JP4987339B2 - 医療用シリンジ用プロピレン樹脂およびこれを射出成形して得られる医療用シリンジ並びにプレフィルドシリンジ製剤 - Google Patents

医療用シリンジ用プロピレン樹脂およびこれを射出成形して得られる医療用シリンジ並びにプレフィルドシリンジ製剤 Download PDF

Info

Publication number
JP4987339B2
JP4987339B2 JP2006104473A JP2006104473A JP4987339B2 JP 4987339 B2 JP4987339 B2 JP 4987339B2 JP 2006104473 A JP2006104473 A JP 2006104473A JP 2006104473 A JP2006104473 A JP 2006104473A JP 4987339 B2 JP4987339 B2 JP 4987339B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
propylene
syringe
polymerization
medical
propylene homopolymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006104473A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007275255A (ja
Inventor
功 和田
直也 秋山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Prime Polymer Co Ltd
Original Assignee
Prime Polymer Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Prime Polymer Co Ltd filed Critical Prime Polymer Co Ltd
Priority to JP2006104473A priority Critical patent/JP4987339B2/ja
Publication of JP2007275255A publication Critical patent/JP2007275255A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4987339B2 publication Critical patent/JP4987339B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Infusion, Injection, And Reservoir Apparatuses (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Medical Preparation Storing Or Oral Administration Devices (AREA)

Description

本発明は、ポリプロピレン樹脂を用いて射出成形によって生産され、薬液を充填したプレフィルドシリンジ関し、さらに詳しくは、衛生性、耐熱性、成形時の気泡発生抑制とロングラン成形性、更には射出成形時のコア金型抜き取り時の傷付性を従来成し得なかったレベルで全てを満足した医療用シリンジに関するもの、且つ内溶液であるpHが5.0〜9.0である各種薬剤とのESCRによる耐衝撃性、薬剤安定性をも考慮したプレフィルドシリンジ製剤に関する。
近年、誤った投薬処理などによる問題を減少させる目的で、薬液充填プレフィルドシリンジ製剤が注目されている。
一般に薬液充填プレフィルドシリンジはガラスや環状ポリオレフィンで生産されているが、価格が高く市場普及が進んでいない。一方、ポリプロピレン樹脂を用いたプレフィルドシリンジは化学的特性、物理的特性および成形加工性に優れ、しかも安価であることから使用が検討されているが、内溶液との相互作用によるシリンジの耐衝撃性低下による割れ問題や特にシリンジ成形時のコア金型抜き取り時の傷付が大きな問題となり、安定生産ができていないのが現状である。特許第3195434号や特許第2528443号記載のいわゆる従来のポリプロピレン樹脂では、機械的強度、衛生性、透明性、射出成形時のコア金型引き抜き時のシリンジ傷抑制というロングラン生産性、更に落下時の耐衝撃性が問題となっており、これらを全て満足させるポリプロピレン樹脂は無く、問題を全て解決した薬液充填プレフィルドシリンジ生産は困難であった。
こうした要求を安価なポリプロピレン樹脂を用いる事で実現できれば、広く薬液充填プレフィルドシリンジ製剤の普及に貢献でき、高齢患者への医療費抑制など非常に社会貢献度が高い。
特許第3195434号 特許第2528443号
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、衛生性、耐熱性、成形時の気泡発生抑制とロングラン成形性、更には射出成形時のコア金型抜き取り時の傷付性を従来成し得なかったレベルで全てを満足する医療用シリンジの提供と、内溶液のpHが5.0〜9.0である各種薬剤を充填し、ESCR(薬剤によって耐衝撃性が低下する現象で耐環境応力破壊とも言う)による耐衝撃性、薬剤安定性をも考慮した安価なプレフィルドシリンジ製剤を提供し、医療現場への更なる安全性を提供することを課題とする。
〔1〕i)メルトフローレート(ASTM D 1238,230℃、2.16kg荷重)が10〜60g/10分、ii)メソペンタッド分率(mmmm)が0.920〜0.950、iii)分子量分布(Mw/Mn)が2.0〜5.6のプロピレン単独重合体からなり、iiii)過酸化物による分子量減量調整処理を施していない事を特徴とする医療用シリンジ用ポリプロピレン樹脂。
〔2〕〔1〕記載のポリプロピレン樹脂を射出成形して得られる医療用シリンジ。
〔3〕〔2〕記載の医療用シリンジにpHが5.0〜9.0である薬液を充填した事を特徴とするプレフィルドシリンジ製剤。
本発明によれば、衛生性、耐熱性、成形時の気泡発生抑制とロングラン成形性、更には射出成形時のコア金型抜き取り時の傷付性を従来成し得なかったレベルで全てを満足し且つ安価な医療用シリンジが完成し、且つ内溶液pHが5.0〜9.0である各種薬剤を充填し、ESCRによる耐衝撃性、薬剤安定性をも達成した市場浸透が急速に拡大する安価プレフィルドシリンジ製剤が得られる。
以下、本発明に係るポリプロピレン樹脂およびその用途について具体的に説明する。
本発明に係るポリプロピレン樹脂は、i)メルトフローレート(MFR)(ASTM D 1238,230℃、2.16kg荷重)が10〜60g/10分、ii)メソペンタッド分率(mmmm)が0.920〜0.950、iii)分子量分布(Mw/Mn)が2.0〜5.6であるプロピレン単独重合体からなり、iiii)過酸化物による分子量減量調整処理を施していないことを特徴とする。
本発明にかかるポリプロピレン樹脂は、1種のプロピレン単独重合体であっても、2種以上のプロピレン単独重合体のブレンド品であってもよい。
本発明に係るプロピレン単独重合体のMFRは10〜60g/10分の範囲であるが、分子量分布が3.0以上5.5以下の場合は特に、15〜40g/10分であることが好ましく、20〜30g/10分であることがより好ましい。また、分子量分布が2.0以上3.0未満の場合は特に、30〜60g/10分であることが好ましく、35〜55g/10分であることがより好ましく、40〜45g/10分であることがさらに好ましい。
MFRがこの範囲にある場合、医療用シリンジの多数個取りの射出成形が可能であり、且つ耐衝撃性も保持できる。MFRがこの範囲にない場合、即ちMFRが10未満の場合、医療用シリンジの多数個取りの射出成形ができず、実生産性に乏しく、MFRが60を超える場合、低分子量過ぎて耐衝撃性が保てない。
MFRの調整にあたっては、今回の発明の大きな特徴であるが、過酸化物による分子量減量調整処理をしてはならない事が重要である。過酸化物による分子量減量調整処理により生成する低分子量成分と過酸化物の分解物が、シリンジ生産時に金型へ吸着することにより、シリンジ内面へ傷がつき、射出成形時のコア金型抜き取り時の傷付性が問題となる。
ポリプロピレン樹脂が減成したものであるかの確認方法は、ポリプロピレン樹脂をクロロホルムに入れ、超音波洗浄60分にて抽出処理し、ガスクロマトグラフ分析によって過酸化物の分解生成物であるアセトン、アルコール類を分析する事で可能である。
過酸化物による減成以外でMFRの好ましい調整方法は重合における水素濃度と重合温度が最も効果的であるが、複数の樹脂ブレンドによるMFR調整も可能である。
本発明に係るプロピレン単独重合体の、13C−NMRで測定したメソペンタッド分率(mmmm)は0.920〜0.950であり、好ましくは0.920〜0.940である。
メソペンタッド分率をこの範囲とすることによるメリットは、3つあり、1つは透明性の大幅向上である。これは水蒸気滅菌後の透過率低下をも抑制できる。2つ目はシリンジの耐衝撃性である。シリンジ成型では、筒状の部位を溶融させて成型する為、歪みとウェルドが残りやすく、且つポリプロピレンの流動配向結晶化(流動しながら結晶化しながら固化する)によって更に歪みが生じる。これによって衝撃が加わった時に破壊しやすくなる問題がある。メソペンタッド分率をこの範囲とすることにより、特にポリプロピレンの配向結晶化を大幅に低減でき、耐衝撃性を向上させる事ができる事を我々は新たに発見した。3つ目はこの範囲から大幅に外れるとシリンジの耐熱性やシリンジ同士の接触による耐傷付性が不良になる点である。
メソペンタッド分率(mmmm)は、13C−NMRを使用して測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖の存在割合を示している。具体的には、プロピレン単位で5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるメチル基に由来する吸収強度(Pmmmm)のプロピレン単位の全メチル基に由来する吸収強度(Pw)に対する比、すなわち〔(Pmmmm)/(Pw)〕として求められる値である。また、本発明に係るプロピレン単独重合体の分子量分布は2.0〜5.6であり、好ましくは3.0〜5.0である。
メソペンタッド分率及び分子量分布を上記範囲に調節する方法は詳細は実施例に記載するが、触媒と助触媒、重合条件によって調節可能である。
分子量分布をこの範囲に限定することにより、配向結晶化による残留応力を低減でき、耐衝撃性に寄与できるメリットがある。
メルトフローレートとメソペンタッド分率及び分子量分布の全てが上記の範囲内にあると、得られるポリプロピレン樹脂の流動性(成形性)とシリンジとした時の透明性及び特に高い耐衝撃性が得られ、且つ従来無し得なかったコア金型抜き取り時の傷が高度に抑制され、内容物視認性に富んだ非常に良好で高機能なシリンジを得る事ができる。
本発明に係るプロピレン単独重合体は、公知のチタン系やメタロセン系重合用触媒と助触媒の存在下に、プロピレンを単独重合させることによって製造される。重合用触媒としては、例えば、WO01/27124号公報に記載された重合用触媒を用いることができる。プロピレン単独重合体の重合工程は、通常、約−50〜200℃、好ましくは約50〜100℃の温度で、また通常、常圧〜100kg/cm2、好ましくは約2〜50kg/cm2の圧力下で行なわれる。プロピレンの重合は、回分式、半連続式、連続式の何れの方法によっても行うことができる。
本発明に係るポリプロピレン樹脂は、必要に応じてリン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ハイドロタルサイトを代表とする塩酸吸収剤を含有してもよい。
リン系酸化防止剤としては、特に制限はなく、従来公知のリン系酸化防止剤を用いることができる。なお、リン系酸化防止剤の使用が1種類のみであると、ブリードによる内容物汚染が少ないため好ましい。リン系酸化防止剤としては、3価の有機リン化合物が好ましく、具体的には、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)オクチルフォスファイト、ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイトなどが挙げられる。
リン系酸化防止剤は、ポリプロピレン樹脂100重量部に対して、通常0.05〜0.3重量部、好ましくは0.07〜0.2重量部、特に好ましくは0.1〜0.15重量部の割合で用いられる。
アミン系酸化防止剤としては、ピペリジン環を持つ化合物が例示される。具体的には、コハク酸ジメチル・1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6- テトラメチルピペリジン重縮合物、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ポリ[[6-[1-[(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ]-s-トリアジン-2,4-ジイル][[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]]などが挙げられる。
アミン系酸化防止剤は、ポリプロピレン樹脂100重量部に対して、通常0.01〜0.3重量部、好ましくは0.01〜0.2重量部、さらに好ましくは0.01〜0.1重量部、特に好ましくは0.03〜0.06重量部の割合で用いられる。
塩酸吸収剤としては、滅菌方法や薬液との白濁物生成、造核剤との相互作用を考慮し、ハイドロタルサイトが好ましいが、薬液との反応性などが無い場合に限っては、適宜脂肪酸金属塩を極力減量したハイドロタルサイトとの併用系も使用できる。塩酸吸収剤添加量は、ポリプロピレン樹脂100重量部に対して、0.02〜0.20重量部の割合で用いられる。
本発明に係るポリプロピレン樹脂は、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、さらに耐熱安定剤、帯電防止剤、スリップ剤を配合することもできる。
本発明に係るポリプロピレン樹脂に対して、透明性を付与するため、核剤を添加してもよい。核剤としては一般的な核剤が使用可能である。有機リン酸エステルに代表されるアデカスタブNA−11が最も一般的である。但し、第14改正日本薬局方一般試験法『プラスチック製医薬品容器試験法』のプラスチック製水性注射剤容器(ポリエチレン製またはポリプロピレン性注射剤容器)規格である紫外吸収スペクトルを満足する為、ソルビトール系核剤の添加は望ましくない。
本発明に係るポリプロピレン樹脂は、前記プロピレン単独重合体に対して、必要に応じて造核剤および他の添加剤たとえばリン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、塩酸吸収剤等を、ヘンシェルミキサー、V型ブレンダー、タンブラーブレンダー、リボンブレンダーなどを用いて混合した後、単軸押出機、多軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどを用いて溶融混練することによって、上記各成分および添加剤が均一に分散混合された高品質のポリプロピレン樹脂組成物として得ることが出来る。
本発明に係る医療用シリンジは、前記ポリプロピレン樹脂を射出成形して得られる。ポリプロピレン樹脂の射出成形の方法としては、通常用いられる方法を用いることが出来る。前記ポリプロピレン樹脂を用いて射出成形を行うことによって、衛生性、耐熱性、成形時の気泡発生抑制とロングラン成形性、更には射出成形時のコア金型抜き取り時の傷付性を従来成し得なかったレベルで全てを満足する医療用シリンジを提供することができる。
本発明に係るプレフィルドシリンジ薬剤において用いられる薬液はpHが5.0〜9.0である事が望ましい。それよりも酸性や塩基性の高い薬剤の場合、水蒸気滅菌や長期保存においてシリンジへの薬液成分のシリンジへの吸着や、ポリプロピレン樹脂組成物からの微量抽出物との相互作用によって効能失効のおそれがあり望ましくない。
薬液は上記pH範囲であれば限定されないが、例えばヘパリン水溶液や塩化カリウム水溶液に代表される中性(pHが7.0近傍)の薬液である事が特に望ましい。高揮発性製剤や高濃度アルコール製剤は滅菌時にシリンジ内圧上昇による変形などがあり、pHに寄らず薬液から除外する。
本発明に係るプレフィルドシリンジ製剤は特定のポリプロピレン樹脂を射出成形してなり、剛性、耐熱性、成形時の気泡抑制、衛生性、ハイサイクル生産性を保持したまま特に従来到達しえない更なる透明性改良と耐衝撃性に優れ、且つ、ロングラン射出成形においてシリンジ内面に傷がつきにくいという、従来のポリプロピレン樹脂では得られない全てのバランスを有する。
次に、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
実施例等において、物性は次の方法で測定した。
・ メルトフローレート(MFR)は、ASTM D 1238に準拠し、230℃、荷重2.16kgで測定した。
・ メソペンタッド分率(mmmm)は、13C−NMRを使用して測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖の存在割合を示している。具体的には、プロピレン単位で5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるメチル基に由来する吸収強度(Pmmmm)のプロピレン単位の全メチル基に由来する吸収強度(Pw)に対する比、すなわち〔(Pmmmm)/(Pw)〕として求めた。
(3)曲げ弾性率は、ASTM D 790に準拠して曲げ試験を行ない、その結果から曲げ弾性率を算出した。
(4)加熱変形温度;ASTM D 648に準じて行った。単位は℃。
(5)透明性(視認性)評価;長さ12cm、幅11cm、厚み1mmの角板を200℃溶融温度/金型温度30℃にて射出成形し、第14改正日本薬局方一般試験法『プラスチック製医薬品容器試験法』のプラスチック製水性注射剤容器(ポリエチレン製またはポリプロピレン性注射剤容器)に準じ、121℃1時間シリンジを水蒸気滅菌し、滅菌前後での純水中での並行透過光率を測定した。日本薬局方基準は並行透過光率で55%以上であるが、製品形状や肉厚、特にシリンジの場合1mm〜1.2mm肉厚にて設計されており、55%を1mmとして、1.2mm肉厚の場合を想定し、1mmの55%の2割増しである66%以上を合格判定基準○とし、65%以下の並行透過光率で×とした。
(6)成形性の評価として、20ml、厚み1mmの注射器外筒8本取り金型にて150t電動射出成形機にて、シリンジ生産サイクルタイム(秒)をもとめ、6秒以上となる物は×とした。
また、200ショットを生産し、シリンジ内面にコア金型抜き取り傷が入ったものを×、傷の無いものを○とした。
後述するが、MFRが低い為に成形できなかったものは成形不可と記した。
(7)上記シリンジを用い、ヘパリン(500u/ml)水溶液を入れて押し子をし、日局方溶出物試験121℃1時間水蒸気滅菌後のシリンジの変形を目視で評価した。
(8)シリンジ破壊高さは45gの四角錘を上記シリンジ胴部に種々の高さで落下させ、破壊高さの平均(n=10)をもとめ、50cm高さ以下で割れた場合を×とした。
〔製造例1〕
[固体状チタン触媒成分(a)の調製]
無水塩化マグネシウム952g、デカン4420mlおよび2−エチルヘキシルアルコール3906gを、130℃で2時間加熱して均一溶液とした。この溶液中に無水フタル酸213gを添加し、130℃にてさらに1時間攪拌混合を行って無水フタル酸を溶解させた。
このようにして得られた均一溶液を23℃まで冷却した後、この均一溶液の750mlを、−20℃に保持された四塩化チタン2000ml中に1時間にわたって滴下した。滴下後、得られた混合液の温度を4時間かけて110℃に昇温し、110℃に達したところでフタル酸ジイソブチル(DIBP)52.2gを添加し、これより2時間攪拌しながら同温度に保持した。次いで熱時濾過にて固体部を採取し、この固体部を2750mlの四塩化チタンに再懸濁させた後、再び110℃で2時間加熱した。
加熱終了後、再び熱濾過にて固体部を採取し、110℃のデカンおよびヘキサンを用いて、洗浄液中にチタン化合物が検出されなくなるまで洗浄した。
上記の様に調製された固体状チタン触媒成分(a)はヘキサンスラリーとして保存されるが、このうち一部を乾燥して触媒組成を調べた。固体状チタン触媒成分(a)は、チタンを3重量%、塩素を58重量%、マグネシウムを18重量%およびDIBPを21重量%の量で含有していた。
[予備重合触媒の調製]
200 リットルの攪拌機付きオートクレーブ中に、窒素雰囲気下、精製ヘプタン140 リットル、トルエチルアルミニウム0.28mol、および上記で得られた固体状チタン触媒成分(a)をチタン原子換算で0.094mol装入した後、プロピレンを1350g導入し、温度20℃以下に保ちながら、1時間反応させた。
重合終了後、反応器内を窒素で置換し、上澄液の除去および精製ヘプタンによる洗浄を3回行った。得られた予備重合触媒を精製ヘプタンに再懸濁して触媒供給槽に移し、固体状チタン触媒成分(a)濃度で1.5g/Lとなるよう、精製ヘプタンにより調整を行った。この予備重合触媒は固体状チタン触媒成分(a)1g当りポリプロピレンを6g含んでいた。
[重合]
内容積 500リットルの攪拌機付き重合槽1に液化プロピレンを300リットルを装入し、この液位を保ちながら、液化プロピレン130kg/h、前記予備重合触媒1.7g/h、トリエチルアルミニウム42mmol/h、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン6.3mmol/h、ノルマルブチルメチルジメトキシシラン0.7mmol/hを連続的に供給し、温度75℃で重合した。また水素220NL/h供給した。得られたスラリーは失活後、液体プロピレンによる洗浄槽に送液後、ポリプロピレンパウダーを洗浄した。その後、プロピレンを蒸発させてポリプロピレンパウダー(A1)を得た。
この組成はMFR20g/10分、メソペンタッド分率(mmmm)が0.950、Mw/Mnが5.2であった。
〔製造例2〕
内容積 500リットルの攪拌機付き重合槽1に液化プロピレンを300リットルを装入し、この液位を保ちながら、液化プロピレン130kg/h、製造例1と同じ予備重合触媒1.9g/h、トリエチルアルミニウム50mmol/h、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン3.9mmol/h、ノルマルブチルメチルジメトキシシラン4.4mmol/hを連続的に供給し、温度75℃で重合した。また水素170NL/h供給した。得られたスラリーは失活後、液体プロピレンによる洗浄槽に送液後、ポリプロピレンパウダーを洗浄した。その後、プロピレンを蒸発させてポリプロピレンパウダー(A2)を得た。
この組成はMFR20g/10分、メソペンタッド分率(mmmm)が0.935、Mw/Mnが5.1であった。
〔製造例3〕
内容積 500リットルの攪拌機付き重合槽1に液化プロピレンを300リットルを装入し、この液位を保ちながら、液化プロピレン130kg/h、製造例1と同じ予備重合触媒2.0g/h、トリエチルアルミニウム55mmol/h、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン1.8mmol/h、ノルマルブチルメチルジメトキシシラン7.3mmol/hを連続的に供給し、温度75℃で重合した。また水素115NL/h供給した。得られたスラリーは失活後、液体プロピレンによる洗浄槽に送液後、ポリプロピレンパウダーを洗浄した。その後、プロピレンを蒸発させてポリプロピレンパウダー(A3)を得た。
この組成はMFR20g/10分、メソペンタッド分率(mmmm)が0.920、Mw/Mnが5.1であった。
〔製造例4〕
〔固体触媒担体の調整〕
1L枝付フラスコにSiO(洞海化学社製)300gをサンプリングし、トルエン800mLを入れ、スラリー化した。次に5L4つ口フラスコへ移液をし、トルエン260mLを加えた。メチルアルミノキサン(以下、MAO)−トルエン溶液(アルベマール社製10wt%溶液)を2830mL導入した。室温のままで、30分間攪拌した。1時間で110℃に昇温し、4時間反応を行った。反応終了後、室温まで冷却した。冷却後、上澄みトルエンを抜き出し、フレッシュなトルエンで、置換率が95%になるまで、置換を行った。
〔固体触媒成分(b)の調整(担体への遷移金属化合物成分の担持)〕
グローブボックス内にて、5L4口フラスコにジフェニルメチレン(3-t-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリドを2.0g秤取った。フラスコを外へ出し、トルエン0.46リットルと固体触媒担体の製造で調製したMAO/Si、SiO2/トルエンスラリー1.4リットルを窒素下で加え、30分間攪拌し担持を行った。得られたジフェニルメチレン(3-t-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)(2,7-t-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド/MAO/SiO/トルエンスラリーはノルマル−ヘプタンにて99%置換を行い、最終的なスラリー量を4.5リットルとした。この操作は、室温で行った。
〔前重合体の製造〕
前記の固体触媒成分(b)189g、トリエチルアルミニウム99.5mL、ヘプタン94.5Lを内容量200Lの攪拌機付きオートクレーブに挿入し、内温15〜20℃に保ちエチレンを2640g挿入し、180分間攪拌しながら反応させた。重合終了後、固体成分を沈降させ、上澄み液の除去およびヘプタンによる洗浄を2回行った。得られた前重合体を精製ヘプタンに再懸濁して、固体触媒成分濃度で2g/Lとなるよう、ヘプタンにより調整を行った。一部、サンプリングを行い、前重合体の分析を行った。この前重合体、即ち前重合触媒は固体触媒成分(b)1g当りポリエチレンを10g含んでいた。
〔予重合体の製造〕
内容量58Lの管状重合器にプロピレンを45kg/h、水素を12NL/h、前記で製造した触媒スラリーを固体触媒成分(b)として2.5g/h、トリエチルアルミニウム1.5g/hを連続的に供給し、気相の存在しない満液の状態にて重合した。管状反応器の温度は30℃であり、圧力は2.8MPa/Gであった。
〔本重合〕
前記の予重合で得られたスラリーは内容量1000Lの攪拌機付きベッセル重合器へ送り、更に本重合を行った。重合器へは、プロピレンを50kg/h、水素を気相部の水素濃度が0.45mol%になるように供給した。重合温度70℃、圧力2.7MPa/Gで重合を行った。
得られたスラリーは内容量500Lの攪拌機付きベッセル重合器へ送り、更に本重合を行った。重合器へは、プロピレンを30kg/h、水素を気相部の水素濃度が0.5mol%になるように供給した。重合温度68℃、圧力2.7MPa/Gで重合を行った。
得られたスラリーを気化後、気固分離を行い、プロピレン系重合体粒子(A4)を得た。得られたプロピレン系重合体粒子は、80℃で真空乾燥を行った。
この組成はMFR40、メソペンタッド分率(mmmm)が0.950、Mw/Mnが2.0であった。
〔製造例5〕
内容積 500リットルの攪拌機付き重合槽1に液化プロピレンを300リットルを装入し、この液位を保ちながら、液化プロピレン130kg/h、製造例1と同じ予備重合触媒2.1g/h、トリエチルアルミニウム58mmol/h、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン0.2mmol/h、ノルマルブチルメチルジメトキシシラン9.5mmol/hを連続的に供給し、温度75℃で重合した。また水素50NL/h供給した。得られたスラリーは失活後、液体プロピレンによる洗浄槽に送液後、ポリプロピレンパウダーを洗浄した。その後、プロピレンを蒸発させてポリプロピレンパウダー(A5)を得た。この組成はMFR20g/10分、メソペンタッド分率(mmmm)が0.910、Mw/Mnが5.1であった。
〔製造例6〕
内容積 500リットルの攪拌機付き重合槽1に液化プロピレンを300リットルを装入し、この液位を保ちながら、液化プロピレン130kg/h、製造例1と同じ予備重合触媒1.5g/h、トリエチルアルミニウム38mmol/h、ジシクロペンチルジメトキシシラン6.3mmol/hを連続的に供給し、温度75℃で重合した。また水素230NL/h供給した。得られたスラリーは失活後、液体プロピレンによる洗浄槽に送液後、ポリプロピレンパウダーを洗浄した。その後、プロピレンを蒸発させてポリプロピレンパウダー(A6)を得た。
この組成はMFR20g/10分、メソペンタッド分率(mmmm)が0.960、Mw/Mnが5.6であった。
〔製造例7〕
(1)固体触媒成分(B)の調製 窒素で置換した内容積5リットルの攪拌器付三つ口フラスコにジエトキシマグネシウム160g(1.4モル)を投入し、さらに脱水処理したヘプタンを500ミリリットル加えた。40℃に加熱し四塩化ケイ素28.5ミリリットル(225ミリモル)を加え、20分間攪拌し、フタル酸ジエチルを127ミリモル加えた。溶液を80℃まで昇温し、引き続き四塩化チタンを滴下ロートを用いて461ミリリットル(4.2モル)滴下した。内温を110℃とし2時間攪拌し担持操作とした。その後脱水ヘプタンを用いて十分洗浄を行った。さらに四塩化チタンを768ミリリットル(7モル)加え、内温を110℃とし2時間攪拌し2回目の担持操作とした。その後脱水ヘプタンを用いて十分洗浄を行い固体成分(B)を得た。(2)固体触媒の予備重合 窒素で置換した内容積1リットルの攪拌機付きの三つ口フラスコに上記の固体状チタン触媒成分60グラム(37.6ミリモル−Ti)を含むヘプタンスラリーを投入し、更に脱水したヘプタンを加えて、全量を500ミリリットルとした。これを40℃に制御しながら攪拌し、トリエチルアルミニウム24.8ミリモル、シクロヘキシルジメトキシシラン6.2ミリモルを加えた。40℃のまま、120分間プロピレンを所定量吸収させ、残留プロピレンを窒素で置換して、ヘプタンを用いて充分洗浄を行い、予備重合触媒成分(B)を85グラム得た(シール量:0.43グラム−PP/グラム固体状Ti触媒成分)。(3)プロピレンスラリー重合 内容積10リットルの攪拌機付ステンレス製オートクレーブを十分乾燥し、窒素置換の後、内部に脱水処理したヘプタン6リットルを加えた。このオートクレーブ温度を80℃に加温し、トリエチルアルミニウム12ミリモル、続いてシクロヘキシルメチルジメトキシシラン1.2ミリモルを加えた。次いで水素を0.02MPa導入した後、プロピレンを導入して全圧を0.78MPaとした。系内が安定した後、上記予備重合触媒成分をTi当たりで0.3ミリモルを加え、重合を開始しとした。その1時間後、メタノール50ミリリットルを系内に投入して重合終了とし降温、脱圧した。続いて、固体部を取り出し、ろ別、真空乾燥した。その結果、プロピレン重合体(A7)2.4kgを得た。この重合体の135℃テトラリン中で測定した極限粘度[η]は1.49dl/gであった。また、JIS K7210に準拠して測定したMFRは20.0g/10分、メソペンタッド分率(mmmm)は0.927、Mw/Mnは5.8であった。
〔製造例8〕
予備重合 内容積5リットルの攪拌機付きの三つ口フラスコを十分に乾燥し窒素ガスで置換した後、脱水処理したヘプタンを4リットル、ジエチルアルミニウムクロライド140グラムを加え固体触媒成分(A)(市販のSolvay型三塩化チタン触媒(東ソー・ファインケム社製))20gを加えた。内温を20℃に保持し、攪拌しながらプロピレンを連続的に導入した。80分後、攪拌を停止し結果的に固体触媒1g当たり0.8gのプロピレンが重合した予備重合触媒成分(A)を得た。(2)プロピレン重合内容積10リットルの攪拌機付きステンレス製オートクレーブを十分乾燥し窒素ガスで置換した後、脱水処理したヘプタン6リットルを加え、系内の窒素をプロピレンで置換した。その後、内温を60℃として水素を0.14MPa加えて攪拌しながらプロピレンを導入した。系内が全圧0.78MPa、60℃に安定した後、上記予備重合触媒成分を固体触媒換算で0.75グラム含んだヘプタンスラリー150ミリリットルを加えて重合開始とした。重合開始4時間プロピレンを連続的に供給した後、50ミリリットルのメタノールを添加し重合終了とし降温、脱圧した。内容物を全量フィルター付きろ過槽へ移し1−ブタノール 100ミリリットルを加え85℃で1時間撹拌した後に固液分離した。更に、85℃のヘプタン5リットル、蒸留水1リットルの混合液で固体部を2回洗浄し、真空乾燥した。その結果、プロピレン重合体(A8)3.5kgを得た。この重合体の135℃テトラリン中で測定した極限粘度[η]は1.42dl/gであった。また、JIS K7210に準拠して測定したMFRは20.7g/10分、メソペンタッド分率(mmmm)は0.940、Mw/Mnは8.4であった。
プロピレン重合体(A10)及びプロピレン重合体(A11)は製造例6における水素量を調整してそれぞれ製造した。
〔製造例9〕
内容積 500リットルの攪拌機付き重合槽1に液化プロピレンを300リットルを装入し、この液位を保ちながら、液化プロピレン130kg/h、予備重合触媒1.4g/h、トリエチルアルミニウム35mmol/h、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン5.2mmol/h、ノルマルブチルメチルジメトキシシラン0.6mmol/hを連続的に供給し、温度75℃で重合した。また水素240NL/h、エチレン2kg/h供給した。得られたスラリーは失活後、液体プロピレンによる洗浄槽に送液後、ポリプロピレンパウダーを洗浄した。その後、プロピレンを蒸発させてポリプロピレンパウダー(A12)を得た。
この組成はMFR20g/10分、エチレン含有量2.3wt%、Mw/Mnが5.6であった。
実施例等で使用した原料およびその物性値は以下のとおりである。
プロピレン単独重合体(A1)
メルトフローレート:20g/10分、メソペンタッド分率:0.950。
Mw/Mn=5.2。
プロピレン単独重合体(A2)
メルトフローレート:20g/10分、メソペンタッド分率:0.935。
Mw/Mn=5.1。
プロピレン単独重合体(A3)
メルトフローレート:20g/10分、メソペンタッド分率:0.920。
Mw/Mn=5.1。
プロピレン単独重合体(A4)
メルトフローレート:40g/10分、メソペンタッド分率:0.950。
Mw/Mn=2.0。
プロピレン単独重合体(A5)
メルトフローレート:20g/10分、メソペンタッド分率:0.910。
Mw/Mn=5.1。
プロピレン単独重合体(A6)
メルトフローレート:20g/10分、メソペンタッド分率:0.960。
Mw/Mn=5.6。
プロピレン単独重合体(A7)
メルトフローレート:20g/10分、メソペンタッド分率:0.927。
Mw/Mn=5.8。
プロピレン単独重合体(A8)
メルトフローレート:20g/10分、メソペンタッド分率:0.940。
Mw/Mn=8.4。
プロピレン単独重合体(A9)
メルトフローレート:20g/10分、メソペンタッド分率:0.930。
Mw/Mn=4.1。
プロピレン単独重合体(A10)
メルトフローレート:5g/10分、メソペンタッド分率:0.920。
Mw/Mn=5.6。
プロピレン単独重合体(A11)
メルトフローレート:65g/10分、メソペンタッド分率:0.920。
Mw/Mn=5.6。
エチレン−プロピレンランダム共重合体(A12)
メルトフローレート:20g/10分、エチレン含有量:2.3wt%、Mw/Mn=5.6。
造核剤(B)
ナトリウム-2,2-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート(アデカ社製、商品名 アデカスタブNA−11UY)。
リン系酸化防止剤(C)
トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト(チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名 イルガフォス168)。
アミン系酸化防止剤(D)
コハク酸ジメチル・1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン重縮合物(チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名 チヌビン622LD)。
塩酸吸収剤(E)
Mg4Al2(OH)12CO3・3H20で表されるハイドロタルサイト(協和化学社製、商品名 DHT−4A)。
過酸化物(F)
2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン(日本油脂社製、商品名 パーヘキサ25B)。
プロピレン単独重合体(A1)100重量部をヘンシェルミキサー中に供給し、さらに、前記造核剤(B)0、10重量部、リン系酸化防止剤(C)0.10重量部、アミン系酸化防止剤(D)0.04重量部、塩酸吸収剤(E)0.03重量部を添加し、攪拌混合した。
次いで、得られた混合物を、日本製鋼所製高速ニ軸押出機CIM50Sと単軸押出機P65EXT(65mmφ)のタンデム機を用いて、樹脂温度200℃で溶融混練し、その混練物を押出し、水槽にて冷却・切断してポリプロピレン樹脂組成物のペレットを得た。次いで、そのペレットを用いて、射出成形により200℃、金型温度40℃にて厚み2mmのシート状試験片、曲げ強度試験用の試験片(ASTM D 790、厚み3.2mm、長さ127mm、幅12.7mm)、および加熱変形温度試験用の試験片(ASTM D 648、厚み4.0mm、長さ127mm、幅12.7mm)を作製した。
これら試験片を用いて、前述の方法に従って測定した。これらの結果を表1に示す。
実施例1において、プロピレン単独重合体(A1)をプロピレン単独重合体(A2)に変更した以外は実施例1と同様に行った。物性測定結果を表1に示す。
実施例1において、プロピレン単独重合体(A1)をプロピレン単独重合体(A3)に変更した以外は実施例1と同様に行った。物性測定結果を表1に示す。
実施例1において、プロピレン単独重合体(A1)をプロピレン単独重合体(A4)に変更した以外は実施例1と同様に行った。物性測定結果を表1に示す。
〔比較例1〕
実施例1において、プロピレン単独重合体(A1)をプロピレン単独重合体(A5)に変更した以外は実施例1と同様に行った。物性測定結果を表1に示す。
〔比較例2〕
実施例1において、プロピレン単独重合体(A1)をプロピレン単独重合体(A6)に変更した以外は実施例1と同様に行った。物性測定結果を表1に示す。
〔比較例3〕
実施例1において、プロピレン単独重合体(A1)をプロピレン単独重合体(A7)に変更した以外は実施例1と同様に行った。物性測定結果を表1に示す。
〔比較例4〕
実施例1において、プロピレン単独重合体(A1)をプロピレン単独重合体(A8)に変更した以外は実施例1と同様に行った。物性測定結果を表1に示す。
〔比較例5〕
プロピレン単独重合体(A9)は、以下のようにして過酸化物による分子量減量調整処理によってメルトフローレートを調整して用いた。
MFRが2g/10分、メソペンタッド分率:0.930、Mw/Mn=5.1のプロピレン単独重合体パウダー100重量部をヘンシェルミキサー中に供給し、さらに、前記造核剤(B)0、10重量部、リン系酸化防止剤(C)0.10重量部、アミン系酸化防止剤(D)0.04重量部、塩酸吸収剤(E)0.03重量部、過酸化物(F)を0.04重量部添加し、攪拌混合した。
次いで、得られた混合物を、日本製鋼所製高速ニ軸押出機CIM50Sと単軸押出機P65EXT(65mmφ)のタンデム機を用いて、樹脂温度200℃で溶融混練し、その混練物を押出し、水槽にて冷却・切断してポリプロピレン樹脂組成物のペレット(A9)を得た。この組成は、メルトフローレート20g/10分にし、メソペンタッド分率:0.930、Mw/Mn=4.1であった。次いで、そのペレットを用いて、実施例1同様に射出成形により200℃、金型温度40℃にて厚み2mmのシート状試験片、曲げ強度試験用の試験片(ASTM D 790、厚み3.2mm、長さ127mm、幅12.7mm)、および加熱変形温度試験用の試験片(ASTM D 648、厚み4.0mm、長さ127mm、幅12.7mm)を作製した。
これら試験片を用いて、前述の方法に従って測定した。これらの結果を表1に示す。
〔比較例6〕
実施例1において、プロピレン単独重合体(A1)をプロピレン単独重合体(A10)に変更した以外は実施例1と同様に行った。物性測定結果を表1に示す。
〔比較例7〕
実施例1において、プロピレン単独重合体(A1)をプロピレン単独重合体(A11)に変更した以外は実施例1と同様に行った。物性測定結果を表1に示す。
〔比較例8〕
実施例1において、プロピレン単独重合体(A1)をエチレン−プロピレンランダム共重合体(A12)に変更した以外は実施例1と同様に行った。物性測定結果を表1に示す。
Figure 0004987339
表1に記載した物性測定結果から、本発明に係る高度に制御されたポリプロピレン樹脂により、成形品(医療用シリンジ)が、従来無し得なかった透明性と耐衝撃性と剛性のバランス、衛生性、耐熱性、成形時の気泡発生抑制とロングラン成形性、更には射出成形時のコア金型抜き取り時の傷付性全てを満足した。
今回の狭いプロピレン単独重合体の組成範囲且つ過酸化物による分子量調整をしない事によって初めてこのようなすべてのシリンジとしての必要物性を全て満足できる事を見出した事は大きい。
また、この医療用シリンジに内溶液のpHが5.0〜9.0である各種薬剤を充填し、薬剤安定性をも達成したプレフィルドシリンジ製剤を得た。
この樹脂組成物を使用した場合、他の高価な副原料を用いておらず、薬価の低い薬剤を用いたプレフィルドシリンジの市場供給性に大いに貢献し、安全な医療現場への貢献が大きい。今後の市場への浸透が大いに期待でき、医療現場での誤使用や破損、内溶液の視認性などの安全性が向上し、非常に有用である。

Claims (2)

  1. メルトフローレート(ASTM D 1238,230℃、2.16kg荷重)が10〜60g/10分、ii)メソペンタッド分率(mmmm)が0.920〜0.950、iii)分子量分布(Mw/Mn)が2.0〜5.6のプロピレン単独重合体からなり、iiii)過酸化物による分子量減量調整処理を施していないポリプロピレン樹脂を射出成形して得られる医療用シリンジ
  2. 請求項記載の医療用シリンジにpHが5.0〜9.0である薬液を充填した事を特徴とするプレフィルドシリンジ製剤。
JP2006104473A 2006-04-05 2006-04-05 医療用シリンジ用プロピレン樹脂およびこれを射出成形して得られる医療用シリンジ並びにプレフィルドシリンジ製剤 Active JP4987339B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006104473A JP4987339B2 (ja) 2006-04-05 2006-04-05 医療用シリンジ用プロピレン樹脂およびこれを射出成形して得られる医療用シリンジ並びにプレフィルドシリンジ製剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006104473A JP4987339B2 (ja) 2006-04-05 2006-04-05 医療用シリンジ用プロピレン樹脂およびこれを射出成形して得られる医療用シリンジ並びにプレフィルドシリンジ製剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007275255A JP2007275255A (ja) 2007-10-25
JP4987339B2 true JP4987339B2 (ja) 2012-07-25

Family

ID=38677405

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006104473A Active JP4987339B2 (ja) 2006-04-05 2006-04-05 医療用シリンジ用プロピレン樹脂およびこれを射出成形して得られる医療用シリンジ並びにプレフィルドシリンジ製剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4987339B2 (ja)

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2528443B2 (ja) * 1987-12-30 1996-08-28 三菱化学株式会社 低溶出性の医薬液剤・輸液・輸血用器具
US4959402A (en) * 1989-06-08 1990-09-25 Becton, Dickinson And Company High clarity radiation stable polymeric compostion and articles therefrom
JP3195434B2 (ja) * 1991-09-10 2001-08-06 第一製薬株式会社 薬液充填シリンジ製剤
WO1999007747A1 (fr) * 1997-08-12 1999-02-18 Chisso Corporation Procede de preparation de (co)polymeres d'olefines, copolymeres d'olefines, et utilisation de ceux-ci
JP2000230086A (ja) * 1999-02-09 2000-08-22 Chisso Corp ポリプロピレンシート
JP4554133B2 (ja) * 1999-10-08 2010-09-29 三井化学株式会社 メタロセン化合物、メタロセン化合物の製造方法、オレフィン重合触媒、ポリオレフィンの製造方法およびポリオレフィン
JP4087266B2 (ja) * 2003-02-25 2008-05-21 株式会社プライムポリマー ポリプロピレン樹脂組成物およびその用途
JP3642492B1 (ja) * 2003-10-31 2005-04-27 小野薬品工業株式会社 オザグレルナトリウム含有水溶液を充填してなる注射用容器
JP2005314490A (ja) * 2004-04-27 2005-11-10 Mitsui Chemicals Inc ポリプロピレン樹脂組成物およびその医療器具・プレフィルドシリンジ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007275255A (ja) 2007-10-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5967856B2 (ja) ポリプロピレン樹脂およびブロー容器
JP5514550B2 (ja) シリンジ用ポリプロピレン樹脂およびこれを原料として得られるシリンジ並びにプレフィルドシリンジ製剤
JP6390231B2 (ja) 医療用プロピレン−エチレン系樹脂組成物及びその射出成形品
JP4628870B2 (ja) プロピレン系樹脂組成物並びにその組成物からなる注射器外筒および食品容器
JP7269698B2 (ja) 医療用プロピレン系樹脂組成物及びその成形品
JP2003138074A (ja) 医療用延伸ブロー容器
JP5433196B2 (ja) 医療用ポリプロピレン系樹脂組成物及び成形品
JP6236897B2 (ja) プロピレン系樹脂組成物およびその成形品
JP2010202694A (ja) プロピレン−エチレン系樹脂組成物およびその射出成形体
JP6409561B2 (ja) 医療用プロピレン系樹脂組成物およびその成形品
EP4130139A1 (en) Injection-molded article for medical use
JP5197987B2 (ja) 人工透析用部材
JP6565435B2 (ja) 放射線滅菌対応医療キット製剤用プロピレン系樹脂組成物及びその医療キット製剤
EP3327083B1 (en) Polypropylene resin composition and molded body for medical use, which uses same
JP2012152933A (ja) プロピレン系樹脂射出成形品
JP2015155515A (ja) プロピレン系樹脂組成物およびその成形品
JP4987339B2 (ja) 医療用シリンジ用プロピレン樹脂およびこれを射出成形して得られる医療用シリンジ並びにプレフィルドシリンジ製剤
JP4236995B2 (ja) ポリプロピレン樹脂組成物およびその用途
JP2009082698A (ja) 人工透析用部材
JP4087266B2 (ja) ポリプロピレン樹脂組成物およびその用途
JP2014054373A (ja) 医療用キット製剤用プロピレン系樹脂組成物及び医療用キット製剤
WO2002032973A1 (en) Flexible polypropylene resin
JP6115286B2 (ja) 医療向け部材用プロピレン系樹脂組成物および医療用部材
JP6409563B2 (ja) 医療用プロピレン系樹脂組成物及びその射出成形品
JP2003137244A (ja) 医療用ブロー容器

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20080508

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090311

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20090821

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110127

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110614

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110808

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120417

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120425

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4987339

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150511

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250