JP4306053B2 - ホログラム着色粘着ラベル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、体積ホログラムを着色粘着剤層を伴なって被着体に貼れるように構成され、コントラストの高いホログラム画像を与え、しかも、着色粘着剤層中の着色成分の体積ホログラムへの影響を阻止できるホログラム着色粘着ラベルに関する。
【0002】
【従来の技術】
体積ホログラムは、情報を厚み方向に記録でき、また、立体的な画像の記録・再生が可能な手段である。
体積ホログラムの製造方法自体は知られているが、製造には、光学機器を使用した精密な作業を要するため、体積ホログラムの模倣が困難である。さらに、体積ホログラムは、光の干渉色で表現されるため、他の画像形成手段では得られにくい外観を有している。
【0003】
体積ホログラムの持つ上記の特性を利用する意味で、フィルム状の体積ホログラム層に粘着剤を適用して粘着ラベルの形にしたホログラム粘着ラベルを、種々の被着体に貼ることが行なわれている。
このとき、体積ホログラム層と被着体との間に、着色層を介在させると、ホログラム画像のコントラストが高くなり、視認性が増す。
【0004】
製造工程上、体積ホログラム層自体には、着色が難しいため、別の着色層を積層することになるが、粘着ラベルとする際には必ず粘着剤層を積層するので、この粘着剤層を着色する試みが行なわれた。
例えば、出願人が出願中の特願平10−278493号においては、最下層の粘着剤として、着色粘着剤層を使用する発明が記載されている。
【0005】
しかし、着色粘着剤層を体積ホログラム層に直接積層すると、着色粘着剤層中の着色成分が体積ホログラム層内に移行し、全体を着色したり、体積ホログラム層を膨潤もしくは収縮させ、ホログラム画像を損なうことがある。
この傾向は、着色剤が染料であるときに顕著であるが、粒子のごく細かい顔料においても見られるものである。
【0006】
そこで、上記の出願においては、体積ホログラム層と着色粘着剤層との間に、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体等の樹脂塗料による層を形成して、着色粘着剤層からの染料等の移行を防止する手段を付加することも記載されているが、これらの樹脂を溶剤で溶解もしくは分散して体積ホログラム側に塗布しようとすると、溶剤が体積ホログラム層中に浸透して、体積ホログラム層を膨潤もしくは収縮させる恐れがある。加えて、粘着剤の積層の際とは異なる塗布工程を要するので、製造工程が複雑化する。
【0007】
あるいは、一時的キャリア上に、着色粘着剤層と上記樹脂層を順に重ねて積層しておき、体積ホログラム層の表面に、両層を転写することも可能である。
しかし、粘度の高い粘着剤を比較的多く塗布する粘着剤の塗布と、粘着剤よりは粘度も低く、塗布量も少ない樹脂塗料の塗布とでは塗布装置、および塗布速度を一致させて行なうことが困難であり、別の装置で順次塗布せざるを得ない。
また、ホログラム層と樹脂層の密着性についても考慮する必要がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明における課題は、体積ホログラムに着色粘着剤を適用したときの欠点を解消する際に、単に樹脂層を介在させて、着色粘着剤中の着色成分の移行を防止しようとしても、依然として残る欠点を解消したホログラム着色粘着ラベルを提供することであり、即ち、着色粘着剤中の着色成分の移行を防止するための層の形成が容易になるホログラム着色粘着ラベルを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、上記の課題を解決するため、体積ホログラムと着色粘着剤との間に、両者を接着するための接着層を介在させたので、体積ホログラムラベルを被着体に貼った後に、着色粘着層中の着色成分の体積ホログラム層への移行を防止でき、しかも、着色粘着層の形成と同様な操作を増やすのみで困難性の少ない製造方法により製品が得られることが可能になった。
【0010】
第1の発明は、上層から下層に向かって、硬化した樹脂層内に体積ホログラムを有する体積ホログラム層、接着層、および着色粘着剤層とが、記載した順に積層されていることを特徴とするホログラム着色粘着ラベルに関するものである。第2の発明は、第1の発明において、前記体積ホログラム層の上面に、保護フィルムが積層されていることを特徴とするホログラム着色粘着ラベルに関するものである。
第3の発明は、第2の発明において、前記体積ホログラム層の上面に、粘着剤層を介して保護フィルムが積層されていることを特徴とするホログラム着色粘着ラベルに関するものである。
第4の発明は、第2の発明において、前記体積ホログラム層の上面に、再剥離性粘着剤層を介して前記保護フィルムが積層されていることを特徴とするホログラム着色粘着ラベルに関するものである。
第5の発明は、第1〜第4いずれかの発明において、最上面にハードコート処理が施されているホログラム着色粘着ラベルに関するものである。
第6の発明は、第1〜第5いずれかの発明において、最下面の前記着色粘着剤層に剥離性シートが積層されていることを特徴とするホログラム着色粘着ラベルに関するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1〜図4はいずれも、本発明のホログラム着色粘着ラベルの構造を示す断面図である。
【0012】
図1に示すように、本発明のホログラム着色粘着ラベル1は、体積ホログラム層2の下面に接着層3、および着色粘着層4が順に積層された構造を有するものである。
図2に示すように、本発明のホログラム着色粘着ラベル1の着色粘着剤層4の下面には、剥離性シート5が積層してあってもよい。
【0013】
図3に示すように、本発明のホログラム着色粘着ラベル1の体積ホログラム層2の上面には、粘着剤層6を介して保護フィルム7が積層してあってもい。
また、体積ホログラム層2の上面に粘着剤層6を介して保護フィルム7が積層してある場合、着色粘着剤層4の下面に、剥離性シート5が積層してあってもよい。
【0014】
体積ホログラム層2は、物体光と参照光との干渉光を、干渉縞の間隔よりも十分に厚い感光材料に記録したもので、物体の3次元構造が、そのまま記録されたものである。この体積ホログラム層2を形成するには、支持体フィルム上に体積ホログラム形成用材料を積層したものに対し、直接、物体光と参照光との干渉光を記録するか、あるいは、体積ホログラムの原版を密着露光することにより複製して得るものであり、工業的には、後者の方法による。
【0015】
体積ホログラム形成用材料を塗布するための支持体フィルムとしては、厚さ1μm〜1mm、好ましくは10μm〜100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(略称PETフィルム)、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、アクリルフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム等を用いる。支持体フィルムとしては、透明性が高く、平滑性が高いフィルムを使用する事が望ましい。
【0016】
体積ホログラム形成用材料としては、銀塩材料、重クロム酸ゼラチン乳剤、光重合性樹脂、光架橋性樹脂等の公知の体積ホログラム記録材料がいずれも使用可能であるが、生産の効率上、マトリックスポリマー、光重合可能な化合物、光重合開始剤及び増感色素、更には必要に応じて添加される可塑剤、界面活性剤とからなる乾式の体積位相型ホログラム記録用途の感光性材料を体積ホログラム形成用材料として使用する事が好ましい。
【0017】
バインダー樹脂であるマトリックス・ポリマーとしては、ポリメタクリル酸エステル又はその部分加水分解物、ポリ酢酸ビニル又はその加水分解物、ポリビニルアルコールまたはその部分アセタール化物、トリアセチルセルロース、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、シリコーンゴム、ポリスチレン、ポリビニルブチラール、ポリクロロプレン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ−N−ビニルカルバゾールまたはその誘導体、ポリ−N−ビニルピロリドン又はその誘導体、スチレンと無水マレイン酸の共重合体またはその半エステル、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリルアミド、アクリルニトリル、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル等の共重合可能なモノマー群の少なくとも1つを重合成分とする共重合体等、またはそれらの混合物が用いられる。
【0018】
マトリックス・ポリマーとして、より好ましくは、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、ポリビニルアルコール、又はポリビニルアルコールの部分アセタール化物であるホリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0019】
記録されたホログラムの安定化工程として加熱によるモノマー移動の工程があるが、そのためにはこれらのマトリックス・ポリマーは、好ましくはガラス転移温度が比較的低く、モノマー移動を容易にするものであることが必要である。
【0020】
光重合可能な化合物としては、後述するような1分子中に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する光重合、光架橋可能なモノマー、オリゴマー、プレポリマー、及び、それらの混合物が挙げられ、例えば、不飽和カルボン酸、及びその塩、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド結合物が挙げられる。
【0021】
光重合可能な化合物である、不飽和カルボン酸のモノマーの具体例としてはアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、及びそれらのハロゲン置換不飽和カルボン酸、例えば、塩素化不飽和カルボン酸、臭素化不飽和カルボン酸、フッ素化不飽和カルボン酸等が挙げられる。
不飽和カルボン酸の塩としては前述のナトリウム塩及びカリウム塩等がある。
【0022】
光重合可能な化合物である、脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルに分類できるものとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー、2−フェノキシエチルアクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、フェノールエトキシレートモノアクリレート、2−(p−クロロフェノキシ)エチルアクリレート、p−クロロフェニルアクリレート、フェニルアクリレート、2−フェニルエチルアクリレート、ビスフェノールAの(2−アクリルオキシエチル)エーテル、エトキシ化されたビスフェノールAジアクリレート、2−(1−ナフチルオキシ)エチルアクリレート、o−ビフェニルアクリレートなどがある。
【0023】
光重合可能な化合物である、脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例のうち、メタクリル酸エステルに分類できるものとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス−〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(アクリルオキシエトキシフェニル〕ジメチルメタン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、メタクリル酸−2−ナフチル等がある。
【0024】
光重合可能な化合物である、脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例のうち、イタコン酸エステルに分類できるものとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエタスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
【0025】
光重合可能な化合物である、脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例のうち、クロトン酸エステルに分類できるものとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラクロトネート等がある。
【0026】
光重合可能な化合物である、脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例のうち、イソクロトン酸エステルに分類できるものとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
【0027】
光重合可能な化合物である、脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例のうち、マレイン酸エステルに分類できるものとしては、エチレングリコールジマレエート、トリエチレングリコールジマレエート、ペンタエリスリトールジマレエート、ソルビトールテトラマレエート等がある。
【0028】
光重合可能な化合物である、ハロゲン化不飽和カルボン酸としては、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート、メタクリル酸−2,4,6−トリブロモフェニル、ジブロモネオペンチルジメタクリレート、(商品名;NKエステルDBN、新中村化学工業(株)製)、ジブロモプロピルアクリレート(商品名;NKエステルA−DBP、新中村化学工業(株)製)、ジブロモプロピルメタクリレート(商品名;NKエステルDBP、新中村化学工業(株)製)、メタクリル酸クロライド、メタクリル酸−2,4,6−トリクロロフェニル、p−クロロスチレン、メチル−2−クロロアクリレート、エチル−2−クロロアクリレート、n−ブチル−2−クロロアクリレート、トリブロモフェールアクリレート、テトラブロモフェノールアクリレート等が挙げられる。
【0029】
また、光重合可能な化合物である、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミト、1,6−ヘキサメチレンビスアクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスメタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド等が挙げられる。
【0030】
光重合可能な化合物のその他の例としては、特公昭48−41708号公報に記載された一分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物、一般式CH2 =C(R)COOCH2 (R’)OH(式中R、R’は水素あるいはメチル基を表す。)で示される水酸基を有するビニルモノマーを付加させた一分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
また特開昭51−37193号公報に記載されたウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号公報、特公昭49−43191号公報、特公昭52−30490号公報にそれぞれ記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ基と(メタ)アクリル酸等の多官能性のアクリレート、もしくはメタクリレートを挙げることができる。
さらに、日本接着協会誌Vol.20、No.7、300〜308頁に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして、紹介されているものも、使用することができる。
【0031】
光重合可能な化合物のその他の例で、リンを含むモノマーとしては、モノ(アクリロイロキシエチル)アシッドフォスフェート(商品名;ライトエステルPA、共栄社油脂化学工業(株)製)、モノ(2−メタクリロイロキシエチル)アシッドフォスフェート(商品名;ライトエステルPM、共栄社油脂化学工業(株)製)が挙げられ、またエポキシアクリレート系である商品名;リポキシVR−60(昭和高分子(株)製、商品名(リポキシVR−90(昭和高分子(株)製)等が挙げられる。
【0032】
また、光重合可能な化合物のその他の例として、商品名;NKエステルM−230G(新中村化学工業(株)製)、商品名;NKエステル23G(新中村化学工業(株)製)も挙げられる。
更に、下記の構造を有するトリアクリレート類(商品名;アロニックスM−315、東亜合成化学工業(株)製)、
【0033】
【化1】
Figure 0004306053
【0034】
下記の構造を有するトリアクリレート類(商品名;アロニックスM−325、東亜合成化学工業(株)製)、
【0035】
【化2】
Figure 0004306053
【0036】
また、2,2’−ビス(4−アクリロキシ・ジエトキシフェニルプロパン(商品名;NKエステルA−BPE−4)、テトラメチロールメタンテトラアクリレート(新中村化学工業(株)製、商品名;NKエステルA−TMMT)等が挙げられる。
【0037】
次に、開始剤系における光重合開始剤としては、1,3−ジ(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、N−フェニルグリシン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)s−トリアジン、3−フェニル−5−イソオキサゾロン、2−メルカプトベンズイミダゾール、また、イミダゾール二量体類等が例示される。
【0038】
光重合開始剤は、記録されたホログラムの安定化の観点から、ホログラム記録後に分解処理されるのが好ましい。例えば、有機過酸化物系にあっては、紫外線照射することにより、容易に分解されるので好ましい。
【0039】
増感色素としては、350〜600nmに吸収光を有するチオピリリウム塩系色素、メロシアニン系色素、キノリン系色素、スチリルキノリン系色素、ケトクマリン系色素、チオキサンテン系色素、キサンテン系色素、オキソノール系色素、シアニン染料、ローダミン染料、チオピリリウム塩系色素、ピリリウムイオン系色素、ジフェニルヨードニウムイオン系色素等が例示される。なお、350nm以下、または600nm以上の波長領域に吸収光を有する増感色素があってもい。
【0040】
上記した、マトリックスポリマー(=バインダー樹脂)、光重合可能な化合物、光重合開始剤及び増感色素とからなる、体積ホログラム形成用材料の配合比は次のとおりである。
光重合可能な化合物はバインダー樹脂100重量部に対して10重量部〜1000重量部、好ましくは10重量部〜100重量部の割合で使用される。
光重合開始剤はバインダー樹脂100重量部に対して1重量部〜10重量部、好ましくは5重量部〜10重量部の割合で使用される。
増感色素はバインダー樹脂100重量部に対して0.01重量部〜1重量部、好ましくは0.01重量部〜0.5重量部の割合で使用される。
【0041】
その他、体積ホログラム形成用材料の成分としては、例えば、可塑剤、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及び各種の非イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、陰イオン系界面活性剤が挙げられる。
【0042】
体積ホログラム形成用材料は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン、テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、酢酸エチル、1,4−ジオキサン、1,2−ジクロロエタン、ジクロルメタン、クロロホルム、メタノール、エタノール、イソプロパノール等、またはそれらの混合溶剤を使用し、固形分15%〜25%程度の塗布液とされる。
【0043】
これらの塗布液を使用し、支持体フィルムが枚葉(1枚毎のシート)の状態で塗布するのであれば、バーコート、スピンコート、又はディッピング等により、支持体フィルムがロール状の長尺の状態で塗布するのであれば、グラビアコート、ロールコート、ダイコート、又はコンマコート等により塗布を行なって、いずれも塗布を行なった後、塗布液に合わせた乾燥ないし、硬化の手段を用いて固化させる。このようにして得られる体積ホログラム形成用材料の厚みは、0.1μm〜50μm、好ましくは5μm〜20μmである。
このような、体積ホログラム形成用材料としては、例えばテュポン社製のオムニデックス352、706が市販されており、利用できる。
【0044】
支持体フィルム上に塗布して得られる体積ホログラム形成用材料の上には、ホログラム情報を露光するまでの間、カバー用のフィルムを貼っておいてもよい。カバー用のフィルムとしては厚さ1μm〜1mm、好ましくは10μm〜100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、アクリルフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム等の透明性が高く、平滑性が高い樹脂フィルムをゴムローラー等で貼り合わせるとよい。
【0045】
カバー用には、上記のような透明樹脂フィルムを貼る替わりに、トリアセチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート等のフィルム形成性のある材料を溶解した塗料をスピンコート等により塗布して、被膜を形成してもよい。
【0046】
支持体フィルム上の体積ホログラム形成用材料には、カバー用フィルムがある場合には、そのままで、あるいはカバー用フィルムを剥がしてから、支持体フィルム側から、直接、2光束のレーザー光、例えばアルゴンレーザー(波長514.5nm)、クリプトンレーザー(波長647nm)等を使用して、物体光と参照光との干渉光を記録するか、あるいは、保護フィルムを剥がしてから、体積ホログラム形成用材料に直接、体積ホログラムの原版を密着し、体積ホログラム形成用材料の支持体フィルム側からアルゴンレーザー(波長514.5nm)を入射し、原版からの反射光と入射した光の干渉縞を記録し、体積ホログラムの情報を与える。
光源として、476.5nm、532nm、および647nmの波長の輝線のレーザー光を使用して記録することにより、フルカラーホログラムを得ることができる。
【0047】
記録後、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光源から、0.1〜10,000mJ/cm2 、好ましくは、10〜1,000mJ/cm2 の紫外線照射により光重合開始剤を分解する工程、及び加熱処理、例えば、120℃で24分の加熱により、光重合可能な化合物を拡散移動させる工程を順次経て、安定な体積ホログラムとする。
なお、本発明における体積ホログラム層2は、ホログラム画像の色を別にすると、無色透明か、種々の要因により若干着色していても、透明性を有し、また十分な可視光透過性を有している。
【0048】
上記のプロセスで得られる体積ホログラム層2は、体積ホログラムを樹脂層内に有する体積ホログラム層が支持体フィルムと積層した構造である。支持体フィルムは体積ホログラム層が形成された時点で剥がしてもよく、あるいは、以降の加工工程で体積ホログラム層2の露出面が傷付いたり汚染したりするのを防止する目的で、そのまま付着させておき、加工の必要のあるときに剥がして除去するか、製品とする直前に剥がすとよい。あるいは支持体フィルムをそのまま製品上に残しておき、本発明のホログラム着色粘着ラベルを被着体に貼った時点で剥がすようにしてもよい。
【0049】
上気したような体積ホログラム層2は、支持体フイルム上に体積ホログラム記録材料を塗布した後、物体からの光の波面に相当する干渉縞が透過率変調、屈折率変調の形で層内に記録されたもので、複製に際しても、体積ホログラム原版を密着させて露光現像することにより容易に作製できる利点を有するものである。
【0050】
接着層3は、上記のようにして得られる体積ホログラム層2と次に説明する着色粘着剤層4とを接着させるためのものであって、具体的には、粘着剤もしくは接着剤から構成される。
粘着剤は、貼り合わせ時も、また貼り合わせた後もゲル状の軟らかい固体で、被着体への濡れ、およびその後の状態に置いても態の変化を起こさずに、剥離に抵抗するものである。これに対し、接着剤は、貼り合わせ時には流動性を有していて被着体への濡れを起こし、貼り合わせた後に、加熱もしくは化学反応により固体となり、界面で強固に結び付き、剥離に抵抗するもので、言わば、液体で濡れ、固体で接着するものである。
【0051】
接着層3を構成する粘着剤の素材としては、アクリル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、またはこれらの共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、天然ゴム、カゼイン、ゼラチン、ロジンエステル、テルペン樹脂、フェノール系樹脂、スチレン系樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリビニルエーテル、シリコーン樹脂等、また、アルファ−シアノアクリレート系、シリコーン系、マレイミド系、スチロール系、ポリオレフィン系、レゾルシノール系、ポリビニルエーテル系等が挙げられる。
【0052】
接着層3を、ヒートシール剤である、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−イソブチルアクリレート共重合樹脂、ブチラール樹脂、ポリ酢酸ビニル及びその共重合樹脂、セルロース誘導体、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、SBS、SIS、SEBS、SEPS等の熱可塑性エラストマー、又は反応ホットメルト系樹脂等を素材として構成してもよい。
なお、いずれの素材を使用するにせよ、接着層3が無色透明になるよう、万一、着色している場合でも、ごく淡い着色で、可視光の透過が十分な素材を選択する。この点は後に述べる着色粘着層4、粘着剤層6においても同様である。
【0053】
接着層3は上記の素材を酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン等の溶媒に溶解、または分散され、コンマコーター、ダイコーター、グラビアコーター等により一時的キャリヤである表面平滑な剥離フィルム上に、乾燥膜厚2μm〜20μmに塗布形成する。あるいは、体積ホログラム層2に直接に適用することもできるが、体積ホログラム層2のホログラムに溶剤が与える影響を考慮し、一時的キャリア上に塗布してから、塗布面を体積ホログラム層2に重ねて加圧することにより、適用する方がより好ましい。
【0054】
なお、粘着剤層3には、体積ホログラム層2の構成材料として記載した光重合可能な化合物や可塑剤、また、粘着付与剤(タッキファイヤー)や界面活性剤等を、その粘着性を阻害しない範囲で添加すると、これら添加成分は体積ホログラム層2に移行し、体積ホログラム層2を膨潤、または収縮させる作用を有するので、ホログラムから再生される画像情報の色みを制御することができる。
【0055】
粘着剤層3の下面には、着色粘着剤層4が積層されている。
着色粘着剤層4を構成する粘着剤の素材としては、アクリル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、またはこれらの共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、天然ゴム、カゼイン、ゼラチン、ロジンエステル、テルペン樹脂、フェノール系樹脂、スチレン系樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリビニルエーテル、シリコーン樹脂等が使用できる。
また、粘着剤の代わりに、アルファ−シアノアクリレート系、シリコーン系、マレイミド系、スチロール系、ポリオレフィン系、レゾルシノール系、ポリビニルエーテル系接着剤等が挙げられる。さらに、ヒートシール剤である、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−イソブチルアクリレート共重合樹脂、ブチラール樹脂、ポリ酢酸ビニル及びその共重合樹脂、セルロース誘導体、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、SBS、SIS、SEBS、SEPS等の熱可塑性エラストマー、又は反応ホットメルト系樹脂等を使用してもよい。
【0056】
着色粘着剤層4に添加される着色剤としては、顔料、染料、または顔料と染料との混合物が挙げられる。
顔料としては、カーボンブラック、銅−鉄−マンガン、アニリンブラック等の黒色顔料、また、黒色以外のナフトールレッドF5RK、フタロシアニンブルー等の着色顔料、赤外線反射顔料を単独または混合して用いられる。
【0057】
顔料として、着色した赤外線反射顔料を使用すると、体積ホログラム層2の背景となる着色粘着剤層4を可視光とは相違した状態に変化させることができ、例えば偽造防止や身分証明等に利用することができる。
【0058】
顔料は、その平均粒子径が10μm以下、好ましくは1μm以下とするとよく、平均粒径が10μmを越えると、体積ホログラム層2自体が軟質のために、着色粘着剤層4の凹凸により、ホログラムに記録された干渉縞を乱す恐れがあり、また、ホログラム画像が暗くなったり、また、斑状に抜けが発生するので好ましくない。そのため、本発明にあっては、体積ホログラム層2に積層される着色粘着剤層4表面(図中の下面)の表面平滑度を±0.5μm以下、好ましくは±0.2μm以下とすることが好ましい。このような表面平滑度は、顔料を含有した着色粘着剤層4を、表面平滑な剥離フィルム上に形成した後、該剥離フィルムを剥離し、その剥離面から転写により体積ホログラム層2下面の粘着剤層3に積層することにより容易に達成することができる。
【0059】
また、染料としては、アシッドブラック、クロムブラック、リアテクティブブラック等の黒色染料、また、ディスパースレッド、カチオンブルー、カチオンイエロー等の染料が例示され、単独または混合して用いられる。
【0060】
顔料または染料は、使用する粘着剤との適性、例えば着色粘着剤層を構成する粘着剤におけるカルボキシル価、ヒドロキシル価等を考慮して選定するとよく、これにより着色粘着層に対する顔料や染料による着色工程を容易にすることができる。
【0061】
顔料また染料は、着色粘着剤層中に1重量%〜40重量%、好ましくは10重量%〜30重量%含有させるとよいが、含有割合が40重量%を越えると粘着性が低下するので、好ましくない。
【0062】
顔料、染料は、上記粘着剤と共に酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン等の溶媒に溶解、または分散され、コンマコーター、ダイコーター、グラビアコーター等により、例えば、一時的キャリヤである表面平滑な剥離フィルム上に乾燥膜厚5μm〜100μm、好ましくは10〜50μmに塗布形成された後、塗布層上に、ホログラム着色粘着ラベルにおける剥離性シート5が積層され、一時的キャリアを剥がして、露出した着色粘着剤層4を体積ホログラム層2に粘着剤層3が積層された、粘着剤層3の露出面に貼り付ける。
なお、本発明においては、体積ホログラム層2に対し、粘着剤層3および着色粘着剤層4の両層を積層するので、一時的キャリアに、粘着剤層3および着色粘着剤層4を順次積層し、さらに剥離性シート4を積層した後に、一時的キャリアを取り除いて体積ホログラム層2に貼ると、体積ホログラム層2への粘着剤層の貼り付けが一度で済むため、効率的であり、しかもコーティングヘッドを2台備えたコーティング装置を使用すると、粘着剤の塗布加工が一度で済む利点が生じる。
【0063】
このようにして形成される着色粘着剤層4は、光学透過濃度が、1.5以上、好ましくは1.9以上であるとよく、また、体積ホログラム層2の回折波長の光を50%以上、好ましくは80%以上吸収するものとするとよく、これにより、コントラストに優れるホログラム画像とできる。
【0064】
本発明においては、以上の基本的な構成に加え、現実的な構成として、次のような点を加味してもよい。
加味することが好ましい点の一は、図2や図4に示されるような剥離性シート5を着色粘着剤層4に積層する点である。
また、加味することが好ましい点の二は、図3や図4に示されるような保護フィルム7を体積ホログラム層2の上面に積層する点である。
更に、加味することが好ましい点の三は、最上面になる体積ホログラム層2の上面、もしくは保護フィルム7が積層されているときは、その保護フィルム7の上面にハードコート処理を施す点である。
【0065】
加味することが好ましい点の一である、剥離性シート5については、着色粘着剤層4を形成する際に、着色粘着剤層4(あるいは着色粘着剤層4に加えて粘着剤層3)を一時的キャリアである剥離性フィルム上に塗布して、そのまま、貼り付けて、本発明のホログラム着色粘着ラベル1を構成し、再下面に積層された剥離性フィルムを除去せずに、そのまま、剥離性シート5として使用できる。 または、剥離性フィルムと一時的キャリアの両方を準備し、一時的キャリア上に着色粘着剤層4を形成後、剥離性フィルムを積層しておき、その後、一時的キャリア側を剥がし、体積ホログラム層2、および粘着剤層3からなる積層体の粘着剤層3側に貼ってもよい。あるいは、体積ホログラム層2、および粘着剤層3からなる積層体の粘着剤層3側に、着色粘着剤層4を塗布形成し、新たに剥離性シート5を貼り合わせてもよい。
【0066】
剥離性シート5としては、通常使用される剥離紙の他に、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、もしくはポリプロピレン樹脂フィルム等をフッ素系離型剤、シリコーン系離型剤等により離型処理して得た離型性フィルムを使用してもよい。
剥離紙を使用するときは、再剥離性粘着剤層と触れない方の面に、横からはみ出した粘着剤によるブロッキングを避ける意味で、剥離処理を施しておくのがよい。
なお、剥離性シート5を形成しなくても、シート状のホログラム着色粘着ラベル1を重ねたり、長い連続状のラベルを巻き取ったときに、着色粘着剤層4と重なり合う別のラベルの上面を離型処理しておけば、一旦接着しても再剥離が可能である。ただ、剥離性シート5を積層した方が、着色粘着剤層4を保管時に保護することが確実に行なえるので好ましい。
【0067】
加味することが好ましい点の二である保護フィルム7については、体積ホログラム層2を形成する際に、体積ホログラム層形成用材料を塗布する対象である支持体フィルムをそのまま残せる場合には、その支持体フィルムが保護フィルム7になり得るが、新たに貼り合わせてもよい。
【0068】
保護フイルム7としては、無色透明か万一着色していてもごく淡い着色で、実質的に無色透明であるポリエチレンフイルム、ポリプロピレンフイルム、ポリ弗化エチレン系フイルム、ポリ弗化ビニリデンフイルム、ポリ塩化ビニルフイルム、ポリ塩化ビニリデンフイルム、エチレン−ビニルアルコールフイルム、ポリビニルアルコールフイルム、ポリメチルメタクリレートフイルム、ポリエーテルスルホンフイルム、ポリエーテルエーテルケトンフイルム、ポリアミドフイルム、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合フイルム、ポリエチレンテレフタレートフイルム等のポリエステルフイルム、ポリイミドフイルム等の樹脂のフィルムが例示され、膜厚としては2μm〜200μm、好ましくは10μm〜50μmである。
【0069】
保護フィルム7を新たに貼るときは、粘着剤層6を介在させ、粘着剤層6は、体積ホログラム層2、もしくは保護フィルム7のいずれに塗布しておいて積層してもよい。
【0070】
保護フィルム7の性格、予想される使用のされ方により、粘着剤層6を構成する粘着剤を、体積ホログラム層2と着色粘着剤層4との間の粘着剤層3を構成するものと同様にするか、あるいは再剥離性粘着剤とするかの選択が可能であり、前者の場合には、保護フィルム7を強固に積層してホログラム着色粘着ラベルを被着体に貼った後の保護機能を強化でき、後者の場合には、保護フィルムは所望の時点で剥離でき、体積ホログラム層2が露出するから、視認性を高くすることができる。
【0071】
粘着剤層6は、所定の粘着剤組成物を、体積ホログラム層2、もしくは保護フィルム7に塗布して貼り合わせてもよいが、体積ホログラム層2への直接塗布はホログラム画像への影響も懸念されるので、保護フィルム2に行なうのが好ましい。あるいは、一時的キャリアに一旦形成してから適用してもよい。
【0072】
加味することが好ましい点の三として、最上面の体積ホログラム層2の上面、保護フイルム7があるときはその上面に、最上面の保護性を高める目的で、必要に応じてハードコート処理が施されてもよい。ハードコート処理は、例えばシリコーン系、含フッ素シリコーン系、メラミンアルキッド系、ウレタン−アクリレート系(紫外線硬化型)等をディッピング塗布、スプレー塗布、ロールコート塗布法により、膜厚1μm〜50μm、好ましくは3μm〜25μmに塗布するとよい。ハードコート処理においても、使用する素材としては、実質的に無色透明であるものを選択して使用する。
【0073】
また、保護フイルム5表面又はハードコート処理面には、離型処理が施されていてもよい。離型処理は、フッ素系離型剤、シリコーン系離型剤、ステアリン酸塩系離型剤、ワックス系離型剤等をディッピング塗布、スプレー塗布、ロールコート塗布法により行なうとよい。
なお、この最上面への離型処理は、体積ホログラム層2が保護フィルムもハードコートも伴わないときは、直接、体積ホログラム層2上に施してもよい。
【0074】
本発明のホログラム着色粘着ラベル1は、剥離性シート5があるときは、剥離性シート5を剥離した後、着色粘着剤層4側が被着体の表面に接するようにして重ね、被着体上に積層される。
【0075】
本発明のホログラム着色粘着ラベル1は、種々な対象に貼ることができる。
また、本発明のホログラム着色粘着ラベル1は光の透過を抑制するよう作られることが多いが、着色粘着剤層4の着色濃度を低くすれば、下層を透視可能にも構成できるので、被着体が透明であるか不透明であるかを問わない。
適用する対象としては、例えば、ガラス、プラスチック等からなる透明のものかもしくは不透明なものが好ましい例として挙げられる。
【0076】
プラスチックとしては、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂等、である。保護フィルムや体積ホログラム形成材料の支持体フィルムとして挙げた透明プラスチックフィルムの例として列挙したものと同様な素材のものがホログラム着色粘着ラベル1を貼る対象となり得る。
これらの素材からなる具体的な物品の例としては、例えば、自動車、鉄道車両、船舶、もしくは航空機等の交通機関の窓、展望用窓、またはドア等がある。あるいは、建造物の窓、ドア、はめ殺しの窓、明かり採り窓等がある。
【0077】
また、上記のような交通機関においては、運転席、操縦席やその他の場所に備えられた計器類やディスプレイの表面の透明ガラス、もしくは透明プラスチック板にもホログラム着色粘着ラベル1を貼ることが出来る。
同様な表示は、電気器具、時計、カメラ、等の機器類にも、種々の表示部分があり、必ずしも無色透明ではなく、非表示時には黒色のものもあるが、このようなものの表面にもホログラム着色粘着ラベル1を貼ることができる。
ただ、着色濃度が高いホログラム着色粘着ラベル1を使用するときは、照明を伴うか、自身の発光強度が高い表示に対して適用することが好ましい。
【0078】
具体的に列挙すれば、上記の他に、電卓、携帯可能なパソコン等や携帯可能な端末機器、携帯電話、IC録音機、CDプレーヤー、DVDプレーヤー、MDプレーヤー、ビデオテープレコーダー、各種オーディオ機器等の表示機能を有する機器類である。
これらにおいては、ホログラム着色粘着ラベル1の着色濃度を下げる方が好ましいが、非常に明るい表示であれば、着色濃度を必ずしも下げなくても、非表示時には、ホログラムのみが見えていて、表示している際には、表示がホログラム着色粘着ラベル1を通して見えるようにすることもできる。
【0079】
これらに加えて、高級腕時計、宝飾品、貴金属、骨董品等、もしくはそれらのケース等には、ホログラム着色粘着ラベル1の体積ホログラム層2の製造の困難性を利用して、真正品である旨の表示のために適用することも出来る。
この場合、貼る対象が透明であってもよいが、不透明であってもよい。
【0080】
本発明のホログラム着色粘着ラベル1は、一旦被着体に貼ると、剥がすのが困難であるため、体積ホログラムそのものの製造の困難性もあるため、被着体の偽造防止効果が大きい。
【0081】
従って、身分証明書、受験票の如きシート、またIDカードのようなカード、また、パスポートのような小冊子に貼ってもよく、また、防火、消毒もしくは防火等の保安、衛生上の等級を示す証書として、あるいはそのための処置を施した事の証書に使用するのに適している。
このほか、従来、紙製の証書を貼って封印した用途であって、対象物品が透明で、かつ、ほぼ平板状か、または2次曲面であるものには、原則的に証書に置き換えての使用が可能である。
【0082】
さらに、ホログラム着色粘着ラベル1を貼る対象としては、広く、紙、合成紙、合成樹脂、金属からなるフイルムやシート、あるいはガラス板等で出来た部分を持つ物品に用いることができる。
また、体積ホログラムの持つ独特で立体が表現できる特性等を利用し、本や中綴じの週刊誌等の雑誌や、プレミアム商品等に貼付するラベルとしても利用できる。自動車等のガラス窓に貼るときは大面積のものは好ましくないが、小さい場合には、着色粘着剤層を伴うために透明ガラスに貼ってもホログラム画像の視認性が確保できるし、着色濃度を下げれば、ホログラム着色粘着ラベルと透明ガラスの両方を通しての透視も可能になる。
【0083】
従って、本発明においては、体積ホログラム層2のホログラム画像としては、上記した対象、用途・目的に合わせたデザインを施すことができ、必要な意味を表現する記号や文字を自由に含む事ができる。ホログラム画像自体は、実物の撮影以外に、ホログラム回折格子を計算で求めたり、デジタルカメラで取り込んだデジタル画像やコンピュータグラフイックスから得られる2次元あるいは3次元の画像データから、ホログラフィックステレオグラム技術等の適宜な手段により作成できる。
【0084】
本発明のホログラム着色粘着ラベル1は、用途によって、予め、貼る対象やその部分の形状に合わせて切断しておくとよい。
あるいは、剥離性シート5を伴うときは、剥離性シート5以外の部分を切り抜いておくことにより、大きいサイズや巻き取った形のホログラム着色粘着ラベル1から、所定の形状の個々のラベルを取り出して、貼る対象に適用することができる。このような加工は、打ち抜き加工によって行なえ、剥離性シート5以外の部分のみを打ち抜くには、ホログラム着色粘着ラベル1の上面側から、打ち抜き刃を剥離性シート5の厚み分を残したストロークにより上下動させればよい。
また、所定の形状の個々のラベルを残して、隣接するラベルとの間の剥離性シート以外の各層を除去しておいてもよい。この場合、剥離性シートの境界部に、個々のラベルを分離可能とするミシン目を施しておいてもよい。
【0085】
【実施例】
(実施例1)
PETフィルム/体積ホログラム形成用材料/PETフィルム(ただし「/」はその記号の前後のものが積層されていることを示す。)からなるホログラム記録フィルム(デュポン社製、HRF800x001)に、476nm、532nm、および647nmのそれぞれの波長を持つレーザー光を用いて、カラーリップマンホログラムを記録し、記録後、片面のPETフィルムを剥がし、剥がした面にPETフィルム/第1粘着剤層/剥離フィルムAの構成を有する下記の粘着フィルム(1)の一方の剥離フィルムAを剥がした面を重ねてラミネートし、PETフィルム/第1粘着剤層/体積ホログラム/PETフィルムの積層構造を得た。
【0086】
使用した粘着フィルム(1)は、剥離フィルムA(東セロ(株)製、SP−PET05、厚み50μm)上に、下記の第1粘着剤層形成用組成物を用い、乾燥時膜厚が15μmとなるようにコンマコーターで塗布し、塗布面に、PETフィルム(東レ(株)製、ルミラーT−60、膜厚50μm)をラミネートして得たものである。
(第1粘着剤層形成用組成物)
・アクリル系粘着剤 100重量部
(日本カーバイド工業(株)製、ニッセツPE−118)
・イソシアネート系架橋剤 16重量部
(日本カーバイド工業(株)製、ニッセツCK−101)
・メチルエチルケトン 30重量部
・トルエン 15重量部
・酢酸エチル 15重量部
【0087】
次に、上記で得た、PETフィルム/第1粘着剤層/体積ホログラム/PETフィルムの積層構造のものから、体積ホログラムに直接積層しているPETフィルムを剥がし、剥がした面に、剥離フィルムA/第1粘着剤層/剥離フィルムBの構成を有する下記の粘着フィルム(2)の剥離フィルムAを剥がした面を重ねてラミネートし、全体を140℃の温度で15分間加熱して、PETフィルム/第1粘着剤層/体積ホログラム/第1粘着剤層/剥離フィルムBの積層構造を得た。
【0088】
使用した粘着フィルム(2)は、剥離フィルムA(東セロ(株)製、SP−PET05、厚み50μm)上に、前記の第1粘着剤層形成用組成物とおなじものを用い、乾燥時膜厚が15μmとなるようにコンマコーターで塗布し、塗布面に、剥離フィルムB(東セロ(株)製、SP−PET02、厚み50μm)をラミネートして得たものである。
【0089】
さらに、上記で得られたPETフィルム/第1粘着剤層/体積ホログラム/第1粘着剤層/剥離フィルムBの積層構造のものから、剥離フィルムBを剥がし、剥がした面に、剥離フィルムA/第2粘着剤層(着色)/剥離フィルムBの構成を有する下記の粘着フィルム(3)の剥離フィルムAを剥がした面を重ねてラミネートして、PETフィルム/第1粘着剤層/体積ホログラム/第1粘着剤層/第2粘着剤層(着色)/剥離フィルムBの積層構造を持つホログラム着色粘着ラベルを得た。
【0090】
使用した粘着フィルム(3)は、剥離フィルムA(東セロ(株)製、SP−PET05、厚み50μm)上に、下記の着色された第2粘着剤層形成用組成物を用い、乾燥時膜厚が25μmとなるようにコンマコーターで塗布し、塗布面に、剥離フィルムB(東セロ(株)製、SP−PET02、厚み50μm)をラミネートして得たものである。
(第2粘着剤層形成用組成物)
・アクリル系粘着剤 100重量部
(日本カーバイド工業(株)製、ニッセツPE−118)
・イソシアネート系架橋剤 2重量部
(日本カーバイド工業(株)製、ニッセツCK−101)
・黒色染料 5重量部
(日本化薬(株)製、カヤセットブラックK−R)
・メチルエチルケトン 40重量部
・酢酸エチル 15重量部
【0091】
得られたホログラム着色粘着ラベルの剥離フィルムBを剥がして、窓ガラスに貼ったところ、背景とのコントラストの向上により、ホログラム像が鮮明に観察できた。
【0092】
(比較例)
実施例1と同様に、ただし、粘着フィルム(1)を用いたラミネート後、全体を140℃の温度で15分間加熱して、PETフィルム/第1粘着剤層/体積ホログラム/PETフィルムの積層構造を得た後、粘着フィルム(2)を用いたラミネートを省略し、粘着フィルム(3)を用いてラミネートして、PETフィルム/第1粘着剤層/体積ホログラム/第2粘着剤層(着色)/剥離フィルムBの積層構造を持つホログラム着色粘着ラベルを得た。
この比較例で得られたホログラム着色粘着ラベルの剥離フィルムBを剥がして、窓ガラスに貼ったところ、当初は、背景とのコントラストの向上により、ホログラム像が鮮明に観察できたが、長時間放置したところ、第2粘着剤層中の黒色染料が体積ホログラムの層中に移行し、ホログラム像が非常に暗くなって、観察しづらいものとなった。
【0093】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、体積ホログラム層に、着色粘着剤層が接着層を介して積層されているので、介在する接着層により、着色粘着剤層からの着色成分の移行により、体積ホログラム自身が着色したり、体積ホログラム層が膨潤もしくは収縮することがなく、しかも着色粘着剤層と接着層とを着色成分の有無以外は同様な材料を用いて構成できるので、製造も容易なホログラム着色粘着ラベルを提供できる。
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、保護フィルムを有しているので、ホログラム着色粘着ラベルの保管時の保護、被着体に貼った後の体積ホログラムの保護機能が向上したホログラム着色粘着ラベルを提供できる。
請求項3の発明によれば、請求項2の発明の効果に加え、保護フィルムが粘着剤層を介して積層されているので、保護フィルムの保護機能の維持が確実なホログラム着色粘着ラベルを提供できる。
請求項4の発明によれば、請求項2の発明の効果に加え、保護フィルムが再剥離性粘着剤層を介して積層されているので、所望の時期に保護フィルムを取り除いて、体積ホログラムが直接に見えるホログラム着色粘着ラベルを提供できる。請求項5の発明によれば、請求項1〜請求項4いずれかの発明の効果に加え、最上面がハードコート処理されているてめに、硬度が高く、傷が付きにくいホログラム着色粘着ラベルを提供できる。
請求項6の発明によれば、請求項1〜請求項5いずれかの発明の効果に加え、最下面の着色粘着剤層に剥離性シートが被覆されているので、保管時に着色粘着剤層に異物が接着したり、汚染することが回避可能なホログラム着色粘着ラベルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ホログラム着色粘着ラベルの断面図である。
【図2】剥離性シートを下面に加えたものの断面図である。
【図3】保護フィルムを上面に加えたものの断面図である。
【図4】保護フィルムと剥離性シートとを加えたものの断面図である。
【符号の説明】
1 ホログラム着色粘着ラベル
2 体積ホログラム層
3 接着層
4 着色粘着剤層
5 剥離性シート
6 粘着剤層(もしくは再剥離性粘着剤層)
7 保護フィルム

Claims (6)

  1. 上層から下層に向かって、硬化した樹脂層内に体積ホログラムを有する体積ホログラム層、接着層、および着色粘着剤層とが、記載した順に積層されていることを特徴とするホログラム着色粘着ラベル。
  2. 前記体積ホログラム層の上面に、保護フィルムが積層されていることを特徴とする請求項1記載のホログラム着色粘着ラベル。
  3. 前記体積ホログラム層の上面に、粘着剤層を介して保護フィルムが積層されていることを特徴とする請求項2記載のホログラム着色粘着ラベル。
  4. 前記体積ホログラム層の上面に、再剥離性粘着剤層を介して前記保護フィルムが積層されていることを特徴とする請求項2記載のホログラム着色粘着ラベル。
  5. 最上面にハードコート処理が施されている請求項1〜4いずれか記載のホログラム着色粘着ラベル。
  6. 最下面の前記着色粘着剤層に剥離性シートが積層されていることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載のホログラム着色粘着ラベル。
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