しかし、近時の電子部品の微細化、実装密度の高まり、実装精度の高精度化などのために、従来からのカメラスケールの計測方法によるカメラスケールを基にした画像認識での部品実装では、実装不良による歩留まりの低下や生産性の低下をもたらすようになっている。
これにつき本発明者が種々に実験をし検討を重ねた結果、部品実装機に搭載されたカメラ固有のレンズ収差の影響で、同じカメラエリア内でありながら、その位置の違いによって画素に対応するカメラスケールに偏差が生じているのに、この偏差が画像認識に反映されていないことが原因しているものと知見した。例えば、画素単位で0.6μm〜0.7μmの誤差があり、実際の部品実装に際しては60μm〜70μm程度の位置ずれとして現れ実装不良を招く。これをカメラレンズの収差を低減して対応するのでは経済的負担が大きくなるし、限界もある。
本発明の目的は、カメラエリアの部分的なカメラスケールの偏差に対応し精度よい画像認識が安価に達成できるカメラスケールの計測方法と部品実装機のカメラスケール計測装置、これを用いた部品実装機を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明のカメラスケールの計測方法は、画像認識を行うカメラのカメラエリアにおいて複数の単位エリアごとにカメラスケールを計測することを基本的な特徴としている。
このような構成によれば、カメラエリアのカメラスケールを、そのカメラエリアよりも小さい範囲の複数の単位エリアごとに計測するので、カメラのレンズ収差などで単位エリアごとに生じているかも知れない画素に対応するカメラスケールの偏差を反映した計測ができる。
本発明のカメラスケールの計測方法は、また、部品を実装する基板や基板に実装される部品を撮って画像認識を行ったデータを部品の基板への実装に供するカメラスケールの計測方法であって、サイズが既知な大きさの基準マークを対応するカメラで撮り、カメラエリアの基準マークが結像している複数の単位エリアごとに、基準マークの像が示すサイズとそのサイズ範囲でのカメラエリアの画素数との関係からその画素域に対応するカメラスケールを演算により計測することを別の特徴としている。
このような構成によれば、サイズが既知な大きさの基準マークを対応するカメラで撮るのに、カメラエリアの基準マークが結像しているカメラエリアよりも小さな複数の単位エリアでの、基準マークの像のサイズとそれに対応する範囲の画素数との関係から、カメラエリアよりも小さい範囲の複数の単位エリアごとの画素に対応するカメラスケールを計測して、カメラのレンズ収差などで単位エリアごとに生じているかも知れない画素数に対応するカメラスケールの偏差を反映したカメラスケールを得て、部品を基板に実装する場合の画像認識に供せられる。
この場合、基準マークはガラス板製の認識治具上に複数形成して、この認識治具を基板や部品に代えて配置し、対応するカメラにより撮る、さらなる構成によれば、
基準マークは印刷技術、薄膜形成技術とパターンエッチングやレーザ加工との組み合わせなどによるパターン形成方法にて、高いサイズ精度、配置精度、形状精度を得て十分に小さく形成しやすく、カメラスケールの計測にカメラエリアの部分ごとのカメラスケールの偏差を精度よく反映させられる。
これに代えて複数の基準マークが、この基準マークのサイズ未満の隙間を持って配置してあり、その隙間に対応する単位エリアの画素に対するカメラスケールは、その隙間の両側のカメラエリアで計測した画素単位のカメラスケールの平均値として演算する、さらなる構成によれば、
基準マークが明瞭な輪郭を持ってカメラエリアの複数位置に結像するので、それに対応する単位エリアごとのカメラスケールの計測の精度を高められるし、基準マークの結像位置間ではそれに隣接する単位エリアで計測したカメラスケールどうしの平均値とすることで実際と大差ないカメラスケールを設定することができる。
以上のようにしてカメラスケールデータを得る場合において、カメラエリアと基準マーク像の所定位置間の距離を演算し、各単位エリアで得たカメラスケールデータの位置データとする、さらなる構成によれば、
部品や基板を対応するカメラで撮って画像認識するときのカメラエリアにおける、マークや部品の位置、サイズ、距離といった画像認識位置に対応するカメラスケールを、対応する位置データを基に選択して画像認識に供することができる。
本発明のカメラスケールの計測方法によれば、単位エリアごとの偏差を反映したカメラスケールの計測データが得られ、安価なカメラを用いてカメラスケールの偏差の影響なく利用できるカメラキャリブレーションを実現して高精度な画像認識を可能にする。
単位エリアごとのカメラスケールは、単位エリアに対応したサイズが既知な複数の基準マークをカメラで撮ったときの像のサイズと画素数との関係から簡易に計測でき、特に、複数の基準マークを設けた認識治具を用いれば、1回撮りでカメラエリア全域での各単位エリアに対するカメラスケールの計測環境が得られるので短時間で計測できるし、基準マークおよびそれに対応する単位エリアの微小化に比例してカメラスケールの部分的な偏差により細かく対応できる。
また、単位エリアごとのカメラスケールは、各単位エリアにおけるカメラエリア計測方向の2点位置ずつに対応するよう認識治具を移動させて撮ったときの、既知な移動量とその移動範囲での画素数との関係からも容易に計測でき、特に、複数の認識治具を単位エリアごとに対応する数だけ用いて同時に移動させれば、各単位エリアでのカメラスケールの計測のための治具移動時間を短縮して短時間で計測できるし、認識治具の移動範囲およびそれに対応する単位エリアの微小化に比例してレンズ収差などによるカメラスケールの部分的な偏差により細かく対応できる。
これらのカメラスケールの計測方法を部品や基板を画像認識するカメラを有した部品実装機で実現するのに、基準マークや認識治具を部品取り扱い機構や基板取り扱い機構によって部品や基板に代って取り扱い、対応するカメラで撮った画像データにてカメラスケールを計測することにより、部品実装機ごとに違う部品を基板に実装する機械的な特性やこの実装のために部品や基板を画像認識するカメラごとの撮影特性の違いを反映したものとすることができる。
この結果、部品実装機がそのようなカメラスケール計測装置を装備して、計測したカメラスケールの基にアライメント調整をした後、計測したカメラスケールを基にした画像認識の基に部品を基板に実装することにより、高精度な実装が行なえる。
以下、本実施の形態に係るカメラスケールの計測方法と、部品実装機のカメラスケール計測装置、これを用いた部品実装機について、図1〜図8を参照しながら説明し本発明の理解に供する。
本実施の形態のカメラスケールの計測方法は、図1に示すような部品実装機1で基板3の所定の位置に所定の部品2を実装するために、部品2や基板3を画像認識する部品認識用のカメラ4や基板認識用のカメラ5につき、それらによる画像認識が適正に行われるようにそれらの結像面としてのカメラエリアでの画素に対応したカメラスケールを計測する場合の一例である。しかし、基本的にはカメラ単体を対象にしたカメラスケールの計測方法として本発明は有効であり、カメラの用途や使用状態が限定されるものではない。
図1に示す部品実装機1は、供給される部品2を基板3に実装するのに、部品2を部品取り扱い機構6によって取り扱い、基板3を基板取り扱い機構7によって取り扱う。基板取り扱い機構7は供給されるプリント配線基板などの基板3をステージ8上に搬入して位置決めし、部品2の実装に供した後、ステージ8から搬出する。部品取り扱い機構6は各種形態の部品供給部9にて供給される電子部品やコネクタなどの各種部品2を1つずつ吸着ノズル11による吸着などにより保持してピックアップし、位置決めされている基板3の所定の位置の上に持ち運んで移載し実装することを設定回数繰り返し1つの基板3に対する部品2の実装を終了する。ここでの実装はクリーム半田などによる仮実装となる場合は後のリフロー炉での処理にて実装が完了するし、金属接合などを伴い即時に実装が完了する場合がある。なお、ステージ8には基板3の搬入や搬出を行う搬送部12が付帯している。
多くの場合、部品取り扱い機構6および基板取り扱い機構7には、部品2と基板3とを互いに直角なXY2方向に相対移動させる単純な移動形式にて基板3の所定の位置に部品2を対応させて実装するXYロボット方式が採用されている。もっとも、これに限られることはない。図1の例では、部品取り扱い機構6がX方向の駆動モータMXでねじ軸などを介して駆動されるX方向移動部6aとY方向の駆動モータMYでねじ軸などを介して駆動されるY方向移動部6bとを有して、基板取り扱い機構7が位置決めしているステージ8上の基板3に対しXY2方向に相対移動させるようにしている。部品取り扱い機構6は自身のXY2方向の移動機能を利用して、吸着ノズル11により部品供給部9にXY方向に並んで供給される部品2を順次にピックアップすることができ、部品供給部9の側が移動しなくてよい構成となっている。
このような部品実装機1において、基板認識用のカメラ5は部品取り扱い機構6の側に設けられて、部品取り扱い機構6の部品取り扱い部である吸着ノズル11とはXY方向の位置関係が一義的な関係にある。また部品認識用のカメラ4は基板取り扱い機構7側に設けられて、基板取り扱い機構7が基板3を位置決めするステージ8とはXY方向の位置関係が一義的な関係にある。また、部品認識用のカメラ4と基板認識用のカメラ5および吸着ノズル11とも部品取り扱い機構6および基板取り扱い機構7の部品実装機1上でXY方向に一義的な位置関係にある。しかし、これらの一義的な位置関係は各部品実装機1に共通なものとはなり難い。また、同一の部品実装機1においても環境温度の変化や運転中の昇温、摩耗などによって一義的な位置関係が変化することもある。
そこで、例えば、部品実装機1の初期運転時に、また、初期運転後の必要な時期に、吸着ノズル11を部品認識用のカメラ4に位置合わせして撮ったときの画像認識による位置データと、基板3上の所定位置に設けられて基準マークなどに基板認識用のカメラ5に位置合わせして撮ったときの画像認識による位置データとを得れば、これら位置データとそれを得る場合の部品取り扱い機構6および基板取り扱い機構7間の相対移動量とから、前記の各一義的な位置関係を特定し、画像認識とそれに基づく部品2の基板3の所定位置への実装が所定の精度で実現されるようにアライメント調整することができる。そして、吸着ノズル11を部品認識用のカメラ4に位置合わせしたときに、部品2の結像の位置や向きによって吸着ずれや回転ずれを正確に判定し、回転ずれを吸着ノズル11の回転により補正したり、吸着ノズル11が保持している部品2を基板の所定の位置に相対移動させるときの目標位置への移動量を補正したりできる。また、基板認識用のカメラ5で基板3上の所定の位置を画像認識したデータと、部品認識用のカメラ4で画像認識した部品2の位置との関係、具体的には部品2の基板3の所定の位置への移動量を正確に判定することができる。これらによって、基板3の所定の位置に所定の部品2を精度よく実装する条件が整う筈である。
しかし、カメラ4、5による画像認識には、既述したようにレンズ収差などによるカメラエリアにおける部分的なカメラスケールの偏差が影響して、画像認識精度、実装精度向上の妨げになっているのが実情である。
本実施の形態ではこのような問題に対応するのに、カメラ4やカメラ5における撮像画素が並んだ図2、図4、図5(b)に示すようなカメラエリアAにおいて、このカメラエリアAよりも小さな複数の単位エリアA1、A2、・・AnごとにカメラスケールCSを、例えば1画素当たりのサイズなどとして計測することを基本的な特徴としている。このように、カメラエリアAのカメラスケールを、そのカメラエリアAよりも小さい範囲の複数の単位エリアA1・・ごとに計測すると、カメラ4、5のレンズ収差などで単位エリアA1、・・ごとに生じているかも知れない画素に対応するカメラスケールの偏差を反映した計測ができる。この結果、単位エリアA1、・・ごとの、レンズ収差などによる偏差を反映したカメラスケールの計測データが得られるので、安価なカメラ4、5を用いたカメラエリアAの全域において単位エリアA1、・・ごとのカメラスケールを利用できるようにするカメラキャリブレーションを実現して高精度な画像認識を可能にする。このような各単位エリアA1、・・ごとに異なって計測するカメラスケールを画像認識に実用するには、各単位エリアA1ごとのカメラスケールデータを計測した単位エリアA1、・・の各位置データと併せ用いればよい。具体的には、図2に示すように各単位エリアA1、・・のうちの画像認識する範囲に対応する各位置にある単位エリアA1で計測しているカメラスケールデータを加算し合って位置データやサイズデータを判定すればよい。
それには、カメラエリアAと各単位エリアA1、・・の所定位置間の距離、例えばそれらの中心位置OとO1、・・Onとの間の距離Lを演算しておき位置データとして用いればよい。図2からわかるように、距離LはカメラエリアAの例えば中心OなどからのX方向の距離データLXとY方向の距離データLYとの座標位置データとしてみることもできる。ここに、距離データLXは単位エリアA12、A13でのカメラスケールCS12、CS13が対応する画素数P1、P2分ずつ累積したもので、LX=CS12×P1+CS13×P2となり、距離データLYは単位エリアA2、A7、A12でのカメラスケールCS2、CS7、CS12が対応する画素数P2、P7、P12分ずつ累積したもので、LY=CS2×P2+CS7×P7+CS12×P12となり、XY2方向の相対移動を伴い部品2を基板3に実装する部品実装機1での位置認識には好都合である。なお、位置データとしての距離LはL=√(LX2+LY2)として単純に得られる。なお、距離データLXをカメラエリアAの中心位置Oを原点とした座標位置で見れば図2に示すように(XO0,YO0)+(XO2,YO0)であり、距離データLYは(XO2,YO0)+(XO2,YO2)である。
ここで、部品実装機1において部品2を実装する基板3や基板3に実装される部品2をカメラ4や5で撮って画像認識を行ったデータを部品2の基板3への実装に供するより具体的なカメラのカメラスケールの計測方法としては、サイズが既知な図3に示すような大きさの基準マーク21を対応する部品認識用のカメラ4や基板認識用のカメラ5で撮り、図4にモニタ51上に画像表示して示すカメラエリアAにおいて、基準マーク21が結像している複数の単位エリアA1、A2、・・Anごとに、基準マーク21の像が示すサイズとそのサイズ範囲での画素数Pとの関係からその画素域に対応するカメラスケールCSを、先の例の場合のように、例えば1画素当たりのサイズとして演算により計測することができる。このようにすると、サイズが既知な大きさの基準マーク21を対応するカメラ4やカメラ5で撮り、カメラエリアAの基準マーク21が結像しているカメラエリアAよりも小さな複数の単位エリアA1、・・での、基準マーク21の像のサイズとそれに対応する範囲の画素数Pとの関係から、カメラエリアAよりも小さい範囲の複数の単位エリアA1、・・ごとにカメラスケールCS1、CS2、・・CSnを計測することが、モニタ51の表示画面を利用した画像認識操作で容易かつ短時間に行える。
ここに、単位エリアA1、・・ごとのカメラスケールCS1、CS2、・・CSnは、単位エリアA1、・・に対応したサイズが既知な複数の基準マーク21をカメラ4やカメラ5で撮ったときの像のサイズと画素数との関係から簡易に計測でき、基準マークおよびそれに対応する単位エリアの微小化に比例してレンズ収差などによるカメラスケールの部分的な偏差により細かく対応できる。
基準マーク21は温度変化の影響の受けにくい図3に示すようなガラス板などの認識治具22上に複数形成して、この認識治具22を部品実装機1において基板3や部品2に代えて配置し、対応するカメラ4やカメラ5により撮るようにすれば、基準マーク21を印刷技術、薄膜形成技術とパターンエッチングやレーザ加工との組み合わせなどによるパターン形成方法にて、高いサイズ精度、配置精度、形状精度を得て十分に小さく形成しやすく、カメラスケールCSの計測に反映させられる。従って、複数の基準マーク21を設けた認識治具22を用いれば、1回撮りでカメラエリアA全域での単位エリアA1、・・の設定と各単位エリアA1、・・でのカメラスケールCS1、・・の計測環境が得られるので短時間で計測できる。もっとも、基準マーク21は1つを、カメラエリアAに設定する単位エリアA1、・・の位置に順次に移動させながら、単位エリアA1、・・でのカメラスケールCS1、・・CSnの計測を順次に進めていくこともできる。
認識治具22上の複数の基準マーク21は、図2に示すように、隣接のものと濃、淡、色など異なって隙間無く配置すると、基準マーク21を利用した単位エリアA1、・・ごとのカメラスケールCS1、・・の計測がカメラエリアA内の全範囲につき余すことなく行える。しかし、これに代えて図3に示すように複数の基準マーク21が、この基準マーク21のサイズ未満の隙間Sを持って配置すると、パターン形成が容易でしかも寸法精度を高めやすい利点がある。このような場合、その隙間Sに対応する単位エリアASの画素に対するカメラスケールCSSは、その隙間Sの両側のカメラエリアA1、A2、あるいはカメラエリアA1、A6などで計測した画素単位のカメラスケールCS1、CS2どうし、カメラスケールCS1、CS6どうしの平均値として演算することができる。これにより、基準マーク21が明瞭な輪郭を持ってカメラエリアAの複数位置に結像するので、それに対応する単位エリアA1、・・ごとのカメラスケールCS1、・・の計測の精度を高められるし、基準マーク21の結像位置間ではそれに隣接する単位エリアA1、・・で計測したカメラスケールCS1、・・の平均値とすることで実際と大差ないカメラスケールCSSを設定することができる。
また、カメラエリアAの複数の単位エリアA1、A2、・・AnごとのカメラスケールCS1、・・CSnを計測する方法としては、図5(b)にモニタ51の表示画像として示すカメラエリアAに設定する複数の単位エリアA1、・・のサイズ未満の大きさの図5(a)に示すような認識治具41またはそれに付した基準マーク41aを部品実装機1において基板3や部品2に代えて取り扱い、単位エリアA1、・・ごとのカメラスケールの計測方向、例えばXYの2方向に一対ずつが並ぶ複数のX方向の位置X1、X2やY方向の位置Y1、Y2に、部品取り扱い機構6と基板取り扱い機構7との間の例えばXY方向における前記アライメント調整上の既知の移動量ないしは移動距離LX、LYずつ移動させて撮り、各単位エリアA1、・・上に順次結像させた認識治具41などの像の例えば中心位置間の距離LX、LYとこの距離範囲に対応する単位エリアA1、・・での画素数Pとの関係から、その画素に対応するカメラスケールCS1、・・を演算により計測するようにもできる。このようにすると、部品取り扱い機構6や基板取り扱い機構7により認識治具41を制御プログラムに従い取り扱って移動させるときの移動量は既知となることを利用して、カメラエリアAにおけるカメラスケールの計測方向X、Yに一対ずつが並ぶX方向の位置X1、X2やY方向の位置Y1、Y2などに認識治具41を移動させて順次撮り、認識治具41や基準マーク41aの像の中心位置間の距離LXやLYとこの距離に対応する単位エリアA1、・・での画素数Pとの関係から、その画素域に対応するXY2方向のカメラスケールCS1、・・を演算により計測するのに、この認識治具41の移動とそれによるカメラスケールCS1、・・の計測とをカメラエリアAよりも小さい複数の単位エリアA1、・・につき行い、複数の基準マーク21を利用した場合同様に、カメラ4やカメラ5のレンズ収差などで単位エリアA1、・・ごとに生じているかも知れない画素数に対応するカメラスケールCSの偏差を反映させたカメラスケールデータとして、部品2を基板3に実装する場合の画像認識に供せられる。
この場合も、複数の単位エリアA1、・・は、隙間無く設定することができるし、単位エリアA1、・・のサイズ未満の隙間を持って設定して、基準マーク21を利用した場合同様に対応できる。また、得られた各単位エリアA1、・・のカメラスケールCS1、・・のデータにより、カメラエリアA中心から各単位エリアA1、・・の中心位置までの距離を演算し、その認識治具41の像にて得た単位エリアA1、・・でのカメラスケールデータCS1、・・の位置データとして、基準マーク21を利用した場合どうように対応できる。また、単位エリアA1、・・の配列に隙間があるかどうかの対応も特に変わるところはないし、単位エリアA1、・・の微小化に比例してレンズ収差などによるカメラスケールの部分的な偏差により細かく対応できる。また、複数の単位エリアA1、・・にてそれに対応する認識治具41を同時に移動させ、各単位エリアA1、・・でのカメラスケールCS1、・・の計測を短時間に進行することができる。
以上のようなカメラスケールの計測方法を部品実装機1において実現する計測装置としては、図1に示すように、部品2や基板3に代って与えられる基準マーク21や認識治具22または認識治具41や基準マーク41aを部品取り扱い機構6または基板取り扱い機構7により取り扱って応するカメラ4またはカメラ5で撮り、基準マーク21の既知なサイズまたは認識治具41や基準マーク41aの部品取り扱い機構6および基板取り扱い機構7間の相対移動による既知な移動距離ないしは移動量と、この距離範囲に対応する画素範囲の画素数Pとの関係から、部品取り扱い機構6および基板取り扱い機構7による部品2および基板3の相対移動方向XYでの画素に対応するカメラスケールCS1、・・を複数のエリアA1、・・ごとに計測し、部品2を基板3に実装する際の画像認識に供する認識制御手段50を備えたものとして、部品実装機1の動作を利用して達成することができる。
それには、認識制御手段50は部品実装時の画像認識とに共用するものとしてよく、図2〜図4に示す方式に対応して、基準マーク21をカメラエリアAに設定する複数の単位エリアA1に対応して複数設けた認識治具22を与えられて、部品取り扱い機構6または基板取り扱い機構7により取り扱い、対応するカメラ4またはカメラ5で一挙に撮り、単位エリアA1、・・ごとのカメラスケールCS1、・・を計測し、部品2を基板3に実装する際の画像認識に供するようにすればよく、ことにより、基準マーク21を利用した単位エリアA1、・・ごとにカメラスケールCS1、・・を計測する方式が1回のカメラ撮りによる画像データを基に達成できる。
また、別に認識制御手段50は、図5に示す方式に対応して、カメラエリアAに設定する複数の単位エリアA1、・・のサイズ未満の大きさの認識治具41や基準マーク41aを部品取り扱い機構6または基板取り扱い機構7により取り扱い、単位エリアA1、・・ごとのカメラスケールの計測方向である部品2および基板3の相対移動方向XYに一対ずつが並ぶ複数のX方向の位置X1、X2とY方向の位置Y1、Y2とに既知の移動距離LX、LYずつ移動させて撮り、各単位エリアA1、・・上に順次結像させた認識治具41などの像の例えば中心位置間の距離LX、LYとこの距離に対応する単位エリアA1、・・での画素数との関係から、その画素域に対応するXY2方向のカメラスケールCS1、・・を演算により計測し、部品2を基板3に実装する際の画像認識に供するようにすればよく、部品実装機1の動作を利用して小さな認識治具41を用いた単位エリアA1、・・ごとのカメラスケールCS1、・・の計測を達成することができる。
これらのカメラスケール計測装置において、基準マーク21を利用した場合に対応しては、図1に示すように、カメラ4やカメラ5で撮った画像を表示する既述のようなモニタ51と記憶手段52とを備え、認識制御手段50は、モニタ51上の画像に対する画像認識の基に単位エリアA1、・・ごとのカメラスケールCS1、・・の計測を進めて記憶手段52に計測データを蓄積しながら、蓄積し終えた計測データとその計測した単位エリアA1、・・位置とカメラエリアAの所定位置間の距離L、具体的にはそれらの中心間の距離Lを演算して、各単位エリアA1、・・で計測したカメラスケールCS1、・・の位置データとして記憶手段52に記憶するようにすれば、複数の基準マーク21などを利用して計測したカメラエリアAにおける単位エリアA1、・・ごとのカメラ4またはカメラ5のレンズ収差による偏差のあるかも知れないカメラスケールCS1、・・を、それを計測したカメラエリアA上での実際の位置に対応させて利用し、部品実装時の画像認識に反映させられる。
また、認識治具41や基準マーク41aの移動を利用した場合に対応しては、特に、認識制御手段50は、カメラエリアAに設定する各単位エリアA1、・・ごとに認識治具41をXY方向に既知な移動量にて移動させながらカメラ4またはカメラ5で撮り、各単位エリアA1、・・での認識治具41が移動した距離とこれに対応する範囲での画素数とから所定の方向XYでのカメラスケ-ルCS1、・・を順次に演算して記憶手段52に記憶するのに併せ、記憶した単位エリアA1、・・でのカメラスケールCS1、・・の基にカメラエリアAの各単位エリアA1、・・との所定位置間の距離、具体的にはそれらの中心間の距離を演算して、それぞれの単位エリアA1、・・で計測したカメラスケールCS1、・・の位置データとして記憶手段52に記憶し、これらデータをカメラ4またはカメラ5による部品2または基板3の画像認識に供するようにすることで、小さな認識治具41を移動させて計測したカメラエリアAにおける単位エリアA1、・・ごとのカメラ4またはカメラ5のレンズ収差による偏差のあるかも知れないカメラスケールCS1、・・を、それを計測したカメラエリア上での実際の位置に対応させて利用し、部品実装時の画像認識に反映させられる。
以上のような計測方法、計測装置を用いた部品実装機1としては、部品2や基板3に代って与えられる基準マーク21や認識治具22または認識治具41や基準マーク41aを部品取り扱い機構6または基板取り扱い機構7により担持して取り扱い対応するカメラ4またはカメラ5で撮り、基準マーク21の既知なサイズまたは認識治具41の部品取り扱い機構6および基板取り扱い機構7間の相対移動による既知な移動距離と、この距離範囲での画素数Pとの関係から、部品取り扱い機構6および基板取り扱い機構7による部品および基板の相対移動方向XYでのカメラスケールCS1、・・を複数の単位エリアA1、・・ごとに計測する認識制御手段50と、この認識制御手段50によって計測したカメラスケールCS1、・・のデータを記憶しておく記憶手段52と、作業者による操作パネル53からの計測開始信号入力によって認識制御手段50を働かせてカメラスケールCS1、・・の計測を行って記憶手段52に記憶した後、部品2の実装動作を開始し、供給される部品2および基板3を部品取り扱い機構6および基板取り扱い機構7によって取り扱い、それらを対応するカメラ4またはカメラ5で撮った画像データを記憶手段52に記憶されているカメラスケールCS1、・・の基に認識制御手段50にて画像認識した結果に対応して、基板3の所定の位置に所定の部品2を実装する実装制御手段54とを備えたものとしている。なお、認識制御手段50、記憶手段52、実装制御手段54はいずれも部品実装機1の動作制御用のマイクロコンピュータなどからなる制御装置55の内部機能としており、別に格納しまたは外部から与えられる制御プログラム56に従って動作し、カメラ4、5からの画像はビデオコントローラ57を通じて受信してモニタ51に画像表示しながらカメラスケールの計測やそれに基づく画像認識の処理を行うようにしている。これにより、部品実装機1は既述のようなカメラスケール計測装置を装備して、計測したカメラスケールの基にアライメント調整をした後、計測したカメラスケールを基にした画像認識により部品を基板に実装することにより、高精度な実装が行なえる。
ここで、部品実装機1における動作制御の1つの具体例について図6〜図8に示すフローチャートに従って説明する。部品実装機1の動作制御は電源の投入によって図6に示すフローチャートに沿って進行する。ステップS0では初期運転かどうかを、例えば初期運転フラグが初期設定されたままか否かによって判定する。初期運転であるとステップS1にて初期運転フラグをリセットして初期運転時のカメラスケールの計測制御をステップS2〜ステップS11にて行う。ステップS2ではカメラ4のカメラスケールの計測要求を出し、部品認識用のカメラ4のカメラスケールの計測をスタートできるか否かをステップS3で判定する。これは、カメラ4のカメラスケールの計測のために作業者が部品取り扱い機構6にカメラスケールの計測のための撮像ターゲットとなる認識治具22や41が保持されたかどうかを確認するもので、吸着ノズル11への吸着の有無によって自動的に検出してもよいし、作業者が準備を終えたことにより行う入力操作を待って判断してもよい。ステップS3でカメラ4の計測スタート条件が確認されるのを待って、ステップS4に移行し、カメラ4のカメラスケールの計測を部品取り扱い機構6および基板取り扱い機構7間での認識治具22や41とカメラ4との相対動作を伴い実行する。
次いで、ステップS5でカメラ4でのカメラスケールの計測終了が確認されるのを待って、ステップS6に移行してカメラ5のカメラスケールの計測の要求を出し、基板認識用のカメラ5のカメラスケールの計測をスタートできるか否かをステップS7で判定する。これは、カメラ5のカメラスケールの計測のために作業者が部品取り扱い機構6の撮像ターゲットした認識治具22や41が取り外され、代って基板取り扱い機構7の側のステージ8にカメラスケールの計測のための撮像ターゲットとなる認識治具22や41が保持されたかどうかを確認するもので、吸着ノズル11での吸着解除およびステージ8への吸着の有無によって自動的に検出してもよいし、作業者が準備を終えたことにより行う入力操作を待って判断してもよい。ステップS7でカメラ5の計測スタート条件が確認されるのを待って、ステップS8に移行し、カメラ5のカメラスケールの計測を部品取り扱い機構6および基板取り扱い機構7間での認識治具22や41とカメラ4、5との相対動作を伴い実行する。
ステップS9でカメラ5のカメラスケールの計測が終了するのを待って、ステップS10に移行し、記憶されているカメラ4、5のカメラスケールの計測データによって、カメラ4、5のカメラエリア全体でのカメラスケールを調整し、以降に行われる部品実装機1のアライメント調整や部品実装時の部品2や基板3の画像認識に正しく適用されるようにカメラ4、5についてのキャリブレーションを行った後、ステップS11で部品実装機1のアライメント調整、具体的にはカメラ4、5側との位置関係をも含むアライメント調整を行なう。これを終えてステップS12に以降して部品の実装動作を繰り返し、運転初期以外でのアライメント調整の要求があればステップS11でのアライメント調整を行ってからS12での部品実装動作に復帰する。
図6のステップS4における部品認識用のカメラ4のカメラスケールの計測処理の具体例は、図7に示すようにステップS21にて部品側、つまり部品取り扱い機構6に部品認識用のカメラ4による撮像対象とする認識治具22や41などが保持されたかどうかを自動で、あるいは作業者による入力によって判定する。保持されていることを条件にステップS22以下に移行する。ステップS22〜ステップS24の実線で示すフローチャート部分は認識治具22を撮像対象とした場合の例を示し、先ずステップS22で部品取り扱い機構6および基板取り扱い機構7による認識治具22およびカメラ4の相対移動を伴い、認識治具22をカメラ4で撮る。これにより図4に示すような全体に単位エリアA1、・・Anが設定された画像がカメラエリアAに得られるので、次のステップS23でカメラエリアA全体についての単位エリアA1、・・ごとのカメラスケールを順次に計測する。この計測の終了がステップS24で確認されるとステップS25以下に移行する。
これに対し、撮像対象を認識治具41とする場合は、ステップS22で部品取り扱い機構6および基板取り扱い機構7による認識治具41とカメラ4との相対移動を伴い、図5(b)に示すようなカメラエリアAに設定する各単位エリアA1、・・につき、計測方向XYに並ぶ2点位置に受運時に移動させる都度カメラ4で撮ることをステップS22〜ステップS24に示すフローチャート部分の破線ラインに従って繰り返しながら、カメラスケールの計測が整う都度ステップS23で、各単位エリアA1、・・でのX方向およびY方向でのカメラスケールを順次に実行する。この計測の終了がステップS24で確認されるとステップS25以下に移行する。
ステップS25では、計測された各単位エリアA1、・・でのカメラスケールデータに対し、各単位エリアA1、・・関し計測したあるいは予め設定された位置データとを対応させて記憶し、ステップS26にて各単位エリアA1、・・についての計測データの記憶が終了したことを確認するとリターンする。
図6のステップS8における部品認識用のカメラ5のカメラスケールの計測処理の具体例は、図8に示すようにステップS31にて基板側、つまり基板取り扱い機構7に基板認識用のカメラ5による撮像対象とする認識治具22や41などが保持されたかどうかを自動で、あるいは作業者による入力によって判定する。保持されていることを条件にステップS32以下に移行する。ステップS32〜ステップS34の実線で示すフローチャート部分は認識治具22を撮像対象とした場合の例を示し、先ずステップS32で部品取り扱い機構6および基板取り扱い機構7による認識治具22およびカメラ5の相対移動を伴い、認識治具22をカメラ4で撮る。これにより図4に示すような全体に単位エリアA1、・・Anが設定された画像がカメラエリアAに得られるので、次のステップS33でカメラエリアA全体についての単位エリアA1、・・ごとのカメラスケールを順次に計測する。この計測の終了がステップS34で確認されるとステップS35以下に移行する。
これに対し、撮像対象を認識治具41とする場合は、ステップS32で部品取り扱い機構6および基板取り扱い機構7による認識治具41とカメラ4との相対移動を伴い、図5(b)に示すようなカメラエリアAに設定する各単位エリアA1、・・につき、計測方向XYに並ぶ2点位置に受運時に移動させる都度カメラ5で撮ることをステップS32〜ステップS34に示すフローチャート部分の破線ラインに従って繰り返しながら、カメラスケールの計測が整う都度ステップS33で、各単位エリアA1、・・でのX方向およびY方向でのカメラスケールを順次に実行する。この計測の終了がステップS34で確認されるとステップS35以下に移行する。
ステップS35では、計測された各単位エリアA1、・・でのカメラスケールデータに対し、各単位エリアA1、・・に関し計測したあるいは予め設定された位置データとを対応させて記憶し、ステップS36にて各単位エリアA1、・・についての計測データの記憶が終了したことを確認するとリターンする。