WO2014167904A1

WO2014167904A1 - 反射型結像素子、及び反射型結像素子の製造方法

Info

Publication number: WO2014167904A1
Application number: PCT/JP2014/054662
Authority: WO
Inventors: 紳一郎長尾; 親彦村田
Original assignee: シャープ株式会社
Priority date: 2013-04-12
Filing date: 2014-02-26
Publication date: 2014-10-16
Also published as: US20160062097A1; US9864178B2

Abstract

反射型結像素子１０は、板面と直交する複数の第１平面反射部１４と、透光性を有するとともに第１平面反射部１４に並行する形で延在する複数の第１透光性基材１３とを交互に並列配置してなる第１素子基板１１と、内側の板面１２ａが第１素子基板１１における内側の板面１１ａと対向する形で貼り合わせられる第２素子基板１２であって、板面と直交し且つ第１平面反射部１４と直交する複数の第２平面反射部１６と、透光性を有するとともに第２平面反射部１６に並行する形で延在する複数の第２透光性基材１５とを交互に並列配置してなる第２素子基板１２と、一枚板状をなしていて、第１素子基板１１と第２素子基板１２との少なくともいずれか一方における外側の板面１１ｂ，１２ｂに対して対向する形で貼り合わせられる平板１７，１８と、を備える。

Description

反射型結像素子、及び反射型結像素子の製造方法

　本発明は、反射型結像素子、及び反射型結像素子の製造方法に関する。

　従来、被投影物の像を結像させるための反射型結像素子の一例として下記特許文献１に記載されたものが知られている。この反射型結像素子は、透明平板の内部に、該透明平板の一方側の面に垂直に多数かつ帯状の平面光反射部を並べて形成した第１及び第２の光制御パネルを備え、第１及び第２の光制御パネルのそれぞれの一面側を、平面光反射部を直交させて向かい合わせた構成とされる。そして、第１の光制御パネルの平面光反射部に被投影物からの光を入射させ、該平面光反射部で反射した反射光を第２の光制御パネルの平面光反射部で再度反射させ、被投影物の像を反射型結像素子の反対側に結像させるようにしている。

特許第４８６５０８８号公報

（発明が解決しようとする課題）
　上記した特許文献１に記載された反射型結像素子では、第１及び第２の光制御パネルは、それぞれ平面光反射部が透明平板の一方側の面に垂直に多数並べて形成された構成であるため、第１及び第２の光制御パネルの各板面の平滑性が低く、それに起因して光学性能が劣化することが懸念されていた。第１及び第２の光制御パネルの各板面における平滑性を高めるには、例えば各板面を研磨することが考えられる。しかしながら、第１及び第２の光制御パネルにおける各板面をそれぞれ研磨するのには、製造工程に研磨工程を追加するとともに製造装置に研磨装置を追加する必要が生じ、また研磨工程のタクトタイムが長くかかることもあって製造コストが高くなるという問題が生じる。それに加えて、第１及び第２の光制御パネルの各板面に沿って研磨を行うと、その研磨方向が平面光反射部の並列方向と一致しているため、研磨に伴う力が平面光反射部を剥離するよう作用し、第１及び第２の光制御パネルが損壊し、歩留まりが低下するおそれがあった。

　本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、低コスト化を図るとともに歩留まりを向上させることを目的とする。

（課題を解決するための手段）
　本発明の反射型結像素子は、板面と直交する複数の第１平面反射部と、透光性を有するとともに前記第１平面反射部に並行する形で延在する複数の第１透光性基材とを交互に並列配置してなる第１素子基板と、内側の板面が前記第１素子基板における内側の板面と対向する形で貼り合わせられる第２素子基板であって、板面と直交し且つ前記第１平面反射部と直交する複数の第２平面反射部と、透光性を有するとともに前記第２平面反射部に並行する形で延在する複数の第２透光性基材とを交互に並列配置してなる第２素子基板と、一枚板状をなしていて、前記第１素子基板と前記第２素子基板との少なくともいずれか一方における外側の板面に対して対向する形で貼り合わせられる平板と、を備える。

　このようにすれば、例えば被投影物側から第１素子基板の外側の板面に入射した光は、第１透光性基材を透過しつつ第１平面反射部にて反射されてから、第２透光性基材を透過しつつ第２平面反射部にて反射された後に、第２素子基板の外側の板面から出射する。第１平面反射部と第２平面反射部とは互いに直交する形で配されているので、第２素子基板の外側の板面からの出射光の進行方向は、第１素子基板の外側の板面に対する入射光の進行方向に対してほぼ平行になる。これにより、被投影物に対して当該反射型結像素子を挟んだ反対側の位置に、被投影物を投影した立体像を結像させることが可能とされる。

　ここで、第１素子基板及び第２素子基板は、それぞれ第１平面反射部及び第２平面反射部と、第１透光性基材及び第２透光性基材とを交互に並列配置してなる構成とされているため、各板面の平滑性が低くなりがちとされ、それに起因して光学性能が劣化することが懸念されていた。その点、第１素子基板と第２素子基板との少なくともいずれか一方における外側の板面には、一枚板状をなす平板が対向する形で貼り合わせられているから、平板が貼り合わせられた外側の板面への入射光または同外側の板面からの出射光は、いずれも平板を透過することになる。この平板は、一枚板状をなしており、第１素子基板及び第２素子基板に比べて高い平滑性を有しているから、透過光の進行方向が不規則に変化させられる事態が生じ難いものとなっている。これにより、平板が貼り合わせられた外側の板面における平滑性が芳しくない場合であっても、当該反射型結像素子の光学性能が劣化し難くなる。そして、少なくとも平板が貼り合わせられた外側の板面に関しては、平滑性を高めるための研磨作業を行わなくても済むことになるから、それにより製造コストの削減を図ることができるとともに研磨作業の実施に伴って生じ得る不具合が回避されて歩留まりの向上を図ることができる。

　本発明の反射型結像素子の実施態様として、次の構成が好ましい。
（１）前記平板、及び前記第１素子基板と前記第２素子基板との少なくともいずれか一方は、間に介在する形で配される平板接着層により接着されるとともに、前記平板、及び前記第１素子基板の前記第１透光性基材と前記第２素子基板の前記第２透光性基材とのうち前記平板が貼り合わせられた少なくともいずれか一方における屈折率が互いに等しくされており、前記平板接着層は、その屈折率が、前記平板、及び前記第１素子基板の前記第１透光性基材と前記第２素子基板の前記第２透光性基材とのうち前記平板が貼り合わせられた少なくともいずれか一方における屈折率と等しい材料からなる。このようにすれば、例えば平板に入射した光は、平板接着層を透過した後に第１素子基板の第１透光性基材と第２素子基板の第２透光性基材とのうち平板が貼り合わせられた少なくともいずれか一方を透過する。ここで、平板、平板接着層、及び第１素子基板の第１透光性基材と第２素子基板の第２透光性基材とのうち平板が貼り合わせられた少なくともいずれか一方は、互いに屈折率が等しいものとされているから、これらを透過する光が各界面にて屈折されて進行方向が変化させられる事態が生じ難くなり、当該反射型結像素子の光学性能がより劣化し難くなる。従って、例えば第１素子基板と第２素子基板との少なくともいずれか一方における外側の板面が未研磨の状態で使用された場合でも、十分に高い光学性能を得ることができる。

（２）前記平板は、前記第１素子基板の前記外側の板面と、前記第２素子基板の前記外側の板面とにそれぞれ前記平板接着層を介して貼り合わせられている。このようにすれば、平板、各平板接着層、第１素子基板の第１透光性基材、及び第２素子基板の第２透光性基材を透過する光が各界面にて屈折されて進行方向が変化させられる事態が一層生じ難くなり、当該反射型結像素子の光学性能が一層劣化し難くなる。従って、例えば第１素子基板及び第２素子基板におけるそれぞれの外側の板面が共に未研磨の状態で使用された場合でも、十分に高い光学性能を得ることができる。

（３）前記第１素子基板と前記第２素子基板とのいずれか一方には、前記平板が前記平板接着層を介して貼り合わせられているのに対し、前記第１素子基板と前記第２素子基板とのうちの前記平板が貼り合わせられない他方における前記外側の板面は、研磨処理がなされた被研磨面とされている。このようにすれば、平板が第１素子基板と第２素子基板とのいずれか一方に対してのみ平板接着層を介して貼り合わせられるので、仮に両素子基板に対して平板をそれぞれ貼り合わせた場合に比べると、平板の使用枚数を削減することができる。第１素子基板と第２素子基板とのうちの平板が貼り合わせられない他方については、その外側の板面が、研磨処理がなされた被研磨面とされているので、外側の板面を光が透過する際に光の進行方向が不規則に変化させられる事態が生じ難いものとされ、もって当該反射型結像素子の光学性能が一層劣化し難くなる。

（４）前記第１素子基板及び前記第２素子基板は、間に介在する形で配される基板間接着層により接着されるとともに前記第１透光性基材及び前記第２透光性基材における屈折率が互いに等しくされており、前記基板間接着層は、その屈折率が前記第１透光性基材及び前記第２透光性基材における屈折率と等しい材料からなる。このようにすれば、例えば第１透光性基材を透過しつつ第１平面反射部にて反射された光は、基板間接着層を透過した後に、第２透光性基材を透過しつつ第２平面反射部にて反射される。ここで、第１透光性基材、基板間接着層、及び第２透光性基材は、互いに屈折率が等しいものとされているから、これらを透過する光が各界面にて屈折されて進行方向が変化させられる事態が生じ難くなり、当該反射型結像素子の光学性能がより劣化し難くなる。従って、例えば第１素子基板及び第２素子基板におけるそれぞれの内側の板面が共に未研磨の状態で使用された場合でも、十分に高い光学性能を得ることができる。

（５）前記第１素子基板及び前記第２素子基板は、それぞれにおける前記内側の板面が研磨処理をなされた被研磨面とされている。このようにすれば、基板間接着層により接着される第１素子基板及び第２素子基板のそれぞれにおける内側の板面が被研磨面とされることで、被研磨面とされた各内側の板面を光が透過する際に光の進行方向が不規則に変化させられる事態が生じ難いものとされる。これにより、当該反射型結像素子の光学性能が一層劣化し難くなる。

　次に、本発明の反射型結像素子の製造方法は、板面と直交する複数の第１平面反射部と、透光性を有するとともに前記第１平面反射部に並行する形で延在する複数の第１透光性基材とを交互に並列配置してなる第１素子基板に対して、板面と直交し且つ前記第１平面反射部と直交する複数の第２平面反射部と、透光性を有するとともに前記第２平面反射部に並行する形で延在する複数の第２透光性基材とを交互に並列配置してなる第２素子基板を、その内側の板面が前記第１素子基板における内側の板面と対向する形で貼り合わせる素子基板貼り合わせ工程と、前記第１素子基板と前記第２素子基板との少なくともいずれか一方における外側の板面に対して一枚板状をなす平板を対向する形で貼り合わせる平板貼り合わせ工程と、を備える。

　このようにすれば、素子基板貼り合わせ工程を経て互いに内側の板面が対向する形で第１素子基板と第２素子基板とが貼り合わせられるとともに、平板貼り合わせ工程を経て第１素子基板と第２素子基板との少なくともいずれか一方に対して一枚板状をなす平板が他方の板面に対して対向する形で貼り合わせられることで、当該反射型結像素子が製造される。製造された反射型結像素子においては、例えば被投影物側から第１素子基板の外側の板面に入射した光は、第１透光性基材を透過しつつ第１平面反射部にて反射されてから、第２透光性基材を透過しつつ第２平面反射部にて反射された後に、第２素子基板の外側の板面から出射する。第１平面反射部と第２平面反射部とは互いに直交する形で配されているので、第２素子基板の外側の板面からの出射光の進行方向は、第１素子基板の外側の板面に対する入射光の進行方向に対してほぼ平行になる。これにより、被投影物に対して当該反射型結像素子を挟んだ反対側の位置に、被投影物を投影した立体像を結像させることが可能とされる。

　本発明の反射型結像素子の製造方法の実施態様として、次の構成が好ましい。
（１）前記平板貼り合わせ工程では、前記第１素子基板及び前記第２素子基板に対してそれぞれ前記平板を貼り合わせている。このようにすれば、平板貼り合わせ工程を経ることで、第１素子基板及び第２素子基板の双方に平板がそれぞれ貼り合わせられる。従って、例えば第１素子基板及び第２素子基板におけるそれぞれの外側の板面が共に未研磨の状態で使用された場合でも、十分に高い光学性能を得ることができる。

（２）前記素子基板貼り合わせ工程は、前記平板貼り合わせ工程に先立って行われている。このようにすれば、平板貼り合わせ工程に先立って素子基板貼り合わせ工程を行うことで、素子基板貼り合わせ工程において、第１素子基板の第１平面反射部と、第２素子基板の第２平面反射部との位置決めをより容易に且つ精密に行うことが可能となる。

（３）前記平板貼り合わせ工程は、前記素子基板貼り合わせ工程に先立って行われており、前記平板貼り合わせ工程を行ってから前記素子基板貼り合わせ工程を行うまでの間に、前記第１素子基板及び前記第２素子基板における前記内側の板面をそれぞれ研磨する研磨工程を備える。このようにすれば、研磨工程を経て第１素子基板及び第２素子基板における内側の板面がそれぞれ研磨されることで、各内側の板面を光が透過する際に光の進行方向が不規則に変化させられる事態が生じ難いものとされる。これにより、当該反射型結像素子の光学性能が一層劣化し難くなる。しかも、研磨工程において研磨される第１素子基板及び第２素子基板における外側の板面には、それぞれ平板が貼り合わせられているので、各平板によって第１素子基板及び第２素子基板の補強が図られている。これにより、研磨に伴って第１素子基板及び第２素子基板に作用する力に起因して第１透光性基材及び第２透光性基材が剥離するなどといった事態を生じ難くすることができる。

（４）前記平板貼り合わせ工程では、前記第１素子基板と前記第２素子基板とのいずれか一方に対して前記平板を貼り合わせており、前記平板貼り合わせ工程及び前記素子基板貼り合わせ工程を行った後に、前記第１素子基板と前記第２素子基板とのうちの前記平板が貼り合わせられない他方における前記外側の板面を研磨する研磨工程を備える。このようにすれば、平板貼り合わせ工程において、平板が第１素子基板と第２素子基板とのいずれか一方に対してのみ貼り合わせられるので、仮に両素子基板に対して平板をそれぞれ貼り合わせた場合に比べると、平板の使用枚数を削減することができる。第１素子基板と第２素子基板とのうちの平板が貼り合わせられない他方については、研磨工程を経ることで外側の板面が研磨されることで、光学性能の劣化が抑制されている。しかも、研磨工程において研磨される第１素子基板と第２素子基板とのうちの平板が貼り合わせられた一方側における外側の板面には、平板が貼り合わせられているので、平板によって第１素子基板及び第２素子基板の補強が図られている。これにより、研磨に伴って第１素子基板と第２素子基板とのうちの平板が貼り合わせられない他方に作用する力に起因して第１透光性基材と第２透光性基材とのうちの他方が剥離する、などの事態を生じ難くすることができる。

（発明の効果）
　本発明によれば、低コスト化を図るとともに歩留まりを向上させることができる。

本発明の実施形態１に係る反射型結像素子及び液晶表示装置の概略構成を示す斜視図反射型結像素子の概略構成を示す斜視図反射型結像素子の概略的な断面構成を示す断面図反射型結像素子を構成する各素子基板の第１の製造方法を示す図面であって、反射部母材を形成した透光性母材を積層して母材ブロック体を製造する途中の状態を示す斜視図第１の製造方法において、母材ブロック体を切断して各素子基板を取り出した状態を示す斜視図反射型結像素子を構成する各素子基板の第２の製造方法を示す図面であって、各平面反射部を形成した各透光性基材同士を固着する途中の状態を示す斜視図反射型結像素子における光学作用を説明するための図面であって、第１素子基板及び第２素子基板を示す斜視図反射型結像素子における光学作用を説明するための図面であって、第１素子基板及び第２素子基板を示す平面図反射型結像素子における光学作用を説明するための図面であって、第１素子基板及び第２素子基板を示す側面図反射型結像素子の製造方法を示す図面であって、第１素子基板と第２素子基板とを貼り合わせる前の状態を示す斜視図反射型結像素子の製造方法を示す図面であって、第１素子基板と第２素子基板とを貼り合わせる前の状態を示す断面図反射型結像素子の製造方法を示す図面であって、第１素子基板と第２素子基板とを貼り合わせた状態を示す斜視図反射型結像素子の製造方法を示す図面であって、第１素子基板と第２素子基板とを貼り合わせた状態を示す断面図反射型結像素子の製造方法を示す図面であって、貼り合わせた第１素子基板及び第２素子基板に対して第１平板及び第２平板を貼り合わせる前の状態を示す斜視図反射型結像素子の製造方法を示す図面であって、貼り合わせた第１素子基板及び第２素子基板に対して第２平板を貼り合わせる前の状態を示す断面図反射型結像素子の製造方法を示す図面であって、第１素子基板及び第２素子基板に対して第２平板を貼り合わせた状態を示す断面図反射型結像素子の製造方法を示す図面であって、貼り合わせた第１素子基板、第２素子基板、及び第２平板に対して第１平板を貼り合わせる前の状態を示す断面図本発明の実施形態２に係る反射型結像素子の断面図反射型結像素子の製造方法を示す図面であって、第１素子基板に対して第１平板を貼り合わせる前の状態を示す断面図反射型結像素子の製造方法を示す図面であって、第１素子基板に対して第１平板を貼り合わせた状態を示す断面図反射型結像素子の製造方法を示す図面であって、第１素子基板における内側の板面を研磨した状態を示す断面図反射型結像素子の製造方法を示す図面であって、第２素子基板に対して第２平板を貼り合わせる前の状態を示す断面図反射型結像素子の製造方法を示す図面であって、第２素子基板に対して第２平板を貼り合わせた状態を示す断面図反射型結像素子の製造方法を示す図面であって、第２素子基板における内側の板面を研磨した状態を示す断面図本発明の実施形態３に係る反射型結像素子の断面図反射型結像素子の製造方法を示す図面であって、貼り合わせた第１素子基板及び第２素子基板に対して第１平板を貼り合わせる前の状態を示す断面図反射型結像素子の製造方法を示す図面であって、第１素子基板及び第２素子基板に対して第１平板を貼り合わせた状態を示す断面図本発明の実施形態４に係る反射型結像素子の断面図反射型結像素子の製造方法を示す図面であって、第２平板が貼り合わせられた第２素子基板における内側の板面を研磨する前の状態を示す断面図反射型結像素子の製造方法を示す図面であって、内側の板面が研磨された第２素子基板に対して第１素子基板を貼り合わせる前の状態を示す断面図反射型結像素子の製造方法を示す図面であって、第２素子基板に対して貼り合わせられた第１素子基板における外側の板面を研磨する前の状態を示す断面図本発明の実施形態５に係る反射型結像素子の断面図反射型結像素子の製造方法を示す図面であって、貼り合わせた第１素子基板及び第２素子基板に対して第１平板及び第２平板を貼り合わせる前の状態を示す断面図反射型結像素子の製造方法を示す図面であって、貼り合わせた第１素子基板及び第２素子基板に対して第１平板及び第２平板を貼り合わせた状態を示す断面図本発明の実施形態６に係る反射型結像素子の断面図

　＜実施形態１＞
　本発明の実施形態１を図１から図１７によって説明する。本実施形態では、反射型結像素子１０について例示する。なお、各図面の一部にはＸ軸、Ｙ軸及びＺ軸を示しており、各軸方向が各図面で示した方向となるように描かれている。また、上下方向については、図３などを基準とし、且つ同図上側を表側とするとともに同図下側を裏側とする。

　本実施形態に係る反射型結像素子１０は、図１に示すように、裏側に配された液晶表示装置ＬＣＤと組み合わせて使用されるものであり、液晶表示装置ＬＣＤに表示された画像を反射型結像素子１０の表側（液晶表示装置ＬＣＤ側とは反対側）に結像（投影）させて立体画像として使用者に視認させることが可能とされる。液晶表示装置ＬＣＤは、画像を表示する表示面を有する液晶パネルＬＣＰと、液晶パネルＬＣＰの裏側（反射型結像素子１０側とは反対側）に配されて液晶パネルＬＣＰに向けて照明光を供給するバックライト装置ＢＬとを備えてなり、これらが図示しない保持部材により一体的に保持された構成とされている。液晶パネルＬＣＰは、平面に視て横長の方形状をなす一対の基板間に液晶層を挟持してなるものとされ、表側の基板が、カラーフィルタやカラーフィルタ間を仕切る格子状の遮光層（ブラックマトリクス）などが形成されたＣＦ基板（対向基板）とされるのに対し、裏側の基板が、スイッチング素子である多数のＴＦＴ、及びＴＦＴによって充電される多数の画素電極がマトリクス状に並列配置されるとともに、各ＴＦＴに対して接続される多数本ずつのゲート配線及びソース配線が格子状に配索形成されてなるアレイ基板（アクティブマトリクス基板）とされる。バックライト装置ＢＬは、内部に光源であるＬＥＤ、及び光学部材である導光板や光学シートなどをシャーシ内に収容した構成とされ、シャーシが表側に開口することで、液晶パネルＬＣＰへと照明光を照射することが可能とされる。なお、液晶パネルＬＣＰ及びバックライト装置ＢＬの各構成部は、既知のものであり、本実施形態では詳しい説明及び図示を省略している。

　反射型結像素子１０の詳しい構成について説明する。反射型結像素子１０は、図２に示すように、全体として液晶パネルＬＣＰと同様に平面に視て横長の方形状をなすパネル部材とされており、第１素子基板１１と、第１素子基板１１に対して表側に積層する形で配される第２素子基板１２とを備えている。これら第１素子基板１１及び第２素子基板１２は、共に平面に視て横長の方形状をなす平板状部材とされており、互いに内側の板面１１ａ，１２ａが対向する形で貼り合わせられている。第１素子基板１１は、立体画像の供給源（被投影物）である液晶表示装置ＬＣＤ側に配されており、液晶表示装置ＬＣＤから照射される光が入光される「入光側素子基板」とされるのに対し、第２素子基板１２は、液晶表示装置ＬＣＤ側とは反対側、つまり立体画像を投影する（結像させる）側に配されており、第１素子基板１１に入射された光を投影側（結像側）に出射する「出光側素子基板」とされる。続いて、第１素子基板１１及び第２素子基板１２の詳しい構成について説明する。また、図１及び図２では、一部の第１平面反射部１４及び第２平面反射部１６を網掛け状にして図示している。

　第１素子基板１１は、図２に示すように、反射型結像素子１０の短辺方向（板面に沿う第１方向、Ｙ軸方向）に沿って延在する複数の第１透光性基材１３と、第１透光性基材１３の一側面に配されて反射型結像素子１０の短辺方向に沿って延在する複数の第１平面反射部１４と、を反射型結像素子１０の長辺方向（板面に沿う第２方向、Ｘ軸方向）に沿って交互に並列配置してなる。第１透光性基材１３は、ほぼ透明で優れた透光性を有するガラス材料または合成樹脂材料（例えばＰＭＭＡなどのアクリル樹脂など）からなり、その屈折率が例えば１．５１～１．５２程度とされる。第１透光性基材１３は、第１素子基板１１の板面に沿うＹ軸方向に沿って延在する細長い角柱状（直方体状）をなしており、断面形状が略方形状になるよう形成されている。第１透光性基材１３は、図２及び図３に示すように、Ｘ軸方向に沿って複数が並列して配されるとともに、その並列方向についての幅寸法よりも高さ方向（Ｚ軸方向）についての高さ寸法の方が大きな縦長形状とされており、例えば高さ寸法が幅寸法の３倍程度とされている。より具体的には、第１透光性基材１３は、幅寸法が例えば０．３ｍｍ程度とされるのに対し、高さ寸法が例えば０．９ｍｍ程度とされる。第１平面反射部１４は、表面における光反射性に優れた金属材料（銀、錫、アルミニウムなど）からなり、第１透光性基材１３における一側面に蒸着などの手法により一体的に固着されている。この第１平面反射部１４により表面に当たった光を鏡面反射することが可能とされ、その反射光の進行方向が規則的なものとなる。第１平面反射部１４は、第１透光性基材１３の外周側面のうち、その延在方向であるＹ軸方向と、第１素子基板１１の板面と直交する方向であるＺ軸方向とに沿う片方の側面に配されている。従って、第１平面反射部１４は、Ｙ軸方向及びＺ軸方向に並行する平面を構成している。第１平面反射部１４は、Ｘ軸方向について隣り合う第１透光性基材１３の間に介在するよう、Ｘ軸方向について間欠的に並んで配されており、その配列ピッチが第１透光性基材１３の幅寸法とほぼ等しいものとされている。また、第１透光性基材１３は、Ｘ軸方向について隣り合う第１平面反射部１４の間に介在する形で配されている。

　第２素子基板１２は、図２に示すように、反射型結像素子１０の長辺方向（板面に沿う第２方向、Ｘ軸方向）に沿って延在する複数の第２透光性基材１５と、第２透光性基材１５の一側面に配されて反射型結像素子１０の長辺方向に沿って延在する複数の第２平面反射部１６と、を反射型結像素子１０の短辺方向（板面に沿う第１方向、Ｙ軸方向）に沿って交互に並列配置してなる。第２透光性基材１５は、ほぼ透明で優れた透光性を有するガラス材料または合成樹脂材料（例えばＰＭＭＡなどのアクリル樹脂など）からなり、第１透光性基材１３と同一材料とされる。従って、第１透光性基材１３及び第２透光性基材１５は、屈折率がほぼ等しくなっている。第２透光性基材１５は、第２素子基板１２の板面に沿うＸ軸方向に沿って延在する細長い角柱状（直方体状）をなしており、断面形状が略方形状になるよう形成されている。従って、第２透光性基材１５の延在方向は、第１透光性基材１３の延在方向と直交する関係にある。第２透光性基材１５は、図２及び図３に示すように、Ｙ軸方向に沿って複数が並列して配されるとともに、その並列方向についての幅寸法よりも高さ方向（Ｚ軸方向）についての高さ寸法の方が大きな縦長形状とされており、例えば高さ寸法が幅寸法の３倍程度とされている。第２透光性基材１５は、幅寸法及び高さ寸法が上記した第１透光性基材１３の幅寸法及び高さ寸法とそれぞれほぼ同じとされる。第２平面反射部１６は、表面における光反射性に優れた金属材料（銀、錫、アルミニウムなど）からなり、第２透光性基材１５における一側面に蒸着などの手法により一体的に固着されている。第２平面反射部１６は、第１平面反射部１４と同一材料とされる。この第２平面反射部１６により表面に当たった光を鏡面反射することが可能とされ、その反射光の進行方向が規則的なものとなる。第２平面反射部１６は、第２透光性基材１５の外周側面のうち、その延在方向であるＸ軸方向と、第２素子基板１２の板面と直交する方向であるＺ軸方向とに沿う片方の側面に配されている。従って、第２平面反射部１６は、Ｘ軸方向及びＺ軸方向に並行する平面を構成しており、第１平面反射部１４とは直交する関係にある。第２平面反射部１６は、Ｙ軸方向について隣り合う第２透光性基材１５の間に介在するよう、Ｙ軸方向について間欠的に並んで配されており、その配列ピッチが第２透光性基材１５の幅寸法とほぼ等しいものとされている。つまり、第２平面反射部１６は、その配列ピッチが第１平面反射部１４の配列ピッチとほぼ等しい。また、第２透光性基材１５は、Ｙ軸方向について隣り合う第２平面反射部１６の間に介在する形で配されている。以上のように第２素子基板１２は、基本構造が第１素子基板１１と同様とされており、第２透光性基材１５及び第２平面反射部１６の延在方向が、第１透光性基材１３及び第１平面反射部１４の延在方向と直交する点で相違している。

　上記したように第１素子基板１１及び第２素子基板１２は、基本構造がほぼ同じとされているため、次に示す２通りの製造方法のいずれかによって製造することが可能とされる。第１の製造方法では、図４に示すように、まず、各透光性基材１３，１５をなすガラス材料または合成樹脂材料からなる平板状の透光性母材ＴＭを製造し、その透光性母材ＴＭにおける表裏いずれか一方の板面上に、各平面反射部１４，１６をなす金属材料からなる反射部母材ＲＭを蒸着などによって形成する。次に、反射部母材ＲＭが形成された透光性母材ＴＭを、透光性母材ＴＭと反射部母材ＲＭとの順番が交互になるよう多数枚積層するとともに相互を図示しないほぼ透明な接着材などによって固着することで、母材ブロック体Ｂを製造する。そして、母材ブロック体Ｂを、各透光性母材ＴＭの板面と直交する方向に沿って切断することで、図５に示すように、第１素子基板１１または第２素子基板１２が得られる。一方、第２の製造方法では、図６に示すように、一側面に第１平面反射部１４または第２平面反射部１６が形成された第１透光性基材１３または第２透光性基材１５を別個に製造しておき、それら第１透光性基材１３または第２透光性基材１５を、第１平面反射部１４または第２平面反射部１６と、第１透光性基材１３または第２透光性基材１５との順番が交互になるよう並列しつつ図示しないほぼ透明な接着材などにより固着することで、第１素子基板１１または第２素子基板１２が得られる。なお、図４から図６では、一部の反射部母材ＲＭ、第１平面反射部１４、及び第２平面反射部１６を網掛け状にして図示している。

　このように第１素子基板１１及び第２素子基板１２は、母材ブロック体Ｂを切断したり、或いは別個に製造した各透光性基材１３，１５同士を固着することで製造されており、板面に沿う方向について各透光性基材１３，１５が各平面反射部１４，１６により断続的に仕切られた構造とされているため、第１素子基板１１及び第２素子基板１２における各板面の平滑性が低くなりがちとされ、その表面に微小な凹凸が生じ易くなっており、それに起因して光学性能が劣化することが懸念されていた。それを回避するには、例えば第１素子基板１１及び第２素子基板１２について表裏両方の板面をそれぞれ研磨することが考えられる。しかしながら、第１素子基板１１及び第２素子基板１２について表裏両方の板面をそれぞれ研磨するのには、製造工程に研磨工程を追加するとともに製造装置に研磨装置を追加する必要が生じ、しかも研磨工程のタクトタイムが長くかかることもあって製造コストが高くなるという問題が生じる。それに加えて、第１素子基板１１及び第２素子基板１２の各板面に沿って研磨を行うと、その研磨方向が各透光性基材１３，１５及び各平面光反射部１４，１６の並列方向と一致しているため、研磨に伴う力が各透光性基材１３，１５及び各平面光反射部１４，１６を剥離させるよう作用して第１素子基板１１及び第２素子基板１２が損壊などする事態の発生が懸念され、歩留まりが低下するおそれがあった。

　そこで、本実施形態では、図２及び図３に示すように、第１素子基板１１及び第２素子基板１２のうち、互いに対向する内側の板面（対向板面）１１ａ，１２ａとは反対側の外側の板面（反対板面）１１ｂ，１２ｂに対して、一対の平板１７，１８がそれぞれ対向する形で貼り合わせられている。一対の平板１７，１８のうち、第１素子基板１１に貼り合わせられるものを第１平板（平板）１７とし、第２素子基板１２に貼り合わせられるものを第２平板（平板）１８とする。一対の平板１７，１８は、共に平面に視て横長の方形状をなす一枚板状部材とされており、それぞれの内側の板面１７ａ，１８ａが各素子基板１１，１２における外側の板面１１ｂ，１２ｂと対向されつつ後述する各平板接着層１９，２０を介して貼り合わせられている。一対の平板１７，１８は、ほぼ透明で優れた透光性を有するガラス材料または合成樹脂材料（例えばＰＭＭＡなどのアクリル樹脂など）からなり、その屈折率が各透光性基材１３，１５とほぼ同じとされている。好ましくは、一対の平板１７，１８は、各透光性基材１３，１５と同一材料とされており、そのようにすれば屈折率以外にも熱膨張率などの物性値についても各透光性基材１３，１５の物性値と等しくなる。

　そして、一対の平板１７，１８は、図２及び図３に示すように、各素子基板１１，１２のように板面に沿う方向について各透光性基材１３，１５が各平面反射部１４，１６により断続的に仕切られた構造とは異なり、板面に沿う方向について途中に継ぎ目が存在しない、シームレスな一枚板構造とされているので、その板面における平滑性が各素子基板１１，１２に比べて相対的に高いものとされる。より詳しくは、一対の平板１７，１８の各板面における平滑性は、例えば各素子基板１１，１２の各板面に研磨加工を施した場合の平滑性と同等、或いはそれ以上に高いものとされる。一対の平板１７，１８は、互いに貼り合わせられた各素子基板１１，１２を外側から挟み込む形で配されており、それぞれの外側の板面１７ｂ，１８ｂが反射型結像素子１０における最外板面を構成している。従って、仮に各素子基板１１，１２における外側の板面１１ｂ，１２ｂが最外板面とされ、その外側の板面１１ｂ，１２ｂに対して直接光が入射したり、或いは同外側の板面１１ｂ，１２ｂから直接光が外部へと出射した場合に比べると、一対の平板１７，１８の外側の板面１７ｂ，１８ｂに光が入射したり、同外側の板面１７ｂ，１８ｂから光が出射する際にその界面において光の進行方向が不規則に変化させられ難くなる。これにより、各素子基板１１，１２における外側の板面１１ｂ，１２ｂの平滑性が芳しくない場合であっても、反射型結像素子１０の光学性能が劣化し難いものとなる。そして、本実施形態では、各素子基板１１，１２のそれぞれにおける内側及び外側（表側及び裏側）の両板面１１ａ，１１ｂ，１２ａ，１２ｂについて研磨加工が施されていないため、製造工程から研磨工程を省略し且つ製造装置から研磨装置を省略することができて製造コストの低減を図る上で極めて良好であるとともに、研磨作業の実施に伴って生じ得る不具合が回避されて歩留まり（良品率）の向上を図ることができる。

　上記した第１平板１７と第１素子基板１１との間と、第２平板１８と第２素子基板１２との間とには、図３に示すように、それぞれ第１平板１７と第１素子基板１１とを接着するための第１平板接着層１９と、第２平板１８と第２素子基板１２とを接着するための第２平板接着層２０とがそれぞれ介在する形で配されている。各平板接着層１９，２０は、光硬化性樹脂材料の一種であるほぼ透明で優れた透光性を有する紫外線硬化性樹脂材料（例えばＰＭＭＡなどのアクリル樹脂など）からなる。各平板接着層１９，２０をなす紫外線硬化性樹脂材料は、紫外線の照射を受ける前では流動性を有する液体状態とされるものの、紫外線の照射を受けると硬化して固体状態となる性質を有している。各平板接着層１９，２０は、同一の紫外線硬化性樹脂材料からなる。各平板接着層１９，２０は、その屈折率が各平板１７，１８及び各透光性基材１３，１５の各屈折率とほぼ等しくなっている。これにより、各平板１７，１８と各透光性基材１３，１５との間を行き来する光は、各平板１７，１８と各平板接着層１９，２０との間の界面、及び各透光性基材１３，１５と各平板接着層１９，２０との間の界面にて屈折されて進行方向が変化させられる事態が生じ難くなるので、反射型結像素子１０の光学性能がより劣化し難くなる。

　また、上記した第１素子基板１１と第２素子基板１２との間には、図３に示すように、両者１１，１２を接着するための基板間接着層２１が介在する形で配されている。基板間接着層２１は、光硬化性樹脂材料の一種であるほぼ透明で優れた透光性を有する紫外線硬化性樹脂材料（例えばＰＭＭＡなどのアクリル樹脂など）からなる。基板間接着層２１をなす紫外線硬化性樹脂材料は、紫外線の照射を受ける前では流動性を有する液体状態とされるものの、紫外線の照射を受けると硬化して固体状態となる性質を有している。基板間接着層２１は、その屈折率が第１透光性基材１３及び第２透光性基材１５の屈折率とほぼ等しくなっている。これにより、第１透光性基材１３と第２透光性基材１５との間を行き来する光は、第１透光性基材１３と基板間接着層２１との間の界面、及び第２透光性基材１５と基板間接着層２１との間の界面にて屈折されて進行方向が変化させられる事態が生じ難くなるので、反射型結像素子１０の光学性能がより劣化し難くなる。基板間接着層２１は、各平板接着層１９，２０と同一の紫外線硬化性樹脂材料からなる。

　次に、上記した構成の反射型結像素子１０における光学作用について詳しく説明する。液晶表示装置ＬＣＤにおける表示面に画像が表示されると、その画像を表示させている光が反射型結像素子１０における裏側の第１素子基板１１へと供給される（図１を参照）。反射型結像素子１０を構成する第１素子基板１１における第１透光性基材１３に入射した光は、図７及び図９に示すように、その側面に配された第１平面反射部１４により鏡面反射される。この第１平面反射部１４により反射された光には、入射角と同じ反射角が付与される。第１平面反射部１４による反射光は、第２素子基板１２における第２透光性基材１５に入射し、その側面に配された第２平面反射部１６により再び鏡面反射される。この第２平面反射部１６により反射された光には、入射角と同じ反射角が付与される。ここで、第２平面反射部１６は、図８及び図９に示すように、第１平面反射部１４に対して直交する位置関係とされているため、第２平面反射部１６による反射光は、第１平面反射部１４に対する入射光と平面に視てほぼ平行になる。従って、第２平面反射部１６による反射光が反射型結像素子１０から投影側（液晶表示装置ＬＣＤ側とは反対側）に出射すると、反射型結像素子１０を挟んで液晶表示装置ＬＣＤと対称位置に立体画像が結像し、使用者に立体画像を視認させることができる。

　上記のような光学作用を奏する反射型結像素子１０においては、既述した通り、各素子基板１１，１２における外側の板面１１ｂ，１２ｂに対して対向する形で一対の平板１７，１８が貼り合わせられており、液晶表示装置ＬＣＤから反射型結像素子１０へ向かう光が第１平板１７に入射し、反射型結像素子１０から投影側に向かう光が第２平板１８から出射するようになっている。より詳しくは、液晶表示装置ＬＣＤから反射型結像素子１０へ向かう光は、図３に示すように、まず第１平板１７の外側の板面１７ｂに入射する。この第１平板１７は、その板面における平滑性が第１素子基板１１に比べると高いものとされているので、外側の板面１７ｂへの入射光が不規則に屈折される事態が生じ難くなっている。このように第１平板１７の外側の板面１７ｂに対する入射光は、その界面にて規則的に屈折されつつ第１平板１７を透過した後、第１平板１７を第１素子基板１１に対して接着する第１平板接着層１９に入射する。第１平板接着層１９は、その屈折率が第１平板１７とほぼ同じであるから、第１平板接着層１９への入射光は第１平板１７との界面にて屈折されることが避けられ、ほぼ真っ直ぐに進行しつつ第１平板接着層１９を透過する。第１平板接着層１９を透過した光は、第１素子基板１１の第１透光性基材１３に入射するのだが、第１平板接着層１９と第１透光性基材１３との屈折率がほぼ同じとされているので、この入射時にも界面にて屈折されることが避けられ、第１透光性基材１３内をほぼ真っ直ぐに進行して第１平面反射部１４にて鏡面反射される。

　第１平面反射部１４による反射光は、図３に示すように、第１透光性基材１３を透過した後、基板間接着層２１に入射する。基板間接着層２１は、その屈折率が第１透光性基材１３とほぼ同じであるから、基板間接着層２１への入射光は第１透光性基材１３との界面にて屈折されることが避けられ、ほぼ真っ直ぐに進行しつつ基板間接着層２１を透過する。基板間接着層２１を透過した光は、第２素子基板１２の第２透光性基材１５に入射するのだが、基板間接着層２１と第２透光性基材１５との屈折率がほぼ同じとされているので、この入射時にも界面にて屈折されることが避けられ、第２透光性基材１５内をほぼ真っ直ぐに進行して第２平面反射部１６にて鏡面反射される。第２平面反射部１６による反射光は、第２透光性基材１５を透過した後、第２平板１８を第２素子基板１２に対して接着する第２平板接着層２０に入射する。第２平板接着層２０は、その屈折率が第２透光性基材１５とほぼ同じであるから、第２平板接着層２０への入射光は第２透光性基材１５との界面にて屈折されることが避けられ、ほぼ真っ直ぐに進行しつつ第２平板接着層２０を透過する。第２平板接着層２０を透過した光は、第２平板１８に入射するのだが、第２平板接着層２０と第２平板１８との屈折率がほぼ同じとされているので、この入射時にも界面にて屈折されることが避けられ、第２平板１８内をほぼ真っ直ぐに進行する。そして、第２平板１８を透過した光は、第２平板１８の外側の板面１８ｂから外部（投影側）へと出射する。この第２平板１８は、その板面における平滑性が第２素子基板１２に比べると高いものとされているので、外側の板面１８ｂからの入射光が不規則に屈折される事態が生じ難くなっている。このように第２平板１８の外側の板面１８ｂからの出射光は、その界面にて規則的に屈折されつつ外部へと出射される。

　以上のように、反射型結像素子１０に対する入射光、及び反射型結像素子１０からの出射光は、いずれも各素子基板１１，１２に比べて高い平滑性を備える各平板１７，１８の外側の板面１７ｂ，１８ｂが入光面及び出光面とされているから、入射時及び出射時に付与される屈折作用が規則的なものとなる。これにより、反射型結像素子１０からの出射光が立体画像の結像に利用される利用効率が高いものとなるので、明瞭な立体画像を使用者に視認させることができ、もって反射型結像素子１０の光学性能が高いものとなっている。しかも、各素子基板１１，１２の各透光性基材１３，１５、各平板１７，１８、各平板接着層１９，２０、及び基板間接着層２１における屈折率が全てほぼ等しくなるよう構成されているので、これらを透過する光が各界面において屈折され難く、それにより各平面反射部１４，１６による反射光などの進行方向が不規則に変化する事態が生じ難くなっている。これにより、反射型結像素子１０からの出射光をより多く立体画像の結像に用いることが可能となり、光の利用効率が高くなるとともに反射型結像素子１０の光学性能がより高いものとされる。

　続いて、反射型結像素子１０の製造方法について詳しく説明する。この反射型結像素子１０は、図１０から図１７に示すように、第１素子基板１１を製造する第１素子基板製造工程と、第２素子基板１２を製造する第２素子基板製造工程と、第１素子基板１１と第２素子基板１２とを互いの内側の板面１１ａ，１２ａが対向する形で貼り合わせる素子基板貼り合わせ工程と、第１素子基板１１における外側の板面１１ｂに対して第１平板１７を、第２素子基板１２における外側の板面１２ｂに対して第２平板１８を、それぞれ対向させつつ貼り合わせる平板貼り合わせ工程と、を経ることで製造される。なお、第１素子基板製造工程及び第２素子基板製造工程に関しては、既述した通りなので重複する説明は省略する（図４から図６を参照）。

　第１素子基板製造工程及び第２素子基板製造工程を経てそれぞれ製造された第１素子基板１１及び第２素子基板１２は、図１０に示すように、素子基板貼り合わせ工程において、第１透光性基材１３の延在方向と第２透光性基材１５の延在方向とが互いに直交する姿勢で且つ互いに内側の板面１１ａ，１２ａが対向する形で配されてから、相互に貼り合わされる。この貼り合わせに先立って第１素子基板１１における内側の板面１１ａには、図１１に示すように、基板間接着層２１を構成する液体状態の紫外線硬化性樹脂材料が全域または一部に塗布されているので、貼り合わせが行われると、図１２及び図１３に示すように、第１素子基板１１と第２素子基板１２との間で紫外線硬化性樹脂材料が押し拡げられつつ挟持される。その後、基板間接着層２１をなす紫外線硬化性樹脂材料に対して紫外線を照射することで、紫外線硬化性樹脂材料が液体状態から硬化して基板間接着層２１が形成され、それにより第１素子基板１１と第２素子基板１２とが強固に固着される。この素子基板貼り合わせ工程を行うに際し、第１素子基板１１及び第２素子基板１２における内側の板面１１ａ，１２ａには、事前に研磨加工が施されておらず、未研磨の状態のまま両素子基板１１，１２同士が貼り合わせられている。従って、この製造方法では、各素子基板１１，１２における内側の板面１１ａ，１２ａに対する研磨工程が省略されているから、研磨に伴って各素子基板１１，１２に生じ得る不具合が回避され、もって歩留まりが高いものとなっている。

　素子基板貼り合わせ工程を経て一体化された第１素子基板１１及び第２素子基板１２には、続いて行われる平板貼り合わせ工程により各平板１７，１８が貼り合わせられる。平板貼り合わせ工程においては、例えば、図１４及び図１５に示すように、まず第２素子基板１２における外側の板面１２ｂに対して第２平板接着層２０を構成する液体状態の紫外線硬化性樹脂材料を全域または一部に塗布される。続いて、第２素子基板１２における外側の板面１２ｂに対して第２平板１８における内側の板面１８ａを対向させつつ、第２平板１８を第２素子基板１２に対して貼り合わせると、図１６に示すように、第２平板１８と第２素子基板１２との間に紫外線硬化性樹脂材料が押し拡げられつつ挟持される。その後、第２平板接着層２０をなす紫外線硬化性樹脂材料に対して紫外線を照射することで、紫外線硬化性樹脂材料が液体状態から硬化して第２平板接着層２０が形成され、それにより第２平板１８と第２素子基板１２とが強固に固着される。次に、図１７に示すように、第１素子基板１１における外側の板面１１ｂに対して第１平板接着層１９を構成する液体状態の紫外線硬化性樹脂材料を全域または一部に塗布される。続いて、第１素子基板１１における外側の板面１１ｂに対して第１平板１７における内側の板面１７ａを対向させつつ、第１平板１７を第１素子基板１１に対して貼り合わせると、図３に示すように、第１平板１７と第１素子基板１１との間に紫外線硬化性樹脂材料が押し拡げられつつ挟持される。その後、第１平板接着層１９をなす紫外線硬化性樹脂材料に対して紫外線を照射することで、紫外線硬化性樹脂材料が液体状態から硬化して第１平板接着層１９が形成され、それにより第１平板１７と第１素子基板１１とが強固に固着される。この平板基板貼り合わせ工程を行うに際し、第１素子基板１１及び第２素子基板１２における外側の板面１１ｂ，１２ｂには、事前に研磨加工が施されておらず、未研磨の状態のまま各平板１７，１８が貼り合わせられている。従って、この製造方法では、各素子基板１１，１２における外側の板面１１ｂ，１２ｂに対する研磨工程が省略されているから、研磨に伴って各素子基板１１，１２に生じ得る不具合が回避され、もって歩留まりが高いものとなっている。

　以上説明したように本実施形態の反射型結像素子１０は、板面と直交する複数の第１平面反射部１４と、透光性を有するとともに第１平面反射部１４に並行する形で延在する複数の第１透光性基材１３とを交互に並列配置してなる第１素子基板１１と、内側の板面１２ａが第１素子基板１１における内側の板面１１ａと対向する形で貼り合わせられる第２素子基板１２であって、板面と直交し且つ第１平面反射部１４と直交する複数の第２平面反射部１６と、透光性を有するとともに第２平面反射部１６に並行する形で延在する複数の第２透光性基材１５とを交互に並列配置してなる第２素子基板１２と、一枚板状をなしていて、第１素子基板１１と第２素子基板１２との少なくともいずれか一方における外側の板面１１ｂ，１２ｂに対して対向する形で貼り合わせられる平板１７，１８と、を備える。

　このようにすれば、例えば被投影物側から第１素子基板１１の外側の板面１１ｂに入射した光は、第１透光性基材１３を透過しつつ第１平面反射部１４にて反射されてから、第２透光性基材１５を透過しつつ第２平面反射部１６にて反射された後に、第２素子基板１２の外側の板面１２ｂから出射する。第１平面反射部１４と第２平面反射部１６とは互いに直交する形で配されているので、第２素子基板１２の外側の板面１２ｂからの出射光の進行方向は、第１素子基板１１の外側の板面１１ｂに対する入射光の進行方向に対してほぼ平行になる。これにより、被投影物に対して当該反射型結像素子１０を挟んだ反対側の位置に、被投影物を投影した立体像を結像させることが可能とされる。

　ここで、第１素子基板１１及び第２素子基板１２は、それぞれ第１平面反射部１４及び第２平面反射部１６と、第１透光性基材１３及び第２透光性基材１５とを交互に並列配置してなる構成とされているため、各板面１１ａ，１１ｂ，１２ａ，１２ｂの平滑性が低くなりがちとされ、それに起因して光学性能が劣化することが懸念されていた。その点、第１素子基板１１と第２素子基板１２との少なくともいずれか一方における外側の板面１１ｂ，１２ｂには、一枚板状をなす平板１７，１８が対向する形で貼り合わせられているから、平板１７，１８が貼り合わせられた外側の板面１１ｂ，１２ｂへの入射光または同外側の板面１１ｂ，１２ｂからの出射光は、いずれも平板１７，１８を透過することになる。この平板１７，１８は、一枚板状をなしており、第１素子基板１１及び第２素子基板１２に比べて高い平滑性を有しているから、透過光の進行方向が不規則に変化させられる事態が生じ難いものとなっている。これにより、平板１７，１８が貼り合わせられた外側の板面１１ｂ，１２ｂにおける平滑性が芳しくない場合であっても、当該反射型結像素子１０の光学性能が劣化し難くなる。そして、少なくとも平板１７，１８が貼り合わせられた外側の板面１１ｂ，１２ｂに関しては、平滑性を高めるための研磨作業を行わなくても済むことになるから、それにより製造コストの削減を図ることができるとともに研磨作業の実施に伴って生じ得る不具合が回避されて歩留まりの向上を図ることができる。

　また、平板１７，１８、及び第１素子基板１１と第２素子基板１２との少なくともいずれか一方は、間に介在する形で配される平板接着層１９，２０により接着されるとともに、平板１７，１８、及び第１素子基板１１の第１透光性基材１３と第２素子基板１２の第２透光性基材１５とのうち平板１７，１８が貼り合わせられた少なくともいずれか一方における屈折率が互いに等しくされており、平板接着層１９，２０は、その屈折率が、平板１７，１８、及び第１素子基板１１の第１透光性基材１３と第２素子基板１２の第２透光性基材１５とのうち平板１７，１８が貼り合わせられた少なくともいずれか一方における屈折率と等しい材料からなる。このようにすれば、例えば平板１７，１８に入射した光は、平板接着層１９，２０を透過した後に第１素子基板１１の第１透光性基材１３と第２素子基板１２の第２透光性基材１５とのうち平板１７，１８が貼り合わせられた少なくともいずれか一方を透過する。ここで、平板１７，１８、平板接着層１９，２０、及び第１素子基板１１の第１透光性基材１３と第２素子基板１２の第２透光性基材１５とのうち平板１７，１８が貼り合わせられた少なくともいずれか一方は、互いに屈折率が等しいものとされているから、これらを透過する光が各界面にて屈折されて進行方向が変化させられる事態が生じ難くなり、当該反射型結像素子１０の光学性能がより劣化し難くなる。従って、例えば第１素子基板１１と第２素子基板１２との少なくともいずれか一方における外側の板面１１ｂ，１２ｂが未研磨の状態で使用された場合でも、十分に高い光学性能を得ることができる。

　また、平板１７，１８は、第１素子基板１１の外側の板面１１ｂと、第２素子基板１２の外側の板面１２ｂとにそれぞれ平板接着層１９，２０を介して貼り合わせられている。このようにすれば、平板１７，１８、各平板接着層１９，２０、第１素子基板１１の第１透光性基材１３、及び第２素子基板１２の第２透光性基材１５を透過する光が各界面にて屈折されて進行方向が変化させられる事態が一層生じ難くなり、当該反射型結像素子１０の光学性能が一層劣化し難くなる。従って、例えば第１素子基板１１及び第２素子基板１２におけるそれぞれの外側の板面１１ｂ，１２ｂが共に未研磨の状態で使用された場合でも、十分に高い光学性能を得ることができる。

　また、第１素子基板１１及び第２素子基板１２は、間に介在する形で配される基板間接着層２１により接着されるとともに第１透光性基材１３及び第２透光性基材１５における屈折率が互いに等しくされており、基板間接着層２１は、その屈折率が第１透光性基材１３及び第２透光性基材１５における屈折率と等しい材料からなる。このようにすれば、例えば第１透光性基材１３を透過しつつ第１平面反射部１４にて反射された光は、基板間接着層２１を透過した後に、第２透光性基材１５を透過しつつ第２平面反射部１６にて反射される。ここで、第１透光性基材１３、基板間接着層２１、及び第２透光性基材１５は、互いに屈折率が等しいものとされているから、これらを透過する光が各界面にて屈折されて進行方向が変化させられる事態が生じ難くなり、当該反射型結像素子１０の光学性能がより劣化し難くなる。従って、例えば第１素子基板１１及び第２素子基板１２におけるそれぞれの内側の板面１１ａ，１２ａが共に未研磨の状態で使用された場合でも、十分に高い光学性能を得ることができる。

　また、本実施形態の反射型結像素子１０の製造方法は、板面と直交する複数の第１平面反射部１４と、透光性を有するとともに第１平面反射部１４に並行する形で延在する複数の第１透光性基材１３とを交互に並列配置してなる第１素子基板１１に対して、板面と直交し且つ第１平面反射部１４と直交する複数の第２平面反射部１６と、透光性を有するとともに第２平面反射部１６に並行する形で延在する複数の第２透光性基材１５とを交互に並列配置してなる第２素子基板１２を、その内側の板面１２ａが第１素子基板１１における内側の板面１１ａと対向する形で貼り合わせる素子基板貼り合わせ工程と、第１素子基板１１と第２素子基板１２との少なくともいずれか一方における外側の板面１１ｂ，１２ｂに対して一枚板状をなす平板１７，１８を対向する形で貼り合わせる第１平板貼り合わせ工程及び第２平板貼り合わせ工程（平板貼り合わせ工程）と、を備える。

　このようにすれば、素子基板貼り合わせ工程を経て互いに内側の板面１１ａ，１２ａが対向する形で第１素子基板１１と第２素子基板１２とが貼り合わせられるとともに、第１平板貼り合わせ工程及び第２平板貼り合わせ工程を経て第１素子基板１１と第２素子基板１２との少なくともいずれか一方に対して一枚板状をなす平板１７，１８が他方の板面に対して対向する形で貼り合わせられることで、当該反射型結像素子１０が製造される。製造された反射型結像素子１０においては、例えば被投影物側から第１素子基板１１の外側の板面１１ｂに入射した光は、第１透光性基材１３を透過しつつ第１平面反射部１４にて反射されてから、第２透光性基材１５を透過しつつ第２平面反射部１６にて反射された後に、第２素子基板１２の外側の板面１２ｂから出射する。第１平面反射部１４と第２平面反射部１６とは互いに直交する形で配されているので、第２素子基板１２の外側の板面１２ｂからの出射光の進行方向は、第１素子基板１１の外側の板面１１ｂに対する入射光の進行方向に対してほぼ平行になる。これにより、被投影物に対して当該反射型結像素子１０を挟んだ反対側の位置に、被投影物を投影した立体像を結像させることが可能とされる。

　ここで、第１素子基板１１及び第２素子基板１２は、それぞれ第１平面反射部１４及び第２平面反射部１６と、第１透光性基材１３及び第２透光性基材１５とを交互に並列配置してなる構成とされているため、各板面の平滑性が低くなりがちとされ、それに起因して光学性能が劣化することが懸念されていた。その点、第１素子基板１１と第２素子基板１２との少なくともいずれか一方における外側の板面１１ｂ，１２ｂには、一枚板状をなす平板１７，１８が対向する形で貼り合わせられているから、平板１７，１８が貼り合わせられた外側の板面１１ｂ，１２ｂへの入射光または同外側の板面１１ｂ，１２ｂからの出射光は、いずれも平板１７，１８を透過することになる。この平板１７，１８は、一枚板状をなしており、第１素子基板１１及び第２素子基板１２に比べて高い平滑性を有しているから、透過光の進行方向が不規則に変化させられる事態が生じ難いものとなっている。これにより、平板１７，１８が貼り合わせられた外側の板面１１ｂ，１２ｂにおける平滑性が芳しくない場合であっても、当該反射型結像素子１０の光学性能が劣化し難くなる。そして、少なくとも平板１７，１８が貼り合わせられた外側の板面１１ｂ，１２ｂに関しては、平滑性を高めるための研磨作業を行わなくても済むことになるから、それにより製造コストの削減を図ることができるとともに研磨作業の実施に伴って生じ得る不具合が回避されて歩留まりの向上を図ることができる。

　また、第１平板貼り合わせ工程及び第２平板貼り合わせ工程では、第１素子基板１１及び第２素子基板１２に対してそれぞれ平板１７，１８を貼り合わせている。このようにすれば、第１平板貼り合わせ工程及び第２平板貼り合わせ工程を経ることで、第１素子基板１１及び第２素子基板１２の双方に平板１７，１８がそれぞれ貼り合わせられる。従って、例えば第１素子基板１１及び第２素子基板１２におけるそれぞれの外側の板面１１ｂ，１２ｂが共に未研磨の状態で使用された場合でも、十分に高い光学性能を得ることができる。

　また、素子基板貼り合わせ工程は、第１平板貼り合わせ工程及び第２平板貼り合わせ工程に先立って行われている。このようにすれば、第１平板貼り合わせ工程及び第２平板貼り合わせ工程に先立って素子基板貼り合わせ工程を行うことで、素子基板貼り合わせ工程において、第１素子基板１１の第１平面反射部１４と、第２素子基板１２の第２平面反射部１６との位置決めをより容易に且つ精密に行うことが可能となる。

　＜実施形態２＞
　本発明の実施形態２を図１８から図２４によって説明する。この実施形態２では、各素子基板１１１，１１２における内側の板面１１１ａ，１１２ａに対してのみ研磨加工を施したものを示す。なお、上記した実施形態１と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。

　本実施形態に係る反射型結像素子１１０は、図１８に示すように、第１素子基板１１１及び第２素子基板１１２における内側の板面１１１ａ，１１２ａがそれぞれ研磨加工を施されて被研磨面とされることで、未研磨とされる外側の板面１１１ｂ，１１２ｂに比べて相対的に高い平滑性を有する構成となっている。第１素子基板１１１及び第２素子基板１１２における内側の板面１１１ａ，１１２ａは、基板間接着層１２１を介して互いに対向する対向板面とされており、このうち第１素子基板１１１における内側の板面１１１ａは、外部から第１素子基板１１１に入射した光を第２素子基板１１２に向けて出射させる出光面とされるのに対し、第２素子基板１１２における内側の板面１１２ａは、第１素子基板１１１からの出射光を受け入れる入光面とされる。そして、これらの内側の板面１１１ａ，１１２ａが研磨加工により平滑性が高められることで、基板間接着層１２１に対する密着性が高められることもあって、第１素子基板１１１と第２素子基板１１２との間を行き来する光が途中で屈折などされて進行方向が不規則に変化される事態が極めて生じ難くなり、もって反射型結像素子１１０の光学性能が一層高いものとなる。続いて、上記した構成の反射型結像素子１１０の製造方法について説明する。

　反射型結像素子１１０は、図１９から図２４に示すように、第１素子基板製造工程を経て製造された第１素子基板１１１に対して第１平板１１７を貼り合わせる第１平板貼り合わせ工程（平板貼り合わせ工程）と、第１平板１１７が貼り合わせられた第１素子基板１１１における内側の板面１１１ａを研磨する第１研磨工程（研磨工程）と、第２素子基板製造工程を経て製造された第２素子基板１１２に対して第２平板１１８を貼り合わせる第２平板貼り合わせ工程（平板貼り合わせ工程）と、第２平板１１８が貼り合わせられた第２素子基板１１２における内側の板面１１２ａを研磨する第２研磨工程（研磨工程）と、第１素子基板１１１と第２素子基板１１２とを互いの内側の板面１１１ａ，１１２ａが対向する形で貼り合わせる素子基板貼り合わせ工程と、を経ることで製造される。

　第１平板貼り合わせ工程では、図１９に示すように、第１素子基板１１１における外側の板面１１１ｂに対して第１平板接着層１１９をなす液体状態の紫外線硬化性樹脂材料を塗布してから、第１平板１１７が貼り合わせられる。その後、第１平板接着層１１９をなす液体状態の紫外線硬化性樹脂材料に対して紫外線を照射して紫外線硬化性樹脂材料を硬化させて第１平板接着層１１９を形成することで、図２０に示すように、第１平板１１７が第１素子基板１１１に対して強固に固着される。続いて行われる第１研磨工程では、第１素子基板１１１における内側の板面１１１ａが図示しない研磨装置により全域にわたって研磨される。具体的には、例えば研磨装置には砥石などの研磨材がセットされており、その研磨材を高速回転させつつ第１素子基板１１１における内側の板面１１１ａに押し当てることで、内側の板面１１１ａを研磨している。この研磨加工では、第１素子基板１１１には、内側の板面１１１ａに沿う方向（Ｘ軸方向及びＹ軸方向）に非常に大きな力が作用し、それに起因して互いに固着された第１透光性基材１１３（第１平面反射部１１４）同士が剥離させられることが懸念される。ところが、本実施形態では、第１研磨工程に先立って第１平板貼り合わせ工程を行うようにしているから、研磨加工が施される第１素子基板１１１には、既に第１平板１１７が貼り合わせられていて機械的な補強が図られている。従って、第１研磨工程において行われる研磨加工に伴って第１素子基板１１１が損傷を受ける事態が発生し難いものとされている。そして、研磨された第１素子基板１１１における内側の板面１１１ａは、図２１に示すように、外側の板面１１１ｂに比べると、表面に存在していた微小な凹凸が除去されるか若しくはより小さな凹凸とされていて、平滑性が高められている。

　第２平板貼り合わせ工程では、図２２に示すように、第２素子基板１１２における外側の板面１１２ｂに対して第２平板接着層１２０をなす液体状態の紫外線硬化性樹脂材料を塗布してから、第２平板１１８が貼り合わせられる。その後、第２平板接着層１２０をなす液体状態の紫外線硬化性樹脂材料に対して紫外線を照射して紫外線硬化性樹脂材料を硬化させて第２平板接着層１２０を形成することで、図２３に示すように、第２平板１１８が第２素子基板１１２に対して強固に固着される。続いて行われる第２研磨工程では、第２素子基板１１２における内側の板面１１２ａが図示しない研磨装置により全域にわたって研磨される。具体的には、例えば研磨装置には砥石などの研磨材がセットされており、その研磨材を高速回転させつつ第２素子基板１１２における内側の板面１１２ａに押し当てることで、内側の板面１１２ａを研磨している。この研磨加工では、第２素子基板１１２には、内側の板面１１２ａに沿う方向（Ｘ軸方向及びＹ軸方向）に非常に大きな力が作用し、それに起因して互いに固着された第２透光性基材１１５（第２平面反射部１１６）同士が剥離させられることが懸念される。ところが、本実施形態では、第２研磨工程に先立って第２平板貼り合わせ工程を行うようにしているから、研磨加工が施される第２素子基板１１２には、既に第２平板１１８が貼り合わせられていて機械的な補強が図られている。従って、第２研磨工程において行われる研磨加工に伴って第２素子基板１１２が損傷を受ける事態が発生し難いものとされている。そして、研磨された第２素子基板１１２における内側の板面１１２ａは、図２４に示すように、外側の板面１１２ｂに比べると、表面に存在していた微小な凹凸が除去されるか若しくはより小さな凹凸とされていて、平滑性が高められている。

　上記のように各研磨工程を経ることでそれぞれ内側の板面１１１ａ，１１２ａに研磨加工が施された第１素子基板１１１と第２素子基板１１２とは、その後に行われる素子基板貼り合わせ工程を経ることで、図１８に示すように、基板間接着層１２１を介して互いに貼り合わせられる。なお、素子基板貼り合わせ工程は、上記した実施形態１と同様であるから、重複する説明は省略する。

　以上説明したように本実施形態の反射型結像素子１１０によれば、第１素子基板１１１及び第２素子基板１１２は、それぞれにおける内側の板面１１１ａ，１１２ａが研磨処理をなされた被研磨面とされている。このようにすれば、基板間接着層１２１により接着される第１素子基板１１１及び第２素子基板１１２のそれぞれにおける内側の板面１１１ａ，１１２ａが被研磨面とされることで、被研磨面とされた各内側の板面１１１ａ，１１２ａを光が透過する際に光の進行方向が不規則に変化させられる事態が生じ難いものとされる。これにより、当該反射型結像素子１１０の光学性能が一層劣化し難くなる。

　また、本実施形態の反射型結像素子１１０の製造方法は、第１平板貼り合わせ工程及び第２平板貼り合わせ工程（平板貼り合わせ工程）は、素子基板貼り合わせ工程に先立って行われており、第１平板貼り合わせ工程及び第２平板貼り合わせ工程を行ってから素子基板貼り合わせ工程を行うまでの間に、第１素子基板１１１及び第２素子基板１１２における内側の板面１１１ａ，１１２ａをそれぞれ研磨する研磨工程を備える。このようにすれば、研磨工程を経て第１素子基板１１１及び第２素子基板１１２における内側の板面１１１ａ，１１２ａがそれぞれ研磨されることで、各内側の板面１１１ａ，１１２ａを光が透過する際に光の進行方向が不規則に変化させられる事態が生じ難いものとされる。これにより、当該反射型結像素子１１０の光学性能が一層劣化し難くなる。しかも、研磨工程において研磨される第１素子基板１１１及び第２素子基板１１２における外側の板面１１１ｂ，１１２ｂには、それぞれ平板１１７，１１８が貼り合わせられているので、各平板１１７，１１８によって第１素子基板１１１及び第２素子基板１１２の補強が図られている。これにより、研磨に伴って第１素子基板１１１及び第２素子基板１１２に作用する力に起因して第１透光性基材１１３及び第２透光性基材１１５が剥離するなどといった事態を生じ難くすることができる。

　＜実施形態３＞
　本発明の実施形態３を図２５から図２７によって説明する。この実施形態３では、上記した実施形態１から、第２平板を省略し、第２素子基板２１２における外側の板面２１２ｂに研磨加工を施した点を変更したものを示す。なお、上記した実施形態１と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。

　本実施形態に係る反射型結像素子２１０は、図２５に示すように、第１素子基板２１１における外側の板面２１１ｂに第１平板２１７が貼り合わせられているのに対して、第２素子基板２１２における外側の板面２１２ｂには上記した実施形態１のように第２平板が貼り合わせられておらず、外部に露出するとともに研磨加工が施されることで被研磨面とされている。従って、第２素子基板２１２における外側の板面２１２ｂは、未研磨とされる内側の板面２１２ａや第１素子基板２１１における両板面２１１ａ，２１１ｂに比べると、相対的に高い平滑性を有している。第２素子基板２１２における外側の板面２１２ｂは、反射型結像素子２１０から投影側に向けて光を出射する出光面を構成していることから、その表面における平滑性が高められることで、出射光に係る光学性能が十分に良好なものとされる。しかも、上記した実施形態１のように、第２平板を要しないことから第２平板に係る部材コストの低減を図ることができる。続いて、上記した構成の反射型結像素子２１０の製造方法について説明する。

　反射型結像素子２１０は、図２６及び図２７に示すように、第１素子基板製造工程を経て製造された第１素子基板２１１と第２素子基板製造工程を経て製造された第２素子基板２１２とを互いの内側の板面２１１ａ，２１２ａが対向する形で貼り合わせる素子基板貼り合わせ工程と、第１素子基板２１１に対して第１平板２１７を貼り合わせる平板貼り合わせ工程と、第２素子基板２１２における外側の板面２１２ｂを研磨する研磨工程と、を経ることで製造される。

　詳しくは、図２６に示すように、素子基板貼り合わせ工程を経て第１素子基板２１１と第２素子基板２１２とを貼り合わせた後に、平板貼り合わせ工程を行うことで、図２７に示すように、第１素子基板２１１における外側の板面２１１ｂに対して第１平板２１７が貼り合わせられる。なお、これら素子基板貼り合わせ工程及び平板貼り合わせ工程は、上記した実施形態１に記載した素子基板貼り合わせ工程及び第１平板貼り合わせ工程と同様であるから、重複する説明は省略する。その後に行われる研磨工程では、第２素子基板２１２における外側の板面２１２ｂが図示しない研磨装置により全域にわたって研磨される。具体的には、例えば研磨装置には砥石などの研磨材がセットされており、その研磨材を高速回転させつつ第２素子基板２１２における外側の板面２１２ｂに押し当てることで、外側の板面２１２ｂを研磨している。この研磨加工では、第２素子基板２１２には、外側の板面２１２ｂに沿う方向（Ｘ軸方向及びＹ軸方向）に非常に大きな力が作用し、それに起因して互いに固着された第２透光性基材２１５（第２平面反射部２１６）同士が剥離させられることが懸念される。ところが、本実施形態では、研磨工程に先立って平板貼り合わせ工程を行うようにしているから、研磨加工が施される第２素子基板２１２には、既に第１素子基板２１１及び第１平板２１７が貼り合わせられていて第１平板２１７により機械的な補強が図られている。従って、研磨工程において行われる研磨加工に伴って第２素子基板２１２が損傷を受ける事態が発生し難いものとされている。そして、研磨された第２素子基板２１２における外側の板面２１２ｂは、図２５に示すように、内側の板面２１２ａに比べると、表面に存在していた微小な凹凸が除去されるか若しくはより小さな凹凸とされていて、平滑性が高められている。

　以上説明したように本実施形態の反射型結像素子２１０によれば、第１素子基板２１１と第２素子基板２１２とのいずれか一方である第１素子基板２１１には、第１平板（平板）２１７が第１平板接着層（平板接着層）２１９を介して貼り合わせられているのに対し、第１素子基板２１１と第２素子基板２１２とのうちの平板が貼り合わせられない他方である第２素子基板２１２における外側の板面２１２ｂは、研磨処理がなされた被研磨面とされている。このようにすれば、第１平板２１７が第１素子基板２１１と第２素子基板２１２とのいずれか一方である第１素子基板２１１に対してのみ第１平板接着層２１９を介して貼り合わせられるので、仮に両素子基板に対して平板をそれぞれ貼り合わせた場合に比べると、平板の使用枚数を削減することができる。第１素子基板２１１と第２素子基板２１２とのうちの第１平板２１７が貼り合わせられない他方である第２素子基板２１２については、その外側の板面２１２ｂが、研磨処理がなされた被研磨面とされているので、外側の板面２１２ｂを光が透過する際に光の進行方向が不規則に変化させられる事態が生じ難いものとされ、もって当該反射型結像素子２１０の光学性能が一層劣化し難くなる。

　また、本実施形態の反射型結像素子２１０の製造方法は、平板貼り合わせ工程では、第１素子基板２１１と第２素子基板２１２とのいずれか一方である第１素子基板２１１に対して第１平板（平板）２１７を貼り合わせており、平板貼り合わせ工程及び素子基板貼り合わせ工程を行った後に、第１素子基板２１１と第２素子基板２１２とのうちの第１平板１７が貼り合わせられない他方である第２素子基板における外側の板面２１２ｂを研磨する研磨工程を備える。このようにすれば、平板貼り合わせ工程において、第１平板２１７が第１素子基板２１１と第２素子基板２１２とのいずれか一方である第１素子基板２１１に対してのみ貼り合わせられるので、仮に両素子基板に対して平板をそれぞれ貼り合わせた場合に比べると、平板の使用枚数を削減することができる。第１素子基板２１１と第２素子基板２１２とのうちの第１平板２１７が貼り合わせられない他方である第２素子基板２１２については、研磨工程を経ることで外側の板面２１２ｂが研磨されることで、光学性能の劣化が抑制されている。しかも、研磨工程において研磨される第１素子基板２１１と第２素子基板２１２とのうちの第１平板２１７が貼り合わせられた一方側である第１素子基板２１１における外側の板面２１１ｂには、第１平板２１７が貼り合わせられているので、第１平板２１７によって第１素子基板２１１及び第２素子基板２１２の補強が図られている。これにより、研磨に伴って第１素子基板２１１と第２素子基板２１２とのうちの第１平板２１７が貼り合わせられない他方である第２素子基板２１２に作用する力に起因して第１透光性基材２１３と第２透光性基材２１５とのうちの他方である第２透光性基材２１５が剥離する、などの事態を生じ難くすることができる。

　＜実施形態４＞
　本発明の実施形態４を図２８から図３１によって説明する。この実施形態４では、上記した実施形態１から、第１平板を省略し、第１素子基板３１１における外側の板面３１１ｂ、及び第２素子基板３１２における内側の板面３１２ａに研磨加工を施した点を変更したものを示す。なお、上記した実施形態１と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。

　本実施形態に係る反射型結像素子３１０は、図２８に示すように、第２素子基板３１２における外側の板面３１２ｂに第２平板３１８が貼り合わせられているのに対して、第１素子基板３１１における外側の板面３１１ｂには上記した実施形態１のように第１平板が貼り合わせられておらず、外部に露出するとともに研磨加工が施されることで被研磨面とされている。その上で、第２素子基板３１２における内側の板面３１２ａには、研磨加工を施されて被研磨面とされている。従って、第１素子基板３１１における外側の板面３１１ｂ、及び第２素子基板３１２における内側の板面３１２ａは、未研磨とされる第１素子基板３１１における内側の板面３１１ａ、及び第２素子基板３１２における外側の板面３１２ｂに比べると、相対的に高い平滑性を有している。第１素子基板３１１における外側の板面３１１ｂは、反射型結像素子３１０に対して光が入射する入光面を構成していることから、その表面における平滑性が高められることで、入射光に係る光学性能が十分に良好なものとされる。しかも、上記した実施形態１のように、第１平板を要しないことから第１平板に係る部材コストの低減を図ることができる。さらには、第２素子基板３１２のうち第１素子基板３１１と対向する内側の板面３１２ａにおける平滑性が高められることで、光学性能がより高いものとされる。続いて、上記した構成の反射型結像素子３１０の製造方法について説明する。

　反射型結像素子３１０は、図２９から図３１に示すように、第２素子基板製造工程を経て製造された第２素子基板３１２に対して第２平板３１８を貼り合わせる平板貼り合わせ工程と、第２平板３１８が貼り合わせられた第２素子基板３１２における内側の板面３１２ａを研磨する第１研磨工程（研磨工程）と、第１素子基板製造工程を経て製造された第１素子基板３１１と第２素子基板３１２とを互いの内側の板面３１１ａ，３１２ａが対向する形で貼り合わせる素子基板貼り合わせ工程と、第１素子基板３１１における外側の板面３１１ｂを研磨する第１研磨工程（研磨工程）と、を経ることで製造される。

　平板貼り合わせ工程では、図２９に示すように、第２素子基板３１２における外側の板面３１２ｂに対して第２平板接着層３２０をなす液体状態の紫外線硬化性樹脂材料を塗布してから、第２平板３１８が貼り合わせられる。その後、第２平板接着層３２０をなす液体状態の紫外線硬化性樹脂材料に対して紫外線を照射して紫外線硬化性樹脂材料を硬化させて第２平板接着層３２０を形成することで、第２平板３１８が第２素子基板３１２に対して強固に固着される。続いて行われる第１研磨工程では、第２素子基板３１２における内側の板面３１２ａが図示しない研磨装置により全域にわたって研磨される。具体的には、例えば研磨装置には砥石などの研磨材がセットされており、その研磨材を高速回転させつつ第２素子基板３１２における内側の板面３１２ａに押し当てることで、内側の板面３１２ａを研磨している。この研磨加工では、第２素子基板３１２には、内側の板面３１２ａに沿う方向（Ｘ軸方向及びＹ軸方向）に非常に大きな力が作用し、それに起因して互いに固着された第２透光性基材３１５（第２平面反射部３１６）同士が剥離させられることが懸念される。ところが、本実施形態では、第２研磨工程に先立って第２平板貼り合わせ工程を行うようにしているから、研磨加工が施される第２素子基板３１２には、既に第２平板３１８が貼り合わせられていて機械的な補強が図られている。従って、第１研磨工程において行われる研磨加工に伴って第２素子基板３１２が損傷を受ける事態が発生し難いものとされている。そして、研磨された第２素子基板３１２における内側の板面３１２ａは、図３０に示すように、外側の板面３１２ｂに比べると、表面に存在していた微小な凹凸が除去されるか若しくはより小さな凹凸とされていて、平滑性が高められている。

　次に、素子基板貼り合わせ工程が行われることで、図３１に示すように、第１素子基板３１１と第２素子基板３１２とが貼り合わせられる。なお、この素子基板貼り合わせ工程は、上記した実施形態１に記載した素子基板貼り合わせ工程と同様であるから、重複する説明は省略する。その後に行われる第２研磨工程では、第１素子基板３１１における外側の板面３１１ｂが図示しない研磨装置により全域にわたって研磨される。具体的には、例えば研磨装置には砥石などの研磨材がセットされており、その研磨材を高速回転させつつ第１素子基板３１１における外側の板面３１１ｂに押し当てることで、外側の板面３１１ｂを研磨している。この研磨加工では、第１素子基板３１１には、外側の板面３１１ｂに沿う方向（Ｘ軸方向及びＹ軸方向）に非常に大きな力が作用し、それに起因して互いに固着された第２透光性基材３１３（第２平面反射部３１４）同士が剥離させられることが懸念される。ところが、本実施形態では、第２研磨工程に先立って平板貼り合わせ工程を行うようにしているから、研磨加工が施される第１素子基板３１１には、既に第２素子基板３１２及び第２平板３１８が貼り合わせられていて第２平板３１８により機械的な補強が図られている。従って、研磨工程において行われる研磨加工に伴って第１素子基板３１１が損傷を受ける事態が発生し難いものとされている。そして、研磨された第１素子基板３１１における外側の板面３１１ｂは、図２８に示すように、内側の板面３１１ａに比べると、表面に存在していた微小な凹凸が除去されるか若しくはより小さな凹凸とされていて、平滑性が高められている。

　＜実施形態５＞
　本発明の実施形態５を図３２から図３４によって説明する。この実施形態５では、上記した実施形態１から、第１素子基板４１１における外側の板面４１１ｂに研磨加工を施した点を変更したものを示す。なお、上記した実施形態１と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。

　本実施形態に係る反射型結像素子４１０は、図３２に示すように、第２素子基板４１２における外側の板面４１２ｂに第２平板４１８が貼り合わせられているのに対して、第１素子基板４１１における外側の板面４１１ｂには上記した実施形態１のように第１平板が貼り合わせられておらず、外部に露出するとともに研磨加工が施されることで被研磨面とされている。従って、第１素子基板４１１における外側の板面４１１ｂは、未研磨とされる内側の板面４１１ａや第２素子基板４１２における両板面４１２ａ，４１２ｂに比べると、相対的に高い平滑性を有している。第１素子基板４１１における外側の板面４１１ｂは、反射型結像素子４１０に対して光が入射する入光面を構成していることから、その表面における平滑性が高められることで、入射光に係る光学性能が十分に良好なものとされる。続いて、上記した構成の反射型結像素子４１０の製造方法について説明する。

　反射型結像素子４１０は、図３３及び図３４に示すように、第１素子基板製造工程を経て製造された第１素子基板４１１と第２素子基板製造工程を経て製造された第２素子基板４１２とを互いの内側の板面４１１ａ，４１２ａが対向する形で貼り合わせる素子基板貼り合わせ工程と、第１素子基板４１１に対して第１平板４１７を貼り合わせる第１平板貼り合わせ工程（平板貼り合わせ工程）と、第２素子基板４１２に対して第２平板４１８を貼り合わせる第２平板貼り合わせ工程（平板貼り合わせ工程）と、第１平板４１７、第１平板接着層４１９、及び第１素子基板４１１における外側の板面４１１ｂを研磨する研磨工程と、を経ることで製造される。

　詳しくは、図３３に示すように、素子基板貼り合わせ工程を経て第１素子基板４１１と第２素子基板４１２とを貼り合わせた後に、各平板貼り合わせ工程を行うことで、図３４に示すように、第１素子基板４１１における外側の板面４１１ｂに対して第１平板接着層４１９を介して第１平板４１７が、第２素子基板４１２における外側の板面４１２ｂに対して第２平板接着層４２０を介して第２平板４１８が、それぞれ貼り合わせられる。なお、これら素子基板貼り合わせ工程及び各平板貼り合わせ工程は、上記した実施形態１に記載した素子基板貼り合わせ工程及び各平板貼り合わせ工程と同様であるから、重複する説明は省略する。その後に行われる研磨工程では、第１平板４１７、第１平板接着層４１９、及び第１素子基板４１１における外側の板面４１１ｂの順番でこれらが図示しない研磨装置により全域にわたって研磨される。具体的には、例えば研磨装置には砥石などの研磨材がセットされており、その研磨材を高速回転させつつ第１平板４１７に押し当てることで、第１平板４１７、第１平板接着層４１９、及び第１素子基板４１１における外側の板面４１１ｂを順次に研磨している。この研磨に伴い、第１平板４１７及び第１平板接着層４１９については、除去される。この研磨加工では、第１素子基板４１１には、外側の板面４１１ｂに沿う方向（Ｘ軸方向及びＹ軸方向）に非常に大きな力が作用し、それに起因して互いに固着された第１透光性基材４１３（第１平面反射部４１４）同士が剥離させられることが懸念される。ところが、本実施形態では、研磨工程に先立って第１平板貼り合わせ工程を行うようにしているから、研磨加工が施される第１素子基板４１１には、既に第２素子基板４１２及び第２平板４１８が貼り合わせられていて第２平板４１８により機械的な補強が図られている。従って、研磨工程において行われる研磨加工に伴って第１素子基板４１１が損傷を受ける事態が発生し難いものとされている。そして、研磨された第１素子基板４１１における外側の板面４１１ｂは、図３２に示すように、内側の板面４１１ａに比べると、表面に存在していた微小な凹凸が除去されるか若しくはより小さな凹凸とされていて、平滑性が高められている。

　＜実施形態６＞
　本発明の実施形態６を図３５によって説明する。この実施形態６では、上記した実施形態５から、さらに第２平板及び第２平板接着層を研磨により除去したものを示す。なお、上記した実施形態５と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。

　本実施形態に係る反射型結像素子５１０は、図３５に示すように、第１素子基板５１１及び第２素子基板５１２における外側の板面５１１ｂ，５１２ｂに対してそれぞれ平板が貼り合わせられておらず、外部に露出するとともに研磨加工が施されることで被研磨面とされている。従って、第１素子基板５１１及び第２素子基板５１２における外側の板面５１１ｂ，５１２ｂは、未研磨とされる内側の板面５１１ａ，５１２ａに比べると、相対的に高い平滑性を有している。第１素子基板５１１及び第２素子基板５１２における外側の板面５１１ｂ，５１２ｂは、反射型結像素子５１０に対して光が入射する入光面と光が出射する出光面とをそれぞれ構成していることから、その表面における平滑性が高められることで、入射光及び出射光に係る光学性能が十分に良好なものとされる。この反射型結像素子５１０の製造方法に関しては、上記した実施形態５に記載したものにおいて、第１平板、第１平板接着層、及び第１素子基板５１１における外側の板面５１１ｂを研磨する研磨工程（第１研磨工程）に加えて、第２平板、第２平板接着層、及び第２素子基板５１２における外側の板面５１２ｂを研磨する第２研磨工程を行うようにしている。第２研磨工程は、上記した実施形態５に記載した研磨工程と同様に、第２平板、第２平板接着層、及び第２素子基板５１２における外側の板面５１２ｂの順番でこれらを研磨装置により研磨し、第２平板及び第２平板接着層を除去している。

　＜他の実施形態＞
　本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
　（１）上記した各実施形態では、各平板の各板面における平滑性が、各素子基板の各板面に研磨加工を施した場合の平滑性と同等、或いはそれ以上に高いものとされる場合を示したが、各平板の各板面における平滑性が、各素子基板において未研磨状態とされた各板面における平滑性よりも高いのであれば、各素子基板の各板面に研磨加工を施した場合の平滑性よりも低くても構わない。

　（２）上記した各実施形態では、第１素子基板が、液晶表示装置から照射される光が入光される「入光側素子基板」とされるのに対し、第２素子基板が、光を投影側（結像側）に出射する「出光側素子基板」とされる構成のものを例示したが、第１素子基板を「出光側素子基板」とし、第２素子基板を「入光側素子基板」とした構成のものも本発明に含まれる。

　（３）上記した各実施形態では、素子基板貼り合わせ工程において第１素子基板における内側の板面に対して基板間接着層をなす紫外線硬化性樹脂材料を塗布した場合を示したが、素子基板貼り合わせ工程において第２素子基板における内側の板面に対して基板間接着層をなす紫外線硬化性樹脂材料を塗布するようにしてもよい。また、素子基板貼り合わせ工程において第１素子基板と第２素子基板との両方に対して基板間接着層をなす紫外線硬化性樹脂材料を塗布することも可能である。

　（４）上記した実施形態１では、第２平板貼り合わせ工程を行った後に第１平板貼り合わせ工程を行った場合を示したが、先に第１平板貼り合わせ工程を行った後に第２平板貼り合わせ工程を行うようにしてもよい。

　（５）上記した実施形態１では、素子基板貼り合わせ工程を行った後に各平板貼り合わせ工程を行った場合を示したが、先に各平板貼り合わせ工程を行ってから素子基板貼り合わせ工程を行うようにしてもよい。それ以外にも、例えば先に第１平板貼り合わせ工程（第２平板貼り合わせ工程）を行った後に素子基板貼り合わせ工程を行い、さらにその後に第２平板貼り合わせ工程（第１平板貼り合わせ工程）を行うようにしてもよい。

　（６）上記した実施形態２において、第１平板貼り合わせ工程と第２平板貼り合わせ工程とを並行して行うことも可能であり、またこれらを相前後して行うことも可能である。同様に第１研磨工程と第２研磨工程とを並行して行うことも可能であり、またこれらを相前後して行うことも可能である。

　（７）上記した実施形態３では、第１素子基板に対して第１平板を貼り合わせるのに対して第２素子基板における外側の板面にのみ研磨加工を施す場合を示したが、第２素子基板に対して第２平板を貼り合わせるのに対して第１素子基板における外側の板面にのみ研磨加工を施すようにすることも可能である。

　（８）上記した実施形態４では、第１素子基板における外側の板面と、第２素子基板における内側の板面とに対して研磨加工を施した場合を示したが、第１素子基板における内側の板面と、第２素子基板における外側の板面とに対して研磨加工を施すようにしてもよい。また、第１素子基板における内側及び外側の両板面と、第２素子基板における内側の板面とに研磨加工を施したり、第１素子基板における内側の板面と、第２素子基板における内側及び外側の両板面とに研磨加工を施すことも可能である。

　（９）上記した実施形態５では、製造途中において第１平板、第１接着層、及び第１素子基板における外側の板面を研磨した場合を示したが、製造途中において第２平板、第２接着層、及び第２素子基板における外側の板面を研磨することも可能である。

　（１０）上記した各実施形態では、各素子基板における各透光性基材と各平板と各平板接着層とで屈折率が同一とされたものを示したが、各素子基板における各透光性基材と各平板と各平板接着層とで屈折率が多少異なる構成を採ることも可能である。

　（１１）上記した各実施形態では、各素子基板における各透光性基材と基板間接着層とで屈折率が同一とされたものを示したが、各素子基板における各透光性基材と基板間接着層とで屈折率が多少異なる構成を採ることも可能である。

　（１２）上記した各実施形態では、各素子基板における各透光性基材が同一材料からなる構成のものを示したが、各素子基板における各透光性基材を異なる材料からなる構成を採ることも可能である。

　（１３）上記した各実施形態では、各平板が同一材料からなる構成のものを示したが、各平板を異なる材料からなる構成を採ることも可能である。

　（１４）上記した各実施形態では、基板間接着層、第１平板接着層、及び第２平板接着層が共に紫外線硬化性樹脂材料からなる構成のものを示したが、これらの材料として他の硬化性樹脂材料を用いることも可能であり、例えば可視光線により硬化する光硬化性樹脂材料を用いたり、紫外線及び可視光線の双方によって硬化する光硬化性樹脂材料を用いたり、熱によって硬化する熱硬化性樹脂材料を用いることも可能である。また、硬化性樹脂材料以外にも、例えばほぼ透明な基材の表裏両面に粘着剤が塗布されてなる両面テープを用いることも可能である。

　（１５）上記した各実施形態では、第１平板接着層及び第２平板接着層が同一の紫外線硬化性樹脂材料からなる場合を示したが、第１平板接着層と第２平板接着層とで用いる材料の種類を変更することも可能である。

　（１６）上記した各実施形態では、基板間接着層と各平板接着層とが同一の紫外線硬化性樹脂材料からなる場合を示したが、基板間接着層と各平板接着層とで用いる材料の種類を変更することも可能である。

　（１７）上記した各実施形態では、平面に視て横長の方形状をなす反射型結像素子を例示したが、平面に視て縦長の方形状をなす反射型結像素子にも本発明は適用可能である。それ以外にも、反射型結像素子の具体的な平面形状は適宜に変更可能であり、例えば平面に視て正方形状をなす反射型結像素子や、平面に視て円形状または楕円形状をなす反射型結像素子などにも本発明は適用可能である。また、上記した各実施形態では、各素子基板の製造方法に関して２通りの製造方法を例示したが、その他の製造方法によって各素子基板を製造することも可能である。

　（１８）上記した各実施形態では、反射型結像素子を、液晶表示装置と組み合わせて用いた場合について示したが、液晶表示装置を構成する液晶パネル及びバックライト装置の具体的な構成については適宜に変更することが可能である。

　（１９）上記した各実施形態では、反射型結像素子を、液晶パネルを備えた液晶表示装置と組み合わせて用いた場合について例示したが、例えば有機ＥＬパネルを備えた表示装置やプラズマディスプレイパネル（ＰＤＰ）を備えた表示装置などの他の表示装置と反射型結像素子を組み合わせて用いることも勿論可能である。

　（２０）上記した各実施形態では、表示装置に表示された画像を立体画像として投影する目的で本発明に係る反射型結像素子を用いた場合を示したが、表示装置以外の被投影物（例えば美術品など）を反射型結像素子に対して投影側とは反対側に配置し、その被投影物の立体画像を投影する目的で本発明に係る反射型結像素子を使用することも勿論可能である。

　１０，１１０，２１０，３１０，４１０，５１０…反射型結像素子、１１，１１１，２１１，３１１，４１１，５１１…第１素子基板、１１ａ，１１１ａ，２１１ａ，３１１ａ，４１１ａ，５１１ａ…内側の板面、１１ｂ，１１１ｂ，２１１ｂ，３１１ｂ，４１１ｂ，５１１ｂ…外側の板面、１２，１１２，２１２，３１２，４１２，５１２…第２素子基板、１２ａ，１１２ａ，２１２ａ，３１２ａ，４１２ａ，５１２ａ…内側の板面、１２ｂ，１１２ｂ，２１２ｂ，３１２ｂ，４１２ｂ，５１２ｂ…外側の板面、１３，１１３，２１３，３１３，４１３…第１透光性基材、１４，１１４，３１４，４１４…第１平面反射部、１５，１１５，２１５，３１５…第２透光性基材、１６…第２平面反射部、１７，１１７，２１７…第１平板（平板）、１８，１１８，３１８，４１８…第２平板（平板）、１９，１１９，２１９…第１平板接着層（平板接着層）、２０，１２０，３２０，４２０…第２平板接着層（平板接着層）、２１，１２１…基板間接着層

Claims

　板面と直交する複数の第１平面反射部と、透光性を有するとともに前記第１平面反射部に並行する形で延在する複数の第１透光性基材とを交互に並列配置してなる第１素子基板と、
　内側の板面が前記第１素子基板における内側の板面と対向する形で貼り合わせられる第２素子基板であって、板面と直交し且つ前記第１平面反射部と直交する複数の第２平面反射部と、透光性を有するとともに前記第２平面反射部に並行する形で延在する複数の第２透光性基材とを交互に並列配置してなる第２素子基板と、
　一枚板状をなしていて、前記第１素子基板と前記第２素子基板との少なくともいずれか一方における外側の板面に対して対向する形で貼り合わせられる平板と、を備える反射型結像素子。
　前記平板、及び前記第１素子基板と前記第２素子基板との少なくともいずれか一方は、間に介在する形で配される平板接着層により接着されるとともに、前記平板、及び前記第１素子基板の前記第１透光性基材と前記第２素子基板の前記第２透光性基材とのうち前記平板が貼り合わせられた少なくともいずれか一方における屈折率が互いに等しくされており、
　前記平板接着層は、その屈折率が、前記平板、及び前記第１素子基板の前記第１透光性基材と前記第２素子基板の前記第２透光性基材とのうち前記平板が貼り合わせられた少なくともいずれか一方における屈折率と等しい材料からなる請求項１記載の反射型結像素子。
　前記平板は、前記第１素子基板の前記外側の板面と、前記第２素子基板の前記外側の板面とにそれぞれ前記平板接着層を介して貼り合わせられている請求項２記載の反射型結像素子。
　前記第１素子基板と前記第２素子基板とのいずれか一方には、前記平板が前記平板接着層を介して貼り合わせられているのに対し、前記第１素子基板と前記第２素子基板とのうちの前記平板が貼り合わせられない他方における前記外側の板面は、研磨処理がなされた被研磨面とされている請求項２記載の反射型結像素子。
　前記第１素子基板及び前記第２素子基板は、間に介在する形で配される基板間接着層により接着されるとともに前記第１透光性基材及び前記第２透光性基材における屈折率が互いに等しくされており、
　前記基板間接着層は、その屈折率が前記第１透光性基材及び前記第２透光性基材における屈折率と等しい材料からなる請求項１から請求項４のいずれか１項に記載の反射型結像素子。
　前記第１素子基板及び前記第２素子基板は、それぞれにおける前記内側の板面が研磨処理をなされた被研磨面とされている請求項５記載の反射型結像素子。
　板面と直交する複数の第１平面反射部と、透光性を有するとともに前記第１平面反射部に並行する形で延在する複数の第１透光性基材とを交互に並列配置してなる第１素子基板に対して、板面と直交し且つ前記第１平面反射部と直交する複数の第２平面反射部と、透光性を有するとともに前記第２平面反射部に並行する形で延在する複数の第２透光性基材とを交互に並列配置してなる第２素子基板を、その内側の板面が前記第１素子基板における内側の板面と対向する形で貼り合わせる素子基板貼り合わせ工程と、
　前記第１素子基板と前記第２素子基板との少なくともいずれか一方における外側の板面に対して一枚板状をなす平板を対向する形で貼り合わせる平板貼り合わせ工程と、を備える反射型結像素子の製造方法。
　前記平板貼り合わせ工程では、前記第１素子基板及び前記第２素子基板に対してそれぞれ前記平板を貼り合わせている請求項７記載の反射型結像素子の製造方法。
　前記素子基板貼り合わせ工程は、前記平板貼り合わせ工程に先立って行われている請求項８記載の反射型結像素子の製造方法。
　前記平板貼り合わせ工程は、前記素子基板貼り合わせ工程に先立って行われており、
　前記平板貼り合わせ工程を行ってから前記素子基板貼り合わせ工程を行うまでの間に、前記第１素子基板及び前記第２素子基板における前記内側の板面をそれぞれ研磨する研磨工程を備える請求項８記載の反射型結像素子の製造方法。
　前記平板貼り合わせ工程では、前記第１素子基板と前記第２素子基板とのいずれか一方に対して前記平板を貼り合わせており、
　前記平板貼り合わせ工程及び前記素子基板貼り合わせ工程を行った後に、前記第１素子基板と前記第２素子基板とのうちの前記平板が貼り合わせられない他方における前記外側の板面を研磨する研磨工程を備える請求項７記載の反射型結像素子の製造方法。