JP4969437B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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Description

本発明は、生理用ナプキンや使い捨ておむつなどの吸収性物品に関する。
従来、生理用ナプキンや使い捨ておむつ等の体液吸収性物品は、透液性表面シートと、不透液性裏面シートと、これら両シートの間に介在する吸液性コアとで構成されている。表面シートとしては、不織布や穿孔された合成樹脂フィルムが使用される。そして、表面シートとして、導液管を有する開孔シートや、畝溝構造を有するシート等の様々な形状を付与したものを用いることで、肌触りや吸収性を向上させる提案がなされている(例えば特許文献1参照)。また、表面シート及び吸収体に連続的な窪みである圧搾溝を形成し、防漏性や可撓性を向上させる提案もなされている(例えば特許文献2参照)。
特開平11−342154号公報 特開2006−325639号公報
特許文献1には、畝溝構造を有する表面シートを有し、幅方向の内側に向かって凸状に湾曲した圧搾条溝が形成された吸収性物品が記載されている。この吸収性物品においては、表面シートの畝溝構造が、原反シートを波状に加工して形成されているので、圧搾条溝等の形成に起因して畝部が吸収体へ固着されことによって表面シートが潰され易い。そして、その影響が、固着された畝部で広がり易い。さらに、圧搾条溝の湾曲した形状に起因して、表面シートの潰される範囲が広がってしまうので、畝溝による体液の縦拡散効果が喪失し易い。また、表面シートによるクッション効果(柔軟弾性)も薄れてしまう。
特許文献2には、幅方向の外方に向かって凸状に湾曲した圧搾条溝が、中央部に形成された吸収性物品が記載されている。圧搾条溝のうち、長手方向に延びる部分には、その一部に幅方向に内向きに窪んだ部分が存在している。このような形状の圧搾条溝も、上述した特許文献1と同様に、表面シートによる液拡散効果とクッション感(柔軟弾性)の喪失の原因となりやすい。
本発明の目的は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る吸収性物品を提供することにある。
本発明は、肌当接面側に配された液透過性の表面シート、非肌当接面側に配された裏面シート及びこれら両シート間に配された吸収体を具備する縦長の吸収性物品において、
前記物品は、排泄部対向領域と、該領域の前記物品長手前後方向に位置する前方領域及び後方領域を有し、
前記物品は、該物品の長手方向に延びる畝部と溝部を交互に有し、該溝部に開孔を有する不織布からなる前記表面シートを備え、
前記物品の長手方向に延び、かつ前記表面シート及び前記吸収体を一体的に圧縮してなる側方溝が、前記排泄部対向領域における幅方向の左右の側部域に形成されており、
前記側方溝は、前記排泄部対向領域において、前記表面シートに形成された前記畝部と略平行な直線部分を有し、かつ前記排泄部対向領域と前記前方領域及び前記後方領域それぞれとの境界域において、該直線部分の端部に連結して幅方向の中央方向又は外方向に向かう斜行部分を有し、
前記側方溝内に、該側方溝の延びる方向に沿って、高圧搾部及び低圧搾部が交互に形成されている吸収性物品を提供するものである。
本発明の吸収性物品は、包装状態にある使用前及び使用中において、吸収体の変形に対する表面シートの追従性が良く、また表面シートの潰れが防止されるので、表面シートが吸収体から浮き上がらず、吸収性に優れ、装着感等の使用感が良好であり、通気性に優れたものとなる。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には、本発明の吸収性物品の一実施形態である生理用ナプキンをその表面シート側からみた平面図が示されている。図2は、図1におけるII−II線断面図である。
ナプキン1は平面視して縦長の形状のものである。ナプキン1は、肌当接面側に位置する表面シート10、非肌当接面側に位置する裏面シート11及び両シート間に介在配置された吸収体12を備えている。吸収体12は平面視して縦長の形状をしている。表面シート10及び裏面シート11は、吸収体12の前後端縁及び左右側縁から外方にそれぞれ延出している。吸収体12の左右側縁から外方に延出した表面シート10は、吸収体12の下面側に巻き込まれている。ナプキン1の左右の側部域における表面シート上には、防漏カバーシート14が、ナプキン1の長手方向に延びるように配されている。各防漏カバーシート14におけるナプキン1の幅方向内側寄りの側縁部は表面シート10上に位置しており、かつ表面シート10から離間している自由縁になっている。図示していないが、この自由縁には、ナプキン1の長手方向に沿って弾性部材が伸長状態で配置されていてもよい。これによって、防漏カバーシート14の内側寄りの側縁部が表面シート10から一層離間しやすくなり、該シート14による防漏効果が一層高まる。
吸収体12の左右側縁から外方に延出した防漏カバーシート14は、同じく吸収体12の左右側縁から外方に延出した裏面シート11と接合している。上述したウイング部13は、これら防漏カバーシート14と裏面シート11との接合体から構成されている。ナプキン1の幅方向中央域における非肌当接面、すなわち裏面シート11の表面には、ナプキン1を下着に固定するための粘着部15aが、ナプキン1の長手方向に延びるように形成されている。また、ウイング部13の下着対向面には、ウイング部13を下着に固定するための粘着部15bが形成されている。
ナプキン1は、着用時に着用者の排泄部に対向配置される排泄部対向領域Aを有している。更に排泄部対向領域Aから前後方向に延びる前方領域B及び後方領域Cを有している。前方領域Bは、排泄部対向領域Aよりも着用者の腹側(前方)に配される。後方領域Cは、排泄部対向領域Aよりも着用者の背側(後方)に配される。
本明細書において、「肌当接面」は、ナプキン着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、「非肌当接面」は、ナプキン着用時に下着側(着用者の肌側とは反対側)に向けられる面である。また、「長手方向」は、ナプキン又は各種部材の長手方向に沿う方向であり、「幅方向」は、長手方向と直交する方向である。
ナプキン1には、表面シート10及び吸収体12を一体的に圧縮してなる側方溝60が、ナプキン1の長手方向に延びるように、ナプキン1の幅方向の左右の側部域に形成されている。側方溝60は、前方領域Bから後方領域Cまでにわたり延在している。また、ナプキン1には、表面シート10及び吸収体12を一体的に圧縮してなる前方溝71及び後方溝72が、ナプキン1の幅方向に延びるように、排泄部対向領域Aの前後の領域、すなわち前方領域B及び後方領域Cにそれぞれ形成されている。側方溝60並びに前方溝71及び後方溝72は、表面シート10及び吸収体12を、熱を伴うか又は伴わずに肌当接面側から圧縮することによって形成されている。
側方溝60は、連続した一条の溝になっている。同様に、前方溝71及び後方溝72も、連続した一条の溝になっている。しかし、これらの溝は連続して形成されていることを要せず、全体として連続しているとみなせる程度に不連続な圧縮部位の集合体から構成されていてもよい。例えば、円形、四角形、ハート形、ダイヤ形などの形状を有する不連続な圧縮部位の集合体によって、全体として連続とみなせる溝が形成されていてもよい。
前方領域Bにおける各側方溝60の端部と、前方溝71の左右の端部とは連結している。同様に、後方領域Cにおける各側方溝60の端部と、後方溝72の左右の端部とは連結している。それによって、これらの溝は全体として閉じた形状をなしている。
側方溝60は、吸収体12の側縁からやや内側に位置している。側方溝60は、排泄部対向領域Aにおいて、ナプキン1の長手方向に延びる直線部分(直線溝)60Aを有する。同様に、側方溝60は、前方領域B及び後方領域Cにおいても、ナプキン1の長手方向に延びる直線部分60B,60Cを有する。直線部分60B,60Cは、直線部分60Aの延長線上に位置している。したがって一対の直線部分60A間の距離と、一対の直線部分60B間の距離と、一対の直線部分60C間の距離は同じになっている。
排泄部対向領域Aと前方領域Bとの境界域において、側方溝60は、直線部分60Aの前端部に連結するとともに幅方向の中央方向であってかつ長手方向の前端部方向へ向かう斜行部分(斜行溝)60Dを有している。同様に、排泄部対向領域Aと後方領域Cとの境界域において、側方溝60は、直線部分60Aの後端部に連結するとともに幅方向の中央方向であってかつ長手方向の後端部方向へ向かう斜行部分(斜行溝)60Eを有している。
さらに、排泄部対向領域Aと前方領域Bとの境界域において、側方溝60は、直線部分60Bの後端部に連結するとともに幅方向の中央方向であってかつ長手方向の中央方向へ向かう斜行部分(斜行溝)60Fを有している。同様に、排泄部対向領域Aと後方領域Cとの境界域においては、側方溝60は、直線部分60Cの前端部に連結するとともに幅方向の中央方向であってかつ長手方向の中央方向へ向かう斜行部分(斜行溝)60Gを有している。
排泄部対向領域Aと前方領域Bとの境界域において、斜行部分60D,60Fは互いに交わって、全体として幅方向内方へ向けてくびれたく字状をなしている。同様に、排泄部対向領域Aと後方領域Cとの境界域において、斜行部分60E,60Gは互いに交わって、全体として幅方向内方へ向けてくびれたく字状をなしている。このく字状のくびれた部分によって、排泄部の前後の位置で急激に湾曲する身体形状に適合してナプキン1が変形するための幅方向可撓軸を、ナプキン1に形成する効果が奏される。この効果によってナプキン1が着用者の身体にフィットしやすくなる。また、く字状のくびれた部分によって、ナプキン1の前後方向へ液が過度に拡散することが抑制される効果も奏される。
後述するように、表面シート10が畝溝構造を有するものである場合には、上述のく字状にくびれた部分が存在することによって、畝部が潰れにくくなり、また倒れにくくなって、該畝部を起立させておきやすいという利点もある。この利点は、く字状にくびれた部分が、ナプキン1の長手方向における非常に小さな領域に形成されている場合に、一層顕著なものとなる。また、畝溝構造を有する表面シート10の実質厚みが見掛け厚みの60〜70%である場合にも、一層顕著なものとなる。
図3には、表面シート10の要部拡大図が示されている。図4は、図3におけるIV−IV線断面図である。図3及び図4に示す表面シート10は、第1の面10aと、これに対向する第2の面10bとを有する。第1の面10aは、着用者の肌側を向く面である。第2の面10bは、吸収体側を向く面である。表面シート10は、それぞれナプキン1の長手方向Yに延びる畝部20及び溝部30を有する。畝部20及び溝部30は、それらの延びる方向Yと直交する方向X(すなわちナプキン1の幅方向)にわたって交互に配列されている。畝部20は、表面シート10における相対的に厚みの大きな部位から構成されており、溝部30は、表面シート10における相対的に厚みの小さな部位から構成されている。その結果、畝部20の実質厚みは、溝部30の厚みよりも大きい。ここで実質厚みとは、表面シート10の裏面から各々の最上部までの長さではなく、表面シート10の繊維が存在する部分の長さを意味する。
図4に示すように、畝部20は、その延びる方向と直交する方向(図中、Xで示す方向)での断面において、第1の面10aの側は、上に凸の滑らかな曲線を描く輪郭となっている。第2の面10bの側は、下に凸の滑らかでかつ緩やかな曲線を描く輪郭となっている。畝部20における第1の面10aの側は、第2の面10bの側よりも高く盛り上がっており、これが周期的に連続している。これによって第1の面10aの側は、X方向に沿って波形形状になっている。したがって、表面シート10の第1の面10a側が着用者の肌と接する場合には、畝部20の頂部及びその近傍の領域が部分的に接触することになり、全面接触に起因する蒸れによるべたつき感や、こすれに起因する刺激感が低減される。また、着用者から排泄された液が、着用者の肌に付着しづらくなる。
畝部20の形状は上述の形状に限られず、例えば図5(a)に示すように、第2の面10bの側が、上に凸の滑らかでかつ緩やかな曲線を描く輪郭となっている場合や、図5(b)に示すように、第2の面10bの側が平坦である場合もある。このような形状の相違は、主として表面シート10の製造条件に依存する。
畝部20は、表面シート10の構成繊維で満たされている。つまり畝部20内には空洞は存在していない。同様に、溝部30のうち、後述する開孔31が形成されていない部位は、表面シート10の構成繊維で満たされている。但し、後述するように、畝部20の繊維量と、溝部30の繊維量とは相違している。
図4に示すように、畝部20は、X方向での断面において、第1の面10a側に頂部21を有し、この部位において実質厚みが最も大きくなっている。そして、X方向に関し、頂部21から離れるに連れ実質厚みが漸減している。したがって、表面シート10は、そのX方向に沿ってみたときに、実質厚みが周期的に変化したものとなっている。図には示していないが、畝部20は、その延びる方向(図4中、紙面と直交する方向)において、頂部21における実質厚みは何れの位置においてもほぼ同じになっている。本実施形態の表面シート10において、畝部20と溝部30との間に明確な境界部は存在せず、一般に、X方向に関して隣り合う2つの頂部21間に位置する最も実質厚みの小さい部位及びその近傍の部位が溝部30となる。畝部20と溝部30との境界を明確に定義する場合には、畝部20の頂部21における見掛け厚みの1/2の厚みの位置を、畝部20と溝部30との境界部とする。
畝部20の見掛け厚みは、表面シート10の肌触りを良好にする観点から、好ましくは0.3〜5mmであり、更に好ましくは0.5〜2.5mmである。畝部20と溝部30との高低差D(図4参照)は、表面シート10のクッション性及び通気性を高め、更に液の拡散を制御する観点から、0.1〜3mmが好ましく、0.3〜2mmがより好ましい。畝部20及び溝部30の厚みや高低差Dは、マイクロスコープVH‐8000(キーエンス製)を用い、表面シート10の断面を50倍〜200倍に拡大観察して測定する。断面は、フェザー剃刀(品番FAS‐10、フェザー安全剃刀(株)製)を用い、表面シート10を切断して得る。
表面シート10のX方向における畝部20の幅は、肌触りと吸収性の観点から、1〜10mmが好ましく、2〜5mmがより好ましい。同様の観点から、表面シート10のX方向における溝部30の幅は、0.5〜7mmが好ましく、1〜3mmが好ましい。本実施形態においては、畝部20と溝部30は同じ幅で形成されているが、これに限られず例えば表面シート10のX方向の中央域における畝部20の幅を、側部域における畝部20の幅よりも広くしてもよい。あるいは、畝部20及び溝部30の幅をランダムにするなど、所望の形態とすることができる。
畝部20の実質厚みは、見掛け厚みの60〜100%、特に70〜100%であることが好ましい。畝部20の実質厚みそれ自体は、最も大きい部位(頂部21)において0.2〜4mm、特に0.3〜3mmであることが好ましい。畝部20がこのような厚みであると、畝部20が倒れにくくなり、表面シート10のクッション性が良くなり、更に液の吸収性(液通過性)が良好となる。また、畝部20の実質厚みが、見掛け厚みより薄い場合、具体的には90%以下の場合には、表面シート10を有する吸収性物品の使用時に、該吸収性物品が湾曲形状に変形しても、表面シート10と吸収体との間に生じる隙間が大きくなることが防止される。また表面シート10が着用者の肌に柔軟にフィットする。なお、溝部30の実質厚みは、0.1〜1mmである。
畝部20と溝部30では、実質的な坪量が異なっている。換言すれば、畝部20と溝部30では繊維量が異なっている。具体的には、溝部30に比べて畝部20の方が、繊維量が実質的に多くなっている。畝部20及び溝部30がこのように形成されていることで、畝部20を潰れにくくしつつ、柔軟に変形させることが可能となっている。畝部20及び溝部30の繊維量を坪量で表すと、畝部20の坪量は、30〜150g/m2、特に40〜100g/m2であることが好ましい。一方、溝部30の坪量(但し開孔は除く)は、10〜70g/m2、特に15〜50g/m2であることが好ましい。表面シート10の全体としての坪量は、20〜80g/m2、特に30〜80g/m2であることが好ましい。畝部20の坪量は、表面シート全体の重量を計測した後、溝部30を除去した畝部20の重量と面積から求める。畝部20と溝部30との境界の判断は、開孔31の幅と溝部30の幅が同程度のときは、開孔31の幅方向端部を複数連ねて見たときの位置とする。溝部30の幅が開孔31の幅より広い場合は、見掛け厚みの測定の場合と同様に、測定する表面シート10の断面形状に基づき、変曲点を基準点(優先)とするか、45°の傾き位置を基準点とする。この上下2点の基準点を結ぶ直線で表面シート10を切断し、畝部20を得てその重量を測定する。溝部30の重量は、切断前の表面シート10の重量と、畝部20の重量との差を求め、開孔31に相当する面積を更に差し引いて求める。溝部30の坪量の算出には、開孔31を含めた溝部30の面積と開孔31の面積が必要となるため、後述する画像解析装置等を使用して計測しておく。
また、畝部20は、その頂部21における繊維密度が、溝部30の繊維密度、特に開孔31の端部の繊維密度と異なっている。詳細には、畝部20の頂部21に比較すると、溝部30、特に開孔31の端部の方が、繊維密度が高くなされている。その結果、着用者から液は、畝部20の頂部21から溝部30の開孔31の端部へと導かれ易くなっている。繊維密度そのものの値で比較すると、畝部20の頂部21における繊維密度は0.01〜0.1g/cm3であることが好ましい。開孔31の端部の繊維密度は0.05〜0.5g/cm3であることが好ましい。繊維密度は、次の方法で測定する。先ず、畝部20の密度を見掛け厚み及び坪量から算出する。次に表面シート10の切断面を、電子顕微鏡を用いて拡大観察(150〜500倍)し、繊維の断面10個が含まれる部分の面積(最外繊維の外面を直線で結んだ面積)を、後述する画像解析装置を使用して、畝部20及び開孔31の端部で計測する。その面積の比較から開孔31の端部の繊維密度を算出する。繊維の占める面積が低いほど繊維密度は高いことになる。
図3に示すように、溝部30には開孔31が多数形成されている。開孔31は溝部30の延びる方向に沿って一定の間隔をおいて規則的に形成されている。したがって、表面シート10には、そのY方向に沿って一定の間隔をおいて配置された多数の開孔31からなる開孔列が、表面シート10のX方向にわたって多列に形成された状態になっている。すべての開孔列における開孔31の配置のピッチは同じになっている。隣り合う2つの開孔列においては、表面シート10のX方向に関して開孔31が同位置に位置している。そして、シート10のX方向に沿ってシート全域を見たときに、必ず開孔31が形成されていない部位が存在するように該開孔31は配置されている。更に、表面シート10全体で見ると、開孔31は、シート10のX方向において多列の列をなし、かつY方向においても多列の列をなすように分散配置されている。開孔31がこのように配置されていることで、開孔31が例えば千鳥格子状に配置されている場合に比較して、繊維のより分けによる開孔31の形成を効率的に行うことができる。
開孔31は、表面シート10の構成繊維がより分けられて形成されている。そして、開孔31の端部付近においては、繊維の熱変形に起因する膜状構造が形成されていないか、又は繊維の潰れなどの変形が生じていない。これに起因して、開孔31の端部付近は、剛性が低く、変形に対する柔軟性及び形状復元性に優れている。また、液が通過する構造になっているので、開孔31の端部付近に液が溜まることがない。なお、表面シート全体として見ると、その構成繊維は、基本的に繊維どうしが交絡しているか、又は繊維どうしが融着している。これによって不織布の形態が維持されている。
開孔31は、表面シート10の平面視において種々の形状をとり得る。例えば円形、長円形、楕円形、三角形、四角形、六角形等の形状、又はこれらの組み合わせの形状が挙げられる。開孔31の形状や大きさは、表面シート10の具体的な用途に応じて適宜決定すればよい。開孔31の大きさは、表面シート10の平面視における投影面積で表して、0.5〜5mm2程度であることが、液の透過性及び表面シート10の強度維持の観点から好ましい。開孔31の大きさは、画像解析システムを使用して計測する。具体的には、光源〔サンライト SL−230K2;LPL(株)社製〕、スタンド〔コピースタンドCS−5;LPL(株)社製〕、レンズ〔24mm/F2.8Dニッコールレンズ〕、CCDカメラ〔(HV−37;日立電子(株)社製)Fマウントによるレンズとの接続〕及びビデオボード〔スペクトラ3200;カノープス(株)社製〕を用いて、表面シート10の裏面1B側の画像を取り込む。取り込まれた画像をNEXUS社製の画像解析ソフトNEW QUBE(ver.4.20)によって開孔31の部分を二値化処理する。二値化処理された画像から得られる個々の面積の平均値を開孔の大きさとする。
開孔31はその端部が、表面シート10の第2の面10b側に突出して、突出部からなる導液管を形成していてもよい。上述のとおり、開孔31の端部は剛性が低いので、かかる突出部を形成することで、表面シート10のクッション性が一層高くなる。また、突出部を形成することで、表面シート10の下側に位置する吸収体の構造によらず、表面シート10と吸収体との接触を維持できることから、着用者から排泄された液が、表面シート10から吸収体へ効率よく伝達される。
表面シート10を構成する繊維は、上述のとおり、繊維どうしが交絡しているか、又は繊維どうしが融着している。繊維どうしが融着している場合、当該繊維は、図6に示すように、離間しており、かつ溶融によって引き伸ばされた樹脂の固化で形成された橋渡し構造Bによって結合されていることが好ましい。このような結合状態であることによって、表面シート10の柔軟性が一層向上する。橋渡し構造の結合状態を実現するには、例えば後述する方法に従い表面シート10を製造すればよい。
上述の橋渡し構造の連結状態を有する表面シート10においては、繊維どうしが熱融着されており、該繊維どうしの橋渡し構造の融着部分における繊維の中心間距離が、各々の繊維の中心から繊維の外面までの距離を加算した値よりも大きくなっている。この場合、構成繊維として自己融着性繊維を50重量%以上含むことが、確実な橋渡し構造の連結状態を実現する観点から好ましい。このような特徴的な構造を有する表面シート10は、本発明者らが初めて見出した極めて新規なものである。この状態は、電子顕微鏡等の観察から計測できる。繊維の中心から外面までの距離は、接合している繊維から計測することが望ましいが、複数種の繊維が配合されている場合でも、各々の繊維10〜20本程度の繊維から平均繊維径より求めても良い。
橋渡し構造は、表面シート10の電子顕微鏡による拡大観察において、ランダムに50〜100程度の交点を計測した場合、5〜20%存在することが、柔軟性とクッション性、及び表面シート10の強度の観点から好ましい。
上述の構造を有する表面シート10を備えたナプキン1においては、側方溝60並びに前方溝71及び後方溝72によって表面シート10が吸収体12と一体化されているので、ナプキン1の着用中に表面シート10と吸収体12とが離間することが防止されている。また、側方溝60のうち、少なくとも排泄部対向領域Aに位置する直線部分60Aは、表面シート10の畝部20と略平行な位置関係になっており、かつ畝部20の幅と直線部分60Aの幅とが略等しくなっている。これによって、畝部20の3本以上にわたって直線部分60Aがまたがることがなくなり、表面シート10の畝溝構造の特徴が損なわれにくくなる。また、畝部20及び凸部30は、表面シート10の位置ずれや圧力による変形を受けても元の形状に戻り易く、柔軟性があるので肌触りがよい。これらの利点は、直線部分60Aが、溝部30の1本と略重なる位置に形成されていることによって一層顕著なものとなる。また、直線部分60Aが、溝部30の1本と略重なる位置に形成されていることによって、直線部分60A内に形成されている高圧搾部81及び低圧搾部82(これら高圧搾部81及び低圧搾部82は、硬く形成されている)が、着用者の肌に直接接触することが防止されるという利点も生じる。
表面シート10の畝部20と、側方溝60との関係は、前方領域B及び後方領域Cにおいても、排泄部対向領域Aと同様である。すなわち、前方領域B及び後方領域Cに位置する直線部分60B,60Cは、表面シート10の畝部20と略平行な位置関係になっており、かつ畝部20の幅と直線部分60B,60Cの幅とが略等しくなっている。更に、直線部分60B,60Cが、畝部20の1本と略重なる位置に形成されている。これによって、表面シート10の畝溝構造の特徴が一層損なわれにくくなる。
表面シート10の畝部20の幅にもよるが、側方溝60の幅は、直線部分60A,60B,60Cの何れの部位においても2〜7mmが好ましい。この幅は、上述のとおり、畝部20の幅と略等しいことが好ましく、あるいはそれよりも狭いことが好ましい。これによって、側方溝60を形成することに起因して畝部20を潰すことの影響を極力少なくすることができる。また、表面シート10の溝部30に側方溝60の中心部が配置されていることは、側方溝60の形成時に畝部20が潰されにくくなる点から好ましい。また、このような配置によって、側方溝60による液防漏性が高まり、更に肌触りも良好になる。
図1に示すように、側方溝60内並びに前方溝71及び後方溝72内には、これらの溝の延びる方向に沿って、高圧搾部81及び低圧搾部82が交互に形成されている。高圧搾部81は、表面シート10及び吸収体12が強く圧縮されて形成された部位である。低圧搾部82は、高圧搾部81よりも相対的に弱く圧縮されて形成された部位である。高圧搾部81におけるナプキン1の厚みは、低圧搾部82におけるナプキン1の厚みよりも小さくなっている。これらの圧搾部は、当該技術分野において公知のエンボス装置を用いて形成することができる。同図に示すように、側方溝60のうち、排泄部対向領域Aに位置する直線部分60Aにおいては、高圧搾部81及び低圧搾部82の底面形状が、該直線部分60Aの延びる方向に対して傾斜する方向に長手方向を有するように延びる形状となっている。同様に、側方溝60のうち、前方領域B及び後方領域Cに位置する直線部分60B,60Cにおいても、高圧搾部81及び低圧搾部82の底面形状が、該直線部分60B,60Cの延びる方向に対して傾斜する方向に長手方向を有するように延びる形状となっている。これにより側方溝60の直線部分60Aが形成されているナプキン1の中央部に排泄された体液が長手方向へ適度に拡散しやすくなり、横方向からの液漏れが防止され、また吸収体を有効に活用できるという効果が奏される。すなわち、側方溝60の各直線部分60A〜Cに高圧搾部81と低圧搾部82が形成されていることによって、側方溝60の周辺は長手方向に密度が高められている。これに起因して、側方溝60に沿って液が拡散し易くされている。さらに、側方溝60は高圧搾部81と低圧搾部82を有するので、側方溝60内の長手方向への過度の液の拡散が抑制され、それによって前述した側方溝60の周辺の液の拡散が過度になることがない。また、前述したく字状のくびれた部分による効果が重畳される。
さらに、表面シート10においては、側方溝60の高圧搾部81及び低圧搾部82が傾斜して配置されていると、傾斜することなく配置されている表面シートと比べ、側方溝による液の拡散制御効果が発現しやすい。なぜならば、畝部20の実質厚みが溝部30よりも大きい構造を有する本実施形態に使用される表面シート10では、繊維が畝部20に多く存在するので、表面シート10の畝溝構造と同じ方向に延びる側方溝60は、畝部20を圧搾固定しにくく、低圧搾部82も形成されにくい。その点、側方溝60と傾斜して(すなわち表面シート10の畝溝構造と傾斜して)高圧搾部81が形成されることによって、液の拡散効果を良好にする構造の側方溝60が形成されやすい。側方溝60の高圧搾部82の一部が隣接する高圧搾部82と重なる部分を有すると、一層安定した低圧搾部82を形成できるので一層好ましい。
これに対して、前方溝71及び後方溝72では、高圧搾部81及び低圧搾部82が、表面シート10の畝部20及び溝部30と同方向に延びるように形成されている。このように形成されることで、高圧搾部81によって部分的に表面シート10の畝部20が圧縮され、吸収体へ液を導きやすい構造を形成することができる。その結果、前後方向に拡散してきた液、あるいは表面シート上を流れてきた液が吸収される。一方、表面シート10の畝溝構造と高圧搾部81及び低圧搾部82とが同じ方向に形成されていることから、前方溝71及び後方溝72の表面シート10は柔軟性を喪失しにくく、良好な肌触りやクッション感を有している。また、可撓性も良好となり、肌あたりやフィット性が良い溝の形成が可能となる。
これら側方溝60や前方溝71及び後方溝72における高圧搾部に、ハート形、ダイヤ形などの形状を使用できることは前述したとおりであるが、このような図形において傾斜するとは、対称線がある場合には最も長い対象線、不定形等で対称線がない場合には、重心を通る最も長い分断線が傾斜することで、同様の効果が奏される。
側方溝60における直線部分60Aと異なり、斜行部分60D,60E,60F,60Gにおいては、高圧搾部81及び低圧搾部82が、物品の幅方向に延びるように形成されている。これによって、ナプキン1の装着に際して、身体形状に適合してナプキン1が変形するための幅方向可撓軸が一層円滑に形成され、ナプキン1が着用者の身体に一層フィットしやすくなる。さらに、表面シートに用いる繊維として、後述する熱捲縮性繊維を用いた場合、幅方向可橈軸として機能する高圧搾部及び低圧搾部にさらに伸縮性が付与されるので、ナプキン全体が非常に柔軟に変形する。その結果、ナプキン1が身体に極めてフィットしやすくなる。
側方溝60並びに前方溝71及び側方溝72における高圧搾部81に関しては、前方溝及び後方溝内に形成された高圧搾部の高さが、側方溝内に形成された高圧搾部の高さよりも高くなっていることが好ましい。これにより、側方溝での幅方向への体液の拡散に起因する漏れを極力防ぎながら、前方溝及び後方溝による表面シートの畝溝構造の変形が最小限に抑えられ、肌触りやクッション性が良好となり、かつ良好な可撓性によるフィット性の向上が得られるという有利な効果が奏される。
また、本実施形態の生理用ナプキンにおいては、側方溝の排泄部対向領域の前後における内方へ向かう斜向部分が、幅方向に跨る幅方向条溝を形成していても良い(図示せず)。幅方向条溝は、排泄領域の前後端にあたる前記斜向部分に形成されるため、漏れ防止性の高い高圧搾部と低圧搾部が形成された側方条溝と同様に形成されるか、吸収体への液移行性を高めるドット状(独立した)圧搾部によって条溝状に形成されることが好ましい。さらに、排泄領域の形状安定効果(隆起による変形の制御、前後方向になだらかな隆起の形成)を発揮しやすいようにするために、幅方向条溝は、排泄部対向領域よりも外方に(前後方向に)突出する湾曲形状であることが好ましい。幅方向条溝は、側方溝に連結していてもよく、あるいは側方溝と分離していても良い。幅方向条溝が高圧搾部及び低圧搾部を有する場合、該高圧搾部及び低圧搾部は、長手方向と平行に形成されていても良く、幅方向に平行に形成されていても良い。また、傾斜して形成されていても良い。高圧搾部及び低圧搾部が、長手方向と平行に形成されている場合には、表面シートの畝溝構造を潰すことなく該条溝の形成が可能であり、良好なフィット性や手触り感が発現する。高圧搾部及び低圧搾部が、幅方向と平行に形成されている場合には、可撓軸を形成する効果が発現される。高圧搾部及び低圧搾部が、傾斜して形成されている場合には、効果的に畝溝構造を潰すことにより防漏性を高めることができる。
図7には、本実施形態のナプキン1を下着(ショーツ)に装着してウイング部13を下着の股下部に固定した状態が示されている。なお、同図にはショーツは示されていない。ウイング部13の下着対向面に形成された粘着部15bは、ナプキン1の固定状態において、該粘着部15bが、側方溝60を幅方向にまたぐ位置に形成されている。このような位置に粘着部15bが形成されていることによって、ナプキン1の装着中に、着用者の動作に起因してナプキン1の幅方向外方から内方へ向けて力が加わった場合に、ナプキン1が着用者の身体へ向けて過度に変形して隆起することが防止される。詳細には、側方溝60は直線部分を多数有するので、ナプキン1の幅方向外方から内方へ向けて力が加わると、該側方溝60がナプキン1の長手方向に延びる可撓軸となりやすくなる。その結果、ナプキン1が着用者の身体へ向けて変形しやすくなり、フィット性が損なわれることがある。このような状況下において、ウイング部13の粘着部15bが、側方溝60を幅方向にまたぐように下着に取り付けられていると、該粘着部15が、ナプキン1の変形に対する抵抗となり、過度の変形が抑制される。その結果、ナプキン1のフィット性の低下が防止される。
図8には、本発明の別の実施形態のナプキン1が示されている。本実施形態に関し特に説明しない点については、先の実施形態に関する説明が適宜適用される。本実施形態が先に説明した実施形態と大きく異なる点は、側方溝60の形状である。本実施形態のナプキン1における側方溝60は、排泄部対向領域Aにおいて、ナプキン1の長手方向に延びる直線部分60Aを有する。同様に、側方溝60は、前方領域B及び後方領域Cにおいても、ナプキン1の長手方向に延びる直線部分60B,60Cを有する。直線部分60B,60Cは、直線部分60Aの延長線よりも、ナプキン1の幅方向内方に位置している。したがって一対の直線部分60B間の距離は、一対の直線部分60A間の距離よりも小さくなっている。同様に、一対の直線部分60C間の距離は、一対の直線部分60A間の距離よりも小さくなっている。また、一対の直線部分60B間の距離は、一対の直線部分60C間の距離と同じになっている。
排泄部対向領域Aと前方領域Bとの境界域において、側方溝60は、直線部分60Aの前端部に連結するとともに幅方向の中央方向であってかつ長手方向の前端部方向へ向かう斜行部分60Dを有している。斜行部分60Dの前端部は、前方領域Bに位置する直線部分60Bの後端部と連結している。同様に、排泄部対向領域Aと後方領域Cとの境界域において、側方溝60は、直線部分60Aの後端部に連結するとともに幅方向の中央方向であってかつ長手方向の前端部方向へ向かう斜行部分60Eを有している。斜行部分60Eの後端部は、後方領域Cに位置する直線部分60Cの前端部と連結している。
前方溝71及び後方溝72は、円形の不連続な圧縮部位73の集合体から構成されている。圧縮部位73は、全体として連続とみなせる程度に近接して配置されている。前方溝71は、その左右の端部が、側方溝60の直線部分60Bの前端部と連結している。一方、後方溝72は、その左右の端部が、側方溝60の直線部分60Cの後端部と連結している。
本実施形態においては、表面シート10の左右の側部域、特に表面シート10が、防漏カバーシート14によって覆われている領域に、畝部及び溝部が形成されておらず、その領域が平坦になっている。これによって、表面シート10と防漏カバーシート14との接合を容易に行うことができる。
次に、前記の各実施形態のナプキン1に共通の事項について説明する。吸収体12は、好適には木材フラッフパルプと超吸収性ヒドロゲル粒子との混合物からなる。この混合物はその全体がティッシュペーパによって被覆され、所要の厚みに圧縮されていてもよい。また、この構成の吸収体の中央部に、パルプ又はパルプとヒドロゲル粒子との混合物を更に重ね、中高部を形成しても良い。この場合、中高部は側方溝60並びに前方溝71及び後方溝72を越えない位置に形成されることが好ましい。
裏面シート11としては、液不透過性ないし撥水性の材料、例えば熱可塑性樹脂製のフィルムや、これに不織布をラミネートしたものを用いることができる。またスパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SMS)不織布や、スパンボンド−メルトブローン−メルトブローン−スパンボンド(SMMS)不織布を用いることもできる。裏面シート11は透湿性を有していてもよい。透湿性を有する裏面シートとしては、熱可塑性樹脂及びそれと相溶性のない微粒子を含む樹脂組成物をフィルム状に押し出し、一軸又は二軸延伸して得られる多孔性フィルムや、上述のSMS不織布が挙げられる。
表面シート10を構成する繊維としては、天然繊維、半天然繊維、合成繊維等、当該技術分野において従来用いられている繊維を特に制限なく用いることができる。繊維間の詰まりすぎを起こさず、表面シート10に柔軟性を付与する観点から、合成繊維を用いることが好ましい。合成繊維の配合量は、表面シート全体の50重量%以上が好ましく、70%重量以上がより好ましい。もちろん、合成繊維100%から表面シート10を構成してもよい。表面シート10が合成繊維100%からなる場合、着用者の体圧が加わった状態下でも畝溝構造が潰れ難くなるので、溝部30に沿った通気性が良好となる。
使用する合成繊維としては、例えば自己融着性繊維である芯鞘構造繊維やサイドバイサイド型繊維が挙げられる。この他に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の単繊維や複合繊維を用いることができる。畝溝構造及び開孔形状の成形性や、橋渡しの結合形の成による柔軟性の向上の観点から、ポリエチレンを鞘成分に有する芯鞘構造繊維や、ポリエチレン部分を有するサイドバイサイド型繊維を用いることが好ましい。繊維の繊度は、1〜6dtexの範囲が好ましい。
合成繊維として捲縮繊維を用いると、表面シート10のクッション性が一層向上するので好ましい。捲縮繊維としては、二次元に捲縮した繊維及びコイル状の三次元に捲縮した繊維の何れも用いることができる。特に熱の付与によってコイル状に三次元捲縮した繊維を表面シート10に含まれていることが好ましい。このような繊維は、潜在捲縮繊維を原料として用いることで、表面シート10に含ませることができる。潜在捲縮繊維は、例えば収縮率の異なる2種類の熱可塑性樹脂を成分とする偏心芯鞘型複合繊維又はサイドバイサイド型複合繊維からなる。その例としては、特開平9−296325号公報や特許2759331号明細書に記載のものが挙げられる。
合成繊維として、熱の付与によって伸長する繊維を用いても表面シート10のクッション性が一層高まるので好ましい。この理由は、表面シート10の製造中に付与された熱に起因する繊維間の詰まりが防止されるからである。そのような繊維としては、例えば本出願人の先の出願に係るWO2007/66599が挙げられる。
上述の捲縮繊維及び熱伸長性繊維の何れを用いる場合にも、それらの繊維は、表面シート10中に合計で30〜70重量%配合されていることが好ましい。
表面シート10の構成繊維は、その繊維長に特に制限はなく、ステープルファイバ及び連続フィラメントの何れも用いることができる。2種以上の繊維を用いる場合、それらの繊維の繊維長は同じでもよく、又は異なっていてもよい。異なる繊維長の繊維を2種以上組み合わせて用いる場合、これらの繊維を表面シート10中に偏在させることが好ましい。具体的には、畝部20における第1の面10a側は、開孔31の端部に比べて繊維長が長い繊維を多く有していることが好ましい。これによって、表面シート10の表面における短繊維の毛羽抜け易さや毛羽たち易さを抑えて、滑らかな感触を得ることができる。また、畝溝構造や開孔31の明瞭性を向上させることができる。さらに、開孔31に液を導き易くすることができる。例えば、異なる繊維長の繊維を2種類用いる場合、長い方の繊維の繊維長は40〜80mmであることが好ましく、短い方の繊維の繊維長は10〜20mmであることが好ましい。異なる繊維長の繊維を上述のように偏在させるためには、例えば長い繊維を含む層と短い繊維を含む層とからなる多層構造のウエブを用いて表面シート10を製造したり、長い繊維を含むウエブと短い繊維を含む不織布とを組み合わせて表面シート10を製造したりすればよい。
異なる繊維長の繊維を2種以上組み合わせて用いる場合、表面シート10は、繊維長が長い繊維と短い繊維が部分的に交絡している部分を有することが好ましい。これによって、交絡部分に起因する強度向上と、表面シートとして畝部20からの液の移動を容易にできるという有利な効果が奏される。繊維長が長い繊維と短い繊維が部分的に交絡している部分は、表面シート10における溝部30や開孔31の周縁の部分であることが好ましい。このような部分的な交絡部を形成するには、例えば、長い繊維を含む層と短い繊維を含む層とからなる多層構造のウエブを用いて表面シート10を製造したり、長い繊維を含むウエブと短い繊維を含む不織布とを組み合わせて表面シート10を製造したりすればよい。
表面シート10は親水化されていることが好ましい。親水化の方法としては、例えば疎水性不織布を親水化剤で処理する方法が挙げられる。また、親水化剤を練り込んだ繊維から不織布を製造する方法が挙げられる。更に、本来的に親水性を有する繊維、例えば天然系や半天然系の繊維を使用する方法が挙げられる。不織布の製造後に、界面活性剤を塗工することでも親水化を行うことができる。
表面シート10の親水性に関し、畝部20の頂部21においては、第1の面10a側の親水性が弱親水性から疎水性であることが好ましい。一方、開孔31の端部付近における第1の面10a側の表面の親水性が少なくとも弱親水性であることが好ましい。そして、これら両者に関して、開孔31の端部付近の方が、畝部20の頂部21よりも親水性が高くなっていることが好ましい。親水性の程度にこのような差を設けることで、第1の面10a側から第2の面10b側への液の引き込み性が促進され、第1の面10a側に液残りが生じにくくなり、第1の面10a側のドライ感が高まる。親水性の程度にこのような差を設けるためには、例えば繊維表面を親水性となす界面活性剤のうち、水への溶解性が高いものを用いて、高温(40〜80℃)多湿(80%RH程度)の条件で表面シート10を処理すればよい。また、表面シート10の各部位における親水性の程度は、既知の表面張力が異なる試験液を使用して液滴法で評価する。
図3及び図4に示す表面シート10は、単層の構造のものであったが、これに代えて表面シート10を2層以上の多層構造とすることもできる。表面シート10が、例えば第1の面10aを含む上層及び第2の面10bを含む下層からなる2層構造のものである場合、上層に比べ下層の毛管勾配を高めることが好ましい。これによって、第1の面10a側から第2の面10b側への液の引き込み性が促進される。毛管勾配を高める方法としては、例えば上層よりも下層の繊維の繊維径を小さくする方法が挙げられる。この場合、上層の繊維を2〜8dtexとし、下層の繊維を0.1〜6dtexとすることが好ましい。また、上層よりも下層の親水性を高めることでも、毛管勾配を高めることができる。あるいは、これら両方の手段を採用してもよい。
表面シート10が2層構造のものである場合、開孔31の端部では各層が一体化され、且つ開孔の端部付近に、繊維の熱変形に起因する膜状構造を有しないか、又は繊維の潰れを有しないことが好ましい。これによって、開孔31の端部付近の剛性が低くなり、変形に対する柔軟性及び形状復元性が向上する。
次に、図3に示す表面シート10の好ましい製造方法について説明する。表面シート10は、図9に示す装置を用い、流体交絡法によって製造される。この装置を用いた製造方法は、(イ)繊維集合体を供給し、該繊維集合体の供給方向と直交する方向に波状構造を形成するための流体透過性支持体上に該繊維集合体を導く工程、(ロ)該支持体上に位置する該繊維集合体に流体を吹き付けて、その構成繊維をより分け畝溝構造と開孔を形成する工程、及び(ハ)引き続き該支持体上に位置する該繊維集合体に再び流体を吹き付けて、畝溝構造と開孔が形成された該繊維集合体を不織布化する工程を有する。
図9に示す装置40は、流体透過性支持体50及び第1噴射ノズル51及び第2噴射ノズル52を備えている。図10に示すように、流体透過性支持体50はロール状のものであり、その周面はメッシュ等の流体透過性材料で構成されている。支持体50の周面には、ロールの回転方向に沿って延びる凸部と凹部とが、ロールの軸方向に交互に形成されている。これによって、表面シート10の原料である繊維集合体53に、その供給方向と直交する方向に波状構造を形成することができる。凸部の頂部には、ロールの回転方向に沿って断続的に形成された突起部534が位置している。突起部54は、ロールの回転方向に沿って一定間隔をおいて配置されている。かつロールの軸方向でみたときに、突起部54は一直線上に位置するように配置されている。
第1噴射ノズル51及び第2噴射ノズル52は、支持体50の周面に対向するように配置されている。各ノズル51,52は、支持体50の全幅にわたり流体を噴射できるような構造になっている。ノズル51,52は、表面シート10の原料である繊維集合体53の供給方向に関し、第1噴射ノズル51が上流側に位置し、第2噴射ノズル52が下流側に位置している。
(イ)の工程においては、繊維集合体53は、図9中、矢印の方向に回転している流体透過性支持体50へ供給され、該支持体50の周面に抱かれた状態で搬送される。次いで(ロ)の工程において、支持体50の周面上で、第1噴射ノズルから噴射された流体が繊維集合体53に吹き付けられる。この流体の吹き付けによる圧力で、繊維集合体53は、図11(a)及び(b)に示すように、支持体50の周面に形成されている凸部55の位置において、構成繊維のより分けが生じる。このより分けによって、構成繊維は、凸部55間に位置する凹部56内へ移動していく。つまり、繊維の分配が起こる。
また、凸部55の頂部に突起部54が形成されている場合には、図11(c)に示すように、構成繊維のより分けが一層促進され、突起部55上に位置する繊維集合体54に孔が生じる。この孔が、表面シート10における開孔31となる。
繊維集合体としては、カードウエブ等の繊維の結合や絡合が生じていないか、又はその程度が低いものや、不織布等の繊維の結合や絡合が生じているものを用いることができる。特に、不織布としては、繊維長が30mm以下であり、かつバインダー成分をそれ自体が有しない繊維を含む不織布、具体的には、パルプ繊維の繊維間がバインダー(接着成分)によって固定されている乾式パルプシートを用いることが好ましい。
この工程で用いられる流体としては、水等の液体及び空気等の気体を使用することが可能である。流体の種類は、支持体50上に導く繊維集合体によって選択する。例えば、カードウエブのように結合又は交絡のない繊維集合体を用いる場合には、空気流又は水蒸気流(スチームジェット)を使用することが好ましい。エアスルー不織布のように、結合又は交絡を有する繊維集合体を用いる場合には、水流又は水蒸気流(スチームジェット)を使用することが好ましい。これよって、繊維交絡の程度を低く抑えつつ、繊維の移動によって畝溝構造及び開孔を形成することができる。また、繊維間を詰まらせすぎないようにすることができる。このように、本工程は、繊維の移動による畝溝構造及び開孔の形成が主たるものであり、繊維の交絡の程度は低く抑えられている。
上述の水流とは、水等の完全な液体流を意味する。水蒸気流(スチームジェット)とは、液体状態でない水の流体流をいう。液体水流又は水蒸気流(スチームジェット)を使用した場合、繊維交絡は突起部55の近傍に位置する繊維ほど進行し、その部分の繊維密度が高める傾向にある。特に、繊維集合体として不織布を用いた場合(すなわち再不織布化)、凸部55では繊維交絡がほとんど行われないので、不織布が本来的に有するクッション感が維持される。一方、凹部56及び突起部55の近傍に位置する繊維には交絡が生じ、凸部55に位置する繊維に対して相対的に毛管勾配(密度勾配)が大きくなる。
(ロ)の工程である第1噴射ノズル51からの流体の吹き付けによって畝溝構造及び開孔が形成されたら、次いで(ハ)の工程である第2噴射ノズル52からの流体の吹き付けによって繊維交絡が生じ、繊維集合体が不織布化(繊維集合体として不織布を用いた場合には再不織布化)される。この場合に使用する流体としては、液体水流又は水蒸気流を用いることが好ましい。これらの流体を用いることで、繊維交絡を効率的に行うことができる。なお、上述の再不織布化とは、繊維集合体として不織布を用いた場合には、前工程である畝溝構造及び開孔の形成工程において、切断又は交絡が解けた繊維を再度融着又は再度交絡させて不織布としての形態を維持させることを言う。
(ロ)の工程及び(ハ)の工程で繊維集合体53に吹き付ける流体を、支持体50の凸部55に集中すると、支持体50の凹部56に比べて凸部55の流体圧を高めることができるので、開孔性が良好となるので好ましい。また開孔の端部付近の繊維密度を高くすることができる点で好ましい。
(ハ)の工程において流体として水蒸気流を使用した場合、第2噴射ノズル52からの水蒸気流を比較的低い温度である100〜120℃(繊維融着温度よりも低い温度)とすることで、繊維交絡のみが行われる。水蒸気流は液体水流に比べるとエネルギー(噴射圧)が低い(流体流の分散が大きい)ので、繊維集合体として不織布を用いる場合よりも、ウエブへ吹き付けるときに用いることが好ましい。ウエブの方が不織布よりも繊維の移動が容易だからである。しかしながら、繊維集合体として不織布を用いた場合であっても、(ロ)の工程によって形成された畝溝構造及び開孔の形状が回復しない程度の弱い繊維交絡状態となる噴射圧を水蒸気流によって与えることができる。さらに、水蒸気流の温度が繊維融着温度よりも高い130〜150℃程度の場合、高い温度であっても、繊維集合体中の繊維に加わる熱量は繊維集合体全体を固化させるものではない。したがって水蒸気流の噴射圧が高い状態であっても、繊維の目詰まりを起こさせずに、繊維交点で融着を行うことができる。
この融着は、第2噴射ノズル52から吹き付けられた水蒸気流によって行われるので、公知の不織布製造技術であるエアスルー法に比べると、短時間で強い圧力が繊維集合体に加わっている。そのため、繊維交点での融着が安定する前、すなわち互いの繊維の表面で広がって強固な融着点となる繊維鞘成分樹脂の流れ出しが固定化する前に圧力が取り除かれる。その結果、繊維が離間して、先に説明した図6に示すような橋渡し構造Bが形成される。このような橋渡し構造は、2本の繊維のうち一方の繊維の鞘成分樹脂が伸ばされて起こっていると推定される。なぜならば、この融着工程は、繊維融着を起こす状態ではあっても、熱の付与は比較的で終了するので、互いの樹脂の界面が存在する状態と考えられ、融着面を少なくするような伸長にあっては融着が剥がれてしまうと考えられるからである。このため、橋渡し構造は接合部分の面積は大きいものの、樹脂が伸ばされて細くなった部分を有している。その結果、得られた表面シート10は、その構成繊維の自由度が向上し、柔軟性及びクッション性が良好になる。一方、エアスルー法よりも強い圧力を受けて製造されるので、2本より多い繊維の多交点が一層作られやすくなっている。このような構造によって、表面シート10の強度が向上する。
橋渡し構造と多交点が併せて形成されていることによって、本製造方法によって製造される表面シート10は強度が高く、柔軟性とクッション性が良好になっている。また、多交点に関わる繊維構造は、表面シート10の厚みを抑える方向に繊維が配置されやすいので、橋渡し構造による部分が表面に一層露出しやすくなり、それによって柔軟性とクッション性を一層高めやすくなる。多交点構造は、第2噴射ノズル52に近い面や開孔に近い部分で起こりやすい。橋渡し構造は、第2噴射ノズル52から遠い面や開孔に関わる支持体50から遠い部分で起こりやすい。
(ロ)の工程及び/又は(ハ)の工程で、液体水流を用いる場合には、親水性を付与するために用いられる界面活性剤が繊維表面から流れ落ちるおそれがあるので、繊維内へ界面活性剤を練り込んだものや、天然系/半天然系の親水性繊維を使用することが好ましい。あるいは、後工程において界面活性剤を塗布することが好ましい。これに対して、水蒸気流を用いると、繊維表面の界面活性剤が流れ落ちにくく、繊維の密度が高い部位に一部界面活性剤を集まりやすくすることができるという利点がある。その結果、水蒸気流を用いると、繊維集合体553における支持体50の凹部56及び突起部54に位置する部位の繊維密度が高められるので、必然的にこれら部位の親水度を高めることができる。この効果の応用例として、繊維表面に塗布する界面活性剤又は繊維に練り込む界面活性剤として2種以上のものを使用し、その界面活性剤の耐水性を異ならせる手法が挙げられる。この手法によれば、親水勾配を一層容易に設計できるので有利である。
得られた表面シート10の繊維密度を一層制御するため、(ハ)の工程の後の不織布を、熱風処理工程に付すことも好ましい。熱風処理には、不織布化の促進(繊維集合体の繊維間を結合)及び/又は繊維間の目詰まり解消の効果がある。すなわち、(ハ)の工程において、目詰まり防止の観点から、流体の吹き付け条件を弱くすることがあるところ、それに起因する繊維交絡又は繊維融着の不足を補うために熱風処理工程に付すことが好ましい。また、(ハ)の工程において目詰まりが生じた不織布の嵩を回復させ、あるいは繊維変形(捲縮又は伸長)を発現させるために熱風処理工程に付すことが好ましい。特に、(ハ)の工程で水蒸気流を用いた場合には第2噴射ノズル52を使用するので、エアスルー法に比べて短時間で熱付与工程が完了してしまうので、熱融着状態の安定化の観点から、(ハ)の工程の後工程として、80〜120℃程度の熱風処理工程を行うことが望ましい。あるいは(ハ)の工程の後工程として、急激な温度低下を起こさないようにする安定化工程を行うことが好ましい。
本製造方法においては、(ロ)及び(ハ)の工程で水流を使用する場合には、繊維交点に融着点を有する不織布を用いることが好ましい。この理由は、繊維交点の剥離部分による繊維の移動(密度向上部分の形成)と残存する融着点によって繊維の目詰まりを防ぐことができるからである。この場合、(ロ)の工程では、不織布の全体に略均一となるように水流を施して支持体形状に不織布を適合させ、(ハ)の工程では、開孔31を含む溝部30に、畝部20よりも強い水流を吹き付けることで交絡を行い易くし、(ロ)よりも(ハ)の工程の水圧を高めることが、融着点の剥離を促し再交絡を行い易くする観点から好ましい。また、繊維集合体53として、ウエブと不織布との積層体を用いるか、又はウエブと不織布とを供給しつつ両者を積層して繊維集合体53を供給する方法を採用すると、(ロ)及び(ハ)の工程で両者の一体化を進めることができる。このようにして製造された不織布は、畝部20の頂部21から開孔31の端部まで液を導きやすい構造(一体化構造)となる。この場合、ウエブと不織布のうち、水流が直接吹き付けられるのは、ウエブでの繊維の目詰まりを防ぐ観点から、不織布とすることが好ましい。このように(ロ)及び(ハ)の工程で水流を使用すると、図3(b)のような断面形状を得やすくなる。
繊維集合体53として不織布を用い、該不織布が(ロ)の工程の前で別途支持体上に導かれる場合には、得られる不織布の柔軟性及びクッション性を高めることができる。また、繊維集合体53として不織布を用いる場合、該不織布における繊維間の結合や交絡が強いと、(ロ)の工程における繊維移動が起こりにくいことがあるので、(ロ)の工程の前に、不織布における支持体50の凹部56に位置すべき部位にスリット処理を施すことも好ましい。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば、前記の各実施形態におけるナプキン1の側方溝60は、前方領域Bから後方領域Cまでにわたって直線部分60A,60B,60Cを有していたが、これに代えて少なくとも排泄部対向領域Aに直線部分60Aを有していればよい。
また、前記の各実施形態においては、側方溝60における直線部分60Aの端部に連結している斜行部分60D,60Eは、排泄部対向領域Aと前方領域B及び後方領域Cそれぞれとの境界域において、ナプキン幅方向の中央方向に向けて斜行していたが、これに代えて、斜行部分60D,60Eの少なくとも一方又は両方が、ナプキン幅方向の外方向に向けて斜行していてもよい。この場合であっても、ナプキン幅方向の中央方向に向けて斜行している場合と同様の効果が奏される。
また、前記の各実施形態は、本発明を生理用ナプキンに適用した例であるが、本発明はこれ以外の吸収性物品にも同様に適用できる。そのような吸収性物品としては、例えば吸血パッド、失禁パッド、使い捨ておむつ等が挙げられる。
また、前記の各実施形態のナプキンの包装形態の一つとして、例えば三つ折りや四つ折りなどの折り形態を適用することができる。具体的な形態については何ら制限はない。ナプキンに折り形態を適用して、ナプキンを長手方向に一回以上折る形態においては、ナプキンにおける折り曲げ位置を、側方溝60の斜行部分に略一致させることが好ましい。その理由は、斜行部分の可撓性が高められていることに起因して、包装形態を開封したときに、ナプキンが身体にフィットするように変形しやすいからである。
本発明の吸収性物品の一実施形態である生理用ナプキンをその表面シート側からみた平面図である。 図1におけるII−II線断面図である。 図1に示すナプキンに用いられる表面シートの要部を拡大して示す模式図である。 図3におけるIV−IV線断面図である。 表面シートの他の断面の状態を示す図(図4相当図)である。 図3に示す表面シートにおける繊維の融着状態を示す模式図である。 図1に示すナプキンを下着に固定した状態を示す断面図である。 本発明の吸収性物品の別の実施形態である生理用ナプキンをその表面シート側からみた平面図(図1相当図)である。 図3に示す表面シートを製造する装置の一例を示す模式図である。 図9における流体透過性支持体を示す斜視図である。 図9に示す装置を用いた表面シートの製造過程を示す模式図である。
符号の説明
1 生理用ナプキン(吸収性物品)
10 表面シート
11 裏面シート
12 吸収体
13 ウイング部
20 畝部
30 溝部
31 開孔
60 側方溝
60A,60B,60C 直線部分
60D,60E,60F,60G 斜行部分
81 高圧搾部
82 低圧搾部

Claims (7)

  1. 肌当接面側に配された液透過性の表面シート、非肌当接面側に配された裏面シート及びこれら両シート間に配された吸収体を具備する縦長の吸収性物品において、
    前記物品は、排泄部対向領域と、該領域の前記物品長手前後方向に位置する前方領域及び後方領域を有し、
    前記物品は、該物品の長手方向に延びる畝部と溝部を交互に有し、該溝部に開孔を有する不織布からなる前記表面シートを備え、
    前記物品の長手方向に延び、かつ前記表面シート及び前記吸収体を一体的に圧縮してなる側方溝が、前記排泄部対向領域における幅方向の左右の側部域に形成されており、
    前記側方溝は、前記排泄部対向領域において、前記表面シートに形成された前記畝部と略平行な直線部分を有し、かつ前記排泄部対向領域と前記前方領域及び前記後方領域それぞれとの境界域において、該直線部分の端部に連結して幅方向の中央方向又は外方向に向かう斜行部分を有し、
    前記側方溝内に、該側方溝の延びる方向に沿って、高圧搾部及び低圧搾部が交互に形成されている吸収性物品。
  2. 前記側方溝における前記直線部分が、前記溝部と重なる位置に形成されている請求項1記載の吸収性物品。
  3. 前記側方溝内の前記高圧搾部の底面形状は、該側方溝における前記直線部分の延びる方向に対して傾斜する方向に長手方向を有するように延びる形状である請求項1又は2記載の吸収性物品。
  4. 前記表面シートの前記畝部の幅と、前記側方溝の前記直線部分の幅とが略等しくなっている請求項1ないし3のいずれかに記載の吸収性物品。
  5. 前記表面シート及び前記吸収体を一体的に圧縮してなる前方溝及び後方溝が、前記前方領域及び前記後方領域に、前記物品の幅方向に延びるようにそれぞれ形成されている請求項1ないし4のいずれかに記載の吸収性物品。
  6. 前記排泄部対向領域の側方に一対のウイング部が形成されており、
    ウイング部の下着対向面に下着固定用の粘着部が形成されており、
    該粘着部は、吸収性物品を下着に装着して該ウイング部を下着の股下部に固定した状態下において、該粘着部が前記側方溝を幅方向にまたぐ位置に形成されている請求項1ないし3の何れかに記載の吸収性物品。
  7. 前記側方溝における斜行部分では、前記高圧搾部の底面形状が、前記物品の幅方向に略平行に延びる形状である請求項1ないし6のいずれかに記載の吸収性物品。
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