JP2543597B2 - 開孔を有する複合不織布の製造方法 - Google Patents

開孔を有する複合不織布の製造方法

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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、寸法安定性及びドレープ性にすぐれた、開
孔を有する不織布の製造方法に関する。
(従来の技術) 多数の開孔を有し、ドレープ性にすぐれた不織布を得
る方法については、U.S.Patent 3,485,708号、特公昭47
−18069号、特公昭48−13749号等に開示されている。こ
れらの技術は不織布繊維の交絡を流体の噴射によって得
るものであるがゆえに、ドレープ性の良い不織布を提供
し得る反面、繊維の交絡が弱く、不織布の寸法安定性、
形態保持性において劣るところがあった。これを改良す
べく本出願人が開示した特開昭59−245563号、特開昭61
−9577号は、特に吸収物品の表面材として用いるのに好
適な開孔を有する複合不織布を提供するもので、該複合
不織布を開孔した不織布と非開孔不織布の一体的な複合
化によって得ること、および該非開孔不織布を熱融着繊
維とする場合には一体的な複合化を熱処理によって行う
べきことを提案した。
(発明が解決すべき課題) しかるに、これらの開示技術、特に熱融着繊維を用い
る場合においては、寸法安定性の良い開孔した複合不織
布を得ることが可能になったが、開孔付与・不織布化工
程の後に熱処理を行うこの場合の方法においては、不織
布に高度のドレープ性を求めることは一般に難しく、前
記非開孔不織布に用いる材料と熱処理方法が極めて限定
されるという問題を残していた。
本発明は、上述の問題を解決し、寸法安定性とドレー
プ性を両立させた、開孔を有する不織布およびその製造
方法の提供を目的とする。
(課題を解決するための手段) 本発明は、多数の開孔形成要素を有する支持体上に導
いた繊維ウエブに水流を噴射して、該ウエブの繊維の再
配列と交絡を行うことによって該繊維ウエブに開孔を付
与する工程を含む、開孔を有する不織布の製造方法にお
いて、構成繊維の結合が相対的に強い結合から成る第1
の繊維ウエブの上に、構成繊維の結合が相対的に弱い結
合から成る第2の繊維ウエブを積層し、前記支持体上に
おいて、この積層ウエブに対して、前記第2の繊維ウエ
ブの側から、水流噴射処理を施すことにより、前記第2
の繊維ウエブに対して、繊維再配列を生じさせて繊維交
絡させるとともに開孔を形成させて不織布化させ、これ
と同時に、前記第2の繊維ウエブを前記第1の繊維ウエ
ブと繊維交絡させることで複合不織布と成すことを特徴
とする、開孔を有する複合不織布の製造方法にある。
本発明において、開孔形成要素とは、本発明の実施に
用いる不織布製造工程において、支持体表面に所定間隔
で多数設けられて、前記繊維ウエブに所要の開孔を付与
するための突起を典型的な例とする。また、本発明にお
いていう開孔とは、前記開孔形成要素の形状とその配列
様式に倣って前記繊維ウエブに付与される開孔を意味す
る。
(実施態様) 更に、本発明の構成を図面を参照して説明すると以下
のとおりである。
第1図は、本発明によって得られる開孔を有する複合
不織布1の一例である。
第1の繊維層2は構成繊維の結合が相対的に強い結合
で、複合不織布1の寸法安定性を向上させる役割を果す
もので、目付は7〜30g/m2、好ましくは25g/m2以下、密
度0.01〜0.2g/cm2、繊度0.1〜15dであることが好まし
い。目付、密度および繊度を更に高くすることも可能で
はあるが、その場合には後述する開孔形成要素へのなじ
みが悪くなるので複合不織布の開孔付与を著しく阻害す
るに至るので好ましくない。また目付、密度および繊度
を更に低くすることも可能ではあるが、その場合には、
複合不織布としての十分な強度を有する繊維交絡を期待
し難く実用的でない。第1の繊維層2の繊維としては、
ポリエステル、ナイロン等の合成繊維、レーヨン、コッ
トンなどが挙げられるが、特にこれらの繊維に限定され
るものではない。第1の繊維層2の構成繊維の結合は、
複合不織布1を製造する工程においての繊維の地合いを
安定させる役割をも果し、本発明において実施する水流
噴射を受けても容易に前記結合が破壊されないものでな
ければならず、そのような意味において、第1の繊維層
の構成繊維は、後述する第2の繊維層の繊維の結合に比
し、相対的に強い結合を有するものである。そのため、
より具体的には、前記第1の繊維層の繊維の結合を接着
または融着によって得られる比較的強固な結合によって
実現することが好ましい。さらに具体的には、接着剤ま
たはケミカルバインダで結合せしめた不織布、ウエブ中
に混入された有機溶剤溶解性の繊維を溶剤によって一部
結合せしめた不織布、熱エンボスや超音波により熱溶融
繊維をスポット溶融せしめたスパンボンド不織布または
メルトブロー不織布などを使うことができる。
第1図における第2の繊維層3は、本発明で用いる開
孔形成要素の形状と配列様式に倣った多数の開孔4を有
する繊維ウエブ6が不織布化したものであって、第2の
繊維層3を繊維ウエブとして、第1の繊維層2の上面に
積層して、本発明の複合不織布の製造工程に供給し、続
いて、第2の繊維層2の側から、水流を噴射することに
より、その繊維の再配列を生せしめて開孔付与と不織布
化を行うと、同時に、前記第1の繊維層と繊維交絡を行
わしめ複合不織布とするものである。かかる第2の繊維
層3は開孔付与・繊維交絡を効果的に行うために目付6
〜40g/m2、繊維長5〜51mm、繊度は少なくとも50重量%
以上を0.01〜1.5dとする繊維ウエブ、または前記水流噴
射によって容易に解繊可能な程度にバインダや融着でゆ
るく仮結合した繊維ウエブ、抄造シート、もしくはティ
シュシートなどを前記繊維ウエブに代えて使うことがで
きる。すなわち、第2の繊維層3の構成繊維は、前述の
第1の繊維層の繊維の結合に比し、相対的に弱い結合を
有するものである。第2の繊維層3のための繊維として
は、ポリエステル、ナイロン、アクリルなどの一般的合
成繊維、レーヨンもしくはコットンまたはこれらを組み
合せたものなどが挙げられる。
第2の繊維層3を形成する繊維ウエブに開孔付与・不
織布化を行い、同時に第1の繊維層2に繊維交絡を行わ
しめて一体的に複合化するには、従来公知の高速水流の
噴射処理技術によってもよく、そのようなものとして
は、例えば、本出願人の出願に係わる特開昭61−125343
号、同62−170565号があるが、第2図に本発明に好適な
装置例を示す。
第2図に示す装置においては、第1ベルトコンベア10
と、第1支持ロール11と、第2ベルトコンベア20と、水
膜供給手段21と、第2支持ロール22と、それに対向配置
された水流噴射処理手段23と、ベルトコンベア24と、開
孔形成要素を有する第3支持ロール25と、その周方向に
所定間隔で対向配置された各水流噴射処理手段26と、一
対の絞りロール27とを含む。水膜供給手段21は常に定量
の水を水量タンク28からオーバーフローさせ、これを傾
斜板29を開して流下させることにより水膜を形成しなが
ら繊維ウエブ6と不織布5に水を供給するために設けら
れている。これにより繊維ウエブ6と不織布5の繊維の
毛羽立ちをおさえて地合いを安定させた状態で繊維交絡
と開孔付与を効果的に行うことができる。第3支持ロー
ル25は、第2図および第3図に示すように、所定直径と
長さを有するシリンダに形成され、開孔形成要素として
該シリンダの平滑表面上に所定間隔で点在する多数の突
起31を有しており、さらに該突起間の平面に多数の排水
用小透孔32を有している。突起31は、繊維ウエブ6に対
する開孔形成効率を高め、かつ、開孔の形成された複合
不織布が、第3支持ロールから容易に剥離するため、突
起31は頂点部から基底部に向かって漸次広がっている形
状、例えば円錐状に形成することが好ましい。突起31の
寸法、単位面積当りの配置数、配列形態は、所望の開孔
4に略対応させて定めればよいが、高さは0.25〜10mm、
好ましくは、0.4〜8mmであることが複合不織布に明瞭な
開孔4を付与するうえで特に好ましい。各支持ロール1
1,22,25には詳しく開示していないが、直径0.2〜1.0mm
で前記ロール表面における占有面積比率が2.5〜30%の
多数の排水用小透孔が所定間隔で配列されているのが好
ましい。また、図示していないが、各支持ロール11,22,
25の内部には、それらのロール表面における排水効率を
高めるため、水流を吸引するサクションが配置される。
第2支持ロール22,および第3支持ロール25は、噴射手
段23,26からの水流がそれらのロール表面に衝突して反
発流となり、これが再び繊維交絡に作用し得るように所
定硬度を有している。
不織布5と繊維ウエブ6とから成る繊維積層物7は、
第2支持ロール22で手段23からの水流噴射により予備的
に繊維交絡処理されることが好ましく、さらに、第3支
持ロール25上で各手段26からの水流噴射により繊維ウエ
ブ6は構成繊維の再配列と交絡によって、開孔付与・不
織布化を行うと同時に、不織布5に対する繊維交絡を生
じ、これと一体的に複合化する。ここにおいて、繊維積
層物7の不織布5は構成繊維の少なくとも一部が、接着
剤、溶解もしくは溶融またはこれらの組み合せ等によっ
て互いに強く結合して成る不織布であって、水流噴射を
受けても構成繊維の実質的な再配列は生じ難く、水流噴
射による繊維再配列と、それに伴う開孔付与と繊維交絡
は結果として専ら繊維ウエブ6に対して特異的になされ
ることになる。従って、繊維ウエブ6の不織布化が行わ
れると同時に不織布5との一体的な複合化も、繊維ウエ
ブ6の構成繊維のうち水流噴射によって移動再配列して
不織布5の構成繊維と絡み合うものによって成される。
開孔付与の機構について簡単に考察すると、支持体とし
ての第3支持ロール25の上において、繊維積層物7は水
流噴射によって突起31を有する該ロール表面になじむ
が、その時繊維ウエブ6にあっては、水流噴射圧力と水
流によって突起31のまわりで繊維が押し分けられたり、
引き分けられたりしながら繊維交絡を行い、元の状態に
復帰することが不可能な繊維の再配列が実現し、突起31
の形状と配列に略対応した形で繊維ウエブ6に特異的に
開孔付与が成されるものと考えられる。
水流噴射処理においては、水流の背圧設定が特に重要
であり、背圧は20〜100kg/cm2が好ましく20kg/cm2以下
であると良好な繊維交絡を得る圧力として不十分であ
り、100kg/cm2以上であると繊維交絡の実用強度を得る
に過剰な圧力である上に、繊維ウエブ6の地合いが乱れ
易く不適当である。
また、開孔形成要素を有する支持手段としては、第3
支持ロール25に代えて、例えば支持手段としてエンドレ
スのメッシュベルトを用い、そのメッシュベルトのナッ
クル部を開孔形成要素とすることもできる。このような
技術の具体的な例として は本出願人の出願に係わる特
開昭62−69867号、同62−69868号がある。
以上のごとくして得られた複合不織布の第3支持ロー
ル25以降における工程の具体的構成は、この種の水流噴
射処理による不織布製造方法において開示されている手
段によって成される。
(実施例) (1)第1の繊維層にPET/PP/PE(ポリエステル/ポリ
プロピレン/ポリエチレン)から成る目付20g/m2のメル
トボンド不織布、第2の繊維層に繊度0.05d×5mm、目付
30g/m2のアクリル紙を用い、前記第1の繊維層の上に前
記第2の繊維層をのせた積層物を、開孔形成要素として
高さ1.0mm、底面直径1.5mmの円錐を1cm2当り約14個有す
る支持ロールに導き、前記第2の繊維層の側から、背圧
40kg/cm2で水流噴射処理を行ったところ、前記第2の繊
維層には支持ロール上の円錐に倣った円形の開孔が付与
され、同時に不織布化し、前記第1の繊維層と一体化
し、ドレープ性に富む複合不織布が得られた。
(2)第1の繊維層を目付15g/m2のPPスパンボンド不織
布(旭化成(株)製P3015)として、この上に、第2の
繊維層として繊度0.7d×45mm、目付40g/m2のPPウエブを
のせ、開孔形成要素として、ナックル部の高さ0.04mmで
25メッシュのプラスチックネットを有する支持体に導
き、背圧50kg/cm2で水流噴射処理を行ったところ、プラ
スチックネットのナックルに対応する部位に開孔を有す
るドレープ性に富む複合不織布が得られ、前記PPウエブ
からの不織布とPPスパンボンド不織布との一体的複合化
は極めて良好であった。
(3)実施例2において、第1の繊維層に目付10g/m2
ナイロンスパンボンド、第2の繊維層に目付10g/m2のPB
Tメルトブロー不織布を用いて、背圧30kg/cm2の水流噴
射処理を行って、ドレープ性に富む繊維交絡の良好な開
孔を有する複合不織布を得た。
(4)実施例1において、第1の繊維層を目付約25g/m2
の旭化成(株)製スパンボンド不織布E1025として、こ
の上に第2の繊維層として、1d×38mmのレーヨン糸60重
量%と2d×51mmのチッソポリプロ()製ES繊維を混合し
て得た目付10g/m2のウエブをのせて背圧50kg/cm2の水流
噴射処理を行って、ドレープ性に富む繊維交絡良好な開
孔を有する複合不織布を得た。
(発明の効果) 本発明によれば、構成繊維の結合が相対的に強い結合
から成る第1の繊維ウエブに対しは、繊維を再配列を生
じさせ、かつ、開孔を形成させずに、構成繊維の結合が
相対的に弱い結合から成る繊維ウエブに対してだけ、繊
維再配列を生じさせて繊維交絡させ、かつ、開孔を形成
させて不織布化させるから、優れたドレープ性と寸法安
定性とを有する不織布を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の開孔を有する複合不織布の一例を示
す斜視図。第2図は、本発明の開孔を有する複合不織布
の製造方法の一例を示す工程図。第3図は、開孔形成要
素を有する支持ロールの一例を示す斜視図。第4図は、
第3図における開孔形成要素と排水小透孔の詳細を示す
部分拡大図。 1……複合不織布、2……第1の繊維層 3……第2の繊維層、4……開孔 5……不織布、6……繊維ウエブ 7……繊維積層物、25……支持体 26……オリフィス、31……開孔形成要素

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多数の開孔形成要素を有する支持体上に導
    いた繊維ウエブに水流を噴射して、該ウエブの繊維の再
    配列と交絡を行うことによって該繊維ウエブに開孔を付
    与する工程を含む、開孔を有する不織布の製造方法にお
    いて、 構成繊維の結合が相対的に強い結合から成る第1の繊維
    ウエブの上に、構成繊維の結合が相対的に弱い結合から
    成る第2の繊維ウエブを積層し、前記支持体上におい
    て、この積層ウエブに対して、前記第2の繊維ウエブの
    側から、水流噴射処理を施すことにより、前記第2の繊
    維ウエブに対して、繊維再配列を生じさせて繊維交絡さ
    せるとともに開孔を形成させて不織布化させ、これと同
    時に、前記第2の繊維ウエブを前記第1の繊維ウエブと
    繊維交絡させることで複合不織布と成すことを特徴とす
    る、開孔を有する複合不織布の製造方法。
  2. 【請求項2】前記支持体上の開孔形成要素が突起である
    ことを特徴とする請求孔1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】前記支持体の開孔形成要素がメッシュベル
    トのナックル部であることを特徴とする請求項1記載の
    製造方法。
  4. 【請求項4】前記第1の繊維層は構成繊維の少なくとも
    一部が接着または融着によって結合して成る不織布であ
    る請求項1記載の製造方法。
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