JP5069983B2 - 不織布及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、畝溝構造を有し、溝部に開孔を有する不織布及びその製造方法に関するものである。この不織布は、特に吸収性物品の表面シートとして好適に用いられる。
従来、畝溝構造を有し溝部に開孔を有する不織布に関する技術としては、例えば加熱したピンと受け構造によって不織布に開孔と波状構造を付与する不織布及びその製造方法が知られている(特許文献1参照)。また、気体によって凹凸構造体の形状にウエブを型押しした後、熱風によって繊維間を結合する不織布及びその製造方法も知られている(特許文献2参照)。さらに、ノズルから高圧水流を吹き付け畝溝構造や開孔を形成する方法も提案されている(特許文献3参照)。
これらの技術とは別に、繊維と繊維の結合点において、融着を浅くかつ樹脂の接着面積を広げない交点の形成によって、不織布の柔軟性を向上させる技術が提案されている。(特許文献4参照)
特開平6−330443号 特開平4−24261号 特開昭58−132155号 特開平5−285172号
特許文献1には、加熱した凸状ピンと多列の凹条部により畝溝構造と溝部に開孔が形成された不織布とその製造方法が示されているところ、得られる不織布は波状構造であるため、幅方向に引き伸ばされたり、畝部間が接近し開孔が隠れたりし易かった。また、曲げ等の外力により畝構造が潰れ易く、更にその潰れが回復しづらいものである。開孔に関しては、凸状ピンの先端に不織布が引っかかると、逆側の面に開孔の端部が反り返ることがある。このように、同文献に記載の不織布は、その構造を安定化させにくいものであった。
特許文献2には、支持体(ネット)上にウエブを積繊した後、気体を噴射してウエブに凹凸構造を付与し加熱して得られる不織布とその方法が示されているところ、形状付与工程と熱付与工程においてウエブに加わる圧力が異なるため、形状付与工程から熱付与工程の間にウエブの戻りがあり、賦型構造を与えにくい。これを防止する目的で、熱付与工程においてウエブに与える風量を形状付与工程における風量と同程度とし、圧力に差が生じないようにすると、熱付与工程においてウエブの構成繊維に熱が十分に伝わらないため、不織布の強度に問題が生じる。
特許文献3では、畝溝構造や独立突起を有する不織布が得られているが、水流のみによる形状付与の過程で繊維間が詰まってしまい、剛性が高くなったり、吸収性物品の表面シートとしては液を保持し易い空間構造となったりしてしまう。
特許文献4では、交点の接着部分が少なくなるため、使用する繊維樹脂に制限があり、また比較的温和な加熱条件が必要になるなど、製造コントロールが難しくなる。また、不織布の強度が低くなりやすくなる。
本発明の目的は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る不織布及びその製造方法並びに吸収性物品の表面シートを提供することにある。
本発明は、それぞれ一方向に延びる畝部と溝部を交互に有し、溝部に開孔を有する不織布であって、溝部に比べて畝部の方が繊維量が実質的に多くなされており、畝部の頂部と開孔の端部とで繊維密度が異なる不織布を提供するものである。
本発明は、吸収性物品の表面シートであって、該表面シートは、自己融着性繊維を50重量%以上含み、且つ該繊維どうしが熱融着された不織布からなり、該繊維どうしの融着部分における繊維の中心間距離が、各々の繊維の中心から繊維の外面までの距離を加算した値よりも大きい吸収性物品の表面シートを提供するものである。
本発明は、それぞれ一方向に延びる畝部と溝部を交互に有し、溝部に開孔を有する不織布の製造方法であって、
繊維集合体を供給し、該繊維集合体の供給方向と直交する方向に波状構造を形成するための流体透過性支持体上に該繊維集合体を導く工程、
該支持体上に位置する該繊維集合体に流体を吹き付けて、その構成繊維をより分け畝溝構造と開孔を形成する工程、及び
引き続き該支持体上に位置する該繊維集合体に再び流体を吹き付けて、畝溝構造と開孔が形成された該繊維集合体を不織布化する工程を有する不織布の製造方法を提供するものである。
本発明の不織布は、繊維間の詰まりすぎによる剛性向上が抑えられており、柔軟性に優れたものである。また、本発明の不織布は、畝部の潰れや倒れ及び開孔の閉塞がないものである。また、本発明の不織布の製造方法は、畝溝構造の形状付与及び形状の安定性に優れ、高強度の不織布を簡便に得ることができる。更に、本発明の表面シートは、液の保持性が抑えられ使用感の良いものである。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には、本発明の不織布の一実施形態の要部拡大図が示されている。図2は、図1におけるII−II線断面図である。本実施形態の不織布は、主に吸収性物品の表面シートとしての使用を想定したものである。したがって、以下の説明では、本実施形態の不織布を「表面シート」とも言う。
図1及び図2に示す表面シート10は、第1の面10aと、これに対向する第2の面10bとを有する。第1の面10aは、表面シート10が、生理用ナプキンや使い捨ておむつ等の吸収性物品に組み込まれたときに、着用者の肌側を向く面である。第2の面10bは、吸収性物品の吸収体側を向く面である。表面シート10は、それぞれ一方向Yに延びる畝部20及び溝部30を有する。畝部20及び溝部30は、それらの延びる方向Yと直交する方向Xにわたって交互に配列されている。畝部20は、表面シート10における相対的に厚みの大きな部位から構成されており、溝部30は、表面シート10における相対的に厚みの小さな部位から構成されている。その結果、畝部20の実質厚みは、溝部30の厚みよりも大きい。ここで実質厚みとは、表面シート10の裏面から各々の最上部までの長さ(見掛け厚み)ではなく、表面シート10の繊維が存在する部分の長さを意味する。
図2に示すように、畝部20は、その延びる方向と直交する方向(図中、Xで示す方向)での断面において、第1の面10aの側は、上に凸の滑らかな曲線を描く輪郭となっている。第2の面10bの側は、下に凸の滑らかでかつ緩やかな曲線を描く輪郭となっている。畝部20における第1の面10aの側は、第2の面10bの側よりも高く盛り上がっており、これが周期的に連続している。これによって第1の面10aの側は、X方向に沿って波形形状になっている。したがって、表面シート10の第1の面10a側が着用者の肌と接する場合には、畝部20の頂部及びその近傍の領域が部分的に接触することになり、全面接触に起因する蒸れによるべたつき感や、こすれに起因する刺激感が低減される。また、着用者から排泄された液が、着用者の肌に付着しづらくなる。
畝部20の形状は上述の形状に限られず、例えば図3(a)に示すように、第2の面10bの側が、上に凸の滑らかでかつ緩やかな曲線を描く輪郭となっている場合や、図3(b)に示すように、第2の面10bの側が平坦である場合もある。このような形状の相違は、主として表面シート10の製造条件に依存する。
畝部20は、表面シート10の構成繊維で満たされている。つまり畝部20内には空洞は存在していない。同様に、溝部30のうち、後述する開孔31が形成されていない部位は、表面シート10の構成繊維で満たされている。但し、後述するように、畝部20の繊維量と、溝部30の繊維量とは相違している。
図2に示すように、畝部20は、X方向での断面において、第1の面10a側に頂部21を有し、この部位において実質厚みが最も大きくなっている。そして、X方向に関し、頂部21から離れるに連れ実質厚みが漸減している。したがって、表面シート10は、そのX方向に沿ってみたときに、実質厚みが周期的に変化したものとなっている。図には示していないが、畝部20は、その延びる方向(図2中、紙面と直交する方向)において、頂部21における実質厚みが何れの位置においてもほぼ同じになっている。本実施形態の表面シート10において、畝部20と溝部30との間に明確な境界部は存在せず、一般に、X方向に関して隣り合う2つの頂部21間に位置する最も実質厚みの小さい部位及びその近傍の部位が溝部30となる。畝部20と溝部30との境界を明確に定義する場合には、畝部20の頂部21における見掛け厚みの1/2の厚みの位置を、畝部20と溝部30との境界部とする。
畝部20の見掛け厚みは、表面シート10の肌触りを良好にする観点から、好ましくは0.3〜5mmであり、更に好ましくは0.5〜2.5mmである。畝部20と溝部30との高低差D(図2参照)は、表面シート10のクッション性及び通気性を高め、更に液の拡散を制御する観点から、0.1〜3mmが好ましく、0.3〜2mmがより好ましい。畝部20及び溝部30の厚みや高低差Dは、マイクロスコープVH‐8000(キーエンス製)を用い、表面シート10の断面を50倍〜200倍に拡大観察して測定する。断面は、フェザー剃刀(品番FAS‐10、フェザー安全剃刀(株)製)を用い、表面シート10を切断して得る。
表面シート10のX方向における畝部20の幅は、肌触りと吸収性の観点から、1〜10mmが好ましく、2〜5mmがより好ましい。同様の観点から、表面シート10のX方向における溝部30の幅は、0.5〜7mmが好ましく、1〜3mmが好ましい。本実施形態においては、畝部20と溝部30は同じ幅で形成されているが、これに限られず例えば表面シート10のX方向の中央域における畝部20の幅を、側部域における畝部20の幅よりも広くしてもよい。あるいは、畝部20及び溝部30の幅をランダムにするなど、所望の形態とすることができる。
畝部20の実質厚みは、見掛け厚みの60〜100%、特に70〜100%であることが好ましい。畝部20の実質厚みそれ自体は、最も大きい部位(頂部21)において0.2〜4mm、特に0.3〜3mmであることが好ましい。畝部20がこのような厚みであると、畝部20が倒れにくくなり、表面シート10のクッション性が良くなり、更に液の吸収性(液通過性)が良好となる。また、畝部20の実質厚みが、見掛け厚みより薄い場合、具体的には90%以下の場合には、表面シート10を有する吸収性物品の使用時に、該吸収性物品が湾曲形状に変形しても、表面シート10と吸収体との間に生じる隙間が大きくなることが防止される。また表面シート10が着用者の肌に柔軟にフィットする。なお、溝部30の実質厚みは、0.1〜1mmである。
畝部20と溝部30では、実質的な坪量が異なっている。換言すれば、畝部20と溝部30では繊維量が異なっている。具体的には、溝部30に比べて畝部20の方が繊維量が実質的に多くなっている。畝部20及び溝部30がこのように形成されていることで、畝部20を潰れにくくしつつ、柔軟に変形させることが可能となっている。畝部20及び溝部30の繊維量を坪量で表すと、畝部20の坪量は、30〜150g/m2、特に40〜100g/m2であることが好ましい。一方、溝部30の坪量(但し開孔31は除く)は、10〜70g/m2、特に15〜50g/m2であることが好ましい。表面シート10の全体としての坪量(開孔31も含む)は、20〜80g/m2、特に30〜80g/m2であることが柔軟性と不織布強度の観点から好ましい。畝部20の坪量は、溝部30を除去した畝部20の重量と面積から求める。畝部20と溝部30との境界は、開孔31の幅と溝部30の幅が同程度のときは、開孔31の幅方向端部を複数連ねて見たときの位置で判断する。溝部30の幅が開孔31の幅より広い場合は、見掛け厚みの測定の場合と同様に、測定する表面シート10の断面形状に基づき、変曲点を基準点(優先)とするか、45°の傾き位置を基準点とする。この上下2点の基準点を結ぶ直線で表面シート10を切断し、畝部20を得てその重量を測定する。溝部30の重量は、切断前の表面シート10の重量と、畝部20の重量との差を求め、開孔31に相当する面積を更に差し引いて求める。溝部30の坪量の算出には、開孔31を含めた溝部30の面積と開孔31の面積が必要となるため、後述する画像解析装置等を使用して計測しておく。
また、畝部20は、その頂部21における繊維密度が、溝部30の繊維密度、特に開孔31の端部の繊維密度と異なっている。詳細には、畝部20の頂部21に比較すると、溝部30、特に開孔31の端部の方が繊維密度が高くなされている。その結果、着用者から液は、畝部20の頂部21から溝部30の開孔31の端部へと導かれ易くなっている。畝部20の頂部21における繊維密度は0.01〜0.1g/cm3であることが好ましく、開孔31の端部の繊維密度は0.05〜0.5g/cm3であることが好ましい。それぞれの部位の繊維密度は次の方法で測定する。先ず、畝部20の密度を見掛け厚み及び坪量から算出する。次に表面シート10の切断面を電子顕微鏡を用いて拡大観察(150〜500倍)し、繊維の断面10個が含まれる部分の面積(最外繊維の外面を直線で結んだ面積)を、後述する画像解析装置を使用して、畝部20及び開孔31の端部で計測する。これらの計測値と、先に算出された畝部20の繊維密度の値を用い、比例計算によって開孔31の端部の繊維密度を算出する。繊維の断面10個が含まれる部分の面積の占める面積が低いほど繊維密度は高いことになる。
図1に示すように、溝部30には開孔31が多数形成されている。開孔31は溝部30の延びる方向に沿って一定の間隔をおいて規則的に形成されている。したがって、表面シート10には、そのY方向に沿って一定の間隔をおいて配置された多数の開孔31からなる開孔列が、表面シート10のX方向にわたって多列に形成された状態になっている。すべての開孔列における開孔31の配置のピッチは同じになっている。隣り合う2つの開孔列においては、表面シート10のX方向に関して開孔31が同位置に位置している。そして、シート10のX方向に沿ってシート全域を見たときに、必ず開孔31が形成されていない部位が存在するように該開孔31は配置されている。更に、表面シート10全体で見ると、開孔31は、シート10のX方向において多列の列をなし、かつY方向においても多列の列をなすように分散配置されている。開孔31がこのように配置されていることで、開孔31が例えば千鳥格子状に配置されている場合に比較して、繊維のより分けによる開孔31の形成を効率的に行うことができる。
開孔31は、表面シート10の構成繊維がより分けられて形成されている。そして、開孔31の端部付近においては、繊維の熱変形に起因する膜状構造が形成されていない。これに起因して、開孔31の端部付近は、剛性が低く、変形に対する柔軟性及び形状復元性に優れている。また、液が通過する構造になっているので、開孔31の端部付近に液が溜まることがない。なお、表面シート全体として見ると、その構成繊維は、基本的に繊維どうしが交絡しているか、又は繊維どうしが融着している。これによって不織布の形態が維持されている。
開孔31は、表面シート10の平面視において種々の形状をとり得る。例えば円形、長円形、楕円形、三角形、四角形、六角形等の形状、又はこれらの組み合わせの形状が挙げられる。開孔31の形状や大きさは、表面シート10の具体的な用途に応じて適宜決定すればよい。例えば、吸収性物品の表面シートに用いる場合には、開孔31の大きさは、表面シート10の平面視における投影面積で表して、0.5〜5mm2程度であることが、液の透過性及び表面シート10の強度維持の観点から好ましい。開孔31の大きさは、画像解析システムを使用して計測する。具体的には、光源〔サンライト SL−230K2;LPL(株)社製〕、スタンド〔コピースタンドCS−5;LPL(株)社製〕、レンズ〔24mm/F2.8Dニッコールレンズ〕、CCDカメラ〔(HV−37;日立電子(株)社製)Fマウントによるレンズとの接続〕及びビデオボード〔スペクトラ3200;カノープス(株)社製〕を用いて、表面シート10の裏面1B側の画像を取り込む。取り込まれた画像をNEXUS社製の画像解析ソフトNEW QUBE(ver.4.20)によって開孔31の部分を二値化処理する。二値化処理された画像から得られる個々の面積の平均値を開孔の大きさとする。
開孔31はその端部が、表面シート10の第2の面10b側に突出して、突出部からなる導液管を形成していてもよい。上述のとおり、開孔31の端部は剛性が低いので、かかる突出部を形成することで、表面シート10のクッション性が一層高くなる。また、突出部を形成することで、表面シート10の下側に位置する吸収体の構造によらず、表面シート10と吸収体との接触を維持できることから、着用者から排泄された液が、表面シート10から吸収体へ効率よく伝達される。
表面シート10を構成する繊維は、上述のとおり、繊維どうしが交絡しているか、又は繊維どうしが融着している。繊維どうしが融着している場合、当該繊維は、図4に示すように、離間しており、かつ溶融によって引き伸ばされた樹脂の固化で形成された橋渡し構造Bによって結合されていることが好ましい。このような結合状態であることによって、表面シート10の柔軟性が一層向上する。橋渡し構造の結合状態を実現するには、例えば後述する方法に従い表面シート10を製造すればよい。
上述の橋渡し構造の連結状態を有する表面シート10においては、繊維どうしが熱融着されており、該繊維どうしの橋渡し構造の融着部分における繊維の中心間距離が、各々の繊維の中心から繊維の外面までの距離を加算した値よりも大きくなっている部分を有している。この場合、構成繊維として自己融着性繊維を50重量%以上含むことが、確実な橋渡し構造の連結状態を実現する観点から好ましい。このような特徴的な構造を有する表面シート10は、本発明者らが初めて見出した極めて新規なものである。この状態は、電子顕微鏡等の観察から計測できる。繊維の中心から外面までの距離は、接合している繊維から計測することが望ましいが、複数種の繊維が配合されている場合でも、各々の繊維10〜20本程度の繊維から平均繊維径より求めても良い。
橋渡し構造は、表面シート10の電子顕微鏡による拡大観察において、ランダムに50〜100程度の交点を計測した場合、5〜20%存在することが、柔軟性とクッション性、及び表面シート10の強度の観点から好ましい。
表面シート10を構成する繊維としては、天然繊維、半天然繊維、合成繊維等、当該技術分野において従来用いられている繊維を特に制限なく用いることができる。繊維間の詰まりすぎを起こさず、表面シート10に柔軟性を付与する観点から、合成繊維を用いることが好ましい。合成繊維の配合量は、表面シート全体の50重量%以上が好ましく、70%重量以上がより好ましい。もちろん、合成繊維100%から表面シート10を構成してもよい。表面シート10が合成繊維100%からなる場合、着用者の体圧が加わった状態下でも畝溝構造が潰れ難くなるので、溝部30に沿った通気性が良好となる。
使用する合成繊維としては、例えば自己融着性繊維である芯鞘構造繊維やサイドバイサイド型繊維が挙げられる。この他に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の単繊維や複合繊維を用いることができる。畝溝構造及び開孔形状の成形性や、橋渡しの結合形の成による柔軟性の向上の観点から、ポリエチレンを鞘成分に有する芯鞘構造繊維や、ポリエチレン部分を有するサイドバイサイド型繊維を用いることが好ましい。繊維の(平均)繊度は、1〜6dtexの範囲が好ましい。
合成繊維として捲縮繊維を用いると、表面シート10のクッション性が一層向上するので好ましい。捲縮繊維としては、二次元に捲縮した繊維及びコイル状の三次元に捲縮した繊維の何れも用いることができる。特に熱の付与によってコイル状に三次元捲縮した繊維を表面シート10に含まれていることが好ましい。このような繊維は、潜在捲縮繊維を原料として用いることで、表面シート10に含ませることができる。潜在捲縮繊維は、例えば収縮率の異なる2種類の熱可塑性樹脂を成分とする偏心芯鞘型複合繊維又はサイドバイサイド型複合繊維からなる。その例としては、特開平9−296325号公報や特許2759331号明細書に記載のものが挙げられる。
合成繊維として、熱の付与によって伸長する繊維を用いても表面シート10のクッション性が一層高まるので好ましい。この理由は、表面シート10の製造中に付与された熱に起因する繊維間の詰まりが防止されるからである。そのような繊維としては、例えば本出願人の先の出願に係るWO2007/66599が挙げられる。
上述の捲縮繊維及び熱伸長性繊維の何れを用いる場合にも、それらの繊維は、表面シート10中に合計で30〜70重量%配合されていることが好ましい。
表面シート10の構成繊維は、その繊維長に特に制限はなく、ステープルファイバ及び連続フィラメントの何れも用いることができる。2種以上の繊維を用いる場合、それらの繊維の繊維長は同じでもよく、又は異なっていてもよい。異なる繊維長の繊維を2種以上組み合わせて用いる場合、これらの繊維を表面シート10中に偏在させることが好ましい。具体的には、畝部20における第1の面10a側は、開孔31の端部に比べて繊維長が長い繊維を多く有していることが好ましい。これによって、表面シート10の表面における短繊維の毛羽抜け易さや毛羽たち易さを抑えて、滑らかな感触を得ることができる。また、畝溝構造や開孔31の明瞭性を向上させることができる。さらに、開孔31に液を導き易くすることができる。例えば、異なる繊維長の繊維を2種類用いる場合、長い方の繊維の繊維長は40〜80mmであることが好ましく、短い方の繊維の繊維長は2〜15mmであることが好ましい。異なる繊維長の繊維を上述のように偏在させるためには、例えば、長い繊維を含む層と短い繊維を含む層とからなる多層構造のウエブを用いて表面シート10を製造したり、長い繊維を含むウエブと短い繊維を含む不織布とを組合せて表面シート10を製造したりすればよい。
異なる繊維長の繊維を2種以上組み合わせて用いる場合、表面シート10は、繊維長が長い繊維と短い繊維が交絡している部分を有することが好ましい。これによって、交絡部分に起因する強度向上と、表面シートとして畝部20からの液の移動を容易にできるという有利な効果が奏される。繊維長が長い繊維と短い繊維が交絡している部分は、表面シート10における溝部30や開孔31の周縁の部分であることが好ましい。このような部分的な交絡部を形成するには、例えば、長い繊維を含む層と短い繊維を含む層とからなる多層構造のウエブを用いて表面シート10を製造したり、長い繊維を含むウエブと短い繊維を含む不織布とを組合せて表面シート10を製造したりすればよい。
表面シート10は親水化されていることが好ましい。親水化の方法としては、例えば疎水性不織布を親水化剤で処理する方法が挙げられる。また、親水化剤を練り込んだ繊維から不織布を製造する方法が挙げられる。更に、本来的に親水性を有する繊維、例えば天然系や半天然系の繊維を使用する方法が挙げられる。不織布の製造後に、界面活性剤を塗工することでも親水化を行うことができる。
表面シート10の親水性に関し、畝部20の頂部21においては、第1の面10a側の親水性が弱親水性から疎水性であることが好ましい。一方、開孔31の端部付近における第1の面10a側の表面が少なくとも弱親水性以上の親水性を有していることが好ましい。そして、これら両者に関して、開孔31の端部付近の方が、畝部20の頂部21よりも親水性が高くなっていることが好ましい。親水性の程度にこのような差を設けることで、第1の面10a側から第2の面10b側への液の引き込み性が促進され、第1の面10a側に液残りが生じにくくなり、第1の面10a側のドライ感が高まる。親水性の程度にこのような差を設けるためには、例えば繊維表面を親水性となす界面活性剤のうち、水への溶解性が高いものを用いて、高温(40〜80℃)多湿(80%RH程度)の条件で表面シート10を処理すればよい。あるいは、溶解性が異なる複数の界面活性剤によって表面シート10を処理したり、ブリードアウト可能な界面活性剤を、繊維を構成する樹脂内に添加したりすればよい。表面シート10の各部位における親水性の程度は、既知の表面張力が異なる試験液を使用して液滴法(5箇所以上計測)で評価する。なお、本明細書において、親水性とは接触角が50度以下、弱親水性とは接触角が50度より大きく80度以下、疎水性とは、接触角が90度以上100度程度の範囲のことをいう。接触角の測定は、特開2005−324010号公報の「初期接触角の測定」に記載の方法で行うことができる。
図1及び図2に示す表面シート10は、単層の構造のものであったが、これに代えて表面シート10を2層以上の多層構造とすることもできる。表面シート10が、例えば第1の面10aを含む上層及び第2の面10bを含む下層からなる2層構造のものである場合、上層に比べ下層の毛管勾配を高めることが好ましい。これによって、第1の面10a側から第2の面10b側への液の引き込み性が促進される。毛管勾配を高める方法としては、例えば上層よりも下層の繊維の繊維径を小さくする方法が挙げられる。この場合、上層の繊維を2〜8dtexとし、下層の繊維を0.1〜6dtexとすることが好ましい。また、上層よりも下層の親水性を高めることでも、毛管勾配を高めることができる。あるいは、これら両方の手段を採用してもよい。
表面シート10が2層構造のものである場合、開孔31の端部では各層が一体化され、且つ開孔の端部付近に、繊維の熱変形に起因する膜状構造を有しないことが好ましい。これによって、開孔31の端部付近の剛性が低くなり、変形に対する柔軟性及び形状復元性が向上する。
次に、図1に示す表面シート10の好ましい製造方法について説明する。表面シート10は、図5に示す装置を用い、流体交絡法によって製造される。この装置を用いた製造方法は、(イ)繊維集合体を供給し、該繊維集合体の供給方向と直交する方向に波状構造を形成するための流体透過性支持体上に該繊維集合体を導く工程、(ロ)該支持体上に位置する該繊維集合体に流体を吹き付けて、その構成繊維をより分け畝溝構造と開孔を形成する工程、及び(ハ)引き続き該支持体上に位置する該繊維集合体に再び流体を吹き付けて、畝溝構造と開孔が形成された該繊維集合体を不織布化する工程を有する。
図5に示す装置40は、流体透過性支持体50及び第1噴射ノズル51及び第2噴射ノズル52を備えている。図6に示すように、流体透過性支持体50はロール状のものであり、その周面はメッシュ等の流体透過性材料で構成されている。支持体50の周面には、ロールの回転方向に沿って延びる凸部と凹部とが、ロールの軸方向に交互に形成されている。これによって、表面シート10の原料である繊維集合体53に、その供給方向と直交する方向に波状構造を形成することができる。凸部の頂部には、ロールの回転方向に沿って断続的に形成された突起部54が位置している。突起部54は、ロールの回転方向に沿って一定間隔をおいて配置されている。かつロールの軸方向でみたときに、突起部54は一直線上に位置するように配置されている。
第1噴射ノズル51及び第2噴射ノズル52は、支持体50の周面に対向するように配置されている。各ノズル51,52は、支持体50の全幅にわたり流体を噴射できるような構造になっている。ノズル51,52は、表面シート10の原料である繊維集合体53の供給方向に関し、第1噴射ノズル51が上流側に位置し、第2噴射ノズル52が下流側に位置している。
(イ)の工程においては、繊維集合体53は、図5中、矢印の方向に回転している流体透過性支持体50へ供給され、該支持体50の周面に抱かれた状態で搬送される。次いで(ロ)の工程において、支持体50の周面上で、第1噴射ノズルから噴射された流体が繊維集合体53に吹き付けられる。この流体の吹き付けによる圧力で、繊維集合体53は、図7(a)及び(b)に示すように、支持体50の周面に形成されている凸部55の位置において、構成繊維のより分けが生じる。このより分けによって、構成繊維は、凸部55間に位置する凹部56内へ移動していく。つまり、繊維の分配が起こる。
また、凸部55の頂部に突起部54が形成されている場合には、図7(c)に示すように、構成繊維のより分けが一層促進され、突起部55上に位置する繊維集合体54に孔が生じる。この孔が、表面シート10における開孔31となる。
繊維集合体としては、カードウエブ等の繊維の結合や絡合が生じていないか、又はその程度が低いものや、不織布等の繊維の結合や絡合が生じているものを用いることができる。特に、不織布としては、繊維長が30mm以下であり、かつバインダー成分をそれ自体が有しない繊維を含む不織布、具体的には、パルプ繊維の繊維間がバインダー(接着成分)によって固定されている乾式パルプシートを用いることが好ましい。
この工程で用いられる流体としては、水等の液体及び空気等の気体を使用することが可能である。流体の種類は、支持体50上に導く繊維集合体によって選択する。例えば、カードウエブのように結合又は交絡のない繊維集合体を用いる場合には、空気流又は水蒸気流(スチームジェット)を使用することが好ましい。エアスルー不織布のように、繊維交点で結合を有する繊維集合体を用いる場合には、水流又は水蒸気流(スチームジェット)を使用することが好ましい。後者の場合、繊維交点での結合を部分的に剥離し、繊維交絡の程度を低く抑えつつ、繊維の移動によって畝溝構造及び開孔を形成することができる。また、繊維間を詰まらせすぎないようにすることができる。このように、本工程は、繊維の移動による畝溝構造及び開孔の形成が主たるものであり、繊維の交絡の程度は低く抑えられている。
上述の水流とは、水等の完全な液体流を意味する。水蒸気流(スチームジェット)とは、液体状態でない水の流体流をいう。液体水流又は水蒸気流(スチームジェット)を使用した場合、繊維交絡は突起部55の近傍に位置する繊維ほど進行し、その部分の繊維密度が高める傾向にある。特に、繊維集合体として不織布を用いた場合(すなわち再不織布化)、凸部55では繊維交絡がほとんど行われないので、不織布が本来的に有するクッション感が維持される。一方、凹部56及び突起部55の近傍に位置する繊維には交絡が生じ、凸部55に位置する繊維に対して相対的に毛管勾配(密度勾配)が大きくなる。
(ロ)の工程である第1噴射ノズル51からの流体の吹き付けによって畝溝構造及び開孔が形成されたら、次いで(ハ)の工程である第2噴射ノズル52からの流体の吹き付けによって繊維交絡が生じ、繊維集合体が不織布化(繊維集合体として不織布を用いた場合には再不織布化)される。この場合に使用する流体としては、液体水流又は水蒸気流を用いることが好ましい。これらの流体を用いることで、繊維交絡を効率的に行うことができる。なお、上述の再不織布化とは、繊維集合体として不織布を用いた場合に、前工程である畝溝構造及び開孔の形成工程において、繊維の切断又は融着部分が剥離した繊維を再度融着又は再度交絡させて不織布としての形態を維持させることを言う。
(ロ)の工程及び(ハ)の工程で繊維集合体53に吹き付ける流体を、支持体50の凸部55に集中すると、支持体50の凹部56に比べて凸部55の流体圧を高めることができるので、開孔性が良好となるので好ましい。また開孔の端部付近の繊維密度をより高くすることができる点で好ましい。
(ハ)の工程において流体として水蒸気流を使用した場合、第2噴射ノズル52からの水蒸気流を比較的低い温度である100〜150℃(ウエブ上で繊維融着温度よりも低い温度)とすることで、繊維交絡のみが行われる。水蒸気流は液体水流に比べるとエネルギー(噴射圧)が低い(流体流の分散が大きい)ので、繊維集合体として不織布を用いる場合よりも、ウエブへ吹き付けるときに用いることが好ましい。ウエブの方が不織布よりも繊維の移動が容易だからである。しかしながら、繊維集合体として不織布を用いた場合であっても、(ロ)の工程によって形成された畝溝構造及び開孔の形状が回復しない程度の弱い繊維交絡状態となる噴射圧を水蒸気流によって与えることができる。さらに、水蒸気流の温度が、ウエブ上で繊維融着温度よりも高くなる160〜200℃程度の場合、仮に繊維融着温度より20℃以上高い温度であっても、繊維集合体中の繊維に加わる熱量は、繊維を構成する樹脂が溶融して甚だしく流動するほどではなく、またすべての繊維の交点で樹脂の流動がおこり融着が生じるとは限らない程度であるので、繊維集合体全体を固化させるものではない。したがって水蒸気流の噴射圧が高い状態にあり、繊維同士がかなり接近した状態であっても、繊維の目詰まりを起こさせずに、繊維交点で融着を行うことができる。
この融着は、第2噴射ノズル52から吹き付けられた水蒸気流によって行われるので、公知の不織布製造技術であるエアスルー法に比べると、短時間で強い圧力が繊維集合体に加わっている。そのため、繊維交点での融着が安定する前、すなわち互いの繊維の表面で広がって強固な融着点となる繊維鞘成分樹脂の流れ出しが固定化する前に圧力が取り除かれる。その結果、繊維が離間して、先に説明した図4に示すような橋渡し構造Bが形成される。このような橋渡し構造は、2本の繊維のうち一方の繊維の鞘成分樹脂が伸ばされて起こっていると推定される。なぜならば、この融着工程は、繊維融着を起こす状態ではあっても、熱の付与は比較的短時間で終了するので、繊維融着を起こす各繊維を構成する樹脂どうしが融合して樹脂間の界面が消失する状態ではなく、繊維融着を起こす各繊維を構成する樹脂の界面が存在する状態と考えられるからである。また、繊維融着を起こした融着部分である樹脂間の界面近くで伸長が起こると、該界面が引っ張られて融着部分が減少して、該界面で樹脂どうしが剥離してしまうと考えられるからである。このため、橋渡し構造は接合部分の面積は大きいものの、樹脂が伸ばされて細くなった部分を有している。その結果、得られた表面シート10は、その構成繊維の自由度が向上し、柔軟性及びクッション性が良好になる。一方、エアスルー法よりも強い圧力を受けて製造されるので、2本より多い繊維の多交点が一層作られやすくなっている。このような構造によって、表面シート10の強度が向上する。
橋渡し構造と多交点が併せて形成されていることによって、本製造方法によって製造される表面シート10は強度が高く、柔軟性とクッション性が良好になっている。また、多交点に関わる繊維構造は、表面シート10の厚みを抑える方向に繊維が配置されやすいので、橋渡し構造による部分が表面に一層露出しやすくなり、それによって柔軟性とクッション性を一層高めやすくなる。多交点構造は、第2噴射ノズル52に近い面や開孔に近い部分で起こりやすい。橋渡し構造は、第2噴射ノズル52から遠い面や開孔に関わる支持体50から遠い部分で起こりやすい。
(ロ)の工程及び/又は(ハ)の工程で、液体水流を用いる場合には、親水性を付与するために用いられる界面活性剤が繊維表面から流れ落ちるおそれがあるので、繊維内へ界面活性剤を練りこんだものや、天然系/半天然系の親水性繊維を使用することが好ましい。あるいは、後工程において界面活性剤を塗布することが好ましい。これに対して、水蒸気流を用いると、繊維表面の界面活性剤が流れ落ちにくく、繊維の密度が高い部位に一部界面活性剤を集まりやすくすることができるという利点がある。その結果、水蒸気流を用いると、繊維集合体53における支持体50の凹部56及び突起部54に位置する部位の繊維密度が高められるので、必然的にこれら部位の親水度を高めることができる。この効果の応用例として、繊維表面に塗布する界面活性剤又は繊維に練り込む界面活性剤として2種以上のものを使用し、その界面活性剤の耐水性を異ならせる手法が挙げられる。この手法によれば、親水勾配を一層容易に設計できるので有利である。
得られた表面シート10の繊維密度を一層制御するため、(ハ)の工程の後の不織布を、熱風処理工程に付すことも好ましい。熱風処理には、不織布化の促進(繊維集合体の繊維間を結合)及び/又は繊維間の目詰まり解消の効果がある。すなわち、(ハ)の工程において、目詰まり防止の観点から、流体の吹き付け条件を弱くすることがあるところ、それに起因する繊維交絡又は繊維融着の不足を補うために熱風処理工程に付すことが好ましい。また、(ハ)の工程において目詰まりが生じた不織布の嵩を回復させ、あるいは繊維変形(捲縮又は伸長)を発現させるために熱風処理工程に付すことが好ましい。特に、(ハ)の工程で水蒸気流を用いた場合には第2噴射ノズル52を使用するので、エアスルー法に比べて短時間で熱付与工程が完了してしまう。そこで、熱融着状態の安定化の観点から、(ハ)の工程の後工程として、80〜120℃程度の熱風処理工程を行うことが望ましい。あるいは(ハ)の工程の後工程として、急激な温度低下を起こさないようにする安定化工程を行うことが好ましい。また、熱風処理は1段階で行ってもよいし、不織布化の促進のための熱風処理と不織布の嵩回復のための熱風処理とを複数段階以上に分けて行ってもよい。
本製造方法における繊維集合体としてウエブのみを用いる場合には、(ロ)の工程では、空気流又は水蒸気流を用い、(ハ)の工程では、水蒸気流を用いることが好ましい。この理由は、繊維間の目詰まりを防ぎ、繊維交点の融着による不織布化による柔軟な構造ができること、さらに、開孔31の周辺部の繊維密度を高くしやすくできるからである。さらに(ロ)の工程で空気流を用いると、開孔31に導液管を形成しやすくなり、開孔31以外の部位も、図3(a)の形状となりやすくなり、吸収体との接触性が向上する。一方、(ロ)の工程で水蒸気流を用いると、繊維の飛散等が抑えられ流体圧を空気流より高くすることが容易なため、繊維の寄り分けをしやすく、図2の断面形状を得やすくなり、クッション性等の柔軟性を高め易くなる。なお、(ロ)の工程で水蒸気流を用いても、開孔31では流体圧を調整することで、導液管構造と図2の断面形状を両立することが可能である。
本製造方法においては、(ロ)及び(ハ)の工程で水流を使用する場合には、繊維交点に融着点を有する不織布を用いることが好ましい。この理由は、繊維交点の剥離部分による繊維の移動(密度向上部分の形成)と残存する融着点によって繊維の目詰まりを防ぐことができるからである。この場合、(ロ)の工程では、不織布の全体に略均一となるように水流を施して支持体形状に不織布を適合させ、(ハ)の工程では、開孔31を含む溝部30に、畝部20よりも強い水流を吹き付けることで交絡を行い易くし、(ロ)よりも(ハ)の工程の水圧を高めることが、融着点の剥離を促し再交絡を行い易くする観点から好ましい。また、繊維集合体53として、ウエブと不織布との積層体を用いるか、又はウエブと不織布とを供給しつつ両者を積層して繊維集合体53を供給する方法を採用すると、(ロ)及び(ハ)の工程で両者の一体化を進めることができる。このようにして製造された不織布は、畝部20の頂部21から開孔31の端部まで液を導きやすい構造(一体化構造)となる。この場合、ウエブと不織布のうち、水流が直接吹き付けられるのは、ウエブでの繊維の目詰まりを防ぐ観点から、不織布とすることが好ましい。このように(ロ)及び(ハ)の工程で水流を使用すると、図3(b)のような断面形状を得やすくなる。
繊維集合体53として不織布を用い、該不織布が(ロ)の工程の前で別途支持体上に導かれる場合には、得られる不織布の柔軟性及びクッション性を高めることができる。また、繊維集合体53として不織布を用いる場合、該不織布における繊維間の結合や交絡が強いと、(ロ)の工程における繊維移動が起こりにくいことがあるので、(ロ)の工程の前に、不織布における支持体50の凹部56に位置すべき部位にスリット処理を施すことも好ましい。
このようにして、目的とする不織布(表面シート)が得られる。この表面シートは、典型的には液不透過性又は撥水性の裏面シートとともに用いられ、両シート間に液保持性の吸収体を挟持して吸収性物品となされる。そのような吸収性物品としては、例えば生理用ナプキンや使い捨ておむつなど当該技術分野において知られている種々の製品が挙げられる。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記実施形態は、本発明の不織布を吸収性物品の表面シートに適用した場合のものであるが、本発明の不織布はそれ以外の用途にももちろん使用することができる。そのような用途としては、例えば清掃用シート等が挙げられる。
本発明の不織布の一実施形態の要部を拡大して示す模式図である。 図1におけるII−II線断面図である。 本発明の不織布の他の断面の状態を示す図(図2相当図)である。 本発明の不織布における繊維の融着状態を示す模式図である。 図1に示す不織布を製造する装置の一例を示す模式図である。 図5における流体透過性支持体を示す斜視図である。 図5に示す装置を用いた不織布の製造過程を示す模式図である。
符号の説明
10 不織布(表面シート)
20 畝部
30 溝部
31 開孔

Claims (5)

  1. それぞれ一方向に延びる畝部と溝部を交互に有し、溝部に開孔を有する不織布であって、溝部に比べて畝部の方が坪量が実質的に多くなされており、かつ見掛け厚み及び坪量から算出される不織布の見掛け密度が、畝部の頂部よりも開孔の端部の方が高くなされている不織布。
  2. 前記不織布には、前記溝部の延びる方向に沿って配置された多数の前記開孔からなる開孔列が、前記溝部の延びる方向と直交する方向にわたって多列に形成された状態になっており、
    隣り合う2つの前記開孔列においては、前記直交する方向に関して前記開孔が同位置に位置しており、
    前記直交する方向に沿って前記不織布全域を見たときに、必ず前記開孔が形成されていない部位が存在するように前記開孔が配置されている請求項1に記載の不織布
  3. 前記不織布は少なくとも2層構造を有しており、
    開孔の端部付近では各層が一体化され、且つ開孔の端部付近に、繊維の熱変形に起因する膜状構造を有しない請求項1又は2に記載の不織布。
  4. 前記不織布は、繊維長の異なる少なくとも2種の繊維を有しており、
    繊維長が長い繊維と短い繊維が交絡している部分を有する請求項1ないし3の何れか一項に記載の不織布。
  5. 畝部の頂部における頂部側表面の親水性が弱親水性から疎水性であり、
    開孔の端部付近における頂部側表面が少なくとも弱親水性以上の親水性を有し、
    開孔の端部付近の方が、畝部の頂部よりも親水性が高くなっている請求項1ないしの何れかに記載の不織布。
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