JP4968196B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真方式を用いた画像形成装置に係り、特に、画像形成装置のクリーニング装置に関するものである。
近年、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、定着手段を有する、いわゆる電子写真方式の画像形成装置は、各部材、システムの技術進展により一層の高速化、ロングライフ化が図られている。これに伴い、各サブシステムの高速対応性、高信頼性に対する要求が従来に増して高くなっている。
特に、画像書き込みに使用される電子写真感光体や、未転写トナーを電子写真感光体表面より除去するクリーナーは、電子写真感光体との摺動によるストレスを多く受け、傷、磨耗、欠けなどによる画像欠陥を生じやすく、高速対応性、高信頼性に対する要求が一層強い。一方、高画質化に対する要求も強く、トナーの小粒径化、粒度分布の均一化、球形化などが図られ、この品質を満たすトナーの製法として水を主成分とする溶剤中で製造されたトナー、いわゆるケミカルトナーの開発が盛んに行われている。この結果、最近ではいわゆる写真画質のものも得られるようになってきた。
上記クリーナーとして、従来から、ゴムなどの弾性材料からなるクリーニングブレードを用い、その一端のエッジを感光体等の像担持体表面に当接させて、表面に付着したトナー等の現像剤を除去するような構成がよく知られている。このブレードクリーニング装置のメリットは、構成が簡単でコストも安価であり、トナーや、付着物の除去を効率的に行えるという点である。この方式では、クリーニングブレードの当接エッジを長期にわたって均一な圧力で安定して像担持体表面に当接させる事が非常に重要である。
しかしながら、エッジへのトナーの融着、紙粉の引っ掛かり、ブレード材料の劣化によるエッジの欠け等によるクリーニング不良の発生が起こりやすい。加えて、画質の向上を達成するために従来より粒子径の小さなトナーを使用するシステム場合、あるいは、所謂球形トナーを使用する場合においては、転写後の像担持体表面へのトナーの付着力がファン・デル・ワールス力の増加に伴い極端に高くなるため、あるいは、球形化したことによる転がり摩擦の低下のためブレードからのすり抜けを生じやすく、クリーニングブレードを使用した場合にはブレードの当接圧力を高く設定しなければならない。そのため、ブレードと像担持体表面との摩擦力が増大しブレードめくれが発生しやすく、電子写真感光体表面の摩耗を増長しやすいという問題があった。
このような状況において、像担持体表面や中間転写体表面に残留するトナーを除去する手段として、芯軸と芯軸に一体に形成されたスポンジゴム層、あるいは低硬度ゴム層の表面に、編物、織物あるいは不織布で構成された円筒布からなる外被層を被覆したクリーニングローラが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、主として紙粉除去の効果を狙い、断面が四角形となる発泡弾性部材に不織布を貼り付ける構成のものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
実開昭62−181973号公報 特開2000−206850号公報
しかしながら、ウレタンフォームやウレタンゴムといった弾性体の硬度は高温高湿下で減少し、低温低湿下で増大するなど環境依存性を示すため、像流れが発生しやすい高温高湿の環境下では放電生成物の掻き取り性能が充分でなく、また低温低湿下では過剰な押し付け圧により像担持体の摩耗を促進してしまうという問題点があり、また長期間にわたって像担持体表面、あるいはトナーや外添剤と接触することにより、不織布そのものが摩滅し、結果としてクリーニング性能が低下する、という問題点があった。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、像担持体上の残留トナーや放電生成物に対する高いクリーニング性能と、良好なプリント画質を長期間に渡って維持することができるクリーニング装置を提供することである。
本発明の画像形成装置は、少なくとも像担持体と、像担持体表面を帯電させる帯電手段と、像担持体を露光して潜像を形成する露光手段と、潜像をトナーにより現像し可視像を形成する現像手段と、可視像を転写媒体に転写するための転写手段と、像担持体に残留したトナーを除去するクリーニング手段と、転写手段下流側にて像担持体と接して位置し、回転軸を有し、像担持体との摩擦によって引き摺られて回転軸を中心に回転するトナー保持部材と、トナー保持部材の回転軸に固定され、トナー保持部材の回転角度増大によって復元力が増加する弾性体とを備え、トナー保持部材は、トナー保持部材と像担持体表面との摩擦が大きくなると、トナー保持部材が像担持体に引き摺られる前と後での回転角度が増大し、回転角度が増大すると、弾性体の復元力によって、トナー保持部材の像担持体表面への押し付け圧が強くなることを特徴としている。

請求項2に記載の発明は、上記画像形成装置において、トナー保持部材は、カム形状であることを特徴としている。
請求項3に記載の発明は、上記画像形成装置において、トナー保持部材は、直径10μm以下の微細繊維からなる繊維布であることを特徴としている。
請求項4に記載の発明は、上記画像形成装置において、像担持体として、導電性支持体と、この導電性支持体上に形成された感光層とを備え、感光層が導電性支持体から最も遠い位置に、架橋構造を有する樹脂を含有する電荷輸送性の最表面層を有することを特徴としている。
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
図1は、電子写真方式による画像形成工程の概略図である。符号1は像担持体(感光体)であり、まず、帯電装置2によって形成する画像の着色部分に該当する部分が帯電させられて潜像を形成し、現像装置3によって潜像部分に着色トナーが供給される。次に、中間転写ベルト7に保持された紙等の媒体に、一次転写装置4によってトナーが転写され、図示しない定着手段によってトナーが媒体上に定着され、電子写真が形成される。上記転写を終えた感光体1表面にはトナーが残存しているので、クリーニング装置5によってこれを除去し、感光体1は再び電子写真形成工程に供される。
本発明では、上述した目的を達成するために、少なくとも像担持体1と、前記像担持体表面を帯電させる帯電手段2と、前記像担持体を露光して潜像を形成する露光手段6と、前記潜像をトナーにより現像し可視像を形成する現像手段3と、前記可視像を転写媒体に転写するための転写手段4と、前記像担持体に残留したトナーを除去するクリーニング手段5とを有する図1に示す画像形成装置において、転写手段下流側にトナーを保持するトナー保持部材と、前記トナー保持部材を支持する支持部材を有することを特徴とする画像形成装置を提案する。
図2は、像担持体1およびクリーニング手段5部分の拡大図である。図2(a)および(c)が本発明の態様であり、(b)および(c)は従来の態様である。図2(a)に示すように、クリーニング手段内部では、導電性ブラシ部材15が像担持体1に接しており、導電性回収ローラ部材16が導電性ブラシ部材15に接している。さらに、スクレイパー17が、導電性回収ローラ部材16に接している。像担持体1に残留したトナーは、導電性ブラシ部材15を経て、導電性回収ローラ部材16によって回収され、スクレイパー17に掻き取られる。
本発明では、さらに、その上流側に、トナー保持部材18aが設けられており、トナー保持部材18aは、支持部材19によって保持されている。ここでトナー保持部材18aは、断面が曲線のみで構成され、かつ偏心した位置に回転軸を持つカム状基材上に、微細繊維を貼り付けした偏心ロール形状をしており、その軸は弾性体からなる支持部材19、例えば発条ばね等により支持されている。
上記のような構成によれば、像担持体1の表面に放電生成物が付着した場合、像担持体1表面とトナー保持部材18aの摩擦が大きくなり、トナー保持部材18aは像担持体1に引き摺られる形となりトナー保持部材18aの曲率が小さい方の面が像担持体1に接し、相対的に押し付け圧が大きくなり、結果として放電生成物の除去を促進することができる。一方、像担持体1の表面に放電生成物が減少した場合は、像担持体1表面とトナー保持部材の摩擦が小さくなり、トナー保持部材18aは弾性体からなる支持部材19の復元力によって起き上がる形となりトナー保持部材18aの曲率が大きい方の面が像担持体1に接し、相対的に押し付け圧が小さくなり、結果として像担持体1表面の摩耗を低減させることができる。
上記クリーニング手段における回収ロール部材は、熱硬化性樹脂であり加熱により硬化(架橋)が進み形成される為、成形後の収縮が起こり難く回収ロール部材に求められる寸法精度に対し非常に優位である。本発明の回収ロール部材に用いる熱硬化性樹脂としてはフェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等を挙げる事が出来るが、中でもフェノール樹脂は寸法精度が高く、成形がし易く、且つ成形品の表面平滑性に優れ、更には安価である事から本発明の回収ロール部材に用いる材料として最適である。
更に、前記回収ロール部材のJIS−K7203に於ける曲げ弾性率が700Kpa以上である像担持体表面クリーニング手段であると好ましい。ここで曲げ弾性率が700Kpaに満たないと回収ロール部材に撓みを生じブラシ部材及びブレードとの当接位置や食い込み量を一定に保つ事が出来ない。また曲げ弾性率の低い材料を用い、回収ロール部材の肉圧を増加させ剛性を保とうとすると、成形収縮が大きくなり所望の寸法精度が得られないばかりか、重量が増す、成形時間が増す、後加工が必要になる等の諸問題により、コストアップとなってしまう。また、回収ロール部材はブラシ部材及びブレードと絶えず接触状態にある。従って磨耗に強い材料から構成される事が求められ、上記磨耗量がJIS−K6902に於ける磨耗量20mgを越えると回収ロール部材の寿命が短くなり、頻繁に交換せざるを得ない。又、磨耗量が小さい為にブラシ部材やブレードの当接圧や食い込み量を大きく設定でき、長期に渡り像担持体上を安定してクリーニングできるため、20mg以下であることが好ましい。また、寸法精度の高い成形が可能となり、削れに対し非常に強いローラとなるため、前記回収ロール部材のJIS−K7202に於けるロックウェル硬さ(Mスケール)が100以上であることが好ましい。
また、剛性を増加させると共に電気抵抗を所定の範囲に調整する目的で、前記回収ロール部材中に有機フィラー又は無機フィラーの何れかを単独又は複数、及び有機フィラーと無機フィラーの両方を各一種又は複数種充填しても良い。ここで言う有機フィラーとは、カーボンブラック、炭素粉、グラファイト、磁性粉、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン等の金属酸化物、硫化銅、硫化亜鉛等の金属硫化物、ストロンチウム、バリウム、希土類等の所謂ハードフェライト、マグネタイト、銅、亜鉛、ニッケル及びマンガン等のフェライト、またはこれらの表面を必要に応じ導電処理したもの、銅、鉄、マンガン、ニッケル、亜鉛、コバルト、バリウム、アルミニウム、錫、リチウム、マグネシウム、シリコン、リン等の異なる金属元素を含んだ酸化物、水酸化物、炭酸塩又は金属化合物等から選ばれ高温中で焼成して得られる金属酸化物の固溶体、所謂 複合金属酸化物等であり、無機フィラーとは錫、鉄、銅、アルミ等の金属粉体や金属繊維、ガラス繊維等が挙げられる。回収ロールの電気抵抗が1×10Ωより低い場合には、電荷注入が起こりブラシ部材が掻き取ったトナーや紙粉等の微粉末の極性が反転し、電気的に吸着する事が出来なくなってしまう。逆に回収ロールの電気抵抗が1×1010Ωを上回ってしまうと、回収ローラに電荷が蓄積される所謂チャージアップが起こり、やはり電気的にトナーや紙粉等の微粉末を吸着出来なくなるため、回収ロール部材の500V印加時の電気抵抗は1×10〜1×1010Ωの範囲で使用され、好ましくは1×10〜1×10Ωである。
さらにまた、効率的にトナーや紙粉等の微粉末を静電的に吸着移動させるため、像担持体表面に当接配置されたブラシ部材と、該ブラシ部材に当接配置された回収ロール部材とに電位差のあるクリーニングバイアスを印加することが好ましい。ブラシ部材と回収ロール部材との電位差は100V以上、好ましくは200V以上が望ましく、上限はバイアスリーク限界で規制され、650V以下に抑える事が好ましい。
転写工程を終えた後に像担持体上に残存する所謂転写残トナーは、転写電界の影響でその極性にバラツキを生じており、正極から逆極に反転した物まで存在する。正極の転写残トナー及び逆極に反転した転写残トナーまで効率的に除去する目的で、ブラシ部材と回収ロール部材とブレードから成る像担持体表面クリーニングユニットを一つの像担持体に対し、複数設置し且つそれぞれに異なる極性の電位差を設ける事もできる。転写工程を終えた後に像担持体上に残存する所謂転写残トナーは、転写電界の影響でその極性にバラツキを生じているが、その大半は正極(もとの帯電極性)のままで存在する。そこで第1の像担持体表面クリーニングユニットにトナーと異なる極性でブラシ部材と回収ロール部材とに電位差のあるクリーニングバイアスを印加し、転写残トナーの大半を占める正極トナーを静電的に吸着移動させ、次の像担持体表面クリーニングユニットにトナーと同極性であり、且つブラシ部材と回収ロー部材ルとに電位差のあるクリーニングバイアスを印加する事で、逆極性に反転したトナーを静電的に吸着移動させることが有効である。
また、像担持体表面クリーニングユニットは像担持体とブラシ部材と回収ロール部材及びブレードからなり、これらを一つのプロセスカーカートリッジとして用いる事ができる。プロセスカーカートリッジとする事でメンテナンスフリーを実現すると共に、プロセスカーカートリッジを交換するだけで高品質の画像形成を容易に繰り返す事が出来る。
ブラシ部材は、回転するシャフト外周上に無数の繊維を配したロール状に形成されている。ブラシ部材は像担持体に対しブラシの先端が僅かに食い込む位置に配置され、像担持体の周面移動方向と逆方向に前記ブラシ部材の周面が回転移動し、この際像担持体と摺接する事によって像担持体表面からトナーや外添剤を剥離し、回収ロール部材へと運ぶ働きを担っている。ブラシと像担持体との食い込み量は0.1〜2.5mmが望ましく、好ましくは0.5〜2.0mmであり、より好ましくは0.9〜1.8mmである。
具体的なブラシ部材の材料としてはナイロン、アクリル、ポリオレフィン、ポリエステル等の樹脂繊維を挙げる事が出来、導電性粉末やイオン導電剤を配合して導電性を付与したり、繊維一本一本の内部あるいは外部に導電層が形成されたもの等を用いることができ、その抵抗値としては繊維単体で10〜10Ωのものが好ましく、より好ましくは10〜10、繊維の太さは30d(デニール)以下、好ましくは20d以下であり、より好ましくは2d〜10d、繊維の密度は2万本/inch以上、好ましくは3万本/inch以上であり、より好ましくは6万本/inch以上である。具体的には、ベルトロン(カネボウ製)、SA−7(東レ製)、UUナイロン(ユニチカ製)などが挙げられる。さらに、導電性を付与する材料は、繊維中に均一に配合されたものがクリーニング維持性に優れより好ましい。
トナー回収ロール部材はその外周面が前記ブラシ部材外周面に僅かに食い込む位置に配置され、ブラシ部材に付着した残留トナーや外添剤等を担持し、該トナー回収ロール部材に当接配置されたクリーニングブレードにより、その表面に担持した残留トナーや外添剤等が回収される様に構成されている。
上記ブラシ部材とトナー回収ロール部材には電位差のあるクリーニングバイアスが印加されており、機械的せん断力とこの電位差により像担持体表面から掻き取られた残留トナーや外添剤等は、静電的にトナー回収ロール部材へ移動する。ブラシ部材とトナー回収ロール部材に印加される電位差のあるクリーニングバイアスブラシは、先ずブラシ部材と像担持体との間に形成される電界によって、像担持体表面からブラシ部材への静電誘引力で引っ張られ、像担持体表面から除去される。一方、上述トナー回収ロール部材にはブラシ部材よりも絶対値の高い且つ同極性のクリーニングバイアスが印加されており、ブラシ部材に付着した残留トナーや外添剤等はトナー回収ロール部材に再付着する。上記トナー回収ロール部材にはクリーニングブレード又はかきとり部材が当接しており、トナー回収ロール部材に付着したトナー等はこのクリーニング手段によって当該ロール部材から除去される。このクリーニング手段は高耐久性及び低コストの観点よりステンレスあるいはリン青銅の金属薄板から形成され、その厚さは0.02〜2mm程度で使用され好ましくは、0.05〜1mmであるものが好適に用いられる。
続いて、感光体1表面に付着した放電生成物や外添剤を清掃するトナー保持部材18aについて説明をする。トナー保持部材の表面は微細な極細繊維からなり、感光体接触面との間にミクロな間隙を作ることによって、感光体上に残留したトナーを密に保持しやすく、それによって感光体の表面に付着した放電生成物や外添剤を均一に除去できる。
ここで極細繊維は0.2d〜1.0d、典型的には0.2d〜0.5dのものを意味し、0.2d以下のものは超極細繊維と称する。繊維径は約1μm〜5μm程度で、1μm以下のものは超極細微細繊維と称する。なお本発明では超極細微細繊維も極細繊維と同様に取り扱うことができる。極細繊維の構成材料としては、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維などの合成繊維、アセテートなどの半合成繊維、レーヨン、キュプラ、ポリノジックなどの再生繊維、パルプ、絹、綿、麻、石綿、羊毛からなる天然繊維を使用することができる。あるいはこれらの繊維を複数組み合わせてなる芯鞘型、サイドバイサイド型の複合繊維なども使用することができる。
これらの極細繊維は以下のような手法によって得ることができる。例えばノズルから繊維を紡糸するとともに圧縮空気を作用させることに繊維を細繊度化させたメルトブロー法がある。また横断面形状が例えば一成分中に他成分を島状に配置した海島型繊維、異なる成分を交互に層状に積層した多重バイメタル型、あるいは一成分を他成分中に放射上に配置した菊花型(オレンジ型)繊維を分割することにより得ることができる(以下これらの極細繊維に分割可能な複合繊維を「分割性繊維」という)。この分割性繊維を構成する樹脂成分の組み合わせとして、例えば、2つの樹脂成分からなる場合、ポリアミド系樹脂とポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂とポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂とポリアクリロニトリル系樹脂などの異系樹脂同士、ポリエチレンとポリプロピレンのように同系樹脂同士がある。これらの分割性繊維を機械的作用(例えば、水流などの流体流による分割、一対のロールの押圧による分割、平板プレス装置の押圧による分割など)および化学的作用(例えば溶剤による樹脂成分の除去または膨潤など)により分割して極細繊維を得ることもできる。
繊維の布への加工方法としては、糸を編み二次元的材料を構成させる方法と、繊維から直接布を作る方法とがあり、後者は繊維を相互に接着させたり、機械的に絡ませたりしてシート状に加工するものであり、これを不織布と呼んでいる。いずれの方法よっても本発明の部材に用いることが出来るが、布の強度、密度が大きく柔軟性に富み、繊維間にトナーを良好に保持出来るという点で不織布が望ましい。
不織布の製造工程は、一般に繊維ウエブ形成工程と繊維間結合工程の2工程からなる。まず繊維ウエブを形成する。繊維ウエブの形成方法としては、例えば短繊維(15〜100mm)をカードと呼ばれる機械を用いて、あるいはエアレイと呼ばれる空気流を用いて一定方向またはランダムに並べて形成する乾式法、またごく短い繊維を水中に分散し網状のネットに漉き上げて形成する湿式法、溶かした原料樹脂を直接ノズルの先から溶出、紡糸させ、連続した長い繊維でフリースを形成するスパンボンド法がある。次いで繊維同士を結合させる。繊維間結合の方法としては、エマルジョン系の接着樹脂を含浸あるいはスプレー等の方法で繊維ウエブに付着させ、加熱、乾燥させ繊維の交点を接着するケミカルボンド法、熱ロールの間を通して熱圧着する、または熱風を当て繊維同士を接着させるサーマルボンド法、高速で上下するニードルで繰り返し突き刺し、ニードルに刻まれたバーブという突起により繊維を絡ませるニードルパンチ法、高圧の水流を柱状に噴射して繊維を絡ませる水流絡合法などがある。
なお機械的に分割可能な繊維から繊維ウエブを形成し、ニードルパンチあるいは流体流によって繊維同士を絡合させると、同時に繊維を分割することができ、製造上好ましい。極細繊維は20重量部以上含まれていることが好ましいが、多ければ多いほど繊維シート表面が均一になるため、100重量部極細繊維であることが最も好ましい。
上記のような不織布としては、市販品として例えば、トレシー、エクセーヌ(以上東レ社製)、ザビーナミニマックス、クラウゼン(以上カネボウ社製)、ミエミエ(三菱レーヨン社製)、ミクロスター(帝人社製)、ベンリーゼ、ルクサー、ベンコット(以上旭化成工業社製)、生分解性不織布(金井重要工業社製)、FLEXILON(ヴェラテックジャパン社製)、クラレフレックス(クラレ社製)、サフロン(三昌社製)、ミラクルクロス(大和紡績社製)、ソンタラ(デュポンジャパン社製)、KFペーパー(東洋紡績社製)、パルクロス(本州製紙社製)などを挙げることができる。
また、上記微細繊維布をバックアップ材として弾性を有する押し当て部材に貼り付けて、その表面が感光体に所定の圧力で押し当てられていることが望ましい。バックアップ材としては、発砲ウレタン、ウレタンゴム、シリコーンゴム、などが挙げられる。バックアップ材によって感光体に導電性微罪繊維を押し付ける圧力としては、0.5〜6.0gf/mmの範囲であることが好ましい。更に好ましい範囲は1.0〜4.0gf/mmである。押し付け圧が0.5gf/mmより低いと充分な摺擦機能を発揮することが出来ず、6.0gf/mmより高いと感光体との摺擦が強すぎて部材自体および感光体の劣化を招きさらには、かえってフィルミング等を誘発する。
また、均一な摺擦を促進させるために、繊維布部材を感光体軸方向に往復運動させてもよい。往復運動させる移動距離は2mm〜10mmの範囲にあるのが好ましい。移動距離が2mmより少ないと効果が見られず、10mm以上は効果が変わらず、クリーニングユニットの大型化を招く。
以下に本発明の具体的な実施例を、添付の図面に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
図1は本実施例で用いるクリーニング装置を備える画像形成装置の概略断面図である。画像形成装置の像担持体1が帯電装置2によって一様に帯電され、この像担持体1に画像信号に従って露光装置6から光線が照射される。すると、像担持体1上の光線が照射された部分には静電現像が形成され、この静電現像は現像装置3によって現像剤であるトナーによって現像され、可視化される。一方、給紙装置13には記録媒体である転写用紙Pが積載されており、給紙装置内の転写用紙Pは二次転写ロール10と二次転写用バックアップロール9に送られる。そして、像担持体1に担持されている前記可視像は一次転写装置4によって中間転写ベルト7に転写され、前記二次転写ロール10によって転写用紙Pに転写される。そして、定着装置14によって熱と圧力による像の定着を受けた後、機外に排出される。なお、像担持体1に残留するトナーは本発明に関わるクリーニング装置5によって除去され、像担持体1は再び画像形成に供される。
図2(a)および(c)は、本発明のクリーニング装置の概略断面図である。図2(a)のクリーニング装置には、既に述べたように、導電性ブラシ部材15、導電性回収ロール部材16およびスクレイパー17が取り付けられており、本発明のトナー保持部材18aおよび支持部材19が取り付けられている。図2(c)は、導電性ブラシ部材15、導電性回収ロール部材16およびスクレイパー17に替えてブレード20を直接像担持体1に当接させた態様である。
図2(b)および(d)は、比較例のクリーニング装置の概略断面図である。図2(b)は、本発明のトナー保持部材18aに替えて、円筒状のトナー保持部材18bを配して固定的に像担持体1に当接させた態様であり、図2(d)は、ディスターバブラシを当接させた態様である。
下記に示すように、画像形成装置の各構成要素を作製した。
1.クリーニングシステム1
<1−a.ブラシ>
ブラシ材質:導電性ナイロン
太さ:2d(約17μm)
電気抵抗:1.0×10Ω
毛足長さ:3.5mm
密度:1.2万本/inch
感光体への食い込み量:約0.5mm
周速:171mm/s
回転方向:感光体の回転方向に対し逆回転
ブラシ印加バイアス:+260V
<1−b.回収ロール>
材質:フェノール樹脂に導電性カーボンを分散
電気抵抗:1.0×10Ω
曲げ弾性率:100Mpa
磨耗量:2.0mg
ロックウェル硬度(M):120
ブラシへの食い込み量:1.0mm
周速:201mm/s
印加バイアス:+660V
<1−c.スクレイパー>
材質:SUS304
厚み:80μm
食い込み量:1.3mm
フリーレングス:8.0mm
<1−d.トナー保持部材>
繊維太さ3〜5μm、厚み430μmのポリエステルおよびナイロン製の不織布(商品名WP8085、日本バイリーン社製)を用い、断面形状が楕円形(長軸:18mm、短軸:10mm)となる発泡ウレタン基材上に貼り付けし、SUS304製、シャフト径:φ5mmとなるシャフトを、像担持体から遠い側の焦点位置に通し、偏心不織布ロールとした。支持部材としてSUS304からなる発条ばね部材を前記シャフトの両軸に取りつけ、固定した。
2.クリーニングシステム2
<2−a.ブレード>
材質:ウレタンゴム
反発弾性率:50%(25℃,JIS−K6255)
300%モジュラス:230kgf/cm(JIS−K6251)
引き裂き強度:35kgf/cm(JIS−K6252)
永久伸び:2.8%(JIS−K6262)
厚み:2.0mm
押付力:4.0gf/mm
フリーレングス:8.0mm
<2−b.トナー保持部材>
繊維太さ3〜5μm、厚み430μmのポリエステルおよびナイロン製の不織布(商品名WP8085、日本バイリーン社製)を用い、断面形状が楕円形(長軸:18mm、短軸:10mm)となる発泡ウレタン基材上に貼り付けし、SUS304製、シャフト径:φ5mmとなるシャフトを像担持体から遠い側の焦点位置に通し、偏心不織布ロールとした。支持部材としてSUS304からなる発条ばね部材を前記シャフトの両軸に取りつけ、固定した。
次に、本発明の感光体を作製した。なお、以下「部」は「質量部」を意味する。
3.ベース感光体
先ず、ホーニング処理を施した外径84mmφの円筒状アルミニウム基材を準備した。次に、ジルコニウム化合物(商品名オルガチックスZC540、マツモト製薬社製)を100部、シラン化合物(商品名A1100、日本ユニカー社製)を10部、イソプロパノールを400部、及びブタノールを200部混合し、下引層形成用塗布液を得た。この塗布液をアルミニウム基材上に浸漬塗布し、150℃で10分間加熱乾燥し、膜厚0.1μmの下引層を形成した。
次に、Xf線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が、7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°に強い回折ピークを持つヒドロキシガリウムフタロシアニンを1部、ポリビニルブチラール(商品名エスレックBM−S、積水化学社製)を1部、及び酢酸n−ブチルを100部混合し、さらにガラスビーズとともにペイントシェーカーで1時間処理して分散し、電荷発生層形成用塗布液を得た。この塗布液を下引層上に浸漬塗布し100℃で10分間加熱乾燥し、膜厚約0.15μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記式(I−1)で示される電荷輸送材料を2部、下記式(I−2)で示される構造単位を有する高分子化合物(粘度平均分子量39,000)を3部、及びクロロベンゼンを20部混合し、電荷輸送層形成用塗布液を得た。
Figure 0004968196
Figure 0004968196
この塗布液を、上記電荷発生層上に浸漬コーティング法で塗布して110℃で40分加熱し、膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。このように、ホーニング処理が施されたアルミニウム基材上に、下引層、電荷発生層及び電荷輸送層が形成された感光体を「ベース感光体」とした。
<3−a.感光体1>
下記式(I−3)で示される化合物を2部、レジトップPL4852(群栄化学製)を3部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(商品名AO−80、旭電化製)を0.1部、フッ素グラフトポリマー(商品名ZX007C、富士化成製)を0.2部、及びフッ素カップリング剤(商品名KBM−7803、信越化学製)を0.1部混合し、イソプロピルアルコール10部に溶解させ、保護層形成用塗布液を得た。この塗布液をベース感光体2の電荷輸送層の上にリング型浸漬塗布法により塗布し、室温で30分風乾した後、135℃で1時間加熱処理して硬化させ、膜厚約3μmの保護層を形成した。得られた感光体を「感光体1」とした。
Figure 0004968196
クリーニングシステム1と感光体1を組み合わせ、実施例1(図2a)とした。トナー保持部材を、断面が真円でありシャフトがその中心を通る発泡ウレタン基材:φ17mm上に貼り付けし、ロール形状としたものを比較例1(図2b)とした。クリーニングシステム2と感光体1を組み合わせ、実施例2(図2c)とした。トナー保持部材を除去し、下記ディスターバブラシを設置したものを比較例2(図2d)とした。
4.ブラシ
材質:ポリプロピレン
太さ:17d
毛足長さ:6.5mm
密度:15,000本/inch
感光体への食い込み量:約1.0mm
周速:171mm/s
感光体の回転方向に対し逆回転とした。
図3は本構成のトナー保持部材の高温高湿条件(28℃,85RH%)および低温低湿条件(10℃,15RH%)における押し付け圧である。まず、トナー保持部材を、像担持体表面に対するくいこみ量が実験室条件(22℃,55RH%)で2.0mmになる位置に固定した。続いて周辺雰囲気を前記高温高湿条件および低温低湿条件に移行し、充分に値が安定した状態での押し付け荷重を測定した。実施例1においては、発条ばねの効果により、発泡ウレタン基材の環境依存性によることなく、安定した押し付け圧を示すことがわかる。
図4は像担持体表面の摩擦係数に対する、本構成のトナー保持部材の押し付け圧の関係である。まず、像担持体表面に放電ストレスを与え、それぞれ摩擦係数の異なる像担持体サンプルを作成した。Color DocuTech 60V(富士ゼロックス社製)商品のスコロトロンを用いて、−900μAの直流定電流を印加し、放電を行った。像担持体サンプル表面の摩擦係数は、HEIDON・トライボギア(新東科学株式会社製)を用い、10mm角のWP8085切片に100gの荷重をかけて像担持体表面に接触させ、1000mm/minの速度でフィードすることにより測定した。測定は22℃,55RH%の環境下で行い、そのときの動摩擦係数をμKとした。
上記のようにして作成した像担持体サンプルに本構成のトナー保持部材を設置し、400mm/sの速度で回転させ、そのときのトナー保持部材の押し付け荷重を測定した。実施例1では像担持体表面の摩擦係数に応じて押し付け圧が変化することが示された。
図5および6は本構成における回転数に対する感光体表面の摩擦係数の関係である。DocuCenter Color 500(富士ゼロックス社製)の改造機を用い、10℃,15RH%または28℃,85RH%の環境下で100,000回の画像形成プロセスを行った。トナーおよび現像剤はDocuCenter Color f450(富士ゼロックス社製)商品のものを用いた。画像パターンとして、平均画像密度2.2%となるようなハーフトーン画像を像担持体の全面に現像した。像担持体表面の摩擦係数は、上記と同様に測定し、比較した。特に高温高湿の環境下において、実施例1および2の構成では、比較例1および2の構成と比して像担持体表面の摩擦係数を低く保つことができる。像担持体表面の摩擦係数は、像担持体表面に存在する放電生成物量と相関があり、摩擦係数が低く保たれていることは、放電生成物が充分にかき取られていることを示す。
下記表1および2は、本構成における画質および感光体ライフの評価結果である。上記画像形成サイクルの終了後、続けて同環境に8時間放置したのち画質評価サンプルのプリントを行った。画質評価サンプルは300線20%である。その画上の像流れを評価するとともに、感光体表面摩耗量と表面状態を評価した。像流れは、「○:未発生/×:発生」の二水準、フィルミングは、「○:未発生/△:発生したが画質上欠陥は観察されず/×:発生」の三水準、クリーニング不良は、「○:未発生/×:発生」の二水準で、目視により評価した。また感光体表面摩耗量は、渦電流式膜厚測定装置(フィッシャー・インストルメンツ社製)を用いて、初期膜厚と100,000サイクル後の膜厚を比較することにより測定した。またフィルミング悪化により100,000サイクル後の膜厚が測定できない場合は−:データなしとした。
Figure 0004968196
Figure 0004968196
上記表に示す結果から、実施例1および実施例2においては、高温高湿、低温低湿条件ともに良好なプリント画質が得られ、かつ特に低温低湿下での摩耗を抑制することができることが分かった。
像担持体上の残留トナーや放電生成物に対する高いクリーニング性能を持ち、環境による荷重変動、経時によるへたり、食い込みその他ノイズに対して感光体摩耗レートを安定化し、良好なプリント画質を長期間に渡って維持することができるクリーニング装置を提供することができる。
本発明の画像形成装置の概略断面図である。 像担持体1とクリーニング手段部分の拡大断面図である。 本発明のトナー保持部材の高温高湿条件および低温低湿条件における押し付け圧を示すグラフである。 像担持体表面の摩擦係数に対する、本発明のトナー保持部材の押し付け圧の関係を示すグラフである。 本発明の実施例1および比較例1における感光体回転数に対する感光体表面の摩擦係数の関係を示すグラフである。 本発明の実施例2および比較例2における感光体回転数に対する感光体表面の摩擦係数の関係を示すグラフである。
符号の説明
1…像担持体(感光体)、2…帯電装置、3…現像装置、4…1次転写装置、5…クリーニング装置、6…露光装置(レーザー発生装置)、7…中間転写ベルト、9…2次転写用バックアップロール、10…2次転写ロール、11…中間転写ベルトクリーニング装置、13…給紙装置、14…定着装置、15…導電性ブラシ部材、16…導電性回収ロール部材、17…スクレイパー、18a…トナー保持部材、18b…トナー保持部材(円柱状)、19…支持部材、20…ブレード、21…ディスターバブラシ、P…転写用紙

Claims (4)

  1. 少なくとも像担持体と、
    上記像担持体表面を帯電させる帯電手段と、
    上記像担持体を露光して潜像を形成する露光手段と、
    上記潜像をトナーにより現像し可視像を形成する現像手段と、
    上記可視像を転写媒体に転写するための転写手段と、
    上記像担持体に残留したトナーを除去するクリーニング手段と、
    上記転写手段下流側にて上記像担持体と接して位置し、回転軸を有し、上記像担持体との摩擦によって引き摺られて上記回転軸を中心に回転するトナー保持部材と、
    上記トナー保持部材の回転軸に固定され、上記トナー保持部材の回転角度増大によって復元力が増加する弾性体と
    を備え、
    上記トナー保持部材は、上記トナー保持部材と上記像担持体表面との摩擦が大きくなると、上記トナー保持部材が上記像担持体に引き摺られる前と後での回転角度が増大し、
    上記回転角度が増大すると、上記弾性体の復元力によって、上記トナー保持部材の上記像担持体表面への押し付け圧が強くなることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記トナー保持部材は、カム形状であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記トナー保持部材は、直径10μm以下の微細繊維からなる繊維布であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
  4. 前記像担持体として、導電性支持体と、この導電性支持体上に形成された感光層とを備え、上記感光層が上記導電性支持体から最も遠い位置に、架橋構造を有する樹脂を含有する電荷輸送性の最表面層を有することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
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