JP5601252B2 - エンジンの制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンの吸気量を制御する制御装置に関する。
車両に搭載されたエンジンの制御手法の一つとして、エンジンに要求されるトルクの大きさを基準として吸入空気量や燃料噴射量,点火時期等を制御するトルクベース(トルクディマンド)制御が知られている。トルクベース制御では、例えばアクセル開度やエンジン回転数等に基づいてエンジントルクの目標値が演算され、この目標トルクが得られるようにエンジンが制御される。自動変速機やオートクルーズ装置,車両安定装置といった外部制御システムを搭載した車両では、各外部制御システムからエンジンへの出力要求がトルク値に換算されてエンジン制御装置(エンジンECU)内で一元化され、エンジンのトルク挙動が包括的に制御される。
ところで、エンジンの馬力(仕事率)は、エンジンから出力されるトルクとその時のエンジン回転数との積で表現される。したがって、エンジンの目標トルクを一定の等トルクとした場合、エンジンの馬力の変化はエンジン回転数の変化に応じたものとなる。また、たとえエンジンの馬力及び目標トルクが一定であったとしても、外部負荷によってエンジンから出力されるエネルギーが消費されると、これに伴ってエンジン回転数が低下する。このように、トルクベース制御における目標トルクの値は、エンジンの耐エンスト性やエンジン回転収束性に多大な影響を与え、車両の運転状態に応じて適切に設定することが望まれる。
典型的な目標トルクの設定に関する車両の運転状態は、無負荷状態と負荷状態とに大別される。無負荷状態とはいわゆるアイドル状態であり、例えば停車時にエンジンを一定のアイドル回転数で駆動している状態に対応する。また、負荷状態とはエンジンに何らかの負荷抵抗が作用した状態であり、例えば運転者のアクセル操作に応じてエンジンを駆動している状態や走行状態等に対応する。なお、エアコン装置,操舵補助装置等の外部負荷やエンジン自身の摩擦による負荷等を考慮すれば、厳密にはアイドル状態が無負荷であるとはいえないが、ここでは運転者のアクセル要求を基準として無負荷状態と負荷状態とを区別することとする。
車両のエンジン回転数を一定のアイドル回転数に制御したい無負荷状態時には、アイドル回転数を維持するために必要な大きさのトルクが目標トルクとして設定され、エンジンが制御される。一方、運転者のアクセル操作がなされた負荷状態時には、アクセル操作量や外部負荷に応じた加速度を得るためのトルクが目標トルクとして設定され、エンジンが制御される(例えば、特許文献1参照)。なお、負荷状態時のエンジンはアイドル回転数よりも高い回転数で駆動される。これらの二種類の目標トルクは、エンジン回転数やアクセル操作量,外部制御システムからの出力要求(外部負荷)等の条件に基づいて自動的に切り換えられる。
特開2005−226480号公報
しかしながら、このような複数の目標トルクの演算手法を併用したトルクベース制御では、目標トルクの切り換えの前後で車両の運転状態にそぐわない大きさの目標トルクが設定される場合がある。例えば、負荷状態の車両がアクセルオフで減速しアイドル状態へと移行する場合を想定すると、アイドル状態に移行する前に設定される目標トルクが、移行後に設定されるべき目標トルクを下回ることがある。この場合、移行の前後で出力トルクが変動し、エンジン回転数の挙動が不安定となる。
また、エンジンの吸気量制御では、特許文献1に記載の通り、スロットルバルブの開度を変更するアクチュエータの応答遅れや開度変更に対する空気の応答遅れが発生する。したがって、たとえアイドル状態の移行前の目標トルクが移行後の目標トルク未満にならないように制御した場合であっても、吸気遅れによって実際の出力トルクが移行後の目標トルク未満になる可能性がある。
このように、従来のトルクベース制御の吸気量制御では、車両の無負荷状態と負荷状態との間の移行時における目標トルクの適切な設定が難しく、エンジンの耐エンスト性やエンジン回転収束性を向上させることが難しいという課題がある。
本件の目的の一つは、上記のような課題に鑑み創案されたもので、目標トルクの好適な設定により吸気量を制御し、エンジンの耐エンスト性やエンジン回転収束性を向上させることである。
なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的として位置づけることができる。
(1)ここで開示するエンジンの制御装置は、無負荷状態でのエンジンの目標回転数を演算する目標回転数演算手段と、前記エンジンの前記目標回転数での無負荷損失に相当する無負荷損失トルクを演算する無負荷損失トルク演算手段とを備える。
また、前記エンジンの実回転数に基づき、前記目標回転数で前記無負荷損失トルクを出力する状態と等馬力相当の第一目標トルクを負荷状態或いは無負荷状態にかかわらず演算する第一トルク演算手段と、少なくとも無負荷状態への移行時又は無負荷状態時に前記第一目標トルクを参酌して前記エンジンに導入される吸気量を制御する吸気量制御手段とを備える。
例えば、吸気量制御手段が、前記第一目標トルクに基づいて前記エンジンに導入される吸気量を制御する。あるいは、前記第一目標トルクを前提として前記エンジンに導入される吸気量を演算し、これを制御する。
(2)また、前記エンジンに要求される要求トルクに基づき、前記エンジンの吸気遅れを模擬した模擬吸気量に対応する第二目標トルクを演算する第二トルク演算手段を備え、前記吸気量制御手段が、前記第一目標トルク及び前記第二目標トルクに基づき前記エンジンに導入される吸気量を制御することが好ましい。
(3)また、前記吸気量制御手段が、前記第一目標トルク及び前記第二目標トルクのうちの大きい一方に基づき前記吸気量を制御することが好ましい。
(4)また、前記吸気量制御手段が、前記第二目標トルクよりも前記第一目標トルクが大きい場合に前記吸気量の時間変化量を増大させることが好ましい。
(5)また、前記目標回転数演算手段が、前記エンジンの油温に基づいて前記目標回転数を演算することが好ましい。
なお、前記目標回転数演算手段が、前記エンジンの油温に代えて、又は加えて、補機の作動状態に基づいて前記目標回転数を演算する構成としてもよい。
(6)また、前記第一トルク演算手段が、前記エンジンの実回転数に対する前記目標回転数の比である回転速度比を演算する回転速度比演算手段と、前記無負荷損失トルクと前記回転速度比との積に基づき前記第一目標トルクを演算する第一目標トルク演算手段と、を有することが好ましい。
(7)また、前記第一トルク演算手段が、前記目標回転数での補機負荷に相当する補機負荷トルクを演算する補機負荷トルク演算手段を有し、前記第一目標トルク演算手段が、前記無負荷損失トルク及び前記補機負荷トルクの和と前記回転速度比との積に基づき前記第一目標トルクを演算することが好ましい。
(8)また、特にエンジン回転の収束性を優先するときは、前記第一目標トルク演算手段が、前記積から所定トルクを減じた値を前記第一目標トルクとして演算することが好ましい。
(9)また、前記第二トルク演算手段が、前記エンジンに作用する負荷に基づき前記第二目標トルクを演算することが好ましい。
(10)また、前記第二トルク演算手段が、前記エンジンの実回転数に基づき前記第二目標トルクを演算することが好ましい。
開示のエンジンの制御装置によれば、無負荷状態で目標回転数の維持に必要な出力に応じて実回転数における第一目標トルクを負荷状態或いは無負荷状態にかかわらず演算することで、第一目標トルクを基準とした制御の実施時(少なくとも無負荷状態への移行時又は無負荷状態時)におけるエンジン回転数の安定性を向上させることができ、エンジンの耐エンスト性及び回転収束性を向上させることができる。
一実施形態に係るエンジンの制御装置のブロック構成及びこの制御装置が適用されたエンジンの構成を例示する図である。 本制御装置の第一トルク演算部での演算内容を例示するブロック構成図である。 本制御装置の第二トルク演算部での演算内容を例示するブロック構成図である。 本制御装置の吸気量制御部での演算内容を例示するブロック構成図である。 本制御装置による制御内容を説明するためのグラフであり、(a)はエンジン回転数の変化を示し、(b)はトルクの変化を示す。 本制御装置の回転要求トルク演算部での演算内容を例示するブロック構成図である。
図面を参照して制御装置について説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。
[1.装置構成]
[1−1.エンジン構造]
本実施形態のエンジンの制御装置は、図1に示す車載のエンジン10に適用される。ここでは、多気筒のエンジン10に設けられた複数のシリンダのうち、一つのシリンダを示す。シリンダ内を往復摺動するピストン16は、コネクティングロッドを介してクランクシャフト17に接続される。
シリンダの頂部には、点火プラグ13がその先端を燃焼室側に突出させた状態で設けられる。また、燃焼室のシリンダヘッド側の頂面には、吸気ポート11及び排気ポート12が設けられる。
この燃焼室の頂面には、吸気ポート11に通ずる開口部を開閉する吸気弁14と、排気ポート12に通ずる開口部を開閉する排気弁15とが設けられる。吸気弁14の開閉駆動により吸気ポート11と燃焼室とが連通又は閉鎖され、排気弁15の開閉駆動により排気ポート12と燃焼室とが連通又は遮断される。
吸気弁14及び排気弁15の上端部はそれぞれ、図示しない可変動弁機構内のロッカシャフトの一端に接続される。ロッカシャフトはロッカアームに軸支された揺動部材であり、それぞれのロッカシャフトの揺動により吸気弁14及び排気弁15が上下方向に往復駆動される。なお、可変動弁機構は、吸気弁14及び排気弁15のそれぞれについて、最大バルブリフト量及びバルブタイミングを個別に、又は、連動させつつ変更する機構である。
シリンダの周囲には、その内部をエンジン冷却水が流通するウォータージャケット19が設けられる。エンジン冷却水はエンジン10を冷却するための冷媒であり、ウォータージャケット19とラジエータとの間を環状に接続する冷却水循環路内を流通している。
[1−2.吸気系]
吸気ポート11内には、燃料を噴射するインジェクタ18が設けられる。インジェクタ18から噴射される燃料量は、後述するエンジン制御装置6によって電子制御される。また、インジェクタ18よりも吸気流の上流側には、インテークマニホールド20(以下、インマニと呼ぶ)が設けられる。このインマニ20には、吸気ポート11側へと流れる空気を一時的に溜めるためのサージタンク21が設けられる。サージタンク21よりも下流側のインマニ20は、複数のシリンダの吸気ポート11に向かって分岐するように形成され、サージタンク21はその分岐点に位置する。サージタンク21は、各々のシリンダで発生する吸気脈動や吸気干渉を緩和するように機能する。
インマニ20の上流端には、スロットルボディ23が接続される。スロットルボディ23の内部には電子制御式のスロットルバルブ24が内蔵され、インマニ20側へと流通する空気量がスロットルバルブ24の開度(スロットル開度)に応じて調節される。このスロットル開度は、エンジン制御装置6によって電子制御される。
スロットルボディ23のさらに上流側には、吸気通路25が接続される。また、吸気通路25のさらに上流側にはエアフィルタ28が介装される。これにより、エアフィルタ28で濾過された新気が吸気通路25及びインマニ20を介してエンジン10のシリンダに供給される。
[1−3.検出系]
クランクシャフト17には、その回転角θCRを検出するクランク角センサ30が設けられる。回転角θCRの単位時間あたりの変化量はエンジン10の実回転数Neに比例する。したがって、クランク角センサ30はエンジン10の実回転数Neを検出する機能を持つものといえる。ここで検出(または演算)された実回転数Neの情報は、エンジン制御装置6に伝達される。なお、クランク角センサ30で検出された回転角θCRに基づき、エンジン制御装置6で実回転数Neを演算する構成としてもよい。
スロットルバルブ24の上流側及び下流側には、それぞれの位置での圧力を検出する大気圧センサ26及びインマニ圧センサ22が設けられる。大気圧センサ26はスロットルバルブ24の上流圧PBP(大気圧に対応する圧力)を検出するものであり、インマニ圧センサ22はスロットルバルブ24の下流圧PIM(サージタンク21内の圧力に対応する圧力)を検出するものである。
スロットルバルブ24を通過する吸気流は、スロットルバルブ24の前後の圧力比(上流圧PBPに対する下流圧PIMの比)が大きいほど流速Vが減少する特性を持ち、圧力比がわかれば流速Vを推定することが可能である。本実施形態のエンジン制御装置6は、このようにして得られた流速Vの推定値を用いて吸気量の制御を実施する。これらの圧力センサ22,26で検出されたスロットルバルブ部の上流圧PBP及び下流圧PIMの情報は、エンジン制御装置6に伝達される。
吸気通路25内には、吸気流量QINを検出するエアフローセンサ27と、吸気温ATを検出する吸気温センサ29とが設けられる。吸気流量QINは、スロットルバルブ24を通過する実際の空気の流量に対応するパラメータである。スロットルバルブ24からシリンダへの吸気流には、いわゆる吸気遅れ(流通抵抗や慣性による遅れ)が生じるため、シリンダに導入される空気の流量とスロットルバルブ24を通過する空気の流量とは必ずしも一致しない。本実施形態のエンジン制御装置6では、このような吸気遅れを考慮した吸気量の制御が実施される。また、吸気温ATはスロットルバルブ24を通過する空気の流速Vの補正演算に用いられる。エアフローセンサ27で検出された吸気流量QIN、及び吸気温センサ29で検出された吸気温ATの情報は、エンジン制御装置6に伝達される。
ウォータージャケット19又は冷却水循環路上の任意の位置には、エンジン冷却水の温度(冷却水温WT)を検出する冷却水温センサ31が設けられる。また、エンジン10のオイルパン又はエンジンオイルの循環経路上の任意の位置には、エンジンオイルの温度(油温OT)を検出する油温センサ32が設けられる。これらの冷却水温WT及び油温OTは、無負荷損失(エンジン10自体に内在する機械的な損失等)を把握するために用いられるパラメータである。冷却水温センサ31,油温センサ32で検出された冷却水温WT,油温OTの各情報は、エンジン制御装置6に伝達される。
車両の任意の位置には、アクセルペダルの踏み込み量に対応する操作量θACを検出するアクセルペダルセンサ33が設けられる。アクセルペダルの踏み込み操作量θACは、運転者の加速要求に対応するパラメータであり、すなわちエンジン10への出力要求に対応する。ここで検出された操作量θACの情報は、エンジン制御装置6に伝達される。
[1−4.制御系]
この車両には電子制御装置として、エンジン制御装置6(Engine Electronic Control Unit)のほか、CVT-ECU7(Continuously Variable Transmission ECU),エアコンECU8,電装品ECU9等が設けられる。これらの電子制御装置は、例えばマイクロプロセッサやROM,RAM等を集積したLSIデバイスや組み込み電子デバイスとして構成され、車両に設けられたCAN,FlexRay等の通信ラインを介して互いに接続される。
CVT-ECU7は、図示しないCVT装置(無段変速装置)の動作を制御するものであり、エアコンECU8は、図示しないエアコン装置(空調装置)の動作を制御するものである。また、電装品ECU9は、車載投光装置や各種照明装置,パワーウィンドウ装置,ドア施錠装置といったボディ系の各種電装品の動作を制御するものである。これらの各種装置は、エンジン10に対する負荷として作用する。
以下、これらのエンジン制御装置6以外の電子制御装置のことを外部制御システムとも呼び、外部制御システムによって制御される装置のことを外部負荷装置とも呼ぶ。外部負荷装置の作動状態等は、エンジン10の運転状態に関わらず変化しうる。そこで、上記の各外部制御システムは、外部負荷装置がエンジン10に要求するトルクの大きさを随時演算し、これをエンジン制御装置6に伝達する。
また、外部制御システムがエンジン10に要求するトルクのことを外部要求トルクと呼ぶ。なお、外部要求トルクの値は、CVT-ECU7,エアコンECU8,電装品ECU9といった個々の外部制御システムで演算された後にエンジン制御装置6に伝達されることとしてもよいし、あるいは個々の外部制御システムで収集された情報に基づいてエンジン制御装置6で演算されることとしてもよい。
エンジン制御装置6は、エンジン10に関する点火系,燃料系,吸排気系及び動弁系といった広汎なシステムを制御する電子制御装置であり、エンジン10の各シリンダに対して供給される空気量,燃料噴射量及び点火タイミングを制御するものである。ここでは、エンジン10に要求されるトルクの大きさを基準としたトルクベース制御が実施される。エンジン制御装置6の具体的な制御対象としては、インジェクタ18から噴射される燃料量や噴射時期,点火プラグ13での点火時期,スロットルバルブ24の開度などが挙げられる。
本トルクベース制御では、エンジン10に要求されるトルクとして、三種類の要求トルクを想定している。第一の要求トルクは運転者の加速要求に対応するものであり、第二の要求トルクは外部負荷装置からの要求に対応するものである。これらの要求トルクはともに、エンジン10に作用する負荷に基づいて算出されるトルクといえる。一方、第三の要求トルクは、エンジン10の実回転数Neを維持する回転フィードバック制御のためのものであり、エンジン10に負荷が作用していない無負荷状態であっても考慮される要求トルクである。これらの要求トルクは、エンジン10の運転条件に応じて自動的に切り換えられる。
さらに、本トルクベース制御では、三種類の要求トルクのそれぞれに対する共通の下限値として機能する第一目標トルクが設定される。この第一目標トルクとは、エンジン10に要求されるトルクの種類や大きさに関わらず、少なくともエンジン10の目標回転数を維持するのに必要なトルクを意味する。前述の三種類の要求トルクはエンジン制御装置6内で常時第一目標トルクと比較され、第一目標トルクが確保されるようにトルクベース制御が実施される。
以下、エンジン制御装置6で実施されるトルクベース制御のうち、エンジン10のシリンダに導入される吸気量の制御について詳述する。吸気量の制御は、おもにスロットルバルブ24の開度調節によって実現される。なお、本実施形態でトルクを表現するために用いる記号Piは、図示平均有効圧(エンジン10の指圧線図に基づいて算出される仕事を行程容積で割った圧力値)を意味し、ここでは図示平均有効圧Piを用いてトルクの大きさを表現している。本実施形態では、エンジン10で生じる力のモーメントのことだけでなく、エンジン10のピストン16に作用する平均有効圧(例えば、図示平均有効圧Piや正味平均有効圧Pe)で表現されたトルク相当量(トルクに対応する圧力)のことも便宜的に「トルク」と呼ぶ。
[2.制御装置の内部構成]
図1に示すように、エンジン制御装置6の入力側には前述の各種センサや車内通信網,他の電子制御装置が接続され、出力側にはスロットルバルブ24が接続される。このエンジン制御装置6には、目標回転数演算部1,無負荷損失トルク演算部2,第一トルク演算部3,第二トルク演算部4及び吸気量制御部5が設けられる。
これらの目標回転数演算部1,無負荷損失トルク演算部2,第一トルク演算部3,第二トルク演算部4及び吸気量制御部5の各機能は、電子回路(ハードウェア)によって実現してもよく、ソフトウェアとしてプログラミングされたものとしてもよいし、あるいはこれらの機能のうちの一部をハードウェアとして設け、他部をソフトウェアとしたものであってもよい。
[2−1.目標回転数演算部]
目標回転数演算部1(目標回転数演算手段)は、エンジン10の目標回転数Nobjを演算するものである。目標回転数Nobjとは、回転フィードバック制御時の目標値となるエンジン回転数であり、無負荷状態でエンジン10が安定して回転するように比較的低速の回転数値が与えられる。本実施形態では、目標回転数Nobjが回転フィードバック制御時のような無負荷状態のみならず、車両の走行時のような負荷状態であっても演算されて制御に使用される。
目標回転数演算部1は、油温センサ32から伝達される油温OTの情報と外部制御システムから伝達される外部負荷装置の作動状態の情報とに基づいて、目標回転数Nobjの値を随時演算する。例えば、油温OTが低いほど、あるいは外部負荷が大きいほど目標回転数Nobjを高く設定することが考えられる。ここで演算された目標回転数Nobjの情報は、第一トルク演算部3に伝達される。
[2−2.無負荷損失トルク演算部]
無負荷損失トルク演算部2(無負荷損失トルク演算手段)は、エンジン10が目標回転数Nobjで回転するときの無負荷損失に相当する無負荷損失トルクPiobjBを演算するものである。ここでは、目標回転数Nobj及びインマニ20の負圧(上流圧PBP−下流圧PIM)に基づいて無負荷損失トルクPiobjBが演算され、第一トルク演算部3及び第二トルク演算部4に伝達される。なお、第二トルク演算部4に伝達される無負荷損失トルクPiobjBは、回転フィードバック制御時のトルク演算に用いられる。一方、第一トルク演算部3に伝達される無負荷損失トルクPiobjBは、車両の運転状態に関わらず常に使用される。
[2−3.第一トルク演算部]
第一トルク演算部3(第一トルク演算手段)は、エンジン10の実回転数Neに基づいて第一目標トルクPiobj1を演算するものである。第一目標トルクPiobj1とは、車両の運転状態に関わらず要求トルクの下限値として機能するトルクであり、エンジン10が目標回転数Nobjで無負荷損失トルクPiobjBを出力する状態とほぼ等馬力になるように、その時点の実回転数Neに応じて設定される大きさのトルクである。
例えば、実回転数Neと第一目標トルクPiobj1との積が、目標回転数Nobjと無負荷損失トルクPiobjBとの積である馬力に一致、あるいは対応するように、第一目標トルクPiobj1の値が設定される。したがって、実回転数Neが高いほど第一目標トルクPiobj1が小さく設定され、実回転数Neが低いほど第一目標トルクPiobj1が大きく設定される。
なお、第一目標トルクPiobj1を設定する際の基準となる馬力の大きさは、目標回転数Nobjと無負荷損失トルクPiobjBとの積のみに限定されない。本実施形態では、無負荷損失トルクPiobjBだけでなく他の負荷の状態も考慮されて基準となる馬力が演算され、その馬力と等馬力の出力が確保される大きさの第一目標トルクPiobj1が演算される。図2に示すように、第一トルク演算部3には第一目標トルクPiobj1を演算するための構成として、始動直後加算トルク演算部3a,補機負荷トルク演算部3b,回転速度比演算部3c,学習値反映量演算部3d及び第一目標トルク演算部3eが設けられる。
始動直後加算トルク演算部3aは、エンジン10の始動時のトルク補正値として始動直後加算トルクPiSTUPを演算するものである。ここでは、始動直後加算トルクPiSTUPの初期値が始動直後の冷却水温WTに基づいて演算され、時間の経過とともに値が一定の勾配で減少(テーリング)するように設定される。なお、冷却水温WT及び始動からの経過時間に基づいて始動直後加算トルクPiSTUPの減少勾配を設定してもよい。ここで演算された始動直後加算トルクPiSTUPの値は、第一目標トルク演算部3eに伝達される。
補機負荷トルク演算部3b(補機負荷トルク演算手段)は、アイドル時の補機負荷に相当するトルクを補機負荷トルクPiAUXとして演算するものである。ここでは、CVT-ECU7,エアコンECU8,電装品ECU9等の外部制御システムから伝達される外部負荷装置の作動状態に応じて、補機負荷トルクPiAUXの値が演算される。補機負荷トルクPiAUXの値は、例えばエアコン装置,パワーステアリング装置,トランスミッション装置等の作動状態に応じた大きさとなり、仮にエンジン10がアイドル状態になった場合にそれらの外部装置がどの程度の負荷として作用するかを示す指標となる。ここで演算された補機負荷トルクPiAUXの値は、第一目標トルク演算部3eに伝達される。
回転速度比演算部3c(回転速度比演算手段)は、エンジン10の実回転数Neに対する目標回転数Nobjの比を回転速度比Rne(Rne=Nobj/Ne)として演算するものである。回転速度比Rneは、目標回転数Nobjでエンジン10から出力される馬力に対して設定すべき第一目標トルクPiobj1の割合に対応するパラメータである。ここで演算された回転速度比Rneは、第一目標トルク演算部3eに伝達される。
学習値反映量演算部3dは、エンジン10の個体差やエイジングの影響,エンジン制御装置6の制御偏差等を第一目標トルクPiobj1に反映させるための学習値反映トルクPiLRNを演算するものである。学習値反映トルクPiLRNは、エンジン制御装置6内の図示しない不揮発メモリ内に記憶された学習値に基づいて演算される。学習値とは、エンジン10のイグニッションキースイッチの操作状態に関わらず常に保持される情報であり、例えば空燃比やトルク値のフィードバック学習値やノッキング補正用の学習値,アイドルスピードコントロール用学習値等が挙げられる。ここで演算された学習値反映トルクPiLRNは、第一目標トルク演算部3eに伝達される。
第一目標トルク演算部3e(第一目標トルク演算手段)は、以下の式1に従って第一目標トルクPiobj1を演算するものである。ここでは、無負荷損失トルクPiobjB,始動直後加算トルクPiSTUP及び補機負荷トルクPiAUXの加算値に対して回転速度比Rneを乗じた値が演算されるとともに、これに学習値反映トルクPiLRNが加算されたものが第一目標トルクPiobj1として演算される。ここで演算された第一目標トルクPiobj1は、吸気量制御部5に伝達される。
Figure 0005601252
[2−4.第二トルク演算部]
第二トルク演算部4(第二トルク演算手段)は、エンジンに要求される要求トルクに基づいて第二目標トルクPiobj2を演算するものである。第二目標トルクPiobj2とは、車両の運転状態に応じた吸気制御用の要求トルクであり、その値は吸気遅れを考慮した変動特性を持つように加工されている。つまり、第二目標トルクPiobj2は、エンジン10の吸気遅れを模擬した模擬吸気量に対応するものである。図3に示すように、第二トルク演算部4には、外部要求トルク演算部4a,ドライバ要求トルク演算部4b,回転要求トルク演算部4c,要求トルク選択部4d及び吸気遅れ模擬部4eが設けられる。
外部要求トルク演算部4aは、外部負荷装置の駆動によってエンジン10に与えられる定常的な負荷に対応する外部要求トルクPiEXTを演算するものである。この外部要求トルクPiEXTは、外部制御システムから伝達される外部負荷装置の情報に基づいて演算される。例えば、外部負荷装置の種類や作動状態に応じて、それぞれの外部負荷装置について予め設定された所定値とすることが考えられる。あるいは、外部負荷装置の種類の区別なく一律の固定値として記憶させておいてもよい。
ここで演算された外部要求トルクPiEXTは、ドライバ要求トルク演算部4b,回転要求トルク演算部4c及び要求トルク選択部4dに伝達される。
ドライバ要求トルク演算部4bは、エンジン10の実回転数Neやアクセルペダルの踏み込み操作量θAC等に基づき、アクセル要求トルクPiAPSを演算するものである。アクセル要求トルクPiAPSは、車両の定常運転時におけるエンジン10の出力目標値のベースとなるパラメータである。なお、ドライバ要求トルク演算部4bは、外部要求トルクPiEXTが加味されたアクセル要求トルクPiAPSを演算する。ここで演算されたアクセル要求トルクPiAPSは、要求トルク選択部4dに伝達される。
回転要求トルク演算部4cは、目標回転数演算部1で演算された目標回転数Nobjに対応するトルク(エンジン10の実回転数Neを目標回転数Nobjに維持するために要するトルク)を回転要求トルクPiNeFBとして演算するものである。回転要求トルクPiNeFBは、車両のアイドル時におけるエンジン10の出力目標値のベースとなるパラメータである。なお、ここでは外部要求トルクPiEXTが加味された回転要求トルクPiNeFBが演算され、要求トルク選択部4dに伝達される。
要求トルク選択部4dは、外部要求トルクPiEXT,アクセル要求トルクPiAPS及び回転要求トルクPiNeFBのうちの何れか一つを吸気制御用のトルクの目標値として選択するものである。ここでは、外部制御システムの作動状態や外部要求トルクの有無,アクセルペダルの操作量θAC,車速V(実回転数Ne)等に基づく選択条件に基づいてトルクが選択される。ここで選択されたトルクを以下、吸気目標トルクPiETVと呼ぶ。要求トルク選択部4dで選択された吸気目標トルクPiETVは吸気遅れ模擬部4eに伝達される。
吸気遅れ模擬部4eは、スロットルバルブ24からエンジン10の各シリンダに導入される空気の吸気遅れに応じた補正演算を行うものである。ここでは、エンジン10やインマニ20,サージタンク21,スロットルバルブ24等に係る吸気特性に基づき、吸気目標トルクPiETVに対して吸気遅れを考慮したトルク値が第二目標トルクPiobj2として演算される。
具体的な吸気遅れ模擬部4eでの演算手法は、スロットルバルブ24の制御態様に応じて種々考えられる。例えば、入力された吸気目標トルクPiETVに対して、実際の吸気遅れを模擬した一次遅れ処理や二次遅れ処理を施すことによって、実現したいトルク変動の軌跡を生成してもよい。また、可変動弁機構の作動状態(吸気弁14,排気弁15のバルブリフト量やバルブタイミング,オーバーラップ量等)に応じて吸気遅れ特性が変化する場合には、その作動状態に応じて吸気目標トルクPiETVの変動を遅延させる演算を加えてもよい。
図3中には、第二目標トルクPiobj2の今回値を以下の式2に従って演算するものを例示する。式2中の記号Aは後述する標準吸気目標トルクPiETV_STD(すなわち、前回の演算周期での第二目標トルクPiobj2の値を含む値)であり、記号Bは吸気目標トルクPiETVであり、記号k1は任意の手法で予め設定されたフィルタ係数である。ここで演算された第二目標トルクPiobj2は、吸気量制御部5に伝達される。
Figure 0005601252
[2−5.吸気量制御部]
吸気量演算部5は、第一トルク演算部3で演算された第一目標トルクPiobj1と、第二トルク演算部4で演算された第二目標トルクPiobj2とに基づいて、実際にエンジン10の各シリンダに導入される吸気量を制御するものである。吸気量演算部5は、目標とするトルクを生成するための空気量を演算し、これに応じたスロットルバルブ部の開口面積からスロットルバルブ24の目標開度電圧Eを演算して、スロットルバルブ24の開度制御を実施する。
このような制御を実施するための機能として吸気量制御部5には、図4に示すように、最大値選択部5a,目標充填効率演算部5b,目標筒内空気量演算部5c,吸気進み補償部5d,進み補償係数設定部5e,目標流量演算部5f,流速演算部5g,開度演算部5h及びスロットル開度制御部5kが設けられる。
最大値選択部5aは、第一目標トルクPiobj1と第二目標トルクPiobj2とのうちの何れか大きい一方を標準吸気目標トルクPiETV_STDとして選択するものである。仮に、第二目標トルクPiobj2が第一目標トルクPiobj1を下回っていたとしても、ここでは第一目標トルクPiobj1が吸気目標トルクPiETV_STDとして選択される。したがって、第一目標トルクPiobj1は車両の運転状態に関わらず、第二目標トルクPiobj2の下限値として機能することになる。ここで選択された標準吸気目標トルクPiETV_STDは、前述の吸気遅れ模擬部4e及び目標充填効率演算部5bのそれぞれに伝達される。
目標充填効率演算部5bは、最大値選択部5aから伝達された標準吸気目標トルクPiETV_STDに対応する目標充填効率EcTGTを演算するものである。すなわち、エンジン10で標準吸気目標トルクPiETV_STDを生成するために必要な充填効率が目標充填効率EcTGTとして演算される。
充填効率とは、一回の吸気行程(ピストン16が上死点から下死点に移動するまでの一行程)の間にシリンダ内に充填される空気の体積を標準状態での気体体積に正規化したのちシリンダ容積で除算したものである。充填効率はその行程でシリンダ内に導入された空気量に対応し、目標充填効率EcTGTは充填効率の目標値であって目標空気量に対応する。
ここでは、例えば予め設定された標準吸気目標トルクPiETV_STDと目標充填効率EcTGTとのエンジン回転数Ne毎の対応マップや数式等に基づいて目標充填効率EcTGTが演算される。ここで演算された目標充填効率EcTGTは、目標筒内空気量演算部5cに伝達される。
目標筒内空気量演算部5cは、目標充填効率演算部5bで演算された目標充填効率EcTGTを、シリンダ内に導入される吸気流量(一回の吸気行程での空気量)の目標値QcTGTに変換する演算を行うものである。上記の通り、充填効率は標準状態でのシリンダ内の気体体積(単位行程あたりの体積)をシリンダ容積VENGで除算したものであるから、標準状態でのシリンダ内の気体体積は、充填効率にシリンダ容積VENGを乗算することで算出可能である。
ここでは、例えば予め設定された目標充填効率EcTGTと目標値QcTGTとの対応マップや数式等に基づいて目標値QcTGTが求められる。なお、シリンダ内に導入される吸気の圧力及び温度が標準状態と異なる場合を考慮して、吸気温やインマニ圧PIM,吸気の密度等に応じて設定される補正係数を加味した目標値QcTGTを演算してもよい。ここで演算された目標値QcTGTは、吸気進み補償部5dに伝達される。
吸気進み補償部5dは、第二トルク演算部4の吸気遅れ模擬部4eで模擬された吸気遅れとは逆の演算を行うものである。すなわち、吸気進み補償部5dに入力されるよりも以前の演算内容は、エンジン10の各シリンダでのトルクや充填効率,吸気に関するものであるのに対し、吸気進み補償部5d以降の演算内容は、スロットルバルブ24を通過する吸気に関するものとなる。ここでは、エンジン10やインマニ20,サージタンク21,スロットルバルブ24等に係る吸気特性に基づき、目標値QcTGTに対して吸気遅れの逆演算(吸気進み演算)を施した第二目標値QcTGT2が演算される。
具体的な吸気進み補償部5dでの演算手法は、吸気遅れ模擬部4eでの演算手法に応じて種々考えられる。図4中には、第二目標値QcTGT2の今回値を以下の式3に従って演算するものを例示する。式3中の記号Cは目標筒内空気量演算部5cから伝達された目標値QcTGTの今回値であり、記号Dは目標値QcTGTの前回値(前回の演算周期での目標値QcTGT)である。また、記号k2は進み補償係数設定部5eで設定されたフィルタ係数である。ここで演算された第二目標値QcTGT2は目標流量演算部5gに伝達される。
なお、フィルタ係数k2は吸気の遅れを取り戻す度合い(言うなれば、吸気変動を速く進ませる度合い)を意味するパラメータであり、フィルタ係数k2が大きいほど第二目標値QcTGT2の時間変化量が増大し、すなわちスロットルバルブ24が高応答で駆動される。
Figure 0005601252
進み補償係数設定部5eは、吸気進み補償部5dにおける吸気進み演算で用いられるフィルタ係数k2を設定するものである。ここには、最大値選択部5aで選択されるトルクの種類に対応して、第一フィルタ係数k2HI及び第二フィルタ係数k2LOとの二種類のフィルタ係数k2が予め記憶されている。第一フィルタ係数k2HIは、最大値選択部5aで第一目標トルクPiobj1が選択された場合に設定されるものであり、第二フィルタ係数k2LOは、第二目標トルクPiobj2が選択された場合に設定されるものである。第一フィルタ係数k2HI及び第二フィルタ係数k2LOの大小関係は、k2HI>k2LOである。したがって、最大値選択部5aで第一目標トルクPiobj1が選択された場合には、吸気進み演算による吸気変動を速く進ませる傾向が強められ、スロットルバルブ24を通過する吸気の時間変化量が増大する。
目標流量演算部5fは、吸気進み補償部5dから伝達された第二目標値QcTGT2に基づき、スロットルバルブ24を通過する吸気の目標流量QthTGTを演算するものである。第二目標値QcTGT2は一回の吸気行程でシリンダに導入させるべき空気量に対応する値であるから、ここではエンジン10の実回転数Neに基づいて値が変換され、単位時間あたりの目標流量QthTGTが演算される。ここで演算された目標流量QthTGTは、開度演算部5hに伝達される。
流速演算部5gは、スロットルバルブ24を通過する吸気の流速Vを演算するものである。ここでは、スロットルバルブ24の上流圧PBPに対する下流圧PIMの比(PIM/PBP)に基づいて流速Vが演算される。流速演算部5gは、例えばスロットルバルブ部の前後圧力比による流速の変化を規定するマップや数式等を用いて流速Vを演算する。ここで演算された流速Vは、開度演算部5hに伝達される。
なお、管内の絞りを流通する圧縮性流体(圧力変化に応じて密度が変化する流体)の流速は、絞りの前後の圧力比(上流圧に対する下流圧の比)が大きいほど減少する。一方、圧力比が臨界圧力比Z0よりも小さくなると流速は一定となる。また、スロットルバルブ24の下流圧PIMは上流圧PBPを超えない。したがって、流速Vの演算では、圧力比の定義域は0以上、1以下の範囲とすることができる。また、圧力比が1であるときに流速が0であり、圧力比が1から減少するに連れて流速が増大し、圧力比が臨界圧力比Z0未満のときには流速が音速に対応する上限値となるような対応関係を用いることができる。
開度演算部5hは、目標流量演算部5fで演算された目標流量QthTGTと流速演算部5gで演算された流速Vとに基づき、スロットルバルブ24の目標開口面積Sを演算するものである。目標開口面積Sは、例えば図4中に示すように、流速Vに流速補正係数MMACHを乗じた値で目標流量QTH_TGTを除算して求められる。流速補正係数MMACHは、温度による空気の密度変化を考慮して算入される値であり、例えば、吸気温センサ29で検出された吸気温ATと上流圧PBPとに基づいて設定される。ここで演算された目標開口面積Sはスロットル開度制御部5kに伝達される。
スロットル開度制御部5kは、スロットルバルブ24の開度が開度演算部5hで演算された目標開口面積Sと等しくなるように、スロットルバルブ24に制御信号を出力するものである。ここでは、例えば予め設定された目標開口面積Sと目標開度電圧Eとの対応マップや数式等に基づいて目標開度電圧Eが演算され、この目標開度電圧Eが制御信号としてスロットルバルブ24に出力される。目標開口面積Sと目標開度電圧Eとの関係は、スロットルバルブ24の構造,形状,種類等に応じて規定される。例えば、開度電圧が高いほど通路を大きく開放する特性を持ったスロットルバルブ24の場合には、目標開口面積Sが大きいほど目標開度電圧Eを増大させればよい。
なお、スロットルバルブ24はスロットル開度制御部4からの制御信号を受けてスロットル開度を制御され、目標開口面積Sが実現される。これにより、スロットルバルブ24を通過する空気の流量が目標流量QthTGTになるとシリンダの実充填効率が目標充填効率EcTGTとなり、エンジン10において最大値選択部5aで選択された標準吸気目標トルクPiETV_STDが生成される。エンジン制御装置6ではこのように吸気量制御が実施される。
[3.作用]
図5(a),(b)を用いてエンジン制御装置6による制御作用を説明する。図5(a)は、変速段がニュートラルでアイドル状態の車両で空ぶかし操作を入力したときのエンジン回転数の変動を示すものであり、図5(b)は吸気量の制御に係るトルクの変動を示すものである。
図5(a)に示すように、時刻t0の車両は、エンジン10の実回転数Neが目標回転数Nobjにほぼ一致した状態に制御される。また、アイドル時のエンジン10の出力トルクは、回転要求トルク演算部4cで演算される回転要求トルクPiNeFBに応じて制御される。時刻t0の実回転数Neは所定回転数Ne1であり、このときのエンジン10の出力トルクは所定値Tq0である。なお、図5(b)では時刻t0における回転要求トルクPiNeFBが第二目標トルクPiobj2と同一値である場合を示す。
時刻t1にアクセルペダルが踏み込まれて空ぶかし操作がなされると、その操作量θACに応じて、ドライバ要求トルク演算部4bで演算されるドライバ要求トルクPiAPSが増大する。また、アクセル操作によってアイドル条件が不成立となり、要求トルク選択部4dではドライバ要求トルクPiAPSが選択される。したがって、要求トルク選択部4dから出力される吸気目標トルクPiETVは、時刻t1から増大する。
図5(b)中に細実線で示すグラフは、要求トルク演算部4bで演算されるドライバ要求トルクPiAPSであり、すなわちドライバ要求トルクPiAPSの瞬時値(吸気遅れ演算が施されていない値)である。これに対して、図5(b)中に太実線で示すグラフは、吸気遅れ模擬部4eで演算される第二目標トルクPiobj2であり、すなわちドライバ要求トルクPiAPSの変動に吸気遅れの補正が加えられたものである。
また、アクセルペダルの踏み込みに伴い、図示しない燃料噴射系の制御により燃料噴射量が増量され、図5(a)に示すように、エンジン10の実回転数Neが上昇する。したがって、エンジン10の出力馬力が増大する。
時刻t2に実回転数Neが所定の回転数に維持されると、回転数の上昇に係るトルクが不要となり、図5(b)中に細実線で示すように、ドライバ要求トルクPiAPSの瞬時値が再び所定値Tq0近傍まで低下する。また、吸気遅れ模擬部4eで演算される第二目標トルクPiobj2の値は、ドライバ要求トルクPiAPSの瞬時値に吸気遅れ演算を施したものとなるため、図5(b)中に太実線で示すように、細実線のグラフの変動に対して遅れて変動する挙動を示し、ドライバ要求トルクPiAPSの瞬時値よりもやや大きな値で緩慢に減少する。
一方、第一トルク演算部3では、実回転数Neの上昇に対応して、時刻t1以前のエンジン10の出力と等馬力相当の第一目標トルクPiobj1が演算される。つまり、第一トルク演算部3は、エンジン10の出力馬力が増大する時点よりも前の馬力と同等の馬力が得られるトルクを、実回転数Neに応じて演算する。これにより、図5(b)中に破線で示す第一目標トルクPiobj1は、時刻t1から時刻t2に向かって徐々に減少する。なお、要求トルク選択部4dで第一目標トルクPiobj1が選択されることはないため、エンジン10の吸気量制御は第二目標トルクPiobj2に基づくものとなる。
時刻t3にアクセルの踏み込み操作が緩められると、図示しない燃料噴射系の制御により燃料噴射量が減量され、図5(a)に示すように、エンジン10の実回転数Neが低下し始める。また、要求トルク演算部4bで演算されるドライバ要求トルクPiAPSも減少する。時刻t3の時点では、アイドル条件が不成立のままであり、要求トルク選択部4dではドライバ要求トルクPiAPSが選択される。したがって、吸気遅れ模擬部4eで演算される第二目標トルクPiobj2もドライバ要求トルクPiAPSの低下に伴ってさらに減少する。なお、時刻t3の時点での第二目標トルクPiobj2の値が所定値Tq0に近いほど、あるいは、ドライバ要求トルクPiAPSの低下量が大きいほど、時刻t3以降の第二目標トルクPiobj2の値が所定値Tq0を下回りやすくなる。
時刻t4にアクセルペダルの操作量θACが0(アクセル全閉状態)になると、ドライバ要求トルク演算部4bで演算されるドライバ要求トルクPiAPSがアイドル時相当のトルク値まで低下する。その後、ドライバ要求トルクPiAPSの値は、実回転数Neの低下に応じて徐々に増加する。なお、時刻t4以降の任意の時点でアイドル条件が成立した場合には、要求トルク選択部4dで回転要求トルクPiNeFBが選択されるが、この場合の回転要求トルクPiNeFBの変動も、図5(b)中に細実線で示すような軌跡と同様のものとなる。
また、第一トルク演算部3では、実回転数Neの低下に対応して、時刻t1以前のエンジン10の出力と等馬力相当の第一目標トルクPiobj1が演算される。これにより、図5(b)中に破線で示す第一目標トルクPiobj1は、時刻t4から徐々に増加する。吸気目標トルクPiETV(ドライバ要求トルクPiAPS,回転要求トルクPiNeFB)及び第一目標トルクPiobj1は、ともにほぼ同一の値をとるように徐々に増加する。
一方、第二目標トルクPiobj2の値は吸気目標トルクPiETVの変化に対してやや遅れて変動するため、時刻t5に吸気目標トルクPiETVの値と一致した後も緩やかに変動する。この場合、時刻t5以降に第二目標トルクPiobj2が第一目標トルクPiobj1よりも小さくなり、第二目標トルクPiobj2に基づく吸気量制御ではエンジン10の出力馬力が不足した状態となる。
これに対し、上記のエンジン制御装置6では、最大値選択部5aで第一目標トルクPiobj1と第二目標トルクPiobj2とのうちの何れか大きい一方が標準吸気目標トルクPiETV_STDとして選択される。すなわち、時刻t5以降には、図5(b)中に破線で示す第一目標トルクPiobj1に基づく吸気量制御が実施される。これにより、エンジン10の出力馬力が不足した状態になるような事態が防止される。
このとき、進み補償係数設定部5eでは、吸気進み演算のフィルタ係数として第二フィルタ係数k2LOが設定される。これにより、時刻t5以降はスロットルバルブ24が高応答で駆動され、エンジン10のアイドル運転に必要な出力馬力が速やかに確保される。
[4.効果]
上記のエンジン制御装置6では、時刻t5以降のようにエンジン10の出力馬力が不足する状況では、第一目標トルクPiobj1に基づく吸気量制御が実施され、その他の状況では第二目標トルクPiobj2に基づく吸気量制御が実施される。例えば、時刻t1〜t4のアクセルペダルの踏み込み操作がなされた状態からアイドル状態への移行時に、第二目標トルクPiobj2がエンジン10のアイドル運転に必要な馬力に対応するトルクを下回るような事態が防止される。
このように、上記のエンジン制御装置6では、エンジン10の負荷状態と無負荷状態との間を移行する前後における目標トルクの設定が適正化される。したがって、第二目標トルクPiobj2を用いてエンジン10に導入される吸気量を正確に制御しつつ、第一目標トルクPiobj1を用いてエンジン回転数を制御することができ、エンジン10の耐エンスト性及び回転収束性を高めることができる。
また、吸気量制御部5の最大値選択部5aにおいて、第一目標トルクPiobj1と第二目標トルクPiobj2とのうちの何れか大きい一方が標準吸気目標トルクPiETV_STDとして選択されるため、エンジン10の運転状態にかかわらず(たとえアイドル条件が成立していなくても)少なくとも第一目標トルクPiobj1は確保される。これにより、エンジントルクの下限値を保証することができ、エンジン10の耐エンスト性及び回転収束性を高めることができる。
また、上記のエンジン制御装置6では、時刻t5に第二目標トルクPiobj2が第一目標トルクPiobj1を下回ると、吸気進み補償部5dでの吸気進み演算で使用されるフィルタ係数が変更され、実際の吸気量の変化量を増大させている。このような演算構成により、高応答でトルクを変化させることが可能となり、エンジン10の耐エンスト性及び回転収束性をさらに高めることができる。
また、上記のエンジン制御装置6では、目標回転数Nobjの値が油温OT及び外部負荷装置の作動状態に応じたものとなる。これにより、エンジン10の安定動作に適した目標回転数Nobjを設定することができる。例えば、目標回転数Nobjをエンジン10のアイドル回転に適した回転数として設定した場合には、エンジン10アイドル運転近傍やアイドル状態への移行前後での安定性が向上する。このように、エンジン10の安定性や耐エンスト性をそのときの運転状態に応じて向上させることができる。
また、上記のエンジン制御装置6では、第一トルク演算部3において、エンジン10の無負荷損失を考慮して第一目標トルクPiobj1を演算している。これにより、第一目標トルクPiobj1を基準とした吸気量制御の実施時におけるエンジン10の回転安定性を向上させることができる。
また、第一トルク演算部3では、無負荷損失トルクPiobjBに回転速度比Rneを乗じた値に基づいて第一目標トルクPiobj1を演算している。これにより、その時点での実際の出力馬力を基準とするのではなく、仮に実回転数Neが目標回転数Nobjに変化したときに確保したい出力馬力の値を正確に把握することができ、この馬力に応じた適切なトルク制御が可能となる。
さらに、第一トルク演算部3では、始動直後加算トルクPiSTUPや補機負荷トルクPiAUXを考慮して第一目標トルクPiobj1を演算している。これにより、エンジン10の始動直後における安定性や耐エンスト性,補機負荷が作用した状態での安定性や耐エンスト性をより向上させることができる。
なお、上記のエンジン制御装置6では、第一目標トルクPiobj1との比較の対象となる第二目標トルクPiobj2として、外部要求トルクPiEXT,ドライバ要求トルクPiAPS及び回転要求トルクPiNeFBの三種類のトルクが演算される。これらのトルクのうち、外部要求トルクPiEXT及びドライバ要求トルクPiAPSは、フィードバック制御である回転フィードバックに基づくトルクPiNeFBとは異なり、エンジン10に作用する負荷に基づいて演算されるものである。したがって、これらのトルクが吸気量制御に反映される状態では、オープンループ制御時の制御性を確保しつつ、エンジンの耐エンスト性及び回転収束性を高めることができる。
一方、回転要求トルクPiobj1は実回転数Neに基づいて演算されるものであるから、このトルクが吸気量制御に反映される状態では、回転フィードバック制御時の制御性を確保しつつ、エンジンの耐エンスト性及び回転収束性を高めることができる。
[5.変形例]
上述した実施形態に関わらず、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。本実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせてもよい。
例えば、第一目標トルク演算部3eで演算される第一目標トルクPiobj1は、前述の通り要求トルクの下限値として機能する点を考慮して、式1で演算された第一目標トルクPiobj1に上限値を設けてもよい。この場合、第一目標トルク演算部3e内に上限値のリミッタを設け、第一目標トルクPiobj1が上限値以上の値になった場合にはその上限値を第一目標トルクPiobj1に設定することが考えられる。このような構成により、第二目標トルクPiobj2を最大値選択部5aで選択されやすくすることができる。
また、上述の実施形態では、最大値選択部5aにおいて、第一目標トルクPiobj1と第二目標トルクPiobj2とのうちの何れか大きい一方が標準吸気目標トルクPiETV_STDとして選択されるものを例示したが、標準吸気目標トルクPiETV_STDの設定手法はこれに限定されない。第一目標トルクPiobj1を下限値として確保するには、少なくとも標準吸気目標トルクPiETV_STDが第一目標トルクPiobj1以上であればよく、したがって、第一目標トルクPiobj1と第二目標トルクPiobj2とのうちの何れか大きい一方以上であればよい。このような構成でも、エンジントルクの下限値を保証することができ、エンジン10の耐エンスト性及び回転収束性を高めることができる。
また、上述の実施形態では、目標回転数Nobjが回転フィードバック制御時の目標値として設定される場合の制御を例示したが、目標回転数Nobjの具体的な値は制御目的に応じて任意に設定してもよい。例えば、オートクルーズ時の目標値として目標回転数Nobjを用いる場合には、定速走行時のエンジン10の回転安定性を向上させることができる。
なお、上述の実施形態では、最大値選択部5aにおける選択の対象が第一目標トルクPiobj1及び第二目標トルクPiobj2である場合を例示したが、それぞれのトルク値に所定の演算処理を施したものを最大値選択部5aでの選択対象とすることも可能である。例えば、第一目標トルクPiobj1から所定トルク値を減算又は加算した値と、第二目標トルクPiobj2とを比較して最大値を選択する構成としてもよい。
さらに、上述の実施形態では、最大値選択部5aでの選択対象の一方である第二目標トルクPiobj2が吸気遅れを考慮したトルク値として与えられた場合を例示したが、これに代えて吸気目標トルクPiETVを用いることも考えられる。すなわち、吸気遅れが考慮される前のトルクを最大値選択部5aでの選択対象の一方としてもよい。
例えば、上述の実施形態の回転要求トルク演算部4cに代えて、図6に示すような回転要求トルク演算部34を使用することが考えられる。この回転要求トルク演算部34には、実トルク演算部35,回転フィードバック補正部36,外部要求補正部37,所定トルク減算部38及び最大値選択部39が設けられる。
実トルク演算部35は、回転要求トルクPiNeFBの基準値となる実トルクを演算するものである。ここでは、実充填効率Ec(又はエアフローセンサ27で検出された吸気流量QIN)に基づき、実際に生じたトルクを実トルクPiACTとして演算する。
回転フィードバック補正部36は、実トルクPiACTに対して加算される補正分のトルクを演算するものである。ここでは、エンジン10の実回転数Ne,目標回転数Nobj,上流圧PBP,下流圧PIM,油温OT等に基づき、実回転数Neを目標回転数Nobjに一致させるためのフィードバック補正量が演算される。ここで演算されたフィードバック補正量は実トルクPiACTに加算され、その加算値は外部要求補正部37に伝達される。
外部要求補正部37は、補機負荷に相当するトルクを演算し、最終的な回転要求トルクPiNeFBを演算するものである。補機負荷に相当するトルクは、例えば外部負荷要求トルク演算部4aで演算される外部要求トルクPiEXTに基づいて設定される。外部要求補正部37は、回転フィードバック補正部36から伝達されたフィードバック補正量及び実トルクPiACTの加算値に対し、補機負荷に相当するトルクをさらに加算し、これを回転要求トルクPiNeFBとして最大値選択部39に伝達する。
所定トルク減算部38は、第一トルク演算部3で演算された第一目標トルクPiobj1から予め設定された所定トルクを減算し、これを新たな第一目標トルクPiobj1として最大値選択部39に伝達するものである。所定トルクとは、第一目標トルクPiobj1の演算の過程で算入される学習値反映トルクPiLRN、又はその最大値(初期値)に対応するものである。
なお、学習値反映トルクPiLRNには、学習が完了した時点でその値が制御目標値(目標回転数Nobj)と制御結果(実回転数Ne)との残留偏差に一致するように修正される特性がある。そのため、学習が未完了のときの学習値反映トルクPiLRNが第一目標トルクPiobj1に含まれると、回転フィードバック制御の収束性が低下する場合がある。そこで、図6に示す実施例では、学習値反映トルクPiLRNに対応する所定トルクを予め第一目標トルクPiobj1から減算しておくことで、収束性を向上させている。
最大値選択部39は、前述の最大値選択部5aと同様に、第一目標トルクPiobj1と第二目標トルクPiobj2とのうちの何れか大きい一方を回転要求トルクPiNeFBとして選択するものである。ここで選択された回転要求トルクPiNeFBは、要求トルク選択部4dに伝達される。
なお、実トルク演算部35を第二トルク演算部4に備えた場合、要求トルク選択部4dで回転要求トルクPiNeFBが吸気目標トルクPiETVとして選択されたときには、吸気量制御部5の最大値選択部5aが不要である。
このような演算構成では、上述の実施形態の演算構成と比較して、所定トルク減算部38から出力される第一目標トルクPiobj1がより小さく見積もられることとなり、第二目標トルクPiobj2に基づく吸気量制御が実施されやすくすることができる。また、特に回転フィードバック制御時における第一目標トルクPiobj1を減少させることにより、実回転数Neが目標回転数Nobjよりも高回転である状態からの回転収束性を向上させることができ、回転数の定常偏差を除去することができる。
なお、上述の実施形態では、エンジン10の負荷状態及び無負荷状態の切り換えの前後で実施される吸気量制御について説明したが、上記の制御はこのような切り換え時だけでなく、他の運転状態においても実施可能である。
1 目標回転数演算部(目標回転数演算手段)
2 無負荷損失トルク演算部(無負荷損失トルク演算手段)
3 第一トルク演算部(第一トルク演算手段)
3a 始動直後加算トルク演算部
3b 補機負荷トルク演算部(補機負荷トルク演算手段)
3c 回転速度比演算部(回転速度比演算手段)
3d 学習値反映量演算部
3e 第一目標トルク演算部(第一目標トルク演算手段)
4 第二トルク演算部(第二トルク演算手段)
5 吸気量制御部(吸気量制御手段)
6 エンジン制御装置

Claims (10)

  1. 無負荷状態でのエンジンの目標回転数を演算する目標回転数演算手段と、
    前記エンジンの前記目標回転数での無負荷損失に相当する無負荷損失トルクを演算する無負荷損失トルク演算手段と、
    前記エンジンの実回転数に基づき、前記目標回転数で前記無負荷損失トルクを出力する状態と等馬力相当の第一目標トルクを負荷状態或いは無負荷状態にかかわらず演算する第一トルク演算手段と、
    少なくとも無負荷状態への移行時又は無負荷状態時に前記第一目標トルクを参酌して前記エンジンに導入される吸気量を制御する吸気量制御手段と
    を備えたことを特徴とする、エンジンの制御装置。
  2. 前記エンジンに要求される要求トルクに基づき、前記エンジンの吸気遅れを模擬した模擬吸気量に対応する第二目標トルクを演算する第二トルク演算手段を備え、
    前記吸気量制御手段が、前記第一目標トルク及び前記第二目標トルクに基づき前記エンジンに導入される吸気量を制御する
    ことを特徴とする、請求項1記載のエンジンの制御装置。
  3. 前記吸気量制御手段が、前記第一目標トルク及び前記第二目標トルクのうちの大きい一方に基づき前記吸気量を制御する
    ことを特徴とする、請求項2記載のエンジンの制御装置。
  4. 前記吸気量制御手段が、前記第二目標トルクよりも前記第一目標トルクが大きい場合に前記吸気量の時間変化量を増大させる
    ことを特徴とする、請求項2又は3記載のエンジンの制御装置。
  5. 前記目標回転数演算手段が、前記エンジンの油温に基づいて前記目標回転数を演算する
    ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載のエンジンの制御装置。
  6. 前記第一トルク演算手段が、
    前記エンジンの実回転数に対する前記目標回転数の比である回転速度比を演算する回転速度比演算手段と、
    前記無負荷損失トルクと前記回転速度比との積に基づき前記第一目標トルクを演算する第一目標トルク演算手段と、を有する
    ことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載のエンジンの制御装置。
  7. 前記第一トルク演算手段が、前記目標回転数での補機負荷に相当する補機負荷トルクを演算する補機負荷トルク演算手段を有し、
    前記第一目標トルク演算手段が、前記無負荷損失トルク及び前記補機負荷トルクの和と前記回転速度比との積に基づき前記第一目標トルクを演算する
    ことを特徴とする、請求項6記載のエンジンの制御装置。
  8. 前記第一目標トルク演算手段が、前記積から所定トルクを減じた値を前記第一目標トルクとして演算する
    ことを特徴とする、請求項6又は7記載のエンジンの制御装置。
  9. 前記第二トルク演算手段が、前記エンジンに作用する負荷に基づき前記第二目標トルクを演算する
    ことを特徴とする、請求項2〜4の何れか1項に記載のエンジンの制御装置。
  10. 前記第二トルク演算手段が、前記エンジンの実回転数に基づき前記第二目標トルクを演算する
    ことを特徴とする、請求項2〜4の何れか1項に記載のエンジン制御装置。
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