以下、本発明のいくつかの実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。本発明は、離間が可能な粗らし回転体を圧接回転させて定着ローラ等の表面性状を一様に均す限りにおいて、各実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。
従って、未定着のトナー像を記録材に定着させる定着装置としても実施でき、また、定着済みトナー像の表面性や光沢度を調整する画像加熱装置としても実施できる。加熱回転体は、加熱ローラを加熱ベルト、加熱フィルムに置き換えても実施でき、研磨材は、ガラスビーズ等に置き換えても実施できる。加圧ローラ等の加圧回転体に対しても粗らし回転体を離間可能に配置して同様に離間プロセスを制御してもよい。
画像加熱装置が搭載される画像形成装置は、タンデム型中間転写ベルト方式には限定されない。ロータリー現像装置を用いて中間転写体に複数色のトナー像を形成する画像形成装置、記録材搬送体に担持させた記録材にトナー像を順次転写して重ね合わせる画像形成装置でも実施できる。定着/加熱に特徴を有するので、トナー像の転写以前の実施形態には限定されず、モノクロ画像形成装置でも実施できる。
画像加熱装置が搭載される画像形成装置は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途で実施できる。
なお、特許文献1に示される画像加熱装置及び画像形成装置の一般的な事項については、図示を省略して重複する説明を省略する。
<第1実施形態>
<画像形成装置>
図1は第1実施形態の画像形成装置の構成の説明図である。第1実施形態の画像形成装置100は、タンデム型中間転写方式のフルカラー複写機である。
図1に示すように、画像形成装置100は、中間転写ベルト7の上向き直線区間にイエロー画像形成部Pa、マゼンタ画像形成部Pb、シアン画像形成部Pc、ブラック画像形成部Pdを配列している。画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdは、感光ドラム3a、3b、3c、3dに、それぞれイエロートナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像を形成して中間転写ベルト7に順次一次転写する。一次転写された4色4層のトナー像は、中間転写ベルト7によって搬送され、二次転写外ローラ11において、記録材Pに重ねて挟持搬送されて、記録材Pに一括二次転写される。トナー像を二次転写された記録材Pは、定着装置9へ受け渡され、定着装置9にて加熱加圧を受けてトナー像を表面に定着される。
画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdは、現像装置1a、1b、1c、1dに充填されるトナーの色がイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと異なる以外はほぼ同一に構成される。従って、以下では、画像形成部Paを説明して他の画像形成部Pb、Pc、Pdは、符号末尾のaをb、c、dと読み替えて理解されるものとする。
画像形成部Paは、回転する感光ドラム3aの周囲に帯電装置2a、露光装置5a、現像装置1a、一次転写装置6a、クリーニング装置4aを配置している。
感光ドラム3aは、光照射によって帯電電位が低下する感光層を表面に有し、静電像及びトナー像を担持する。
帯電装置2aは、感光ドラム3aの表面を一様な帯電電位に帯電させる。
露光装置5aは、形成すべき画像の走査線に沿った各色濃度に応じて変調されたレーザービームを、帯電した感光ドラム3aの表面に走査する。これにより、感光ドラム3aの表面の帯電電位が露光量に応じて低下して画像の静電像が形成される。
現像装置1aは、感光ドラム3aの静電像に帯電したトナーを電気的に付着させてトナー像に現像する。
一次転写装置6aは、通過する中間転写ベルト7をトナー像の帯電極性と反対極性に帯電させて、感光ドラム3aのトナー像を中間転写ベルト7へ電気的に移動させる。
クリーニング装置4aは、中間転写ベルト7への一次転写を逃れて感光ドラム3aに残留したトナーを除去して次回のトナー像形成に備えさせる。
中間転写ベルト7は、駆動装置15、テンションローラ13、二次転写内ローラ14に掛け渡して支持され、図中矢印方向に回転する。中間転写ベルト7は、感光ドラム3a、3b、3c、3dから順次重ねて一次転写されたトナー像を、二次転写内ローラ14で支持された中間転写ベルト7と二次転写外ローラ11との圧接部へ搬送する。
二次転写内ローラ14は、接地電位に接続されている。記録材をトナー像に重ねて中間転写ベルト7と二次転写外ローラ11とが記録材を挟持搬送する過程で、二次転写外ローラ11には、トナー像の帯電極性と逆極性の電圧が印加される。これにより、中間転写ベルト7の4色4層のトナー像は、記録材Pへ電気的に移動して、一括二次転写される。
記録材Pは、サイズ別のカセット10に収納され、カセット10から引き出されて1枚ずつに分離してレジストローラ12で待機する。レジストローラ12は、中間転写ベルト7上のトナー像にタイミングを合わせて、中間転写ベルト7と二次転写外ローラ11との圧接部へ記録材Pを給送する。
クリーニング装置19は、二次転写を逃れて中間転写ベルト7に残留した転写残トナーを除去して次回のトナー像の一次転写に備えさせる。
定着装置9は、4色4層のトナー像を担持した記録材Pを定着ローラ40と加圧ローラ41とで挟持搬送して、トナー像を加熱加圧して記録材に定着させる。トナー像を定着された記録材は、画像形成装置100の機体外部へ排出される。
<定着装置>
図2は定着装置の主要部の斜視図、図3は粗らしローラの断面構成の説明図、図4は粗らしローラの離間機構の斜視図、図5は定着装置の構成の説明図である。図6は粗らしローラの駆動機構の説明図、図7は粗らしローラの離間機構の説明図である。
図2に示すように、定着装置9は、ハロゲンヒータ40Hによって内側から加熱された定着ローラ40と、ハロゲンヒータ41Hによって内側から加熱された加圧ローラ41とを圧接して定着部T3を構成する。定着ローラ40と加圧ローラ41とを含む定着装置全体は、不図示の断熱筐体によって覆われている。
定着部T3の上流側(記録材の送り込み側)にサーミスタ40S、41Sが当接する。サーミスタ40Sは、定着ローラ40の表面温度を検知してハロゲンヒータ40Hの出力にフィードバックさせる。サーミスタ41Sは、加圧ローラ41の表面温度を検知してハロゲンヒータ41Hの出力にフィードバックさせる。
定着部T3の下流側に粗らしローラ93が配置される。粗らしローラ93は、駆動機構35に駆動されて定着ローラ40と同一回転方向に回転し、両端に配置された一対の加圧バネ48に付勢されて定着ローラ40に圧接する。これにより、表面に多数の研磨材を備えた粗らしローラ93は、定着ローラ40に対してカウンタ方向(表面が逆方向へ移動する方向)に回転して、定着ローラ40の表面を摺擦することで一様に粗らす。
図3に示すように、粗らしローラ93はφ12mmのステンレス製の芯金93aの表面に、接着層93cを介して砥粒93bを密に接着してある。砥粒93bは、用途(画像の目標光沢度)に合わせて#1000〜#4000番手に変更される。砥粒93bの平均粒径は、#1000番手の場合は約16μm、#4000番手の場合は約3μmである。
砥粒93bは、アルミナ系(通称「アランダム」または「モランダム」と称される)である。アルミナ系は、工業的に最も幅広く用いられる砥粒で、定着ローラ93の表面に比べて各段に硬度が高く、粒子が鋭角形状のため粗らし性に優れている。
図4に示すように、粗らしローラ93は、離間機構31によって、定着ローラ40に対する圧接と離間とを制御される。離間機構31は、粗らしローラ93の軸94を回転可能に支持するベアリング45が固定された支持アーム46を回動軸47の周りで回動させて、粗らしローラ93を定着ローラ40から離間させる。軸94の一端部94aに粗らしローラ駆動入力ギア(50:図2)が固定される。
図2に示すように、定着ローラ40は、駆動機構35の反対側に固定した駆動入力歯車44を通じて外部から回転駆動される。駆動入力歯車44には、加圧ローラ41を定着ローラ40と等しい表面速度で回転させる不図示の歯車列が噛み合っている。
駆動機構35は、定着ローラ40に固定された粗らしローラ駆動伝達ギア49からアイドラギア51を経て、粗らしローラ93に固定された粗らしローラ駆動入力ギア50に駆動力を伝達する。そして、定着ローラ40の周速度は220mm/sec、粗らしローラ93の周速度は110mm/secになるように、駆動機構35のギア比が設定されている。
これにより、上述したように、粗らしローラ93と定着ローラ40とは互いに回転方向が等しくなり、粗らしローラ93は、定着ローラ40に対してカウンタ方向(表面同士が逆方向へ移動する方向)に回転する。そして、カウンタ方向に相対回転する定着ローラ40と粗らしローラ93との相対速度は330mm/secである。
また、アイドラギア51は、定着ローラ40側に軸支されて粗らしローラ駆動伝達ギア49に噛み合う一方、粗らしローラ駆動入力ギア50は、支持アーム46に軸支されている。そして、離間状態の粗らしローラ93の定着ローラ40に対する離間距離は、粗らしローラ駆動入力ギア50及びアイドラギア51の歯高よりも大きい。
従って、支持アーム46が離間方向へ回動すると、支持アーム46に軸支された粗らしローラ駆動入力ギア50とアイドラギア51の噛み合いが解放されて、粗らしローラ93の回転が自動的に停止する。これにより、クラッチ機構を用いることなく、圧接時には定着ローラ40の駆動力を分配して粗らしローラ93を回転駆動し、離間時には粗らしローラ93の回転を停止できる。
また、アイドラギア51と粗らしローラ駆動入力ギア50との配置関係は、粗らしローラ93の定着ローラ40に対する圧接力に影響を及ぼさないように設定してある。アイドラギア51から荒しローラ駆動入力ギア50への駆動伝達力は、粗らしローラ93が定着ローラ40に対して圧接/離間する方向の分力を持たない。言い換えれば、アイドラギア51と荒しローラ駆動入力ギア50との噛み合いは、回動軸47を中心とした支持アーム46の回転に対して、いわゆるニュートラルな配置に設定してある。
図5に示すように、定着ローラ40及び加圧ローラ41は、中間転写ベルト(7:図1)と共通の駆動装置34に連結されている。加圧ローラ41は、不図示の加圧機構に付勢されて、総圧力約800N(80kgf)にて定着ローラ40に圧接する。
定着ローラ40は、外形φ68mmのアルミニウム製中空芯金40aに1.0mm厚さの弾性層40bを形成し、表面に30μm厚さの離型層40cを被せて外径φ70mmに仕上げてある。弾性層40bは、ゴム硬度20度(JIS−Aの測定法による10N加重時)のシリコンゴムである。離型層40cは、PFA(4フッ化エチレン、パーフロロアルコキシエチレン共重合体)、PTFE(4フッ化エチレン)等のフッ素樹脂を用いたチューブ材料である。
加圧ローラ41は、外形φ48mmのアルミニウム製中空芯金41aに1.0mm厚さの弾性層41bを形成し、表面に30μm厚さの離型層41cを被せて外径φ50mmに仕上げてある。弾性層41b及び離型層41cの材料は、定着ローラ40のものとそれぞれ同一である。
温度制御回路107は、サーミスタ40Sの出力をフィードバックしてハロゲンヒータ40Hの出力を調整し、また、サーミスタ41Sの出力をフィードバックしてハロゲンヒータ41Hの出力を調整する。温度制御回路107は、定着ローラ40の表面温度と加圧ローラ41の表面温度とを、ともに165度C±1度Cに制御して、定着部T3に必要十分な定着温度を確保させる。
定着部T3の出口側にクリーニング装置32が配置される。クリーニング装置32は、不織布のクリーニングウエブを、回転する定着ローラ40の表面に摺擦させて定着ローラ40をクリーニングする。制御部110は、角度センサSdの出力を検知してモータ33を制御することにより、間欠的にクリーニングウエブを巻き取る。
第1実施形態では、定着ローラ40の表面にフッ素樹脂の離型層40cを配置することによって、定着ローラ40にオイル等の潤滑剤を塗布することなく、熱融着したトナー像の粘着を速やかに解消して、定着ローラ40から記録材を良好に曲率分離させている。
しかし、定着ローラ40の表面状態が、潤滑剤を介在させることなく、融解したトナー像の表面にそのまま写し取られるため、定着ローラ40の表面状態は、部分的なばらつき少なく時間的にも一様に維持される必要がある。そのため、後述するように、定着処理枚数が一定量に達するごとに、回転状態の粗らしローラ93を回転状態の定着ローラ40に圧接して表面を粗らして、表面状態を回復させている(図15の(b)参照)。
粗らしローラ93は、クリーニング装置32の下流側に配置され、離間機構31によって定着ローラ40に対する当接と離間とを制御される。離間機構31は、定着装置9の軸方向の両端位置に対称な形状で一対配置されている(図7参照)。
粗らしローラ93の軸94を支持する支持アーム46(図4に示すベアリング45は図示略)は、回動軸47の周りで回動可能である。粗らしローラ93の軸方向の両端部に配置された一対の加圧バネ48は、それぞれの支持アーム46を付勢して、粗らしローラ93を定着ローラ40に合計100Nの加圧力で圧接させる。
粗らしローラ93の加圧力は、10N未満では粗らし能力が不足し、150Nを越えると粗らし品質が損なわれることが確認されているので、10N以上、150N以下が好ましい。
制御部110は、モータ58を作動させてカム56を回動させることにより、退避アーム52を回動軸53の周りで回動させて、粗らしローラ93を定着ローラ40から離間させる。
駆動アーム46aは、支持アーム46に連結されて一体に回動する(図4参照)。退避アーム52は、駆動バネ54によって、駆動端55が駆動アーム46aを押圧して粗らしローラ93を定着ローラ40から離間させる方向に付勢されている。駆動バネ54が駆動端55を介して支持アーム46を引っ張る力は、加圧バネ48が支持アーム46を逆方向に引っ張る力よりも大きい。
そして、カム56は、駆動バネ54の付勢力に逆らって退避アーム52の案内面57を押し下げることで、駆動端55を駆動アーム46aから離間させて、支持アーム46の回動を加圧バネ48に委ねている。
従って、カム56が回転して、退避アーム52の回動を駆動バネ54に委ねると、駆動バネ54に付勢された退避アーム52の駆動端55が駆動アーム46aを回動させて、定着ローラ40から粗らしローラ93が離間する。カム56の回動角度は、角度センサSc(図2参照)によって検知されて制御部110にフィードバックされる。
図6に示すように、粗らしローラ93の軸94は、支持アーム46に組み込まれたベアリング45によって両端を回転自在に支持されている。ベアリング45の内側に位置する軸94の両端部にE形止め輪62を固定して、粗らしローラ93が軸方向に移動しないようにしている。ただし、粗らしローラ93および軸94が軸方向に熱膨張してもE形止め輪62がベアリング45を内側から外側へ突き出さないように、ベアリング45とE形止め輪62の間には1mmの隙間yを確保している。このため、隙間yの1mmの範囲で粗らしローラ93は軸方向へ移動可能である。これ以外に、後述するように、支持アーム46のガタつきや撓みによっても定着ローラ40と粗らしローラ93とは軸方向に移動する余地がある。
図7に示すように、駆動機構(35:図2)側に配置された他端側離間機構31aの加圧バネ48は、反対側に配置される一端側離間機構31bの加圧バネ48よりも付勢力が大きい。他端側離間機構31aの加圧バネ48の付勢力は、60N相当として、一端側離間機構31bの加圧バネ48の40N相当よりも高く設定している。
このため、粗らしローラ93を定着ローラ40に圧接して回転させると、粗らしローラ93は、矢印H方向へ移動して加圧バネ48の付勢力が小さい一端側離間機構31b側へ片寄る。そして、粗らしローラ93は、図6に示すように、駆動機構35の反対側に片寄ってベアリング45にE形止め輪62を突き当てた状態で安定して回転する。
しかし、粗らしローラ93が定着ローラ40から離間し始めると、粗らしローラ93に作用する軸方向の力が変化して、粗らしローラ93を同じ側へ片寄せ続けることができなくなる。その結果、離間する瞬間に粗らしローラ93が定着ローラ40の表面を軸方向に摺擦して、粗らしローラ93に接触していた領域を隣接領域とは異なる表面状態に仕上げてしまう。
そこで、第1実施形態では、粗らしローラ93が片寄せられた反対側(他端側)を片寄せられた側(一端側)よりも先行して離間させる構成とした。一端側を先行して離間させた場合と他端側を先行して離間させた場合とを比較する実験を行った結果、他端側を先行して離間させた場合のほうが軸方向の移動量が少なくなるという実験結果を得たからである。
図7に示すように、モータ58は、位相をずらして取り付けられた他端側離間機構31aのカム56と一端側離間機構31bのカム56とを一体に回転させる。そして、カム56の円周面が退避アーム52を押し下げることにより、支持アーム46の回動を加圧バネ48に委ねて、定着ローラ40に粗らしローラ93を圧接する。
しかし、離間過程では、他端側離間機構31aのカム56は、駆動バネ54に付勢された退避アーム52を、一端側離間機構31bのカム56よりも先行して、離間方向に回動する。これにより、粗らしローラ93の他端側離間機構31a側が一端側離間機構31b側よりも先行して定着ローラ40から離間する。
従って、片寄った側での摩擦で軸方向の移動を制限した状態で、粗らしローラ93の大部分の領域を先行して定着ローラ40から離間できる。そして、完全に離間する瞬間に粗らしローラ93が軸方向へ移動しても、擦過キズが生じるのは片寄っていた側のごく狭い領域(定着領域の外側)に限定される。
図5に示すように、ユーザーは、定着された画像の光沢ムラや光沢スジが気になるときに、操作パネル108を操作してユーザーモードを呼び出して、いつでも粗らしローラ93を用いた粗らし動作を開始できる。このとき、操作パネル108のタッチパネルには、粗らし動作の時間の選択肢と粗らし動作開始ボタンとが表示される。また、小サイズの記録材の連続処理を行う場合には、次に説明するように、所定の枚数をカウントするごとに、粗らしローラ93を用いた粗らし動作を自動的に実行する。
<定着ローラの粗らし制御>
図8は定着ローラの粗らし制御のフローチャート、図9は定着ローラの粗らし仕上げ状態の説明図である。図9中、(a)は粗らし動作前、(b)は粗らし動作後である。
図5を参照して図8に示すように、制御部110は、画像形成のジョブが開始されると、小サイズ(A4サイズ)記録材の定着枚数をカウントする(S11)。そして、カウントが500枚に達すると(S12のYES)、カウントを継続してジョブの終了を待つ(S11〜S13)。
そして、ジョブが終了すると(S13のYES)、そこまでのカウント枚数(500枚+α)に応じて定着ローラ40を粗らす動作の時間を設定する(S14)。
そして、定着ローラ40の回転を停止(S15)した状態で、モータ58を作動させてカム56を回転させ、図2に示すアイドラギア51を粗らしローラ駆動伝達ギア49に噛み合わせる。そして、定着ローラ40に対して粗らしローラ93が接触する少し前に駆動装置34を起動して、定着ローラ40及び粗らしローラ93を回転させる(S16)。定着ローラ40が回転していると、アイドラギア51に粗らしローラ駆動入力ギア50を噛み合わせにくいからである。
その後、さらにモータ58を作動させてカム56を回転させ、定着ローラ40に回転状態の粗らしローラ93を圧接させて粗らし動作を開始する(S17)。
カウント枚数に応じて調整された粗らし動作の時間が終了すると(S18のYES)、定着ローラ40及び粗らしローラ93の回転を停止する(S19)。
そして、圧接時とは逆方向にモータ58を作動させてカム56を回転させることにより、定着ローラ40から粗らしローラ93を離間させる(S20)。このとき、図7に示すように、粗らしローラ93の他端側離間機構31a側が一端側離間機構31b側よりも先行して離間するので、離間時に定着ローラ40の軸方向の移動が起こりにくい。また、離間時に定着ローラ40が軸方向に移動しても、これによる擦過キズは、一端側離間機構31b側の狭い領域に限定される。
その後、小サイズシートの定着枚数のカウントをリセットして(S21)、次のジョブを待機する。
なお、図8に示す制御では、アイドラギア51と粗らしローラ駆動入力ギア50との衝突音を避けるために、定着ローラ40に対する粗らしローラ93の圧接及び離間をいずれも回転停止した状態で行った。
しかし、定着ローラ40を終始回転した状態で、回転する粗らしローラ93を他端側から一端側へ順次離間させて、アイドラギア51と粗らしローラ駆動入力ギア50との噛み合わせを解除してもよい。
また、離間の粗らしローラ駆動伝達ギア49にクラッチを組み込んで、アイドラギア51に粗らしローラ駆動入力ギア50を噛み合わせた後にクラッチを締結する制御としてもよい。その後、クラッチを解放した状態で粗らしローラ93を離間することにより、アイドラギア51と粗らしローラ駆動入力ギア50との噛み合わせを無負荷状態で解除する制御としてもよい。
図9の(a)に示すように、前回の粗らし動作から500枚を経てジョブが終了するまでに、定着ローラ(40:図2)の小サイズ記録材の縁が通過する領域Cには、記録材の縁に起因して擦りキズが形成される。また、小サイズ記録材が通過する領域Aでは、小サイズ記録材が通過しない領域Bに比較して表面性状が粗らくなる。
しかし、粗らし動作の時間を通じて#1000〜#4000番手の砥粒に摺擦されることによって、領域A、B、Cの表面性状は一様に均される。
図9の(b)に示すように、粗らし動作の終了後は、定着ローラ40の軸方向の全域がほぼ一様な表面状態に均されている。
<発明との対応>
第1実施形態では、加熱回転体及び加圧回転体の一例である定着ローラ40及び粗らしローラ93は、記録材上のトナー像を加熱するため記録材を挟持搬送する。
粗らし回転体の一例である粗らしローラ93は、加熱回転体の一例である定着ローラ40に当接してその表面を粗らす。
片寄せ手段の一例である一対の加圧バネ48は、粗らし回転体をその軸線方向一端側へ片寄らせる。
接離手段の一例である離間機構31は、粗らし回転体を加熱回転体に対し接離させる。
接離手段の一例である離間機構31は、粗らし回転体の軸線方向他端側を一端側よりも先行して離間させる。
第1実施形態では、片寄せ手段の一例である一対の加圧バネ48は、粗らし回転体の軸線方向一端側を加熱回転体に向けて付勢する第1の付勢部材の一例である駆動機構35と反対側の加圧バネ48と、粗らし回転体の軸線方向他端側を加熱回転体に向けて第1の付勢部材よりも大きな力で付勢する第2の付勢部材の一例である駆動機構35側の加圧バネ48とを有する。
第1実施形態は、第1工程に続いて第2工程を実行して、加熱された表面を記録材に接触させてトナー像を担持した記録材を搬送する加熱回転体の表面性を回復する。第1工程では、回転する加熱回転体に対して、表面に多数の研磨材を備えた粗らし回転体を回転状態で摺擦させる。第2工程では、加熱回転体に対する摺擦回転時に粗らし回転体が軸方向に片寄る側よりも片寄る反対側を先行して離間させることにより、加熱回転体から粗らし回転体を離間させる。
加熱回転体の一例である定着ローラ40は、離型層が配置された表面を記録材に接触させてトナー像を加熱する。
加圧回転体の一例である加圧ローラ41は、記録材を介して加熱回転体に圧接してトナー像を加圧する。
粗らし回転体の一例である粗らしローラ93は、研磨材を多数備えた表面を加熱回転体に摺擦させて回転する。
接離手段の一例である離間機構31は、粗らし回転体を加熱回転体から離間させる。
駆動手段の一例である駆動機構35は、加熱回転体に圧接させた粗らし回転体を回転駆動する。
接離手段の一例である離間機構31は、粗らし回転体の軸方向の予め定められた他端側を一端側よりも先行して加熱回転体から離間させる。
他端側の一例である駆動機構35側は、粗らし回転体を加熱回転体に圧接して回転させた際に粗らし回転体が軸方向に片寄る一端側の反対側である。
第1実施形態は、摺擦回転中の粗らしローラ93を一端側へ片寄せる片寄せ手段を備えている。片寄せ手段の一例である一対の加圧バネ48は、粗らし回転体を付勢して一端側へ片寄せる。
加圧バネの一例である加圧バネ48は、他端側と一端側とにそれぞれ配置されて、粗らし回転体を加熱回転体に向かって付勢して圧接させる。そして、他端側の加圧バネ48は、一端側の加圧バネ48よりも圧接時の付勢力を大きく設定してある。
第1実施形態によれば、粗らしローラ93は、軸方向の一端側に突き当たった状態で回転して定着ローラ40の表面を粗らす。そして、粗らしローラ93を定着ローラ40から離間させる際には、軸方向の突き当たった反対の他端側から先行して粗らしローラ93を離間させた後に、一端側を離間させる。このため、離間の過程で粗らしローラ93が軸方向にほとんど移動せず、離間の過程で定着ローラ40の表面を縦断する形で軸方向の摺擦キズが形成されることがない。これにより、定着ローラ40の粗らしローラ93に接触していた部分と隣接領域との間で表面状態の差がなくなり、表面状態の差に起因する画像上の光沢ムラが解消される。
また、粗らしローラ93の軸方向の両端に配置された一対の加圧バネ48の付勢力を異ならせるだけの簡単な構成で、摺擦回転する粗らしローラ93を毎回安定して一端側へ移動させて突き当て得る。他端側の加圧バネ48を一端側の加圧バネ48よりも強くすることで、付勢力の弱い一端側へ粗らしローラ93を確実に寄せることができる。
<第2実施形態>
図10は第2実施形態における定着ローラと粗らしローラとの配置の説明図である。第2実施形態では、粗らしローラ93を軸方向の第1実施形態と同じ側に片寄せるために、定着ローラ40の中心線と粗らしローラ93の中心線とを傾けてねじりの位置関係に設定した。これ以外は第1実施形態と同様に構成されるので、図1〜図9を併せて参照して説明する。
図10に示すように、第2実施形態では、粗らしローラ93の中心線は、定着ローラ40の中心線に対して角度α傾けて設定してある。このため、粗らしローラ93の円筒面の母線は、定着ローラ40の円筒面の母線に対して角度αで交差して圧接する。定着ローラ40は矢印R40方向に回転し、粗らしローラ93は、定着ローラ40に対してカウンタ方向、すなわち同一回転方向である矢印R93方向に回転する。
粗らしローラ93は、図7に示す離間機構31を作動させることにより定着ローラ40に圧接及び離間が可能である。そして、粗らしローラ93は、圧接状態において、図2に示す駆動機構35によって定着ローラ40から回転を伝達され、相対速度330mm/secで粗らしローラ93を粗らす。
粗らしローラ93が定着ローラ40に圧接して回転すると、摺擦摩擦力による定着ローラ40からの抗力Mが粗らしローラ93に作用する。抗力Mの角度αの傾きに起因する軸方向の分力によって、粗らしローラ93が回転している限り、粗らしローラ93が矢印H方向へ確実に移動する。そして、図6に示すように、粗らしローラ93は、駆動機構35の反対側に片寄ってベアリング45にE形止め輪62を突き当てて軸方向への移動を停止し、この状態で安定して回転する。
第2実施形態では、図7に示す離間機構31を図8に示す制御に従って作動させて、間欠的に定着ローラ40の表面性を回復させる。図6に示すように、粗らしローラ93を一端側へ片寄せて付き当てた状態で、他端側を先行して離間させた後に一端側を離間させて、アイドラギア51と粗らしローラ駆動入力ギア50との噛み合わせを解除する。
第2実施形態では、片寄せ手段は、粗らし回転体の母線方向が加熱回転体の母線方向に対してずれるように、粗らし回転体を回転可能に支持する支持手段の一例である支持構造を有する。言い換えれば、片寄せ手段の一例は、粗らし回転体と加熱回転体との配置関係である。粗らし回転体の中心線と加熱回転体の中心線とを、摺擦回転に伴って粗らし回転体が一端側へ片寄る方向にねじって配置している。
これにより、粗らしローラ93が定着ローラ40から離間する際の軸方向の移動を抑制して、第1実施形態と同様の効果が得られる。粗らしローラ93を軸方向へほとんど移動させることなく、定着ローラ40から粗らしローラ93を離間できる。このため、離間時に定着ローラ40の表面に軸方向の摺擦キズがつかず、摺擦キズに起因する画像上の光沢ムラを解消できる。
<第3実施形態>
図11は第3実施形態における圧縮バネの配置の説明図である。第3実施形態では、粗らしローラ93を軸方向の第1実施形態と同じ側に片寄せるために、粗らしローラ93を一端側へ付勢する圧縮ばね65を設けた以外は第1実施形態と同様に構成される。従って、図1〜図9を併せて参照して説明する。
図11に示すように、第3実施形態では、軸94に圧縮バネ65を挿入して、ベアリング45と粗らしローラ93の側面との間隔を外側へ押し広げる方向に付勢させた。従って、第1実施形態のように一対の加圧バネ48を異ならせなくても、第2実施形態のように粗らしローラ93と定着ローラ40とを傾けなくても、圧縮ばね65の付勢力が粗らしローラ93を矢印H方向へ確実に移動させる。そして、図6に示すように、粗らしローラ93は、駆動機構35の反対側に片寄ってベアリング45にE形止め輪62を突き当てて軸方向への移動を停止し、この状態で安定して回転する。
粗らしローラ93は、図7に示す離間機構31を作動させることにより定着ローラ40に圧接及び離間が可能である。そして、粗らしローラ93は、圧接状態において、図2に示す駆動機構35によって定着ローラ40から回転を伝達され、相対速度330mm/secで粗らしローラ93を粗らす。
第3実施形態においても、図7に示す離間機構31を図8に示す制御に従って作動させて、間欠的に定着ローラ40の表面性を回復させる。図6に示すように、粗らしローラ93を一端側へ片寄せて付き当てた状態で、他端側を先行して離間させた後に一端側を離間させて、アイドラギア51と粗らしローラ駆動入力ギア50との噛み合わせを解除する。
第3実施形態では、片寄せ手段は、粗らし回転体を、その軸線方向一端側に向けて付勢する付勢部材の一例である圧縮バネ65を有する。これにより、粗らしローラ93が定着ローラ40から離間する際の軸方向の移動を抑制して、第1実施形態と同様の効果が得られる。粗らしローラ93を軸方向へほとんど移動させることなく、定着ローラ40から粗らしローラ93を離間できる。このため、離間時に定着ローラ40の表面に軸方向の摺擦キズがつかず、摺擦キズに起因する画像上の光沢ムラを解消できる。
<第4実施形態>
図12は第4実施形態における駆動機構の説明図である。第4実施形態では、粗らしローラ93を軸方向の第1実施形態と同じ側に片寄せるために、駆動機構35のアイドラギア51と粗らしローラ駆動入力ギア50とをはすば歯車とした以外は第1実施形態と同様に構成される。従って、図1〜図9を併せて参照して説明する。
図2に示すように、粗らしローラ93は、図7に示す離間機構31を作動させることにより定着ローラ40に圧接及び離間が可能である。そして、粗らしローラ93は、圧接状態において、駆動機構35によって定着ローラ40から回転を伝達され、相対速度330mm/secで粗らしローラ93を粗らす。駆動機構35は、はすば歯車列で構成した。
図12に示すように、第4実施形態では、アイドラギア51が粗らしローラ駆動入力ギア50の歯面を押圧する駆動力の軸方向の分力が粗らしローラ93を軸方向に移動させる。粗らしローラ93が定着ローラ40に圧接して回転すると、摺擦摩擦力による粗らしローラ93の負荷が粗らしローラ駆動入力ギア50からアイドラギア51へ伝達される。このとき、アイドラギア51の歯面が粗らしローラ駆動入力ギア50の歯面を押す力の軸方向の分力は、粗らしローラ93を矢印H方向へ確実に移動させる。粗らしローラ93が定着ローラ40に摺擦回転している限り、粗らしローラ93は、駆動機構35の反対側に片寄ってベアリング45にE形止め輪62を突き当てて軸方向への移動を停止し、この状態で安定して回転する。
第4実施形態では、図7に示す離間機構31を図8に示す制御に従って作動させて、間欠的に定着ローラ40の表面性を回復させる。図6に示すように、粗らしローラ93を一端側へ片寄せて付き当てた状態で、他端側を先行して離間させた後に一端側を離間させて、アイドラギア51と粗らしローラ駆動入力ギア50との噛み合わせを解除する。
第4実施形態では、片寄せ手段は、粗らし回転体に駆動を伝達するはすば歯車を有する。言い換えれば、片寄せ手段の一例は、はすば歯車の歯面である。駆動機構35は、一端側にて加熱回転体の回転と粗らし回転体の回転とを連絡し、離間によって噛み合いが解除されるはすば歯車列を有する。駆動機構35は、離間によって噛み合いが解除される被駆動側のはすば歯車の歯面を、摺擦回転に伴って粗らし回転体が一端側へ片寄る方向に傾けてある。
これにより、粗らしローラ93が定着ローラ40から離間する際の軸方向の移動を抑制して、第1実施形態と同様の効果が得られる。粗らしローラ93を軸方向へほとんど移動させることなく、定着ローラ40から粗らしローラ93を離間できる。このため、離間時に定着ローラ40の表面に軸方向の摺擦キズがつかず、摺擦キズに起因する画像上の光沢ムラを解消できる。
<定着ローラを粗らす効果>
図13は定着装置で小サイズの記録材を定着処理している状態の説明図、図14は定着ローラに形成される擦りキズの説明図、図15は定着ローラを定期的に粗らす効果の説明図である。
図13に示すように、定着装置(9:図1)の定着ローラ40と加圧ローラ41との間を記録材Pが通過すると、記録材Pの縁(コバ)のバリ等に起因して定着ローラ40の表面に擦りキズが形成されることがある。そして、定着ローラ40の軸方向の一定位置を等しいサイズの記録材Pが多数枚連続して通過すると、図14に示すように、擦りキズが干渉して重なり合い、定着された画像に擦りキズが写し取られてスジが目立つようになる。
また、図9の(a)に示すように、小サイズの記録材が通過する領域A、記録材が通過しない領域B、領域A、Bの境界の領域Cとで次第に表面性状の格差が増大する。そして、続いて大きなサイズの画像形成を行うと、領域A、領域B、領域Cの表面性状の格差が定着された画像面に目立つようになる。
図5を参照して図15に示すように、フッ素樹脂の離型層40cを設けた定着ローラ40の表面は、鏡面状態で出荷されており、初期の表面粗さは、通常、10点平均粗さRzが0.1μm〜0.3μm程度である。
しかし、定着ローラ40の記録材が通過する領域Aでは、紙の繊維や添加剤の転写や付着/分離が繰り返される結果、10点平均粗さRzが1.0μm程度まで徐々に大きくなる。
特に、紙の縁(紙コバ)には、紙を切断するときに発生するバリ(図11参照)があるため、定着ローラ40に対するダメージが大きく、対応する領域Cでは10点平均粗さRzは、1.0〜2.0μmに達する場合もある。紙のバリは、大判シートからの裁断工程で、裁断の刃が磨耗して切れ味が悪くなったとき等に発生しやすい。
一方、定着ローラ40の記録材が通過しない領域Bでは、定着ローラ40の表面は、対向する加圧ローラ41の表面に圧接回転して、10点平均粗さRzが1.0μm程度まで、領域Aに比べてゆっくりと粗らくなる。
この結果、記録材を連続して定着処理した後の定着ローラ40の表面粗さは、以下のようになって、軸方向の位置によって表面状態が異なってくる。
領域Cの表面粗さ >
領域Aの表面粗さ > 領域Bの表面粗さ > 初期出荷時の表面粗さ
そして、定着ローラ40の微細な表面状態は、融解軟化したトナー像の表面にそのまま写し取られて画像の表面状態を形成してしまう。定着ローラ40の表面が荒れてくると、定着ローラ40に形成された微小な表面状態が定着画像の表面に転写される。定着ローラ40の表面状態が軸方向で異なれば、大きな記録材で画像形成を行った際に、領域A、領域B、領域Cに対応して画像の光沢ムラ(グロスムラ)を生じてしまう。
そして、このような定着画像の光沢キズや光沢ムラは、普通紙ではあまり目立たないが、近年需要が増加している表面平滑性の高いコート紙に、写真画質でフルカラー画像を形成する場合にはよく目立つ。
そこで、第1実施形態〜第4実施形態では、回転状態の粗らしローラ93を定着ローラ40に圧接して、定着ローラ40の領域A、領域B、領域Cの区別無く砥粒による細かい摺擦傷を付ける。これにより、定着ローラ40の表面に形成された摺擦傷を重畳させて、領域A、領域Bの表面状態の格差を解消して光沢ムラを防止する。また、領域Cにおける擦りキズを摺擦キズで覆って目立たなくすることによって、記録材の縁に起因する低光沢スジも解消できる。
ここで、粗らしローラ93によって定着ローラ40に細かい摺擦傷を付けるには、定着ローラ40と粗らしローラ93との間に大きな周速差を設ける必要がある。このため、第1実施形態〜第4実施形態では、粗らしローラ93を定着ローラ40に対してカウンタ方向に回転させて相対回転速度330mm/secを確保している。
また、定着ローラ40に対して粗らしローラ93が常時圧接していると、定着ローラ40に連れ回るトナ−の融着塊や各種添加材によって粗らしローラ93が汚染されてしまう。このため、粗らしローラ93は、定着ローラ40に対して離間が可能に構成され、粗らし動作を行わない期間は離間させている。
ところで、粗らしローラ93が定着ローラ40の表面を摺擦しているとき、粗らしローラ93は、定着ローラ40の軸方向の片側に移動してベアリング45にE形止め輪62を押し付けた状態で回転している。
その後、定着ローラ40が所定の表面状態に回復すると、一対のカム56が回転してそれぞれの退避アーム52を回動させることにより、粗らしローラ93が定着ローラ40から離間する。このとき、組み立て誤差や部品差に起因して、退避アーム52が支持アーム46を回動させるタイミングがずれていると、定着ローラ40に対する粗らしローラ93の加圧力バランスが変化する。この加圧力バランスの変化が、粗らしローラ93を軸方向のそれまでの型寄り方向とは逆方向に移動させる可能性がある。
また、粗らしローラ93を離間する過程では、粗らしローラ93を片側に突き当てていた寄り力が開放されるので、粗らしローラ93は、定着ローラ40に対してわずかに軸方向に移動しながら離間する。
また、図4に示すように、支持アーム46が回動軸47によって支持される位置と、加圧バネ48が支持アーム46を引っ張る力とは同一平面上に無いため、加圧バネ48は支持アーム46にねじり力Frを作用している。そして、圧接状態では、定着ローラ40が粗らしローラ93に作用する反力Fpによって、加圧バネ48のねじり力Frは相殺されている。
しかし、離間に伴って反力Fpが喪失すると、加圧バネ48によるねじり力Frが粗らしローラ93を軸方向に押し込む。このとき、粗らしローラ93の軸方向の両端における離間タイミングが完全に一致していれば、軸方向の両端に作用するねじり力Frが相殺して何も起こらないが、完全に一致することは有り得ない。
つまり、粗らしローラ93の軸方向の両端のうち先行する他端が離間した際には、粗らしローラ93が反対側へ向かって移動し、その後、反対側が離間すると粗らしローラ93が先行して離間した側へ押し戻される。往復の移動量は0.2mm〜0.5mm程度であった。
これらのメカニズムによっても、定着ローラ40から粗らしローラ93を離間させる際には、粗らしローラ93が軸方向に移動して、定着ローラ40に粗らし動作を通じて形成した摺擦面とは筋目の違う摺擦痕が形成されてしまう。例えば、粗らしローラ93と定着ローラ40とを停止状態で離間させた場合、粗らしローラ93は、軸方向に0.2mm〜0.5mm移動して、定着ローラ40の表面に軸方向の無数の0.2mm〜0.5mmの摺擦キズをつけてしまう。
そして、粗らしローラ93が離間した位置と周囲とで定着ローラ40の表面性状に差ができると、当然、定着ローラ40の表面性状が写し取られる定着画像の表面性状にも差ができて光沢ムラとなってしまう。
そこで、第1実施形態〜第4実施形態では、粗らしローラ93の他端側を先行して定着ローラ40から離間させた後に一端側を離間させる構成を採用した。
このため、粗らしローラ93が定着ローラ40から離間する際に軸方向へ移動しても、定着ローラ40の離型層40cには、軸方向の摺擦傷が付かない。このため、定着ローラ40の表面の隣接領域の表面状態とほとんど差がなくなる。よって、粗らしローラ93の離間時に発生する定着ローラ40の表面の摺擦傷むらによる定着画像のキズや光沢ムラを解消できる。