JP4613872B2 - 制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は制御装置に関する。更に具体的には、応答性の異なる2種の出力変化手段により、発生する出力を制御する制御装置に関するものである。
内燃機関の運転の際には、アクセル操作量の変化に基づいて要求トルクが算出され、要求トルクを発生させるために必要な吸入空気量が求められる。その後、この吸入空気量に応じてスロットルバルブの開度(スロットル開度)、点火時期、及び燃料噴射量等が設定される。しかし、スロットルバルブ下流の吸気通路の容積により、スロットル開度が設定開度に変更されてから、実際にその開度に応じた量の空気が気筒内に供給されるまでには応答遅れ(位相遅れ)が生じる。このため、設定された点火時期及び燃料噴射量が、必ずしも実際の吸入空気量に適合するものとはならない場合がある。
これに対して、特開平3−182667号には、内燃機関の過渡運転中における点火時期と燃料噴射量とを、実際に気筒に吸入される吸入空気量に応じて制御する制御装置が開示されている。具体的に、この装置においては、吸入空気量の位相遅れを補償するため、点火時期や燃料噴射量の決定に先立って、実際に気筒内に供給される空気量が推定され、推定された空気量に基づいて、実際に発生する実トルクが算出される。その後、実トルクに応じて最適な燃料噴射量と最適な点火時期とが決定される。上記従来技術によれば、過渡の運転時においても吸入空気量の位相遅れを補償して、各気筒に燃料と空気とを過不足なく供給し、最適なタイミングで点火を行うことができるものとしている。
特開平3−182667号公報 特開平4−63945号公報
しかしながら、上記従来技術においては、吸気の位相遅れを補償する実際の吸入空気量が推定され、この実際の吸入空気量から実トルクが求められた後、実トルクに基づいて最適な燃料噴射量と点火時期とが決定される。このため制御のパラメータの演算負荷が高まり、却って制御の遅れを発生する場合がある。また、この制御は、算出された実トルクに基づいて最適点火時期と燃料噴射量とを決定するものであり、吸入空気量の位相遅れにより生じる要求トルクに対する実トルクの応答遅れを補償するものではない。従って、例えば内燃機関の過渡運転中等において、吸気の位相遅れ時間よりも短時間で要求トルクが変化するような場合には、要求トルクに応じて吸入空気量を変化させることが困難となり、要求トルクに追従してトルクを発生させることが困難となる。
この発明は上記の課題を解決することを目的とし、要求される出力が大きく変化する場合にも、制御の応答遅れによる影響を抑えて要求に応じた出力を発生させることができるように改良した制御装置を提供するものである。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、
目標出力に応じて、出力を変化させる第1出力変化手段と、
前記目標出力に応じて、前記第1出力変化手段よりも速い応答性で、出力を変化させる第2出力変化手段と、
を備える制御装置であって、
前記目標出力の、所定の予測時間中の変化を予測する目標出力変化予測手段と、
前記第1出力変化手段により、変化可能な出力範囲の、前記予測時間中の変化を予測する出力範囲変化予測手段と、
前記予測時間中に、前記目標出力が、前記出力範囲外となるときのはみ出し量が、判定値以上になるか否かを判定する出力範囲外判定手段と、
前記はみ出し量が前記判定値以上になると判定された場合に、前記出力範囲外となる場合の前記目標出力に応じて、前記第1出力変化手段により、出力の変化を開始する第1制御手段と、
前記第1出力変化手段により変化する出力と、前記目標出力との差を算出する出力差算出手段と、
前記第2出力変化手段により、前記出力差分の出力を補正するように制御する第2制御手段と、
を備えることを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明において、前記判定値をゼロとすることを特徴とする。
第3の発明は、第2の発明において、
前記目標出力変化予測手段は、前記予測時間中における前記目標出力の変化を、目標出力変化パターンとして推定し、
前記出力変化範囲予測手段は、前記予測時間中における前記出力範囲の変化を、出力範囲変化パターンとして推定し、
前記出力範囲外判定手段は、前記目標出力と前記出力範囲とが一致するタイミングを判定し、
前記第1制御手段は、前記目標出力と前記出力範囲とが一致するタイミングにおいて、前記出力範囲が前記出力変化範囲パターンに従って変化するように、前記第1出力変化手段を制御することを特徴とする。
第4の発明は、第1から第3の発明において、
前記予測時間中に、前記目標出力が、制御可能な最大出力を超えるか否かを判定する最大判定手段と、
前記目標出力が最大出力を超えると判定された場合に、前記目標出力が前記最大出力を超える部分の目標出力を、前記最大出力に補正する目標出力補正手段と、
を備えることを特徴とする。
第5の発明は、第1から第4の発明において、
前記目標出力が、前記第1出力変化手段による出力変化の応答遅れ時間より短い周期で周期的に変化する、短周期変化を検出する短周期変化検出手段と、
前記短周期変化中における前記目標出力の平均を算出する短周期出力平均算出手段と、
前記短周期変化中における前記目標出力の振幅を算出する短周期出力振幅算出手段と、
前記短周期変化中における、前記目標出力の平均と、前記振幅の半分との合計の出力を、前記短周期変化中における短周期上限出力として算出する短周期上限出力算出手段と、を更に備え、
前記第1制御手段は、前記短周期変化中において、第1出力変化手段により、前記短周期上限出力に応じて出力が変化するように制御し、
前記出力差算出手段は、前記短周期変化中において、前記短周期上限出力と、前記目標出力との出力差を算出し、
前記第2制御手段は、前記短周期変化中における前記出力差を補正するように制御することを特徴する。
第6の発明は、
目標出力に応じて、出力を変化させる第1出力変化手段と、
前記目標出力に応じて、前記第1出力変化手段よりも速い応答性で、出力を変化させる第2出力変化手段と、
を備える制御装置であって、
前記目標出力の、所定の予測時間中の変化を予測する目標出力変化予測手段と、
前記第1出力変化手段により、変化可能な出力範囲の、前記予測時間中の変化を予測する出力範囲変化予測手段と、
前記予測時間中において、前記目標出力が前記出力範囲外となる部分のはみ出し量の合計が、最も小さくなるように、前記出力範囲の変化パターンを算出する出力範囲変化パターン算出手段と、
前記出力範囲の変化パターンに従って、前記第1出力変化手段による出力の変化を制御する第1制御手段と、
前記予測時間中のある時刻において、前記第1出力手段により変化できる最大出力と、前記目標出力との出力差を算出する出力差算出手段と、
前記第2出力変化手段により、前記出力差を補正する前記第2制御手段と、
を備えることを特徴とする。
第7の発明は、第1から第6のいずれかの発明において、
前記第1出力変化手段は、内燃機関の吸入空気量を変化させ、
前記目標出力変化予測手段は、内燃機関の目標トルクを前記目標出力として、その変化を予測し、
前記出力範囲変化予測手段は、前記内燃機関の現在の運転状態において、吸入空気量を変化させた場合に出力可能となる可能トルクを、前記出力範囲として、その変化を予測し、
前記第1制御手段は、第1出力変化手段により、吸入空気量を変化させるように制御し、
前記第2制御手段は、前記吸入空気量の制御よりも早い応答性で、前記第2出力変化手段により、前記出力差を補正することを特徴とする。
第8の発明は、第7の発明において、
前記第1出力変化手段は、前記内燃機関の吸気通路に配置されたスロットルバルブであって、
前記第1制御手段は、前記スロットルバルブの開度を制御することにより吸入空気量を制御することを特徴とする。
第9の発明は、第7または第8の発明において、
前記第2出力変化手段は、前記内燃機関の点火手段であって、
前記制御装置は、
前記予測時間中のある時刻における吸入空気量に応じて、基本点火時期を算出する基本点火時期算出手段と、
前記出力差に応じて、前記基本点火時期に対する点火時期遅角量を算出する遅角量算出手段と、
前記点火時期遅角量に応じて、前記基本点火時期を遅角した補正点火時期を設定する補正点火時期設定手段と、
を備え、
前記第2制御手段は、前記補正点火時期に応じて点火時期を制御することを特徴とする。
第10の発明は、第7から9のいずれかの発明において、
アクセル操作量を検出するアクセル操作量検出手段と、
前記アクセル操作量の変化に基づいて要求トルクを算出する要求トルク算出手段と、
を備え、
前記目標出力変化予測手段は、前記要求トルクを、遅延時間分遅らせたトルクを、前記目標出力として予測することを特徴とする。
第11の発明は、第7から9のいずれかの発明において、前記目標出力変化予測手段は、前記予測時間中の運転状態に応じた制御スケジュールに基づいて、前記目標出力を予測することを特徴とする。
第1の発明によれば、予測時間中における目標出力の変化を予測し、また、その予測時間中における出力範囲の変化を予測する。その上で、予測時間中に目標出力が、出力範囲外となるときのはみ出し量が判定値以上大きくなる場合、そのときの目標出力に応じて、第1制御手段による出力を制御する。また、これにより変化した第1出力トルクと目標出力との出力差分を低下させるよう、第2制御手段による制御を行う。これにより、目標出力が急激に変化する場合にも、それに備えて必要な出力を確保することができる。
第2の発明によれば、判定値がゼロとされるため、目標出力が出力範囲外となった時点で第1出力変化手段により出力変化の制御が開始される。これにより、目標出力の急激な変化に対して、より確実に対応することができる。
第3の発明によれば、予測時間中における目標出力変化パターンと、出力範囲変化パターンとが推定される。また、目標出力と出力範囲とが一致するタイミングにおいて、出力範囲が出力変化範囲パターンに従って変化するように、第1出力変化手段による制御が行われる。これにより、目標出力の変化に応じて、適切な出力範囲の制御を推定して、より確実なタイミングで制御を開始することができる。
第4の発明によれば、目標出力が、内燃機関において出力可能な最大出力を超える場合に、目標出力が最大出力を超える部分の目標出力を最大出力に補正する。これにより、出力できないほどに大きな出力要求による影響を抑えて、より的確なタイミングで第1出力変更手段による出力変更の制御を開始することができる。
第5の発明によれば、目標出力が第1出力変化手段による出力変化の応答遅れよりも短い周期で変化する短周期変化中において、短周期変化中の平均出力と振幅の半分との合計出力を短周期変化中の上限出力として、第1出力変化手段による出力変化を制御する。その上で、制御の応答性の速い第2出力変化手段により、短周期変化に応じた出力が発せられるように、短周期上限出力と目標出力との出力差が補正される。従って、制御の応答遅れよりも短い周期で目標出力が変化する場合にも、より正確に目標出力に応じた出力を発することができる。
第6の発明によれば、予測時間中における目標出力の変化を予測し、また、出力可能な出力範囲の予測時間中における変化を予測する。その上で、予測時間中において、目標出力が出力範囲外となる部分のはみ出し量の合計が、最も小さくなるように、出力範囲の変化パターンを算出し、その変化パターンに従って、第1出力変化手段による、出力の変化を制御する。また、現在の時刻において第1出力変化手段により変化可能な最大出力と、目標出力との出力差を、第2出力変化手段により補正する。従って、出力の要求が出力可能範囲を越える場合にも、可能な範囲で広く要求に応じた出力を発することができる。
また、第7の発明の制御装置は、内燃機関の制御装置に適用され、内燃機関の目標トルクの変化を目標出力の変化として予測し、現在の運転状態から吸入空気量を変化させた場合に、出力可能となるトルクの変化を出力範囲の変化として算出する。その上で、予測時間中に目標トルクが可能トルクよりも判定値以上大きくなる場合、それに応じて、吸入空気量を変化させるように制御する。これにより、目標トルクが急激に増大する場合にも、それに備えて必要な吸入空気量を確保することができる。また吸入空気量の増大を、急激なトルク増大に備えて早い段階で行うことにより、トルク急増までの間に、吸入空気量が目標トルクに対して過剰となり出力可能な可能トルクが上昇する。このため、可能トルクと目標トルクとのトルク差分を低下させる制御を行うが、この際、燃費の損失が発生する。しかし、第1の発明によれば、吸入空気量の増大を、目標トルクが可能トルクよりも判定値以上大きくなった段階で実行することとし、吸入空気量増大の開始のタイミングを、吸入空気量の確保に最低限必要な時刻にまで遅らせている。従って、吸入空気量の増大開始により発生する燃費の損失を少なく抑えることができる。
また、スロットル開度の制御により吸入空気量が制御される場合、スロットル開度を制御してから、実際にその開度に応じた吸入空気量の空気が内燃機関の気筒内に吸気されるまでの応答遅れは比較的長く、要求に応じたトルクを即時に発生させることが困難となる場合がある。しかし、第8の発明によれば、要求トルクを予め予測する目標トルクを求め、目標トルクの上昇に先立ってスロットルバルブを開くことができる。従って、目標トルクが急激に上昇するような場合にも、必要な吸入空気量を予め確保して、そのトルクに応じたトルクを発生できる状態としておくことができる。また、スロットルバルブを開き側に制御したことによるトルクの上昇分は、吸気の応答性よりも早い応答性を有する手段により補正して、常に目標トルクに応じたトルクを発生させることができる。
ここで、点火時期を基本点火時期から遅角するにつれて、トルクを低下させることができる。この点火時期遅角によるトルクの低下は、吸入空気量の応答性よりも速い応答性で実現することができる。従って、第9の発明によれば、目標トルクと可能トルクとのトルク差を確実に補正することができ、発生するトルクを目標トルクに一致させることができる。
また、例えば、ユーザの要求に応じた要求トルクを遅延時間分遅らせて実現する場合や、あるいは、運転状態に応じた制御スケジュールに基づいて内燃機関の運転を行う場合には、トルク要求をある程度予測することができる。従って、第10又は第11の発明によれば、効果的にトルクの変化を予測して、トルクの急増に備えることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において、同一または相当する部分には同一符号を付してその説明を簡略化ないし省略する。
実施の形態1.
[実施の形態1のシステム構成について]
図1は、この発明の実施の形態1における内燃機関システムの構成について説明するための模式図である。図1に示すシステムは、内燃機関10を備えている。内燃機関10は気筒12を備えている。図1においては1の気筒12の断面のみを表しているが、実際には内燃機関10は複数の気筒12を備えている。気筒12内部にはピストン14が配置されている。ピストン14は、コンロッドを介してクランクシャフト(図示せず)に接続されている。クランクシャフトの近傍には、内燃機関10のエンジン回転数に応じた出力を発する回転数センサ16が配置されている。
気筒12内のピストン14上部には燃焼室18が設けられている。燃焼室18の天井部(シリンダヘッド)中央には、先端のギャップが燃焼室18内に突出するように点火プラグ20(第2出力変化手段)が組み付けられている。点火プラグ20による点火のタイミングはアクチュエータ22を介して電気的に制御される。燃焼室18の天井部には、吸気ポート24及び排気ポート26が連通している。吸気ポート24には、先端の噴射口が吸気ポート24内に突出するようにポートインジェクタ28が組み付けられている。
各気筒12の吸気ポート24には共通の吸気通路30が接続されている。吸気通路30には、電子制御式のスロットルバルブ32(第1出力変化手段)が設けられている。スロットルバルブ32はその開度を変更することにより、吸気通路30内に流入する空気量を調整する。スロットルバルブ32の開度(スロットル開度)は、アクチュエータ34を介して、アクセル操作などによる加減速要求等に基づいて電気的に制御される。すなわち、アクセル開度とは独立してスロットル開度を制御することができる。スロットルバルブ32の上流において、吸気通路30には、エアフロメータ36が配置されている。エアフロメータ36は、吸気通路30内に流入する空気流量に応じた出力を発する。
実施の形態1の内燃機関システムは、内燃機関の制御装置としてのECU(Electronic Control Unit)40を備えている。ECU40は、回転数センサ16、エアフロメータ36、及びアクセル開度センサ42等の各種センサに接続され、これらのセンサから内燃機関10の制御に必要な情報を取得する。また、ECU40は、アクチュエータ22、34等に接続され、取得した情報に基づいて点火時期、スロットル開度等を制御する。
[スロットル開度と点火時期の制御について]
図2は、スロットル開度とトルクとの関係を表す図である。図2において横軸はスロットル開度、縦軸はトルクを表している。スロットル開度が大きくなるにつれて吸入空気量が増大する。従って、図2に示すように、発生するトルクもスロットル開度が大きくなるに連れて大きくなる。実施の形態1のシステムにおいて、内燃機関の通常運転時の基本スロットル開度は、この関係に基づいて、要求トルクが大きい場合には大きく設定され、要求トルクが小さい場合には小さく設定される。ECU40には、図2に示すようなスロットル開度とトルクとの関係を定めたマップが予め記憶されている。内燃機関10の通常運転中、このマップに従って、要求トルクに応じた基本スロットル開度が設定され、スロットル開度が制御される。その結果、吸気通路30に流入する吸入空気量が、基本スロットル開度に応じた吸入空気量に制御される。
しかし、スロットルバルブ32の下流側と気筒12との間には吸気通路30や吸気ポート24が介在している。この吸気通路30や吸気ポート24の容積により、スロットル開度が要求トルクに応じて基本スロットル開度に設定された後、その開度に応じた量の空気が気筒12内に実際に吸気されるまでの間に遅れが生じる。このため要求トルクが急激に変化した場合には、実際に要求トルクの発生に必要な吸入空気量の吸気に応答遅れが生じることとなる。
図3及び図4は、要求トルクと発生トルクとの関係を説明するための図である。図3及び図4において横軸は時刻、縦軸はトルクを表している。図3は、要求トルクに応じてスロットル開度を基本スロットル開度に制御した場合の発生トルクの変化を表している。図3の実線(a)に示すように、時刻T1において要求トルクの急激な増加があった場合、直ちにスロットル開度が要求トルクに応じたスロットル開度に開かれる。このとき、発生トルクは点線(b)に示すように、吸入空気量の増加に伴い徐々に上昇し、最終的に時刻T1から応答遅れ時間T0経過後の時刻T2になって要求トルクに達することとなる。このように、スロットル開度を要求トルクに応じた基本スロットル開度に制御するだけでは、要求トルクの急激な変化に応じて、直ちに要求されるトルクを発生させることは困難である。
ところで、通常運転時において、点火時期は、そのときの吸入空気量及び機関回転数等の条件下で、最良の燃料消費率及び出力が得られるよう最良の燃焼効率となるタイミング(MBT; minimum advance for the best torque)に設定される。従って、同じ吸入空気量の条件下でも、点火時期をMBTから遅角させた場合には燃焼効率が低下し、発生トルクが低くなる。ここで、点火時期は、ECU40からアクチュエータ22に送られた制御信号により点火プラグ20の点火を直接制御することにより制御される。従って、ECU40からの制御信号により、即時に点火時期を変更し、設定されたタイミングに制御することができる。また、点火時期遅角により燃焼効率は直ちに低下するため、点火時期遅角によるトルク低下は、吸入空気量の応答性よりも早い応答性で、僅かな応答遅れ内に実現することができる。
図4は、スロットル開度の制御に加えて点火時期の制御を行うことにより、要求トルクに応じたトルクを発生させる例を表している。具体的に、要求トルク(a)が時刻T1において急激に増大するよりも前に、スロットル開度は制御可能な最大開度(全開)に制御されている。従って、吸入空気量も最大の状態となっている。この状態で出力可能な範囲のトルクの最大値である上限トルクは、図4において一点鎖線(c)で表すように、要求トルクが急激に増大した場合のトルクよりも大きなものとなっている。
ここで、上限トルク(c)は、スロットル開度を全開とした場合に発生しうるトルクの最大値であり、このときの点火時期はMBTに制御されている。従って、点火時期をMBTから遅角させることにより、実際に発生するトルクを上限トルクよりも低下させることができる。つまり要求トルクに応じて、矢印(d)に示す分のトルク低下を図るよう点火時期をMBTから遅角させる制御を実行すれば、点線(b)のように発生トルクを、要求トルク(a)に即したトルクとすることができる。
しかしながら、このような点火時期遅角によるトルクの制御は、燃焼効率を最良の状態から下げることによりトルクを低下させるものである。つまり、この制御においては、点火時期遅角によりトルクを低下させた部分(斜線部(e))において、燃料効率が低下し、燃費の損失が発生していることになる。このような損失は、燃費の向上を考慮すれば、小さく抑えられることが望ましい。従って、実施の形態1のシステムは、この損失分を小さくしつつ、要求トルクに応じたトルクを発生するよう以下の制御を行う。
[実施の形態1における特徴的な制御]
図5は、実施の形態1におけるトルクの制御を説明するための図である。実施の形態1では、図5の細線(a0)で示されるユーザからの要求トルクに対して、実線(a1)で示されるように、要求トルクの変化を予測して目標トルクを設定する。具体的に、実施の形態1では、ユーザからの要求に基づく要求トルクが、ユーザに違和感を感じさせない範囲内で一定の遅れを持って実現されるものとする。目標トルクは、この実現されるべき目標として設定されるトルクであり、現在までの要求トルク(a0)を一定の遅れ時間遅れさせることにより算出される。また、このような目標トルクを予測する予測時間は、現在の時刻Tiから吸入空気量の応答遅れ時間TO経過までの範囲とする。
ここで、例えばある時刻Ti(i>0)において、スロットル開度を現在の開度から全開にし、かつ点火時期をMBTとした場合に得られるトルク(上限トルク)の変化は、図5の一点鎖線(ci)のように表される。つまり、上限トルク(ci)は、時刻Tiにおける運転状態において出力し得る最大のトルクの変化を表している。時刻Tiにおいてスロットル開度が全開に設定されると、僅かに時間遅れが経過した後で、気筒12内に実際に吸気される吸入空気量は徐々に増加し始め、応答遅れ時間T0の間にスロットル開度全開に相当する最大の吸入空気量に達する。このとき上限トルク(ci)も吸入空気量の変化に追従し、応答遅れ時間T0後にスロットル開度を全開とした場合に得られる最大のトルク(最大出力)に達する。
上記のような上限トルクの変化(ci)を、スロットル開度及び点火時期MBTを設定する時刻Tiにおいて、繰り返し予測する。その結果、例えば時刻T1において予測された上限トルクの変化(c1)が、その一部において目標トルク(a1)と重なる部分が発生する場合がある。この場合、直ちにスロットル開度が全開とされる。その結果、時刻T1後の吸入空気量は徐々に増大し、これに伴って上限トルク(c1)も増大する。従って、目標トルク(a1)が上限トルク(c1)をに達すると予測される時刻T2までに最低限の吸入空気量を確保することでき、目標トルクと同程度のトルクを発生できる状態とすることができる。
図6は、時刻T1においてスロットル開度を全開とした場合に出力可能な上限トルクと点火時期遅角によるトルク低下の制御について説明するための図である。図6において横軸は時刻を表し、縦軸はトルクを表している。上記のように時刻T1においてスロットル開度を全開とした場合、目標トルク(a1)が急激に増大する時刻T2までに、発生し得る上限トルク(c1)を目標トルクと同程度のトルクにまで上昇させることができる。しかし、スロットル開度を全開とした時刻T1から、目標トルクが急増する時刻T2までの間、上限トルク(c1)と目標トルク(a1)との間に、図6の矢印(d)に示すようなトルク差が生じることとなる。従って、実施の形態1のシステムではこのトルク差分を点火時期遅角により補正する制御を行う。なお、以下、本実施の形態において、このような制御をトルク低下補正制御とする。
図7は、点火時期遅角量とトルクダウン率との関係を説明するための図である。図7において横軸は点火時期遅角量(CA)を表し、縦軸はトルクダウン率(%)を表している。図7に示すように、点火時期MBTに対する点火時期遅角量が大きくなるにつれて、トルクダウン率は次第に大きくなっている。このような関係に基づいて、点火時期をMBTから遅角することにより、発生トルクを上限トルクに対して最大50%程度にまで低下させることができる。
具体的に、遅角量の算出に当たっては、まず時刻T1以降のある時刻Tiにおける上限トルクの値が、時刻T1における吸入空気量や時刻Tiにおける機関回転数等から推定される。そして、時刻Tiにおける上限トルクの推定値に対する、時刻Tiにおける目標トルクの割合が、次式(1)に従ってトルクダウン率(%)として算出される。
トルクダウン率= 目標トルク/上限トルク ・・・・(1)
ECU40には、図7に示すような関係に基づいて、点火時期遅角量(°CA)とトルクダウン率(%)との関係を定めたマップが予め記憶されている。このマップに従って、式(1)により求められたトルクダウン率に応じて点火時期遅角量が求められて、点火時期が遅角制御される。これにより、スロットル開度を全開とした上限トルク(c1)からトルク差分(矢印(d))のトルクを低下させることができ、要求トルクに応じた発生トルク(b)を実現することができる。
なお上記の制御が行われた後、予測される上限トルク(c1)が目標トルク(a1)を再び上回るようになる。このように上限トルクが目標トルクより大きくなった時点で、スロットル開度は全開から、目標トルクに応じたスロットル開度に制御される。これにより、次第に目標トルクに対応した吸入空気量となるため、点火遅角量はゼロとなり、点火時期はMBTに戻される。
ところで、スロットル開度を全開にした後吸気の応答遅れ時間TO経過までの間に、気筒12内に実際に吸気される吸入空気量は、スロットル開度全開の場合に応じた最大の吸入空気量に達する。このため、予めスロットル開度を全開にしてトルクの増大に備える制御は、目標トルクが変化するよりも遅くとも吸気の応答遅れ時間TO前に行えば、目標トルクが最大トルクにまで急激に増大し最大の吸入空気量を必要とする場合にも、間に合わせることができる。また、応答遅れ時間T0よりも先のトルク変化であれば、そのトルク変化が応答遅れ時間TOの範囲内に入った時に制御を行うことで対応することができる。
一方、予測時間が必要以上に長くなれば、直ちにスロットルバルブ32を全開とする必要がない程先の目標トルクの変化によって、スロットルバルブ32を全開とする制御が開始される可能性がある。このように、早いタイミングでスロットルバルブ32が全開とされた場合、トルク低下補正制御によるトルクの調整分が大きくなる。上記のように、点火時期遅角によるトルク低下補正制御は、燃焼効率を下げることにより実現するものであり、燃費の向上の観点からみれば、このトルク低下補正制御によるトルクの補正分は少ないことが好ましい。
従って、目標トルクと上限トルクとの比較を行う時間の範囲である現在の時刻Tiからの予測時間は、必要十分な範囲で最短に設定されることが好ましい。従って、実施の形態1では、予測時間を、応答遅れ時間T0、すなわち、スロットル開度が設定された後実際にそのスロットル開度に応じた量の吸気が気筒12内に吸気されるようになるまでの時間に設定する。
以上より、実施の形態1のシステムでは、ある時刻Tiにおいて、Tiから吸入空気量の応答遅れ時間TOの範囲を上限トルクの変化(ci)と目標トルクの変化(a1)とを比較する予測時間Tとして設定する。この予測時間Tの範囲内で、以下の条件Aを満たした場合に、直ちにスロットル開度が全開となるように制御する。
(条件A) 上限トルク(ci)−目標トルク(a1)≦0 (Ti<T<Ti+TO)
以上のようにスロットル開度を全開にして、点火時期遅角によりトルク低下補正制御を行うことによる燃焼効率の低下発生部分は、図6の斜線に部分(e)示される。実施の形態1の制御によれば、目標トルクと上限トルクとを推定した上で、目標トルクを出力可能な範囲の限界時刻において、スロットル開度を全開とする制御を行うことができる。このため、燃焼効率低下を最小限に抑えつつ、急激な変化にも対応して、目標トルクに応じたトルクの実現をすることができる。
[実施の形態1の制御のルーチン]
図8〜図10は、本実施の形態1においてECU40が実行する制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。図8に示すルーチンは、内燃機関10の運転中に一定の間隔で繰り返し実行されるルーチンである。図8に示すルーチンにおいて、まず、アクセル開度ACCが検出される(ステップS10)。アクセル開度ACCはアクセル開度センサ42の出力に従ってECU40において求められる。次に、機関回転数NEが検出される(ステップS12)。機関回転数NEは、クランク角センサ16の出力に応じてECU40において求められる。次に、吸入空気量KLが検出される(ステップS14)。吸入空気量KLはエアフロメータ36の出力に応じてECU40において求められる。
次に、要求トルクが算出される(ステップS16)。要求トルクはアクセル開度ACCの操作量に応じて求められる。次に、予測時間が設定される(ステップS18)。予測時間は、現在の時刻Tiから応答遅れ時間T0経過後の時刻Ti+T0までの時間として設定される。ここで、応答遅れ時間T0は予めECU40に記憶されている。次に、目標トルクが算出される(ステップS20)。目標トルクは、現在の時刻Tiまでの要求トルクを、予め記憶された遅れ時間分遅らせたものとして求められる。次に、現在の時刻T1からスロットル開度を全開にした場合に出力可能な上限トルクの変化が算出される(ステップS22)。上限トルクは、機関回転数NEや吸入空気量KL等、現在の内燃機関10の運転状態及びそれに基づく吸入空気量の推移等に従って算出される。
次に、ステップS110において、図9のスロットル開度設定ルーチンが実行される。図9のスロットル開度設定ルーチンにおいては、まず、上記の条件Aが成立するか否か、すなわち、ステップS18において算出された予測時間(Ti<T<Ti+T0)中に、目標トルクが上限トルク以上となるか否かが判定される(ステップS112)。ステップS112において、条件Aの成立が認められた場合には、スロットル開度が全開にされる(ステップS114)。これにより、前もって出力可能な上限トルクを上昇させておくことができ、予測時間内に起こる目標トルクの急激な上昇にも対応可能な状態とすることができる。
一方、ステップS112において、条件Aの成立が認められない場合には、スロットル開度は現在の要求トルクに応じた基本スロットル開度に設定される(ステップS116)。このようにステップS114またはS116においてスロットル開度が設定された後、図9のスロットル開度設定ルーチンは一旦終了する。
次に、図8のルーチンのステップS120において、図10に示す点火時期設定ルーチンが実行される。図10のルーチンにおいて、まずステップS122において、基本点火時期としてMBTが算出される。点火時期MBTは、吸入空気量と機関回転数と点火時期との関係を定めたマップに従って、検出された吸入空気量KLと機関回転数NEとに応じて求められる。
次にトルクダウン率が算出される(ステップS124)。トルクダウン率は、上記の式(1)に従って、現在の時刻における上限トルクに対する目標トルクの割合として算出される。次に、このトルクダウン率に応じて点火時期遅角量が求められる(ステップS126)。点火時期遅角量は、ECU40に予め記憶されたトルクダウン率と点火時期との関係を定めたマップに従って、ステップS124において求められたトルクダウン率に応じて求められる。ここで、スロットル開度がステップS116において基本スロットル開度に設定された場合、上限トルクと目標トルクとのトルク差はゼロとなる。従って、ステップS124において算出されるトルクダウン率はゼロとなり、点火時期遅角量もゼロに設定される。一方、ステップS114においてスロットル開度が全開にされた場合には、上限トルクと目標トルクとの間にトルク差が発生する。従って、トルクダウン率に応じて、このトルク差分を低下させるように点火時期遅角量が設定される。
次に点火時期が設定される(ステップS128)。点火時期は、ステップS122において求められた点火時期MBTを、ステップS126において求められた点火時期遅角量に従って遅角したものに設定される。その後、図10のルーチンが一旦終了すると共に、図8のルーチンが一旦終了する。
図8のルーチンは、内燃機関の運転中繰り返し実行される。従って、例えば、ある時刻T4において、再びこのルーチンが繰り返された場合に、ステップS112において、条件A(上限トルク−目標トルク≦0 (T4<T<T4+T0))の成立が認められると、スロットルバルブが全開に設定され上限トルクを発生できる状態とされ、点火時期遅角によるトルク低下補正の制御が行われる。また、その後のある時刻T5において、再びこのルーチンが繰り返され、ステップS112において条件Aの成立が認められなくなった場合、スロットル開度は目標トルクに応じた基本スロットル開度に設定され(ステップS116)、点火時期遅角量がゼロとなり、点火時期MBTに戻されて、通常運転時の制御が実行される。
なお、本実施の形態1では、要求トルクにユーザに違和感を与えない範囲の遅れを持たせたものを、目標トルクとして用いる場合について説明した。しかし、この発明において目標トルクはこれに限るものではない。例えば、変速制御を行う場合や自動運転の場合などのように、トルクの変化が電機制御的に予め予測される場合、その予測に基づいて目標トルクの波形を算出し、上記と同様の制御を行うことができる。
また、現在の時刻から応答遅れ時間T0より後に発生するトルクの変化に対しては、そのトルクの変化が応答遅れ時間T0中に入った段階で制御を開始しても対応することができる。また、予測時間を応答遅れ時間TOに設定することにより、トルク変化に対して対応可能な範囲で予測時間を最短とすることができ、必要十分な範囲での予測を行うことができる。従ってより正確な予測に基づいて、より確実にトルク制御を行うことができると共に、燃費の低下を抑えることができる。このため、実施の形態1のシステムにおいても、予測時間をある時刻Tiから応答遅れ時間TO経過後までの時間に設定した。
しかし、この発明はこれに限るものではなく、応答遅れ時間T0を越えて将来の予測を行うものであってもよい。また、応答遅れ時間TOよりも短時間でのみ予測を行うこととしてもよい。予測時間を短時間にすることにより、より正確な制御を行うことができるとともに、点火時期遅角によるトルク低下補正制御による燃焼効率の低下を小さく抑えることができる。しかしながら、予測時間を応答遅れ時間T0よりも短時間に設定することにより、スロットル開度を直ちに全開とする制御を行っても、その時刻で既に応答が間に合わない事態が発生する可能性はある。しかしこの場合にもトルクの不足分は小さく抑えることができる。
また、スロットル開度を全開とする場合の条件Aを、予測時間内で、目標トルクが上限トルク以上となった場合に設定した。しかし、この発明はこれに限るものではなく、例えば、条件Aに代えて、以下のような条件A1に設定してもよい。
(条件A1) 上限トルク−目標トルク≦α (Ti<T<Ti+T0)
条件A1においてαは、ある程度の余裕を確保するための値である。ここで、α<0の場合、目標トルクが上限トルクよりも大きくなった場合にスロットル開度を全開とすることになる。この場合、よりスロットル開度の全開のタイミングを遅くして、点火時期遅角によるトルク低下補正制御における燃費の損失を小さく抑えることができる。一方,α>0の場合、目標トルクが上限トルクよりもある程度大きい段階で、スロットル開度が全開にされる。このようにすれば、より確実に予測時間内の急激な目標トルクの上昇に対応することができる。
また、上記のように、吸入空気量による制御は、制御範囲が広い一方、応答遅れが大きく、点火時期による制御は、応答性がよく応答遅れが少ない一方、制御範囲が狭い。実施の形態1においては、このように異なる制御性を有する吸入空気量と点火時期との制御を組み合わせることにより、目標トルクを実現する場合について説明した。しかし、この発明において、制御の対象、手段はこれに限るものではない。すなわち、この発明は、異なる制御性を有する、2種の制御手段を組み合わせて制御することにより、要求される目標出力を実現できる他の制御についても同様に適用することができる。
なお、例えば実施の形態1において、ステップS10が実行されることにより、この発明の「アクセル操作量検出手段」が実現し、ステップS16が実行されることにより「要求トルク算出手段」が実現し、ステップS20が実行されることにより、この発明の「目標出力変化予測手段」が実現し、ステップS22が実行されることにより「出力範囲変化予測手段」が実現し、ステップS112が実行されることにより「出力範囲外判定手段」が実現し、ステップS114が実行されることにより「第1制御手段」が実現し、ステップS120が実行されることにより「第2制御手段」が実現し、ステップS122が実行されることにより「基本点火時期算出手段」が実現し、ステップS124が実行されることにより「トルク差算出手段」が実現し、S126が実行されることにより「遅角量算出手段」が実現し、ステップS128が実行されることにより「補正点火時期設定手段」が実現される。
実施の形態2.
以下、図11及び図12を参照して、実施の形態2について説明する。ただし、ここでは、実施の形態2の特徴的な部分を中心に説明し、実施の形態1と共通する部分についてはその説明を省略或いは簡略する。
実施の形態2のシステムは、図1のシステムと同様の構成を有する。また、実施の形態2のシステムは、目標トルクが上限トルクを上回る場合の処理において異なる点を除いて、実施の形態1のシステムと同様の制御を行う。具体的に、実施の形態2のシステムにおいても、目標トルク及び上限トルクを求めて、予測時間内に目標トルクが上限トルク以上となる場合にスロットル開度を全開にする制御が行われる。ここで、予測時間はスロットル開度が全開とされた後、全開に応じた最大の吸入空気量に達するまでの応答遅れ時間T0に設定される。従って、目標トルクの急激な増大が予測される場合、前もって急増する目標トルクに応じたトルクを発生し得る状態となるように制御することができる。しかし、たとえ予測時間をこのように設定して予めスロットル開度を全開とするように制御しても、吸入空気量が最大となった状態で発生し得る最大トルクを更に上回るような目標トルクを発生させることはできない。以下、最大トルクを上回る目標トルクが要求される場合に実行される、実施の形態2における特徴的な処理について説明する。
図11は、目標トルクが上限トルクを上回る場合の制御について説明するための図である。図11に示すように、吸入空気量が最大となった場合に出力し得る最大トルクTRmaxよりも、目標トルク(a1)が更に上回る場合、目標トルク(a1)のなかで最大トルクTRmaxを越える部分について、目標トルクを最大トルクTRmaxに置き換える補正を行う。これにより目標トルクの波形は、図11の太実線(a2)に示すように、最大トルクを上回る部分が最大トルクに修正された補正目標トルクに置き換えられる。
実施の形態2では、このように補正された補正目標トルクの波形(a2)に基づいて、実施の形態1と同様のスロットル開度及び点火時期の制御を行う。すなわち、条件Aの判定においては、補正目標トルク(a2)と時刻Tiにおける上限トルク(ci)とが予測時間内で比較され、上限トルク−補正目標トルク≦0となる部分がある場合には、時刻Tiにおいて直ちにスロットル開度を全開とされる。
また、スロットル開度を全開とされた後、上限トルク(ci)が補正目標トルク(a2)よりも上回る場合には、点火時期遅角によるトルク低下補正制御が行われ、発生トルクが補正目標トルクと一致するように制御される。つまりトルク低下補正制御の際、式(1)における目標トルクは補正目標トルクに置き換えられ、トルクダウン率は、上限トルクに対する補正目標トルクの割合として求められる。このような制御により、目標トルクが最大トルクを上回る場合にも、出力可能な範囲内で目標トルクに近いトルクを発生させる制御を行うことができる。
図12は、この発明の実施の形態2においてECU40が実行する制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。図12に示すフローチャートは、図8に示すルーチンのステップS22の後に、ステップS202及びS204を有する点を除いて、図8のフローチャートと同じものである。
具体的に、図12においてステップS22が実行されて上限トルクが求められた後、目標トルク(a1)が予測時間(応答遅れ時間TO)の範囲内で、最大トルクTRmaxよりも大きくなるか否かについて判定される(ステップS202)。最大トルクTRmaxは、スロットル開度が全開とされた後実際に気筒12内に吸入される吸入空気量が最大となり、かつ点火時期がMBTにされた場合に出力しうる最大トルクである。ステップS202において、予測時間内における、目標トルク>最大トルクとなることが認められない場合には、そのままステップS110に進み、スロットル開度設定ルーチン及び点火時期設定ルーチンが実行される。
一方、ステップS202において、予測時間内に、目標トルク>最大トルクとなることが認められた場合には、目標トルク(a1)が修正される(ステップS204)。具体的には、目標トルク>最大トルクとなる部分の目標トルクの値が、最大トルクに修正される。これにより図11に示すような補正目標トルク(a2)が求められる。その後のスロットル開度設定ルーチン(ステップS110)及び点火時期設定ルーチン(ステップS120)において、目標トルク(a1)に代えて補正された補正目標トルク(a2)が用いられて、スロットル開度及び点火時期が設定される。その後、この処理が終了する。
以上説明したように、実施の形態2においては、目標トルクが出力可能な最大トルクTRmaxを上回る場合に、目標トルクの値を最大トルクTRmaxに修正した上で、スロットル開度の設定と点火時期の設定とを行う。従って、出力不能なほど大きなトルク要求に基づいて制御が行われるのを防ぐことができ、出力可能な範囲でより目標トルクに近いトルクを発生するように制御を行うことができる。
なお、例えば実施の形態2においてステップS202が実行されることにより、この発明の「最大判定手段」が実現し、ステップS204が実行されることにより「目標出力補正手段」が実現する。
実施の形態3.
以下、図13〜図15を参照して、実施の形態3について説明する。ただし、実施の形態3の特徴的な部分を中心に説明し、実施の形態1と共通する部分についてはその説明を省略或いは簡略する。
実施の形態3のシステムは図1のシステムと同一の構成を有する。また実施の形態3のシステムは、上限トルクに加えて、出力可能な範囲の下限のトルク(下限トルク)を求めて、目標トルクが、上限トルクと下限トルクとの間の出力範囲を越える部分が最小になるように制御を行う点を除いて、実施の形態1と同様の制御を行う。図13は、目標トルクと、上限トルク及び下限トルクと、発生トルクとの関係を説明するための図である。図13において、横軸は時刻を表し、縦軸はトルクを表している。
図13において、時刻T1において出力可能な上限トルクの波形は、時刻T1においてスロットルバルブ32を全開にして、点火時期をMBTとした場合に得られるトルクであり、一点鎖線(c1)に表される。
一方、時刻T1において、スロットル開度の制御と点火時期遅角制御とにより出力可能なトルクの下限値(下限トルク)は、スロットルバルブ32を許容される最低の開度にまで閉じた場合のトルク低下分と、点火時期遅角によるトルク低下分との合計により求められる。具体的に、スロットルバルブ32を閉じ側に制御した場合、そのスロットル開度に応じた吸入空気量になるまでには応答遅れが発生する。つまり時刻T1においてスロットルバルブ32が閉じ側に制御された後、トルクは直ちに低下せず、気筒12への実際の吸入空気量の減少に伴って徐々に低下することとなる。これに対して、点火時期制御の応答は速く、点火時期遅角制御によるトルク低下は、点火時期の遅角と同時に実現される。従って、現在の時刻T1における下限トルクは、図13において、時刻T1における実際のトルクから、スロットル開度の閉弁側への制御により徐々に低下するトルクの変化の曲線(f0)を、点火時期遅角によるトルク低下分移動させた曲線(f1)として表される。
ここで、時刻T1における上限トルク(c1)と下限トルク(f1)とは、その時刻T1においてスロットル開度がどのように制御され、どのくらいのトルクが発生しているか等の条件によって異なるものとなる。つまり、ある時刻Tiにおいて設定されたスロットル開度及びそれに応じた発生トルクが、後の時刻における上限トルクと下限トルクとに影響することとなる。
従って、例えば図13において、時刻T1における上限トルク(c1)と下限トルク(f1)とは、時刻T1におけるスロットル開度の選択次第で出力し得る範囲のトルクを表しているものの、後の時刻T2においても、この範囲内でトルクを自由に制御できるわけではない。例えば、時刻T1においてスロットル開度が開き側の状態に制御され、時刻T1からΔT後の時刻T2において、発生トルクが時刻T1の場合よりも上昇していた場合、時刻T2における予測時間において出力可能な上限トルクは、この時点から、スロットル開度を全開に制御した場合のトルクとなり、一点鎖線(c2)に表される。一方、時刻T2においては、時刻T1よりも開き側のスロットル開度に制御されているため、この時点で制御可能な下限トルクは、時刻T1の段階よりも大きくなり、一点鎖線(f2)で表される状態となっている。このように、ある時刻において設定されるスロットル開度によって、その後の時刻に出力可能なトルクの範囲が変化することとなる。
ECU40は、このような上限トルクと下限トルクとにより決定される出力可能範囲の変化を推定する。そして、目標トルク(a1)が急激に増減するような場合、予測時間(応答遅れ時間TO)の中で、目標トルクが推定された出力可能範囲を越える部分が最小となるようにスロットル開度の制御パターンを算出する。スロットル開度は、このように算出されたスロットル開度の制御パターンに基づいて設定される。これにより、出力可能範囲外となるトルクを最小限に抑え、可能な範囲で目標トルクに即したトルクを発生させることができる。
図14及び図15は、この発明の実施の形態3においてECU40が実行する制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。図14のルーチンは、図8のルーチンのステップS22の後に、ステップS302を実行する点を除き、図8のルーチンと同じものである。また、図15のルーチンは、ステップS110のスロットル開度設定ルーチンであり、図9に代えて実行されるものである。
具体的に、図14のルーチンのステップS22において上限トルクが算出された後、ステップS302において、現在の時刻Tiにおける下限トルクが求められる。下限トルクは、スロットル開度を許容最低開度にまで閉弁した状態でのトルクの変化を、点火時期遅角のよるトルク低下分低下させたものとなる。このように下限トルクが算出された後、次にスロットル開度設定ルーチンが実行される(ステップS110)。
スロットル開度設定ルーチンにおいては、図15に示すように、まず、ステップS304において、目標トルクが、時刻Tiにおける予測時間中に、上限トルクと下限トルクとに囲まれる出力可能範囲外となるか否かが判定される。ステップS304において、目標トルクが出力可能範囲外となることが認められない場合には、ステップS306においてスロットル開度が基本スロットル開度に設定され、スロットル開度設定ルーチンが終了し、続けて点火時期設定ルーチン(ステップS120)が実行される。
一方、ステップS304において、目標トルクが出力可能範囲外となることが認められた場合、ステップS308において、スロットル開度の制御パターンが算出される。具体的に、ECU40において、現在の時刻Tiにおける予測時間中の、出力可能範囲の変化を推定する。そして、出力可能範囲がどのように変化した場合に、予測時間中に、目標トルクが出力可能範囲外となるトルクの合計が最も小さくなるかが算定される。その後、出力不能なトルクの合計が最も小さくなるようなパターンで出力可能範囲を変化させるように、予測時間中のスロットル開度の制御パターンが設定される。
次に、ステップS308において設定されたスロットル開度の制御パターンに従って、スロットル開度が現在の時刻Tiにおけるスロットル開度に設定される(ステップS310)。その後スロットル開度設定ルーチンが終了し、点火時期設定ルーチン(ステップS120)が実行される。点火時期設定ルーチンにおいては、スロットル開度制御パターンに従ってスロットル開度が制御されている状態において、点火時期をMBTとした場合に発生すると予測される現在のトルクに対する目標トルクの割合が、トルクダウン率として算出され(ステップS124)、これに従って点火時期遅角量が設定される(ステップS126)。
以上説明したように、実施の形態3によれば、スロットル開度と点火時期との制御により発生トルクを制御する場合において、現在の時刻から出力可能な上限トルクと下限トルクとを求めて、上限トルクと下限トルクとで定められる出力可能範囲外となる目標トルクの合計量が最も小さくなるように、スロットル開度の制御パターンを設定する。従って、目標トルクが増減を繰り返すような場合に、実際に発生するトルクと目標トルクとの間に生じる差を小さくすることができる。また、制御不能なほどに大きい、あるいは小さい範囲のトルクの要求を無視することができるため、制御不能なトルク増減の要求によりトルク制御性が低下し、あるいは燃費の損失が過度に大きくなるのを防ぐことができる。
なお、例えば実施の形態3において、ステップS10が実行されることにより、この発明の「アクセル操作量検出手段」が実現し、ステップS16が実行されることにより「要求トルク算出手段」が実現し、ステップS20が実行されることにより「目標出力変化予測手段」が実現し、ステップS22及びステップS302が実行されることにより「出力範囲変化予測手段」が実現し、ステップS308が実行されることにより「出力範囲変化パターン算出手段」が実現し、ステップS310が実行されることにより「第1制御手段」が実現し、ステップS120が実行されることにより「第2制御手段」が実現し、ステップS122が実行されることにより「基本点火時期算出手段」が実現し、ステップS124が実行されることにより「出力差算出手段」が実現し、S126が実行されることにより「遅角量算出手段」が実現し、ステップS128が実行されることにより「補正点火時期設定手段」が実現される。
実施の形態4.
以下、図16から図18を用いて、この発明の実施の形態4について説明する。ただし、実施の形態4の特徴的な部分を中心に説明し、実施の形態1乃至3と共通する部分についてはその説明を省略或いは簡略する。実施の形態4のシステムは、図1のシステムと同様の構成を有する。また実施の形態4のシステムは、目標トルクの変化周波数が短いものについて選択的に点火時期遅角による制御を行う点を除いて実施の形態1のシステムと同様の制御を行う。
図16は、この発明の実施の形態4における目標トルクと、上限トルク及び発生トルクとを説明するための図である。図16に示すように、目標トルク(a1)が、応答遅れ時間TOよりも短い周期で周期的に変化する部分を有する場合、上記のように事前にスロットル開度を全開にする制御を行っても、周期の短い変化(短周期変化)に併せて吸入空気量を変化させることができず、吸入空気量の制御だけでは、短周期変化にあわせてトルクを増減させることができない。従って、このように目標トルクに短周期変化がある場合、実施の形態4では以下のような制御が実行される。
まず、応答遅れ時間TOより長い周期の変化のみを通過させるハイパスフィルタを用いて、時刻Tiにおける目標トルクから、メインの目標トルク(平均目標トルク)の変化を抽出する。抽出される平均目標トルクは、短周期変化以外の変化については、目標トルクの通りとなるが、短周期変化部分については図16の一点鎖線(c3)に示すように、短周期変化が平均化されたものとなる。一方、応答遅れ時間TOよりも短い周期の変化のみを通過させるローパスフィルタを用いて、時刻Tiにおける目標トルクから、短周期変化部の振動を抽出する。
スロットル開度の設定において目標となる短周期変化時の上限トルク(短周期上限トルク)は、次のように設定される。まず、短周期変化以外のハイパスフィルタを通過した部分においては、ハイパスフィルタを通過した平均目標トルクがそのまま短周期上限トルクに設定される。一方、短周期変化部分においては、ハイパスフィルタを通過した平均目標トルクに、ローパスフィルタを通過した短周期変化部の振幅の半分が加えられたものが、短周期上限トルクに設定される。従って、短周期上限トルクは、一点鎖線(c4)に示すように、短周期変化中においては、目標トルクの変化の各周期のなかで最大のトルクに一致するように設定されることとなる。
このように短周期変化中においてスロットル開度が設定される場合、上記式(1)に従って、短周期上限トルク(c4)と目標トルク(a1)とによりトルクダウン率が求められ、点火時期遅角によるトルク低下補正制御が行われる。その結果、図16の斜線部分(e)に示されるように、短周期上限トルク(c4)と目標トルク(a1)とのトルク差分が点火時期遅角により補正されて、発生トルクが目標トルク(a1)に一致するように制御される。
このような制御により、目標トルクの中に吸気の応答遅れ時間T0よりも短い周期で繰り返し変化する短周期変化部分がある場合にも、短周期変化のトルクを追従して、要求に応じたトルクを発生させることができる。また、短周期上限トルク(c4)は、短周期変化の各周期中の最大のトルクに一致するように制御される。従って、点火時期遅角制御による燃焼効率の低下を最小限に抑えることができる。
なお、図16において、目標トルク(a1)の短周期変化は、一定の周波数かつ同一の振幅で変化する場合を表している。しかし、実施の形態4において「短周期変化」は、その周期が一定の場合や振幅が一定の場合の規則的な変化のみを表すものではなく、ある程度の周期性を持って、繰り返しトルクが増減する場合の変化をも含んでいる。
図17及び図18はこの発明の実施の形態4においてECU40が実行する制御のルーチンを説明するためのフローチャートである。図17のルーチンは、図8のルーチンのステップS22の後に、ステップS400を有する点を除いて図8のルーチンと同じものである。また、図18のルーチンは、図17のルーチンのステップS110におけるスロットル開度設定ルーチンとして、図9のルーチンに代えて実行されるものである。
具体的に、図17のルーチンにおいて、ステップS22において上限トルクが算出された後、ステップS20において算出された目標トルクの分析が行われる(ステップS400)。目標トルクの分析においては、まず、応答遅れ時間TO以上の周波数の変化のみを通過させるハイパスフィルタを通して、目標トルク中の応答遅れ時間TOよりも大きな周期で変化する成分として、平均目標トルクの変化が抽出される。また、ローパスフィルタを通して、目標トルク中の応答遅れ時間TOよりも短い周期で変化する短周期変化が抽出される。
その後、ステップS110において、スロットル開度設定ルーチンが実行される。図18のスロットル開度設定ルーチンにおいては、まず、目標トルク中に短周期変化があるか否かが判定される(ステップS402)。短周期変化の有無は、ステップS400における目標トルクの分析において、応答遅れ時間TOよりも短い周期で変化する短周期変化が抽出されたか否かにより判定される。ステップS402において、短周期変化が有ると認められない場合には、ステップS404において、短周期変化フラグがOFFとされる。短周期変化フラグは、短周期変化がある場合にONとされるフラグである。その後、実施の形態1と同様に、条件Aが成立するか否かが判定され(ステップS112)、条件Aの成立が認められた場合には、スロットル開度が全開に設定され(ステップS114)、条件Aの成立が認められない場合には、スロットル開度が基本スロットル開度に設定される(ステップS116)。
一方、ステップS402において、短周期変化が認められた場合には、短周期変化フラグがONとされているか否かが判定される(ステップS406)。短周期変化フラグは、目標トルクの波形に短周期変化が認められた場合にONとされるフラグであり、このフラグがONとされている間、短周期変化に応じたスロットル開度制御パターンに従って、スロットル開度が制御される。
ステップS406において短周期変化フラグがONとなっていることが認められない場合、短周期変化フラグがONとされる(ステップS408)。次に、短周期上限トルクが算出される(ステップS410)。具体的には、ステップS400における分析に基づいて、ローパスフィルタを通過した短周期変化の振幅を求めて、この振幅の半分のトルクを算出する。次に、短周期変化部分においては、ハイパスフィルタを通過した平均目標トルクの変化に、この振幅の半分のトルクを加算する。これにより、短周期上限トルクが求められる。
次に、スロットル開度制御パターンが設定される(ステップS412)。ここでスロットル開度制御パターンは、ステップS410において求められた短周期上限トルクに応じて、そのトルクの発生に必要なスロットル開度制御パターンに設定される。その後、このスロットル開度制御パターンに従って、現在の時刻におけるスロットル開度が設定され(ステップS414)、一旦このルーチンが終了する。その後、点火時期設定ルーチンが実行され(ステップS120)、短周期上限トルクと、目標トルクとのトルク差分を低下させるように点火時期遅角量が設定されトルク低下補正制御が行われる。
一方、後の短周期変化中の時刻において、再びこのルーチンが実行されると、ステップS402において短周期変化が認められた後、ステップS406において、短周期変化フラグがONとされているか否かが判定される。ここでは、前の時刻において既に短周期変化フラグがONとされているため、ステップS406において短周期変化フラグ=ONの成立が認められ、先に設定されたスロットル開度パターンが読み出される(ステップS418)。その後、スロットル開度パターンに従って、現在の時刻におけるスロットル開度が設定される(ステップS422)。その後、現在の時刻における目標トルクに従って、スロットル開度制御パターンに必要な修正が加えられ(ステップS424)、スロットル開度設定ルーチンが終了する。
以上説明したように、実施の形態4によれば、応答遅れ時間TOよりも短い周期で周期的にトルクが変化する場合に、スロットル開度の制御で、その短周期変化における短周期最大トルクを確保し、トルクの変化の要求に対する細かい制御は、点火時期の遅角により実現される。従って、スロットルバルブの応答時間よりも短い周期で要求トルクが変化する場合にも、燃焼効率の低下を最小限に抑えつつ、その要求されるトルクを発生することができる。
なお、実施の形態4において、目標トルク(a1)の短周期変化は、一定の周波数かつ同一の振幅で変化する場合を図示して説明した。しかし、この発明において「短周期変化」は、その周期が一定の場合や振幅が一定の場合の規則的な変化のみを表すものではなく、ある程度の周期性を持って、繰り返しトルクが増減する場合の変化をも含んでいる。このとき、スロットル開度の短周期変化時の要求トルクは、平均目標トルクに振幅の半分を加える代わりに、一周期ごとの短周期最大トルクに一致したトルクになるように設定すればよい。これにより、振幅が徐々に変化する場合にも、上記の制御により対応することができる。ただし、短周期変化中の急激なトルク増加については、トルク増加に間に合うように実施の形態1と同様のスロットル開度を全開とする制御に切り替えることが好ましい。
実施の形態4においては、要求トルクに基づいて算出される目標トルクに短周期変化が存在する場合の制御について説明した。しかしこの発明はこれに限るものではなく、例えば、自動運転等で予めある程度先のトルク変化まで予測されるような場合にも適用することができる。ここで、例えば短周期変化部分の全体の変化を予め予測できるような場合には、その短周期変化に対応したスロットル開度の制御パターンを一度に作成し、あるいは予め登録しておいて、短周期変化時には、その制御パターンに切り替えることにより対応することもできる。
また、実施の形態4において、スロットル開度等を設定する時刻ごとに、短周期変化時における短周期制御時最大トルクと目標トルクとからトルクダウン率を求めて、点火時期遅角量を算出する場合について説明した。しかし、この発明はこれに限るものではなく、例えば目標トルクがある程度先まで予測できるような場合には、点火時期の制御パターンを一度に算出し、あるいは予め登録しておいて、短周期変化が開始した場合に、点火時期制御パターンに切り替えて点火時期を制御することもできる。
なお、例えば、実施の形態4において、S400が実行されることにより、この発明の「短周期変化検出手段」、「短周期出力平均算出手段」及び「短周期出力振幅算出手段」が実行され、ステップS410が実行されることにより「短周期上限出力算出手段」が実行される。
以上の実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数に限定されるものではない。また、本実施の形態において説明する構造や、方法におけるステップ等は、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、この発明に必ずしも必須のものではない。
この発明の実施の形態1におけるシステムの構成について説明するための模式図である。 スロットルバルブの開度と発生するトルクとの関係を説明するための図である。 要求トルクと発生トルクとの関係を説明するための図である。 要求トルクに対する、スロットル開度と点火時期によるトルク制御の一例を説明するための図である。 予想トルクと、出力可能な上限トルクとの関係を説明するための図である。 この発明の実施の形態1におけるスロットル開度と点火時期との制御による発生トルクと目標トルクとの関係を説明するための図である。 この発明の実施の形態1における点火時期遅角量とトルクダウン率との関係を説明するための図である。 この発明の実施の形態1においてシステムが実行する制御のルーチンである。 この発明の実施の形態1においてシステムが実行する制御のルーチンである。 この発明の実施の形態1においてシステムが実行する制御のルーチンである。 この発明の実施の形態2におけるトルク制御について説明するための図である。 この発明の実施の形態2においてシステムが実行する制御のルーチンである。 この発明の実施の形態3におけるトルク制御について説明するための図である。 この発明の実施の形態3においてシステムが実行する制御のルーチンである。 この発明の実施の形態3においてシステムが実行する制御のルーチンである。 この発明の実施の形態4におけるトルク制御について説明するための図である。 この発明の実施の形態4においてシステムが実行する制御のルーチンである。 この発明の実施の形態4においてシステムが実行する制御のルーチンである。
符号の説明
10 内燃機関
12 気筒
16 回転数センサ
20 点火プラグ
22 アクチュエータ
24 吸気ポート
26 排気ポート
28 ポートインジェクタ
30 吸気通路
32 スロットルバルブ
34 アクチュエータ
36 エアフロメータ
40 ECU
42 アクセル開度センサ

Claims (10)

  1. 内燃機関の出力を変化させる第1出力変化手段と、記第1出力変化手段よりも速い応答性で、前記内燃機関の出力を変化させる第2出力変化手段と、を目標出力に応じて制御する制御装置であって、
    現時刻から所定時間経過までの間である予測時間中の前記内燃機関の目標出力の変化を予測する目標出力変化予測手段と、
    現時刻において、前記第1出力変化手段及び前記第2出力変化手段によって変化させることができる前記内燃機関の出力の上限である上限出力の、前記予測時間中の変化を予測する出力範囲変化予測手段と、
    前記予測時間中において、前記目標出力が前記上限出力以上となる場合に、前記上限出力に対する前記目標出力のはみ出し量が、判定値以上になるか否かを判定する出力範囲外判定手段と、
    前記はみ出し量が前記判定値以上になると判定された場合に、前記上限出力に応じて前記第1出力変化手段を制御する第1制御手段と、
    現時刻における目標出力と、前記第1出力変化手段の制御量とに応じて、第2出力変化手段を制御する第2制御手段と、
    を備えることを特徴とする制御装置。
  2. 前記判定値をゼロとすることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
  3. 前記予測時間中において前記目標出力が前記上限出力を超えるか否かを判定する最大判定手段と、
    前記目標出力が前記上限出力を超えると判定された場合に、前記目標出力が前記上限出力を超える時刻における目標出力を、該時刻における前記上限出力に補正する目標出力補正手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の制御装置。
  4. 前記目標出力変化予測手段によって予測された前記予測期間中の目標出力が、前記第1出力変化手段による出力変化の応答遅れ時間より短い周期で周期的に変化する短周期変化を有する場合に、該短周期変化を検出する短周期変化検出手段と、
    前記短周期変化中における前記目標出力の平均を算出する短周期出力平均算出手段と、
    前記短周期変化中における前記目標出力の振幅を算出する短周期出力振幅算出手段と、
    前記短周期変化中における、前記目標出力の平均と前記振幅の半分と合計した出力を、前記短周期変化中における短周期上限出力として算出する短周期上限出力算出手段と、を更に備え、
    前記第1制御手段は、前記短周期変化中において、前記短周期上限出力に応じて前記第1出力変化手段を制御することを特徴する請求項1からのいずれか1項に記載の制御装置。
  5. 内燃機関の出力を変化させる第1出力変化手段と、記第1出力変化手段よりも速い応答性で、前記内燃機関の出力を変化させる第2出力変化手段と、を目標出力に応じて制御する制御装置であって、
    現時刻から所定時間経過までの間である予測時間中の前記内燃機関の目標出力の変化を予測する目標出力変化予測手段と、
    現時刻において、前記第1出力変化手段及び前記第2出力変化手段によって変化させることができる前記内燃機関の出力範囲の、前記予測時間中の変化を予測する出力範囲変化予測手段と、
    前記予測時間中に、前記目標出力が前記出力範囲以上又は出力範囲以下となる場合に、前記出力範囲以上又は前記出力範囲以下となるはみ出し量の合計が、最も小さくなるように、前記第1出力変化手段の制御パターンを算出する制御パターン算出手段と、
    前記制御パターンに従って、前記第1出力変化手段制御する第1制御手段と、
    現時刻における目標出力と、前記第1出力変化手段の制御量とに応じて、第2出力変化手段を制御する第2制御手段と、
    を備えることを特徴とする制御装置。
  6. 前記第1出力変化手段は、内燃機関の吸入空気量を変化させ、
    前記出力範囲変化予測手段は、前記内燃機関の現在の運転状態において、吸入空気量を変化させた場合に出力可能となる出力の変化を予測し、
    前記第1制御手段は、第1出力変化手段により、吸入空気量を変化させるように制御ることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の制御装置。
  7. 前記第1出力変化手段は、前記内燃機関の吸気通路に配置されたスロットルバルブであって、
    前記第1制御手段は、前記スロットルバルブの開度を制御することにより吸入空気量を制御することを特徴とする請求項に記載の制御装置。
  8. 前記第2出力変化手段は、前記内燃機関の点火手段であって、
    前記制御装置は、
    現時刻における吸入空気量において、内燃機関の出力が最大となる基本点火時期を算出する基本点火時期算出手段と、
    現時刻における吸入空気量、かつ、前記基本点火時期に点火された場合の出力と、目標出力との差に応じて、前記基本点火時期に対する点火時期遅角量を算出する遅角量算出手段と、
    前記点火時期遅角量に応じて、前記基本点火時期を遅角した補正点火時期を設定する補正点火時期設定手段と、
    を、更に備え、
    前記第2制御手段は、前記補正点火時期に応じて前記点火手段の点火時期を制御することを特徴とする請求項またはに記載の制御装置。
  9. アクセル操作量を検出するアクセル操作量検出手段と、
    前記アクセル操作量の変化に基づいて前記内燃機関に要求される要求出力を算出する要求出力算出手段と、
    を備え、
    前記目標出力変化予測手段は、前記要求出力を、第1出力変化手段の応答遅延時間分遅らせた出力を、前記目標出力として予測することを特徴とする請求項からのいずれか1項に記載の制御装置。
  10. 前記目標出力変化予測手段は、前記予測時間中の運転状態に応じた制御スケジュールに基づいて、前記目標出力を予測することを特徴とする請求項からのいずれか1項に記載の制御装置。
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