JP6054502B2 - 不織布、及び上記不織布を含む吸収性物品、並びに上記不織布の形成方法 - Google Patents

不織布、及び上記不織布を含む吸収性物品、並びに上記不織布の形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、第1の成分と、第1の成分よりも低い融点を有する第2の成分とを含む複合繊維を含み且つ特定の交絡及び/又は融着構造を有する不織布、及び上記不織布を含む吸収性物品、並びに上記不織布の形成方法に関する。
不織布は、吸収性物品、例えば、生理用品及び使い捨ておむつ、清掃用品、例えば、ワイパー、並びに医療用品、例えば、マスク等の製品に用いられている。しかし、これらの製品では、製品の用途、用いられる部位等に特化した性能を有する不織布が採用されている場合が多い。
例えば、吸収性物品では、使用者に違和感を生じさせることなく、着用の際又は使用の際の身体の動きに合わせて伸縮する不織布が要求される。また、使い捨ておむつ及び生理用ナプキンでは、高い伸縮性を有し且つ伸長時に破断しないような強度を有すると共に、肌触り、通気性及び透液性が良好な不織布が要求される。
これらの製品では、所望の性能を有する不織布が、製品毎に設計及び製造されていることが多い。従って、これらの所望の性能を有する不織布を、一定の不織布、例えば、市販の不織布を加工することにより簡易に形成することができれば、製造コスト、環境保護等の観点から望ましいと考えられる。
不織布を原料とする、吸収性物品に用いるために好適な不織布の形成方法として、特許文献1には、それぞれ一方向に延びる畝部と溝部を交互に有し、溝部に開孔を有する不織布であって、溝部に比べて畝部の方が、繊維量が実質的に多く、畝部の頂部と開孔の端部とで繊維密度が異なる不織布が開示されている。また、特許文献1の[0048]には、上記不織布の原料として、繊維が結合及び絡合している不織布を用いることができることが記載されている。
さらに、特許文献1には、形成される不織布は、柔軟性に優れ、液体保持性が抑えられていることが記載され、そして溝部に沿った通気性に優れることが記載されている。
しかし、特許文献1に記載の発明において、原料として、例えば、市販の不織布を用いると、当該不織布は各繊維が固定され、動きにくいため、流体処理のエネルギーを高くする必要がある。流体処理として水蒸気流又は空気流が用いられる場合には、流体処理温度を高くする必要があるが、処理温度を高くすることにより、不織布内の各繊維が融着し、製造される不織布の柔軟性が低下すると共に、所望の構造が形成しにくくなる。その結果、特許文献1に記載される不織布は、繊維の自由度が低く、外力に対して変形しにくい構造を有し、肌に直接接する部分に用いられ且つ体圧が加わった場合に、肌を傷つける場合がある。また、特許文献1に記載される不織布は、繊維が密集しているので、液体が保持されやすくなり、透液性が低いと考えられる。
特開2009−62650号公報
従って、本発明は、肌触りに優れ、通気性及び透液性に優れ、そして潰れやすく且つ回復性に優れる不織布を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、第1の成分と、第1の成分よりも低い融点を有する第2の成分とを含む複合繊維を含む不織布であって、第2の成分の少なくとも一部が、第1の成分及び/又は第2の成分の残余の部分から剥離されることにより形成された剥離部を形成するとともに、当該剥離部の少なくとも一部が、他の複合繊維と交絡及び/又は融着していることを特徴とする不織布により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、本発明は以下の態様に関する。
[態様1]
第1の成分と、第1の成分よりも低い融点を有する第2の成分とを含む複合繊維を含む不織布であって、
第2の成分の少なくとも一部が、第1の成分及び/又は第2の成分の残余の部分から剥離されることにより形成された剥離部を形成するとともに、当該剥離部の少なくとも一部が、他の複合繊維と交絡及び/又は融着していることを特徴とする、
上記不織布。
[態様2]
上記剥離部が、上記複合繊維の略長手軸方向に沿って、第1の成分及び/又は第2の成分の残余の部分から剥離されることにより形成された、態様1に記載の不織布。
[態様3]
上記複合繊維が、芯鞘型複合繊維、海島型複合繊維、分割型複合繊維、及びサイドバイサイド型複合繊維から成る群から選択される、態様1又は2に記載の不織布。
[態様4]
上記複合繊維が、第1の成分を芯部とし且つ第2の成分を鞘部とする芯鞘型複合繊維であり、そして上記芯部の一部が、上記鞘部に覆われずに露出している、態様1〜3のいずれか一つに記載の不織布。
[態様5]
複数の凸部と複数の凹部とを有する第1の面、及び第1の面の反対側にあり且つ複数の凸部と凹部とを有する第2の面を有する、態様1〜4のいずれか一つに記載の不織布。
[態様6]
第2の面の凸部における複合繊維の径が、第2の面の凹部における複合繊維の径よりも細い、態様5に記載の不織布。
[態様7]
第2の面の凸部における上記剥離部の割合が、第2の面の凹部における上記剥離部の割合よりも高い、態様5又は6に記載の不織布。
[態様8]
第1の成分が、第2の成分よりも、少なくとも20℃高い融点を有する、態様1〜7のいずれか一つに記載の不織布。
[態様9]
第1の成分と、第1の成分よりも低い融点を有する第2の成分とを含む複合繊維を含むエアスルー不織布を、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布が形成されるように不均一に延伸し、そして上記高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布に、噴出された流体を吹き付けることにより形成された、態様1〜8のいずれか一つに記載の不織布。
[態様10]
液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、上記液透過性のトップシート及び上記液不透過性のバックシートの間の吸収体とを含む吸収性物品であって、
上記液透過性のトップシートが、態様1〜9いずれか一つに記載の不織布であることを特徴とする、
上記吸収性物品。
[態様11]
態様1〜9のいずれか一つに記載の不織布を形成する方法であって、
第1の成分と、第1の成分よりも低い融点を有する第2の成分とを含む複合繊維を含む不織布を準備するステップ、
第2の成分の少なくとも一部が、第1の成分及び/又は第2の成分の残余の部分から剥離されることにより形成された剥離部を形成するように、上記第1の成分と、第1の成分よりも低い融点を有する第2の成分とを含む複合繊維を含む不織布を不均一に延伸して、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布を形成するステップ、そして
上記剥離部の少なくとも一部が、他の複合繊維と交絡及び/又は融着するように、上記高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布に、噴出された流体を吹き付け、態様1〜9のいずれか一つに記載の不織布を形成するステップ、
を含む上記方法。
[態様12]
上記噴出された流体を吹き付けるステップにおいて、上記高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布の、流体を吹き付ける面と反対側の面に、あらかじめ定められた形状及び配列の突状部及び窪み部を有する支持体が配置される、態様11に記載の方法。
[態様13]
上記流体が、加熱された空気、飽和水蒸気又は過熱水蒸気である、態様11又は12に記載の方法。
[態様14]
上記第1の成分と、第1の成分よりも低い融点を有する第2の成分とを含む複合繊維が、エアスルー不織布である、態様11〜13のいずれか一つに記載の方法。
本発明の不織布は、第2の成分の少なくとも一部が、第1の成分及び/又は第2の成分の残余の部分から剥離されることにより形成された剥離部を形成するとともに、当該剥離部の少なくとも一部が、他の複合繊維と交絡及び/又は融着しているので、複合繊維間の自由度が高く、柔軟であり、肌触りに優れ、通気性及び透液性に優れ、そして潰れやすく且つ回復性に優れる。
図1は、本発明の不織布の実施態様の1つの走査型電子顕微鏡写真である。 図2は、本発明の不織布に用いられうる複合繊維の断面の例を示す図である。 図3は、他の複合繊維と交絡及び/又は融着した剥離部を、その形成例と共に説明する図である。 図4は、複数の歯が、ギアロールの外周面に、ギアロールの回転軸線に対して平行に配置されているギア延伸装置を説明するための模式図である。 図5は、複数の歯が、ギアロールの外周面に、ギアロールの回転軸線に対して垂直に配置されているギア延伸装置を説明するための模式図である。 図6は、複数の歯が、ギアロールの外周面に、ギアロールの回転軸線に対して傾斜して配置されているギア延伸装置を説明するための模式図である。 図7は、流体処理ステップの例を示す図である。 図8は、図7に示される支持体を用いて形成された、特定の交絡及び/又は融着構造を有する不織布を説明するための図である。 図9は、実施例1〜4及び比較例1に用いられた、エアスルー不織布の走査型電子顕微鏡写真である。 図10は、実施例1で製造された高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布の走査型電子顕微鏡写真である。 図11は、実施例1で形成された不織布1の断面の走査型電子顕微鏡写真である。 図12は、実施例1で形成された不織布1の表面の走査型電子顕微鏡写真である。 図13は、比較例1で形成された不織布5の表面の走査型電子顕微鏡写真である。
本発明の不織布、及び上記不織布を含む吸収性物品、並びに上記不織布の形成方法について、以下、詳細に説明する。
[本発明の不織布]
本発明の不織布は、第1の成分と、第1の成分よりも低い融点を有する第2の成分とを含む複合繊維を含む不織布である。本発明の不織布において、第2の成分の少なくとも一部が、第1の成分及び/又は第2の成分の残余の部分から剥離されることにより形成された剥離部を形成するとともに、当該剥離部の少なくとも一部が、他の複合繊維と交絡及び/又は融着している(以下、「特定の交絡及び/又は融着構造」と称する場合がある)。
なお、本明細書において、「交絡」は、第2の成分の剥離部の少なくとも一部が、他の複合繊維に巻き付いた状態を意味し、そして「融着」は、当該部分が、第2の成分の剥離部の少なくとも一部が、溶融し、他の複合繊維と固着した状態を意味する。
なお、本発明の効果を奏するために、上記巻き付いた状態の程度としては、剥離部が、他の複合繊維に、繊維の長手方向と直行する方向に、1/4周以上巻き付いていることが好ましく、1/2周以上巻き付いていることがより好ましく、そして1周以上巻き付いていることがさらに好ましい。
図1は、本発明の不織布の実施態様の1つの走査型電子顕微鏡写真である。図1に示される不織布は、芯鞘型複合繊維として複合繊維1を含み、そして他の複合繊維と交絡及び/又は融着した剥離部2を含む。図1に示される不織布には、他の複合繊維と交絡及び/又は融着した剥離部2の他に、他の複合繊維と交絡及び/又は融着していない剥離部2’と、複合繊維間の接合部4とが観察される。
なお、本明細書において、「接合部」は、剥離部を形成することなく、繊維同士が融着している部分を意味する。
なお、図1は、実施例2で製造された不織布2の表面の電子顕微鏡写真である。
他の複合繊維と交絡及び/又は融着した剥離部2では、複合繊維の鞘部が、芯部から剥離されることにより形成された剥離部を形成するとともに、他の複合繊維と交絡及び/又は融着している。他の複合繊維と交絡及び/又は融着した剥離部2では、複合繊維の鞘部と芯部とが独立し、あたかも、鞘部が単独の繊維のように振る舞い、他の複合繊維とゆるく交絡及び/又は融着している。従って、各複合繊維が固定されにくく、複合繊維の自由度を保ったまま、複合繊維同士が連結されることになる。
他の複合繊維と交絡及び/又は融着していない剥離部2’では、複合繊維の鞘部が、芯部から剥離されることにより、剥離部が形成されているが、当該剥離部は、他の複合繊維と交絡及び/又は融着していない。
複合繊維間の接合部4では、複合繊維の鞘部が、芯部から剥離されることなく、2本の複合繊維同士が、融着している。複合繊維間の接合部4では、複合繊維の形状が大きく変化せず、複合繊維の形状が保たれている。
なお、図1における複合繊維間の接合部4は、不均一延伸ステップが行われる前のエアスルー不織布に含まれる熱融着部である。
本発明の不織布に含まれる複合繊維としては、少なくとも2つの成分、すなわち、第1の成分と、第1の成分よりも低い融点を有する第2の成分とを含む複合繊維であって、当該複合繊維の断面に、第1の成分と第2の成分との、少なくとも2つの領域が存在し、第2の成分からなる領域の少なくとも一部が繊維表面に存在するものであれば、特に制限されずに用いることができるが、例えば、芯鞘型複合繊維、海島型複合繊維、分割型複合繊維、サイドバイサイド型複合繊維等を挙げることができる。
上記芯鞘型複合繊維としては、単芯型の複合繊維、例えば、同心円型、偏芯型等の芯鞘型複合繊維を挙げることができる。
図2に、本発明の不織布に用いられうる複合繊維の断面の例を示す。図2(a)〜(e)は、それぞれ、第1の成分5及び第2の成分6の2成分から成る複合繊維であり、(a),(b),(c),(d)及び(e)は、それぞれ、同心円型の芯鞘型複合繊維、偏芯型の芯鞘型複合繊維、海島型複合繊維、分割型複合繊維、及びサイドバイサイド型複合繊維を示す。
第1の成分としては、特に制限されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、ポリアミド、それらの組み合わせ等が挙げられる。第2の成分としては、第1の成分よりも低い融点を有する成分であれば特に制限されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、それらの組み合わせ等が挙げられる。
第2の成分の融点が、第1の成分の融点よりも低いことにより、第2の成分の強度が、第1の成分の強度よりも弱くなり、後述の不均一延伸時に、第2の成分が剥離しやすくなる。複合繊維は、その製法上、より高い融点を有する成分、すなわち、第1の成分の融点付近の温度で紡糸されるため、より低い融点を有する成分、すなわち、第2の成分は、その融点よりも高い温度で紡糸されるため、第1の成分よりも配向性及び結晶性が低くなり、強度が低く且つ伸びやすくなる傾向があるからである。
また、第2の成分の融点を、第1の成分の融点よりも低くすることにより、後述の流体処理ステップの際に、第2の成分の剥離部を、他の複合繊維と交絡及び/又は融着させることができる。
第1の成分と、第2の成分との融点差は、約20℃以上あることが好ましく、約40℃以上あることがより好ましく、そして約60℃以上あることがさらに好ましい。第2の成分の配向性、結晶性等と、第1の成分の配向性、結晶性等との差が、より大きくなり、本発明の不織布を形成しやすくなるからである。
なお、本明細書において、「融点」は、示差走査熱量分析計において、昇温速度10℃/分で測定した場合の、固体状から液状に変化する際の吸熱ピークのピークトップ温度を意味する。
なお、図2では、第1の成分と、第2の成分とから成る複合繊維が例示されているが、本発明に用いられる複合繊維は、3種以上の成分から構成されていてもよい。
上記複合繊維の繊度は、特に制限されないが、吸収性物品のトップシート等に用いられる場合には、約1〜約6dtexの範囲内にあることが好ましい。上記繊度が、約1dtexを下回ると、複合繊維の強度が低くなるので、不織布の厚みが薄くなり、不織布の通気性及び透液性が低下する傾向がある。上記繊度が、約6dtexを上回ると、複合繊維そのものの強度が高くなり、触感が低下する傾向がある。
図3は、他の複合繊維と交絡及び/又は融着した剥離部を、その形成例と共に説明する図である。図3(a)〜(c)は、複合繊維の長手方向の断面を示す。図3(a)は、不均一延伸ステップが行われる前の不織布に含まれる複合繊維の例を示し、図3(b)は、不均一延伸ステップが行われた後の不織布に含まれる複合繊維の例を示し、そして図3(c)は、流体処理ステップが行われた後の不織布、すなわち、本発明の不織布に含まれる複合繊維の例を示す。
図3(a)に示されるように、複合繊維1は、第1の成分5を芯とし、第2の成分6を鞘とする芯鞘型複合繊維である。図3(b)に示されるように、不均一延伸ステップが行われると、特に、高延伸領域E(高延伸領域については、後述する)において、第1の成分5と、第2の成分6とが伸長され、第2の成分6が、第1の成分5から剥離し、さらに強度の弱い第2の成分6の少なくとも一部が、第1の成分5及び/又は第2の成分6の残余の部分から剥離されることにより形成された剥離部3を形成する。
次いで、図3(c)に示されるように、流体処理ステップが行われることにより、剥離部3の少なくとも一部が、他の複合繊維1’と交絡及び/又は融着して、他の複合繊維と交絡及び/又は融着した剥離部2を形成する。また、図3(c)に示される複合繊維1は、第1の成分5の一部が、鞘部である第2の成分6に覆われていない、露出部7を有する。
なお、図3(c)では、他の複合繊維1’は、点線で示されている。
なお、図3では、理解しやすくするために図が簡略化され、剥離部3として、第2の成分6の少なくとも一部が、第1の成分5から剥離されることにより形成されたもののみが図示されている。しかし、実際には、第2の成分6の少なくとも一部が、第2の成分6の残余の部分から剥離されることにより形成された剥離部も形成されうる。
本発明の不織布において、剥離部の少なくとも一部が、他の複合繊維と交絡及び/又は融着している量は、本発明の不織布の所望の性能によって変わりうるが、例えば、第1の成分と、第1の成分よりも低い融点を有する第2の成分とを含む複合繊維を含む不織布、例えば、エアスルー不織布を、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布が形成されるように不均一に延伸し、そして上記高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布に、噴出された流体を吹き付けることにより形成されるような量であり、そして不均一延伸ステップ及び流体処理ステップを調整することにより、上記量を調節することができる。
本発明の不織布が吸収性物品の液透過性トップシート等に用いられる場合には、本発明の不織布は、親水性を有していてもよい。親水性の排泄物(尿、汗、便等)と接触した際に、当該排泄物を不織布の表面にとどめることなく、吸収性物品内部に透過させやすいからである。
本発明の不織布が親水性を有するためには、例えば、不織布を親水剤で処理すること、親水剤を練り込んだ複合繊維から不織布を製造すること、不織布に界面活性剤を塗工すること等が挙げられる。
本発明の不織布は、複数の凸部と複数の凹部とを有する第1の面、及び第1の面の反対側にあり且つ複数の凸部と凹部とを有する第2の面を有することができる。また、本発明の不織布において、第2の面の凸部における複合繊維の径が、第2の面の凹部における複合繊維の径よりも細いことができる。さらに、本発明の不織布において、第2の面の凸部における上記剥離部の割合が、第2の面の凹部における上記剥離部の割合よりも高いことができる。これらについては、本発明の不織布の形成方法と共に説明する。
本発明の不織布は、本発明の効果を奏する範囲内において、上記複合繊維以外に、当該技術分野において通常用いられている単繊維を、さらに含むことができる。上記単繊維の例として、例えば、天然繊維、半天然繊維又は合成繊維を挙げることができる。上記単繊維としては、合成繊維が好ましい。本発明の不織布の柔軟性が高くなるからである。本発明の不織布が単繊維を含む場合には、単繊維の割合は、繊維総量の約30質量%以下であることが好ましく、約20質量%以下であることがより好ましく、そして約10質量%以下であることがさらに好ましい。
上記単繊維が、合成繊維からなる単繊維の場合には、添加することにより、ユーザーの体圧が加わっても潰れにくくなり、通気性が良好となる傾向があるが、合成繊維からなる単繊維の割合が高くなると、剥離部に起因する交絡及び/又は融着部分の割合が減る傾向がある。
上記合成繊維からなる単繊維の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等を挙げることができる。上記繊維は、成形性を考慮すると、約1〜約6dtexの繊度を有することが好ましい。
上記単繊維としては、その繊維長に特に制限はなく、例えば、ステープルファイバ及び連続フィラメントを挙げることができる。
[本発明の不織布の形成方法]
本発明の不織布の形成方法は、第1の成分と、第1の成分よりも低い融点を有する第2の成分とを含む複合繊維を含む不織布を準備するステップを含む。当該ステップに用いられる不織布は、上述の複合繊維を含む不織布であれば特に制限されないが、例えば、第1の成分と、第1の成分よりも低い融点を有する第2の成分とを含む複合繊維を含むエアスルー不織布、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布等であることができ、剥離部の形成のしやすさを考慮すると、エアスルー不織布が好ましい。上記複合繊維は、第1の成分及び第2の成分以外の成分、例えば、第3の成分をさらに含んでいてもよい。
なお、本明細書において、本ステップにおいて準備される不織布を、「不均一延伸前の不織布」と称する場合がある。
なお、本明細書において、「エアスルー不織布」は、複合繊維を含むウェブに熱風を通過させ、複合繊維の第2の成分を融解し、他の繊維と接合することにより得られた不織布であり、「ポイントボンド不織布」は、複合繊維を含むウェブを熱エンボスロール間に通過させ、熱圧着部を形成することにより得られた不織布であり、そして「スパンボンド不織布」は、複合繊維を含む連続繊維ウェブを熱エンボスロール間に通過させ、熱圧着部を形成することにより得られた不織布を意味する。
不均一延伸前の不織布としては、市販の不織布、例えば、市販のエアスルー不織布、並びに複合繊維を含むポイントボンド不織布及びスパンボンド不織布を挙げることができる。
上記不均一延伸前の不織布は、本発明の不織布の形成方法において形成される不織布が、吸収性物品の液透過性トップシート等に用いられる場合には、親水性を有していてもよい。本発明の不織布の形成方法により形成される不織布が、親水性を有することに繋がるからである。不織布に親水性を付与する方法は、上述の通りである。
上記不均一延伸前の不織布は、本発明の効果を奏する範囲内において、上記複合繊維以外に、単繊維をさらに含むことができる。上記不均一延伸前の不織布は、上記単繊維として、上述のものを、上述の割合で含むことができる。
本発明の不織布の形成方法は、第2の成分の少なくとも一部が、第1の成分及び/又は第2の成分の残余の部分から剥離されることにより形成された剥離部を形成するように、上記第1の成分と、第1の成分よりも低い融点を有する第2の成分とを含む複合繊維を含む不織布を不均一に延伸して、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布を形成するステップ(以下、「不均一延伸ステップ」と称する場合がある)を含む。
上記不均一延伸ステップでは、特に、高延伸領域において、(i)複合繊維が伸長され、塑性変形する際に、第1の成分の伸長性と、第2の成分との伸長性との差から、第1の成分と、第2の成分との界面が剥離され、第2の成分の少なくとも一部が剥離部を形成する。なお、剥離部が形成する理由は、図3に関連して説明したとおりである。
上記不均一延伸ステップでは、特に、高延伸領域において、上記(i)に加え、(ii)不織布内の複合繊維間の接合部の少なくとも一部が破壊されるとともに、複合繊維間の接合に主に寄与している第2の成分が、第1の成分及び/又は第2の成分の残余の部分から剥離され、剥離部を形成する場合があり、そして(iii)複合繊維間の接合部が単に破壊され、ウェブを形成する場合もある。上記接合部としては、エアスルー不織布の場合には、熱融着点が挙げられる。
本明細書において、「高延伸領域」は、低延伸領域よりも伸長度が高くなるように延伸された、不織布内の領域を意味し、そして「低延伸領域」は、高延伸領域よりも伸長度が低くなるように延伸された、不織布内の領域を意味し、伸長されていない領域、すわなち、未延伸領域を含む。
本明細書において、「不均一に延伸する」とは、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布が形成されるように不織布を延伸することを意味し、すなわち、位置によって伸長度が異なる不織布が形成されるように不織布を延伸することを意味する。
上記不均一延伸ステップは、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布を形成することができる手段であれば、特に制限されず、任意の手段により実施することができるが、例えば、搬送方向と直交する回転軸線を有する一対のギアロールであって、当該ギアロールのそれぞれの外周面に配置された複数の歯を互いに噛み合わせながら回転するものの間隙に不織布を通過させること(以下、「ギア延伸」と称する場合がある)により行うことができる。
図4は、複数の歯が、ギアロールの外周面に、ギアロールの回転軸線に対して平行に配置されているギア延伸装置を説明するための模式図である。図4に示されるギア延伸装置8は、一対のギアロール9及び9’を有する。ギアロール9及び9’のそれぞれの外周面10及び10’には、それぞれ、複数の歯11及び11’が配置されている。また、図4に示されるギア延伸装置8では、ギアロール9及び9’の回転軸線は、それぞれ、搬送方向Aと垂直である。さらに、複数の歯11及び11’が、それぞれ、外周面10及び10’に、上記回転軸線と平行に配置されている。
図4に示されるギア延伸装置8では、一対のギアロール9及び9’のロール間隙に、第1の成分と、第1の成分よりも低い融点を有する第2の成分とを含む複合繊維を含む不織布12を通し、ギアロール9及び9’を通過する際に、互い噛み合うギアロール9及び9’の複数の歯11及び11’により、第1の成分と、第1の成分よりも低い融点を有する第2の成分とを含む複合繊維を含む不織布12を、三点曲げの原理で延伸し、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布13を形成する。高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布13は、搬送方向Aと直交する直交方向(以下、搬送方向と直交する直交方向を、単に「直交方向」と称する)に平行な高延伸領域と低延伸領域とを、搬送方向Aに交互に有する。
第1の成分と、第1の成分よりも低い融点を有する第2の成分とを含む複合繊維を含む不織布12において、複数の歯11及び11’の先端部に接する領域では、不織布の生地が固定されるため、全く又は実質的に延伸されず、低延伸領域が形成される。一方、複数の歯11及び11’の先端部に接しない領域では、大きく延伸され、高延伸領域が形成される。
ギア延伸はまた、図5に示されるようなギア延伸装置を用いても行うことができる。
図5は、複数の歯が、ギアロールの外周面に、ギアロールの回転軸線に対して垂直に配置されているギア延伸装置を説明するための模式図である。図5は、ギア延伸装置8の斜視図であり、第1の成分と、第1の成分よりも低い融点を有する第2の成分とを含む複合繊維を含む不織布12が、ギア延伸される直前の状態を示している。第1の成分と、第1の成分よりも低い融点を有する第2の成分とを含む複合繊維を含む不織布12は、手前から奥に進むことにより、ギア延伸される。
図5に示されるギア延伸装置8は、一対のギアロール9及び9’を有する。ギアロール9及び9’の外周面10及び10’には、それぞれ、複数の歯11及び11’が配置されている。また、図5に示されるギア延伸装置8では、複数の歯11及び11’が、それぞれ、ギアロール9及び9’の回転軸線と垂直に、それぞれ、外周面10及び10’上に配置されている。複数の歯11及び11’をこのように配置することにより、搬送方向とそれぞれ平行な高延伸領域と低延伸領域とを、直交方向に交互に有する不織布を形成することができる。
ギア延伸装置は、複数の歯が、ギアロールの外周面に、ギアロールの回転軸線に対して傾斜して配置されているものであってもよい。
図6は、複数の歯が、ギアロールの外周面に、ギアロールの回転軸線に対して傾斜して配置されているギア延伸装置を説明するための模式図である。図6に示されるギア延伸装置8は、一対のギアロール9及び9’を有する。ギアロール9及び9’の外周面10及び10’には、それぞれ、複数の歯11及び11’が配置されている。また、図6に示されるギア延伸装置8では、ギアロール9及び9’の回転軸線は、それぞれ、搬送方向Aと垂直である。さらに、複数の歯11及び11’は、それぞれ、回転軸線に対して一定の角度θを有するように、外周面10及び10’に配置されている。
上記ギア延伸装置は、本発明の不織布の形成方法により形成される不織布の所望の性能に応じて、適宜選択することができる。
例えば、搬送方向及び直交方向の両方に高い伸長性が必要である場合には、不均一延伸前の不織布を、図4に示されるギア延伸装置を用いて延伸した後、図5に示されるギア延伸装置を用いてさらに延伸してもよい。
また、不均一延伸前の不織布を、図5に示されるギア延伸装置を用いて延伸した後、図4に示されるギア延伸装置を用いてさらに延伸してもよい。
図4〜6に示されるようなギア延伸装置において、ギアピッチは、約1〜約10mmが好ましく、そして約2〜約6mmがより好ましい。ギアピッチが約1mmを下回ると、ギアの刃を薄くする必要性が生じ、不織布が部分的に切断される場合があり、そしてギアピッチが約10mmを上回ると、延伸倍率が低く、複合繊維の塑性変形、第1の成分と、第2の成分との界面の剥離等が不十分となる場合がある。
ギアピッチは、図5において、符号14により表わされる、ある歯から次の歯の間の間隔を意味する。
上記ギア延伸装置において、ギア噛込深さは、約0.5mm以上が好ましい。ギア噛込深さが約0.5mmを下回ると、延伸倍率が低く、複合繊維の塑性変形、第1の成分と、第2の成分との界面の剥離等が不十分となる場合がある。
ギア噛込深さは、図5において、符号15により表わされる、上のギアロールの歯と、下のギアロールの歯とが重複する部分の深さを意味する。
高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布において、延伸倍率は、約30〜約400%であることが好ましく、そして約50〜約200%であることがより好ましい。延伸倍率が約30%を下回ると、延伸倍率が低く、複合繊維の塑性変形、第1の成分と、第2の成分との界面の剥離等が不十分となる場合があり、そして延伸倍率が約400%を上回ると、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布の強度が弱く、伸長された繊維が脱落しやすくなり、搬送が困難になる場合がある。
本明細書において、「延伸倍率」は、ギアピッチをPとし、ギア噛込深さをDとした場合に、次の式:
により算出される値を意味する。
不均一延伸前の不織布の巻出速度は、所望の延伸倍率等によっても変化するが、例えば、約10m/分以上である。
本発明の不織布の形成方法は、剥離部の少なくとも一部が、他の複合繊維と交絡及び/又は融着するように、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布に、噴出された流体を吹き付け、特定の交絡及び/又は融着構造を有する不織布を形成するステップを含む(以下、「流体処理ステップ」と称する場合がある)。
上記不均一延伸ステップにおいて形成された、伸長された複合繊維内の剥離部の少なくとも一部は、噴出された流体から運動エネルギーを受け、他の複合繊維等と交絡する。
また、噴出された流体の温度が、第2の成分の融点以上である場合には、剥離部の少なくとも一部が溶融し、他の複合繊維等と融着する。
上記不均一延伸ステップで形成された、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布内の複合繊維の少なくとも一部は、噴出される流体の種類、及び量によっては、流体が衝突する面(以下、流体衝突面と称する)において、噴出された流体が衝突し、次いで跳ね返ることに伴って、平面方向、例えば、直交方向に選り分けられ、複数の凸部と複数の凹部とを有する第1の面を形成する場合がある。
なお、流体衝突面と反対側の面(以下、非流体衝突面と称する)では、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布内の複合繊維の少なくとも一部が、流体の流れに沿って移動するので、特に、流体を吹き付ける面と反対側の面に、あらかじめ定められた形状及び配列の突状部及び窪み部を有する支持体が配置された場合には、第1の面の反対側にあり且つ複数の凸部と、凹部とを有する第2の面を形成する場合がある。第2の面については、後述する。
上記流体処理ステップにおいて用いられる流体としては、空気、例えば、加熱された空気、水蒸気、例えば、飽和水蒸気及び過熱水蒸気、又は水、例えば、熱水が挙げられる。後の乾燥工程が不要であるか又は少なくてよいことを考慮すると、上記流体としては、加熱された空気、飽和水蒸気及び過熱水蒸気が好ましい。
第2の成分から形成された剥離部の少なくとも一部を、他の複合繊維と「交絡」させるためには、上記流体の温度は、特に制限されるものではない。しかし、第2の成分から形成された剥離部の少なくとも一部を、他の複合繊維と「融着」させるためには、上記流体の温度は、第2の成分の融点以上であることが好ましく、第2の成分の融点よりも10℃以上高いことがより好ましく、そして第2の成分の融点よりも20℃以上高いことがさらに好ましい。
また、上記流体の温度は、第1の成分の融点よりも低いことが好ましく、そして第1の成分の融点よりも10℃以上低いことがより好ましく、そして第1の成分の融点よりも20℃以上低いことがさらに好ましい。第1の成分が、他の複合繊維と融着して、本発明の不織布が硬くなることを防ぐためである。
上記流体を、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布に、固定された流体ノズルから吹き付けることができ、又は直交方向に往復する流体ノズルから吹き付けることができる。また、上記流体を、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布に、連続的、又は間欠的に流体ノズルから吹き付けることができる。また、これらを組み合わせることもできる。
上記流体は、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布の形態によって、適宜選択することができる。例えば、ギアピッチが小さく、延伸倍率が大きい不織布を処理する場合には、比較的低いエネルギーで、特定の交絡及び/又は融着構造を有する不織布を形成することができるため、流体として空気又は水蒸気を選択することが好ましい。また、ギアピッチが大きく、低延伸領域が多い不織布を用いる場合には、複合繊維間の接合部が多いので、特定の交絡及び/又は融着構造を有する不織布を形成するために比較的高いエネルギーが必要であるため、流体として水又は水蒸気を選択することが好ましく、そして水蒸気がより好ましい。というのは、複合繊維量が多い部分に水分が残存しにくく、複合繊維量が多い部分の接合部を破壊することが少なく、そして移動すべき部分の、伸長された複合繊維を簡易に移動させることができるからである。
上記流体処理ステップは、当技術分野で公知の装置を用い、そして公知の方法で行うことができる。
本発明の別の実施態様では、本発明の不織布の通気性、肌触り(例えば、低接触面積)、透液性等をさらに向上させるために、突状部と窪み部とを有する支持体(以下、単に「支持体」と称する場合がある)を用いることができる。
本発明において、「突状部」は、上記高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布の支持体側の面に、凹部を形成するために用いられる部分であり、そして「窪み部」は、上記高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布の支持体側の面に、凸部を形成するために用いられる部分である。
突状部と窪み部とを有する支持体を用いて形成された不織布は、凸部と、凹部(場合によっては、一又は複数の開孔部)とを有するので、高い通気性、特に平面方向の通気性、耐圧縮性、透液性、肌触りを有することができる。
図7は、支持体を用いた流体処理ステップの例を示す図である。図7に示される支持体16は、直交方向Bに平行な、突状部17と窪み部18とを有し、そして突状部17と、窪み部18とが、搬送方向Aに交互に配置されている。図7に示される支持体16では、突状部17及び窪み部18は、立方体形状を有する。
図7にはまた、流体ノズル19が示されており、流体ノズル19の下に、支持体16を間に挟んで、流体を受け入れるサクション部(図示せず)が設けられている。
支持体16に載せられ、運ばれてきた、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布13に、流体ノズル19から噴出された流体が吹き付けられ、特定の交絡及び/又は融着構造を有する不織布20が形成する。なお、吹き付けられた流体は、サクション部(図示せず)から排出される。
なお、図7において、特定の交絡及び/又は融着構造を有する不織布20の、流体が吹き付けられた面が、第1の面21となり、そして支持体16側の面が、第2の面22となる。
図7では、突状部17と、窪み部18とは、直交方向に平行であり且つ搬送方向に交互に配置されている支持体16が示されているが、本発明の不織布の形成方法では、突状部及び窪み部の形状、配列等は、特に制限されず、例えば、突状部及び窪み部は、(i)搬送方向にそれぞれ平行な突状部及び窪み部であって、直交方向に交互に配置されているものであってもよく、又は(ii)搬送方向に対して傾斜を有する突状部及び窪み部であって、当該傾斜の方向と直交する方向に交互に配置されているものであってもよく、あるいは(iii)あらかじめ定められた形状(例えば、立方体形状、円柱形状、半球形状等)の突状部及び/又は窪み部が、あらかじめ定められた配列(例えば、ハート型、星型等の配列)で配置されているものであってもよい。
上記現象を、図7及び図8を用いて具体的に説明する。図8は、図7に示される支持体16を用いて形成された、特定の交絡及び/又は融着構造を有する不織布20を示す図であり、図7のZ−Z断面に相当する。
流体ノズル19から噴出された流体は、突状部17と衝突すると、窪み部18に回り込んで流れる。その結果、自由度の高い、伸長された複合繊維が、流体の流れに沿って窪み部18の方に移動するので、流体と突状部17とが交差する場所における、単位面積当たりの複合繊維量が少なくなり、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布に凹部24を形成し、場合によっては、一又は複数の開孔部を形成し、そして流体と窪み部18が交差する場所における、単位面積当たりの複合繊維量が多くなり、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布に凸部23を形成する。なお、図7及び図8に示される、特定の交絡及び/又は融着構造を有する不織布20において、流体が吹き付けられた面が、第1の面21となり、そして支持体16側の面が、第2の面22となる。
凸部23では、不織布の厚さ方向に、伸長された複合繊維が立ち上がる傾向があるため、不織布に耐圧縮性及び透液性が付与される。また、凸部23及び凹部24を有することにより、不織布の通気性、特に平面方向の通気性が良好となり、さらに接触面積が少なくなることから、不織布の肌触りが良好となる。
また、図7に示されるような支持体を用いて形成された不織布は、平面方向の通気性の中で、特に直交方向の通気性に優れる。支持体の突状部に対応する不織布の凹部24が、気体の通路となり得るからである。
本発明の不織布の形成方法により形成される不織布は、支持体を用いた場合には、第2の面の凸部における複合繊維の径が、第2の面の凹部における複合繊維の径よりも細くなる場合がある。例えば、図7に示されるような支持体を用いて流体処理ステップが行われた場合に、上記不均一延伸ステップにおいて細く且つ長く伸長された複合繊維が、第2の面の凹部に相当する場所から、突状部17の方向に移動して、第2の面の凸部23を形成しやすいためである。
なお、上記複合繊維の径は、例えば、電子顕微鏡等で撮影した画像の、一定の面積内にある繊維を無作為にピックアップし、それらの径を一定数、例えば、50カ所、画像上で計測し、それらの相加平均を算出することにより求めることができる。
また、本発明の方法により形成される不織布は、支持体を用いた場合には、第2の面の凸部における剥離部の割合が、第2の面の凹部における剥離部の割合よりも高くなる場合がある。例えば、図7に示されるような支持体を用いて流体処理ステップが行われた場合に、上記不均一延伸ステップにおいて形成された剥離部が、第2の面の凹部に相当する場所から、突状部17の方向に移動して、第2の面の凸部23を形成しやすいためである。
なお、上記剥離部の割合は、例えば、電子顕微鏡等で撮影した画像の、一定の面積内にある剥離部の個数をカウントすることにより求めることができる。
上記支持体において、突状部は、窪み部の流体透過性よりも、低い流体透過性を有することが好ましい。突状部が低い流体透過性を有することにより、突状部に衝突した流体が、窪み部の方に流れ、本発明の不織布の形成方法により形成された不織布に、より大きな凸部を形成することができるからである。
上記突状部の素材としては、金属、プラスチック等が挙げられるであろう。
上記突状部及び窪み部の形状及び材質は、特に制限されるものではなく、上記支持体は、例えば、流体透過性の支持体として通常用いられる金属、プラスチック製等のコンベアネット、抄紙網、パンチングプレート等の上に、立方体形状、筒状等の形状の金属を、一定の間隔を保持する等、あらかじめ定められた配列で配置することにより形成されうる。
あらかじめ定められた形状(例えば、立方体形状、円柱形状、半球形状等)の突状部及び/又は窪み部が、あらかじめ定められた形状(例えば、ハート型、星型等の形状)で配置されている支持体としては、例えば、パンチングプレート上に、半球型の形状の金属が、あらかじめ定められた配列(例えば、ハート型)で配置されたものが挙げられる。当該支持体を用いると、あらかじめ定められたパターン(例えば、ハート型)の凹部を有する不織布を形成することができる。
また、例えば、パンチングプレート上に、半球型の窪み形状が、あらかじめ定められたパターン(例えば、ハート型)で配置された、突状部と窪み部とを有する支持体を用いると、あらかじめ定められたパターン(例えば、ハート型)の凸部を有する不織布を形成することができる。
さらに、パンチングプレートそのものを支持体として用いてもよい。上記支持体として用いられうるパンチングプレートとしては、例えば、丸穴型、例えば、丸穴60°千鳥型、丸穴角千鳥及び丸穴直列型、角穴型、丸十型、雲型、雲千鳥型等のパンチングプレートが挙げられる。パンチングプレートを支持体として用いた場合には、プレート部分が突状部になり、そして開口部分が窪み部になる。
本発明の不織布の形成方法は、支持体の形状を選択することにより、不均一延伸前の不織布に、所望の模様、所望の通気度、所望の柔軟性等を付することができ、そして市販の不織布を、その用途に合わせて、簡易に、低コストで加工することができる。
また、上記流体処理ステップが、ロール上で行われる場合には、ロール状の支持体であって、その外周がメッシュ等の流体透過性材料で構成され且つ外周面に、あらかじめ定められた形状及び配列の突状部及び窪み部が配置されているものを用いることができる。当該あらかじめ定められた形状及び配列としては、上述の形状及び配列を挙げることができる。
突状部と窪み部とを有する支持体において、それらの幅は、形成すべき、特定の交絡及び/又は融着構造を有する不織布に必要な特性等によって異なるが、例えば、図7に示される支持体において、突状部の幅は、約0.5〜約10mmの範囲にあることが好ましく、窪み部の幅は、約1〜約10mmの範囲にあることが好ましい。
複数の凸部と、複数の凹部とを有する第1の面及び/又は複数の凸部と、凹部とを有する第2の面を有する不織布は、肌との接触面積が小さく、接触面積が大きいことに起因する蒸れによるべたつき感、こすれに起因する刺激感等を少なくすることができるので、吸収性物品等の用途に好適である。
なお、本発明の不織布が、複数の凸部と、複数の凹部とを有する第1の面と、複数の凸部と、凹部とを有する第2の面とを有する場合には、凸部と凹部との高低差がより大きい面を、人体に触れる側に用いることにより、肌との接触面積がより小さくなり、好ましい。
本発明の不織布、及び本発明の方法により形成された不織布は、吸収性物品、例えば、生理用品及び使い捨ておむつ、清掃用品、例えば、ワイパー、並びに医療用品、例えば、マスク等に有用である。
上記方法により形成された不織布は、例えば、吸収性物品の液透過性トップシートとして用いることができる。柔軟であり、肌触りに優れ、通気性及び透液性に優れ、そして潰れやすく且つ回復性に優れる不織布を用いることにより、これらに優れる吸収性物品を製造することができる。
上記吸収性物品は、液透過性のトップシートとしての本発明の不織布と、液不透過性のバックシートと、上記液透過性のトップシート及び液不透過性のバックシートの間の吸収体とを含むことができる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例において評価された項目の、測定条件は、以下の通りである。
[坪量]
坪量は、JIS L 1906の5.2に従って測定する。
[嵩]
嵩は、(株)大栄科学精器製作所製 THICKNESS GAUGE UF−60を用いて測定する。
[強度及び伸度]
強度及び伸度は、(株)島津製作所製のオートグラフ型引張試験機 形式AG−KNIを用いて測定する。
幅50mmの試料を、チャック間距離100mmでチャックに固定し、引張速度100mm/分で伸長する。5%、すなわち、5mm伸長させた際の強度を、「5%強度」とし、50%、すなわち、50mm伸長させた際の強度を、「50%強度」とし、そして伸長時に得られる強度の最大値を「最大点強度」とし、その時点の伸度を「最大点伸度」とする。
なお、表中のMDは、不織布形成時の搬送方向を意味し、そしてCDは、不織布形成時の直交方向を意味する。
[圧縮特性]
カトーテック株式会社製、自動化圧縮試験器、KES−FB3を用いて、圧縮特性を評価する。
測定条件は、以下の通りである。
SENS :2
速度 :0.02mm/秒
ストローク:5mm/10V
加圧面積 :2cm2
取込み間隔:0.1秒
上限荷重 :50g/cm2
繰返し回数:1回
圧縮特性は、不織布1cm2当りの圧縮エネルギー,WCと、圧縮レジリエンス,RCとにより評価する。WCは、値が大きいほど圧縮されやすいことを意味し、そしてRCは、値が100%に近いほど、回復性が高いことを意味する。
[通気度]
通気度は、カトーテック株式会社のKES−F8−AP1通気性試験器を用いて測定し、単位を「m3/m2/分」に換算する。
不織布の厚さ方向の通気度は、100mm×100mmの大きさにカットした不織布を、通気性試験器にセットして測定する。
不織布の平面方向の通気度は、100mm×100mmの大きさにカットした不織布を、通気性試験器にセットし、100mm×100mmの大きさのアクリル板をその上にさらにセットし、3.5mN/cm2の加重下で測定する。
[透液性]
透液性を、LENZING社製、LISTERストライクスルー試験器を用いて評価する。評価手順は、以下の通りである。
(1)100×100mmの大きさにカットしたろ紙(ADVANTEC FILTER PAPER GRADE 2)5枚の上に、100×100mmの大きさにカットした試料を配置し、その上に通電透液プレートを配置する。
(2)ストライクスルー試験機本体に、ろ紙、試料及び通電透液プレートをセットする。
(3)ストライクスルー試験機本体に、生理食塩水5mLを入れる。
(4)ストライクスルー試験機本体から、上記生理食塩水(室温)を、通電透液プレートの開孔部に落下させる。
(5)通電透液プレートの通電時間を記録する。
(6)測定を2回繰返し、計3回の平均値を、透液時間とする。
なお、試料をセットしない場合、すなわち、ろ紙5枚における透液時間は、69秒であった。
[実施例1]
−不織布の準備−
市販のエアスルー不織布を準備した。上記エアスルー不織布は、芯部が融点約250℃のポリエチレンテレフタレートであり、鞘部が融点約130℃のポリエチレンである、芯鞘型の複合繊維100質量%から形成されていた。
上記エアスルー不織布の特性値を表1に示す。また、上記エアスルー不織布の表面の走査型電子顕微鏡写真を図9に示す。図9から、上記エアスルー不織布は、複合繊維間の接合部4が多く、さらに接合の面積が大きいことが分かる。
−ギア延伸−
上記エアスルー不織布を、図5に示されるような、ギア延伸装置(ギアピッチ:2.5mm,ギア先端部幅:0.2mm,ギア噛込深さ:4.0mm)を用いてギア延伸し、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布を形成した。処理速度は、30m/分であった。上記高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布の延伸倍率は、235%であった。
上記高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布の特性値を、表1に示す。また、上記高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布の表面の走査型電子顕微鏡写真を図10に示す。図10では、第2の成分からなる剥離部3及び3’と、第1の成分のうち、第2の成分に覆われていない露出部7及び7’が観察される。
−水蒸気処理−
上記高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布を、厚さ1.0mmのメッシュ状の支持体に載せた。上記支持体は、直径0.6mmの耐熱性ポリエチレンテレフタレート製線材から形成され、1インチ当り、22本の線材が含まれていた。次いで、上記高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布を、1.0mmの間隔で、複数のノズル(φ:0.5mm)を備える水蒸気処理システム(噴出圧力:0.5Mpa,水蒸気温度:149℃)に、ノズル及び支持体間距離を5.0mmに保ちながら、30m/分の速度で通し、不織布1を得た。
不織布1の特性値を表1に示す。不織布1の断面及び表面の走査型電子顕微鏡写真を、それぞれ、図11及び図12に示す。
図11に示される不織布1において、上側が水蒸気処理側の第1の面であり、下側が支持体側の第2の面であり、そして左右方向が直交方向に相当する。
図12から、不織布1が、複数の、他の複合繊維と交絡及び/又は融着した剥離部2を有することが分かる。
[実施例2]
支持体を、丸穴60°千鳥型のパンチングプレート(φ:3.0mm、MDピッチ:6.94mm、CDピッチ:4.0mm、厚さ:1.0mm)に変更し、さらにノズル及び支持体間距離を4.0mmに保った以外は、実施例1と同様にして、不織布2を得た。
不織布2の特性値を表1に示す。
[実施例3]
噴出圧力を0.3Mpaに変更し、そして水蒸気温度を131℃に変更した以外は、実施例2と同様にして、不織布3を得た。
不織布3の特性値を表1に示す。
[実施例4]
噴出圧力を0.2Mpaに変更し、そして水蒸気温度を119℃に変更した以外は、実施例2と同様にして、不織布4を得た。
不織布4の特性値を表1に示す。
[比較例1]
ギア延伸を行わず、水蒸気処理を2回繰り返した以外は、実施例2と同様にして、不織布5を得た。
不織布5の特性値を表1に示す。また、不織布5の表面の走査型電子顕微鏡写真を図13に示す。図13から、比較例1の不織布5は、接合部4の数が多く、さらに接合面積が大きいことが分かる。
なお、比較例1は、特許文献1に記載の不織布に相当する。
実施例1〜4で形成された不織布1〜4は、0.6〜1.9NのMD5%強度と、0.1〜0.2NのCD50%強度とを有していた。これらの値は、当初のエアスルー不織布及び比較例1の不織布のMD5%強度及びCD50%強度よりも小さい。また、MD及びCDの最大点強度に関しても同様の傾向が見られる。従って、実施例1〜4で形成された不織布1〜4は、柔軟であり、肌触りがよいことが示唆される。
また、実施例1〜4で形成された不織布1〜4は、0.7〜0.8N・m/m2のWC値と、32〜40%のRC値とを有していた。従って、不織布1〜4は、比較例1の不織布5(WC:0.6N・m/m2、RC:44%)と比較して、潰れやすいが、同等の戻りやすさ(回復性)を有することが分かる。
さらに、実施例1〜4で形成された不織布1〜4は、1700〜2410m3/m2/分の通気度(厚さ方向)と、11〜19m3/m2/分の通気度(平面方向)とを有し、通気性に優れることが分かる。
さらに、実施例1〜4で形成された不織布1〜4は、15〜33秒の透液性を有し、比較例1の不織布(透液性:60秒)よりも透液性に優れることが分かる。
上記通気性及び透液性は、実施例1〜4で形成された不織布1〜4が、比較例1の不織布5と異なり、密度の高い部分を有しないので、通気を阻害せず、そして吸収した液体を保持し続けないことに起因すると思われる。
1,1’ 複合繊維
2 他の複合繊維と交絡及び/又は融着した剥離部
2’ 他の複合繊維と交絡及び/又は融着していない剥離部
3 剥離部
4 接合部
5 第1の成分
6 第2の成分
7,7’ 露出部
8 ギア延伸装置
9,9’ ギアロール
10,10’ 外周面
11,11’ 複数の歯
12 第1の成分と、第1の成分よりも低い融点を有する第2の成分とを含む複合繊維を含む不織布
13 高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布
14 ギアピッチ
15 ギア噛込深さ
16 支持体
17 突状部
18 窪み部
19 流体ノズル
20 特定の交絡及び/又は融着構造を有する不織布
21 第1の面
22 第2の面
23 凸部
24 凹部
A 搬送方向
B 搬送方向と直交する直交方向
E 高延伸領域

Claims (10)

  1. 第1の成分と、第1の成分よりも低い融点を有する第2の成分とを含む複合繊維を含む不織布であって、
    第2の成分の少なくとも一部が、第1の成分及び/又は第2の成分の残余の部分から剥離されることにより形成された剥離部を形成するとともに、当該剥離部の少なくとも一部が、他の複合繊維と交絡及び/又は融着しており、
    前記複合繊維が、第1の成分を芯部とし且つ第2の成分を鞘部とする芯鞘型複合繊維であり、そして前記芯部の一部が、前記鞘部に覆われずに露出していることを特徴とする、
    前記不織布。
  2. 前記剥離部が、前記複合繊維の略長手軸方向に沿って、第1の成分及び/又は第2の成分の残余の部分から剥離されることにより形成された、請求項1に記載の不織布。
  3. 前記複合繊維が、芯鞘型複合繊維、海島型複合繊維、分割型複合繊維、及びサイドバイサイド型複合繊維から成る群から選択される、請求項1又は2に記載の不織布。
  4. 第1の成分が、第2の成分の融点よりも、少なくとも20℃高い融点を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の不織布。
  5. 第1の成分と、第1の成分よりも低い融点を有する第2の成分とを含む複合繊維を含むエアスルー不織布を、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布が形成されるように不均一に延伸し、そして前記高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布に、噴出された流体を吹き付けることにより形成された、請求項1〜4のいずれか一項に記載の不織布。
  6. 液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、前記液透過性のトップシート及び前記液不透過性のバックシートの間の吸収体とを含む吸収性物品であって、
    前記液透過性のトップシートが、請求項1〜5のいずれか一項に記載の不織布であることを特徴とする、
    前記吸収性物品。
  7. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の不織布を形成する方法であって、
    第1の成分と、第1の成分よりも低い融点を有する第2の成分とを含む複合繊維を含む不織布を準備するステップ、
    第2の成分の少なくとも一部が、第1の成分及び/又は第2の成分の残余の部分から剥離されることにより形成された剥離部を形成するように、前記第1の成分と、第1の成分よりも低い融点を有する第2の成分とを含む複合繊維を含む不織布を不均一に延伸して、高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布を形成するステップ、そして
    前記剥離部の少なくとも一部が、他の複合繊維と交絡及び/又は融着するように、前記高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布に、噴出された流体を吹き付け、請求項1〜5のいずれか一項に記載の不織布を形成するステップ、
    を含む前記方法。
  8. 前記噴出された流体を吹き付けるステップにおいて、前記高延伸領域と低延伸領域とを有する不織布の、流体を吹き付ける面と反対側の面に、あらかじめ定められた形状及び配列の突状部及び窪み部を有する支持体が配置される、請求項7に記載の方法。
  9. 前記流体が、加熱された空気、飽和水蒸気、又は過熱水蒸気である、請求項7又は8に記載の方法。
  10. 前記第1の成分と、第1の成分よりも低い融点を有する第2の成分とを含む複合繊維が、エアスルー不織布である、請求項7〜9のいずれか一項に記載の方法。
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