JP4968187B2 - 偏光変換素子および偏光変換素子の製造方法 - Google Patents

偏光変換素子および偏光変換素子の製造方法 Download PDF

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本発明は、ランダムな偏光方向を有する光を、一方向の偏光方向を有する光に変換する偏光変換素子および偏光変換素子の製造方法に関する。
ランダムな偏光方向を有する光を、一方向の偏光方向を有する光に変換する光学素子として偏光変換素子が知られている。
図22は、従来の一般的な偏光変換素子を説明するための模式図であり、(a)は偏光変換素子の斜視図、(b)は(a)を+z軸方向から見た偏光変換素子の平面図である。
図22(a)および図22(b)において、偏光変換素子50は、入射した光を二種類の偏光光に分離するための偏光分離素子51と、偏光分離素子51の光射出面側に選択的に配置され、二種類の偏光光の一方を他方の偏光光に変換するための1/2λ位相差板52とを備えている。なお、偏光変換素子50に入射する光は、その主光線(中心軸)が、システム光軸ALに略平行に入射する。
偏光分離素子51は、システム光軸ALに略直交する光入射面と、光入射面に略平行な光射出面と、光入射面および光射出面と所定の角度を成す複数の斜面で順次貼り合わされた複数の透光性基材としてのガラス材51aと、複数の斜面に交互に設けられた複数の偏光分離膜51b(図中に実線で示す)および反射膜51c(図中に破線で示す)とを備えている。
複数の斜面の光入射面(光射出面)との所定の角度は、一般的に45°であり、ガラス材51aは、x−y軸方向において略平行四辺形の断面形状を有しz軸方向に延伸する柱状を成している。
偏光分離膜51bは誘電体多層膜で形成され、入射した光線束(s偏光光+p偏光光)を、s偏光の部分光線束(s偏光光)とp偏光の部分光線束(p偏光光)とに分離して、s偏光光を反射し、p偏光光を透過する機能を有する。一方、反射膜51cは誘電体多層膜または金属膜で形成され、反射膜51cに入射したs偏光光を反射する機能を有する。
1/2λ位相差板52は、偏光分離膜51bを透過したp偏光光が通過するガラス材51aの光射出面に、格子状に配列して設けられている。この1/2λ位相差板52は、入射するp偏光光を、偏光方向が直交するs偏光光に変換する機能を有している。
なお、偏光変換素子50は、一般的に偏光変換素子50に入射する光が偏光分離膜51bのみに入射し、反射膜51cには入射しないように配列された遮光板60(図22(b)中に二点鎖線で示す)が、光入射面側に配設されて用いられる。遮光板60としては、アルミニウム板などの遮光性を有する金属板に開口部60aと遮光部60bとを形成したものが例示される。
このように構成された偏光変換素子50は、図22(b)に示すように、遮光板60の開口部60aより偏光分離素子51のガラス材51aに入射した光(s偏光光+p偏光光)が、偏光分離膜51bにおいてs偏光光とp偏光光の2つの部分光線束に分離される。そして、偏光分離膜51bで分離された一方のs偏光光が、反射膜51cにおいて反射されるとともに、分離された他方のp偏光光が偏光分離膜51bを透過して1/2λ位相差板52においてs偏光光に変換される。すなわち、偏光変換素子50において一種類の偏光光に変換されたs偏光光が、偏光変換素子50からシステム光軸ALと略平行方向に射出される。
こうした偏光変換素子の製造方法としては、透光性基材同士の位置関係を精度よく設定した偏光変換素子を得るために、ほぼ平行な第1および第2の表面を有する第1の透光性板材の第1の表面上に偏光分離膜を形成する工程と、第2の表面上に反射膜を形成する工程と、偏光分離膜および反射膜が形成された複数の第1の透光性板材と、2つのほぼ平行な表面を有する複数の第2の透光性板材とをそれぞれ交互に貼り合わせる工程と、交互に貼り合わされた透光性板材を、第1および第2の表面に対して所定の角度で切断してほぼ平行な光入射面と光射出面とを有する光学ブロックを生成する工程と、を備えた製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、上記の一般的な偏光変換素子に対して、光が入射する入射面と、入射面に対し略45゜の角度をなして配置された偏光分離面と、入射面と対向した位置に入射面と略平行に配置され、偏光分離面からの透過光の出射部となる透過出射面と、偏光分離面と略平行に配置され、偏光分離面で反射された成分をさらに反射する反射面と、入射面と略平行に配置され、反射成分を出射する反射出射面とを備え、入射面と偏光分離面と反射面と反射出射面とで囲まれた領域が透明媒体からなり、反射面の透明媒体と反対側の領域は空気からなる偏光変換素子が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平10−90520号公報 特開2004−170550号公報
上記特許文献2に示される偏光変換素子は、入射面と偏光分離面と反射面と反射出射面とで囲まれた、断面が平行四辺形状の透明媒体と、偏光分離面と透過出射面と入射面に直交する面で囲まれた、断面が直角三角形状の透明媒体とが、偏光分離面を介して接着されている。そして、このように構成された複数の偏光変換素子は、入射面がレンズアレイの集光部となるようにレンズアレイの一方の面上に並列して配置される。またはレンズアレイの一方の面上に並列した状態で接着固定などして用いられる。
したがって、個々の偏光変換素子は、反射面に高価な反射膜を設けることなく、反射面に入射する入射光を全反射することで、反射面による反射損失を低減することは可能ではあるが、断面が平行四辺形状の透明媒体の反対側の領域が空気により構成されるので、並列して配置した際に、空気領域が直角三角形断面形状の空洞であることから、複数の偏光変換素子の入射面をレンズアレイの一方の面上に所定間隔に精度良く並列して配置するためには、製造工程が煩雑化するとともに、多大な工数を必要とするなどの課題を有している。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本適用例に係る偏光変換素子は、 光入射面および前記光入射面に略平行な光射出面に略45°の角度を成す複数の斜面で順次貼り合わされた複数の透光性基板と、入射する偏光光に位相差を付与する位相差板とを備え、前記複数の斜面に沿って、入射光を二種類の偏光光に分離する偏光分離膜と、空気層とが交互に設けられた偏光変換素子であって、
前記空気層を形成するスペーサが斜面の長手方向の両端部に形成され、前記光入射面と前記光射出面のそれぞれでは、複数の透光性基板で挟まれた空気層が露出していることを特徴とする。
これによれば、光入射面および光入射面に略平行な光射出面に略45°の角度を成す複数の斜面で順次貼り合わされた複数の透光性基板が、複数の斜面に沿って、入射光を二種類の偏光光に分離する偏光分離膜と空気層とが交互に設けられることにより、偏光分離膜において分離されて空気層が設けられた透光性基板の斜面に入射する一方の偏光光が全反射される。そして偏光分離膜を透過した他方の偏光光とともに光射出面側に向かい、二種類の偏光光のうちのいずれか一方の偏光光が位相差板を通過することで、一種類の偏光方向に揃った偏光光が偏光変換素子の光射出面から射出される。したがって、透光性基板の斜面に空気層が設けられることによって、従来の誘電体多層膜からなる反射膜を設けることが不要となり、製造コストを低減するとともに製造リードタイムを短縮することが可能な偏光変換素子が得られる。また、入射光の一部の光を吸収する誘電体多層膜に対し、前記空気層は100%反射(全反射)が得られる。よって優れた反射性能(偏光変換性能)
を備えた偏光変換素子が得られる。また、空気層を形成するスペーサが斜面の長手方向の両端部に形成され、光入射面と光射出面のそれぞれでは、複数の透光性基板で挟まれた空気層が露出していることによって、斜面の領域全体を広く光機能面として利用することができる。したがって、光の利用効率の高い反射性能(偏光変換性能)が得られる。
[適用例2]
本適用例に係る偏光変換素子は、光入射面および前記光入射面に略平行な光射出面に略45°の角度を成す複数の斜面で順次貼り合わされた複数の透光性基板と、入射する偏光光に位相差を付与する位相差板とを備え、前記複数の斜面に沿って、入射光を二種類の偏光光に分離する偏光分離膜と、空気層とが交互に設けられた偏光変換素子であって、 前記空気層を形成するスペーサが、前記光入射面と前記光射出面とに沿ってそれぞれ形成されていることを特徴とする。
これによれば、空気層を形成するスペーサが光入射面と光射出面とに沿ってそれぞれ形成されることによって、斜面全体において、均一且つ安定した間隔の空気層が得られる。よって、互いに隣り合う透光性基板の複数の斜面毎の空気層が高い平行度で形成でき、光軸が安定した反射性能(偏光変換性能)を備えた偏光変換素子が得られる。
[適用例3]
本適用例に係る偏光変換素子は、光入射面および前記光入射面に略平行な光射出面に略45°の角度を成す複数の斜面で順次貼り合わされた複数の透光性基板と、入射する偏光光に位相差を付与する位相差板とを備え、前記複数の斜面に沿って、入射光を二種類の偏光光に分離する偏光分離膜と、空気層とが交互に設けられた偏光変換素子であって、前記空気層を形成するスペーサが、前記斜面の周縁部全域に沿って形成されていることを特徴とする。
これによれば、空気層が密封して形成されることにより、使用環境下における湿気(水分)や微粉が、空気層に侵入したり、付着したりすることがなく、長期間に亘り高い反射性能(偏光変換性能)を維持することができる。
[適用例4]
本適用例に係る偏光変換素子の製造方法は、光入射面および前記光入射面に略平行な光射出面に略45°の角度を成す複数の斜面で順次貼り合わされた複数の透光性基板と、入射する偏光光に位相差を付与する位相差板と、を備え、複数の前記斜面に沿って、入射光を二種類の偏光光に分離する偏光分離膜と、空気層とが交互に設けられた偏光変換素子の製造方法であって、前記斜面に凸部を形成して前記空気層を得ることを特徴とする。
この製造方法によれば、光入射面および光入射面に略平行な光射出面に略45°の角度を成す斜面に、凸部を形成することによって、偏光分離膜において分離されて斜面に入射する偏光光を全反射する空気層を容易に形成することができる。
[適用例5]
上記適用例に係る偏光変換素子の製造方法は、前記凸部を、前記斜面を互いに貼り合わす接着剤層で形成するのが好ましい。
この製造方法によれば、空気層を形成する段差形成手段としての凸部が、斜面に互いに隣り合う透光性基板同士を貼り合わす接着剤層で形成されることにより、製造工程が煩雑化して工数が増加することがなく、入射する偏光光を全反射する空気層が形成された偏光変換素子を容易に得ることができる。
[適用例6]
本適用例に係る偏光変換素子の製造方法は、光入射面および前記光入射面に略平行な光射出面に略45°の角度を成す複数の斜面で順次貼り合わされた複数の透光性基板と、入射する偏光光に位相差を付与する位相差板と、を備え、複数の前記斜面に沿って、入射光を二種類の偏光光に分離する偏光分離膜と、空気層と、が交互に設けられた偏光変換素子の製造方法であって、前記斜面に凹部を形成して前記空気層を得ることを特徴とする。
この製造方法によれば、光入射面および光入射面に略平行な光射出面に略45°の角度を成す斜面に、凹部を形成することによって、偏光分離膜において分離されて斜面に入射する偏光光を全反射する空気層を容易に形成することができる。
[適用例7]
上記適用例に係る偏光変換素子の製造方法は、前記凹部を、エッチング法を用いて形成するのが好ましい。
この製造方法によれば、空気層を形成する凹部が、エッチング法を用いて形成することにより、精度の高い、しかも安定した間隔の空気層が得られる。よって、互いに隣り合う透光性基板の複数の斜面毎に高い平行度の空気層が形成でき、光軸が安定した反射性能(偏光変換性能)を備えた偏光変換素子が得られる。
[適用例8]
上記適用例に係る偏光変換素子の製造方法は、前記凹部を、マイクロブラスト法を用いて形成するのが好ましい。
この製造方法によれば、空気層を形成する凹部が、マイクロブラスト法を用いて形成することにより、精度の高い、しかも安定した間隔の空気層が得られる。よって、互いに隣り合う透光性基板の複数の斜面毎に高い平行度の空気層が形成でき、光軸が安定した反射性能(偏光変換性能)を備えた偏光変換素子が得られる。また、マイクロブラスト法では凹部の底面および側壁に砂目状の面状態が得られ、砂目状の面状態は空気層を通過する迷光などを分散させることにより遮光するので、優れた反射性能を備えた偏光変換素子が得られる。
[第1の実施形態]
以下、第1の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、第1の実施形態に係る偏光変換素子の構成を模式的に示す断面図であり、図2は、図1に示した第1の実施形態に係る偏光変換素子の部分拡大断面図である。なお、これらの図面は、説明の便宜のために各構成要素の寸法や比率を実際のものとは異ならせてある。
図1において、偏光変換素子1は、入射した光を二種類の偏光光に分離するための偏光分離素子(PBS)2と、偏光分離素子2の一方の面に選択的に配置された位相差板3とを備えている。また、偏光変換素子1は、偏光分離素子2の光入射面2aと光入射面2aに略平行な光射出面2bとを有し、光射出面2b上に多数の位相差板3が貼着されている。
偏光分離素子2は、光入射面2aおよび光射出面2bに所定の角度を成す複数の斜面(界面)で順次貼り合わされた柱状の透光性基材としてのガラス材21(但し、両側最端部は三角柱形状を成している)と、複数の斜面に沿って交互に設けられた偏光分離膜22および空気層としてのエアギャップ層23とを含み構成されている。なお、複数の斜面が光入射面2aおよび光射出面2bと成す所定の角度は、例えば、45°であり、ガラス材21は略平行四辺形の断面形状を成している。
ガラス材21は、光入射面2aおよび光射出面2bを形成する相対面と、斜面を形成する偏光分離面21aおよび反射面21bの相対面と、によって略平行四辺形の断面形状を成している。そして、互いに隣り合うガラス材21の偏光分離面21a側の斜面には、偏光分離膜22が形成されている。すなわち、互いに隣り合うガラス材21のうちの一方の偏光分離面21aに偏光分離膜22が形成され、その偏光分離面21aと隣り合う他方の偏光分離面21aとが、接着剤(図示せず)により貼着されている。本実施形態におけるガラス材21は、例えば、白板ガラスよりなる。白板ガラス(B270)の屈折率は1.52である。
なお、詳細は後述するが、ガラス材21としては、屈折率が1.45以上1.65未満の透光性基材であれば限定されず、白板ガラスの他に、ホウケイ酸ガラス、青板ガラス、光学ガラスなどを用いることができる。
偏光分離膜22は、誘電体多層膜で形成される。誘電体多層膜は、例えば、SiO2よりなる低屈折率層およびMgF2よりなる低屈折率層と、例えば、La23とAl23の重量割合が1:3の混合物よりなる高屈折率層とが、所定の順序および光学膜厚で形成された多層膜が例示できる。偏光分離膜22は、入射する光線束(s偏光光+p偏光光)を、s偏光の部分光線束(s偏光光)とp偏光の部分光線束(p偏光光)とに分離して、s偏光光を反射し、p偏光光を透過する機能を有する。
空気層としてのエアギャップ層23は空気の層であり、斜面に互いに隣り合うガラス材21の反射面21b側の斜面に設けられた段差形成手段としてのスペーサ24により形成されている。スペーサ24は、反射面21b側の斜面における反射面21bの光入射面2aおよび光射出面2b側の両端部に、互いに隣り合うガラス材21を貼り合わせする接着剤(接着剤層)により構成されている。このスペーサ24の反射面21bに対する高さ(反射面21bの直角方向における高さ)は、10μm程度である。すなわち、互いに隣り合うガラス材21の反射面21b間に形成されたエアギャップ層23の反射面21bの直角方向における幅、すなわち間隔αは、10μm程度である。なお、エアギャップ層23は窒素ガスの層でも同じ効果が得られる。エアギャップ層23の具体的な説明については後述する。
位相差板3は、1/2λ位相差機能を有する水晶(水晶板)で形成されている。水晶板は、SiO2の単結晶であり、人工水晶または天然水晶のどちらであってもよい。
位相差板3は、偏光分離素子2の光射出面2bのうち、偏光分離膜22を透過したp偏光光が通過する領域だけに、例えば接着剤(図示せず)により貼着されている。したがって位相差板3は、光射出面2bに格子状に配置されている(図9(a)参照)。なお、この例ではp偏光光が通過する領域に位相差板3を形成しているが、s偏光光が通過する領域のみに位相差板3を形成してもよい。
位相差板3は、それぞれの偏光分離膜22を透過して入射するp偏光光(直線偏光光)をs偏光光(直線偏光光)に変換する機能を有する。位相差板3に入射するp偏光光は、位相差板3中で等しい振幅を有する常光線と異常光線とに別れ、異なる位相速度で位相差板3中を進み、入射するp偏光光の電界ベクトルの振動方向と直交する振動方向を有するs偏光光に変換される。
なお、スペーサ24を形成する接着剤、位相差板3を貼着する接着剤および隣り合うガラス材21の偏光分離面21a同士を貼り合わせる接着剤は、接着加工が容易で比較的高温度に耐えうる一液性エポキシまたは一液性アクリル系の紫外線硬化型接着剤が用られる。紫外線硬化型接着剤は、貼着部に塗布した後、ケミカルランプや高圧水銀灯などの光を照射して硬化される。
次に、このように構成された偏光変換素子1の空気層としてのエアギャップ層23の具体的な説明とともに、偏光変換素子1に入射する入射光の動作について説明する。
図2において、システム光軸ALに沿って偏光変換素子1(偏光分離素子2のガラス材21)の光入射面2aに入射した光(s偏光光+p偏光光)は、偏光分離面21aに形成された偏光分離膜22においてs偏光光とp偏光光の2つの部分光線束に分離される。そして、偏光分離膜22で分離された一方のs偏光光が、反射面21bにおいて反射されるとともに、分離された他方のp偏光光が偏光分離膜22を透過して位相差板3においてs偏光光に変換される。すなわち、偏光変換素子1の光入射面2aに入射した光は、一種類の偏光光に変換されたs偏光光が、光射出面2b側からシステム光軸ALに略平行方向に射出される。
偏光分離膜22により分離されて反射面21bに向かうs偏光光は、反射面21bに対して略45°の角度で反射面21bに入射して反射される。反射面21bに入射した入射光は、反射面21bにエアギャップ層23を備えていることで、反射面21bにおいて全反射される。そして反射面21bで全反射された反射光は、光射出面2b側に向かう。
ここで、エアギャップ層23は、斜面に互いに隣り合うガラス材21の反射面21bの直角方向における間隔α、すなわちエアギャップ層23を形成するスペーサ24の高さは、10μm程度に構成されている。
偏光変換素子1は、この間隔αのエアギャップ層23を備えることにより、反射面21bからエアギャップ層23側にしみだしたエバネッセント光(近接陽光)が隣のガラス材(透光性基材)21へ拡散することなく、100%の反射率(全反射)が得られる。なお、エバネッセント光のしみだし深さ(反射面21bからの高さ)は、可視光波長領域(略400nm〜略700nm程度)において1μm未満である。したがって、本実施形態における間隔αは、少なくとも1μm以上あればよい。すなわち間隔αが1μm未満の場合はエバネッセント光が隣のガラス材21に拡散することにより、所望の反射率を得ることができない。なお、間隔αの上限値は、複数のガラス材21が貼り合わされた光入射面2aにおける斜面間のピッチ寸法を考慮して設定することができるが、100μm程度の値であってもよい。
こうした反射面21bにおける入射光は、ガラス材21の屈折率が波長分散特性を有することから、入射光の波長が短いほど屈折率が高くなる。すなわち、臨界角も入射光の波長に依存する。したがって、反射面21bにおける入射光の臨界角は、下記の一般式(1)に示す屈折率分散式(ハルトマンの分散式)に基づく近似式、および一般式(2)に示す全反射条件式に基づいて確認(設定)することができる。なお、以下の説明における基材の屈折率は、d線(波長587.56nm)における屈折率である。
Ns=(1.509+((112.24/(λ−250.48)1.6090))…(1)
但し、λは入射光の波長(nm)、Nsは波長λの入射光における屈折率を表す。
θc=sin-1(1/Ns)…(2)
但し、θcは臨界角(°)であり、反射面21bに対する入射角(反射面21bの法線と入射光との挟角)を表す。
また、臨界角がθcになる(全反射が起こる)偏光分離素子2の光入射面2aへの最大入射角φ(°)は、次の一般式(3)に基づいて確認することができる。
φ=sin-1((Ns×sin(45°−θc))…(3)
但し、Nsは波長λの入射光における屈折率、θcは臨界角(°)を示す。
なお、一般式(3)における最大入射角φは、偏光分離素子2の光入射面2aに垂直入射する方向を0°、すなわち偏光分離面21a(偏光分離膜22)に対して45°入射する角度を0°、45°より小さくなる方向をマイナス(−)、大きくなる方向をプラス(+)とした場合に、全反射するためのPBSへの入射角θは90°>θ≧−φである。
図3は、一般式(1)および一般式(2)に基づいて算出した第1の実施形態の偏光変換素子における臨界角θcの波長分散特性および一般式(3)に基づいて算出した最大入射角φの波長分散特性を示すグラフである。グラフの横軸は、波長領域350nm〜800nmの範囲における入射光の波長(nm)を示し、縦軸に角度(°)を示す。
曲線aは、臨界角θcの波長分散特性を示し、曲線bは最大入射角(−φ)の波長分散特性を示す。なお、各曲線は、波長領域350nm〜800nmの1nm毎のプロット点を結んだ線図である。
図3において、曲線aに示す臨界角θcは、可視光領域(400nm〜700nm程度)における変化は少なく、最小値は40.56°(実測波長423nm、理論波長400nm)、最大値は41.18°(実測波長675nm、理論波長700nm)、平均値は40.92°である。
一方、曲線bに示す最大入射角(−φ)は、可視光領域において5.81°(波長675nm)〜6.83°(波長423nm)の範囲にある。
これらのことから、光入射面2aおよび光射出面2bと成す角度が45°に構成された斜面に、偏光分離膜22およびエアギャップ層23を備えた反射面21bを有する偏光変換素子1は、光入射面2aへの最大入射角(−φ)が、少なくとも5.81°以内の入射光において、反射面21bでの全反射が得られる。
この反射面21bでの全反射が得られる光入射面2aへの入射光の入射角(システム光軸ALに対する角度)範囲は、ガラス材21の偏光分離面21aおよび反射面21bの平行四辺形の辺の傾きバラツキなどの各種バラツキなどに対応することが可能な範囲である。
なお、光入射面2aおよび光射出面2bに対して45°の角度で構成された反射面21bが全反射する透光性基材(ガラス材21)の屈折率Nsの範囲は、1.93>Ns≧1.415である。
こうした透光性基材としては、例えばFK5(Ns:1.48749)、BK7(Ns:1.5168)、SK10(Ns:1.62278)、LAK10(Ns:1.72003)、SF66(Ns:1.92286)などが挙げられる。
これに対して、複数の斜面に偏光分離膜51bおよび反射膜51cとが交互に設けられた従来の一般的な偏光変換素子50(図17参照)における波長分散特性を図4に示す。
なお、偏光変換素子50の斜面に形成された反射膜51cの膜構成を「表1」に示す。「表1」に示す膜構成は、設計波長600nmにおける設計値であり、多層膜を構成する層No.における材料と、光学膜厚(nd)を示す。また、層No.は、ガラス材51aの表面側から順に1層、2層、3層…と表している。
Figure 0004968187

「表1」において反射膜51cは、イオンプレーティング法を用いて、低屈折率層のSiO2(表中の材料項にLで表す)を1層目として、2層目に高屈折率層のTa25(表中の材料項にHで表す)、以後3層目〜31層目の間にSiO2とTa25とを交互に繰り返し成膜した31層の誘電体多層膜で構成されている。
図4は、従来の偏光変換素子における光入射面への入射角範囲±5°の反射膜51cの反射率の波長分散特性を示すグラフであり、図4(a)は入射角−5°の場合を示し、図4(b)は入射角0°の場合、図4(c)は入射角+5°の場合を示す。
グラフの横軸は、波長領域350nm〜800nmの範囲における入射光の波長(nm)を示し、縦軸に反射率(%)を示す。なお、各図に示す曲線c,d,eは、波長領域350nm〜800nmの1nm毎のプロット点を結んだ線図である。
図4(a)〜図4(c)において、反射面21bにおける反射率は、入射角−5°(曲線c)、入射角0°(曲線d)、入射角+5°(曲線e)のいずれも、可視光波長領域外の低波長域および高波長域において低い反射率を示す。また、低反射率領域は、入射角+5°から入射角−5°に向かうに従って、高波長側に移行する。また、可視光波長領域における入射角0°を含む入射角±5°の反射率は、全ての曲線において99.0%以上の高い値を示すが、反射ロスとなる曲線の凹凸を有している。これは、誘電体多層膜よりなる反射膜51cに偏光光が吸収されることにより発生する。
次に、このように構成された偏光分離素子2の製造方法について説明する。
図5および図6は、本実施形態に係る偏光分離素子を製造する主要な工程を示す工程断面図である。なお、これらの図面は、説明の便宜のために各構成要素の寸法や比率を実際のものとは異ならせてある。
先ず、図5(a)に示す工程では、複数の透光性基材としてのガラス板211と、複数の透光性基材としてのガラス板212とを準備する(準備工程)。このガラス板211およびガラス板212は、共に矩形状の外形形状で同じ所定厚さの、白板ガラスより成り、後に略平行四辺形の断面形状を有する柱状のガラス材21を形成する。
ガラス板212の2つの表面のうちの一方の表面上には、予め偏光分離膜22が形成されている。偏光分離膜22は、例えば、SiO2よりなる中屈折率層およびMgF2よりなる低屈折率層と、例えば、La23とAl23の重量割合が1:3の混合物よりなる高屈折率層とが、所定の順序および光学膜厚で形成されている。
なお、図6を含む以後の図面において、透光性基材としてのガラス板は、実際の枚数と異なる省略した枚数を示す。
そして、図5(b)に示す工程では、それぞれのガラス板212の偏光分離膜22が形成された面とガラス板211の一方の面とが、紫外線硬化型接着剤(図示せず)によって互いに貼り合わされる(ガラスブロック形成工程)。これにより、それぞれのガラス板211とガラス板212とが一つのガラスブロックを構成し、ガラス板211とガラス板212との界面に、偏光分離膜22が配置される。
そして、図6(a)に示す工程では、ガラスブロックのガラス板211の表面に、凹凸加工が施される。凹凸加工として接着剤240が格子状に塗布される(接着剤塗布工程)。接着剤240としては、例えば、一液性エポキシまたは一液性アクリル系の紫外線硬化型接着剤が用いられる。
図7は、図6(a)に示す一つのガラスブロックのA−A方向における矢視図である。
図6(a)および図7において、ガラス板211の表面に塗布される接着剤(接着剤層)240は、後述する図6(b)に示す工程において切断されるそれぞれの切断線CLを中心線として、ガラス板211の矩形状の外形形状の一辺に沿って形成される。接着剤層240の幅βは、これも後述するガラスブロック同士を互いに貼り合わせる際の接着性能を考慮して設定されるが、できる限り小さいことが望ましい。これにより、ガラス板211の表面に接着剤層240が、切断線CLに沿って格子状に形成される。なお、塗布される接着剤240の硬化後の厚さは、10μm程度である。
そして、図6(b)に示す工程では、それぞれのガラスブロックのガラス板211の表面に接着剤240が塗布された複数のガラスブロックが、互いに貼り合わされた後に、切断線CLに沿って切断される(ガラスブロック貼り合わせ・切断工程)。
ガラスブロックの貼り合わせは、ガラスブロックのガラス板211の表面に格子状に塗布された接着剤240の中心線が、切断線CLとなるように位置合わせして、それぞれのガラスブロックのガラス板211の接着剤240が塗布された面と、ガラスブロックのガラス板212との面とが貼り合わされる。そして、ケミカルランプや高圧水銀灯などの光(紫外線)を照射することによって、接着剤240が硬化される。
こうして互いに接着された複数のガラスブロックを、その表面と所定の角度δを成す切断線CL(図中、一点鎖線で示す)の位置で略平行に切断することによって、素子ブロックが切り出される。角度δの値は、略45°である。切断線CLの位置で切り出された一方の切断面が偏光分離素子2の光入射面2aに対応し、他方の切断面が光射出面2bに対応する(図1および図2参照)。
得られた素子ブロックは、素子ブロックの両端面部が所定形状に整形されて偏光分離素子2が完成する。その後、完成した偏光分離素子2は、光射出面2bのうち、偏光分離膜22を透過したp偏光光が通過する領域だけに、位相差板3が格子状に貼着されて、偏光変換素子1が完成する。
図8は、完成した偏光変換素子1の部分斜視図である。
図8において、完成した偏光変換素子1には、図6(b)に示す工程において格子状に塗布された接着剤240が、互いに隣り合うガラス材21の光入射面2aおよび光射出面2bに沿って形成された段差形成手段としてのスペーサ24として機能し、間隔αが10μm程度の空気よりなるエアギャップ層23が形成されている。なお、偏光分離素子2内に形成されたエアギャップ層23は、柱状を成したガラス材21が延伸する方向の両端面に露出している。すなわち、両端面に開放された状態に形成されている。
したがって、偏光変換素子1は、光入射面2aおよび光射出面2bに略45°の角度を成す複数の斜面に、偏光分離膜22およびエアギャップ層23が交互に設けられている。この偏光変換素子1は、入射する光(s偏光光+p偏光光)を一種類のs偏光光に変換して射出する光学素子として、液晶プロジェクタなどの照明光学系に好ましく用いることができる。
以上のように、光入射面2aおよび光入射面2aに略平行な光射出面2bに略45°の角度を成す複数の斜面で順次貼り合わされた複数のガラス材21を有する偏光分離素子2が、複数の斜面に沿って入射光を二種類の偏光光に分離する偏光分離膜22とエアギャップ層23とが交互に設けられることにより、偏光分離膜22において分離された一方の偏光光を反射する従来の反射膜に比べて、製造コストを低減するとともに製造リードタイムを短縮することが可能な偏光分離素子2および偏光変換素子1が得られる。また、入射光の一部の光を吸収する誘電体多層膜などよりなる反射膜に比べ、より100%に近い反射(全反射)が得られることにより、優れた反射性能(偏光変換性能)を備えた偏光分離素子2および偏光変換素子1が得られる。
また、斜面に互いに隣り合うガラス材21の光入射面2aおよび光射出面2b側の両端部に段差形成手段としてのスペーサ24を配置することにより、ガラス材21の斜面に空気層としてのエアギャップ層23を容易に形成し、偏光分離膜22で分離されて入射する一方の偏光光を全反射することができる。
こうした段差形成手段としてのスペーサ24が、斜面に沿って互いに隣り合うガラス材21同士を貼り合わす接着剤層240で形成されることにより、製造工程が煩雑化することなく、しかも工数が増加することもない。
さらに、エアギャップ層23の間隔αが、可視光波長域(略400nm〜略700nm)の入射光に対して少なくとも1μm以上を有することで、ガラス材21の斜面でしみだすエバネッセント光が隣のガラス材21に拡散することなく、入射する偏光光を全反射することができる。よって、優れた反射性能を備えた偏光分離素子2および偏光変換素子1が得られる。さらにまた、ガラス材21の屈折率が、1.45以上1.65未満であることにより、偏光分離膜22において分離されてエアギャップ層23が設けられたガラス材21の斜面に入射する一方の偏光光を全反射することができる。よって、優れた反射性能を備えた偏光分離素子2および偏光変換素子1が得られる。
なお、以上の第1の本実施形態において、以下の変形例として挙げられているような形態であっても、第1の実施形態と同様な効果を得ることが可能である。
(変形例1)
上記第1の実施形態において、エアギャップ層23を形成する段差形成手段としてのスペーサ24が、互いに隣り合うガラス材21を貼着固定する接着剤240により形成する凹凸加工を行う場合で説明したが、段差形成手段としてのスペーサ24を次のように構成および製造することができる。この変形例1に示す偏光分離素子の製造方法は、平面形状が矩形状よりなるガラス板の一方の面に、エッチング法による凹凸加工(溝加工)を行って、矩形状の平面形状の上下方向に開放された態様の格子状に凹部を形成することで、凹部に沿った凸部を得る製造方法である。
なお、以下にスペーサ24の構成を偏光分離素子2の製造方法を基に説明するが、スペーサ24の構成(形成方法)以外の製造方法については、前記第1の実施形態と同様であり、説明は省略または簡素化する。
図9は、変形例1に係る偏光分離素子を製造する準備工程における工程断面図である。
図9において、複数の透光性基材としてのガラス板311と、複数の透光性基材としてのガラス板312とを準備する。ガラス板311およびガラス板312は、共に矩形状の外形形状で所定厚さの白板ガラスより成り、後に略平行四辺形の断面形状を有する柱状のガラス材21を形成する。
ガラス板311の2つの表面のうちの一方の表面には、予めエッチングによりガラス板311の矩形状の外形形状の一辺に沿って格子状に形成された凸部311aが設けられている(平面形状については図7参照、但し凸部311aは、図7中に示す接着剤層240に相当する)。この凸部311aは、エアギャップ層23を形成する段差形成手段としてのスペーサ24として機能する(図1および図2参照)。また、ガラス板312の2つの表面のうちの一方の表面上には偏光分離膜22が形成されている。
格子状に形成された各凸部311aは、後工程において切断するそれぞれの切断線CLが、ガラス板311の表面と交差する位置を中心線とする幅βに形成されている。凸部311aの幅βは、後述するガラスブロック同士を互いに貼り合わせる際の接合性能を考慮して設定されるが、できる限り小さいことが望ましい。
格子状の凸部311aの形成方法は、ガラス板311の表面の凸部311aが形成される領域にレジストを塗布した後に、レジストを乾燥するプレベーキング、フォトマスクを用いた露光、現像液による現像、レジストの密着性を高めるためのポストベーキングなどの各工程により、格子状のレジスト層が形成される。なお、格子状のレジスト層の形成には、感光性ドライフィルムを用いることもできる。
そして、パターニングされたレジスト層をポジ型のエッチングレジストとして、エッチングが行われる。エッチングは、反応性イオンエッチング(RIE)などのドライエッチング法、またはフッ化アンモニウム(H4FN)などのエッチング液中に浸漬するウエットエッチング法を用いて行われる。
そして、アセトンなどのフォトレジスト剥離剤を用いてレジストが剥離される。これにより、矩形状の平面形状の上下方向に開放された態様の格子状の凹部311bが形成される。すなわち、凹部311bを形成する凹凸加工により、それぞれの凹部311bに沿った凸部311aが形成される(平面形状については図7参照、但し凸部311aは、図7中に示す接着剤層240に相当する)。形成された凹部311bの深さ(凸部311aの高さ)γは、2μm程度である。なお、凹部311bの深さγは、少なくとも1μm以上あればよい。
凸部311aが形成されたガラス板311の表面には、撥水処理を施すのが好ましい。 撥水処理は、少なくともガラス板311の凸部311aが形成された面に、撥水性を付与する撥水性機能膜よりなる撥水コートを形成する。
撥水コートの形成には、例えば、次の式(4)で表されるフッ素含有シラン系化合物を用いる。
Figure 0004968187

但し、式(4)中、Rf 2は「−(Ck2k)O−」の単位式で表される単位を含み、分岐を有しない直鎖状のパーフルオロポリアルキレンエーテル構造を有する2価の基を表す。なお、単位式「−(Ck2k)O−」におけるkは1〜6の整数である。R3は炭素原子数1〜8の1価炭化水素基であり、Wは加水分解性基またはハロゲン原子を表す。pは0、1または2を表す。nは1〜5の整数を表す。mおよびrは2または3を表す。
撥水コートは、例えば、乾式プロセスの真空蒸着法を用いて形成する。
真空蒸着装置の真空チャンバ内に、フッ素含有シラン系化合物を含む蒸発源を配置し、ガラス板311の凸部311aが形成された面を蒸発源に対面させた状態で、支持装置に固定して真空蒸着を行う。
蒸発源は、前記式(4)で表されるフッ素含有シラン系化合物をフッ素系溶剤で所定の固形分濃度となるように希釈し、それを多孔質セラミックスよりなるペレットに所定量含浸させたものを用いる。
そして、真空チャンバ内を所定の圧力に減圧した後、蒸発源を加熱ヒータにより600℃程度に加熱して、フッ素含有シラン系化合物を蒸発させることによって、蒸発源に対向させた凸部311aが形成された面にフッ素含有シラン系化合物からなる撥水性機能膜が蒸着される。そして、蒸着が終了したガラス板311は、真空チャンバ内から取り出した後、所定の温度および湿度に調整された恒温恒湿槽内に所定時間投入するアニール処理を行って、撥水コートが形成される。
なお、撥水性機能膜の膜厚は特に限定されないが、撥水効果を確保できる範囲内で可能な限り薄いのが好ましく、その膜厚は0.001μm〜0.01μm程度である。
撥水コートの形成には、前記式(4)で表されるフッ素含有シラン系化合物に代えて、次の式(5)で表される有機シラザン化合物を用いることもできる。
p2p+1CH2CH2Si(NH)1.5…(5)
但し、式(5)中のpは、正の整数を表す。
この有機シラザン化合物の具体例としては、ヘキサメチルジシラザンが挙げられる。
また、撥水コートの形成は、湿式プロセスを用いて形成することもできる。例えば、前記フッ素含有シラン系化合物を有機溶剤で溶解し、所定の濃度に調整した撥水性処理液を、スピンコート法、スプレー法、ディッピング法などを用いて凸部311aが形成されたガラス板311の表面に塗布した後、アニール処理して形成することができる。有機シラザン化合物についても同様な方法で形成することができる。なお、こうした撥水性を付与する撥水性機能膜よりなる撥水コートは、第1の実施形態において、少なくとも接着剤240が格子状に塗布される凹凸加工前のガラス板211の表面に、予め同様な方法で形成するのが好ましい。
このように、ガラス板311の凸部311aが形成された面に、撥水コートが形成されていることにより、偏光分離素子2内に形成されたエアギャップ層23が、柱状を成したガラス材21が延伸する方向の両端面に露出していても、使用環境下における湿気(水分)が、毛細管現象によってエアギャップ層23に侵入したり、付着したりするのを阻止することができる。その結果、反射性能(偏光変換性能)が低下するのを防ぐことができる。なお、エアギャップ層23に水分が付着すると全反射する機能が損なわれて反射性能が低下する。
そして、ガラス板311の格子状の凹部311bが形成されていない一方の面と、ガラス板312の偏光分離膜22が形成された面とが、接着剤(図示せず)によって互いに貼り合わされて、それぞれのガラス板311とガラス板312とが一つのガラスブロックを構成し、ガラス板311とガラス板312との斜面に、偏光分離膜22が位置する。なお、塗布される接着剤の硬化後の厚さは、例えば8μm程度である。
そして、複数のガラスブロックが互いに貼り合わされた後に、切断線CLに沿って切断される(図6(a),(b)参照)。
ガラスブロックの貼り合わせは、それぞれのガラスブロックのガラス板311の表面に格子状に形成された凸部311aの中心線が、切断線CLとなるように位置合わせして、ガラスブロックのガラス板311の表面(格子状に形成された凸部311aの表面)と、ガラスブロックのガラス板312との面とが貼り合わされる。貼り合わせには、紫外線硬化型接着剤などの接着剤を用いることもできるが、シランカップリング剤を塗布する又は/及び活性エネルギー線を照射する直接接合法を用いてもよい。
そして、互いに接着された複数のガラスブロックを、表面との角度が略45°を成す切断線CLの位置で略平行に切断することによって、素子ブロックが切り出される。切断線CLの位置で切り出された一方の切断面が偏光分離素子2の光入射面2aに対応し、他方の切断面は光射出面2bに対応する。
そして、得られた素子ブロックの両端面部が所定形状に整形されて偏光分離素子2が完成する。その後、完成した偏光分離素子2は、光射出面2bのうち、偏光分離膜22を透過したp偏光光が通過する領域だけに、位相差板3が格子状に貼着されて、偏光変換素子10が完成する。
図10は、完成した偏光変換素子10の部分斜視図である。なお、図10中において、完成した偏光変換素子10の構成を明瞭化するために、ガラス材には、用いたガラス板の名称および符号を付している。これについては、以後の偏光変換素子の部分斜視図(図12、図14および図19)についても同様である。
図10において、完成した偏光変換素子10には、エッチング法による凹凸加工により形成された凸部311aが、互いに隣り合うガラス材21の斜面の光入射面2a側および光射出面2b側に位置するスペーサ24として機能し、間隔αが10μm(凹部311bの深さγ:2μm、接着剤の硬化後の厚さ:8μm)程度の空気よりなるエアギャップ層23が形成されている。すなわち、光入射面10aおよび光射出面10bに略45°の角度を成す複数の斜面に、偏光分離膜22および空気層としてのエアギャップ層23が交互に設けられている。
こうして製造された偏光分離素子10は、エアギャップ層23を形成する段差形成手段としてのスペーサ24が、ガラス材21の反射面21b上にエッチング法による凹部311bを形成する凹凸加工により凸部311aが形成されることにより、精度の高い、しかも安定したエアギャップ層23の間隔α(スペーサ24の厚さ)を得ることができる。これにより、互いに隣り合うガラス材21の複数の斜面毎の空気層が高い平行度で形成でき、光軸が安定した反射性能(偏光変換性能)を備えた偏光変換素子10が得られる。
(変形例2)
変形例1において、凸部311aをエッチング法を用いた凹凸加工(溝加工)により形成したが、エッチング法に代えてマイクロブラスト法を用いて形成することができる。
なお、凸部311aを形成する凹凸加工以外の製造方法については、前記変形例1と同様であり、図9、図10および図7を参照しながら凹凸加工についてのみ説明する。
ガラス板311の2つの表面のうちの一方の表面には、予めマイクロブラスト法を用いた凹凸加工により、ガラス板311の矩形状の平面形状の一辺に沿って、上下方向に開放された態様の格子状に形成された凸部311aが設けられている(平面形状については図7参照、但し凸部311aは、図7中に示す接着剤層240に相当する)。この凸部311aは、エアギャップ層23を形成する段差形成手段としてのスペーサ24として機能する。また、ガラス板312の2つの表面のうちの一方の表面上には偏光分離膜22が形成されている。
マイクロブラスト法を用いた凹凸加工は、マスキング工程においてガラス板311の表面の凸部311aを形成する領域のマスクを形成した後に、ブラスト加工により格子状の凹部311bを形成する。
マスキング工程は、先ず、ガラス板311の表面に感光性ドライフィルムをラミネートする。そして、感光性ドライフィルムの上面に、予め作製した、凸部311aを形成する領域以外の領域、すなわち凹部311bを形成する領域を除去するように形成されたマスクを重ね合わせて、感光性ドライフィルムの露光を行う。露光は、露光装置を用いて、マスク上に紫外線が照射される。
そして、現像を行う。現像は、感光性ドライフィルムの露光が行われたガラス板311を、現像装置内に投入して、露光された感光性ドライフィルム上に現像液をスプレイノズルから噴射して行う。現像液としては、例えば、濃度0.1%〜0.3%程度で、液温が30℃程度の炭酸ナトリウム水溶液を用いる。これにより、ガラス板311の表面に、形成される凸部311aに相似した形状の多数の感光性ドライフィルムが格子状に残存する。
そして、酸性水溶液によるリンスおよび乾燥を行った後、ブラスト工程に移行する。
ブラスト工程では、感光性ドライフィルムが現像されたガラス板311を、マイクロブラスト装置を用いて、ブラスト加工が行われる。
ブラスト加工は、マイクロブラスト装置を用いて、感光性ドライフィルムが現像されたガラス板311の表面に、ブラストノズルから噴射圧0.15MPaの圧縮空気とともに研磨剤を噴射しながら、ガラス板311を50mm/秒程度の移動速度で移動させて、残存する感光性ドライフィルム以外の領域のガラス板311が除去される。なお、ガラス板311は、研磨剤を噴射するブラストノズルの先端を、表面に格子状に残存する感光性ドライフィルム間に位置させて、感光性ドライフィルムに沿って移動するのが好ましい。
これにより、脆性破壊原理によりガラス板311の表面に格子状の凹部311bが形成される。すなわち、凹部311bを形成する凹凸加工により、それぞれの凹部311bに沿った凸部311aが形成される。形成された凹部311bの深さ(凸部311aの高さ)γは、6μm程度である。なお、凹部311bの深さγは、少なくとも1μm以上あればよい。形成される凹部311bの深さγは、研磨剤を噴射する噴射圧又は/及び移動速度を制御することにより調節することができる。例えば、噴射圧0.35MPa、移動速度50mm/秒程度に制御することで、深さγが18μm程度の凹部311bが得られる。
なお、研磨剤としては、炭化ケイ素、アルミナ、ガラスビーズあるいはステンレスパウダーなどが挙げられる。また、研磨剤の粒度は、形成する凹部311bの深さγを考慮して適宜選定することができるが、深さγが6μm程度の凹部311bを得るためには、JIS1998に規定された#3000〜#8000(粒子径:4μm〜1.2μm)程度の微粉を用いるのが好ましい。
凹凸加工により凹部311bおよび凸部311aが形成されたガラス板311の表面には、前記変形例1に示したと同様な撥水処理を施すのが好ましい。撥水処理を施すことにより、偏光分離素子2内に形成されたエアギャップ層23が、柱状を成したガラス材21が延伸する方向の両端面に露出していても、使用環境下における湿気(水分)が、毛細管現象によってエアギャップ層23に侵入したり、付着したりするのを阻止することができる。その結果、反射性能(偏光変換性能)が低下するのを防ぐことができる。
その後、それぞれのガラス板312の偏光分離膜22が形成された面と、ガラス板311の凹凸加工を施してない面とが、硬化後の厚さが4μm程度となるように塗布された接着剤で、互いに貼り合わされて、一つのガラスブロックが構成される。
そして、複数のガラスブロックを互いに貼り合わせた後に、切断線CLに沿って切断されて素子ブロックが得られる。そして、得られた素子ブロックの両端面部を所定形状に整形して、偏光分離素子2が得られる。さらに、得られた偏光分離素子2は、光射出面2bのうち、偏光分離膜22を透過したp偏光光が通過する領域だけに、位相差板3が格子状に貼着されて、偏光変換素子10が完成する。
完成した偏光変換素子10には、マイクロブラスト法による凹凸加工により形成された凸部311aが、互いに隣り合うガラス材21の斜面の光入射面2aおよび光射出面2b側に位置するスペーサ24として機能し、間隔αが10μm程度の空気よりなるエアギャップ層23が形成されている。すなわち、光入射面2aおよび光射出面2bに略45°の角度を成す複数の斜面に、偏光分離膜22および空気層としてのエアギャップ層23が交互に設けられている。
このようにしてマイクロブラスト法による凹凸加工により製造された偏光変換素子10は、精度の高い、しかも安定したエアギャップ層23の間隔αを得ることができる。これにより、互いに隣り合うガラス材21の複数の斜面毎に形成された空気層は高い平行度が得られ、光軸の安定した反射性能(偏光変換性能)を備えた偏光変換素子10が得られる。さらに、エアギャップ層23を形成する凹部311b内の底面および側壁が、マイクロブラスト法の凹凸加工により、砂目状の面状態を有し、この砂目状の面が空気層を透過してくる迷光などを分散により遮断するので、より安定した反射性能(偏光変換性能)が得られる。
(変形例3)
変形例1に示したエッチング法による凹凸加工(溝加工)および変形例2に示したマイクロブラスト法による凹凸加工において、ガラス板312の表面に、以下に示すような凹凸形状を形成してエアギャップ層23を構成することもできる。
図11(a)は、別の凹凸形状が形成されたガラス板表面の平面図であり、図11(b)は図11(a)に示すガラス板を用いて製造された偏光変換素子の部分拡大断面図である。また、図13(a)は、さらに別の凹凸形状が形成されたガラス板表面の平面図であり、図13(b)は、図13(a)に示すガラス板を用いて製造された偏光変換素子の部分拡大断面図である。なお、凹凸形状以外の構成および製造方法については、前記第1の実施形態、変形例1および変形例2と同様であり、その説明は省略する。
図11(a)において、矩形状のガラス板412の2つの表面のうちの一方の表面の平面形状内には、多数の凹部412bが格子状に並置して形成されている。
凹部412bは、後のガラスブロック貼り合わせ・切断工程において切断される切断線CLを中心線とする幅βよりなる凸部412aの間に、切断線CL方向に沿って延伸する長方形形状に形成されている。したがって、それぞれの凹部412bは、幅βよりなる凸部412aと、切断線CL方向に相対する2辺の周縁部に沿う凸部412aとにより、ガラス板412の矩形状の平面形状内に設けられている。
凸部412aは、段差形成手段としてのスペーサ24として機能し、凹部412bが空気層としてのエアギャップ層23を構成する。凸部412aの幅βは、ガラスブロック同士を互いに貼り合わせる際の接合性能を考慮して設定されるが、できる限り小さいことが望ましい。また、凹部412bの深さ(γ、図9参照)、すなわち凸部412aの高さは、6μm程度であり、後にガラスブロック同士を互いに貼り合わせる際に用いられる接着剤の硬化後の厚さ4μm程度と合わせて、10μm程度のエアギャップ層23が形成される。
図12は、完成した偏光変換素子の部分斜視図である。なお、図12中には、互いに隣り合うガラス材の一つの斜面に形成されたエアギャップ層23のみを示す。
図12および図11(b)において、こうした凹凸形状を備えたガラス板412を用いて製造された偏光変換素子4は、互いに隣り合うガラス板411とガラス板412との斜面に、スペーサ24として機能する凸部412aが斜面の周縁部全域に沿って形成され、凹部412bを含み構成された、間隔αが10μm(凹部412bの深さγ:6μm、接着剤の硬化後の厚さ:4μm)程度のエアギャップ層23が、外部雰囲気から隔離して密封された状態で形成されている。すなわち、偏光変換素子4は、光入射面4aおよび光射出面4bに略45°の角度を成す複数の斜面に、偏光分離膜22および密封状態のエアギャップ層23が交互に設けられている。
このように矩形状の平面形状内に格子状に並置して形成された凹部412bを備えたガラス板412(図11(a)参照)を用いて製造された偏光変換素子4は、使用環境下における湿気(水分)や微粉などが、エアギャップ層23に侵入したり、付着したりすることがなく、長期間に亘り高い反射性能(偏光変換性能)を維持することができる。
一方、図13(a)において、矩形状のガラス板512の2つの表面のうちの一方の表面には、後のガラスブロック貼り合わせ・切断工程において切断される切断線CLに直行し、矩形状の平面形状の左右方向に開放された態様の幅広の1つの凹部512bが形成されている。すなわち、1つの凹部512bが切断線CL方向に相対する2辺の周縁部に沿う凸部512a間に形成されている。
切断線CL方向に相対する2辺の周縁部に沿う凸部512aは、段差形成手段として機能し、凹部512bが空気層としてのエアギャップ層23を構成する。凸部512aは、後述する偏光変換素子5が完成した際に、偏光変換に利用しない領域となるために、段差形成手段として機能する範囲で、できる限り狭い幅に設定するのが望ましい。また、凹部512bの深さ(γ、図9参照)、すなわち凸部512aの高さは、6μm程度であり、後にガラスブロック同士を互いに貼り合わせる際に用いられる接着剤の硬化後の厚さ4μm程度と合わせて、10μm程度のエアギャップ層23が形成される。なお、凹凸加工により凹部512bおよび凸部512aが形成されたガラス板511の表面には、前記変形例1に示したと同様な撥水処理が施される。
図14は、完成した偏光変換素子5の部分斜視図である。
図14および図13(b)において、こうした凹凸形状を備えたガラス板512(図13(a)参照)を用いて製造された偏光変換素子5は、スペーサ24として機能する凸部512aが、互いに隣り合うガラス板511とのガラス板512との斜面の長手方向の両端部に形成され、凹部512bを含み構成された、間隔αが10μm(凹部511bの深さγ:6μm、接着剤の硬化後の厚さ:4μm)程度のエアギャップ層23が、光入射面5aおよび光射出面5bに貫通して形成される。すなわち、偏光変換素子5は、光入射面5aおよび光射出面5bに略45°の角度を成す複数の斜面に、偏光分離膜22および開放状態のエアギャップ層23が交互に設けられている。
このように矩形状の平面形状内に凹部512bが形成された凹凸形状を備えたガラス板512を用いて製造された偏光変換素子5は、エアギャップ層23が斜面領域内を連続して形成されていることによって、斜面領域全体を光機能面として利用することができる。したがって、光の利用効率の高い反射性能(偏光変換性能)が得られる。また、エアギャップ層23を構成する凹部512bが、幅広の1つの凹部512bで形成されていることにより、凹凸加工(溝加工)の作業効率が向上し、低コスト化などに寄与することができる。なお、エアギャップ層23は、斜面領域内を連続して形成されているが、ガラス板512の凹凸形状(凹部512bおよび凸部512a)が形成された面に、撥水コートが施されているので、使用環境下における湿気や微粉などが、エアギャップ層23に侵入したり、付着したりすることはない。
(変形例4)
偏光変換素子1は、入射する光(s偏光光+p偏光光)が一種類のs偏光光に変換されて射出することができる構成の場合で説明したが、入射する光が一種類のp偏光光に変換されて射出することができる構成であってもよい。この場合には、1/2λ位相差機能を有する位相差板3を、偏光分離素子2の反射面21bにおいて反射されるs偏光光の光射出面側の面に配置すればよい。
また、位相差板3は、1/2λ位相差機能を有する水晶(水晶板)に代えて、ポリビニルアルコールフィルムなどよりなる位相差層をトリアセチルセルロースフィルムなどで挟み込んだ形態の位相差フィルムであってもよい。
さらに、偏光変換素子1の1/2λ位相差機能を有する位相差板3は、複数枚の位相差板を積層した積層位相差板であってもよい。
さらにまた、偏光変換素子1は、偏光分離素子2と位相差板3とが分離して用いられる構成の場合であっても、本実施形態の技術思想を適用することができる。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、光入射面および光射出面に所定の角度を成す複数の斜面に、偏光分離膜と、入射する偏光光に位相差を付与する位相差板と、を交互に設けた偏光変換素子である。なお、位相差板の以外の構成は、第1の実施形態と同様であり、説明は省略または簡素化する。
図15(a)は、第2の実施形態に係る偏光変換素子の構成を模式的に示す断面図であり、図15(b)は、図15(a)に示した第2の実施形態に係る偏光変換素子の部分拡大断面図である。なお、これらの図面は、説明の便宜のために各構成要素の寸法や比率を実際のものとは異ならせてある。
図15(a),(b)において、偏光変換素子6は、光入射面6aおよび光射出面6bに所定の角度を成す複数の斜面で順次貼り合わされた柱状の透光性基材としてのガラス材21と、複数の斜面に沿って交互に設けられた、偏光分離膜22と、空気層としてのエアギャップ層23を構成する位相差板300と、を備えている。なお、複数の斜面が光入射面6aおよび光射出面6bと成す所定の角度は、例えば、45°であり、ガラス材21は略平行四辺形の断面形状を成している。
ガラス材21は、例えば、白板ガラスより成り、互いに隣り合うガラス材21の一方の斜面に偏光分離膜22が形成され、他方の斜面に沿って位相差板300が貼着されている。
偏光分離膜22は、誘電体多層膜で形成されている。誘電体多層膜は、例えば、SiO2よりなる中屈折率層およびMgF2よりなる低屈折率層と、例えば、La23とAl23の重量割合が1:3の混合物よりなる高屈折率層とが、所定の順序および光学膜厚で成膜されている。この偏光分離膜22は、入射する光線束(s偏光光+p偏光光)を、s偏光光とp偏光光とに分離して、s偏光光を反射し、p偏光光を透過する機能を有する。
位相差板300は、1/4λ位相差機能を有する水晶(水晶板)より成り、変形例1および変形例2に示したエッチング法の凹凸加工によって形成された凹部300bおよび凸部300aを有する。また、凹凸加工により凹部300bおよび凸部300aが形成された位相差板300の表面には、前記変形例1に示したと同様な撥水処理が施されている。なお、位相差板300(水晶板)の屈折率は1.56程度である。
凹部300bは、斜面の光入射面6aおよび光射出面6b側の両端部に位置する凸部300a間に、6μm程度の深さ(γ、図9参照)で形成されている。なお、位相差板300を形成する水晶板の板厚は、少なくとも10μm以上であればよく、例えば、1mm程度であってもよい。
このように構成された位相差板300は、凸部300aの領域を接着面として、隣り合うガラス材21に、硬化後の厚さが4μm程度の接着剤(図示せず)により貼着されている。
この凹部300bを含み形成された間隔αが空気層としてのエアギャップ層23を形成し、凹部300bの底面が反射面として機能する。エアギャップ層23の間隔αは、10μm(凹部300bの深さγ:6μm、接着剤の硬化後の厚さ:4μm)程度である。
次に、偏光変換素子6に入射する入射光の動作について説明する。
図15(b)において、システム光軸ALに沿って偏光変換素子6の光入射面6aに入射した光(s偏光光+p偏光光)は、偏光分離膜22においてs偏光光とp偏光光の2つの部分光線束に分離される。そして、偏光分離膜22で分離された一方のs偏光光は、位相差板300に向かって反射され、他方のp偏光光は透過する。
そして、位相差板300に向かって反射されたs偏光光は、位相差板300に入射する。位相差板300に入射したs偏光光は、位相差板300内を通過して、反射面として機能する凹部300bの底面(反射面)に、略45°の角度で入射して反射される。この反射の際、反射面に間隔αのエアギャップ層23を備えることにより、反射面からエアギャップ層23側にしみだしたエバネッセント光(近接陽光)が隣のガラス材21に拡散することなく、100%の反射率(全反射)で反射される。そして、反射面で反射された光は、再び位相差板300内を通過する。したがって、入射光のs偏光は1/4位相差板を二回通過することによりp偏光光に変換されて、光射出面6b側に向かう。
そして、偏光方向が変換されて光射出面6b側に向かうp偏光光は、偏光分離膜22を透過したp偏光光とともに、光射出面6b側からシステム光軸ALに略平行方向に射出される。
すなわち、偏光変換素子6は、光入射面6aに入射したランダムな偏光方向を有する光を、一種類のp偏光光に変換して、光射出面6b側から射出する機能を備えている。
このように構成された偏光変換素子6の波長分散特性を以下に示す。
図16は、第1の実施形態において示した一般式(1)および一般式(2)に基づいて算出した偏光変換素子6における臨界角θcの波長分散特性および一般式(3)に基づいて算出した最大入射角φの波長分散特性を示すグラフである。グラフの横軸は、波長領域400nm〜800nmの範囲における入射光の波長(nm)を示し、縦軸に角度(°)を示す。
図16において、曲線fは、臨界角θcの波長分散特性を示し、曲線gは最大入射角(−φ)の波長分散特性を示す。なお、各曲線は、波長領域400nm〜800nmの1nm毎のプロット点を結んだ線図である。
曲線fに示す臨界角θcは、可視光領域(400nm〜700nm程度)における変化は少なく、最小値は39.94°、最大値は40.54°、平均値は40.33°である。
一方、曲線gに示す最大入射角(−φ)は、可視光領域において6.87°(波長800nm)〜7.90°(波長400nm)の範囲にある。
よって、光入射面6aおよび光射出面6bと成す角度が45°に構成された斜面に、偏光分離膜22およびエアギャップ層23を備えた偏光変換素子6は、少なくとも光入射面6aへの最大入射角(−φ)が、略7°(少なくとも6.87°)程度以内の入射光において、反射面となる凹部300bの底面での全反射が得られる。
これに対して、複数の斜面に偏光分離膜51bおよび反射膜51cとが交互に設けられた従来の一般的な偏光変換素子50(図22参照)の±7°範囲の入射角における波長分散特性を図17に示す。
図17は、第1の実施形態において図4に示した、光入射面への入射光の入射角範囲±5°に代えて、光入射面への入射光の入射角範囲±7°における波長分散特性である。
したがって、偏光変換素子50の斜面に形成された反射膜51cの膜構成は、第1の実施形態において「表1」に示した31層の誘電体多層膜で構成されている。
図17は、光入射面への入射光の入射角による反射膜51cにおける反射率の波長分散特性を示すグラフであり、図17(a)は入射角−7°の場合を示し、図17(b)は入射角0°の場合、図17(c)は入射角+7°の場合を示す。
グラフの横軸は、波長領域350nm〜800nmの範囲における入射光の波長(nm)を示し、縦軸に反射率(%)を示す。なお、各図に示す曲線h,i,jは、波長領域350nm〜800nmの1nm毎のプロット点を結んだ線図である。
図17(a)〜図17(c)において、入射角−7°(曲線h)、入射角0°(曲線i)、入射角+7°(曲線j)における反射率は、いずれも可視光波長領域外の低波長域および高波長域において低い反射率を示し、低反射率領域が入射角+7°から入射角−7°に向かうに従って、高波長側に移行する。また、可視光波長領域における入射角0°および入射角+7°の反射率は、98.7%程度以上の高い値を示すが、入射角−7°においては400nm近傍において極端に低い値を示す。さらに、全曲線の可視光波長領域においては、反射ロスとなる曲線の凹凸を有している。これは、誘電体多層膜よりなる反射膜51cに偏光光が吸収されることにより発生する。
こうしたことから、光入射面6aおよび光射出面6bに所定の角度を成す複数の斜面で順次貼り合わされたガラス材21と、複数の斜面に沿って交互に設けられた、偏光分離膜22と、空気層としてのエアギャップ層23を構成する位相差板300と、を備えた偏光変換素子6は、入射光の広い範囲の入射角に対応した優れた反射性能(偏光変換性能)が得られる。また、位相差板300が物理的、化学的に安定した水晶板よりなり、しかも偏光変換素子6の内部に配置されていることにより、耐熱性や耐光性に優れた偏光変換素子6が得られる。
次に、偏光変換素子6の製造方法について説明する。
なお、以下に示す偏光変換素子6の製造方法は、基本的に第1の実施形態に準じた製造工程によって製造される。したがって、第1の実施形態における偏光分離素子と異なる構成部分における製造工程のみ説明する。
図18(a)は、第2の実施形態に係る偏光分離素子を製造するガラスブロック形成工程における工程断面図であり、図18(b)は、第2の実施形態に係る偏光分離素子を製造するガラスブロック貼り合わせ・切断工程における工程断面図である。
図18(a)に示すガラスブロック形成工程では、準備工程において準備したガラス板611,612と、位相差板300とが、接着剤(図示せず)によって互いに貼り合わされてガラスブロックが形成される。
準備したガラス板611の2つの表面のうちの一方の表面上には、予め偏光分離膜22が形成されている。このガラス板611およびガラス板612は、共に矩形状の外形形状で所定厚さの白板ガラスより成り、後に略平行四辺形の断面形状を有する柱状のガラス材21を形成する。
位相差板300は、ガラス材21と略同じ矩形状の外形形状を有する1/4λ位相差機能を有する水晶(水晶板)よりなる。また、位相差板300の一方の表面には、予め変形例1に示したエッチング法による凹凸加工によって形成された凹部300bおよび凸部300aが格子状に形成されている。この凹部300bおよび凸部300aは、後にエアギャップ層23を形成する。
位相差板300を形成する水晶板の板厚は、例えば15μmであり、凹部300bの深さγ(すなわち、凸部300aの高さ)は、6μm程度である。なお、水晶板の板厚は、用いる水晶のカット軸および光学軸方位を選択することにより適宜設定することができる。
また、凹凸加工によって形成された凹凸形状は、変形例3に示した矩形状の平面形状内に格子状に設けられている場合(図11(a)参照)、または矩形状の平面形状の左右方向に開放された態様の幅広の1つの凹部で形成されている場合(図13(a)参照)であってもよい。
そして、位相差板300の凹部300bおよび凸部300aが格子状に形成された面に相対する面と、ガラス板611の一方の面とが接着剤(図示せず)によって互いに貼り合わされる。さらに、ガラス板611の位相差板300が貼り合わされた面に相対する面と、ガラス板612の偏光分離膜22が形成された面と、が接着剤(図示せず)によって互いに貼り合わされて、複数のガラスブロックが形成される。
図18(b)に示すガラスブロック貼り合わせ・切断工程では、それぞれのガラスブロックを構成する位相差板300に格子状に形成された凸部300aの表面に接着剤が塗布されて、複数のガラスブロックが互いに貼り合わされた後に、切断線CLに沿って切断される。
ガラスブロック同士は、位相差板300に格子状に形成された凸部300aの略中心線が、切断線CLとなるように位置合わせして貼り合わされる。
そして、互いに接着固定された複数のガラスブロックを、その表面と略45°の角度を成す切断線CL(図中、二点鎖線で示す)の位置で略平行に切断することによって、素子ブロックが切り出される。切断線CLの位置で切り出された一方の切断面が偏光変換素子6の光入射面6aに対応し、他方の切断面が光射出面6bに対応する。
得られた素子ブロックは、素子ブロックの両端面部が所定形状に整形されて偏光変換素子6が完成する。
図19は、完成した偏光変換素子6の部分斜視図である。
図19および図15(b)において、完成した偏光変換素子6は、光入射面6aおよび光射出面6bに略45°の角度を成す複数の斜面に、偏光分離膜22および空気層としてのエアギャップ層23を構成する位相差板300が交互に設けられている。位相差板300は、互いに隣り合うガラス板611とのガラス板612との斜面に、光入射面6aおよび光射出面6bに沿って形成された凸部300a間に凹部300bを含み形成された、間隔αが10μm(凹部300bの深さγ:6μm、接着剤の硬化後の厚さ:4μm)程度のエアギャップ層23が形成されている。この偏光変換素子6は、光入射面6aに入射したランダムな偏光方向を有する光を、一種類のp偏光光に変換して、光射出面6b側から射出することができる。
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、光入射面および光射出面に所定の角度を成す複数の斜面に沿って、偏光分離膜および位相差を付与する位相差板とよりなる光学機能層と、空気層としてのエアギャップ層とを交互に設けた偏光変換素子である。なお、位相差板の以外の構成は、第1の実施形態および第2の実施形態と同様であり、説明は省略または簡素化する。
図20(a)は、第3の実施形態に係る偏光変換素子の構成を模式的に示す断面図であり、図20(b)は、図20(a)に示す第3の実施形態に係る偏光変換素子の部分拡大断面図である。なお、これらの図面は、説明の便宜のために各構成要素の寸法や比率を実際のものとは異ならせてある。
図20(a),(b)において、偏光変換素子7は、光入射面7aおよび光射出面7bに所定の角度を成す複数の斜面で順次貼り合わされた柱状の透光性基材としてのガラス材21と、複数の斜面に沿って交互に設けられた、偏光分離膜22および位相差板301よりなる光学機能層と、空気層としてのエアギャップ層23と、を備えている。なお、複数の斜面が光入射面7aおよび光射出面7bと成す所定の角度は、例えば、45°であり、ガラス材21は略平行四辺形の断面形状をなしている。
ガラス材21は、例えば、白板ガラスより成り、互いに隣り合うガラス材21の一方の斜面に偏光分離膜22と偏光分離膜22の表面に貼着された位相差板301よりなる光学機能層が配置され、他方の斜面に空気層としてのエアギャップ層23が形成されている。
偏光分離膜22は、誘電体多層膜で形成されている。誘電体多層膜は、例えば、SiO2よりなる中屈折率層およびMgF2よりなる低屈折率層と、例えば、La23とAl23の重量割合が1:3の混合物よりなる高屈折率層とが、所定の順序および光学膜厚で成膜されている。この偏光分離膜22は、入射する光線束(s偏光光+p偏光光)を、s偏光光とp偏光光とに分離して、s偏光光を反射し、p偏光光を透過する機能を有する。
位相差板301は、1/2λ位相差機能を有する水晶(水晶板)で形成されている。位相差板301は、それぞれの偏光分離膜22を透過して入射するp偏光光をs偏光光に変換する機能を有する。
空気層としてのエアギャップ層23は空気の層であり、斜面に互いに隣り合うガラス材21の斜面に設けられた段差形成手段としてのスペーサ24により形成されている。スペーサ24は、光入射面7aおよび光射出面7bに沿って、互いに隣り合うガラス材21を貼り合わせする接着剤(接着剤層)により構成されている。このスペーサ24の高さ、すなわち間隔αは、10μm程度である。
次に、このように構成された偏光変換素子7に入射する入射光の動作について説明する。
図20(b)において、システム光軸ALに沿って偏光変換素子7の光入射面7aに入射した光(s偏光光+p偏光光)は、ガラス材21の一方の斜面に形成された光学機能層の内の偏光分離膜22においてs偏光光とp偏光光の2つの部分光線束に分離される。そして、偏光分離膜22で分離された一方のs偏光光は、エアギャップ層23に向かって反射され、他方のp偏光光は透過する。
そして、エアギャップ層23に向かって反射されたs偏光光は、エアギャップ層23を形成するガラス材21の他方面(反射面)に対して略45°の角度で入射して反射される。この反射の際、反射面に間隔αのエアギャップ層23を備えることにより、反射面からエアギャップ層23側にしみだすエバネッセント光(近接陽光)が隣のガラス材21に拡散することなく、100%の反射率(全反射)で反射される。そして全反射された反射光は、光射出面7b側に向かう。
一方、偏光分離膜22を透過したp偏光光は、偏光分離膜22に隣接する光学機能層の内の位相差板301に入射する。
位相差板301に入射したp偏光光は、位相差板301内を通過して光射出面7b側に向かう。位相差板301に入射したp偏光光は、位相差板301内を通過することによりs偏光光に変換される。
そして、偏光方向が変換されて光射出面7b側に向かうs偏光光は、エアギャップ層23を形成するガラス材21の反射面で全反射されたs偏光光とともに、光射出面7b側からシステム光軸ALに略平行方向に射出される。
すなわち、偏光変換素子7は、光入射面7aに入射したランダムな偏光方向を有する光を、一種類のs偏光光に変換して、光射出面7b側から射出する機能を備えている。
こうしたことから、光入射面7aおよび光射出面7bに所定の角度を成す複数の斜面で順次貼り合わされたガラス材21と、複数の斜面に交互に設けられた、偏光分離膜22および位相差板301よりなる光学機能層と、空気層としてのエアギャップ層23を備えた偏光変換素子7は、優れた反射性能(偏光変換性能)が得られる。また、位相差板301が物理的、化学的に安定した水晶板よりなり、しかも偏光変換素子7の内部に配置されていることにより、耐熱性や耐光性に優れた偏光変換素子7が得られる。
次に、偏光変換素子7の製造方法について説明する。
なお、以下に示す偏光変換素子7の製造方法は、基本的に第1の実施形態に準じた製造工程によって製造される。したがって、第1の実施形態における偏光分離素子と異なる構成部分における製造工程のみ説明する。
図21(a)は、第3の実施形態に係る偏光分離素子を製造するガラスブロック形成工程における工程断面図であり、図21(b)は、第3の実施形態に係る偏光分離素子を製造するガラスブロック貼り合わせ・切断工程における工程断面図である。
図21(a)に示すガラスブロック形成工程では、準備工程において準備したガラス板711,712と、位相差板301とが、接着剤(図示せず)によって互いに貼り合わされてガラスブロックが形成される。
準備したガラス板711およびガラス板712は、共に矩形状の外形形状で所定厚さの白板ガラスよりなり、ガラス板712の2つの表面のうちの一方の表面上には、予め偏光分離膜22が形成されている。こうしたガラス板711,712は、後に略平行四辺形の断面形状を有する柱状のガラス材21を形成する。
位相差板301は、ガラス板711,712と略同じ矩形状の外形形状の1/2λ位相差機能を有する水晶(水晶板)よりなる。なお、位相差板301を形成する水晶板の板厚は、例えば15μm程度である。この板厚は、用いる水晶のカット軸および光学軸方位を選択することにより適宜設定することができる。
そして、ガラス板711の一方の面に、接着剤(図示せず)を用いて位相差板301を接合した後、ガラス板711に接合された位相差板301の表面と、ガラス板712の偏光分離膜22が形成された面と、を接着剤(図示せず)を用いて接合する。
そして、ガラス板711の表面に接着剤(接着剤層)240が塗布される。接着剤240は、後述する図21(b)に示す工程において切断されるそれぞれの切断線CLが、ガラス板711の表面と交差する位置を中心線として、ガラス板711の矩形状の外形形状の一辺に沿って格子状に形成される(図7参照)。なお、塗布される接着剤240の硬化後の厚さは、10μm程度である。
図21(b)に示すガラスブロック貼り合わせ・切断工程では、それぞれのガラスブロックのガラス板711の表面に接着剤240が格子状に塗布された複数のガラスブロックが、互いに貼り合わされた後に、切断線CLに沿って切断される。
ガラスブロックの貼り合わせは、ガラスブロックのガラス板711の表面のうちの一方の表面に格子状に塗布された接着剤240の中心線が、切断線CLとなるように位置合わせして、それぞれのガラスブロックのガラス板711の接着剤240が塗布された面と、次のガラスブロックのガラス板712の面と、が貼り合わされる。そして、ケミカルランプや高圧水銀灯などの光(紫外線)を照射することによって、接着剤240が硬化される。
そして、ガラス板711のもう一方の面に位相差板301を接合し、次にガラス板712の偏光分離膜22が形成された面を接合する。これを繰り返して複数のガラスブロックを接着固定する。
そして、互いに接着固定された複数のガラスブロックを、その表面と略45°の角度を成す切断線CL(図中、二点鎖線で示す)の位置で略平行に切断することによって、素子ブロックが切り出される。切断線CLの位置で切り出された一方の切断面が偏光変換素子7の光入射面7aに対応し、他方の切断面が光射出面7bに対応する。
得られた素子ブロックは、素子ブロックの両端面部が所定形状に整形されて偏光変換素子7が完成する。
第1の実施形態に係る偏光変換素子の構成を模式的に示す断面図。 第1の実施形態に係る偏光変換素子の部分拡大断面図。 第1の実施形態の偏光変換素子における臨界角θcの波長分散特性および最大入射角φの波長分散特性を示すグラフ。 従来の偏光変換素子における光入射面への入射角範囲±5°の反射率の波長分散特性を示すグラフ。 第1の実施形態に係る偏光分離素子を製造する主要な工程を示す工程断面図。 第1の実施形態に係る偏光分離素子を製造する主要な工程を示す工程断面図。 第1の実施形態に係る偏光分離素子のガラスブロックをA−A視した矢視図。 第1の実施形態に係る偏光変換素子の部分斜視図。 変形例1に係る偏光分離素子を製造する準備工程における工程断面図。 変形例1に係る偏光変換素子の部分斜視図。 (a)は別の凹凸形状が形成されたガラス板表面の平面図であり、(b)は(a)に示すガラス板を用いて製造された偏光変換素子の部分拡大断面図。 図11(b)に示す偏光変換素子の部分斜視図。 (a)は、さらに別の凹凸形状が形成されたガラス板表面の平面図であり、(b)は、(a)に示すガラス板を用いて製造された偏光変換素子の部分拡大断面図。 図13(b)に示す偏光変換素子の部分斜視図。 (a)は第2の実施形態に係る偏光変換素子の構成を模式的に示す断面図であり、(b)は第2の実施形態に係る偏光変換素子の部分拡大断面図。 第2の実施形態の偏光変換素子における臨界角θcの波長分散特性および最大入射角φの波長分散特性を示すグラフ。 従来の偏光変換素子における光入射面への入射角範囲±7°の反射率の波長分散特性を示すグラフ。 第2の実施形態に係る偏光変換素子を製造する主要な工程を示す工程断面図。 第2の実施形態に係る偏光変換素子の部分斜視図。 (a)は第3の実施形態に係る偏光変換素子の構成を模式的に示す断面図であり、(b)は第3の実施形態に係る偏光変換素子の部分拡大断面図。 第3の実施形態に係る偏光変換素子を製造する主要な工程を示す工程断面図。 (a)は従来の偏光変換素子の斜視図、(b)は(a)を+z軸方向から見た従来の偏光変換素子の平面図。
符号の説明
1,4,5,6,7,10…偏光変換素子、2…偏光分離素子、2a…光入射面、2b…光射出面、3,300,301…位相差板、21…透光性基材としてのガラス材、21a…偏光分離面、21b…反射面、22,221…偏光分離膜、23…空気層としてのエアギャップ層、24…段差形成手段としてのスペーサ、211,212,311,312,411,412,511,512,611,612,711,712…ガラス板、240…接着剤(接着剤層)、311a,411a,511a…凸部、311b,411b,511b…凹部。

Claims (8)

  1. 光入射面および前記光入射面に略平行な光射出面に略45°の角度を成す複数の斜面で順次貼り合わされた複数の透光性基板と、入射する偏光光に位相差を付与する位相差板とを備え、前記複数の斜面に沿って、入射光を二種類の偏光光に分離する偏光分離膜と、空気層とが交互に設けられた偏光変換素子であって、
    前記空気層を形成するスペーサが斜面の長手方向の両端部に形成され、前記光入射面と前記光射出面のそれぞれでは、複数の透光性基板で挟まれた空気層が露出していることを特徴とする偏光変換素子。
  2. 光入射面および前記光入射面に略平行な光射出面に略45°の角度を成す複数の斜面で順次貼り合わされた複数の透光性基板と、入射する偏光光に位相差を付与する位相差板とを備え、前記複数の斜面に沿って、入射光を二種類の偏光光に分離する偏光分離膜と、空気層とが交互に設けられた偏光変換素子であって、
    前記空気層を形成するスペーサが、前記光入射面と前記光射出面とに沿ってそれぞれ形成されていることを特徴とする偏光変換素子。
  3. 光入射面および前記光入射面に略平行な光射出面に略45°の角度を成す複数の斜面で順次貼り合わされた複数の透光性基板と、入射する偏光光に位相差を付与する位相差板とを備え、前記複数の斜面に沿って、入射光を二種類の偏光光に分離する偏光分離膜と、空気層とが交互に設けられた偏光変換素子であって、
    前記空気層を形成するスペーサが、前記斜面の周縁部全域に沿って形成されていることを特徴とする偏光変換素子。
  4. 光入射面および前記光入射面に略平行な光射出面に略45°の角度を成す複数の斜面で順次貼り合わされた複数の透光性基板と、入射する偏光光に位相差を付与する位相差板と、を備え、複数の前記斜面に沿って、入射光を二種類の偏光光に分離する偏光分離膜と、空気層とが交互に設けられた偏光変換素子の製造方法であって、
    前記斜面に凸部を形成して前記空気層を得ることを特徴とする偏光変換素子の製造方法。
  5. 請求項4に記載の偏光変換素子の製造方法であって、
    前記凸部を、前記斜面を互いに貼り合わす接着剤層で形成することを特徴とする偏光変換素子の製造方法。
  6. 光入射面および前記光入射面に略平行な光射出面に略45°の角度を成す複数の斜面で順次貼り合わされた複数の透光性基板と、入射する偏光光に位相差を付与する位相差板とを備え、前記複数の斜面に沿って、入射光を二種類の偏光光に分離する偏光分離膜と、空気層と、が交互に設けられた偏光変換素子の製造方法であって、
    前記斜面に凹部を形成して前記空気層を得ることを特徴とする偏光変換素子の製造方法。
  7. 請求項6に記載の偏光変換素子の製造方法であって、
    前記凹部を、エッチング法を用いて形成することを特徴とする偏光変換素子の製造方法。
  8. 請求項6に記載の偏光変換素子の製造方法であって、
    前記凹部を、マイクロブラスト法を用いて形成することを特徴とする偏光変換素子の製造方法。
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