JP4972880B2 - 非水電解質二次電池用負極及びその製造方法、並びに非水電解質二次電池 - Google Patents
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Description
(1)元素Zは、B、C及びNよりなる群の中から選択される少なくとも1種の元素である。
(2)元素MはSiと元素Z以外の周期表2族、4族、8族、9族、10族、11族、13族、14族、15族、及び16族から選ばれる少なくとも1種の元素である。
(3)xは、Siに最も近い組成で平衡的に存在する化合物SiaZp(式中a、pは整数)のZ濃度(p/(a+p))に対して、下記式で算出されるZ濃度比Q(Z)が0.10〜0.95となる値である。
Q(Z)=[x/(1+x)]/[p/(a+p)]
(4)yは、0≦y≦0.50の範囲の数である。
(1) 電解液との反応に伴う不可逆容量が増加し、正極活物質中のリチウムを消費し、結果として電池容量が低下する。
(2) リチウムの挿入・脱離による膨張・収縮に伴うSi微粉化や集電体からの剥離が生じ、サイクル特性が悪化する。
(3) サイクル中に電解液との反応により、充放電可能な活物質量が減少し、サイクル特性が悪化する。
(4) サイクル中にリチウムの挿入による電極膨張が蓄積し、電池体積の増加、つまり体積当たりの電池容量の低下を招く。
即ち、本発明は、放電容量が高く、初期及びサイクル中の充放電効率が高く、サイクル特性に優れ、サイクル後の電極膨張が抑制された非水電解質二次電池用負極及びその製造方法と、この非水電解質二次電池用負極を用いた非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
(i) B、C、及びNよりなる群の中から選択される少なくとも1種の元素Zを、
(ii) 非平衡的に特定範囲の濃度で、
存在させると、Siに最も近い組成で平衡的に存在する化合物SiaZp(式中a,pは整数)等の形成がほとんど無いか、又は、形成されても非常に少ないものとなり、後述するSiの活量を効果的に低下させ、電解液との反応性を抑制し、放電容量が高く、初期及びサイクル中の充放電効率が高く、サイクル特性に優れ、サイクル後の電極膨張が抑制された高性能の非水電解質二次電池を安定して効率的に実現し得ることを見出し、本発明を完成させた。
一般に、活量とは、一種の熱力学濃度である。物質量n1、n2、、、、、からなる多成分系について、成分iの化学ポテンシャルをμi、純物質の化学ポテンシャルをμi 0とすると、
μi−μi 0=RTlog ai
で定義されるaiを活量と呼ぶ。
また、活量aiと濃度ciの比γi
ai/ci=γi
を活量係数と呼ぶ。
(1)元素Zは、B、C及びNよりなる群の中から選択される少なくとも1種の元素である。
(2)元素MはSiと元素Z以外の周期表2族、4族、8族、9族、10族、11族、13族、14族、15族、及び16族から選ばれる少なくとも1種の元素である。
(3)xは、Siに最も近い組成で平衡的に存在する化合物SiaZp(式中a、pは整数)のZ濃度(p/(a+p))に対して、下記式で算出されるZ濃度比Q(Z)が0.10〜0.95となる値である。
Q(Z)=[x/(1+x)]/[p/(a+p)]
(4)yは、0≦y≦0.50の範囲の数である。
ここで、充放電を行った後とは、電池を組み立てて最初の充放電後でも良いし、複数の充放電サイクルを終えた後でも良く、いずれの場合も上記のIRsc値を得ることを特徴とする。
ラマン分光器(例えば、日本分光社製「ラマン分光器」)を用い、本発明の非水電解質二次電池用負極を測定セルにセットし、セル内のサンプル表面にアルゴンイオンレーザー光を照射しながら測定を行う。測定したラマンスペクトルのバックグラウンド補正を行うことで、ラマンRC値、RSC値、RS値を求める。なお、バックグラウンド補正は、ピーク終始点を直線で結び、バックグラウンドを求め、その値をピーク強度から差し引くことで行う。
ここでラマン測定条件は次の通りであり、スムージング処理は、コンボリューション15ポイントの単純平均とする。
アルゴンイオンレーザー波長:514.5nm
試料上のレーザーパワー:15〜40mW
分解能:10〜20cm−1
測定範囲:200cm−1〜1900cm−1
1300cm−1〜1600cm−1付近に現れるピークcのピーク強度Ic、300cm−1〜500cm−1付近に現れるピークasのピーク強度Iasを測定し、その強度比RC(RC=Ic/Ias)を算出し、薄膜負極のラマンRC値と定義する。
ここで、ピークcとピークasは、それぞれ炭素とシリコン由来によるピークと考えられ、従って、ラマンRC値は炭素の量を反映したものであり、ラマンRC値が2.0以下であるということは、炭素が殆ど検出されないことを意味する。
650cm−1〜850cm−1付近に現れるピークscのピーク強度Isc、300cm−1〜500cm−1付近に現れるピークasのピーク強度Iasを測定し、その強度比RSC(RSC=Isc/Ias)を算出し、薄膜負極のラマンRSC値と定義する。
ここで、ピークscとピークasは、それぞれSiCとシリコン由来によるピークと考えられ、従ってラマンRSC値はSiCの量を反映したものであり、ラマンRSC値が0.25以下であるということは、SiCが殆ど検出されないことを意味する。
520cm−1の強度Is、300cm−1〜500cm−1付近に現れるピークasのピーク強度Iasを測定し、その強度比RS(RS=Is/Ias)を算出し、薄膜負極のラマンRS値と定義する。
ラマンRS値は、Siの状態を反映したものである。
赤外分光光度計(例えば、サーモエレクトロン社製「Magna560」)を用い、充放電を行った後の非水電解質二次電池用負極の活物質薄膜を集電体から剥離し、測定セルにセットし、透過法により測定を行う。測定は、窓材がダイヤモンド製の透過測定用サンプルフォルダーを用い、不活性雰囲気下にて行う。測定した赤外線吸収スペクトルのバックグラウンド補正を行うことで、IRsc値を求める。なお、バックグラウンド補正は、2000〜4000cm−1の範囲における最小値を結んだ直線を延長し、バックグラウンドを求め、その値を各強度から差し引くことで行う。
前述記載の方法を用いる。
700cm−1〜1000cm−1付近に現れるピークsnのピーク強度Isn、300cm−1〜500cm−1付近に現れるピークasのピーク強度Iasを測定し、その強度比RSN(RSN=Isn/Ias)を算出し、薄膜負極のラマンRSN値と定義する。
ここで、ピークsnとピークasは、それぞれ窒化珪素とシリコン由来によるピークと考えられ、従ってラマンRSN値は窒化珪素の量を反映したものであり、ラマンRSN値が0.9以下であるということは、窒化珪素が殆ど検出されないことを意味する。
X線回折測定における活物質薄膜のXIsz値は、例えば、本発明の薄膜負極の活物質薄膜側を照射面にセットし、X線回折装置(例えば、リガク社製「X線回折装置」)を用いて測定することができ、測定条件については後述の実施例において示す通りである。
XIsz値の定義は次の通りである。
SiaZp等の平衡的に存在する化合物のメインピークの角度のピーク強度Iszと、2θが28.4度のピーク強度Isを測定し、その強度比XIsz(XIsz=Isz/Is)を算出し、活物質薄膜のXIszと定義する。
(1)元素Zは、B、C及びNよりなる群の中から選択される少なくとも1種の元素である。
(2)元素MはSiと元素Z以外の周期表2族、4族、8族、9族、10族、11族、13族、14族、15族、及び16族から選ばれる少なくとも1種の元素である。
(3)xは、Siに最も近い組成で平衡的に存在する化合物SiaZp(式中a、pは整数)のZ濃度(p/(a+p))に対して、下記式で算出されるZ濃度比Q(Z)が0.10〜0.95となる値である。
Q(Z)=[x/(1+x)]/[p/(a+p)]
(4)yは、0≦y≦0.50の範囲の数である。
本発明の非水電解質二次電池電極用負極は、Si中に元素Zが非平衡的に存在した相の化合物を主成分とする活物質薄膜を有する非水電解質二次電池用負極であって、上記化合物が一般式SiZxMy(式中Z、M、x、yは下記条件の通り)で表されることを特徴とする非水電解質二次電池用負極である。
(1)元素Zは、B、C及びNよりなる群の中から選択される少なくとも1種の元素である。
(2)元素MはSiと元素Z以外の周期表2族、4族、8族、9族、10族、11族、13族、14族、15族、及び16族から選ばれる少なくとも1種の元素である。
(3)xは、Siに最も近い組成で平衡的に存在する化合物SiaZp(式中a、pは整数)のZ濃度(p/(a+p))に対して、下記式で算出されるZ濃度比Q(Z)が0.10〜0.95となる値である。
Q(Z)=[x/(1+x)]/[p/(a+p)]
(4)yは、0≦y≦0.50の範囲の数である。
本発明に係る活物質薄膜は、Si中に元素Zが非平衡的に存在した相の化合物であって、一般式SiZxMy(式中Z、M、x、yは下記条件の通り)で表される化合物を主成分とするものである。
(1)元素Zは、B、C及びNよりなる群の中から選択される少なくとも1種の元素である。
(2)元素MはSiと元素Z以外の周期表2族、4族、8族、9族、10族、11族、13族、14族、15族、及び16族から選ばれる少なくとも1種の元素である。
(3)xは、Siに最も近い組成で平衡的に存在する化合物SiaZp(式中a、pは整数)のZ濃度(p/(a+p))に対して、下記式で算出されるZ濃度比Q(Z)が0.10〜0.95となる値である。
Q(Z)=[x/(1+x)]/[p/(a+p)]
(4)yは、0≦y≦0.50の範囲の数である。
活物質薄膜の膜厚は、通常1μm以上、好ましくは3μm以上、また通常30μm以下、好ましくは20μm以下、更に好ましくは15μm以下である。活物質薄膜の膜厚がこの範囲を下回ると、本発明の薄膜負極の1枚当たりの容量が小さく、大容量の電池を得るには数多くの負極が必要となり、従って、併せて必要な正極、セパレータ、薄膜負極自体の集電体の総容積が大きくなり、電池容積当たりに充填できる負極活物質量が実質的に減少し、電池容量を大きくすることが困難になる。一方、この範囲を上回ると、充放電に伴う膨張・収縮で、活物質薄膜が集電体基板から剥離する虞があり、サイクル特性が悪化する可能性がある。
化合物SiZxMyにおける元素Zは、B、C及びNよりなる群の中から選択される少なくとも1種の元素であり、好ましくは、C及びN元素である。元素Zは、2種以上の複数の元素を同時に用いても良い。
なお、元素ZにB、C、Nを用いる理由は、
(i) Siよりも高融点化合物を形成しうる
且つ、
(ii) Siよりも共有結合半径が小さい
からである。
元素Mは、Siと元素Z以外の周期表2族、4族、8族、9族、10族、11族、13族、14族、15族、及び16族の元素から選ばれる元素の1種又は2以上であり、好ましくは、Cu、Ni、O元素であり、更に好ましくはO元素である。
活物質薄膜の組成において、SiZxMyのxは、Siに最も近い組成で平衡的に存在する化合物SiaZp(式中a、pは整数)のZ濃度(p/(a+p))に対して、下記式で算出されるZ濃度比Q(Z)が通常0.10以上、好ましくは0.15以上、更に好ましくは0.30以上、特に好ましくは0.40以上で、通常0.95以下、好ましくは0.85以下、更に好ましくは0.75以下、特に好ましくは0.60以下となる値である。
Q(Z)=[x/(1+x)]/[p/(a+p)]
ただし、元素ZがC以外の場合、y=0又はy≒0であることが好ましい。本発明において、y≒0とは、本発明に係る活物質薄膜の成膜工程等で元素Mが不可避的に含まれる場合をさし、例えば、yは0.08未満である。
元素ZがCの場合、前記Z濃度比Q(Z)(C濃度比Q(C)と称す場合がある。)は、通常0.10、好ましくは0.113以上、更に好ましくは0.182以上、また、通常0.824以下、好ましくは0.667以下である。元素ZがCの場合、Siに最も近い組成で平衡的に存在する化合物はSiCである。
元素ZがNの場合、前記Z濃度比Q(Z)(N濃度比Q(N)と称す場合がある。)は、通常0.15以上、好ましくは0.30以上、更に好ましくは0.40以上、通常0.85以下、好ましくは0.70以下、更に好ましくは0.60以下である。元素ZがNの場合、Siに最も近い組成で平衡的に存在する化合物はSiNである。
元素ZがBの場合、前記Z濃度比Q(Z)(B濃度比Q(B)と称す場合がある。)は、通常0.30以上、好ましくは0.40以上、更に好ましくは0.50以上、通常0.85以下、好ましくは0.70以下である。元素ZがBの場合、Siに最も近い組成で平衡的に存在する化合物はSiB3である。
活物質薄膜中のSi中の元素Zの存在状態は、前述したX線回折測定において、XIsz値が通常2.5以下、好ましくは2.0以下である。XIsz値がこの範囲以下であれば、元素ZがSi中に非平衡的に存在した相を主成分とし、SiaZp等の平衡的に存在する化合物は主成分でないと定義し、好ましい。XIsz値がこの範囲を上回る場合、即ち、SiaZp等の平衡的に存在する化合物の相が主成分となる場合には、Siの活量が低下せず、電解液との反応性を抑制できなくなりサイクル特性が悪化する虞がある。また、SiaZp等は導電性が低いために、活物質薄膜の導電性を悪化させ、リチウムのドープ、脱ドープが困難となり、充放電ができなくなる虞があり、好ましくない。XIsz値の下限値は通常0.00以上である。
活物質薄膜のSiの膜厚方向の重量濃度分布は、以下に記すEPMA測定において、Siの重量濃度の平均値に対する、最大値、又は最小値と平均値の差(絶対値)が通常40%以下、好ましくは30%以下、更に好ましくは25%以下である。最大値、又は最小値と平均値の差(絶対値)がこの範囲を上回ると、充放電に伴う膨張・収縮が局所的に起きるため、サイクルの進行に伴い膜厚方向で導電性が悪化する虞がある。最大値、又は最小値と平均値の差(絶対値)がこの範囲以下であれば、実質的に集電体から連続的に成膜されていることを意味し、好ましい。
薄膜負極を活物質薄膜側を上にして、活物質薄膜の断面が平坦になるように試料台に載せて、電子プローブマイクロアナライザー(JEOL社製「JXA−8100」)を用い、集電体から活物質薄膜表面までの元素の分析を行い、測定した元素の総和を100%に換算し直し、Siの膜厚方向の重量濃度分布を求める。
化合物SiZxMyにおける元素Zは、例えば、原子、若しくは分子、或いはクラスター等、1μm以下の大きさのレベルで存在する。元素Zの分布状態は、好ましくは、活物質薄膜中の膜厚方向、及び、面内方向(膜厚方向に対して垂直な方向)に均一に分布しており、更に好ましくは、活物質薄膜の面内方向に均一に分布していて、且つ、活物質薄膜の膜厚方向において表面に向かって元素Zの濃度勾配が高くなるように傾斜している。元素Zの分布が活物質薄膜の面内方向において不均一で、局所的に存在している場合、Siの充放電に伴う膨張・収縮が元素Zの存在しないSi部分で集中的に起きるため、サイクルの進行に伴い導電性が悪化する虞がある。元素Zの分散状態は、後述の実施例に示す如く、EPMA等で確認できる。
化合物SiZxMyにおける元素Mの活物質薄膜中の分布状態には特に制限はなく、均一に分布していても、均一に分布していなくても、どちらでも良い。
本発明の薄膜負極中に成膜された活物質薄膜の構造としては、例えば、柱状構造、層状構造等が挙げられる。
元素ZがCの場合、本発明の薄膜負極の活物質薄膜について、ラマン法により測定したラマンRC値は、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.0以下、特に好ましくは0.5以下である。ラマンRC値がこの範囲を上回ると、Siを含むことによる高容量化の効果が得られ難く、好ましい電池特性が得られ難い。ラマンRC値の下限値は測定上の関係から、通常0.0以上である。
本発明の薄膜負極の活物質薄膜について、X線回折により測定したXIsz値は、次の通りである。元素ZがCの場合、特に制限されないが、好ましくは1.20以下、更に好ましくは0.70以下である。元素ZがNの場合、好ましくは1.10以下、更に好ましくは1.00以下である。元素ZがBの場合、好ましくは0.90以下、更に好ましくは0.80以下である。XIsz値がこの範囲を上回る場合、即ち、元素ZがCの場合は炭化珪素、Nの場合は窒化珪素、Bの場合はホウ化珪素の生成が多い場合には、活物質の単位重量当たりの放電容量が小さくなる虞があり好ましくない。XIsz値の下限値は通常0.00以上である。
2θが35.7度のピーク強度Isz、28.4度のピーク強度Isを測定し、その強度比XIsz(XIsz=Isz/Is)を算出し、活物質薄膜のXIszと定義する。
ここで、2θが35.7度のピークはSiCに由来のピーク、28.4度のピークはシリコン由来のピークと考えられ、XIsz値が1.20以下であるということは、SiCが殆ど検出されないことを意味する。
2θが70.2度のピーク強度Isz、28.4度のピーク強度Isを測定し、その強度比XIsz(XIsz=Isz/Is)を算出し、活物質薄膜のXIszと定義する。
ここで、2θが27.1度のピークはSi3N4由来のピーク、28.4度のピークはシリコン由来のピークと考えられ、XIsz値が1.10以下であるということは、Si3N4が殆ど検出されないことを意味する。
2θが33.4度のピーク強度Isz、28.4度のピーク強度Isを測定し、その強度比XIsz(XIsz=Isz/Is)を算出し、活物質薄膜のXIszと定義する。
ここで、2θが33.4度のピークはSiB4又はSiB6由来のピーク、28.4度のピークはシリコン由来のピークと考えられ、XIsz値が0.90以下であるということは、SiB4又はSiB6が殆ど検出されないことを意味する。
元素ZがCの場合、充放電を行った後の本発明の薄膜負極の活物質薄膜について、赤外透過光分析により測定したIRsc値は、好ましくは0.9以上、より好ましくは1.1以上、特に好ましくは1.2以上である。IRsc値がこの範囲を下回ると、サイクル中にSiを含む活物質薄膜と電解液が反応し、実質的に充放電可能な活物質量が徐々に減少し、好ましいサイクル特性が得られ難い。IRsc値の上限値は3.0程度である。
以下、集電体について詳細に説明する。
集電体の材質としては、銅、ニッケル、ステンレス等が挙げられ、中でも薄膜に加工しやすく、安価な銅が好ましい。銅箔には、圧延法による圧延銅箔と、電解法による電解銅箔があり、どちらも集電体として用いることができる。銅箔の厚さが25μmよりも薄い場合、純銅よりも強度の高い銅合金(リン青銅、チタン銅、コルソン合金、Cu−Cr−Zr合金等)を用いることができる。
銅箔等よりなる集電体基板は、薄い方が薄い薄膜負極を製造することができ、同じ収納容積の電池容器内に、より広い表面積の薄膜負極を詰めることができる点で好ましいが、過度に薄いと、強度が不足し、電池製造時の捲回等で銅箔が切断する恐れがある。このため、銅箔等よりなる集電体基板は、10〜70μm程度の厚さであることが好ましい。銅箔の両面に活物質薄膜を形成する場合は、銅箔は更に薄い方が良いが、充電・放電に伴う活物質薄膜の膨張・収縮による銅箔の亀裂発生を回避する観点から、この場合において、銅箔の更に好ましい厚さは8〜35μmである。
集電体基板には、更に次のような物性が望まれる。
(1) 平均表面粗さ(Ra)
JISB0601−1994に記載の方法で規定される集電体基板の活物質薄膜形成面の平均表面粗さ(Ra)は、特に制限されないが、通常0.05μm以上、好ましくは0.1μm以上、特に好ましくは0.15μm以上であり、通常1.5μm以下、好ましくは1.3μm以下、特に好ましくは1.0μm以下である。
集電体基板の引張強度は、特に制限されないが、通常100N/mm2以上、好ましくは250N/mm2以上、更に好ましくは400N/mm2以上、特に好ましくは500N/mm2以上である。
集電体基板の0.2%耐力は、特に制限されないが、通常30N/mm2以上、好ましくは150N/mm2以上、特に好ましくは300N/mm2以上である。
本発明の薄膜負極の製造方法には特に制限はないが、例えば、以下に挙げる製造法などによって製造することができる。
蒸着源、スパッタ源、若しくは溶射源に、下記(i)〜(vii)のいずれか一つを用い、Siと元素Zと元素M(ただし、y=0又はy≒0のときは、Siと元素Z)を同時に、蒸着法、スパッタ法、及び溶射法のいずれか1以上の手法にて、前述の集電体基板上に1〜30μmの厚さ、好ましくは活物質薄膜の膜厚の項で記述した厚さに成膜する。
(i)Si、元素Z、及び元素Mの組成物(ただし、y=0又はy≒0のときはSi及び元素Zの組成物)
(ii)Si、元素Z、及び元素Mの混合物(ただし、y=0又はy≒0のときはSi及び元素Zの混合物)
(iii)Si、元素Z、及び元素Mそれぞれの単独体(各々の単独体は、それぞれの元素を含むガスでも良い。)(ただし、y=0又はy≒0のときはSi及び元素Zのそれぞれの単独体)
(iv)Si及び元素Zの組成物或いは混合物と、元素Mの単独体(Mを含むガスでも良い)
(v)Si、元素Z、及び元素Mを含むガス(ただし、y=0又はy≒0のときはSi及び元素Zを含むガス)
(vi)Siの単独体と、元素Z及び元素Mの組成物或いは混合物
(vii)Si及び元素Mの組成物或いは混合物と、元素Zの単独体(元素Zを含むガスでも良い)
これらSi、Z原料、M原料の形態は、例えば粉末状、顆粒状、ペレット状、塊状、板状等として用いられる。
A:スパッタリング
B:真空蒸着
C:CVD
D:イオンプレーティング
E:溶射法(フレーム溶射法、プラズマ溶射法)
の少なくとも1つによって形成され得る。
スパッタリングでは、減圧下で、プラズマを利用して上記原料よりなるターゲットから発せられた活物質材料を集電体基板に衝突、堆積させて薄膜を形成する。スパッタリングによると、形成した活物質薄膜と集電体基板との界面状態が良好であり、集電体に対する活物質薄膜の密着性も高い。
真空蒸着では、活物質となる上記原料を溶融・蒸発させて、集電体基板上に堆積させる。真空蒸着は、スパッタリングに比べて高い成膜速度で薄膜を形成できる。真空蒸着は、スパッタリングに比べて、所定膜厚の活物質薄膜の形成時間の短縮を図る観点から製造コスト面で有利に活用することができる。その具体的な方法としては、誘導加熱法、抵抗加熱法、電子ビーム加熱蒸着法などを挙げることができる。誘導加熱法では黒鉛等の蒸着坩堝を誘導電流により、抵抗加熱法では蒸着ボートなど通電した加熱電流により、電子ビーム加熱蒸着では電子ビームにより、それぞれ蒸着材料を加熱溶融し、蒸発させて成膜する。
CVDでは、活物質となる上記原料を気相化学反応により集電体基板上に堆積させる。一般にCVDは、反応室内の化合物気体をガス流入によって制御するために高純度で多様な材料が合成できる特徴を持っており、その具体的な方法としては、熱CVD、プラズマCVD、光CVD、cat−CVDなどを挙げることができる。熱CVDでは、蒸気圧の高いハロゲン化合物の原料ガスをキャリヤガスや反応ガスとともに、1000℃前後に加熱した反応容器内に導入し、熱化学反応を起こさせ薄膜を形成する。プラズマCVDは、熱エネルギーの代わりにプラズマを用いる。光CVDは、熱エネルギーの代わりに光エネルギーを用いる。cat−CVDは、触媒化学気相成長法のことであり、原料ガスと加熱触媒との接触分解反応を応用することにより薄膜を形成する。
イオンプレーティングでは、活物質となる上記原料を溶融・蒸発させ、プラズマ下で蒸発粒子をイオン化及び励起することで、集電体基板上に強固に成膜させる。具体的には、原料を溶融・蒸発させる方法としては、誘導加熱法、抵抗加熱法、電子ビーム加熱蒸着法等を挙げることができ、イオン化及び励起する方法としては、活性化反応蒸着法、多陰極熱電子照射法、高周波励起法、HCD法、クラスターイオンビーム法、マルチアーク法等を挙げることができる。また、前記原料を蒸発させる方法とイオン化及び励起する方法は適選組み合わせて行なうことができる。
溶射法では、活物質となる上記原料を加熱により溶融若しくは軟化させ、微粒子状にして加速し集電体基板上に粒子を凝固・堆積させる。その具体的な方法としては、フレーム溶射法、アーク溶射法、直流プラズマ溶射法、RFプラズマ溶射法、レーザー溶射法等を挙げることができる。
一般式SiZxMyにおいて、元素ZがCである場合の製造方法について以下に述べる。
蒸着源、スパッタ源、若しくは溶射源に、下記(i)〜(vii)のいずれか一つを用い、SiとCと元素M(ただし、y=0又はy≒0のときは、SiとC)を同時に、蒸着法、スパッタ法、及び溶射法のいずれか1以上の手法にて、前述の集電体基板上に1〜30μmの厚さ、好ましくは活物質薄膜の膜厚の項で記述した厚さに成膜する。
(i)Si、C、及び元素Mの組成物(ただし、y=0又はy≒0のときはSi及びCの組成物)
(ii)Si、C、及び元素Mの混合物(ただし、y=0又はy≒0のときはSi及びCの混合物)
(iii)Si、C、及び元素Mそれぞれの単独体(ただし、y=0又はy≒0のときはSi及びCのそれぞれの単独体)
(iv)Si及びCの組成物或いは混合物と、元素Mの単独体(Mを含むガスでも良い)
(v)Si、C、及び元素Mを含むガス(ただし、y=0又はy≒0のときはSi及びCを含むガス)
(vi)Si単独体と、C及び元素Mの組成物或いは混合物
(vii)Si及び元素Mの組成物或いは混合物と、C単独体
スパッタガスとしては、Ne、Ar、Kr、Xe等の不活性ガスが用いられる。中でも、アルゴンガスが、スパッタ効率などの点で好ましく用いられる。一般式SiCxMy中のM元素がOの場合、前記不活性ガス中にそれぞれ微量の酸素ガスを共存させることが製造上好ましい。通常、スパッタガス圧は0.05〜70Pa程度である。
真空蒸着の雰囲気としては、一般的に真空下が用いられる。また、一般式SiCxMy中の元素MがOの場合、それぞれ微量の酸素ガスを不活性ガスと一緒に導入しながら減圧にし、真空下で同時にSi/C/Mを形成することも可能である。
CVDで用いられる原料ガスは、元素Si源としてはSiH4、SiCl4等であり、元素C源としてはCH4、C2H6、C3H8等である。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
一般式SiZxMyにおいて、元素ZがCで元素MがOである場合の製造方法について以下に述べる。
蒸着源、スパッタ源、若しくは溶射源に、下記(I)〜(IV)のいずれか一つを用い、成膜ガス中(真空中で成膜する時は、残存ガス中)の酸素濃度が0.0001〜0.125%である雰囲気下にて、SiとCを同時に、蒸着法、スパッタ法、及び溶射法のいずれか1以上の手法にて、前述の集電体基板上に1〜30μmの厚さ、好ましくは活物質薄膜の膜厚の項で記述した厚さにする。
(I)Si、及びCの組成物
(II)Si、及びCの混合物
(III)Si、及びCそれぞれの単独体
(IV)Si、及びCを含むガス
これらSi、C原料の形態は、例えば粉末状、顆粒状、ペレット状、塊状、板状等として用いられる。また、酸素ガスは、Si、C成膜中に原料ガスとして共存させることが製造上好ましい。
一般式SiZxMyにおいて、元素ZがNで、y=0又はy≒0である場合の製造方法
について以下に述べる。
蒸着源、スパッタ源、若しくは溶射源に、下記(I)〜(IV)のいずれか一つを用い、成膜ガス中(真空中で成膜する時は、残存ガス中)の窒素濃度が1〜22%である雰囲気下にて、SiとNを同時に、蒸着法、スパッタ法、及び溶射法のいずれか1以上の手法にて、前述の集電体基板上に1〜30μmの厚さ、好ましくは活物質薄膜の膜厚の項で記述した厚さにする。
(I)Si単独体
(II)Siを含む組成物
(III)Siを含む混合物
(IV)Siを含むガス
本発明の非水電解質二次電池は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに電解質を備える非水電解質二次電池において、負極として本発明の薄膜負極ないし本発明の方法により製造された薄膜負極を用いたものである。
れらの導電剤のなかで、人造黒鉛、アセチレンブラックが特に好ましい。導電剤の添加量は、特に限定されないが、正極活物質材料に対して1〜50重量%が好ましく、特に1〜30重量%が好ましい。カーボンやグラファイトでは、正極活物質材料に対して2〜15重量%が特に好ましい。
電解液中のこれらの溶質の含有量は、0.2mol/L以上、特に0.5mol/L以上で、2mol/L以下、特に1.5mol/L以下であることが好ましい。
これらのうち、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネートが好ましく、特にビニレンカーボネートが好ましい。
これらは1種を単独で用いても、2種類以上を併用しても良い。
これらは1種を単独で用いても良く、2種類以上併用しても良い。
これらは1種を単独で用いても良く、2種類以上併用して用いても良い。
本発明の非水電解質二次電池の製造方法の一例を挙げると、外缶上に負極を乗せ、その上に電解液とセパレータを設け、更に負極と対向するように正極を乗せて、ガスケット及び封口板と共にかしめて電池を組み立てる方法が挙げられる。
ターゲット材として、SiとCの混合物(SiとCの面積比が大凡100対9の円板)を用いた。集電体基板として平均表面粗さ(Ra)が0.2μm、引張強度が280N/mm2、0.2%耐力が220N/mm2で、厚さが18μmである電解銅箔を用いた。直流スパッタ装置(島津製作所社製「HSM−52」)にて45分間活物質薄膜の成膜を行って、薄膜負極を得た。
集電体基板は水冷されたホルダーに取り付け、約25℃に維持し、チャンバーを予め4×10-4Paまで真空引き後、高純度アルゴンガスをチャンバー内に40sccm流し、メインバルブの開度を調整して1.6Paの雰囲気としてから、電力密度4.7W/cm2、堆積速度(成膜速度)約1.8nm/sec(0.108μm/分)で成膜を行った。このスパッタガスの酸素濃度は0.0010%であった。
薄膜形成前に、電解銅箔表面の酸化膜を除去する目的で、逆スパッタを行い基板表面のエッチングをした。
得られた薄膜負極の薄膜の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察から、成膜された薄膜の膜厚は5μmであった(Fig.1a,Fig.2a参照)。
下記の方法に従ってラマン測定にて薄膜のラマン値を求めたところ、RC=0.05、RSC=scピーク検出されず、RS=0.55であった。
下記の方法に従って薄膜のX線回折測定を行ったところ、SiCの明確なピークは検出されずXIsz=0.38であった。
X線光電子分光法測定としては、X線光電子分光器(アルバック・ファイ社製「ESCA」)を用い、薄膜負極の表面が平坦になるように試料台に載せ、アルミニウムのKα線をX線源とし、Arスパッタを行いながらデプスプロファイル測定を実施した。濃度一定になった深さ(例えば、200nm)での、Si2p(90〜110eV)とC1s(280〜300eV)とO1s(525〜545eV)のスペクトルを得た。得られたC1sのピークトップを284.5eVとして帯電補正し、Si2p、C1s及びO1sのスペクトルのピーク面積を求め、更に装置感度係数を掛けて、Si、C及びOの原子濃度をそれぞれ算出した。算出されたSiとCとOの原子濃度から、原始濃度比Si/C/O(Si原子濃度/C原子濃度/O原子濃度)を算出し、薄膜の組成値Si/C/Oと定義する。
ラマン分光器(日本分光社製「ラマン分光器」)を用い、薄膜負極を測定セルへセットし、測定はセル内のサンプル表面にアルゴンイオンレーザー光を照射させながらラマン測定を行った。
ラマン測定条件は次のとおりである。
アルゴンイオンレーザー波長:514.5nm
試料上のレーザーパワー:15〜40mW
分解能:10〜20cm-1
測定範囲:200cm-1〜1900cm-1
スムージング処理:単純平均、コンボリューション15ポイント
リガク社製「RINT2000PC」を用い、薄膜負極を測定セルへセットし、Out-of-Plane法にて、2θ=10〜70度の範囲でX線回析を行った。バックグラウンドの補正は、2θ=15〜20度付近と、40〜45度付近を直線で結び行った。
EPMAによる膜厚方向の重量濃度分布、又は薄膜断面の分布分析としては、電子プローブマイクロアナライザー(JEOL社製「JXA−8100」)を用い、樹脂包埋を行わずにミクロトームで断面作成した薄膜負極について、集電体から薄膜表面までの元素分析を行った。膜厚方向の重量濃度分布を求める時は、測定した元素の総和を100%に換算し直した値を用いて、Siの膜厚方向の重量濃度分布を求めた。
上記方法で作製した薄膜負極を10mmφに打ち抜き、110℃で真空乾燥した後、グローブボックスへ移し、アルゴン雰囲気下で、電解液とセパーレータと対極とを用いてコイン電池(リチウム二次電池)を作製した。電解液としてはエチレンカーボネート(EC)/ジエチルカーボネート(DEC)=3/7(重量比)の混合液を溶媒とした1mol/L−LiPF6電解液とを用いた。セパレータとしてポリエチレンセパレータとを用いた。対極としてリチウム金属対極を用いた。
1.23mA/cm2の電流密度でリチウム対極に対して10mVまで充電し、更に、10mVの一定電圧で電流値が0.123mAになるまで充電し、負極中にリチウムをドープした後、1.23mA/cm2の電流密度でリチウム対極に対して1.5Vまで放電を行なう充放電サイクルを5サイクル繰り返し、3〜5サイクル目の放電の平均値を放電容量とした。重量当りの放電容量とする場合は、活物質重量は負極重量から同面積に打ち抜いた銅箔の重量を差し引くことで求め、以下にの式で計算した。
放電容量(mAh/g)
=3〜5サイクル目の平均放電容量(mAh)/活物質重量(g)
活物質重量(g)=負極重量(g)−同面積の銅箔重量(g)
放電容量の測定時に、以下の式で計算した。
充放電効率(%)={初回放電容量(mAh)/初回充電容量(mAh)}×100
上述の放電容量の測定方法に従い、この充放電サイクルを50回繰り返し、以下の式でサイクル維持率(A)を計算した。
サイクル維持率(A)(%)
={50サイクル後の放電容量(mAh)/3〜5サイクルの平均放電容量
(mAh)}×100
上述のサイクル特性(A)の測定方法に従い、この充放電サイクルを50回繰り返し、以下の式で50サイクル時の充放電効率を計算した。
50サイクル時の充放電効率(%)
={50回時の放電容量(mAh)/50回時の充電容量(mAh)}×100
上述のサイクル特性(A)の測定後(50サイクル後)、放電状態のコイン電池をアルゴングローブボックス中で短絡させないように解体し、電極を取り出して、脱水したジメチルエーテル溶媒で洗浄、乾燥後、SEM観察にてサイクル後放電時の電極の厚み(銅箔除く)を測定した。電池作製前の電極の厚み(銅箔除く)を基準として、次式に基づいてサイクル後の電極膨張率を求めた。
サイクル後の電極膨張率(倍)=(サイクル後の電極厚み/充放電前の電極厚み)
赤外分光光度計(サーモエレクトロン社製「Magna560」)を用い、充放電を行った後の薄膜負極から活物質薄膜を剥離して測定セルにセットし、透過法により赤外透過光測定を行った。
活物質薄膜は、上記のサイクル特性(A)の測定後(50サイクル後)、放電状態のコイン電池をアルゴングローブボックス中で短絡させないように解体し、電極を取り出して、脱水したジメチルエーテル溶媒で洗浄、乾燥後、集電体銅箔から剥離して測定に用いた。
バックグラウンドの補正は、Fig.3に示すように、2000〜4000cm−1の範囲における最小値を結んだ直線を延長し、バックグラウンドを求め、その値を各強度から差し引くことで行った。
ターゲット材のSiとCの面積比を100対2に変えた以外は、実施例1と同様にして活物質薄膜を成膜して薄膜負極を作製した。この時、堆積速度は約2.3nm/secで40分間成膜した。
得られた薄膜負極の薄膜の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察から、成膜された薄膜の膜厚は5μmであった。
薄膜の組成分析をしたところ、薄膜中に元素Cは6原子%含有されており、SiC中の元素C濃度に対するC濃度比Q(C)は0.13に相当した。原子濃度比はSi/C/O=1.00/0.07/0.08であった。
薄膜のラマン値を求めたところ、RC=cピーク検出されず、RSC=scピーク検出されず、RS=0.45であった。
薄膜のX線回折測定を行ったところ、SiCの明確なピークは検出されずXIsz=0.15であった。
EPMAで薄膜中のSiの膜厚方向の重量濃度分布、及び、元素Cの分布を測定したところ、実施例1と同様にSiは実質的に集電体から連続に成膜されおり、且つ、Si薄膜中に元素Cは1μm以下の大きさで均一に分布していた。
この薄膜負極を用いて実施例1と同様にしてコイン電池の作製及び評価を行い、結果を表2に示した。
ターゲット材にSi粒子とC粒子の混合物を焼結したものを用いた以外は、実施例1と同様にして活物質薄膜を成膜して薄膜負極を作製した。この時、堆積速度は約1.7nm/secで45分間成膜した。
得られた薄膜負極の薄膜の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察から、成膜された薄膜の膜厚は5μmであった。
薄膜の組成分析をしたところ、薄膜中に元素Cは30原子%含有されており、SiC中の元素の濃度に対するC濃度比Q(C)は0.63に相当した。原子濃度比はSi/C/O=1.00/0.45/0.06であった。
薄膜のラマン値を求めたところ、RC=0.09、RSC=0.13、RS=0.59であった。
薄膜のX線回折測定を行ったところ、SiCの明確なピークは検出されずXIsz=0.60であった。
EPMAで薄膜中のSiの膜厚方向の重量濃度分布、及び、元素Cの分布を測定したところ、実施例1と同様にSiは実質的に集電体から連続に成膜されおり、且つ、Si薄膜中に元素Cは1μm以下の大きさで均一に分布していた。
この薄膜負極を用いて実施例1と同様にしてコイン電池の作製及び評価を行い、結果を表2に示した。
約20μmのSi粒子と黒鉛を重量比で8対2の割合で混合して、ペレットを作成し蒸着源とし、集電体基板として平均表面粗さ(Ra)が0.2μm、引張強度が280N/mm2、0.2%耐力が220N/mm2で、厚さが18μmである電解銅箔を用い、ULVAC社製「EX−400装置」にて電子ビーム加熱蒸着を行って、薄膜負極を作製した。この時、チャンバーを予め9×10-5Paまで真空引き後、エミッション電流60mAで、堆積速度約5nm/secで15分間成膜を行った。
得られた薄膜負極の薄膜の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察から、成膜された薄膜の膜厚は4μmであった。
薄膜の組成分析をしたところ、薄膜中に元素Cは18原子%含有されており、SiC中の元素C濃度に対するC濃度比Q(C)は0.43に相当した。原子濃度比はSi/C/O=1/0.28/0.26であった。
薄膜のラマン値を求めたところ、RC=0.10、RSC=0.15、RS=0.60であった。
薄膜のX線回折測定を行ったところ、SiCの明確なピークは検出されずXIsz=0.38であった。
EPMAで薄膜中のSiの膜厚方向の重量濃度分布、及び、元素Cの分布を測定したところ、実施例1と同様にSiは実質的に集電体から連続に成膜されおり、且つ、Si薄膜中に元素Cは1μm以下の大きさで均一に分布していた。
この薄膜負極を用いて実施例1と同様にしてコイン電池の作製及び評価を行い、結果を表2に示した。
成膜時の高純度アルゴンガス流量を90sccmとし、メインバルブの開度を調整して5.3Paの雰囲気とした以外は、実施例1と同様にして活物質薄膜を成膜して薄膜負極を作製した。この時、堆積速度は約1.5nm/secで50分間成膜した。
得られた薄膜負極の薄膜の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察から、成膜された薄膜の膜厚は5μmであった。
薄膜の組成分析をしたところ、薄膜中に元素Cは22原子%含有されており、SiC中の元素C濃度に対するC濃度比Q(C)は0.57に相当した。原子濃度比でSi/C/O=1/0.40/0.42であった。
薄膜のラマン値を求めたところ、RC=0.11、RSC=0.17、RS=0.68であった。
薄膜のX線回折測定を行ったところ、SiCの明確なピークは検出されずXIsz=0.73であった。
EPMAで薄膜中のSiの膜厚方向の重量濃度分布、及び、元素Cの分布を測定したところ、実施例1と同様にSiは実質的に集電体から連続に成膜されおり、且つ、Si薄膜中に元素Cは1μm以下の大きさで均一に分布していた。
この薄膜負極を用いて実施例1と同様にしてコイン電池の作製及び評価を行い、結果を表2に示した。
ターゲット材としてSiを用い、集電体基板として平均表面粗さ(Ra)が0.2μm、引張強度が280N/mm2、0.2%耐力が220N/mm2で、厚さが18μmである電解銅箔を用い、直流スパッタ装置(島津製作所社製「HSM−52」)にて28分間活物質薄膜の成膜を行って、薄膜負極を得た。
この時、集電体基板は水冷されたホルダーに取り付け、約25℃に維持し、チャンバーを予め4×10-4Paまで真空引き後、メインバルブの開度を調整しながら、チャンバー内に高純度窒素ガスを流して圧力を0.16Paにし、続いて高純度アルゴンガスを流して圧力を1.6Paの雰囲気としてから、電力密度7.1W/cm2、堆積速度(成膜速度)約4nm/sec(0.24μm/分)で成膜を行った。この時スパッタガスの窒素濃度は10%であった。
なお、薄膜形成前に、電解銅箔表面の酸化膜を除去する目的で、逆スパッタを行い基板表面のエッチングをした。
下記の方法に従ってXPSにて薄膜の組成分析をしたところ、薄膜中に元素Nは33原子%含有されており、SiN中の元素Nの濃度に対するN濃度比Q(N)は0.68に相当した。原子濃度比はSi/N/O=1.00/0.51/0.02であった。
実施例1におけると同様のラマン測定にて薄膜のラマン値を求めたところ、RSN=0.44、RS=0.72であった。
下記の方法に従って薄膜のX線回折測定を行ったところ、Si3N4等の明確なピークは検出されずXIsz=0.91であった。
実施例1と同様のEPMAで薄膜中のSiの膜厚方向の重量濃度分布を測定したところ、Fig.4bに示すように、Siの最大値、又は最小値と平均値の差(絶対値)が25%以内であり、Siは実質的に集電体から連続に成膜されていた。
薄膜中の元素Nの分布を測定したところ、実施例1の元素Cと同様にSi薄膜中に元素Nは1μm以下の大きさで均一に分布していた。
この薄膜負極を用いて実施例1と同様にしてコイン電池の作製及び評価を行い、結果を表2に示した。
X線光電子分光法測定としては、X線光電子分光器(アルバック・ファイ社製「ESCA」)を用い、薄膜負極の表面が平坦になるように試料台に載せ、アルミニウムのKα線をX線源とし、Arスパッタを行いながらデプスプロファイル測定を実施した。濃度一定になった深さ(例えば、200nm)での、Si2p(90〜110eV)とN1s(394〜414eV)とO1s(525〜545eV)のスペクトルを得た。不純物等として若干検出されるC1sのピークトップを284.5eVとして帯電補正し、Si2p、N1s、O1sのスペクトルのピーク面積を求め、更に装置感度係数を掛けて、Si、N、Oの原子濃度をそれぞれ算出した。得られたそのSiとNとOの原子濃度から、SiaZp基準の元素Z濃度、原子濃度比Si/N/O(Si原子濃度/N原子濃度/O原子濃度)を算出した。
X線回折測定としては、2θ=10〜90度の範囲を測定した以外は、実施例1と同じ方法で行った。バックグラウンドの補正は、2θ=10〜20度付近と、50〜70度付近を直線で結び行った。
チャンバー内に高純度窒素ガスを流した時の圧力を0.24Paに変えた以外は、実施例6と同様にして活物質薄膜を成膜して薄膜負極を作製した。この時、堆積速度は約3nm/secで30分間成膜した。スパッタガスの窒素濃度は15%であった。
得られた薄膜負極の薄膜の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察から、成膜された薄膜の膜厚は6μmであった。
薄膜の組成分析をしたところ、薄膜中に元素Nは41原子%含有されており、SiN中の元素N濃度に対するN濃度比Q(N)は0.82に相当した。原子濃度比はSi/N/O=1.00/0.70/0.02であった。
薄膜のラマン値を求めたところ、RSN=0.69、RS=0.79であった。また、薄膜のX線回折測定を行ったところ、Si3N4等の明確なピークは検出されずXIsz=0.94であった。
EPMAで薄膜中のSiの膜厚方向の重量濃度分布、及び、元素Nの分布を測定したところ、実施例6と同様にSiは実質的に集電体から連続に成膜されおり、且つ、Si薄膜中に元素Nは1μm以下の大きさで均一に分布していた。
この薄膜負極を用いて実施例1と同様にしてコイン電池の作製及び評価を行い、結果を表2に示した。
チャンバー内に高純度窒素ガスを流した時の圧力を0.08Paに変えた以外は、実施例6と同様にして活物質薄膜を成膜して薄膜負極を作製した。この時、堆積速度は約4nm/secで27分間成膜した。スパッタガスの窒素濃度は5%であった。
得られた薄膜負極の薄膜の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察から、成膜された薄膜の膜厚は6μmであった。
薄膜の組成分析をしたところ、薄膜中に元素Nは20原子%含有されており、SiN中の元素N濃度に対するN濃度比Q(N)は0.43に相当した。原子濃度比はSi/N/O=1.00/0.27/0.06であった。
薄膜のラマン値を求めたところ、RSN=0.17、RS=0.57であった。
薄膜のX線回折測定を行ったところ、Si3N4等の明確なピークは検出されずXIsz=0.94であった。
EPMAで薄膜中のSiの膜厚方向の重量濃度分布、及び、元素Nの分布を測定したところ、実施例1と同様にSiは実質的に集電体から連続に成膜されおり、且つ、Si薄膜中に元素Nは1μm以下の大きさで均一に分布していた。
この薄膜負極を用いて実施例1と同様にしてコイン電池の作製及び評価を行い、結果を表2に示した。
ターゲット材として、SiとNの混合物(Si円板上に、SiとSi3N4の面積比が大凡100対100となるように、Si3N4のチップを貼り付けたもの)を用い、チャンバー内に高純度アルゴンガスのみを流して圧力を1.6Paの雰囲気にした以外は、実施例6と同様にして活物質薄膜を成膜して薄膜負極を作製した。この時、堆積速度は約4nm/secで25分間成膜した。
得られた薄膜負極の薄膜の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察から、成膜された薄膜の膜厚は6μmであった。
薄膜の組成分析をしたところ、薄膜中に元素Nは20原子%含有されており、SiN中の元素N濃度に対するN濃度比Q(N)は0.42に相当した。原子濃度比はSi/N/O=1.00/0.26/0.06であった。
薄膜のラマン値を求めたところ、RSN=0.15、RS=0.55であった。
薄膜のX線回折測定を行ったところ、Si3N4等の明確なピークは検出されずXIsz=0.95であった。
EPMAで薄膜中のSiの膜厚方向の重量濃度分布、及び、元素Nの分布を測定したところ、実施例6と同様にSiは実質的に集電体から連続に成膜されおり、且つ、Si薄膜中に元素Nは1μm以下の大きさで均一に分布していた。
この薄膜負極を用いて実施例1と同様にしてコイン電池の作製及び評価を行い、結果を表2に示した。
ターゲット材として、SiとBの混合物(Si円板上に、SiとBの面積比が大凡100対8となるように、Bのチップを貼り付けたもの)を用い、チャンバー内に高純度アルゴンガスのみを流して圧力を1.6Paの雰囲気にした以外は、実施例6と同様にして活物質薄膜を成膜して薄膜負極を作製した。この時、堆積速度は約3nm/secで28分間成膜した。
得られた薄膜負極の薄膜の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察から、成膜された薄膜の膜厚は5μmであった(Fig.5a参照)。
実施例6と同様な方法で薄膜の組成分析をしたところ、薄膜中に元素Bは35原子%含有されており、SiB3中の元素Bの濃度に対するB濃度比Q(B)は0.47に相当した。原子濃度比はSi/B/O=1.00/0.54/0.02であった。
下記の方法に従って薄膜のX線回折測定を行ったところ、SiB4等の明確なピークは検出されずXIsz=0.46であった。
EPMAで薄膜中のSiの膜厚方向の重量濃度分布を測定したところ、Fig.5bに示すように、Siの最大値、又は最小値と平均値の差(絶対値)が25%以内であり、Siは実質的に集電体から連続に成膜されていた。
薄膜中の元素Bの分布を測定したところ、実施例1の元素Cと同様にSi薄膜中に元素Bは1μm以下の大きさで均一に分布していた。
この薄膜負極を用いて実施例1と同様にしてコイン電池の作製及び評価を行い、結果を表2に示した。
X線回折測定としては、2θ=10〜90度の範囲を測定した以外は、実施例1と同じ方法で行った。バックグラウンドの補正は、2θ=10〜20度付近と、60〜70度付近を直線で結び行った。
ターゲット材として、Si円板上に、SiとBの面積比が大凡100対10となるようにしたものを用いた以外は、実施例10と同様にして活物質薄膜を成膜して薄膜負極を作製した。この時、堆積速度は約3nm/secで36分間成膜した。
得られた薄膜負極の薄膜の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察から、成膜された薄膜の膜厚は6μmであった。
薄膜の組成分析をしたところ、薄膜中に元素Bは42原子%含有されており、SiB3中の元素B濃度に対するB濃度比Q(B)は0.57に相当した。原子濃度比はSi/B/O=1.00/0.74/0.02であった。
薄膜のX線回折測定を行ったところ、SiB4等の明確なピークは検出されずXIsz=0.46であった。
EPMAで薄膜中のSiの膜厚方向の重量濃度分布、及び、元素Bの分布を測定したところ、実施例10と同様にSiは実質的に集電体から連続に成膜されおり、且つ、Si薄膜中に元素Bは1μm以下の大きさで均一に分布していた。
この薄膜負極を用いて実施例1と同様にしてコイン電池の作製及び評価を行い、結果を表2に示した。
ターゲット材として、Si円板上に、SiとBの面積比が大凡100対12となるようにしたものを用いた以外は、実施例10と同様にして活物質薄膜を成膜して薄膜負極を作製した。この時、堆積速度は約3nm/secで42分間成膜した。
得られた薄膜負極の薄膜の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察から、成膜された薄膜の膜厚は6μmであった。
薄膜の組成分析をしたところ、薄膜中に元素Bは53原子%含有されており、SiB3中の元素B濃度に対するB濃度比Q(B)は、0.71に相当した。原子濃度比はSi/B/O=1.00/1.15/0.02であった。
薄膜のX線回折測定を行ったところ、SiB4等の明確なピークは検出されずXIsz=0.64であった。
EPMAで薄膜中のSiの膜厚方向の重量濃度分布、及び、元素Bの分布を測定したところ、実施例10と同様にSiは実質的に集電体から連続に成膜されおり、且つ、Si薄膜中に元素Bは1μm以下の大きさで均一に分布していた。
この薄膜負極を用いて実施例1と同様にしてコイン電池の作製及び評価を行い、結果を表2に示した。
ターゲット材として、SiとCの混合物(SiとCの面積比が大凡100対9の円板)を用いた以外は、実施例8と同様にして活物質薄膜を成膜して薄膜負極を作製した。、この時、堆積速度は約3nm/secで35分間成膜した。スパッタガスの窒素濃度は5%であった。
得られた薄膜負極の薄膜の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察から、成膜された薄膜の膜厚は6μmであった。
薄膜の組成分析をしたところ、薄膜中に元素Cが6原子%、元素Nが19原子%含有されており、SiC中の元素C濃度に対するC濃度比Q(C)は0.16に、SiN中の元素N濃度に対するN濃度比Q(N)は0.42に相当し、それらの合計値であるZ濃度比Q(C+N)は0.58であった。原子濃度比はSi/C及びN/O=1.00/0.09/0.27/0.06であった。
薄膜のラマン値を求めたところ、RC=cピーク検出されず、RSC=scピーク検出されず、RSN=0.16、RS=0.56であった。
薄膜のX線回折測定を行ったところ、SiC、Si3N4等の明確なピークは検出されずXIsz=0.14(SiC基準)、若しくは0.92(Si3N4基準)であった。
EPMAで薄膜中のSiの膜厚方向の重量濃度分布、及び、元素C及びNの分布を測定したところ、実施例1と同様にSiは実質的に集電体から連続に成膜されおり、且つ、Si薄膜中に元素C及びNは1μm以下の大きさで均一に分布していた。
この薄膜負極を用いて実施例1と同様にしてコイン電池の作製及び評価を行い、結果を表2に示した。
破砕Siを蒸着源とし、集電体基板として平均表面粗さ(Ra)が0.2μm、引張強度が400N/mm2、0.2%耐力が380N/mm2で、厚さが18μmである粗面化した圧延銅箔を用い、ULVAC社製「DRP−40E装置」にて電子ビーム加熱蒸着式イオンプレーティングを行って、薄膜負極を作製した。
この時、チャンバーを予め2×10-3Paまで真空引き後、バルブの開度を調整しながら、チャンバー内に高純度窒素ガスを流して圧力を0.05Paの雰囲気とした。その後、Siを蒸発させる電子ビーム加熱条件として電圧10kV、電流140mAで、窒素をイオン化させるRF方式条件としてコイル出力200Wで、基板のバイアス電圧−0.5kV、電流10mA、堆積速度約2nm/secで35分間成膜を行った。
得られた薄膜負極の薄膜の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察から、成膜された薄膜の膜厚は4μmであった。
薄膜の組成分析をしたところ、薄膜中に元素Nは18原子%含有されており、SiN中の元素N濃度に対するN濃度比Q(N)は0.37に相当した。原子濃度比はSi/N/O=1.00/0.23/0.08であった。
薄膜のラマン値を求めたところ、RSN=0.13、RS=0.55であった。
薄膜のX線回折測定を行ったところ、Si3N4等の明確なピークは検出されずXIsz=0.94であった。
EPMAで薄膜中のSiの膜厚方向の重量濃度分布、及び、元素Nの分布を測定したところ、実施例6と同様にSiは実質的に集電体から連続に成膜されおり、且つ、Si薄膜中に元素Nは1μm以下の大きさで均一に分布していた。
この薄膜負極を用いて実施例1と同様にしてコイン電池の作製及び評価を行い、結果を表2に示した。
破砕Siを蒸着源とし、集電体基板として平均表面粗さ(Ra)が0.2μm、引張強度が400N/mm2、0.2%耐力が380N/mm2で、厚さが18μmである粗面化した圧延銅箔を用い、セキスイメディカル電子社製「MU−1700D高周波誘導加熱装置」と、アリオス社製「MP201イオン銃装置」を組み合わせた装置にて、高周波誘導加熱蒸着式イオンプレーティングを行って、薄膜負極を作製した。
この時、チャンバーを予め7×10-4Paまで真空引き後、バルブの開度を調整しながら、チャンバー内に高純度窒素ガスを流して圧力を0.1Paの雰囲気とした。その後、Siを蒸発させる高周波誘導加熱条件として電流12Aで、窒素をイオン化させる条件として出力150W、イオン加速電圧12kVで、基板のバイアス電圧−0.5kVにて、堆積速度約20nm/secで5分間成膜を行った。
得られた薄膜負極の薄膜の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察から、成膜された薄膜の膜厚は5μmであった。
薄膜の組成分析をしたところ、薄膜中に元素Nは23原子%含有されており、SiN中の元素N濃度に対するN濃度比Q(N)は0.48に相当した。原子濃度比はSi/N/O=1.00/0.32/0.07であった。
薄膜のラマン値を求めたところ、RSN=0.23、RS=0.61であった。
薄膜のX線回折測定を行ったところ、Si3N4等の明確なピークは検出されずXIsz=0.92であった。
EPMAで薄膜中のSiの膜厚方向の重量濃度分布、及び、元素Nの分布を測定したところ、実施例6と同様にSiは実質的に集電体から連続に成膜されおり、且つ、Si薄膜中に元素Nは1μm以下の大きさで均一に分布していた。
この薄膜負極を用いて実施例1と同様にしてコイン電池の作製及び評価を行い、結果を表2に示した。
ターゲット材にSiを用いた以外は、実施例1と同様にして活物質薄膜を成膜して薄膜負極を作製した。
得られた薄膜負極の薄膜の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察から、成膜された薄膜の膜厚は5μmであった。
薄膜の組成分析をしたところ、薄膜中に元素C及びNは含有されておらず、原子濃度比はSi/O=1.00/0.02であった。
薄膜のラマン値を求めたところ、RC=cピーク検出されず、RSC=scピーク検出されず、RS=0.30、RSN=0.09であった。
この薄膜負極を用いて実施例1と同様にしてコイン電池の作製及び評価を行い、結果を表2に示した。
蒸着源にSiOを用い、集電体基板として平均表面粗さ(Ra)が0.2μmで、厚さが18μmである電解銅箔を用い、ULVAC社製「VPC−260F装置」にて抵抗加熱蒸着を行った。この時、チャンバーを予め3×10-3Paまで真空引き後、155Aの電流を流し、堆積速度約10nm/secで成膜を行って、薄膜負極を作製した。
得られた薄膜負極の薄膜の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察から、成膜された薄膜の膜厚は6μmであった。
薄膜の組成分析をしたところ、薄膜中に元素C及びNは含有されておらず、原子濃度比はSi/O=1.00/1.33であった。
薄膜のラマン値を求めたところ、RC=0.17、RSC=0.06、RS=1.09、RSN=0.10であった。
この薄膜負極を用いて実施例1と同様にしてコイン電池の作製及び評価を行い、結果を表2に示した。
ターゲット材を、SiとNiの混合物(Si円板上に、SiとNiの面積比が大凡100対4となるように、Niのチップを貼りつけたもの)に変えた以外は、実施例10と同様にして活物質薄膜を成膜して薄膜負極を作製した。この時、堆積速度は約5nm/secで25分間成膜した。
得られた薄膜負極の薄膜の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察から、成膜された薄膜の膜厚は6μmであった。
薄膜の組成分析をしたところ、薄膜中に元素Niは25原子%含有されており、NiSi2中の元素Ni濃度に対するNi濃度比Q(Ni)は0.79に相当した。原子濃度比はSi/Ni/O=1.00/0.35/0.06であった。
薄膜のラマン値を求めたところ、RC=cピーク検出されず、RSC=0.04、RS=0.28、RSN=0.07であった。
この薄膜負極を用いて実施例1と同様にしてコイン電池の作製及び評価を行い、結果を表2に示した。
ターゲット材を、SiとCuの混合物(Si円板上に、SiとCuの面積比が大凡100対3となるようにCuのチップを貼り付けたもの)に変えた以外は、実施例10と同様にして活物質薄膜を成膜して薄膜負極を作製した。この時、堆積速度は約5nm/secで25分間成膜した。
得られた薄膜負極の薄膜の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察から、成膜された薄
膜の膜厚は6μmであった。
薄膜の組成分析をしたところ、薄膜中に元素Cuは26原子%含有されており、Cu3Si中の元素Cu濃度に対するCu濃度比Q(Cu)は0.35に相当した。原子濃度比はSi/Cu/O=1.00/0.36/0.03であった。
薄膜のラマン値を求めたところ、RC=cピーク検出されず、RSC=scピーク検出されず、RS=0.34、RSN=0.09であった。
この薄膜負極を用いて実施例1と同様にしてコイン電池の作製及び評価を行い、結果を表2に示した。
ターゲット材を、SiとCoの混合物(Si円板上に、SiとCoの面積比が大凡100対4となるようにCoのチップを貼り付けたもの)に変えた以外は、実施例10と同様にして活物質薄膜を成膜して薄膜負極を作製した。この時、堆積速度は約5nm/secで25分間成膜した。
得られた薄膜負極の薄膜の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察から、成膜された薄膜の膜厚は6μmであった。
薄膜の組成分析をしたところ、薄膜中に元素Coは18原子%含有されており、CoSi2中の元素Co濃度に対するCo濃度比Q(Co)は0.54に相当した。原子濃度比はSi/Co/O=1.00/0.22/0.01であった。
この薄膜負極を用いて実施例1と同様にしてコイン電池の作製及び評価を行い、結果を表2に示した。
成膜時の高純度アルゴンガス中の酸素濃度を0.150%に変えた以外は、実施例1と同様にして活物質薄膜を成膜して薄膜負極を作製した。この時、堆積速度は約0.6nm/secで140分間成膜した。
得られた薄膜負極の薄膜の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察から、成膜された薄膜の膜厚は5μmであった。
薄膜の組成分析をしたところ、薄膜中に元素Cは27原子%含有されており、SiC中の元素C濃度に対するC濃度比Q(C)は0.81に相当した。原子濃度比はSi/C/O=1.00/0.68/0.83であった。
薄膜のラマン値を求めたところ、RC=2.69、RSC=0.35、RS=0.84であった。
薄膜のX線回折測定を行ったところ、XIsz=0.77であった。
この薄膜負極を用いて実施例1と同様にしてコイン電池の作製及び評価を行い、結果を表2に示した。
ターゲット材にSi粒子とSiO粒子とC粒子の混合物を焼結したものを用いた以外は、実施例1と同様にして活物質薄膜を成膜して薄膜負極を作製した。この時、堆積速度は約1nm/secで80分間成膜した。
得られた薄膜負極の薄膜の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察から、成膜された薄膜の膜厚は5μmであった。
薄膜の組成分析をしたところ、薄膜中に元素Cは69原子%含有されており、SiC中の元素C濃度に対するC濃度比Q(C)は1.55に相当した。原子濃度比はSi/C/O=1.00/3.45/0.55であった。
薄膜のラマン値を求めたところ、RC=27.7、RSC=1.05、RS=0.38であった。
薄膜のX線回折測定を行ったところ、XIsz=0.42であった。
この薄膜負極を用いて実施例1と同様にしてコイン電池の作製及び評価を行い、結果を表2に示した。
ターゲット材のSiとCの面積比を100対1に変えた以外は、実施例2と同様にして活物質薄膜を成膜して薄膜負極を作製した。この時、堆積速度は約2nm/secで40分間成膜した。
得られた薄膜負極の薄膜の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察から、成膜された薄膜の膜厚は5μmであった。
薄膜の組成分析をしたところ、薄膜中に元素Cは3原子%含有されており、SiC中の元素C濃度に対するC濃度比Q(C)は0.06に相当した。原子濃度比はSi/C/O=1.00/0.03/0.06であった。
薄膜のラマン値を求めたところ、RC=cピーク検出されず、RSC=scピーク検出されず、RS=0.41であった。
薄膜のX線回折測定を行ったところ、SiCの明確なピークは検出されずXIsz=0.13であった。
この薄膜負極を用いて実施例1と同様にしてコイン電池の作製及び評価を行い、結果を表2に示した。
チャンバー内に高純度窒素ガスを流した時の圧力を0.4Paに変えた以外は、実施例6と同様にして活物質薄膜を成膜して薄膜負極を作製した。この時、堆積速度は約3nm/secで40分間成膜した。スパッタガスの窒素濃度は25%であった。
得られた薄膜負極の薄膜の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察から、成膜された薄膜の膜厚は7μmであった。
薄膜の組成分析をしたところ、薄膜中に元素Nは53原子%含有されており、SiN中の元素N濃度に対するN濃度比Q(N)は1.07に相当した。原子濃度比はSi/N/O=1.00/1.15/0.02であった。
薄膜のラマンスペクトル分析をしたところ、ラマンピークは得られなかった。
薄膜のX線回折測定を行ったところ、XIsz=1.18であった。
この薄膜負極を用いて実施例1と同様にしてコイン電池の作製及び評価を行い、結果を表2に示した。
チャンバー内に高純度窒素ガスを流した時の圧力を3.2×10-3Paに変えた以外は、実施例6と同様にして活物質薄膜を成膜して薄膜負極を作製した。この時、堆積速度は約3nm/secで28分間成膜した。スパッタガスの窒素濃度は0.2%であった。
得られた薄膜負極の薄膜の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察から、成膜された薄膜の膜厚は5μmであった。
薄膜の組成分析をしたところ、薄膜中に元素Nは1原子%含有されており、SiN中の元素N濃度に対するN濃度比Q(N)は0.02に相当した。原子濃度比はSi/N/O=1.00/0.01/0.01であった。
薄膜のラマン値を求めたところ、RSN=0.08、RS=0.31であった。
薄膜のX線回折測定を行ったところ、XIsz=0.98であった。
この薄膜負極を用いて実施例1と同様にしてコイン電池の作製及び評価を行い、結果を表2に示した。
ターゲット材として、SiとBの面積比が大凡100対17の円板を用いた以外は、実施例10と同様にして活物質薄膜を成膜して薄膜負極を作製した。この時、堆積速度は約2nm/secで50分間成膜した。
得られた薄膜負極の薄膜の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察から、成膜された薄膜の膜厚は6μmであった。
薄膜の組成分析をしたところ、薄膜中に元素Bは73原子%含有されており、SiB3中の元素B濃度に対するB濃度比Q(B)は0.98に相当した。原子濃度比はSi/B/O=1.00/2.81/0.04であった。
薄膜のX線回折測定を行ったところ、XIsz=1.10であった。
この薄膜負極を用いて実施例1と同様にしてコイン電池の作製及び評価を行い、結果を表2に示した。
ターゲット材として、SiとBの面積比が大凡100対1の円板を用いた以外は、実施例10と同様にして活物質薄膜を成膜して薄膜負極を作製した。この時、堆積速度は約4nm/secで25分間成膜した。
得られた薄膜負極の薄膜の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察から、成膜された薄膜の膜厚は5μmであった。
薄膜の組成分析をしたところ、薄膜中に元素Bは4.5原子%含有されており、SiB3中の元素N濃度に対するB濃度比Q(B)は、0.06に相当した。原子濃度比はSi/B/O=1.00/0.05/0.02であった。
薄膜のX線回折測定を行ったところ、XIsz=0.10であった。
この薄膜負極を用いて実施例1と同様にしてコイン電池の作製及び評価を行い、結果を表2に示した。
ターゲット材にSiを用い、比較例1と同様な方法でSi薄膜を4.5μm成膜した。更に、ターゲット材にCを用い、このSi活物質薄膜の上にC薄膜を0.5μm成膜した。
この薄膜の組成を堆積した重量比から算出したところ、原子濃度比で表すとSi/C=1.00/0.26であった。
得られた薄膜負極の薄膜の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)観察から、Si薄膜表面はカーボン層で覆われており、SiとCが二層構造になっていた。
この薄膜負極を用いて実施例1と同様にしてコイン電池の作製及び評価を行い、結果を表2に示した。
比較例1の負極の活物質薄膜は、集電体から連続的に成膜されたSi薄膜であるが、薄膜中に元素Zが存在せず本発明の規定範囲外であり、その結果、良いサイクル特性が得られず、且つ、サイクル後の電極膨張率が大きかった。
実施例1で成膜した薄膜負極を用いて、下記の方法に従ってビニレンカーボネート(VC)を添加した電解液でリチウム二次電池を作製した。この電池について、下記のサイクル特性(B)の評価を行った。その結果、120サイクル後のサイクル維持率(B)は77%であった。
作製した薄膜負極を10mmφに打ち抜き、85℃で真空乾燥した後、グローブボックスへ移し、アルゴン雰囲気下で、電解液とセパレータと対極を用いてコイン電池(リチウム二次電池)を作製した。電解液としては、エチレンカーボネート(EC)/ジエチルカーボネート(DEC)=3/7(重量比)にVCを2重量%添加した混合液を溶媒とした1mol/L−LiPF6電解液を用いた。セパレータとしてはガラス不織布セパレータを用いた。対極としてはリチウムコバルト正極を用いた。
1.53mA/cm2の電流密度でリチウムコバルト正極に対して4.2Vまで充電し、更に、4.2Vの一定電圧で電流値が0.255mA/cm2になるまで充電し、負極中にリチウムをドープした後、1.53mA/cm2の電流密度でリチウムコバルト正極に対して2.5Vまで放電を行う充放電サイクルを120回繰り返し、以下の式でサイクル維持率(B)を計算した。
サイクル維持率(B)(%)
={120サイクル後の放電容量(mAh)/3サイクルの放電容量
(mAh)}×100
電解液をエチレンカーボネート(EC)/ジエチルカーボネート(DEC)=3/7(重量比)の混合液とし、VCを添加しなかったこと以外は、実施例16と同様にしてコイン電池を作製し、同様にサイクル特性(B)の評価を行った。その結果、120サイクル後のサイクル維持率(B)は67%であった。
(1)元素Zは、B、C及びNよりなる群の中から選択される少なくとも1種の元素である。
(2)元素MはSiと元素Z以外の周期表2族、4族、8族、9族、10族、11族、13族、14族、15族、及び16族から選ばれる少なくとも1種の元素である。
(3)xは、Siに最も近い組成で平衡的に存在する化合物SiaZp(式中a、pは整数)のZ濃度(p/(a+p))に対して、下記式で算出されるZ濃度比Q(Z)が0.10〜0.95となる値である。
Q(Z)=[x/(1+x)]/[p/(a+p)]
(4)yは、0≦y≦0.50の範囲の数である。
Claims (21)
- Si中に元素Zが非平衡的に存在した相の化合物を主成分とする活物質薄膜を有する非水電解質二次電池用負極であって、
上記化合物が一般式SiZxMy(式中Z、M、x、yは下記条件の通り)で表されることを特徴とする非水電解質二次電池用負極。
(1)元素Zは、B、C及びNよりなる群の中から選択される少なくとも1種の元素である。
(2)元素MはSiと元素Z以外の周期表2族、4族、8族、9族、10族、11族、13族、14族、15族、及び16族から選ばれる少なくとも1種の元素である。
(3)xは、Siに最も近い組成で平衡的に存在する化合物SiaZp(式中a、pは整数)のZ濃度(p/(a+p))に対して、下記式で算出されるZ濃度比Q(Z)が0.10〜0.95となる値である。
Q(Z)=[x/(1+x)]/[p/(a+p)]
(4)yは、0≦y≦0.50の範囲の数である。 - 集電体と、該集電体から連続的に成膜された前記活物質薄膜とを有することを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池用負極。
- 前記一般式SiZxMyにおいて、元素ZがCであり、xは0.053≦x≦0.70の範囲の数であり、前記活物質薄膜は、元素CがSi薄膜中に均一に分布している活物質薄膜であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の非水電解質二次電池用負極。
- 前記活物質薄膜のラマンスペクトル分析によるラマンRC値が0.0以上、2.0以下であり、且つ、ラマンRSC値が0.0以上、0.25以下であることを特徴とする請求項3記載の非水電解質二次電池用負極。
- 前記活物質薄膜のラマンスペクトル分析によるラマンRS値が0.40以上、0.75以下であることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の非水電解質二次電池用負極。
- 前記一般式SiZxMyにおいて、元素ZがCで、元素Mが酸素であり、x、yは、それぞれ0.053≦x≦0.70、0<y≦0.50の範囲の数であることを特徴とする請求項3ないし請求項5のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極。
- 充放電を行った後に、前記活物質薄膜の赤外分光光度計を用いた赤外透過光分析によるIRsc値が0.9以上、3.0以下であることを特徴とする請求項3ないし請求項6のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極。
- 前記一般式SiZxMyにおいて、元素ZがNであり、Siに最も近い組成で平衡的に存在する化合物SiaZpがSiNであり、且つ一般式SiNxMyのxは、前記Z濃度比Q(Z)が0.15〜0.85となる値であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の非水電解質二次電池用負極。
- 前記活物質薄膜は、元素NがSi薄膜中に均一に分布している活物質薄膜であることを特徴とする請求項8に記載の非水電解質二次電池用負極。
- 前記活物質薄膜のラマンスペクトル分析によるラマンRSN値が0.0以上、0.9以下であることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の非水電解質二次電池用負極。
- 前記活物質薄膜のラマンスペクトル分析によるラマンRS値が0.4以上、1.0以下であることを特徴とする請求項8ないし請求項10のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極。
- 前記活物質薄膜のX線回折によるXIsz値が0.00以上、1.10以下であることを特徴とする請求項8ないし請求項11のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極。
- 前記一般式SiZxMyにおいて元素ZがBであり、Siに最も近い組成で平衡的に存在する化合物SiaZpがSiB3であり、且つ、一般式SiBxMyのxは、前記Z濃度比Q(Z)が0.30〜0.85となる値であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の非水電解質二次電池用負極。
- 前記活物質薄膜は、元素BがSi薄膜中に均一に分布している活物質薄膜であることを特徴とする請求項13に記載の非水電解質二次電池用負極。
- 前記活物質薄膜のX線回折によるXIsz値が0.00以上、0.90以下であることを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の非水電解質二次電池用負極。
- 集電体と、該集電体上に成膜された、一般式SiZxMy(式中Z、M、x、yは下記条件の通り)で表される化合物を主成分とする活物質薄膜とで構成される非水電解質二次電池用負極を製造する方法であって、
蒸着源、スパッタ源、若しくは溶射源として、Si、元素Z、及び元素Mを含むものを用い、
Siと元素Zと元素Mとを同時に、蒸着法、スパッタ法、及び溶射法のうちのいずれか1以上の手法にて、集電体基板上に1〜30μmの厚さに成膜することを特徴とする非水電解質二次電池用負極の製造方法。
(1)元素Zは、B、C及びNよりなる群の中から選択される少なくとも1種の元素である。
(2)元素MはSiと元素Z以外の周期表2族、4族、8族、9族、10族、11族、13族、14族、15族、及び16族から選ばれる少なくとも1種の元素である。
(3)xは、Siに最も近い組成で平衡的に存在する化合物SiaZp(式中a、pは整数)のZ濃度(p/(a+p))に対して、下記式で算出されるZ濃度比Q(Z)が0.10〜0.95となる値である。
Q(Z)=[x/(1+x)]/[p/(a+p)]
(4)yは、0≦y≦0.50の範囲の数である。 - 前記一般式SiZxMyにおいて、元素ZがCで、0.053≦x≦0.70、0<y≦0.50であり、
蒸着源、スパッタ源、若しくは溶射源として、Si、C、及び元素Mを含むものを用い、
SiとCと元素Mとを同時に、蒸着法、スパッタ法、及び溶射法のうちのいずれか1以上の手法にて、集電体基板上に1〜30μmの厚さに成膜することを特徴とする請求項16に記載の非水電解質二次電池用負極の製造方法。 - 集電体と、該集電体上に成膜された、一般式SiCxOy(式中、x,yは、それぞれ0.053≦x≦0.70、0<y≦0.50の範囲の数である)で示される化合物を主成分とする活物質薄膜とで構成される非水電解質二次電池用負極を製造する方法であって、
蒸着源、スパッタ源、若しくは溶射源として、Si及びCを含むものを用い、
成膜ガス中の酸素濃度が0.0001〜0.125%である雰囲気下にて、SiとCとを同時に、蒸着法、スパッタ法、及び溶射法のうちのいずれか1以上の手法にて、集電体基板上に1〜30μmの厚さに成膜することを特徴とする非水電解質二次電池用負極の製造方法。 - リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに電解質を備える非水電解質二次電池において、該負極が、請求項1ないし請求項15のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極であることを特徴とする非水電解質二次電池。
- リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに電解質を備える非水電解質二次電池において、該負極が、請求項16ないし請求項18のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極の製造方法により製造された非水電解質二次電池用負極であることを特徴とする非水電解質二次電池。
- 分子内に不飽和結合を有する環状炭酸エステル化合物を含有する非水系電解液を用いたことを特徴とする請求項19又は請求項20に記載の非水電解質二次電池。
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