JP4979592B2 - 褐藻細胞の凍結乾燥製品、その取得方法、およびその使用 - Google Patents

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Description

本発明は、褐藻細胞の凍結乾燥製品、その取得方法、それを含む化粧品組成物、それを含む補助食品、およびそれらの使用に関する。
ヒバマタ綱(Fucophycea)または褐藻綱(Phaeophyceae)とも呼ばれる褐藻のクラスは、しばしば黄金色植物と呼ばれる褐色植物門または「有色藻類」に属する。この門は、その細胞が、クロロフィル色素、すなわちクロロフィルaおよびcに加え、フコキサンチンなどの「アクセサリー」カロテノイド色素を含む藻類を分類するものである。
褐藻綱は、アスコセイラ目、ナガマツモ目、ムチモ目、ウルシグサ目、ウイキョウモ目、アミジグサ目、ダービリア目(Durvilleales)、シオミドロ目、ヒバマタ目、コンブ目、ノテイア目(Notheiales)、カヤモノリ目、クロガシラ目、ケヤリモ目、ウスバオオギ目、ティロプテリス目という目を含む。
すべての光合成生物は、色素、通常はクロロフィルの形態を使用して光エネルギーを収集する。標準のクロロフィルはクロロフィルaであり、これは、捕捉した光エネルギーをそのエネルギーを利用する分子へと伝達するのに不可欠である。クロロフィル生物の大部分は、より多くの光を吸収するために他の色素を有するが、収集されたエネルギーは、常にクロロフィルa分子に伝達されなければならない。
褐藻は、クロロフィルcやカロテノイドなどの、いくつかのこのような「アクセサリー」色素を利用する。褐藻綱は、その色素体中に大量のカロテノイドを示すが、カロテノイドは、褐藻綱にその特徴的な褐色の色調を与える褐色および黄色の色素である。褐藻の最も重要なカロテノイド色素は、フコキサンチンであり、この名称は、褐藻(Fucus)に源を発する。フコキサンチンは、500〜580nmの波長を吸収する。
カロテノイド色素は、脂肪族または脂環式の構造を有する。この色素は脂肪に可溶性であり、このことがある種の膜へのその直接的な組込みを促進する。したがって、その水への溶解性は、他の分子に結合しているときに限って生じ得る。これは、この色素の代謝が最も頻繁に脂質代謝と直接的な関係にあることの理由でもある。
カロテノイドは、クロロフィルaによって収集されたエネルギーを伝達するために結合しているので、アクセサリー色素とも呼ばれる。このような色素は、このファミリーの色素にその名称を与えるカロテンを通して一般に知られている。
特に動物およびヒトにとってのカロテノイドの唯一の供給源は、その食品である。カロテノイドは、ヒト血漿中で、特に循環している脂質に対して抗酸化機能を有する。この機能は、カロテノイドが組み込まれる細胞膜のレベルでも示される。
カロテノイドは、皮膚の呈色(黄色〜橙色)において直接的な役割を有し、自然な日焼け色を模倣する。
従来技術
カロテンは、日焼けを加速するために、太陽光に曝される2〜3日前およびその最中に摂取される補助食品として使用される。β−カロテンは、ビタミンAの前駆体である。β−カロテンの摂取は、日光紅斑の大発生を遅らせる。ビタミンAは、青色光の作用のもとで生成されるメラニンの量を増加させる。さらに、ビタミンAは、抗酸化性の保護的な役割を有する。ビタミンAおよびEは、UV光の作用のもとでのメラニンの酸化的な変性を回避する。
既知の補助食品では、カロテンは、ビタミンC、ビタミンE、またはフラボノイドと一緒になっている。
皮膚を色づけるためのカロテンの使用の弱点は、得られる色調が自然な日焼けよりもはるかに橙色であることである。さらに、カロテンは急速にビタミンAに分解される。
アスタキサンチンは、強力な抗酸化剤であることがわかっている。特許出願US6433025は、日焼けを防止し遅らせるためのその経口的な使用を記載している。
別のカロテノイド色素であるカンタキサンチンは皮膚を色づけ、それを紫外線から保護するための補助食品として使用されている(GB1323800)。それにもかかわらず、このカンタキサンチンの使用は、失明の危険があるとしてフランスでは禁止されており、一方米国では現在市販されている(Canthorex、DELTA(登録商標)Laboratories)。
皮膚癌または黒色腫は、フランスでは今後数年のうちに非常に頻発するであろう。米国では既に毎年80万例となっている。紫外線(UV)によって誘発されるDNA突然変異の結果として起こる皮膚細胞の過剰な増殖の結果であることが最も多い。
人々は、ますます危険を認識し、まさに自身を太陽から守ろうとしている。それにもかかわらず、日焼けした皮膚は、依然として今日の審美的な基準を満たす有利かつ所望される特色である。
FR 2 489 689 A US 2003/017185 A1 FR 2 697 409 A FR 2 844 449 A CH 500 711 A FR 2 838 341 A 特開2004−075634 特開2002−265313
したがって、化粧品および医薬製剤の製造者は、現在、皮膚を着色し、かつ皮膚をUVの有害な影響から保護する活性物質を探索している。
発明の要約
本出願人は、驚いたことに、そして予想外に、フコキサンチンの豊富な褐藻細胞、特に配偶体の細胞の凍結乾燥製品が、所望の効果の組合せの実現を可能にすることを発見した。すなわち、この製品は、メラニン形成を刺激することによる完全に無害な方法で紫外線照射なしでも表皮を着色する一方で、抗ラジカル活性によって皮膚を保護し、皮膚の再生を刺激する。
実は、褐藻は、複雑な世代交代型の周期を有する。コンブ目(図1を参照されたい)では、巨視的な葉状体に発達した二倍体の胞子体と、顕微鏡的な雄性配偶体および雌性一倍体との交替を観察することができる。この場合では、配偶体は、胞子の異なる有糸分裂の結果として生じる一組の細胞にすぎない。
配偶体の時期は過渡的であり、配偶子を産生する段階にすぎない。真の葉状体へと発育していないので、光合成が乏しく、真の光合成色素であるクロロフィルと比べて最大量の保護色素:フコキサンチンを含む。
したがって、出願人は、量の制限なく、かつ年間を通して利用可能なバイオマスから、フコキサンチンの古典的な抽出法と比べて容易にかつ低コストで、フコキサンチンが極度に濃縮されている褐藻細胞の凍結乾燥製品を得るために、この配偶体の段階を選択した。
発明の詳細な説明
したがって、本発明の第1の主題は、フコキサンチンの豊富な、特に少なくとも1%のフコキサンチンを含む、褐藻細胞の凍結乾燥製品である。前記褐藻細胞は、胞子または配偶体であることが好ましく、配偶体であることが特に好ましい。
本発明の第2の主題は、褐藻細胞の配偶体の凍結乾燥製品を得る方法であって、
−成熟した胞子体を収穫するステップ、
−in vitroで胞子を放出させるステップ、
−in vitroで胞子を発芽させるステップ、
−配偶体細胞を収穫するステップ、および
−得られた配偶体細胞を凍結乾燥するステップ
を含む方法である。
「成熟した胞子体」とは、特殊な生殖器床、たとえば胞子嚢群中に胞子を含む胞子体を意味する。
本発明の第3の主題は、本発明による凍結乾燥製品を、好ましくは0.2〜5重量%、より好ましくは1〜2重量%の範囲の量で活性成分として含む、局所使用のための化粧品調製物である。
本発明の第4の主題は、本発明による凍結乾燥製品を活性成分として含む補助食品である。
本発明による化粧品調製物は、皮膚を着色するため、皮膚が紫外線に曝されるのに備える、紫外線によって誘発される酸化ストレスから皮膚を保護するため、および/または皮膚を細胞の老化から保護するために使用することができる。
本発明による補助食品は、皮膚が紫外線に曝されるのに備えるために使用することができる。
[実施例1]
コンブ目褐藻の配偶体の取得
Laminaria saccharina、Laminaria hyperborea、Alaria esculenta、Undaria pinnatifidaの各種の配偶体細胞を得た。
10月と2月の間に、フランスのブルターニュの海岸で、J0の胞子嚢群(図1を参照のこと)を示す受精能力のある成熟胞子体の葉状体を収穫した。
これらを濾過した海水で洗浄し、5〜10cmの小片にカットし、それを濾過した海水を含む2つのタンクの中で、濾過した海水、漂白剤0.2%に、20〜30秒間次々に浸漬する。
次いで、葉状体の小片を吸収紙の上で乾燥させた、1枚の吸収紙に30片を分配し、その吸収紙のシートを巻いた。
葉状体の小片を含む、巻かれた吸収紙のシートを15℃で12時間インキュベートする。次いでそれを濾過した海水中に入れ、後に胞子を放出させる。
胞子は、光(1800〜2000 lux、24h/24)の存在下、0.1%のProvasoli溶液(表1を参照のこと)を含む限定培養培地の入ったフラスコ中でわずかに振盪させながらインキュベートする。
温度を1日に0.5℃ずつ22℃まで上昇させる。培地は、2週間毎に新しくした。
胞子は培養してから6〜20日後に発芽し、発芽から10〜12日後に配偶体を収穫する(表2を参照のこと)。
Figure 0004979592
Figure 0004979592
[実施例2]
褐藻配偶体細胞の凍結乾燥製品の取得
この胚(plantlet)の発芽を防止するための、硫酸カナマイシンおよび二酸化ゲルマニウムを含まない培地による配偶体の抑制
培養物をふるいで濾過し、細胞を海水ですすぎ、プレート凍結乾燥機で凍結乾燥した。
フコキサンチンの力価をHPLCによって決定するために、10mlの70%エタノールに対して0.05%の凍結乾燥製品という割合でエタノール抽出法を実施し、暗所で6時間攪拌し、次いで濾過する。
HPLC分析は、Absorbsphere(Alltech)カラムで次の溶媒/勾配を用いて実施する。
A=酢酸アンモニウム/メタノール(20:80)
B=アセトニトリル90%
C=酢酸エチル
[実施例3]
BB製品の調製
Undaria pinnatifida(コンブ科)の海藻配偶体の凍結乾燥製品は、実施例2に従って調製する。
この凍結乾燥製品を適切な方法で皮膚培養物上に使用するために、凍結乾燥製品を配偶体の培養培地に戻し入れる。この混合物を超音波処理し、次いで濾過する。この濾過した製品の成果を<<BB>>と呼ぶ。
[実施例4]
再構成角膜SKINETHIC(登録商標)での細胞傷害性研究における褐藻配偶体細胞凍結乾燥製品の粘膜耐性評価
1.−実験プロトコル
変法MCDB153限定培地中での細胞培養によって自発的に形質転換させ、増幅したTR146系統のケラチノサイトを使用した。
このようなヒトケラチノサイトは、限定培地の空気/液体の界面で培養するとき、ヒト角膜に類似した角膜層なしの多層の上皮を形成する。
調査する製品、この場合では実施例3によるBB製品を、マイクロピペットを使用して、8当量の培養物の表面に30μLの割合で適用する。その後、これらの培養物を37℃の5%CO中で10分間、1時間、3時間、および24時間、各インキュベート期間につき2培養物の割合でインキュベートする。
ネガティブ(緩衝化生理食塩水溶液)およびポジティブ(SDS 0.5%および1%)コントロールを無菌で調製し、それぞれ2培養物で同じ方法で適用する。
その後、これらの培養物を37℃の5%CO中で1時間および24時間、各インキュベート期間につき2培養物の割合でインキュベートする。
2.−細胞生存度の評価
バイタル色素(vital dye)で標識化した後、細胞生存度をさらに定性的に測定する。MTTシステムは、生細胞のミトコンドリア脱水素酵素活性を測定するものである。鍵となる構成成分は、臭化3−[4,5−ジメチルチアゾール−2−イル]−2,5−ジフェニルテトラゾリウムまたはMTTである。
MTTを含み、フェノールレッドを含まない緩衝化塩溶液は、黄色である。生細胞のミトコンドリア脱水素酵素は、テトラゾリウム回路を切断し、したがって不溶性の水溶液中で紫色のホルマザン結晶の生成を誘発する。
生存細胞によって生成された結晶は、上皮培養物の支持体として役立つポリカーボネートフィルターで捕捉される。培養物は、生きているとき均一な強烈な青/紫色に変わるが、細胞が死んでいる場合では白/黄色のままである。
結果をネガティブおよびポジティブコントロールと比較する。
10%vol/volのMTT溶液を含む0.15mlの培養培地を、各フィルター/培養物支持体下にピペットで取る。室温で30分間インキュベートした後、異なる培養物の色調を観察する。
ネガティブコントロール培養物は、24時間接触させた後、強烈な青/紫色、すなわち粘膜が生存している証拠を示すはずである。
ポジティブコントロール培養物は、接触して1時間の時点で白色、すなわち細胞の死の証拠を示すはずである。
3.−結果
Figure 0004979592
4.−結論
適用した実験条件下では、調査した純粋な実施例3によるBB製品は、モデルSKINETHIC(登録商標)のin vitro再構成粘膜を形成する細胞にとって刺激性でない。
[実施例5]
再構成された表皮皮膚SKINETHIC(登録商標)での細胞傷害性研究による褐藻配偶体細胞凍結乾燥製品の皮膚耐性評価
1−実験プロトコル
限定補充培地(変法MCDB153)中の0.63cmのポリカーボネートフィルター上にヒト起源のケラチノサイトを播く。細胞を空気/液体界面上で10日間培養し、培地は2日毎に新しくする。
このように形成された表皮を、培養物の14日目から研究の実施に使用した。
試験は、製品を24時間インキュベートした後、表皮毎に2μlの割合で3重(triplicate)に実施した。
コントロール表皮にはどんな製品も与えなかった。
10%のホルムアルデヒド溶液中に固定した表皮をパラフィンブロックに包埋した。4ミクロンの垂直断片をHES(ヘマトキシリン/エオシン/サフラン)で染色し、光学顕微鏡写真を撮影した。
製品が毒性でなければ、培養物は、基底細胞層、有棘細胞層、顆粒細胞層、および無傷の正角化角膜を示すはずであり、皮膚の層形成は規則的かつ正常である。基底層細胞は、垂直に極性化しているはずである。角質層直下の顆粒層では数多くのケラトヒアリン顆粒が(青紫色で)目に見えるはずである。
2−結果
図2を参照されたい。
3.−結論
適用した実験条件下では、調査した純粋な実施例3によるBB製品は、再構成皮膚SKINETHIC(登録商標)に対して細胞傷害性でないことが示された。
[実施例6]
色素沈着試験
1.−材料および方法
BB製品を、エタノール中に希釈し、次いで化粧品製剤に混ぜる。
試験した製品は次のとおりである。
a−0.05%で製剤に混合されたBB製品
b−0.15%で製剤に混合されたBB製品
c−0.30%で製剤に混合されたBB製品
これらを使用するまで4℃で保存する。
2.−生化学的評価
インキュベートの終わりに、細胞ライゼート中に含まれるメラニンを分光光度法によって定量した。メラニンの範囲をこのアッセイと並行して実施した。
結果は、細胞カーペットのライゼート1mlあたりのメラニンのμgで表す(平均+/−標準偏差SD)。
<<処理>>と<<コントロール>>の各条件間で認められた差の統計学的有意性は、要因に対する分散分析(一方向ANOVA)、次いでボンフェローニのt検定試験(:p<0.05、**:p<0.0l)によって評価した。
Figure 0004979592
Figure 0004979592
Figure 0004979592
3.−組織学的評価
表皮の皮膚をインキュベートの終わりからホルムアルデヒド中に固定し、次いでパラフィンブロックに包埋した。その後厚さ4μmの切片にカットした。
皮膚切片中に存在するメラニンを、<<Fontana Masson>>と呼ばれる特異的な染色によって明らかにした。条件毎の前記スライドは、400倍の拡大率で実施した。これらのスライド上の視覚化できるメラニンを、ImageJプログラムを使用する画像解析によって定量した。
結果は、各スライドにおけるメラニンによって占有された面(グレースケールが0と100の間、0=黒色/255=白色である画素数)の形で表す(平均+/−標準偏差、SD)。
処理した条件とコントロール間の顕著な差異の統計学的有意性は、スチューデントの検定によって評価した(:p<0.05、**:p<0.01、***:p<0.001)。
Figure 0004979592
3.−結果
製剤「ETOH BB0.15」は、UVAまたはUVBに曝されていない、メラニン沈着した再構成ヒト表皮皮膚のメラニン含有量を、再適用なしで有意に増大させる(生化学的分析で+22%、画像解析で+51%)。
製剤「ETOH BB0.3」は、UVAまたはUVBに曝されていない、メラニン沈着した再構成ヒト表皮皮膚のメラニン含有量を有意に増加させる(生化学的分析で+28%、画像解析で+36%)。
[実施例7]
マクロ分子の輸送に対する効果:
7.1−単離されたミクロソーム系におけるマクロ分子(糖質、脂質、およびタンパク質)の輸送速度の評価。単離されたミクロソームに対するBB製品の直接的な効果:
ヒトケラチノサイトのミクロソームは、細胞ホモジネートの高速分画遠心法によって得られる膜画分を形成する。このミクロソームの調製には、NADPHなどの外因性の補因子の追加が必要である。
7.1.1−糖質(グルコース)の輸送
このアッセイは、ミクロソームを直接処理した後に3重に実施した。
負荷1:どんな製品も受けないネガティブコントロール
負荷2:ポジティブコントロール(0.25mMのフロレチン)
負荷3〜5:調査した製品(3濃度)で処理したもの
負荷6〜8:0.25mMのフロレチンおよび調査した製品(3濃度)で処理したもの
培養物中のヒトケラチノサイトから得られるミクロソームをグルコースなしのPBS緩衝液で3回洗浄し、次いで1mlの同じ緩衝液中37℃で30分間プレインキュベートした。その後、この溶液を廃棄し、ミクロソームを、37℃の水浴中の、3−0−メチルグルコース(MG)および[H]3−0−MGを含有する、グルコースを含まないPBS緩衝液中に攪拌しながら加えた。サイトカラシンBを含む1mlの冷PBSを加えて、3−0−MGの捕捉を中止する。インキュベートの動態は、30〜120秒の間で実施した。ミクロソームをさらにPBSで2回すすぎ、次いで4℃で一晩かけてNaOH(1M)に溶解させた。放射能をシンチレーションカウンターで測定した。
ミクロソームのBB製品による単独またはフロレチン存在下での処理は、[H]3−0−MGのインキュベーション培地への導入と同時に実施した。
タンパク質アッセイは、BRADFORD法に従って実施した。分光光度計で測定される595nmでの吸光度の増大は、タンパク質濃度に比例する。
Figure 0004979592
ケラチノサイトのミクロソームを、使用した濃度のBB製品で直接に処理した後に得られる結果は、グルコース輸送速度の抑制を示していない。生理的条件下でのグルコース捕捉の動態は、コントロールミクロソームと、使用した3濃度のBB製品で処理したミクロソームとでほぼ同一である。
ミクロソームをフロレチンで直接に処理すると、グルコースの輸送速度が強力に抑制される。ミクロソームをフロレチンと同時に3濃度のBB製品で処理すると、グルコースの輸送速度が有意に持ち直す。抑制条件下でのグルコース捕捉の動態は、使用した3濃度のBB製品によって完全に持ち直す。
7.1.2−脂質の輸送
このアッセイは、ミクロソームを直接に処理した後に3重に実施した。
負荷1:どんな製品も受けないネガティブコントロール
負荷2:ポジティブコントロール(1mMのジフェンヒドラミン)
負荷3〜5:調査した製品(3濃度)を受けて処理したもの
負荷6〜8:1mMのジフェンヒドラミンおよび調査した製品(3濃度)で処理したもの
培養物中のヒトケラチノサイトから得られるミクロソームを25mMのトリス緩衝液で3回すすぎ、次いで1mlの同じ緩衝液中37℃で30分間プレインキュベートした。次いでこの溶液を廃棄し、ミクロソームを、37℃の水浴中の[H]コリンを含む25mMのトリス緩衝液中に攪拌しながら加えた。(50mMのトリス、140mMのNaCl、1.5mMのMgSO、0.5%のIgepal−Ca−630、0.2%のSDS)を含有する溶解緩衝液を加えてコリンの捕捉を停止した。インキュベーションの動態は、30〜120秒の間で実施した。その後、ミクロソームをPBSで2回すすぎ、次いで4℃で一晩かけてNaOH(1M)に溶解させた。放射能をシンチレーションカウンターで測定した。
ミクロソームのBB製品による単独またはジフェンヒドラミン(DPA)存在下での処理は、[H]コリンのインキュベーション培地への導入と同時に実施した。
タンパク質アッセイは、BRADFORD法に従って実施した。分光光度計で測定される595nmでの吸光度の増大は、タンパク質濃度に比例する。
Figure 0004979592
ケラチノサイトのミクロソームを、使用した濃度のBB製品で直接に処理した後に得られる結果は、脂質の輸送速度の抑制を示していない。生理的条件下でのコリン捕捉の動態は、コントロールミクロソームと、使用した3濃度のBB製品で処理したミクロソームとでほぼ同一である。
得られる結果は、ミクロソームをジフェンヒドラミンで直接に処理すると、脂質の輸送速度が強力に抑制されることを示している。ミクロソームをジフェンヒドラミンと同時に3濃度のBB製品で処理すると、脂質の輸送速度は回復する。抑制条件下でのコリン捕捉の動態は、使用した3濃度のBB製品によって中程度に持ち直す。
7.1.3−タンパク質(アルブミン)の輸送
アッセイは、ミクロソームを直接に処理した後に3重に実施した。
負荷1:どんな製品も受けないネガティブコントロール
負荷2:ポジティブコントロール(ノコダゾール、6mg/ml)
負荷3〜5:調査した製品(3濃度)を受けて処理したもの
負荷6〜8:ノコダゾール6mg/mlおよび調査した製品(3濃度)で処理したもの
培養物中のヒトケラチノサイトから得られるミクロソームを、緩衝液で3回すすぎ、後に1mlの同じ緩衝液中3℃で30分間プレインキュベートした。その後、この溶液を廃棄し、ミクロソームを、37℃の水浴中の、アルブミン−FITCを含有するHBSS緩衝液中に攪拌しながら加えた。122.5mMのNaCl、5.4mMのKCl、1.2mMのCaCl、0.8mMのMgCl、0.8のNaHPO、0.2のNaHPO、5.5mMのグルコース、10mMのHEPES、pH7.4を含有するリンゲル液を加えてアルブミンの捕捉を停止する。その後、ミクロソームを、(3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸20mM、pH7.4中0.1%v/v)のトリトンX100で処理した。分光光度計(励起480nm:放出520nm)で蛍光を数量化した。インキュベーションの動態は、30〜120秒の間で実施した。
ミクロソームのBB製品による単独またはノコダゾール(ND)存在下での処理は、アルブミン−FITCのインキュベーション培地への導入と同時に実施した。
タンパク質のアッセイは、BRADFORD法に従って実施した。595nmでの吸光度の増大は、分光光度計で測定されるタンパク質濃度に比例する。
Figure 0004979592
ケラチノサイトのミクロソームを、使用した濃度のBB製品で直接に処理した後に得られる結果は、タンパク質の輸送速度の抑制を示していない。生理的条件下でのアルブミン捕捉の動態は、コントロールミクロソームと、使用した3濃度のBB製品で処理したミクロソームとでほぼ同一である。
得られる結果は、ミクロソームをノコダゾールで直接に処理すると、脂質の輸送速度が強力に抑制されることを示している。ミクロソームをノコダゾールと同時に1/5および1/2の濃度のBB製品で処理すると、脂質の輸送速度が中程度に持ち直す。1/10の濃度では効果が認められなかった。
7.2−正常なヒトケラチノサイトレベルでのマクロ分子輸送速度の評価
適用した方法は、ヒト皮膚の生検材料から、初代培養物中でケラチノサイトを得ることが可能になる、移植片の方法であった。このアッセイは、異なる実験(experience)間の再現性を確保するために2継代目と4継代目の間のケラチノサイトで実施した。
ケラチノサイトを、インスリンおよびヒドロコルチゾンを補充した、マルチウェルプレート(6ウェル)中の1mlのSKINETHIC培養培地にウェルあたり10細胞の割合で分配した。調査した製品の存在下および不在下で細胞をインキュベートした。
7.2.1−糖質(グルコース)の輸送
このアッセイでは、培養中の正常なヒトケラチノサイトで3重に実施した。
負荷1:どんな製品も受けないネガティブコントロール
負荷2:ポジティブコントロール(0.25mMのフロレチン)
負荷3:調査した製品を受けて処理したもの
負荷6〜8:0.25mMのフロレチンおよび調査した製品(3濃度)で処理したもの
0.25mMのフロレチンの存在下および不在下でのBB製品によるケラチノサイトの処理は、37℃で20分間かけて実施した。分画遠心法によって膜ミクロソームを分離した。
[3H]3−0−メチル−グルコースの捕捉の同じプロトコルをグルコース輸送速度の測定に採用した(6.1.1を参照されたい)。
Figure 0004979592
正常なケラチノサイトをBB製品で処理してからミクロソームを分離した後に得られる結果は、グルコース輸送速度の抑制を示していない。生理的条件下でのグルコース捕捉の動態は、コントロールのケラチノサイトのミクロソームと、使用した3濃度のBB製品で処理したケラチノサイトのミクロソームとでほぼ同一である。
正常なケラチノサイトを、ミクロソームを分離する前にフロレチンで処理すると、グルコースの輸送速度が強力に抑制される。正常なケラチノサイトをフロレチンと同時に3濃度のBB製品で処理すると、グルコースの輸送速度が有意に持ち直す。抑制条件下でのグルコース捕捉の動態は、使用した3濃度のBB製品によって完全に回復する。
7.2.2−脂質の輸送
このアッセイは、培養中の正常なヒトケラチノサイトで3重(triplicate)に実施した。
負荷1:どんな製品も受けないネガティブコントロール
負荷2:ポジティブコントロール(1mMのジフェンヒドラミン)
負荷3〜5:調査した製品(3濃度)を受けて処理したもの
負荷6〜8:1mMのジフェンヒドラミンおよび調査した製品(3濃度)で処理したもの
1mMのジフェンヒドラミン存在下でのBB製品によるケラチノサイトの処理は、37℃で120分間かけて実施した。分画遠心法によって膜ミクロソームを分離した。
[3H]コリン捕捉の同じプロトコルをコリンの輸送速度の測定に使用した(6.1.2を参照されたい)。
Figure 0004979592
正常なケラチノサイトをBB製品で処理してからミクロソームを分離した後に得られる結果は、脂質の輸送速度の抑制を示していない。生理的条件下でのコリン捕捉の動態は、コントロールのケラチノサイトのミクロソームと、使用した3濃度のBB製品で処理したケラチノサイトのミクロソームとでほぼ同一である。
正常なケラチノサイトを、ミクロソームを分離する前にジフェンヒドラミンで処理すると、脂質の輸送速度が中程度に抑制される。正常なケラチノサイトをジフェンヒドラミンと同時に3濃度のBB製品で処理すると、脂質の輸送速度が回復する。抑制条件下でのコリン捕捉の動態は、使用した3濃度のBB製品によって中程度に回復する。
7.2.3−タンパク質(アルブミン)の輸送
このアッセイは、培養中の正常なヒトケラチノサイトで3重に実施した。
負荷1:どんな製品も受けないネガティブコントロール
負荷2:ポジティブコントロール(ノコダゾール、6mg/ml)
負荷3〜5:調査した製品(3濃度)を受けて処理したもの
負荷6〜8:ノコダゾール6mg/mlおよび調査した製品(3濃度)で処理したもの
ノコダゾール6mg/mlの存在下および不在下でのBB製品によるケラチノサイトの処理は、37℃で120分間かけて実施した。分画遠心法によって膜ミクロソームを分離した。
アルブミン−FITC捕捉の同じプロトコルをアルブミン輸送速度の測定に使用した(3.1.4.2を参照されたい)。
Figure 0004979592
正常なケラチノサイトをBB製品で処理してからミクロソームを分離した後に得られる結果は、タンパク質の輸送速度の抑制を示していない。生理的条件下でのアルブミン捕捉の動態は、コントロールのケラチノサイトのミクロソームと、濃度1/10のBB製品で処理したケラチノサイトのミクロソームとで同じである。濃度1/2および1/5では、タンパク質輸送速度のわずかな増大が認められる。
正常なケラチノサイトを、ミクロソームを分離する前にノコダゾールで処理すると、タンパク質の輸送速度が抑制される。正常なケラチノサイトをノコダゾールと同時に2濃度のBB製品で処理すると、タンパク質の輸送速度が中程度に持ち直す。濃度1/10では効果が認められなかった。
7.3−老化したヒトケラチノサイトレベルでのマクロ分子輸送速度の評価
老化は、細胞が細胞周期のG1期で阻止され、細胞分裂をもたらす合成期に入ることのない細胞の老化現象である。老化細胞は、マクロ分子の合成および輸送のレベルでのその緩慢な代謝を特徴とする。
血清を欠く培養物中の細胞は、その増殖を中止するが、G1期に到達するまで細胞周期を前進し続ける。
適用した方法では、ヒト皮膚生検から、ケラチノサイトの初代培養物を得ることが可能であった。このアッセイは、コントロール細胞レベルで老化細胞の存在を確実にするために、8継代目〜10継代目のケラチノサイトで実施した。
ケラチノサイトを、EGF、ヒドロコルチゾン、インスリン、およびゲンタマイシンを補充した、マルチウェルプレート(6ウェル)中の3mlのSKINETHIC培養培地にウェルあたり10細胞の割合で播種した。その後、インキュベーターに入れてCO下で5日間維持する。
7.3.1−糖質(グルコース)の輸送
このアッセイは、老化したヒトケラチノサイトで3重に実施した。
負荷1:どんな製品も受けないネガティブコントロール
負荷2:ポジティブコントロール(0.25mMのフロレチン)
負荷3:調査した製品を受けて処理したもの
負荷6〜8:0.25mMのフロレチンおよび調査した製品(3濃度)で処理したもの
0.25mMのフロレチンの存在下および不在下でのBB製品によるケラチノサイトの処理は、37℃で20分間実施した。分画遠心法によって膜ミクロソームを分離した。
[3H]3−0−メチル−グルコースの捕捉の同じプロトコルをグルコース輸送速度の測定に適用した(6.1.1を参照されたい)。
Figure 0004979592
得られる結果は、老化したケラチノサイトのレベルでは正常なケラチノサイトと比べてグルコースの輸送速度が著しく遅いことを示している。
老化したケラチノサイトを、ミクロソームを分離する前にBB製品で処理すると、未処理のコントロール細胞と比べてグルコースの輸送速度の増大が示される。生理的条件下でのグルコース捕捉の動態は、BB製品で処理したケラチノサイトのミクロソームのレベルでは、コントロールのケラチノサイトのミクロソームと比べてより高い。この結果は、異なるインキュベーション期間(30、60、90、および120秒間)で得られる。
老化したケラチノサイトを、ミクロソームを分離する前にフロレチンで処理すると、グルコース輸送速度が強力に抑制される。正常なケラチノサイトを、フロレチンと同時に2濃度(1/5および1/2)のBB製品で処理すると、グルコースの輸送速度が有意に回復する。1/10の濃度ではわずかな効果しか認められなかった。
7.3.2−脂質の輸送
このアッセイは、老化したヒトケラチノサイトで3重に実施した。
負荷1:どんな製品も受けないネガティブコントロール
負荷2:ポジティブコントロール(1mMのジフェンヒドラミン)
負荷3〜5:調査した製品(3濃度)を受けて処理したもの
負荷6〜8:1mMのジフェンヒドラミンおよび調査した製品(3濃度)で処理したもの
1mMのジフェンヒドラミンの存在下および不在下でのBB製品によるケラチノサイトの処理は、37℃で120分間かけて実施した。分画遠心法によって膜ミクロソームを分離した。
[3H]コリンの捕捉の同じプロトコルをコリン輸送速度の測定に適用した(6.1.2を参照されたい)。
Figure 0004979592
得られる結果は、老化したケラチノサイトのレベルでは正常なケラチノサイトと比べて脂質の輸送速度が著しく遅いことを示している。
老化したケラチノサイトを、ミクロソームを分離する前にBB製品で処理しても、未処理のコントロール細胞と比べて脂質の輸送速度の抑制は示さない。生理的条件下での脂質捕捉の動態は、BB製品で処理したケラチノサイトのミクロソームとコントロールのケラチノサイトのミクロソームとで同等である。
老化したケラチノサイトを、ミクロソームを分離する前にジフェンヒドラミンで処理すると、脂質の輸送速度が強力に抑制される。老化したケラチノサイトをジフェンヒドラミンと同時に2濃度(1/5および1/2)のBB製品で処理すると、脂質の輸送速度は有意に持ち直す。1/10の濃度では効果が認められなかった。
7.3.3−タンパク質(アルブミン)の輸送
このアッセイは、老化したヒトケラチノサイトで3重に実施した。
負荷1:どんな製品も受けないネガティブコントロール
負荷2:ポジティブコントロール(ノコダゾール6mg/ml)
負荷3〜5:調査した製品(3濃度)を受けて処理したもの
負荷6〜8:ノコダゾール6mg/mlおよび調査した製品(3濃度)で処理したもの
ノコダゾール6mg/mlの存在下および不在下でのBB製品によるケラチノサイトの処理は、37℃で120分間かけて実施した。分画遠心法によって膜ミクロソームを分離した。
アルブミン−FITCの捕捉の同じプロトコルをアルブミン輸送速度の測定に適用した(6.1.3を参照されたい)。
Figure 0004979592
得られる結果は、老化したケラチノサイトのレベルでは正常なケラチノサイトと比べてタンパク質の輸送速度が著しく遅いことを実証するものである。老化したケラチノサイトを、ミクロソームを分離する前にBB製品で処理しても、未処理のコントロール細胞と比べてタンパク質の輸送速度の抑制は示さない。生理的条件下でのアルブミン捕捉の動態は、BB製品で処理したケラチノサイトのミクロソームと、コントロールのケラチノサイトのミクロソームに匹敵する。
老化したケラチノサイトを、ミクロソームを分離する前にノコダゾールで処理すると、タンパク質の輸送速度が抑制される。老化したケラチノサイトをノコダゾールと同時に2濃度(1/5および1/2)のBB製品で処理すると、タンパク質の輸送速度が有意に回復する。1/10の濃度ではわずかな効果しか認められない。
[実施例8]
呼吸およびATP合成に対する効果
8.1−ミトコンドリアおよび細胞性呼吸に対する製品の効果の研究
溶液中の溶存酸素量は、クラーク電極を用いて測定することができる。テフロン(登録商標)フィルム中に分散する酸素は、白金が−0.8ボルトにカソード分極したレベルで減少する。これらの条件下で、このカソードと銀アノードの間を通過する電流は、溶液中の酸素濃度に比例する。KClの飽和溶液によって両方の電極間のイオン架橋が作られる。
測定値の取得および処理は、マイクロコンピュータ(IBM−PC)によってリアルタイムで行う。プログラムは、リアルタイムで算出される酸素消費速度に対応する、タンク中の酸素量およびその上に瞬時の誘導体(derivative)を継続的に可視化することを可能にするものである。
5濃度を試験し、測定は3重に実施した。この研究は、2種の異なる条件に応じて実施する。
8.1.1−細胞性呼吸に対する製品の効果:基礎呼吸の測定
グルコース存在下の透過処理していない細胞での基礎呼吸速度に対する効果
ケラチノサイトを、COを含むインキュベーターに入れて、ヒドロコルチゾン、EGF、およびFCS(10%)を補充したDMEM培養培地で1運転あたり10個の割合で培養した。
このプロトコルは、オキシグラフのタンク中で細胞に製品を直接適用して実施した。
10細胞/mlの濃度の細胞(ケラチノサイト)を、サーモスタットで30℃に調温し、クラーク電極を備え付けたオキシグラフのタンク中の「呼吸緩衝液」(Hanks−Hepes 20mMのグルコース)に懸濁させる(呼吸緩衝液1mlはこれらの条件下で480個の酸素原子を含有する)。
これらの条件下で、酸素消費の速度(細胞の基礎呼吸)を測定することができる。オキシグラフのタンクに異なる量の製品(最終濃度:1/10、1/5、および1/2)を加えると、起こり得る刺激またはこの呼吸の抑制を明らかにすることが可能になる。
以下ではすべての測定を次の表にまとめる。
Figure 0004979592
適用した実験条件下、得られる結果を考慮すれば、製品をケラチノサイトと接触させると、(1/5および1/2)の濃度で基礎呼吸速度の著しい増大が誘発される。
8.1.2−ミトコンドリア呼吸に対する製品の効果:
ミトコンドリア呼吸を評価するための、呼吸基質のピルビン酸−リンゴ酸存在下での、透過処理した細胞の呼吸速度への影響
ケラチノサイトを、インキュベーターに入れて、CO中の、ヒドロコルチゾン、EGF、およびFCS(10%)を補充したDMEM培養培地で1運転あたり10細胞の割合で培養した。
このプロトコルは、オキシグラフのタンク中で細胞に製品を直接適用して実施した。
10細胞/mlの濃度の細胞(ケラチノサイト)を、サーモスタットで30℃に調温し、クラーク電極を備え付けたオキシグラフのタンク中の「呼吸緩衝液」(Hanks−Hepes 20mMのグルコース)に懸濁させる(呼吸緩衝液1mlはこれらの条件下で480個の酸素原子を含有する)。細胞をジギトニンで透過処理する。呼吸基質(10mMのピルビン酸および10mMのリンゴ酸)を加えると、酸素消費速度(チャンスによる段階2)を観察することが可能になる。オキシグラフのタンクに異なる量の製品(最終濃度:1/10、1/5、および1/2)を加えると、起こり得る刺激またはこの呼吸の抑制を明らかにすることが可能になる。
以下ですべての測定を表にまとめる。
Figure 0004979592
適用した実験条件下、得られる結果を考慮すれば、製品を培養中のヒトケラチノサイトと接触させると、(1/5および1/2)の濃度でミトコンドリア呼吸速度の著しい増大が誘発される。
8.2−ミトコンドリアのATP合成に対する製品の効果の研究
測定は、Boehringer Mannheimによる、ATPモニタリング試薬を使用するLuminoscan型装置(ATP Bioluminescence Assay Kit HSII)を用いて実施する。このアリコート中に存在するATPの量は、次の酵素反応のおかげで測定することができる。
ルシフェラーゼ
ATP+ルシフェリン−−−−−>オキシルシフェリン+AMP+PPi+CO+hv
Mg2+
この反応中に放出された光の強度は、それをRLU(相対光度単位)で書き換えるルミノメーター(Luminoscan)で測定することができる。測定されたRLUは、ATPの標準物質の範囲に関してATPのモルに変換することができる。
ATPの合成速度は、ミリモル/分/10細胞で示す。
5濃度を試験し、測定は3重に実施した。
ケラチノサイトを、インキュベーターに入れて、CO下、ヒドロコルチゾン、EGF、およびFCS(10%)を補充したDMEM培養培地で1運転あたり10の割合で培養した。
このプロトコルは、オキシグラフのタンク中で製品を細胞に直接適用して実施した。
10細胞/mlの濃度の細胞(ケラチノサイト)を、サーモスタットで30℃に調温したオキシグラフのタンク中の「呼吸緩衝液」(Hanks−Hepes 20mMのグルコース)に懸濁させる。細胞をジギトニンで不透過性にする。呼吸基質(10mMのピルビン酸および10mMのリンゴ酸)を加えると、酸素消費速度(チャンスによる段階2)を観察することが可能になる。異なる量の製品(濃度:1/10、1/5、および1/2)をオキシグラフのタンクに加えた後、規則的な間隔で、上述の方法に従うATPアッセイ用のオキシグラフのタンクにアリコートを採取する。異なる量の製品をオキシグラフのタンクに加えると、起こり得るATP合成の活性化または抑制を明らかにすることが可能になる。
以下ですべての測定を次の表にまとめる。
Figure 0004979592
適用した実験条件下、得られる結果を考慮すれば、製品を培養中のヒトケラチノサイトと接触させると、(1/5および1/2)の濃度でミトコンドリアのATP合成速度の著しい増大が誘発される。
8.3−エネルギー代謝に対する製品の効果の研究
アデニルヌクレオチドの濃度測定による、製品効果のエネルギー代謝レベルでの評価。この研究は、研究の前に5日間かけて処理したヒトケラチノサイトの初代培養物で実施した。
細胞中に含まれるATP、ADP、およびAMPの量を高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定する。
Beckmanの装置で、粒度が5μmのSpherisorb NH支持体を含むカラム(10×0.46cm)を使用した。溶出溶媒はリン酸カリウム溶液であり、そのモル濃度およびpHに応じて、ヌクレオチドの保持時間は多少長い。溶出速度は1ml/分である。定組成で254nmの吸光度を測定して、溶出プロフィールをモニターする。
標準物質の範囲は、0.1〜1nmolの間のATP、ADP、およびAMPで、それぞれの最高点下の面積を測定して実施する。
5濃度を試験し、測定は3重に実施した。
細胞抽出物(10細胞/ml)のATP、ADP、およびAMP濃度をHPLCによって定量する。これらはnmol/分/タンパク質mgで表す。次式に従ってエネルギー負荷(E.C.)を算出する。
([ATP]+1/2[ADP])/([ATP]+[ADP]+[AMP])
エネルギー負荷の算出は、コントロール負荷および処理した負荷について3重に実施する。
すべての測定を以下の表にまとめる。
ATP、ADP、およびAMPの濃度は、nmol/タンパク質mgで表す(n=3)。
Figure 0004979592
適用した実験条件下では、得られる結果を考慮すれば、製品を培養中のヒトケラチノサイトと接触させても、使用した製品濃度でエネルギー負荷の変更は誘発されない。
コンブ目の生殖周期を示す図である。 HES(ヘマトキシリン/エオシン/サフラン)で染色した、処理/未処理の表皮の断面を示す図である。

Claims (10)

  1. 褐藻の配偶体細胞の凍結乾燥製品を活性成分として含有することを特徴とする局所使用のための化粧品調製物。
  2. 前記凍結乾燥製品が0.2〜5重量%の範囲にある、請求項に記載の化粧品調製物。
  3. 前記凍結乾燥製品が少なくとも1%のフコキサンチンを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の化粧品調製物。
  4. 褐藻の配偶体細胞の凍結乾燥製品を活性成分として含むことを特徴とする補助食品。
  5. 前記凍結乾燥製品が少なくとも1%のフコキサンチンを含むことを特徴とする、請求項4に記載の補助食品。
  6. 皮膚を着色するための、請求項1〜3のいずれかに記載の化粧品調製物の使用。
  7. 皮膚が紫外線に曝されるのに備えるための、請求項1〜3のいずれかに記載の化粧品調製物の使用。
  8. 紫外線によって誘発される酸化ストレスから皮膚を保護するための、請求項1〜3のいずれかに記載の化粧品調製物の使用。
  9. 細胞の老化から皮膚を保護するための、請求項1〜3のいずれかに記載の化粧品調製物の使用。
  10. 皮膚が紫外線に曝されるのに備えるための、請求項4又は5に記載の補助食品の使用。
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