JP4984657B2 - ホログラム観察シート - Google Patents

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Description

本発明は、ホログラムを通して点光源を観察すると点光源の位置近傍に所定の画像またはメッセージが再生されて観察可能であり、例えば窓ガラス等に接着可能な、広告宣伝媒体や装飾用部材、各種フィルタ等として使用可能なホログラム観察シートに関するものである。
近年、透過型のホログラムを用いたメガネやうちわ等、種々のものが提案されている(例えば特許文献1、および特許文献2等)。しかしながら、これらのいずれにおいても、透過型のホログラムと他の部材とを一体に形成することが困難であり、あらかじめ透過型ホログラム部分だけを作製し、その後、この透過型ホログラムを他の部材によって挟み込んだりすることにより製造されていた。そのため、製造工程が煩雑であり、また種々の用途に用いることが難しい、という問題があった。
特開2004−126535号公報 特開2004−77548号公報
そこで、透過型ホログラムが他の部材と一体に形成されており、例えば広告宣伝媒体や装飾用部材等として用いられる、各種部材と貼りあわせ可能なホログラム観察シートの提供が望まれている。
本発明は、透明基材と、上記透明基材上に形成され、点光源から入射した光を所望の光像へ変換する機能を有する透過型フーリエ変換ホログラム領域および上記透過型フーリエ変換ホログラム領域以外の上記機能を有しない非ホログラム領域からなるイメージ変換層とを有するホログラム観察シートであって、上記透明基材の上記イメージ変換層が形成されている側と反対側の面、または上記イメージ変換層の上記非ホログラム領域上に、接着層が形成されていることを特徴とするホログラム観察シートを提供する。
本発明によれば、上記接着層が形成されていることから、ホログラム観察シートを、例えばガラス窓等、所望の部材と貼りあわせることができ、ホログラム観察シートを例えば広告宣伝媒体や、装飾用部材等として用いること等が可能となる。またこの際、上記接着層は、上記透明基材上、または上記非ホログラム領域に形成されていることから、上記イメージ変換層の上記透過型フーリエ変換ホログラム領域の光の屈折率差を変化させることのないものとすることができ、上記透過型フーリエ変換ホログラム領域により得られる光像を良好に観察できるホログラム観察シートとすることができる。またさらに本発明によれば、上記イメージ変換層中に、上記透過型フーリエ変換ホログラム領域が形成されていることから、別途、透過型フーリエ変換ホログラムの機能を有する部材を貼り合わせたり、挟み込んだりすることなく、効率よくホログラム観察シートが製造されたものとすることができるという利点も有している。
上記発明においては、上記接着層が、上記透明基材の上記イメージ変換層が形成されている側と反対側の面に形成されている場合においては、上記透明基材と上記接着層との間、また、上記接着層が上記イメージ変換層の上記非ホログラム領域上に形成されている場合においては、上記非ホログラム領域と上記接着層との間に、自己支持性基材が形成されていてもよい。このような場合、自己支持性の高いホログラム観察シートとすることができる。
また、本発明は、透明基材と、上記透明基材上に形成され、点光源から入射した光を所望の光像へ変換する機能を有する透過型フーリエ変換ホログラム領域および上記透過型フーリエ変換ホログラム領域以外の上記機能を有しない非ホログラム領域からなるイメージ変換層と、上記イメージ変換層の上記透過型フーリエ変換ホログラム領域上に形成された保護層とを有するホログラム観察シートであって、上記保護層上に、接着層が形成されていることを特徴とするホログラム観察シートを提供する。
本発明によれば、上記接着層が形成されていることから、ホログラム観察シートを、例えばガラス窓等、所望の部材と貼りあわせることができ、ホログラム観察シートを広告宣伝媒体や装飾用部材等として用いること等が可能となる。また本発明においては、上記保護層が形成されていることから、上記透過型フーリエ変換ホログラム領域上にも透過型フーリエ変換ホログラム領域の機能を損なうことなく、接着層を形成することが可能となる。またさらに、本発明によれば、上記透過型フーリエ変換ホログラム領域を有するイメージ変換層が形成されていることから、透過型フーリエ変換ホログラムを別途貼り合わせたり、挟み込んだりすることなく、効率よく製造されたホログラム観察シートとすることができるという利点も有している。
上記発明においては、上記保護層と上記接着層との間に、自己支持性基材が形成されていてもよい。この場合、本発明のホログラム観察シートに高い自己支持性を付与することができる。
また、本発明においては、上記接着層が、粘着性を有する粘着層であってもよく、また、密着性および再剥離性の双方の特性を有する再剥離密着層であってもよい。上記接着層が粘着層である場合、ホログラム観察シートを、例えばガラス窓等の、所望の部材に粘着力により強固に貼り合わせることができる。また、上記接着層が再剥離密着層である場合、ホログラム観察シートを、例えばガラス窓等の所望の部材に密着力により貼りあわせることができる。これにより、被接着部材から粘着剤等の跡を残すことなくきれいに剥離することができ、剥離後の部材にダメージ等を残すことのないものとすることが可能である。
上記発明においては、上記透明基材上に印刷層が形成されていてもよい。これにより、ホログラム観察シートに、種々の印刷を行うことが可能となり、ホログラム観察シートをより広い用途に用いることが可能となるからである。
また、上記発明においては、離型層が、上記接着層上に配置されていてもよい。この場合、ホログラム観察シートを被接着部材に貼りあわせる直前に離型層を剥がして被接着部材と接着層とを貼りあわせることが可能となる。したがって、被接着部材と接着層との間に異物が混入してしまうこと等を防止することができるという利点を有する。
またさらに、本発明においては、上記イメージ変換層が、上記透過型フーリエ変換ホログラム領域の表面に凹凸構造を有する表面位相型回折光学素子層であってもよい。上記イメージ変換層をこのような層とすることにより、イメージ変換層中に上記透過型フーリエ変換ホログラム領域が形成されたものとすることができるからである。
本発明によれば、上記接着層が形成されていることから、ホログラム観察シートを、例えばガラス窓等、所望の部材と貼りあわせることができ、例えばホログラム観察シートを広告宣伝媒体や装飾用部材等として用いることが可能となる。また本発明によれば、別途、透過型フーリエ変換ホログラムの機能を有する部材を貼り合わせたり、挟み込んだりすることなく、効率よくホログラム観察シートが製造できるという効果も奏するものである。
本発明は、ホログラムを通して点光源を観察すると点光源の位置近傍に所定の画像またはメッセージが再生されて観察可能であり、例えば窓ガラス等に接着可能な広告宣伝媒体、装飾用部材、各種フィルタ等として使用可能なホログラム観察シートに関するものである。本発明のホログラム観察シートには2つの実施態様がある。以下、それぞれについてわけて説明する。
A.第1実施態様
まず、本発明のホログラム観察シートの第1実施態様について説明する。本発明のホログラム観察シートの第1実施態様は、透明基材と、上記透明基材上に形成され、点光源から入射した光を所望の光像へ変換する機能を有する透過型フーリエ変換ホログラム領域および上記透過型フーリエ変換ホログラム領域以外の前記機能を有しない非ホログラム領域からなるイメージ変換層とを有するホログラム観察シートであって、上記透明基材の上記イメージ変換層が形成されている側と反対側の面、または上記イメージ変換層の上記非ホログラム領域上に、接着層が形成されていることを特徴とするものである。
本実施態様のホログラム観察シートは、例えば図1に示すように、透明基材1と、その透明基材1上に形成され、透過型フーリエ変換ホログラム領域aおよび非ホログラム領域bを有するイメージ変換層2と、上記透明基材1のうち、イメージ変換層2が形成されている側と反対側の面に形成された接着層3とを有するものとされる。または、例えば図2に示すように、透明基材1と、その透明基材1上に形成され、透過型フーリエ変換ホログラム領域aおよび非ホログラム領域bを有するイメージ変換層2と、上記イメージ変換層2の非ホログラム領域b上に形成された接着層3とを有するものとされる。
本実施態様によれば、上記接着層が形成されていることから、ホログラム観察シートを、例えばガラス窓等に接着させることが可能となり、ホログラム観察シートを例えば電車やバス等、公共の乗り物の窓ガラス等に貼られる広告宣伝媒体や、車や家の窓ガラスに貼られる装飾用部材等として用いたりすることが可能となる。また上記ホログラム観察シートに紫外線吸収機能や赤外線吸収機能等を付与した場合には、各種フィルタとしても用いることが可能となる。
ここで、本実施態様においては、上記接着層が、イメージ変換層が形成された側と反対側の面、もしくは上記イメージ変換層の非ホログラム領域に形成されていることから、上記イメージ変換層の透過型フーリエ変換ホログラム領域の光の屈折率差を変化させることのないものとすることができ、透過型フーリエ変換ホログラム領域によって得られる光像を良好に観察することが可能なホログラム観察シートとすることができるのである。
また、本実施態様によれば、上記イメージ変換層中に、上記透過型フーリエ変換ホログラム領域が形成されていることから、別途、透過型フーリエ変換ホログラムの機能を有する部材を貼り合わせたり、挟み込んだりすることなく、効率よくホログラム観察シートが製造できるという利点も有している。
以下、本実施態様のホログラム観察シートについて、各部材ごとに詳しく説明する。
1.接着層
まず、本実施態様に用いられる接着層について説明する。本実施態様に用いられる接着層は、後述する透明基材のイメージ変換層が形成されている側と反対側の面、またはイメージ変換層の点光源から入射した光を所望の光像へ変換する機能を有しない非ホログラム領域上に形成されているものであって、本実施態様のホログラム観察シートと、貼りあわせられる被接着部材とを接着可能なものであれば、特に限定されるものではない。上記接着層の接着性については、ホログラム観察シートの種類や用途によって、適宜選択されることとなる。
ここで、上記接着層は、上記透明基材または非ホログラム領域全面に形成されていてもよく、また透明基材または非ホログラム領域の一部領域のみにパターン状に形成されてもよい。上記接着層が形成される領域の形状や、範囲については、ホログラム観察シートの種類や用途等に応じて、適宜選択される。
また、本実施態様に用いられる接着層は、ヘイズが低いものほど好ましく、具体的にはヘイズ値が0.01%〜5%の範囲内であるものが好ましく、特に0.01%〜3%の範囲内であるものが好ましく、なかでも0.01%〜1.5%の範囲内であるものが好ましい。これにより、上記接着層が透明基材全面に形成された場合であっても、イメージ変換層の透過型フーリエ変換ホログラム領域により得られる光像を観察しやすいものとすることができるからである。なお、上記ヘイズ値は、JIS K7105に準拠して測定した値を用いるものとする。また、上記接着層が透明基材全面に形成される場合には、上記接着層の透明性が高いことが好ましく、具体的には、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、さらには90%以上であることが好ましい。これにより、イメージ変換層の透過型フーリエ変換ホログラム領域により得られる光像をより観察しやすいものとすることができるからである。なお、上記接着層の透過率は、JIS K7361−1(プラスチックー透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
また、本実施態様においては、上記接着層が、粘着性を有する粘着層であってもよく、また、密着性および再剥離性の双方の特性を有する再剥離密着層であってもよい。
上記接着層が粘着層である場合、ホログラム観察シートを、所望の部材に粘着力により強固に貼りあわせることができる。これにより、被接着部材からホログラム観察シートが剥がれにくいものとすることが可能となる。
また、上記接着層が再剥離密着層である場合、再剥離密着層と被接着部材との間に空気が入らないよう密着させることにより、ホログラム観察シートを所望の部材に貼りあわせることができる。このような再剥離密着層は、被接着部材に粘着剤等による跡を残すことなく、容易に密着および剥離を繰り返し行うことが可能であり、被接着部材がダメージを受けにくいものとすることができる。このような再剥離密着層を有するホログラム観察シートは、例えばイベントや行事などの広告宣伝媒体や、装飾用部材等として一時的に使用する場合に有利となり、幅広い用途に対応できるといった利点を有する。
また本実施態様の接着層には、必要に応じて紫外線吸収剤や赤外線吸収剤が含有されていてもよい。接着層中に、紫外線吸収剤や赤外線吸収剤が含有されている場合には、ホログラム観察シートを、例えば紫外線吸収フィルタや、熱線カットフィルタ等として用いることが可能となるという利点を有する。
上記接着層に用いられる紫外線吸収剤としては、紫外領域の光を吸収可能なものであれば特に限定されるものではなく、具体的にはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、液状紫外線吸収剤、高分子型紫外線吸収剤、アニオン系水溶性高分子紫外線吸収剤、カチオン系水溶性高分子紫外線吸収剤、ノニオン系水溶性高分子紫外線吸収剤等を挙げることができ、これらを1種、または2種以上混合して用いることができる。上記の中でも特に、耐久性の観点からベンゾトリアゾール系、環状イミノエステル系の紫外線吸収剤が用いられることが好ましい。また2種以上の紫外線吸収剤を併用した場合には、別々の波長の紫外線を同時に吸収させることができるので、いっそう紫外線吸収効果を良好なものとすることができる。上記紫外線吸収剤の添加量としては、本実施態様のホログラム観察シートの種類や用途等に応じて適宜選択されるが、通常、接着層の固形分中に0.1〜20質量%程度、中でも0.5〜15質量%程度含有されることが好ましい。上記量より少ない場合には、紫外線吸収効果が小さく、また上記より多い場合には、接着層が黄変したり、接着層の製膜性が低下する場合があるからである。
また、上記接着層に用いられる赤外線吸収剤としては、赤外領域の光を吸収する材料であれば、その種類等は特に限定されるものではない。このような赤外線吸収剤としては、例えば、酸化スズ、酸化インジウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化ニッケル、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アンチモン、酸化鉛、酸化ビスマス等の無機赤外線吸収剤、シアニン系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、アルミニウム系化合物、ピリリウム系化合物、セリリウム系化合物、スクワリリウム系化合物、ジイモニウム類、銅錯体類、ニッケル錯体類、ジチオール系錯体類等の有機赤外線吸収剤が挙げられ、これらを1種類、または2種類以上混合して用いることができる。
上記赤外線吸収剤の量については、接着層に要求される赤外線吸収能によって適宜選択されるが、通常、接着層中の固形分中に0.1〜20質量%程度、中でも0.5〜15質量%程度含有されることが好ましい。
ここで、上述したように上記接着層が粘着層である場合、上記粘着層の形成に用いられる樹脂としては、例えばアクリル系樹脂、エステル系樹脂、ウレタン系樹脂、エチレン酢酸ビニル系樹脂、ラテックス系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタンエステル系樹脂、またはフッ化ビニリデン系樹脂(PVDF)、フッ化ビニル系樹脂(PVF)等のフッ素系樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等のポリイミド系樹脂等を挙げることができ、中でもアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エチレン酢酸ビニル系樹脂、ラテックス系樹脂であることが好ましい。
また、上述したように上記接着層が再剥離密着層である場合、上記再剥離密着層の形成に用いられる樹脂としては、アクリル系樹脂、アクリル酸エステル樹脂、またはこれらの共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、天然ゴム、カゼイン、ゼラチン、ロジンエステル、テルペン樹脂、フェノール系樹脂、スチレン系樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリビニルエーテル、シリコーン樹脂等を挙げることができ、中でもアクリル系樹脂、シリコーン樹脂であることが好ましい。アクリル系樹脂は、被接着部材の被接着面に多少の凹凸がある場合であっても、接着が可能であるからである。また、シリコーン樹脂は、密着および剥離を繰り返し行っても、接着強度が低下しにくいからである。
また、上記樹脂を使用して形成された再剥離密着層の剥離強度としては、被接着部材に対して、10g/25mm〜1000g/25mmの範囲内であることが好ましく、中でも50g/25mm〜500g/25mmの範囲内であることが好ましい。剥離強度が上記範囲に満たないと、ホログラム観察シートが、被接着部材から外力で簡単に剥離してしまうおそれがあるからである。また剥離強度が上記範囲をこえると、ホログラム観察シートを被接着部材から剥離する際に、被接着部材に再剥離密着層の一部が剥がれず残ってしまう場合があるからである。
また上記接着層の形成方法としては、上記樹脂を必要に応じて上記紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、粘着性付与剤、粘着性調整剤等の添加剤等とともに、有機溶剤に溶解させて接着層形成用塗工液を作製し、この接着層形成用塗工液を例えばメイヤーバー、グラビアコート、グラビアリバースコート、キスリバースコート、3本ロールリバースコート、スリットリバースダイコート、コンマコート、ナイフコート等の各種コーティング法等によって塗布する方法等を用いることができる。またこの際、上記透明基材やイメージ変換層上に上記接着層形成用塗工液を直接塗布してもよいが、例えば一度剥離層に塗工して乾燥させた後、この接着層を透明基材やイメージ変換層上に転写させても良い。上記接着層の厚みとしては、ホログラム観察シートの種類や用途等に応じて適宜選択されるが、通常1〜500μm程度、中でも5〜50μm程度とされることが好ましい。
2.イメージ変換層
次に、本実施態様に用いられるイメージ変換層について説明する。本実施態様に用いられるイメージ変換層は、後述する透明基材上に形成されるものであって、点光源から入射した光を所望の光像へ変換する機能を有する透過型フーリエ変換ホログラム領域および、上記透過型フーリエ変換ホログラム領域以外の上記機能を有しない非ホログラム領域からなるものである。上記透過型フーリエ変換ホログラム領域の形状や範囲等については、ホログラム観察シートの種類や用途等に応じて適宜選択される。
上記透過型フーリエ変換ホログラム領域の機能について、図3を用いて説明する。図3(A)は、通常のレンズを通して画像を目視した場合を説明する概略図であり、図3(B)は、本実施態様におけるイメージ変換層の透過型フーリエ変換ホログラム領域におけるフーリエ変換レンズを通して画像を目視した場合を説明する概略図である。図3(A)に示すように、所望の画像31をレンズ32を介して、人間の目33で観察すると画像31と相似形の観察像34が観察される。
一方、図3(B)に示すように、点光源35をイメージ変換層2の透過型フーリエ変換ホログラム領域を透して、人間の目33で目視すると、イメージ変換層2の透過型フーリエ変換ホログラム領域に記録されたデータに応じた光学画像36が観察されることとなる。例えば、イメージ変換層2の透過型フーリエ変換ホログラム領域へ、図3(B)のようにハート画像を再生するような凹凸形状等を設けておけば、イメージ変換層2を通して点光源35を目視することにより、ハートの光像36が視認される。このように本実施態様におけるイメージ変換層の透過型フーリエ変換ホログラム領域は、点光源から入射した光を所望の光像へ変換する機能を有するものである。
本実施態様におけるイメージ変換層の透過型フーリエ変換ホログラム領域が、点光源から入射した光を所望の光像へ変換する機能を発現できる点光源の波長は特に限定されるものではなく、所望の波長を対象とすることができる。また、点光源の波長としては、一波長の単色光に限られず、多波長を含む光であっても良く、さらには白色光であってもよい。
ここで、上記イメージ変換層は、点光源から入射した光を所望の光像へ変換する機能を有する透過型フーリエ変換ホログラム領域が形成されたものであれば、その種類は特に限定されるものではない。例えば上記透過型フーリエ変換ホログラム領域表面に凹凸構造を有する表面位相型回折光学素子層であってもよく、また上記透過型フーリエ変換ホログラム領域におけるイメージ変換層内部に屈折率分布を有する内部位相型回折光学素子層であってもよい。またさらに、上記透過型フーリエ変換ホログラム領域に透過率分布を有する振幅型回折光学素子層であってもよい。以下、それぞれの場合についてわけて説明する。
(表面位相型回折光学素子層)
上記イメージ変換層が表面位相型回折光学素子層である場合、イメージ変換層の上記透過型フーリエ変換ホログラム領域には、表面に凹凸が形成されることとなる。本実施態様においては、上記イメージ変換層は、透明なものであってもよく、また着色されていてもよい。
このようなイメージ変換層の形成方法としては、例えば以下の方法とすることができる。まず透過型フーリエ変換ホログラム領域によって表示させる画像のデータを、計算によりフーリエ変換データとし、このフーリエ変換データを2値化、または4値化等する。さらにこのデータを、電子線描画用の矩形データへ変換し、この矩形データを半導体回路マスク等の描画に用いられる電子線描画装置で、ガラス板等へ塗布されたレジスト面へ描画することにより、原版を作製する。なお、この際、上記非ホログラム領域とされる部分については、平板状とされる。その後、例えば2P法(PhotoPolymerization法)や、射出成形法、ゾルゲル法、ハードエンボス法、ソフトエンボス法、セミドライエンボス法、各種ナノインプリント法等により、上記原版の凹凸を複製した層を形成することにより、イメージ変換層を形成することができる。本実施態様においては、上記の中でも特に、効率よくイメージ変換層を形成可能であることから、2P法が用いられることが好ましい。
上記2P法によるイメージ変換層の形成は、例えば、上記原版上に電離放射線硬化性樹脂組成物を滴下し、その電離放射線硬化性樹脂組成物上に透明基材を積置し、押圧する。次いで、原版側、もしくは透明基材側から紫外線等の電離性放射線を照射して、電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化させた後、電離放射線硬化性樹脂組成物および透明基材を、原版側から剥離する方法等によって行うことができる。
ここで、上記イメージ変換層の形成には、従来からレリーフ型ホログラム形成層の材料として使用されている熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、電離放射線硬化樹脂等の各種樹脂材料いずれも使用可能であり、特に限定されない。
上記熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル変性ウレタン樹脂、エポキシ変性アクリル樹脂、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。また、上記熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル酸エステル樹脂、アクリルアミド樹脂、ニトロセルロース樹脂、ポリスチレン樹脂等が挙げられる。
これらの樹脂は単独重合体であっても2種以上の構成成分からなる共重合体であっても良い。また、これらの樹脂は単独であるいは2種以上を組合せて使用することができる。これらの樹脂には、各種イソシアネート化合物、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛等の金属石鹸、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等の有機過酸化物、ベンゾフェノン、アセトフェノン、アントラキノン、ナフトキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルスルフィド等の熱あるいは紫外線硬化剤を適宜選択、配合することもできる。
上記電離放射線硬化型樹脂としては、例えば、エポキシ変性アクリレート樹脂、ウレタン変性アクリレート樹脂、アクリル変性ポリエステル等が挙げられる。これらのなかでは特にウレタン変性アクリレート樹脂が好ましく、特に下記式で表されるウレタン変性アクリル系樹脂が好ましい。
Figure 0004984657
(式中、5個のR1は夫々互いに独立して水素原子またはメチル基を表し、R2はC1〜C16の炭化水素基を表わし、X及びYは直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を表わす。(a+b+c+d)を100とした場合に、aは20〜90,bは0〜50,cは10〜80,dは0〜20の整数である。)
上記式で表されるウレタン変性アクリル系樹脂は、例えば、好ましい1例として、メタクリル酸メチル20〜90モルとメタクリル酸0〜50モルと2−ヒドロキシエチルメタクリレート10〜80モルとを共重合して得られるアクリル共重合体であって、該共重合体中に存在している水酸基にメタクリロイルオキシエチルイソシアネート(2−イソシアネートエチルメタクリレート)を反応させて得られる樹脂である。したがって、上記メタクリロイルオキシエチルイソシアネートが共重合体中に存在している全ての水酸基に反応している必要はなく、共重合体中の2−ヒドロキシエチルメタクリレート単位の水酸基の少なくとも10モル%以上、好ましくは50モル%以上がメタクリロイルオキシエチルイソシアネートと反応していればよい。上記の2−ヒドロキシエチルメタクリレートに代えて又は併用して、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルァミド、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート等の水酸基を有するモノマーも使用することができる。
上記式で表されるウレタン変性アクリル系樹脂は、上記共重合体を溶解可能な溶剤、例えば、トルエン、ケトン、セロソルブアセテート、ジメチルスルフォキサイド等の溶媒に溶解させ、この溶液を撹拌しながら、メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを滴下及び反応させることにより、イソシアネート基がアクリル系樹脂の水酸基と反応してウレタン結合を生じ、該ウレタン結合を介して樹脂中にメタクリロイル基を導入することができる。この際使用するメタクリロイルオキシエチルイソシアネートの使用量は、アクリル系樹脂の水酸基とイソシアネート基との比率で水酸基1モル当たりイソシアネート基0.1〜5モル、好ましくは0.5〜3モルの範囲になる量である。なお、上記樹脂中の水酸基よりも当量以上のメタクリロイルオキシエチルイソシアネートを使用する場合には、該メタクリロイルオキシエチルイソシアネートは樹脂中のカルボキシル基とも反応して−CONH−CH2CH2−の連結を生じることもあり得る。
以上の例は、上記式において、全てのR1及びR2がメチル基であり、X及びYがエチレン基である場合であるが、本実施態様は、これらに限定されず、5個のR1は夫々独立して水素原子又はメチル基であってもよく、更にR2 の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−又はiso−プロピル基、n−、iso−又はtert−ブチル基、置換又は未置換のフェニル基、置換又は未置換のベンジル基等が挙げられ、X及びYの具体例としては、エチレン基、プロピレン基、ジエチレン基、ジプロピレン基等が挙げられる。このようにして得られるウレタン変性アクリル系樹脂は全体の分子量としては、GPCで測定した標準ポリスチレン換算重量平均分子量で1万〜20万、更に2〜4万であることがより好ましい。
上記のような電離放射線硬化型樹脂を硬化させる際には、架橋構造、粘度の調整等を目的として、上記のモノマーとともに下記のような単官能又は多官能のモノマー、オリゴマー等を併用することができる。
上記単官能モノマーとしては、例えば、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート等のモノ(メタ)アクリレート等が、2官能以上のモノマーとしては、骨格構造で分類するとポリオール(メタ)アクリレート(例えば、エポキシ変性ポリオール(メタ)アクリレート、ラクトン変性ポリオール(メタ)アクリレート等の)、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、その他ポリブタジエン系、イソシアヌール酸系、ヒダントイン系、メラミン系、リン酸系、イミド系、ホスファゼン系等の骨格を有するポリ(メタ)アクリレート等が挙げられ、紫外線、電子線硬化性である種々のモノマー、オリゴマー、ポリマーが利用できる。
更に詳しく述べると、2官能のモノマー、オリゴマーとしては、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等が例示され、また、3官能のモノマー、オリゴマー、ポリマーとしては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、脂肪族トリ(メタ)アクリレート等が例示され、また、4官能のモノマー、オリゴマーとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、脂肪族テトラ(メタ)アクリレート等が例示され、また、5官能以上のモノマー、オリゴマーとしては、例えば、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が例示され、また、ポリエステル骨格、ウレタン骨格、ホスファゼン骨格を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。官能基数は特に限定されるものではないが、官能基数が3より小さいと耐熱性が低下する傾向があり、また、20を超える場合には柔軟性が低下する傾向があるため、特に官能基数が3〜20のものが好ましい。
上記のような単官能又は多官能のモノマー、オリゴマーの使用量としては、イメージ変換層の製造方法等に応じて、任意に決定すればよいが、通常、電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して、50重量部以下とすることが好ましく、特に0.5重量部〜20重量部の範囲内が好ましい。
さらに本実施態様におけるイメージ変換層には、必要に応じて、光重合開始剤、重合禁止剤、劣化防止剤、可塑剤、滑剤、染料や顔料などの着色剤、増量やブロッキング防止などの体質顔料や樹脂などの充填剤、界面活性剤、消泡剤、レベリング剤、チクソトロピー性付与剤等の添加剤を、適宜加えても良い。
(内部位相型回折光学素子層)
上記イメージ変換層が内部位相型回折光学素子層である場合、イメージ変換層の上記透過型フーリエ変換ホログラム領域には、物体光と参照光との干渉縞が記録されたものとされ、上記干渉縞と上記干渉縞間を形成する成分との屈折率差によって、光像が観察可能となる。
このようなイメージ変換層を形成する材料としては、感光性組成物を用いることができ、一般的には銀塩材料、重クロム酸ゼラチン乳剤、光重合性樹脂、光架橋性樹脂等の公知の感光性組成物を用いることができるが、本実施態様においては、生産の効率上、特に下記の(i)、(ii)の材料を含有する感光性組成物が好適に用いられる。このような感光性組成物について、以下それぞれ説明する。
(i)バインダ樹脂、光重合可能な化合物、光重合開始剤および増感色素を含有する感光性組成物について
まず、バインダ樹脂、光重合可能な化合物、光重合開始剤および増感色素を含有する感光性組成物について説明する。このような感光性組成物に用いられるバインダ樹脂としては、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、またはその部分加水分解物、ポリ酢酸ビニルまたはその加水分解物、アクリル酸、アクリル酸エステル等の共重合可能なモノマー群の少なくとも1つを重合成分とする共重合体など、又はそれらの混合物や、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、ポリビニルアルコールの部分アセタール化物であるポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等、またはそれらの混合物等が挙げられる。ここでイメージ変換層を形成する際には、上記透過型フーリエ変換ホログラム領域に記録されたホログラムを安定化するために、加熱してモノマーを移動させる工程がある。このためには、バインダ樹脂は、ガラス転移温度が比較的低く、モノマー移動が容易に移動できるものであることが好ましい。
また、感光性組成物に含有される光重合可能な化合物としては、後述するような1分子中に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する光重合、光架橋可能なモノマー、オリゴマー、プレポリマーおよびそれらの混合物が適用でき、例えば不飽和カルボン酸及びその塩、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド化合物等が挙げられる。
不飽和カルボン酸のモノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等があり、また脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート等がある。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート等が挙げられる。イタコン酸エステルとしてはエチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート等が挙げられる。クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラクロトネート等が挙げられる。イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等が挙げられる。マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレエート、トリエチレングリコールジマレエート、ペンタエリスリトールジマレエート、ソルビトールテトラマレエート等が挙げられる。
ハロゲン化不飽和カルボン酸としては、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート等が挙げられる。また、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミドのモノマーの具体例としてはメチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスアクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスメタクリルアミド等が挙げられる。
また用いられる光重合開始剤としては、1,3−ジ(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3´,4,4´−テトラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、N−フェニルグリシン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、3−フェニル−5−イソオキサゾロン、2−メルカプトベンズイミダゾール、また、イミダゾール二量体類等が例示される。光重合開始剤は、記録されたホログラムの安定化の観点から、ホログラム記録後に分解処理されるのが好ましい。例えば有機過酸化物系にあっては紫外線照射することにより容易に分解されるので好ましい。
また、増感色素としては、350〜600nmに吸収光を有するチオピリリウム塩系色素、メロシアニン系色素、キノリン系色素、スチリルキノリン系色素、ケトクマリン系色素、チオキサンテン系色素、キサンテン系色素、オキソノール系色素、シアニン染料、ローダミン染料、チオピリリウム塩系色素、ピリリウムイオン系色素、ジフェニルヨードニウムイオン系色素等が例示される。なお、350nm以下、または600nm以上の波長領域に吸収光を有する増感色素であってもよい。
上記バインダ樹脂、上記光重合可能な化合物、上記光重合開始剤および上記増感色素とからなる感光性組成物の配合比は次の通りである。光重合可能な化合物は、バインダ樹脂100質量部に対して10質量部〜1000質量部、好ましくは10質量部〜100質量部の割合で使用される。光重合開始剤は、バインダ樹脂100質量部に対して1質量部〜10質量部、好ましくは5質量部〜10質量部の割合で使用される。増感色素は、バインダ樹脂100質量部に対して0.01質量部〜1質量部、好ましくは0.01質量部〜0.5質量部の割合で使用される。その他、感光性組成物の成分としては、例えば可塑剤、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよび各種の非イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、陰イオン系界面活性剤等が挙げられる。
また上記感光性組成物は、通常メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、キシレン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、酢酸エチル、イソプロパノール等の単独、またはそれらの混合溶剤を使用し、固型分10%〜25%の塗布液として用いられることとなる。上記イメージ変換層は、上記透明基材が枚葉(1枚毎のシート)の状態であれば、希釈された上記感光性組成物を用いてバーコート、スピンコート、又はディッピング等により塗布形成される。また、透明基材がロール状の長尺の状態で塗布するのであれば、グラビアコート、ロールコート、ダイコート、又はコンマコート等により希釈された上記感光性組成物が塗布され、乾燥および/または必要に応じて硬化させることによりイメージ変換層が形成される。このようにして得られるイメージ変換層の厚みは、0.1μm〜50μm、好ましくは5μm〜20μmであり、必要に応じて保護フィルムを貼付してもよい。保護フィルムとしては、厚さ10μm〜100μm程度のポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム等の透明性が高く、平滑性が高い樹脂フィルムをゴムローラー等で貼り合わせるとよい。また、感光性組成物として、例えばデュポン社製の市販品「オムニデックス801」等を使用してもよい。
このようなイメージ変換層の透過型フーリエ変換ホログラム領域には、2光束のレーザー光が使用されて干渉縞が記録される。上記レーザー光としては、例えば、可視光量域であるヘリウム−ネオンレーザーにおける633nmの波長光、アルゴンレーザーにおける514.5nm、488nm、457.9nmの波長光、またクリプトンレーザーにおける647.1nm、568.2nm、520.8nmの波長光、さらに、クリプトンレーザー(1.5W)における337.5nm、350.7nm、356.4nmの波長光、また、アルゴンレーザー(40mW)における351.1nm、368.8nmの波長光、またネオンレーザー(50mW)における332.4nmの波長光、カドミウムレーザー(15mW)における325.0nmの波長光等が適用できる。
このうちの一波長を取り出して、光重合開始剤を励起可能とする波長を使用して干渉縞を記録するか、物体光と参照光との干渉光を記録するか、あるいは、保護フィルムを剥がしてから、イメージ変換層にホログラムの原版を密着し、イメージ変換層側からレーザーを入射し、原版からの反射光と入射した光の干渉縞を記録してホログラムの情報を与える。
その後、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光源から、0.1〜10,000mJ/cm2、好ましくは、10〜1,000mJ/cm2 の紫外線照射により光重合開始剤を分解する工程、及び、例えば120℃で120分の加熱により、光重合可能な化合物を拡散移動させる加熱処理工程等を経て、安定なイメージ変換層とされる。
(ii)カチオン重合性化合物、ラジカル重合性化合物、特定波長の光に感光してラジカル重合性化合物を重合させる光ラジカル重合開始剤系、および特定波長の光に対しては低感光性であり、別の波長の光に感光してカチオン重合性化合物を重合させる光カチオン重合開始剤系を含有する感光性組成物について
次に、カチオン重合性化合物、ラジカル重合性化合物、特定波長の光に感光してラジカル重合性化合物を重合させる光ラジカル重合開始剤系、および特定波長の光に対しては低感光性であり、別の波長の光に感光してカチオン重合性化合物を重合させる光カチオン重合開始剤系を含有する感光性組成物について説明する。
この感光性組成物を用いた場合には、透明基材上に感光性組成物を塗布した後に、光ラジカル重合開始剤系が感光するレーザー光等の光を照射し、次いで、光カチオン重合開始剤系が感光する上記レーザー光とは別の波長の光を照射することによって、透過型フーリエ変換ホログラム領域にホログラムが記録されたイメージ変換層が形成される。具体的には、レーザー光等の光の照射(以下、第1露光という。)によって、ラジカル重合性化合物を重合させる。その後、カチオン重合性化合物を、その次に行う全面露光(以下、後露光という。)によって、光カチオン重合開始剤系が分解されて発生するブレンステッド酸あるいはルイス酸によりカチオン重合させることにより、イメージ変換層を形成するのである。
上記カチオン重合性化合物としては、ラジカル重合性化合物の重合が比較的低粘度の組成物中で行われることが好ましいという点から、室温で液状のものが用いられる。このようなカチオン重合性化合物としては、ジグリセロールジエーテル、ペンタエリスリトールポリジグリシジルエーテル、1,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシパーフルオロイソプロピル)シクロヘキサン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等が挙げられる。
また、ラジカル重合性化合物としては、分子中に少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有するものが好ましい。また、ラジカル重合性化合物の平均屈折率は、上記カチオン重合性化合物の平均屈折率より大きいことが好ましく、中でも0.02以上大きいことが好ましい。これは、ラジカル重合性化合物とカチオン重合性化合物との屈折率の差によって、ホログラムが形成されることによるものである。したがって、平均屈折率の差が上記値以下である場合には、屈折率変調が不十分となるからである。なお、上記屈折率は分光エリプソメーターにより測定することができる。ラジカル重合性化合物としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、スチレン、2−ブロモスチレン、フェニルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2,3−ナフタレンジカルボン酸(アクリロキシエチル)モノエステル、メチルフェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、β−アクリロキシエチルハイドロゲンフタレート等が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤系としては、ホログラム作製のための第1露光によって、活性ラジカルを生成し、該活性ラジカルがラジカル重合性化合物を重合させる開始剤系であればよく、また、一般に光を吸収する成分である増感剤と活性ラジカル発生化合物や酸発生化合物を組み合わせて用いてもよい。このような光ラジカル重合開始剤系における増感剤は可視レーザー光を吸収するために色素のような有色化合物が用いられる場合が多いが、無色透明ホログラムとする場合には、シアニン系色素の使用が好ましい。シアニン系色素は一般に光によって分解しやすいため、本実施態様における後露光、または室内光や太陽光の下に数時間から数日放置することでホログラム中の色素が分解されて可視域に吸収を持たなくなり、無色透明なホログラムを得ることができるからである。
シアニン系色素の具体例としては、アンヒドロ−3,3´−ジカルボキシメチル−9−エチル−2,2´チアカルボシアニンベタイン、アンヒドロ−3−カルボキシメチル−3´,9´−ジエチル−2,2´チアカルボシアニンベタイン、3,3´,9−トリエチル−2,2´−チアカルボシアニン・ヨウ素塩、3,9−ジエチル−3´−カルボキシメチル−2,2´−チアカルボシアニン・ヨウ素塩、3,3´,9−トリエチル−2,2´−(4,5,4´,5´−ジベンゾ)チアカルボシアニン・ヨウ素塩、2−[3−(3−エチル−2−ベンゾチアゾリデン)−1−プロペニル]−6−[2−(3−エチル−2−ベンゾチアゾリデン)エチリデンイミノ]−3−エチル−1,3,5−チアジアゾリウム・ヨウ素塩、2−[[3−アリル−4−オキソ−5−(3−n−プロピル−5,6−ジメチル−2−ベンゾチアゾリリデン)−エチリデン−2−チアゾリニリデン]メチル]3−エチル−4,5−ジフェニルチアゾリニウム・ヨウ素塩、1,1´,3,3,3´,3´−ヘキサメチル−2,2´−インドトリカルボシアニン・ヨウ素塩、3,3´−ジエチル−2,2´−チアトリカルボシアニン・過塩素酸塩、アンヒドロ−1−エチル−4−メトキシ−3´−カルボキシメチル−5´−クロロ−2,2´−キノチアシアニンベタイン、アンヒドロ−5,5´−ジフェニル−9−エチル−3,3´−ジスルホプロピルオキサカルボシアニンヒドロキシド・トリエチルアミン塩等が挙げられ、これらの1種、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
シアニン系色素と組み合わせて用いてもよい活性ラジカル発生化合物としては、ジアリールヨードニウム塩類、あるいは2,4,6−置換−1,3,5−トリアジン類が挙げられる。高い感光性が必要なときは、ジアリールヨードニウム塩類の使用が特に好ましい。上記ジアリールヨードニウム塩類の具体例としては、ジフェニルヨードニウム、4,4´−ジクロロジフェニルヨードニウム、4,4´−ジメトキシジフェニルヨードニウム、4,4´−ジターシャリーブチルジフェニルヨードニウム、3,3´−ジニトロジフェニルヨードニウムなどのクロリド、ブロミド、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、トリフルオロメタンスルホン酸塩、9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホン酸塩などが例示される。又2,4,6−置換−1,3,5−トリアジン類の具体例としては、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)ー1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(p−メトキシフェニルビニル)−1,3,5−トリアジン、2−(4´−メトキシ−1´−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
上記光カチオン重合開始剤系は、第1露光に対しては低感光性で、第1露光と異なる波長の光を照射する後露光に感光してブレンステッド酸あるいはルイス酸を発生し、カチオン重合性化合物を重合させるような開始剤系とするとよく、第1露光の間はカチオン重合性化合物を重合させないものが特に好ましい。光カチオン重合開始剤系としては、例えばジアリールヨードニウム塩類、トリアリールスルホニウム塩類、鉄アレン錯体類等が挙げられる。ジアリールヨードニウム塩類で好ましいものとしては上述した光ラジカル重合開始剤系で示したヨードニウムのテトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネートなどが挙げられる。トリアリールスルホニウム塩類で好ましいものとしては、トリフェニルスルホニウム、4−ターシャリーブチルトリフェニルスルホニウム等が挙げられる。
感光性組成物には、必要に応じてバインダ樹脂、熱重合防止剤、シランカップリング剤、可塑剤、着色剤等を併用してもよい。バインダ樹脂は、ホログラム形成前のイメージ変換層の成膜性、膜厚の均一性を改善する場合や、レーザー光等の光の照射による重合で形成された干渉縞を後露光までの間、安定に存在させるために使用される。バインダ樹脂は、カチオン重合性化合物やラジカル重合性化合物と相溶性のよいものであればよく、例えば塩素化ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレートと他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体、塩化ビニルとアクリロニトリルの共重合体、ポリ酢酸ビニル等が挙げられる。バインダ樹脂は、その側鎖又は主鎖にカチオン重合性基等の反応性を有していてもよい。
感光性組成物の組成としては、感光性組成物全質量に対して、カチオン重合性化合物は2質量%〜70質量%、好ましくは10重量%〜50質量%、ラジカル重合性化合物は30質量%〜90質量%、好ましくは40質量%〜70質量%、カチオン重合開始剤系は0.3質量%〜8質量%、好ましくは1質量%〜5質量%、ラジカル重合開始剤系は0.3質量%〜8質量%、好ましくは1質量%〜5質量%である。上記感光性組成物は、必須成分および任意成分をそのまま、もしくは必要に応じて、例えばメチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチルなどのエステル系溶媒、トルエンなどの芳香族系溶媒、メチルセロソルブなどのセロソルブ系溶媒、メタノールなどのアルコール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒と配合し、冷暗所にて例えば高速撹拌機を使用して混合することにより調製できる。
このような感光性組成物からなるイメージ変換層は、上記感光性組成物を、(i)の感光性組成物と同様の塗布方法で塗布し、乾燥して形成することができる。塗布量は、適宜選択されるが、例えば乾燥後の膜厚が1μm〜50μmとすることができる。
このように作製されたイメージ変換層に、例えば波長300〜1200nmのレーザー光を使用して、ラジカル重合性化合物を重合させることにより、内部に干渉縞が記録される。この段階で、記録された干渉縞による回折光が得られ、ホログラムが形成されるが、未反応のまま残っているカチオン重合性化合部をさらに重合させるために、後露光として光カチオン重合開始剤系が感光する波長200nm〜700nmの光を全面照射して、ホログラムを形成することが好ましい。なお、後露光の前にイメージ変換層を熱や赤外線で処理することで回折効率、回折光のピーク波長、半値幅などを変化させることもできる。
(振幅型回折光学素子層)
上記イメージ変換層が振幅型回折光学素子層である場合、イメージ変換層の上記透過型フーリエ変換ホログラム領域には、白黒等の明暗の強度分布が記録されているものとされる。このようなイメージ変換層は、銀塩感光材料等の感光材料を用いてイメージ変換層を形成し、このイメージ変換層の透過型フーリエ変換ホログラム領域となる部分にレーザ光源によって、物体光と参照光との干渉光を露光する。その後、現像および定着を行うことによって透過型フーリエ変換ホログラム領域にホログラムを形成することが可能である。
このようなイメージ変換層に用いられる材料としては、例えばハロゲン化銀写真感光材料等の銀塩写真感光材料や、重クロム酸によって処理したゼラチン、感光性樹脂を用いた感光材料等が挙げられる。本実施態様においては、上記の中でも銀塩感光材料が感度が高く、分光感度分布が広く、さらに高い回折効率をもつイメージ変換層を形成することができるため好ましい。
3.透明基材
次に、本実施態様に用いられる透明基材について説明する。本実施態様に用いられる透明基材は、上記イメージ変換層を形成可能なものであり、イメージ変換層の透過型フーリエ変換ホログラム領域において得られる光像を透過できる光透過性を有するものであれば特に限定されない。中でも本実施態様における透明基材は、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、さらには90%以上であることがより好ましい。透過率が低いと、本実施態様の透過型フーリエ変換ホログラム領域により得られる光像が乱れてしまう可能性があるからである。ここで、上記透明基材の透過率は、JIS K7361−1(プラスチックー透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
また、本実施態様に用いられる透明基材は、ヘイズが低いものほど好ましく、具体的にはヘイズ値が0.01%〜5%の範囲内であるものが好ましく、特に0.01%〜3%の範囲内であるものが好ましく、なかでも0.01%〜1.5%の範囲内であるものが好ましい。ここで、上記ヘイズ値は、JIS K7105に準拠して測定した値を用いるものとする。
本実施態様に用いられる透明基材を構成する材料は、上記特性を備えるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、プラスチック樹脂フイルムやガラス板を用いることができる。本実施態様においては、上記透明基材としてプラスチック樹脂フイルムを用いることが好ましい。プラスチック樹脂フイルムは軽量であり、かつ、ガラスのように破損する危険性が少ないからである。
上記プラスチック樹脂フイルムを構成する樹脂としては、上記イメージ変換層を支持できる剛性を備えるものであれば特に限定されるものではない。このようなプラスチック樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリル樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリルスチレン樹脂等を挙げることができる。なかでも複屈折性の面からポリカーボネートが最適である。その厚さは取扱い性の点から、0.05〜5mm程度、好ましくは0.1〜3mmであることが好ましい。また、本実施態様においては、上記透明基材と接着層との密着性を向上させるため、例えば上記透明基材表面にコロナ処理等が行われていてもよい。
4.ホログラム観察シート
次に、本実施態様のホログラム観察シートについて説明する。本実施態様のホログラム観察シートは、上記透明基材と、上記イメージ変換層、および上記接着層を有するものであれば、その形状等は特に限定されるものではなく、ホログラム観察シートの種類や用途等に合わせて適宜選択される。
また、本実施態様においては、上記各層を有するものであれば、その層構成についても特に限定されるものではなく、例えば上記透明基材上や上記イメージ変換層の非ホログラム領域に印刷層が形成されていてもよい。また、上記接着層上に、離型層が配置されていてもよい。またさらに、必要に応じて上記透明基材上やイメージ変換層の非ホログラム領域上に紫外線吸収層や赤外線吸収層、反射防止層等が形成されていてもよい。
また、上記接着層が、上記透明基材の上記イメージ変換層が形成されている側と反対側の面に形成されている場合においては、上記透明基材と上記接着層との間、または上記接着層が上記イメージ変換層の上記非ホログラム領域上に形成されている場合においては、上記非ホログラム領域と上記接着層との間に、自己支持性基材が形成されていてもよい。
上記印刷層が形成されている場合には、ホログラム観察シートに例えば文字情報、記号、マーク、イラスト、キャラクター等を印刷すること等が可能となり、ホログラム観察シートを広告用途や装飾用部材等、幅広い用途に用いること等が可能となる。
このような印刷層としては、各種印刷方式により印刷可能な層であれば、特に限定されるものではなく、例えばポリカーボネート類、ポリエステル類、セルロース誘導体、ノルボルネン系樹脂、ポリ塩化ビニル類、ポリ酢酸ビニル類、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリプロピレン系類、ポリエチレン系類、スチレン系類等からなる層とすることができる。また上記印刷層の形成方法としては、一般的な樹脂層の形成方法と同様とすることができる。また本実施態様において、上記印刷層に印刷を施す際の印刷方式としては、上記印刷層に所望の意匠性を付与できる方式であれば特に限定されず、例えば、平版印刷、凹版印刷、凸版印刷、孔版印刷の基本印刷法、および、それらの応用印刷法が適用できる。応用印刷法としては、フレキソ印刷、樹脂凸版印刷、グラビアオフセット印刷、タコ印刷などや、インクジェット印刷、転写箔を用いる転写印刷、熱溶融または昇華型インキリボンを用いる転写印刷、静電印刷などが適用できる。また、技法では、インキを紫外線で硬化する紫外線(UV)硬化印刷、インキを高温で硬化する焼き付け印刷、湿し水を用いない水なしオフセット印刷、などを用いることができる。
また、印刷層に付与される印刷情報としては特に限定されるものではなく、例えば、文字、記号、マーク、イラスト、キャラクターや、会社名、商品名、セールスポイント、取扱い説明などを挙げることができる。
また、上記接着層上に離型層が配置されている場合には、ホログラム観察シートを、所望の被接着部材に貼りあわせる直前に、離型層と接着層とを剥離して使用することが可能となる。これにより、接着層と被接着部材との間に異物が付着してしまうこと等の少ないものとすることが可能となる。
このような離型層としては、上記接着層を保護することができ、かつ上記接着層から容易に剥離することが可能なものであれば、特に限定されるものではない。このような離型層としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)等からなる層とすることができる。離型層の厚さは、ホログラム観察シートの種類や用途等に応じて適宜選択される。
また、上記離型層の接着層と接する側の面には、接着層との剥離操作を容易とするために、剥離処理が施されていることが好ましい。このような処理方法としては、例えばシリコン処理、アルキッド処理等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
また、上記透明基材上や上記イメージ変換層の非ホログラム領域上に紫外線吸収層や赤外線吸収層、反射防止層が形成されている場合には、本実施態様のホログラム観察シートに紫外線吸収機能や赤外線吸収機能、反射防止機能等を付与することができ、ホログラム観察シートを各種フィルタ等としても用いることが可能である。なお、これらの紫外線吸収層や赤外線吸収層、反射防止層等については、一般的に用いられるものと同様とすることができる。
また、上記自己支持性基材が形成されている場合には、自己支持性の高いホログラム観察シートとすることができ、例えば平面性の高い被接着部材等への接着が容易となり、また、ホログラム観察シートからの離型層の剥離が容易となるからである。
このような自己支持性基材としては、自己支持性を有し、イメージ変換層の透過型フーリエ変換ホログラム領域において得られる光像を透過できる光透過性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば上述した透明基材と同様とすることができる。
また、上記自己支持性基材が、上記透明基材と上記接着層との間に形成されている場合には、上記自己支持性基材と上記透明基材との間に、また上記自己支持性基材が、上記非ホログラム領域と上記接着層との間に形成されている場合には、上記自己支持性基材と上記非ホログラム領域との間に、基材接着層を設けることが好ましい。このような基材接着層としては、上記自己支持性基材と、透明基材または上記非ホログラム領域とを接着可能なものであれば特に限定されるものではない。ここで、上記基材接着層は、上記自己支持性基材の全面に形成されていてもよく、また上記自己支持性基材の一部領域にのみパターン状に形成されていてもよい。
このような基材接着層の形成に用いられる粘着剤としては、例えば、アクリル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、またはこれらの共重合体、スチレン−ブタジェン共重合体、天然ゴム、カゼイン、ゼラチン、ロジンエステル、テルペン樹脂、フェノール系樹脂、スチレン系樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリビニルエーテル、シリコーン樹脂等が例示され、また、α−シアノアクリレート系、シリコーン系、マレイミド系、スチロール系、ポリオレフィン系、ポリビニルエーテル系等の接着剤等が挙げられる。
また、他の粘着剤としては、上記以外に、ヒートシールが挙げられる。例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−イソブチルアクリレート共重合体樹脂、ブチラール樹脂、ポリ酢酸ビニル及びその共重合体樹脂、セルロース誘導体、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、エポキシ樹脂、又はフェノール樹脂が挙げられる。あるいは、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー)、SIS(スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー)、SEBS(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー)等の熱可塑性エラストマー、または反応ホットメルト性樹脂等を使用してもよい。
上記基材接着層は、自己支持性基材と、透明基材または上記非ホログラム領域との接着を目的とする層であるが、この上記基材接着層を用いた接着方法としては、例えば上記粘着剤を接着面のいずれかまたは両側に塗布しておき、必要に応じて乾燥させた後、両者を圧着する方法等が挙げられる。なお、圧着の際に、必要に応じて、加熱してもよい。また、セパレーターと称する、表面が剥離性のシートの剥離性面に粘着剤を塗布しておき、いずれかの接着面に圧着し、圧着後にセパレーターを剥離し、剥離により露出した粘着剤面に他の接着面を圧着する方法も用いることができる。また、上記基材接着層の厚みとしては、ホログラム観察シートの種類や用途等に応じて適宜選択されるが、通常4μm〜20μmとされることが好ましい。
また、上記基材接着層のヘイズ値、透明性については、上述した接着層と同様とすることが好ましい。
なお、本実施態様においても、イメージ変換層の透過型フーリエ変換ホログラム領域上に、後述する第2実施態様で説明するような保護層が形成されていてもよい。
また、このような保護層は、イメージ変換層上全面(透過型フーリエ変換ホログラム領域および非ホログラム領域)に形成されていてもよい。
また、本実施態様のホログラム観察シートは、例えばガラスや透明プラスチック樹脂等、透明性の高い被接着部材に貼りあわせられて用いられることが好ましい。これにより、イメージ変換層の透過型フーリエ変換ホログラム領域により得られる光像が良好に観察可能となるからである。
B.第2実施態様
次に、本発明のホログラム観察シートの第2実施態様について説明する。本実施態様のホログラム観察シートは、透明基材と、上記透明基材上に形成され、点光源から入射した光を所望の光像へ変換する機能を有する透過型フーリエ変換ホログラム領域および上記透過型フーリエ変換ホログラム領域以外の上記機能を有しない非ホログラム領域からなるイメージ変換層と、上記イメージ変換層の上記透過型フーリエ変換ホログラム領域上に形成された保護層とを有するホログラム観察シートであって、上記保護層上に、接着層が形成されていることを特徴とするものである。
本実施態様のホログラム観察シートは、例えば図4に示すように、透明基材1と、その透明基材1上に形成され、少なくとも透過型フーリエ変換ホログラム領域aおよび非ホログラム領域bからなるイメージ変換層2と、そのイメージ変換層2の透過型フーリエ変換ホログラム領域a上に形成された保護層4と、その保護層4上に形成された接着層3とを有するものである。
本実施態様によれば、上記接着層が形成されていることから、例えばガラス等、所望の部材に貼りあわせることが可能なホログラム観察シートとすることができ、例えばホログラム観察シートを例えば電車やバス等、公共の乗り物の窓ガラス等に貼られる広告宣伝媒体や、車や家の窓ガラスに貼られる装飾用部材等として用いたりすることが可能となる。また上記ホログラム観察シートに紫外線吸収機能や赤外線吸収機能等を付与した場合には、各種フィルタとしても用いることが可能となる。
また一般的に、点光源から入射した光を所望の光像へ変換する機能を有する層上に、接着層を形成した場合には、点光源から入射した光を所望の光像へ変換する機能を有する層の屈折率が変化し、光像形成が困難となる。しかしながら本実施態様によれば、上記保護層が形成されており、その保護層上に上記接着層が形成されていることから、上記透過型フーリエ変換ホログラム領域の屈折率差を変化させることのないものとすることができ、種々の用途に用いられるホログラム観察シートとすることができるのである。
またさらに、本実施態様によれば、上記透過型フーリエ変換ホログラム領域を有するイメージ変換層が形成されていることから、透過型フーリエ変換ホログラムを別途貼り合わせたり、挟み込んだりすることなく、効率よく製造されたホログラム観察シートとすることができるという利点も有する。以下、本実施態様のホログラム観察シートの各構成について説明する。なお、上記透明基材、およびイメージ変換層については、上述した第1実施態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。
1.接着層
まず、本実施態様に用いられる接着層について説明する。本実施態様に用いられる接着層は、後述する保護層上に形成されるものであり、本実施態様のホログラム観察シートと、貼りあわせられる被接着部材とを接着可能なものであれば、特に限定されるものではない。このような接着層としては、少なくとも上記保護層上に形成されていればよく、例えば保護層上にパターン状に形成されていてもよく、また保護層上に全面に形成されていてもよい。また上記イメージ変換層の非ホログラム領域上に形成されていてもよい。
また、本実施態様の接着層にも、紫外線吸収剤や赤外線吸収剤が含有されていてもよい。なおこのような接着層の形成方法や形成材料、ヘイズ値、接着性、透明性等については、上述した第1実施態様と同様とすることが可能であるので、ここでの詳しい説明は省略する。
また、本実施態様の接着層が、粘着性を有する粘着層、または密着性および再剥離性の双方の特性を有する再剥離密着層であってもよい。なお、このような粘着層および再剥離密着層については、上述した第1実施態様と同様とすることが可能であるので、ここでの詳しい説明は省略する。
2.保護層
次に、本実施態様に用いられる保護層について説明する。本実施態様に用いられる保護層は、少なくとも上記イメージ変換層の透過型フーリエ変換ホログラム領域上に形成されたものであり、上記イメージ変換層の透過型フーリエ変換ホログラム領域の汚染等を防止し、上記透過型フーリエ変換ホログラム領域の屈折率差が変化すること等を防止する機能を有するものであれば特に限定されるものではない。本実施態様においては、上記イメージ変換層のうち、透過型フーリエ変換ホログラム領域上にのみ形成されているものであってもよいが、例えばイメージ変換層全面に形成されているものであってもよい。
また本実施態様に用いられる保護層は、上記イメージ変換層によって回折される光を透過させるものとされ、光の透過率が優れたものであることが好ましい。本実施態様における保護層は、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、中でも90%以上であることがより好ましい。光の透過率が低いと、本実施態様の透過型フーリエ変換ホログラム領域により得られる光像が乱れてしまう可能性があるからである。ここで、上記保護層の透過率は、JIS K7361−1(プラスチックー透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
また、本実施態様における保護層は、ヘイズが低いものほど好ましく、具体的にはヘイズ値が0.01%〜5%の範囲内であるものが好ましく、特に0.01%〜3%の範囲内であるものが好ましく、なかでも0.01%〜1.5%の範囲内であるものが好ましい。ここで、上記ヘイズ値は、JIS K7105に準拠して測定した値を用いるものとする。
本実施態様に用いられる保護層を構成する材料としては、上記特性を備えるものであれば特に限定されない。このような材料としては、ガラス等の可撓性のないリジッド材でも、可撓性を有するフレキシブル材を用いることもできるが、本実施態様においてはフレキシブル材を用いることが好ましい。フレキシブル材を用いることにより、例えば、本実施態様のホログラム観察シートの製造工程をロールトゥロールプロセスとすることができ、本実施態様のホログラム観察シートを生産性に優れたものにできるからである。
上記フレキシブル材としては、例えば熱可塑性樹脂からなるもの等とすることができ、これらの樹脂としては、例えばポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂等のオレフィン系樹脂等挙げることができる。またこのような熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリ(メタ)アクリル酸エステル又はその部分加水分解物、ポリ酢酸ビニル又はその加水分解物、ポリビニルアルコール又はその部分アセタール化物、トリアセチルセルロース、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、シリコーンゴム、ポリスチレン、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリアリレート、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール又はその誘導体、ポリ−N−ビニルピロリドン又はその誘導体、スチレンと無水マレイン酸の共重合体又はその半エステル、アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリルアミド、アクリロニトリル、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル等の共重合可能なモノマー群の少なくとも1つを重合成分とする共重合体等、を挙げることができる。本実施態様においてはこれら熱可塑性樹脂を1種類のみ用いてもよく、また、2種類以上の混合物として用いても良い。
本実施態様に用いられる保護層には本実施態様の目的や、上記ヘイズ値を損なわない範囲で添加剤が含まれていても良い。上記添加剤としては特に限定されるものではなく、本実施態様のホログラム観察シートの用途等に応じて適宜選択すればよい。このような添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤や赤外線吸収剤、撥水機能付与剤、蛍光増白剤等を挙げることができる。
本実施態様に用いられる保護層の厚みは、上記保護層が、外的要因に起因する変形により、後述するイメージ変換層の腑形を破損しない程度の剛性を有する範囲内であれば特に限定されない。このような厚みとしては、保護層の構成材料の種類に応じて適宜決定すればよいが、通常0.5μm〜10mmの範囲内が好ましく、特に1μm〜5mmの範囲内であることが好ましい。
また、保護層の形成方法としては特に限定されるものではなく、例えばイメージ変換層の透過型ホログラム領域と保護層との間に空気層が形成されるように、スペーサ等を設けてイメージ変換層と保護層とを貼りあわせてもよく、また例えば保護層がイメージ変換層と一定の屈折率差を有する場合には、上記イメージ変換層上に上記樹脂材料を塗布等して保護層を形成してもよい。
3.ホログラム観察シート
次に、本実施態様のホログラム観察シートについて説明する。本実施態様のホログラム観察シートは、上記透明基材と、上記イメージ変換層、上記保護層、および上記接着層を有するものであれば、その形状等は用途に応じて適宜選択され、特に限定されるものではない。
また、本実施態様においては、上記各層を有するものであれば、その層構成等は特に限定されるものではなく、例えば上記透明基材上や上記イメージ変換層の非ホログラム領域上、または上記保護層上に印刷層が形成されていてもよい。また、上記接着層上に、離型層が配置されていてもよい。またさらに、必要に応じて上記透明基材上やイメージ変換層の非ホログラム領域上、上記保護層上に紫外線吸収層や赤外線吸収層、反射防止層等が形成されていてもよい。また、上記保護層と上記接着層との間に、自己支持性基材が形成されていてもよい。なお、上記自己支持性基材が形成される場合、上記自己支持性基材と上記保護層との間に、基材接着層が設けられていることが好ましい。
このような印刷層、離型層、紫外線吸収層、赤外線吸収層、反射防止層等については、上述した第1実施態様と同様とすることができるので、ここでの詳しい説明は省略する。また、上記自己支持性基材および基材接着層についても、上述した第1実施態様と同様とすることができるので、ここでの詳しい説明は省略する。
また、本実施態様のホログラム観察シートについても、例えばガラスや透明プラスチック樹脂等、透明性の高い被接着部材に貼りあわせられて用いられることが好ましい。これにより、イメージ変換層の透過型フーリエ変換ホログラム領域により得られる光像が良好に観察可能となるからである。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
[実施例1]
<原版、およびイメージ変換層付き透明基材の形成>
合成石英の基板上に表面低反射クロム薄膜が積層されたフォトマスクブランク板のクロム薄膜上に、ドライエッチング用レジストをスピンナーにより回転塗布した。ドライエッチング用レジストとしては日本ゼオン(株)製ZEP7000を使用し、400nmの厚みとなるように形成した。このレジスト層に対し、電子線描画装置(MEBES4500:ETEC社製)を用い、事前に計算機で作成したパターンを露光し、レジスト樹脂の露光部分を易溶化した。その後、現像液を噴霧し(スプレー現像)して易溶化部分を除去し、レジストパターンを形成した。
続いて、形成されたレジストパターンを利用して、ドライエッチングによりレジストで被覆されていない部分のクロム薄膜をエッチング除去し、石英基板を露出させた。次いで、露出した石英基板をエッチングし、石英基板に凹部を形成した。その後、レジスト薄膜を溶解除去することにより、石英基板がエッチングされて生じた凹部と、石英基板およびクロム薄膜がエッチングされずに残存している凸部とを有する原版を得た。
この凹凸を有する原版に、イメージ変換層形成用組成物(UV硬化性アクリレート樹脂:屈折率1.52 測定波長633nm)を滴下しその上へ厚み0.5mmのポリカーボネートシート(透明基材)を積置し、押圧した。次に活性放射線を照射してイメージ変換層形成用組成物を硬化させた後剥離させ、原版の凹凸型を反転させた凹凸イメージを持つイメージ変換層付き透明基材を作製した。なお、非ホログラム領域となる部分は、平面状とした。
<接着層(粘着層)の形成>
上記イメージ変換層付き透明基材のうち、イメージ変換層が形成された側と反対側の面に、下記の組成を有する接着層形成用塗工液をアプリケーターにて塗工し、本発明のホログラム観察シートとした。乾燥後の膜厚は20μmとした。
(接着層形成用塗工液の組成)
・アクリル系粘着剤(日本カーバイド社製「ニッセツPE-118」) …100重量部
・イソシアネート架橋剤(日本カーバイド社製「ニッセツCK-101」) … 16重量部
・メチルエチルケトン … 30重量部
・トルエン … 15重量部
・酢酸エチル … 15重量部
<評価>
接着層(粘着層)が形成されたホログラム観察シートの接着面をガラス板に貼り付け、ガラス板を通して点光源を観察すると、フーリエ変換された所定の画像を観察することができた。
[実施例2]
<原版、およびイメージ変換層付き透明基材の形成>
実施例1と同様に、原版を作製し、透明基材上に、イメージ変換層を形成した。
<保護層および接着層(粘着層)の形成>
アクリル板(製品名:パラグラス 厚み2mm:クラレ社製)にスペーサ兼接着剤として(塗工液CAT-1300S:帝国インキ社製)をパターン状にスクリーン印刷し印刷面に離型紙を貼り合わせ保護層形成部材として準備をした。なお、スペーサ兼接着剤は非ホログラム領域となる部分にパターン状に形成された。
続いて、上記保護層形成部材の離型紙を剥がし、上記イメージ変換層付き透明基材のイメージ変換層側に押圧し、貼り合わせた。貼り合わせたものを所定の大きさ(5cm×5cm)に抜き、加工を行った。
その後、実施例1と同様の方法により、上記保護層上に接着層(粘着層)を形成し、本発明のホログラム観察シートとした。
<評価>
接着層(粘着層)が形成されたホログラム観察シートの接着面をガラス板に貼り付け、ガラス板を通して点光源を観察すると、フーリエ変換された所定の画像を観察することができた。
[実施例3]
<原版、イメージ変換層付き透明基材、および接着層(粘着層)の形成>
実施例1と同様に、原版を作製し、透明基材上に、イメージ変換層を形成した。その後、イメージ変換層の非ホログラム領域に、スクリーン印刷により柄印刷を施した。印刷は、白印刷層を下地とし、その上に柄の印刷を施した。
続いて実施例1と同様に透明基材のイメージ変換層が形成された側と反対側の面に接着層(粘着層)を形成し、本発明のホログラム観察シートとした。
<評価>
接着層(粘着層)が形成されたホログラム観察シートの接着面をガラス板に貼り付け、ガラス板を通して点光源を観察すると、フーリエ変換された所定の画像を観察することができた。
[実施例4]
<原版、およびイメージ変換層付き透明基材の形成>
実施例1と同様に、原版を作製し、透明基材上に、イメージ変換層を形成した。
<離型層付き保護層の形成>
表面離型処理PETフィルム(SP-PET(50μm):トーセロ(株)製)上に実施例1で用いた接着層形成用塗工液をアプリケーターで塗工し、乾燥後の膜厚が20μmとなるよう加工した。
続いて、透明基材のイメージ変換層が形成された側と反対側の面に表面離型処理PETフィルムの接着層面をラミネートして離型層付きホログラム観察シートを作製した。
<評価>
表面離型処理PETフィルムを剥がすと、接着層(粘着層)が透明シート側へ移行していた。その後、接着層面をガラス板に貼り付け、ガラス板を通して点光源を観察すると、フーリエ変換された所定の画像を観察することができた。
[実施例5]
<原版、およびイメージ変換層付き透明基材の形成>
実施例1と同様に、原版を作製し、透明基材上に、イメージ変換層を形成した。
<離型層付き再剥離密着層の形成>
剥離用シート(厚さ50μmのシリコーンセパレーター、SP−PET;東京セロファン紙社製)上に下記の組成の再剥離性密着剤を乾燥膜厚10μmで塗布し、離型層付き再剥離密着層を形成した。
(再剥離性密着剤の組成)
・アクリル系密着剤(綜研化学社製「SKダイン1473H」) …100重量部
・硬化剤(綜研化学社製「L45」) …3重量部
続いて、透明基材のイメージ変換層が形成された側と反対側の面に、離型層付き再剥離密着層の再剥離密着層面をラミネートして離型層付きホログラム観察シートを作製した。
<評価>
ホログラム観察シートの再剥離密着層から離型層を剥がし、接着面をガラス板に貼り付け、ガラス板を通して点光源を観察すると、フーリエ変換された所定の画像を観察することができた。また、ホログラム観察シートをガラス板に貼り付けてから7日後、ホログラム観察シートの剥離を行ったところ、ホログラム観察シートはきれいに剥離でき、密着剤残り等は生じなかった。
[実施例6]
<原版、およびイメージ変換層付き透明基材の形成>
実施例1と同様に、原版を作製し、透明基材上に、イメージ変換層を形成した。
<再剥離密着層および離型層の形成>
上記イメージ変換層付き透明基材のうち、イメージ変換層が形成された側と反対側の面に、下記の組成を有する再剥離密着層形成用塗工液をアプリケーターにて乾燥後の膜厚が20μmとなるように塗工し、150℃、続いて100℃で乾燥させ、再剥離密着層を形成した。
(再剥離密着層形成用塗工液の組成)
・シリコーン系無溶剤剥離剤(信越化学工業(株)製「KNS-316」) …100重量部
・白金触媒(信越化学工業(株)製「PL-50T」) … 2重量部
続いて、再剥離密着層上に、厚み25μmのPET基材(ルミラー♯25T60;東レ(株)製)を常温でラミネートして、離型層付きホログラム観察シートを作製した。
<評価>
ホログラム観察シートの再剥離密着層から離型層を剥がし、接着面をガラス板に貼り付け、ガラス板を通して点光源を観察すると、フーリエ変換された所定の画像を観察することができた。また、ホログラム観察シートは気泡なく、ガラス基板に密着させることができ、また一度ガラス基板から剥離しても再密着させることができた。さらに、ホログラム観察シートの剥離時において、ホログラム観察シートはガラス板に跡を残すことなく、きれいに剥離することができた。
[実施例7]
<原版、およびイメージ変換層付き透明基材の形成>
実施例1と同様に、原版を作製し、透明基材上に、イメージ変換層を形成した。
<自己支持性基材および基材接着層の形成>
自己支持性基材(ルミラー♯50T60;東レ(株)製)に、実施例6と同様にして再剥離密着層および離型層を形成した。
続いて、自己支持性基材の再剥離密着層が形成されている側と反対側の面に、実施例1で使用した接着層形成用塗工液と同様のものを塗布して基材接着層を形成した。次に、基材接着層上にイメージ変換層付き透明基材の透明基材側の面を密着させて、本発明のホログラム観察シートとした。
<評価>
ホログラム観察シートの再剥離密着層から離型層を剥がし、接着面をガラス板に貼り付け、ガラス板を通して点光源を観察すると、フーリエ変換された所定の画像を観察することができた。また、ホログラム観察シートは気泡なく、ガラス基板に密着させることができ、また一度ガラス基板から剥離しても再密着させることができた。さらに、ホログラム観察シートの剥離時において、ホログラム観察シートはガラス板に跡を残すことなく、きれいに剥離することができた。
本発明のホログラム観察シートの一例を示す概略断面図である。 本発明のホログラム観察シートの他の例を示す概略断面図である。 透過型フーリエ変換ホログラム領域の機能を説明する概略図である。 本発明のホログラム観察シートの他の例を示す概略断面図である。
符号の説明
1 …透明基材
2 …イメージ変換層
3 …接着層
4 …保護層
a …透過型フーリエ変換ホログラム領域
b …非ホログラム領域

Claims (6)

  1. 透明基材と、前記透明基材上に形成され、点光源から入射した光を所望の光像へ変換する機能を有する透過型フーリエ変換ホログラム領域および前記透過型フーリエ変換ホログラム領域以外の前記機能を有しない非ホログラム領域からなるイメージ変換層と、前記透明基材の前記イメージ変換層が形成されている側と反対側の面、または前記イメージ変換層の前記非ホログラム領域上に接着層が形成された接着層とを有するホログラム観察シートであって、
    前記接着層が、前記透明基材の前記イメージ変換層が形成されている側と反対側の面に形成されている場合においては、前記透明基材と前記接着層との間、また、前記接着層が、前記イメージ変換層の前記非ホログラム領域上に形成されている場合においては、前記非ホログラム領域と前記接着層との間に、自己支持性基材が形成されていることを特徴とするホログラム観察シート。
  2. 透明基材と、前記透明基材上に形成され、点光源から入射した光を所望の光像へ変換する機能を有する透過型フーリエ変換ホログラム領域および前記透過型フーリエ変換ホログラム領域以外の前記機能を有しない非ホログラム領域からなるイメージ変換層と、前記イメージ変換層の前記透過型フーリエ変換ホログラム領域上に形成された保護層とを有するホログラム観察シートであって、
    前記保護層上に、接着層が形成されており、
    前記保護層と前記接着層との間に、自己支持性基材が形成されていることを特徴とするホログラム観察シート。
  3. 前記接着層が、粘着性を有する粘着層、または、密着性および再剥離性の双方の特性を有する再剥離密着層であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のホログラム観察シート。
  4. 前記透明基材上に印刷層が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のホログラム観察シート。
  5. 離型層が、前記接着層上に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載のホログラム観察シート。
  6. 前記イメージ変換層が、前記透過型フーリエ変換ホログラム領域の表面に凹凸構造を有
    する表面位相型回折光学素子層であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいず
    れかの請求項に記載のホログラム観察シート。
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