JP4968185B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の制御装置に関し、詳しくは、機関回転数に応じて動作状態が切り替わるアクチュエータを備え、そのアクチュエータの動作状態によって出力性能が変化する内燃機関の制御装置に関する。
内燃機関が出力するトルクは筒内に吸入される空気量(以下、吸気量)によって制御することができる。この吸気量を調整するため、内燃機関の吸気管には吸気量調整弁が配備されている。吸気量調整弁の代表的なものはスロットル弁であり、また、リフト量連続可変機構を備えた吸気弁も吸気量調整弁に相当する。
このような吸気量調整弁の制御に関しては、従来、種々の制御技術が提案されている。例えば、特開平8−319861号公報に開示された技術では、スロットル弁の基準弁開度として吸気量が最小となる第1の弁開度と、吸気量が最大となる第2の弁開度と、第2の弁開度を超えた第3の弁開度とが設定されている。第3の弁開度は第2の弁開度とほぼ同じ吸気量となる開度とされている。この技術では、スロットル弁の動作に応じて吸気量が連続的に変化する第1の弁開度と第2の弁開度との間だけでなく、吸気量がほぼ一定となる第2の弁開度と第3の弁開度との間も利用して内燃機関のトルク制御を行っている。
ただし、吸気量が最大となるスロットル弁の弁開度は、スロットル弁の個体差によってばらつきがあり、また、経時的な変化もある。このため、特開平8−319861号公報に記載のように、吸気量を最大にするときの弁開度を予め設定しておいたとしても、その弁開度では必ずしも吸気量を最大にできない可能性がある。このような不都合への対応としては、例えば、吸気量を最大にする必要があるときにはスロットル弁の弁開度を全開に制御してしまうことが考えられる。
特開平8−319861号公報
ところで、内燃機関の制御方式として所謂トルクデマンド制御が知られている。トルクデマンド制御では、まず、内燃機関への要求がトルクで表され、その要求トルクを実現するようにスロットル弁の弁開度が制御される。要求トルクが最大トルクである場合には、吸気量を最大にするようスロットル弁の弁開度を全開にすることで、スロットル弁の個体差や経時変化によらず最大トルクを実現することができる。
ただし、要求トルクを内燃機関に的確に実現させるためには、要求トルクが内燃機関の最大トルクを基準にして設定されている必要がある。例えば、ドライバからの要求が出力最大であるにも関わらず、設定された要求トルクが最大トルクに満たない場合には、スロットル弁の弁開度が全開に制御されないために最大トルクを保障することができない。スロットル弁の全開制御が確実に行なわれるためには、最大トルクと一致するように要求トルクが設定されていることが求められる。そのためには、現在の運転状態において内燃機関が出力しうる最大トルクを計算し、その値を要求トルクの設定に反映させればよい。
最大トルクを要求トルクの設定に反映させるという点においては、最大トルクの算出、要求トルクの設定、スロットル弁の弁開度制御という順序での演算が好ましい。しかし、制御装置の回路構成によっては必ずしもそのような演算順序を規定できるとは限らない。また、そのような演算順序を規定できるとしても、演算順序を固定してしまうことは演算処理の効率の上では不利になる場合もある。
演算順序が規定されていない場合、要求トルクの設定、最大トルクの更新、スロットル弁の弁開度制御といった順序での演算が想定される。このような演算順序では、要求トルクは最大トルクの前回値を基準にして設定されることになる。このため、ドライバからの要求が出力最大であるときには、最大トルクの前回値が要求トルクとして設定される。この場合、要求トルクと更新後の最大トルクとが一致していれば、或いは、その差が誤差の範囲内であるならば、スロットル弁の弁開度は全開に制御される。
しかし、ここで1つの問題がある。
内燃機関にはACIS(Acoustic Control Induction System)、SCV(Swirl Control Valve)、多段式VVL(Variable Valve Lift system)といった離散的に動作するアクチュエータが設けられる場合がある。これらのアクチュエータの動作状態は内燃機関の出力性能に大きく影響し、例えば、ACISがオンのときにはオフのときに比較して内燃機関の出力性能は高くなる。このため、ACISを備えた内燃機関では、ACISがオンに切り替わった時点で内燃機関が出力しうる最大トルクは離散的に増大することになる。ACISを含むこれらのアクチュエータの動作状態が切り替わるタイミングは機関回転数に関連付けられている。
スロットル弁の全開制御が実施されている状況でACISがオンになった場合、そのタイミングの直後に更新される最大トルクの値はACISがオンのときの値になる。一方、要求トルクの値は最大トルクの前回値、すなわち、ACISがオフのときの最大トルクの値となる。ACISが出力性能に与える効果は大きいため、ACISがオンになってから更新された最大トルクの値は、その前回値である要求トルクの値よりも誤差の範囲を超えて大きくなる。その結果、一時的ではあるが要求トルクが最大トルクよりも小さくなる状況が生じ、その間、スロットル弁の全開制御は中断されることになる。
全開制御が中断されている間、スロットル弁は要求トルクに基づいてその弁開度を制御される。このため、スロットル弁の動作にハンチングが生じることになって、スロットル弁の耐久性に悪影響を与えてしまう。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、離散的に動作するアクチュエータの影響で吸気量調整弁の制御状態が全開制御と要求トルクに基づく通常制御との間でハンチングしてしまうのを防止できるようにした内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、機関吸気量を調整する吸気量調整弁と、機関回転数に応じて動作状態が切り替わる前記吸気量調整弁とは別のアクチュエータとを備え、前記アクチュエータの動作状態によって出力性能が変化する内燃機関の制御装置において、
現在の機関回転数において前記内燃機関が出力可能な最大トルクを基準として前記内燃機関への要求トルクを設定する要求トルク設定手段と、
現在の機関回転数よりも高回転数において前記アクチュエータの動作状態が前記内燃機関の出力性能を高める方向に切り替わるか否か判定する動作状態判定手段と、
前記アクチュエータの動作状態が前記内燃機関の出力性能を高める方向に切り替わると判定された場合には、前記アクチュエータの切り替わった後の動作状態に基づいて前記最大トルクを算出し、前記アクチュエータの動作状態が前記内燃機関の出力性能を高める方向には切り替わらないと判定された場合には、前記アクチュエータの現在の動作状態に基づいて前記最大トルクを算出する最大トルク算出手段と、
前記吸気量調整弁の弁開度を全開にするか否か判定する手段であって、前記要求トルクが前記最大トルク以上であることを全開条件とする全開判定手段と、
前記全開条件が成立しているときには前記吸気量調整弁の弁開度を全開に制御し、前記全開条件が成立していないときには前記要求トルクに応じて前記吸気量調整弁の弁開度を制御する弁開度制御手段と、
を備えることを特徴としている。
第2の発明は、第1の発明において、
前記動作状態判定手段は、前記内燃機関の運転域と前記アクチュエータの動作状態とを関連付けたマップを有し、前記マップを用いて前記アクチュエータの動作状態が前記内燃機関の出力性能を高める方向に切り替わるか否か判定することを特徴としている。
第3の発明は、第1又は第2の発明において、
前記全開判定手段は、前記全開条件の成立を判定するための成立判定基準と、前記全開条件の不成立を判定するための不成立判定基準とを有し、前記成立判定基準と前記不成立判定基準との間にヒステリシスを設けていることを特徴としている。
第4の発明は、第1乃至第3の何れか1つの発明において、
前記吸気量調整弁はスロットルであり、
前記アクチュエータは可変吸気機構、スワールコントロールバルブ及びバルブリフト量可変機構の何れかであることを特徴としている。
第5の発明は、第1乃至第4の何れか1つの発明において、
前記要求トルク設定手段は、ドライバから要求されるドライバ要求トルクに車両の制御システムから要求されるシステム要求トルクを加算したものを前記要求トルクとして設定し、
前記全開判定手段は、前記ドライバ要求トルクが前記最大トルクに達していることを前記全開条件に含むことを特徴としている。
第6の発明は、第1乃至第5の何れか1つの発明において、
前記吸気量調整弁の弁開度に基づいて前記内燃機関の推定トルクを算出する推定トルク算出手段と、
前記要求トルクと前記推定トルクとの比較に基づいて前記要求トルクを実現するために必要な点火遅角量を算出し、前記点火遅角量に従って点火時期を制御する点火時期制御手段と、
前記全開条件が成立しているときには前記点火時期制御手段による点火時期の遅角を禁止する点火遅角禁止手段と、
をさらに備えることを特徴としている。
第7の発明は、第1乃至第5の何れか1つの発明において、
弁開度の変化に対して機関吸気量の変化が僅かとなる動作領域での前記吸気量調整弁の動作を制限する弁動作制限手段をさらに備え、
前記要求トルク設定手段は、ドライバから要求されるドライバ要求トルクに車両の制御システムから要求されるシステム要求トルクを加算したものを前記要求トルクとして設定し、
前記弁動作制限手段は、前記要求トルクに前記システム要求トルクが含まれるときには前記吸気量調整弁の動作の制限を緩和することを特徴としている。
第8の発明は、第7の発明において、
前記吸気量調整弁の耐久性に係る指標値を算出する耐久性指標値算出手段と、
前記耐久性指標値から前記吸気量調整弁の耐久性の低下が判断される場合には、前記弁動作制限手段による前記吸気量調整弁の動作制限の緩和を禁止する制限緩和禁止手段と、
をさらに備えることを特徴としている。
第9の発明は、第8の発明において、
前記吸気量調整弁の弁開度に基づいて前記内燃機関の推定トルクを算出する推定トルク算出手段と、
前記要求トルクと前記推定トルクとの比較に基づいて前記要求トルクを実現するために必要な点火遅角量を算出し、前記点火遅角量に従って点火時期を制御する点火時期制御手段とをさらに備え、
前記全開判定手段は、前記制限緩和禁止手段によって前記吸気量調整弁の動作制限の緩和が禁止されているときには前記全開条件を成立させることを特徴としている。
吸気量調整弁が全開に制御された場合には機関回転数は上昇していく。機関回転数の上昇に伴ってアクチュエータの動作状態が内燃機関の出力性能を高める方向に切り替わると、その機関回転数において内燃機関が実際に出力しうる最大トルクも増大する。このとき、仮に、要求トルクが常に実際に出力しうる最大トルクを基準として設定されるのであれば、要求トルクの設定タイミングが最大トルクの算出タイミングよりも先行した場合、要求トルクは増大前の最大トルクに基づいて設定されることになる。この場合、要求トルクが最大トルクを下回ってしまうことがあり、そのときには吸気量調整弁の弁開度は要求トルクに応じて制御されることになる。つまり、吸気量調整弁の全開制御を一時的に維持できなくなってしまう。
この点に関し、第1の発明によれば、まず、現在の機関回転数よりも高回転数においてアクチュエータの動作状態が内燃機関の出力性能を高める方向に切り替わるか否か判定される。そして、その方向に切り替わるのであれば、アクチュエータの切り替わった後の動作状態に基づいて現在の機関回転数において内燃機関が出力可能な最大トルクが算出される。これによれば、機関回転数の上昇によりアクチュエータの動作状態が切り替わったとしても、その前後において最大トルクの算出値が離散的に増加することはない。このため、要求トルク設定タイミングと最大トルク算出タイミングとの前後関係によらず、要求トルクと最大トルクとの大小関係は維持されることになる。したがって、第1の発明によれば、全開制御が行われている途中でアクチュエータの動作状態が内燃機関の出力性能を高める方向に切り替わったとしても、中断することなく全開制御を実施し続けることが可能であり、全開制御から通常制御への一時的な切り替えによる吸気量調整弁のハンチングを防止することができる。
なお、内燃機関の運転状態によっては、吸気量調整弁が全開であっても機関回転数が上昇せず、結果、アクチュエータの動作状態が内燃機関の出力性能を高める方向に切り替わらない場合がある。第1の発明によれば、このような場合でも、最大トルクはアクチュエータの切り替わった後の動作状態に基づいて算出されることになるが、それによる不都合はない。要求トルクもそのように算出された最大トルクを基準にして設定されるので、全開条件の成否に関わる要求トルクと最大トルクとの大小関係への影響はないためである。
また、内燃機関が運転されている運転域によっては、アクチュエータの動作状態が内燃機関の出力性能を高める方向には切り替わらない場合がある。例えば、既にそのような方向にアクチュエータの動作状態が切り替えられている場合や、内燃機関の出力性能を高める方向とは逆方向に再び切り替えられる場合である。そのような場合、第1の発明によれば、アクチュエータの現在の動作状態に基づいて最大トルクが算出される。この場合は、機関回転数の上昇によりアクチュエータの動作状態が高出力性能方向に切り替わることはないため、最大トルクの算出値が離散的に増加することはない。したがって、アクチュエータの動作状態が内燃機関の出力性能を高める方向には切り替わらない場合においても、何ら問題なく全開制御を実施し続けることができる。
第2の発明によれば、現在内燃機関が運転されている運転域をマップに照合することによってアクチュエータの動作状態が内燃機関の出力性能を高める方向に切り替わるか否か簡単に判定することができる。また、アクチュエータの動作を制御するためのマップが存在する場合には、そのマップを動作状態の判定用のマップとして兼用することもできる。
第3の発明によれば、機関回転数の変化に伴う最大トルクの振動によって全開判定がハンチングしてしまうのを防止することができる。また、可変バルブタイミング機構等、動作が連続的に変化する連続変化型のアクチュエータが内燃機関に設けられている場合には、そのようなアクチュエータの動作に伴う最大トルクの振動によって全開判定の判定結果がハンチングしてしまうのを防止することもできる。
第4の発明によれば、可変吸気機構、スワールコントロールバルブ或いはバルブリフト量可変機構によって内燃機関の出力性能を高めつつ、それらアクチュエータの離散的な動作によってスロットル弁の全開制御が一時的に中断されてしまうのを防止することができる。
第5の発明によれば、ドライバが内燃機関に最大トルクを要求しているときには、吸気量制御弁を全開にして内燃機関に最大トルクを出力させることができる。一方、ドライバが内燃機関に最大トルクを要求していないのであれば、システム要求トルクを加えた全体の要求トルクが最大トルク以上であったとしても、吸気量制御弁の弁開度は要求トルクに応じて制御される。これによれば、システム要求トルクの振動によって全開制御と通常制御とが頻繁に切り替えられ、それにより吸気量制御弁がハンチングしてしまうのを防止することができる。
第6の発明によれば、全開条件が成立していないとき、すなわち、吸気量制御弁の弁開度が要求トルクに応じて制御されているときには、要求トルクと推定トルクとの比較に基づく点火時期の遅角によって機関トルクを要求トルクに調整することができる。一方、全開条件が成立して吸気量制御弁の弁開度が全開に制御されているときには、点火時期の遅角の禁止によって内燃機関が現実に出力しうる最大トルクを保障することができる。
第7の発明によれば、要求トルクがドライバ要求トルクのみの場合には、弁開度の変化に対して機関吸気量の変化が僅かとなる動作領域での吸気量調整弁の動作は制限されるので、耐久性の低下に繋がる吸気量調整弁の過剰な動作を防止することができる。一方、要求トルクにシステム要求トルクが含まれるときには、動作制限の緩和によってシステム要求トルクの変化に応じて吸気量調整弁を動作させることができるので、実際に内燃機関から出力される機関トルクをシステム要求トルクの変化に追従させることができる。
第8の発明によれば、耐久性の低下が生じている状況での動作制限の緩和を禁止することによって、過剰な動作による吸気量調整弁の故障を予防することができる。
第9の発明によれば、吸気量調整弁の動作制限の緩和が禁止されるときには吸気量調整弁を全開に制御することで、内燃機関は最大トルクまで出力できるようになる。この状態で要求トルクと推定トルクとの比較に基づいて点火時期を適宜に遅角することによって、実際に内燃機関から出力される機関トルクをシステム要求トルクの変化に追従させることができる。
実施の形態1.
本発明の実施の形態1について図1乃至図6の各図を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態1としての内燃機関の制御装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態の制御装置は、スロットル弁2とACIS4とを備えた内燃機関を制御対象としている。スロットル弁2は連続的に動作するアクチュエータであって、その動作は制御装置の一要素であるスロットル弁開度制御部10によって制御される。これに対してACIS4は離散的に動作するアクチュエータであって、その動作は制御装置の一要素であるACIS制御部16によって制御される。
前記のスロットル弁開度制御部10には、要求トルク設定部8から要求トルクが入力される。また、全開判定部12からは全開指示信号が入力される。要求トルク設定部8及び全開判定部12は、スロットル弁開度制御部10及びACIS制御部16と同じく本実施の形態の制御装置を構成する要素である。これらの要素に加え、本実施の形態の制御装置には最大トルク算出部14が備えられている。以下、本実施の形態の制御装置を構成する各要素8,10,12,14,16の機能について説明していく。
要求トルク設定部8は、内燃機関に出力を要求するトルクを“要求トルク”として設定する機能を有している。要求トルク設定部8には、要求トルクを算出するための情報として、アクセル開度センサ6の信号が入力される。アクセル開度センサ6の信号にはドライバのトルクに関する要求が反映されている。要求トルク設定部8は、まず、アクセル開度センサ6の信号をドライバの要求の大きさに変換する。ドライバの要求の大きさは、内燃機関が出力しうる最大トルクが要求されているときを100%とする割合で表現される。
要求トルク設定部8には、後述する最大トルク算出部14で算出された最大トルク(内燃機関が出力可能な最大トルク)が供給される。最大トルク算出部14から供給された最大トルクは、割合で表現されたドライバ要求とともにドライバ要求トルクの計算に使用される。具体的には、要求トルク設定部8は、最大トルクと最小トルクとの差にドライバ要求(%)を乗算し、その計算値に最小トルクを加算した値をドライバ要求トルクとして算出する。最小トルクはアイドル回転を維持できるトルクであって、その値は水温等の機関条件をパラメータとするマップから読み出されるようになっている。
また、要求トルク設定部8には、VSC(Vehicle Stability Control system)やTRC(Traction Control system)等の他の制御システムからの信号も入力される。要求トルク設定部8は、これら制御システムからの信号にトルク要求が含まれる場合、各制御において必要なトルクを計算し、他制御要求トルクとして算出する。そして、前述のドライバ要求トルクに他制御要求トルクを加算した値を最終的な“要求トルク”として設定する。要求トルク設定部8は、設定した要求トルクをスロットル弁開度制御部10と全開判定部12とに供給する。
全開判定部12は、スロットル弁2を全開に制御するための条件(以下、全開条件)の成否を判定する機能を有している。全開判定部12には、全開条件の成否を判定するための情報として、要求トルク設定部8で設定された要求トルクと最大トルク算出部14で算出された最大トルクとが供給される。全開判定部12は、要求トルクと最大トルクとを比較する。そして、要求トルクが最大トルクよりも小さければ全開条件は不成立であると判定し、要求トルクが最大トルク以上であれば全開条件が成立したと判定する。より正確に言えば、「要求トルク>最大トルク−定数」を満たせば全開条件が成立したと判定する。前記定数は適合によって決定される値である。全開条件が成立した場合、全開判定部12はスロットル弁開度制御部10に全開指示信号を供給する。
なお、全開条件の成立を判定するための成立判定基準と、全開条件の不成立を判定するための不成立判定基準との間にはヒステリシスが設けられている。機関回転数やバルブタイミング等の連続的な変化に伴って生じる最大トルクの変動によって全開判定の結果がハンチングするのを防止するためである。
スロットル弁開度制御部10は、要求トルク設定部8から要求される要求トルクと、全開判定部12から供給される全開指示信号とに従ってスロットル弁2の弁開度を制御する。その他、スロットル弁開度制御部10には、スロットル弁2の弁開度を計算するための情報として、機関回転数(NE)、バルブタイミング(VVT)、排気バルブタイミング(EXVVT)、ACISのオン/オフ状態等の吸気量に関わる情報も入力されている。
スロットル弁開度制御部10は、全開指示信号のオン/オフによってスロットル弁2の制御内容を切り替える。全開指示信号がオフの場合、スロットル弁開度制御部10は要求トルクに応じてスロットル弁2の弁開度を制御する。スロットル弁2の弁開度を変化させることによって機関吸気量を調整することができ、それにより内燃機関の出力トルクを要求どおりのトルクに調整することができる。一方、全開指示信号がオンの場合は、スロットル弁開度制御部10はスロットル弁2の弁開度を全開に制御する。スロットル弁2を全開にすることによって機関吸気量を最大にすることができ、ひいては内燃機関の最大トルクを保障することができる。
以上の説明の通り、本実施の形態の制御装置では、スロットル弁2の弁開度の制御には、最大トルク算出部14、要求トルク設定部8及び全開判定部12の3つの計算要素8,12,14における演算結果が反映されている。これら3つの計算要素8,12,14はいずれも共通のクロック周波数に従って演算処理を行っている。しかし、本実施の形態の制御装置では、計算要素8,12,14間の演算順序を規定するような同期はとっていない。このため、各計算要素8,12,14の演算タイミングによっては、図2の(A)及び(B)に示すような2パターンの演算順序が成立することになる。
図2の(A)に示す演算順序は、最初に最大トルク算出、次に要求トルク設定、最後に全開判定という演算順序である。この場合、図中に矢印を用いて表現しているように、N回目の最大トルクの算出結果がN回目の要求トルクの設定に用いられる。そして、N回目の最大トルクの算出結果とN回目の要求トルクの設定結果とに基づいてN回目の全開判定が行われる。
一方、図2の(B)に示す演算順序は、最初に要求トルク設定、次に最大トルク算出、最後に全開判定という演算順序である。この場合、図中に矢印を用いて表現しているように、N回目の要求トルクの設定には前回(N−1回目)の最大トルクの算出結果が用いられる。そして、N回目の最大トルクの算出結果と、N−1回目の最大トルクが反映されたN回目の要求トルクの設定結果とに基づいてN回目の全開判定が行われる。
ここで問題となるのは、図2の(B)に示す演算順序で演算が行われる場合である。本実施の形態にかかる内燃機関はACIS4を備えている。例えば、このACIS4がN−1回目の最大トルク算出タイミングと、N回目の最大トルク算出タイミングとの間でオンになったとする。ACIS4がオンになると内燃機関が実際に出力可能な最大トルクは離散的に増大する。
本実施の形態の制御装置は、最大トルク算出部14における最大トルクの算出方法に1つの特徴がある。しかし、ここでは、図2の(B)に示す演算順序で生じる問題の説明のため、最大トルク算出部14で算出される最大トルクは現時点において内燃機関が実際に出力可能な最大トルクであるものと仮定する。この仮定の場合、N−1回目の最大トルクの算出結果はACIS4がオフのときの値となり、N回目の最大トルクの算出結果はACIS4がオンのときの値となる。その結果、N回目の全開判定で用いられる最大トルクはACIS4がオンのときの最大トルクが用いられるのに対し、N回目の全開判定で用いられる要求トルクはACIS4がオフのときの最大トルクを基準にして設定されることになる。つまり、ACIS4がオンになった直後では、2つの異なる最大トルクの値に基づいて全開判定が行われることになる。
全開判定が2つの異なる最大トルクの値に基づいて行われることの問題は、スロットル弁2の弁開度が全開に制御されているときに生じる。図3にはドライバ要求が100%の状況における最大トルク及び要求トルクの時間変化と、スロットル弁2の弁開度の時間変化を同一の時間軸で示している。ここでは、ACIS4は最初はオフで、機関回転数の上昇に伴ってやがてオンに切り替わる場合について説明する。
図3の最上段のグラフに示すようにドライバ要求が100%の場合、他制御要求トルクを無視すると、4段目のグラフに示すように要求トルクは最大トルクに一致している。その結果、全開条件が成立してスロットル弁2の弁開度は全開に制御されている。
スロットル弁2の弁開度が全開に制御され、内燃機関が最大トルクが出力されことで、機関回転数は上昇していく。そして、3段目のグラフに示すようにある時点においてACIS4はオフからオンに切り替わる。このACIS4の切り替わりを受けて、破線で示すように、内燃機関が実際に出力可能な最大トルクは増大する。一方、実線で示すように、最大トルクの前回値を基準にして設定される要求トルクは増大することなく前回値のままとなる。その結果、要求トルクが最大トルク以上とする全開条件が成立しなくなり、最下段のグラフに示すように、スロットル弁2の弁開度は全開開度から要求トルクに応じた弁開度に切り替えられる。
そして、次回の演算では、要求トルクはACIS4がオンのときの最大トルクを基準に設定されるので、要求トルクと最大トルクとが再び一致するようになる。その結果、スロットル弁2の弁開度は再び全開開度に切り替えられることになる。つまり、全開開度、要求トルクに応じた開度、全開開度という弁開度の切り替え動作が短時間で起こることになる。このようなハンチングはスロットル弁2の耐久性を低下させることになる。
本実施の形態の制御装置では、上述のようなスロットル弁2のハンチングを防止するための機能を最大トルク算出部14に持たせている。以下、最大トルク算出部14の機能、詳しくは、最大トルクの算出に関する機能について説明する。
最大トルク算出部14が有する機能の一つは、現在の機関回転数よりも高回転数においてACIS4がオフからオンに切り替わるか否か判定する機能である。この判定には、ACIS制御部16がACIS4の制御に用いるマップが使用される。そのマップのイメージを示したのが図4である。マップでは機関回転数と負荷とで定まる内燃機関の運転領域が複数の領域に区分され、領域毎にACIS4のオン或いはオフが設定されている。図4に示す例では(1)から(6)までの6つの領域に区分されている。このうち高負荷中回転領域である領域(2)のみACIS4はオンに設定され、他の領域ではACIS4はオフに設定されている。
スロットル弁2の弁開度が全開に制御されている場合、内燃機関の運転領域は高負荷領域となる。このため、図4に示す例の場合であれば、内燃機関の運転領域は機関回転数の増加に伴って領域(1)、(2)、(3)の順に移っていくことになる。このとき、現在の運転領域が領域(1)であるならば、機関回転数の増加によって領域(2)に移ったときにACIS4はオフからオンに切り替わることになる。一方、現在の運転領域が領域(2)であるならば、機関回転数の増加によって領域(3)に移ったときにACIS4はオンからオフに切り替わることになる。また、現在の運転領域が領域(3)であるならば、機関回転数が増加してもACIS4はオフのままとなる。したがって、前記の判定結果としては、現在の運転領域が領域(1)ならばYES、現在の運転領域が領域(2)或いは(3)ならばNOという判定結果になる。
最大トルク算出部14が有するもう一つの機能は、前記の判定結果に応じて最大トルクの算出方法を切り替える機能である。前記の判定結果がYESのときには、現在の機関回転数において仮にACIS4をオンにしたならば内燃機関が出力可能となる最大トルクを算出する。一方、前記の判定結果がNOのときには、ACIS4の現在のオン/オフ状態に基づいて現在の機関回転数における最大トルクを算出する。したがって、本実施の形態では、現在の運転領域が領域(1)或いは(2)のときにはACIS4がオンであるとして最大トルクが算出され、現在の運転領域が領域(3)のときにはACIS4がオフであるとして最大トルクが算出されることになる。
上述の機能をフローチャートで示したのが図5である。最大トルク算出部14は図5のフローチャートに示すルーチンを一定の周期で実行している。
最初のステップS2では、最大トルク算出部14は、現在の機関回転数NEにおけるACIS4の動作状態で出力可能な最大トルクTQ(実ACIS(NE))と、現在の機関回転数よりも高回転数NE+ΔNEにおけるACIS4の動作状態で出力可能な最大トルクTQ(実ACIS(NE+ΔNE))とを比較する。
ステップS2の比較の結果、TQ(実ACIS(NE+ΔNE))がTQ(実ACIS(NE))よりも大きくなっているのであれば、ステップS4に進む。ステップS4では、最大トルク算出部14は、最大トルク算出用のACIS4の動作状態として現在の機関回転数よりも高回転数NE+ΔNEにおけるACIS4の動作状態を選択する。
TQ(実ACIS(NE+ΔNE))がTQ(実ACIS(NE))以下であれば、ステップS6に進む。ステップS6では、最大トルク算出部14は、最大トルク算出用のACIS4の動作状態として現在の機関回転数NEにおけるACIS4の動作状態を選択する。
そして、最後のステップS8では、最大トルク算出部14は、ステップS4或いはステップS6で選択されたACIS4の動作状態に基づいて最大トルクを算出する。
上述の機能を最大トルク算出部14に持たせることで、本実施の形態の制御装置によれば次のような効果を得ることができる。図6はその効果について説明するための図である。図6にはドライバ要求が100%の状況における最大トルク及び要求トルクの時間変化と、スロットル弁2の弁開度の時間変化を同一の時間軸で示している。ここでは、図4に示すマップにおいて内燃機関が領域(1)で運転されているものとして説明する。
図6の3段目のグラフに点線で示すように、図4に示すマップの領域(1)では実際のACIS4の状態はオフになっている。しかし、最大トルク算出部14では、実際のACIS4の状態はオフであっても、機関回転数が上昇したときにACIS4がオンになるときには、実線で示すようにACIS4の状態はオンであるものとして最大トルクが算出される。最大トルク算出部14による最大トルクの算出結果を示したのが図6の4段目のグラフである。機関回転数の上昇によってやがてACIS4はオフからオンに切り替わるが、このグラフに示すように、本実施の形態の制御装置によればACIS4がオフからオンに切り替わる前後での最大トルクの算出値に離散的な増大は生じない。
最大トルクの算出値の離散的な増大が防止されることで、要求トルクが最大トルクの前回値を基準にして設定される場合であっても、要求トルクと最大トルクの今回値との間にヒステリシスの範囲を越えるような差が生じるようなことはない。その結果、要求トルクが最大トルク以上であるとする全開条件の成立は維持され、最下段のグラフに示すように、スロットル弁2の弁開度は全開開度に維持される。つまり、全開制御から通常制御への一時的な切り替えによるスロットル弁2のハンチングは防止される。
なお、機関回転数がさらに上昇すると、やがて内燃機関が運転される領域は図6に示すマップの領域(2)から領域(3)に移ることになる。そのときACIS4はオンからオフに切り替わる。このACIS4の切り替わりを受けて、最大トルクの算出に用いられる
ACIS4の状態もオンからオフに切り替えられる。その結果、最大トルクの算出値は離散的に減少することになるが、最大トルクの前回値を基準にして設定される要求トルクは減少することなく前回値のままとなる。つまり、ACIS4がオンからオフに切り替わった直後には要求トルクと最大トルクとの間に差が生じる。しかし、要求トルクが最大トルク以上であるとする全開条件の成立は維持されるため、この場合もスロットル弁2の弁開度は全開開度に維持されることになる。
ところで、本実施の形態の制御装置による上述の効果は、スロットル弁2の全開制御によって機関回転数が上昇することを前提にしているが、内燃機関の運転状態によってはスロットル弁2が全開であっても機関回転数があまり上昇しないこともある。そして、図6に示すマップの領域(1)にとどまったまま、ACIS4がオフからオンに切り替わらないこともある。このような場合でも、最大トルク算出部14は、領域(1)で運転されている限りはACIS4がオンであるものとして最大トルクを算出してしまう。しかし、要求トルクもそのように算出された最大トルクを基準にして設定されるので、全開条件の成否に関わる要求トルクと最大トルクとの大小関係への影響はない。つまり、機関回転数が上昇しなかったとしても、それによってスロットル弁2の弁開度の制御に何らかの不都合が生じるようなことはない。
以上、本発明の実施の形態1としての制御装置について説明した。実施の形態1と本発明との対応関係は次の通りである。
図1に示す構成において、要求トルク設定部8は第1の発明の「要求トルク設定手段」に相当する。最大トルク算出部14とACIS制御部16が有するマップとにより第1及び第2の発明の「動作状態判定手段」が構成されている。最大トルク算出部14は第1の発明の「最大トルク算出手段」に相当する。また、全開判定部12は第1及び第3の発明の「全開判定手段」にも相当する。そして、スロットル弁開度制御部10は第1の発明の「弁開度制御手段」に相当する。
実施の形態2.
本発明の実施の形態2について図7を参照して説明する。
本実施の形態の制御装置は、スロットル弁開度制御に組み合わせて点火時期制御を行う点において実施の形態1の制御装置と異なっている。スロットル弁開度制御の内容に関しては実施の形態1に係るスロットル弁開度制御と同じである。点火時期は内燃機関が出力するトルクに影響するので、スロットル弁開度と点火時期とを協調して制御することによって要求トルクの実現精度を高めることができる。
図7は本実施の形態の制御装置の構成を示すブロック図である。図7に示す構成において実施の形態1のものと共通する要素については同一の符号を付している。ただし、図7ではスロットル弁開度制御に関わる要素のうち点火時期制御の説明に必要な要素のみを示して他は省略している。以下、本実施の形態の制御装置を構成する各要素とその機能について説明する。
本実施の形態の制御装置は、点火時期制御のための要素として点火装置20の動作を制御する点火時期制御部28を備えている。点火時期制御部28は、内燃機関の運転状態から決まる最適点火時期と要求トルクの実現のために必要な点火遅角量とから点火装置20への要求点火時期を決定する。
必要な点火遅角量は点火遅角量算出部26で算出される。点火遅角量の計算は要求トルクと現在のスロットル弁開度で実現される推定トルクとの比較に基づいて行われる。その比較のための指標となるのが、トルク効率算出部24で算出されるトルク効率である。トルク効率算出部24は推定トルクに対する要求トルクの比をトルク効率として算出する。点火遅角量算出部26は、トルク効率と機関回転数、空燃比及びバルブタイミングといったトルクに関わる機関パラメータとに基づいてマップ或いは多項近似式を用いて点火遅角量を算出する。点火遅角量算出部26は、トルク効率が1のときいは点火遅角量としてゼロを算出し、トルク効率が1よりも小さくなるほど大きい値の点火遅角量を算出する。
なお、トルク効率算出部24で用いられる要求トルクは要求トルク設定部8で設定された要求トルクである。推定トルクは推定トルク算出部22で算出される。推定トルク算出部22は、スロットル弁開度及び空気流量から計算される充填効率、機関回転数、空燃比、バルブタイミングといったトルクに関わる機関パラメータをマップ或いは多項近似式に当てはめることによって推定トルクを算出する。推定トルクの算出に用いるスロットル弁開度や空気流量の値にはセンサによる計測値が用いられる。ただし、点火時期に関しては最適点火時期に設定されているとの前提で推定トルクの算出が行われる。
上述の通り、本実施の形態の制御装置は、点火時期の遅角量を適切に設定することによって要求トルクの実現精度を高める構成になっている。しかし、ある場面においてはこの機能が不利に働くこともある。その場面とはドライバが内燃機関に対して出力の全開を要求しているときである。
実施の形態1でも説明したように、ドライバ要求が最大(100%)のときには要求トルク設定部8で設定される要求トルクは最大トルクに設定される。要求トルクと最大トルクとの一致により全開条件が成立することで、全開判定部12からスロットル弁開度制御部10には全開指示信号が供給される。この全開指示信号を受けてスロットル弁開度制御部10はスロットル弁2の弁開度を全開に制御する。
スロットル弁2の全開制御は内燃機関の最大トルクを保障するものであるから、弁開度が全開のときの推定トルクは理論的には最大トルクに一致する。しかし、要求トルク設定部8での要求トルクの設定に用いられる最大トルクは適合によって得られた値であるのに対し、推定トルクは実際のセンサ値から計算される値である。このため、内燃機関の製造ばらつき等の影響により必ずしも要求トルク(最大トルクの算出値)と推定トルクとは一致しない。推定トルクのほうが最大トルクの算出値よりも大きい値を示すことも考えられる。
推定トルクが最大トルクの算出値を超える場合、トルク効率算出部24で算出されるトルク効率は1よりも小さな値になる。このため、推定トルクを最大トルクの算出値まで下げるように点火時期の遅角が行われてしまう。つまり、前述のトルク調整機能が働くことによって、内燃機関が実際に出力可能な最大トルクを発生できなくなってしまう。ここで行われる点火時期の遅角は不必要な遅角であって、ドライバの要求に応えることができないばかりか燃費の悪化を招くことにもなる。
このような事態が起こることを防ぐため、本実施の形態の制御装置は、前記の要素22,24,26,28に加えて、点火時期の遅角を禁止するか許可するかを判定する点火遅角禁止判定部18を備えている。点火遅角禁止判定部18には全開判定部12からの全開指示信号が入力される。点火遅角禁止判定部18は、全開指示信号が入力されている場合、つまり、全開条件が成立している場合にのみ点火時期の遅角を禁止する。点火遅角禁止判定部18による判定結果は点火時期制御部28に反映される。点火時期の遅角が禁止されている場合、点火時期制御部28は点火遅角量算出部26から供給される点火遅角量は無視し、最適点火時期を点火装置20への要求点火時期として設定する。
上述のような機能により、本実施の形態の制御装置によれば、ドライバからの出力全開要求に応じてスロットル弁2の弁開度が全開に制御されるときには、点火時期の遅角は禁止される。これにより、内燃機関が現実に出力しうる最大トルクを保障することができる。また、スロットル弁2の全開条件が成立していないとき、すなわち、スロットル弁2の弁開度が要求トルクに応じて制御されているときには、要求トルクと推定トルクとの比較に基づく点火時期の遅角によって内燃機関から実際に出力される機関トルクを要求トルクに調整することができる。
以上、本発明の実施の形態2としての制御装置について説明した。図7に示す構成において、推定トルク算出部22は第6の発明の「推定トルク算出手段」に相当する。また、トルク効率算出部24と点火遅角量算出部26と点火時期制御部28とにより第6の発明の「点火時期制御手段」が構成されている。そして、点火遅角禁止判定部18は第6の発明の「点火遅角禁止手段」に相当する。実施の形態2と本発明とのその他の対応関係に関しては、実施の形態1と本発明との対応関係に共通している。
実施の形態3.
本発明の実施の形態3について図1,図8乃至図10の各図を参照して説明する。
本実施の形態の制御装置は、実施の形態1の制御装置にさらなる機能を追加したものとなっている。本実施の形態で追加された機能は、他制御要求トルクが振動的な場合に発生のおそれがあるスロットル弁のハンチングを防止するための機能である。なお、本実施の形態の制御装置を構成する要素は実施の形態1の制御装置のものと共通であるので、本実施の形態に関しても図1に示す構成に基づいて説明するものとする。
図8は高負荷域で生じるおそれがあるスロットル弁2の動作について示す図である。ドライバ要求が100%未満(例えば80%)の場合、要求トルクがドライバ要求トルクのみであればスロットル弁2の弁開度は要求トルクに応じて制御されることになる。他制御要求トルクが存在する場合には、他制御要求トルクがドライバ要求トルクに加算される。その合計トルクが最大トルクよりも低ければスロットル弁2の弁開度は要求トルクに応じて制御され、その合計トルクが最大トルク以上であるならばスロットル弁2の弁開度は全開に制御される。
ここで問題となるのが、ドライバ要求が100%ではない高負荷域において、2段目のグラフに示すような振動的な他制御要求トルクが加わった場合である。このような振動的な他制御要求トルクが加わると、3段目のグラフに示すように全体の要求トルクも振動的になる。その結果、要求トルクが最大トルクを超えたり超えなかったりするような状況が発生することがある。この場合、最下段のグラフに示すように全開制御と通常制御との切り替えが頻繁に行われることになり、スロットル弁2はハンチングしてしまう。
そこで、本実施の形態では、要求トルクが最大トルク以上であることに加え、ドライバ要求トルクが最大トルクに達していることも全開条件として追加した。追加された全開条件は全開判定部12でその成否が判定される。全開判定部12での全開判定を含むスロットル弁開度制御の流れをフローチャートで示したのが図9である。本実施の形態の制御装置は図9のフローチャートに示すルーチンを一定の周期で実行している。
最初のステップS10では、要求トルク設定部8で設定された要求トルクと最大トルク算出部14で算出された最大トルクとが全開判定部12で比較される。要求トルクが最大トルク以上であること、より正確に言えば「要求トルク>最大トルク−定数」を満たすことが第1の全開条件である。
第1の全開条件が成立する場合にはステップS12に進む。ステップS12では、全開判定部12は第2の全開条件の成否について判定する。ドライバ要求トルクが最大トルク以上であることが第2の全開条件である。より正確に言えば、「ドライバ要求トルク>最大トルク−定数」を満たすことが第2の全開条件である。前記定数は適合によって決定される値である。第2の全開条件の成立を判定するための成立判定基準と、第2の全開条件の不成立を判定するための不成立判定基準との間にもヒステリシスが設けられている。機関回転数やバルブタイミング等の連続的な変化に伴って生じる最大トルクの変動によって判定結果がハンチングするのを防止するためである。
第2の全開条件も成立する場合にはステップS14に進む。ステップS14ではスロットル弁2の弁開度の制御として全開制御が選択される。全開判定部12は全開指示信号をスロットル弁開度制御部10に発信し、その信号を受けてスロットル弁開度制御部10はスロットル弁2の弁開度を全開に制御する。
第1の全開条件が成立しない場合、或いは、第2の全開条件が成立しない場合にはステップS16に進む。ステップS16ではスロットル弁2の弁開度の制御として通常制御が選択される。この場合、全開判定部12からの全開指示信号は発信されず、スロットル弁開度制御部10は要求トルクに応じてスロットル弁2の弁開度を制御する。
上述のような機能により、本実施の形態の制御装置によれば、ドライバが内燃機関に最大トルクを要求しているときには、スロットル弁2の弁開度全開にして内燃機関に最大トルクを出力させることができる。一方、ドライバが内燃機関に最大トルクを要求していないのであれば、他制御要求トルクを加えた全体の要求トルクが最大トルク以上であったとしても、スロットル弁2の弁開度は要求トルクに応じて制御されることになる。これによれば、他制御要求トルクの振動によって全開制御と通常制御とが頻繁に切り替えられ、それによりスロットル弁2がハンチングしてしまうのを防止することができる。
以上、本発明の実施の形態3としての制御装置について説明した。実施の形態3では、要求トルク設定部8は第5の発明の「要求トルク設定手段」に相当し、他制御要求トルクが第5の発明でいうところの「システム要求トルク」に相当する。また、実施の形態3に係る全開判定部12は第5の発明の「全開判定手段」に相当する。実施の形態3と本発明とのその他の対応関係に関しては、実施の形態1と本発明との対応関係に共通している。
実施の形態4.
本発明の実施の形態4について図1,図11乃至図14の各図を参照して説明する。
本実施の形態の制御装置は、実施の形態3の制御装置にさらなる機能を追加したものとなっている。本実施の形態で追加された機能は、実際に内燃機関から出力される機関トルクの他制御要求トルクへの追従性能を向上させるための機能である。なお、本実施の形態の制御装置を構成する要素は実施の形態1の制御装置のものと共通であるので、本実施の形態に関しても図1に示す構成に基づいて説明するものとする。
本実施の形態の制御装置は、スロットル弁開度制御部10の内部で行われる処理に特徴がある。図11は本実施の形態にかかるスロットル弁開度制御部10の詳細な構成を示すブロック図である。ただし、図11に示す構成は要求トルクに応じた弁開度の制御、すなわち、通常制御を行うための構成であって、全開制御を行う場合にはこれとは別の構成が用いられる。本実施の形態の特徴となる機能は通常制御に関するものであるので、全開制御を実現するための構成については図示を省略する。
図11に示すように、スロットル弁開度制御部10は、要求トルクをスロットル弁2の弁開度(要求開度)に変換するための複数の計算要素から構成されている。信号の上流側から説明すると、その最上流には要求トルクTQを要求充填効率KLに変換するTQ−KL変換部30が配置されている。要求トルク設定部8からスロットル弁開度制御部10に供給された要求トルクは、このTQ−KL変換部30に入力される。TQ−KL変換部30は、マップ或いは多項近似式によって要求トルクTQを要求吸気量KLに変換する。そのマップ或いは多項近似式では、バルブタイミング、ACIS4の動作状態、空燃比等がパラメータとして用いられている。
TQ−KL変換部30の次にはKL−PM変換部32が配置されている。TQ−KL変換部30で得られた要求吸気量KLは、このKL−PM変換部32において要求吸気管圧PMに変換される。KL−PM変換部32は、マップ或いは多項近似式によって要求吸気量KLを要求吸気管圧PMに変換する。そのマップ或いは多項近似式では、バルブタイミング、ACIS4の動作状態、空燃比等がパラメータとして用いられている。
KL−PM変換部32の次にはPMWOTガード部34が配置されている。PMWOTガード部34は、KL−PM変換部32で得られた要求吸気管圧PMの値を上限ガード値であるPMWOTによって制限する。吸気管圧が飽和に近くなる領域ではスロットル弁開度の変化に対して機関吸気量の変化は僅かとなる。PMWOTガード部34による処理は、このような飽和領域でのスロットル弁2の動作を制限するものであり、耐久性の低下に繋がるスロットル弁2の過剰な動作を防止することを目的としている。KL−PM変換部32で得られた要求吸気管圧PMがPMWOTよりも大きい値の場合、PMWOTガード部34から出力される要求吸気管圧PMの値はPMWOTに制限される。
PMWOTガード部34の下流にはフィルタ36を挟んでΔPM算出部38が配置されている。PMWOTガード部34でガード処理された要求吸気管圧PMは、フィルタ36によってノイズ成分を除去された後、ΔPM算出部38に入力される。ΔPM算出部38は、要求吸気管圧PMと現在の吸気管圧との差分ΔPMを算出する。この差分ΔPMは吸気管圧の要求変化量である。
ΔPM算出部38の下流には要求吸気管圧変化量ΔPMを空気量に変換するための計算要素40,42,44が配置されている。固定ゲイン処理部40と線形ゲイン処理部44、及び要求吸気管圧変化量ΔPMの値から線形ゲインの値を決定する線形ゲイン設定部42である。要求吸気管圧変化量ΔPMに固定ゲインを乗算し、さらに線形ゲインを乗算することで要求空気量変化量ΔKLが算出される。
要求吸気管圧変化量ΔPMから変換された要求空気量変化量ΔKLは、KL算出部46に入力される。KL算出部46は、要求空気量変化量ΔKLを現在の吸気量に加算したものをTA算出用の要求吸気量KLとして算出する。
KL算出部46の下流にはフィルタ48を挟んでKL−TA変換部50が配置されている。TA算出用の要求吸気量KLは、このKL−TA変換部50において要求開度TAに変換される。KL−TA変換部50は、マップ或いは多項近似式によって要求吸気量KLを要求開度TAに変換する。そのマップ或いは多項近似式では、バルブタイミング、ACIS4の動作状態、空燃比等がパラメータとして用いられている。
上述のようなスロットル弁開度制御部10の構成において問題となるのは、PMWOTガード部34による要求吸気管圧PMのガード処理である。図12は高負荷域で生じるおそれがあるスロットル弁2の動作について示す図である。高負荷域では吸気管圧が飽和状態に近くなることからPMWOTによるガードが働きやすくなる。このため、2段目のグラフに示すような振動的な他制御要求が要求トルクに含まれる場合であっても、最下段のグラフに示すように、実際の実現トルクの振幅は要求トルクの振幅に対して低く抑えられることになる。これは、車両の制御に必要とされるトルクが確実な精度で実現されていないことを意味する。
実現トルクの他制御要求トルクへの追従性能を高めるだけであるならば、簡単にはPMWOTによるガードを緩和すればよい。しかし、前述のように吸気管圧が飽和する飽和点近傍でのスロットル弁2の動作を許容すると、過剰な動作によってスロットル弁2の耐久性を低下させることになる。
そこで、本実施の形態では、ある条件が成立した場合にのみPMWOTによるガードを緩和することにした。PMWOTガードの緩和に関する判定を含むスロットル弁開度制御の流れをフローチャートで示したのが図13である。本実施の形態の制御装置は図13のフローチャートに示すルーチンを一定の周期で実行している。なお、このフローチャートにおいて実施の形態3に係る処理と同内容の処理については同一のステップ番号を付している。
最初のステップS10では、第1の全開条件である要求トルクが最大トルク以上であることが成立したか否か判定される。また、ステップS12では、第2の全開条件であるドライバ要求トルクが最大トルク以上であることが成立したか否か判定される。そして、第1の全開条件と第2の全開条件の両方が成立した場合にはステップS14に進み、スロットル弁2の弁開度の制御として全開制御が選択される。
第1の全開条件と第2の全開条件の何れか一方でも成立しない場合にはステップS20に進む。ステップS20では、VSCやTRC等の車両の制御システムからの他制御要求が入力されているか否か判定される。他制御要求の入力が無い場合にはステップS26に進む。ステップS26では、PMWOTの値は変更されずPMWOTによるガードは通常のままとされる。
他制御要求の入力がある場合にはステップS22に進む。ステップS22では、スロットル弁2の耐久性に問題がないかどうか判定される。スロットル弁2の耐久性は、スロットル弁2の稼働率の積算値が所定値を超えていないかどうかによって判定される。稼働率の積算値は、例えば、スロットル弁2の動作の周波数に所定のゲインを掛けた値が閾値を超えた時間の積算時間、と定義する。或いは、PMWOTによるガードを緩和した時間の積算時間、と定義してもよい。稼働率の積算値が所定値よりも小さい場合には、スロットル弁2の耐久性に問題が無いとみなされてステップS24に進む。ステップS24では、PMWOTによるガードが緩和される。つまり、PMWOTの値が吸気管圧の飽和点側へ変更される。
一方、稼働率の積算値が所定値以上の場合には、スロットル弁2の耐久性に問題があるとみなされてステップS26に進む。この場合は、PMWOTの値は変更されずPMWOTによるガードは通常のままとされる。そして、ステップS16では、ステップS24で緩和されたPMWOTのガード、或いは、ステップS26で現状に維持されたPMWOTによるガードを用いてスロットル弁開度の通常制御が行われる。
上述のような機能により、本実施の形態の制御装置によれば、要求トルクに他制御要求トルクが含まれるときには、PMWOTによるガードの緩和によって要求トルクの変化に応じてスロットル弁2を動作させることができる。図13はその効果について説明するための図である。最下段のグラフに示すように、PMWOTによるガードが緩和されたときには、PMWOTによるガードが通常のときに比較して高負荷域でのスロットル弁開度の振幅を大きくとることができる。その効果を示すのが3段目のグラフであり、PMWOTによるガードが緩和されることで、実際の実現トルクを要求トルクの変化に追従させることができるようになる。
また、本実施の形態の制御装置では、スロットル弁2の耐久性の低下が予想される状況でのPMWOTによるガードの緩和は禁止される。これにより、吸気管圧の飽和点前の領域でのスロットル弁2の動作は制限されるので、過剰な動作によるスロットル弁2の故障を予防することができる。
以上、本発明の実施の形態4としての制御装置について説明した。実施の形態4では、要求トルク設定部8は第7の発明の「要求トルク設定手段」に相当し、他制御要求トルクが第7の発明でいうところの「システム要求トルク」に相当する。また、図13に示すルーチンにおいてステップS20の処理に続きステップS24の処理が実行されることで第7の発明の「弁動作制限手段」が実現される。また、ステップS22の処理が実行されることで第8の発明の「耐久性指標値算出手段」が実現される。また、ステップS22の処理に続きステップS26の処理が実行されることで第8の発明の「制限緩和禁止手段」が実現される。実施の形態4と本発明とのその他の対応関係に関しては、実施の形態3と本発明との対応関係に共通している。
実施の形態5.
本発明の実施の形態5について図7及び図15を参照して説明する。
本実施の形態の制御装置は、実施の形態4の制御装置の改良にあたる。実施の形態4の制御装置では、スロットル弁の耐久性の低下によってPMWOTによるガードを緩和できない状況が生じる。このような状況でも要求トルクに対する実現トルクの追従性を確保できるようにしたのが本実施の形態の制御装置である。トルク追従性を確保するための機能として、本実施の形態の制御装置は、実施の形態2にて説明したスロットル弁開度と点火時期との協調によるトルク制御を取り入れている。本実施の形態の制御装置を構成する要素は実施の形態2の制御装置のものと共通であるので、本実施の形態に関しては図7に示す構成に基づいて説明するものとする。
まず、本実施の形態の制御装置で実行されるスロットル弁開度制御について図15を用いて説明する。図15のフローチャートはスロットル弁開度制御の流れを示している。本実施の形態の制御装置は図15のフローチャートに示すルーチンを一定の周期で実行している。なお、このフローチャートにおいて実施の形態4に係る処理と同内容の処理については同一のステップ番号を付している。
本実施の形態で実行されるスロットル弁開度制御と、実施の形態4で実行されるスロットル弁開度制御との違いは、ステップS22の判定結果を受けて行う処理にある。ステップS22では、スロットル弁2の耐久性に問題がないかどうかスロットル弁2の稼働率の積算値に基づいて判定される。稼働率の積算値の計算方法については実施の形態で説明したとおりである。スロットル弁2の耐久性に問題が無い場合にはステップS24に進み、PMWOTによるガードが緩和される。
本実施の形態と実施の形態4とで違いが有るのが、スロットル弁2の耐久性に問題があると判定された場合の処理である。本実施の形態では、スロットル弁2の耐久性に問題がある場合にはステップS14に進み、スロットル弁2の弁開度の制御として全開制御が選択される。本実施の形態では、スロットル弁2の耐久性の低下によってPMWOTのガードの緩和が禁止されていること、を全開判定部12で成否が判定される第3の全開条件としている。
スロットル弁2の弁開度が全開に制御されることで、内燃機関は最大トルクまで出力できるようになる。しかし、ここで実現したいのは最大トルクではなくて他制御要求トルクを含む要求トルクであるので、最大トルクと要求トルクとの差分を調整する機能が必要となる。そのトルク調整のための機能がトルク効率に基づく点火時期制御であって、その内容は図7を用いて説明することができる。
図7に示す構成によれば、現在のスロットル弁開度によって実現されるトルクは推定トルク算出部22において推定トルクとして算出される。推定トルクは点火時期が最適点火時期に設定されているという前提で算出される。したがって、スロットル弁2が全開のときに算出される推定トルクは内燃機関の最大トルクとなる。トルク効率算出部24は、この最大トルクに対する要求トルクの比をトルク効率として算出する。算出されたトルク効率は点火遅角量算出部26に入力され、点火遅角量算出部26はトルク効率に基づいて点火遅角量を算出する。ここで算出される点火遅角量は、最大トルクから要求トルクまで機関トルクを低下させるのに必要な点火遅角量である。最大トルクと要求トルクとの差が大きいほど、算出される点火遅角量も大きい値となる。点火時期制御部28は、算出された点火遅角量と最適点火時期とから点火装置20への要求点火時期を決定する。
上述のような点火時期制御が行われることで、スロットル弁2の全開制御によって出力可能となる最大トルクと要求トルクとの差分は自動的に調整されることになる。したがって、本実施の形態の制御装置によれば、スロットル弁2の耐久性の低下によってPMWOTによるガードを緩和できない場合であっても、要求トルクに対する実現トルクの追従性を確保することができる。
以上、本発明の実施の形態5としての制御装置について説明した。実施の形態5では、推定トルク算出部22は第9の発明の「推定トルク算出手段」に相当する。また、トルク効率算出部24と点火遅角量算出部26と点火時期制御部28とにより第9の発明の「点火時期制御手段」が構成されている。また、全開判定部12による判定結果を受けてステップS22の処理に続きステップS14の処理が実行されることで第9の発明の「全開判定手段」が実現される。実施の形態5と本発明とのその他の対応関係に関しては、実施の形態4と本発明との対応関係に共通している。
その他.
本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、以下のように変形して実施してもよい。
上述の実施の形態では、スロットル弁とACISとを備えた内燃機関を制御対象としているが、本発明の制御装置が制御対象としうる内燃機関がこれに限定されるものではない。スロットル弁は機関吸気量を調整する吸気量調整弁の一例であり、ACISは機関回転数に応じて動作状態が切り替わるアクチュエータの一例である。吸気量調整弁としては、リフト量を連続的に変化させることができる連続式VVLを備えた吸気弁であってもよい。また、後者のアクチュエータとしては、SCVや多段式VVLであってもよい。例えば多段式VVLを備える内燃機関であれば、図4に示すマップの領域(2)及び(3)を大リフト、他の領域を小リフトとして多段式VVLの動作を制御することができる。この場合、内燃機関が領域(1)で運転されているときには、多段式VVLが大リフトであるとして最大トルクが算出されることになる。
また、実施の形態3で実行されるスロットル弁開度制御は、必ずしもACIS等の離散的に動作するアクチュエータを備えていることを前提としない。実施の形態4或いは実施の形態5で実行されるスロットル弁開度制御についても同様である。これらのスロットル弁開度制御は、ACIS等の離散的に動作するアクチュエータを有しない内燃機関に適用しても効果的である。
本発明の実施の形態1としての内燃機関の制御装置の構成を示すブロック図である。 最大トルク算出、要求トルク設定及び全開判定の演算順序について説明するための図である。 図2の(B)に示す演算順序で生じる問題について説明するための図である。 ACISの制御に用いられるマップを示す図である。 本発明の実施の形態1で実行される最大トルク算出のためのルーチンを示すフローチャートである。 本発明の実施の形態1で得られる効果について説明するための図である。 本発明の実施の形態2としての内燃機関の制御装置の構成を示すブロック図である。 ドライバ要求に他制御要求が加わったときに生じる問題について説明するための図である。 本発明の実施の形態3で実行されるスロットル弁開度制御のルーチンを示すフローチャートである。 本発明の実施の形態3で得られる効果について説明するための図である。 本発明の実施の形態4にかかるスロットル弁開度制御部の詳細な構成を示すブロック図である。 図11に示す構成で生じる問題について説明するための図である。 本発明の実施の形態4で実行されるスロットル弁開度制御のルーチンを示すフローチャートである。 本発明の実施の形態4で得られる効果について説明するための図である。 本発明の実施の形態5で実行されるスロットル弁開度制御のルーチンを示すフローチャートである。
符号の説明
2 スロットル弁
4 ACIS
6 アクセル開度センサ
8 要求トルク設定部
10 スロットル弁開度制御部
12 全開判定部
14 最大トルク算出部
16 ACIS制御部
18 点火遅角禁止判定部
20 点火装置
22 推定トルク算出部
24 トルク効率算出部
26 点火遅角量算出部
28 点火時期制御部

Claims (9)

  1. 機関吸気量を調整する吸気量調整弁と、機関回転数に応じて動作状態が切り替わる前記吸気量調整弁とは別のアクチュエータとを備え、前記アクチュエータの動作状態によって出力性能が変化する内燃機関の制御装置において、
    現在の機関回転数において前記内燃機関が出力可能な最大トルクを基準として前記内燃機関への要求トルクを設定する要求トルク設定手段と、
    現在の機関回転数よりも高回転数において前記アクチュエータの動作状態が前記内燃機関の出力性能を高める方向に切り替わるか否か判定する動作状態判定手段と、
    前記アクチュエータの動作状態が前記内燃機関の出力性能を高める方向に切り替わると判定された場合には、前記アクチュエータの切り替わった後の動作状態に基づいて前記最大トルクを算出し、前記アクチュエータの動作状態が前記内燃機関の出力性能を高める方向には切り替わらないと判定された場合には、前記アクチュエータの現在の動作状態に基づいて前記最大トルクを算出する最大トルク算出手段と、
    前記吸気量調整弁の弁開度を全開にするか否か判定する手段であって、前記要求トルクが前記最大トルク以上であることを全開条件とする全開判定手段と、
    前記全開条件が成立しているときには前記吸気量調整弁の弁開度を全開に制御し、前記全開条件が成立していないときには前記要求トルクに応じて前記吸気量調整弁の弁開度を制御する弁開度制御手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記動作状態判定手段は、前記内燃機関の運転域と前記アクチュエータの動作状態とを関連付けたマップを有し、前記マップを用いて前記アクチュエータの動作状態が前記内燃機関の出力性能を高める方向に切り替わるか否か判定することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記全開判定手段は、前記全開条件の成立を判定するための成立判定基準と、前記全開条件の不成立を判定するための不成立判定基準とを有し、前記成立判定基準と前記不成立判定基準との間にヒステリシスを設けていることを特徴とする請求項1又は2記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記吸気量調整弁はスロットルであり、
    前記アクチュエータは可変吸気機構、スワールコントロールバルブ及びバルブリフト量可変機構の何れかであることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記要求トルク設定手段は、ドライバから要求されるドライバ要求トルクに車両の制御システムから要求されるシステム要求トルクを加算したものを前記要求トルクとして設定し、
    前記全開判定手段は、前記ドライバ要求トルクが前記最大トルクに達していることを前記全開条件に含むことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の内燃機関の制御装置。
  6. 前記吸気量調整弁の弁開度に基づいて前記内燃機関の推定トルクを算出する推定トルク算出手段と、
    前記要求トルクと前記推定トルクとの比較に基づいて前記要求トルクを実現するために必要な点火遅角量を算出し、前記点火遅角量に従って点火時期を制御する点火時期制御手段と、
    前記全開条件が成立しているときには前記点火時期制御手段による点火時期の遅角を禁止する点火遅角禁止手段と、
    をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の内燃機関の制御装置。
  7. 弁開度の変化に対して機関吸気量の変化が僅かとなる動作領域での前記吸気量調整弁の動作を制限する弁動作制限手段をさらに備え、
    前記要求トルク設定手段は、ドライバから要求されるドライバ要求トルクに車両の制御システムから要求されるシステム要求トルクを加算したものを前記要求トルクとして設定し、
    前記弁動作制限手段は、前記要求トルクに前記システム要求トルクが含まれるときには前記吸気量調整弁の動作の制限を緩和することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の内燃機関の制御装置。
  8. 前記吸気量調整弁の耐久性に係る指標値を算出する耐久性指標値算出手段と、
    前記耐久性指標値から前記吸気量調整弁の耐久性の低下が判断される場合には、前記弁動作制限手段による前記吸気量調整弁の動作制限の緩和を禁止する制限緩和禁止手段と、
    をさらに備えることを特徴とする請求項7記載の内燃機関の制御装置。
  9. 前記吸気量調整弁の弁開度に基づいて前記内燃機関の推定トルクを算出する推定トルク算出手段と、
    前記要求トルクと前記推定トルクとの比較に基づいて前記要求トルクを実現するために必要な点火遅角量を算出し、前記点火遅角量に従って点火時期を制御する点火時期制御手段とをさらに備え、
    前記全開判定手段は、前記制限緩和禁止手段によって前記吸気量調整弁の動作制限の緩和が禁止されているときには前記全開条件を成立させることを特徴とする請求項8記載の内燃機関の制御装置。
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