JP4985768B2 - 感光性樹脂組成物、感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及びプリント配線板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、感光性樹脂組成物、感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及びプリント配線板の製造方法に関する。
従来、プリント配線板製造における永久マスクレジストは、熱又は紫外線硬化型のレジストインキをスクリーン印刷する方法で作製されてきた。近年、電子デバイスの高集積化に伴い、プリント配線板において配線パターンや絶縁パターンの高精細化が必要とされるようになってきた。しかし、従来のスクリーン印刷によるレジスト形成法では、印刷時に滲み、ダレ等が発生するため、高精細なレジスト像を形成することが困難であった。そこで、高精細なレジスト像を形成するために、フォトリソグラフィーによるレジスト像形成法が開発されるに至った。具体的には、ドライフィルム型の感光性レジストを基材上に熱圧着するか、あるいは液状の感光性レジストを基材上にカーテン塗布又はスプレー塗布し、紫外線などの活性光線をネガマスクを介して照射した後、現像することによりレジスト像の形成を行うものである。ドライフィルム型の感光性レジストの場合、基材への熱圧着時に空気を巻き込み気泡を生じやすく、そのため密着性の低下やレジスト像の乱れを生じ、レジスト性能の低下が懸念される。
一方、液状の感光性レジストには、溶剤現像型とアルカリ現像型があるが、作業環境保全、地球環境保全の点からアルカリ現像型が主流になっている。こうしたアルカリ現像型の感光性レジスト(感光性樹脂組成物)としては、下記特許文献1及び2に示されるようなものが知られている。また、塗膜の耐熱性、耐薬品性、電気特性を向上させる目的で、塗膜に対して更に紫外線露光や加熱を行い、架橋反応を促進させることも行われている。
ところで、レジストパターンの形成方法としては、マスクパターンを用いることなくレジストパターンを直接描画する、いわゆる直接描画露光法が注目されている。この直接描画露光法によれば、高い生産性且つ高い解像度でのレジストパターンの形成が可能と考えられている。そして、近年、波長405nmのレーザ光を発振し、長寿命で高出力な窒化ガリウム系青色レーザ光源が光源として実用的に利用可能になってきており、直接描画露光法においてこのような短波長のレーザ光を利用することで、従来は製造が困難であった高密度のレジストパターンの形成が可能になることが期待される。このような直接描画露光法としては、Texas Instruments社が提唱したDLP(Digital Light Processing)システムを応用した方法がBall Semiconductor社から提案されており、既に、この方法を適用した露光装置の実用化が始まっている。
更に、上記のような青色レーザ等のレーザを活性光線として用いた直接描画露光法によるレジストパターン形成を意図した感光性樹脂組成物が、これまでにもいくつか提案されている(例えば、特許文献3、4参照)。
特開昭61−243869号公報 特開平1−141904号公報 特開2002−296764号公報 特開2004−45596号公報
しかしながら、上記特許文献3及び4に記載された感光性樹脂組成物は、波長405nm付近の光に対する感度は良好であるものの、経時的にゲル化しやすく、経日安定性が不十分であるという問題を有している。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、波長370nm〜450nmの範囲内の露光光を用いたレジストパターンの形成を十分な感度及び解像度で行うことが可能であるとともに、長期間放置してもゲル化せず、経日安定性に優れた感光性樹脂組成物、それを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及びプリント配線板の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂と、(B)オキシムエステル結合を有する化合物を含む光重合開始剤と、(C)チオール基を有する化合物と、(D)極大吸収波長が370nm〜450nmの範囲内にある増感剤と、を含有し、上記(D)増感剤が、下記式(13)で表される化合物、及び/又は、下記式(18)で表される化合物を含む、感光性樹脂組成物を提供する。
Figure 0004985768
Figure 0004985768
かかる感光性樹脂組成物によれば、波長370nm〜450nmの範囲内の露光光を用いたレジストパターンの形成、特に、波長405nmのレーザ光を用いた直接描画露光法によるレジストパターンの形成を十分な感度及び解像度で行うことが可能であるとともに、(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂、及び、(B)オキシムエステル結合を有する化合物を含む光重合開始剤とともに、(C)チオール基を有する化合物を含有することにより、当該(C)チオール基を有する化合物の働きにより、感光性樹脂組成物が経時的にゲル化することを十分に抑制することができ、良好な経日安定性を得ることができる。
更に、上記構成を有する本発明の感光性樹脂組成物によれば、耐熱性、耐湿熱性、密着性、機械特性、電気特性に優れた高性能な硬化膜を形成することができ、プリント配線板、高密度多層板及び半導体パッケージ等の製造に好適に用いることができる。
また、本発明の感光性樹脂組成物は、(D)極大吸収波長が370nm〜450nmの範囲内にある増感剤を含有する。
感光性樹脂組成物のゲル化は、特に増感剤を含有させることにより生じやすくなる。これに対し、本発明の感光性樹脂組成物は、上記(C)チオール基を有する化合物を含有することにより、(D)増感剤によるゲル化の発生を十分に抑制することが可能となる。その一方で、特定の波長範囲に吸収極大波長を有する(D)増感剤を含有させることで、波長405nm付近のレーザ光に対する光感度を向上させることができ、波長370nm〜450nmの範囲内の露光光を用いたレジストパターンの形成、特に、波長405nmのレーザ光を用いた直接描画露光法によるレジストパターンの形成をより優れた感度及び解像度で行うことが可能となる。
また、本発明の感光性樹脂組成物において、上記オキシムエステル結合を有する化合物は、下記一般式(1)又は(2)で表される化合物の少なくとも1種を含むものであることが好ましい。
Figure 0004985768
[式(1)中、Rは炭素数2〜12の置換若しくは未置換のアルカノイル基、二重結合がカルボニル基と共役していない炭素数4〜6の置換若しくは未置換のアルケノイル基、置換若しくは未置換のベンゾイル基、炭素数2〜6の置換若しくは未置換のアルコキシカルボニル基、又は、置換若しくは未置換のフェノキシカルボニル基を示し、R、R及びRはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜12の置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のシクロペンチル基、置換若しくは未置換のシクロヘキシル基、置換若しくは未置換のフェニル基、置換若しくは未置換のベンジル基、置換若しくは未置換のベンゾイル基、炭素数2〜12の置換若しくは未置換のアルカノイル基、炭素数2〜12の置換若しくは未置換のアルコキシカルボニル基、又は、置換若しくは未置換のフェノキシカルボニル基を示し、m1は0〜4の整数を示し、m2及びm3は各々独立に0〜5の整数を示す。なお、m1が2以上である場合、複数存在するRはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、m2が2以上である場合、複数存在するRはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、m3が2以上である場合、複数存在するRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。]
Figure 0004985768
[式(2)中、R は置換若しくは未置換のフェニル基、炭素数1〜20の置換若しくは未置換のアルキル基、炭素数5〜8の置換若しくは未置換のシクロアルキル基、炭素数2〜20の置換若しくは未置換のアルカノイル基、又は、置換若しくは未置換のベンゾイル基を示し、Rは炭素数2〜12の置換若しくは未置換のアルカノイル基、二重結合がカルボニル基と共役していない炭素数4〜6の置換若しくは未置換のアルケノイル基、置換若しくは未置換のベンゾイル基、炭素数2〜6の置換若しくは未置換のアルコキシカルボニル基、又は、置換若しくは未置換のフェノキシカルボニル基を示し、Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12の置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のシクロペンチル基、置換若しくは未置換のシクロヘキシル基、置換若しくは未置換のフェニル基、置換若しくは未置換のベンジル基、置換若しくは未置換のベンゾイル基、炭素数2〜12の置換若しくは未置換のアルカノイル基、炭素数2〜12の置換若しくは未置換のアルコキシカルボニル基、又は、置換若しくは未置換のフェノキシカルボニル基を示し、R、R及びR10はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜12の置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のシクロペンチル基、置換若しくは未置換のシクロヘキシル基、置換若しくは未置換のフェニル基、置換若しくは未置換のベンジル基、置換若しくは未置換のベンゾイル基、炭素数2〜12の置換若しくは未置換のアルカノイル基、炭素数2〜12の置換若しくは未置換のアルコキシカルボニル基、又は、置換若しくは未置換のフェノキシカルボニル基を示し、m4及びm5はそれぞれ独立に0〜3の整数を示し、m6は0〜5の整数を示す。なお、m4が2以上である場合、複数存在するRはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、m5が2以上である場合、複数存在するRはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、m6が2以上である場合、複数存在するR10はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。]
(B)光重合開始剤として上記一般式(1)又は(2)で表されるオキシムエステル結合を有する化合物を含有することにより、感光性樹脂組成物は、波長370nm〜450nmの範囲内の露光光を用いたレジストパターンの形成、特に、波長405nmのレーザ光を用いた直接描画露光法によるレジストパターンの形成をより優れた感度及び解像度で行うことが可能となる。
また、本発明の感光性樹脂組成物において、上記(C)チオール基を有する化合物は、下記一般式(3)で表される化合物を含むものであることが好ましい。
Figure 0004985768
[式中、Arは、置換基を有していてもよい2価又は3価のアリール基を示し、Xは酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を示す。]
(C)チオール基を有する化合物として上記一般式(3)で表される化合物を用いることにより、感光性樹脂組成物が経時的にゲル化することをより十分に抑制することができ、より良好な経日安定性を得ることができる。
また、本発明の感光性樹脂組成物において、上記(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂は、下記一般式(4)で表されるノボラック型エポキシ樹脂、下記一般式(5)で表されるビスフェノール型エポキシ樹脂、及び、下記一般式(6)で表されるサリチルアルデヒド型エポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種のエポキシ樹脂(a)と、ビニル基含有モノカルボン酸(b)と、を反応させて得られる樹脂であることが好ましい。
Figure 0004985768
[式中、R11は水素原子又はメチル基を示し、Yは水素原子又はグリシジル基(ただし、水素原子/グリシジル基(モル比)は、0/100〜30/70)を示し、n1は1以上の整数を示す。なお、複数存在するR11及びYはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。]
Figure 0004985768
[式中、R12は水素原子又はメチル基を示し、Yは水素原子又はグリシジル基(ただし、水素原子/グリシジル基(モル比)は、0/100〜30/70)を示し、n2は1以上の整数を示す。なお、複数存在するR12及びYはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。]
Figure 0004985768
[式中、Yは水素原子又はグリシジル基(ただし、水素原子/グリシジル基(モル比)は、0/100〜30/70)を示し、n3は1以上の整数を示す。なお、複数存在するR11及びYはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。]
かかる(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂を用いることにより、感光性樹脂組成物は、波長370nm〜450nmの範囲内の露光光を用いたレジストパターンの形成、特に、波長405nmのレーザ光を用いた直接描画露光法によるレジストパターンの形成をより優れた感度及び解像度で行うことが可能となる。
本発明はまた、支持体と、該支持体上に形成された上記本発明の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層と、を備える感光性エレメントを提供する。
かかる感光性エレメントによれば、上述した本発明の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層を備えることにより、波長370nm〜450nmの範囲内の露光光を用いたレジストパターンの形成、特に、波長405nmのレーザ光を用いた直接描画露光法によるレジストパターンの形成を十分な感度及び解像度で行うことが可能である。
本発明はまた、上記本発明の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層を基板上に積層する積層工程と、上記感光性樹脂組成物層に活性光線を画像状に照射して露光部を光硬化せしめる露光工程と、上記感光性樹脂組成物層の未露光部を現像により除去する現像工程と、を含むレジストパターンの形成方法を提供する。
ここで、上記露光工程は、波長405nmのレーザ光により上記感光性樹脂組成物層を直接描画露光して露光部を光硬化せしめる工程であることが好ましい。
かかるレジストパターンの形成方法によれば、上述した本発明の感光性樹脂組成物を用いているため、十分な解像度のレジストパターンを効率的に形成することができる。また、かかる方法により形成されるレジストパターンは、耐熱性、耐湿熱性、密着性、機械特性、電気特性に優れた高性能な硬化膜となる。
本発明は更に、上記本発明のレジストパターンの形成方法によりレジストパターンの形成された回路形成用基板を、エッチング又はめっきする、プリント配線板の製造方法を提供する。
かかるプリント配線板の製造方法によれば、上記本発明のレジストパターンの形成方法によりレジストパターンを形成しているため、配線の高密度化を実現することが可能となる。
本発明によれば、波長370nm〜450nmの範囲内の露光光を用いたレジストパターンの形成、特に、波長405nmのレーザ光を用いた直接描画露光法によるレジストパターンの形成を十分な感度及び解像度で行うことが可能であるとともに、長期間放置してもゲル化せず、経日安定性に優れた感光性樹脂組成物、それを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及びプリント配線板の製造方法を提供することができる。また、本発明の感光性樹脂組成物及び感光性エレメントによれば、波長405nmの青色レーザ光を光源とした直接描画露光法において、従来は製造が困難であった高密度のレジストパターンの形成が可能であり、且つ、耐熱性、耐湿熱性(せん断接着性)、密着性、機械特性、電気特性に優れた高性能な硬化膜を得ることができる。そのため、本発明の感光性樹脂組成物及び感光性エレメントは、プリント配線板、高密度多層板及び半導体パッケージ等の製造に好適に用いられる。
本発明の感光性エレメントの好適な一実施形態を示す模式断面図である。
符号の説明
1…感光性エレメント、10…支持体、14…感光性樹脂組成物層。
以下、場合により図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、本発明における(メタ)アクリルとはアクリル及びそれに対応するメタクリルを意味し、(メタ)アクリレートとはアクリレート及びそれに対応するメタクリレートを意味する。
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂(以下、場合により「(A)成分」という)と、(B)オキシムエステル結合を有する化合物を含む光重合開始剤(以下、場合により「(B)成分」という)と、(C)チオール基を有する化合物(以下、場合により「(C)成分」という)と、を含有するものであり、好ましくは(D)極大吸収波長が370nm〜450nmの範囲内にある増感剤(以下、場合により「(D)成分」という)を更に含有するものである。以下、各成分について詳細に説明する。
本発明で用いられる(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂としては、エポキシ樹脂をビニル基含有モノカルボン酸で変性した樹脂が用いられるが、好ましくは下記一般式(4)で示されるノボラック型エポキシ樹脂、下記一般式(5)で示されるビスフェノールA型エポキシ樹脂若しくはビスフェノールF型エポキシ樹脂、及び、下記一般式(6)で示されるサリチルアルデヒド型エポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種類のエポキシ樹脂(a)と、ビニル基含有モノカルボン酸(b)と、を反応させて得られる樹脂が用いられる。
Figure 0004985768
[式中、R11は水素原子又はメチル基を示し、Yは水素原子又はグリシジル基(ただし、水素原子/グリシジル基(モル比)は、0/100〜30/70)を示し、n1は1以上の整数を示す。なお、複数存在するR11及びYはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。]
Figure 0004985768
[式中、R12は水素原子又はメチル基を示し、Yは水素原子又はグリシジル基(ただし、水素原子/グリシジル基(モル比)は、0/100〜30/70)を示し、n2は1以上の整数を示す。なお、複数存在するR12及びYはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。]
Figure 0004985768
[式中、Yは水素原子又はグリシジル基(ただし、水素原子/グリシジル基(モル比)は、0/100〜30/70)を示し、n3は1以上の整数を示す。なお、複数存在するR11及びYはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。]
本発明に用いられる(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂は、上記エポキシ樹脂(a)とビニル基含有モノカルボン酸(b)との反応生成物(以下、「反応性生物(A’)」という)のほかに、該反応生成物(A’)に飽和若しくは不飽和基含有多塩基酸無水物(c)を付加した付加反応生成物も用いられる。ここで、付加反応生成物の合成時には、最初の反応で、エポキシ樹脂(a)のエポキシ基とビニル基含有モノカルボン酸(b)のカルボキシル基との付加反応により水酸基が形成され、次の反応で、生成した水酸基(エポキシ樹脂(a)中に元来ある水酸基も含む)と飽和若しくは不飽和基含有多塩基酸無水物(c)の酸無水物基とが半エステル反応しているものと推察される。
上記一般式(4)で示されるノボラック型エポキシ樹脂としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。これらのノボラック型エポキシ樹脂は、それぞれ公知の方法でフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂にエピクロルヒドリンを反応させることで得られる。
また、上記一般式(5)で示される化合物において、Yがグリシジル基であるビスフェノールA型エポキシ樹脂又はビスフェノールF型エポキシ樹脂は、例えば、下記一般式(7)で示されるビスフェノールA型エポキシ樹脂又はビスフェノールF型エポキシ樹脂の水酸基と、エピクロルヒドリンとを反応させることにより得ることができる。
Figure 0004985768
[式中、R12は水素原子又はメチル基を示し、n2は1以上の整数を示す。なお、複数存在するR12はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。]
水酸基とエピクロルヒドリンとの反応を促進するためには、反応温度50〜120℃でアルカリ金属水酸化物存在下、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の極性有機溶剤中で反応を行うことが好ましい。反応温度が50℃未満では反応が遅くなり、反応温度が120℃を超えると副反応が多く生じてしまい好ましくない。
上記一般式(6)で示されるサリチルアルデヒド型エポキシ樹脂としては、具体的にはFAE−2500、EPPN−501H、EPPN−502H(以上、日本化薬(株)製、商品名)等が挙げられる。
また、ビニル基含有モノカルボン酸(b)としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸の二量体、メタクリル酸、β−フルフリルアクリル酸、β−スチリルアクリル酸、桂皮酸、クロトン酸、α−シアノ桂皮酸等が挙げられ、また、水酸基含有アクリレートと飽和あるいは不飽和二塩基酸無水物との反応生成物である半エステル化合物、ビニル基含有モノグリシジルエーテル若しくはビニル基含有モノグリシジルエステルと飽和あるいは不飽和二塩基酸無水物との反応生成物である半エステル化合物が挙げられる。これら半エステル化合物は、水酸基含有アクリレート、ビニル基含有モノグリシジルエーテル若しくはビニル基含有モノグリシジルエステルと飽和あるいは不飽和二塩基酸無水物とを等モル比で反応させることで得られる。これらビニル基含有モノカルボン酸(b)は、1種を単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
ビニル基含有モノカルボン酸(b)の一例である上記半エステル化合物の合成に用いられる水酸基含有アクリレート、ビニル基含有モノグリシジルエーテル、ビニル基含有モノグリシジルエステルとしては、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ペンタエリスルトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールペンタメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等が挙げられる。
上記半エステル化合物の合成に用いられる飽和あるいは不飽和二塩基酸無水物としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、エチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水イタコン酸等が挙げられる。
エポキシ樹脂(a)とビニル基含有モノカルボン酸(b)との反応において、エポキシ樹脂(a)のエポキシ基1当量に対して、ビニル基含有モノカルボン酸(b)が0.6〜1.05当量となる比率で反応させることが好ましく、0.8〜1.05当量となる比率で反応させることがより好ましく、0.9〜1.0当量となる比率で反応させることが特に好ましい。
エポキシ樹脂(a)とビニル基含有モノカルボン酸(b)とは有機溶剤に溶かして反応させることが好ましい。有機溶剤としては、例えば、エチルメチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート等のエステル類、オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素類、石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤等が挙げられる。
更に、反応を促進させるために触媒を用いることが好ましい。用いられる触媒としては、例えば、トリエチルアミン、ベンジルメチルアミン、メチルトリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルメチルアンモニウムアイオダイド、トリフェニルホスフィン等が挙げられる。触媒の使用量は、エポキシ樹脂(a)とビニル基含有モノカルボン酸(b)との合計100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部である。
また、反応中の重合を防止する目的で、重合防止剤を使用することが好ましい。重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、ピロガロール等が挙げられる。重合禁止剤の使用量は、エポキシ樹脂(a)とビニル基含有モノカルボン酸(b)との合計100質量部に対して、好ましくは0.01〜1質量部である。また、反応温度は、好ましくは60〜150℃であり、更に好ましくは80〜120℃である。
また、必要に応じて、ビニル基含有モノカルボン酸(b)と、p−ヒドロキシフェネチルアルコール等のフェノール系化合物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の多塩基酸無水物とを併用することができる。
また、本発明において、(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂としては、上述の反応生成物(A’)に飽和若しくは不飽和基含有多塩基酸無水物(c)を反応させて得られる樹脂も好ましく用いられる。
飽和若しくは不飽和基含有多塩基酸無水物(c)としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、エチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水イタコン酸等が挙げられる。
反応生成物(A’)と飽和若しくは不飽和基含有多塩基酸無水物(c)との反応において、反応生成物(A’)中の水酸基1当量に対して、飽和若しくは不飽和基含有多塩基酸無水物(c)を0.1〜1.0当量反応させることで、酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂(A)の酸価を調整することができる。
(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂の酸価は30〜150mgKOH/gであることが好ましく、50〜120mgKOH/gであることが更に好ましい。酸価が30mgKOH/g未満では感光性樹脂組成物の希アルカリ溶液への溶解性が低下する傾向があり、150mgKOH/gを超えると得られる硬化膜の電気特性が低下する傾向がある。
反応生成物(A’)と飽和若しくは不飽和基含有多塩基酸無水物(c)との反応温度は、60〜120℃とすることが好ましい。
また、必要に応じて、エポキシ樹脂(a)として、例えば、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂を一部併用することもできる。更に、(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂として、スチレン−無水マレイン酸共重合体のヒドロキシエチルアクリレート変性物あるいはスチレン−無水マレイン酸共重合体のヒドロキシエチルアクリレート変性物等のスチレン−マレイン酸系樹脂を一部併用することもできる。
感光性樹脂組成物において、(A)成分の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として、10〜60質量%であることが好ましく、20〜40質量%であることがより好ましく、20〜30質量%であることが特に好ましい。この含有量が10質量%未満であると耐熱性が劣る傾向があり、60質量%を超えると硬化性が劣る傾向がある。
本発明に用いられる(B)光重合開始剤に含まれるオキシムエステル結合を有する化合物としては、下記一般式(1)又は(2)で表される化合物が好ましく用いられる。
Figure 0004985768
上記一般式(1)中、Rは炭素数2〜12の置換若しくは未置換のアルカノイル基、二重結合がカルボニル基と共役していない炭素数4〜6の置換若しくは未置換のアルケノイル基、置換若しくは未置換のベンゾイル基、炭素数2〜6の置換若しくは未置換のアルコキシカルボニル基、又は、置換若しくは未置換のフェノキシカルボニル基を示す。ここで、アルカノイル基が1つ以上の置換基を有する場合、当該置換基はハロゲン原子若しくはシアノ基であることが好ましい。ベンゾイル基が1つ以上の置換基を有する場合、当該置換基は炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子若しくはシアノ基であることが好ましい。フェノキシカルボニル基が1つ以上の置換基を有する場合、当該置換基は炭素数1〜6のアルキル基若しくはハロゲン原子であることが好ましい。
また、上記一般式(1)中、R、R及びRはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜12の置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のシクロペンチル基、置換若しくは未置換のシクロヘキシル基、置換若しくは未置換のフェニル基、置換若しくは未置換のベンジル基、置換若しくは未置換のベンゾイル基、炭素数2〜12の置換若しくは未置換のアルカノイル基、炭素数2〜12の置換若しくは未置換のアルコキシカルボニル基、又は、置換若しくは未置換のフェノキシカルボニル基を示す。ここで、アルコキシカルボニル基が1つ以上の置換基を有する場合、当該置換基は水酸基又はアルコキシ基であることが好ましい。
また、上記一般式(1)中、m1は0〜4の整数を示し、m2及びm3は各々独立に0〜5の整数を示す。なお、m1が2以上である場合、一般式(1)中に複数存在するRはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、m2が2以上である場合、一般式(1)中に複数存在するRはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、m3が2以上である場合、一般式(1)中に複数存在するRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
Figure 0004985768
上記一般式(2)中、Rは置換若しくは未置換のフェニル基、炭素数1〜6の置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のフェニル基、炭素数1〜20の置換若しくは未置換のアルキル基、炭素数5〜8の置換若しくは未置換のシクロアルキル基、炭素数2〜20の置換若しくは未置換のアルカノイル基、又は、置換若しくは未置換のベンゾイル基を示す。ここで、アルキル基が1つ以上の置換基を有する場合、当該置換基は水酸基又はアルコキシ基であることが好ましい。ベンゾイル基が1つ以上の置換基を有する場合、当該置換基は炭素数が1〜6のアルキル基又はフェニル基であることが好ましい。
また、上記一般式(2)中、Rは炭素数2〜12の置換若しくは未置換のアルカノイル基、二重結合がカルボニル基と共役していない炭素数4〜6の置換若しくは未置換のアルケノイル基、置換若しくは未置換のベンゾイル基、炭素数2〜6の置換若しくは未置換のアルコキシカルボニル基、又は、置換若しくは未置換のフェノキシカルボニル基を示す。ここで、アルカノイル基が1つ以上の置換基を有する場合、当該置換基はハロゲン原子又はシアノ基であることが好ましい。ベンゾイル基が1つ以上の置換基を有する場合、当該置換基は炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子若しくはシアノ基であることが好ましい。フェノキシカルボニル基が1つ以上の置換基を有する場合、当該置換基は炭素数1〜6のアルキル基若しくはハロゲン原子であることが好ましい。
また、上記一般式(2)中、Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12の置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のシクロペンチル基、置換若しくは未置換のシクロヘキシル基、置換若しくは未置換のフェニル基、置換若しくは未置換のベンジル基、置換若しくは未置換のベンゾイル基、炭素数2〜12の置換若しくは未置換のアルカノイル基、炭素数2〜12の置換若しくは未置換のアルコキシカルボニル基、又は、置換若しくは未置換のフェノキシカルボニル基を示し、R、R及びR10はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜12の置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のシクロペンチル基、置換若しくは未置換のシクロヘキシル基、置換若しくは未置換のフェニル基、置換若しくは未置換のベンジル基、置換若しくは未置換のベンゾイル基、炭素数2〜12の置換若しくは未置換のアルカノイル基、炭素数2〜12の置換若しくは未置換のアルコキシカルボニル基、又は、置換若しくは未置換のフェノキシカルボニル基を示す。ここで、アルコキシカルボニル基が1つ以上の置換基を有する場合、当該置換基は水酸基又はアルコキシ基であることが好ましい。
また、上記一般式(2)中、m4及びm5はそれぞれ独立に0〜3の整数を示し、m6は0〜5の整数を示す。なお、m4が2以上である場合、複数存在するRはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、m5が2以上である場合、複数存在するRはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、m6が2以上である場合、複数存在するR10はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
また、本発明に用いられる(B)光重合開始剤に含まれるオキシムエステル結合を有する化合物としてより具体的には、下記式(8)で示される1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(O−ベンゾイルオキシム)(商品名:OXE−01、チバスペシャルティーケミカルズ社製)、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン1−(O−アセチルオキシム)(商品名:OXE−02、チバスペシャルティーケミカルズ社製)、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−[O−(エトキシカルボニル)オキシム](商品名:Quantacure−PDO、日本化薬社製)等が挙げられる。
Figure 0004985768
また、本発明の感光性樹脂組成物においては、(B)成分として、上記オキシムエステル結合を有する化合物以外の光重合開始剤を併用することができる。
オキシムエステル結合を有する化合物以外の光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン類、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1,2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパノン−1、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン等の芳香族ケトン類、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−アミノアントラキノン等のアントラキノン類、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類、ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン類、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体又はその誘導体、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
感光性樹脂組成物において、(B)成分の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として、0.5〜20質量%であることが好ましく、2〜10質量%であることがより好ましく、2〜5質量%であることが特に好ましい。この含有量が0.5質量%未満では、露光部が現像中に溶出しやすくなる傾向があり、20質量%を超えると得られる硬化膜の耐熱性が低下する傾向がある。
本発明の感光性樹脂組成物に用いる(C)チオール基を有する化合物は、水素供与体として有効に機能する化合物であることが好ましく、そのような化合物としては、下記一般式(3)で表される化合物が好ましい。
Figure 0004985768
[式中、Arは、置換基を有していてもよい2価又は3価のアリール基を示し、Xは酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を示す。]
(C)チオール基を有する化合物の具体例としては、例えば、下記式(9)で示されるメルカプトベンゾオキサゾール(MBO)、下記式(10)で示されるメルカプトベンゾチアゾール(MBT)、下記式(11)で示されるメルカプトベンゾイミダゾール(MBI)、エタンチオール、ベンゼンチオール、メルカプトフェノール、メルカプトトルエン、2−メルカプトエチルアミン、メルカプトエチルアルコール、メルカプトキシレン、チオキシレノール、2−メルカプトキノリン、メルカプト酢酸、α−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、メルカプトコハク酸、チオサリチル酸、メルカプトシクロヘキサン、α−メルカプトジフェニルメタン、C−メルカプトテトラゾール、メルカプトナフタリン、メルカプトナフトール、4−メルカプトビフェニル、メルカプトヒポキサンチン、メルカプトピリジン、2−メルカプトピリミジン、メルカプトプリン、チオクマゾン、チオクモチアゾン、ブタン−2,3−ジチオール、チオシアヌル酸、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−ジブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、2−アニリノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン等が挙げられる。
Figure 0004985768
Figure 0004985768
Figure 0004985768
これらの(C)チオール基を有する化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、分子内にメルカプト基を有する化合物は、水素供与体として有効に機能し、感光性樹脂組成物の感度及び経日安定性をより向上できる観点から好ましく、具体的には、メルカプトベンゾオキサゾール(MBO)、メルカプトベンゾチアゾール(MBT)及びメルカプトベンゾイミダゾール(MBI)が好ましい。
感光性樹脂組成物において、(C)成分の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として、0.1〜5質量%であることが好ましく、0.3〜3質量%であることがより好ましく、0.5〜1.5質量%であることが特に好ましい。この含有量が0.1質量%未満であると感光性樹脂組成物の溶液がゲル化しやすくなる傾向があり、5質量%を超えると感度が低下する傾向がある。
本発明の感光性樹脂組成物は、光感度をより向上できる観点から、(D)増感剤を含有することが好ましい。
(D)成分である増感剤としては、例えば、ピラゾリン類、ジアルコキシアントラセン等のアントラセン類、クマリン類、キサントン類、チオキサントン類、4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン類、オキサゾール類、ベンゾオキサゾール類、チアゾール類、トリアゾール類、スチルベン類、トリアジン類、チオフェン類などが挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
本発明の感光性樹脂組成物は、(D)増感剤として、ピラゾリン、アントラセン、クマリン及びキサントンからなる群より選択される1種以上の化合物及び/又はそれらの誘導体を含有することが好ましい。また、ピラゾリン、アントラセン、クマリン及びキサントン、並びに、それらの誘導体が、370nm〜450nmの波長範囲内に吸収極大波長を有する化合物であることがより好ましい。また、ピラゾリン、アントラセン、クマリン及びキサントン、並びに、それらの誘導体が、370nm〜450nmの波長範囲内に最大吸収波長を有する化合物であることがさらに好ましい。
上記(D)成分である増感剤の中で、より感度を向上できる観点からは、ピラゾリン類が好ましく、下記一般式(12)で表されるピラゾリン誘導体が特に好ましい。
Figure 0004985768
[式(12)中、Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜12のアルキル基、又は、炭素数1〜10のアルコキシ基を示し、a、b及びcはそれぞれ、a、b及びcの総和が1〜6となるように選ばれる0〜2の整数を示す。なお、a、b及びcの総和が2〜6のとき、同一分子中の複数のRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。]
また、有機溶媒への溶解性の観点から、上記一般式(12)中の上記Rは、それぞれ独立に炭素数3〜12のアルキル基、又は、炭素数1〜4のアルコキシ基であることがより好ましい。
感光性樹脂組成物において、(D)成分の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として、0.01〜5質量%であることが好ましく、0.1〜2質量%であることがより好ましく、0.2〜1質量%であることが特に好ましい。この含有量が上記範囲内であることにより、良好な感度を得ることができる。
本発明の感光性樹脂組成物は、感度の観点から、(B)成分、(C)成分及び(D)成分を併用することが好ましい。特に、(D)成分として下記一般式(13)で表される1−フェニル−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリンを用いると、(C)成分は、水素供与体として非常に有効に作用する。
Figure 0004985768
これら(B)成分、(C)成分及び(D)成分を組み合わせて紫外線を照射した時の推定反応機構を、例示化合物を挙げて下記に示す。まず、(D)増感剤である上記式(13)に示すピラゾリン化合物(Sens)が、405nmの光を吸収し、1重項の励起状態となるが、これは速やかに系間交差し3重項の励起状態になる(反応式(I))。この後のラジカル生成までには、下記(i)及び(ii)の2種類の機構が考えられる。
(i)一つは、系間交差して3重項に励起された増感剤(Sens)からエネルギー移動によって(B)光重合開始剤であるオキシムエステル結合を有する上記式(8)で表される化合物(OXE−01)を励起し(反応式(II))、その後、3重項の励起状態となった光重合開始剤が分解することによってラジカルを発生する機構である(反応式(III))。
(ii)もう1つは、電子移動による増感機構であり、励起された(D)増感剤(Sens)から電子移動によって(B)光重合開始剤であるオキシムエステル結合を有する上記式(8)で表される化合物(OXE−01)のアニオンラジカルが生成し(反応式(IV))、これが分解することによってラジカルを発生する機構である(反応式(V))。
Figure 0004985768
Figure 0004985768
Figure 0004985768
Figure 0004985768
Figure 0004985768
本発明者らは、上記(i)又は(ii)のいずれの機構でラジカルが生成するのかを、量子化学計算より検討を行った。計算プログラムにはGaussian03を用い、B3LYP/6−31G(d)レベルで構造最適化を行い、分子軌道(HOMOとLUMO)準位、並びに、増感剤である上記式(13)に示すピラゾリン化合物(Sens)及びオキシムエステル結合を有する上記式(8)で表される化合物(OXE−01)の3重項エネルギーをTD計算により求めた。
ここで、Rehm−Wellerらは、光電子移動の起こり易さについて下記(A−1)で表される式を示し、ΔGが負であるほど反応速度が速くなり、−10(kcal/mol)よりも負の値が大きな場合には拡散律速になることを示した。
ΔG=Eox−Ered−hν (eV) (A−1)
[Eox:電子供与体の酸化電位(V vs.Ag/AgCl)、Ered:電子受容体の還元電位(V vs.Ag/AgCl)、hν:光による励起エネルギー(eV)。]
上記式(A−1)を量子化学計算の式に翻訳すれば、基準となるエネルギーレベルは参照電極に対するEox(酸化電位、V)およびEred(還元電位、V)から真空準位に対するHOMO(最高占有軌道、eV)およびLUMO(最低空軌道、eV)のエネルギーに変わるだけであり、それぞれεHOMO、εLUMOを用いて下記式(A−2)のように記述できることになる。
ΔG=−εHOMO+εLUMO−hν (eV) (A−2)
[εHOMO:電子供与体(Sens)のHOMO準位(eV)=−4.695(eV)、εLUMO:電子受容体(OXE−01)のLUMO準位(eV)=−2.090(eV)、hν:光による励起エネルギー(eV)=405nmでは3.062(eV)。]
上記式(A−2)から、ΔG=−0.456(eV)=−10.53(kcal/mol)となり、この電子移動反応は進行しやすいと考えられる。
またTD計算により求めたSens及びOXE−01の3重項エネルギーはそれぞれ、T1(Sens)=3.02(eV)、T1(OXE−01)=3.19(eV)となり、SensからOXE−01への3重項エネルギー移動は起きにくいと考えられる。
したがって、Sensを用いた場合のOXE−01のラジカル生成機構は、上記(ii)の電子移動反応によるものと考える。
ΔGが正の値では電子移動の効率が低く、ΔGが負の値では電子移動の効率は高くなり、−10kcal/mol付近で最も電子移動の効率が良くなり、−10kcal/molより大きな負の値の場合は、増感剤の拡散律速により、電子移動の効率は−10kcal/molの時と同程度又は低くなることが知られている(G.J.Kavamos著、小林 宏訳、「光電子移動」丸善(1997)p334−337)。すなわち、電子移動の効率を良好にする観点からは、ΔGが−10kcal/mol付近であることが最も好ましい。
以上のように、電子移動の効率が−10kcal/mol付近において、感光性樹脂組成物の感度はより向上できるものと推測する。
下記表1に、種々の(B)オキシムエステル結合を有する化合物を含む光重合開始剤と、上記式(13)に示すピラゾリン化合物及び下記式(14)で示すクマリン化合物の(D)増感剤とを併用した場合の量子化学計算結果を示す。
Figure 0004985768
*NF−EO:上記式(13)に示すピラゾリン化合物
*Coumarin1:下記式(14)に示すクマリン化合物
*PDO:下記式(15)に示すオキシムエステル結合を有する化合物
Figure 0004985768
Figure 0004985768
一方、上記(i)のエネルギー移動については、エネルギー移動の必要条件として、(D)増感剤の3重項エネルギーが光重合開始剤の3重項エネルギーよりも高い必要があるが、そのエネルギー移動の効率を予測することは困難である。
次に、上述した反応で生成したOXE−01由来のラジカルと(C)チオール基を有する上記式(9)で表される化合物(MBO)とが反応して連鎖移動し、活性の高いイオウラジカルになる(反応式(VI)及び(VII))という機構が考えられる。このイオウラジカルが、光重合反応を促進させる有効成分になると推測する。
Figure 0004985768
Figure 0004985768
また、本発明の感光性樹脂組成物は、耐熱衝撃性及びせん断接着性を向上できる観点から、(E)エラストマーを含有することが好ましい。
(E)エラストマーとしては、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、アクリル系エラストマー及びシリコーン系エラストマー等が挙げられる。これらの(E)エラストマーは、ハードセグメント成分とソフトセグメント成分とから成り立っており、一般に前者が耐熱性及び強度に、後者が柔軟性及び強靭性にそれぞれ寄与している。
スチレン系エラストマーとしては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックコポリマー等が挙げられる。
スチレン系エラストマーを構成する成分としては、スチレンのほかに、α−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン等のスチレン誘導体を用いることができる。具体的には、タフプレン、ソルプレンT、アサプレンT、タフテック(以上、旭化成工業(株)製)、エラストマーAR(アロン化成製)、クレイトンG、過リフレックス(以上、シェルジャパン製)、JSR−TR、TSR−SIS、ダイナロン(以上、日本合成ゴム(株)製)、デンカSTR(電気化学工業(株)製)、クインタック(日本ゼオン製)、TPE−SBシリーズ(住友化学工業(株)製)、ラバロン(三菱化学(株)製)、セプトン、ハイブラー(以上、クラレ製)、スミフレックス(住友ベークライト(株)製)、レオストマー、アクティマー(以上、理研ビニル工業製)等が挙げられる。
オレフィン系エラストマーは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−ペンテン等の炭素数2〜20のα−オレフィンの共重合体であり、例えば、エチレン−プロピレン共重合体(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)等が挙げられる。また、オレフィン系エラストマーとしては、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタンジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ブタジエン、イソプレン等の炭素数2〜20の非共役ジエンとα−オレフィンとの共重合体、及び、エポキシ化ポリブタジエンなどが挙げられる。また、オレフィン系エラストマーとしては、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体にメタクリル酸を共重合したカルボキシ変性NBR等が挙げられる。更に、オレフィン系エラストマーとしては、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム、エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴム、プロピレン−α−オレフィン共重合体ゴム、ブテン−α−オレフィン共重合体ゴム等が挙げられる。
オレフィン系エラストマーとして具体的には、ミラストマ(三井石油化学社製)、EXACT(エクソン化学社製)、ENGAGE(ダウケミカル社製)、水添スチレン−ブタジエンラバー“DYNABON HSBR”(日本合成ゴム社製)、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体“NBRシリーズ”(日本合成ゴム社製)、架橋点を有する両末端カルボキシル基変性ブタジエン−アクリロニトリル共重合体の“XERシリーズ”(日本合成ゴム社製)、ポリブタジエンを部分的にエポキシ化したエポキシ化ポリブダジエンの“BF−1000(日本曹達社製)等が挙げられる。
ウレタン系エラストマーは、低分子(短鎖)ジオール及びジイソシアネートからなるハードセグメントと、高分子(長鎖)ジオール及びジイソシアネートからなるソフトセグメントと、の構造単位からなるものである。高分子(長鎖)ジオールとしては、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンオキサイド、ポリ(1,4−ブチレンアジペート)、ポリ(エチレン−1,4−ブチレンアジペート)、ポリカプロラクトン、ポリ(1,6−ヘキシレンカーボネート)、ポリ(1,6−へキシレン−ネオペンチレンアジペート)等が挙げられる。高分子(長鎖)ジオールの数平均分子量は、500〜10000であることが好ましい。低分子(短鎖)ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ビスフェノールA等が挙げられる。短鎖ジオールの数平均分子量は、48〜500であることが好ましい。ウレタン系エラストマーの具体例としては、PANDEX T−2185、T−2983N(以上、大日本インキ化学工業社製)、シラクトランE790等が挙げられる。
ポリエステル系エラストマーとしては、ジカルボン酸又はその誘導体とジオール化合物又はその誘導体とを重縮合して得られるものが挙げられる。ジカルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びこれらの芳香核の水素原子がメチル基、エチル基、フェニル基等で置換された芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸、及びシクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸などが挙げられる。これらの化合物は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。ジオール化合物の具体例としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール等の脂肪族ジオール及び脂環式ジオール、又は、下記一般式(16)で示される二価フェノールが挙げられる。これらの化合物は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
Figure 0004985768
[式中、Y11は単結合、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数4〜8のシクロアルキレン基、−O−、−S−、又は、−SO−を示し、R21及びR22はハロゲン原子又は炭素数1〜12のアルキル基を示し、p及びqは0〜4の整数を示し、rは0又は1を示す。]
上記一般式(13)で表される二価フェノールの具体例としては、ビスフェノールA、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、レゾルシン等が挙げられる。これらの化合物は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、芳香族ポリエステル(例えば、ポリブチレンテレフタレート)部分をハードセグメント成分に、脂肪族ポリエステル(例えば、ポリテトラメチレングリコール)部分をソフトセグメント成分にしたマルチブロック共重合体を用いることができる。ハードセグメントとソフトセグメントの種類、比率、分子量の違いによりさまざまなグレードのものがある。具体例として、ハイトレル(デュポン−東レ(株)製)、ペルプレン(東洋紡績(株)製)、エスペル(日立化成工業(株)製)等が挙げられる。
ポリアミド系エラストマーは、ハード相にポリアミドを、ソフト相にポリエーテルやポリエステルを用いたポリエーテルブロックアミド型とポリエーテルエステルブロックアミド型の2種類に大別される。ポリアミドとしては、ポリアミド−6、11、12等が用いられ、ポリエーテルとしては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリテトラメチレングリコール等が用いられる。ポリアミド系エラストマーとして具体的には、UBEポリアミドエラストマ(宇部興産(株)製)、ダイアミド(ダイセルヒュルス(株)製)、PEBAX(東レ(株)製)、グリロンELY(エムスジャパン(株)製)、ノパミッド(三菱化学(株)製)、グリラックス(大日本インキ(株)製)等が挙げられる。
アクリル系エラストマーは、アクリル酸エステルを主成分とし、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート等が用いられる。また、架橋点モノマーとして、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等が用いられる。更に、アクリロニトリルやエチレンを共重合することもできる。アクリル系エラストマーとして具体的には、アクリロニトリル−ブチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−ブチルアクリレート−エチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−ブチルアクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体等が挙げられる。
シリコーン系エラストマーとしては、オルガノポリシロキサンを主成分としたもので、ポリジメチルシロキサン系、ポリメチルフェニルシロキサン系、ポリジフェニルシロキサン系に分けられる。一部をビニル基、アルコキシ基等で変性したものもある。シリコーン系エラストマーの具体例として、KEシリーズ(信越化学工業(株)製)、SEシリーズ、CYシリーズ、SHシリーズ(以上、東レダウコーニングシリコーン(株)製)等が挙げられる。
また、上記の熱可塑性エラストマー以外に、ゴム変性したエポキシ樹脂を用いることができる。ゴム変性したエポキシ樹脂は、例えば、上述のビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、サリチルアルデヒド型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂あるいはクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の一部又は全部のエポキシ基を、両末端カルボン酸変性型ブタジエン−アクリロニトリルゴム、末端アミノ変性シリコーンゴム等で変性することによって得られる。これらのエラストマーの中で、せん断接着性の点で、両末端カルボキシル基変性ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、水酸基を有するポリエステル系エラストマーであるエスペル(日立化成工業(株)製、エスペル1612、1620)が好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物において、(E)エラストマーを用いる場合、その含有量は、(A)成分100質量部に対して、2〜30質量部であることが好ましく、4〜20質量部であることがより好ましい。含有量が2〜30質量部の範囲内であると、硬化膜の高温領域での弾性率をより低減することが可能である。
本発明の感光性樹脂組成物には、更に(F)希釈剤を含有させることが好ましい。(F)希釈剤としては、例えば、有機溶剤及び/又は光重合性モノマーが使用できる。有機溶剤としては、例えば、エチルメチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート等のエステル類、オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素類、石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤等が挙げられる。
また、光重合性モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート類、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート類、ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、トリス−ヒドロキシエチルイソシアヌレート等の多価アルコール又はこれらのエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイド付加物の多価(メタ)アクリレート類、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのポリエトキシジ(メタ)アクリレート等のフェノール類のエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート類、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどのグリシジルエーテルの(メタ)アクリレート類、及びメラミン(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
これらの(F)希釈剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
(F)希釈剤である有機溶剤の含有量は、感光性樹脂組成物の粘度を調整する目的で適宜調整可能である。
また、(F)希釈剤である光重合性モノマーの含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として、5〜80質量%であることが好ましく、10〜70質量%であることがより好ましく、15〜40質量%であることが特に好ましい。この含有量が5質量%未満では、光感度が低く露光部が現像中に溶出しやすくなる傾向があり、80質量%を超えると耐熱性が低下する傾向がある。
また、耐熱性をさらに向上できる観点から、本発明の感光性樹脂組成物には、(G)硬化剤を含有させることができる。
硬化剤(G)としては、それ自体が熱や紫外線等で硬化する化合物、あるいは感光性樹脂組成物中の光硬化性樹脂成分である(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂のカルボキシル基又は水酸基と熱や紫外線等で反応して硬化する化合物が好ましい。かかる(G)硬化剤を用いることで、最終的に得られる硬化膜の耐熱性、密着性、耐薬品性等を向上させることができる。
(G)硬化剤としては、例えば、熱硬化性化合物として、エポキシ化合物、メラミン化合物、尿素化合物、オキサゾリン化合物、ブロック型イソシアネート化合物等を挙げることができる。エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、あるいはトリグリシジルイソシアヌレート等の複素環式エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂等が挙げられる。メラミン化合物としては、例えば、トリアミノトリアジン、ヘキサメトキシメラミン、ヘキサブトキシ化メラミン等が挙げられる。尿素化合物としては、ジメチロール尿素等が挙げられる。これらの(G)硬化剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
感光性樹脂組成物において、(G)硬化剤の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として2〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましく、15〜30質量%であることが特に好ましくい。この含有量が2質量%未満では、最終硬化塗膜の耐熱性が低くなる傾向があり、50質量%を超えると現像性が低下する傾向がある。
本発明の感光性樹脂組成物には、硬化膜の耐熱性、密着性、耐薬品性等の諸特性を更に向上させる目的で、エポキシ樹脂硬化剤を含有させることが好ましい。
このようなエポキシ樹脂硬化剤の具体例としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等のグアナミン類;ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、m−キシレンジアミン、ジアミノジフェニルスルフォン、ジシアンジアミド、尿素、尿素誘導体、メラミン、多塩基ヒドラジド等のポリアミン類;これらの有機酸塩及び/又はエポキシアダクト;三フッ化ホウ素のアミン錯体;エチルジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−キシリル−S−トリアジン等のトリアジン誘導体類;トリメチルアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルオクチルアミン、N−ベンジルジメチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、ヘキサ(N−メチル)メラミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノフェノール)、テトラメチルグアニジン、m−アミノフェノール等の三級アミン類;ポリビニルフェノール、ポリビニルフェノール臭素化物、フェノールノボラック、アルキルフェノールノボラック等のポリフェノール類;トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス−2−シアノエチルホスフィン等の有機ホスフィン類;トリ−n−ブチル(2,5−ジヒドロキシフェニル)ホスホニウムブロマイド、ヘキサデシルトリブチルホスニウムクロライド等のホスホニウム塩類;ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、フェニルトリブチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩類;上記の多塩基酸無水物;ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、2,4,6−トリフェニルチオピリリウムヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。
これらのエポキシ樹脂硬化剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。エポキシ樹脂硬化剤を用いる場合、その含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.1〜10質量%であることがより好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物には、更に、密着性、塗膜硬度等の諸特性を更に向上させる目的で、必要に応じて、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、シリカ、タルク、焼成カオリン、炭酸マグネシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、雲母等の公知の無機フィラーを含有させることもできる。これらは1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、印刷性及び硬化膜の硬度を向上できる観点から、シリカ及び硫酸バリウムが好ましい。また、無機フィラーを用いる場合、その含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として、2〜80質量%であることが好ましく、5〜50質量%であることがより好ましく、10〜40質量%であることが特に好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じて、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオディン・グリーン、ジアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラック等の公知の着色剤、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、ピロガロール等の重合禁止剤、ベントン、モンモリロナイト等の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、ビニル樹脂系の消泡剤、シランカップリング剤等の公知慣用の各種添加剤を用いることができる。更に、臭素化エポキシ化合物、酸変性臭素化エポキシ化合物、アンチモン化合物、及びリン系化合物のホスフェート化合物、芳香族縮合リン酸エステル、含ハロゲン縮合リン酸エステル等の難燃剤を用いることができる。
本発明の感光性樹脂組成物は、上述した各配合成分をロールミル、ビーズミル等で均一に混練、混合することにより得ることができる。
本発明の感光性樹脂組成物は、プリント配線板におけるソルダーレジスト、高密度多層板における層間絶縁膜、半導体パッケージ用ソルダーレジスト等の電子材料分野において、像形成性、耐熱性、密着性、機械特性、耐薬品性、電気特性等に優れた永久マスクレジストとして有用である。
次に、上述した本発明の感光性樹脂組成物を用いた感光性エレメントについて説明する。図1は、本発明の感光性エレメントの好適な一実施形態を示す模式断面図である。図1に示した感光性エレメント1は、支持体10と、支持体10上に設けられた感光性樹脂組成物層14と、で構成される。感光性樹脂組成物層14は、上述した本発明の感光性樹脂組成物からなる層である。また、本発明の感光性エレメント1は、感光性樹脂組成物層14上の支持体10とは反対側の面F1を保護フィルムで被覆してもよい。
感光性樹脂組成物層14は、本発明の感光性樹脂組成物を上記溶剤又は混合溶剤に溶解して固形分30〜70質量%程度の溶液とした後に、かかる溶液を支持体10上に塗布して形成することが好ましい。
感光性樹脂組成物層14の厚みは、用途により異なるが、加熱及び/又は熱風吹き付けにより溶剤を除去した乾燥後の厚みで、10〜100μmであることが好ましく、20〜60μmであることがより好ましい。
感光性エレメント1が備える支持体10としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムなどが挙げられる。
支持体10の厚みは、5〜100μmであることが好ましく、10〜30μmであることがより好ましい。
上述したような支持体10と感光性樹脂組成物層14との2層からなる感光性エレメント1又は支持体10と感光性樹脂組成物層14と保護フィルムとの3層からなる感光性エレメントは、例えば、そのまま貯蔵してもよく、又は保護フィルムを介在させた上で巻芯にロール状に巻き取って保管することができる。
次に、本発明のレジストパターンの形成方法について説明する。本発明のレジストパターンの形成方法は、上記本発明の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層を基板上に積層する積層工程と、上記感光性樹脂組成物層に活性光線を画像状に照射して露光部を光硬化せしめる露光工程と、上記感光性樹脂組成物層の未露光部を現像により除去する現像工程と、を含む方法である。
基板(銅張り積層板等)上への感光性樹脂組成物層の積層は、例えば、感光性樹脂組成物を、スクリーン印刷法、スプレー法、ロールコート法、カーテンコート法、静電塗装法等の方法で10〜200μmの膜厚で基板上に塗布し、塗膜を60〜110℃で乾燥させることで行うことができる。
また、上述した本発明の感光性エレメントを用いて、基板上への感光性樹脂組成物層の積層を行ってもよい。その場合の積層方法としては、感光性エレメントが保護フィルムを備える場合には保護フィルムを除去した後、感光性樹脂組成物層を70℃〜130℃程度に加熱しながら基板に0.1MPa〜1MPa程度(1kgf/cm〜10kgf/cm程度)の圧力で圧着する方法等が挙げられる。かかる積層工程は減圧下で行ってもよい。感光性樹脂組成物層が積層される基板の表面は、通常金属面であるが、特に制限されない。
このようにして基板上に積層された感光性樹脂組成物層に対して、ネガ又はポジマスクパターンを通して活性光線を画像状に照射して露光部を光硬化させる。この際、感光性エレメントを用いて感光性樹脂組成物層積層した場合には、感光性樹脂組成物層上に支持体が存在することになるが、この支持体が活性光線に対して透明である場合には、支持体を通して活性光線を照射することができ、支持体が活性光線に対して遮光性を示す場合には、支持体を除去した後に感光性樹脂組成物層に活性光線を照射する。
活性光線の光源としては、従来公知の光源、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線、可視光などを有効に放射するものが用いられる。
また、本発明の感光性樹脂組成物及び感光性エレメントは、レーザー直接描画露光法により像形成する用途に適している。そのため、本発明のレジストパターンの形成方法において、上記露光工程は、レーザー直接描画露光法により行うことが好ましい。
レーザー直接描画露光法により露光を行う場合、上記露光工程は、波長405nmのレーザ光により感光性樹脂組成物層を直接描画露光して露光部を光硬化せしめる工程であることが好ましい。なお、直接描画露光法により露光を行う場合のレーザ光としては、波長355nmのレーザ光も使用可能である。
また、露光工程において、露光量は、10〜1000mJ/cmとすることが好ましい。
露光部の形成後、露光部以外の感光性樹脂組成物層(未露光部)を現像により除去することで、レジストパターンが形成される。かかる未露光部の除去方法としては、感光性樹脂組成物層上に支持体が存在する場合にはオートピーラー等で支持体を除去し、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤等の現像液によるウェット現像、あるいはドライ現像等で未露光部を除去して現像する方法等が挙げられる。ウェット現像に用いるアルカリ性水溶液としては、例えば、0.1質量%〜5質量%炭酸ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%炭酸カリウムの希薄溶液、0.1質量%〜5質量%水酸化ナトリウムの希薄溶液等が挙げられる。アルカリ性水溶液のpHは9〜11の範囲とすると好ましく、その温度は、感光性樹脂組成物層の現像性に合わせて調整される。また、アルカリ性水溶液中には、界面活性剤、消泡剤、有機溶剤等を混入させてもよい。上記現像の方式としては、例えば、ディップ方式、スプレー方式、ブラッシング、スラッピング等が挙げられる。
次に、現像後の処理として露光部を後露光(紫外線露光)及び/又は後加熱によって十分に硬化させて硬化膜を得る。後露光は、1〜5J/cmの露光量で行うことが好ましい。後加熱は、100〜200℃で30分〜12時間行うことが好ましい。
本発明のプリント配線板の製造方法においては、上記本発明のレジストパターンの形成方法によりレジストパターンの形成された回路形成用基板を、エッチング又はめっきする。ここで、上記本発明の感光性樹脂組成物からなるレジストパターンは、像形成性、耐熱性、密着性、機械特性、耐薬品性、電気特性等に優れた永久マスクレジストとして有効に機能する。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[合成例1]
YDF2001(東都化成(株)製、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、一般式(5)において、Y=グリシジル基、R12=水素原子である化合物)475質量部、アクリル酸72質量部、ハイドロキノン0.5質量部、カルビトールアセテート120質量部を仕込み、90℃で加熱撹拌して反応混合物を溶解した。次に、得られた溶液を60℃に冷却し、そこに塩化ベンジルトリメチルアンモニウム2質量部を加え、100℃に加熱して、固形分酸価が1mgKOH/gになるまで反応させた。更に、無水マレイン酸98質量部とカルビトールアセテート85質量部とを加え、80℃に加熱して、約6時間反応させた。その後、室温まで冷却し、固形分濃度が60質量%になるようにカルビトールアセテートで希釈して、(A)成分としてのカルボン酸変性ビスフェノールF型エポキシアクリレート(以下、「エポキシ樹脂A1」という)を得た。
[合成例2]
YDCN704(東都化成(株)製、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、一般式(4)において、Y=グリシジル基、R11=メチル基である化合物)220質量部、アクリル酸72質量部、ハイドロキノン1.0質量部、カルビトールアセテート180質量部を仕込み、90℃で加熱撹拌して反応混合物を溶解した。次に、得られた溶液を60℃に冷却し、そこに塩化ベンジルトリメチルアンモニウム1質量部を加え、100℃に加熱して、固形分酸価が1mgKOH/gになるまで反応させた。更に、テトラヒドロ無水フタル酸152質量部とカルビトールアセテート100質量部とを加え、80℃に加熱して、約6時間反応させた。その後、室温まで冷却し、固形分濃度が60質量%になるようにカルビトールアセテートで希釈して、(A)成分としてのカルボン酸変性クレゾールノボラック型エポキシアクリレート(以下、「エポキシ樹脂A2」という)を得た。
(実施例1〜6及び比較例1〜4)
下記表2に示す配合組成(単位:質量部)に従って組成物を配合した後、3本ロールミルで混練し、固形分濃度が70質量%になるようにカルビトールアセテートを加えて、感光性樹脂組成物を得た。なお、下記表2中の各成分の配合量は、固形分の配合量を示す。
Figure 0004985768
なお、表2中の各成分の詳細は以下の通りである。
ビスフェノールF型エポキシ樹脂(商品名:YSLV−80XY−F、東都化成社製、)、
DPHA(商品名:カヤラッドDPHA、日本化薬社製、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)、
OXE−01(商品名、チバスペシャルティーケミカルズ社製、上記式(8)で示される1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(O−ベンゾイルオキシム)、
IC907(商品名:イルガキュア907、チバスペシャルティーケミカルズ社製、下記式(17)で表される化合物)、
NF−EO(商品名、日本化学工業所社製、上記式(13)で表される1−フェニル−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、最大吸収波長:387.2nm)、
クマリン(C−314T)(商品名:C−314T、アクロス社製、下記式(18)で表される化合物、最大吸収波長:435nm)、
MBO(上記式(9)で示されるメルカプトベンゾオキサゾール)、
MBT(上記式(10)で示されるメルカプトベンゾチアゾール)、
MBI(上記式(11)で示されるメルカプトベンゾイミダゾール)、
NPG(和光純薬工業社製、N−フェニルグリシン)、
EAB(商品名、保土谷化学社製、ジエチルアミノベンゾフェノン、最大吸収波長:365nm)。
Figure 0004985768
Figure 0004985768
<評価基板の作製>
実施例1〜4及び比較例1〜6の感光性樹脂組成物をスクリーン印刷法により、120メッシュのテトロンスクリーンを用いて、乾燥後の厚さが約20μmとなるように、銅張り積層板に塗布し、熱風循環式乾燥機により80℃で30分間乾燥させた。これにより、銅張り積層板上に感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層が積層された評価基板を得た。得られた評価基板を用い、以下に示した方法により各特性の評価を行った。その結果をまとめて表3に示す。
(光感度)
評価基板の感光性樹脂組成物層上にネガマスク(ストーファー41段ステッタブレットプ)を載せ、さらにその上に、波長405±30nmの光を分光するバンドパスフィルターである朝日分光株式会社製分光フィルタ(商品名:HG0405)を載せ、この状態で、5kWショートアークランプを光源とする平行光露光機(商品名:EXM−1201、オーク製作所社製)を用いて、露光量100mJ/cmの紫外線を照射した。なお、バンドパスフィルターを透過した光の照度を、紫外線積算光量計(商品名:UIT−150−A、ウシオ電機株式会社製、照度計としても使用可能)及び受光器である「UVD−S405」(商品名、感度波長域:320nm〜470nm、絶対校正波長:405nm)を用いて測定し、照度×露光時間を露光量とした。その後、1質量%の炭酸ナトリウム水溶液(30℃)で60秒間、1.8kgf/cmの圧力でスプレー現像し、未露光部を溶解除去した。未露光部分を除去した後、銅張り積層板上に形成された光硬化膜のステップタブレットの段数を測定することにより、感光性樹脂組成物の光感度を評価した。光感度は、ステップタブレットの段数で示され、このステップタブレットの段数が高いほど光感度が高いことを意味する。
(現像性)
評価基板の感光性樹脂組成物層上に、ビアマスク開口寸法が100μmのマスクを置き、さらにその上に、波長405±30nmの光を分光するバンドパスフィルターである朝日分光株式会社製分光フィルタ(商品名:HG0405)を載せ、この状態で、5kWショートアークランプを光源とする平行光露光機(商品名:EXM−1201、オーク製作所社製)を用いて、露光量100mJ/cmの紫外線を照射した。なお、バンドパスフィルターを透過した光の照度を、紫外線積算光量計(商品名:UIT−150−A、ウシオ電機株式会社製、照度計としても使用可能)及び受光器である「UVD−S405」(商品名、感度波長域:320nm〜470nm、絶対校正波長:405nm)を用いて測定し、照度×露光時間を露光量とした。その後、1%の炭酸ナトリウム水溶液(30℃)で60秒間、0.18MPaの圧力でスプレー現像を行った。その後、形成されたビア開口部を目視観察し、以下の基準に従って現像性の評価を行った。
A:開口寸法が80μm以上のビア開口部が得られた場合、
B:開口寸法が60μm以上80μm未満のビア開口部が得られた場合、
C:ビア開口部の開口寸法が60μm未満であった場合。
<試験板の作製>
評価基板の感光性樹脂組成物層上に、波長405±30nmの光を分光するバンドパスフィルターである朝日分光株式会社製分光フィルタ(商品名:HG0405)を載せ、この状態で、5kWショートアークランプを光源とする平行光露光機(商品名:EXM−1201、オーク製作所社製)を用いて、露光量100mJ/cmの紫外線を照射した。なお、バンドパスフィルターを透過した光の照度を、紫外線積算光量計(商品名:UIT−150−A、ウシオ電機株式会社製、照度計としても使用可能)及び受光器である「UVD−S405」(商品名、感度波長域:320nm〜470nm、絶対校正波長:405nm)を用いて測定し、照度×露光時間を露光量とした。その後、1質量%の炭酸ナトリウム水溶液(30℃)で60秒間、1.8kgf/cmの圧力でスプレー現像し、未露光部を溶解除去した。次に、150℃で1時間加熱し、感光性樹脂組成物層の硬化膜を有する試験板を作製した。得られた試験板を用い、以下に示した方法により各特性の評価を行った。その結果をまとめて表3に示す。
(密着性)
試験板に対し、JIS K5400に準じた方法により、剥離試験を行った。すなわち、試験板の硬化膜に1mmの碁盤目を100個作製して、碁盤目にセロハンテープを貼り付けた後に引き剥がした。引き剥がし後の碁盤目の剥離状態を観察し、以下の基準に従って密着性の評価を行った。
A:碁盤目の90/100以上が剥離なし、
B:碁盤目の50/100以上90/100未満が剥離なし、
C:碁盤目の50/100未満が剥離なし。
(耐溶剤性)
試験板をイソプロピルアルコールに室温で30分間浸漬した後、硬化膜の外観に異常がないかを目視にて確認した。その後、セロハンテープを硬化膜に貼り付けて引き上げる剥離試験を行い、硬化膜が銅張り積層板から剥離するかどうかを確認した。それらの結果から、以下の基準に従って耐溶剤性の評価を行った。
A:硬化膜の外観に異常がなく、且つ、剥離試験において剥離のないもの、
B:硬化膜の外観に異常があるか、又は、剥離試験において剥離するもの。
(はんだ耐熱性)
試験板の硬化膜表面にロジン系フラックスを塗布した後、260℃のはんだ槽に10秒間浸漬した。これを1サイクルとして、6サイクル繰り返した後、硬化膜の外観を目視観察し、以下の基準に従ってはんだ耐熱性の評価を行った。
A:硬化膜の外観に異常(剥離、フクレ)がなく、はんだのもぐりがないもの、
B:硬化膜の外観に異常(剥離、フクレ)があるか、又は、はんだのもぐりがあるもの。
<経日安定性評価用溶液の調製及び経日安定性の評価>
表2に示した組成において、硬化剤であるビスフェノールF型エポキシ樹脂、並びに、光重合性化合物であるエポキシ樹脂A1及びA2を除き、カルビトールアセテートを加えて粘度を50Pa・sに調整し、経日安定性評価用溶液を得た。得られた溶液を室温(25℃)にて放置し、溶液が流動しなくなるか又はゲル化が起こるまでの時間を測定した。その結果を表3に示す。
Figure 0004985768
表3に示した結果から明らかなように、実施例1〜4の感光性樹脂組成物によれば、比較例1〜6の感光性樹脂組成物と比較して、光感度及び現像性に優れるとともに、経日安定性が非常に優れていることが確認された。なお、比較例3及び4の感光性樹脂組成物は、405nmの波長に光に対する光感度が不十分であるため、露光により光硬化せず、像形成ができなかった。
以上説明したように、本発明によれば、波長370nm〜450nmの範囲内の露光光を用いたレジストパターンの形成、特に、波長405nmのレーザ光を用いた直接描画露光法によるレジストパターンの形成を十分な感度及び解像度で行うことが可能であるとともに、長期間放置してもゲル化せず、経日安定性に優れた感光性樹脂組成物、それを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及びプリント配線板の製造方法を提供することができる。また、本発明の感光性樹脂組成物及び感光性エレメントによれば、波長405nmの青色レーザ光を光源とした直接描画露光法において、従来は製造が困難であった高密度のレジストパターンの形成が可能であり、且つ、耐熱性、耐湿熱性(せん断接着性)、密着性、機械特性、電気特性に優れた高性能な硬化膜を得ることができる。そのため、本発明の感光性樹脂組成物及び感光性エレメントは、プリント配線板、高密度多層板及び半導体パッケージ等の製造に好適に用いられる。

Claims (8)

  1. (A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂と、
    (B)オキシムエステル結合を有する化合物を含む光重合開始剤と、
    (C)チオール基を有する化合物と、
    (D)極大吸収波長が370nm〜450nmの範囲内にある増感剤と、
    を含有し、
    前記(D)増感剤が、下記式(13)で表される化合物、及び/又は、下記式(18)で表される化合物を含む、感光性樹脂組成物。
    Figure 0004985768
    Figure 0004985768
  2. 前記オキシムエステル結合を有する化合物が、下記一般式(1)又は(2)で表される化合物の少なくとも1種を含むものである、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
    Figure 0004985768
    [式(1)中、Rは炭素数2〜12の置換若しくは未置換のアルカノイル基、二重結合がカルボニル基と共役していない炭素数4〜6の置換若しくは未置換のアルケノイル基、置換若しくは未置換のベンゾイル基、炭素数2〜6の置換若しくは未置換のアルコキシカルボニル基、又は、置換若しくは未置換のフェノキシカルボニル基を示し、R、R及びRはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜12の置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のシクロペンチル基、置換若しくは未置換のシクロヘキシル基、置換若しくは未置換のフェニル基、置換若しくは未置換のベンジル基、置換若しくは未置換のベンゾイル基、炭素数2〜12の置換若しくは未置換のアルカノイル基、炭素数2〜12の置換若しくは未置換のアルコキシカルボニル基、又は、置換若しくは未置換のフェノキシカルボニル基を示し、m1は0〜4の整数を示し、m2及びm3は各々独立に0〜5の整数を示す。なお、m1が2以上である場合、複数存在するRはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、m2が2以上である場合、複数存在するRはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、m3が2以上である場合、複数存在するRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。]
    Figure 0004985768
    [式(2)中、R は置換若しくは未置換のフェニル基、炭素数1〜20の置換若しくは未置換のアルキル基、炭素数5〜8の置換若しくは未置換のシクロアルキル基、炭素数2〜20の置換若しくは未置換のアルカノイル基、又は、置換若しくは未置換のベンゾイル基を示し、Rは炭素数2〜12の置換若しくは未置換のアルカノイル基、二重結合がカルボニル基と共役していない炭素数4〜6の置換若しくは未置換のアルケノイル基、置換若しくは未置換のベンゾイル基、炭素数2〜6の置換若しくは未置換のアルコキシカルボニル基、又は、置換若しくは未置換のフェノキシカルボニル基を示し、Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12の置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のシクロペンチル基、置換若しくは未置換のシクロヘキシル基、置換若しくは未置換のフェニル基、置換若しくは未置換のベンジル基、置換若しくは未置換のベンゾイル基、炭素数2〜12の置換若しくは未置換のアルカノイル基、炭素数2〜12の置換若しくは未置換のアルコキシカルボニル基、又は、置換若しくは未置換のフェノキシカルボニル基を示し、R、R及びR10はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜12の置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のシクロペンチル基、置換若しくは未置換のシクロヘキシル基、置換若しくは未置換のフェニル基、置換若しくは未置換のベンジル基、置換若しくは未置換のベンゾイル基、炭素数2〜12の置換若しくは未置換のアルカノイル基、炭素数2〜12の置換若しくは未置換のアルコキシカルボニル基、又は、置換若しくは未置換のフェノキシカルボニル基を示し、m4及びm5はそれぞれ独立に0〜3の整数を示し、m6は0〜5の整数を示す。なお、m4が2以上である場合、複数存在するRはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、m5が2以上である場合、複数存在するRはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、m6が2以上である場合、複数存在するR10はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。]
  3. 前記(C)チオール基を有する化合物が、下記一般式(3)で表される化合物を含むものである、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
    Figure 0004985768
    [式中、Arは、置換基を有していてもよい2価又は3価のアリール基を示し、Xは酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を示す。]
  4. 前記(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂が、下記一般式(4)で表されるノボラック型エポキシ樹脂、下記一般式(5)で表されるビスフェノール型エポキシ樹脂、及び、下記一般式(6)で表されるサリチルアルデヒド型エポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種のエポキシ樹脂(a)と、ビニル基含有モノカルボン酸(b)と、を反応させて得られる樹脂である、請求項1〜のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
    Figure 0004985768
    [式中、R11は水素原子又はメチル基を示し、Yは水素原子又はグリシジル基(ただし、水素原子/グリシジル基(モル比)は、0/100〜30/70)を示し、n1は1以上の整数を示す。なお、複数存在するR11及びYはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。]
    Figure 0004985768
    [式中、R12は水素原子又はメチル基を示し、Yは水素原子又はグリシジル基(ただし、水素原子/グリシジル基(モル比)は、0/100〜30/70)を示し、n2は1以上の整数を示す。なお、複数存在するR12及びYはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。]
    Figure 0004985768
    [式中、Yは水素原子又はグリシジル基(ただし、水素原子/グリシジル基(モル比)は、0/100〜30/70)を示し、n3は1以上の整数を示す。なお、複数存在するR11及びYはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。]
  5. 支持体と、該支持体上に形成された請求項1〜のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層と、を備える感光性エレメント。
  6. 請求項1〜のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層を基板上に積層する積層工程と、
    前記感光性樹脂組成物層に活性光線を画像状に照射して露光部を光硬化せしめる露光工程と、
    前記感光性樹脂組成物層の未露光部を現像により除去する現像工程と、
    を含むレジストパターンの形成方法。
  7. 前記露光工程は、波長405nmのレーザ光により前記感光性樹脂組成物層を直接描画露光して露光部を光硬化せしめる工程である、請求項に記載のレジストパターンの形成方法。
  8. 請求項又はに記載のレジストパターンの形成方法によりレジストパターンの形成された回路形成用基板を、エッチング又はめっきする、プリント配線板の製造方法。
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