以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図1はレーザプリンタの概略構成例を示す図である。図1のレーザプリンタ100は、光走査装置900、走査対象物としての感光体ドラム901、帯電チャージャ902、現像ローラ903、トナーカートリッジ904、クリーニングブレード905、給紙トレイ906、給紙コロ907、レジストローラ対908、転写チャージャ911、定着ローラ909、排紙ローラ912、及び排紙トレイ910などを備えている。
帯電チャージャ902、現像ローラ903、転写チャージャ911及びクリーニングブレード905は、それぞれ感光体ドラム901の表面近傍に配置されている。そして、感光体ドラム901の回転方向に関して、帯電チャージャ902,現像ローラ903,転写チャージャ911,クリーニングブレード905の順に配置されている。
感光体ドラム901の表面には、感光層が形成されている。ここでは、感光体ドラム901は、図1における面内で時計回り(矢印方向)に回転するようになっている。
帯電チャージャ902は、感光体ドラム901の表面を均一に帯電させるためのものである。
光走査装置900は、帯電チャージャ902で帯電された感光体ドラム901の表面に、上位装置(例えばパソコン)からの画像情報に基づいて変調された光を照射する。これにより、感光体ドラム901の表面では、光が照射された部分だけ電荷が消失し、画像情報に対応した潜像が感光体ドラム901の表面に形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラム901の回転に伴って現像ローラ903の方向に移動する。
ところで、感光体ドラム901の長手方向(回転軸に沿った方向)は「主走査方向」と呼ばれ、感光体ドラム901の回転方向は「副走査方向」と呼ばれている。また、感光体ドラム901における走査開始位置から走査終了位置までの主走査方向の走査領域のうち、潜像が形成される領域を「有効画像形成領域」ともいう。なお、この光走査装置900の構成については後述する。
トナーカートリッジ904にはトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ903に供給される。このトナーカートリッジ904内のトナー量は、電源投入時や印刷終了時などにチェックされ、残量が少ないときには不図示の表示部に交換を促すメッセージが表示される。
現像ローラ903は、回転に伴ってその表面にトナーカートリッジ904から供給されたトナーが帯電されて薄く均一に付着される。また、この現像ローラ903には、感光体ドラム901における帯電している部分(光が照射されなかった部分)と帯電していない部分(光が照射された部分)とで互いに逆方向の電界が生じるような電圧が印加されている。そして、この電圧によって、現像ローラ903の表面に付着しているトナーは、感光体ドラム901の表面の光が照射された部分にだけ付着する。すなわち、現像ローラ903は、感光体ドラム901の表面に形成された潜像にトナーを付着させて画像情報を顕像化させる。ここでトナーが付着された潜像は、感光体ドラム901の回転に伴って転写チャージャ911の方向に移動する。
給紙トレイ906には転写対象物としての記録紙913が格納されている。この給紙トレイ906の近傍には給紙コロ907が配置されており、該給紙コロ907は、記録紙913を給紙トレイ906から1枚づつ取り出し、レジストローラ対908に搬送する。該レジストローラ対908は、転写ローラ911の近傍に配置され、給紙コロ907によって取り出された記録紙913を一旦保持するとともに、該記録紙913を感光体ドラム901の回転に合わせて感光体ドラム901と転写チャージャ911との間隙に向けて送り出す。
転写チャージャ911には、感光体ドラム901の表面上のトナーを電気的に記録紙913に引きつけるために、トナーとは逆極性の電圧が印加されている。この電圧により、感光体ドラム901の表面の潜像が記録紙913に転写される。ここで転写された記録紙913は、定着ローラ909に送られる。
この定着ローラ909では、熱と圧力とが記録紙913に加えられ、これによってトナーが記録紙913上に定着される。ここで定着された記録紙913は、排紙ローラ912を介して排紙トレイ910に送られ、排紙トレイ910上に順次スタックされる。
クリーニングブレード905は、感光体ドラム901の表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。なお、除去された残留トナーは、再度利用されるようになっている。残留トナーが除去された感光体ドラム901の表面は、再度帯電チャージャ902の位置に戻る。
図2は光走査装置の構成例を示す図である。図2の例では、光走査装置900は、光源手段20と、カップリングレンズ21,アパーチャ22,シリンドリカルレンズ23からなる整形光学系24と、光偏向手段25と、2枚の走査結像レンズ26,27からなる走査結像光学系28と、ビームスプリッタ29と光検出器30とからなる光ビーム検出手段31と、処理装置(図2では図示省略)などとを備えている。
ここで、光源手段20には、一般にシングルビーム光源として、半導体レーザが用いられ、また、マルチビーム光源として(すなわち、複数の光ビームを構成する手段として)、例えば、複数の半導体レーザを近接して実装した半導体レーザアレイや、面発光レーザアレイ(VCSELアレイ)などが用いられる。
また、カップリングレンズ21は、光源手段20から出射された光を略平行光に整形する機能を有している。もちろん、若干の収束光であったり、発散光であったりしてもよい。
カップリングレンズ21からの光ビームは、アパーチャ22によって光ビームの一部が遮光された後、シリンドリカルレンズ23によって副走査方向に収束されて、光偏向手段25の偏向反射面近傍に主走査方向に長い線像として結像される。
光偏向手段25が回転駆動されることにより、光ビームは偏向走査され、2枚の走査結像レンズ26,27によって、被走査面上に光スポットが形成される。
また、走査結像光学系28を介して主走査方向の有効画像形成領域外に向かう光ビームの一部は、光ビーム検出手段31に入射され、光ビーム検出手段31において、光ビームの位置(後述のように、例えば光ビームの副走査方向位置など)が検出される。
また、この光ビーム検出手段31では、主走査方向の光ビームの位置を検出して、主走査方向の書き込み開始位置までのタイミングを調整する所謂同期検知を行っている。
図3は光ビーム検出手段31の構成例を示す図である。図3を参照すると、走査結像光学系28を介して有効画像形成領域外に向かう光ビームの一部は、ビームスプリッタ29に入射し、そこで副走査方向に2つの分離光ビーム(図3の例では、2つの分離光ビームB1,B2)に分離される。そして、分離光ビームB1,B2は、副走査方向に異なる位置に配置された2つの光検出器30−1,30−2によって、各々検出される。なお、図中に矢印で示すように、光検出器30−1に対して、紙面左向きを、光検出器30−1に対する副走査対応方向とし、光検出器30−2に対する副走査方向と同じ方向と見なすことにする。
図4は光検出器の配置例を示す図である。図4を参照すると、光検出器30−1,30−2は副走査方向に異なる位置に配置されており、各光検出器30−1,30−2は、光ビームに対して光電変換を行う受光部32−1,32−2を備えている。図4の例では、2つの光検出器30−1,30−2は等しい光検出器(同一の形状および構造のもの)であるが、光検出器30−2は傾けて配置している。光偏向手段25によって偏向走査された光ビームは、ビームスプリッタ29によって2つの分離光ビームB1,B2に分離され、図4の矢印に示す方向に受光部32−1,32−2上を走査し、各々検出される。
図5は光検出器の出力信号を示すタイミングチャートである。すなわち、分離光ビームB1,B2が各々受光部32−1,32−2を通過したときの光検出器30−1,30−2の出力信号を示すタイミングチャートである。
図5を参照すると、光検出器30−1の出力信号は、受光部32−1の走査開始側の縁部(図4の受光部32−1の左側の縁部)を通過した分離光ビームB1により、出力信号はHighからLowに立ち下がり(時刻Td1)、受光部32−1上を走査された後、受光部32−1の走査終了側の縁部(図4の受光部32−1の右側の縁部)を通過した分離光ビームB1により、出力信号はLowからHighに立ち上がる(時刻Tu1)。受光部32−1の上記各縁部は副走査方向に平行であるので、分離光ビームB1が副走査方向にずれて走査しても、時刻Td1,Tu1は変化しない。
一方、光検出器30−2は、光検出器30−1に対して図4に示すように傾けて配置されているので(すなわち、受光部32−2も傾いている)、受光部32−2上を走査する分離光ビームB2の副走査方向の位置に応じて、光検出器30−2の出力信号の立ち下がりのタイミング(時刻Td2)と立ち上がりのタイミング(時刻Tu2)は変化する。
図6は、光ビーム検出手段31に入射する光ビームの位置が副走査方向にずれたことを検出する検出方法を説明するための図である。基準となる光ビームの副走査方向の位置をP0とする。このとき、ビームスプリッタ29に入射された光ビームは2つの分離光ビームB10,B20に分離される。分離光ビームB20の副走査方向の位置がP0に等しいとして、分離光ビームB10の副走査方向の位置を、P0+S0とする(図6の実線)。上述したように、光検出器30−1に対する副走査対応方向は、光検出器30−2に対する副走査方向と同じ方向と見なして、同じ座標軸で扱うことにする。ここで、通常のビームスプリッタでは、入射光ビームを90°に分離するので、間隔S0は光ビーム検出手段31のレイアウト等に依存するオフセット値(相対値)である。
このとき、Td1=Td2となるように、光検出器30−2の位置や傾きを調整して配置する。上述したように、光検出器30−1は分離光ビームB10の副走査方向の位置に対して、時刻Td1は変化しないので、分離光ビームB20の副走査方向の位置に応じて変化する時刻Td2を調整する。
ここで、この光検出器30の立ち下がり時間は立ち上がり時間より早いものとして、検出精度を高めるために、Tuではなく、Tdを用いる。すなわち、光検出器30の受光部の光ビームを検出する側の縁部としては、具体的には、例えば、受光部の走査開始側の縁部が用いられる。
また、逆に、あらかじめ設置した光検出器30−1,30−2に対して、分離光ビームB10,B20が入射したときの時刻Td1とTd2がTd1≠Td2となったときに、遅延回路を挿入することによって、Td1=Td2となるように遅延時間を調整することもできる。
もし、経時変化や環境変化などの要因により光ビームの副走査方向の位置がP=P0+ΔPに変化した場合を考える。図7、図8に、図3、図4に対応させて、光ビームの位置が副走査方向にずれた様子を破線で示す。ビームスプリッタ29により分離される分離光ビームB1,B2は、光検出面上において、各々の分離光ビームの副走査方向の位置がP0+S0−ΔP,P(=P0+ΔP)となる関係を持っている(図6の破線)。ここで、ビームスプリッタ29は入射光ビームを90°に分離することを前提とした。なお、90°以外に分離するビームスプリッタでも同様に考えることが可能である。
すなわち、光ビームが副走査方向に位置ずれΔPを発生したとき、各光検出器30−1,30−2から得られる出力信号の立ち下がりのタイミングを見てみると、光検出器30−1はもちろん変化しないので、Td1は変化しない。一方、光検出器30−2は、受光部32−2が傾いていることから、出力信号の立ち下がりタイミングは時刻Td2’(=Td2+ΔTd2)へと変化する。
したがって、この時刻の変化量ΔTd2は、受光部32−2の傾き量に対して、分離光ビームB2の副走査方向の位置ずれΔPに1対1対応していることから、ΔPを検出することができる。なお、受光部32−2が副走査方向に平行で、受光部32−1が傾いている場合には、上述と同様に、時刻変化量ΔTd1は、分離光ビームB1の副走査方向の位置ずれ−ΔPに対応しており、ΔPを検出することができる。ビームスプリッタの入射光ビームの分離角が90°でない場合には、分離角に応じた位置ずれ量が簡単に導出できるので、同様にして時刻変化量ΔTd1又はΔTd2から、位置ずれ量を検出することができる。
このように、上述の例の光走査装置では、光ビーム検出手段31(図3)に入射した光ビームは、ビームスプリッタ29によって、2つの分離光ビームB1,B2に分離され、副走査方向に異なる位置に配置された2つの光検出器30−1,30−2によって(1つの光検出器30−2が他の光検出器30−1とは配置形態が異なっていることを利用して)、図6に示す検出方法に従って、その光ビームの副走査方向の位置を検出することができる。
光走査装置では、光源手段として、半導体レーザ、また、マルチビーム光源として(すなわち、複数の光ビームを構成する手段として)、例えば、複数の半導体レーザを近接して実装した半導体レーザアレイ(具体的には、例えば面発光レーザアレイ(VCSELアレイ))などが用いられる。このようなレーザ光源の偏光状態は、一般に略直線偏光である。その直線偏光が光走査装置内の光学系や反射部材を通過していく際に、その偏光状態はくずれ、一般的には楕円偏光となる。もしビームスプリッタに偏光依存性がある場合に、分離される光ビームの光量比をうまく調整しようとする場合には、ビームスプリッタに入射される偏光状態を考慮する必要があるという問題がある。したがって、ビームスプリッタに実質的に偏光依存性がないようにすれば、光源手段の偏光状態の影響を受けずに、分離する光量を設定することができる。
図11は、図3において、ビームスプリッタ29と一方の光検出器30−1との間に折り返しミラー33を配置した光ビーム検出手段を示す図である。このように折り返しミラー33を配置することにより、レイアウトの自由度が向上できる。すなわち、図3では2つの光検出器30−1,30−2は異なる方向を向いており、実際の光走査装置内に配置する上ではレイアウトが難しいのに対し,図11のように折り返しミラー33を配置することで、2つの光検出器30−1,30−2は同一の方向を向き、配置性を向上できる。
図12に別の例を示す。図11の例では、ビームスプリッタ29の光ビーム分離面から光検出器30−1,30−2までの距離は等しい。これは距離を異ならせてしまうと、光検出器上での光ビームプロファイルが厳密には変わってしまうためである。しかしながら、光ビームプロファイルによる検出精度が影響にならないような用途であれば、上記距離を変化させることも可能である。こうすることによって、図12のように2つの光検出器30−1,30−2を同一面上に配置させることができ、2つの光検出器30−1,30−2を一体化することが可能になる。
また、図13は、図3において、ビームスプリッタ29と2つの光検出器30−1,30−2との間に折り返しミラー33−1,33−2をそれぞれ配置した光ビーム検出手段を示す図である。この場合には、ビームスプリッタ29の光ビーム分離面から光検出器30−1,30−2までの距離を等しく保ったまま、2つの光検出器30−1,30−2の位置を近づけている。これにより,2つの光検出器30−1,30−2をフレキシブル基板等で接続したり(図示せず)、2つの光検出器30−1,30−2の位置が近づくことよるレイアウト自由度を得ることができる。
図14に別の例を示す。図14の例では、折り返しミラー33−1,33−2を挿入して光検出器30−1,30−2へ斜めに光ビームを入射させることにより、光検出器30−1,30−2を一体化している。このように、折り返しミラー33−1,33−2を挿入することで、ほとんど光量ロスをさせることなく、レイアウトの自由度を向上させ、小型な光ビーム検出手段を得ることができる。
また、光検出器30−1から得られる時刻Td1は、走査される光ビームの副走査方向の位置に依存しない。したがって、この主走査方向の位置を検出することで、主走査方向の書き込み開始位置を定める同期検知信号として利用することができる。
上記のように、光ビームの副走査方向の位置による出力信号(時刻)が変化しない光検出器として、受光部の走査開始側の縁部を副走査方向に対して平行とすることができる。また、このような配置の光検出器は、主走査方向の書き込み開始位置を定める同期検知用の光検出器としても利用できる。
換言すれば、一方の光検出部を他方の光検出部に対して異なる角度で配置することにより、その組み合わせから、光ビームの副走査方向の位置を検出することが可能になる。
より好ましくは(より正確には)、2つの光検出器のうち一方の光検出器の受光部の光ビームを検出する側の縁部(具体的には、例えば、受光部の走査開始側の縁部)を、他方の光検出器の受光部の光ビームを検出する側の縁部(具体的には、例えば、受光部の走査開始側の縁部)と所定の角度をなして配置することによって、光ビームの副走査方向の位置を検出することが可能になる。
配置形態が異なる光検出器として、同一の光検出器を異なるレイアウトに配置して、上記2つ出力信号を得ることもできるし、異なる光検出器を配置して上記2つの出力信号を得ることもできる。異なる光検出器とは、受光部が同一でも光検出器としては異なる場合(図9)や、受光部の形状さえ異なる場合(図10)を指す。しかしながら、同一の光検出器を用いる方が、光検出器の特性が等しいことから、検出精度や制御回路を考えたりする上でも、取り扱いが容易である。
また、図15,図16は、2分割の受光部を持つ光検出器の例を示す図である。図16には、隣接する2分割の受光部を持つ光検出器67−1,67−2の例が示されている。このような光検出器は、2分割フォトダイオードなどと呼ばれ、図4に示した受光部32−1などに比べて高精度な検出が可能であるので、必要に応じてこのような光検出器を用いることもできる。図15には、このときのタイミングチャートが示されている。
図15,図16を参照すると、光検出器67−1から得られる出力信号としては、隣接した受光部によって連続する2つの信号が得られ、その立ち下がりの時刻をTd1,Td3としたとき、この光検出器67−1からはその中心の時刻に相当する(ある遅延時間を考慮して)Td13を得ることができる。例えば、受光部を通過する光ビームの強度や大きさの影響が懸念される立ち下がり時間を、このように平均値として出力することにより、その影響を抑え、高精度な検出ができる。同様に、光検出器67−2からは時刻Td24が得られるので、その差分ΔTdが、光検出器67−2を通過する光ビームの副走査方向の位置の変化に相当する。
図17は、本発明の光走査装置の別の例を示す図である。すなわち、図17には、光ビームの位置を補正する位置補正手段50を備えた光走査装置の例が示されている。なお、図17において、図2と同じ箇所には同じ符号を付している。図17を参照すると、位置補正手段50は、光偏向手段25と走査結像光学系28との間に設けられており、光ビーム検出手段31により検出された光ビームの副走査方向の位置に基づき、有効画像形成領域へ導かれる光ビームの副走査方向の位置を補正する機能を有している。なお、位置補正手段50の配置位置は、図17の位置に限定されるものではなく、光源手段20から被走査面の間の任意の位置に配置することができる。
図18は、位置補正手段50の具体例としての液晶偏向素子51を示す図である。液晶偏向素子51は、液晶の光学効果によって光ビームを偏向する素子であり、入射された光ビームを副走査方向に偏向することができる。
図19は、液晶偏向素子51の構成,動作を説明するための図である。図19を参照すると、液晶偏向素子51は、相対向して平行に配置された透明基板52と、透明基板52の相対向する面側に一体に配置された一対の透明電極53と、透明電極53の相対向する面側に一体に配置された一対の配向膜54と、一対の配向膜54間を所定の間隔に保つスペーサ55と、配向膜54とスペーサ55とで形成される隙間に充填される液晶層56とからなり、駆動回路57から電圧が印加される。
このような構成では、光ビーム検出手段31により検出された光ビームの副走査方向の位置に基づいて、駆動回路57に与える印加電圧を制御することにより、所望の副走査方向の位置へ補正することができる。
このように、本発明では、前述したように、光ビーム検出手段31は、例えば配置形態が互いに異なる2つの光検出器を用いることにより、光ビームの副走査方向の位置を検出することができる。そして、本発明では、図17に示すように、光走査装置は、位置補正手段50(具体的には、例えば、図19に示すような液晶偏向素子51)を用いて、光ビーム検出手段31により検出された光ビームの副走査方向の位置に基づいて液晶偏向素子51を制御することにより、光ビームを所望の位置へ補正することができる。
また、図20,図21には、位置補正手段50の他の例が示されている。
すなわち、図20は、ガラス平板58の回転による光ビームのシフトの例を示す図である。図20を参照すると、入射した光ビームは、ガラス平板58の回転角に応じて、平行シフトさせることができる。すなわち、ガラス平板58は、光ビーム検出手段31により検出された光ビームの副走査方向の位置に基づいて、ガラス平板回転手段(図示しない)を制御することによって、所定の角度だけ回転し、これにより、光ビームを所望の副走査方向の位置へ補正することができる。
また、図21は、ミラー59の回転による光ビームの偏向の例を示す図である。入射した光ビームは、ミラー59の回転角に応じて、偏向させることができる。すなわち、ミラー59は、光ビーム検出手段31により検出された光ビームの副走査方向の位置に基づいて、ミラー回転手段(図示しない)を制御することによって、所定の角度だけ回転し、これにより、光ビームを所望の副走査方向の位置へ補正することができる。
上記のように、位置補正手段50には、図19に示した液晶偏向素子や図20や図21に示した光学素子などの光学部材を用いることができる。これらの光学部材は、図20や図21に示すその位置的な変化や、図19に示す液晶層のような物理的な変化を、各々の制御手段によって制御することによって、光ビームの位置を補正することができる。
また、図22は複数の光ビームを発生する光走査装置の例を示す図である。図22の例では、光源手段は2つの半導体レーザ20を備えており、それぞれの半導体レーザ20から出射された光ビームを略平行光に整形する2つのカップリングレンズ21を有している。そして、光ビームは、アパーチャ22によって光ビームの一部が遮光された後、間隔補正手段62を介して、シリンドリカルレンズ23によって副走査方向に収束され、光偏向手段25の偏向反射面近傍に主走査方向に長い線像として結像される。光偏向手段25が回転駆動されることにより、2つの光ビームは偏向走査され、2枚の走査結像レンズ26,27によって被走査面上に光スポットを形成する。走査結像光学系28を介して主走査方向の有効画像形成領域外に向かう光ビームの一部は、光ビーム検出手段31に入射され、光ビーム検出手段31によって光ビームの位置が検出される。なお、間隔補正手段62は、この位置に限定されるものではなく、光源手段と光偏向手段25との間の任意の位置に配置することができる。
図23は光源から複数の光ビーム(図23の例では、2つの光ビーム)が発生したときの光検出器での副走査方向間隔を検出する例を示す図である。図23の例では、2つの半導体レーザからの光ビームが主走査方向および副走査方向に所定の間隔で離れて発生するとき、この2つの光ビームをD1,D2とする。光偏向手段25によって走査された2つの光ビームD1,D2は、各々光ビーム検出手段31に入射される。そして、2つの光ビームをD1,D2は、ビームスプリッタ29によってそれぞれ2つの分離光ビームに分離される。すなわち、光ビームD1は2つの分離光ビームD1−1,D1−2に分離され、光ビームD2は2つの分離光ビームD2−1,D2−2に分離される。2つの光検出器60−1,60−2は配置形態を異にしており、一方の分離光D1−1,D2−1は光検出器60−1で検出され、また、他方の分離光D1−2,D2−2は光検出器60−2で検出される。
図24は、図23のように光検出器で光ビームが検出されるときのタイミングチャートの例を示す図である。光検出器60−1から得られる出力信号は、副走査方向に平行な受光部61−1の走査開始側の縁部を分離光ビームD1−1およびD2−1が通過したときに立ち下がる。このときの時刻差Tmは2つの光ビームD1とD2の主走査方向の間隔に相当する。また、光検出器60−2から得られる出力信号は、受光部61−1に対して傾いた受光部61−2の走査開始側の縁部を分離光ビームD1−2およびD2−2が通過したときに立ち下がる。このとき、D1−1からの立ち下がりとD1−2からの立ち下がりの時刻差Ts1は光ビームD1の副走査方向の位置に相当し、D2−1からの立ち下がりとD2−2からの立ち下がりの時刻差Ts2は光ビームD2の副走査方向の位置に相当する。すなわち、この差分Ts=Ts2−Ts1が2つの光ビームD1とD2の副走査方向の間隔に相当する。なお、この例においては、光検出器60−2からの出力信号は、遅延回路により適当に遅延されている。
図23,図24に示すようにして、光源手段から発生された複数の光ビームの間隔を検出することができる。
そして、図24によって検出した複数の光ビームの間隔に基づいて、間隔補正手段62を用いて光ビームの位置を補正することで、所望の複数の光ビームの間隔を補正することができる。
図25は、間隔補正手段62の一例を示す図であり、図25の例では、間隔補正手段62は楔形状プリズムとなっている。楔形状プリズム63は、楔状(台形状)をしていて、台座64に保持されている。例えば、符号O−Oをカップリングレンズ21の光軸とすると、略光軸O−O回りに矢印65で示すγ方向に楔形状プリズム63を回動することにより、入射する光ビームを矢印66で示すように最大偏向角度φの範囲で偏向することができ、結果として被走査面上のビームスポットの位置を補正することができる。すなわち、光ビーム検出手段31により検出された複数の光ビームの間隔に基づいて、楔形状プリズム回動手段(図示しない)によって楔形状プリズム63を制御することによって、光ビームの位置を補正し、所望の複数の光ビームの間隔に補正することができる。
上記のように、間隔補正手段62として、図25に示すような光学部材を用いることができる。図25の光学部材は、その位置的な変化を、所定の制御手段によって制御することによって、光ビームの位置を補正し、複数の光ビームの間隔を補正することができる。また、間隔補正手段62として、図19に示したような光学部材を用いることもできる。図19に示した光学部材では、液晶層のような物理的な変化を、所定の制御手段によって制御することによって、光ビームの位置を補正し、複数の光ビームの間隔を補正することができる。
また、光ビーム検出手段31に入射する光ビームには、図2に示すように走査結像光学系28を介した光ビームを用いることもできるし、走査結象光学系28を介さずに光偏向手段25によって偏向走査された光ビームを直接用いることもできる。しかしながら、後者では、走査結象光学系28に起因する光ビームの位置の変化を含まない。また、走査結象光学系28を介していないので、光偏向手段25で偏向走査された光ビームを光検出器に導くためのある程度の結像機能を分離光学系に持たせる必要が生じてしまう。そのために、光ビーム検出手段31に入射する光ビームには、走査結象光学系28を介した光ビームを用いることが望ましい。
また、光ビーム検出手段31に入射する光ビームには、図2に示すように有効画像形成領域外の光ビームを用いることもできるし、有効画像形成領域内の光ビームを用いることもできる。しかしながら、後者の場合には、有効画像形成領域を走査するのを止め、光ビーム検出手段13を有効画像形成領域を走査する光ビームが検出できる位置に移動させる必要があり、その移動機構が煩雑となる。一方、有効画像形成領域外の光ビームであれば、有効画像形成領域内の光走査時に、その領域外の光ビームを用いることで、リアルタイムに光ビームの位置を検出することができる。
また、前述したように、光ビーム検出手段31に入射する光ビームに対して、光検出器30に入射する分離光ビームの光出力は小さくなり、最大でも1/2となる。したがって、有効画像領域外の光ビームを用いるときには、光ビーム検出手段で光ビームを検出する時のみ、光ビームの発光出力を光検出器の入射エネルギー特性や感度に合わせて調整することが可能となり、検出精度を向上させることができる。
また、光ビーム検出手段31は、主走査方向の書き込み開始位置を定める同期検知手段としても用いることができる。
また、図26は、主走査方向に複数の光ビーム検出手段が設けられている光走査装置を示す図である。図26の例では、2つの光ビーム検出手段31を有効画像形成領域外の両端に設けた場合が示されている。もちろん、2つの光ビーム検出手段31を有効画像形成領域内に設けることも可能である。このように、光ビーム検出手段を主走査方向に複数設けることにより、走査線傾きや走査線曲がりといった走査線に関する特性を検出することができ、高精度な検出が可能となる。また、各色に対応して両端での時刻差を検出する場合には、各色毎の有効画像領域幅が同一になるように、光源装置からの光ビームの駆動クロック周波数を調整することが可能である。
上述した例では、画像形成装置がレーザプリンタ100の場合について説明したが、画像形成装置は、レーザプリンタに限定されるものではなく、任意の画像形成装置に適用可能である。すなわち、本発明は、光走査装置900を備えた画像形成装置であれば、大型化及び高コスト化を招くことなく、高精細の画像を高速で形成することが可能となる。
また、本発明は、カラー画像を形成するカラー画像形成装置にも適用可能であり、この場合、カラー画像に対応した光走査装置を用いることにより、大型化及び高コスト化を招くことなく、高精細の画像を高速で形成することが可能となる。
具体的に、画像形成装置は、カラー画像に対応し、画像情報毎に感光ドラムを備えるタンデムカラー機であっても良い。図27には、図22に示した2つの光ビームを備えた光走査装置を光偏向手段25を共通にして対向配置することにより、計4つの光ビームがYMCK各色毎に設けられた感光ドラム上を走査できるタンデムカラー機用の光走査装置が示されている。なお、実際の画像形成装置内では、前記走査結像レンズ26または27と被走査面との間に折り返しミラーを挿入して、各光ビームを対応する感光体ドラムへ導いているが、ここでは折り返しミラーを省略して図示している。
また、図28は、図26の光走査装置において光源手段20をマルチビーム光源に置き換えたものであり、この場合も図27の場合と同様に、4つの光ビームがYMCK各色毎に設けられた感光ドラム上を走査できるタンデムカラー機用の光走査装置として構成されている。図28の例では、さらに、光ビーム検出手段31も、有効画像形成領域外の両端に設けられている。
なお、図27に示す光走査装置において、各シングルビーム光源に代えて、2つの発光点をもつマルチビーム光源を用いることにより、計8本の光ビームを光偏向手段25に向けて出射させ、各色の感光体ドラムに2本ずつ走査させることができる。また、4つの発光点を持つレーザアレイ光源を用いることにより、計16本の光ビームを光偏向手段25に向けて出射させ、各色の感光体ドラムに4本ずつ走査させることができる。これにより、更に高速な画像形成装置を実現することができる。
上述したように、本発明では、光源手段から発生した光ビームを光偏向手段によって偏向走査し、走査結像光学系によって被走査面上に結像させる光走査装置であって、前記光ビームの位置を検出するための光ビーム検出手段を備え、前記光ビーム検出手段は、前記光ビームを副走査方向に2つの分離光ビームに分離するビームスプリッタと、副走査方向に異なる位置に配置された2つの光検出器とを有し、前記2つの光検出器のうち、一方の光検出器の受光部の光ビームを検出する側の縁部(具体的には、例えば、受光部の走査開始側の縁部)は、他方の光検出器の受光部の光ビームを検出する側の縁部(具体的には、例えば、受光部の走査開始側の縁部)と所定の角度をなして配置されている。このように、2つの光検出器を副走査方向に異なる位置に配置しているので、主走査方向に大型化することなく、光ビームの位置を検出することができ、また光検出器には、特殊な形状のものを用いる必要がなく、安価なもので良い。そして、2つの光検出器うち、一方の光検出器の受光部の光ビームを検出する側の縁部(具体的には、例えば、受光部の走査開始側の縁部)は、他方の光検出器の受光部の光ビームを検出する側の縁部(具体的には、例えば、受光部の走査開始側の縁部)と所定の角度をなして配置しているので、容易な仕方で、光ビームの副走査方向の位置を検出することが可能になり、また、副走査方向の光ビーム間隔を検出することが可能になる。
また、本発明の光走査装置において、前記ビームスプリッタはほぼ1:1の光量比で光ビームを分離しているので、各光検出器へ入射できる光量をほぼ等しくすることができ、より安定した検出が可能になる。
また、本発明の光走査装置において、前記ビームスプリッタは実質的に偏光依存性がないので、光検出器へ入射する光ビームの偏光状態に依存した、分離される光量の変化がなく、より安定した検出が可能になる。
また、本発明の光走査装置において、前記ビームスプリッタと、少なくとも一方の光検出器との間に、折り返しミラーを配置しているので、光量ロスを抑えつつ、レイアウト自由度を向上させることができる。
また、本発明の光走査装置において、前記2つの光検出器は一体化されているので、部品点数の削減、しいては低コスト化が期待できる。
また、本発明の光走査装置において、前記2つの光検出器を、同一の形状および構造のものとすることで、各光検出器の特性を同じにできることから、検出精度や制御回路を構築する上での取り扱いが容易であり、安定した検出が可能となる。
また、本発明の光走査装置において、前記2つの光検出器のうちの一方の光検出器は、受光部の光ビームを検出する側の縁部が副走査方向と平行に配置されていることで、光ビームの副走査方向の位置による出力信号(時刻)が変化しないので、基準信号として用いることができる。また、同期検知用の光検出器として利用することができる。
また、本発明の光走査装置において、前記光ビーム検出手段が、光ビームの副走査方向位置を検出する場合、高精細化,カラー化に適応する画像形成装置のための光走査装置を提供することができる。すなわち、配置形態の異なる光検出器を用いた光ビーム検出手段を用いることで、特に副走査方向の光ビーム位置を検出することができ、高精細化,カラー化に適応する画像形成装置のための光走査装置を提供することができる。
また、上記光走査装置において、前記光走査装置は、前記光ビーム検出手段によって検出された光ビームの副走査方向位置に基づき、光ビームの位置を補正する位置補正手段を備えており、位置補正手段でフィードバックをかけることにより、特に、書き込み位置,色ずれを補正することができ、高精細化,カラー化に適応する画像形成装置のための光走査装置を提供することができる。
上記光走査装置において、前記位置補正手段が、光源手段から被走査面に至る光路中に配置された少なくとも1つの光学部材と、前記光学部材の位置的変化または物理的変化を制御する制御機構とを備えている場合、パッシブな光学部材の位置的変化や、アクティブな光学部材の物理的変化を制御する制御機構を設けることにより、光ビームの位置を補正することが可能となる。
また、本発明の光走査装置において、前記光ビーム検出手段が、光源手段から発生した複数の光ビームの間隔を検出する場合、高精細化,高速化に適応する画像形成装置のための光走査装置を提供することができる。すなわち、配置形態の異なる光検出器を用いた光ビーム検出手段を用いることで、特に副走査方向の光ビーム間隔を検出することができ、高精細化,高速化に適応する画像形成装置のための光走査装置を提供することができる。
また、上記光走査装置において、前記光走査装置が、前記光ビーム検出手段によって検出された複数の光ビームの間隔に基づき、複数の光ビームの間隔を補正する間隔補正手段を備えている場合、間隔補正手段でフィードバックをかけることにより、特に走査線ピッチを補正することができ、高精細化,高速化に適応する画像形成装置のための光走査装置を提供することができる。
上記光走査装置において、前記間隔補正手段が、前記光源手段から前記光偏向手段に至る光路中に配置された少なくとも1つの光学部材と、前記光学部材の位置的変化または物理的変化を制御する制御機構とを備えている場合、パッシブな光学部材の位置的変化や、アクティブな光学部材の物理的変化を制御する制御機構を設けることにより、光ビームの位置を補正することが可能となる。また、間隔補正手段を光偏向手段の前に配置することで、間隔補正手段に小型な光学部材を用いることが可能となる。
また、本発明の光走査装置において、前記光ビーム検出手段には、走査結像光学系を介した光ビームが入射するようになっている場合には、走査結像光学系に起因する光ビームの位置まで含めることで、実際に有効画像形成領域内で発生している光ビームの位置を検出することが可能となる。また走査結像光学系を介することで、光ビーム検出手段の分離光学系にはビーム分離効果を持たせればよく、構成を容易にすることができる。
また、本発明の光走査装置において、前記光ビーム検出手段には、有効画像形成領域外の光ビームが入射するようになっている場合には、前記光ビーム検出手段に入射する光ビームは、有効画像形成領域外の光ビームであることにより、リアルタイムでの光ビームの位置の検出が可能になり、より高精度なフィードバック制御が可能となる。また、検出するのに必要な画像形成装置のダウンタイムが不必要となる。
また、上記の光走査装置では、前記光ビーム検出手段で光ビームを検出する時のみ、光ビームの出力を調整することができ、この場合、有効画像形成領域に影響を与えることなく、光ビームの発光出力を、光検出器の入射エネルギー特性や感度に合わせて調整することが可能となり、検出精度を向上させることができる。
また、本発明の光走査装置において、前記光ビーム検出手段が、主走査方向に複数設けられている場合、走査線傾きや走査線曲がりといった走査線に関する特性を検出することができ、高精度な検出が可能である。また補正手段を備えれば、フィードバック制御により、より高精細な画像形成装置を提供することができる。また、各色毎の有効画像領域幅が同一になるように、光源装置からの光ビームの駆動クロック周波数を調整することによる全幅倍率誤差を低減することが可能となる。
また、本発明の光走査装置において、前記光ビーム検出手段に、主走査方向の書き込み開始位置を定める同期検知手段の機能も持たせることで、検出手段が一体化でき、光走査装置の小型化,低コスト化を実現できる。
また、本発明の光走査装置が用いられる場合には、高精細化,高速化に適応する画像形成装置を提供できる。
また、本発明の光走査装置が用いられる場合には、高精細化,高速化,かつカラー化に適応する画像形成装置を提供できる。