部材40に接触もしくはこれを食するようになる。
【0034】
その後にシロアリは、上部駆除部材収容部22に形成された開口部を介して、ベイトステーションから外へ出てコロニーに戻り、害虫駆除部材40によってコロニー全体の害虫を駆除することができる。
なお、この場合の餌部材38は、シロアリをベイトステーションに定着させるためのものであり、シロアリの存在を検出するためのものではない。従って、この場合にも、シロアリの存在をあらかじめ検出するための監視作業を行う必要がないので、作業が簡単になるとともに、コストが低減できる。
【0035】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されることはない。たとえば、シロアリ駆除部材40は、サイズを適宜変更して縦横に並べ積み重ねる等、複数個組み合わせて使用することもできる。複数個組み合わせることにより、一部のシロアリ駆除部材がシロアリの破壊侵入を受けても、破壊侵入を受けていない他の部材は次の破壊侵入を受けるまでの期間、依然として高い防湿性を有することになる。また、たとえば、ベイトステーションは、シロアリ駆除部材を収容するための内空を有する容器であれば、その構造は特に限定されるものではなく、その設置場所も地中に限られず、地上部に設置することもできる。
【0036】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0037】
【実施例1】
供試シロアリとして、以下のものを使用した。
イエシロアリ(職蟻500頭)
食毒剤を包装するフィルムとしては、以下のサンプルを使用した。
サンプル1:ポリブチレンサクシネート 厚さ25μm
サンプル2:ポリ乳酸表面ラミネート加工 厚さ25μm
サンプル3:ポリ乳酸 厚さ15μm
サンプル4:ポリ乳酸 厚さ25μm
試験は以下の方法で行った。
1)試験期間及び観察
試験期間は8日間とし、観察は1日1回行い、供試サンプルの食害(破壊侵入状況)を確認した。
2)試験装置及び供試サンプル設置方法
食毒剤を包装するフィルムの食害試験を以下の装置で行った。
【0038】
プラスチック製容器(19×11×14cm)の底面に湿った砂を敷き(19×11×1.5cm)、その容器内にシロアリ(職蟻500頭)を放虫した。
各供試サンプルは正方形(8×8cm)に切り、その供試サンプルの中央に木材(アスペン19×11×1.5cm)を置き、風呂敷の包みのようにした。包みの先端は糸で縛り、シロアリが侵入しないようにした。供試サンプルは並列にプラスチック容器中に並べた。
【0039】
設定を終了した試験容器は、開口部をビニールで覆い、室温30℃、湿度75%の部屋に置いた。
イエシロアリによる供試サンプルの破壊侵入状況は、表1に示すとおりとなった。
【0040】
【表1】
【0041】
イエシロアリによる供試サンプルの破壊侵入は、試験1日目にサンプル2、試験2日目にサンプル1、試験7日目にサンプル3で確認された。サンプル4では試験期間内に破壊侵入は観察されなかった。イエシロアリに関しては、供試サンプル4種のうち3種が試験期間内に破壊侵入可能であった。
【0042】
【実施例2】
供試シロアリとして、以下のものを使用した。
ヤマトシロアリ(職蟻500頭)
食毒剤を包装するフィルムとしては実施例1と同じ供試サンプルを使用し、試験方法も実施例1と同様にして行った。
【0043】
ヤマトシロアリによる供試サンプルの破壊侵入状況は、表2に示すとおりとなった。
【0044】
【表2】
【0045】
ヤマトシロアリによる供試サンプルの破壊侵入は、試験2日目にサンプル2で確認されたのみで、他の供試サンプルについて破壊侵入は無かった。
表1および表2が示すように、生分解性樹脂で包装したセルロースを含有する素材である木材(アスペン)は、シロアリの破壊侵入を阻害することなく、比較的早期にシロアリの破壊侵入を受けることが明らかになった。
【0046】
【実施例3】
被包素材の防湿試験として、被包しないアスペン材を同じ条件で放置し、木材表面の漏れ、黴の発生状況を確認した。
下記の表3において、サンプル1〜4は上記表1、表2の各サンプルに相当する。サンプル5〜8は被包していないアスペン材である。
【0047】
【表3】
【0048】
表3が示すように、供試サンプルで被包することにより、アスペンを湿気から守り黴の発生を抑制しうることが明らかになった。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、シロアリの食害を阻害することなく、中長期にわたって食毒剤を湿度や水蒸気から保全することの可能なシロアリ駆除部材を提供することができる。また、本発明によれば、シロアリの監視及び駆除に有用で、自然環境への負荷が少なく、かつ、シロアリの監視及び駆除に係わる人的作業を大幅に削減することを可能とするシロアリ駆除部材及びそれを用いたシロアリ監視駆除方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のシロアリ駆除部材の実施形態の一例を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明のシロアリ駆除部材の使用態様の一例を示す分解斜視図である。
【図3】図3は、本発明のシロアリ駆除部材を用いたシロアリ駆除方法の実施形態を説明する概略図である。
【符号の説明】
12 ベイトステーション
18 蓋部材
20 下部餌収容部
22 上部駆除部材収容部
38 餌部材
40 シロアリ駆除部材
40a 食毒剤
40b 防湿性フィルム
【発明の属する技術分野】
本発明は、シロアリ駆除部材およびそれを用いたシロアリ駆除方法に関し、シロアリの集団を駆除するのに特に有用なシロアリ駆除部材およびそれを用いたシロアリ駆除方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
シロアリは、建築構造物である木材もしくはセルロース源を餌として、周辺の土壌から建築物にも侵入する。日本に生息するシロアリは、イエシロアリ、ヤマトシロアリ、サツマシロアリ、カタンシロアリ、オオシロアリであり、最近ではカンザイシロアリが外国より侵入してその被害が拡大している。その中でも、シロアリ目ミゾガシラシロアリ科に属するイエシロアリ、ヤマトシロアリは広く日本各地に分布している。
【0003】
イエシロアリは関東以西に分布し、家屋、樹木、もしくは土中の木材を食害し、建築構造物を侵すシロアリとして最も恐れられている。また、ヤマトシロアリは北海道の一部を除く日本全土に分布し鉄道の枕木、家屋の土台などの木質材料などを食害する。上記2種のシロアリの日本における被害額は2000億円以上といわれている。
【0004】
これらの建築構造物のシロアリからの被害を防ぐ方法として、家屋に侵入したシロアリや土壌中のシロアリが存在すると思われる周囲広範囲に接触毒として作用する化学合成殺虫剤、有機リン系、カーバメイト系、ピレスロイド系薬剤を散布する方法が採られてきた。
しかしながら、有機リン系、カーバメイト系薬剤の残効性は期待できるが、一般的に人畜および非標的昆虫類に対する毒性が高いため、取り扱いに注意を要していた。また、ピレスロイド系薬剤は人畜に対する毒性が比較的高くはないが、天敵昆虫を含むほとんどの昆虫目に強い毒性があるとともに効果の持続性に問題があった。そしていずれの薬剤も、発見されたシロアリを殺虫するための対症療法として主に使用されてきた。したがって従来の防除法では、薬剤と接触したシロアリは短時間の内に死滅するが、その他の場所にいるシロアリに対してはほとんど効果がなかった。一方、予防的に使用する場合には土壌処理剤として定期的に大量の薬剤を地面に撒く必要があり、それらが土壌中に流失し、環境汚染の一因となる可能性があった。
【0005】
このため、シロアリ防除技術の進歩により、比較的少量の殺虫剤を含む食毒剤の使用が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。このような方法および装置は、シロアリの存在の監視工程と駆除工程とを含み、監視の結果シロアリの存在が検出されると、シロアリ監視・駆除装置内に食毒剤を収納するようになっている。そして、シロアリは食物源の位置をフェロモンなどの化学信号によって、同一コロニーの他のシロアリに連絡する。これらの特性は食毒剤を用いて、シロアリを駆除する上で重要であり、これによって、同一コロニーのシロアリ全体が、この食毒剤によって駆除されることになる。
【0006】
また、このような原理を応用したシロアリ監視駆除装置としては、害虫の活動を監視し、しかも毒物を提供する改良装置が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。ここでは、シロアリ誘引設備に収容された中身の取り外しによってシロアリが混乱し設備を放棄するという従来システムの欠点に鑑み、設備の据え付け期間から始まって監視活動・制御活動の期間を通して連続した、乱されない餌供給システムが開示されている。
【0007】
【特許文献1】
特表平9−501041号公報
【特許文献2】
特表2001−520517号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このようなシロアリ監視駆除装置ないしシロアリ監視駆除方法においては、一般にシロアリの存在の監視工程と駆除工程とを含み、いずれの工程においても監視員の継続した点検が必要となっている。
監視は、シロアリ誘因性を有するセルロース材料、多くの場合は木材をあらかじめベイトステーションと呼ばれる容器内に収納し、監視員がこの木材の食害状況を観察することによって行われる。定期的な監視作業は2週間〜1ヶ月ごとに実施され、監視員の時間的負担および監視に要する費用的負担は大きい。
【0009】
また、シロアリ用食毒剤のマトリックスは、多くの場合、シロアリが好んで食するセルロース含有材料から作られる。中でも、和紙に代表される添加物の少ない紙が用いられる。しかしながら、紙剤は吸湿性が高く、監視装置及び駆除装置内で容易に水分を吸収し、土壌中の微生物などにより腐食する。カビなどが繁茂したシロアリ用食毒剤は、シロアリの好食性という観点から使用に耐えるとは言い難い。したがって監視員は、監視工程のみならず食毒剤を容器内に収納した後も、定期的に食害の様子を観察しなければならない。
【0010】
このように、従来のシロアリ監視駆除装置ないしシロアリ監視駆除方法においては、監視駆除装置を設置後、シロアリの存在が確認された場合も確認されない場合も、継続した点検が必要となっている。シロアリ防除用食毒剤の使用は、環境中への殺虫剤の放出量を最小限に設定できると共に、食毒剤を食したシロアリと共にコロニー全体を駆除することができるにもかかわらず、上述したような点検作業の煩雑さから広く普及しているとは言えず、当業界において監視員の点検作業の低減が強く求められている。
【0011】
本発明は、このような現況に鑑み、シロアリの監視および駆除に有用で、自然環境への負荷が少なく、かつ、シロアリの監視及び駆除に係わる人的作業を大幅に削減することを可能とするシロアリ駆除部材及びそれを用いたシロアリ監視駆除方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は前述したような従来技術における課題および目的を達成するためになされたものであって、本発明に係るシロアリ駆除部材は、シロアリ防除用薬剤を含む食毒剤の少なくとも一部が、シロアリによって破壊侵入可能な防湿性フィルムによって被包されていることを特徴とする。
【0013】
このように、シロアリによって破壊侵入可能な防湿性フィルムによってシロアリ防除用薬剤を含む食毒剤の少なくとも一部が被包されているので、シロアリ駆除部材を監視、交換する際などにも、食毒剤にじかに手で触れることがなく出し入れすることができ、衛生安全上からも優れている。
また、前記フィルムはシロアリが破壊侵入可能な材料からなるので、これを破壊しもしくは食して、孔を空けて、シロアリの通路を構成して、フィルム内部に収容したシロアリ防除用薬剤を含む食毒剤を食することができ、これによって、シロアリを駆除することができる。
【0014】
本発明に係るシロアリ駆除部材の前記フィルムは、防湿性を有する。このように構成することによって、地中の湿気や、降雨の際の土砂、雨水によって、フィルムの内部に収容されたシロアリ防除用薬剤を含む食毒剤が溶け出したり、カビが発生することを防止でき、シロアリ防除効果が低下または消失することがなく、長期間使用することが可能となる。しかも周囲の土壌が食毒剤で汚染されることがなく、衛生安全上および環境面においても優れている。
【0015】
従来のシロアリ監視駆除装置においては、環境中への殺虫剤の放出量を最小限に抑えるという観点から、監視装置である誘引体(餌木)をシロアリが食することを確認した後に、毒物を投入するという工程を経る。ところが、木製の誘引体は、特に湿った土壌において菌による浸食を被りやすく、監視期間の間頻繁な取替えを必要とする。これに対し本発明においては、前記フィルムが防湿性を有することから、駆除部材が地中に設置されたときでもカビの発生がなく、腐敗性または腐食性に優れ、長期間使用可能であるとともに、環境中に毒物を大量放出することもない。したがって、あらかじめ誘引体(餌木)を使用して食害状況を確認するまでもなく、シロアリ監視駆除の最初の工程から、本発明のシロアリ駆除部材(防湿性フィルムによって被包されたシロアリ防除用薬剤を含む食毒剤)を設置することができ、これにより、監視員の作業量を大幅に削減することができる。
【0016】
また、シロアリは菌(カビ)を忌避する性向を有するが、前記フィルムは防湿性を有することから、カビの発生を予防でき、シロアリが忌避性を示さずにフィルムを破壊して食毒剤に接近することができる。
また、本発明のシロアリ駆除部材は、前記フィルムが生分解性であることが望ましい。
【0017】
生分解性フィルムは、地球環境への負荷が少ないため自然環境中での使用に適し、またシロアリの誘引を阻害することがない。シロアリはこれを好んで食し、もしくは破壊侵入して、害虫の通路を構成し、フィルムの内部に収容した食毒剤を食することができ、これによって害虫を駆除する効果をより向上することができる。
【0018】
また、本発明のシロアリ駆除部材は、食毒剤に含まれるシロアリ防除用薬剤が、遅効性殺虫剤または昆虫生育調整剤であることが好ましい。
前記薬剤が遅効性殺虫剤または昆虫生育調整剤である場合、殺虫活性の発現には時間がかかるため、シロアリは死ぬ前にコロニーに戻り、食毒剤の位置をフェロモン等の化学的信号によって同一コロニーの他のシロアリに連絡する。これにより、同一コロニーのシロアリを効率よく防除できる。
【0019】
また、本発明のシロアリ駆除部材は、前記食毒剤がセルロースを含有する材料からなることが好ましい。このようなシロアリが好んで食する材料を用いることにより、シロアリの誘引を効率よく促すことができる。
また、本発明のシロアリ駆除方法は、前記シロアリ駆除部材をベイトステーションに収容した状態で、地下部または地上部に設置することによって、シロアリを駆除することを特徴とする。本発明のベイトステーションとは、シロアリ駆除部材を収容するための内空を有する容器であって、地下部または地上部に設置できるものであれば、構造や材質について特に限定されるものではない。
【0020】
このように、シロアリ駆除部材をベイトステーションに収容して地下部または地上部に設置するだけで、そのまま、シロアリ駆除部材にてシロアリをベイトステーションに誘引するとともに、シロアリ駆除部材によってシロアリを駆除することができる。したがって、この場合には、シロアリの存在を検出するための監視作業を行う必要がなく、また、シロアリ駆除部材が長期間の使用に耐えるため、ベイトステーションの設置後も頻繁な監視作業を行う必要がない。その結果、作業の手間とコストを大幅に低減できる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態をより詳細に説明する。
本発明のシロアリ駆除部材は、食毒剤がシロアリによって破壊侵入可能な防湿性フィルムで被包されている。このようなフィルムの材料は、防湿性を有し適度な機械強度を有するものであれば特に限定されるものではないが、たとえば、熱可塑性プラスチックのうち、ポリオレフィン、スチレン系樹脂、MMA、含ハロゲン樹脂、ポリエステル、生分解性樹脂、ポリアミド、酢ビ系ポリマーを用いることができる。これらのうち、特に生分解性樹脂であることが好ましい。
【0022】
本発明の実施形態のひとつは、図1が示すように、前記フィルム40bによって食毒剤40aを密封して被包するが、フィルムの包装は全面被包に限定されるものではなく、たとえば底面を除いた上面及び側面包装にすることもできる。
本発明で用いられる前記フィルムの厚さは、該フィルム材料によって変化するが、一般に1〜30μm、好ましくは2〜25μm、より好ましくは3〜20μmであるのが望ましい。
【0023】
前記フィルムの水蒸気透過度(g/m2/day)は、3〜200の範囲にあるのが望ましい。水蒸気透過度がこのような範囲を満たす場合には、防湿性が良好であるため、長期間の使用に耐えることができる。
また、上述のように、前記フィルムは生分解性であることが望ましい。前記フィルムに用いられる材料は微生物分解を受ける高分子素材であれば特に限定されるものではないが、たとえば、生分解性樹脂として、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリカプロラクトン等を用いることができる。また、羊毛、絹等の織物を用いることもできる。
【0024】
本発明のシロアリ駆除部材に使用される食毒剤は、遅効性殺虫剤または昆虫生育調整剤を含有しているのが好ましい。このような遅効性殺虫剤とは、シロアリが食してから殺虫活性の発現に時間のかかるものであれば特に限定されるものではないが、たとえば、ヒドラメチルノン、スルフルアミド、ニテンピラム、アセタミプリド、イミダクロプリド、フィプロニル等が挙げられる。
【0025】
また、昆虫生育調整剤とは、シロアリのキチン質合成阻害活性、クチクラ硬化活性、幼若ホルモン阻害活性を有するものであれば特に限定されるものではないが、たとえば、トリフルムロン、ジフルベンズロン、テフルベンズロン、ヘキサフルムロン、ノバルロン、ルフェヌロン、フルフェヌクスロン、クロルフルアズロン、シロマジン、メトプレン、ハイドロプレン、キノプレン、ピリプロキシフェン、フェノキシカルブを用いることができる。
【0026】
シロアリの巣は、概ね一対の生殖虫と副生殖虫、約1割の兵蟻と約9割の職蟻により構成されており、生殖虫・副生殖虫・兵蟻は直接的または間接的に職蟻によって養われている。また、シロアリは帰巣本能があるとも言われており、職蟻が前記のような遅効性の殺虫剤、昆虫生育調整剤を食した場合、またはこれらの薬剤、生物資材に接触した場合、この職蟻に養われたシロアリに影響を及ぼすことができ、よって、同一コロニーのシロアリ全体を効率よく駆除することができる。
【0027】
このような薬剤を含む本発明の食毒剤は、人畜に対し無毒性であることから、建築物内部や屋外の害虫管理に有用であり、有害な化学物質を環境に放出することを大幅に削減することができる。
本発明の食毒剤のベースは、セルロースを含有する材料からなることが好ましい。セルロースを含有する材料とは、紙、木材、精製セルロースを製剤化したものであれば特に限定されるものではない。また、本発明の食毒剤は、たとえば図2のシロアリ駆除部材40が示すように、ティッシュペーパーなどのシート材料をロール形状に巻いた食毒剤40aとすることができる。
【0028】
本発明のシロアリ駆除部材を用いたシロアリ駆除方法は、前記シロアリ駆除部材をベイトステーションに収容した状態で、地下部または地上部に設置することによって、シロアリを駆除する。以下、図面に基づいて、本発明のシロアリ駆除方法の実施形態を説明する。
図3(A)は、本発明のシロアリ駆除部材を用いたシロアリ駆除方法の第1の実施形態を説明する概略図である。
【0029】
図3(A)に示したように、ベイトステーション12の下部餌収容部20に、シロアリ駆除部材40を直接収容して、蓋部材18にてベイトステーション12を閉蓋して、ベイトステーション12を地中に埋設する。
そして、シロアリ駆除部材40にてシロアリをベイトステーション12の下部餌収容部20に誘引するとともに、このシロアリ駆除部材40によってシロアリを直接駆除する。
【0030】
すなわち、誘引されたシロアリは、食毒剤を食した後ベイトステーション12本体に形成された開口部を介して、ベイトステーションから外へ出てコロニーに戻り、シロアリ駆除部材40によってコロニー全体のシロアリを駆除することができる。
このように、シロアリ駆除部材40を下部餌収容部20に収容するだけで、シロアリを下部餌収容部20に誘引するとともに、シロアリ駆除部材40によってシロアリを駆除することができる。
【0031】
従って、この場合には、シロアリの存在をあらかじめ検出するための監視作業を行う必要がないので、作業が簡単になるとともに、餌部材も不要であり、コストが低減できる。
図3(B)は、本発明のシロアリ駆除方法の第2の実施形態を説明する概略図である。
【0032】
図3(B)に示したように、シロアリ用の餌部材38をベイトステーション12の下部餌収容部20に収容するとともに、シロアリ駆除部材40を上部駆除部材収容部22に収容する。そして、蓋部材18にてベイトステーション12を閉蓋して、ベイトステーション12を地中に埋設する。
これによって、餌部材38にてシロアリをベイトステーション12の下部餌収容部20に誘引するとともに、上部駆除部材収容部22のシロアリ駆除部材40によってシロアリを駆除する。
【0033】
このように、シロアリ用の餌部材38を下部餌収容部20に収容するとともに、シロアリ駆除部材40を上部駆除部材収容部22に収容するだけで、シロアリを下部餌収容部20に誘引することができ、誘引されたシロアリが下部餌収容部20に収容した餌部材38を食した後、上方の上部駆除部材収容部22の内部に侵入して、シロアリ駆除部材40に接触もしくはこれを食するようになる。
【0034】
その後にシロアリは、上部駆除部材収容部22に形成された開口部を介して、ベイトステーションから外へ出てコロニーに戻り、害虫駆除部材40によってコロニー全体の害虫を駆除することができる。
なお、この場合の餌部材38は、シロアリをベイトステーションに定着させるためのものであり、シロアリの存在を検出するためのものではない。従って、この場合にも、シロアリの存在をあらかじめ検出するための監視作業を行う必要がないので、作業が簡単になるとともに、コストが低減できる。
【0035】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されることはない。たとえば、シロアリ駆除部材40は、サイズを適宜変更して縦横に並べ積み重ねる等、複数個組み合わせて使用することもできる。複数個組み合わせることにより、一部のシロアリ駆除部材がシロアリの破壊侵入を受けても、破壊侵入を受けていない他の部材は次の破壊侵入を受けるまでの期間、依然として高い防湿性を有することになる。また、たとえば、ベイトステーションは、シロアリ駆除部材を収容するための内空を有する容器であれば、その構造は特に限定されるものではなく、その設置場所も地中に限られず、地上部に設置することもできる。
【0036】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0037】
【実施例1】
供試シロアリとして、以下のものを使用した。
イエシロアリ(職蟻500頭)
食毒剤を包装するフィルムとしては、以下のサンプルを使用した。
サンプル1:ポリブチレンサクシネート 厚さ25μm
サンプル2:ポリ乳酸表面ラミネート加工 厚さ25μm
サンプル3:ポリ乳酸 厚さ15μm
サンプル4:ポリ乳酸 厚さ25μm
試験は以下の方法で行った。
1)試験期間及び観察
試験期間は8日間とし、観察は1日1回行い、供試サンプルの食害(破壊侵入状況)を確認した。
2)試験装置及び供試サンプル設置方法
食毒剤を包装するフィルムの食害試験を以下の装置で行った。
【0038】
プラスチック製容器(19×11×14cm)の底面に湿った砂を敷き(19×11×1.5cm)、その容器内にシロアリ(職蟻500頭)を放虫した。
各供試サンプルは正方形(8×8cm)に切り、その供試サンプルの中央に木材(アスペン19×11×1.5cm)を置き、風呂敷の包みのようにした。包みの先端は糸で縛り、シロアリが侵入しないようにした。供試サンプルは並列にプラスチック容器中に並べた。
【0039】
設定を終了した試験容器は、開口部をビニールで覆い、室温30℃、湿度75%の部屋に置いた。
イエシロアリによる供試サンプルの破壊侵入状況は、表1に示すとおりとなった。
【0040】
【表1】
【0041】
イエシロアリによる供試サンプルの破壊侵入は、試験1日目にサンプル2、試験2日目にサンプル1、試験7日目にサンプル3で確認された。サンプル4では試験期間内に破壊侵入は観察されなかった。イエシロアリに関しては、供試サンプル4種のうち3種が試験期間内に破壊侵入可能であった。
【0042】
【実施例2】
供試シロアリとして、以下のものを使用した。
ヤマトシロアリ(職蟻500頭)
食毒剤を包装するフィルムとしては実施例1と同じ供試サンプルを使用し、試験方法も実施例1と同様にして行った。
【0043】
ヤマトシロアリによる供試サンプルの破壊侵入状況は、表2に示すとおりとなった。
【0044】
【表2】
【0045】
ヤマトシロアリによる供試サンプルの破壊侵入は、試験2日目にサンプル2で確認されたのみで、他の供試サンプルについて破壊侵入は無かった。
表1および表2が示すように、生分解性樹脂で包装したセルロースを含有する素材である木材(アスペン)は、シロアリの破壊侵入を阻害することなく、比較的早期にシロアリの破壊侵入を受けることが明らかになった。
【0046】
【実施例3】
被包素材の防湿試験として、被包しないアスペン材を同じ条件で放置し、木材表面の漏れ、黴の発生状況を確認した。
下記の表3において、サンプル1〜4は上記表1、表2の各サンプルに相当する。サンプル5〜8は被包していないアスペン材である。
【0047】
【表3】
【0048】
表3が示すように、供試サンプルで被包することにより、アスペンを湿気から守り黴の発生を抑制しうることが明らかになった。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、シロアリの食害を阻害することなく、中長期にわたって食毒剤を湿度や水蒸気から保全することの可能なシロアリ駆除部材を提供することができる。また、本発明によれば、シロアリの監視及び駆除に有用で、自然環境への負荷が少なく、かつ、シロアリの監視及び駆除に係わる人的作業を大幅に削減することを可能とするシロアリ駆除部材及びそれを用いたシロアリ監視駆除方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のシロアリ駆除部材の実施形態の一例を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明のシロアリ駆除部材の使用態様の一例を示す分解斜視図である。
【図3】図3は、本発明のシロアリ駆除部材を用いたシロアリ駆除方法の実施形態を説明する概略図である。
【符号の説明】
12 ベイトステーション
18 蓋部材
20 下部餌収容部
22 上部駆除部材収容部
38 餌部材
40 シロアリ駆除部材
40a 食毒剤
40b 防湿性フィルム
Claims (8)
- シロアリ防除用薬剤を含む食毒剤の少なくとも一部が、シロアリによって破壊侵入可能な防湿性フィルムによって被包されていることを特徴とするシロアリ駆除部材。
- 前記食毒剤の全面が前記フィルムによって被包されていることを特徴とする請求項1に記載のシロアリ駆除部材。
- 前記食毒剤の上面および側面が前記フィルムによって被包されていることを特徴とする請求項1に記載のシロアリ駆除部材。
- 前記フィルムの水蒸気透過度(g/m2/day)が、3〜200であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のシロアリ駆除部材。
- 前記フィルムが生分解性であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のシロアリ駆除部材。
- 前記薬剤が遅効性殺虫剤または昆虫生育調整剤であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のシロアリ駆除部材。
- 前記食毒剤がセルロースを含有する材料からなることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のシロアリ駆除部材。
- 請求項1から7のいずれかに記載のシロアリ駆除部材を用いたシロアリ駆除方法であって、
前記シロアリ駆除部材をベイトステーションに収容した状態で、地下部または地上部に設置することによって、シロアリを駆除することを特徴とするシロアリ駆除方法。
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- 2002-09-13 JP JP2002268590A patent/JP2004107215A/ja active Pending
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