次に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明に係る紙箱の一例を示す斜視図、図2は図1の紙箱を形成するブランク板の平面図である。
図1の紙箱A1 は菓子類を収納するためのもので、外観は直方体形状をしており、図2に示すブランク板B1 を組み立てて作製される。
ブランク板B1 は、紙器用の板紙を打ち抜いて形成したもので、図2に示すように、折線a,b,c,dを介して前面外側パネル11、上面パネル12、背面パネル13、底面パネル14、前面パネル15が順次連設されている。そして、上面パネル12の左右辺にはそれぞれ折線eを介して上面側端面パネル16が連設され、背面パネル13の左右辺にはそれぞれ折線fを介して端面フラップ17が連設され、底面パネル14の左右辺にはそれぞれ折線gを介して底面側端面パネル18が連設され、前面パネル15の左右辺にはそれぞれ折線hを介して端面フラップ19が連設されており、前面外側パネル11は背面パネル13や前面パネル15よりも高さが低くなっている。
前面外側パネル11には、その先端中央に端縁から内側に延びる一対のミシン目αと端縁に平行な折線iとにより摘み部11aが設けられている。また、折線iの中央部分は外向き半円状の切込になっており、この切込により摘み部11aの端縁と反対側に凸部11bが形成されている。そして、摘み部11aを区画する一対のミシン目αの先端からそれぞれミシン目βが末広がり状態で形成され、その2本のミシン目βは上面パネル12の両サイドに沿って形成された2本のミシン目γにそれぞれ繋がる状態で形成されている。これらの連続するミシン目α、β,γは開封用のミシン目であって、このうち摘み部11aに続くミシン目β,γは図示のように連続する「く」の字状の切込みにより形成されており、ブランク板B1 を箱とした時に、摘み部11aを摘んで引っ張ることでまずミシン目αを破断し、続いて摘み部11aをそのまま引っ張ることでミシン目β,γを破断して前面外側パネル11と前面パネル15に渡る大きな部分を開閉領域として開けることができるようになっている。また、前面パネル15のほぼ中央には、凸部11bに対応した位置に差込み用のスリット15aが形成されている。
そして、前面外側パネル11の摘み部11aには、図示のように、端縁にかかる状態で且つ板紙の表側に膨らむ状態で半円状の2段エンボスEが形成されている。この端縁にかかる2段のエンボスEは、例えば、原反からブランク板を打ち抜く際に、図3に示すようなエンボス加工用の雄型(押し丸罫1)と雌型3、及び摘み部11aの端縁を形成する切込線2aを入れるための抜き刃2を用いて形成される。ここで、雌型となる部品は半円筒形で二重となった押し丸罫1で、これと雌型3との間に原反が挟まり、プレスされることで2段エンボスEが形成される。
図4は抜き刃2と雌型3を部分的に別の角度から見た状態で示す説明図、図5は原反がプレスされてエンボスが形成された状態を示す断面図であり、図5において4は原反、5は押し丸罫1と抜き刃2を固定する木型、6はプレス面の面板である。
通常紙箱のブランクを作製するには、図6に示すように、木型5に両刃の抜き刃7を埋め込んだ抜き型を用いて、原反4を面板6の上に置き、抜き型を上から押し込むようにプレスして型抜きする。この原反4の切り方は、例えばカッター刃で紙を切るように刃をカット線に沿って水平方向に移動しながら切るという訳ではなく、抜き刃7が垂直に降りてきて、原反4が面板6に押し当てられる圧力で切れるため、打ち抜きによる切り方となる。この方式でエンボスの端縁を打ち抜こうとすると、図7に示すように、原反4と面板6の間に雌型3の厚み分の隙間が発生して原反4が浮いてしまい、うまく切れない。これを無理に押していくと切れることは切れるが、雄型3の端部と両刃の抜き刃7との中心線のギャップ8に原反4が引き込まれてちぎれる形となるため、切り口がギザギザになり、紙の繊維が露出して汚い切り口となるので、従来このような端面のエンボスは量産品としては不向きで敬遠されていた。
そこで、本発明のブランク板を形成するに際しては、図8に示すように、抜き刃2を両刃から片刃とし、その抜き刃2の裏面が雌型3の端部と擦り合うように木型5に取り付けた抜き型を用いることで、紙が鋏で切られるように綺麗に切断できる配置とした。すなわち、雌型3の端部エッジと片刃の抜き刃2とが鋏の刃の役割を果たし、図5に示すように、原反4を綺麗にシェアカットすることとなり、良好な切り口を得ることができた。この時、雌型3が僅かにずれて抜き刃2に衝突しても刃が欠けないように、雌型3は抜き刃2より柔らかな素材で、かつ紙の圧力により滑らない程度の硬さを持った素材を選定するとよい。具体的には、ベークライト、アルミ合金、真鍮などが挙げられる。
ブランク板B1 は、前面パネル15の表側を前面外側パネル11の裏側に貼り合わせたサック貼り状態で折り畳まれる。この時、前面外側パネル11における摘み部11aとそれに続く開閉領域を除いた部分で前面パネル15と糊付けする。そして、この折り畳んだブランク板を組み立てるには、まず折り畳んだブランク板を角筒状に起こした後、一方の端面側で端面フラップ17,19をそれぞれ内側に折り曲げてから、底面側端面パネル18と上面側端面パネル16を順次折り曲げて貼り合わせる。次いで、他方の端面側から内容物を投入してから、他方の端面側も同様に閉じる。このようにして図1に示す内容物が入った紙箱A1 が作製される。
このようにして作製された図1の紙箱A1 は、ミシン目αを破断し、開封用のミシン目β,γに沿って破断を開始するための摘み部11aが前面パネル15の上に重なった状態で設けられており、その摘み部11aの端縁にかかる状態で凸状のエンボスEが形成されたものとなる。そして、このタイプの紙箱は、摘み部が前面外側パネルの端縁に位置しているので、例えば特許文献3に記載の紙箱のように摘み部を端縁に位置させず、摘み部用の開口を形成したような紙箱に比べると、前面外側パネルを延長する必要がないことから、使用する板紙の面積が小さくて済む。さらに、これによって原紙へのブランク板の割付けを最適化して面付け数を1列等増やすことができれば、コストを抑えることができる。また、摘み部用の開口を形成したような紙箱に比べると、前面外側パネルを延長する必要がないことから、その分ミシン目βの角度を大きくとることができ、スムースな破断ができる。
この紙箱A1 を開封するに際しては、前面外側パネル11の摘み部11aを指先で摘んで引っ張り上げる。この時、摘み部11aの下には前面パネル11が位置しているが、摘み部11aの端縁が2段エンボスEにより若干浮き上がった状態になっているので、指先の引っ掛かりがよくなっている。したがって、指先で摘み部11aの下にある前面パネル11を押しながら摘み部11aを引っ張ることでミシン目αに続いてミシン目β,γが破断され、前面外側パネル11と上面パネル12とに渡って開封される。このように開封すると、摘み部11aのあったところに、前面パネル15のスリット15aが現れる。そして、開封領域で蓋をして前面外側パネル11の凸部11bを前面パネル15のスリット15aに差し込むことで、一旦開けた紙箱A1 を再封することができる。
図9は図1に示した紙箱の第1の変形例を示す斜視図、図10は図9の紙箱を形成するブランク板の平面図である。
この紙箱A1 は、サック貼りする際の糊付け位置を工夫している。すなわち、前面外側パネル11と前面パネル15を貼り合わせてサック貼りする際に、通常はライン状のパターンで摘み部11aの際まで糊付けするが、この例では摘み部11aの両側に糊逃げ部を残すようにし、貼り合わせ部Sを若干短くした。それと同時に摘み部11aの横幅を大きく設計した。
このように、摘み部11aの横幅を大きくするとともに、摘み部11aの両側に糊逃げ部を残したことにより、開封時に摘み部11aの下を指先で押した際に、摘み部11aはつぶれずに下の前面パネル15のみが凹んでその隙間が大きくなり、指先の引っ掛かりが良くなってより開封しやすくなる。
図11は図1に示した紙箱の第2の変形例を示す斜視図、図12は図11の紙箱を形成するブランク板の平面図である。
この紙箱A1 は、図9の紙箱と同様、摘み部11aの横幅を大きくし、その摘み部11aの両側に糊逃げ部を残してあり、さらに加えて、糊逃げ部に対応する部位に凸部15bを形成し、摘み部11aの下側に凹部15cを形成している。すなわち、図12のブランク板B1 を見れば分かるように、前面パネル15において2箇所の糊逃げ部に対応する位置にそれぞれエンボス加工で凸部15bを形成するとともに、摘み部11aの端縁に対応する位置に逆エンボス加工で凹部15cを形成している。これらの凸部15bと凹部15cは原反からのブランクB1 の打抜きと同時に形成される。
このように、摘み部11aに隣接する糊逃げ部のところに凸部15bがあることにより、摘み部11aが持ち上がった状態になるので指先の引っ掛かりが良くなる。また、摘み部11aの下側に凹部15cがあることにより、摘み部11aに対する指先の引っ掛かりがさらに良くなる。なお、図11の紙箱A1 では、凸部15bと凹部15cの両方を設けているので、これらの相乗効果が発揮されるが、何れか一方だけを設けてあっても引っ掛かりが良くなる効果はある。
図13は図1に示した紙箱の第3の変形例を示す斜視図、図14は図13の紙箱を形成するブランク板の平面図である。
この紙箱A1 は、摘み部11aの横幅を大きくするとともにその先端位置を前面外側パネル11の先端から上方へシフトしている。また、図9の紙箱と同様、摘み部11aの両側に糊逃げ部を残してあり、さらに摘み部11aの下側に凹部15cを形成している。
このように、摘み部11aの位置を上方へシフトしたことにより、開封時に摘み部11aの下を指先で押した際に、サック貼りされている箇所から上方に離れた位置で下の前面パネル15を押すことになるので、押された下の前面パネル15が大きくへこんでその隙間が大きくなり、さらに開封しやすくなる。しかもこの紙箱A1 では、摘み部11aの下側に凹部15cを形成しているので、摘み部11aに対する指先の引っ掛かりがさらに良くなる。
図15は図1に示した紙箱の第4の変形例を示す斜視図、図16は図15の紙箱を形成するブランク板の平面図である。
この紙箱A1 は、図13に示した紙箱A1 において、糊逃げ部に対応する位置に凸部15bを形成したものである。すなわち、横幅を大きくした摘み部11aの位置を上方にシフトし、その摘み部11aの両側に残した糊逃げ部に対応する位置に凸部15bを形成しており、さらに摘み部11aの下側に凹部15cを形成している。したがって、図13の紙箱A1 に比べると、摘み部11aに隣接する糊逃げ部のところに凸部15bがあることにより、摘み部11aが持ち上がった状態になるので、凹部15cの存在と相まってさらに指先の引っ掛かりが良くなる。
図17は図1に示した紙箱の第5の変形例を示す斜視図、図18は図17の紙箱を形成するブランク板の平面図である。
この紙箱A1 は、図13に示した紙箱A1 のおいて、摘み部11aの先端を円弧状にカットした形状としたものである。すなわち、横幅を大きくした摘み部11aの位置を上方にシフトするとともにその先端を丸く凹んだ形状にし、さらに摘み部11aの下側に凹部15cを形成している。したがって、図13の紙箱A1 に比べると、摘み部11aの先端を丸くしたことにより、指先の掛かり位置がさらに上方にシフトするので引っ掛かりが良くなる。なお、図1の紙箱A1 において、摘み部11aの先端を円弧状にカットした形状とするだけでも指先の掛かりを良くする効果がある。
図19は本発明に係る紙箱の別の例を示す斜視図、図20は図19の紙箱を形成するブランク板の平面図である。
図19の紙箱A2 も菓子類を収納するためのもので、外観は直方体形状をしており、図20に示すブランク板B2 を組み立てて作製される。
ブランク板B2 は、紙器用の板紙を打ち抜いて形成したもので、図20に示すように、折線a,b,c,dを介して側面パネル21、上面パネル22、側面パネル23、底面パネル24、糊付けフラップ25が順次連設されている。そして、側面パネル21の左右辺にはそれぞれ折線eを介して端面フラップ26が連設され、上面パネル22の左右辺にはそれぞれ折線fを介して上面側端面パネル27が連設され、側面パネル23の左右辺にはそれぞれ折線gを介して端面フラップ28が連設され、底面パネル24の左右辺にはそれぞれ折線hを介して底面側端面パネル29が連設されており、上面側端面パネル27と底面側端面パネル29は、ともに側面パネル21,23よりも高さが低くなっている。
一方の上面側端面パネル27には、その先端中央に一対の切欠によって摘み部27aが設けられている。そして、摘み部27aの両側からパネル中程まで末広がりに延びてさらにそこから横方向に広がって延びる2本のミシン目αが形成されている。このミシン目αは開封用のミシン目であって、図示のように連続する「く」の字状の切込みにより形成されており、ブランク板B2 を箱とした時に、摘み部27aを摘んで引っ張ることでミシン目αを破断してこの上面側端面パネル27を二分することで開封できるようになっている。また、この上面側端面パネル27と同じ側の底面側端面パネル29のほぼ中央には、摘み部27aに対応した位置に差込み用のスリット29aが形成されている。
そして、一方の上面側端面パネル27の摘み部27aには、図示のように、端縁にかかる状態で且つ板紙の表側に膨らむ状態で多角形状の2段エンボスEが形成されている。この端縁にかかる2段エンボスEは、先に図3〜図5及び図8により説明したのと同様な方法で形成することができる。ただし、この場合は押し丸罫1の代わりに多角形状の押し角罫を使用する。
ブランク板B2 は、糊代フラップ25の表側を側面パネル21の裏側に貼り合わせたサック貼り状態で折り畳まれる。そして、この折り畳んだブランク板を組み立てるには、まず折り畳んだブランク板を角筒状に起こした後、一方の端面側で端面フラップ26,28をそれぞれ内側に折り曲げてから、底面側端面パネル29と上面側端面パネル27を順次折り曲げて貼り合わせる。次いで、他方の端面側から内容物を投入してから、他方の端面側も同様に閉じる。この時、開封機構を設けた側を閉じる際には、上面側端面パネル27における摘み部27aとそれに続くミシン目αで囲まれた領域を除いた部分で底面側端面パネル29と糊付けする。このようにして図19に示す内容物が入った紙箱A2 が作製される。
このようにして作製された図19の紙箱A2 は、ミシン目αに沿って破断を開始するための摘み部27aが底面側端面パネル29の上に重なった状態で設けられており、その摘み部27aの端縁にかかる状態で凸状のエンボスEが形成されたものとなる。
この紙箱A2 を開封するに際しては、一方の上面側端面パネル27の摘み部27aを指先で摘んで引っ張り上げる。この時、摘み部27aの下には底面側端面パネル29が位置しているが、摘み部27aの端縁が2段エンボスEにより若干浮き上がった状態になっているので、指先の引っ掛かりがよくなっている。したがって、指先で摘み部27の下にある底面側端面パネル29を押しながら摘み部27aを摘んで引っ張ることでミシン目αが破断され、摘み部27aとそれに続く領域が底面側端面パネル29から自由になり、上面側端面パネル27の残りの部分が底面側端面パネル29に付いた状態で端面が開封される。このように開封すると、摘み部27aのあったところに、底面側端面パネル29のスリット29aが現れる。そして、底面側端面パネル29の上から上面側端面パネル27を被せて摘み部27aを底面側端面パネル29のスリット29aに差し込むことで、一旦開けた紙箱A2 を再封することができる。
図21は図19に示した紙箱の変形例を示す斜視図、図22は図21の紙箱を形成するブランク板の平面図である。
この紙箱A2 は、摘み部27aの先端を真っ直ぐにし、その摘み部27aの端縁にかかるエンボスEを半円状で2段形状に形成するとともに、摘み部27aの下側に凹部29bを形成している。すなわち、図22のブランク板B2 を見れば分かるように、底面側端面パネル29において摘み部27aの端縁に対応する位置に逆エンボス加工により凹部29bを形成している。この凹部29bは原反からのブランクB2 の打抜きと同時に形成される。
このように、摘み部27aの下側に凹部29bがあることで、摘み部27aに対する指先の引っ掛かりがさらに良くなる。なお、このタイプの紙箱A2 にあっても、前記した紙箱A1 と同様、上面側端面パネル27と底面側端面パネル29の貼り合わせ部に糊逃げ部を設けるようにしてもよいし、糊逃げ部に対応して底面側端面パネル29に凸部を設けるようにしてもよい。また、摘み部27aを上方にシフトさせてもよいし、摘み部27aの先端を円弧状にカットした形状にしてもよい。
図23は本発明に係る紙箱のさらに別の例を示す斜視図、図24は図23の紙箱を形成するブランク板の平面図である。
図23の紙箱A3 も菓子類を収納するためのもので、外観は直方体形状をしており、図24に示すブランク板B3 を組み立てて作製される。
ブランク板B3 は、紙器用の板紙を打ち抜いて形成したもので、図24に示すように、折線a,b,c,dを介して側面パネル31、上面パネル32、側面パネル33、底面パネル34、糊付けフラップ35が順次連設されている。そして、側面パネル31の左右辺にはそれぞれ折線eを介して端面フラップ36が連設され、上面パネル32の左右辺にはそれぞれ折線fを介して上面側端面パネル37が連設され、側面パネル33の左右辺にはそれぞれ折線gを介して端面フラップ38が連設され、底面パネル34の左右辺にはそれぞれ折線hを介して底面側端面パネル39が連設されており、上面側端面パネル37と底面側端面パネル39は、ともに側面パネル31,33よりも高さが低くなっている。
一方の上面側端面パネル37には、先端から少し中に入ったところに端縁と平行な切込み線37aが形成され、その切込み線37aの両端寄りの2点から始まりそれぞれパネルの後方付近まで末広がりで延びてそこから横方向に広がって延びる2本のミシン目線αが形成されており、切込み線37aとこの2本のミシン目αとより摘み部37bが設けられている。ミシン目αは開封用のミシン目であって、図示のように連続する「く」の字状の切込みにより形成されており、ブランク板B3 を箱とした時に、摘み部37bを摘んで引っ張ることでミシン目αを破断してこの上面側端面パネル37を二分することで開封できるようになっている。また、この上面側端面パネル37と同じ側の底面側端面パネル39のほぼ中央には、摘み部37bに対応した位置に差込み用のスリット39aが形成されている。
そして、一方の上面側端面パネル37の摘み部37bには、図示のように、端縁にかかる状態で且つ板紙の表側に膨らむ状態で半円状の2段エンボスEが形成されている。この端縁にかかる2段エンボスEは、先に図3〜5及び図8により説明したのと同様な方法で形成することができる。
ブランク板B3 は、糊代フラップ35の表側を側面パネル31の裏側に貼り合わせたサック貼り状態で折り畳まれる。そして、この折り畳んだブランク板を組み立てるには、まず折り畳んだブランク板を角筒状に起こした後、一方の端面側で端面フラップ36,38をそれぞれ内側に折り曲げてから、底面側端面パネル39と上面側端面パネル37を順次折り曲げて貼り合わせる。次いで、他方の端面側から内容物を投入してから、他方の端面側も同様に閉じる。この時、開封機構を設けた側を閉じる際には、上面側端面パネル37における摘み部37aとそれに続くミシン目αで囲まれた領域を除いた部分で底面側端面パネル39と糊付けする。このようにして図23に示す内容物が入った紙箱A3 が作製される。
このようにして作製した図23の紙箱A3 は、ミシン目αに沿って破断を開始するための摘み部37bが底面側端面パネル39の上に重なった状態で設けられており、その摘み部37aの端縁にかかる状態で凸状のエンボスEが形成されたものとなる。そして、このタイプの紙箱は、上面側端面パネル37の先端部分に相当する部位に糊を一筋だけ塗布して底面側端面パネル39との貼り合わせを行えばよく、図19に示す紙箱A2 のように左右に分けて糊を塗布する必要がないため、簡単な糊付け装置で対応することができる。
この紙箱A3 を開封するに際しては、一方の上面側端面パネル37の摘み部37bを指先で摘んで引っ張り上げる。この時、摘み部37bの下には底面側端面パネル29が位置しており、摘み部37bの端縁は切込み線37aで形成されているが、摘み部37bの端縁が2段エンボスEにより若干浮き上がった状態になっているので、指先の引っ掛かりがよくなっている。したがって、指先で摘み部37bの下にある底面側端面パネル39を押しながら摘み部37bを摘んで引っ張ることでミシン目αが破断され、摘み部37bとそれに続く領域が底面側端面パネル39から自由になり、上面側端面パネル37の残りの部分が底面側端面パネル39に付いた状態で端面が開封される。このように開封すると、摘み部37bのあったところに、底面側端面パネル39のスリット39aが現れる。そして、底面側端面パネル39の上から上面側端面パネル37を被せて摘み部37bを底面側端面パネル39のスリット39aに差し込むことで、一旦開けた紙箱A3 を再封することができる。
図25は本発明に係る紙箱のさらに別の例を示す斜視図、図26は図25の紙箱を形成するブランク板の平面図である。
図25の紙箱A4 も菓子類を収納するためのもので、外観は直方体形状をしており、図26に示すブランク板B4 を組み立てて作製される。
ブランク板B4 は、紙器用の板紙を打ち抜いて形成したもので、図26に示すように、折線a,b,c,dを介して前面外側パネル41、上面パネル42、背面パネル43、底面パネル44、前面パネル45が順次連設されている。そして、上面パネル42の左右辺にはそれぞれ折線eを介して上面側端面パネル46が連設され、背面パネル43の左右辺にはそれぞれ折線fを介して端面フラップ47が連設され、底面パネル44の左右辺にはそれぞれ折線gを介して底面側端面パネル48が連設され、前面パネル45の左右辺にはそれぞれ折線hを介して端面フラップ49が連設されており、上面側端面パネル46の幅は底面側端面パネル48の幅の半分程度になっている。また、前面パネル45の上辺側には途中にツナギのある切込み線で構成された折曲げが容易な折線iを介して係止片45aが延設されている。
前面外側パネル41には、上半と下半に分けるようにその中程を横断するミシン目αが設けられており、その破断線αの中央下側には横長状の切欠部41aが形成され、上半においてその切欠部41aに向き合う部分が摘み部41bになっている。また、上半の左右辺にはそれぞれ折線jを介して糊付け片41cが設けられている。また、上面パネル42の背面パネル側には、上面パネル42と上面側端面パネル46に渡って斜め方向に伸びる一対のミシン目βが設けられている。これらのミシン目α,βは開封用のミシン目であって、ミシン目βと前面外側パネル41のミシン目αは図示のように連続する「く」の字状の切込みにより形成されており、ブランク板B4 を箱とした時に、摘み部41bを摘んで引っ張ることでまずミシン目αを破断し、続いて摘み部41bをそのまま引っ張ることでミシン目βを破断して、前面外側パネル41の上半と上面パネル42と上面側端面パネル46の一部により構成される部分を蓋として開けることができるようになっている。
そして、前面外側パネル41の摘み部41bには、図示のように、端縁にかかる状態で且つ板紙の表側に膨らむ状態で半円状の2段エンボスEが形成されている。この端縁にかかる2段エンボスEは、先に図3〜5及び図8により説明したのと同様な方法で形成することができる。
ブランク板B4 は、前面パネル45の表側を前面外側パネル41の裏側に貼り合わせたサック貼り状態で折り畳まれる。この時、前面外側パネル41の下半部分で前面パネル45と糊付けする。そして、この折り畳んだブランク板を組み立てるには、まず折り畳んだブランク板を角筒状に起こした後、一方の端面側で端面フラップ47,49をそれぞれ内側に折り曲げてから、底面側端面パネル48を折り曲げて貼り合わせる。続いて、前面外側パネル41の糊付け片41cを折り曲げてから、上面側端面パネル46を折り曲げて糊付け片41cに貼り合わせるとともに、上面側端面パネル46のミシン目βより背面側を底面側端面パネル48と貼り合わせる。次いで、他方の端面側から内容物を投入してから、他方の端面側も同様に閉じる。このようにして図25に示す内容物が入った紙箱A4 が作製される。
このようにして作製された図25の紙箱A4 は、開封用のミシン目αの破断を開始するための摘み部41bが前面パネル45の上に重なった状態で設けられており、その摘み部41bの端縁にかかる状態で凸状のエンボスEが形成されたものとなる。そして、このタイプの紙箱は、前面外側パネル41の先端部分に相当する部位に糊を一筋だけ塗布して前面パネル45との貼り合わせを行うことができ、しかも紙の厚み分の段差があるので摘み部41bを摘みやすいものになっている。また、前面パネル45において摘み部41bの端縁に対応する位置に逆エンボス加工で凹部を形成しておけばさらに摘みやすくすることができる。
この紙箱A4 を開封するに際しては、前面外側パネル41の切欠部41aに指先を入れるようにして摘み部41bを摘んで引っ張り上げる。この時、摘み部41bの下には前面パネル45が位置しているが、摘み部41bの端縁が2段エンボスEにより若干浮き上がった状態になっているので、指先の引っ掛かりがよくなっている。したがって、指先で摘み部41bの下にある前面パネル45を押しながら摘み部41bを引っ張ることでミシン目αが破断され、それに続いてミシン目βが破断されることになり、前面外側パネル41の上半と上面パネル42と上面側端面パネル46の一部により構成される部分を蓋として開封することができる。そして、開封した蓋の部分を元に戻すことで一旦開けた紙箱A4 を再封することもできる。
なお、この紙箱A4 は、前面パネル45の上辺側に延設した係止片45aにより、一旦開封した蓋を閉じた時にロックできる機構を有したものになっている。すなわち、図27に示すように、上面側端面パネル46の内側に貼着された糊付け片41cの上辺側には上面パネル42との間に隙間xがあり、係止片45aの左右にある突出部45bがこの隙間xに嵌まり込んでロックされる。そして、蓋を閉じて糊付け片41cの上辺が突出部45bの先端をはじく時に手に感触があるとともに「パチ」という音が出るので、ロック状態を確認することができる。
図28は本発明に係る紙箱のさらに別の例を示す斜視図、図29は図28の紙箱を形成するブランク板の平面図である。
図28の紙箱A5 も菓子類を収納するためのもので、外観は直方体形状をしており、図29に示すブランク板B5 を組み立てて作製される。
ブランク板B5 は、紙器用の板紙を打ち抜いて形成したもので、図29に示すように、折線a,b,c,dを介して前面外側パネル51、上面パネル52、背面パネル53、底面パネル54、前面パネル55が順次連設され、背面パネル53は中央を横断する折線eにより上半部53aと下半部53bとに区画されている。そして、上面パネル52の左右辺にはそれぞれ折線fを介して上面側端面パネル56が連設され、背面パネル53の左右辺にはそれぞれ折線gを介して上部端面フラップ57aと下部端面フラップ57bが連設され、底面パネル54の左右辺にはそれぞれ折線hを介して底面側端面パネル58が連設され、前面パネル55の左右辺にはそれぞれ折線iを介して端面フラップ59が連設されており、上面側端面パネル56の幅は底面側端面パネル58の幅の半分程度になっている。
前面外側パネル51には、上半と下半に分けるようにその中程を横断するミシン目αが設けられており、その破断線αの中央下側には横長状の切欠部51aが形成され、上半においてその切欠部51aに向き合う部分が摘み部51bになっている。また、上半の左右辺にはそれぞれ折線jを介して糊付け片51cが設けられている。このミシン目αは開封用のミシン目であって、図示のように段違い状の切込みにより形成されており、ブランク板B5 を箱とした時に、摘み部51bを摘んで引っ張ることでまずミシン目αを破断して、図30に示すように、前面外側パネル51の上半と上面パネル52と上面側端面パネル56と背面パネル53の上半部53aとにより構成される部分を蓋として開けることができるようになっている。
そして、前面外側パネル51の摘み部51bには、図示のように、端縁にかかる状態で且つ板紙の表側に膨らむ状態で半円状の2段エンボスEが形成されている。この端縁にかかる2段エンボスEは、先に図3〜5及び図8により説明したのと同様な方法で形成することができる。さらに、前面パネル55において摘み部51bの端縁に対応する位置に逆エンボス加工で凹部55aを形成している。
ブランク板B5 は、前面パネル55の表側を前面外側パネル51の裏側に貼り合わせたサック貼り状態で折り畳まれる。この時、前面外側パネル51の下半部分で前面パネル55と糊付けする。そして、この折り畳んだブランク板を組み立てるには、まず折り畳んだブランク板を角筒状に起こした後、一方の端面側で下側端面フラップ57bと端面フラップ59をそれぞれ内側に折り曲げてから、底面側端面パネル58を折り曲げて貼り合わせる。続いて、前面外側パネル51の糊付け片51cと背面パネル53における上半部53aの上側端面フラップ57aを折り曲げてから、上面側端面パネル56を折り曲げて糊付け片51c上側端面フラップ57aに貼り合わせる。次いで、他方の端面側から内容物を投入してから、他方の端面側も同様に閉じる。このようにして図28に示す内容物が入った紙箱A5 が作製される。
このようにして作製された図25の紙箱A5 は、開封用のミシン目αの破断を開始するための摘み部51bが前面パネル55の上に重なった状態で設けられており、その摘み部51bの端縁にかかる状態で凸状のエンボスEが形成されたものとなる。このタイプの紙箱A5 は、前面外側パネル51の先端部分に相当する部位に糊を一筋だけ塗布して前面パネル55との貼り合わせを行うことができる。そして、摘み部51bには紙の厚み分の段差があり、さらには凹部55aがあるので、摘み部51bに対する指先の引っ掛かりが非常に良く、摘み部51bを摘みやすいものになっている。
この紙箱A5 を開封するに際しては、前面外側パネル51の切欠部51aに指先を入れるようにして摘み部51bを摘んで引っ張り上げる。この時、摘み部51bの下には前面パネル55が位置しているが、摘み部51bの端縁が2段エンボスEにより若干浮き上がった状態になっており、凹部55aもあるので、指先の引っ掛かりがよくなっている。したがって、指先で摘み部51bの下にある前面パネル55を押しながら摘み部51bを引っ張ることでミシン目αが破断されることになり、図30に示すように、開けたところが高級感のある状態で開封することができる。そして、開封した蓋の部分を元に戻すことで一旦開けた紙箱A5 を再封することもできる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明してきたが、本発明による紙箱とブランク板は、上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
例えば、上記の例では、紙箱のタイプとしてシールエンド型のものを挙げたが、本発明を適用する紙箱はこのタイプに限るものではなく、板紙の上に重なった摘み部を備えていさえすれば、他のタイプの紙箱を除外するものではない。