JP4972772B2 - 溶融金属めっき設備におけるトップドロス除去装置および除去方法 - Google Patents

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Description

本発明は、広くは溶融金属めっき設備におけるトップドロス除去装置および除去方法に関するものであり、特に、溶融金属めっき設備のメンテナンス性を向上させることを狙いとしたものである。
例えば、鋼帯に対する連続溶融亜鉛めっきは、図5に示すような設備によって行われている。すなわち、図5に示すように、鋼帯Sは矢印の方向に走行して、スナウト1から亜鉛系溶融めっき金属5が収容されためっき槽(めっきポット)2に浸漬され、シンクロール3で方向が転換され、サポートロール4で支持された状態でめっき浴(亜鉛系溶融めっき金属)5の直上部へと引き上げられる。この時に、ガスワイピングノズル6から加圧したガスを鋼帯Sに吹き付けてめっき付着量を調整している。
このような溶融亜鉛めっき設備においては、めっき浴面近傍の亜鉛系溶融めっき金属は酸化されやすく、トップドロスの発生が不可避となっている。このめっき浴の浴面上のトップドロスが鋼帯の表面に付着すると凸状の欠陥が発生し、著しく製品の外観を損なうため、頻繁にトップドロスの除去を行っている。
従来、トップドロスの除去は、穴明き柄杓を用いて人手で汲み取ることで行われてきた。その際、汲み取り直後の柄杓の中は、95%wt以上が純亜鉛で残りが酸化亜鉛であることから、純亜鉛を柄杓の穴から濾し落とすために、めっき浴上で柄杓を保持することが行われている。しかし、このような作業は重労働であるだけでなく、純亜鉛を充分に濾し落とす時間だけ柄杓を人力で保持することが厳しいことから、多量の純亜鉛と一緒にトップドロスを除去してしまうこととなり、鋼帯のめっきに有効に使用されている亜鉛の割合が低下する原因になっていた。
これを改善するために、例えば特許文献1には、ロボットによるトップドロス除去装置が開示されている。
図6(a)に側面図、図6(b)に平面図を示すように、このトップドロス除去装置91は、めっき槽2の幅方向に沿って敷設されたレール93上を移動するロボット本体94と、ロボット本体94に設けられた、めっき槽2の長さ方向に伸びる、複数の関節部96によって屈折可能なアーム97と、アーム97の先端に取り付けられたドロス捕集網98とからなっており、プログラム制御によって、図6(b)中の符号A、B、Cで示すように、めっき槽2内を順次移動して、めっき浴5の浴面を浮遊するトップドロス10をかき寄せ、汲み取るようになっている。
特開平5−302157号公報
しかし、特許文献1に記載されたトップドロス除去装置91は、 めっき槽周辺にレール等を敷設する必要があり、めっき槽の交換作業やめっき槽周辺機器の保守作業といっためっき設備のメンテナンス作業を行う際に、敷設したレール等が邪魔になって上記のメンテナンス作業が容易に行えないという問題がある。
この問題は、溶融亜鉛めっきに限られるものではなく、溶融アルミニウムめっき、溶融鉛めっき等、他の各種の溶融金属めっきの場合においても同様である。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、溶融金属めっき設備において、当該めっき設備のメンテナンス作業に支障をきたすことなく、トップドロスを除去することができるトップドロス除去装置および除去方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、以下のような考え方に至った。すなわち、特許文献1に記載されたトップドロス除去装置においては、めっき浴の浴面上のトップドロスをかき寄せるとともに、かき寄せたトップドロスを汲み取るようにしているので、ロボット本体が大掛かりで重くなることから、装置の移動を安定させるために、レール等が必要になっている。そこで、めっき浴の浴面上のトップドロスをかき寄せるのと、かき寄せたトップドロスを汲み取るのを別々の手段で行うようにすれば、小型で軽量化されて、レールを敷設する必要がなくなり、それによって、めっき設備のメンテナンス作業に支障をきたすことなく、トップドロスを効率的に除去することができる。
本発明は、上記のような考え方に基づいて、以下のような特徴を有している。
[1]溶融金属めっき槽に収容された溶融金属めっき浴の浴面上のトップドロスを除去するためのトップドロス除去装置であって、予め溶融金属めっき槽の槽壁近傍にかき寄せられたトップドロスを汲み取るトップドロス汲み取りロボットと、該トップドロス汲み取りロボットを搭載し、無軌道で移動する運搬台車とを備えているとともに、前記運搬台車上に、溶融金属めっき浴の浴面を撮像するカメラと、該カメラの映像を画像処理してトップドロスを検出する画像処理装置を備えていることを特徴とする溶融金属めっき設備におけるトップドロス除去装置。
]人力によって移動することができる前記[1]に記載の溶融金属めっき設備におけるトップドロス除去装置。
]溶融金属めっき槽に収容された溶融金属めっき浴の浴面上のトップドロスを除去するためのトップドロス除去方法であって、トップドロスを溶融金属めっき槽の槽壁近傍にかき寄せる工程と、かき寄せられたトップドロスを前記[1]または[2]に記載のトップドロス除去装置を用いて汲み取る工程とを備えていることを特徴とする溶融金属めっき設備におけるトップドロス除去方法。
本発明においては、溶融金属めっき設備のメンテナンス作業に支障をきたすことなく、トップドロスを除去することができる。
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、ここでは、鋼帯の連続溶融亜鉛めっきを行う場合を例にして述べる。
本発明の一実施形態に係るトップドロス除去装置は、図1に側面図、図2に平面図を示すように、溶融亜鉛めっき浴5が収容された溶融亜鉛めっき槽2を備えた連続溶融亜鉛めっき設備において、めっき槽2に隣接して設けられている作業エリア12の所定個所に位置して、めっき槽2の作業エリア12側の槽壁2a近傍に設けられた汲み取り領域24に予めかき寄せられているトップドロス10を汲み取るようになっている。
すなわち、このトップドロス除去装置11は、タイヤ13aを有する運搬台車13と、複数の関節部を有する多関節ロボット14と、多関節ロボット14の先端に取り付けられた穴明き柄杓15と、多関節ロボット14に取り付けられた撮像カメラ16と、多関節ロボット14を制御するロボットコントローラ17と、撮像カメラ16からの映像信号を画像処理してトップドロスを認識・検出し、トップドロスの汲み取り位置及び動作パターンを多関節ロボット14に送信するためのコンピュータ(画像処理装置)18と、近接する作業者の安全対策としての安全柵19と、汲み取ったトップドロスを収容するためのドロス収容ボックス20とから構成されている。
そして、このトップドロス除去装置11は、予め他の手段によって汲み取り領域24にかき寄せられたトップドロス10を汲み取るようにしているので、多関節ロボット14のアームの可動範囲が狭く、アーム長さが短くてすむ。したがって、前記特許文献1に記載されているトップドロス除去装置91に比べて、小型で軽量化されており、レールを敷設することなく(すなわち、無軌道で)かつ人力で移動が行えるようになっている。
上記のように構成されたトップドロス除去装置11は、めっき槽5や周辺機器のメンテナンス作業を行う際は、作業エリア12から離れた場所に待機しており、メンテナンス作業が終了すると、運搬台車13のハンドル21を作業者が操作して人力で作業エリア12の先端部(めっき槽2との近接部)の所定位置に移動し、位置決めして停止した後、汲み取り領域24のトップドロスの汲み取り作業を行う。なお、作業エリア12の先端部には、運搬台車13の位置決めのためのストッパ22と運搬台車固定金具(図示せず)が取り付けられている。
ここで、汲み取り領域24については、図1、2に示すように、めっき槽2の作業エリア12側の槽壁2aに近接して、めっき槽2中に堰23が設けられており、この堰23で仕切られた領域が汲み取り領域24となっている。
そして、トンボのような治具を使用して、めっき浴5の浴面を浮遊するトップドロス10をこの汲み取り領域24にかき寄せる。なお、トップドロス10を汲み取り領域24にかき寄せやすいように、堰23の上端は、めっき槽中央部側から汲み取り領域24側に向かって昇り勾配の傾斜面となっている。また、堰23の下方はめっき槽中央部側と連通しているため、かき寄せ作業によって汲み取り領域24の液面が上昇して、かき寄せたトップドロス10が堰23を越えて汲み取り領域24から溢れ出ることはない。
このようにして、このトップドロス除去装置11を用いてトップドロス10の除去作業を行う際には、めっき浴5の浴面上に浮遊するトップドロス10をトンボのような治具によって汲み取り領域24にかき寄せるかき寄せ工程と、汲み取り領域24にかき寄せられたトップドロス10をトップドロス除去装置11によって汲み取る汲み取り工程とで行うことになる。
そして、上記汲み取り工程におけるトップドロス除去装置11の制御フローを図3に示す。図3に示すように、撮像カメラ16からの映像信号を画像処理してトップドロスが認識・検出されると、コンピュータ18は、トップドロスの位置情報と動作パターンをロボットコントローラ17に送信する。ロボットコントローラ17は、受信した情報に基づいて、多関節ロボット14を動作させる。
その多関節ロボット14の動作パターンの一例を図4に示す。
(S1)柄杓15を汲み取り領域24内のめっき浴5中に沈める。
(S2)次に、柄杓15をめっき浴5上に上げる。
(S3)次に、柄杓15をめっき浴5上で保持する。それによって、柄杓15中の純亜鉛を柄杓15の穴から濾し落とす。
(S4)次に、柄杓15をドロス収容ボックス20上に移動する。
(S5)次に、柄杓15を反転し、トップドロス10をドロス収容ボックス20へ振るい落とす。
そして、上記(S1)〜(S5)を撮像カメラ16からの映像等に基づいて必要な回数だけ繰り返す。
このようにして、この実施形態においては、小型で軽量化されて、無軌道でかつ人力で移動が行えるトップドロス除去装置11を用いているので、溶融亜鉛めっき設備のメイテナンス作業の際には、邪魔にならないように待機場所へ容易に移動させることができ、メイテナンス作業に支障をきたすことがない。
さらに、このトップドロス除去装置11は、トップドロスを認識・検出するための撮像カメラ16と画像処理装置18を備えているので、トップドロス10を効率的に汲み取ることができる。
ちなみに、前記特許文献1に記載されているトップドロス除去装置91においては、トップドロスの有無や場所を特定せずに、定期的に汲み取り動作するようにプログラムされているため、トップドロスを効率的に汲み取ることができない。
なお、上記の実施形態においては、溶融亜鉛めっきの場合を例にして述べたが、本発明は、それに限られるものではなく、溶融アルミニウムめっき、溶融鉛めっき等、他の各種の溶融金属めっきの場合においても同様に適用することができる。
本発明の一実施形態に係るトップドロス除去装置を示す側面図である。 本発明の一実施形態に係るトップドロス除去装置を示す平面図である。 本発明の一実施形態におけるシステム構成を示す図である。 本発明の一実施形態における多関節ロボットの動作パターンの一例を示すフロー図である。 連続溶融亜鉛めっき装置を示す側面図である。 従来のトップドロス除去装置を示す図である。
符号の説明
1 スナウト
2 めっき槽(めっきポット)
2a めっき槽の槽壁
3 シンクロール
4 サポートロール
5 めっき浴
6 ガスワイピングノズル
10 トップドロス
11 トップドロス除去装置
12 作業エリア
13 運搬台車
13a タイヤ
14 多関節ロボット
15 穴明き柄杓
16 撮像カメラ
17 ロボットコントローラ17
18 コンピュータ(画像処理装置)
19 安全柵
20 ドロス収容ボックス
21 ハンドル
22 ストッパ
23 堰
24 汲み取り領域
91 トップドロス除去装置
93 レール
94 ロボット本体
96 関節部
97 アーム
98 ドロス捕集網

Claims (3)

  1. 溶融金属めっき槽に収容された溶融金属めっき浴の浴面上のトップドロスを除去するためのトップドロス除去装置であって、予め溶融金属めっき槽の槽壁近傍にかき寄せられたトップドロスを汲み取るトップドロス汲み取りロボットと、該トップドロス汲み取りロボットを搭載し、無軌道で移動する運搬台車とを備えているとともに、前記運搬台車上に、溶融金属めっき浴の浴面を撮像するカメラと、該カメラの映像を画像処理してトップドロスを検出する画像処理装置を備えていることを特徴とする溶融金属めっき設備におけるトップドロス除去装置。
  2. 人力によって移動することができる請求項1に記載の溶融金属めっき設備におけるトップドロス除去装置。
  3. 溶融金属めっき槽に収容された溶融金属めっき浴の浴面上のトップドロスを除去するためのトップドロス除去方法であって、トップドロスを溶融金属めっき槽の槽壁近傍にかき寄せる工程と、かき寄せられたトップドロスを請求項1または2に記載のトップドロス除去装置を用いて汲み取る工程とを備えていることを特徴とする溶融金属めっき設備におけるトップドロス除去方法。
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