JP2007279076A - 画像形成装置、画像形成部構成部材製造方法および弾性部材 - Google Patents

画像形成装置、画像形成部構成部材製造方法および弾性部材 Download PDF

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功也 田中
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Abstract

【課題】電子写真方式の画像形成装置において、感光体表面からの放電生成物除去により画像白抜けを防止しつつ、その放電生成物の除去能力を長期にわたって維持する。
【解決手段】電子写真方式の画像形成装置において、転写残留トナーの保持により感光体11の被帯電面に付着した放電生成物を除去するトナー保持部材15を備える。そして、そのトナー保持部材15を、前記転写残留トナーの保持のために前記被帯電面と接触するトナー保持層15aと、弾性変形により前記トナー保持層15aを前記被帯電面へ向けて押圧する弾性層15dと、前記弾性層15dより高剛性の弾性材で形成された補強壁等15fが、当該弾性層15dの弾性変形の方向を深さ方向に延び、かつ、当該弾性変形の方向と直交する平面上にて所定間隔で、当該弾性層15dに埋設されてなる押圧力調整部材15eとを備えて構成する。
【選択図】図9

Description

本発明は、電子写真方式の画像形成装置、当該画像形成装置を構成する画像形成部構成部材の製造方法および当該画像形成部構成部材に用いられる弾性部材に関する。
近年、電子写真方式の画像形成装置が広く普及している。電子写真方式とは、像担持体である感光体を帯電器により帯電させた後、書き込み用光源を発光させて感光体上に静電潜像を形成(露光)し、これを現像器でトナーにより現像して可視化し、その可視像を感光体から印刷用紙等の記録媒体に転写して出力する方式である。
このような電子写真方式の画像形成装置では、トナー像の転写後、感光体上に残る転写残留トナーを除去する必要がある。転写残留トナーの除去は、感光体にクリーニングブレードを当接させて行うものが一般的である。ただし、クリーニングブレードを用いたクリーニング方式では、クリーニングブレードが転写残留トナーを掻き取ることになるため、感光体の表面が磨耗してしまい、感光体の短寿命化を招いてしまう。このことから、最近では、ファーブラシやスポンジパッド状等の部材を用いて低ストレスでクリーニングを行うクリーニング方式が見直されつつある(例えば、特許文献1,2参照)。
特開2001−215799号公報 特開2002−258666号公報
ところで、上述した低ストレスのクリーニング方式では、感光体との当接力が弱いため、帯電器による感光体の帯電時に発生する放電生成物(例えば、オゾンや窒素酸化物等の活性物質やそれらの反応生成物)の除去が困難である。放電生成物は、水分を吸湿することにより感光体の表面抵抗を低下させて、画像の白抜け(Deletion)等の画像欠陥が発生する要因となるものである。特に、直流電流に交流電流を重畳したAC+DC接触帯電方式では、感光体に対して直接放電を行っているために、多量の放電生成物が感光体の表面に付着することから、画像の白抜けが問題となることが多い。
放電生成物を有効に除去するためには、例えば、感光体に対して不織布を有したトナー保持部材を接触させ、その不織布にトナーを保持させつつ、その保持トナーを利用して感光体表面に付着した多量の放電生成物を除去することが考えられる。これは、トナーが放電生成物の除去能力を向上させるため、効果的に感光体上の放電生成物を除去することが可能となるからである。ただし、保持トナーによる放電生成物の除去能力を有効に利用するためには、トナーを保持するトナー保持部材、具体的には感光体と接触する不織布を、その感光体の表面に適切に接触させることが必要である。すなわち、不織布を感光体の表面形状に追従させつつ、その感光体の表面に対して適度な押圧力(荷重)で押圧して不織布を感光体の表面に接触させることが必要である。このことから、トナー保持部材については、不織布とスポンジ材等の弾性部材を積層して構成し、その弾性部材の材質選定を通じて不織布の感光体に対する押圧力の調整を行うことが考えられる。
しかしながら、不織布の感光体への押圧力を確保するための弾性部材は、例えばスポンジ材を用いて形成すると適度な押圧力が得られるが、スポンジ材は発泡体であり空隙部を有する構造であるため、長期にわたって使用すると空隙部が潰れたままとなる、いわゆる「へたり」が生じ易く、その結果初期の放電生成物除去能力を維持できないおそれがある。その一方で、へたりの発生を抑制すべく、例えばゴム材のように硬度の高い弾性部材を用いると、適度な押圧力を確保することができず、不織布を感光体表面に十分に追従させることができずに良好な放電生成物除去能力が得られなかったり、あるいは過剰な押圧力により感光体表面の磨耗を促進させたりするおそれがある。
そこで、本発明は、感光体の磨耗抑制による長寿命化と、その感光体表面からの放電生成物除去による画像白抜け防止とを両立させつつ、その放電生成物の良好な除去能力を長期にわたって維持することを可能とする画像形成装置、画像形成部構成部材製造方法および弾性部材を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために案出された画像形成装置で、被帯電面を有する像担持体と、前記被帯電面を帯電させる帯電手段と、前記帯電手段が帯電させた前記被帯電面に静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を被転写体に転写する転写手段と、前記転写手段による転写後の前記被帯電面における転写残留トナーを保持するトナー保持部材とを備えるとともに、前記トナー保持部材は、前記転写残留トナーの保持のために前記被帯電面と接触するトナー保持層と、弾性変形により前記トナー保持層を前記被帯電面へ向けて押圧する弾性層と、前記弾性層より高剛性の弾性材で形成された当該弾性層を補強する補強壁または補強柱が、当該弾性層の弾性変形の方向に延び、かつ、当該弾性変形の方向と直交する平面上にて所定間隔で、当該弾性層に埋設されてなる押圧力調整部材とを備えることを特徴とする。
また、本発明は、上記目的を達成するために案出された画像形成部構成部材製造方法で、被帯電面を有する像担持体と、前記被帯電面を帯電させる帯電手段と、前記帯電手段が帯電させた前記被帯電面に静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を被転写体に転写する転写手段とを備えた画像形成装置における構成部材の一つであるトナー保持部材で、前記転写手段による転写後の前記被帯電面における転写残留トナーを保持するために前記画像形成装置が備えるものを製造する画像形成部構成部材製造方法であって、前記トナー保持部材を、前記転写残留トナーの保持のために前記被帯電面と接触するトナー保持層と、弾性変形により前記トナー保持層を前記被帯電面へ向けて押圧する弾性層と、を備えた積層構造によって構成するとともに、前記積層構造の構成にあたり、前記弾性層の弾性変形の方向を深さ方向とし、かつ、当該弾性変形の方向と直交する平面上にて所定間隔で、当該弾性層に溝または孔を形成する工程と、未硬化の弾性材で硬化後に前記弾性層より高剛性となるものを前記溝または孔に充填する工程と、前記弾性層と前記トナー保持層との貼り合わせと前記未硬化の弾性材の硬化を行う工程とを含むことを特徴とする。
また、本発明は、上記目的を達成するために案出された弾性部材で、接触部材との積層構造において用いられる弾性部材であって、弾性変形により前記接触部材を被接触面へ向けて押圧する弾性層と、前記弾性層より高剛性の弾性材で形成された当該弾性層を補強する補強壁または補強柱が、当該弾性層の弾性変形の方向を深さ方向に延び、かつ、当該弾性変形の方向と直交する平面上にて所定間隔で、当該弾性層に埋設されてなる押圧力調整部材とを備えることを特徴とする。
上記構成の画像形成装置、上記手順の画像形成部構成部材製造方法および上記構成の弾性部材は、弾性層と、その弾性層に補強壁または補強柱が埋設されてなる押圧力調整部材とを備えた構造、すなわち異なる剛性の弾性材が混成されてなるハイブリッド構造を採用している。しかも、そのハイブリッド構造における押圧力調整部材は、補強壁または補強柱が、弾性層の弾性変形の方向を深さ方向に延び、かつ、その弾性変形の方向と直交する平面上にて所定間隔で埋設されている。したがって、補強壁または補強柱が弾性層における弾性変形の阻害要因となってしまうのを回避しつつ、その補強壁または補強柱が弾性層のへたり発生を有効に抑制し得るようになる。これにより、弾性層は、例えば像担持体の被帯電面に付着した放電生成物の除去に好適となるように弾性を選定した材料を用いて形成しても、その弾性を長期にわたって維持し得るようになる。
以上のように、本発明に係る画像形成装置、画像形成部構成部材製造方法および弾性部材では、弾性層における弾性を適切に選定し得るようにしつつ、その弾性層のへたり発生を有効に抑制することができる。したがって、電子写真方式の画像形成装置におけるトナー保持部材に適用した場合に、像担持体の磨耗抑制による長寿命化と、その像担持体の被帯電面からの放電生成物除去による画像白抜け防止とを両立させつつ、その放電生成物の良好な除去能力を長期にわたって維持することが可能となるのである。つまり、像担持体の被帯電面に付着する放電生成物を適切に除去することが可能なので、その放電生成物に起因する画像欠陥の発生を未然に防止することができ、しかも長期に渡って良好な画像が得られるようになる。
以下、図面に基づき本発明に係る画像形成装置、画像形成部構成部材製造方法および弾性部材について説明する。ここで説明する画像形成装置は、複写機、プリンタ装置、ファクシミリ装置等に用いられる電子写真方式のものである。
先ず、本発明に係る画像形成装置の概略構成について説明する。
図1は、本発明に係る画像形成装置の概略構成例を示す説明図である。図例のように、ここで説明する画像形成装置1は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像を形成する画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kと、バックアップロール3aおよび複数の張架ロール3bによって張架された無端状の中間転写ベルト3と、その中間転写ベルト3を挟んで画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kのそれぞれと対向して配設される一次転写ロール4Y、4M,4C,4Kと、バックアップロール3aと対向して配設される二次転写ロール5と、記録用紙P上のフルカラートナー像を熱と圧力とにより定着させる定着装置6と、を備えて構成されている。
このような構成の画像形成装置1では、並設された各画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kが各色のトナー像を形成すると、それぞれの相対的な位置の違いを考慮したタイミングで、各色のトナー像が中間転写ベルト3に転写されて、その中間転写ベルト3上で重ねられる。これにより、中間転写ベルト3上には、フルカラートナー像が形成されることになる。そして、中間転写ベルト3上のフルカラートナー像は、二次転写位置Aへ記録用紙Pが所定のタイミングで搬送されてくると、転写バイアスが印加された二次転写ロール5の静電吸引力によって、中間転写ベルト3上から一括してその記録用紙Pに転写される。フルカラートナー像が転写された記録用紙Pは、中間転写ベルト3からの分離後に、定着装置6へと搬送される。このようにして、記録用紙P上にフルカラー画像が印刷出力されるのである。なお、記録用紙Pに転写されなかった中間転写ベルト3上の転写残留トナーは、中間転写ベルト用クリーナ7で回収されることになる。
次に、以上のように構成された画像形成装置1における各画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kについて詳しく説明する。
図2,3は、本発明に係る画像形成装置の要部構成例を示す説明図である。
図2に示すように、各画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kは、いずれも、被帯電面を有した像担持体としての感光体ドラム11と、その感光体ドラム11における被帯電面を帯電させる帯電器12と、その帯電器12が帯電させた被帯電面に静電潜像を形成する露光器13と、感光体ドラム11の被帯電面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像器14と、を備えている。そして、帯電器12が感光体ドラム11の被帯電面(表面)を一様に帯電させると、露光器13により像露光がなされ、その感光体ドラム11上に静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像器14の現像バイアスが印加された現像ロール14aに担持されたトナーによって現像され、トナー像となる。その後、現像器14に形成されたトナー像は、対応するいずれかの一次転写ロール4Y、4M,4C,4Kの圧接力と、その一次転写ロール4Y、4M,4C,4Kに印加された転写バイアスによる静電吸引力とによって、中間転写ベルト3上に一次転写される。なお、トナー像の転写後、感光体ドラム11の表面は、次の画像形成サイクルのため、帯電器12で再び帯電される。
ここで、画像形成装置1における画像形成時の主なゼログラフィックパラメータの一具体例を示す。
・感光体ドラム11;OPC(φ30)
・帯電器12;半導電性ロールからなる帯電ロール
・AC印加;Iac=0.7mA、Vdc=−520V、f=614Hz
・露光器13;レーザー780nm
・現像方式;二成分現像
・中間転写ベルト3;ポリイミド
・プロセス速度;104mm/s
・潜像電位;背景部=−500V、画像部=−200V
・現像ロール14a;スリーブ径=φ16mm、スリーブ回転速度=208mm/s、スリーブ回転方向=感光体ドラム11と逆方向
・感光体ドラム11と現像ロール14aの間隔;0.3mm
・現像バイアス;DC成分=−400V
・AC成分=1.5kVP−P(6kHz)
・転写条件;一次転写ロール+500〜1000V(転写電流10μA)、二次転写ロール+1600V
ところで、感光体ドラム11から中間転写ベルト3への一次転写では、感光体ドラム11の表面上にあるトナーの全てが中間転写ベルト3に転写されることはなく、一部が転写残留トナーとして感光体ドラム11上に残留する。この転写残留トナーについては、感光体ドラム11上に残留すべきではなく、その感光体ドラム11上から除去する必要がある。また、感光体ドラム11上には、帯電器12による帯電によって、その帯電時に放電生成物(例えば、オゾンや窒素酸化物等の活性物質やそれらの反応生成物)が発生し得る。この放電生成物についても、感光体ドラム11上に存在すべきではなく、その感光体ドラム11上から除去する必要がある。
このことから、各画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kは、いずれも、トナー保持器15と、トナー帯電制御ブラシ16とを備えている。
トナー保持器15は、感光体ドラム11上に残留した転写残留トナーを一次的に保持して、これにより放電生成物を効果的に除去するためのものである。そのために、トナー保持器15は、感光体ドラム11の側に、その感光体ドラム11の表面に圧接される不織布15aを有している。不織布とは、文字通り「織らない布」であり、繊維同士を様々な方法で結合させたシートである。不織布の製造方法としては、乾式不織布、スポンドバンド、湿式不織布等がある。具体的には、例えば、絶縁性ナイロン−ポリエステル混綿繊維にポリピロール樹脂をコーティングして導電性が付与された繊維で、繊維長が数センチ程度のものを、カードやエアランダム機で薄いシートにし、必要に応じて何枚か重ねて形成されたものが挙げられる。
また、トナー保持器15には、図示しない電圧印加制御部によって、バイアス電圧が印加されるようになっている。そして、バイアス電圧の印加は、電圧印加制御部によって制御される。すなわち、電圧印加制御部によって、印加するバイアス電圧の極性、電圧値、印加タイミング等がコントロールされるのである。このバイアス電圧の制御(印加切り換え)を通じて、トナー保持器15は、画像形成時において、例えば+100Vの印加により転写残留トナーを積極的に保持したり、あるいは保持している転写残留トナーを所定タイミング(例えば、非画像形成時)で感光体ドラム11上に吐き出したりするようになっている。
さらに、トナー保持器15は、図3に示すように、その長手方向(感光体ドラム11の回転軸K方向)の幅が、感光体ドラム11における画像形成幅Rより幅広であるものとする。なお、トナー保持器15は、バネ等の弾性部材やソレノイド等の駆動源を利用して、感光体ドラム11の回転軸K方向に摺動(オシレーション)可能であることが望ましい(図中矢印M参照)。トナー保持器15の不織布15aを感光体ドラム11の表面に対して回転軸K方向に摺動させれば、転写残留トナーの保持個所を分散でき、放電生成物除去能力を回転軸K方向に対して均一化することが可能となるからである。
一方、図2に示したトナー帯電制御ブラシ16は、感光体ドラム11上に残留した転写残留トナーに対する帯電調整を通じて、その転写残留トナーを感光体ドラム11上から除去するためのものである。そのために、トナー帯電制御ブラシ16は、例えば、φ5mmのステンレスシャフトに繊維径約15μmかつパイルハイト3.5mmの導電性ナイロンがブラシ密度120kfiber/inch2で植毛されてなり、図示しない電圧印加制御部によって残留トナー帯電電圧として例えば−850vが印加されるようになっている。この残留トナー帯電電圧の印加により、トナー帯電制御ブラシ16には、感光体ドラム11の帯電電位との間に電位差が生じる。したがって、感光体ドラム11上の転写残留トナーは、トナー帯電制御ブラシ16と感光体ドラム11との間の電位差によって、正規極性(−極性)に帯電することになる。
ここで、以上のようなトナー保持器15における不織布15aおよびトナー帯電制御ブラシ16の仕様及び主要な電気仕様を例示する。
・不織布15a;
繊維径φ6〜9μm
摺動振幅10mm
摺動周波数1往復/cyc
・トナー帯電制御ブラシ16;
ブラシ直径φ12mm
ブラシ軸径φ5mm
ブラシの繊維太さ0.5D
回転方向:感光体ドラム回転方向に対して逆方向
回転速度104m/sec
ブラシへの印加電圧−1.0〜−1.2kV
このような構成の各画像形成ユニット2Y,2M,2C,2K、すなわちトナー保持器15およびトナー帯電制御ブラシ16を備える各画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kでは、感光体ドラム11上の転写残留トナー(中間転写ベルト3に転写されなかった転写残留トナー)が、トナー保持器15の不織布15aに付着して一時保持される。このとき、不織布15aは繊維径が細く、しかも繊維密度が高いので、不織布15aに転写残留トナーが密に、かつ、多く保持されることになる。
トナー保持器15に一時的に保持された転写残留トナーは、画像形成時においては常時当該トナー保持器15から感光体ドラム11上へ漏出し得る。このような感光体ドラム11上の転写残留トナーは、トナー帯電制御ブラシ16と感光体ドラム11との間の電位差によって、正規極性(−極性)に帯電することになる。そして、正規極性(−極性)に揃えられた転写残留トナーは、感光体ドラム11の回転により帯電器12に送られる。このとき、帯電器12には、帯電バイアスVDC=−520vが印加されている。よって、正規極性(−極性)の転写残留トナーには、帯電器12との間で斥力が働き、その帯電器12を摺り抜けることになる。そして、帯電器12を摺り抜けた正規極性(−極性)の転写残留トナーは、現像器14の現像ロール14aと対向する部分(現像部)に送られ、その現像器14の現像ロール14aにおける現像バイアスの設定条件を最適化により、現像と同時に現像器14で回収(クリーニング)される。
つまり、各画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kでは、感光体ドラム11上の転写残留トナーを除去する格別なクリーニング機構部を持たずに、現像器14の現像ロール14aの現像バイアスの設定条件を最適化することで、現像器14で現像と転写残留トナーの回収(クリーニング)とを同時に行う、いわゆるクリーナレスシステムを採用しているのである。
また、非画像形成時等の所定タイミング(例えば一定枚数の印刷出力毎)においては、トナー保持器15から感光体ドラム11上への保持トナーの吐き出しが行われる。このトナー吐き出しモードによって感光体ドラム11上へ吐き出された転写残留トナーについても、上述した場合と同様に、トナー帯電制御ブラシ16での帯電調整を経た後に現像器14で回収することが考えられる。ただし、トナー吐き出しモードは非画像形成時に行われるため、感光体ドラム11上から中間転写ベルト3への一次転写を経て、中間転写ベルト用クリーナ7で回収するようにしても構わない。
ところで、上述した構成の各画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kにおいて、帯電器12が感光体ドラム11を帯電させる際には、既に説明したように、放電生成物が発生する。特に、ACにDCを重畳したAC+DC接触帯電方式では、放電生成物が多く発生する。このような放電生成物に対し、各画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kでは、トナー保持器15の不織布15aが転写残留トナーを一時保持するようになっている。すなわち、トナー保持器15を備える各画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kでは、感光体ドラム11上の転写残留トナー(中間転写ベルト3に転写されなかった転写残留トナー)が、トナー保持器15の不織布15aに付着して一時保持される。このとき、不織布15aは繊維径が細く、しかも繊維密度が高いので、不織布15aに転写残留トナーが密に、かつ、多く保持されることになる。そのため、不織布15aに付着して一時保持された転写残留トナーが、感光体ドラム11の回転に伴い、放電生成物を良好に除去することになり、放電生成物が付着することによる不具合、具体的には画像流れ(Deletion)が有効に防止することができる。
なお、画像形成装置1は、必ずしも現像器14で転写残留トナーを回収(クリーニング)するクリーナレスシステムを採用したものである必要はなく、トナー帯電制御ブラシ16に代えてクリーニング装置が設けられたものであってもよい。図4〜6は、クリーニング装置が設けられた場合の要部構成例を示す説明図である。
図4に示す構成例では、トナー保持器15と帯電器12との間にクリーニング装置17が設けられている。クリーニング装置17は、感光体ドラム11に当接する導電性の回転ブラシ17aと、この回転ブラシ17aに当接する導電性を有した回収ロール17bと、この回収ロール17bに当接するスクレーパー17cとを備えて構成されている。このような構成では、転写残留トナーがトナー保持器15に保持される。そして、保持されずに摺り抜けた転写残留トナーが、トナー保持器15に印加されている−850Vのバイアス電圧による放電によって、正極性(本実施形態ではマイナス)に帯電調整される。この正極性に帯電調整された転写残留トナーは、クリーニング装置17の回転ブラシ17aで機械的に掻き取られて除去される。また、回転ブラシ17aにDC0Vを印加することによって、回転ブラシ17aに電気的に付着することでも除去される。これは、トナー保持器15の通過後の感光体ドラム11の電位が約−400Vとなるため、回転ブラシ17aの電位を0Vにすることで、マイナス極性(正極性)に帯電調整された転写残留トナーが回転ブラシ17aに付着するからである。このようにして、回転ブラシ17aに付着して除去された転写残留トナーは、バイアス電圧が印加された回収ロール17bに移動した後、スクレーパー17cで掻き落とされて回収される。したがって、現像器14で転写残留トナーを回収する必要がない。
また、図5に示す構成例では、トナー保持器15と帯電器12との間のクリーニング装置18が、図4に示した構成例の場合とは異なる。すなわち、図5の例のクリーニング装置18は、感光体ドラム11に当接する導電性の回転ブラシ18aと、この回転ブラシ18aに当接するフリッキングバー18bとを備えて構成されている。なお、回転ブラシ18aには、DC200VにVAC(Vpp800V)を重層した電圧を印加している。このような構成では、転写残留トナーがトナー保持器15に付着し保持される。そして、保持されずに摺り抜けた転写残留トナーが、回転ブラシ18aに付着して除去される。回転ブラシ18aに付着して除去された転写残留トナーは、フリッキングバー18bで叩き落とされ回収される。したがって、現像器14で転写残留トナーを回収する必要がない。なお、回転ブラシ18aには、前述したDC+ACが印加されているので、正極性、逆極性のいずれの極性の転写残留トナーであっても回収できる。
さらに、図6に示す構成例におけるクリーニング装置19は、感光体ドラム11に当接するクリーニングブレード19aを備えて構成されている。このような構成では、転写残留トナーがトナー保持器15に付着し保持される。そして、保持されずに摺り抜けた転写残留トナーが、クリーニングブレード19aによって掻き取られて除去される。したがって、現像器14で転写残留トナーを回収する必要がない。なお、クリーニングブレード19aの当接力を高くすると感光体ドラム11の短寿命化を招き得るが、詳細を後述するようにトナー保持器15によって放電生成物が除去されるので、クリーニングブレード19aを用いた場合であっても、必要以上にクリーニングブレード19aの当接力を高くする必要がない。
また、クリーニング装置を必要としないクリーナレスシステムを採用した場合であっても、必ずしもトナー保持器15とトナー帯電制御ブラシ16との両方を備えている必要はない。図7,8は、本発明に係る画像形成装置の他の要部構成例を示す説明図である。
図7に示す構成例では、トナー保持器15のみが設けられ、トナー帯電制御ブラシ16については設けられていない。ただし、トナー保持器15は、電圧印加制御部による印加電圧の制御により、保持トナーに対する帯電調整を行い得るようになっている。つまり、トナー保持器15は、トナー保持による放電生成物の除去機能と、トナー帯電調整による転写残留トナーの除去機能とを兼ね備えているのである。このような構成例によっても、感光体ドラム11上の転写残留トナーを回収(クリーニング)しつつ、その感光体ドラム11上から放電生成物の除去することが可能である。
勿論、一つのトナー保持器15が転写残留トナーの除去機能と放電生成物の除去機能とを兼ね備えるのではなく、図8に示す構成例のように、複数のトナー保持器15を設け、これらのトナー保持器15にそれぞれの機能を分担させるようにしても構わない。
次に、以上のように構成された画像形成装置1における特徴的な構成について説明する。本実施形態で説明する画像形成装置1は、トナー保持器15の構成に大きな特徴がある。
図9は、本発明に係る画像形成装置における特徴的な要部構成例を示す説明図である。図例のように、本実施形態で説明する画像形成装置1におけるトナー保持器15は、感光体ドラム11の表面(被帯電面)と接触して転写残留トナーを保持するためのトナー保持層として機能する不織布15aに加え、その不織布15aが感光体ドラム11の表面と接触する際の、その感光体ドラム11の表面への押圧力を確保するための弾性部材15bと、これら不織布15aおよび弾性部材15bからなる積層構造を支持するために例えば金属部材によって形成された基体15cと、を備えて構成されている。この基体15dには、電圧印加制御部が電圧印加を行うための電極が設けられているものとする。また、その電極は、不織布15aと導通しているものとする。この導通を確保するためには、弾性部材15bを、例えば導電性部材による形成や導電性部材の混入等により、導電性を有するように構成することが考えられる。ただし、他の手法(例えば導線の配設)により導通を確保し得れば、弾性部材15bは導電性を有さずに構成されたものであってもよい。
また、弾性部材15bは、弾性変形により不織布15aを感光体ドラム11の表面へ向けて押圧する弾性層15dと、その弾性層15dより高剛性の弾性材で形成された押圧力調整部材15eと、を備えて構成されている。つまり、弾性部材15bは、異なる剛性の弾性材が混成されてなるハイブリッド構造を採用している。ここで、「剛性」とは、変形を起こし難い程度を表す指標のことをいい、具体的にはヤング率やばね定数等といった弾性係数またはこれに相当する係数によって特定されるものをいう。
弾性層15dは、感光体ドラム11の側への押圧力(弾性力)を十分に確保して、その感光体ドラム11の表面形状に不織布15aを追従させつつ、適度な押圧力(荷重)で押圧して不織布15aを感光体ドラム11の表面に接触させるようにすべく、例えば空隙を有した発泡体構造のウレタンスポンジ材を用いて形成されている。一方、押圧力調整部材15eについては、弾性層15dより高剛性の弾性材として、例えばゴム材を用いて形成されている。さらに詳しくは、詳細を後述する理由により、時間硬化型の液状ゴム材を用いて形成されている。
また、押圧力調整部材15eは、単に弾性層15dより高剛性の弾性材で形成されているだけでなく、その弾性層15dに埋設された補強壁または補強柱(以下、これらを「補強壁等」という)15fを有している。補強壁等15fは、弾性層15dの弾性変形の方向を深さ方向に延び、かつ、その弾性変形の方向と直交する平面上にて所定間隔で、当該弾性層15dに埋設されたもので、弾性層15dの弾性変形の方向に当該弾性層15dを補強する壁状または柱状のものである。
補強壁等15fの埋設深さは、弾性層15dに対する補強効果を確実なものとすべく、その弾性層15dの厚さ寸法の50%以上とすることが考えられる。この埋設深さについては、弾性層15dの厚さ寸法と等しくしてもよいが、壁状に形成された場合には弾性層15dを分断することになるため、その場合には弾性層15dの厚さ寸法未満とすることが望ましい。
また、その深さ方向と直交する平面上、すなわち不織布15aと弾性部材15bとの積層面に平行な平面上での配置間隔は、その配置が密になり過ぎて弾性層15dの弾性変形が阻害されてしまうのを回避すべく、弾性層15dの厚さ寸法よりも広くすることが考えられる。さらには、補強壁等15fの配置が疎になり過ぎて弾性層15dに対する補強効果が失われてしまうのを回避すべく、少なくとも当該平面の長辺方向の複数箇所に配するようにし、またその間隔(配置ピッチ)が最大でも100〜150mm程度となるように、当該平面の構成辺を均等に分割して配置することが考えられる。ただし、短辺方向については、必ずしも補強壁等15fが複数箇所に分割して配置されてなくともよい。短辺が短ければ、分割配置しなくとも補強効果が得られ、却って配置が密になることによる弊害が大きくなるからである。なお、補強壁等15fが壁状の場合は、その平面上で当該補強壁等15fが格子を描くことが考えられるが、補強壁等15fが柱状の場合には、上述した配置間隔の条件を満たせば、規則的に配置されてなくともよい。
さらに、押圧力調整部材15eは、補強壁等15fに加え、不織布15aと弾性層15dとの間に層状に介在する接着層15gを有している。この接着層15gは、補強壁等15fの埋設深さ方向と直交する平面と平行に、その平面上での弾性層15dの全面積を覆うように配されており、これにより不織布15aと弾性層15dとの間の接着力を十分に確保するためのものである。つまり、押圧力調整部材15eを形成する液状ゴム材が不織布15aと弾性層15dとを接着する機能を有している場合に、接着層15gは、その接着面積を十分に確保するために設けられているものである。したがって、接着層15gの厚さは、厚すぎて弾性層15dの弾性変形が阻害されてしまうのを回避すべく、液状ゴム材による接着能力を確保し得る程度に薄く形成することが望ましい。
このような構成のトナー保持器15は、不織布15aの積層方向の厚さをL1、弾性層15dと押圧力調整部材15eとからなる弾性部材15bの積層方向の厚さをL2とすると、例えばL1を500μm、L2を3.0mm程度で、その全厚L3(L1+L2)を約3.5mm程度とすることが考えられる。さらに、感光体ドラム11との接触するように配置した際に、その全厚L3が1.0mm程度の変形(撓みによる総厚の減少)を伴うように、その配置位置を決定することが考えられる。
また、不織布15aおよび弾性部材15bからなる積層構造において、不織布15aは、回転する感光体ドラム11への巻き込みを防ぐために、その感光体ドラム11の円周方向に沿った方向の幅が、弾性部材15bの当該方向の幅よりも、大きく形成されているものとする。感光体ドラム11の回転軸K方向に沿った方向の幅についても、不織布15aは、感光体ドラム11における画像形成幅Rの全域に渡って接触すべく、その画像形成幅Rより幅広に形成されているものとする。トナー保持器15が感光体ドラム11の回転軸K方向に摺動(オシレーション)可能である場合には、その摺動幅を考慮して不織布15aにおける回転軸K方向の幅が決定されていることは勿論である。
ここで、このような構成のトナー保持器15の製造手順について説明する。トナー保持器15は、基体15c上に弾性部材15bを形成し、さらに不織布15aを積層することによって構成する。
このような積層構造の構成にあたっては、先ず、基体15c上に弾性部材15bを構成する弾性層15dを接着等により装着した後、その弾性層15dに対して補強壁等15fとなる溝または孔を形成する。すなわち、弾性層15dの弾性変形の方向を深さ方向とし、かつ、当該弾性変形の方向と直交する平面上にて上述した所定間隔で、当該弾性層15dに溝または孔を形成する。溝または孔の形成は、例えばウレタンスポンジ材からなる弾性層15dに切込み加工をすることによって行えばよい。なお、弾性層15dは、溝または孔の形成後に、基体15c上に装着するようにしても構わない。
その後は、基体15c上に装着された弾性層15dにおける溝または孔に対して、押圧力調整部材15eを形成する弾性材で未硬化のものを充填する。すなわち、未硬化の弾性材で硬化後に前記弾性層より高剛性となるものを、弾性層15dにおける溝または孔に充填する。具体的には、未硬化の弾性材として、時間硬化型の液状ゴム材を用いることが考えられる。なお、このとき、弾性材は、弾性層15dにおける溝または孔に充填するだけでなく、その弾性層15dの表面(溝または孔の深さ方向と直交する平面)にも塗布しておくものとする。
未硬化の弾性材の充填および塗布後は、その弾性材が硬化する前に、その弾性材を介在させた状態で、弾性層15dと不織布15aとの貼り合わせを行う。そして、貼り合わせ後に未硬化の弾性材を硬化させる。このとき、弾性材として時間硬化型の液状ゴム材を用いた場合であれば、その状態で硬化時間を経過させればよい。ただし、時間硬化型以外のものを用いた場合には、弾性材を硬化させるための処理を行う。例えば、熱硬化型のものであれば加熱処理を行い、紫外線硬化型のものであれば紫外線照射を行う、といった具合である。このようにして弾性材を硬化させれば、その硬化により弾性層15dと不織布15aとが接着されて、これらによる積層構造が構成されることになる。また、弾性材の硬化により、その弾性材が充填された溝または孔の部分は補強壁等15fとなり、弾性層15dの表面に塗布されてその弾性層15dと不織布15aとの間に介在する部分は接着層15gとなる。
以上のような手順で製造されたトナー保持器15を備える画像形成装置1では、以下に述べるような作用を奏する。すなわち、上述した構成のトナー保持器15では、不織布15aの感光体ドラム11への押圧力を確保するための弾性部材15bが、弾性層15dとその弾性層15dより高剛性の弾性材で形成された押圧力調整部材15eとを備えた構造、すなわち異なる剛性の弾性材が混成されてなるハイブリッド構造を採用している。しかも、そのハイブリッド構造における押圧力調整部材15eは、弾性層15dの弾性変形の方向を深さ方向とし、かつ、その弾性変形の方向と直交する平面上にて所定間隔で、当該弾性層15dに埋設された補強壁等15fを有している。したがって、このようなハイブリッド構造の弾性部材15bによれば、補強壁等15fが弾性層15dにおける弾性変形の阻害要因となってしまうのを回避しつつ、その補強壁等15fが弾性層15dが弾性層のへたり発生を有効に抑制し得るようになる。これにより、弾性層15dは、例えば感光体ドラム11の表面(被帯電面)に付着した放電生成物の除去に好適となるように弾性を選定した材料を用いて形成しても、その弾性を長期にわたって維持し得るのである。
つまり、本実施形態で説明した弾性部材15b、その弾性部材15bの製造方法、およびその弾性部材15bを用いて構成したトナー保持器15を備える画像形成装置1によれば、弾性層15dにおける弾性を適切に選定し得るようにしつつ、その弾性層15dのへたり発生を有効に抑制することができる。したがって、電子写真方式の画像形成装置1におけるトナー保持部材15に適用した場合に、感光体ドラム11の磨耗抑制による長寿命化と、その感光体ドラム11の被帯電面からの放電生成物除去による画像白抜け防止とを両立させつつ、その放電生成物の良好な除去能力を長期にわたって維持することが可能となる。すなわち、感光体ドラム11の被帯電面に付着する放電生成物を適切に除去することが可能なので、その放電生成物に起因する画像欠陥の発生を未然に防止することができ、しかも長期に渡って良好な画像が得られる。
以上のような画像形成装置1における作用効果を検証すべく、本実施形態で説明した構成のトナー保持器15と、従来構成のもの(ハイブリッド構造の弾性部材を採用していないもの)との双方について、高温高湿(28℃/85%)環境下において、A4サイズの記録用紙Pを連続30万枚印刷出力した後、感光体ドラム11の表面の白抜け発生の状況を調べて放電生成物除去能力差を評価するとともに、トナー保持器15を構成する弾性部材のへたり量(弾性変形のはずが塑性変形となってしまった量)を測定した。実験条件として、トナー保持器の弾性部材に発泡ウレタンスポンジ材を用い、ハイブリッド構造ではさらに液状シリコーンRTV(Room Temperature Vulcanizing)ゴムを混成したものを用い、部材厚さ5mm、ニップ幅5mm、食込み量(感光体ドラムへの押圧撓みによる総厚の減少量)1mm、プロセススピード208mm/sに設定した。
図10は、白抜け発生の状況等についての実験結果の具体例を示す説明図である。図例の結果を参照すると、従来構成では連続印刷出力が25万枚を過ぎると許容レベルを超える白抜け発生が生じるのに対し、本実施形態で説明したハイブリッド構造の弾性部材15bを用いれば、連続印刷出力30万枚を過ぎても白抜け発生が生ずることなく許容レベル以下となっている。この結果より、弾性部材15bを用いたトナー保持器15によれば、長期に渡って放電生成物に起因する画像欠陥の発生を防止し得ることがわかる。また、弾性部材のへたり量についても、従来構成では連続印刷出力5万枚で200μm程度のへたりが発生し、その連続印刷出力枚数が増えるのに伴ってへたり量が増加し、連続印刷出力30万枚ではへたり量が850μm程度にも達するのに対し、ハイブリッド構造の弾性部材15bでは、補強壁等15fのへたり抑制によって、連続印刷出力30万枚後においてもへたり量が100μm程度に抑えられている。したがって、本実施形態で説明したハイブリッド構造は、弾性部材のへたり抑制に非常に有効であると言える。
ところで、本実施形態では、ハイブリッド構造の弾性部材15bにおいて、弾性層15dが発泡体構造のウレタンスポンジ材を用いて形成され、押圧力調整部材15eが弾性層15dより高剛性のゴム材(例えば時間硬化型の液状ゴム材)を用いて形成された場合を例に挙げている。これは、弾性層15dとして空隙を有した発泡体構造のウレタンスポンジ材を用いれば、不織布15aを感光体ドラム11の表面形状に追従させつつ、その不織布15aを適度な押圧力(荷重)で感光体ドラム11に向けて押圧する上で、非常に好適な弾性力が得られるからであり、また弾性層15dが空隙を有した発泡体構造であるが故にへたりが生じ易くても、高剛性のゴム材からなる押圧力調整部材15eによってへたり発生を有効に防ぎつつ、その押圧力調整部材15e自体も弾性を有しているため、弾性層15dの弾性変形を阻害してしまうのを回避し得るからである。しかしながら、不織布15aを感光体ドラム11に接触させる上で好適な弾性力が得られれば、弾性層15dは必ずしも発泡体構造のウレタンスポンジ材である必要はなく、例えばフェルト材、綿、樹脂材、ブラシ状の部材といった他の部材を用いて形成してもよい。また、押圧力調整部材15eについても同様であり、弾性層15dのへたりを防止すべく、その弾性層15dの形成部材よりも高剛性のものであれば、他の部材を用いて形成してもよい。ただし、押圧力調整部材15eは、弾性層15dのへたり防止のために補強壁等15fを有している必要があるので、例えば時間硬化型の液状ゴム材のように成形性の高い部材を用いることが望ましい。
また、本実施形態で説明したように、押圧力調整部材15eの形成材料が不織布15aと弾性層15dとを接着する機能を有していれば、その押圧力調整部材15eが弾性層15dのへたり防止機能と、不織布15aと弾性層15dとの接着機能とを兼ね備えることになるので、トナー保持器15の構成簡素化を実現することが可能となる。
特に、不織布15aと弾性層15dとの接着機能とを兼ね備える場合に、接着層15gを有するように押圧力調整部材15eを構成すれば、接着面積を十分に確保することができるので、不織布15aと弾性層15dとを確実に接着する上で非常に好適なものとなる。なお、補強壁等15fの部分のみで十分な接着力が得られれば、必ずしも接着層15gを設ける必要はない。
また、本実施形態で説明したハイブリッド構造の弾性部材15bを用いたトナー保持器15は、感光体ドラム11の回転軸K方向にオシレーションするように構成されているものに適用して非常に好適である。トナー保持器15が感光体ドラム11に対してオシレーションする場合、そのトナー保持器15の不織布15aと感光体ドラム11の表面との摺擦方向は、感光体ドラム11の周方向と回転軸K方向とが組み合わさった二次元方向となるため、非常にトナー保持器15における弾性層15dにへたりが生じ易くなるが、その場合であっても押圧力調整部材15eの存在によりへたり発生を抑制し得るからである。
また、以上のようなトナー保持器15を製造するのにあたり、本実施形態で説明したように、弾性層15dに溝または孔を形成し、そこに未硬化の弾性を充填し、その後弾性材を硬化させて補強壁等15fを形成すれば、その補強壁等15fの形成を非常に容易に行うことができる。しかも、様々な形状の補強壁等15fの形成にも柔軟に対応することができる。
さらに、弾性材の硬化を利用して不織布15aと弾性層15dとを接着すれば、トナー保持器15の構成簡素化のみならず、そのトナー保持器15の製造工程の簡略化も実現可能となる。そして、これらのことは、装置コスト低減等に寄与することになる。
このようなトナー保持器15の製造手順を実現する上では、押圧力調整部材15eを形成する弾性材として、時間硬化型の液状ゴム材を用いることが好ましい。時間硬化型で液状のもの、特にRTV対応のものであれば、溝または孔への充填が容易であり、また効果のために特別な処理を要することもないからである。
なお、本実施形態では、本発明の好適な実施具体例について説明したが、本発明はその内容に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、本実施形態で挙げたスペックや具体的な数値等については、本発明を説明するための例示に過ぎず、これらに限定されるものではない。特に、押圧力調整部材15eにおける補強壁等15fの配置間隔については、トナー保持器15や弾性層15d等のサイズを基に、その弾性層15dのへたり防止に有効となる配置間隔を、実験やシミュレーション等で得られる経験則を通じて、適宜決定すればよい。
本発明に係る画像形成装置の概略構成例を示す説明図である。 本発明に係る画像形成装置の要部構成例を示す説明図(その1)であり、画像形成ユニットの構成例を示す正面図である。 本発明に係る画像形成装置の要部構成例を示す説明図(その2)であり、トナー保持器の構成例を示す平面図である。 本発明に係る画像形成装置の他の構成例を示す図で、クリーニング装置が設けられた場合の要部構成例を示す説明図(その1)である。 本発明に係る画像形成装置の他の構成例を示す図で、クリーニング装置が設けられた場合の要部構成例を示す説明図(その2)である。 本発明に係る画像形成装置の他の構成例を示す図で、クリーニング装置が設けられた場合の要部構成例を示す説明図(その3)である。 本発明に係る画像形成装置の他の要部構成例を示す説明図(その1)であり、一つのトナー保持器が機能兼任する場合の構成例を示す図である。 本発明に係る画像形成装置の他の要部構成例を示す説明図(その2)であり、複数のトナー保持器が機能分担する場合の構成例を示す図である。 本発明に係る画像形成装置における特徴的な要部構成例を示す説明図である。 白抜け発生の状況とへたり量の測定結果についての実験結果の具体例を示す説明図である。
符号の説明
1…画像形成装置、2Y,2M,2C,2K…画像形成ユニット、3…中間転写ベルト、4Y,4M,4C,4K…一次転写ロール、5…二次転写ロール、6…定着装置、11…感光体ドラム、12…帯電器、13…露光器、14…現像器、14a…現像ロール、15…トナー保持器、15a…不織布、15b…弾性部材、15c…基体、15d…弾性層、15e…押圧力調整部材、15f…補強壁等、15g…接着層、16…トナー帯電制御ブラシ

Claims (9)

  1. 被帯電面を有する像担持体と、
    前記被帯電面を帯電させる帯電手段と、
    前記帯電手段が帯電させた前記被帯電面に静電潜像を形成する露光手段と、
    前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
    前記トナー像を被転写体に転写する転写手段と、
    前記転写手段による転写後の前記被帯電面における転写残留トナーを保持するトナー保持部材とを備えるとともに、
    前記トナー保持部材は、
    前記転写残留トナーの保持のために前記被帯電面と接触するトナー保持層と、
    弾性変形により前記トナー保持層を前記被帯電面へ向けて押圧する弾性層と、
    前記弾性層より高剛性の弾性材で形成された当該弾性層を補強する補強壁または補強柱が、当該弾性層の弾性変形の方向に延び、かつ、当該弾性変形の方向と直交する平面上にて所定間隔で、当該弾性層に埋設されてなる押圧力調整部材と
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記弾性層が発泡スポンジ材からなり、前記押圧力調整部材がゴム材からなることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  3. 前記押圧力調整部材は、前記トナー保持層と前記弾性層とを接着する機能をも有していることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
  4. 前記押圧力調整部材は、前記トナー保持層と前記弾性層との間に介在する接着層を有していることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
  5. 前記トナー保持部材は、前記像担持体の回転軸方向にオシレーションするように構成されていることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の画像形成装置。
  6. 被帯電面を有する像担持体と、前記被帯電面を帯電させる帯電手段と、前記帯電手段が帯電させた前記被帯電面に静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を被転写体に転写する転写手段とを備えた画像形成装置における構成部材の一つであるトナー保持部材で、前記転写手段による転写後の前記被帯電面における転写残留トナーを保持するために前記画像形成装置が備えるものを製造する画像形成部構成部材製造方法であって、
    前記トナー保持部材を、前記転写残留トナーの保持のために前記被帯電面と接触するトナー保持層と、弾性変形により前記トナー保持層を前記被帯電面へ向けて押圧する弾性層と、を備えた積層構造によって構成するとともに、
    前記積層構造の構成にあたり、前記弾性層の弾性変形の方向を深さ方向とし、かつ、当該弾性変形の方向と直交する平面上にて所定間隔で、当該弾性層に溝または孔を形成する工程と、
    未硬化の弾性材で硬化後に前記弾性層より高剛性となるものを前記溝または孔に充填する工程と、
    前記弾性層と前記トナー保持層との貼り合わせと前記未硬化の弾性材の硬化を行う工程と
    を含むことを特徴とする画像形成部構成部材製造方法。
  7. 前記未硬化の弾性材が硬化する前に当該弾性材が充填された前記弾性層と前記トナー保持層とを貼り合わせる工程と、
    前記未硬化の弾性材を硬化させて当該硬化により前記弾性層と前記トナー保持層とを接着する工程と
    を含むことを特徴とする請求項6記載の画像形成部構成部材製造方法。
  8. 前記弾性材として、時間硬化型の液状ゴム材を用いることを特徴とする請求項6または7記載の画像形成部構成部材製造方法。
  9. 接触部材との積層構造において用いられる弾性部材であって、
    弾性変形により前記接触部材を被接触面へ向けて押圧する弾性層と、
    前記弾性層より高剛性の弾性材で形成された当該弾性層を補強する補強壁または補強柱が、当該弾性層の弾性変形の方向を深さ方向に延び、かつ、当該弾性変形の方向と直交する平面上にて所定間隔で、当該弾性層に埋設されてなる押圧力調整部材と
    を備えることを特徴とする弾性部材。
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