JP4969782B2 - 衣料用液体洗浄剤組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、衣料用液体洗浄剤組成物に関するものである。
衣料用の液体洗浄剤組成物には、汚れを落とす洗浄機能に加えて、着用時の快適性向上のため、洗い上がりの衣料に対して心地よい柔軟性を付与する機能が求められる。
ところが、一般に、洗浄力と柔軟性とは互いに背反する特性であり、これらを両立することは難しい。そこで、従来は、洗浄剤と仕上げ剤とを併用することで、柔軟性を得ることが多かった。しかしながら、かかる技術では洗浄剤の他に別剤を用いなければならないといった煩雑さがあり、洗浄剤単独で、被洗物に対して良好な柔軟性を付与できることが望ましい。
また、従来の液体洗浄剤組成物の抱える問題として、色柄物衣料と白物衣料とを同浴で洗濯すると、白物衣料に色移り(移染)が生じるという問題がある。そのため、色柄物衣料と白物衣料とを別々に洗濯せざるを得ない場合があり、同浴で洗浄しても移染の生じない洗浄剤組成物の開発が望まれていた。
かかる背景下、種々の検討がなされていて、例えば特許文献1には、布帛に柔軟性を付与する洗剤組成物として、ノニオン界面活性剤、アルキルアミン、マレイン酸を含有する共重合体などを含むものが開示されている。
一方、移染抑制効果のある組成物、洗剤として、特許文献2〜5にはそれぞれ特定のポリマーを含むものが記載され、特許文献6には第3級アミンを含むものが記載されている。
また、特許文献7にはハロゲン化アルミニウムを用いるものが、特許文献8には組成物を特定のpH領域に制御するものが、特許文献9には特定のイオン交換樹脂を使用するものが記載されている。
また、特許文献10には、特許文献1に類似した構成の組成物である、ノニオン界面活性剤、アルキルアミン、マレイン酸−炭化水素系モノマー共重合体などを含有する組成物がその実施例に記載されている。
特開昭61−275393号公報 特表2001−517730号公報 特表2002−517550号公報 特表平9−512051号公報 特開2001−106743号公報 特許第2804000号公報 特開平10−310791号公報 特開平10−265797号公報 特開2001−239086号公報 特表2000−510506号公報
しかしながら、特許文献1の洗剤組成物は、被洗物である布帛に柔軟性を付与できたとしても、移染防止効果は備えていない。
一方、特許文献2〜5の組成物および洗剤は、衣料へ柔軟性を付与する効果が乏しく、衣料着用時に快適さをもたらすものではなく、特許文献6に記載の洗剤では、色落ちの激しい色柄物衣料と白物衣料とを同浴で洗濯した際の移染を、十分に抑制できない。また、特許文献7〜9には、洗い上がりの衣料に対する柔軟性の付与については、言及されていない。
また、特許文献10に記載された組成物は、皿洗い時におけるスケール付着抑制を目的としたものであって、衣料の洗濯に使用されるものではないし、また、衣料に付着した皮脂汚れを洗浄できるものでもない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、洗浄後の衣料に柔軟性を付与でき、しかも、色柄物衣料と白物衣料とを同浴で洗濯した場合にも移染が生じない、高い移染抑制効果を備えた液体洗浄剤組成物を提供することを課題とする。
本発明者は鋭意検討し、洗浄成分である非イオン性界面活性剤に対して、特定の含窒素化合物と特定のマレイン酸系共重合体とをともに配合することで、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、非イオン性界面活性剤(A)と、置換基を有しても良く、連結基を鎖中に有するものであっても良い炭素数8〜28の炭化水素基を有する3級アミン及び/又はその塩である含窒素化合物(B)と、マレイン酸と該マレイン酸と共重合可能な炭素数が4〜12の炭化水素系モノマーとの共重合体及び/又はその塩であるマレイン酸系共重合体(C)とを含有することを特徴とする。
さらに、前記マレイン酸系共重合体(C)が、マレイン酸と該マレイン酸と共重合可能な炭素数が5の炭化水素系モノマーとの共重合体及び/又はその塩であるマレイン酸系共重合体(C’)であることが好ましい。
また、本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、前記非イオン性界面活性剤(A)を10〜50質量%含有し、前記含窒素化合物(B)を0.1〜10質量%含有し、前記マレイン酸系共重合体(C)を0.1〜10質量%含有することが好ましい。
本発明によれば、洗浄後の衣料に柔軟性を付与でき、しかも、色柄物衣料と白物衣料とを同浴で洗濯した場合にも移染が生じない、高い移染抑制効果を備えた液体洗浄剤組成物を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、非イオン性界面活性剤(A)に対して、特定の含窒素化合物(B)と、特定のマレイン酸系共重合体(C)とを配合してなる。
「非イオン性界面活性剤(A)」
非イオン性界面活性剤(A)は、洗浄機能を担う成分であり、1種を単独で用いても2種以上を併用しても良い。
本発明で用いる非イオン性界面活性剤(A)としては特に限定されないが、例えば、下記一般式(I)で表わされるポリオキシアルキレン型非イオン性界面活性剤が好適に用いられる。
Figure 0004969782
但し、式中、Rは炭素数8〜20、好ましくは10〜16の疎水基であり、直鎖であっても分岐鎖であっても良い。疎水基としては、1級もしくは2級の高級アルコール、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド等を原料とするものが具体的に挙げられる。−X−は、−O−、−COO−、−CONH−等の官能基である。
EOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイドである。n及びmは平均付加モル数を表し、nは3〜20、好ましくは5〜15、mは0〜6、好ましくは0〜3である。Rは、水素原子、又は炭素数1〜6、好ましくは1〜3のアルキル基又はアルケニル基である。EOの平均付加モル数nが20を超えると、HLBが高くなりすぎ皮脂洗浄には不利となり洗浄機能が低下する傾向にあり、EOの平均付加モル数nが3未満又は、POの平均付加モル数mが6を超えると、組成物の高温下での保存安定性が低下する傾向にあり、好ましくない。
EO又はPOの付加モル数分布は、非イオン性界面活性剤(A)製造時の反応方法によって変動し、特に限定されない。例えば、EO又はPOの付加モル数分布は、一般的な水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ触媒を用いて酸化エチレンや酸化プロピレンを疎水基原料に付加させた際には、比較的広い分布となり、特公平6−15038号公報に記載のAl3+,Ga3+,In3+,Tl3+,Co3+,Sc3+,La3+,Mn2+等の金属イオンを添加した酸化マグネシウム等の特定のアルコキシル化触媒を用いて酸化エチレンや酸化プロピレンを疎水基原料に付加させた際には、比較的狭い分布となる傾向にある。
上記式(I)で表される非イオン性界面活性剤(A)の具体例としては、(i)三菱化学(株)製:商品名Diadol(C13(Cは炭素数を示す。以下、同様))、Sasol製:商品名Safol23(C12/C13混合物)等のオキソ法により得られた合成アルコール、若しくはP&G製C12〜14アルコール、エコグリーン製:商品名Ecorol(C12/C14混合物)等の天然アルコールに対して、15モル相当の酸化エチレンを付加したもの、(ii)新日本理化(株)製:商品名Conol(C12)等の天然アルコールに、9モル相当の酸化エチレンを付加したもの、(iii)ブテンを3量化して得られるC12アルケンをオキソ法に供して得られるC13アルコール1モルに、7モル相当の酸化エチレンを付加したもの(BASF製:商品名Lutensol TO7)、(iv)ラウリン酸メチルエステルに、15モル相当の酸化エチレンを付加したもの、(v)ヘキサノールをガーベット反応に供して得られるC12アルコール1モルに、10モル相当の酸化エチレンを付加したもの(CONDEA製:商品名ISOFOL12−10EO)、(vi)C12〜14の第2級アルコールに、15モル相当の酸化エチレンを付加したもの(日本触媒(株)製:商品名ソフタノール150)、(vii)ラウリン酸メチルに、アルコキシル化触媒を用いて15モル相当の酸化エチレンと3モル相当の酸化プロピレンを付加したもの等が挙げられる。
(A)成分としては、上記式(I)で示される非イオン性界面活性剤が好適であることを述べたが、他の非イオン性界面活性剤を用いることもできる。用いて好適な他の非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン(EO付加モル数1〜20)ソルビタン脂肪酸(C10〜22)エステル、ポリオキシエチレン(EO付加モル数1〜20)ソルビット脂肪酸(C10〜22)エステル、ポリオキシエチレン(EO付加モル数1〜20)グリコール脂肪酸(C10〜22)エステル、グリセリン脂肪酸(C10〜22)エステル、アルキル(C10〜22)グリコシド等が挙げられる。
本発明において、(A)成分の配合量(2種以上を併用する場合は合計量を意味するものとする。なお、後記する他の成分についても同様。)は、組成物中10〜50質量%が好ましく、15〜40質量%が特に好ましい。(A)成分の配合量が10質量%未満では洗浄力が不充分となる恐れがあり、50質量%を超えると組成物の粘度が増加し取り扱い難くなる可能性がある。
「含窒素化合物(B)」
本発明の組成物では、含窒素化合物(B)として、直鎖であっても分岐鎖であっても良く、飽和であっても不飽和であっても良く、さらには置換基を有しても良く、連結基を鎖中に有するものであっても良い炭素数8〜28の炭化水素基を1〜3個含む3級アミン及び/又はその塩を配合する。特に、炭素数8〜25の炭化水素基を1〜3個、好ましくは1〜2個含む3級アミン及び/又はその塩を配合するものが好ましい。
ここで、「置換基」としては、ヒドロキシ基、アミノ基等が具体的に挙げられ、「連結基」としては、アミド基、エステル基、エーテル基等が具体的に挙げられる。
3級アミン塩としては、3級アミンを酸で中和した酸塩等が具体的に挙げられる。中和に用いる酸としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、クエン酸、ポリアクリル酸、パラトルエンスルホン酸、クメンスルホン酸等が挙げられ、これらは1種を単独で用いても2種以上を併用しても良い。
かかる特定の含窒素化合物(B)を配合することで、衣料に柔軟性を付与し、着用風合い性を向上させることができる。
また、該成分は、詳しくは後述するように、マレイン酸系共重合体(C)とともに配合することによって、優れた柔軟性を衣料に付与しつつ、相乗的に移染抑制効果を向上させるものである。
ところで、洗濯時の問題として、水洗いの後、縫い目部分が収縮し、乾燥後、元には復元せず、縫い目のひきつれじわ(シームパッカリング)が生じるという問題がある。この縫い目じわは、縫い目の構造上、アイロンで回復させるのが難しく、洗浄後の縫い目じわを抑制する洗浄剤組成物の開発が望まれている。
かかる背景下、特表2001−526741号公報には、しわ形成を最小に抑える方法が記載されている。しかしながら、この方法では、縫い目じわのような強固で細かいしわ形成を抑制する効果を備えていない。
これに対し、本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、洗濯後の縫い目じわを抑制できるという優れた効果も得ることができる。
上記の柔軟性付与効果及び移染抑制効果の他に、含窒素化合物(B)は、この縫い目じわ抑制効果に寄与するものと推測される。
含窒素化合物(B)としては特に、下記一般式(II)で表わされる3級アミン及び/又はその塩が好適である。
Figure 0004969782
式中、Rは炭素数8〜25の炭化水素基、Rは炭素数1〜25の炭化水素基である。R、Rは直鎖であっても分岐鎖であっても良く、飽和であっても不飽和であっても良く、さらには置換基を含むものであっても良い。また、R、Rはアミド基、エステル基又はエーテル基等の連結基をその鎖中に有するものであっても良い。Rは炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、EO付加モル数1〜25のポリオキシエチレン基のうちいずれかの基である。
(B)成分の好適な具体例としては、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミン、ミリスチン酸アミドプロピルジメチルアミン、パルミチン酸アミドプロピルジメチルアミン、ステアリン酸アミドプロピルジメチルアミン、ベヘニン酸アミドプロピルジメチルアミン、オレイン酸アミドプロピルジメチルアミン等の脂肪族アミドアルキル3級アミン又はその塩、パルミテートエステルプロピルジメチルアミン、ステアレートエステルプロピルジメチルアミン等の脂肪族エステルアルキル3級アミン又はその塩等が挙げられる。
中でも、ミリスチン酸アミドプロピルジメチルアミン、パルミチン酸アミドプロピルジメチルアミン、ステアリン酸アミドプロピルジメチルアミン、ベヘニン酸アミドプロピルジメチルアミン、オレイン酸アミドプロピルジメチルアミン等、あるいはその塩が特に好ましい。
なお、上記例中の「脂肪族アミドアルキル3級アミン」は、例えば、脂肪酸、あるいは脂肪酸低級アルキルエステル、動・植物性油脂等の脂肪酸誘導体と、ジアルキル(又はアルカノール)アミノアルキルアミンとを脱水縮合反応させ、その後、未反応のジアルキル(又はアルカノール)アミノアルキルアミンを、減圧又は窒素ブローにて留去することにより得られる。
他方、「脂肪族エステルアルキル3級アミン」は、例えば、脂肪酸、あるいは脂肪酸低級アルキルエステル、動・植物性油脂等の脂肪酸誘導体と、ジアルキルアミノアルコールとを脱水縮合させるエステル化反応により得られる。
ここで、脂肪酸又は脂肪酸誘導体としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、エルカ酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ヤシ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、とうもろこし油脂肪酸、牛脂脂肪酸、パーム核油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、ひまし油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸等、又はこれらのメチルエステル、エチルエステル、グリセライド等が具体的に挙げられ、中でも特にミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸等が特に好ましい。これら脂肪酸又は脂肪酸誘導体は1種を単独で用いても2種以上を併用しても良い。
「ジアルキル(又はアルカノール)アミノアルキルアミン」としては、ジメチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノエチルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノエチルアミン等が具体的に挙げられ、中でも特にジメチルアミノプロピルアミンが好ましい。
「ジアルキルアミノアルコール」としては、例えばジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノアルコール等が挙げられる。ジエチルアミノアルコールとしては、ジエチルアミノエタノールが好ましい。これらの中でも、ジメチルアミノエタノールが特に好ましい。
なお、脂肪族アミドアルキル3級アミンを製造する際のジアルキル(又はアルカノール)アミノアルキルアミンの使用量は、脂肪酸又はその誘導体に対し、0.9〜2.0倍モルが好ましく、1.0〜1.5倍モルが特に好ましい。反応温度は、通常100〜220℃、好ましくは150〜200℃である。反応温度が100℃未満では反応が遅くなりすぎ、220℃超では得られる3級アミンの着色が顕著となる恐れがあり、好ましくない。
脂肪族エステルアルキル3級アミンを製造する際のジアルキルアミノアルコールの使用量は、脂肪酸又はその誘導体に対して、0.1〜5.0倍モルが好ましく、0.3〜3.0倍モルが特に好ましい。反応温度は、通常100〜220℃であり、好ましくは120〜180℃である。反応温度が100℃未満では反応が遅くなりすぎ、220℃超では得られる3級アミンの着色が顕著となる恐れがあり、好ましくない。
脂肪族アミドアルキル3級アミン、脂肪族エステルアルキル3級アミンの上記以外の製造条件は同様であり、反応時の圧力は常圧でも減圧でも良く、反応時に窒素等の不活性ガスを導入することも可能である。また、脂肪酸を用いる場合は、硫酸、p−トルエンスルホン酸等の酸触媒、脂肪酸誘導体を用いる場合は、ナトリウムメチラート、苛性カリ、苛性ソーダ等のアルカリ触媒を用いることで、より効率良く反応を進行させることができる。
また、得られる3級アミンが融点が高い長鎖アミンの場合には、ハンドリング性を向上させるため、反応後、フレーク状又はペレット状に成形することが好ましい。
(B)成分のその他の好適な具体例としては、ラウリルジメチルアミン、ミリスチルジメチルアミン、椰子アルキルジメチルアミン、パルミチルジメチルアミン、牛脂アルキルジメチルアミン、硬化牛脂アルキルジメチルアミン、ステアリルジメチルアミン、ステアリルジエタノールアミン、ポリオキシエチレン硬化牛脂アルキルアミン(ライオンアクゾ(株)製 商品名:ETHOMEEN HT/14等)、又はこれらの塩等が挙げられる。
本発明において、(B)成分の配合量は特に限定されないが、組成物中0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%が特に好ましい。(B)成分の配合量が0.1質量%未満では、(B)成分の配合効果が顕著に発現せず、柔軟性向上効果が十分に発現しないうえ、移染抑制効果も低下する傾向がある。また、(B)成分の配合量を0.1質量%以上とすることにより縫い目じわの抑制効果を得ることができる。他方、(B)成分を10質量%超配合しても、それ以上の柔軟性向上効果が得られないため、経済的に不利であるとともに、移染抑制効果が低下する可能性がある。また、(B)成分の配合量を10質量%以下とすることにより縫い目じわの抑制効果が充分に得られるとともに、経済的にも有利となる。
「マレイン酸系共重合体(C)」
本発明では、マレイン酸系共重合体(C)として、マレイン酸と炭素数が4〜12でマレイン酸と共重合可能な炭化水素系モノマーとの共重合体及び/又はその塩を配合する。
さらに、前記マレイン酸系共重合体(C)のなかでも、マレイン酸と該マレイン酸と共重合可能な炭素数が5の炭化水素系モノマーとの共重合体及び/又はその塩であるマレイン酸系共重合体(C’)がより好ましく配合される。
該成分は、特に上述した含窒素化合物(B)とともに配合することにより、格段に優れた移染抑制効果を発現する。この点についてはよくわかってはいないが、おそらく、含窒素化合物(B)と、移染の原因となる染料とが電気的に引き合って吸着体を形成し、この吸着体をマレイン酸系共重合体(C)が捕捉することによって、染料が他の衣料に再付着するのを防ぐためと推察できる。
また、この系は、優れた縫い目じわの抑制効果も同時に示す。この点については、おそらく、含窒素化合物(B)が縫い目における縫い糸と布とを滑りやすくし、一方でマレイン酸系共重合体(C)が両者の滑りを抑制し、この両作用により適度な滑り性が付与される。この適度な滑り性の付与により、洗濯後において、糸と布との収縮により洗濯前の縫い糸と布との相対的な位置にずれ(偏り)が生じてしわが形成する現象を防ぐものと考えられる。
マレイン酸系共重合体(C)において、マレイン酸と共重合するモノマーとしては、マレイン酸と共重合可能な二重結合を有し、炭素数が4〜12の炭化水素系モノマーであれば特に制限はないが、下記に挙げるものが好適に用いられる。
マレイン酸と共重合可能な炭化水素系モノマーの炭素数としては、炭素数4〜12であり、さらに原料のハンドリング性の点から、炭素数4〜8がより好ましく、炭素数5(C’)がさらに好ましい。
マレイン酸と炭素数4〜12の炭化水素系モノマーとの共重合体及び/又はその塩としては、未中和の共重合体でも、カルボキシル基が通常のアルカリ剤により中和された塩でもよい。
具体例としては、マレイン酸とオレフィンとの共重合体塩が好適に用いられ、日本ゼオン(株)製のクインフロー540(ナトリウム塩)、542(ナトリウム塩)、543(アンモニウム塩)、640(ナトリウム塩)等、もしくはBASF社製のSokalan CP9(ナトリウム塩)(いずれも商品名)等が挙げられる。
これらマレイン酸系共重合体(C)は、1種を単独で用いても2種以上を併用しても良い。
本発明において、(C)成分の配合量は特に限定されないが、組成物中0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%が特に好ましい。(C)成分の配合量が0.1質量%未満では、(C)成分の配合による移染抑制効果が顕著に発現せず、他方、(C)成分を10質量%超配合しても、それ以上の移染抑制効果が得られないため、経済的に不利である。また、(C)成分の配合量を0.1質量%以上とすることにより縫い目じわの抑制効果が顕著に発現し、他方、(C)成分の配合量を10質量%以下とすることにより縫い目じわの抑制効果が充分に得られるとともに、経済的にも有利となる。
また、(C)成分と(B)成分との質量基準の配合比を、特に1:5〜5:1の範囲とすることによって、両成分の併用による移染抑制効果が一層高まる。さらに、縫い目じわの抑制効果も一層高まる。
本発明の組成物は、上記(A)〜(C)成分を必須とするものであるが、これら成分に加えて、必要に応じて他の任意成分を本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
配合可能な他の成分としては、例えば、洗浄性能向上や配合安定性向上等を目的として、酵素(プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ等)、安定化剤(安息香酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム等)、防腐剤、ハイドロトロープ剤、蛍光剤、他の移染防止剤、パール剤、酸化防止剤、ソイルリリース剤等を配合することができる。
その他、商品の付加価値向上等を目的として、着色剤や着香剤を配合することもできる。
着色剤としては、アシッドレッド138、アシッドイエロー203、アシッドブルー9、青1号、青色205号、ターコイズP−GR等(いずれも商品名)の色素や顔料が使用でき、その好ましい配合量は、0.00005〜0.0005質量%程度である。
着香剤としては「実施例」の項において挙げる香料a〜d等が使用でき、その好ましい配合量は、0.1〜1質量%である。
また、本発明の組成物ではpHを9未満とすることが、組成物を長期保存した際における安定性の点から好ましい。pHを9未満に調整するには、pH調整剤を適宜配合すれば良い。pH調整剤としては、本発明の効果を損なわない限りにおいて随意であるが、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカノールアミン等が配合安定性の面から好ましい。
本発明の組成物の調製方法は特に制限されるものではなく、通常の液体洗浄剤組成物と同様、例えば上記必須成分(A)〜(C)、必要に応じて上記任意成分、さらに必要に応じて水を配合し、これらを混合することによって、調製することができる。
本発明の組成物は樹脂製等の容器に充填して、使用に供することができる。
本発明の組成物の使用方法は特に限定されないが、通常の衣料用液体洗浄剤組成物と同様、例えば、洗濯機内に被洗物を投入した後、洗濯機槽内に水を充満させ、さらに適当な濃度になるように本発明の組成物を添加、溶解させて洗濯液を得、これによって被洗物を洗浄することができる。
本発明によれば、洗浄機能を担う非イオン性界面活性剤(A)に対して、含窒素化合物(B)とマレイン酸系共重合体(C)とをともに配合する構成を採用したので、優れた洗浄力を維持しつつ、洗浄後の衣料に柔軟性を付与でき、しかも、色柄物衣料と白物衣料とを同浴で洗濯した場合にも移染が生じない、高い移染抑制効果を備えた液体洗浄剤組成物を提供することができる。さらに、洗浄後の縫い目じわを抑制する効果を備えた液体洗浄剤組成物を提供することができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下に記載の実施例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1〜49、比較例1〜5)
各例においては、配合組成を変えた以外は同様として衣料用液体洗浄剤組成物を調製し、それぞれ評価した。各例の配合組成を表1〜6に示す。表中の配合量の単位は質量%を示す。但し、実施例15、16、21、22、23はいずれも参考例である。
表には、(A)成分、(B)成分又はその比較用の(D)成分、(C)成分又はその比較用の(E)成分についてのみ詳細に記載してある。これらに合わせて、共通成分X又はYを下記組成で配合し、全成分の合計が100質量%となるように、水量を適宜調整した。また、組成物のpHが同表に示すものとなるように、硫酸、水酸化ナトリウム、モノエタノールアミン、シュウ酸(いずれも関東化学製)のいずれかをpH調整剤として添加した。同表には、(A)成分、(B)又は(D)成分、(C)又は(E)成分の配合量、及び用いた香料成分と共通成分の種類についても記載してある。
なお、共通成分X及びYでは、各成分の配合量は有り姿(全量)としての配合量を示し、共通成分以外の成分の配合量は純分換算量を示す。
<共通成分X>
安息香酸ナトリウム 0.5質量%
クエン酸3ナトリウム 0.2質量%
パラトルエンスルホン酸 5.0質量%
ジブチルヒドロキシトルエン 0.03質量%
香料 0.2質量%
イソチアゾロン液 0.01質量%
色素(商品名アシット゛イエロー203) 0.0001質量%
pH調整剤 適量
水 バランス
<共通成分Y>
安息香酸ナトリウム 0.5質量%
クエン酸3ナトリウム 0.2質量%
パラトルエンスルホン酸 5.0質量%
ジブチルヒドロキシトルエン 0.03質量%
香料 0.2質量%
イソチアゾロン液 0.01質量%
色素(商品名アシット゛レット゛138) 0.0003質量%
ポリスチレンエマルション 0.2質量%
pH調整剤 適量
水 バランス
なお、共通成分X、Yにおいて、各成分の詳細は以下の通りである。
安息香酸ナトリウム:東亞合成製 商品名安息香酸ナトリウム
クエン酸3ナトリウム:マイルス社(米国)製 商品名クエン酸ソーダ
パラトルエンスルホン酸:協和発酵工業(株)製 商品名PTS酸
ジブチルヒドロキシトルエン:住友化学工業製 商品名SUMILIZER BHT−R
イソチアゾロン液:ローム・アンド・ハース社製 商品名ケーソンCG(5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン/2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン/マグネシウム塩/水混合液)
色素(アシット゛イエロー203):中央合成化学製 商品名キノリンイエローWG−G CONC
色素(アシット゛レット゛138):住友化学工業製 商品名スミノールミーリングブリリアントレッドBS
ポリスチレンエマルション:サイデン化学(株)製 商品名サイビノールRPX−196PEエマルション、固形分40%
また、香料としては、下記香料組成物を用いた。
香料a:特開2002−146399号公報の表11〜18に記載の香料組成物A
香料b:同公報の表11〜18に記載の香料組成物B
香料c:同公報の表11〜18に記載の香料組成物C
香料d:同公報の表11〜18に記載の香料組成物D
(A)成分としては下記化合物を用いた。
(a−1):C1327O(EO)15H、三菱化学(株)製 商品名Diadolアルコール(分岐率50%)の平均EO15モル付加物
(a−2):C2n+1O(EO)15H(n=12/13混合物(質量比55/45))、合成品
(a−3):C2n+1O(EO)12H(n=12/13混合物(質量比55/45))、合成品
(a−4):C2n+1O(EO)15H(n=12/14混合物(質量比71/29))、合成品
(a−5):C2n+1CH C2m+1O(EO)15H(n+m=11〜13)、日本触媒(株)製 商品名ソフタノール150
(a−6):C2n+1O(EO)15H(n=12/13混合物(質量比45/55))、合成品
(a−7):C2n+1O(EO)12H(n=12/13混合物(質量比45/55))、合成品
(a−8):C1123COO(EO)15CH、合成品
(a−9):C1327O(EO)12(PO)H、合成品
(a−10):C1327O(EO)10H(C鎖長:分岐型)、BASF社製LutensolTO 10
(a−11):C1327O(EO)H(C鎖長:分岐型)、BASF社製LutensolTO 7
(a−12):C1327O(EO)15H、合成品
(B)成分としては下記化合物を用いた。
(b−1):C19CONH(CHN(CH、合成品
(b−2):C1123CONH(CHN(CH、合成品
(b−3):C1531CONH(CHN(CH、合成品
(b−4):C1735CONH(CHN(CH、合成品
(b−5):C2143CONH(CHN(CH、合成品
(b−6):C1733CONH(CHN(CH、合成品
(b−7):C1735COO(CHN(CH、合成品
(b−8):C1633N(CH、ライオンアクゾ(株)製 商品名アーミンDM16D
(b−9):C1837N(CH、ライオンアクゾ(株)製 商品名アーミンDM18D
(b−10):C2x+1CONH(CHN(CH(X=15/17混合物(質量比3/7))、東邦化学(株)製 商品名カチナールMPAS−R
また、(B)成分の比較として、下記(D)成分を用いた。
(d−1):(CN、関東化学(株)製 トリエチルアミン
(C)成分としては下記化合物を用いた。
(c−1):イソアミレン・マレイン酸共重合物ソーダ塩、日本ゼオン(株)製、商品名クインフロー542
(c−2):イソアミレン・マレイン酸共重合物ソーダ塩、日本ゼオン(株)製、商品名クインフロー640
(c−3):イソアミレン・マレイン酸共重合物のアンモニウム塩、日本ゼオン(株)製、商品名クインフロー543
(c−4):イソアミレン・マレイン酸共重合物ソーダ塩、日本ゼオン(株)製、商品名クインフロー540
(c−5):オレフィン・マレイン酸共重合体ソーダ塩、BASF社製、商品名Sokalan CP9
また、(C)成分の比較として、炭素数4〜12の共重合可能な炭化水素系モノマーを含まないマレイン酸共重合物及びポリビニルピロリドン化合物である下記(E)成分を用いた。
(e−1):アクリル酸・マレイン酸共重合体、BASF社製、商品名Sokalan CP7
(e−2):ポリビニルピロリドン、ISPジャパン製、商品名ポリビニルピロリドンK−30
次に、合成品の製造方法を以下に示す。
(a−2):
Sasol製 商品名Safol23アルコール(分岐率50%)224.4g、30質量%NaOH水溶液2.0gを耐圧型反応容器中に採取し、容器内を窒素置換した。次に温度100℃、圧力2.0kPa以下で30分間脱水してから、温度を160℃まで昇温した。アルコールを攪拌しながら酸化エチレン(ガス状)763.6gを吹き込み管を使って、反応温度が180℃を越えないように添加速度を調節しながらアルコールの液中に徐々に加えた。酸化エチレンの添加終了後、温度180℃、圧力0.3MPa以下で30分間熟成した後、温度180℃、圧力6.0kPa以下で10分間未反応の酸化エチレンを留去した。次に温度を100℃以下まで冷却した後、反応物の1質量%水溶液のpHが約7になるように、70質量%p−トルエンスルホン酸を加えて中和し、(a−2)を得た。
(a−3):
Sasol製 商品名Safol23アルコール265.5g、30質量%NaOH水溶液2.5g、酸化エチレン723.4gを用い、(a−2)と同様に合成した。
(a−4):
P&G製C12−14アルコール(分岐率0%)224.4gを用い、(a−2)と同様に合成した。
(a−6):
シェルケミカルズ製 商品名Neodol23アルコール(分岐率20%)224.4gを用い、(a−2)と同様に合成した。
(a−7):
シェルケミカルズ製 商品名Neodol23アルコール(分岐率20%)265.5g、30質量%NaOH水溶液2.5g、酸化エチレン723.4gを用い、(a−2)と同様に合成した。
(a−8):
特開2000−186296号公報記載の製造例3と同様にして合成した。
(a−9):
溶液S1として、硝酸マグネシウム6水和物68.03g(0.265モル)、硝酸アルミニウム9水和物47.69g(0.127モル)、硝酸マンガン6水和物24.33g(0.085モル)を450gの脱イオン水で溶解した。一方、溶液S2として、炭酸ナトリウム13.47g(0.127モル)を450gの脱イオン水で溶解した。
溶液S1と溶液S2とを、予め1800gの脱イオン水を仕込んだ触媒調整槽に、2NのNaOHによりpHを9、温度を40℃に保ちながら1時間で滴下し、滴下終了後、1時間熟成させた。母液を濾過により除き、沈殿を6Lの脱イオン水で洗浄し、噴霧乾燥することにより30gの複合水酸化物を得た。この複合水酸化物を、窒素雰囲気下800℃で3時間焼成して、Mg、Al、Mnの複合酸化物触媒(Mg:Al:Mn(原子比)=0.56:0.26:0.18)19gを得た。この触媒を用いて以下の合成を行った。
ラウリルアルコール186gを耐圧反応容器に入れ、上記の手法で生成した触媒0.8gを添加し、180℃で0.3MPa、回転翼回転数500rpmで1時間攪拌した後、まずエチレンオキサイド528gを2時間かけて導入し、完全に導入した後、1時間熟成を行った。その後180℃に加温しプロピレンオキサイド116gを1時間かけて導入し、1時間熟成した後、冷却して、(a−9)を得た。
(a−12):
特開平1−164437号公報、特開平10−7620号公報、特開2000−61304号公報等に記載された方法にて合成した。なお、得られた化合物の特開2001−164298号公報にて定義されたナロー率は55%以上であった。
(b−1):
1リットルの四つ口フラスコに、カプリン酸224gを仕込み、80℃で窒素置換を2回行った。170℃に昇温し、副生する水を留去させながら、ジメチルアミノプロピルアミン173gを2hかけて滴下した。滴下後、170〜180℃に保持し7h熟成した。
酸価から算出したカプリン酸の転化率は98%であった。熟成後、減圧して未反応アミンと水を除去し、(b−1)を得た。
(b−2):
カプリン酸の代わりにラウリン酸261gを用いた以外は、(b−1)と同様に合成した。酸価から算出したラウリン酸の転化率は98%であった。
(b−3):
カプリン酸の代わりにパルミチン酸334gを用いた以外は、(b−1)と同様に合成した。酸価から算出したパルミチン酸の転化率は98%であった。
(b−4):
カプリン酸の代わりにステアリン酸370gを用いた以外は、(b−1)と同様に合成した。酸価から算出したステアリン酸の転化率は98%であった。
(b−5):
カプリン酸の代わりにベヘニン酸444gを用いた以外は、(b−1)と同様に合成した。酸価から算出したベヘニン酸の転化率は98%であった。
(b−6):
カプリン酸の代わりにオレイン酸368gを用いた以外は、(b−1)と同様に合成した。酸価から算出したオレイン酸の転化率は98%であった。
(b−7):
1リットル四つ口フラスコに、パルミチン酸メチル386g、ジメチルアミノエタノール200g、及び、触媒としてp−トルエンスルホン酸を2g仕込み、窒素置換を2回行った。反応温度140〜150℃で、副生するメタノールを留去させながら10h脱水縮合反応させた。鹸化価から算出したパルミチン酸メチルの転化率は99%であった。その後、減圧して未反応のジメチルアミノエタノールとメタノールを留去し、(b−7)を得た。
(評価方法)
以下、評価方法について説明する。
<洗浄力の評価>
1.洗浄処理
10cm角に裁断した100番手の綿平織り布に顔面の皮脂汚れを擦りつけて調製した皮脂汚れ布10枚および市販のTシャツ(綿100%、B.V.D.社製)6枚を、三菱電機(株)製電気洗濯機(CW−C30A1型)に投入し、各例で調製した組成物を25℃の水道水約30Lに対し40mLの割合で添加し、標準水流で洗浄(10分)、脱水(1分)、標準水流でためすすぎ(2回繰り返し/各5分)、脱水(1分)を順次行う洗浄操作を行った。
2.評価方法
皮脂汚れ布の反射率を、未汚染布、汚染布(洗浄処理前)、洗浄布(洗浄処理後)について、各々日本電色(株)製の色差計(SE200型)にて測定し、洗浄率(%)を下記式に基づいて算出した。
洗浄率(%)=(汚染布のK/S−洗浄布のK/S)/(汚染布のK/S−未汚染布のK/S)×100
なお、式中、K/Sは(1−R/100)/(2R/100)を示す(但し、Rは反射率(%))を示す。
判定基準を以下に示す。
1点:洗浄率が60%未満
2点:洗浄率が60%以上65%未満
3点:洗浄率が65%以上70%未満
4点:洗浄率が70%以上
<着用風合い性(柔軟性)の評価>
上記の洗浄処理を施したTシャツを平置きにして12時間陰干し、乾燥させた。その後、25℃65%RH(湿度)の恒温恒湿室に2日間静置して、これを試験衣料として着用風合い性の評価に供した。評価対照衣料として、非イオン界面活性剤(ラウリルアルコール1モルあたり平均15モルの酸化エチレンを付加させたアルコールエトキシレート)の20質量%水溶液を用いて、上記と同様に洗浄処理したTシャツを同様に着用風合い性の評価に供した。
着用風合い性の評価は、各衣料を女性専門パネラーが着用し、その時の着心地を官能評価し、評価対照衣料に対して下記の基準による一対比較を行い、専門パネラーの評点の平均値を求めた。点数が高いほど、着用風合い性が良好なことを示す。
1点:対照衣料と同等もしくはそれ以下
2点:対照衣料より若干着心地がよい
3点:対照衣料より着心地が良い
4点:対照衣料より非常に着心地が良い
<移染度の評価方法>
50mLビーカーに25℃の水道水50mLを入れ、組成物濃度として1,333ppmとなる組成物を添加し、更に染料であるC.I.DirectBlue71(Sumilight Supra Blue BRR conc.:住友化学)を2ppm添加し、試験液とした。評価布として綿肌シャツを3×3cmに裁断したもの(約1.6g)を用意し、撹拌子(20×φ7mm)を入れマグネティックスターラーにより撹拌された上述の試験液に評価布1枚入れ、10分間撹拌した。撹拌後、評価布を試験液より取り出し、ティッシュペーパーで軽く水気をとった後、15℃の水道水50mLを入れた50mLビーカーにて再度3分間撹拌した。撹拌後評価布を取り出し、ティッシュペーパーで水気をとり、一晩風乾させた。風乾後の評価布を分光式色彩計(SE−2000型;日本電色工業株式会社)を用い、標準白板にて標準合わせを行った後、10φの試料台上に上述の風乾後の評価布を置き、綿布(油化協布)を4枚重ねに巻きつけた黒板(7.5cm×7.5cm×1cm)にて上から押さえながら表面色を反射測定し、b*値を求めた。実験前に予め同様に測定した同じ布のb*値との差であるΔb*値より移染の度合を評価した。なお、このΔb*値が小さい程、移染が防止されていることになる。
<洗浄後の縫い目じわ(シームパッカリング性)の評価>
横5cm×縦20cm角に裁断した100番手の綿平織り布に、布上部から下部にかけて、綿糸を用いて本縫いミシンにより縫い目をつけた。前記処理を施した布を、三菱電機(株)製電気洗濯機(CW−C30A1型)に投入し、各例で調製した組成物を25℃の水道水約30Lに対し40mLの割合で添加し、標準水流で洗浄(10分)、脱水(1分)、標準水流でためすすぎ(2回繰り返し/各5分)、脱水(1分)を順次行う洗浄操作を行った。その後、処理布を12時間陰干し、乾燥させた。その後、25℃65%RH(湿度)の恒温恒湿室に1日間静置して、これを試験布としてシームパッカリング性の評価に供した。
評価対照布として、非イオン界面活性剤(ラウリルアルコール1モルあたり平均15モルの酸化エチレンを付加させたアルコールエトキシレート)の20質量%水溶液を用いて、上記と同様に洗浄処理した布を同様にシームパッカリング性の評価に供した。
シームパッカリング性の評価は、JIS1905(シームパッカリング評価方法)に準じ、下記の基準により、評価対照布との一対比較を行った。
×:対照布と同等もしくはそれ以下
△:対照布より若干縫い目じわが良好である
○:対照布より縫い目じわが良好である
(結果)
得られた結果を表1〜6に合わせて示す。
各表に示すように、非イオン性界面活性剤(A)と、炭素数8〜28の炭化水素基を有する3級アミン及び/又はその塩である含窒素化合物(B)と、マレイン酸と該マレイン酸と共重合可能な炭素数が4〜12の炭化水素系モノマーとの共重合体及び/又はその塩であるマレイン酸系共重合体(C)とを配合した各実施例の組成物は、衣料に対して優れた洗浄力を維持しつつ、洗浄後の衣料に柔軟性を付与でき、しかも、高い移染抑制効果を備えていた。また、縫い目じわの抑制効果も備えていた。また、その効果は(B)成分と(C)成分とをともに配合することによって相乗的に高まることが、比較例との比較により明らかとなった。
例えば、(C)成分を配合していない比較例1に対して、(C)成分を配合した実施例6では、(B)成分と(C)成分との相乗効果により、移染抑制効果が非常に高まった。また、縫い目じわの抑制効果も非常に高まった。このような高い効果は、(B)成分の非存在下において単に(C)成分だけを配合した比較例2、(C)成分の代わりに(E)成分を配合した比較例3及び4、(C)成分を配合したものの(B)成分の代わりに(D)成分を配合した比較例5には認められないものであった。
Figure 0004969782
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Claims (3)

  1. 非イオン性界面活性剤(A)と、
    ミリスチン酸アミドプロピルジメチルアミン、パルミチン酸アミドプロピルジメチルアミン、ステアリン酸アミドプロピルジメチルアミン、ベヘニン酸アミドプロピルジメチルアミン、オレイン酸アミドプロピルジメチルアミン又はこれらの塩からなる群より選択される1種以上の含窒素化合物(B)と、
    マレイン酸と該マレイン酸と共重合可能な炭素数がの炭化水素系モノマーとの共重合体及び/又はその塩であるマレイン酸系共重合体(C)と
    を含有することを特徴とする衣料用液体洗浄剤組成物。
  2. 前記含窒素化合物(B)と前記マレイン酸系共重合体(C)との質量基準の配合比が1:5〜5:1であることを特徴とする請求項1に記載の衣料用液体洗浄剤組成物。
  3. 前記非イオン性界面活性剤(A)を10〜50質量%含有し、前記含窒素化合物(B)を0.1〜10質量%含有し、前記マレイン酸系共重合体(C)を0.1〜10質量%含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の衣料用液体洗浄剤組成物。
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