JP6038196B2 - 不織布、及び上記不織布を含む吸収性物品、並びに上記不織布の形成方法 - Google Patents

不織布、及び上記不織布を含む吸収性物品、並びに上記不織布の形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、不織布、及び上記不織布を含む吸収性物品、並びに上記不織布の形成方法に関する。
不織布は、吸収性物品、例えば、生理用品及び使い捨ておむつ、清掃用品、例えば、ワイパー、並びに医療用品、例えば、マスク等の製品に用いられている。しかし、これらの製品では、製品の用途、用いられる部位等に特化した性能を有する不織布が採用されている場合が多い。
例えば、吸収性物品では、使用者に違和感を生じさせることなく、着用の際又は使用の際の身体の動きに合わせて伸縮する不織布が要求される。また、使い捨ておむつ及び生理用ナプキンでは、高い伸縮性を有し且つ伸長時に破断しないような強度を有すると共に、肌触り、通気性及び透液性が良好な不織布が要求される。
これらの製品では、所望の性能を有する不織布が、製品毎に設計及び製造されていることが多い。従って、所望の性能を有する不織布を、一定の不織布、例えば、市販の不織布、特に、比較的安価であるスパンボンド不織布、メルトブローン不織布等を加工することにより簡易に形成することができれば、製造コスト、環境保護等の観点から望ましいと考えられる。
不織布を原料とする、吸収性物品に用いるために好適な不織布の形成方法として、特許文献1には、それぞれ一方向に延びる畝部と溝部を交互に有し、溝部に開孔を有する不織布であって、溝部に比べて畝部の方が、繊維量が実質的に多く、畝部の頂部と開孔の端部とで繊維密度が異なる不織布が開示されている。また、特許文献1の[0049]には、上記不織布の原料として、エアスルー不織布等を用いることができること、及びエアスルー不織布のように、繊維交点で結合を有する繊維集合体を用いる場合には、水流又は水蒸気流を使用することが好ましいことが記載されている。
しかし、特許文献1に記載の発明において、原料として、例えば、エアスルー不織布を用いると、当該不織布は各繊維が固定され、動きにくいため、畝部、溝部及び開孔部を形成するためには、流体処理のエネルギー、温度等を高くする必要がある。しかし、流体処理のエネルギー、温度等を高くすると、不織布内の各繊維が融着し、形成された畝部及び溝部が硬くなる。その結果、特許文献1の記載に従って、エアスルー不織布から形成された不織布は、外力に対して変形しにくく、肌に直接接する部分に用いられ且つ体圧が加わった場合に、肌を傷つけるような不織布となる可能性がある。
また、特許文献1の記載に従って、エンボスで各繊維が強固に接合され、紙のように薄く、クッション感の少ない不織布であるスパンボンド不織布、メルトブローン不織布等を加工しようとすると、不織布に明確な凹凸形成されにくいため、例えば、圧縮時にシート全体がつぶれてしまい、特に、平面方向の通気性が劣ることとなる。また、
上記スパンボンド不織布、メルトブローン不織布等を、特許文献1の記載に従って、明確な凹凸形状を有するように加工しようとすると、流体エネルギー、特に、流量、温度を増加させる必要があるが、温度を高くすると、繊維が溶融し、繊維同士が融着し、硬く、ざらつきの多い不織布が形成し、さらに製造コストも高くなる。
特開2009−62650号
従って、本発明は、変形しやすいが、潰れにくく、そして平面方向の通気性に優れる不織布を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、連続繊維と、上記連続繊維を含む複数の繊維を接合することにより形成された接合部とを含む不織布であって、上記不織布が、第1の面と、第1の面と反対側の第2の面とを含み、第1の面が、複数の、接合部を含む凸部(V11)と、複数の、接合部を含まない凸部(V12)と、凹部(C11)とを含み、第2の面が、第1の面の、接合部を含む凸部(V11)の少なくとも一部と重なる、複数の凹部(C21)を含み、そして上記連続繊維の直径の変動係数が、10%以上であることを特徴とする不織布により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、本発明は以下の態様に関する。
[態様1]
連続繊維と、上記連続繊維を含む複数の繊維を接合することにより形成された接合部とを含む不織布であって、
上記不織布が、第1の面と、第1の面と反対側の第2の面とを含み、
第1の面が、複数の、接合部を含む凸部(V11)と、複数の、接合部を含まない凸部(V12)と、凹部(C11)とを含み、
第2の面が、第1の面の、接合部を含む凸部(V11)の少なくとも一部と重なる、複数の凹部(C21)を含み、そして
上記連続繊維の直径の変動係数が、10%以上であることを特徴とする、
上記不織布。
[態様2]
第2の面が、第1の面の、接合部を含まない凸部(V12)と重なる凹部を含まない、態様1に記載の不織布。
[態様3]
第2の面が、複数の凸部(V21)と、第1の面の凸部(V11)と重ならない、複数の凹部(C22)とをさらに含む、態様1又は2に記載の不織布。
[態様4]
第1の面の凹部(C11)と、第2の面の凹部(C22)とを連結する、一又は複数の開孔部を有する、態様1〜3のいずれか一つに記載の不織布。
[態様5]
上記連続繊維が、複数の、部分的に細くなった直径を有するくびれ部を有する、態様1〜4のいずれか一つに記載の不織布。
[態様6]
連続繊維と、上記連続繊維を含む複数の繊維を接合することにより形成された接合部とを含むスパンボンド不織布又はメルトブローン不織布を、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布が形成されるように不均一に延伸し、そして上記高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布を、支持体上に配置し、そして上記高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布に、噴出された流体を吹き付けることにより形成された、態様1〜5のいずれか一つに記載の不織布。
[態様7]
液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、上記液透過性のトップシート及び上記液不透過性のバックシートの間の吸収体とを含む吸収性物品であって、
上記液透過性のトップシートが、態様1〜6のいずれか一つに記載の不織布であることを特徴とする、
上記吸収性物品。
[態様8]
態様1〜6のいずれか一つに記載の不織布を形成する方法であって、
連続繊維と、上記連続繊維を含む複数の繊維を接合することにより形成された接合部とを含む不織布を準備するステップ、
上記連続繊維と、上記連続繊維を含む複数の繊維を接合することにより形成された接合部とを含む不織布を、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布が形成されるように不均一に延伸するステップ、そして
上記高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布を、支持体上に配置し、そして上記高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布に、態様1〜6のいずれか一つに記載の不織布を形成するように、噴出された流体を吹き付けるステップ、
を含む上記方法。
[態様9]
上記噴出された流体を吹き付けるステップにおいて、上記支持体が、不織布と接する面に、あらかじめ定められた形状及び配列の突状部及び窪み部を有する、態様8に記載の方法。
[態様10]
上記流体が、加熱された空気、飽和水蒸気又は過熱水蒸気である、態様8又は9に記載の方法。
[態様11]
上記連続繊維と、上記連続繊維を含む複数の繊維を接合することにより形成された接合部とを含む不織布が、スパンボンド不織布又はメルトブローン不織布である、態様8〜10のいずれか一つに記載の方法。
本発明の不織布は、連続繊維の直径の変動係数が、10%以上であるので、力が加わった際の変形のしやすさが、各連続繊維によって異なり、不織布全体として、変形しやすいが、潰れにくい特性を有する。
また、本発明の不織布は、第1の面が、接合部を含む複数の凸部(V11)と、接合部を含まない複数の凸部(V12)とを含み、そして第2の面が、第1の面の、接合部を含む凸部(V11)の少なくとも一部と重なる、複数の凹部(C21)を含むので、変形しやすいが、潰れにくい特性を有する。
さらに、本発明の不織布は、第1の面に、凹凸を含むので、平面方向の通気性に優れる。
図1は、本発明の不織布の実施態様の1つの走査型電子顕微鏡写真である。 図2は、接合部を含む凸部(V11)3の断面の走査型電子顕微鏡写真である。 図3は、接合部を含まない凸部(V12)4の断面の走査型電子顕微鏡写真である。 図4は、図1に示される不織布内の連続繊維の走査型電子顕微鏡写真である。 図5は、複数の歯が、ギアロールの外周面に、ギアロールの回転軸線に対して平行に配置されているギア延伸装置を説明するための模式図である。 図6は、複数の歯が、ギアロールの外周面に、ギアロールの回転軸線に対して垂直に配置されているギア延伸装置を説明するための模式図である。 図7は、複数の歯が、ギアロールの外周面に、ギアロールの回転軸線に対して傾斜して配置されているギア延伸装置を説明するための模式図である。 図8は、流体処理ステップの例を示す図である。 図9は、図8に示される支持体19を用いて形成される不織布の例を説明するための図である。 図10は、実施例5及び比較例3で用いられたスパンボンド不織布のエンボスを説明するための図である。
本発明の不織布、及び上記不織布を含む吸収性物品、並びに上記不織布の形成方法について、以下、詳細に説明する。
[本発明の不織布]
本発明の不織布は、連続繊維と、上記連続繊維を含む複数の繊維を接合することにより形成された接合部とを含む不織布である。本発明の不織布において、当該不織布は、第1の面と、第1の面と反対側の第2の面とを含み、第1の面が、複数の、接合部を含む凸部(V11)と、複数の、接合部を含まない凸部(V12)と、凹部(C11)とを含み、第2の面が、第1の面の、接合部を含む凸部(V11)の少なくとも一部と重なる、複数の凹部(C21)を含み、そして上記連続繊維の直径の変動係数が、10%以上である(以下、「特定の形状及び特定の変動係数」と称する場合がある)。
図1は、本発明の不織布の実施態様の1つの走査型電子顕微鏡写真である。図1に示される不織布は、第1の面1を、斜め上から撮影したものである。第1の面1の反対側が、第2の面2である。図1に示される不織布は、複数の、接合部を含む凸部(V11)3と、複数の、接合部を含まない凸部(V12)4と、凹部(C11)5とを含む。図示されていないが、第2の面2は、第1の面1の、接合部を含む凸部(V11)3の少なくとも一部と重なる、複数の凹部(C21)8を含む。また、図1に示される不織布において、接合部を含む凸部(V11)3は、接合部7を含む。
図1に示される不織布はまた、複数の開孔部6を含む。開孔部6は、第2の面2が複数の凹部(C22)(図示せず)をさらに含み、そして第1の面の凹部(C11)と、第2の面の凹部(C22)とが連結されることにより形成される。開孔部が形成されることにより、本発明の不織布の厚さ方向の通気性及び透液性が大きく向上する。従って、本発明の不織布が、吸収性物品のトップシートに用いられた場合には、上記開孔部を通じて、吸収した液体を吸収体に迅速に移行させることができる。
なお、図1に示される不織布は開孔部を含んでいるが、本発明において、開孔部は、所望による要件であり、無くともよい。
図2は、接合部を含む凸部(V11)3の断面の走査型電子顕微鏡写真である。図2では、上側が、第1の面1であり、そして下側が第2の面2である。図2に示される接合部を含む凸部(V11)3は、2つの接合部7を含む。また、図2では、第2の面2が、第1の面1の、接合部を含む凸部(V11)3と重なる、凹部(C21)8を含む。
なお、本明細書において、凹部及び凸部に関して用いられる用語「重なる」は、凸部及び凹部が、略同一の立体形状を有し、そして凸部の頂部及び凹部の底部が、不織布の厚さ方向に離間しているが、平面方向に略同一の位置を有することを意味する。従って、略同一の立体形状を有するが、凸部の頂部及び凹部の底部が、平面方向に略同一でない位置を有する凹部及び凸部は、本明細書において、「重なる」の概念に含まれない。
なお、凸部の頂部とは、凸部のなかで、厚さ方向に最も高い場所を意味し、そして凹部の底部とは、凹部の中で、厚さ方向に最も低い場所を意味する。
図3は、接合部を含まない凸部(V12)4の断面の走査型電子顕微鏡写真である。図3では、上側が、第1の面1であり、そして下側が第2の面2である。図3では、第2の面2が、第1の面1の、接合部を含まない凸部(V12)4と重なる凹部を含まない。
なお、図1に示される実施態様では、第2の面が、第1の面の、接合部を含まない凸部(V12)と重なる凹部を含まないが、本発明においては、第2の面が、第1の面の、接合部を含まない凸部(V12)と重なる凹部を含んでもよい。
なお、本明細書において、第1の面に形成されうる、接合部を含む凸部(V11)、接合部を含まない凸部(V12)、及び凹部(C11)を、「第1の面の凹凸」と称する場合があり、そしてこれらを有する第1の面を、「凹凸を有する第1の面」と称する場合がある。
また、本明細書において、第2の面に形成されうる、凹部(C21)、並びに所望による凸部(V21)及び凹部(C22)を、凸部(V21)が存在しない場合であっても、「第2の面の凹凸」と称する場合があり、そしてこれらを有する第2の面を、凸部(V21)が存在しない場合であっても、「凹凸を有する第2の面」と称する場合がある。
図4は、図1に示される不織布内の連続繊維の走査型電子顕微鏡写真である。図4に示されるように、図1に示される不織布内の連続繊維は、その直径に分布があり、当該連続繊維の直径の変動係数は、10%以上である。また、図4に示されるように、図1に示される不織布内の連続繊維は、複数の、部分的に細くなった直径を有するくびれ部9を有する。
本明細書において、「変動係数」は、連続繊維を電子顕微鏡等で撮影し、撮影された画像から、繊維径を任意に50カ所測定し、その標準偏差及び相加平均から、下記式(1)により求められる値を意味する。
変動係数(%)=100×標準偏差/相加平均 式(1)
本発明の不織布が、10%以上の、連続繊維の直径の変動係数を有することからも明らかなように、本発明の不織布内の連続繊維に、部分的に繊維径が太い部分と、部分的に繊維径が細い部分とが混在する。従って、本発明の不織布は、繊維径が細い部分は柔らかく、変形しやすいが、繊維径が太い部分では、変形しにくく、潰れにくい特性、すなわち、クッション性を有する。
また、本発明の不織布において、第1の面が、接合部を含む凸部(V11)を含み、さらに第2の面が、第1の面の、接合部を含む凸部(V11)の少なくとも一部と重なる、複数の凹部(C21)を含む。従って、本発明の不織布において、第1の面には、吸収性物品のトップシート等に用いられ、圧力が加わった場合に、柔らかく、変形しやすい凸部と、変形しにくく潰れにくい凸部との両方が存在することになる。その結果、本発明の不織布は、上述の10%以上の変動係数に起因するものに加え、変形しやすいが、潰れにくい特性をさらに有する。
従って、本発明の不織布は、上述のクッション性を有するので、吸収性物品のトップシート等の用途に好適である。
上記連続繊維の素材としては、特に制限されないが、例えば、熱可塑性樹脂、例えば、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリエステル、ナイロン、ポリスチレン等を挙げることができる。また、上記連続繊維は、芯鞘型複合繊維、海島型複合繊維、分割型複合繊維、サイドバイサイド型複合繊維等の複合繊維であってもよい。
上記連続繊維の繊度は、特に制限されないが、吸収性物品のトップシート等に用いられる場合には、約1〜約6dtexの範囲内にあることが好ましい。上記連続繊維の繊度が、約1dtexを下回ると、連続繊維の強度が低くなるので、不織布の厚みが薄くなり、不織布の通気性及び透液性が低下する傾向がある。上記連続繊維の繊度が、約6dtexを上回ると、連続繊維そのものの強度が高くなり、触感が低下する傾向がある。
本発明の不織布は、2種以上の連続繊維を含むことができる。
上記接合部としては、例えば、熱圧着部が挙げられる。
本発明の不織布において、第1の面における、複数の、接合部を含む凸部(V11)、複数の、接合部を含まない凸部(V12)、及び凹部(C11)の量、並びに第2の面における、第1の面の、接合部を含む凸部(V11)の少なくとも一部と重なる、複数の凹部(C21)の量は、本発明の不織布の所望の性能によって変わるが、例えば、連続繊維と、上記連続繊維を含む複数の繊維を接合することにより形成された接合部とを含む不織布、例えば、スパンボンド不織布又はメルトブローン不織布を、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布が形成されるように不均一に延伸し、そして上記高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布を、支持体上に配置し、そして上記高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布に、噴出された流体を吹き付けることにより形成されるような量であり、そして不均一延伸ステップ及び流体処理ステップを調整することにより、上記量を調節することができる。
本発明の不織布が吸収性物品の液透過性トップシート等に用いられる場合には、本発明の不織布は、親水性を有していてもよい。親水性の排泄物(尿、汗、便等)と接触した際に、当該排泄物を不織布の表面にとどめることなく、吸収性物品内部に透過させやすいからである。
本発明の不織布が親水性を有するためには、例えば、不織布を親水剤で処理すること、親水剤を練り込んだ複合繊維から不織布を製造すること、不織布に界面活性剤を塗工すること等が挙げられる。
本発明の不織布は、本発明の効果を奏する範囲内において、上記連続繊維以外に、当該技術分野において通常用いられている短繊維を、さらに含んでいてもよい。上記短繊維の例として、例えば、天然繊維、半天然繊維又は合成繊維を挙げることができる。上記短繊維としては、合成繊維が好ましい。本発明の不織布の柔軟性が高くなるからである。本発明の不織布が短繊維を含む場合には、短繊維の割合は、繊維総量の約30質量%以下であることが好ましく、約20質量%以下であることがより好ましく、そして約10質量%以下であることがさらに好ましい。
上記短繊維が、合成繊維からなる短繊維の場合には、添加することにより、ユーザーの体圧が加わっても潰れにくくなり、通気性が良好となる傾向がある。
上記合成繊維からなる短繊維の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等を挙げることができる。上記短繊維は、成形性を考慮すると、約1〜約6dtexの繊度を有することが好ましい。
本発明の不織布の第1の面は、変形しやすいが、潰れにくく、クッション性に優れるので、吸収性物品のトップシートの肌当接面に好適に用いることができる。
本発明の不織布の第2の面は、接合部を含む凸部(V11)の少なくとも一部と重なる、複数の凹部(C21)を含むので、汗、尿、経血等の液体を一時的に貯蔵し、肌面に液を溢れさせないので、吸収性物品のトップシートの肌当接面に好適に用いることができる。
また、本発明の不織布の第2の面が、第1の面の、接合部を含まない凸部(V12)と重なる凹部を含まない場合には、第2の面の、被接触物との接触面積を増やすことができるの。従って、この場合には、本発明の不織布を、第2の面が非肌当接面側になるようにしてトップシートとして用いると、下層の吸収体に、吸収した液体を迅速に移行させることができる。
本発明の不織布について、本発明の不織布の形成方法の説明と併せて、以下に、さらに詳しく説明する。
[本発明の不織布の形成方法]
本発明の不織布の形成方法は、連続繊維と、上記連続繊維を含む複数の繊維を接合することにより形成された接合部とを含む不織布を準備するステップを含む。当該ステップに用いられる不織布は、上述の連続繊維と、接合部とを含む不織布であれば特に制限されないが、例えば、上述の連続繊維と、接合部とを含む、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布等であることができる。
スパンボンド、メルトブローン法等に代表される連続繊維は、カード法に用いられる短繊維と比較して、繊維伸度が高い。従って、後述の不均一延伸ステップにおいて接合部が比較的破壊されにくく且つ高延伸領域を形成しやすい。従って、後述の流体処理ステップにより、凹凸を有する第1の面及び/又は凹凸を有する第2の面を形成しやすい利点がある。
なお、本明細書において、本ステップにおいて準備される不織布を、「不均一延伸前の不織布」と称する場合がある。
不均一延伸前の不織布としては、市販の不織布、例えば、市販のスパンボンド不織布、メルトブローン不織布等を挙げることができる。
上記不均一延伸前の不織布は、本発明の不織布の形成方法において形成される不織布が、吸収性物品の液透過性トップシート等に用いられる場合には、親水性を有していてもよい。本発明の不織布の形成方法により形成される不織布が、親水性を有することに繋がるからである。不織布に親水性を付与する方法は、上述の通りである。
上記不均一延伸前の不織布は、本発明の効果を奏する範囲内において、上記連続繊維以外に、短繊維をさらに含むことができる。上記不均一延伸前の不織布は、上記短繊維として、上述のものを、上述の割合で含むことができる。
本発明の不織布の形成方法は、上記連続繊維と、上記連続繊維を含む複数の繊維を接合することにより形成された接合部とを含む不織布を、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布が形成されるように不均一に延伸するステップ(以下、「不均一延伸ステップ」と称する場合がある)を含む。
上記不均一延伸ステップでは、特に、高延伸領域において、(i)連続繊維が伸長され、塑性変形する。不織布内における各連続繊維は、一定の方向に配向することなく、ランダムに配向している。従って、例えば、直径aの繊維を含む不織布を、一定方向に、b倍に「均一」に延伸すると、延伸後の不織布に含まれる繊維は、1倍(未延伸)〜b倍に延伸された繊維が混在することになり、それらの直径は、a/b〜aの分布を有することになる。本発明における不均一延伸ステップでは、連続繊維を含む不織布を、「均一」ではなく、「不均一」に延伸するので、延伸後の連続繊維の任意の部分における直径は、さらに広い分布を有することになると思われる。
その結果、本発明の不織布において、連続繊維の直径の変動係数が、約10%以上となる。
上記不均一延伸ステップでは、特に、高延伸領域において、上記(i)に加え、(ii)接合部の一部が破壊され、不織布の一部がウェブ化される場合がある。
さらに、上記不均一延伸ステップにおいて、後述のギア延伸を用いた場合等には、特に、高延伸領域において、(iii)連続繊維の、繊維本数が多く、繊維同士が絡み合った部分では、延伸時に繊維表面の抵抗が大きくなり、繊維が長さ方向に局所的に延伸され、くびれ部を生じる場合がある。
くびれ部は、圧力が加わった場合等に、繊維が曲がる起点となることができるので、本発明の不織布に変形しやすさを付与することができるが、くびれ部はランダムに存在しうるので、ある程度の潰れにくさは保持することができると考えられる。従って、くびれ部の観点からも、本発明の不織布は、吸収性物品のトップシート等に好適に用いられる。
本明細書において、「高延伸領域」は、低延伸領域よりも伸長度が高くなるように延伸された、不織布内の領域を意味し、そして「低延伸領域」は、高延伸領域よりも伸長度が低くなるように延伸された、不織布内の領域を意味し、伸長されていない領域、すわなち、未延伸領域を含む。
本明細書において、「不均一に延伸する」とは、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布が形成されるように不織布を不均一に延伸することを意味し、すなわち、位置によって伸長度が異なる不織布が形成されるように不織布を不均一に延伸することを意味する。ここで、「伸長度が異なる」とは、上記したように、不均一延伸後の連続繊維の任意の部分における直径が、直径aの繊維を含む不織布をb倍に「均一」に延伸した場合の、均一延伸後の繊維の直径の分布をa/b〜aとしたとき、a/b〜aよりもさらに広い分布を有することを意味する。
上記不均一延伸ステップは、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布を形成することができる手段であれば、特に制限されず、任意の手段により実施することができるが、例えば、搬送方向と直交する回転軸線を有する一対のギアロールであって、当該ギアロールのそれぞれの外周面に配置された複数の歯を互いに噛み合わせながら回転するものの間隙に不織布を通過させること(以下、「ギア延伸」と称する場合がある)により行うことができる。
図5は、複数の歯が、ギアロールの外周面に、ギアロールの回転軸線に対して平行に配置されているギア延伸装置を説明するための模式図である。図5に示されるギア延伸装置11は、一対のギアロール12及び12’を有する。ギアロール12及び12’のそれぞれの外周面13及び13’には、それぞれ、複数の歯14及び14’が配置されている。また、図4に示されるギア延伸装置11では、ギアロール12及び12’の回転軸線は、それぞれ、搬送方向Aと垂直である。さらに、複数の歯14及び14’が、それぞれ、外周面13及び13’に、上記回転軸線と平行に配置されている。
図5に示されるギア延伸装置11では、一対のギアロール12及び12’のロール間隙に、連続繊維と、上記連続繊維を含む複数の繊維を接合することにより形成された接合部とを含む不織布15を通し、ギアロール12及び12’を通過する際に、お互い噛み合うギアロール12及び12’の複数の歯14及び14’により、連続繊維と、上記連続繊維を含む複数の繊維を接合することにより形成された接合部とを含む不織布15を、三点曲げの原理で延伸し、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布16を形成する。高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布16は、搬送方向Aと直交する直交方向(以下、搬送方向と直交する直交方向を、単に「直交方向」と称する)に平行な高延伸領域と低延伸領域とを、搬送方向Aに交互に有する。
連続繊維と、上記連続繊維を含む複数の繊維を接合することにより形成された接合部とを含む不織布15において、複数の歯14及び14’の先端部に接する領域では、不織布の生地が固定されるため、全く又は実質的に延伸されず、低延伸領域が形成される。一方、複数の歯14及び14’の先端部に接しない領域では、大きく延伸され、高延伸領域が形成される。
また、上述のように、特に、高延伸領域において、(i)連続繊維が伸長され、塑性変形し、連続繊維の直径の変動係数が、約10%以上となることに加え、(ii)接合部の一部が破壊され、不織布の一部がウェブ化される場合があり、そして(iii)連続繊維の、繊維本数が多く、繊維同士が絡み合った部分では、延伸時に繊維表面の抵抗が大きくなり、繊維が長さ方向に局所的に延伸され、くびれ部を生じる場合がある。
ギア延伸はまた、図6に示されるようなギア延伸装置を用いても行うことができる。
図6は、複数の歯が、ギアロールの外周面に、ギアロールの回転軸線に対して垂直に配置されているギア延伸装置を説明するための模式図である。図6は、ギア延伸装置11の斜視図であり、連続繊維と、上記連続繊維を含む複数の繊維を接合することにより形成された接合部とを含む不織布15が、ギア延伸される直前の状態を示している。連続繊維と、上記連続繊維を含む複数の繊維を接合することにより形成された接合部とを含む不織布15は、手前から奥に進むことにより、ギア延伸される。
図6に示されるギア延伸装置11は、一対のギアロール12及び12’を有する。ギアロール12及び12’の外周面13及び13’には、それぞれ、複数の歯14及び14’が配置されている。また、図6に示されるギア延伸装置11では、複数の歯14及び14’が、それぞれ、ギアロール12及び12’の回転軸線と垂直に、それぞれ、外周面13及び13’上に配置されている。複数の歯14及び14’をこのように配置することにより、搬送方向とそれぞれ平行な高延伸領域と低延伸領域とを、直交方向に交互に有する不織布を形成することができる。
また、ギア延伸装置は、複数の歯が、ギアロールの外周面に、ギアロールの回転軸線に対して傾斜して配置されているものであってもよい。
図7は、複数の歯が、ギアロールの外周面に、ギアロールの回転軸線に対して傾斜して配置されているギア延伸装置を説明するための模式図である。図7に示されるギア延伸装置11は、一対のギアロール12及び12’を有する。ギアロール12及び12’の外周面13及び13’には、それぞれ、複数の歯14及び14’が配置されている。また、図7に示されるギア延伸装置11では、ギアロール12及び12’の回転軸線は、それぞれ、搬送方向Aと垂直である。さらに、複数の歯14及び14’は、それぞれ、回転軸線に対して一定の角度θを有するように、外周面13及び13’に配置されている。
上記ギア延伸装置は、本発明の不織布の形成方法により形成される不織布の所望の性能に応じて、適宜選択することができる。
例えば、搬送方向及び直交方向の両方に高い伸長性が必要である場合には、不均一延伸前の不織布を、図5に示されるギア延伸装置を用いて延伸した後、図6に示されるギア延伸装置を用いてさらに延伸することができる。
また、不均一延伸前の不織布を、図6に示されるギア延伸装置を用いて延伸した後、図5に示されるギア延伸装置を用いてさらに延伸することもできる。
図5〜7に示されるようなギア延伸装置において、ギアピッチは、約1〜約10mmが好ましく、そして約2〜約6mmがより好ましい。ギアピッチが約1mmを下回ると、ギアの刃を薄くする必要性が生じ、不織布が部分的に切断される場合があり、そしてギアピッチが約10mmを上回ると、延伸倍率が低く、連続繊維の塑性変形、不織布の一部のウェブ化、くびれ部の形成等が不十分となる場合がある。
ギアピッチは、図6において、符号17により表わされる、隣接する歯の間隔を意味する。
上記ギア延伸装置において、ギア噛込深さは、約0.5mm以上が好ましい。ギア噛込深さが約0.5mmを下回ると、延伸倍率が低く、連続繊維の塑性変形、不織布の一部のウェブ化、くびれ部の形成等が不十分となる場合がある。
ギア噛込深さは、図6において、符号18により表わされる、上のギアロールの歯と、下のギアロールの歯とが重なる部分の深さを意味する。
高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布において、延伸倍率は、約30〜約400%であることが好ましく、そして約50〜約200%であることがより好ましい。延伸倍率が約30%を下回ると、延伸倍率が低く、連続繊維の塑性変形、不織布の一部のウェブ化、くびれ部の形成等が不十分となる場合があり、そして延伸倍率が約400%を上回ると、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布の強度が弱く、伸長された繊維が脱落しやすくなり、搬送が困難になる場合がある。
本明細書において、「延伸倍率」は、ギアピッチをPとし、ギア噛込深さをDとした場合に、次の式:
により算出される値を意味する。
不均一延伸前の不織布の巻出速度は、所望の延伸倍率等によっても変化するが、例えば、約10m/分以上であることができる。
本発明の不織布の形成方法は、上記高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布を、支持体上に配置し、そして上記高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布に、特定の形状及び特定の変動係数を有する不織布を形成するように、噴出された流体を吹き付けるステップを含む(以下、「流体処理ステップ」と称する場合がある)。
図8は、流体処理ステップの例を示す図である。図8に示される支持体19は、直交方向Bに平行な、突状部20と窪み部21とを有し、そして突状部20と、窪み部21とが、搬送方向Aに交互に配置されている。図8において、突状部20及び窪み部21は、立方体形状を有する。
図8にはまた、流体ノズル22が示されており、流体ノズル22の下に、支持体19を間に挟んで、流体を受け入れるサクション部(図示せず)が設けられている。
支持体19に載せられ、運ばれてきた、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布16に、流体ノズル22から噴出された流体が吹き付けられ、特定の形状及び特定の変動係数を有する不織布23が形成する。なお、吹き付けられた流体は、サクション部(図示せず)から排出される。
図8に示される支持体19を用いて形成される不織布の例を、図9に示す。図9に示される特定の形状及び特定の変動係数を有する不織布23において、上側が第2の面2であり、そして下側が第1の面1である。また、図9では、理解を助けるために、支持体19が、点線で示されている。
流体処理ステップにおいて、流体が衝突する面(以下、「流体衝突面」と称する場合がある)が、第2の面に相当し、そして流体衝突面と反対側の面(以下、「非流体衝突面」と称する場合がある)が、第1の面に相当する。
流体ノズル22から噴出された流体は、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布16を通って、支持体19の突状部20と衝突すると、窪み部21に回り込んで流れる。その結果、自由度の高い、伸長された連続繊維が、流体の流れに沿って窪み部21の方に移動するので、流体と突状部20とが交差する場所における、単位面積当たりの連続繊維量が少なくなり、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布16に凹部(C11)5を形成する一方で、流体と窪み部21が交差する場所における、単位面積当たりの連続繊維量は多くなり、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布16に2種類の凸部、すなわち、接合部を含む凸部(V11)3と、接合部を含まない凸部(V12)4とを形成する。
接合部を含む凸部(V11)3では、流体が、伸長された連続繊維を、流体の流れに沿って窪み部21の方に移動する際に、接合部7を、接合部7の周辺の連続繊維、特に、第2の面の接合部7の周辺の連続繊維と共に、窪み部21の方向に移動させる。その結果、第2の面2が、第1の面の、接合部を含む凸部(V11)3の少なくとも一部と重なる、複数の凹部(C21)8を含むこととなる。「少なくとも一部」となる理由は、接合部が、凸部の周縁部にある場合には、第2の面に凹部が形成しないか、又は第2の面に凹部が形成した場合であっても、接合部を含む凸部(V11)3と重ならないことがあるからである。
なお、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布等における接合部は、接合部以外の部分よりも厚さが薄くなるのが一般的であるが、図9では、接合部の薄さは反映されていない。流体処理ステップにより形成される凹凸の理解の妨げになると考えられるからである。
なお、接合部を含む凸部(V11)及び接合部を含まない凸部(V12)では、不織布の厚さ方向に、伸長された連続繊維が立ち上がる傾向があるため、本発明の不織布の耐圧縮性及び透液性が向上する。また、第1の面が凹凸を有することから、本発明の不織布は、通気性、特に平面方向の通気性に優れ、さらに接触面積が少なくなることから肌触りに優れる。
流体処理ステップにおいて、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布の坪量、不均一延伸ステップの延伸倍率、噴出される流体の種類及び量等によっては、流体衝突面において、噴出された流体が衝突し、次いで跳ね返ることに伴って、平面方向、例えば、直交方向に選り分けられて、第2の面が、複数の凸部(V21)と、複数の凹部(C22)とをさらに含むこととなる場合がある。なお、第2の面における凹部(C22)は、凹部(C21)とは、その形成過程が異なるものであり、凹部(C22)は、第1の面の、接合部を含む凸部(V11)と、原則として重ならない。
また、第2の面が、凹部(C21)に加え、複数の凸部(V21)と、複数の凹部(C22)とをさらに含む場合には、第2の面は、それらが合わさった複雑な表面形状を有する場合がある。
さらに、第1の面の凹部(C11)と、第2の面の凹部(C22)とが連結して、開孔部を形成する場合がある。第2の面の凹部(C22)は、噴出された流体が衝突し、次いで跳ね返ることに伴って形成されるが、噴出された流体のエネルギーが大きい場合には、繊維がより多く選り分けられ、噴出された流体の直下に、より大きな第2の面の凹部(C22)を形成する場合がある。従って、より大きな第2の面の凹部(C22)の反対側に、第1の面の凹部(C11)が存在し、さらに不均一延伸前の不織布の地合、不均一延伸の際の局所的な延伸度等が加わって、第1の面の凹部(C11)と、第2の面の凹部(C22)とが連結された開孔部が形成される場合がある。
不織布が、凹凸を有する第1の面及び/又は凹凸を有する第2の面を有する場合には、肌との接触面積が小さくなり、接触面積が大きいことに起因する蒸れによるべたつき感、こすれに起因する刺激感等を少なくすることができるので、吸収性物品等の用途に好適である。
図8では、突状部20と、窪み部21とが、直交方向に平行であり且つ搬送方向に交互に配置されている支持体19が示されているが、本発明の不織布の形成方法では、支持体の形状は、特に制限されず、支持体の例として、(i)搬送方向にそれぞれ平行な突状部及び窪み部であって、直交方向に交互に配置されているものを有する支持体であってもよく、又は(ii)搬送方向に対して傾斜を有する突状部及び窪み部であって、当該傾斜の方向と直交する方向に交互に配置されているものを有する支持体であってもよく、あるいは(iii)あらかじめ定められた形状(例えば、立方体形状、円柱形状、半球形状等)の突状部及び/又は窪み部が、あらかじめ定められた配列(例えば、ハート型、星型等の配列)で配置されている支持体を挙げることができる。
上記突状部は、窪み部の流体透過性よりも、低い流体透過性を有することが好ましい。突状部が低い流体透過性を有することにより、突状部に衝突した流体が、窪み部の方に流れ、上記方法により形成された不織布に、より大きな凸部を形成することができるからである。
上記突状部の素材としては、金属、プラスチック等が挙げられるであろう。
上記突状部及び窪み部の形状及び材質は、特に制限されるものではなく、上記支持体は、例えば、流体透過性の支持体として通常用いられる金属、プラスチック製等のコンベアネット、抄紙網、パンチングプレート等の上に、立方体形状、筒状等の形状の金属を、一定の間隔を保持する等、あらかじめ定められた配列で配置することにより形成されうる。
あらかじめ定められた形状(例えば、立方体形状、円柱形状、半球形状等)の突状部及び/又は窪み部が、あらかじめ定められた形状(例えば、ハート型、星型等の形状)で配置されている支持体としては、例えば、パンチングプレート上に、半球型の形状の金属が、あらかじめ定められた配列(例えば、ハート型)で配置されたものが挙げられる。当該支持体を用いると、あらかじめ定められたパターン(例えば、ハート型)の凹部を有する不織布を形成することができる。
また、例えば、パンチングプレート上に、半球型の窪み形状が、あらかじめ定められたパターン(例えば、ハート型)で配置された、突状部と窪み部とを有する支持体を用いると、あらかじめ定められたパターン(例えば、ハート型)の凸部を有する不織布を形成することができる。
さらに、パンチングプレートそのものを支持体として用いることができる。上記支持体として用いられうるパンチングプレートとしては、例えば、丸穴型、例えば、丸穴60°千鳥型、丸穴角千鳥及び丸穴直列型、角穴型、丸十型、雲型、雲千鳥型等のパンチングプレートが挙げられる。パンチングプレートを支持体として用いた場合には、プレート部分が突状部になり、そして開口部分が窪み部になる。
本発明の不織布の形成方法は、支持体の形状を選択することにより、不均一延伸前の不織布に、所望の模様、所望の通気度、所望の柔軟性等を付することができ、そして市販の不織布を、その用途に合わせて、簡易に、低コストで加工することができる。
また、上記流体処理ステップが、ロール上で行われる場合には、ロール状の支持体であって、その外周がメッシュ等の流体透過性材料で構成され且つ外周面に、あらかじめ定められた形状及び配列の突状部及び窪み部が配置されているものを用いることができる。当該あらかじめ定められた形状及び配列としては、上述の形状及び配列を挙げることができる。
突状部と窪み部とを有する支持体において、それらの幅は、特定の形状及び特定の変動係数を有する不織布に必要な特性等によって異なるが、例えば、図8に示される支持体において、突状部の幅は、約0.5〜約10mmの範囲にあることが好ましく、窪み部の幅は、約1〜約10mmの範囲にあることが好ましい。
上記流体処理ステップにおいて用いられる流体としては、空気、例えば、加熱された空気、水蒸気、例えば、飽和水蒸気及び過熱水蒸気、又は水、例えば、熱水が挙げられる。後の乾燥工程が不要であるか又は少なくてよいことを考慮すると、上記流体としては、加熱された空気、飽和水蒸気、及び過熱水蒸気が好ましい。
上記流体を、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布に、固定された流体ノズルから吹き付けることができ、又は直交方向に往復する流体ノズルから吹き付けることができる。また、上記流体を、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布に、連続的、又は間欠的に流体ノズルから吹き付けることができる。また、これらを組み合わせることもできる。
上記流体は、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布の形態によって、適宜選択することができる。例えば、ギアピッチが小さく、延伸倍率が大きい不織布を処理する場合には、比較的低いエネルギーで、特定の形状及び特定の変動係数を有する不織布を形成することができるため、流体として空気又は水蒸気を選択することが好ましい。また、ギアピッチが大きく、低延伸領域が多い不織布を用いる場合には、連続繊維間の接合部が多いので、特定の形状及び特定の変動係数を有する不織布を形成するために比較的高いエネルギーが必要であるため、流体として水又は水蒸気を選択することが好ましく、そして水蒸気がより好ましい。というのは、連続繊維量が多い部分に水分が残存しにくく、連続繊維量が多い部分の接合部を破壊することが少なく、そして移動すべき部分の、伸長された連続繊維を簡易に移動させることができるからである。
上記流体処理ステップは、当技術分野で公知の装置を用い、そして公知の方法で行うことができる。
本発明の不織布、及び本発明の方法により形成された不織布は、吸収性物品、例えば、生理用品及び使い捨ておむつ、清掃用品、例えば、ワイパー、並びに医療用品、例えば、マスク等に有用である。
上記方法により形成された不織布は、例えば、吸収性物品の液透過性トップシートとして用いることができる。変形しやすいが潰れにくく、平面方向の通気性に優れる不織布を用いることにより、これらに優れる吸収性物品を製造することができる。
上記吸収性物品は、液透過性のトップシートとしての本発明の不織布と、液不透過性のバックシートと、上記液透過性のトップシート及び液不透過性のバックシートの間の吸収体とを含むことができる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例において評価された項目の、測定条件は、以下の通りである。
[坪量]
坪量は、JIS L 1906の5.2に従って測定する。
[嵩]
嵩は、(株)大栄科学精器製作所製 THICKNESS GAUGE UF−60を用いて測定する。
[圧縮特性]
カトーテック株式会社製、自動化圧縮試験器、KES−FB3を用いて、圧縮特性を評価する。
測定条件は、以下の通りである。
SENS :2
速度 :0.02mm/秒
ストローク:5mm/10V
加圧面積 :2cm2
取込み間隔:0.1秒
上限荷重 :50g/cm2
繰返し回数:1回
圧縮特性は、不織布1cm2当りの圧縮エネルギーを意味するWCと、圧力0.5gf/cm2における試料の厚みを意味するT0と、圧力50gf/cm2における試料の厚みを意味するTmとにより評価する。WCは、値が大きいほど圧縮されやすいことを意味する。
[通気度]
通気度は、カトーテック株式会社のKES−F8−AP1通気性試験器を用いて測定し、単位を「m3/m2/分」に換算する。
不織布の厚さ方向の通気度は、100mm×100mmの大きさにカットした不織布を、通気性試験器にセットして測定する。
不織布の平面方向の通気度は、100mm×100mmの大きさにカットした不織布を、通気性試験器にセットし、100mm×100mmの大きさのアクリル板をその上にさらにセットし、3.5mN/cm2の加重下で測定する。
[透液性]
透液性を、LENZING社製、LISTERストライクスルー試験器を用いて評価する。評価手順は、以下の通りである。
(1)100×100mmの大きさにカットしたろ紙(ADVANTEC FILTER PAPER GRADE 2)5枚の上に、100×100mmの大きさにカットした試料を配置し、その上に通電透液プレートを配置する。
(2)ストライクスルー試験機本体に、ろ紙、試料及び通電透液プレートをセットする。
(3)ストライクスルー試験機本体に、生理食塩水5mLを入れる。
(4)ストライクスルー試験機本体から、上記生理食塩水(室温)を、通電透液プレートの開孔部に落下させる。
(5)通電透液プレートの通電時間を記録する。
(6)測定を2回繰返し、計3回の平均値を、透液時間とする。
なお、試料をセットしない場合、すなわち、ろ紙5枚における透液時間は、69秒であった。
[実施例1]
−不織布の準備−
スパンボンド不織布1を準備した。スパンボンド不織布1は、ポリプロピレンからなる連続繊維を含んでおり、市販品であった。また、スパンボンド不織布1には、丸穴角千鳥型のエンボスが施されており、エンボスの直径は、約0.5mmであり、MDピッチ及びCDピッチは、それぞれ、約2mm及び約2mmであった。
スパンボンド不織布1の特性値を表1に示す。
−ギア延伸−
スパンボンド不織布1を、図6に示されるような、ギア延伸装置(ギアピッチ:2.5mm,ギア先端部幅:0.2mm,ギア噛込深さ:2.0mm)を用いてギア延伸し、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布を形成した。処理速度は、30m/分であった。上記高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布の延伸倍率は、89%であった。
上記高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布の特性値を、表1に示す。
−水蒸気処理−
上記高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布を、丸穴60°千鳥型のパンチングプレート(φ:3.0mm、MDピッチ:6.93mm、CDピッチ:4.0mm、厚さ:1.0mm)からなる支持体に載せた。次いで、上記高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布を、1.0mmの間隔で、複数のノズル(φ:0.5mm)を備える水蒸気処理システム(噴出圧力:0.5Mpa,水蒸気温度:約149℃)に、ノズル及び支持体間距離を2.0mmに保ちながら、30m/分の速度で通し、不織布1を得た。
不織布1の特性値を表1に示す。
[実施例2]
ギア噛込深さを3.0mmとし、延伸倍率を160%に変化させた以外は、実施例1と同様にして、不織布2を得た。不織布2の特性値を表1に示す。
[比較例1]
スパンボンド不織布1を、ギア延伸工程を経ずに直接水蒸気処理した以外は、実施例1と同様にして、不織布3を得た。不織布3の特性値を表1に示す。
[実施例3]
スパンボンド不織布2を準備した。スパンボンド不織布2は、芯がポリプロピレンからなり、鞘がエチレンとプロピレンとのコポリマーである芯鞘型複合繊維を含んでいた。また、スパンボンド不織布2には、角千鳥型のエンボスが施されており、エンボスは、約0.6mm×約0.6mmの菱形形状であり、MDピッチ及びCDピッチは、それぞれ、約2mm及び約2mmであった。スパンボンド不織布2の特性値を表2に示す。
スパンボンド不織布1を、スパンボンド不織布2に変更し、そして水蒸気の噴出圧力を0.4Mpaとし且つ水蒸気温度を約141℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、不織布4を得た。不織布4の特性値を表2に示す。
[実施例4]
ギア噛込深さを3.0mmとし、そして延伸倍率を160%に変化させた以外は、実施例3と同様にして、不織布5を得た。不織布5の特性値を表2に示す。
[比較例2]
ギア延伸を行わず、スパンボンド不織布2を直接水蒸気処理した以外は、実施例3と同様にして、不織布6を得た。不織布6の特性値を表2に示す。
[実施例5]
スパンボンド不織布3を準備した。スパンボンド不織布3は、芯がポリプロピレンからなり、鞘がエチレンとプロピレンとのコポリマーである芯鞘型複合繊維を含んでいた。また、スパンボンド不織布3には、図10に示されるような、エンボスとしての接合部7が配置されていた。スパンボンド不織布3の特性値を表3に示す。
スパンボンド不織布2を、スパンボンド不織布3に変更し、そしてギア噛込深さを2.5mmとし、そして延伸倍率を124%に変化させた以外は、実施例3と同様にして、不織布7を得た。不織布7の特性値を表3に示す。
[比較例3]
スパンボンド不織布3を、ギア延伸工程を経ずに直接水蒸気処理した以外は、実施例5と同様にして、不織布8を得た。不織布8の特性値を表3に示す。
[実施例6]
スパンボンド不織布4を準備した。スパンボンド不織布4は、芯がポリプロピレンからなり、鞘がエチレンとプロピレンとのコポリマーである芯鞘型複合繊維を含んでいた。また、スパンボンド不織布4には、図10に示されるような、エンボスとしての接合部7が配置されていた。スパンボンド不織布4の特性値を表4に示す。
スパンボンド不織布3を、スパンボンド不織布4に変更した以外は、実施例5と同様にして、不織布9を得た。不織布9の特性値を表4に示す。
[比較例4]
スパンボンド不織布4を、ギア延伸工程を経ずに直接水蒸気処理した以外は、実施例6と同様にして、不織布10を得た。不織布10の特性値を表4に示す。
実施例1〜6で形成された不織布は、対応する比較例で形成された不織布と比較して、WCの値が大きいので、小さい力で変形しやすく、そしてTmの値が大きいので、潰れにくいことが分かる。
実施例1〜6で形成された不織布はまた、対応する比較例で形成された不織布と比較して、平面方向の通気度が高いことが分かる。
1 第1の面
2 第2の面
3 接合部を含む凸部(V11
4 接合部を含まない凸部(V12
5 凹部(C11
6 開孔部
7 接合部
8 凹部(C21
9 くびれ部
11 ギア延伸装置
12,12’ ギアロール
13,13’ 外周面
14,14’ 複数の歯
15 連続繊維と、上記連続繊維を含む複数の繊維を接合することにより形成された接合部とを含む不織布
16 高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布
17 ギアピッチ
18 ギア噛込深さ
19 支持体
20 突状部
21 窪み部
22 流体ノズル
23 特定の形状及び特定の変動係数を有する不織布
A 搬送方向
B 搬送方向と直交する直交方向

Claims (11)

  1. 1〜6dtexの繊度を有する連続繊維から形成された不織布であり、前記連続繊維同士が接合した状態にある熱圧着接合部を含む不織布であって、
    前記不織布が、第1の面と、第1の面と反対側の第2の面とを含み、
    第1の面が、複数の、接合部を含む凸部(V11)と、複数の、接合部を含まない凸部(V12)と、凹部(C11)とを含み、
    第2の面が、第1の面の、接合部を含む凸部(V11)の少なくとも一部と重なる、複数の凹部(C21)を含み、
    前記凸部(V 11 ;V 12 )及び前記凹部(C 21 )は、不織布の一端から他端まで断続的な不連続形状であり、前記凹部(C 11 )は、不織布の一端から他端まで連続する形状であり、前記凸部(V11;V12)及び前記凹部( 21 の断続的な不連続形状と、前記凹部(C 11 )の連続する形状とが、互いに平行に位置しており、そして
    前記不織布が、高延伸領域と低延伸領域とを有していて、
    高延伸領域と低延伸領域とを有する前記不織布は、高延伸領域において、(i)連続繊維が伸張されて塑性変形しており、(ii)接合部の一部が破壊されて、不織布の一部がウェブの形態にあり、(iii)繊維が長さ方向に局所的に延伸されてくびれ部を生じており、
    該不織布内において、部分的に繊維径が太い部分と部分的に繊維径が細い部分とが混在しており、前記連続繊維の直径の変動係数が、10%以上であることを特徴とする、
    前記不織布。
  2. 第2の面が、第1の面の、接合部を含まない凸部(V12)と重なる凹部を含まない、請求項1に記載の不織布。
  3. 第2の面が、複数の凸部(V21)と、第1の面の凸部(V11)と重ならない、複数の凹部(C22)とをさらに含む、請求項1又は2に記載の不織布。
  4. 第1の面の凹部(C11)と、第2の面の凹部(C22)とを連結する、一又は複数の開孔部を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の不織布。
  5. 前記連続繊維が、複数の、部分的に細くなった直径を有する前記くびれ部を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の不織布。
  6. 前記不織布が、スパンボンド不織布又はメルトブローン不織布である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の不織布。
  7. 液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、前記液透過性のトップシート及び前記液不透過性のバックシートの間の吸収体とを含む吸収性物品であって、
    前記液透過性のトップシートが、請求項1〜6のいずれか一項に記載の不織布であることを特徴とする、
    前記吸収性物品。
  8. 第1の面と、第1の面と反対側の第2の面とを含み、第1の面が、複数の、接合部を含む凸部(V11)と、複数の、接合部を含まない凸部(V12)と、凹部(C11)とを含み、第2の面が、第1の面の、接合部を含む凸部(V11)の少なくとも一部と重なる、複数の凹部(C21)を含み、前記凸部(V 11 ;V 12 )及び前記凹部(C 21 )は、不織布の一端から他端まで断続的な不連続形状であり、前記凹部(C 11 )は、不織布の一端から他端まで連続する形状であり、前記凸部(V11;V12)及び前記凹部( 21 の断続的な不連続形状と、前記凹部(C 11 )の連続する形状とが、互いに平行に位置しており、そして該不織布が、高延伸領域と低延伸領域とを有していて、高延伸領域と低延伸領域とを有する前記不織布は、高延伸領域において、(i)連続繊維が伸張されて塑性変形しており、(ii)接合部の一部が破壊されて、不織布の一部がウェブの形態にあり、(iii)繊維が長さ方向に局所的に延伸されてくびれ部を生じており、かつ該不織布内において、部分的に繊維径が太い部分と部分的に繊維径が細い部分とが混在しており、前記連続繊維の直径の変動係数が、10%以上である、不織布を形成する方法であって、
    1〜6dtexの繊度を有する連続繊維から形成された不織布であり、前記連続繊維同士が接合した状態にある熱圧着接合部を含む不織布を準備するステップ、
    前記不織布を、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布が形成されるように不均一に延伸するステップ、そして
    前記高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布を、平行な、前記凹部(C11)に対応する突状部と前記凸部(V11;V12)及び前記凹部(C21)に対応する窪み部とを有する支持体上に配置し、そして前記高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布に、前記凸部(V11;V12)及び前記凹部(C11;C21)が互いに平行に位置している不織布を形成するように、噴出された流体を吹き付けるステップ、
    を含む前記方法。
  9. 前記支持体が、不織布と接する面に、あらかじめ定められた形状及び配列の突状部及び窪み部を有する、請求項8に記載の方法。
  10. 前記流体が、加熱された空気、飽和水蒸気、又は過熱水蒸気である、請求項8又は9に記載の方法。
  11. 前記不織布が、スパンボンド不織布又はメルトブローン不織布である、請求項8〜10のいずれか一項に記載の方法。
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