JP5590101B2 - 偏光変換素子 - Google Patents
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Description
このような光学物品として、それぞれ内部に反射膜が設けられた2つの透光性部材の間に偏光分離膜を挟んで順次積層し、これらの透光性部材の前記偏光分離膜の光射出面側に水晶位相板を設けた偏光分離素子(PS変換素子)が知られている。
本適用例における光学物品の製造方法は、光学接着剤を介して複数の透光性部材の主面を互いに貼りあわせる、光学物品の製造方法であって、前記光学接着剤はスペーサー粒子を分散した光学接着剤液から形成され、前記光学接着剤液を少なくともどちらか一方の前記透光性部材の主面上の複数の滴下箇所に滴下する滴下工程と、前記複数の透光性部材の主面同士を互いに押圧して前記光学接着剤液を前記主面の間に押し広げて挟持する挟持工程と、を備え、圧縮変位荷重の異なるスペーサー粒子をこの種類ごとに前記光学接着剤の液体中に分散した複数種類の光学接着剤液を準備し、前記滴下工程では、前記複数種類の光学接着剤液をそれぞれ前記主面上の複数の滴下箇所に滴下することを特徴とする。
具体的には、圧縮変位荷重が小さいスペーサー粒子13のみを用いた場合では、大きな押圧力が加わったスペーサー粒子13の一部が局所的に変形して接着剤18の厚みが不均一になる(図10参照)。しかし、本適用例では、このようなおそれがなく、十分な押圧力を加えても接着剤の厚みを主面全体に対して均一にすることができる。
したがって、本適用例における光学物品の製造方法では、接着剤の厚みムラを防止し、次の薄片加工において水晶位相板等の研磨後厚みの精度を向上することにより、所望の光学特性を有する光学物品を容易にかつ、精度よく得ることができる。
本適用例における光学物品の製造方法は、前記複数種類の光学接着剤液の複数の滴下箇所は、透光性部材の主面上の中心部の少なくとも一箇所と、前記中心部と前記主面上の外縁部との中間領域の複数の箇所であることが好ましい。
本適用例における光学物品の製造方法は、前記複数種類の光学接着剤液は第一の光学接着剤液と第二の光学接着剤液とで構成され、第一の光学接着剤液は第二の光学接着剤液よりも圧縮変位荷重が大きく、前記主面上の中心部に第二の光学接着剤液を滴下し、前記主面上の中心部と外縁部との中間領域の複数の箇所に第一の光学接着剤液を滴下することが好ましい。
このため、主面の中心部に滴下された接着剤液に分散するスペーサー粒子は、接着剤において、主面の中心部付近に分布し、主面上の中心部と外縁部との中間領域に滴下された接着剤に分散するスペーサー粒子は、主面の外縁部に近いところに分布することとなる。
よって、透光性部材の主面上に接着剤液を滴下する位置によって、スペーサー粒子の主面間の分布を容易に制御することができる。
挟持工程において、透光性部材の主面同士が押圧する際、主面は光学部品として光線が透過する等の領域であり、汚れとキズの発生を嫌うので主面よりも外縁部に圧力を伝達するのが多い。よって、外縁部に近くところに押圧の力点が配置されるので、スペーサー粒子が変形しやすい。従って、主面上の中心部と外縁部との中間領域に圧縮変位荷重が大きいスペーサー粒子を分散した光学接着剤液を滴下することによって、主面上の中心部と外縁部との中間領域のスペーサー粒子の変形は小さく、主面全体の接着剤の厚みは均一な分布となる。
本適用例における光学物品の製造方法は、前記主面上の中心部には、前記光学接着剤と実用上概ね同じ屈折率であるスペーサー粒子を分散した光学接着剤液が滴下されることが好ましい。
このため、スペーサー粒子と接着剤との光学特性が略同一であるので、この中心部を光が透過する際、この光がスペーサー粒子を透過しても、接着剤を透過する光と同等の光学的特性となる。一般に主面の中心部に多くの光が通過する。
つまり、スペーサー粒子を混合した接着剤を用いても、多くのに光が透過する領域には同等の光学的特性を得られるスパーサ粒子を分布させ、光学接着剤の厚みに影響する主面上の中心部と外縁部との中間領域には押圧を制御しやすいスペーサー粒子を分布させることにより、透過する光の光学特性と光学接着剤の主面での均一な分布とを両立した光学物品を得ることができる。
本適用例における光学物品の製造方法は、前記透光性部材が、ガラス基板と水晶位相板であって、前記光学物品は、前記ガラス基板と前記水晶位相板とが前記光学接着剤液を挟持して積層された第一積層体と、前記ガラス基板の主面に偏光分離膜および反射膜が形成された第二積層体と、が交互に連結された偏光変換素子であることが好ましい。
[適用例6]
本適用例における光学物品は、互いに略平行な光入射面と光出射面とを有する偏光変換素子であって、前記光出射面に略45°の角度をもって複数の界面で設けられた複数の透光性部材であるガラス基板と、前記複数の界面に交互に設けられた偏光分離膜および反射膜と、前記偏光分離膜と前記ガラス基板との間に設けられた水晶位相板と、前記ガラス基板と前記反射膜の界面、前記ガラス基板と前記水晶位相板の界面、前記水晶位相板と前記偏光分離膜の界面に設けられた接着剤とを備え、前記ガラス基板と前記水晶位相板の界面に設けられた接着剤には圧縮変位荷重が異なる複数種類のスペーサー粒子が分布し、前記スペーサー粒子が種類ごとに配置されていることを特徴とする偏光変換素子であることが好ましい。
[適用例7]
本適用例の光学物品は、前記ガラス基板と前記水晶位相板の界面に設けられた接着剤は、第一の接着剤と第二の接着剤で構成され、前記第一の接着剤のスペーサー粒子は前記第二の接着剤のスペーサー粒子よりも圧縮変位荷重が大きく、前記ガラス基板と前記水晶位相板の界面の中心部は前記第二の接着剤が配置され、端部側には前記第一の接着剤、もしくは前記第二の接着剤が配置されていることを特徴とする偏光変換素子であることが好ましい。
[適用例8]
本適用例の光学物品は、前記ガラス基板と前記水晶位相板の界面の中心部には、前記接着剤と実用上概ね同じ屈折率であるスペーサー粒子が配置されていることを特徴とする偏光変換素子であることが好ましい。
図1は、本実施形態における偏光変換素子の概略図である。
図1に示される通り、PS変換素子1は、互いに略平行な光入射面11と光出射面12とが形成され、光出射面12に45度の角度をもって複数の界面で設けられた複数の透光部材であるガラス基板(以下、ガラス基板)14と、複数の界面に交互に設けられた偏光分離膜15および反射膜16と、偏光分離膜15とガラス基板14との間に設けられた水晶位相板である水晶基板(以下。水晶板)17と、ガラス基板14、偏光分離膜15、反射膜16および水晶基板17の界面に設けられた接着剤18と、を備える。
ガラス基板14は本実施形態において光学物品を構成するものであり、それを構成する材料としては、BK7等の光学ガラス、白板ガラス、ホウケイ酸ガラス、青板ガラスをはじめとするガラスを例示できる。
具体的には、スペーサー粒子131には、接着剤18と同等の屈折率でかつスペーサー粒子132より10%圧縮変位荷重の小さいものを用いる。一方、スペーサー粒子132には、スペーサー粒子131より10%圧縮変位荷重が大きいものであればよい。
接着剤18は、その厚みがスペーサー粒子に131,132の粒径と実用上略同じに形成される。そして、この接着剤18を形成する接着剤液181,182には、紫外線硬化型接着剤を用いることができる。そしてこのとき、これら接着剤液181,182には、互いに同じ屈折率のものを用いるのが好ましく、より好ましくは同じ材料、つまり、同じ素性のものを用いるのがよい。
さらには、2種の接着剤液181,182に分散するスペーサー粒子131,132の含有濃度は、接着剤液181のほうが接着剤液182よりも高いほうが好ましい。
誘電体多層膜は、例えば、SiO2よりなる低屈折率層と、MgF2よりなる高屈折率層と、La2O3とAl2O3の重量割合が1:3の混合物よりなる中屈折率層とが、所定の順序および光学膜厚で形成された多層膜を例示できる。
水晶基板17は、SiO2の単結晶からなる水晶によって形成されるシングルモード波長板であり、この水晶は人工水晶でも天然水晶でもよい。また、ダブルモード化波長板であってもよい。
図1に示される通り、PS変換素子1は、ガラス基板14、接着剤18および水晶基板17を1つのユニットとする第一積層体1Aと、偏光分離膜15、ガラス基板14および反射膜16を1つのユニットとする第二積層体1Bと、を繰り返し連結した繰り返し構造を有する。
[調合工程]
撹拌翼を有する撹拌装置を備えた図示しない混合撹拌槽に接着剤を投入する。その後、撹拌装置で撹拌しながら混合撹拌槽にスペーサーを投入する。このとき、スペーサーは、ダマにならないように少量ずつ投入していく。そして、投入後は、スペーサーが均一に分散するまで撹拌を続ける。混合時に併せて脱気(脱泡)を行うとさらに好ましい。
図2は、ガラス基板に接着剤液を滴下した状態を示す概略図である。
矩形状のガラス基板14は、その外縁部から離れた中心部としての光透過部Aを有している。この光透過部Aは図示しないPS変換素子において主な光が透過する箇所である。
滴下工程では、光透過部Aの中心に接着剤液181を滴下し、その外縁部に近い、矩形状のガラス基板14の四隅には接着剤液182を滴下する。
このとき、接着剤液181,182を滴下する方法としては、複数のチャージノズルを備えたディスペンサーを用いて接着剤液181,182を一度に複数箇所に対して滴下してもよいし、単一のチャージノズルで光透過部Aの中心に接着剤液181を滴下し、中央部と外縁部との中間領域に接着剤液182を滴下してもよい。
なお、スペーサー粒子131,132は、それぞれ接着剤液181,182に対して0.1重量%以上3重量%未満の濃度で分散されている。
図3に示すように、矩形状の台座21は、4本の係合ピン22が立設されている。この台座21の上に平板状のガラス基板14を載置し、このガラス基板14の主面上に接着剤液181,182を滴下し支持体14Aを形成し、この支持体14Aの上に水晶基板17を重ね合わせる。その後、水晶基板17の上から重石板23を載置することで、接着剤18に適度な押圧を加える。この重石板23は、係合ピン22に対応する位置に挿通穴24が設けられており、挿通穴24に係合ピン22が挿通されながら、台座21との距離が近づくようになっている。このため、重石板23は、台座21に対して回動することが規制されている。
よって、ガラス基板14と水晶基板17とを押圧する際、ガラス基板14と水晶基板17とがズレないようになっている。
図4(A)に示すように、1箇所の光透過部A(図2参照)のみを拡大したガラス基板14の上に光透過部Aの中心に接着剤液181を、その中心と外縁部の中間領域に接着剤液182を滴下し、その上から水晶基板17を重ね合わせる。このとき、図4(B)に示すように、接着剤液181は水晶基板17が押付けられることにより、外縁部方向へ濡れ広がっていく。一方、接着剤液182は、中間領域から外縁部方向へと濡れ広がる。
ここで、接着剤液181液は接着剤液182より、滴下された量が多いので、水晶基板17を押付けてガラス基板14に近接させていくにつれて、接着剤液181の外縁部方向への濡れ広がりが、接着剤液182の中心方向への濡れ広がりに対抗し、接着剤液182を外縁部方向へと押し流す。
さらに、このとき、スペーサー粒子131,132は、接着剤18の厚み方向に重なり合うことなく、単一な層状に配置する。つまり、接着剤18は、ガラス基板14と水晶基板17とに挟み込まれたスペーサー粒子131,132の粒径と実用上略同じとなる。このため、接着剤18は、均一な厚みで形成され、厚みムラが生じ難い。
図5に基づいて薄片加工工程について説明する。
図5は、本実施形態における水晶基板の薄片加工工程を説明するための概略図である。
薄片加工を行う装置としては、図5(A)に示されるように、平板状の支持板31と、支持板31の支持面31Aに平行な摺動面32Aを有し、支持面31Aに対して摺動面32Aを平行に保った状態で円を描くように動作可能な砥石32を有する装置を用いる。
第一積層体1Aを、ガラス基板14が支持面31Aに接する状態となるように支持板31上で支持する。一方、水晶基板17は、上方より摺動面32Aが所定圧力で当接される。そして、水晶基板17は、砥石32が円を描くように動くことで、摺動面32Aと摺動される。これにより、図5(B)に示されるように、水晶基板17は、研削または研磨されて薄片加工される。これにより、第一積層体1Aが得られる。
図6および図7に基づいて積層体形成工程について説明する。
図6は、本実施形態における第一積層体と第二積層体とを積層する方法を説明するための概略図である。図7は、本実施形態における第一積層体と第二積層体とを積層した積層体を示す斜視図である。
第二積層体1Bは、別のガラス基板14の平面に偏光分離膜15と反射膜16とをそれぞれ蒸着させて作製する。図6に示すように、台座21の平面に対して45°に傾斜したプレートPに端部下端がそれぞれ当接するように第一積層体1Aおよび第二積層体1Bを水平方向にずらして配置する。
これにより、図7に示すような、第一積層体1Aと第二積層体1Bとが45°ずれた積層体10が形成されることとなる。
積層体10を所定形状に切断する切断工程を図8および図9に基づいて説明する。
図8は、本実施形態における積層体の切断を説明するための模式図である。図9は、本実施形態における積層体の切断を説明するための模式図である。
図8で示される通り、積層された第一積層体1Aと第二積層体1Bとに光学素子平面に対してプレートP(図6参照)の配置方向と平行、つまり、光学素子の平面に対して45°の方向Lに沿って所定間隔毎に切断する。これにより、ブロック19は端面が平行四辺形となる。
(1)本実施形態では、圧縮変位荷重が異なるスペーサー粒子131,132を分散した複数種類の接着剤液181,182を用いているので、ガラス基板14と水晶基板17とを強い圧力で押圧した際、圧縮変位荷重が大きいものは変形し難いため、接着剤18の厚みの主面内分布を均一なものとすることができる。
具体的には、圧縮変位荷重が小さいスペーサー粒子131のみを用いた場合に、大きな押圧力を加えるとスペーサー粒子131の一部が局所的に変形して接着剤18の厚みが不均一になるおそれがある。しかし、圧縮変位荷重が異なるスペーサー粒子131,132を分散した複数種類の接着剤液181,182を複数箇所に滴下した後、押し当てて挟持すれば、過剰な押圧力を局所的に加えても接着剤18の厚みの主面内分布は均一となる。
ここで逆に、押圧力が不十分であると、スペーサー粒子131が接着剤18の厚み方向に重なり合ったままとなり、接着剤18の厚みが不均一なものとなってしまう。
よって、適切な強弱の押圧力をスペーサー粒子131,132ごとに設定してガラス基板14と水晶基板17とを貼り合せなくても、若干大きな押圧力を加えることで、安定して接着剤18の主面内の厚みを均一にすることができる。
このため、光透過部Aの中心に塗布された接着剤液181に分散するスペーサー粒子131は、接着剤18において、光透過部Aの中心付近に分布し、光透過部Aと外縁部の中間領域に滴下された接着剤液182に分散されるスペーサー粒子132は、接着剤18において、外縁部に近い位置に分布することとなる。
よって、ガラス基板14の主面上に滴下する位置によって、接着剤18となった際のスペーサー粒子131,132の位置を容易に制御することができる。
このため、スペーサー粒子131と接着剤18との光学特性が略同一であるので、この光透過部Aを光が透過する際、この光がスペーサー粒子131を透過しても、接着剤18を透過する光と同等の光学的影響を受けることとなる。つまり、スペーサー粒子131を分散した接着剤液181を用いても、同等の光学特性にすることができる。なお、硬化処理前の液状の光学接着剤液と硬化後の接着剤とは同じ組成でも屈折率が異なる。本書ではこれを明示するために、硬化前の液状の接着剤を接着剤液として記述し、硬化後の接着剤を接着剤と表記した。
よって、中心に圧縮変位荷重の小さいスペーサー粒子131が分布しても、中心とその外縁部の中間領域のスペーサー粒子132が接着剤18の厚みを制御することができる。
したがって、大きな押圧力を加えて貼り合わせる場合でも、より一層安定して厚みムラのない均一な厚みの接着剤18を形成することができる。
<接着剤の調合>
接着剤液181に含有するスペーサー粒子131の濃度が2wt%、接着剤液182に分散するスペーサー粒子132の濃度が1wt%となるように調合し、回転数150rpmで2時間攪拌を行った。このとき、スペーサー粒子131,132の分散性は良好であり、接着剤液181,182中にそれぞれ均一にスペーサー粒子131,132が分散していることを確認した。
ガラス基板14上に接着剤液181を0.04g滴下し、接着剤液182を0.02g、複数の滴下箇所に滴下し、その上から水晶基板17を載置する。そして、スペーサー粒子131,132を分散する接着剤液181,182がほぼ全面に濡れ広がったところで、1kNの加重を60sec加える。加圧後、2mW/cm2のUVランプを300sec照射し、接着剤液181,182を硬化させて接着剤18を得た。
(厚みムラの評価)
レーザー干渉計(Fujinon社製)を用いて、ガラス基板14と水晶基板17とを貼り合せたものの透過波面収差を測定した。測定領域はPS変換素子1にした際の光透過部A(図2参照)と一致させてある。具体的には、ガラス基板14および水晶基板17の外周部1.5mmを除いてある。
ヘイズ値の評価については、スガ試験機社製のTMダブルビーム方式ヘーズコンピューターHZ−2を用いて3回測定を行い、算術平均したものを結果とした。
ガラス基板14、水晶基板17、接着剤液181,182およびスペーサー粒子131,132としては、以下に示すものを使用した。なお、接着剤液181と接着剤液182とは同じ材料を用いた。
・ガラス基板14(厚み2.8mm、PV=0.001mm以下、平行度±0.001以下)
・水晶基板17(厚み0.1mm、PV=0.001mm以下)
・接着剤液181,182(サンライズMSI社製:PhotoBond300、紫外線硬化型、硬化後屈折率1.51)
・10%圧縮変位荷重が低いスペーサー粒子131(日本触媒製:エポスターYS、10%圧縮変位荷重0.16gf、屈折率1.51、粒径5.0μm、CV値3.5) ・10%圧縮変位荷重が大きいスペーサー粒子132(日揮触媒化成製:真絲球、10%圧縮変位荷重0.29gf、屈折率1.45、粒径5.0μm、CV値1.6)
比較例1では、実施例1の接着剤液182のみを用いた。
塗布量、塗布パターンを含むその他の構成は、実施例1と同様である。
比較例2では、実施例1の接着剤液181のみを用いた。
塗布量、塗布パターンを含むその他の構成は、実施例1と同様である。
スペーサー粒子131,132を用いた実施例では、透過波面収差が0.51μmと小さく、ヘイズ値が0.65と良好な値(1.0以下)を示した。この程度のヘイズが発生しても、偏光変換素子1としては光学特性上問題ないことがわかっている。
これに対し、スペーサー粒子132のみを用いた比較例1では、スペーサー粒子132の圧縮変位荷重が大きいことから透過波面収差が0.52μmと小さく、接着剤18の厚みが均一であることが確認できた。しかし、スペーサー粒子132と接着剤液182との屈折率が異なることから、ヘイズ値が1.11と大きな値を示した。これは光透過部Aにスペーサー粒子132がかなりの密度で存在していたためと考えられる。
しかし、スペーサー粒子131と接着剤液181との屈折率が同等であることから、ヘイズ値が0.47と小さな値を示した。これは光透過部Aにスペーサー粒子131がかなりの密度で存在しても、光学特性に影響がないためと考えられる。
以上より、それぞれ利点欠点を持つ2種類のスペーサー粒子131,132を適材適所に活用することにより、接着剤の厚みが均一なPS変換素子1が容易に製造できることが確認できた。
本実施形態では、水晶基板17を貼り合せた後、薄片加工したが、これに限らず、薄片加工した水晶基板を貼り合わせることでPS変換素子1を製造してもよい。
また、本実施形態では、PS変換素子1の製造方法であったが、これに限らない。例えば、ガラス基板14に接着剤液181,182を用いて水晶基板17を貼り合わせた位相差基板にも適用することができる。
つまり、接着剤液181よりも外側に接着剤液182が塗布されれば、いずれでもよい。
本実施形態では、圧縮変位荷重として10%圧縮変位荷重をスペーサー粒子の選択の指標として用いた。これは初期の開放放置状態から押圧を加えて初期値の10%減少する荷重値である。しかし、これに限らず、この他の力学的な指標をスペーサー粒子の圧縮変位荷重の指標として用いてもよい。
Claims (3)
- 互いに略平行な光入射面と光出射面とを有する偏光変換素子であって、
前記光出射面に略45°の角度をもって複数の界面で設けられた複数の透光性部材であるガラス基板と、
前記複数の界面に交互に設けられた偏光分離膜および反射膜と、前記偏光分離膜と前記ガラス基板との間に設けられた水晶位相板と、
前記ガラス基板と前記反射膜の界面、前記ガラス基板と前記水晶位相板の界面、前記水晶位相板と前記偏光分離膜の界面に設けられた接着剤とを備え、
前記ガラス基板と前記水晶位相板の界面に設けられた接着剤には圧縮変位荷重が異なる複数種類のスペーサー粒子が分布し、前記スペーサー粒子が種類ごとに配置されていることを特徴とする偏光変換素子。 - 請求項1に記載の偏光変換素子であって、
前記ガラス基板と前記水晶位相板の界面に設けられた接着剤は、第一の接着剤と第二の接着剤で構成され、前記第一の接着剤のスペーサー粒子は前記第二の接着剤のスペーサー粒子よりも圧縮変位荷重が大きく、
前記ガラス基板と前記水晶位相板の界面の中心部は前記第二の接着剤が配置され、端部側には前記第一の接着剤、もしくは前記第二の接着剤が配置されていることを特徴とする偏光変換素子。 - 請求項1から請求項2のいずれかに記載の偏光変換素子であって、
前記ガラス基板と前記水晶位相板の界面の中心部には、前記接着剤と実用上概ね同じ屈折率であるスペーサー粒子が配置されていることを特徴とする偏光変換素子。
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