JP2007247476A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】混合気の燃焼モードが複数の燃焼モードの間で切り換わる場合において、トルク段差や急激な回転変動を抑制できるとともに、燃費を向上させることができる内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】燃焼モードが成層燃焼モードと均一燃焼モードの間で切り換えて運転される内燃機関3の制御装置1は、ECU2を備える。ECU2は、アイドル回転数制御中、点火操作量Uigを、1回目噴射率Rinjが変化したときに、燃焼モードの切換に伴うエンジン回転数NEの変化を相殺するように算出し(ステップ3〜7)、吸気操作量Uarを、1回目噴射率Rinjが変化したときに、点火操作量Uigによるエンジン回転数NEの変化を相殺するように算出する(ステップ3〜6,8)。
【選択図】 図18

Description

本発明は、混合気の燃焼モードを複数の燃焼モードの間で切り換えて運転される内燃機関の制御装置に関する。
従来、内燃機関の制御装置として、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。この内燃機関は、燃料噴射弁により燃料が気筒内に直接噴射される、いわゆる直噴式のものである。この制御装置では、燃料噴射モードが、内燃機関の負荷すなわちアクセルペダルの開度に応じて、燃料を圧縮行程で1回噴射する低負荷時用の第1モードと、燃料を分割して吸気行程および圧縮行程でそれぞれ噴射する中負荷時用の第2モードと、燃料を吸気行程で1回噴射する高負荷時用の第3モードの いずれかに選択的に切り換られる。それにより、内燃機関は、低負荷域では混合気が成層燃焼するように運転され、中負荷域では混合気の一部が成層燃焼し、残りが均一燃焼するように運転されるとともに、高負荷域では、混合気が均一燃焼するように運転される。
また、この制御装置では、点火時期制御が以下のように実行される。まず、上記燃料噴射モードに基づいて、第1〜第3モード用の3つの点火時期マップのいずれかが選択される。この第1モード用の点火時期マップでは、マップ値が負荷とほぼ無関係に一定に設定されているとともに、第2および第3モード用の点火時期マップでは、マップ値は、負荷が大きいほど、より遅角側の値に設定されている。これに加えて、互いに隣り合う負荷域用の2つの点火時期マップでは、負荷域の境界付近において、マップ値が負荷に対して互いに不連続で、比較的大きなクランク角度差を有するように設定されている。
次いで、点火時期制御では、選択した点火時期マップを負荷に応じて検索することにより、点火時期が算出される。その際、点火時期は、負荷が3つのうちのいずれかのモード域にあるときには、2つのマップ検索値の補間演算により算出されるとともに、負荷が2つのモード域の境界付近にあるときには、2つのマップ検索値の補間演算が禁止され、1つのマップ検索値のみに基づいて算出される。
以上のような制御手法により点火時期が算出される理由は、以下による。一般に、上記第1または第3モードのような、燃料を1燃焼サイクル中に1回のみ噴射する単噴射モードと、上記第2モードのような、燃料を2回に分割して噴射する分割噴射モードを比較した場合、両者では、上述したように混合気の燃焼状態が互いに異なり、熱効率(すなわち燃焼効率)が互いに異なることで、発生トルクの差が大きくなる。その結果、負荷の変化により燃料噴射モードが2つのモード間で変化すると、それに起因して、トルク段差や急激な回転変動が発生し、運転性が低下するおそれがある。したがって、負荷が2つのモード域の境界付近の値であるときには、2つのマップ検索値の補間演算を禁止し、1つのマップ検索値のみに基づいて算出することで、点火時期を迅速に変化させ、それにより、上記トルク段差や急激な回転変動の発生を抑制し、運転性を向上させるようにしている。
特開平10−227239号公報
上記特許文献1の制御装置では、燃料噴射モードが2つのモード間で変化した際のトルク段差や急激な回転変動を抑制するために、2つのマップ検索値の補間演算を禁止するとともに、点火時期マップとして、負荷域の境界付近において、マップ値が負荷に対して互いに不連続で、比較的大きなクランク角度差を有するものを用いている。しかし、点火時期の進角化によるトルク増大分は、2つのモード間での発生トルクの差と比べてかなり小さく、トルク段差や急激な回転変動を抑制するのには不十分である。その結果、依然として、トルク段差や急激な回転変動が発生することで、運転性が低下するおそれがある。これに加えて、トルク段差や急激な回転変動を抑制するために、境界付近の2つのマップ値を、不連続で比較的大きなクランク角度差を有するように設定しなければならないので、一方のマップ値をかなり遅角側の値に設定する必要性があり、その結果、熱効率の低下を招き、燃費が悪化するおそれがある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、混合気の燃焼モードが複数の燃焼モードの間で切り換わる場合において、トルク段差や急激な回転変動を抑制できるとともに、燃費を向上させることができる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、発生トルクを表す制御量(例えば実施形態における(以下、この項において同じ)エンジン回転数NE、図示平均有効圧Pmi)が同一の運転条件下(総燃料噴射量Tcylおよび吸入空気量Gcylが同一の条件下)において互いに異なる複数の燃焼モード(成層燃焼モードおよび均一燃焼モード)を有し、所定の切換条件が成立したとき(1回目噴射率Rinjが異なる値に変化したとき)に、燃焼モードを複数の燃焼モードの間で切り換えて運転される内燃機関3の制御装置1,1Aであって、制御量を変更するための第1操作量(点火操作量Uig,Uig’)を、所定の切換条件が成立したときに、燃焼モードの切換に伴う制御量の変化を相殺するように算出する第1操作量算出手段(ECU2、アイドル回転数コントローラ30、Pmiコントローラ130、ステップ3〜7)と、1燃焼サイクルにおける制御量の変更可能な幅が第1操作量よりも小さい、制御量を変更するための第2操作量(吸気操作量Uar,Uar’)を、所定の切換条件が成立したときに、第1操作量による制御量の変化を打ち消すように算出する第2操作量算出手段(ECU2、アイドル回転数コントローラ30、Pmiコントローラ130、ステップ3〜6,8)と、を備えることを特徴とする。
この内燃機関の制御装置によれば、燃焼モードの切換条件が成立したときに、第1操作量が、燃焼モードの切換に伴う制御量の変化を相殺するように算出されるとともに、第2操作量が、第1操作量による制御量の変化を打ち消すように算出される。ここで、第2操作量は、1燃焼サイクルにおける制御量の変更可能な幅が第1操作量よりも小さい。言い換えれば、第1操作量は、1燃焼サイクルにおいて制御量を第2操作量よりも大きい幅で変更可能であるので、そのような第1操作量によって、制御量の変化を迅速に相殺することができるとともに、燃焼モードの切換以降、第1操作量による制御量の変化を第2操作量によって緩やかに打ち消すことができる。その結果、燃焼モードが切り換えられた際、制御量すなわち発生トルクが急激に変化するのを抑制でき、トルク段差や急激な回転変動を抑制することができる。これに加えて、切換以降の燃焼状態を、トルク段差や急激な回転変動とは無関係に、本来の熱効率を確保できる状態に迅速に復帰させることができることで、燃費を向上させることができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の内燃機関3の制御装置1,1Aにおいて、第1操作量算出手段は、所定の制御アルゴリズムにより第1基本操作量(Urch_ig+Uadp_ig+Umap_ig、Urch_ig’+Uadp_ig’+Umap_ig’)を算出する第1基本操作量算出手段(ECU2、協調フィードバックコントローラ50,150、マップ値算出部90,190)と、燃焼モードの切換に伴う制御量の変化を相殺するための補正値(補償値Umusic_ig,Umusic_ig’)を、所定の忘却処理[式(3),(33)]を施しながら算出する補正値算出手段(ECU2、分割噴射コントローラ40,140)とを有し、第1基本操作量を補正値で補正することにより、第1操作量(点火操作量Uig,Uig’)を算出することを特徴とする。
この内燃機関の制御装置によれば、第1基本操作量が所定の制御アルゴリズムにより算出され、燃焼モードの切換に伴う制御量の変化を相殺するための補正値が、所定の忘却処理を施しながら算出されるとともに、この補正値で第1基本操作量を補正することにより、第1操作量が算出される。したがって、演算の進行に伴って、補正値による第1基本操作量の補正効果が次第に消滅し、第1操作量による制御量変化の相殺効果がなくなることで、第2操作量も、第1操作量による制御量の変化を相殺する必要がなくなる。その結果、第1操作量および第2操作量が燃焼モードに応じた本来の値として算出されるようになるので、内燃機関の燃焼モードを、本来の熱効率を確保できる状態に確実に復帰させることができ、それにより、燃費を確実に向上させることができる。
請求項3に係る発明は、発生トルクを表す制御量(エンジン回転数NE、図示平均有効圧Pmi)が同一の運転条件下(総燃料噴射量Tcylおよび吸入空気量Gcylが同一の条件下)において互いに異なる複数の燃焼モード(成層燃焼モードおよび均一燃焼モード)を有し、所定の切換条件が成立したとき(1回目噴射率Rinjが異なる値に変化したとき)に、燃焼モードを複数の燃焼モードの間で切り換えて運転される内燃機関3の制御装置1,1Aであって、所定の切換条件が成立した場合において、所定の遅延条件が成立しているとき(待機フラグF_Rinj_Wait=1のとき)に、燃焼モードの切換を遅延させる遅延手段(ECU2、分割噴射コントローラ40,140、ステップ45,46)と、制御量を変更するための第1操作量を、燃焼モードの切換の遅延中、燃焼モードの切換に伴う制御量の変化を相殺する方向とは逆方向に変化するように算出する(ステップ24,47,50,65)とともに、燃焼モードの切換の遅延が終了したとき(待機フラグF_Rinj_Waitが「1」から「0」に変化したとき)に、燃焼モードの切換に伴う制御量の変化を相殺する方向に変化するように算出し(ステップ24,49,50,65)、第2操作量算出手段は、遅延手段による燃焼モードの切換の遅延中、第2操作量を、第1操作量による制御量の変化を打ち消すように算出することを特徴とする。
この内燃機関の制御装置によれば、燃焼モードの切換条件が成立した場合でも、所定の遅延条件が成立しているときには、遅延手段により燃焼モードの切換が遅延され、その遅延中、第1操作量が、燃焼モードの切換に伴う制御量の変化を相殺する方向とは逆方向に変化するように算出されるとともに、燃焼モードの切換の遅延が終了したときに、燃焼モードの切換に伴う制御量の変化を相殺する方向に変化するように算出される。したがって、燃焼モードの切換遅延中、第1操作量を、本来の相殺方向に変化したときに燃焼モードの切換に伴う制御量の変化を相殺可能な量まで、その相殺方向と逆の方向に変化させることにより、燃焼モードの切換に伴う制御量の変化が実際に発生するタイミングで、そのような制御量の変化を、第1操作量により迅速に相殺することができる。これに加えて、燃焼モードの切換遅延中、第1操作量による制御量の変化を、第2操作量によって適切に打ち消すことができる。その結果、遅延中でも、制御量すなわち発生トルクを安定した状態に保持することができる。
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の内燃機関3の制御装置1,1Aにおいて、第1操作量算出手段は、所定の制御アルゴリズムにより第1基本操作量(Urch_ig+Uadp_ig+Umap_ig、Urch_ig’+Uadp_ig’+Umap_ig’)を算出する第1基本操作量算出手段(ECU2、協調フィードバックコントローラ50,150、マップ値算出部90,190)と、燃焼モードの切換に伴う制御量の変化を相殺するための補正値(補償値Umusic_ig,Umusic_ig’)を、所定の忘却処理を施しながら算出する補正値算出手段(ECU2、分割噴射コントローラ40,140)とを有し、第1基本操作量を補正値で補正することにより、第1操作量(点火操作量Uig,Uig’)を算出し、補正値算出手段は、燃焼モードの切換の遅延中、補正値(補償値Umusic_ig,Umusic_ig’)を、所定の応答指定型のフィルタ処理[式(8),(38)]を施しながら、補正値による第1基本操作量の補正方向が、燃焼モードの切換に伴う制御量の変化を相殺する方向とは逆方向になるように算出する(ステップ24,47,50,65)とともに、燃焼モードの切換の遅延が終了したときに、補正値による第1基本操作量の補正方向が、燃焼モードの切換に伴う制御量の変化を相殺する方向になるように算出する(ステップ24,49,50,65)ことを特徴とする。
この内燃機関の制御装置によれば、第1基本操作量が所定の制御アルゴリズムにより算出され、補正値で第1基本操作量を補正することにより、第1操作量が算出される。この補正値は、燃焼モードの切換に伴う制御量の変化を相殺するためのものであり、燃焼モードの切換の遅延中、所定の応答指定型のフィルタ処理を施されながら、補正値による第1基本操作量の補正方向が、燃焼モードの切換に伴う制御量の変化を相殺する方向とは逆方向になるように算出されるとともに、燃焼モードの切換の遅延が終了したときに、補正値による第1基本操作量の補正方向が、燃焼モードの切換に伴う制御量の変化を相殺する方向になるように算出される。前述したように、第1操作量は、1燃焼サイクルにおいて制御量を第2操作量よりも大きい幅で変更可能であるので、補正値による第1基本操作量の補正度合が不適切であることで、第1操作量の値が不適切になると、燃焼モードの切換が遅延されているにもかかわらず、第1操作量による制御量の変化の度合が、第2操作量によって相殺不可能な値まで大きくなり、その結果、制御量すなわち発生トルクが不適切に変動するおそれがある。これに対して、この制御装置によれば、遅延手段による燃焼モードの切換の遅延中、補正値が所定の応答指定型のフィルタ処理を施しながら算出されるので、このフィルタ処理の応答指定特性を適切に設定することにより、補正値による第1基本操作量の補正度合を適切に設定でき、その結果、第1操作量を、それによる制御量の変化を第2操作量によって適切に相殺可能な値として算出することができる。その結果、燃焼モードの切換の遅延中、制御量すなわち発生トルクを安定した状態により確実に保持することができる。
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の内燃機関3の制御装置1,1Aにおいて、第1操作量算出手段は、第1操作量を、複数の燃焼モードと制御量との関係を表すモデル(図12,31,32)を用いて算出することを特徴とする。
この内燃機関のように、発生トルクを表す制御量が同一の運転条件で互いに異なる複数の燃焼モードの間で切り換えて運転される内燃機関では、複数の燃焼モードでの制御量すなわち発生トルクが、内燃機関の負荷や回転数などの運転状態に応じてさらに変化するので、内燃機関の操作量を、そのような制御量の変化状態に対応するように予め設定されたマップおよびプログラムを用いて演算しようとすると、マップ設定の作業工数、プログラム量および演算負荷がいずれも膨大化してしまい、実質的に困難である。これに対して、この内燃機関の制御装置によれば、第1操作量が、複数の燃焼モードと制御量との関係を表すモデルを用いて算出されるとともに、このモデルを予め設定する作業すなわち同定作業は、上述したマップを設定する作業と比べて容易なものであるので、作業工数を飛躍的に低減できるとともに、そのようなモデルを用いて演算することにより、プログラム量および演算負荷も飛躍的に低減することができる。
請求項6に係る発明は、請求項2または4に記載の内燃機関3の制御装置1,1Aにおいて、補正値算出手段は、補正値(補償値Umusic_ig,Umusic_ig’)を、補正値と制御量との関係を表す動特性モデル[式(13),(43)]に基づいて算出することを特徴とする。
一般に、内燃機関における発生トルクを表す制御量とそれを変更する操作量との間には、応答遅れやむだ時間などの動特性が存在するので、第1操作量を算出するための補正値を、静的な算出手法などにより算出しても、上記動特性の影響により、補正値を適切に算出することができず、そのような補正値を用いて算出した第1操作量では、制御量の過渡的な変化を高精度に相殺することができない。また、そのような制御量の過渡的な変化を相殺するような能力を備えた操作量を、トライ&エラー的な人的チューニング作業により設定しようとすると、設定工数の膨大化を招いてしまう。これに対して、この内燃機関の制御装置によれば、補正値が、補正値と制御量との関係を表す動特性モデルに基づいて算出されるとともに、この動特性モデルを予め設定する作業は、トライ&エラー的な手法によらず、所定の補正値を制御対象に与えたときの制御量のデータを計測し、補正値と制御量の計測データを用いながら、様々な同定アルゴリズムにより実行できるものであり、上記人的チューニング作業よりも容易なものであるので、作業工数を大幅に低減することができる。
請求項7に係る発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の内燃機関3の制御装置1,1Aにおいて、制御量の目標となる目標制御量(目標回転数NE_cmd、目標圧Pmi_cmd)を算出する目標制御量算出手段(ECU2、目標値算出部31,131)と、所定のフィードバック制御アルゴリズム[式(15)〜(23),(45)〜(53)]により、制御量が目標制御量になるように、第1操作量および第2操作量を修正する修正手段(ECU2、協調フィードバックコントローラ50,150)と、をさらに備えることを特徴とする。
一般に、内燃機関の燃焼モードを複数の燃焼モード間で切り換えた場合、発生トルクの変化度合すなわち制御量の変化度合は、内燃機関の個体間のばらつきや経年変化などに起因して一様ではない。そのため、燃焼モードの切換に伴う制御量の変化を相殺することを目的として、制御量を変化させる操作量の動作状態を予め設定しても、その相殺精度すなわち補償精度が低下するおそれがある。これに対して、この内燃機関の制御装置によれば、所定のフィードバック制御アルゴリズムにより、制御量が目標制御量になるように、第1操作量および第2操作量が修正されるので、上述したような、内燃機関の個体間のばらつきや経年変化などが存在する場合でも、2つの操作量により制御量の変化を適切に相殺することができ、相殺精度すなわち補償精度を向上させることができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る内燃機関の制御装置について説明する。この制御装置1は、図1に示す内燃機関(以下「エンジン」という)3を制御するものであり、図2に示すように、ECU2を備えている。このECU2は、後述するように、エンジン3の運転状態に応じて、アイドル運転中のエンジン回転数制御(以下「アイドル回転数制御」という)処理などの各種の制御処理を実行する。
図1に示すように、エンジン3は、4組の気筒3aおよびピストン3b(1組のみ図示)を有する直列4気筒ガソリンエンジンであり、自動変速機付きの車両(図示せず)に搭載されている。エンジン3には、気筒3a毎に、吸気可変動弁機構4、排気可変動弁機構5、燃料噴射弁6および点火プラグ7(図2に1つのみ図示)が設けられている。この吸気可変動弁機構4は、吸気弁4aを電磁力で開閉駆動する電磁式のものであり、吸気弁4aを閉弁方向に付勢するコイルばねと、ECU2に電気的に接続された吸気ソレノイド4b(図2に1つのみ図示)などを備えている。
この吸気可変動弁機構4では、吸気弁4aは、吸気ソレノイド4bが非励磁状態のときには、コイルばねの付勢力によって閉弁位置に保持される。また、吸気弁4aは、吸気ソレノイド4bがECU2によって励磁されると、その電磁力により、コイルばねの付勢力に抗しながら開弁方向に駆動され、開弁状態に保持されるとともに、吸気ソレノイド4bが非励磁状態に戻されると、コイルばねの付勢力によって閉弁状態に戻る。
以上の構成により、吸気弁4aは、そのバルブタイミング(すなわち開弁および閉弁タイミング)が吸気可変動弁機構4を介して自在に変更されるとともに、図3に示すように、バルブリフト曲線がほぼ台形状になるように構成されている。本実施形態では、ECU2により、吸気弁4aは、その開弁タイミングは一定に保持されるとともに、その閉弁タイミングが図3に実線で示す最遅角側の遅閉じタイミングと、同図に2点鎖線で示す最進角側の早閉じタイミングとの間で自在に制御される。なお、以下の説明では、吸気弁4aの開弁中、これが最大リフトに保持されるクランク角の期間を「吸気開角Liftin」という(図3参照)。すなわち、この吸気可変動弁機構4では、吸気開角Liftinが増大するほど、吸入空気量Gcylがより増大することになる。
一方、排気可変動弁機構5は、吸気可変動弁機構4と同様に、排気弁5aを電磁力で開閉駆動する電磁式のものであり、排気弁5aを閉弁方向に付勢するコイルばねと、ECU2に電気的に接続された排気ソレノイド5b(図2に1つのみ図示)などを備えている。
この排気可変動弁機構5では、排気弁5aは、排気ソレノイド5bが非励磁状態のときには、コイルばねの付勢力によって閉弁位置に保持される。また、排気弁5aは、排気ソレノイド5bがECU2によって励磁されると、その電磁力により、コイルばねの付勢力に抗しながら開弁方向に駆動され、開弁状態に保持されるとともに、排気ソレノイド5bが非励磁状態に戻されると、コイルばねの付勢力によって閉弁状態に戻る。
以上の構成により、排気弁5aは、そのバルブタイミングが排気可変動弁機構5を介して自在に変更可能であるとともに、図3に破線で示すように、バルブリフト曲線がほぼ台形状になるように構成されている。なお、本実施形態では、後述する制御処理中、排気弁5aのバルブタイミングは一定に保持される。
一方、燃料噴射弁6は、燃料を燃焼室内に直接噴射するようにシリンダヘッド3cに取り付けられている。すなわち、エンジン3は直噴エンジンとして構成されている。この燃料噴射弁6は、ECU2に電気的に接続されており、ECU2により、開弁時間および開弁タイミングが制御される。すなわち、燃料噴射制御が実行される。
この燃料噴射制御では、後述するように、エンジン3の燃料噴射モードが、その運転状態に応じて、単噴射モードと分割噴射モードに切り換えられる。この単噴射モードでは、混合気が均一燃焼するように、燃料が吸気行程および圧縮行程の間に1回噴射される。一方、分割噴射モードでは、混合気が成層燃焼するように、燃料が吸気行程および圧縮行程の間に分割して2回噴射される。すなわち、燃料噴射モードが単噴射モードと分割噴射モードの間で切り換えられることにより、混合気の燃焼モードが均一燃焼モードと成層燃焼モードの間で切り換えられる。
また、点火プラグ7も、ECU2に電気的に接続されており、ECU2により、点火時期Ig_logに応じたタイミングで燃焼室内の混合気を燃焼させるように、放電状態が制御される。すなわち、点火時期制御が実行される。
さらに、エンジン3には、クランク角センサ20および水温センサ21が設けられている。クランク角センサ20は、マグネットロータおよびMREピックアップで構成されており、クランクシャフト3dの回転に伴い、いずれもパルス信号であるCRK信号およびTDC信号をECU2に出力する。
このCRK信号は、所定クランク角(例えば1゜)毎に1パルスが出力され、ECU2は、このCRK信号に基づき、エンジン3の回転数(以下「エンジン回転数」という)NEを算出する。また、TDC信号は、各気筒3aのピストン3bが吸気行程のTDC位置よりも若干、手前の所定のクランク角位置にあることを表す信号であり、本実施形態の4気筒のエンジン3では、クランク角180゜毎に1パルスが出力される。
また、水温センサ21は、エンジン3のシリンダブロック内を循環する冷却水の温度であるエンジン水温TWを検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。
一方、エンジン3の吸気通路8には、エアフローセンサ22が設けられている。このエアフローセンサ22は、熱線式エアフローメータで構成されており、吸気通路8を流れる空気の流量(以下「空気流量」という)を検出し、それを表す検出信号をECU2に出力する。ECU2は、後述するように、エアフローセンサ22の検出信号に基づき、1気筒当たりの吸入空気量Gcylを算出する。
一方、エンジン3の排気通路9には、LAFセンサ23が設けられている。LAFセンサ23は、ジルコニアおよび白金電極などで構成され、理論空燃比よりもリッチなリッチ領域から極リーン領域までの広範囲な空燃比の領域において、排気通路9内を流れる排ガス中の酸素濃度をリニアに検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。ECU2は、このLAFセンサ23の検出信号の値に基づき、排ガス中の空燃比を表す検出空燃比を算出する。
さらに、図2に示すように、ECU2には、筒内圧センサ24、アクセル開度センサ25、車速センサ26、エアコン・スイッチ27、交流発電機・スイッチ28およびパワーステアリングポンプ・スイッチ29がそれぞれ接続されている。
この筒内圧センサ24は、点火プラグ7と一体型の圧電素子タイプのものであり、気筒3a毎に設けられている(1つのみ図示)。筒内圧センサ24は、各気筒3a内の圧力すなわち筒内圧Pcylの変化に伴ってたわむことにより、筒内圧Pcylを表す検出信号をECU2に出力する。ECU2は、この筒内圧センサ24の検出信号に基づき、図示平均有効圧Pmiを算出する。
また、アクセル開度センサ25は、車両の図示しないアクセルペダルの踏み込み量(以下「アクセル開度」という)APを検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。さらに、車速センサ26は、車両の図示しない車軸に取り付けられており、車両の走行速度(以下「車速」という)VPを検出して、それを表す検出信号をECU2に出力する。
一方、エアコン・スイッチ27は、図示しないエアコンデイショナーが作動中のときにはON信号をECU2に出力し、停止中のときにはOFF信号を出力する。また、交流発電機・スイッチ28は、図示しない交流発電機が作動中のときにはON信号をECU2に出力し、停止中のときにはOFF信号を出力する。さらに、パワーステアリングポンプ・スイッチ29は、図示しないパワーステアリングポンプが作動中のときにはON信号をECU2に出力し、停止中のときにはOFF信号を出力する。ECU2は、これらのスイッチ27〜29のON/OFF信号に基づき、補機負荷Loadを算出する。
ECU2は、CPU、RAM、ROMおよびI/Oインターフェース(いずれも図示せず)などからなるマイクロコンピュータで構成されており、前述した各種のセンサ20〜26の検出信号および各種のスイッチ27〜29のON/OFF信号などに応じて、エンジン3の運転状態を判別するとともに、アイドル回転数制御を含む各種の制御処理を実行する。このアイドル回転数制御では、ECU2は、後述するように、アイドル運転中、吸気可変動弁機構4を介して吸気開角Liftinすなわち吸入空気量Gcylを制御すると同時に、点火プラグ7を介して点火時期Ig_logを制御し、それにより、エンジン回転数NEを制御する。すなわち、アイドル回転数制御を実行する。
この場合、点火時期制御は、吸入空気量制御と比べて、応答遅れが小さいことに加えて、1燃焼サイクルにおいて、エンジントルクTRQの変更可能な幅、すなわちアイドル運転中のエンジン回転数NEの変更可能な幅も大きいものの、エンジン3の燃焼状態の観点から、点火時期Ig_logの制御幅が限定されてしまうという特徴を備えている。一方、吸入空気量制御は、点火時期制御と比べて、1燃焼サイクル中において、アイドル運転中のエンジン回転数NEの変更可能な幅が小さいとともに、応答遅れが大きいことで、エンジン回転数NEの目標回転数NE_cmdへの収束性が悪いという特徴を備えている。
なお、本実施形態では、ECU2が第1操作量算出手段、第2操作量算出手段、第1基本操作量算出手段、補正値算出手段、遅延手段、目標制御量算出手段および修正手段に相当する。
次に、本実施形態のアイドル回転数制御手法の概念について説明する。まず、前述したように、本実施形態のエンジン3では、その燃料噴射モードが、エンジン運転状態に応じて、単噴射モードおよび分割噴射モードの間で切り換えられ、それにより、混合気の燃焼モードが均一燃焼モードおよび成層燃焼モードの間で切り換えられる。以下の説明では、任意の気筒3aにおいて、1燃焼サイクル中に燃料噴射弁6から噴射される総燃料量を総燃料噴射量Tcylとし、分割噴射モードの1回目に噴射される燃料量を1回目噴射量Tcyl1とし、2回目に噴射される燃料量を2回目噴射量Tcyl2(=Tcyl−Tcyl1)とするとともに、1回目噴射率RinjをRinj=Tcyl1/(Tcyl1+Tcyl2)として定義する。この場合、単噴射モードのときすなわちTcyl2=0のときには、Rinj=1となり、分割噴射モードのときには、Rinj<1.0となる。
図4は、本実施形態のエンジン3において、吸入空気量Gcylおよび総燃料噴射量Tcylを一定に保持しながら、1回目噴射率Rinjおよび点火時期Ig_logを変化させたときの、エンジン3の発生トルク(以下「エンジントルク」という)TRQの測定結果を表している。同図において、Ig1〜4は、点火時期Ig_logの所定値をそれぞれ示しており、Ig1<Ig2<Ig3<Ig4の関係が成立するように設定されている。なお、本実施形態では、点火時期Ig_logは、所定クランク角位置(例えば圧縮行程のTDC位置)での点火時期Ig_logを値0とするとともに、それよりも進角側の点火時期Ig_logは正値に設定され、遅角側の点火時期Ig_logは負値に設定される。したがって、上記所定値Ig1〜4では、値Ig4が最も進角側の値に設定されている。
同図に示すように、このエンジン3では、吸入空気量Gcyl、総燃料噴射量Tcylおよび点火時期Ig_logを一定に保持した場合において、1回目噴射率Rinjを値1.0からそれよりも小さい値に変化させると、エンジントルクTRQが増大することが判る。これは、混合気の燃焼モードが均一燃焼モードから成層燃焼モードに変化することで、熱効率(すなわち燃焼効率)が向上することに起因する。
一方、燃料噴射弁6では、一般的に、高負荷時に要求されるエンジントルクTRQを確保するために、噴射可能な燃料量の最大値をある程度大きな値に設定しなければならないという設計上の理由から、噴射可能な燃料量の最小値Tminを極小値に設定することはできない。そのため、この最小値Tminと、分割噴射モードでの1回目の噴射量Tcyl1および2回目の噴射量Tcyl2の関係において、Tcyl1<TminまたはTcyl2<Tminが成立したときには、燃料噴射の制御精度が極度に低下し、燃料噴射が適切に実行されなくなるおそれがある。この場合、本実施形態の燃料噴射弁6では、1回目噴射率Rinjが図4に示すRinj_lmt<Rinj<1.0の範囲にあるときに、Tcyl2<Tminが成立するように構成されている。ここで、Rinj_lmtは、1回目噴射率Rinjの所定のしきい値(例えば値0.8)を表している。
燃料噴射弁6が以上のような特性を有していることにより、アイドル回転数制御中、補機負荷Loadなどが変動した場合、エンジントルクTRQを増大方向または減少方向に制御するために、吸入空気量Gcylおよび総燃料噴射量Tcylを一定に保持しながら、点火時期Ig_logおよび1回目噴射率Rinjを変更すると、急激なトルク変動すなわち急激なエンジン回転数NEの変動(以下「回転変動」という)が発生する可能性がある。以下、その理由を図5を参照しながら説明する。
この図5は、アイドル回転数制御中、補機負荷Loadの上昇などに起因して、エンジントルクTRQを増大方向に制御すべく、燃焼モードの成層燃焼モードへの切換により熱効率を向上させるために、吸入空気量Gcylおよび総燃料噴射量Tcylを一定に保持しながら、点火時期Ig_logおよび1回目噴射率Rinjを状態X1(Rinj=1.0,Ig_log=Ig6)から状態X2(Rinj=RinjX,Ig_log=Ig6)に移行させる場合の例を示している。同図において、RinjXは、RinjX<Rinj_lmtが成立する1回目噴射率Rinjの所定値を表している。また、Ig5,6は、Ig5<Ig6が成立する点火時期Ig_logの所定値を表している。
同図に示すように、燃焼モードを均一燃焼モードから成層燃焼モードに切り換えるために、点火時期Ig_logおよび1回目噴射率Rinjを状態X1から状態X2に移行させようとすると、燃料噴射弁6の前述した特性に起因して、1回目噴射率RinjをRinj_lmt<Rinj<1.0の範囲内で徐々に変更することができず、それにより、1回目噴射率Rinjを値1.0からしきい値Rinj_lmtよりも小さい値まで一気に変更しなければならない。その結果、燃料噴射モードの切換に伴う燃焼モードの切換に起因して、熱効率が急変することで、急激な回転変動が発生してしまう。
これを回避すべく、本願発明では、アイドル回転数制御中、熱効率を向上させるために、燃焼モードを均一燃焼モードから成層燃焼モードに切り換える場合、図6に示すように、まず、吸入空気量Gcylおよび総燃料噴射量Tcylを一定に保持しながら、点火時期Ig_logおよび1回目噴射率Rinjを、状態X1(Rinj=1.0,Ig_log=Ig6)から状態X2’(Rinj=RinjX,Ig_log=Ig5)に迅速に移行させる。この場合、状態X1のときのエンジントルクTRQは、状態X2のときと同じ値であるので、回転変動が発生しない。
次いで、総燃料噴射量Tcylを一定に保持しかつ1回目噴射率Rinjを値RinjXに保持しながら、後述する補償値Umusic_igにより、点火時期Ig_logを値Ig5から値Ig6に移行させる(すなわち状態X2’から状態X2に移行させる)と同時に、吸気操作量Uarを、点火時期Ig_logの進角側への変更に伴うエンジン回転数NEの上昇を打ち消すように、後述する協調フィードバック制御アルゴリズムにより算出し、それにより、吸入空気量Gcylを制御する。この場合、吸入空気量制御は、前述したように点火時期制御よりも応答遅れが大きいので、点火時期Ig_logの所定値Ig5から所定値Ig6への移行速度は、吸入空気量制御が追従できるような値に設定される。以上の制御手法により、アイドル回転数制御中、熱効率を向上させるために、燃焼モードを均一燃焼モードから成層燃焼モードに切り換える場合において、急激な回転変動を抑制することができる。
一方、図5の例とは逆に、補機負荷Loadの減少などに起因して、エンジントルクTRQを減少方向に制御すべく、燃焼モードを成層燃焼モードから均一燃焼モードに切り換える場合、例えば、点火時期Ig_logおよび1回目噴射率Rinjを、状態X2(Rinj=RinjX,Ig_log=Ig6)から状態X1(Rinj=1.0,Ig_log=Ig6)に移行させる場合にも、燃料噴射弁6の前述した特性に起因して、1回目噴射率Rinjをしきい値Rinj_lmtよりも小さい値から値1.0まで一気に変更しなければならず、その結果、急激なトルクダウンが発生することで、急激な回転変動が発生してしまう。
これを解消するために、本願発明では、燃焼モードを成層燃焼モードから均一燃焼モードに切り換える場合、図7に示すように、まず、総燃料噴射量Tcylを一定に保持しかつ1回目噴射率Rinjを値RinjXに保持しながら、前述した補償値Umusic_igにより、点火時期Ig_logを値Ig6から値Ig5に移行させると同時に、点火操作量Uigを前述した協調フィードバック制御アルゴリズムにより算出することで、吸入空気量Gcylを制御する。その際、前述した理由により、点火時期Ig_logの移行速度は、吸入空気量制御が追従できるような値に設定される。以上により、急激な回転変動を抑制することができる。
次いで、吸入空気量Gcylおよび総燃料噴射量Tcylを保持しながら、点火時期Ig_logおよび1回目噴射率Rinjを、状態X2’(Rinj=RinjX,Ig_log=Ig5)から状態X1(Rinj=1.0,Ig_log=Ig6)に迅速に移行させる。この場合、状態X1でのエンジントルクTRQは、状態X2での値と同じであるので、トルク段差や急激な回転変動は発生しない。以上の制御手法により、アイドル回転数制御中、燃焼モードを成層燃焼モードから均一燃焼モードに切り換える場合でも、急激な回転変動が発生するのを抑制することができる。
次に、図8を参照しながら、本実施形態の制御装置1について説明する。同図に示すように、この制御装置1は、アイドル回転数コントローラ30を備えており、このアイドル回転数コントローラ30は、具体的にはECU2により構成されている。
アイドル回転数コントローラ30では、以下に述べる制御アルゴリズムにより、1回目噴射率Rinj、点火操作量Uigおよび吸気操作量Uarが算出され、これらの3つの値Rinj,Uig,Uarを制御対象としてのエンジン3に入力することにより、アイドル運転中、制御量としてのエンジン回転数NEが、エンジン3の急激な回転変動(言い換えればトルク段差)が発生しない状態で、目標回転数NE_cmdに収束するようにフィードバック制御される。この点火操作量Uigは、点火時期Ig_logであり、吸気操作量Uarは、後述するように、吸気開角Liftinをフィードバック制御する際の目標となる目標吸気開角Liftin_cmdである。なお、本実施形態では、アイドル回転数コントローラ30が第1操作量算出手段および第2操作量算出手段に相当し、点火操作量Uigが第1操作量に相当し、吸気操作量Uarが第2操作量に相当する。
アイドル回転数コントローラ30は、同図に示すように、目標値算出部31、分割噴射コントローラ40、協調フィードバックコントローラ50、協調ゲインスケジューラ80およびマップ値算出部90を備えている。
この目標値算出部31では、後述するように、アイドル回転数制御中、エンジン回転数NEの目標となる目標回転数NE_cmdが算出される。なお、本実施形態では、目標値算出部31が目標制御量算出手段に相当し、目標回転数NE_cmdが目標制御量に相当する。
また、分割噴射コントローラ40では、後述するように、目標回転数NE_cmdに応じて、補償値Umusic_igおよび1回目噴射率Rinjが算出される。なお、本実施形態では、分割噴射コントローラ40が補正値算出手段および遅延手段に相当し、補償値Umusic_igが補正値に相当する。
さらに、協調フィードバックコントローラ50では、後述するように、目標回転数NE_cmd、エンジン回転数NE、補償値Umusic_ig、2つのマップ値Umap_ig,Umap_arおよび4つのゲインKrch_ig,Kadp_ig,Krch_ar,Kadp_arに応じて、点火操作量Uigおよび吸気操作量Uarが算出される。なお、本実施形態では、協調フィードバックコントローラ50が第1基本操作量算出手段および修正手段に相当する。
一方、協調ゲインスケジューラ80では、後述するように、協調フィードバックコントローラ50で算出された切換関数σneに応じて、4つのゲインKrch_ig,Kadp_ig,Krch_ar,Kadp_arが算出される。
また、マップ値算出部90では、後述するように、協調フィードバックコントローラ50で算出された目標回転数のフィルタ値NE_cmd_fに応じて、2つのマップ値Umap_ig,Umap_arが算出される。なお、本実施形態では、マップ値算出部90が第1基本操作量算出手段に相当する。
次に、前述した目標値算出部31について説明する。この目標値算出部31では、エンジン水温TWおよび補機負荷Loadに応じて、図9に示すマップを検索することにより目標回転数NE_cmdが算出される。同図において、TW1はエンジン水温TWの所定値(例えば25゜C)であり、NE1は、エンジン回転数NEの所定値(例えば750rpm)である。また、Load1,2は、補機負荷Loadの所定値であり、Load1<Load2の関係が成立するように設定される。
このマップでは、目標回転数NE_cmdは、補機負荷Loadが大きいほど、より高い値に設定されている。これは、補機負荷Loadが大きいほど、補機による負荷変動に起因してエンジン回転数NEの変動が発生しやすくなるので、エンジン回転数NEを上昇させ、内燃機関の慣性エネルギを上昇させることによって、アイドル回転数の安定化を図るとともに、補機負荷Loadの上昇をカバーするために、より高い燃焼安定性を確保すべく、アイドル回転数をより高い値に制御するためである。また、目標回転数NE_cmdは、エンジン水温TWが高い領域では、低い領域よりも低い値に設定されている。これは、エンジン水温TWが高い領域では、エンジン3の燃焼状態が安定することで、より低いエンジン回転数NEでアイドル運転を実行可能であることによる。
次に、前述した分割噴射コントローラ40について説明する。この分割噴射コントローラ40では、以下に述べるように、目標回転数NE_cmdに応じて、補償値Umusic_igおよび1回目噴射率Rinjが算出される。この補償値Umusic_igは、アイドル回転数制御中の急激な回転変動を点火時期制御で補償するためのフィードフォワード項に相当する値であり、そのため、後述する点火時期コントローラ60での点火操作量Uigの算出において、加算項として用いられる。
分割噴射コントローラ40は、図10に示すように、Rinj_STB算出部41、DNE算出部42、フィードフォワードコントローラ43および動的補償器44を備えている。
このRinj_STB算出部41では、目標回転数NE_cmdに応じて、図11に示すマップを検索することにより、1回目噴射率Rinjの要求値Rinj_STBが算出される。このマップは、目標回転数NE_cmdと1回目噴射率Rinjの要求値Rinj_STBの関係、すなわち、制御量としてのエンジン回転数NEと、成層燃焼モードおよび均一燃焼モードとの関係を表す応答曲面モデルに相当するものであり、同図において、NE2は、NE1<NE2の関係が成立するようなエンジン回転数NEの所定値(例えば900rpm)である。
同図に示すように、要求値Rinj_STBの算出用マップとしては、実線で示す停車時用マップと、破線で示す発進待機用マップがそれぞれ準備されている。この停車時用マップは、車両が停車中のとき、すなわち自動変速機のシフト位置がNレンジまたはPレンジに設定されているときに、要求値Rinj_STBの算出に用いられるものであり、発進待機用マップは、車両が発進待機状態にあるとき、すなわち自動変速機のシフト位置がDレンジまたはRレンジに設定されているときに、要求値Rinj_STBの算出に用いられるものである。まず、停車時用マップでは、要求値Rinj_STBのマップ値は、NE<NE1の範囲では、値1.0に設定され、NE≧NE1の範囲では、前述したしきい値Rinj_lmt以下の値である所定値Rinj1に設定されている。これは、NE≧NE1の範囲では、燃費の向上を図るべく、エンジン3を分割噴射モードすなわち成層燃焼モードで運転するである。また、NE<NE1の範囲では、前述した燃料噴射弁6の特性に起因して、Tcyl2<Tminが成立することにより、2回目噴射を適切に実行できなくなるので、アイドル回転数制御の安定性および制御精度を確保すべく、エンジン3を単噴射モードすなわち均一燃焼モードで運転するためである。
また、発進待機用マップでは、要求値Rinj_STBのマップ値は、NE<NE2の範囲では、値1.0に設定され、NE≧NE2の範囲では、所定値Rinj1に設定されている。これは、以下の理由による。分割噴射モードすなわち成層燃焼モードでは、単噴射モードすなわち均一燃焼モードのときと比べて、燃焼変動の度合がより大きくなるため、自動変速機のシフト位置がDレンジまたはRレンジに設定されているときには、低回転域において成層燃焼モードで運転すると、シフト位置がNレンジまたはPレンジに設定されているときと比べて、そのような燃焼変動が車体に伝わりやすくなることで、商品性の低下を招いてしまう可能性がある。したがって、発進待機用マップでは、所定値NE1よりも高い所定値NE2未満の回転数域で、低回転域での商品性の向上を目的として、エンジン3を単噴射モードすなわち均一燃焼モードで運転すべく、要求値Rinj_STBのマップ値が値1.0に設定されている。また、NE≧NE2の範囲では、上述したように、燃費の向上を図るべく、エンジン3を分割噴射モードすなわち成層燃焼モードで運転するために、要求値Rinj_STBのマップ値が所定値Rinj1に設定されている。
なお、車両が本実施形態の自動変速機付きのものと異なり、手動変速機付きのものである場合には、要求値Rinj_STBの算出用マップとして、手動変速機のシフト位置がニュートラル位置にあるときに、停車時用値マップを用い、それ以外のシフト位置(例えばリバース位置や1〜4速位置)にあるときに、発進待機用マップを用いればよい。
次に、DNE算出部42では、1回目噴射率Rinjの要求値Rinj_STBおよび目標回転数NE_cmdに応じて、変動予測値DNEが算出される。この変動予測値DNEは、アイドル回転数制御中に1回目噴射率Rinjを変更したときのエンジン回転数NEの変動量を予測したものであり、具体的には、以下に述べる手法により算出される。
まず、1回目噴射率Rinjの要求値Rinj_STBおよび目標回転数NE_cmdに応じて、図12に示すマップを検索することにより、マップ値DNE_mapを算出する。このマップでは、Rinj_STB=Rinj1のときには、目標回転数NE_cmdが高いほど、マップ値DNE_mapが大きい値に設定されている。これは、目標回転数NE_cmdが高いほど、1回目噴射率Rinjの変更に伴う回転変動量がより大きくなりやすいためである。
次いで、下式(1)により、変動予測値DNEを算出する。
Figure 2007247476
上式(1)において、記号(k)付きの各離散データは、所定の制御周期でサンプリングまたは算出されたデータであることを示しており、記号kは各離散データのサンプリングまたは算出サイクルの順番を表している。例えば、記号kは今回の制御タイミングでサンプリングまたは算出された値であることを、記号k−1は前回の制御タイミングでサンプリングまたは算出された値であることをそれぞれ示している。この点は、以下の離散データにおいても同様である。また、以下の説明では、各離散データにおける記号(k)などを適宜、省略する。
また、前述したフィードフォワードコントローラ43では、以下に述べる手法により、1回目噴射率Rinjおよび補償目標値DNE_modが算出される。この補償目標値DNE_modは、補償値Umusic_igによって補償すべき回転変動量に相当する値である。
まず、変動方向フラグF_DNE_dirの値が以下のように設定される。この変動方向フラグF_DNE_dirは、1回目噴射率Rinjを変更したときに、エンジン回転数NEが増大側に変化すると予想されるか否かを表すものである。具体的には、下記の条件(e1)が成立しているとき、または条件(e2),(e3)がいずれも成立しているときには、1回目噴射率Rinjの変更時、エンジン回転数NEが増大側に変化すると予想されるので、それを表すために変動方向フラグF_DNE_dirが「1」に設定される。
(e1)DNE>DNE_PSTEP
(e2)DNE_NSTEP≦DNE≦DNE_PSTEP
(e3)F_DNE_dir(k−1)=1
ここで、条件(e1),(e2)のDNE_PSTEPは、1回目噴射率Rinjの変更時、エンジン回転数NEが増大側に変化するか否かを判定するための増大側しきい値であり、正の所定値(例えば10rpm)に設定される。また、条件(e2)のDNE_NSTEPは、1回目噴射率Rinjを変更したときに、エンジン回転数NEが減少側に変化するか否かを判定するための減少側しきい値であり、負の所定値(例えば−10rpm)に設定される。
一方、下記の条件(e4)が成立しているとき、または条件(e5),(e6)がいずれも成立しているときには、1回目噴射率Rinjの変更時、エンジン回転数NEが増大側に変化しないと予想されるので、それを表すために変動方向フラグF_DNE_dirが「0」に設定される。
(e4)DNE<DNE_NSTEP
(e5)DNE_NSTEP≦DNE≦DNE_PSTEP
(e6)F_DNE_dir(k−1)=1
そして、変動方向フラグF_DNE_dirが「1」に設定されたときには、下式(2),(3)により、1回目噴射率Rinjおよび補償目標値の増大側用値DNE_mod_pが算出される。
Figure 2007247476
上式(3)のλpは、0<λp<1が成立するように設定される忘却係数である。式(3)に示すように、忘却係数λpが増大側用値の前回値DNE_mod_p(k−1)に乗算されているとともに、1回目噴射率Rinjの変更後は変動予測値DNEが値0になることにより、演算処理の進行に伴い、増大側用値DNE_mod_pが値0に収束するように算出される。すなわち、増大側用値DNE_mod_pは、忘却演算処理により算出される。それにより、後述するように、増大側用値DNE_mod_pを用いて算出される補償値Umusic_igも、演算処理の進行に伴い、値0に収束するようになることで、点火操作量Uigが補償値Umusic_igによって遅角側の値に補正された状態から、無補正の状態に変化する。
次いで、下式(4)により、補償目標値DNE_modが算出される。
Figure 2007247476
一方、変動方向フラグF_DNE_dirが「0」に設定されたときには、変動予測値DNEと減少側しきい値DNE_NSTEPとの比較結果に基づき、以下に述べるように、変動予測値の減少側用値DNE_n_in、1回目噴射率Rinjおよび補償目標値の減少側用値DNE_mod_nを算出するとともに、待機フラグF_Rinj_Waitの値を設定する。
まず、変動予測値の減少側用値DNE_n_inの算出手法について説明する。この変動予測値の減少側用値DNE_n_inは、後述するように、補償目標値の減少側用値DNE_mod_nの算出に用いられるものであり、DNE<DNE_NSTEPが成立しているときには、下式(5)により算出される。
Figure 2007247476
一方、DNE_NSTEP≦DNE≦DNE_PSTEPが成立しているときには、変動予測値の減少側用値DNE_n_inは、下式(6)により算出される。
Figure 2007247476
次に、待機フラグF_Rinj_Waitの設定手法について説明する。この待機フラグF_Rinj_Waitは、1回目噴射率Rinjを変更すると、エンジントルクTRQ(すなわちエンジン回転数NE)が減少側に変化すると予想される場合において、1回目噴射率Rinjの変更を、点火時期Ig_logの変更によるエンジントルクTRQの低減が終了するまで待機するか否かを判定するためのものであり、以下に述べるように設定される。
まず、下記の条件(f1)〜(f3)がいずれも成立しているとき、または条件(f4)が成立しているときには、1回目噴射率Rinjおよび点火時期Ig_logの変更を同時に行うと回転変動が発生するおそれがあることで、1回目噴射率Rinjの変更待機を実行すべきであるので、それを表すために待機フラグF_Rinj_Waitが「1」に設定される。
(f1)DNE_NSTEP≦DNE≦DNE_PSTEP
(f2)F_Rinj_Wait(k−1)=1
(f3)DNE_mod_n(k−1)≧DNE_NWAIT
(f4)DNE<DNE_NSTEP
ここで、条件(f3)のDNE_NWAITは、1回目噴射率Rinjの変更待機の要・不要を判定するためのしきい値であり、負の所定値(例えば−5rpm)に設定されている。
一方、下記の条件(f5)〜(f7)がいずれも成立しているとき、または、条件(f8),(f9)がいずれも成立しているときには、1回目噴射率Rinjを変更すべきであることを表すために、待機フラグF_Rinj_Waitが「0」に設定される。
(f5)DNE_NSTEP≦DNE≦DNE_PSTEP
(f6)F_Rinj_Wait(k−1)=1
(f7)DNE_mod_n(k−1)<DNE_NWAIT
(f8)DNE_NSTEP≦DNE≦DNE_PSTEP
(f9)F_Rinj_Wait(k−1)=0
次いで、1回目噴射率Rinjおよび補償目標値の減少側用値DNE_mod_nの算出手法について説明する。まず、F_Rinj_Wait=1のときには、これらの値Rinj,DNE_mod_nは、下式(7),(8)により算出される。下式(8)のλnは、0<λn<1が成立するように設定される遅れ係数である。すなわち、補償目標値の減少側用値DNE_mod_nは、応答指定型のフィルタ処理である1次遅れフィルタ処理が施された値として算出されるので、変動予測値DNEに対して所定の1次遅れ特性を示すように算出される。
Figure 2007247476
一方、F_Rinj_Wait=0のときには、下式(9),(10)により、1回目噴射率Rinjおよび補償目標値の減少側用値DNE_mod_nが算出される。
Figure 2007247476
次いで、下式(11)により、補償目標値DNE_modが算出される。
Figure 2007247476
また、前述した動的補償器44では、下式(12)により、補償値Umusic_igが算出される。なお、下式(12)のa1,b1は後述する動特性モデルのモデルパラメータである。ここで、前述したように、補償目標値の減少側用値DNE_mod_nは、式(8)により、変動予測値DNEに対して所定の1次遅れ特性を示すように算出されるので、変動予測値DNEを相殺するための補償値Umusic_igも、所定の1次遅れ特性を示すように算出される。
Figure 2007247476
上記式(12)は以下のように導出される。まず、補償値Umusic_igを入力とし、変動予測値DNEを出力とする系の動特性モデルは、下式(13)のように定義できる。すなわち、この式(13)は、補償値Umusic_igと、制御量としてのエンジン回転数NEとの関係を表す動特性モデルに相当する。また、この式(13)の逆伝達関数は、下式(14)のようになる。
Figure 2007247476
ここで、補償値Umusic_igは、変動予測値DNEを相殺する(すなわち補償する)ための値であるので、補償目標値DNE_modを、DNE(k+1)=−DNE_mod(k)が成立するように算出すべきである。したがって、DNE(k+1)=−DNE_mod(k)を上記式(14)に代入すると、前述した式(12)が導出される。
以上のように、分割噴射コントローラ40では、補償値Umusic_igおよび1回目噴射率Rinjが算出される。
次に、図13を参照しながら、前述した協調フィードバックコントローラ50について説明する。同図に示すように、協調フィードバックコントローラ50は、点火時期コントローラ60および吸入空気量コントローラ70を備えている。
まず、点火時期コントローラ60について説明する。この点火時期コントローラ60は、以下に述べるように、目標値フィルタ型2自由度スライディングモード制御アルゴリズムを適用した制御アルゴリズムにより、点火操作量Uig(=Ig_log)を算出するものであり、目標値フィルタ61、切換関数算出部62、到達則入力算出部63および適応則入力算出部64および加算要素65で構成されている。
この目標値フィルタ61では、下式(15)に示す一次遅れフィルタアルゴリズムにより、目標回転数のフィルタ値NE_cmd_fが算出される。同式(15)において、Rは、目標値応答指定パラメータであり、−1<R<0の範囲内の値に設定される。これにより、フィルタ値NE_cmd_fは、目標回転数NE_cmdに対して、目標値応答指定パラメータRの値により決定された一次遅れの追従応答性を示す値として算出される。
Figure 2007247476
また、切換関数算出部62では、下式(16),(17)により、切換関数σneが算出される。同式(16)において、Sは、切換関数設定パラメータであり、−1<S<0の範囲内の値に設定される。また、Eneは、追従誤差であり、式(17)に示すように、エンジン回転数NEと目標回転数のフィルタ値NE_cmd_fとの偏差として定義される。
Figure 2007247476
また、到達則入力算出部63では、切換関数σneと協調ゲインスケジューラ80で設定された到達則ゲインKrch_igを用い、下式(18)により、到達則入力Urch_igが算出される。
Figure 2007247476
また、適応則入力算出部64では、切換関数σneと協調ゲインスケジューラ80で設定された適応則ゲインKadp_igを用い、下式(19)により、適応則入力Uadp_igが算出される。
Figure 2007247476
上式(19)において、λは忘却係数であり、0<λ<1の範囲内の値に設定される。この忘却係数λを用いる理由は、適応則入力適応則入力Uadp_igは積分項として算出されるため、忘却係数λを用いないと、点火操作量Uigが遅角側に補正された状態に必要以上に長く保持される可能性があるので、そのような状態を回避するためである。
さらに、加算要素65では、以上のように算出された到達則入力Urch_igおよび適応則入力Uadp_igと、分割噴射コントローラ40で算出された補償値Umusic_igと、マップ値算出部90で算出されたマップ値Umap_igを用い、下式(20)により、点火操作量Uigが算出される。。
Figure 2007247476
以上のように、点火時期コントローラ60では、式(15)〜(20)の目標値フィルタ型2自由度スライディングモード制御アルゴリズムを適用した制御アルゴリズムにより、点火操作量Uigが算出される。なお、本実施形態では、値(Urch_ig+Uadp_ig+Umap_ig)が第1基本操作量に相当する
次に、前述した吸入空気量コントローラ70について説明する。この吸入空気量コントローラ70は、以下に述べるように、目標値フィルタ型2自由度スライディングモード制御アルゴリズムを適用した制御アルゴリズムにより、吸気操作量Uar(=Liftin_cmd)を算出するものであり、前述した目標値フィルタ61、前述した切換関数算出部62、到達則入力算出部73、適応則入力算出部74および加算要素75で構成されている。すなわち、この吸入空気量コントローラ70では、目標値フィルタ61および切換関数算出部62を点火時期コントローラ60と共用することにより、目標回転数のフィルタ値NE_cmd_fおよび切換関数σneを共用しながら、吸気操作量Uarが算出される。
具体的には、まず、到達則入力算出部73で、切換関数σneと協調ゲインスケジューラ80で設定された到達則ゲインKrch_arを用い、下式(21)により、到達則入力Urch_arが算出される。
Figure 2007247476
また、適応則入力算出部74では、切換関数σneと協調ゲインスケジューラ80で設定された適応則ゲインKadp_arを用い、下式(22)により、適応則入力Uadp_arが算出される。
Figure 2007247476
さらに、加算要素75では、以上のように算出された到達則入力Urch_arおよび適応則入力Uadp_arと、マップ値算出部90で算出されたマップ値Umap_igを用い、下式(23)により、吸気操作量Uarが算出される。
Figure 2007247476
吸入空気量コントローラ70では、以上のように、式(15)〜(17),(21)〜(23)に示す目標値フィルタ型2自由度スライディングモード制御アルゴリズムを適用した制御アルゴリズムにより、吸気操作量Uarが算出される。
次に、前述した協調ゲインスケジューラ80について説明する。この協調ゲインスケジューラ80では、切換関数σneの値に応じて、図14に示す到達則ゲイン算出用のマップおよび図15に示す適応則ゲイン算出用のマップを検索することにより、前述した4つのゲインKrch_ig,Krch_ar,Kadp_ig,Kadp_arがそれぞれ算出される。なお、両図14,15におけるσ1,σ2は、σ1<σ2の関係が成立する正の所定値である。
まず、図14の到達則ゲイン算出用のマップを参照すると、このマップでは、到達則ゲインKrch_igは、切換関数σneの正側および負側の値に対して対称に設定されており、値0付近の−σ1<σne<σ1の範囲では、所定の最大値Krch_ig1に設定されているとともに、σne<−σ2,σ2<σneの範囲では、所定の最小値Krch_ig2に設定されている。また、−σ2≦σne≦−σ1,σ1≦σne≦σ2の範囲では、σneの絶対値が小さくなるほど、より大きな値に設定されている。
また、到達則ゲインKrch_arも、切換関数σneの正側および負側の値に対して対称に設定されており、値0付近の−σ1<σne<σ1の範囲では、所定の最小値Krch_ar2に設定されているとともに、σne<−σ2,σ2<σneの範囲では、所定の最大値Krch_ar1に設定されている。また、−σ2≦σne≦−σ1,σ1≦σne≦σ2の範囲では、σneの絶対値が小さくなるほど、より小さな値に設定されている。
一方、図15の適応則ゲイン算出用のマップを参照すると、このマップでは、適応則ゲインKadp_igは、切換関数σneの正側および負側の値に対して対称に設定されており、値0付近の−σ1<σne<σ1の範囲では、所定の最大値Kadp_ig1に設定されているとともに、σne<−σ2,σ2<σneの範囲では、所定の最小値Kadp_ig2に設定されている。また、−σ2≦σne≦−σ1,σ1≦σne≦σ2の範囲では、σneの絶対値が小さくなるほど、より大きな値に設定されている。
また、適応則ゲインKadp_arも、切換関数σneの正側および負側の値に対して対称に設定されており、値0付近の−σ1<σne<σ1の範囲では、所定の最小値Kadp_ar2に設定されているとともに、σne<−σ2,σ2<σneの範囲では、所定の最大値Kadp_ar1に設定されている。また、−σ2≦σne≦−σ1,σ1≦σne≦σ2の範囲では、σneの絶対値が小さくなるほど、より小さな値に設定されている。
4つのゲインKrch_ig,Kadp_ig,Krch_ar,Kadp_arの値が以上のように設定されている理由は、以下による。すなわち、前述したように、点火時期制御は、吸入空気量制御と比べて、応答遅れが小さく、制御の分解能が高い(最小の点火操作量Uigに対するエンジン回転数NEの変化度合いが小さい)ことに加えて、1燃焼サイクル中においてエンジントルクTRQすなわちアイドル運転中のエンジン回転数NEの変更可能な幅も大きいものの、エンジン3の燃焼状態の観点から、点火時期Ig_logの制御幅が限定されてしまうという特徴を備えている。一方、吸入空気量制御は、制御の分解能が点火時期制御と比べて低く、目標回転数NE_cmdの大きな変化に対しても対応できる反面、点火時期制御と比べて1燃焼サイクル中においてアイドル運転中のエンジン回転数NEの変更可能な幅が小さいとともに、応答遅れが大きいことで、エンジン回転数NEの目標回転数NE_cmdへの収束性が悪いという特徴を備えている。
これに加えて、本実施形態の協調フィードバックコントローラ50では、前述したように目標値フィルタ型2自由度スライディングモード制御アルゴリズムを用いているので、切換関数σneの絶対値が値0に近い場合には、目標値フィルタ61により設定された、目標回転数NE_cmdに対するエンジン回転数NEの追従挙動と実際の追従挙動との差が小さいとともに、切換関数σneにより指定された追従誤差Eneの値0への収束挙動と実際の収束挙動との差が小さい状態にある。
したがって、切換関数σneの絶対値が値0に近いときには、アイドル回転数制御の分解能および制御精度を高めるべく、アイドル回転数制御への点火時期制御の寄与度合いを高めると同時に、吸入空気量制御の寄与度合いを低くするためである。これとは逆に、切換関数σneの絶対値が大きい場合、目標値フィルタ61により設定された上記追従挙動と実際の追従挙動との差が大きいとともに、切換関数σneにより指定された上記収束挙動と実際の収束挙動との差が大きい状態にあるので、アイドル回転数制御の応答性を高めるべく、アイドル回転数制御への吸入空気量制御の寄与度合いを高めると同時に、点火時期制御の寄与度合いを低くするためである。
以上の理由により、本実施形態の協調フィードバックコントローラ50における点火時期制御および吸入空気量制御の協調制御の場合、切換関数σneの絶対値が比較的小さい領域、すなわち、切換関数σneの値が切換直線に近い領域が点火時期制御がメインの領域となり、それ以外の領域は、吸入空気量制御がメインの領域となる。これと同様に、エンジン回転数NEおよび目標回転数NE_cmdの関係においては、両者の乖離度合いが小さい領域が、点火時期制御がメインの領域となり、それ以外の領域は、吸入空気量制御がメインの領域となる。
次に、前述したマップ値算出部90について説明する。このマップ値算出部90では、以下に述べるように、2つのマップ値Umap_ig,Umap_arが算出される。これらのマップ値Umap_ig,Umap_arはいずれも、エンジン回転数NEを目標回転数のフィルタ値NE_cmd_fに制御するための(すなわちエンジン回転数NEを目標回転数NE_cmdに制御するための)フィードフォワード項に相当する値であり、そのため、前述したように、点火操作量Uigおよび吸気操作量Uarの算出において、加算項として用いられる。
まず、マップ値Umap_igは、目標回転数のフィルタ値NE_cmd_fに応じて、図16に示すマップを検索することにより算出される。同図のNE3,4は、NE3<NE4が成立するようなエンジン回転数NEの所定値である。また、Umap_ig1,2は、Umap_ig1<Umap_ig2が成立するようなマップ値Umap_igの所定値である。
同図に示すように、マップ値Umap_igは、NE3≦NE_cmd_f≦NE4の範囲では、目標回転数のフィルタ値NE_cmd_fが高いほど、より進角側の値に設定されている。これは、エンジン回転数NEを上昇させるには、エンジントルクTRQを増大させる必要があるので、それを達成すべく、点火操作量Uigをより進角側に制御するためである。また、マップ値Umap_igは、NE_cmd_f>NE4の範囲では、所定値Umap_ig2に設定されている。これは、点火時期Ig_logをMBTよりも進角させると、逆にエンジントルクTRQが減少するので、点火時期Ig_logをMBTに保持するためである。さらに、マップ値Umap_igは、NE_cmd_f<NE3の範囲では、所定値Umap_ig1に設定されている。これは、点火時期Ig_logを遅角させ過ぎると燃焼状態が不安定になり、エンジン3の振動が大きくなるので、それを回避するためである。
また、マップ値Umap_arは、目標回転数のフィルタ値NE_cmd_fに応じて、図17に示すマップを検索することにより算出される。同図では、マップ値Umap_igは、目標回転数のフィルタ値NE_cmd_fが高いほど、より大きい値に設定されている。これは、前述したように、エンジン回転数NEを上昇させるには、エンジントルクTRQをより増大させる必要があるので、それを達成すべく、吸気操作量Uarをより大きい値に制御することで、吸入空気量Gcylを増大させるためである。
次に、以上のように構成された本実施形態のアイドル回転数制御のシミュレーション結果(以下「制御結果」という)について説明する。まず、図18は、本実施形態のアイドル回転数制御の制御結果の一例を示しており、図19は、比較のために、式(20)において補償値Umusic_ig=0に保持した場合の制御結果の一例を示している。なお、両図18,19は、目標回転数NE_cmdをNE1<NEref<NE2が成立するような所定値NErefに設定するとともに、シフト位置の変化に伴い、要求値Rinj_STBの算出用マップが、前述した図11の停車時用マップと発進待機用マップの間で変更された場合の制御結果例を示している。
まず、図19を参照すると、この比較例の制御結果では、時刻t10で、シフト位置の変更に伴い、要求値Rinj_STBの算出用マップが発進待機用マップから停車時用マップに変更され、1回目噴射率Rinjが値1.0から所定値Rinj1に変更されると、燃料噴射モードが単噴射モードから分割噴射モードに切り換えられ、熱効率が上昇することで、エンジン回転数NEが所定値NErefに対してオーバーシュートし、大きく乖離する。すなわち、急激な回転変動が発生する。この場合、時刻t10以降、エンジン回転数NEと目標回転数NE_cmd(=NEref)との偏差を解消するように、吸気操作量Uarが低減されるとともに、点火操作量Uigが遅角側の値に変更される。
また、時刻t11で、シフト位置の変更に伴い、要求値Rinj_STBの算出用マップが停車時用マップから発進待機用マップに変更され、1回目噴射率Rinjが所定値Rinj1から値1.0に変更されると、燃料噴射モードが分割噴射モードから単噴射モードに切り換えられ、熱効率が低下することで、エンジン回転数NEが所定値NErefに対してアンダーシュートし、大きく乖離する。すなわち、急激な回転変動が発生する。この場合、時刻t11以降、エンジン回転数NEと目標回転数NE_cmdとの偏差を解消するように、吸気操作量Uarが増大されるとともに、点火操作量Uigが進角側の値に変更されるものの、上記回転変動を抑制することはできない。
これに対して、図18に示す本実施形態の制御結果では、時刻t1で、シフト位置の変更に伴い、要求値Rinj_STBの算出用マップが発進待機用マップから停車時用マップに変更され、1回目噴射率Rinjが値1.0から所定値Rinj1に変更されると、変動予測値DNEが値0からそれよりも大きな値に急変し、それにより、式(3)により算出される補償目標値の増大側値DNE_mod_p、すなわち補償目標値DNE_modが値0から大きい値に急変することで、補償値Umusic_igも値0よりもかなり遅角側の値(負値)に急変する。その結果、トルク増大に伴うエンジン回転数NEの上昇が補償値Umusic_igによって相殺されることで、図19の制御結果と異なり、エンジン回転数NEが所定値NErefからほとんど乖離することなく、安定した状態に保持される。すなわち、補償値Umusic_igを用いることにより、急激な回転変動を適切に抑制できることが判る。
また、時刻t1以降、前述した忘却係数λpによる忘却効果により、補償値Umusic_igが徐々に進角側に変化すると、それに伴うトルク増大に起因して、エンジン回転数NEが所定回転数NErefよりも若干高い値に上昇するものの、それを打ち消すように、吸気操作量Uarが緩やかに減少し、吸入空気量Gcylも緩やかに減少する。
このように吸気操作量Uarが変化するのは以下の理由による。すなわち、トルク増大によりエンジン回転数NEが上昇すると、前述した協調フィードバックコントローラ50における数式(17)に示す追従誤差Eneが増大し、式(16)に示す切換関数σneの値が増大する。それにより、式(21)に示す到達則入力Urch_arおよび式(22)に示す適応則入力Uadp_arの絶対値が増大し、その結果、式(23)により算出される吸気操作量Uarの値が減少することによる。
その後、時間が経過し、シフト位置の変更に伴い、要求値Rinj_STBの算出用マップが停車時用マップから発進待機用マップに変更された時点(時刻t2)で、DNE<DNE_NSTEPが成立することで、F_Rinj_Wait=1が成立する。それにより、1回目噴射率Rinjが要求値Rinj_STB(=1.0)に変化することなく、それ以前の値である所定値Rinj1に保持される。これと同時に、補償目標値の減少側用値DNE_mod_nが、式(8)の1次遅れフィルタアルゴリズムにより算出されるとともに、補償目標値DNE_modが、その減少側用値の負値−DNE_mod_nとして算出されることで、それ以降、時間の経過に伴って増大する。その結果、補償値Umusic_igが、値0よりも遅角側の値に徐々に変化するように算出されるとともに、それに伴うエンジン回転数NEの低下を打ち消すように、前述した制御アルゴリズムにより、吸気操作量Uarが徐々に増大するように算出され、吸入空気量Gcylが徐々に増大する。
その後、DNE_mod_n(k−1)<DNE_NWAITが成立した時点(時刻t3)で、F_Rinj_Wait=0が成立する。それにより、1回目噴射率Rinjが所定値Rinj1から値1.0に変更され、燃料噴射モードが分割噴射モードから単噴射モードに変更されると同時に、補償値Umusic_igが値0゜まで瞬時に進角される。その結果、トルク減少に伴うエンジン回転数NEの低下が補償値Umusic_igによって相殺されることで、図19の制御結果と異なり、エンジン回転数NEが所定値NErefからほとんど乖離することなく、安定した状態に保持される。すなわち、補償値Umusic_igを用いることにより、トルク減少に伴う急激な回転変動を適切に抑制できることが判る。
以上のように、本実施形態のアイドル回転数制御の手法によれば、補償値Umusic_igを用いることにより、燃料噴射モードを分割噴射モードから単噴射モードに切り換える場合や、その逆に切り換える場合でも、急激な回転変動を適切に抑制でき、エンジン回転数NEを安定した状態に保持することができることが判る。
次に、図20を参照しながら、ECU2により実行される、アイドル回転数制御処理を含む各種の制御処理について説明する。この処理は、具体的には、所定の制御周期で、点火時期制御処理、吸入空気量制御処理および燃料噴射制御処理を実行するものである。
この処理では、まず、ステップ1(図では「S1」と略す。以下同じ)において、動弁正常フラグF_VDOKが「1」であるか否かを判別する。この動弁正常フラグF_VDOKは、可変吸気動弁機構4および可変排気動弁機構5がいずれも正常であるときには「1」に、それ以外のときには「0」にそれぞれ設定される。
ステップ1の判別結果がYESで、可変吸気動弁機構4および可変排気動弁機構5がいずれも正常であるときには、ステップ2に進み、アイドル運転フラグF_IDLEが「1」であるか否かを判別する。このアイドル運転フラグF_IDLEは、アイドル運転条件が成立しているとき、すなわち、以下の3つの条件(g1)〜(g3)がいずれも成立しているときには「1」に設定され、それ以外のときには「0」に設定される。
(g1)アクセル開度APが全閉状態を示す値であること。
(g2)車速VPが所定値(例えば3km)以下であること。
(g3)エンジン回転数NEが所定値(例えば200rpm)以上であること。
ステップ2の判別結果がYESのときには、アイドル回転数制御を実行すべきであると判定して、ステップ3に進み、エンジン水温TWおよび補機負荷Loadに応じて、前述した図9のマップを検索することにより、アイドル運転用の目標回転数NE_cmdを算出する。
次いで、ステップ4で、目標回転数のフィルタ値NE_cmd_fを、前述した式(15)により算出し、その後、ステップ5で、切換関数σneを、前述した式(16),(17)により算出する。
次に、ステップ6に進み、1回目噴射率Rinjおよび補償値Umusic_igを算出する。この算出処理は、具体的には、図21に示すように実行される。同図に示すように、まず、ステップ20で、目標回転数NE_cmdに応じて、前述した図11のマップを検索することにより、1回目噴射率Rinjの要求値Rinj_STBを算出する。
次いで、ステップ21に進み、1回目噴射率Rinjの要求値Rinj_STBおよび目標回転数NE_cmdに応じて、前述した図12のマップを検索することにより、マップ値DNE_mapを算出する。その後、ステップ22で、前述した式(1)により、変動予測値DNEを算出する。
次いで、ステップ23で、1回目噴射率Rinjおよび補償目標値DNE_modを算出する。この算出処理は、具体的には、図22に示すように実行される。同図に示すように、まず、ステップ30で、変動予測値DNEが前述した増大側しきい値DNE_PSTEPよりも大きいか否かを判別する。
この判別結果がYESのときには、エンジン回転数NEが増大方向に変動することで、補償目標値の増大側用値DNE_mod_pを算出すべきであると判定して、ステップ31に進み、それを表すために変動方向フラグF_DNE_dirを「1」に設定する。次いで、ステップ32に進み、1回目噴射率Rinjを要求値Rinj_STBに設定する。
ステップ32に続くステップ33では、前述した式(3)により、補償目標値の増大側用値DNE_mod_pを算出する。次いで、ステップ34で、補償目標値DNE_modを増大側用値DNE_mod_pに設定した後、本処理を終了する。
一方、ステップ30の判別結果がNOのときには、ステップ35に進み、変動予測値DNEが前述した減少側しきい値DNE_NSTEPよりも小さいか否かを判別する。この判別結果がYESのときには、エンジン回転数NEが減少方向に変動することで、補償目標値の減少側用値DNE_mod_nを算出すべきであると判定して、ステップ36に進み、それを表すために変動方向フラグF_DNE_dirを「0」に設定する。
次いで、ステップ37に進み、変動予測値の減少側用値DNE_n_inを、ステップ22で算出した変動予測値DNEに設定する。その後、ステップ38に進み、1回目噴射率Rinjの変更待機が必要であることを表すために、待機フラグF_Rinj_Waitを「1」に設定する。
一方、ステップ35の判別結果がNOで、DNE_NSTEP≦DNE≦DNE_PSTEPが成立しているときには、ステップ39に進み、変動方向フラグの前回値F_DNE_dirzが「1」であるか否かを判別する。
この判別結果がYESで、前回のループで補償目標値の増大側用値DNE_mod_pの算出が実行されていたときには、前述したように、ステップ31〜34を実行した後、本処理を終了する。
一方、ステップ39の判別結果がNOで、前回のループで補償目標値の減少側用値DNE_mod_nの算出が実行されていたときには、ステップ40に進み、補償目標値の減少側用値DNE_mod_nの算出を継続すべきであることを表すために、変動方向フラグF_DNE_dirを「0」に設定する。
ステップ40に続くステップ41では、変動予測値の減少側用値DNE_n_inを、その前回値DNE_n_inzに設定する。次いで、ステップ42で、待機フラグの前回値F_Rinj_Waitzが「0」であるか否かを判別する。この判別結果がYESのときには、1回目噴射率Rinjを変更すべきであると判定して、ステップ44に進み、それを表すために待機フラグF_Rinj_Waitを「0」に設定する。
一方、ステップ42の判別結果がNOで、F_Rinj_Waitz=1のとき、すなわち前回のループで1回目噴射率Rinjの変更待機が実行されていたときには、ステップ43に進み、補償目標値の減少側用値の前回値DNE_mod_nzが前述したしきい値DNE_NWAITよりも小さいか否かを判別する。
この判別結果がNOで、NE_mod_nz≧DNE_NWAITのときには、1回目噴射率Rinjの変更待機が必要であると判定して、前述したステップ38に進み、待機フラグF_Rinj_Waitを「1」に設定する。
一方、ステップ43の判別結果がYESで、NE_mod_nz<DNE_NWAITのときには、1回目噴射率Rinjを変更すべきであると判定して、前述したステップ44に進み、待機フラグF_Rinj_Waitを「0」に設定する。
ステップ38または44に続くステップ45では、待機フラグF_Rinj_Waitが「1」であるか否かを判別する。この判別結果がYESで、1回目噴射率Rinjの変更待機が必要であるときには、ステップ46に進み、1回目噴射率Rinjをその前回値Rinjzに設定する。
次いで、ステップ47で、補償目標値の減少側用値DNE_mod_nを、前述した式(8)により算出する。
一方、ステップ45の判別結果がNOで、1回目噴射率Rinjを変更すべきであるときには、ステップ48に進み、1回目噴射率Rinjをその要求値Rinj_STBに設定する。次いで、ステップ49で、補償目標値の減少側用値DNE_mod_nを値0に設定する。
ステップ47または49に続くステップ50では、補償目標値DNE_modをその減少側用値の負値−DNE_mod_nに設定する。その後、本処理を終了する。
図21に戻り、ステップ23で、以上のように1回目噴射率Rinjおよび補償目標値DNE_modを算出した後、ステップ24に進み、前述した式(12)により、補償値Umusic_igを算出して、本処理を終了する。
図20に戻り、ステップ6で、以上のように1回目噴射率Rinjおよび補償値Umusic_igを算出した後、ステップ7に進み、点火操作量Uigを算出する。この算出処理は、具体的には、図23に示すように実行される。
同図に示すように、まず、ステップ60で、切換関数σneに応じて、前述した図14のマップを検索することにより、到達則ゲインKrch_igを算出する。ステップ60に続くステップ61では、前述した式(18)により、到達則入力Urch_igを算出する。
次いで、ステップ62に進み、切換関数σneに応じて、前述した図15のマップを検索することにより、適応則ゲインKadp_igを算出する。ステップ62に続くステップ63では、前述した式(19)により、適応則入力Uadp_igを算出する。
次に、ステップ64に進み、目標回転数のフィルタ値NE_cmd_fに応じて、前述した図16のマップを検索することにより、マップ値Umap_igを算出する。次いで、ステップ65で、前述した式(20)により、点火操作量Uigを算出した後、本処理を終了する。
図20に戻り、ステップ7で以上のように点火操作量Uigを算出した後、ステップ8に進み、吸気操作量Uarを算出する。この算出処理は、具体的には、図24に示すように実行される。
同図に示すように、まず、ステップ70で、切換関数σneに応じて、前述した図14のマップを検索することにより、到達則ゲインKrch_arを算出する。ステップ70に続くステップ71では、前述した式(21)により、到達則入力Urch_arを算出する。
次いで、ステップ72に進み、切換関数σneに応じて、前述した図15のマップを検索することにより、適応則ゲインKadp_arを算出する。ステップ72に続くステップ73では、前述した式(22)により、適応則入力Uadp_arを算出する。
次に、ステップ74に進み、目標回転数のフィルタ値NE_cmd_fに応じて、前述した図17のマップを検索することにより、マップ値Umap_arを算出する。次いで、ステップ75で、前述した式(23)により、吸気操作量Uarを算出した後、本処理を終了する。
図20に戻り、ステップ8で以上のように吸気操作量Uarを算出した後、ステップ9に進み、点火操作量Uigを点火時期Ig_logとして設定する。その後、ステップ10に進み、吸気操作量Uarを目標吸気開角Liftin_cmdとして設定する。
次に、ステップ11で、吸気制御入力Uliftinを、吸気開角Liftinおよび目標吸気開角Liftin_cmdに応じて、以下の式(15)〜(30)の目標値フィルタ型2自由度スライディングモード制御アルゴリズムにより算出する。
Figure 2007247476
Figure 2007247476
Figure 2007247476
これらの式(15)〜(30)において、Liftin_cmd_fは目標吸気開角Liftin_cmdのフィルタ値を、σliは切換関数を、Eliは追従誤差を、Ueq_liは等価制御入力を、Urch_liは到達則入力を、Krch_liは到達則入力ゲインを、Uadp_liは適応則入力を、Kadp_liは適応則入力ゲインをそれぞれ表している。また、POLE_f''は、−1<POLE''_f<0の関係が成立するように設定される目標値応答指定パラメータであり、POLE''は、−1<POLE''<0が成立するように設定される切換関数設定パラメータである。さらに、a1'',a2'',b1'',b2''は、バルブリフトLiftinと吸気制御入力Uliftinとの動特性を定義したモデル(図示せず)のモデルパラメータを表している。
以上のように、アイドル回転数制御用の点火時期Ig_logおよび吸気制御入力Uliftinが算出されることにより、点火時期Ig_logに応じたタイミングで、点火プラグ13を介して点火時期制御が実行されるとともに、吸気可変動弁機構4を介して、吸気制御入力Uliftinに応じた吸気開角Liftinになるように吸気弁4aが駆動される。それにより、吸気開角Liftinが目標吸気開角Liftinに収束するように制御され、吸入空気量Gcylが制御される。
ステップ11に続くステップ12では、1回目噴射量Tcyl1および2回目噴射量Tcyl2が算出される。この算出処理は、具体的には、図25に示すように実行される。
同図に示すように、まず、ステップ80で、エアフローセンサ22の検出信号およびエンジン回転数NEなどに基づき、吸入空気量Gcylを算出する。次いで、ステップ81に進み、換算係数Fafと吸入空気量Gcylの積Faf・Gcylを、燃料換算値Gfuelとして設定する。この換算係数Fafは、吸入空気量Gcylを燃料量に換算するための値であり、図示しない算出処理において、混合気の空燃比の目標値となる目標空燃比などを反映した値として算出される。
ステップ81に続くステップ82では、1回目噴射率Rinjと燃料換算値Gfuelの積Rinj・Gfuelを、1回目燃料換算値Gfuel1として設定する。次いで、ステップ83に進み、1回目燃料換算値Gfuel1に応じて、図示しないマップを検索することにより、1回目噴射量Tcyl1を算出する。この場合、1回目噴射量Tcyl1は、燃料噴射弁6のバルブタイミング(開弁および閉弁タイミング)として算出される。
次いで、ステップ84で、値1から1回目噴射率Rinjを減算した値と燃料換算値Gfuelの積(1−Rinj)・Gfuelを、2回目燃料換算値Gfuel2として設定する。ステップ84に続くステップ85では、2回目燃料換算値Gfuel2に応じて、図示しないマップを検索することにより、2回目噴射量Tcyl2を算出する。この場合、2回目噴射量Tcyl2も、1回目噴射量Tcyl1と同様に、燃料噴射弁6のバルブタイミングとして算出される。その後、本処理を終了する。
図20に戻り、ステップ12で以上のように1回目噴射量Tcyl1および2回目噴射量Tcyl2を算出した後、本処理を終了する。
一方、ステップ2の判別結果がNOで、アイドル運転条件が不成立であるときには、ステップ13に進み、目標回転数NE_cmdおよびアクセル開度APに応じて、図26に示すマップを検索することにより、点火時期Ig_logを算出する。同図において、AP1〜AP3は、AP1<AP2<AP3の関係が成立する所定のアクセル開度APであり、この点は、以下の説明においても同様である。このマップでは、点火時期Ig_logは、アクセル開度APが大きいほど、遅角側の値に設定されているとともに、高回転域では、エンジン回転数NEが高いほど、遅角側の値に設定されている。これは、エンジン回転数NEまたはエンジン負荷が高いときには、ノッキングが発生しやすくなるので、それを回避すべく、点火時期Ig_logを遅角側に制御する必要があることによる。
次いで、ステップ14で、目標回転数NE_cmdおよびアクセル開度APに応じて、図27に示すマップを検索することにより、目標吸気開角Liftin_cmdを算出する。このマップでは、目標吸気開角Liftin_cmdは、アクセル開度APが大きいほど、またエンジン回転数NEが高いほど、より大きな値に設定されている。これは、エンジン回転数NEまたはエンジン負荷が高いときには、それに応じたエンジントルクTRQを確保すべく、吸気開角Liftinすなわち吸入空気量Gcylを大きな値に制御するためである。
次に、前述したように、ステップ11で吸気制御入力Uliftinを算出し、次いで、ステップ12で、1回目噴射量Tcyl1および2回目噴射量Tcyl2を算出した後、本処理を終了する。
一方、ステップ1の判別結果がNOで、吸気可変動弁機構4および排気可変動弁機構5の少なくとも一方が故障しているときには、ステップ15に進み、点火時期Ig_logを故障時値Ig_fsに設定する。この故障時値Ig_fsは、エンジン回転数NEが所定の故障時目標回転数NE_cmd_fs(例えば1500rpm)となるように、所定のフィードバック制御アルゴリズムにより算出される。
次いで、ステップ16で、吸気制御入力Uliftinを値0に設定した後、本処理を終了する。これにより、吸気弁4aは、吸気可変動弁機構4によって、吸気開角Liftinが最小値になるように駆動される。
以上のように、第1実施形態の制御装置1によれば、エンジントルクTRQの増大要求の発生や、1回目噴射率Rinjの要求値Rinj_STBの算出用マップの切換などに起因して、燃焼モードを均一燃焼モードから成層燃焼モードに切り換える場合、その切換タイミングに同期して、補償値Umusic_igにより、点火操作量Uigすなわち点火時期Ig_logが遅角側に迅速に補正されるので、成層燃焼モードへの切換に伴うエンジントルクTRQの増大すなわちエンジン回転数NEの上昇を相殺することができる。
また、成層燃焼モードへの切換以降、補償目標値の増大側用値DNE_mod_pが、式(3)に示す忘却係数λpを用いた忘却演算処理により算出されるので、演算処理の進行に伴い、補償値Umusic_igが値0に向かって変化し、点火操作量Uigすなわち点火時期Ig_logが進角側に徐々に変化する。それにより、点火時期Ig_logが補償値Umusic_igによって遅角側に補正された状態に長時間保持されることがなくなることで、燃費を向上させることができる。
さらに、点火時期Ig_logが進角側に徐々に変化するのに起因して、エンジン回転数NEが上昇しようとすると、前述したように、協調フィードバックコントローラ50の式(23)により、吸気操作量Uarすなわち目標吸気開角Liftin_cmdが緩やかに減少するように算出されるので、吸入空気量Gcylが緩やかに減少側に制御される。その結果、成層燃焼モードへの切換以降、点火時期Ig_logの進角側への変化に伴うエンジン回転数NEの上昇を抑制することができる。すなわち、吸気操作量Uarにより、補償値Umusic_igの影響を打ち消すように、吸入空気量Gcylを制御することができる。
一方、エンジントルクTRQの減少要求の発生や、1回目噴射率Rinjの要求値Rinj_STBの算出用マップの切換などに起因して、燃焼モードを成層燃焼モードから均一燃焼モードに切り換える場合、減少要求の発生タイミングや算出用マップの切換タイミングでは、均一燃焼モードへの切換が行われず、それ以降の、補償値Umusic_igの絶対値がトルクダウンを補償可能な値まで遅角側に変化したタイミングで、均一燃焼モードへの切換が実行されるとともに、補償値Umusic_igも値0まで進角側に迅速に変更される。それにより、補償値Umusic_igによって、均一燃焼モードへの切換に伴うエンジントルクTRQの減少、すなわちエンジン回転数NEの低下を相殺することができる。
また、燃焼モードの切換待機中、補償値Umusic_igの遅角側への変化によって、エンジン回転数NEが低下しようとすると、前述したように、協調フィードバックコントローラ50の式(23)により、吸気操作量Uarすなわち目標吸気開角Liftin_cmdが緩やかに増大するように算出され、吸入空気量Gcylが増大側に緩やかに制御される。それにより、エンジン回転数NEの低下を打ち消すことができる。
さらに、点火操作量Uigおよび吸気操作量Uarがそれぞれ、目標値フィルタ型2自由度スライディングモード制御アルゴリズムを適用した制御アルゴリズムにより、切換関数σneおよび目標回転数のフィルタ値NE_cmd_fを共用しながら算出されるので、これらの操作量Uig,Uarが互いに干渉し合うのを回避しながら、エンジン回転数NEを目標回転数NE_cmdに適切に収束させることができる。
なお、第1実施形態は、補正値としての補償値Umusic_igを加算項として算出した例であるが、本願発明の第1操作量を補正するための補正値はこれに限らず、燃焼モードの切り換えに伴う制御量の変化を相殺するように、第1操作量を補正するものであればよい。例えば、補正値として、点火操作量Uigに乗算される値を用いてもよい。
また、第1実施形態は、本願発明の制御装置を、混合気の燃焼モードを2つの燃焼モード(すなわち成層燃焼モードと均一燃焼モード)に切り換えて運転される内燃機関に適用した例であるが、本願発明の制御装置はこれに限らず、混合気の燃焼モードを3つ以上の燃焼モードに切り換えて運転される内燃機関に適用してもよい。例えば、本願発明の制御装置を、混合気の燃焼モードが、圧縮着火燃焼モードと均一燃焼モードと成層燃焼モードとの間で切り換えて運転される内燃機関や、2サイクルモードと4サイクルモードとの間切り換えて運転される内燃機関に適用してもよい。
さらに、第1実施形態は、本願発明の制御装置を、混合気の燃焼モードを成層燃焼モードおよび均一燃焼モードに切り換えて運転される内燃機関に適用した例であるが、本願発明の制御装置はこれに限らず、複数の燃焼モードの間で切り換えて運転される内燃機関に適用可能である。例えば、圧縮着火燃焼モードと均一燃焼モードとに切り換えて運転される内燃機関に適用してもよい。
一方、第1実施形態は、本願発明の制御装置を車両用の内燃機関に適用した例であるが、本願発明の制御装置はこれに限らず、船舶用や発電用の内燃機関などの様々な内燃機関に適用可能である。
また、第1実施形態は、第2操作量に相当する吸気操作量Uarを目標吸気開角Liftin_cmdとして算出した例であるが、吸気操作量Uarを吸気制御入力Uliftinとして算出し、そのように算出した吸気制御入力Uliftinにより、吸気可変動弁機構4を制御するように構成してもよい。また、吸気弁のバルブタイミングを自在に変更する機構として、吸気弁のリフト(最大揚程)を自在に変更する可変バルブリフト機構や、吸気カムのクランクシャフトに対する位相を自在に変更する可変カム位相機構を用いる場合には、吸気操作量Uarを、これらの機構を制御するための制御入力または値として算出してもよい。すなわち、吸気操作量Uarは、吸入空気量Gcylを変更可能に算出される値であればよい。
さらに、第1実施形態は、燃焼モードの切換によりトルクダウンが発生する場合において、待機フラグF_Rinj_Waitが「1」から「0」に切り換わったタイミングで、補償値Umusic_igを瞬時に値0に変化するように算出した例であるが、トルクダウンに伴う回転変動を抑制可能であれば、補償値Umusic_igを第1実施形態よりも緩やかに値0に変化するように算出してもよい。
次に、図28を参照しながら、本願発明の第2実施形態に係る内燃機関の制御装置1Aについて説明する。この制御装置1Aは、第1実施形態の制御装置1と比べると、アイドル回転数コントローラ30に代えて、同図に示すPmiコントローラ130を備えている点のみが異なり、それ以外は第1実施形態の制御装置1と同様に構成されているので、以下、このPmiコントローラ130について説明する。
このPmiコントローラ130は、以下に述べるように、図示平均有効圧Pmiを制御するものであり、具体的にはECU2により構成されている。この場合、図示平均有効圧Pmiは、エンジントルクTRQに実質的に相当するものであるので、図示平均有効圧Pmiを制御することは、エンジントルクTRQを制御することに相当する。なお、本実施形態では、図示平均有効圧Pmiが発生トルクを表す制御量に相当する。
このPmiコントローラ130では、以下に述べる制御アルゴリズムにより、1回目噴射率Rinj、点火操作量Uig’および吸気操作量Uar’が算出され、これらの3つの値Rinj,Uig’,Uar’を制御対象としてのエンジン3に入力することにより、エンジン3の運転中、制御量としての図示平均有効圧Pmiが、急激な変動状態を示すことなく(言い換えれば急激なトルク変動が発生することなく)、後述する目標圧Pmi_cmdに収束するようにフィードバック制御される。この場合、点火操作量Uig’は、点火時期Ig_logであり、吸気操作量Uar’は、前述した目標吸気開角Liftin_cmdである。なお、本実施形態では、Pmiコントローラ130が第1操作量算出手段および第2操作量算出手段に相当し、点火操作量Uig’が第1操作量に相当し、吸気操作量Uar’が第2操作量に相当する。
Pmiコントローラ130は、図28に示すように、目標値算出部131、分割噴射コントローラ140、協調フィードバックコントローラ150、協調ゲインスケジューラ180およびマップ値算出部190を備えている。
この目標値算出部131では、エンジン3の運転状態を表す運転状態パラメータ(例えばエンジン回転数NEおよびアクセル開度AP)に応じて、図示しないマップを検索することにより、目標圧Pmi_cmdが算出される。なお、本実施形態では、目標値算出部131が目標制御量算出手段に相当し、目標圧Pmi_cmdが目標制御量に相当する。
また、分割噴射コントローラ140では、後述するように、エンジン回転数NEおよび目標圧Pmi_cmdに応じて、補償値Umusic_ig’および1回目噴射率Rinjが算出される。なお、本実施形態では、分割噴射コントローラ140が補正値算出手段および遅延手段に相当し、補償値Umusic_ig’が補正値に相当する。
さらに、協調フィードバックコントローラ150では、後述するように、目標圧Pmi_cmd、図示平均有効圧Pmi、補償値Umusic_ig’、2つのマップ値Umap_ig’,Umap_ar’および4つのゲインKrch_ig’,Kadp_ig’,Krch_ar’,Kadp_ar’に応じて、点火操作量Uig’および吸気操作量Uar’が算出される。なお、本実施形態では、協調フィードバックコントローラ150が第1基本操作量算出手段および修正手段に相当する。
一方、協調ゲインスケジューラ180では、後述するように、協調フィードバックコントローラ150で算出された切換関数σpmiに応じて、4つのゲインKrch_ig’,Kadp_ig’,Krch_ar’,Kadp_ar’が算出される。
また、マップ値算出部190では、後述するように、エンジン回転数NEおよび協調フィードバックコントローラ150で算出された目標圧のフィルタ値Pmi_cmd_fに応じて、2つのマップ値Umap_ig’,Umap_ar’が算出される。なお、本実施形態では、マップ値算出部190が第1基本操作量算出手段に相当する。
次に、前述した分割噴射コントローラ140について説明する。この分割噴射コントローラ140では、以下に述べるように、エンジン回転数NEおよび目標圧Pmi_cmdに応じて、補償値Umusic_ig’および1回目噴射率Rinjが算出される。この補償値Umusic_ig’は、エンジン3の運転中の急激なトルク変動を点火時期制御で補償するためのフィードフォワード項に相当する値であり、そのため、後述する点火時期コントローラ60での点火操作量Uig’の算出において、加算項として用いられる。
分割噴射コントローラ140は、図29に示すように、Rinj_STB算出部141、DPmi算出部142、フィードフォワードコントローラ143および動的補償器144を備えている。
このRinj_STB算出部141では、エンジン回転数NEおよび目標圧Pmi_cmdに応じて、図30に示すマップを検索することにより、1回目噴射率Rinjの要求値Rinj_STBが算出される。同図において、Rinj3,4は、Rinj3<Rinj4およびRinj4=Rinj_lmtが成立するような1回目噴射率Rinjの所定値である。
同図に示すように、高回転域では、要求値Rinj_STBは、値1.0に設定されている。これは、高回転域では、1燃焼サイクルの時間が短くなり、2回目噴射量Tcyl2の噴射時間を確保できなくなるので、単噴射モードを選択するためである。また、このマップでは、目標圧Pmi_cmdおよびエンジン回転数NEが低い領域、すなわち低負荷・低回転域では、要求値Rinj_STBは、所定値値Rinj2に設定されている。これは、混合気の弱い成層化を図ることで、熱効率を向上させ、燃費を向上させるためである。さらに、高負荷・低回転域では、要求値Rinj_STBは、所定値値Rinj3に設定されている。これは、燃料冷却による充填効率の向上と、混合気の弱い成層化を図ることで、ノックを抑制し、エンジントルクTRQの向上を図るためである。
次に、DPmi算出部142では、1回目噴射率Rinjの要求値Rinj_STBおよび目標圧Pmi_cmdに応じて、変動予測値DPmiが算出される。この変動予測値DPmiは、エンジン3の運転中に1回目噴射率Rinjを変更したときの図示平均有効圧Pmiの変動量を予測したものであり、具体的には、以下に述べる手法により算出される。
まず、1回目噴射率Rinjの要求値Rinj_STBおよび目標圧Pmi_cmdに応じて、図31および図32に示すマップを検索することにより、マップ値DPmi_mapを算出する。図31および図32はそれぞれ、エンジン回転数NEが所定の低回転域にあるときまたは中回転域にあるときにマップ値DPmi_mapの算出に用いられる、低回転域用および中回転域用のマップである。これらのマップは、目標圧Pmi_cmdと1回目噴射率Rinjの要求値Rinj_STBとの関係、すなわち制御量としての図示平均有効圧Pmiと、成層燃焼モードおよび均一燃焼モードとの関係を表す応答曲面モデルに相当するものである。また、エンジン回転数NEが高回転域にあるときには、分割噴射モードを実行しないため、高回転域用のマップは設定されていない。
両図におけるRinj2は、前述した所定値Rinj3に対して、Rinj2<Rinj3が成立する1回目噴射率Rinjの所定値である。これらのマップでは、Rinj_STB<Rinj2の範囲用の目標圧Pmi_cmdの曲線が設定されていない。これは、Rinj_STB<Rinj2の範囲では、エンジン3の燃焼状態が不安定になるので、それを回避するためである。また、前述した燃料噴射弁6の特性に起因して、Rinj4<Rinj_STB<1.0の範囲用の目標圧Pmi_cmdの曲線も設定されていない。
次いで、下式(31)により、変動予測値DPmiを算出する。
Figure 2007247476
また、前述したフィードフォワードコントローラ143では、以下に述べる手法により、1回目噴射率Rinjおよび補償目標値DPmi_modが算出される。この補償目標値DPmi_modは、補償値Umusic_ig’によって補償すべき図示平均有効圧Pmiの変動量に相当する値である。
まず、変動方向フラグF_DPmi_dirの値が以下のように設定される。この変動方向フラグF_DPmi_dirは、1回目噴射率Rinjを変更したときに、図示平均有効圧Pmiが増大側に変化すると予想されるか否かを表すものである。具体的には、下記の条件(h1)が成立しているとき、または条件(h2),(h3)がいずれも成立しているときには、1回目噴射率Rinjの変更時、図示平均有効圧Pmiが増大側に変化すると予想されるので、それを表すために変動方向フラグF_DPmi_dirが「1」に設定される。
(h1)DPmi>DPmi_PSTEP
(h2)DPmi_NSTEP≦DPmi≦DPmi_PSTEP
(h3)F_DPmi_dir(k−1)=1
ここで、条件(h1),(h2)のDPmi_PSTEPは、1回目噴射率Rinjの変更時、図示平均有効圧Pmiが増大側に変化するか否かを判定するための増大側しきい値であり、正の所定値(例えば50kpa)に設定される。また、条件(h2)のDPmi_NSTEPは、1回目噴射率Rinjを変更したときに、図示平均有効圧Pmiが減少側に変化するか否かを判定するための減少側しきい値であり、負の所定値(例えば−50kpa)に設定される。
一方、下記の条件(h4)が成立しているとき、または条件(h5),(h6)がいずれも成立しているときには、1回目噴射率Rinjの変更時、図示平均有効圧Pmiが増大側に変化しないと予想されるので、それを表すために変動方向フラグF_DPmi_dirが「0」に設定される。
(h4)DPmi<DPmi_NSTEP
(h5)DPmi_NSTEP≦DPmi≦DPmi_PSTEP
(h6)F_DPmi_dir(k−1)=0
そして、変動方向フラグF_DPmi_dirが「1」に設定されたときには、下式(32),(33)により、1回目噴射率Rinjおよび補償目標値の増大側用値DPmi_mod_pが算出される。
Figure 2007247476
上式(33)のλp’は、0<λp’<1が成立するように設定される忘却係数である。同式(33)に示すように、忘却係数λp’が増大側用値の前回値DPmi_mod_p(k−1)に乗算されているとともに、1回目噴射率Rinjの変更後は変動予測値DPmiが値0になることにより、演算処理の進行に伴い、増大側用値DPmi_mod_pが値0に収束するようになる。それにより、増大側用値DPmi_mod_pを用いて算出される補償値Umusic_ig’も値0に収束するようになることで、点火操作量Uigが補償値Umusic_ig’によって遅角側の値に補正された状態から、無補正の状態に変化することになる。
次いで、下式(34)により、補償目標値DPmi_modが算出される。
Figure 2007247476
一方、変動方向フラグF_DPmi_dirが「0」に設定されたときには、変動予測値DPmiと減少側しきい値DPmi_NSTEPとの比較結果に基づき、以下に述べるように、変動予測値の減少側用値DPmi_n_in、1回目噴射率Rinjおよび補償目標値の減少側用値DPmi_mod_nを算出するとともに、待機フラグF_Rinj_Waitの値を設定する。
まず、変動予測値の減少側用値DPmi_n_inの算出手法について説明する。この変動予測値の減少側用値DPmi_n_inは、後述するように、補償目標値の減少側用値DPmi_mod_nの算出に用いられるものであり、DPmi<DPmi_NSTEPが成立しているときには、下式(35)により算出される。
Figure 2007247476
一方、DPmi_NSTEP≦DPmi≦DPmi_PSTEPが成立しているときには、変動予測値の減少側用値DPmi_n_inは、下式(36)により算出される。
Figure 2007247476
次に、待機フラグF_Rinj_Waitの設定手法について説明する。この待機フラグF_Rinj_Waitは、1回目噴射率Rinjを変更すると、エンジントルクTRQ(すなわち図示平均有効圧Pmi)が減少側に変化すると予想される場合において、1回目噴射率Rinjの変更を、点火時期Ig_logの変更によるエンジントルクTRQの低減が終了するまで待機するか否かを判定するためのものであり、以下に述べるように設定される。
まず、下記の条件(j1)〜(j3)がいずれも成立しているとき、または条件(j4)が成立しているときには、待機フラグF_Rinj_Waitが「1」に設定される。この条件(j3)のDPmi_NWAITは、1回目噴射率Rinjの変更待機の要・不要を判定するためのしきい値であり、負の所定値(例えば−10kPa)に設定されている。
(j1)DPmi_NSTEP≦DPmi(k)≦DPmi_PSTEP
(j2)F_Rinj_Wait(k−1)=1
(j3)DPmi_mod_n(k−1)≧DPmi_NWAIT
(j4)DPmi<DPmi_NSTEP
一方、下記の条件(j5)〜(j7)がいずれも成立しているとき、または、条件(j8),(j9)がいずれも成立しているときには、待機フラグF_Rinj_Waitが「0」に設定される。
(j5)DPmi_NSTEP≦DPmi(k)≦DPmi_PSTEP
(j6)F_Rinj_Wait(k−1)=1
(j7)DPmi_mod_n(k−1)<DPmi_NWAIT
(j8)DPmi_NSTEP≦DPmi(k)≦DPmi_PSTEP
(j9)F_Rinj_Wait(k−1)=0
次いで、1回目噴射率Rinjおよび補償目標値の減少側用値DPmi_mod_nの算出手法について説明する。まず、F_Rinj_Wait=1のときには、これらの値Rinj,DPmi_mod_nは、下式(37),(38)により算出される。下式(38)のλn’は、0<λn’<1が成立するように遅れ係数である。すなわち、補償目標値の減少側用値DPmi_mod_nは、1次遅れフィルタ処理が施された値として算出される。
Figure 2007247476
一方、F_Rinj_Wait=0のときには、下式(39),(40)により、1回目噴射率Rinjおよび補償目標値の減少側用値DPmi_mod_nが算出される。
Figure 2007247476
そして、最終的に、下式(41)により、補償目標値DPmi_modが算出される。
Figure 2007247476
また、前述した動的補償器144では、下式(42)により、補償値Umusic_ig’が算出される。なお、下式(42)のa1’,b1’は後述する動特性モデルのモデルパラメータである。
Figure 2007247476
上記式(42)は以下のように導出される。まず、補償値Umusic_ig’を入力とし、変動予測値DPmiを出力とする系の動特性モデルは、下式(43)のように定義できる。すなわち、この式(43)は、補償値Umusic_ig’と、制御量としての図示平均有効圧Pmiとの関係を表す動特性モデルに相当する。また、この式(43)の逆伝達関数は、下式(44)のようになる。
Figure 2007247476
ここで、補償値Umusic_ig’は、変動予測値DPmiを相殺する(すなわち補償する)ための値であるので、補償目標値DPmi_modを、DPmi(k+1)=−DPmi_mod(k)が成立するように算出すべきである。したがって、DPmi(k+1)=−DPmi_mod(k)を上記式(44)に代入すると、前述した式(42)が導出される。
以上のように、分割噴射コントローラ140では、補償値Umusic_ig’および1回目噴射率Rinjが算出される。
次に、図33を参照しながら、前述した協調フィードバックコントローラ150について説明する。同図に示すように、協調フィードバックコントローラ150は、点火時期コントローラ160および吸入空気量コントローラ170を備えている。
まず、点火時期コントローラ160について説明する。この点火時期コントローラ160は、以下に述べるように、目標値フィルタ型2自由度スライディングモード制御アルゴリズムを適用した制御アルゴリズムにより、点火操作量Uig’(=Ig_log)を算出するものであり、目標値フィルタ161、切換関数算出部162、到達則入力算出部163および適応則入力算出部164および加算要素165で構成されている。
この目標値フィルタ161では、下式(45)に示す一次遅れフィルタアルゴリズムにより、目標圧のフィルタ値Pmi_cmd_fが算出される。同式(45)において、R’は、目標値応答指定パラメータであり、−1<R’<0の範囲内の値に設定される。これにより、フィルタ値Pmi_cmd_fは、目標圧Pmi_cmdに対して、目標値応答指定パラメータR’の値により決定された一次遅れの追従応答性を示す値として算出される。
Figure 2007247476
また、切換関数算出部162では、下式(46),(47)により、切換関数σpmiが算出される。同式(46)において、S’は、切換関数設定パラメータであり、−1<S’<0の範囲内の値に設定される。また、Epmiは、追従誤差であり、式(47)に示すように、図示平均有効圧Pmiと目標圧のフィルタ値Pmi_cmd_fとの偏差として定義される。
Figure 2007247476
また、到達則入力算出部163では、切換関数σpmiと協調ゲインスケジューラ180で設定された到達則ゲインKrch_ig’を用い、下式(48)により、到達則入力Urch_ig’が算出される。
Figure 2007247476
また、適応則入力算出部164では、切換関数σpmiと協調ゲインスケジューラ180で設定された適応則ゲインKadp_ig’を用い、下式(49)により、適応則入力Uadp_ig’が算出される。同式(49)において、λ’は忘却係数であり、0<λ’<1の範囲内の値に設定される。この忘却係数λ’を用いる理由は、第1実施形態の適応則入力Uadp_igの算出で述べた理由と同じである。
Figure 2007247476
さらに、加算要素165では、以上のように算出された到達則入力Urch_ig’および適応則入力Uadp_ig’と、分割噴射コントローラ140で算出された補償値Umusic_ig’と、マップ値算出部190で算出されたマップ値Umap_ig’を用い、下式(50)により、点火操作量Uig’が算出される。
Figure 2007247476
以上のように、点火時期コントローラ160では、式(45)〜(50)の目標値フィルタ型2自由度スライディングモード制御アルゴリズムを適用した制御アルゴリズムにより、点火操作量Uig’が算出される。なお、本実施形態では、値(Urch_ig’+Uadp_ig’+Umap_ig’)が第1基本操作量に相当する。
次に、前述した吸入空気量コントローラ170について説明する。この吸入空気量コントローラ170は、以下に述べるように、目標値フィルタ型2自由度スライディングモード制御アルゴリズムを適用した制御アルゴリズムにより、吸気操作量Uar’(=Liftin_cmd)を算出するものであり、前述した目標値フィルタ161、前述した切換関数算出部162、到達則入力算出部173、適応則入力算出部174および加算要素175で構成されている。すなわち、この吸入空気量コントローラ170では、目標値フィルタ161および切換関数算出部162を点火時期コントローラ160と共用することにより、目標圧のフィルタ値Pmi_cmd_fおよび切換関数σpmiを共用しながら、吸気操作量Uar’が算出される。
具体的には、まず、到達則入力算出部173で、切換関数σpmiと協調ゲインスケジューラ180で設定された到達則ゲインKrch_ar’を用い、下式(51)により、到達則入力Urch_ar’が算出される。
Figure 2007247476
さらに、適応則入力算出部174では、切換関数σpmiと協調ゲインスケジューラ180で設定された適応則ゲインKadp_ar’を用い、下式(52)により、適応則入力Uadp_ar’が算出される。
Figure 2007247476
さらに、加算要素175では、以上のように算出された到達則入力Urch_ar’および適応則入力Uadp_ar’と、マップ値算出部190で算出されたマップ値Umap_ig’を用い、下式(53)により、吸気操作量Uar’が算出される。
Figure 2007247476
吸入空気量コントローラ170では、以上のように、式(45)〜(47),(51)〜(53)に示す、目標値フィルタ型2自由度スライディングモード制御アルゴリズムを適用した制御アルゴリズムにより、吸気操作量Uar’が算出される。
次に、前述した協調ゲインスケジューラ180について説明する。この協調ゲインスケジューラ180では、切換関数σpmiの値に応じて、図34に示す到達則ゲイン算出用のマップおよび図35に示す適応則ゲイン算出用のマップを検索することにより、前述した4つのゲインKrch_ig’,Krch_ar’,Kadp_ig’,Kadp_ar’がそれぞれ算出される。なお、両図34,35におけるσ3,σ4は、σ3<σ4の関係が成立する切換関数σpmiの正の所定値である。
まず、図34の到達則ゲイン算出用のマップを参照すると、このマップでは、到達則ゲインKrch_ig’は、正側および負側の値に対して対称に設定されており、値0付近の−σ3<σpmi<σ3の範囲では、所定の最大値Krch_ig3に設定されているとともに、σpmi<−σ4,σ4<σpmiの範囲では、所定の最小値Krch_ig4に設定されている。また、−σ4≦σpmi≦−σ3,σ3≦σpmi≦σ4の範囲では、σpmiの絶対値が小さくなるほど、より大きな値に設定されている。
また、到達則ゲインKrch_ar’も、切換関数σpmiの正側および負側の値に対して対称に設定されており、値0付近の−σ3<σpmi<σ3の範囲では、所定の最小値Krch_ar4に設定されているとともに、σpmi<−σ4,σ4<σpmiの範囲では、所定の最大値Krch_ar3に設定されている。また、−σ4≦σpmi≦−σ3,σ3≦σpmi≦σ4の範囲では、σpmiの絶対値が小さくなるほど、より小さな値に設定されている。
一方、図35の適応則ゲイン算出用のマップを参照すると、このマップでは、適応則ゲインKadp_ig’は、切換関数σpmiの正側および負側の値に対して対称に設定されており、値0付近の−σ3<σpmi<σ3の範囲では、所定の最大値Kadp_ig3に設定されているとともに、σpmi<−σ4,σ4<σpmiの範囲では、所定の最小値Kadp_ig4に設定されている。また、−σ4≦σpmi≦−σ3,σ3≦σpmi≦σ4の範囲では、σpmiの絶対値が小さくなるほど、より大きな値に設定されている。
また、適応則ゲインKadp_ar’も、切換関数σpmiの正側および負側の値に対して対称に設定されており、値0付近の−σ3<σpmi<σ3の範囲では、所定の最小値Kadp_ar4に設定されているとともに、σpmi<−σ4,σ4<σpmiの範囲では、所定の最大値Kadp_ar3に設定されている。また、−σ4≦σpmi≦−σ3,σ3≦σpmi≦σ4の範囲では、σpmiの絶対値が小さくなるほど、より小さな値に設定されている。
4つのゲインKrch_ig’,Kadp_ig’,Krch_ar’,Kadp_ar’の値が以上のように設定されている理由は、第1実施形態の協調ゲインスケジューラ80の説明で述べた理由と同じである。
次に、前述したマップ値算出部190について説明する。このマップ値算出部190では、以下に述べるように、2つのマップ値Umap_ig’,Umap_ar’が算出される。これらのマップ値Umap_ig’,Umap_ar’はいずれも、図示平均有効圧Pmiを目標圧のフィルタ値Pmi_cmd_fに制御するための(すなわち図示平均有効圧Pmiを目標圧Pmi_cmdに制御するための)フィードフォワード項に相当する値であり、そのため、前述したように、点火操作量Uig’および吸気操作量Uar’の算出において、加算項として用いられる。
まず、マップ値Umap_ig’は、エンジン回転数NEおよび目標圧のフィルタ値Pmi_cmd_fに応じて、図36に示すマップを検索することにより算出される。同図のNE4〜6は、NE4<NE5<NE6が成立するようなエンジン回転数NEの所定値である。
同図に示すように、マップ値Umap_ig’は、目標圧のフィルタ値Pmi_cmd_fが大きい領域では、目標圧のフィルタ値Pmi_cmd_fが大きいほど、遅角側の値に設定されている。これはノッキングの発生を抑制するためである。また、マップ値Umap_ig’は、エンジン回転数NEの低回転域(NE=NE4)では、他の回転域の値と比べて、最も進角側の値に設定されている。これは、低回転域では他の回転域よりもノック余裕が大きいことで、点火時期Ig_logを最も進角側の値に設定可能であることによる。さらに、マップ値Umap_ig’は、中回転域(NE=NE5)では、最も遅角側の値に設定され、高回転域(NE=NE6)では、中回転域よりも進角側の値に設定されている。これは、中回転域では、筒内流動が低いことに起因して、燃焼速度が低下し、それにより、ノック余裕が最も低下するためである。
また、マップ値Umap_ar’は、エンジン回転数NEおよび目標圧のフィルタ値Pmi_cmd_fに応じて、図37に示すマップを検索することにより算出される。同図では、マップ値Umap_ig’は、エンジン回転数NEが高いほど、または目標圧のフィルタ値Pmi_cmd_fが大きいほど、より大きい値に設定されている。これは、エンジン回転数NEが高いほど、または目標圧のフィルタ値Pmi_cmd_fが大きいほど、エンジントルクTRQをより増大させる必要があることで、吸気操作量Uar’をより大きい値に制御し、吸入空気量Gcylを増大させるためである。
以上のように、第2実施形態の制御装置1Aによれば、前述した第1実施形態の制御装置1によるアイドル回転数制御の手法と同様に、図示平均有効圧Pmiを制御することができる。すなわち、エンジン回転数NEの変化などに起因して、燃焼モードを均一燃焼モードから成層燃焼モードに切り換える場合、その切換タイミングに同期して、補償値Umusic_ig’により、点火操作量Uig’すなわち点火時期Ig_logが遅角側に迅速に補正されるので、成層燃焼モードへの切換に伴うエンジントルクTRQの増大すなわち図示平均有効圧Pmiの不要な上昇を相殺することができる。
また、成層燃焼モードへの切換以降、補償目標値の増大側用値Pmi_mod_pが、式(33)に示す忘却係数λp’を用いた忘却演算処理により算出されるので、演算処理の進行に伴い、補償値Umusic_ig’が値0に向かって変化し、点火操作量Uig’すなわち点火時期Ig_logが進角側に徐々に変化する。それにより、点火時期Ig_logが補償値Umusic_ig’によって遅角側に補正された状態に長時間保持されることがなくなることで、燃費を向上させることができる。
さらに、点火時期Ig_logが進角側に徐々に変化するのに起因して、図示平均有効圧Pmiが上昇しようとすると、前述したように、協調フィードバックコントローラ150の式(53)により、吸気操作量Uar’すなわち目標吸気開角Liftin_cmdが緩やかに減少するように算出されるので、吸入空気量Gcylが緩やかに減少側に制御される。その結果、成層燃焼モードへの切換以降、点火時期Ig_logの進角側への変化に伴う図示平均有効圧Pmiの上昇を抑制することができる。すなわち、吸気操作量Uar’により、補償値Umusic_ig’の影響を打ち消すように、吸入空気量Gcylを制御することができる。
一方、エンジン回転数NEの変化などに起因して、燃焼モードを成層燃焼モードから均一燃焼モードに切り換える場合、減少要求が発生したタイミングでは、均一燃焼モードへの切換が行われず、それ以降の、補償値Umusic_ig’の絶対値がトルクダウンを補償可能な値まで遅角側に変化したタイミングで、均一燃焼モードへの切換が実行されるとともに、補償値Umusic_ig’も値0まで進角側に迅速に変更される。それにより、補償値Umusic_ig’によって、均一燃焼モードへの切換に伴うエンジントルクTRQの減少、すなわち図示平均有効圧Pmiの不要な低下を相殺することができる。
また、燃焼モードの切換待機中、補償値Umusic_ig’の遅角側への変化によって、図示平均有効圧Pmiが低下しようとすると、前述したように、協調フィードバックコントローラ150の式(53)により、吸気操作量Uar’すなわち目標吸気開角Liftin_cmdが緩やかに増大するように算出され、吸入空気量Gcylが増大側に緩やかに制御されることによって、図示平均有効圧Pmiの低下を打ち消すことができる。
さらに、点火操作量Uig’および吸気操作量Uar’がそれぞれ、目標値フィルタ型2自由度スライディングモード制御アルゴリズムを適用した制御アルゴリズムにより、切換関数σpmiおよび目標圧のフィルタ値Pmi_cmd_fを共用しながら算出されるので、これらの操作量Uig’,Uar’が互いに干渉し合うのを回避しながら、図示平均有効圧Pmiを目標圧Pmi_cmdに適切に収束させることができる。
なお、第1および第2実施形態はそれぞれ、内燃機関の発生トルクを表す制御量として、アイドル運転中のエンジン回転数NEおよび図示平均有効圧Pmiを用いた例であるが、本願発明の制御量はこれに限らず、内燃機関の発生トルクを表すものであればよい。例えば、第2実施形態の図示平均有効圧Pmiに代えて、正味平均有効圧Pmeを用いてもよい。
また、第1および第2実施形態は、本願発明の制御装置を車両用の内燃機関に適用した例であるが、本願発明の制御装置はこれに限らず、船舶用や発電用の内燃機関などの様々な内燃機関に適用可能である。
本願発明の第1実施形態に係る制御装置を適用した内燃機関の概略構成を示す図である。 第1実施形態の制御装置の概略構成を示すブロック図である。 吸気可変動弁機構および排気可変動弁機構による吸気弁および排気弁の開弁動作を説明するためのバルブリフト曲線である。 1回目噴射率Rinjおよび点火時期Ig_logを変化させたときの内燃機関の発生トルクTRQの測定結果を示す図である。 第1実施形態のアイドル回転数制御の制御手法を説明するための図である。 第1実施形態のアイドル回転数制御において、発生トルクTRQを増大方向に制御するときの制御手法を説明するための図である。 第1実施形態のアイドル回転数制御において、発生トルクTRQを減少方向に制御するときの制御手法を説明するための図である。 アイドル回転数コントローラの構成を示すブロック図である。 目標回転数NE_cmdの算出に用いるマップの一例を示す図である。 分割噴射コントローラの構成を示すブロック図である。 1回目噴射率の要求値Rinj_STBの算出に用いるマップの一例を示す図である。 マップ値DNE_mapの算出に用いるマップの一例を示す図である。 協調フィードバックコントローラの構成を示すブロック図である。 到達則ゲインKrch_ig,Krch_arの算出に用いるマップの一例を示す図である。 適応則ゲインKadp_ig,Kadp_arの算出に用いるマップの一例を示す図である。 マップ値Umap_igの算出に用いるマップの一例を示す図である。 マップ値Umap_arの算出に用いるマップの一例を示す図である。 本実施形態のアイドル回転数制御のシミュレーション結果の一例を示すタイミングチャートである。 比較のために、補償値Umusic_ig=0に保持したときのアイドル回転数制御のシミュレーション結果の一例を示すタイミングチャートである。 アイドル回転数制御処理を含む各種の制御処理を示すフローチャートである。 1回目噴射率Rinjおよび補償値Umusic_igの算出処理を示すフローチャートである。 1回目噴射率Rinjおよび補償目標値DNE_modの算出処理を示すフローチャートである。 点火操作量Uigの算出処理を示すフローチャートである。 吸気操作量Uarの算出処理を示すフローチャートである。 1回目噴射量Tcyl1および2回目噴射量Tcyl2の算出処理を示すフローチャートである。 点火時期Ig_logの算出に用いるマップの一例を示す図である。 目標吸気開角Liftin_cmdの算出に用いるマップの一例を示す図である。 本願発明の第2実施形態に係る制御装置のPmiコントローラの概略構成を示すブロック図である。 第2実施形態の分割噴射コントローラの概略構成を示すブロック図である。 1回目噴射率の要求値Rinj_STBの算出に用いるマップの一例を示す図である。 マップ値DPmi_mapの算出に用いる低回転域用のマップの一例を示す図である。 マップ値DPmi_mapの算出に用いる中回転域用のマップの一例を示す図である。 第2実施形態の協調フィードバックコントローラの概略構成を示すブロック図である。 到達則ゲインKrch_ig’,Krch_ar’の算出に用いるマップの一例を示す図である。 適応則ゲインKadp_ig’,Kadp_ar’の算出に用いるマップの一例を示す図である。 マップ値Umap_ig’の算出に用いるマップの一例を示す図である。 マップ値Umap_ar’の算出に用いるマップの一例を示す図である。
符号の説明
1,1A 制御装置
2 ECU(第1操作量算出手段、第2操作量算出手段、第1基本操作量算出手段
、補正値算出手段、遅延手段、目標制御量算出手段、修正手段)
3 内燃機関
30 アイドル回転数コントローラ(第1操作量算出手段、第2操作量算出手段)
31 目標値算出部(目標制御量算出手段)
40 分割噴射コントローラ(補正値算出手段、遅延手段)
50 協調フィードバックコントローラ(第1基本操作量算出手段、修正手段)
90 マップ値算出部(第1基本操作量算出手段)
130 Pmiコントローラ(第1操作量算出手段、第2操作量算出手段)
131 目標値算出部(目標制御量算出手段)
140 分割噴射コントローラ(補正値算出手段、遅延手段)
150 協調フィードバックコントローラ(第1基本操作量算出手段、修正手段)
190 マップ値算出部(第1基本操作量算出手段)
NE エンジン回転数(制御量)
NE_cmd 目標回転数(目標制御量)
Uig 点火操作量(第1操作量)
Urch_ig 到達則入力(第1基本操作量の成分)
Uadp_ig 適応則入力(第1基本操作量の成分)
Umap_ig マップ値(第1基本操作量の成分)
Umusic_ig 補償値(補正値)
Uar 吸気操作量(第2操作量)
Pmi 図示平均有効圧(制御量)
Pmi_cmd 目標圧(目標制御量)
Uig’ 点火操作量(第1操作量)
Urch_ig’ 到達則入力(第1基本操作量の成分)
Uadp_ig’ 適応則入力(第1基本操作量の成分)
Umap_ig’ マップ値(第1基本操作量の成分)
Umusic_ig’ 補償値(補正値)
Uar’ 吸気操作量(第2操作量)

Claims (7)

  1. 発生トルクを表す制御量が同一の運転条件下において互いに異なる複数の燃焼モードを有し、所定の切換条件が成立したときに、当該燃焼モードを当該複数の燃焼モードの間で切り換えて運転される内燃機関の制御装置であって、
    前記制御量を変更するための第1操作量を、前記所定の切換条件が成立したときに、前記燃焼モードの切換に伴う前記制御量の変化を相殺するように算出する第1操作量算出手段と、
    1燃焼サイクルにおける前記制御量の変更可能な幅が前記第1操作量よりも小さい、前記制御量を変更するための第2操作量を、前記所定の切換条件が成立したときに、前記第1操作量による前記制御量の変化を打ち消すように算出する第2操作量算出手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記第1操作量算出手段は、
    所定の制御アルゴリズムにより第1基本操作量を算出する第1基本操作量算出手段と、 前記燃焼モードの切換に伴う前記制御量の変化を相殺するための補正値を、所定の忘却処理を施しながら算出する補正値算出手段とを有し、
    前記第1基本操作量を前記補正値で補正することにより、前記第1操作量を算出することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 発生トルクを表す制御量が同一の運転条件下において互いに異なる複数の燃焼モードを有し、所定の切換条件が成立したときに、当該燃焼モードを当該複数の燃焼モードの間で切り換えて運転される内燃機関の制御装置であって、
    前記所定の切換条件が成立した場合において、所定の遅延条件が成立しているときに、前記燃焼モードの切換を遅延させる遅延手段と、
    前記制御量を変更するための第1操作量を、前記燃焼モードの切換の遅延中、前記燃焼モードの切換に伴う前記制御量の変化を相殺する方向とは逆方向に変化するように算出するとともに、前記燃焼モードの切換の遅延が終了したときに、前記前記燃焼モードの切換に伴う前記制御量の変化を相殺する方向に変化するように算出する第1操作量算出手段と、
    1燃焼サイクルにおける前記制御量の変更可能な幅が前記第1操作量よりも小さい、前記制御量を変更するための第2操作量を、前記遅延手段による前記燃焼モードの切換の遅延中、前記第1操作量による前記制御量の変化を打ち消すように算出する第2操作量算出手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  4. 前記第1操作量算出手段は、
    所定の制御アルゴリズムにより第1基本操作量を算出する第1基本操作量算出手段と、 前記燃焼モードの切換に伴う前記制御量の変化を相殺するための補正値を算出する補正値算出手段とを有し、当該補正値で前記第1基本操作量を補正することにより前記第1操作量を算出し、
    前記補正値算出手段は、前記燃焼モードの切換の遅延中、前記補正値を、所定の応答指定型のフィルタ処理を施しながら、当該補正値による前記第1基本操作量の補正方向が、前記燃焼モードの切換に伴う前記制御量の変化を相殺する方向とは逆方向になるように算出するとともに、前記燃焼モードの切換の遅延が終了したときに、当該補正値による前記第1基本操作量の補正方向が、前記燃焼モードの切換に伴う前記制御量の変化を相殺する方向になるように算出することを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記第1操作量算出手段は、前記第1操作量を、前記複数の燃焼モードと前記制御量との関係を表すモデルを用いて算出することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
  6. 前記補正値算出手段は、前記補正値を、当該補正値と前記制御量との関係を表す動特性モデルに基づいて算出することを特徴とする請求項2または4に記載の内燃機関の制御装置。
  7. 前記制御量の目標となる目標制御量を算出する目標制御量算出手段と、
    所定のフィードバック制御アルゴリズムにより、前記制御量が前記目標制御量になるように、前記第1操作量および第2操作量を修正する修正手段と、
    をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
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