<第1の実施の形態の構成>
図1には本発明の第1の実施の形態に係るシートベルト装置10の全体構成が車両側方側からの側面図により示されている。
この図に示されるシートベルト装置10はウエビング巻取装置12を備えている。ウエビング巻取装置12は車両のセンターピラーの下側で車体に固定されたフレーム14を備えている。このフレーム14には軸方向が略車両前後方向に沿ったスプール16が自らの軸周りに回転可能に支持されている。このスプール16には長尺帯状のウエビングベルト18の長手方向基端部が係止されている。
スプール16は自らの軸周りの一方である巻取方向に回転するとスプール16がウエビングベルト18をその長手方向基端側から巻き取り、ウエビングベルト18が巻き取られた状態でウエビングベルト18がその先端側へ引っ張られるとスプール16に巻き取られたウエビングベルト18が引き出されつつ、上記の巻取方向とは反対の引出方向にスプール16が回転する。
一方、ウエビング巻取装置12はスプール駆動手段又は張力軽減手段としてのモータ20が取り付けられている。モータ20は減速機構及びクラッチ機構を構成するギヤボックス22内の複数のギヤやクラッチを介してスプール16の一端に連結されており、モータ20が正転駆動するとスプール16が巻取方向に回転し、モータ20が逆転駆動するとスプール16が引出方向に回転する。
上記のスプール16に基端部が係止されたウエビングベルト18はセンターピラーに沿ってセンターピラーの上方側へ延ばされている。センターピラーの上端部近傍ではショルダアンカ24が車体に取り付けられている。ショルダアンカ24はスリップジョイント26を備えている。センターピラーの上端部近傍まで延ばされたスプール16はスリップジョイント26のスリット孔28を通過して折り返され車両の下方側へ延ばされている。スリップジョイント26にて折り返されたスプール16の先端部はアンカ30の先端部に一体的に固定されている。
アンカ30の基端部は連結プレート32の先端側に一体的に連結されている。図5に示されるように、連結プレート32の基端側は、アンカ移動手段として誘導手段を構成するスライド装置34のフレーム36の内側に入り込んでいる。フレーム36は全体的に長手方向がシート(座席)40の前後方向に沿った箱状に形成されており、シート40の幅方向に沿った一方の側(車幅方向で言えば外側)でシート40のベースフレーム42に一体的に固定されている。フレーム36の内側には一対の支持脚44、46が設けられている。
支持脚44、46の各々は厚さ方向がシート40の前後方向に沿っており、シート40の前後方向に沿った支持脚46の後方側で支持脚44が支持脚46と対向している。また、フレーム36の内側には棒状のガイドシャフト48が収容されている。ガイドシャフト48は長手方向がシート40の前後方向に沿っており、両端のうちの一端は支持脚44に支持されて他端は支持脚46に支持されている。支持脚46の側方(下方)には回転シャフト50が配置されている。
回転シャフト50は長手方向がガイドシャフト48の長手方向と同方向とされており、その外周部には雄ねじが形成されている。回転シャフト50の両端のうちの一端は支持脚44を貫通しており支持脚46を貫通している。回転シャフト50は、自らの中心軸線周りに回転自在に支持脚44、46に支持されている。支持脚44の近傍で回転シャフト50の側方(下方)には駆動手段としてのモータ52が配置されている。軸方向がガイドシャフト48や回転シャフト50の長手方向と同方向のモータ52の出力軸54は支持脚44を貫通しており、その先端にはギヤ56が一体的に設けられている。
ギヤ56の側方(上方)にはギヤ56よりも大径で且つギヤ56よりも歯数が多いギヤ58が配置されている。ギヤ58は支持脚44を貫通した回転シャフト50の一端部に一体的に取り付けられていると共に、ギヤ56に噛み合っている。したがって、モータ52が駆動して出力軸54が正転駆動又は逆転駆動すると回転シャフト50が自らの軸周りに正転又は逆転する。
また、フレーム36の内側の支持脚44と支持脚46との間には移動部材としてのスライダ60が配置されている。スライダ60には内径寸法がガイドシャフト48の外径寸法よりも僅かに大きな貫通孔が形成されており、この貫通孔をガイドシャフト48が貫通している。また、スライダ60には、ガイドシャフト48が貫通する貫通孔の貫通方向と同じ方向に貫通した雌ねじ孔が形成されている。このスライダ60に形成された雌ねじ孔の内周部には雌ねじが形成されている。スライダ60に形成された雌ねじ孔は、内周部の雌ねじに回転シャフト50の外周部に形成された雄ねじが螺合した状態で回転シャフト50が貫通している。
上記のように、スライダ60には貫通孔にガイドシャフト48が貫通し、雌ねじ孔に回転シャフト50が貫通している。このため、回転シャフト50が正転するとスライダ60は支持脚46に接近するようにガイドシャフト48及び回転シャフト50の長手方向に沿ってスライドし、回転シャフト50が逆転するとスライダ60は支持脚44に接近するようにガイドシャフト48及び回転シャフト50の長手方向に沿ってスライドする。
一方、フレーム36の上壁部には支持脚44と支持脚46との対向方向に沿って長手の長孔62が形成されており、連結プレート32の基端側は長孔62を貫通してフレーム36の内側に入り込んでいる。また、シート40の幅方向に沿ったスライダ60の両側(図5では一方の側のみを図示)には支持シャフト64がスライダ60に形成されている。支持シャフト64は軸方向がシート40の幅方向に沿った略円柱形状とされている。支持シャフト64は連結プレート32の基端部近傍で連結プレート32に形成された円孔に嵌り込んでおり、支持シャフト64がシート40の幅方向を軸方向とする軸周りに連結プレート32を回動可能に支持している。
また、支持シャフト64には一対の付勢ばね66、68が取り付けられている。付勢ばね66は基端側が支持シャフト64に固定されていると共に、先端側が連結プレート32の支持脚46側の面に係合し、支持シャフト64周りに連結プレート32を支持脚44の側へ傾けるように付勢している。一方、付勢ばね68は基端側が支持シャフト64に固定されていると共に、先端側が連結プレート32の支持脚44側の面に係合し、支持シャフト64周りに連結プレート32を支持脚46の側へ傾けるように付勢している。これらの付勢ばね66、68が連結プレート32を付勢する付勢力の大きさ互いに略同じとされており、このため、これらの付勢ばね66、68の付勢力を受けていることで、連結プレート32はその長手方向(基端側から先端側への向き)がシート40の上下方向に沿っている(図5参照)。
但し、支持脚44の側での長孔62の端部は支持脚44よりも充分に支持脚46の側に位置しており、支持脚44の側へスライダ60がスライドした際には、支持脚44にスライダ60が当接するよりも先に長孔62の端部に連結プレート32が当接する。したがって、支持脚44に当接するまでスライダ60がスライドすると、図6(A)に示されるように、長孔62からの押圧反力により連結プレート32が付勢ばね66の付勢力に抗して支持脚46の側へ傾くように回動する。
また、支持脚46の側での長孔62の端部は支持脚46よりも充分に支持脚44の側に位置しており、支持脚46の側へスライダ60がスライドした際には、支持脚46にスライダ60が当接するよりも先に長孔62の端部に連結プレート32が当接する。したがって、支持脚46に当接するまでスライダ60がスライドすると、図6(B)に示されるように、長孔62からの押圧反力により連結プレート32が付勢ばね66の付勢力に抗して支持脚44の側へ傾くように回動する。
一方、図1に示されるように、アンカ30に固定されたウエビングベルト18の先端とスリップジョイント26での折り返し部分との間にはウエビングベルト18にタング70が設けられている。このタング70に対応してシート40を介してウエビング巻取装置12やアンカ30とは反対側にはバックル72が設けられている。バックル72はタング70の挿入が可能とされており、タング70をバックル72に挿入するとバックル72の内部に設けられたラッチがタング70に係合してバックル72からのタング70の抜き取りを規制する。
図4に示されるように、ウエビングベルト18がシート40に着座した乗員74の身体に掛け回されて、タング70がバックル72に装着されると、乗員74に対するウエビングベルト18の装着状態となる。この装着状態で、ウエビングベルト18は、タング70とスリップジョイント26との間が乗員74の肩部や胸部を拘束するショルダウエビング76となり、タング70とアンカ30との間が乗員74の腰部を拘束するラップウエビング78となる。
一方、図1に示されるように、バックル72は連結プレート80の先端側に一体的に固定されている。この連結プレート80の基端側はベースフレーム42を介してスライド装置34のフレーム36とは反対側でベースフレーム42に固定されたバックル移動手段として誘導手段を構成するスライド装置82のフレーム84に入り込んでいる。スライド装置82は、スライド装置34のフレーム36に代わるフレーム84とモータ52に代わる駆動手段としてのモータ86(図7参照)とを備えている点以外はスライド装置34と同じ構成であり、モータ86が正転駆動するとシート40の前方側へ連結プレート80がスライドし、モータ86が逆転駆動するとシート40の後方側へ連結プレート80がスライドする。
一方、図7に示されるように、ウエビング巻取装置12のモータ20はドライバ88に電気的に接続されており、スライド装置34のモータ52はドライバ90に電気的に接続され、更に、スライド装置82のモータ86はドライバ92に電気的に接続されている。ドライバ88、90、92は車両に搭載されたバッテリー94に電気的に接続されていると共に、制御手段として誘導手段を構成するECU96に電気的に接続されている。
ドライバ88にはECU96から出力された正転駆動制御信号Dc1(以下、「信号Dc1」と称する)及び逆転駆動制御信号Dr1(以下、「信号Dr1」と称する)が入力される。ECU96から出力された信号Dc1がLowレベルからHgihレベルに切り替わると、ドライバ88はモータ20を通電状態として正転駆動させる。また、ECU96から出力された信号Dr1がLowレベルからHgihレベルに切り替わると、ドライバ88はモータ20を通電状態として逆転駆動させる。
一方、ドライバ90にはECU96から出力された正転駆動制御信号Dc2(以下、「信号Dc2」と称する)及び逆転駆動制御信号Dr2(以下、「信号Dr2」と称する)が入力される。ECU96から出力された信号Dc2がLowレベルからHgihレベルに切り替わると、ドライバ90はモータ52を通電状態として正転駆動させる。また、ECU96から出力された信号Dr2がLowレベルからHgihレベルに切り替わると、ドライバ90はモータ52を通電状態として逆転駆動させる。
また、ドライバ92にはECU96から出力された正転駆動制御信号Dc3(以下、「信号Dc3」と称する)及び逆転駆動制御信号Dr3(以下、「信号Dr3」と称する)が入力される。ECU96から出力された信号Dc3がLowレベルからHgihレベルに切り替わると、ドライバ92はモータ86を通電状態として正転駆動させる。また、ECU96から出力された信号Dr3がLowレベルからHgihレベルに切り替わると、ドライバ92はモータ86を通電状態として逆転駆動させる。
一方、ECU96はシートセンサ98に電気的に接続されている。シートセンサ98は、例えば、シート40のシートクッションに設けられており、乗員74がシート40のシートクッションにかかる荷重を検出する。また、シートセンサ98からは着座検出信号Ss(以下、「信号Ss」と称する)が出力される。上記のように、シートセンサ98はシート40のシートクッションにかかる荷重を検出するが、シートクッションにかかる荷重が一定の値を超えた場合、すなわち、シート40に乗員74が着座したとみなせる大きさの荷重がシートクッションに作用すると信号SsがLowレベルからHgihレベルに切り替わる。
また、ECU96はバックルスイッチ100に電気的に接続されている。バックルスイッチ100はバックル72の内部に設けられている。また、バックルスイッチ100からはバックル信号Bs(以下、「信号Bs」と称する)が出力される。上記のように、バックル72にタング70が挿入されるとバックル72からのタング70の抜き取りが規制されてバックル72へのタング70の装着状態になるが、このバックル72へのタング70の装着状態になると信号BsがLowレベルからHgihレベルに切り替わる。
さらに、ECU96はリミットスイッチ102、104、106、108に電気的に接続されている。リミットスイッチ102及びリミットスイッチ104はフレーム36の内側に設けられており、リミットスイッチ102からは位置検出信号Ls1(以下、「信号Ls1」と称する)が出力され、リミットスイッチ104からは位置検出信号Ls2(以下、「信号Ls2」と称する)が出力される。フレーム36内のスライダ60はガイドシャフト48及び回転シャフト50に案内されてガイドシャフト48及び回転シャフト50の長手方向にスライドするが、支持脚44の側へスライダ60がスライドしてスライダ60が支持脚44に当接すると信号Ls1がLowレベルからHgihレベルに切り替わり、支持脚46の側へスライダ60がスライドしてスライダ60が支持脚46に当接すると信号Ls2がLowレベルからHgihレベルに切り替わる。
一方、リミットスイッチ106及びリミットスイッチ108はフレーム84の内側に設けられており、リミットスイッチ106からは位置検出信号Ls3(以下、「信号Ls3」と称する)が出力され、リミットスイッチ108からは位置検出信号Ls4(以下、「信号Ls4」と称する)が出力される。フレーム84内のスライダ60はガイドシャフト48及び回転シャフト50に案内されてガイドシャフト48及び回転シャフト50の長手方向にスライドするが、支持脚44の側へスライダ60がスライドしてスライダ60が支持脚44に当接すると信号Ls3がLowレベルからHgihレベルに切り替わり、支持脚46の側へスライダ60がスライドしてスライダ60が支持脚46に当接すると信号Ls4がLowレベルからHgihレベルに切り替わる。
上記のバッテリー94は、シートセンサ98から出力される信号Ss、バックルスイッチ100から出力される信号Bs、リミットスイッチ102から出力される信号Ls1、リミットスイッチ104から出力される信号Ls2、リミットスイッチ106から出力される信号Ls3、リミットスイッチ108から出力される信号Ls4に基づいて、信号Dc1〜Dc3、Dr1〜Dr3を切り換えている。
<第1の実施の形態の作用、効果>
次に、本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
シート40に乗員74が着座しておらず、また、バックル72にタング70が装着されていない状態では、連結プレート32に連結されたスライダ60はフレーム36内の支持脚44に当接しており、また、連結プレート80に連結されたスライダ60はフレーム84内の支持脚44に当接している。この状態では図8のタイムチャートにおける時間T1からT2までの部分に示されるように、リミットスイッチ102から出力される信号Ls1及びリミットスイッチ106から出力される信号Ls3はHighレベルになっている。しかしながら、この状態では、シートセンサ98から出力される信号Ss、バックルスイッチ100から出力される信号Bs、リミットスイッチ104から出力される信号Ls2、リミットスイッチ108から出力される信号Ls4の各々はLowレベルになっている。
乗員74がシート40に着座し、このときのシート40に作用する荷重をシートセンサ98が検出すると、図8の時間T2の位置で示されるように、シートセンサ98から出力される信号SsがLowレベルからHighレベルに切り替わる。このように、信号SsがLowレベルからHighレベルに切り替わると、ECU96は、信号Dc2及び信号Dc3をLowレベルからHighレベルに切り替える。これにより、モータ52及びモータ86が正転駆動すると、フレーム36内のスライダ60がフレーム36内の支持脚44から離間して支持脚46に接近し、フレーム84内のスライダ60がフレーム84内の支持脚44から離間して支持脚46に接近する。
各スライダ60が支持脚44から離間すると信号Ls1、Ls3の各々がHighレベルからLowレベルに切り替わる。さらに、各スライダ60が支持脚46に接近するようにスライドすると、長孔62の支持脚46側の端部に連結プレート32又は連結プレート80が当接する。この状態から更に支持脚46の側へ各スライダ60がスライドすると、長孔62の支持脚46側の端部から押圧反力によって連結プレート32や連結プレート80が付勢ばね68の付勢力に抗して支持シャフト64を中心に支持脚44の側へ傾くように回動する。
さらに、この状態から各スライダ60が支持脚46に当接するまで各スライダ60がスライドすると、信号Ls2、Ls4の各々がLowレベルからHighレベルに切り替わる。これに応じて、信号Dc2、Dc3がHighレベルからLowレベルに切り替わってモータ52、86の正転駆動が停止される。さらに、この状態では、信号Dr1が一定時間(図8における時間T3からT4までの間)だけLowレベルからHighレベルに切り替わり、これにより、モータ20が一定時間だけ逆転駆動する。これにより、スプール16でのウエビングベルト18の巻き取りが緩められる。
次いで、この状態で、シート40に着座した乗員74がタング70をバックル72に装着すると、図2に示されるように、ウエビングベルト18のうちショルダウエビング76が乗員74の肩部から胸部のあたりに掛け回される。これに対して、上記のように、スライダ60が支持脚46に接するまでスライダ60がスライドしていることで、バックル72やアンカ30はシート40のシートクッションの前端部近傍に位置している。このため、この状態では、ラップウエビング78は乗員74の太腿や膝の近傍に掛け回される。
さらに、上記のように、タング70がバックル72に装着されると、信号BsがLowレベルからHighレベルに切り替わる。これに応じて、信号Dr2、Dr3がLowレベルからHighレベルに切り替わり、モータ52、86の各々が逆転駆動される。図3に示されるように、このモータ52、86の逆転駆動によってフレーム36内のスライダ60がフレーム36内支持脚46から離間して支持脚44に接近し、フレーム84内のスライダ60がフレーム84内の支持脚46から離間して支持脚44に接近する。各スライダ60が支持脚46から離間すると信号Ls2、Ls4の各々がHighレベルからLowレベルに切り替わる。
このように、各スライダ60が支持脚44に接近するようにスライドすると、長孔62の支持脚44側の端部に連結プレート32又は連結プレート80が当接する。この状態から更に支持脚44の側へ各スライダ60がスライドすると、長孔62の支持脚44側の端部から押圧反力によって連結プレート32や連結プレート80が付勢ばね66の付勢力に抗して支持シャフト64を中心に支持脚46の側へ傾くように回動する。さらに、この状態から各スライダ60が支持脚44に当接するまで各スライダ60がスライドすると、信号Ls1、Ls3の各々がLowレベルからHighレベルに切り替わる。これに応じて、信号Dr2、Dr3がHighレベルからLowレベルに切り替わってモータ52、86の逆転駆動が停止される。
さらに、この状態では、信号Dc1が一定時間(図8における時間T5からT6までの間)だけLowレベルからHighレベルに切り替わり、これにより、モータ20が一定時間だけ正転駆動する。これにより、スプール16にウエビングベルト18が巻き取られ、ウエビングベルト18の弛みが解消されて、図4に示されるように、乗員74の身体に対するウエビングベルト18の装着状態になる。
ここで、バックル72にタング70を装着した際には、ラップウエビング78は乗員74の太腿や膝の近傍に掛け回されていた。この状態から上記のように、各スライダ60が支持脚44に当接するまで各スライダ60がスライドし、これに伴いアンカ30やバックル72がシート40の後方へ移動し、この移動が終了した際にスプール16がウエビングベルト18を巻き取ると、太腿や膝の上のラップウエビング78が太腿や膝に接した状態のまま太腿や膝の上を後方、すなわち、乗員74の骨盤に対応した位置(特許請求の範囲で言うところの「骨盤位置」)へ向けてラップウエビング78が移動する。
このように、ラップウエビング78は乗員74の骨盤に対応した装着位置(特許請求の範囲で言うところの「骨盤位置」)に誘導されるので、例えば、図4に示されるように、シート40に着座した乗員74が妊婦さんで、ラップウエビング78の装着位置を確認し難いような場合でも、簡単に骨盤に対応した理想的な装着位置又はその近傍でラップウエビング78を装着できる。
なお、本実施の形態では、アンカ30及びバックル72の双方をスライド装置34やスライド装置82でシート40の前後方向にスライドさせる構成であったが、スライド装置34及びスライド装置82の何れかの一方のみを設けて、アンカ30及びバックル72の何れかの一方のみがシート40の前後方向にスライドさせる構成であってもよい。
また、本実施の形態は、各スライダ60が支持脚46に当接するまで各スライダ60がスライドして信号Ls2、Ls4の各々がLowレベルからHighレベルに切り替わった際に、モータ20を一定時間だけ逆転駆動させる構成であったが、モータ20の逆転駆動の開始のタイミング(すなわち、信号Dr1のLowレベルからHighレベルへの切り替わりのタイミング)を信号Ls2、Ls4の各々のLowレベルからHighレベルへの切り替わりではなく、タング70がバックル72に装着された場合、すなわち、信号BsのLowレベルからHighレベルへの切り替わりとしてもよい。
さらに、このように、信号BsのLowレベルからHighレベルへの切り替わりをモータ20の逆転駆動の開始のタイミングとした場合、モータ20の逆転駆動開始のタイミングと、モータ52、86の逆転駆動開始のタイミング(すなわち、信号Dr2、Dr3のLowレベルからHighレベルへの切り替わりのタイミング)とを同じにしてもよいし、例えば、モータ20の逆転駆動が終了した際にモータ52、86の逆転駆動を開始してもよい。
また、本実施の形態では、バックル72にタング70が装着されて各スライダ60が支持脚44に当接するまで各スライダ60がスライドした際に、モータ20を正転駆動させてスプール16にウエビングベルト18を巻き取らせた構成であったが、このモータ20を正転駆動のタイミングは各スライダ60が支持脚44に当接した時点に限定されるものではない。例えば、車両の前方を監視し、車両の前方の他の車両や障害物までの間隔が所定の距離未満になった際にモータ20を正転駆動させてウエビングベルト18の弛みを解消させる構成であってもよい。
さらに、本実施の形態は、タング70よりも長手方向基端側がショルダウエビング76となりタング70よりも長手方向先端側がラップウエビング78となる所謂「三点式のシートベルト装置」に本発明を適用したが、本発明は、少なくともラップウエビング78を備える構成であれば適用が可能であることから、所謂「三点式のシートベルト装置」に本発明が限定されるものではない。
<第2の実施の形態の構成>
次に、本発明のその他の実施の形態について説明する。なお、以下の各実施の形態を説明するにあたり、前記第1の実施の形態を含めて説明している実施の形態よりも前出の実施の形態と基本的に同一の部位に関しては、同一の符号を付与してその詳細な説明を省略する。
図9には本発明の第2の実施の形態に係るシートベルト装置140の要部の構成が平面図により示されている。この図に示されるように、シートベルト装置140は前記第1の実施の形態におけるスライド装置82に代わりバックル移動手段として誘導手段を構成するスライド装置142を備えている。スライド装置142は前記第1の実施の形態におけるスライド装置82のフレーム84に相当するフレーム144を備えている。フレーム144の上壁には長孔146が形成されている。長孔146は長孔後部148を備えている。
長孔後部148はシート40の前後方向に沿ったフレーム144の中央部よりも前方側でガイドシャフト48の真上に形成されている。長孔後部148は長手方向がシート40の前後方向に沿っていると共に、シート40の幅方向に沿った長孔後部148の幅寸法は連結プレート80の厚さ寸法よりも僅かに大きい程度とされている。長孔後部148の前後方向に沿った長孔後部148の後端部からは長孔後部148と共に長孔146を構成する傾斜部150が形成されている。
傾斜部150は長手方向がシート40の前後方向に対して左右方向に傾斜しており、シート40の前後方向に沿った傾斜部150の前端側に対して後端側はシート40に接近している。傾斜部150の後端部からは長孔後部148や傾斜部150と共に長孔146を構成する長孔後部152が形成されている。長孔後部152は長手方向がシート40の前後方向に沿っていると共に、シート40の幅方向に沿った長孔後部152の幅寸法は長孔後部148の幅寸法よりも充分に大きい。
図10に示されるように、以上の構成のフレーム144の内側には回動アーム154が設けられている。回動アーム154はシート40の幅方向を軸方向とする軸周りに回動可能に支持シャフト64に支持されていると共に、付勢ばね66、68の双方の端部が係止されている。この回動アーム154の上端側で且つシート40の前後方向に沿った回動アーム154の両端部には支持シャフト156が形成されている。本実施の形態では、長孔146からフレーム144の内側に入り込んだ連結プレート80の基端部はシート40の前後方向を軸方向とする軸周りに回動可能に支持シャフト156に支持され、支持シャフト156(回動アーム154)を介して間接的にスライダ60に連結されている。
<第2の実施の形態の作用、効果>
以上の構成の本実施の形態では、回転シャフト50が回転することでスライダ60がシート40の前後方向にスライドする。ここで、上記のように、長孔146の長孔後部148は、シート40の幅方向に沿った幅寸法が連結プレート80の厚さ寸法よりも僅かに大きい程度で、しかも、ガイドシャフト48の真上に形成されている。このため、図11に示されるように、連結プレート80が長孔後部148を通過している状態では、連結プレート80の長手方向がシート40の上下方向に沿う。
このように連結プレート80が長孔後部148を通過している状態から回転シャフト50が回転し、スライダ60が後方にスライドすると、連結プレート80が長孔146の傾斜部150に到達する。傾斜部150は前端側に対して後端側がシート40の側に位置するように傾いているため、傾斜部150に連結プレート80が入り込んだ状態でバックル72が後方へスライドすると、傾斜部150の縁部が連結プレート80に干渉して連結プレート80をシート40の幅方向中央側へ押圧する。
このように、傾斜部150の縁部に押圧された連結プレート80は支持シャフト156を軸に回動する。これにより、スライダ60が後方へスライドするにつれて連結プレート80がシート40の側へ漸次倒れるように傾斜する。図12に示されるように、傾斜部150から長孔後部152に連結プレート80が入り込んだ状態では連結プレート80はシート40の側へ傾斜した状態で維持される。このため、長孔146の後端部まで連結プレート80が位置した状態では、連結プレート80の上端部に連結されたバックル72はそのタング挿入口の側がシート40の幅方向中央側へ傾斜する。このため、バックル72はシート40に着座した乗員74の腰部に接近し、ラップウエビング78はより一層効果的に乗員74の腰部を拘束できる。
<第3の実施の形態の構成>
次に、上記の第2の実施の形態の変形例を本発明の第3の実施の形態として説明する。
図13及び図14には、本実施の形態に係るシートベルト装置160を構成するスライド装置162の構成の要部が、上記第2の実施の形態を説明する図11及び図12に対応した正面断面図により示されている。これらの図に示されるように、スライド装置162はスライドカラー164を備えている。図16に示されるように、スライドカラー164には一対のガイド溝166が形成されている。各ガイド溝166はスライドカラー164の長手方向(図16の矢印L方向)両端部で開口していると共に、スライドカラー164の幅方向(図16の矢印W方向)外方側へ向けて開口し、その内側に長孔146の内幅方向に対向する長孔146の両縁部が各ガイド溝166の内側に入り込む。
図13及び図16に示されるように、スライドカラー164の高さ方向(図16の矢印H方向)に沿った両ガイド溝166の内幅寸法は、底面166Aの側へ向けて漸次狭くなるテーパ状とされるが、底面166Aにおけるガイド溝166の内幅寸法は長孔146が形成されたフレーム144の上壁の厚さ寸法よりも充分に大きい。また、ガイド溝166の底面166Aは、正面視でガイド溝166の幅方向内方側におけるスライドカラー164の高さ方向(図16の矢印H方向)略中央部を曲率の中心としてガイド溝166は幅方向外方側へ張り出すように湾曲した湾曲面とされている。
さらに、図15に示されるように、平面視で底面166Aは、スライドカラー164の幅方向略中央で且つ長手方向(図16の矢印L方向)略中央部を曲率の中心として幅方向外方へ張り出すように湾曲している。しかも、スライドカラー164の幅方向に沿った一方のガイド溝166の底面166Aから他方のガイド溝166の底面166Aまでの最大長さは、長孔146の内幅寸法よりも僅かに短い程度に設定されている。
このため、長孔146の内幅方向にスライドカラー164が変位しようとすると、ガイド溝166の内側に入り込んだ長孔146の内幅方向両側の縁部が底面166Aに干渉し、長孔146内においてスライドカラー164が長孔146の内幅方向に変位することが規制される。これにより、スライドカラー164は長孔146に案内されて長孔146の長手方向にスライドする。
しかも、上記のように、両ガイド溝166はテーパ状で底面166Aにおけるガイド溝166の内幅寸法はフレーム144の上壁の厚さ寸法よりも充分に大きいため、各ガイド溝166において互いに対向する一対の内側面166B、166Cのうち、一方のガイド溝166の内側面166Bがフレーム144の上壁の上面に当接して他方のガイド溝166の内側面166Cがフレーム144の上壁の下面に当接した状態から、一方のガイド溝166の内側面166Cがフレーム144の上壁の下面に当接して他方のガイド溝166の内側面166Bがフレーム144の上壁の上面に当接する状態までスライドカラー164は回動できる。
また、スライドカラー164には貫通孔168が形成されている。貫通孔168はスライドカラー164の高さ方向に対して幅方向へ所定角度傾斜した向きを貫通方向としてスライドカラー164の高さ方向両面にて開口している。この貫通孔168には連結プレート80が貫通しており、連結プレート80に案内されて連結プレート80の長手方向に貫通孔168はスライド自在とされている。
このように本シートベルト装置160のスライド装置162はスライドカラー164を備えているが、スライドカラー164を備えている点以外は基本的に前記第2の実施の形態におけるスライド装置142と同じ構成であるため、スライドカラー164以外の部位に関する詳細な説明は省略する。
<第3の実施の形態の作用、効果>
モータ52の駆動力で回転シャフト50が回転して回転シャフト50の長手方向にスライダ60がスライドすると、長孔146に案内されてスライドカラー164が長孔146の長手方向にスライドする。上記のように、長孔146の内幅方向にスライドカラー164が変位しようとすると、ガイド溝166の内側に入り込んだ長孔146の内幅方向両側の縁部が底面166Aに干渉して、長孔146内においてスライドカラー164が長孔146の内幅方向に変位することが規制される。このように長孔146の内幅方向にスライドカラー164が変位することが規制されることで、連結プレート80が不用意に支持シャフト156周りに揺動することを規制でき、連結プレート80の先端に固定されたバックル72が揺動することを防止できる。
また、例えば、図15に示されるように長孔後部148の長手方向に対して傾斜部150の長手方向は傾いており、スライダ60のスライドに伴いスライドカラー164が長孔後部148から傾斜部150に移動する際には、傾斜部150の縁部がガイド溝166の底面166Aに干渉することでスライドカラー164のスライド方向が傾斜部150の長手方向に傾けられる。
ここで、上記のようにガイド溝166の底面166Aは平面視(図15図示状態)でスライドカラー164の幅方向外方へ張り出すように湾曲しているため、スライドカラー164が長孔後部148から傾斜部150に入り込む際に底面166Aの角部に傾斜部150の縁部が当接しない。このため、スライドカラー164が傾斜部150に入り込んだ際に底面166Aが傾斜部150の縁部から受ける抵抗が少なく、スライドカラー164は円滑に傾斜部150に入り込むことができる。
また、スライドカラー164が傾斜部150から長孔後部148へ移動する際や、長孔後部152及び長孔後部148の何れか一方から他方へスライドカラー164が移動する際にも、上記のようなスライドカラー164が長孔後部148から傾斜部150へ移動する際と同様の作用を奏し、同様の効果を得ることができる。
また、傾斜部150内をスライドカラー164が移動する際には、スライドカラー164はフレーム144の長手方向(すなわち、回転シャフト50の長手方向)にスライドしつつもフレーム144の幅方向に漸次スライドする。このように、フレーム144の幅方向にスライドカラー164がスライドすることで、支持シャフト156周りに連結プレート80を回動させる。
ところで、支持シャフト156周りに連結プレート80が回動すると、スライドカラー164も支持シャフト156周りに回動する。ここで、スライドカラー164の両ガイド溝166はテーパ状に形成されており、一方のガイド溝166の内側面166Bがフレーム144の上壁の上面に当接して他方のガイド溝166の内側面166Cがフレーム144の上壁の下面に当接した状態から、一方のガイド溝166の内側面166Cがフレーム144の上壁の下面に当接して他方のガイド溝166の内側面166Bがフレーム144の上壁の上面に当接する状態までスライドカラー164は連結プレート80を伴って回動できる。これにより、連結プレート80を支持シャフト156周りに円滑に回動させることができる。
しかも、ガイド溝166の底面166Aは、正面視でガイド溝166の幅方向内方側におけるスライドカラー164の高さ方向略中央部を曲率の中心としてガイド溝166は幅方向外方側へ張り出すように湾曲しているので、傾斜部150の縁部に底面166Aが接した状態で底面166Aを軸にスライドカラー164が回動できる。このため、スライドカラー164が回動して連結プレート80が傾いたり、傾いている連結プレート80を起立させたりする際に連結プレート80やスライドカラー164ががたつくことを制限できる。
また、上記のように、フレーム144の幅方向にスライドカラー164がスライドすると支持シャフト156とスライドカラー164との間隔が変化する。ここで、上記のように連結プレート80に案内されて連結プレート80の長手方向に貫通孔168はスライド自在であるため、支持シャフト156とスライドカラー164との間隔の変化にも追従できる。
さらに、スライドカラー164の両ガイド溝166の底面166Aは平面視でスライドカラー164の幅方向略中央で且つ長手方向略中央部を曲率の中心として幅方向外方へ張り出すように湾曲している。すなわち、両ガイド溝166の底面166Aは、曲率中心が同一で且つ同一円周上に位置している。このため、長孔146を構成する長孔後部148、傾斜部150、及び長孔後部152の各々の内幅を同じ長さにすることができる。
なお、上記のように、本シートベルト装置160はスライドカラー164を備えている点以外、基本的に前記第2の実施の形態と同じ構成であるため、本シートベルト装置160は前記第2の実施の形態と同様の作用を奏し、同様の効果を得ることができる。
<第4の実施の形態の構成>
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。
図17には本実施の形態に係るシートベルト装置180の要部の構成が平面図により示されている。この図に示されるように、シートベルト装置180は前記第1の実施の形態におけるスライド装置82に代わりバックル移動手段として誘導手段を構成するスライド装置182を備えている。スライド装置182はガイドシャフト184を備えている。ガイドシャフト184はガイドシャフト48に代わって設けられており、ガイドシャフト48と同様に長手方向が回転シャフト50の長手方向に沿った棒状に形成されている。
ガイドシャフト48とは異なり、ガイドシャフト184はシート40の幅方向に沿った回転シャフト50の側方で支持脚44及び支持脚46に両端が支持されている。また、スライド装置182はスライダ186を備えている。スライダ186にはガイドシャフト184が貫通する透孔と回転シャフト50が貫通する雌ねじ孔が形成され、前記第1の実施の形態におけるスライダ60と同様に回転シャフト50が回転することでシート40の前後方向にスライドする。
スライダ186には厚さ方向がシート40の上下方向に沿った平板状のベース188が一体的に取り付けられている。シート40の幅方向中央側におけるベース188の端部からは支持壁190がシート40の下方へ向けて延出されている。支持壁190の厚さ方向一方の側(シート40の幅方向外方側における支持壁190の側方)にはピニオンギヤ192が設けられている。ピニオンギヤ192はシート40の幅方向を軸方向とする軸周りに回転自在に軸支されている。
このピニオンギヤ192の下方ではラックバー194が支持脚44や支持脚46等に固定されている。ラックバー194は長手方向が回転シャフト50の長手方向に沿っており、その上面に形成されたラック歯に上記のラックバー194が噛み合っている。このため、回転シャフト50が回転することでシート40の前後方向にスライダ186がスライドすると、ピニオンギヤ192がスライダ186と共にシート40の前後方向にスライドしつつラックバー194に噛み合っていることで自らの中心軸線周りに回転する。支持壁190を介してピニオンギヤ192とは反対側には外歯のギヤ196が設けられている。支持壁190を貫通した状態で支持壁190に支持されたピニオンギヤ192の軸部に同軸的且つ一体的に繋がっており、ピニオンギヤ192が回転することでギヤ196が回転する。
一方、ベース188の支持壁190の側の端部からは上方へ向けて支持壁198が立設されている。シート40の幅方向に沿った支持壁198の中央側の面の側方にはギヤ200がシート40の幅方向、すなわち、上述したギヤ196の回転軸方向と同じ方向を軸方向とする軸周りに回転自在に支持されている。このギヤ200はギヤ196に噛み合っており、ギヤ196の回転がギヤ200に伝わってギヤ200が回転する。支持壁198を介してギヤ200とは反対側には回転シャフト202が設けられている。
回転シャフト202は長手方向がシート40の幅方向に沿った棒状に形成されており、その外周部には左ねじ(逆ねじ)が形成されている。この回転シャフト202は支持壁198を貫通した状態で支持壁198に回転自在に支持されたギヤ200の軸部に対して同軸的且つ一体的に連結されており、ギヤ200が回転すると回転シャフト202が回転シャフト202と共に一体的に回転する。支持壁198が形成された側とは反対側のベース188の端部からは上方へ向けて支持壁204が立設されており、回転シャフト202の支持壁198とは反対側の端部が回転自在に支持壁204に支持されている。
また、回転シャフト202の上方にはガイドシャフト206が配置されている。ガイドシャフト206は長手方向が回転シャフト202の長手方向に沿った棒状に形成されており、その一端は支持壁198に支持されて他端は支持壁204に支持されている。さらに、支持壁198と支持壁204との間にはスライダ208が配置されている。
スライダ208にはガイドシャフト206が貫通する透孔と、回転シャフト202が貫通すると共に回転シャフト202の外周部に形成された左ねじ(逆ねじ)が螺合する雌ねじを有する雌ねじ孔が形成されており、回転シャフト202が回転することで回転シャフト202の長手方向、すなわち、シート40の幅方向にスライドする。シート40の前後方向に沿ったスライダ208の両端(図17では前端側のみ図示)には支持軸210が形成されており、回動アーム212の基端部(下端部)がシート40の前後方向を軸方向とする軸周りに回動自在に軸支されている。
この回動アーム212の先端側(上端側)には図17では図示しない連結プレート80の基端部が連結されていり。また、回動アーム212の長手方向中間部には長孔214が形成されている。長孔214は回動アーム212の基端側から先端側への向きに沿って長手とされており、シート40の前後方向に回動アーム212を貫通している。長孔214の内側にはガイドロッド216が通過している。ガイドロッド216は長手方向がシート40の前後方向に沿った棒状に形成されている。
このガイドロッド216に対応して支持壁204には一対(図17では一方のみを図示)の支持壁218が形成さされている。これらの支持壁218はシート40の前後方向に互いに対向しており、一方の支持壁218はガイドロッド216の一端を支持し、他方の支持壁218はガイドロッド216の他端を支持している。
<第4の実施の形態の作用、効果>
次に本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
本シートベルト装置180では、支持脚46にスライダ186が接近している状態では、図17に示されるように、回動アーム212の長手方向中間部よりも上側がシート40の上方に延びている。この状態でモータ86が作動して回転シャフト50が回転することによりスライダ186がシート40の後方向にスライドすると、ラックバー194に噛み合うピニオンギヤ192の回転がギヤ196及びギヤ200を介して回転シャフト202に伝わり回転シャフト202が回転する。
この回転シャフト202の回転でスライダ208が支持壁204に接近するようにスライドすると、図18に示されるように、ガイドロッド216の外周部に長孔214の内周部が押圧された回動アーム212は支持軸210を中心に回動して、その先端側をシート40の幅方向中央側へ傾斜させる。これにより、連結プレート80を介して回動アーム212の先端に連結されたバックル72は、そのタング挿入口の側がシート40の幅方向中央側へ傾斜する。このため、バックル72はシート40に着座した乗員74の腰部に接近し、ラップウエビング78はより一層効果的に乗員74の腰部を拘束できる。
なお、本実施の形態では、スライダ208の支持軸210が回動アーム212を回動可能に支持し、回動アーム212に形成された長孔214に支持壁218のガイドロッド216が入り込んでいる構成であった。しかしながら、本実施の形態の観点からすれば、シート40の幅方向に沿ったスライダ208のスライド移動に連動して、シート40の前後方向を軸方向とする軸周りに回動アーム212が回動し、回動アーム212が傾き、又は起立する構成であればこれまでに説明した構成に限定されるものではない。
したがって、例えば、図19に示されるように、支持壁218に支持軸210を設けて、この支持軸210にスライダ208を回動可能に支持させると共に、スライダ208にガイドロッド216を設けて回動アーム212の長孔214にこのガイドロッド216が入り込む構成としてもよい。
また、例えば、図20に示されるように、回動アーム212に代えて支持軸210にリンク222の一端側を回動自在に支持させると共に、ガイドロッド216に代えて軸方向が支持軸210と同方向の支持軸224を支持壁218に設けて、この支持軸224に回動アーム212を回動自在に支持させる。さらに、支持軸224よりも回動アーム212の基端側とリンク222の他端側とを、軸方向が支持軸210と同方向の連結軸226により相対的に回動自在に連結する構成としてもよい。
<第5の実施の形態の構成>
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。
図21には本実施の形態に係るシートベルト装置240の要部の構成が平面図により示されている。この図に示されるように、シートベルト装置240は前記第1の実施の形態におけるスライド装置82に代わりバックル移動手段として誘導手段を構成するスライド装置242を備えている。この図に示されるように、スライド装置242の連結プレート80の内側にはガイドシャフト48と回転シャフト50が設けられている。但し、本実施の形態におけるガイドシャフト48は回転シャフト50の上方に配置されておらず、シート40の幅方向に沿った回転シャフト50の側方に配置されている。
また、本実施の形態におけるガイドシャフト48及び回転シャフト50は、前記第1の実施の形態におけるガイドシャフト48及び回転シャフト50とは異なり、長手方向がシート40の前後方向に対してシート40の幅方向に傾斜しており、このため、ガイドシャフト48の後端側は前端側に対してシート40の側に変位しており、回転シャフト50の後端側は前端側に対してシート40の側に変位している。
また、本シートベルト装置240はスライダ244を備えている。スライダ244にはガイドシャフト48が通過する透孔と、回転シャフト50が通過すると共に回転シャフト50の外周部に形成された雄ねじの螺合が可能な雌ねじを有する雌ねじ孔が形成されており、前記第1の実施の形態におけるスライダ60と同様に回転シャフト50が回転することで回転シャフト50の長手方向に沿ってスライダ244がスライドする。但し、上記のように、ガイドシャフト48及び回転シャフト50の各長手方向はシート40の前後方向に対してシート40の幅方向に傾斜しているため、スライダ244のスライド方向もまたシート40の前後方向に対してシート40の幅方向に傾斜している。
図22に示されるように、スライダ244の上部には支持部246が形成されており、スライダ244には軸方向がシート40の前後方向に沿った支持軸248が設けられている。この支持軸248には回動アーム250の基端部(下端部)が支持軸248の軸方向、すなわち、シート40の前後方向を軸方向とする軸周りに回動可能に連結されている。この回動アーム250の先端側(上端側)には連結プレート80の基端部が連結されている。
また、回動アーム250には長孔252が形成されている。長孔252はシート40の前後方向に回動アーム250を貫通していると共に、長手方向が回動アーム250の長手方向に沿っている。この長孔252にはガイドロッド254が通過している。ガイドロッド254は長手方向がシート40の前後方向に沿った棒状に形成されており、その長手方向一端はシート40に支持され、他端は支持脚46に支持されている。
<第5の実施の形態の作用、効果>
次に本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
本シートベルト装置240では、支持脚46にスライダ244が接近している状態では、図22に示されるように、回動アーム250の長手方向がシート40の上下方向に沿っている。この状態でモータ80が作動して回転シャフト50が回転することによりスライダ244がシート40の後方に対してシート40の幅方向中央側へ傾斜した向きにスライドする。このような向きにスライダ244がスライドすると、回動アーム250を支持する支持軸248はガイドロッド254に対してシート40の幅方向中央側へ漸次変位する。
このような変位に伴い長孔252を通過しているガイドロッド254が長孔252の内周部をシート40の側へ押圧する。これにより、回動アーム250が支持軸248を軸に回動し、図23に示されるように、回動アーム250の先端側が基端側に対してシート40の側へ傾く。これにより、連結プレート80を介して回動アーム250の先端に連結されたバックル72は、そのタング挿入口の側がシート40の幅方向中央側へ傾斜する。このため、バックル72はシート40に着座した乗員74の腰部に接近し、ラップウエビング78はより一層効果的に乗員74の腰部を拘束できる。
なお、本実施の形態は、ガイドロッド254の長手方向がシート40の前後方向であるのに対して、ガイドシャフト48及び回転シャフト50の各々の長手方向は、後端側が前端側に対してシート40の側に変位するように傾いている構成である。しかしながら、本実施の形態の観点からすれば、ガイドシャフト48及び回転シャフト50の長手方向に対してガイドロッド254の長手方向が傾いていることで、シート40の前端側にスライダ244が位置している場合には回動アーム250が起立し、シート40の後端側にスライダ244が位置している場合には回動アーム250がシート40の側へ傾く構成であればよい。
したがって、例えば、ガイドシャフト48及び回転シャフト50の各々の長手方向をシート40の前後方向とし、ガイドロッド254の後端側が前端側に対してシート40の側に変位するようにガイドロッド254の長手方向を傾ける構成としてもよく、このような構成であってもこれまでに説明した本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
<第6の実施の形態の構成>
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。
図27には本実施の形態に係るシートベルト装置290の要部を拡大した正面図が示されている。この図に示されるように、シートベルト装置290は前記第1の実施の形態におけるウエビングベルト18に代わるウエビングベルト292を備えている。ウエビングベルト292は基本的に前記第1の実施の形態におけるウエビングベルト18と同様に可撓性を有する長尺帯状に形成されており、その長手方向基端部はウエビング巻取装置12のスプール16に係止されている。
このウエビングベルト292がタング70に形成されたスリット孔294を通過した部分よりもウエビングベルト292の先端側には下部ストッパ296がウエビングベルト292の厚さ方向にウエビングベルト292を貫通した状態でウエビングベルト292に固定されている。ウエビングベルト292の厚さ方向に沿った下部ストッパ296の厚さ寸法は、ウエビングベルト292の厚さ方向に沿ったスリット孔294の開口幅寸法よりも充分に大きい。このため、タング70が下部ストッパ296に干渉されることでウエビングベルト292の先端側へタング70が移動することはできないようになっている。
一方、スリット孔294の通過部分よりもウエビングベルト292の長手方向基端側には上部ストッパ298が形成されている。上部ストッパ298はウエビングベルト292の幅方向を軸方向とする軸周りにウエビングベルト292を複数回折り返し、更に、このように折り返された部分がその厚さ方向に一体的に縫合されることで形成されている。ウエビングベルト292の厚さ方向に沿った上部ストッパ298の厚さ寸法は、ウエビングベルト292の厚さ方向に沿ったスリット孔294の開口幅寸法よりも充分に大きい。このため、タング70が上部ストッパ298に干渉されることでウエビングベルト292の基端側へタング70が移動することはできないようになっている。
バックル72にタング70を装着した状態では、スリット孔294の通過部分よりもウエビングベルト292の長手方向基端側がショルダウエビング76とされ、スリット孔294の通過部分よりもウエビングベルト292の長手方向先端側がラップウエビング78とされるが、上部ストッパ298はスリット孔294を通過できないため、上部ストッパ298よりもウエビングベルト292の長手方向基端側がラップウエビング78になることはない。
また、図24に示されるように、本シートベルト装置290は、前記第1の実施の形態におけるスライド装置34及びスライド装置82に代わり、アンカ移動手段及びバックル移動手段として誘導手段を構成するスライド装置312を備えている。スライド装置312は平板状のベースプレート314を備えている。ベースプレート314はシート40を構成するシートクッション(座部)の下側でシートクッションに一体的に取り付けられている。ベースプレート314の裏面(シートクッションとは反対側の面)にはモータアクチュエータ320が取り付けられている。
モータアクチュエータ320はモータ322を備えている。モータ322の出力軸にはウオームギヤ324が同軸的且つ一体的に取り付けられている。ウオームギヤ324の側方にはウオームホイール326が配置されている。図30及び図31に示されるように、ウオームホイール326は軸方向が概ねシート40の上下方向に沿った状態で、自らの中心軸線周りに回動自在にベースプレート314に直接又は間接的に支持されている。ウオームホイール326はウオームギヤ324に噛み合っており、モータ322の駆動力でウオームギヤ324が回転した際の回転力がウオームホイール326に伝えられる。
また、ウオームホイール326は中空形状に形成されていると共に、ベースプレート314とは反対側の端部が開口している。ウオームホイール326の内側には円柱形状の軸部材328がウオームホイール326に対して同軸的に配置されている。軸部材328はウオームホイール326の底壁330に形成された透孔332を貫通してベースプレート314に回転自在に支持されている。ベースプレート314に支持された軸部材328は自らの中心軸線周りに回転自在であると共に、軸部材328周りにウオームホイール326を回転自在に支持している。
軸部材328の底壁330とは反対側の端部には軸部材328よりも大径のばね係止部334が軸部材328に対して同軸的且つ一体的に設けられている。軸部材328が透孔332を貫通した状態でのばね係止部334とウオームホイール326の周壁336との間には渦巻きばね338が収容されている。
渦巻きばね338はその一端(渦巻き方向内方側の端部)がばね係止部334に係止されていると共に、他端がウオームホイール326に係止され、ばね係止部334に対して周壁336が相対回転した際には、この相対回転を解消する向きにばね係止部334を付勢する。ばね係止部334の軸部材328とは反対側にはプーリ340がばね係止部334に対して同軸的且つ一体的に形成されている。このプーリ340には、長尺環状でしかも可撓性を有する連結部材としてのワイヤ342が1周以上掛け回されている。
図24に示されるように、ベースプレート314においてシート40の幅方向一端で且つシート40の前後方向前近傍に対応する位置にはプーリ344が設けられている。プーリ344は回転軸がプーリ340の回転軸と同じ向きに設定された状態でベースプレート314に回転自在に軸支されている。シート40の前後方向に沿ったプーリ344の後方側にはガイドレール346が設けられている。図32に示されるように、ガイドレール346はベースプレート314の裏面側でベースプレート314に固定される基部348を備えている。
基部348はシート40の前後方向に沿って長手とされ、更に、シート40の前後方向に沿った基部348の後方側ではシート40の幅方向他方の側へ略L字形状に湾曲した平板状に形成されている。基部348の幅方向両端部からはシート40の下方へ向けて一対の脚壁350が延出されている。これらの脚壁350の基部348とは反対側の端部からは、基部348の幅方向略中央側へ向けて横壁352が基部348に対して平行に延出され、ガイドレール346全体としては断面形状がシート40の下方へ向けて開口した略C字形状とされている。
このガイドレール346の内側にはスライダ354が収容されている。スライダ354は外径寸法が両脚壁350の間隔よりも僅かに小さく、厚さ寸法が基部348と横壁352との間隔よりも僅かに小さな円板状とされており、基部348の幅方向及び厚さ方向に沿った変位が基部348、両脚壁350、及び両横壁352に規制されつつ基部348の長手方向にスライド可能とされている。スライダ354の厚さ方向下端部からは円柱形状の首部356がスライダ354に対して同軸的且つ一体的に形成されている。首部356は外径寸法が両横壁352の間隔よりも僅かに小さく形成されており、両横壁352の間を通過してガイドレール346の下方へ突出している。
首部356のスライダ354とは反対側にはアンカプレート358が配置されている。アンカプレート358は首部356とは反対側からアンカプレート358を貫通して首部356に形成された雌ねじ孔に螺合するボルトにより首部356に回転自在に固定されている。アンカプレート358にはスリット孔360が形成されており、上記のウエビングベルト292の先端側が通過して折り返されている。このようにスリット孔360を通過して折り返されたウエビングベルト292の先端側はスリット孔360の通過部分よりも基端側と重ね合わされた状態で互いに縫合され、これにより、アンカプレート358に対して離脱不能にウエビングベルト292がアンカプレート358に連結されている。
また、スライダ354にはクランプ収容部362が形成されている。クランプ収容部362は平面視略矩形の有底の孔で、スライダ354の首部356とは反対側の面で開口している。このクランプ収容部362にはワイヤクランプ364が収容されている。ワイヤクランプ364にはワイヤ342が通過しており、この通過したワイヤ342にワイヤクランプ364が一体的に固定されている。
スライダ354にはクランプ収容部362にワイヤクランプ364を収容した状態でワイヤクランプ364から延びるワイヤ342が通過する溝366が形成されている。環状のワイヤ342が全体的にその長手方向に移動(回転)すると、ワイヤクランプ364がワイヤ342と共に移動する。移動するワイヤクランプ364はクランプ収容部362の内壁を押圧し、これにより、ガイドレール346の内側をスライダ354がアンカプレート358を伴ってスライドする。
上記のように、シート40の後端側では基部348(ガイドレール346)がシート40の幅方向他方の側へ略L字状に湾曲しているが、そのシート40の幅方向他方の側でのガイドレール346の端部の側方にはプーリ370が配置されている。さらに、シート40の幅方向他方の側で且つシート40の前端側にはプーリ372が配置されている。プーリ370、372は回転軸がプーリ340の回転軸と同じ向きに設定された状態でベースプレート314に回転自在に軸支され、プーリ344からガイドレール346の内側を通過したワイヤ342はプーリ370に掛け回されてシート40の前方側へ延び、更に、プーリ372に掛け回されてシート40の幅方向他方の側におけるベースプレート314の端部に沿ってシート40の後方側へ折り返されている。
プーリ370とプーリ372との間にはプリテンショナ380が配置されている。図24及び図33に示されるように、プリテンショナ380はシリンダ部382を備えている。シリンダ部382は長手方向がプーリ370とプーリ372との間でのワイヤ342の長手方向に沿った円筒形状に形成されている。図33に示されるように、シリンダ部382のプーリ372側の端部は底部384とされている。また、シリンダ部382のプーリ370側の端部からはシリンダ部382の半径方向外方へ向けて略L字状に湾曲した筒状のジェネレータ収容部386が連続して形成されている。ジェネレータ収容部386にはガスジェネレータ388が収容されている。ガスジェネレータ388は作動することで瞬時にガスを発生させ、この発生したガスをシリンダ部382の内側へ送給する。
一方、シリンダ部382の内側にはピストン390がシリンダ部382の内側を0383の長手方向に摺動可能に配置されている。ピストン390は外径寸法がシリンダ部382の内径寸法よりも僅かに小さな略円板状の本体392を備えている。本体392の底部384の側には本体392と共にピストン390を構成するロック部394が設けられている。ロック部394は少なくとも本体392側の一部が本体392へ向けて漸次外径寸法が小さくなる円錐台形状に形成されている。
このような円錐台形状のロック部394は、本体392との接続部分で外径寸法が本体392の外径寸法よりも充分に小さい。ロック部394、本体392、及びシリンダ部382の内周部とで囲まれた環状の空間は鋼球収容部396とされている。この鋼球収容部396には複数の鋼球398が収容されている。本体392が急激に底部384から離間する方向へ摺動すると、慣性によりその場に留まろうとする鋼球398がロック部394の外周部に案内されて漸次シリンダ部382の内周部に接近する。
鋼球398がロック部394の外周部とシリンダ部382の内周部との双方に接した状態でなおピストン390が底部384へ離間する向きへ摺動すると、鋼球398がロック部394の外周部とシリンダ部382の内周部とに接触したまま変形して底部384へ離間する向きへのピストン390の摺動を規制する。
また、図33に示されるように、ロック部394は本体392の側へ向けて漸次内径寸法が小さくなる略円錐台状の鋼球収容部400を有する中空形状に形成されている。シリンダ部382の軸方向に沿ってプリテンショナ380を通過するワイヤ342は鋼球収容部400の内側を通過するようにピストン390を貫通している。鋼球収容部400の内側には複数の鋼球402が収容されている。鋼球402は鋼球収容部400の内側を通過するワイヤ342の周囲に配置されている。
ピストン390を貫通するワイヤ342は、基本的にワイヤ342の長手方向に沿ってピストン390に対し相対移動可能とされている。このため、環状のワイヤ342がその長手方向に移動(回転)しても、ワイヤ342に伴われて本体392が移動することはない。しかしながら、ピストン390が急激に底部384の側へ摺動すると、鋼球収容部400の内周面に案内された複数の鋼球402が鋼球402の外周部に圧接して保持する。これにより、ピストン390が急激に底部384の側へ摺動した際には、ピストン390がワイヤ342を伴い底部384の側へ摺動する。
一方、図24に示されるように、シート40の幅方向他方の側で且つシート40の前後方向後方側のベースプレート314の端部近傍にはプーリ412が設けられている。プーリ412は回転軸がプーリ340の回転軸と同じ向きに設定された状態でベースプレート314に回転自在に軸支されている。プーリ372にて後方へ折り返されたワイヤ342はプーリ412に掛けまわされてプーリ340に戻る。プーリ372とプーリ412との間にはガイドレール422が配置されている。
ガイドレール422は全体的にシート40の幅方向他方の側におけるベースプレート314の端部に沿って長手とされ、断面形状はガイドレール346と同様に下方へ向けて開口した略C字形状とされている。プーリ372とプーリ412との間でワイヤ342はモータ322の内側を通過している。図34に示されるように、ガイドレール422の内側にはスライダ430が配置されている。スライダ430にはガイドレール422の側でワイヤ342に固定されたブロック状のワイヤクランプ432を収容するクランプ収容部434が形成されている。
スライダ430はガイドレール422を構成する基部348、両脚壁350、及び両横壁352により基部348の厚さ方向及び幅方向への移動が規制されつつ基部348の長手方向にスライド自在である点では上記のスライダ354と同じであるが、スライダ430には溝366が形成されておらず、ガイドレール422の長手方向に沿った両端でクランプ収容部434が開口している。このため、クランプ収容部434内のワイヤクランプ432はスライダ430に対してガイドレール422の長手方向へ相対移動することでクランプ収容部434から抜け出ることができる。
一方、クランプ収容部434の基部348側の開口端近傍ではクランプ収容部434の内側に解除手段としてのロック片436が配置されている。ガイドレール346は基部348の幅方向に沿ってクランプ収容部434の内壁に架け渡された支持軸438により基部348の幅方向を軸方向とする軸周りに回動自在に軸支されている。ロック片436のうち支持軸438よりもガイドレール422の前方側はスプリング係止部440とされている。スプリング係止部440にはスプリング422の一端が係止されている。
ガイドレール422の他端は基部348とは反対側でスライダ430に係止されており、スプリング係止部440を基部348から離間する方向へ付勢している。ロック片436のスプリング係止部440とは反対側の端部からは基部348とは反対側へ向けて係合片442が突出形成されている。さらに、支持軸438と係合片442との間では基部348とは反対側へ向けて係合片444が突出形成されている。
図34に示されるように、係合片442と係合片444との間にワイヤクランプ432が位置している状態では、ガイドレール422の長手方向に沿ってワイヤクランプ432がスライダ430に対して相対移動しようとすると、係合片442又は係合片444に干渉されて相対移動が規制される。これにより、係合片442と係合片444との間にワイヤクランプ432が位置している状態では、ワイヤ342に伴われてワイヤクランプ432がガイドレール422の長手方向にスライドするとスライダ430も共にスライドする。
また、支持軸438よりも係合片442の側ではロック片436に解除規制片446が形成されている。解除規制片446はロック片436から基部348の側へ突出しており、スプリング422の付勢力で基部348に圧接している。図34に示されるように、係合片442と係合片444との間にワイヤクランプ432が位置し、しかも、解除規制片446が基部348に圧接している状態では、係合片442、444によるワイヤクランプ432の干渉を解除させる向きへロック片436を回動させることはできない。
但し、本実施の形態では、図35に示されるように、シート40の前後方向に沿ったガイドレール422の後端部近傍では底部384に解除孔448が形成されている。解除孔448と解除規制片446とが対向すると、ガイドレール422の付勢力でロック片436が回動して解除孔448に解除規制片446が入り込む。この状態では、係合片442によるワイヤクランプ432の干渉が解除されてシート40の後方側へワイヤクランプ432が移動できる。
また、このワイヤクランプ432による干渉の解除状態でワイヤクランプ432が係合片444を前方へ押圧すると、ガイドレール422の付勢力に抗してロック片436が回動し、解除孔448から解除規制片446が抜け出ると共に、係合片444及び支持軸438を介して受けたワイヤクランプ432からの押圧力でスライダ430がシート40の前方側へスライドする。
一方、スライダ430の基部348とは反対側にはアンカプレート462がボルト464によりスライダ430に固定されている。このアンカプレート462はシート40の幅方向他方の側におけるシート40の側方でシート40の上方側へ屈曲されており、その先端にはバックル72が一体的に締結固定されている。
<第6の実施の形態の作用、効果>
次に、本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
本シートベルト装置290では、図24に示されるように、シート40の前後方向後方側における支持脚46の湾曲部分の近傍がスライダ354の初期位置とされ、シート40の前後方向に沿ったガイドレール422の後端部近傍でロック片436の解除規制片446が解除孔448に入り込んでいる状態がスライダ430の初期位置とされる。シート40に乗員が着座したことをシートセンサ98が検出すると、モータアクチュエータ320のモータ322が正転駆動する。
モータ322の正転駆動力はウオームギヤ324、ウオームホイール326、及び渦巻きばね338を介してプーリ340に伝わりプーリ340を正転させる。プーリ340が正転することでワイヤ342が正方向へ回転すると、ガイドレール346及びガイドレール422の内側ではシート40の前方側へワイヤ342が移動する。これにより、図25に示されるように、スライダ354はガイドレール346に案内されてシート40の前端側へスライドし、スライダ430はガイドレール422に案内されてシート40の前端側へスライドする。
スライダ354がシート40の前端側へスライドすることでアンカプレート358に係止されたウエビングベルト292の先端がシート40の前端側へ移動し、スライダ430がシート40の前端側へスライドすることでアンカプレート462に締結固定されたバックル72がシート40の前端側へ移動する。
次いで、この状態からバックル72にタング70を挿入すると図28に示されるような状態になる。この状態でバックル72にタング70が挿入されたことをバックルスイッチ100が検出すると、モータアクチュエータ320のモータ322が逆転駆動する。モータ322の逆転駆動力はウオームギヤ324、ウオームホイール326、及び渦巻きばね338を介してプーリ340に伝わりプーリ340を逆転させる。プーリ340が逆転することでワイヤ342が逆方向へ回転すると、ガイドレール346及びガイドレール422の内側ではシート40の後方側、すなわち、初期位置の側へワイヤ342が移動する。
スライダ354及びスライダ430の双方が初期位置に戻った状態で、本シートベルト装置290ではモータ322の逆転駆動が継続される。このように、モータ322の逆転駆動が継続されると、スライダ354はガイドレール346の湾曲部分よりもシート40の幅方向他方の側へガイドレール346に案内されてスライドする。このように、シート40の幅方向他方の側へスライダ354がスライドすると、図26に示されるように、アンカプレート358に係止されたウエビングベルト292の先端部がシート40の幅方向他方の側へ移動して、図29に示されるような状態になる。
ここで、本シートベルト装置290のウエビングベルト292には下部ストッパ296が設けられる。タング70をバックル72に保持させた状態で上部ストッパ298がスリット孔294に干渉されると、ウエビングベルト292のうちラップウエビング78がウエビングベルト292の基端側へ移動することができない。このため、乗員74の身体に装着されたウエビングベルト292のラップウエビング78が、上部ストッパ298がスリット孔294に干渉された状態で緩んでいても、ウエビングベルト292の先端部がシート40の幅方向他方の側へ移動することでラップウエビング78が引っ張られてラップウエビング78の緩みが解消される。
さらに、このようにラップウエビング78の緩みが解消された状態でなおもモータ322の逆転駆動が継続されると、ウオームホイール326は逆転を継続するものの、プーリ340の回転が不能になる。この状態では、渦巻きばね338の巻き締まりが生じ、プーリ340を逆転方向へ付勢する。このように、渦巻きばね338に付勢されたプーリ340の逆転方向への回転トルクは、トルクセンサ368により検出され、所定の大きさ以上の回転トルクをトルクセンサ368が検出すると、モータ322が停止される。これにより、ウエビングベルト292が過剰に乗員74の身体を締め付けることがない。
また、ワイヤ342が初期位置よりもシート40の幅方向他方の側へスライダ354を移動させた場合には、ワイヤ342がスライダ430を初期位置から離脱させようとする。しかしながら、スライダ430が初期位置に戻った状態では、解除規制片446が解除孔448に入り込み、係合片442によるワイヤクランプ432の干渉が解除されるため、スライダ430は初期位置に留まったまま、ワイヤクランプ432だけがスライド装置242に伴われて初期位置から離脱する。このように、本シートベルト装置290では、ウエビングベルト292の先端が係止されるアンカプレート358と、バックル72が係止されるアンカプレート462とで移動ストロークが異なるものの、それぞれの初期位置を確実に設定できる。
しかも、上記のように、本シートベルト装置290では、乗員74がシート40に着座した際にアンカプレート358とバックル72とが前方に移動し、バックル72にタング70が装着されるとアンカプレート358とバックル72とが前方に移動する。すなわち、この点では前記第1の実施の形態と同じであるので、この点に関しては前記第1の実施の形態と同様の作用を奏し、前記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、本シートベルト装置290ではアンカプレート358の移動とバックル72の移動を1つのモータ322で行なうので、コストを安価にできる。
さらに、例えば、車両走行時の振動等により乗員74の身体がウエビングベルト292を引っ張ることで弛みが生じると、巻き締まったウオームギヤ324の付勢力がプーリ340を回転させ、ワイヤ342が更にウエビングベルト292の先端部をシート40の幅方向他方の側へ移動させる。これにより、上記のように、ウエビングベルト292に弛みが生じても、早急にこの弛みを解消できる。
一方、例えば、車両の急減速状態になり、シートベルト装置10のプリテンショナが作動してウエビングベルト292を急激にスプール16に巻き取らせると、ウエビングベルト292のショルダウエビング76が更に乗員74に密着して乗員74の肩部から胸部を強固に保持する。ここで、ウエビングベルト292が一定量スプール16に巻き取られると、下部ストッパ296がスリット孔294に干渉され、ラップウエビング78の側ではウエビングベルト292の基端側への移動が規制される。このため、この状態でスプール16がウエビングベルト292を巻き取るとショルダウエビング76においてウエビングベルト292の張力が上昇し、更に強固に乗員74の肩部から胸部を保持できる。
ところで、下部ストッパ296がスリット孔294に干渉された状態ではスプール16がウエビングベルト292を巻き取ってもラップウエビング78においてウエビングベルト292の張力が上昇しない。
ここで、本シートベルト装置290では、車両の急減速状態になるとプリテンショナ380が作動する。ガスジェネレータ388が作動するとガスジェネレータ388から瞬時にガスが発生し、シリンダ部382の内圧を急上昇させる。シリンダ部382の内圧が上昇することで、ピストン390が底部384の側へ急激に移動する。このように、ピストン390が底部384の側へ急激に移動すると、鋼球収容部400の内周面に案内された複数の鋼球402が鋼球402の外周部に圧接して保持する。
これにより、ピストン390が急激に底部384の側へ摺動した際には、ピストン390がワイヤ342を伴い底部384の側へ摺動する。ワイヤ342が底部384の側へ摺動することで、アンカプレート358が更にシート40の幅方向他方の側へ移動する。これにより、ウエビングベルト292のラップウエビング78は乗員74の腰部に更に強固に密着し、車両急減速時の慣性で乗員74の腰部が略車両前方側へ移動することを規制する。
一方、車両急減速時の慣性で乗員74の腰部が略車両前方側へ移動しようとしてウエビングベルト292のラップウエビング78を急激に引っ張ると、ピストン390が底部384とは反対側へ急激に摺動する。このように、本体392が急激に底部384から離間する方向へ摺動すると、慣性によりその場に留まろうとする鋼球398がロック部394の外周部に案内されて漸次シリンダ部382の内周部に接近する。
鋼球398がロック部394の外周部とシリンダ部382の内周部との双方に接した状態でなおピストン390が底部384へ離間する向きへ摺動すると、鋼球398がロック部394の外周部とシリンダ部382の内周部とに接触したまま変形して底部384へ離間する向きへのピストン390の摺動を規制する。このように底部384へ離間する向きへのピストン390の摺動が規制されることで、ウエビングベルト292のラップウエビング78は乗員74による急激に引っ張りに耐えて乗員74の腰部の保持を維持する。
しかも、略車両前方側へ移動しようとする乗員74の腰部が、ラップウエビング78を急激に引っ張ると、ウエビングベルト292のショルダウエビング76側がスリット孔294を通過するが、スリット孔294よりもウエビングベルト292の長手方向基端側でウエビングベルト292に形成された上部ストッパ298はスリット孔294を通過できない。このため、図29に示されるように、上部ストッパ298がスリット孔294の内周部に干渉された状態では、それ以上ラップウエビング78が長くなることはない。したがって、この状態からはプリテンショナ380によりラップウエビング78の張力のみを上昇させることができ、乗員74の腰部を強く保持できる。
このように、本実施の形態では、ウエビング巻取装置12側のプリテンショナと、プリテンショナ380の双方が作動することによるウエビングベルト292の張力の上昇が、ショルダウエビング76とラップウエビング78とに大きく分散されることなく、ショルダウエビング76とラップウエビング78との双方において独立して張力を上昇させることができる。このため、車両急減速時において乗員74の身体を強固に保持でき、車両急減速時の慣性で乗員74の身体が略車両前方側へ移動することを効果的に規制できる。
しかも、スプール16をウエビング巻取装置12のロック機構がロックした状態でウエビングベルト18に一定以上の引張力が作用した際に、トーションシャフト等のエネルギー吸収部材を変形させつつ、上記の引張力によるスプール16の回転を許容するフォースリミッタ機構(ロードリミッタ機構)がウエビング巻取装置12に設けられていることが多い。
このため、車両急減速時に乗員74が車両前方側へ移動しようとして、一定以上の引張力でウエビングベルト18を引っ張ると、フォースリミッタ機構が作動し、ウエビングベルト18が引き出され、この結果、ショルダウエビング76が伸びる。
しかしながら、上部ストッパ298よりもショルダウエビング76の側がスリット孔294を通過することはないので、上記のように伸び出したショルダウエビング76がスリット孔294を通過してラップウエビング78になることはなく、また、ラップウエビング78の側にはフォースリミッタ機構(ロードリミッタ機構)に相当する機構が設定されない。このため、上記のように、車両急減速時に乗員74の身体がウエビングベルト18を引っ張ってもラップウエビング78は伸び難い。したがって、乗員の腰部よりも上側(すなわち、胸部等)では、車両前方へ移動できるが、乗員の腰部はラップベルト78によって強固に保持されると共に、乗員の腰部に装着されたラップウエビング78が乗員の腹部にずれあがることを抑制できる。