JP6598356B2 - 繊維製品用液体洗浄剤 - Google Patents
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Description
特許文献1には、銅の水溶性塩、亜鉛の水溶性塩及び銀の水溶性塩からなる群より選択される少なくとも1種の水溶性金属塩と、特定のキレート剤と、特定のアミン化合物又は特定の第4級アンモニウム化合物と、香料と、を含有する、液体洗浄剤が開示されている。この液体洗浄剤においては、洗濯後の繊維製品(ポリエステル(PE)衣類)に賦香された香りの残香性の向上と、PE衣類での再汚染防止性能の向上と、が図られている。
加えて、特許文献1に記載の液体洗浄剤は、特に綿繊維の製品において、再汚染が生じやすく、洗浄効果が不充分であった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、洗浄剤の香気を維持したまま繊維製品に賦香でき、かつ、洗浄効果が高められた繊維製品用液体洗浄剤、を課題とする。
すなわち、本発明の繊維製品用液体洗浄剤は、(A)成分:下記一般式(A1)で表される化合物、及び下記一般式(A2)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種と、(B)成分:アニオン界面活性剤と、(C)成分:下記一般式(C1)で表される化合物、下記一般式(C1)で表される化合物の塩、及び下記一般式(C2)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種と、(D)成分:香料と、を含有することを特徴とする。
本発明の液体洗浄剤は、家庭用途としても工業用途としても利用可能であり、中でも家庭用途として好適である。
洗浄対象となる被洗物の種類は、家庭における洗濯で洗浄対象とされているものと同様のものが挙げられ、例えば衣類、布巾、タオル類、シーツ等の繊維製品が挙げられる。
(A)成分は、下記一般式(A1)で表される化合物(以下「(A1)成分」ともいう。)、及び下記一般式(A2)で表される化合物(以下「(A2)成分」ともいう。)からなる群より選択される少なくとも1種である。(A)成分は、水に溶解した際、解離によって分子内に−COO−を生じる。
本発明の液体洗浄剤においては、(A)成分を含有することで、繊維製品に、洗浄剤の香気を維持したまま賦香できる効果(香気維持性能)がより高められる。
前記式(A1)中、X11〜X14は、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はカチオン性アンモニウムを表す。
X11〜X14における、好ましいアルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
本発明において、「アルカリ土類金属」は、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウムに加えて、ベリリウムとマグネシウムとを包含するもの(第2族元素)とする。X11〜X14における、好ましいアルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム等が挙げられる。例えばX11がカルシウムの場合、−COOX11は、−COO・1/2Caを形成する。
X11〜X14における、好ましいカチオン性アンモニウムとしては、アンモニウム(NH4)、該アンモニウムの水素原子1〜3個がアルカノール基(−(CH2)k−OH;kはメチレン基の繰り返し数を表す。)で置換されたもの(これを「アルカノールアンモニウム」という。)等が挙げられる。kは、好ましくは1、2又は3である。好ましいアルカノールアンモニウムとしては、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム等が挙げられる。
上記の中でも、X11〜X14は、香気維持性能がより向上しやすいことから、アルカリ金属、カチオン性アンモニウムが好ましく、アルカリ金属がより好ましい。
X11〜X14は、互いに同じであってもよく異なっていてもよい。
前記式(A1)中、mは、0又は1を表し、香気維持性能がより向上しやすいことから、1が好ましい。
塩の形態としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;モノエタノールアンモニウム塩、ジエタノールアンモニウム塩、トリエタノールアンモニウム塩等のアルカノールアンモニウム塩等が挙げられ、アルカリ金属塩が好ましい。
前記式(A2)中、X21〜X23は、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はカチオン性アンモニウムを表す。X21〜X23は、前記式(A1)におけるX11〜X14と同様のものが挙げられる。
中でも、X21〜X23は、香気維持性能がより向上しやすいことから、アルカリ金属、カチオン性アンモニウムが好ましく、アルカリ金属がより好ましい。
X21〜X23は、互いに同じであってもよく異なっていてもよい。
R20におけるアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよい。該アルキル基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜18がより好ましい。R20におけるアルキル基は、その水素原子の一部が置換基で置換されていてもよい。この置換基としては、スルホ基(−SO2(OH))、アミノ基(−NH2)、ヒドロキシ基、ニトロ基(−NO2)等が挙げられる。
上記の中でも、R20は、香気維持性能がより向上しやすいことから、カルボキシ基、ヒドロキシ基、水素原子が好ましく、水素原子がより好ましい。
塩の形態としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;モノエタノールアンモニウム塩、ジエタノールアンモニウム塩、トリエタノールアンモニウム塩等のアルカノールアンモニウム塩等が挙げられ、アルカリ金属塩が好ましい。
(A)成分としては、上記の中でも、香気維持性能が特に向上しやすいことから、(A2)成分が好ましい。
繊維製品用液体洗浄剤中の(A)成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.2〜5質量%であり、さらに好ましくは0.3〜3質量%である。
(A)成分の含有量が、前記の好ましい下限値以上であると、香気維持性能がより向上する。一方、前記の好ましい上限値を超えても、それに見合う香気維持性能の向上効果が得られにくく、経済的にも不利となる。
(B)成分は、アニオン界面活性剤であり、従来、衣料用等の洗浄剤に用いられている公知のものを用いることができる。
本発明の液体洗浄剤においては、(B)成分を含有することで、洗浄効果が発揮され、加えて、香気維持性能がより高められる。さらに、特に綿繊維に対する再汚染が抑制される。
これらの塩の形態としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;マグネシウム等のアルカリ土類金属塩;モノエタノールアンモニウム塩、ジエタノールアンモニウム塩、トリエタノールアンモニウム塩等のアルカノールアンモニウム塩などが挙げられる。
(B)成分としては、上記の中でも、本発明の効果(香気維持性能、洗浄効果)がより発揮されやすいことから、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルケニルエーテル硫酸エステル塩、アルキル基を有するアルカンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩、高級脂肪酸塩(石鹸)が好ましい。
α−オレフィンスルホン酸塩としては、炭素数10〜20のものが好ましい。
アルキル硫酸エステル塩としては、炭素数10〜20のものが好ましい。
アルキルエーテル硫酸エステル塩又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩としては、炭素数10〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数10〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基を有し、平均1〜10モルのエチレンオキシドが付加されたポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、又はポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩が好ましい。
アルカンスルホン酸塩としては、炭素数10〜20、好ましくは14〜17のアルキル基を有する2級アルカンスルホン酸塩が好ましい。
α−スルホ脂肪酸エステル塩としては、炭素数10〜20のα−スルホ脂肪酸エステル塩が好ましい。
高級脂肪酸塩としては、炭素数10〜20の脂肪酸塩が好ましい。
これらの中でも、(B)成分としては、再汚染防止効果が高いことから、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、α−オレフィンスルホン酸塩及び高級脂肪酸塩からなる群より選択される少なくとも1種のアニオン界面活性剤が好ましく、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩及び高級脂肪酸塩からなる群より選択される少なくとも1種のアニオン界面活性剤がより好ましく、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩と高級脂肪酸塩との組合せが特に好ましい。
(B)成分の含有量が、前記の好ましい下限値以上であると、香気維持性能及び洗浄効果がより向上する。一方、前記の好ましい上限値を超えても、それに見合う香気維持性能及び洗浄効果の向上効果が得られにくく、経済的にも不利となる。
(C)成分は、下記一般式(C1)で表される化合物、下記一般式(C1)で表される化合物の塩(以下これらをまとめて「(C1)成分」ともいう。)、及び下記一般式(C2)で表される化合物(但し、一般式(C1)で表される化合物の塩に該当するものを除く。)(以下「(C2)成分」ともいう。)からなる群より選択される少なくとも1種である。
本発明の液体洗浄剤においては、主に(C)成分を含有することで、香気維持性能が発揮される。
前記式(C1)中、R1は、炭素数7〜27の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基を表す。R1における炭化水素基は、飽和炭化水素基であってもよく不飽和炭化水素基であってもよい。R1における炭化水素基の炭素数は、7〜25が好ましい。
R1における炭化水素基は、ヒドロキシ基及びアミノ基(−NH2)からなる群より選択される少なくとも1種の置換基を有していてもよく、炭素鎖中に連結基を有していてもよい。尚、R1が有していてもよい置換基又は連結基の炭素数は、R1における炭化水素基の炭素数7〜27に含まれないものとする。
R1における該炭素鎖中に有していてもよい連結基としては、例えばアミド基(−C(=O)−NH−)、エステル基(−C(=O)−O−)、エーテル基(−O−)が挙げられ、アミド基、エステル基が好ましい。
好ましいR1としては、例えば、−R6−R7で表される基が挙げられる。
R6は、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を表す。中でも、炭素数1〜4の直鎖状のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキレン基がより好ましい。
R7は、−NH−C(=O)−R8、又は、−O−C(=O)−R9で表される基を表す。
R8は、炭素数7〜23の炭化水素基を表し、好ましくは炭素数7〜21の炭化水素基を表す。R8における炭化水素基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、飽和炭化水素基であっても不飽和炭化水素基であってもよい。
R9は、炭素数11〜23の炭化水素基を表し、好ましくは炭素数12〜20の炭化水素基を表す。R9における炭化水素基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、飽和炭化水素基であっても不飽和炭化水素基であってもよい。
R2における炭化水素基は、置換基としてヒドロキシ基を有していてもよく、炭素鎖中に連結基を有していてもよい。尚、R2が有していてもよい連結基の炭素数は、R2における炭化水素基の炭素数1〜25に含まれないものとする。
R2における該炭素鎖中に有していてもよい連結基としては、例えばアミド基(−C(=O)−NH−)、エステル基(−C(=O)−O−)、エーテル基(−O−)が挙げられる。
上記の中でも、R2は、置換基としてヒドロキシ基を有していてもよい、炭素数1〜25の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基が好ましい。その中でも、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のヒドロキシアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基がさらに好ましい。
これらの中でも、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のヒドロキシアルキル基が好ましく、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基がより好ましい。
(C1)成分の中でも、下記一般式(C1−1)で表される化合物又はその塩が好ましい。
前記式(C1−1)中、R6、R7、R8、R9については、上述した説明と同じである。
これらの中でも、長鎖脂肪族アミドジアルキル3級アミンが好ましく、中でも、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミドとステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミドとを併用することがより好ましい。
かかる併用の場合、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド/ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミドの質量比は、10/90〜50/50が好ましく、20/80〜40/60がより好ましい。この質量比が前記の好ましい範囲内であると、香気維持性能がより発揮されやすくなり、また、液安定性が高まる。
ジアルキル(又はアルカノール)アミノアルキルアミンの使用量は、脂肪酸又は脂肪酸誘導体に対して、0.9〜2.0倍モルが好ましく、1.0〜1.5倍モルがより好ましい。
縮合反応の温度条件は、通常100〜220℃であり、好ましくは150〜200℃である。反応温度を100℃以上にすることで、反応速度を適度に保つことができ、220℃以下にすることで、得られる3級アミン化合物の着色を防止又は低減できる。
ここでの脂肪酸又は脂肪酸誘導体としては、上述の「長鎖脂肪族アミドジアルキル3級アミン」についての説明の中で例示したものと同様のものが挙げられる。
ここでのジアルキルアミノアルコールとしては、例えば、ジステアリルアミノアルコール、ジミリスチルアミノアルコール、ジオレイルアミノアルコールが挙げられる。
ジアルキルアミノアルコールの使用量は、脂肪酸又は脂肪酸誘導体に対して、0.1〜5.0倍モルが好ましく、0.3〜3.0倍モルがより好ましく、0.9〜2.0倍モルがさらに好ましく、1.0〜1.5倍モルが特に好ましい。
縮合反応の温度条件は、通常100〜220℃であり、好ましくは120〜180℃である。温度条件が前記範囲であると、適切な反応速度を維持しつつ、得られる3級アミン化合物の着色を防止又は低減できる。
また、原料として脂肪酸を用いる場合は、硫酸やp−トルエンスルホン酸等の酸触媒を用いることによって;脂肪酸誘導体を用いる場合は、ナトリウムメチラート、苛性カリ又は苛性ソーダ等のアルカリ触媒を用いることによって、低い反応温度で短時間に、より効率良く反応を進行させることができる。
また、得られる3級アミン化合物が融点の高い化合物である場合には、ハンドリング性を向上させるため、反応の後、フレーク状もしくはペレット状に成形することが好ましく、又は、エタノール等の有機溶媒に溶解して液状にすることが好ましい。
前記式(C2)中、R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜25の直鎖状もしくは分岐鎖状の炭化水素基、又は、−(CH2CH2O)q−Hで表される基(qは、1〜25の整数を表す。)を表す。
R11及びR12における炭化水素基は、それぞれ、飽和炭化水素基であってもよく、不飽和炭化水素基であってもよい。R11及びR12における炭化水素基の炭素数は、1〜20が好ましく、炭素数1〜4がより好ましい。
R11及びR12における炭化水素基は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよく、炭素鎖中に連結基を有していてもよい。尚、R11及びR12が有していてもよい置換基又は連結基の炭素数は、R11及びR12における炭化水素基の炭素数1〜25に含まれないものとする。該炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えばヒドロキシ基等が挙げられる。該炭素鎖中に有していてもよい連結基としては、アミド基(−C(=O)−NH−)、エステル基(−C(=O)−O−)又はエーテル基(−O−)等が挙げられる。
上記の中でも、R11及びR12としては、それぞれ、水素原子、置換基を有していてもよい直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基が好ましい。その中でも、水素原子、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のヒドロキシアルキル基が好ましく、水素原子、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、水素原子、メチル基がさらに好ましい。
また、R11及びR12としては、それぞれ、炭素鎖中にエステル基を有する、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭化水素基も好ましい。
R13における炭化水素基は、置換基を有していてもよく、炭素鎖中に連結基を有していてもよい。尚、R13が有していてもよい置換基又は連結基の炭素数は、R13における炭化水素基の炭素数8〜25に含まれないものとする。該炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えばヒドロキシ基等が挙げられる。該炭素鎖中に有していてもよい連結基としては、アミド基(−C(=O)−NH−)、エステル基(−C(=O)−O−)又はエーテル基(−O−)等が挙げられ、中でもエステル基が好ましい。
これらの中でも、R14としては、水素原子、炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状のヒドロキシアルキル基が好ましく、水素原子、炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、水素原子、メチル基がさらに好ましい。
(C2)成分の具体例としては、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、セトステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド等のモノ長鎖アルキル第4級アンモニウム塩;モノエステルアンモニウム塩、ジエステルアンモニウム塩、トリエステルアンモニウム塩等のエステルアンモニウム塩、又はこれらの混合物等が挙げられる。中でも、モノ長鎖アルキル第4級アンモニウム塩が好ましい。
(C)成分としては、上記の中でも、香気維持性能がより高いことから、(C1)成分が好ましい。
繊維製品用液体洗浄剤中の(C)成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して0.1〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.2〜3質量%であり、さらに好ましくは0.5〜2質量%である。
(C)成分の含有量が、前記の好ましい下限値以上であると、香気維持性能がより向上する。一方、前記の好ましい上限値を超えても、それに見合う香気維持性能が発揮されにくく、経済的にも不利となる。
かかる(B)成分/(C)成分で表される質量比(以下「(B)/(C)質量比」と表記する。)は、1〜100が好ましく、5〜50がより好ましく、15〜30がさらに好ましい。
(B)/(C)質量比が、前記の好ましい下限値以上であれば、香気維持性能及び洗浄効果がより向上する。一方、前記の好ましい上限値以下であれば、香気維持性能がより高められる。
(D)成分は、香料であり、従来、衣料用等の洗浄剤に用いられている公知のものを用いることができる。
(D)成分としては、例えば、香料成分を含有する香料組成物が挙げられる。
香料成分としては、例えば、脂肪族炭化水素、テルペン炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素類;脂肪族アルコール、テルペンアルコール、芳香族アルコール等のアルコール類;脂肪族エーテル、芳香族エーテル等のエーテル類;脂肪族オキシド、テルペン類のオキシド等のオキシド類;脂肪族アルデヒド、テルペン系アルデヒド、脂環式アルデヒド、チオアルデヒド、芳香族アルデヒド等のアルデヒド類;脂肪族ケトン、テルペンケトン、脂環式ケトン、脂肪族環状ケトン、非ベンゼン系芳香族ケトン、芳香族ケトン等のケトン類;アセタール類、ケタール類、フェノール類、フェノールエーテル類;脂肪酸、テルペン系カルボン酸、脂環式カルボン酸、芳香族カルボン酸等の酸類;酸アマイド類;脂肪族ラクトン、大環状ラクトン、テルペン系ラクトン、脂環式ラクトン、芳香族ラクトン等のラクトン類;脂肪族エステル、フラン系カルボン酸族エステル、脂肪族環状カルボン酸エステル、シクロヘキシルカルボン酸族エステル、テルペン系カルボン酸エステル、芳香族カルボン酸エステル等のエステル類;ニトロムスク類、ニトリル、アミン、ピリジン類、キノリン類、ピロール、インドール等の含窒素化合物などが挙げられる。
その中でも、香りが長く残りやすい(残香性が良い)ことから、芳香族ケトンと芳香族カルボン酸エステルとの組合せを含むものが特に好ましい。
好ましい芳香族カルボン酸エステルとしては、サリチル酸エステル(以下「(d2)成分」ともいう。)が挙げられる。(d2)成分としては、サリチル酸ヘキシル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸イソアミル、サリチル酸アミル、サリチル酸エチル、サリチル酸ブチル、サリチル酸イソブチル、サリチル酸フェニル、サリチル酸p−クレジル、サリチル酸cis−3−ヘキセニル、サリチル酸フェニルエチル、サリチル酸イソブチル、サリチル酸シクロヘキシル等が挙げられる。これらの中でも、サリチル酸ヘキシル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸イソアミル、サリチル酸アミルが好ましい。サリチル酸エステル単独では、洗浄後、爽やかな香りが香り立つ。
(d1)成分と(d2)成分とを組み合わせた香料成分は、甘く広がる香りが爽やかに香り立ち、香りが充分に認知されやすい。
(D)成分として香料組成物を用いる場合、香料組成物中の香料成分の含有量は、香料組成物の総質量に対して50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、100質量%であってもよい。
繊維製品用液体洗浄剤中の香料成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して0.01〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜3質量%であり、さらに好ましくは0.4〜2質量%である。
繊維製品用液体洗浄剤中の(D)成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して0.01〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜3質量%であり、さらに好ましくは0.5〜2質量%である。
(D)成分の含有量が、前記の好ましい下限値以上であると、繊維製品に香りが充分に賦香されやすくなる。一方、前記の好ましい上限値を超えると、香りが強く残りすぎるおそれがある。
また、(d1)成分/((d1)成分+(d2)成分)で表される質量比は、10〜50が好ましく、より好ましくは10〜30である。この質量比が、前記の好ましい下限値未満では、残香性が弱くなり、一方、前記の好ましい上限値を超えると、香りの甘さが強まり、フレッシュ感の弱い香調となるおそれがある。
「(d1)成分/((d1)成分+(d2)成分)で表される質量比」とは、香料組成物中の(d1)成分と(d2)成分との合計の質量に対する、(d1)成分の質量の割合を意味する。
[{(A)+(C)}×(B)]/(D)質量比が、前記の好ましい下限値以上であれば、香気維持性能がより高められ、加えて洗浄効果がより向上する。一方、前記の好ましい上限値以下であれば、香気維持性能がより高められる。
本発明の液体洗浄剤は、製剤の調製しやすさ、使用する際の水への溶解性等の観点から、溶媒として水を含有することが好ましい。
繊維製品用液体洗浄剤中の水の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して80質量%以下が好ましく、より好ましくは40〜75質量%であり、さらに好ましくは40〜65質量%である。
水の含有量が、前記の好ましい上限値以下であれば、液粘度が適度に低くなり、使用性の観点から良好となる。
本発明の液体洗浄剤には、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて、上述した成分以外のその他の成分を含有してもよい。
本発明の液体洗浄剤においては、上記の(A)〜(D)成分に加えて、(E)成分:シリコーン化合物をさらに含有することが好ましい。(E)成分をさらに含有することで、香気維持性能がより高められる。
本発明において、「シリコーン化合物」とは、ケイ素原子と酸素原子とが結合したシロキサン結合の繰り返し構造を有する化合物をいう。
(E)成分は、変性シリコーン化合物であってもよく、未変性シリコーン化合物であってもよい。
(E)成分としては、例えば、ジメチルシリコーン、アミノ変性シリコーン、アミノ・ポリエーテル変性シリコーン、アミド変性シリコーン、アミド・ポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルキル・ポリエーテル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。これらの中でも、香気維持性能に加えて、液体洗浄剤の外観安定性を確保しやすいことから、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーンが好ましく、ポリエーテル変性シリコーンがより好ましい。
本発明の液体洗浄剤が(E)成分をさらに含有する場合、繊維製品用液体洗浄剤中の(E)成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して0.01〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.01〜3質量%であり、さらに好ましくは0.2〜2質量%である。
(E)成分の含有量が、前記の好ましい下限値以上であると、香気維持性能がより向上する。一方、前記の好ましい上限値を超えると、それに見合う香気維持性能の向上効果が得られにくく、経済的にも不利となる。
[{(A)+(C)+(E)}×(B)]/(D)質量比が、前記の好ましい下限値以上であれば、香気維持性能がより高められ、加えて洗浄効果がより向上する。一方、前記の好ましい上限値以下であれば、香気維持性能がより高められる。
本発明の液体洗浄剤においては、上記の(A)〜(D)成分に加えて、又は、上記の(A)〜(E)成分に加えて、(F)成分:香料前駆体をさらに含有することが好ましい。(F)成分をさらに含有することで、洗濯処理・乾燥後の被洗物から感じられる香りの強さ(香気強度)がより高められる。加えて、香気維持性能がより向上する。
「香料前駆体」とは、その化合物自体は無臭又は無臭に近いものであり、液体洗浄剤の中で、又は繊維上での酸化反応等によって香りを発生するものをいう。
本発明において、(F)成分は、(D)成分の種類等に応じて適宜選択すればよく、例えば硫黄含有香料前駆体が挙げられ、好ましくは下記一般式(F1)で表される化合物が挙げられる。特に、(D)成分として(d1)成分と(d2)成分との組合せを含有する香料組成物を用いる場合、この一般式(F1)で表される化合物を併用することが好ましい。かかる併用によって、前記組合せを含有する香料組成物に特有の香りが繊維製品に充分に賦香されやすくなり、その香気の残香性が強められる。
中でも、Jとしては、化学式(J−1)で表される基、化学式(J−2)で表される基がより好ましい。
前記の化学式(J−4)中、jは、5〜20の整数を表し、好ましくは5〜15の整数を表す。
Gにおける炭化水素基の炭素数は、10〜14が好ましい。
Gにおける炭化水素基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、−OR16、−N(R16)2、−COOR16(R16は、炭素数1〜6のアルキル基もしくは炭素数1〜6のアルケニル基、又は水素原子を表す)等が挙げられる。
これらの中でも、香りの持続性を高める観点から、3−(ドデシルチオ)−1−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−3−エン−1−イル)−1−ブタノン、4−(ドデシルチオ)−4−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−2−エン−1−イル)−2−ブタノン、4−(ドデシルチオ)−4−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−1−エン−1−イル)−2−ブタノン及び3−(ドデシルチオ)−5−イソプロペニル−2−メチルシクロヘキサノンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物が好ましい。
その中でも、3−(ドデシルチオ)−1−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−3−エン−1−イル)−1−ブタノン及び4−(ドデシルチオ)−4−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−2−エン−1−イル)−2−ブタノンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物が特に好ましい。
(F)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
本発明の液体洗浄剤が(F)成分をさらに含有する場合、繊維製品用液体洗浄剤中の(F)成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して0.0001〜1質量%が好ましく、より好ましくは0.001〜0.1質量%であり、さらに好ましくは0.006〜0.04質量%であり、特に好ましくは0.01〜0.04質量%である。
(F)成分の含有量が、前記の好ましい下限値以上であると、香気強度がより高められるとともに、香気維持性能がより向上する。一方、前記の好ましい上限値を超えると、香りが強く残りすぎるおそれがある。
かかる(D)成分/(F)成分で表される質量比(以下「(D)/(F)質量比」と表記する。)は、1000以下が好ましく、20〜200がより好ましく、25〜100がさらに好ましい。
(D)/(F)質量比が、前記の好ましい上限値以下であれば、香気強度がより高められるとともに、香気維持性能がより向上する。一方、前記の好ましい下限値以上であれば、香調が維持されやすくなる。
ノニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸アルキルエステルのアルキレンオキシド付加体、高級アルコールのアルキレンオキシド付加体、アルキルフェノールのアルキレンオキシド付加体、高級脂肪酸のアルキレンオキシド付加体、高級アミンのアルキレンオキシド付加体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、脂肪酸アルカノールアミン、脂肪酸アルカノールアミド、多価アルコール脂肪酸エステル又はそのアルキレンオキシド付加体、多価アルコール脂肪酸エーテル、アルキルアミンオキシド、アルケニルアミンオキシド、硬化ヒマシ油のアルキレンオキシド付加体、糖脂肪酸エステル、N−アルキルポリヒドロキシ脂肪酸アミド、アルキルグルコシド等が挙げられる。これらの中でも、脂肪酸アルキルエステルのアルキレンオキシド付加体、高級アルコールのアルキレンオキシド付加体が好ましい。
両性界面活性剤としては、例えば、アルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、イミダゾリン型、アルキルアミノスルホン型、アルキルアミノカルボン酸型、アルキルアミドカルボン酸型、アミドアミノ酸型又はリン酸型の両性界面活性剤等が挙げられる。
(B)成分以外の界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。(B)成分以外の界面活性剤としては、中でも洗浄効果がより高まることから、ノニオン界面活性剤が好ましい。
「ノニオン界面活性剤/(B)成分で表される質量比」とは、繊維製品用液体洗浄剤に含まれる(B)成分の含有量(質量%)に対する、ノニオン界面活性剤の含有量(質量%)の割合を意味する。
「水混和性有機溶媒」とは、25℃のイオン交換水1Lに50g以上溶解する有機溶媒をいう。
水混和性有機溶媒としては、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール等のアルコール類;プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、重量平均分子量が約200のポリエチレングリコール、重量平均分子量が約400のポリエチレングリコール、重量平均分子量が約1000のポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のポリグリコール類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のアルキルエーテル類などが挙げられる。
水混和性有機溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
pH調整剤としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸;p−トルエンスルホン酸、クエン酸等の有機酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカノールアミン等が挙げられ、液安定性の面から、塩酸、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカノールアミンが好ましい。pH調整剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
繊維製品用液体洗浄剤のpH(25℃)は、試料を25℃に調整し、pHメーターにより測定される値を示す。
本発明の繊維製品用液体洗浄剤は、水中でマイナスイオンを生じる(A)成分及び(B)成分と、水中でプラスイオンを生じる(C)成分と、香料である(D)成分と、を含有する。この繊維製品用液体洗浄剤を水に加えて調製される洗浄液中では、静電的な相互作用によって、(A)成分及び(B)成分と、(C)成分と、の複合体が形成される。そして、この複合体に、疎水性相互作用によって、(D)成分における多様な香料成分が吸着する。これにより、洗浄の際、多様な香料成分が吸着した複合体、が繊維製品に付着するため、洗濯後の繊維製品の香りは、液体洗浄剤の香気が維持される、と考えられる。
また、前記の複合体は、静電的な相互作用によって形成されているため、カチオン強度が低くなっている。このため、洗浄中、複合体が、繊維製品に過剰に付着することがなく、適度な量で付着する。この効果は、表面にマイナスを帯びやすい綿繊維の場合に顕著である。これにより、洗浄の際、再汚染が抑制されることで、洗浄効果が高められる、と考えられる。
上記のように、(A)成分及び(B)成分と、(C)成分と、(D)成分と、が組み合わされた本発明の液体洗浄剤は、繊維製品用という用途の洗浄剤として特に適している。
本実施例において使用した原料は下記の通りである。
A−1:メチルグリシン二酢酸三ナトリウム、商品名「トリロンM liquid」、BASF社製。一般式(A2)中、X21=ナトリウム、X22=ナトリウム、X23=ナトリウム、R20=水素原子、n=1。
B−1:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム。中和物が表に示す含有量となるように、原料として直鎖アルキル(該アルキルの炭素数10〜14)ベンゼンスルホン酸(商品名「ライポンLH−200」、ライオン株式会社製、純分96質量%)が用いられ、水酸化ナトリウムで中和されたもの。
B−2:ヤシ脂肪酸ナトリウム。中和物が表に示す含有量となるように、原料としてヤシ脂肪酸(日油株式会社製)が用いられ、水酸化ナトリウムで中和されたもの。
C−1:C16−18アミドアミン、商品名「カチナールMPAS−R」、東邦化学工業株式会社製。一般式(C1)中、R1=R−C(=O)−NH−(CH2)3−、RはC17H35/C15H31=7/3(質量比)。R2=メチル基、R3=メチル基。
C−2:塩化アルキル(炭素数16〜18)トリメチルアンモニウム、商品名「アーカードT−800」、ライオン・アクゾ株式会社製。
D−1:表1に示す香料組成物(a)。
D−2:表1に示す香料組成物(b)。
D−3:表1に示す香料組成物(c)。
・・(E)成分
E−1:ポリエーテル変性シリコーン、商品名「ポリエーテル変性シリコーンCF1188N」、東レ・ダウコーニング株式会社製。
F−1:3−(ドデシルチオ)−1−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−3−エン−1−イル)−1−ブタノン。特表2005−511710号公報の例4に記載の化合物。上記一般式(F1)における、Jが化学式(J−1)(3,4位間に二重結合を有する)で表される基、Gがドデシル基、Qが水素原子である化合物。
F−2:4−(ドデシルチオ)−4−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−2−エン−1−イル)−2−ブタノン。原料としてドデカンチオール(東京化成工業株式会社製)とβヨノン(ヴェ・マンフィス香料株式会社製)とを用い、特表2005−511710号公報の例4に記載の合成方法と同様にして合成した化合物。上記一般式(F1)における、Jが化学式(J−2)(1,2位間に二重結合を有する)で表される基、Gがドデシル基、Qが水素原子である化合物。
AE:天然アルコール(商品名「CO−1214」、プロクター・アンド・ギャンブル社製;炭素数12のアルコールと炭素数14のアルコールとの混合物)に、15モル相当のエチレンオキシドを付加したもの。下記の合成方法により合成されたもの。
[AEの合成方法]
天然アルコール(商品名「CO−1214」)861.2gと、NaOH30質量%水溶液2.0gと、を耐圧型反応容器に入れ、容器内を窒素置換した。次に、温度100℃、圧力2.0kPa以下で30分間脱水した後、温度を160℃まで昇温した。次いで、反応液を撹拌しながら、エチレンオキシド(ガス状)760.6gを反応液中に徐々に加えた。このとき、吹き込み管を使って、反応温度が180℃を超えないように、添加速度を調節しながら加えた。エチレンオキシドの添加終了後、温度180℃、圧力0.3MPa以下で30分間熟成した。この後、温度180℃、圧力6.0kPa以下で10分間、未反応のエチレンオキシドを留去した。次に、温度を100℃以下まで冷却し、その後、反応物の1質量%水溶液のpHが約7になるように、70質量%p−トルエンスルホン酸を加えて中和してAEを得た。
[MEEの合成方法]
MEEを、特開2000−144179号公報に記載の合成方法(サンプルDに対応するもの)に準じて合成した。
組成が2.5MgO・Al2O3・wH2Oである水酸化アルミナ・マグネシウム(商品名「キョーワード330」、協和化学工業株式会社製)を600℃で1時間、窒素雰囲気下で焼成して得られた焼成水酸化アルミナ・マグネシウム(未改質)触媒2.2gと、0.5Nの水酸化カリウムエタノール溶液2.9mLと、ラウリン酸メチルエステル280gと、ミリスチン酸メチルエステル70gと、を4Lオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内で触媒の改質を行った。次いで、オートクレーブ内を窒素で置換した後、昇温を行い、温度を180℃、圧力を3×105Paに維持しつつ、エチレンオキシド1052gを導入し、撹拌しながら反応させた。さらに、反応液を80℃に冷却し、水159gと、濾別助剤として活性白土及び珪藻土をそれぞれ5gと、を添加した後、触媒を濾別してMEEを得た。
エタノール:商品名「特定アルコール95度合成」、日本アルコール販売株式会社製。
安息香酸Na:商品名「安息香酸ナトリウム」、東亞合成株式会社製。
イソチアゾロン液:5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン/2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン/マグネシウム塩/水の混合液、商品名「ケーソンCG」、ローム・アンド・ハース社製。
着色剤:商品名「緑色3号」、癸巳化成株式会社製。
pH調整剤:水酸化ナトリウム(鶴見曹達株式会社製)、硫酸(関東化学株式会社製)。
水:精製水。
表2〜4に示す組成(配合成分、含有量(質量%))に従い、下記の製造方法により各例の液体洗浄剤をそれぞれ調製した。表に示す含有量は、配合成分の含有量(純分換算量)を示す。表中、空欄は、その配合成分が配合されていないことを意味する。
「(D)/(F)質量比」は、(D)成分/(F)成分で表される質量比、と同義であり、液体洗浄剤に含まれる(F)成分の含有量(質量%)に対する、(D)成分の含有量(質量%)の割合を意味する。
「[{(A)+(C)}×(B)]/(D)質量比」は、[{(A)成分+(C)成分}×(B)成分]/(D)成分で表される質量比、と同義である。
「[{(A)+(C)+(E)}×(B)]/(D)質量比」は、[{(A)成分+(C)成分+(E)成分}×(B)成分]/(D)成分で表される質量比、と同義である。
pH調整剤の含有量を示す「適量」は、液体洗浄剤のpHを7.0に調整するのに要した水酸化ナトリウムと硫酸との合計量である。
水の含有量を示す「バランス」は、液体洗浄剤の全体を100質量%とするのに要した量である。
AE 15質量%、PEG 5質量%、エタノール 5質量%、安息香酸Na 0.5質量%、イソチアゾロン液 0.01質量%、着色剤 0.0001質量%、pH調整剤 適量、水 バランス。
MEE 30質量%、PEG 5質量%、エタノール 5質量%、安息香酸Na 0.5質量%、イソチアゾロン液 0.01質量%、着色剤 0.0001質量%、pH調整剤 適量、水 バランス。
MEE 20質量%、PEG 5質量%、エタノール 5質量%、安息香酸Na 0.5質量%、イソチアゾロン液 0.01質量%、着色剤 0.0001質量%、pH調整剤 適量、水 バランス。
各例の液体洗浄剤を下記の手順で調製した。
500mLのビーカーに、水と(B)成分とを加えて、撹拌子を入れ、スターラー(MAGNETIC STIRRER SW−RS077 NISSIN社製)を用いて均一になるまで撹拌した。次いで、(A)成分と、(C)成分のエタノール溶液(濃度50質量%)と、クエン酸と、をそれぞれ均一に溶解したことを確認しながら加えた。次いで、(E)成分のエタノール溶液(濃度50質量%)と、水を除く共通成分と、を順に添加し、均一になるまで撹拌した。最後に、(D)成分を加え、均一になるまで撹拌して、各例の液体洗浄剤をそれぞれ調製した。液体洗浄剤のpHを7.0に調整した。
前記の撹拌操作は、温度条件については特に制御せずに室温で行い、撹拌速度については、撹拌子の回転数を制御して行った。
最後に加えられる(D)成分を、(D)成分と(F)成分とがエタノールに溶解したエタノール溶液に変更した以外は、上記(実施例1〜17、比較例1〜5)と同様にして、各例の液体洗浄剤をそれぞれ調製した。液体洗浄剤のpHを7.0に調整した。
各例の液体洗浄剤について、以下に示す評価方法により「香気維持度」、「香気強度」及び「洗浄効果」の評価をそれぞれ行った。その結果を表2〜4に併記した。
1)洗濯処理
全自動電気洗濯機(製品名「JW−Z23A」、Haier社製)を用い、この洗濯機に、綿タオル(220片ボーダー FT、株式会社東進)8枚と、水道水12Lと、表に示す濃度となるように各例の液体洗浄剤と、を投入した。例えば、水道水12Lに対して、液体洗浄剤の使用量を8gとすることで、洗浄液中の液体洗浄剤濃度を667mg/Lに調製できる。水道水12Lに対して、液体洗浄剤の使用量を4gとすることで、洗浄液中の液体洗浄剤濃度を333mg/Lに調製できる。
次いで、前記全自動電気洗濯機の標準コースにより、浴比20倍(低水位:12L)で、洗濯処理を行った。
該洗濯処理の後、温度25℃及び相対湿度65%RHの環境下で18時間乾燥した。
前記の洗濯処理に用いる液体洗浄剤の香気と、前記の洗濯処理・乾燥後の綿タオルの香気と、を官能評価した。官能評価は、専門パネラー10名が直接に嗅ぐ方法により行った。
前記の洗濯処理に用いる液体洗浄剤の香気は、シャーレに、各例の液体洗浄剤1gをそれぞれ滴下した際に香る臭いを嗅ぐことにより評価した。
前記の洗濯処理・乾燥後の綿タオルの香気は、洗濯処理・乾燥後の綿タオルの臭いを嗅ぐことにより評価した。
そして、両方の香気の違いの度合いを、下記の評価基準(1)に基づいて点数化し、専門パネラー10名の平均値を算出した。
3点:シャーレ上の液体洗浄剤の香気と、洗濯処理・乾燥後の綿タオルの香気とが、全く同じに感じられる。
2点:シャーレ上の液体洗浄剤の香気と、洗濯処理・乾燥後の綿タオルの香気とが、やや異なるように感じられる。
1点:シャーレ上の液体洗浄剤の香気と、洗濯処理・乾燥後の綿タオルの香気とが、かなり異なるように感じられる。
0点:シャーレ上の液体洗浄剤の香気と、洗濯処理・乾燥後の綿タオルの香気とが、全く異なるように感じられる。
評価基準(2)
◎◎:2.5点以上。
◎:2.0点以上2.5点未満。
○:1.5点以上2.0点未満。
×:1.5点未満。
かかる平均値が高いほど、香気維持度が高く、即ち、洗浄の際、液体洗浄剤の香気を維持したまま繊維製品に賦香できていること、を意味する。
上記の洗濯処理・乾燥後の綿タオルの香気を、温度25℃及び相対湿度50RHの条件下で7日間保管した後、官能評価した。官能評価は、専門パネラー10名が直接に臭いを嗅ぐ方法により行った 。
そして、綿タオルの香気強度の違いを、下記の評価基準(3)に基づいて点数化し、専門パネラー10名の平均値を算出した。
5点:強烈なにおい。
4点:強いにおい。
3点:楽に感知できるにおい。
2点:何のにおいであるか、を感知できる弱いにおい。
1点:やっと感知できるにおい。
0点:無臭。
評価基準(4)
◎◎:3.5点以上。
◎:3.0点以上3.5点未満。
○:2.5点以上3.0点未満。
×:2.5点未満。
かかる平均値が高いほど、香気強度が高く、即ち、一定期間の経過後も香気強度が維持されていること、を意味する。
洗浄の際の再汚染性を判定するための布(再汚染性判定布)として、綿肌シャツ(BVD社製の肌シャツ:G0134TS、綿100%)を5cm×5cmに裁断したものを用意した。
湿式人工汚染布として、財団法人洗濯科学協会製の5cm×5cmサイズのものを用いた。汚れの組成は、オレイン酸28.3質量%、トリオレイン15.6質量%、コレステロールオレート12.2質量%、流動パラフィン2.5質量%、スクアレン2.5質量%、コレステロール1.6質量%、ゼラチン7.0質量%、泥29.8質量%、カーボンブラック0.5質量%である。
また、25℃の3°DH硬水に、表に示す濃度となるように各例の液体洗浄剤をそれぞれ溶解して、洗浄液を調製した。
ラウンドリーテスター(FI−301、テスター産業株式会社製)を用い、ステンレス製試料瓶(500±50mL)に、前記の洗浄液200mLと、前記の再汚染性判定布5枚と、前記の湿式人工汚染布20枚と、前記の綿肌シャツを細かく(3cm×3cm程度)裁断したものと、を投入し、浴比を10倍に合わせ、20rpm、25℃で25分間洗浄操作を行った。
洗浄操作の後、全部の被洗物を取り出して1分間脱水した。この後、前記ステンレス製試料瓶に、25℃の3°DH硬水200mLを入れ、ここに、脱水後の被洗物を投入し、40rpm、25℃で3分間すすぎ操作を行った。かかるすすぎ操作を2回繰り返した。
乾燥操作:
2回目のすすぎ操作後の被洗物を1分間脱水した。この後、再汚染性判定布のみを取り出し、ろ紙に挟んでアイロンで乾燥した。
次に、反射率計(分光式色差計 SE2000、日本電色工業株式会社製)を用い、再汚染性判定布5枚の反射率をそれぞれ測定し、Z値(洗浄後のZ値)として算出した。次いで、予め測定し算出した洗浄前のZ値から、洗浄後のZ値を引いた値(差)を求め、この値(差)について5枚の平均値を算出し、ΔZとした。
そして、下記の評価基準(5)に基づいて、再汚染性を評価した。
評価基準(5)
◎◎:ΔZが8以下。
◎:ΔZが8より大きく12以下。
○:ΔZが12より大きく16以下。
×:ΔZが16以上。
かかるΔZが小さいほど、再汚染を生じにくく、洗浄効果が高められていることを意味する。
(B)成分を欠く比較例2の液体洗浄剤は、香気維持性能及び洗浄効果がいずれも低かった。
(C)成分を欠く比較例3、及び、(D)成分を欠く比較例4の液体洗浄剤は、いずれも、洗浄効果は良いものの、香気維持性能が低かった。
Claims (5)
- (A)成分:下記一般式(A1)で表される化合物、及び下記一般式(A2)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種と、
(B)成分:アニオン界面活性剤と、
(C)成分:下記一般式(C1)で表される化合物、下記一般式(C1)で表される化合物の塩、及び下記一般式(C2)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種と、
(D)成分:香料と、
ノニオン界面活性剤と、を含有し、
前記(B)成分の含有量は、繊維製品用液体洗浄剤の総質量に対して3〜25質量%であり、
前記ノニオン界面活性剤/前記(B)成分で表される質量比は、0.5〜4である、繊維製品用液体洗浄剤。
Z−は、対アニオンを表す。] - [{前記(A)成分+前記(C)成分}×前記(B)成分]/前記(D)成分で表される質量比は、10〜100である、請求項1に記載の繊維製品用液体洗浄剤。
- 前記(B)成分/前記(C)成分で表される質量比は、5〜50である、請求項1又は2に記載の繊維製品用液体洗浄剤。
- (E)成分:シリコーン化合物をさらに含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の繊維製品用液体洗浄剤。
- (F)成分:香料前駆体をさらに含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の繊維製品用液体洗浄剤。
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