JP4983044B2 - 硬貨処理装置 - Google Patents

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本発明は、投入された硬貨を識別してから入金する硬貨搬送路を備えた硬貨処理装置に関し、特に硬貨搬送路を挟んで一対の鑑別部を設けて、硬貨の識別精度を高めた硬貨処理装置に関する。
近年、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどのレジには、POS(販売時点情報管理)システムのような上位装置に接続して、紙幣処理装置とともに受け取った硬貨を釣銭として再利用するようにした硬貨処理装置(釣銭払出機)が導入されている。
硬貨処理装置とは、概略的には硬貨投入口に投入された硬貨を鑑別した後、内部に自動的に取り込んで、それらを硬貨収納庫に収納するとともに、その入金情報を外部の上位装置に送信する硬貨保管機能と、硬貨収納庫に保管されている硬貨によって、外部の上位装置からの釣銭払出要求に応じて該当する金額の釣銭を硬貨払出口に払い出すリサイクル機能とを持つものである。
このような硬貨処理装置では、投入口に続く硬貨搬送路に設けられた鑑別部で、搬送されてくる硬貨を識別してから入金するように構成されている。また、国内で流通している硬貨は、金種毎に材質や外径および表裏面の凹凸形状や厚さ、縁取り等が異なっており、一般に硬貨処理装置の投入口には、同時に複数種の金種の硬貨が混在して投入される。そこで、硬貨処理装置の鑑別部には硬貨が1枚ずつ繰出されて鑑別され、異常硬貨と判定された場合に硬貨の排除処理を行い、正常硬貨と判定された硬貨の金種判別と計数を実行してから収納庫に収納される。
従来から、この種の硬貨処理装置では、硬貨搬送路の路面品質の維持が難しく、しかもコストがかかる。また、硬貨搬送路は搬送路面と押圧用ベルトとから構成されているから、硬貨の鑑別部となる識別用センサの配置が搬送路面の上側だけに制約され、識別精度の向上が困難である。さらに、搬送路面の品質にばらつきを生じると、それがそのまま硬貨識別の精度に影響するなどの問題があった。
図9は、例えば特許文献1に記載された従来の硬貨処理装置の鑑別部を示し、図10は、その鑑別部と硬貨搬送路との断面構成を示している。ここでは、搬送される硬貨Cを識別するために搬送ベース19の下側に設けられた第1の鑑別部13と上側に設けられた第2の鑑別部14とからなる鑑別部12が設けられていて、搬送ベース19の上面を硬貨Cが基準レール20に沿って搬送されるように構成されている。また、搬送ベルト21は図示しないプーリに掛け渡された無端ベルトであって、搬送ベルト21の下側ベルト21Lの下面が硬貨Cの表面と接触することで、図の手前方向に硬貨Cを搬送するものである。
鑑別部12は第1の鑑別部13とこれに対向配置された第2の鑑別部14とが開閉軸15を中心に開閉可能に構成されている。また、第1の鑑別部13の内部には、複数の鑑別センサ13eが設けられている。第2の鑑別部14の内部には、第1の鑑別部13の鑑別センサ13eと対向する位置に、複数の鑑別センサ14eが設けられている。
ここで、鑑別部12は鑑別ベース11と搬送ベース19の一部をそれぞれ切り欠いて設けられ、第1の鑑別部13が鑑別ベース11と搬送ベース19に固定され、第2の鑑別部14が開閉軸15により回動自在に支持されていて、開閉軸15周りのねじりばね52によって、閉じ方向に、すなわち図中の矢印R1(時計回り)方向に付勢されている。また、第1の鑑別部13は、その搬送基準面13fが搬送ベース19と同一高さとなるように固定されている。そして、第2の鑑別部14には矩形状の突起14dが形成され、基準レール20の上にはL字状の台座51が設けられている。
鑑別部12では、硬貨の金種判別と計数を行う場合、ねじりばね52によって第2の鑑別部14の突起14dが台座51に支持された状態とすることにより、搬送基準面13fと第2の鑑別部14との間に硬貨の通路ギャップ(H)を確保している。したがって、入金された硬貨Cが第1の鑑別部13と第2の鑑別部14の間を通過すると、それぞれの鑑別センサ13e,14eで硬貨の正偽および金種を正確に判定できる。
図11は、鑑別部の第2の鑑別部が開放された状態を示す斜視図である。従来の硬貨処理装置では、変形した硬貨などが投入されたとき、鑑別部12の第1の鑑別部13と第2の鑑別部14の間に形成される通路ギャップを通過することができないで、硬貨詰まりが生じることがある。その場合、第2の鑑別部14を持ち上げて搬送基準面13fを開放し、そこに挟まった硬貨を取り除く必要がある。
特開平7−141546号公報(段落番号[0001]〜[0012])
しかしながら、第2の鑑別部14は搬送ベルト21の上側ベルト21Uと下側ベルト21Lの間で突起14dが台座51により支持されるように構成され、鑑別部12における硬貨の通路ギャップを正確に確保できるという利点を有する反面で、第2の鑑別部14を持ち上げる際に突起14dが搬送ベルト21の上側ベルト21Uと干渉する。したがって、搬送基準面13fを開放するには、第2の鑑別部14を搬送ベルト21と一体に開閉できる構成とするか、あるいは搬送ベルト21を取り外してから、第2の鑑別部14の下に詰まった硬貨を除去しなければならないという問題があった。
また、開閉軸15周りにはねじりばね52が設けられているので、第2の鑑別部14を持ち上げて搬送基準面13fの開放状態を維持するには、第2の鑑別部14が復帰しないように持ち上げた状態で保持しておく必要があった。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、硬貨搬送路を挟んで一対の鑑別部が設けられているとき、鑑別位置決めの精度を低下させることなしに、上側の鑑別部を開放して詰まった硬貨を容易に取り除くことができる硬貨処理装置を提供することを目的とする。
本発明では、上記問題を解決するために、硬貨を載せて搬送ベルトにより搬送する搬送ベースの下方に配置された第1の鑑別部と前記第1の鑑別部に対向して前記搬送ベルトに隣接して配置された第2の鑑別部とを備え、前記第1の鑑別部と前記第2の鑑別部との間を通過する前記硬貨を識別するようにした硬貨処理装置において、前記第1の鑑別部は、前記硬貨の搬送方向と平行に配置されて前記第2の鑑別部を前記搬送ベースの搬送面に平行な鑑別位置と前記搬送面を開放する非鑑別位置との間で回動可能に支持する開閉軸と、前記硬貨の搬送方向両端にて前記開閉軸と直交するように形成されてそれぞれ前記硬貨の搬送方向と平行かつ同一軸線上に第1および第2の嵌合穴を有する第1および第2の支持アームとを有し、前記第2の鑑別部は、前記硬貨の搬送方向と平行な方向であってそれぞれ同一方向に突出する第1および第2のボスを有していて、前記第2の鑑別部が前記鑑別位置にあるとき、前記第1および第2のボスが前記第1および第2の嵌合穴に嵌合されて前記第1の鑑別部とは所定のギャップをもって位置決めされ、前記第2の鑑別部が前記開閉軸周りに回動したとき、前記第1および第2のボスが前記第1および第2の支持アームの縁部に当接して前記非鑑別位置に保持されることを特徴とする硬貨処理装置が提供される。
このような硬貨処理装置では、第1の鑑別部に形成した第1および第2の嵌合穴に第2の鑑別部に同一方向に突出するよう形成した第1および第2のボスを嵌合させることで、硬貨が通過するギャップを容易に確保でき、また、第2の鑑別部を開閉軸の軸線方向に移動させて第1および第2の嵌合穴と第1および第2のボスとの嵌合を解除することにより、その開閉軸を中心に第2の鑑別部を簡単に開閉(回動)し、かつ第2の鑑別部を非鑑別位置に保持することができる。
本発明に係る硬貨処理装置によれば、鑑別部単独で所定の硬貨通過ギャップを確保することができ、しかも、第2の鑑別部の開放を搬送ベルトと干渉することなく行うことができるので、鑑別部で詰まった硬貨を容易に取り除くことが可能となり、操作性が向上できる。
以下、この発明の硬貨処理装置をレジに設置される釣銭払出機に適用した実施の形態について、図面を参照して説明する。
(釣銭払出機の外観構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る釣銭払出機の外観構成を示す斜視図である。
釣銭払出機1には、筐体2の上面前方右側に、複数枚の硬貨が同時に投入可能な硬貨投入口3を備えており、この硬貨投入口3の左側にはディスプレイと複数の操作ボタンとを備えた操作パネル4が配置されている。また、筐体2の前面には、硬貨払出口5と図示されていない投入硬貨の返却口が設けられている。
ここで、硬貨投入口3から投入された硬貨は、筐体2の内部で一時保留され、その金額が確定された後に、金種別収納庫などに収容される。そのとき、投入金額はディスプレイなどで表示される。釣銭払出機1のディスプレイには、投入金額だけではなく、その動作状態や操作指示なども表示することができる。また、硬貨払出口5には、釣銭として払い出される硬貨や回収される硬貨が搬送される。
(硬貨の流れ)
図2は、釣銭払出機1に投入された硬貨の流れを示す説明図である。ここでは、釣銭払出機1の主要な構成部分だけを示している。
硬貨投入口3に投入された硬貨は、矢印Aに示すように、硬貨鑑別処理部6に搬送される。硬貨鑑別処理部6に搬送された硬貨は、鑑別部12で鑑別された後、鑑別不能とされた場合に硬貨払出口5へ排出され(矢印B)、鑑別正常の場合には一時保留部7に搬送される(矢印C)。一時保留部7に搬送された硬貨は、入金が確定されると硬貨振分機構8に送り込まれて選別され(矢印D)、入金がキャンセルされるとその現物が返却される(矢印E)。
硬貨振分機構8では、硬貨が金種別に選別され、金種別に設けた6つの収納庫からなる硬貨収納庫9にそれぞれ収納される(矢印F1〜F6)。硬貨収納庫9に収納された硬貨は、出金指令あるいは精査の指令があったときには、出金用の硬貨搬送機構10に繰出される(矢印G1〜G6)。出金用の硬貨搬送機構10に繰出された硬貨は、精査指令のときには、一時保留部7に搬送され(矢印H)、出金指令であれば釣銭として硬貨払出口5に出金される(矢印I)。
したがって、レジ担当者が受け取った硬貨は、硬貨投入口3から矢印A、矢印C、矢印D、矢印Fの経路で搬送され、硬貨振分機構8で金種別に振り分けられて硬貨収納庫9に収納される。
また、顧客に支払う釣銭を釣銭払出機1から出金する場合には、それぞれの金種別の硬貨収納庫9から指定された枚数の硬貨を出金用の硬貨搬送機構10に繰出して(矢印G1〜G6)、矢印Iの経路で硬貨払出口5に出金することができる。
次に、本発明の実施の形態に係る釣銭払出機1の硬貨鑑別処理部6について説明する。
(硬貨鑑別処理部の概略)
図3は、本発明の実施の形態に係る釣銭払出機の硬貨鑑別処理部の概略図である。
硬貨投入口3の底部には、投入ベルト41が硬貨投入口3の両端部に設けられた図示されていないプーリに巻きつけられ、硬貨投入口3の出口近傍には硬貨を1枚ずつ鑑別部12に送出するための繰出しローラ42が備えられている。
投入ベルト41が巻きつけられているプーリおよび繰出しローラ42は、それぞれ鑑別ベース11の側壁に軸が貫挿して支持されている。プーリを支持している一方の軸の端部には第1のギヤ43が設けられ、繰出しローラ42を支持している軸の端部には第4のギヤ46が設けられ、第1のギヤ43および第4のギヤ46に接する第2のギヤ44が設けられ、この第2のギヤ44と図示されていないモータを備えた投入モータユニット47の出力軸に第3のギヤ45が接して設けられており、投入モータユニット47のモータが駆動すると、第3のギヤ45、第2のギヤ44を介して、第1のギヤ43および第4のギヤ46が回転動作を行うように構成されている。
硬貨投入口3に投入された硬貨Cは、図示されていないセンサで検知されると、投入モータユニット47に取り付けられたモータが駆動して投入ベルト41により搬送され、繰出しローラ42の回転で硬貨が1枚ずつ分離されて鑑別部12に送出される。硬貨鑑別処理部6は、硬貨投入口3に結合するように設けられ、左右の側壁と一体の鑑別ベース11上に、硬貨が搬送される搬送ベース19が敷設され、この搬送ベース19に形成された切り欠き部に鑑別部12が固定されている。
第1、第2の搬送ベルト21,22が駆動ベルト23によって駆動されると、硬貨Cが搬送ベース19上を搬送される。また、鑑別部12を通過する硬貨Cが幅方向で所定の位置になるよう、搬送ベース19上に基準レール20が設けてあり、硬貨投入口3から送出される硬貨Cは、第1の搬送ベルト21に押さえ込まれながら基準レール20の側面に沿って搬送できるようにしてある。鑑別ベース11の硬貨が搬送される下流側には、リジェクトゲート24が備えられていている。リジェクトゲート24では、鑑別部12の判定結果に基づいて、図示されていないソレノイドの往復動作により、硬貨Cの搬送方向を振り分けることができる。
硬貨鑑別処理部6には、硬貨投入口3の投入ベルト41上に従動プーリ26、リジェクトゲート24の後方に第1の回転プーリ30、従動プーリ26と第1の回転プーリ30の概ね中間位置に中間プーリ28が備えられていて、これら従動プーリ26、第1の回転プーリ30、および中間プーリ28は、それぞれ従動軸25、回転主軸29、および中間軸27により支持されている。この従動プーリ26と中間プーリ28には、第1の搬送ベルト21が搬送ベース19に対向するように巻きつけられ、中間プーリ28と第1の回転プーリ30には第2の搬送ベルト22が巻きつけられ、これら第1、第2の搬送ベルト21,22によって硬貨Cがスムースに受け渡されて、搬送ベース19を搬送されるように構成されている。
また、第1の回転プーリ30を支持する回転主軸29の端部には、第2の回転プーリ31が設けられ、この第2の回転プーリ31と鑑別ベース11の下方に配置した鑑別モータユニット33の出力軸に設けられた駆動プーリ32との間に、駆動ベルト23が巻きつけられている。鑑別モータユニット33に取り付けられた図示されていないモータが回転すると、駆動ベルト23を介して第2の搬送ベルト22、第1の搬送ベルト21に、それぞれ搬送力が伝わるように構成してある。
(鑑別部12の構成)
次に、本発明の実施の形態に係る釣銭払出機の鑑別部12について詳細に説明する。
図4は、本発明の実施の形態に係る釣銭払出機の鑑別部の内部構成を表す概略図であり、図5は、本発明の実施の形態に係る鑑別部を示す斜視図であり、(A)は硬貨鑑別処理時の状態、(B)はメンテナンス時の開放された状態を示している。
搬送ベース19に形成された切り欠き部に、第1の鑑別部13およびこれに対向する第2の鑑別部14からなる鑑別部12が設けられている。この鑑別部12は、第1の鑑別部13の搬送基準面13fが搬送ベース19と同一高さとなるように、搬送ベース19を挟んで鑑別ベース11に固定されている。第2の鑑別部14に隣接して第1の搬送ベルト21が配置され、搬送ベース19の上には、基準レール20が設けられている。
第1の鑑別部13には、硬貨投入口3側の側面で硬貨搬送方向と直交し、かつ鉛直方向に対して上方に起立する第2の支持アーム13bが形成されている(図5(B)参照)。また、硬貨鑑別処理部6のリジェクトゲート24側の側面には、第2の支持アーム13bと同様、硬貨搬送方向と直交して起立する第1の支持アーム13aが形成されている。これらの第1の支持アーム13aおよび第2の支持アーム13bには、硬貨搬送方向と平行して第1および第2の支持アーム13a,13bを貫通するように、それぞれ第1の嵌合穴13cと第2の嵌合穴13dが同一軸線上に設けられている。
第2の鑑別部14には、硬貨投入口3側の側面に略コの字型で閉じられたロックアーム14aが形成されている(図5(A)参照)。また、硬貨鑑別処理部6のリジェク卜ゲート24側の側面には、円筒形状の第1のボス(突起)14bが設けられ、ロックアーム14aの内面には、第1のボス14bと同軸上に第2のボス(突起)14cが設けられている。これらの第1のボス14bおよび第2のボス14cは、いずれも第1の鑑別部13の第1の支持アーム13aに設けた第1の嵌合穴13cおよび第2の支持アーム13bに設けた第2の嵌合穴13dとそれぞれ嵌合可能な大きさに形成されている。
これらの第1のボス14bおよび第2のボス14c、第1の嵌合穴13cおよび第2の嵌合穴13dは、第2の鑑別部14を第1の鑑別部13から所定のギャップをもって位置決めする係合手段を構成している。ここで、第1のボス14bおよび第2のボス14cの長さは、第1の支持アーム13aおよび第2の支持アーム13bの厚さより小さいことが望ましい。
第1の鑑別部13は、第1の搬送ベルト21と反対側に開閉軸15を備えており、この開閉軸15によって第2の鑑別部14が回動自在に、かつ、軸線方向に移動可能に支持されている。このとき、第2の鑑別部14は、図4に示す矢印R2方向(反時計回り方向)に、第1の鑑別部13と搬送面を挟んで対向する鑑別位置から、搬送面を開放する非鑑別位置まで、第1の搬送ベルト21と干渉しない軌跡に沿って回転できるようになっている。また、開閉軸15の軸周りには第1のコイルばね16が捲回され、その復元力が開閉軸15と平行な方向に作用することによって、第1の鑑別部13に対して第2の鑑別部14を硬貨鑑別処理部6のリジェク卜ゲート24側、すなわち、第1のボス14bおよび第2のボス14cがそれぞれ第1の嵌合穴13cおよび第2の嵌合穴13dへ挿入されて嵌合される方向へ押圧している。
第1の鑑別部13には、開閉軸15の軸線の中央付近に略矩形状の凹部13gが形成されており、この凹部13gの底面に一端が固定された第2のコイルばね17は、その他端にばねホルダ18が設けられている。ばねホルダ18は、プッシュリベット18aで第1の鑑別部13の凹部13gから離脱しないように固定され、かつ第2のコイルばね17によって鉛直方向に変位できるように構成されている。
第1の鑑別部13の第1の嵌合穴13cおよび第2の嵌合穴13dの内径は、第2の鑑別部14に設けた第1のボス14bおよび第2のボス14cの外径より大きく形成されているから、一般に両者が嵌合しただけでは、第1の嵌合穴13cおよび第2の嵌合穴13dと第1のボス14bおよび第2のボス14cの間の遊びによって第2の鑑別部14を正確に位置決めできない。しかし、ここでは、さらに開閉軸15の軸周りで第2のコイルばね17から第2の鑑別部14の底面を上方に押し上げる方向に力を作用させているために、第1の鑑別部13と第2の鑑別部14の間での硬貨通路ギャップ(H)を正確に保持することができる。
なお、第1の鑑別部13の内部には、複数種類の鑑別センサ13eが設けられている。また、第2の鑑別部14の内部には、第1の鑑別部13の鑑別センサ13eと対向する位置に複数種類の鑑別センサ14eが設けられている。これらの鑑別センサ13e,14eは、硬貨の材質、厚さ、外形などを磁気的に検出するコイルセンサおよび硬貨の通過を検出する光学センサとすることができる。入金された硬貨Cは、搬送ベース19の上を基準レール20に沿って第1の搬送ベルト21により搬送され、第1の鑑別部13と第2の鑑別部14の間を通過する。そのとき、それぞれ鑑別センサ13e,14eでは、光学センサによって硬貨Cの通過を検知するとともに、コイルセンサによってその材質、厚さ、外形などが鑑別され、硬貨の正偽および金種を判定するようにしている。
(硬貨の除去操作)
次に、鑑別部12の直下の搬送路に変形硬貨等が詰まった場合の除去操作について、図6ないし図8を用いて説明する。
図6は、硬貨鑑別処理時の状態を示す図であり、(A)は鑑別部12の平面図、(B)はその正面図である。
第2の鑑別部14は、その第1のボス14bおよび第2のボス14cが、第1の鑑別部13の第1の支持アーム13aおよび第2の支持アーム13bの対応する位置に設けた第1の嵌合穴13cおよび第2の嵌合穴13dに各々挿入されることで、第1の鑑別部13と搬送面を挟んで対向する鑑別位置に位置決め支持される。このとき、第2の鑑別部14は、開閉軸15に設けられた第1のコイルばね16の復元力によって図の左方向に押圧されており、また、第1の鑑別部13に備えられている第2のコイルばね17の復元力によって、第2の鑑別部14の底面が押上げられている。この状態では、搬送基準面13fと第2の鑑別部14との間に硬貨の通路ギャップ(H)が正確に確保されるから、入金された硬貨Cが第1の鑑別部13と第2の鑑別部14の間を通過すると、それぞれの鑑別センサ13e、14eで硬貨の正偽および金種を正確に判定できる。
図7は、第2の鑑別部の搬送基準面を開放するための第1の操作を示す図であって、(A)は鑑別部12の平面図、(B)はその正面図である。
位置決め支持された第2の鑑別部14を開放するためには、第1のコイルばね16を押縮めるように、硬貨の搬送方向とは反対方向(図の矢印S1方向)に第2の鑑別部14を押す。すると、第1の鑑別部13の第1の支持アーム13aおよび第2の支持アーム13bに設けた第1の嵌合穴13cおよび第2の嵌合穴13dから第2の鑑別部14の第1のボス14bおよび第2のボス14cが外れる。このとき、第2の鑑別部14は、第2のコイルばね17の作用により鉛直上方に押されるから、第1の嵌合穴13cおよび第2の嵌合穴13dの軸線と第1のボス14bおよび第2のボス14cの軸線とがずれてしまう。これにより、第1のボス14bおよび第2のボス14cは、第1のコイルばね16の復元力によって第1の嵌合穴13cおよび第2の嵌合穴13dに挿入されることなく、第1の支持アーム13aおよび第2の支持アーム13bに当接された状態になる。
図8は、第2の鑑別部の搬送基準面を開放する第2の操作を示す図であって、(A)は鑑別部12の平面図、(B)はその正面図である。
次に、第2の鑑別部14は、それを上方向に持ち上げる第2の操作をすることによって、開閉軸15を中心に回転して、第1の鑑別部13と第2の鑑別部14との間の搬送基準面13fが開放される。したがって、釣銭払出機の硬貨鑑別処理部6に変形した硬貨などが投入されたとき、搬送基準面13fの上側に位置する第2の鑑別部14を開放して、そこに詰まった硬貨を容易に取り除くことができる。
なお、第2の鑑別部14の回転によって、その第1のボス14bが第1の鑑別部13の第1の支持アーム13aより上方まで移動してしまえば、第2の鑑別部14は第1のコイルばね16により図の矢印S2方向に押圧されていることにより、その時点で第1のボス14bが第1の支持アーム13aを乗り越えてしまう。このため、第2の操作を停止した後に第2の鑑別部14が自重により閉じ方向に回転しようとしても、第1のボス14bが第1の支持アーム13aの縁部に当接するので、第2の鑑別部14は搬送面を開放する非鑑別位置に留まり、図6のような硬貨鑑別処理時の状態に復帰することはない。
その後、第2の鑑別部14を図6の位置決め状態に戻すには、硬貨の搬送方向とは反対方向(図8の矢印S2とは反対方向)に第2の鑑別部14を押すとともに、開閉軸15を中心に任意位置まで押し下げる操作を行う。すると、第2の鑑別部14の第1のボス14bおよび第2のボス14cが、第1の鑑別部13の第1の支持アーム13aおよび第2の支持アーム13bに沿いながら図7の状態まで回転したとき、第1のコイルばね16の復元力で第1の嵌合穴13cおよび第2の嵌合穴13dに挿入される。したがって、釣銭払出機の硬貨鑑別処理時には、第2の鑑別部14を再び図6に示すような所定の鑑別位置に容易に位置決めできる。
また、硬貨搬送方向と直交する第1の鑑別部13の側面に第1および第2のボスを設け、このボスに嵌合する第1および第2の嵌合穴を第2の鑑別部14に設けても良い。
以上では、本発明の硬貨処理装置を釣銭払出機に適用した実施の形態について説明したが、投入された硬貨を識別してから入金する硬貨搬送路を備えたものであれば、広く適用することができる。
本発明の実施の形態に係る釣銭払出機の外観構成を示す斜視図である。 釣銭払出機に投入された硬貨の流れを示す説明図である。 本発明の実施の形態に係る釣銭払出機の硬貨鑑別処理部の概略図である。 本発明の実施の形態に係る釣銭払出機の鑑別部の内部構成を表す概略図である。 本発明の実施の形態に係る鑑別部の斜視図で、(A)は硬貨鑑別処理時の状態図、(B)はメンテナンス時の開閉状態図である。 (A),(B)は、それぞれ本発明の実施の形態に係る鑑別部の硬貨鑑別処理時の状態の平面図、正面図である。 (A),(B)は、それぞれ第2の鑑別部を開放させる第1の操作状態の平面図、正面図である。 (A),(B)は、それぞれ第2の鑑別部を開放させる第2の操作状態の平面図、正面図である。 従来の硬貨処理装置の鑑別部を示す斜視図である。 図9の鑑別部の内部構成を示す概略断面図である。 図9の鑑別部のメンテナンス時の開閉状態を示す斜視図である。
符号の説明
1 釣銭払出機
2 筐体
3 硬貨投入口
4 操作パネル
5 硬貨払出口
6 硬貨鑑別処理部
7 一時保留部
8 硬貨振分機構
9 硬貨収納庫
10 硬貨搬送機構
11 鑑別ベース
12 鑑別部
13 第1の鑑別部
13a 第1の支持アーム
13b 第2の支持アーム
13c 第1の嵌合穴
13d 第2の嵌合穴
13e 鑑別センサ
13f 搬送基準面
13g 凹部
14 第2の鑑別部
14a ロックアーム
14b 第1のボス
14c 第2のボス
14d 突起
14e 鑑別センサ
15 開閉軸
16 第1のコイルばね
17 第2のコイルばね
18 ばねホルダ
18a プッシュリベット
19 搬送ベース
20 基準レール
21 第1の搬送ベルト
22 第2の搬送ベルト
23 駆動ベルト
24 リジェクトゲート
25 従動軸
26 従動プーリ
27 中間軸
28 中間プーリ
29 回転主軸
30 第1の回転プーリ
31 第2の回転プーリ
32 駆動プーリ
33 鑑別モータユニット
41 投入ベルト
42 繰出しローラ
43 第1のギヤ
44 第2のギヤ
45 第3のギヤ
46 第4のギヤ
47 投入モータユニット

Claims (4)

  1. 硬貨を載せて搬送ベルトにより搬送する搬送ベースの下方に配置された第1の鑑別部と前記第1の鑑別部に対向して前記搬送ベルトに隣接して配置された第2の鑑別部とを備え、前記第1の鑑別部と前記第2の鑑別部との間を通過する前記硬貨を識別するようにした硬貨処理装置において、
    前記第1の鑑別部は、前記硬貨の搬送方向と平行に配置されて前記第2の鑑別部を前記搬送ベースの搬送面に平行な鑑別位置と前記搬送面を開放する非鑑別位置との間で回動可能に支持する開閉軸と、前記硬貨の搬送方向両端にて前記開閉軸と直交するように形成されてそれぞれ前記硬貨の搬送方向と平行かつ同一軸線上に第1および第2の嵌合穴を有する第1および第2の支持アームとを有し、
    前記第2の鑑別部は、前記硬貨の搬送方向と平行な方向であってそれぞれ同一方向に突出する第1および第2のボスを有していて、
    前記第2の鑑別部が前記鑑別位置にあるとき、前記第1および第2のボスが前記第1および第2の嵌合穴に嵌合されて前記第1の鑑別部とは所定のギャップをもって位置決めされ
    前記第2の鑑別部が前記開閉軸周りに回動したとき、前記第1および第2のボスが前記第1および第2の支持アームの縁部に当接して前記非鑑別位置に保持されることを特徴とする硬貨処理装置。
  2. 前記第1の鑑別部は、前記開閉軸に捲回され、前記第1の鑑別部に対して前記第2の鑑別部を、前記第1および第2のボスが前記第1および第2の嵌合穴に嵌合される方向に付勢するばねを有していることを特徴とする請求項1記載の硬貨処理装置。
  3. 前記第2の鑑別部は、前記硬貨が搬送される方向に前記第1および第2のボスが突出しており、前記ばねにより、前記第1の鑑別部に対して前記硬貨が搬送される方向に付勢されていることを特徴とする請求項2記載の硬貨処理装置。
  4. 前記第1の鑑別部は、前記第2の鑑別部の対向面をその開放方向に押圧する押圧手段を備え、前記鑑別位置にあるとき、前記第1および第2のボスの前記第1および第2の嵌合穴における遊びを吸収することを特徴とする請求項1記載の硬貨処理装置。
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