JP2010190936A - 光学物品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、光学部材15,16および接着剤181を有する接着層18が設けられる支持体14Aと、この支持体14Aの前記接着層18の上に設けられる結晶材料17と、を備えた光学物品1の製造方法であって、前記接着剤181は粒径が均一なスペーサー13が混合された接着剤181を使用する工程を備えたことを特徴とする光学物品1の製造方法である。
【選択図】図7
Description
このような光学物品として、複数の透光性部材の間に偏光分離膜と反射膜とを交互に配置し、前記偏光分離膜の光射出面側に水晶位相板を設けた偏光変換素子(PS変換素子)が知られている。
そして、水晶板の厚みの不均一は、PS変換素子の偏光変換効率の低下を発生させる原因となるため、高精度な偏光変換精度を有するPS変換素子を製造することが困難という問題が挙げられる。
本適用例における光学物品の製造方法は、光学接着剤を有する接着層を介して透光性部材と結晶性基板とを貼りあわせる、貼合工程を備えた光学物品の製造方法であって、前記接着層は粒状のスペーサー、または棒状のスペーサーの少なくともどちらか一方が混合された前記光学接着剤を備え、前記透光性部材と前記結晶性基板とを貼り合わせることを特徴とする。
また、透光性部材と結晶性基板との間に一定の加重をかけるだけで、透光性部材と結晶性基板との間に挟まれるスペーサーが接着層の厚み方向に重なり合うことなく、単一な層状に配列されるので、接着層の厚みをスペーサーの粒径と同じにすることができる。
したがって、光学接着剤にスペーサーを含有させるだけで、接着層の厚みムラを容易に解消することができる。また、予めスペーサーを混合した接着剤を用いるので、貼り合わせ工程の前にどちらか一方の基板の面にスペーサーを散布する必要が無く、生産性が高い。また、光学接着剤にスペーサーを混合しているので、そのままこの光学接着剤を硬化すれば、透明な接着層が形成でき、この領域の接着層を光学素子の有効領域として用いることができる。
前記貼り合わせ工程の後、前記透光性部材を基準面として前記結晶性基板を薄片加工する薄片加工工程を備えることが好ましい。
本適用例における光学物品の製造方法は、前記接着剤と前記スペーサーとの屈折率差を概ね同じにする前記光学接着剤の硬化作業をおこなうことが好ましい。
このため、当該スペーサーを含有する接着剤は、スペーサーを含有しない接着剤とほとんど光学特性に差異がない。よって、スペーサーは、接着剤と光学特性上、略同一物となり、従来の接着剤と同様に用いることができる。
本適用例における光学物品の製造方法は、前記スペーサーが、前記接着剤に対して0.1重量%以上3重量%未満の濃度で混合されていることが好ましい。
したがって、接着層の厚みを均一に形成することができる。
一方、スペーサーの濃度が3重量%を超えると、接着剤中のスペーサーの分散性が悪くなり、接着剤の粘性が局所的に上昇する。
このため、接着剤の濡れ拡がりが悪くなり、スペーサーが接着層の厚み方向に重なりあった状態で接着層が形成され、均一な厚みの接着層が形成されないおそれがある。
本適用例における光学物品の製造方法は、前記結晶性基板は、水晶位相板であり、前記光学物品は、前記透光性部材および前記水晶位相板が積層された第一積層体と、透光性部材に偏光分離膜および反射膜が形成された第二積層体と、が交互に配列された偏光変換素子であることが好ましい。
図1は、本実施形態における偏光変換素子の概略図である。
図1に示される通り、偏光変換素子1は、互いに略平行な光入射面11と光出射面12とが形成され、光出射面12に45度の角度をもって複数の界面で設けられた複数の透光部材であるガラス基板(以下、ガラス基板)14と、複数の界面に交互に設けられた偏光分離膜15および反射膜16と、偏光分離膜15とガラス基板14との間に設けられた水晶位相板である水晶基板(以下。水晶板)17と、ガラス基板14、偏光分離膜15、反射膜16および水晶基板17の界面に設けられた接着層18と、を備える。
ガラス基板14は本実施形態において光学物品を構成するものであり、それを構成する材料としては、BK7等の光学ガラス、白板ガラス、ホウケイ酸ガラス、青板ガラスをはじめとするガラスを例示できる。
誘電体多層膜は、例えば、SiO2よりなる低屈折率層と、MgF2よりなる高屈折率層と、La2O3とAl2O3の重量割合が1:3の混合物よりなる中屈折率層とが、所定の順序および光学膜厚で形成された多層膜を例示できる。
水晶基板17は、SiO2の単結晶からなる水晶によって形成されるシングルモード波長板であり、この水晶は人工水晶でも天然水晶でもよい。
図1に示される通り、偏光変換素子1は、ガラス基板14、接着層18および水晶基板17を1つのユニットとする第一積層体1Aと、偏光分離膜15、ガラス基板14および反射膜16を1つのユニットとする第二積層体1Bと、を繰り返し貼り合わせた繰り返し構造を有する。
図2〜図5に基づいて貼合工程について説明する。
図2は、本実施形態におけるガラス基板と水晶基板とを貼り合せる方法を説明するための概略図である。図3は、本実施形態における水晶基板の薄片化工程を説明するための概略図である。図4は、本実施形態における第一積層体と第二積層体とを積層する方法を説明するための概略図である。図5は、本実施形態における第一積層体と第二積層体とを積層した積層体を示す斜視図である。
図2に示すように、矩形状の台座21は、4本の係合ピン22が立設されている。この台座21の上に平板状のガラス基板14を載置し、このガラス基板14の上に接着剤181を滴下し支持体14Aを形成し、この支持体14Aの上に水晶基板17を重ね合わせる。その後、水晶基板17の上から重石板23を載置することで、接着層18に適度な押圧を加える。この重石板23は、係合ピン22に対応する位置に挿通穴24が設けられており、挿通穴24に係合ピン22が挿通されながら、台座21との距離が近づくようになっている。このため、重石板23は、台座21に対して回動することが規制されている。
よって、ガラス基板14と水晶基板17とを押圧する際、ガラス基板14と水晶基板17とがズレないようになっている。
図3に基づいて薄片加工工程について説明する。
薄片加工を行う装置としては、図3(A)に示されるように、平板状の支持板31と、支持板31の支持面31Aに平行な摺動面32Aを有し、支持面31Aに対して摺動面32Aを平行に保った状態で円を描くように動作可能な砥石32を有する装置を用いる。
第一積層体1Aを、ガラス基板14が支持面31Aに接する状態となるように支持板31上で支持する。つまり、ガラス基板14の面が薄片加工の基準面となる。一方、水晶基板17は、上方より摺動面32Aが所定圧力で当接される。そして、水晶基板17は、砥石32が円を描くように動くことで、摺動面32Aと摺動される。これにより、図3(B)に示されるように、水晶基板17は、研削または研磨されて薄片加工される。これにより、第一積層体1Aが得られる。この時、接着層の厚みが均一であるので、ガラス基板14の基準面と、薄片加工される水晶基板の面が平行であるので、薄片加工後の水晶基板の厚みは均一となる。この水晶基板の厚みを均一に形成しないと、所望の偏光特性を得ることができない。
図4および図5に基づいて積層体形成工程について説明する。
第二積層体1Bは、別のガラス基板14の平面に偏光分離膜15と反射膜16とをそれぞれ蒸着させて作製する。この第二積層体1Bを、図4に示すように、台座21の平面に対して45°に傾斜したプレートPに端部下端がそれぞれ当接するように第一積層体1Aおよび第二積層体1Bを水平方向にずらして配置する。
これにより、図5に示すような、第一積層体1Aと第二積層体1Bとが45°ずれた積層体10が形成されることとなる。
図7(A)に示すように、ガラス基板14の上にスペーサー13を含む接着剤181を滴下し、その上から水晶基板17を重ね合わせる。このとき、図7(B)に示すように、接着剤181は水晶基板17が押付けられることにより、外周方向へ濡れ広がっていく。そして、図7(C)に示すように、スペーサー13は、接着剤181と同様に外周方向へ分散し、接着層18の厚み方向に重なり合うことなく、単一な層状に配置する。
つまり、接着層18は、ガラス基板14と水晶基板17とに挟み込まれたスペーサー13の粒径と略同じとなる。このため、接着層18は、均一な厚みで形成され、厚みムラが生じ難い。
積層体10を所定形状に切断する切断工程を図8および図9に基づいて説明する。
図8は、本実施形態における積層体の切断を説明するための模式図である。図9は、本実施形態における積層体の切断を説明するための模式図である。
図8で示される通り、積層された第一積層体1Aと第二積層体1Bとに光学素子平面に対してプレートP(図4参照)の配置方向と平行、つまり、光学素子の平面に対して45°の方向Lに沿って所定間隔毎に切断する。これにより、ブロック19は端面が平行四辺形となる。
(1)本実施形態における偏光変換素子1の製造方法では、接着剤181に球状のスペーサー13が含有されているので、ガラス基板14と水晶基板17とを接着する際、ガラス基板14と水晶基板17とにスペーサー13が挟まれ、接着層18の厚みがスペーサー13の粒径より小さくならない。
したがって、接着剤181にスペーサー13を含有させるだけで、接着層18の厚みムラを容易に解消することができる。
このため、スペーサー13を含有する接着剤181は、スペーサー13を含有しない接着剤181とほとんど光学特性に差異がない。よって、スペーサーは、接着剤と光学特性上、略同一物となり、従来の接着剤181と同様に用いることができる。
このため、本実施形態では、スペーサー13が、接着剤181に対して0.1重量%以上3重量%未満の濃度で混合されているので、ガラス基板14と水晶基板17とに挟まれるスペーサー13の数が十分であり、スペーサー13による接着層18の厚み制御が安定して得られ、さらに、接着剤181中のスペーサー13の分散性が良好であり、ガラス基板14と水晶基板17とに挟まれるスペーサー13が接着層18の厚み方向に重なり合うことなく、単一な層状に配列させることができる。よって、接着層18の厚みを均一に形成することができる。
なお、スペーサーの濃度が0.1重量%に満たない場合は、ガラス基板14と水晶基板17とに挟まれるスペーサー13の数が不足し、スペーサー13による接着層18の厚み制御が安定して得られないというおそれがある。
また、スペーサー13の濃度が3重量%を超える場合は、接着剤181中のスペーサー13の分散性が悪くなり、接着剤181の粘性が局所的に上昇してしまい、接着剤181の濡れ拡がりが悪くなり、スペーサー13が接着層18の厚み方向に重なりあった状態で接着層18が形成され、均一な厚みの接着層が形成されないおそれがある。
このため、ガラス基板14と水晶基板17とが押圧される際、互いにズレが生じることがない。また、平板状の台座21と重石板23とを用いるので、均一な圧力でガラス基板14と水晶基板17とを押圧することができる。
したがって、接着層の厚みをより安定して均一なものとすることができる。
したがって、高精度な偏光変換精度を有する偏光変換素子1を製造することができる。
<接着剤の調合>
接着剤181に対するスペーサー13の濃度が2wt%となるように調合し、回転数150rpmで2時間攪拌を行った。このとき、スペーサー13の分散性は良好であり、接着剤181中に均一にスペーサー13が分散していることを確認した。
ガラス基板14上にスペーサー13を含有する接着剤181を0.06g滴下し、その上から水晶基板17を載置する。そして、スペーサー13を含有する接着剤181がほぼ全面に濡れ広がったところで、1kNの加重を60sec加える。加圧後、2mW/cm2のUVランプを300sec照射し、スペーサー13を含有する接着剤181を硬化させた。接着剤の屈折率は硬化前が1.48であり、完全硬化後は1.51である。硬化する条件により、この屈折率を1.49から1.51の間で調整することができる。なお、上記条件では、屈折率は1.51近くを得ることができる。
(厚みムラの評価)
レーザー干渉計(Fujinon社製)を用いて、ガラス基板14と水晶基板17とを貼り合せたものの透過波面収差を測定した。測定領域は偏光変換素子1にした際に光が透過する箇所と一致させてある。具体的には、ガラス基板14および水晶基板17の外周部1.5mmを除いてある。
ヘイズ値の評価については、スガ試験機社製のTMダブルビーム方式ヘーズコンピューターHZ−2を用いて3回測定を行い、算術平均したものを結果とした。
ガラス基板14、水晶基板17、接着剤181およびスペーサー13としては、以下に示すものを使用した。
・ガラス基板14(厚み2.8mm、PV=0.001mm以下、平行度±0.001以下)
・水晶基板17(厚み0.1mm、PV=0.001mm以下)
・接着剤181(サンライズMSI社製:PhotoBond300、紫外線硬化型、硬化後屈折率1.51)
・スペーサー13(日本触媒製:エポスターYS、屈折率1.51、粒径5.0μm、CV値3.5)
実施例2で使用したスペーサー13は以下の通り。
・スペーサー13(早川ゴム社製:ハヤビーズ、屈折率1.50、粒径5.0μm、CV値2.7)
その他は、実施例1と同様の構成である。
実施例3で使用したスペーサー13は以下の通り。
・スペーサー13(積水化成品工業社製:テクポリマー、屈折率1.52、粒径5.5μm、CV値7.2)
その他は、実施例1と同様の構成である。
実施例4で使用したスペーサー13は以下の通り。
・スペーサー13(日揮触媒化学社製:真絲球、屈折率1.45、粒径5.0μm、CV値1.6)
比較例では、接着剤181にスペーサー13を調合せず、スペーサー13を含まない接着剤181を用いた。
その他は、実施例1と同様の構成である。
実施例1〜3および比較例の結果を以下の表1に示す。なお、透過波面収差については、解析結果として得られる鳥瞰図を図10〜図13に示す。
スペーサー13を含有する接着剤181とスペーサー13を含有しない接着剤181とでは、透過波面収差が大きく異なる。
具体的には、スペーサー13を含まない場合は、透過波面収差が大きく、接着層18の厚みムラが生じていることが確認できた。
一方、スペーサー13を含む場合は、透過波面収差が著しく小さく、接着層18の厚みムラを飛躍的に解消できることが確認できた。
また、図10〜図13からも、実施例の厚みムラは小さく、比較例の厚みムラは大きいことが明らかである。
なお、接着剤の硬化条件により接着剤の屈折率を調整することができるので、逆に接着剤の屈折率をスペーサーの屈折率に近づける硬化作業をおこなってもよい。
また、実施例2〜4の場合には、ヘイズが発生しているが、偏光変換素子1としては光学特性上問題ないことを確認できた。
本実施形態では、水晶基板17を貼り合せた後、薄片化したが、これに限らず、薄片化した水晶基板を貼り合わせることで偏光変換素子1を製造してもよい。
また、本実施形態では、偏光変換素子1の製造方法であったが、これに限らない。例えば、ガラス基板14に接着剤181を用いて水晶基板17を貼り合わせた位相差基板にも適用することができる。
Claims (5)
- 光学接着剤を有する接着層を介して透光性部材と結晶性基板とを貼りあわせる、貼合工程を備えた光学物品の製造方法であって、
前記接着層は粒状のスペーサー、または棒状のスペーサーの少なくともどちらか一方が混合された前記光学接着剤を備え、前記透光性部材と前記結晶性基板とを貼り合わせることを特徴とする光学物品の製造方法。 - 請求項1に記載の光学物品の製造方法において、
前記貼合工程の後、前記透光性部材を基準面として前記結晶性基板を薄片加工する薄片加工工程を備えることを特徴とする光学物品の製造方法。 - 請求項1または請求項2に記載の光学物品の製造方法において、
前記接着剤と前記スペーサーとの屈折率差を概ね同じにする前記光学接着剤の硬化作業をおこなうことを特徴とする光学物品の製造方法。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の光学物品の製造方法において、
前記スペーサーは、前記接着剤に対して0.1重量%以上3重量%未満の濃度で混合されていることを特徴とする光学物品の製造方法。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載の光学物品の製造方法において、
前記結晶性基板は、水晶位相板であり、
前記光学物品は、前記透光性部材および前記水晶位相板が積層された第一積層体と、透光性部材に偏光分離膜および反射膜が形成された第二積層体と、が交互に配列された偏光変換素子であることを特徴とする光学物品の製造方法。
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