JP5598374B2 - エンジンの制御装置 - Google Patents

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本発明は、スロットルバルブの開度制御に係るエンジンの制御装置に関する。
車両に搭載されたエンジンの制御手法の一つとして、エンジンに要求されるトルクの大きさを基準として吸入空気量や燃料噴射量,点火時期等を制御するトルクベース(トルクディマンド)制御が知られている。トルクベース制御では、例えばアクセル開度やエンジン回転数等に基づいてエンジントルクの目標値が演算され、この目標値のトルクが得られるようにエンジンが制御される。また、自動変速機やオートクルーズ装置,車両安定装置といった外部制御システムを搭載した車両では、各外部制御システムからエンジンへの出力要求がトルクに換算されてエンジン制御装置(エンジンECU)内で一元化され、エンジンのトルク挙動が包括的に制御される。
ところで、燃料噴射量や点火時期といった燃焼条件が一定であるとき、エンジンで発生するトルクの大きさは、筒内に導入される吸入空気量に応じたものとなる。この吸入空気量は、エンジンの吸気通路上に設けられたスロットルバルブの開度に応じて変化する。したがって、スロットルバルブの開度を調節することで、エンジントルクの大きさを制御することが可能である。
例えば特許文献1には、目標トルクを目標筒内充填空気量に換算し、この目標筒内充填空気量に推定筒内充填空気量が追従するように目標スロットル開度を演算する手法が記載されている。この技術では、スロットルバルブを通過する空気量の変化や吸気系の遅れを考慮した物理モデルを用いて推定筒内充填空気量を算出し、これを目標値に近づけるようにスロットル開度が制御されている。
また、スロットルバルブを通過する空気の流量は、スロットルバルブの開口面積と空気の流速との積として表現される。したがって、スロットルバルブを通過する空気の流速が定まれば、要求されるエンジントルクを発生させるためのスロットル開度を正確に把握することも可能である。
例えば特許文献2には、スロットルバルブ部の上流圧に対する下流圧の比(圧力比)を用いて、空気の流速に比例する値(流量係数)を算出する技術が記載されている。この技術では、スロットルバルブの上流側及び下流側のそれぞれに設けられた圧力センサの出力信号に基づいて圧力比を算出し、これを用いて筒内に導入される空気量の推定値を演算している。
特開2009−24677号公報 特開2006−132498号公報
ところで、スロットルバルブを通過する吸気流には、スロットルバルブの前後の圧力比(上流圧に対する下流圧の比)が大きいほど流速が減少する特性がある。すなわち、吸気の流速(または質量流量)とスロットルバルブ部の圧力比との間には、図3に示すような関係が認められる。図3中のグラフは、圧力比が1であるとき(スロットルバルブの前後で同一圧力のとき)に流速が0となり、圧力比が臨界圧力比Z0未満になると流速が上限値(音速に対応する速度)で定速となることを示している。
流速の低下する割合はグラフの減少方向の勾配に対応し、圧力比が1に近づくほど勾配が増大する。つまり、吸気の流速は圧力比が上昇するほど低下するが、その低下の割合は圧力比が上昇するほど大きくなる。したがって、圧力比の変化量が同一であっても、圧力比が1に近い状態であるほど流速の変化量が増大する。
一方、スロットルバルブの目標開口面積は、スロットルバルブを通過させたい空気の流量を流速で除した値として演算される。したがって、圧力比が1に近い状態であるほど、圧力比のわずかな変化に対してスロットルバルブの目標開口面積が大きく変化しやすくなり、吸気による実トルクの制御精度に影響を与えやすくなる。特に、スロットル開度がほぼ全開となる運転状態では、スロットルバルブ部の圧力比が増大しやすく、トルクの制御精度を向上させにくいという課題がある。
本件の目的の一つは、上記のような課題に鑑み創案されたもので、適切なスロットルバルブの開度設定により、吸気によるトルクの制御精度を向上させることである。
なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的として位置づけることができる。
(1)ここで開示するエンジンの制御装置は、エンジンの最大トルク相当値に対する前記エンジンの目標トルク相当値の比を圧力比相当値として演算する第一演算手段を備える。また、スロットルバルブの上流圧相当値に対する下流圧相当値の比を実圧力比として演算する第二演算手段を備える。さらに、前記実圧力比に応じて設定される前記スロットルバルブの目標開度を、前記圧力比相当値に基づいて補正する第三演算手段を備える。
た、前記第三演算手段が、前記実圧力比に基づいて前記スロットルバルブを通過する空気の推定流速を演算する推定流速演算手段と、前記圧力比相当値に基づいて前記推定流速を補正する補正手段と、前記補正手段で補正された前記推定流速に基づいて前記スロットルバルブの目標開度を設定する開度設定手段と、を有する
)また、前記補正手段が、前記圧力比相当値に基づいて前記スロットルバルブを通過する空気の基準流速値域を演算する基準流速演算手段と、前記推定流速の値を前記基準流速値域に収まるように補正する流速補正手段と、を有することが好ましい。
)また、前記基準流速演算手段が、前記圧力比相当値に基づいて前記基準流速値域の中心値及び前記中心値からの幅を設定するとともに、前記圧力比相当値が大きいほど前記幅を狭く設定することが好ましい。
)また、前記第三演算手段が、前記圧力比相当値に基づいて前記実圧力比を補正する実圧力比補正手段と、前記実圧力比補正手段で補正された前記実圧力比に基づいて、前記スロットルバルブを通過する空気の推定流速を演算する第二推定流速演算手段と、前記推定流速に基づいて前記スロットルバルブの目標開度を設定する第二開度設定手段と、を有することが好ましい。
)また、前記第一演算手段が、吸排気弁のバルブリフト量又はバルブタイミングに応じて前記最大トルク相当値を算出することが好ましい。
すなわち、演算時点での吸排気弁の制御状態で発生可能な最大のエンジントルクを前記最大トルク相当値として算出することが好ましい。
)また、エンジン回転数に応じて前記エンジンに導入される最大空気量で発生するトルクを前記最大トルク相当値として演算するとともに、前記エンジンへの出力要求に基づいて設定される目標トルクを前記目標トルク相当値として演算することが好ましい。
すなわち、前記エンジンに導入される空気量とは、その時のエンジン回転数でスロットル開度が全開であると仮定したときに前記エンジンに導入される空気量であることが好ましい。換言すれば、前記最大トルク相当値は、その時のエンジン回転数でスロットル開度が全開であると仮定したときに前記エンジンで発生するトルクであることが好ましい。
)また、前記第一演算手段が、点火時期を最適点火時期(すなわちMBT)としたときに前記エンジンで発生するトルクを前記最大トルク相当値として演算することが好ましい。なお、ノッキング防止の観点から前記点火時期を前記最適点火時期に設定できないような場合には、前記最適点火時期よりもやや遅角側の所定点火時期に点火した場合に発生するトルクを前記最大トルク相当値として演算してもよい。
)また、前記第一演算手段が、予め設定された所定空燃比での燃焼時に前記エンジンで発生する最大のトルクを前記最大トルク相当値として演算することが好ましい。前記所定空燃比の具体例としては、ストイキ空燃比(例えば、空燃比14.7前後)や出力空燃比(例えば、12.0〜13.0の空燃比)とすることが考えられる。
)また、前記第一演算手段が、前記最大トルク相当値として前記エンジンの最大充填効率を用いるとともに、前記目標トルク相当値として前記空気量に基づいて演算される目標充填効率を用いて、前記圧力比相当値を演算することが好ましい。
開示のエンジンの制御装置によれば、実圧力比に応じて設定される目標スロットル開度を圧力比相当値で補正することにより、実圧力比の変動に起因するトルク精度の低下を防止することができ、目標トルクに対してスロットルバルブの目標開度を適切に制御することができる。また、圧力比相当値に基づいて実圧力比の存在すべき範囲が基準流速域として演算されるため、実圧力比の演算に係る圧力センサの検出情報が不正確な場合であっても、実圧力比の範囲を適切に設定することができ、スロットルバルブの制御の信頼性を高めることができる。
一実施形態に係るエンジンの制御装置のブロック構成及びこの制御装置が適用されたエンジンの構成を例示する図である。 図1のエンジン制御装置の構成を模式的に示すブロック構成図である。 図1のスロットルバルブ部の圧力比と吸気流の流速との関係を示すグラフである。 本制御装置に係るエンジン回転数及び最大トルクの関係を実線で例示するグラフである。なお、破線はさまざまな運転条件の変更時における実線グラフの変化を例示するものである。 本制御装置に係るエンジン回転数及び基準吸気圧損の関係を例示するグラフである。 本制御装置に係る圧力比相当値と実際の圧力比との相関を説明するためのグラフであり、(a)は図示平均有効圧に基づいて演算された圧力比相当値を用いたもの、(b)は充填効率に基づいて演算された圧力比相当値を用いたものである。 本制御装置での基準流速域を説明するためのグラフであり、(a)は圧力比相当値と流速との関係を例示するグラフ、(b)は圧力比相当値と流速の幅との関係を例示するグラフである。 本制御装置に係る吸気温及び質量流速の関係を例示するグラフである。 本制御装置に係るスロットルバルブの目標開口面積及び目標開度電圧の関係を例示するグラフである。 変形例としての制御装置の構成を模式的に示すブロック構成図である。 変形例としての制御装置に係る基準圧力比域を説明するためのグラフである。
図面を参照して制御装置について説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。
[1.装置構成]
[1−1.気筒構造]
本実施形態のエンジンの制御装置は、図1に示す車載のエンジン10に適用される。ここでは、多気筒のエンジン10に設けられた複数のシリンダのうち、一つのシリンダを示す。シリンダ内を往復摺動するピストン16は、コネクティングロッドを介してクランクシャフト17に接続される。
クランクシャフト17には、その回転角θCRを検出するクランク角センサ30が設けられる。単位時間あたりの回転角θCRの変化量はエンジン回転数Neに比例する。したがって、クランク角センサ30はエンジン10のエンジン回転数Neを検出する機能を持つものといえる。ここで検出(または演算)されたエンジン回転数Neの情報は、後述するエンジン制御装置5に伝達される。なお、クランク角センサ30で検出された回転角θCRに基づき、エンジン制御装置5でエンジン回転数Neを演算する構成としてもよい。
シリンダの頂部には、点火プラグ13がその先端を燃焼室側に突出させた状態で設けられる。また、燃焼室のシリンダヘッド側の頂面には、吸気ポート11及び排気ポート12が設けられる。
この燃焼室の頂面には、吸気ポート11に通ずる開口部を開閉する吸気弁14と、排気ポート12に通ずる開口部を開閉する排気弁15とが設けられる。吸気弁14の開閉駆動により吸気ポート11と燃焼室とが連通又は閉鎖され、排気弁15の開閉駆動により排気ポート12と燃焼室とが連通又は遮断される。
吸気弁14及び排気弁15の上端部はそれぞれ、可変動弁機構6内のロッカシャフトの一端に接続される。ロッカシャフトはロッカアームに軸支された揺動部材であり、それぞれのロッカシャフトの揺動により吸気弁14及び排気弁15が上下方向に往復駆動される。また、ロッカシャフトの他端には、カムシャフトに軸支されたカムが設けられる。これにより、ロッカシャフトの揺動パターンはカムの形状(カムプロファイル)に応じたものとなる。
[1−2.動弁系]
可変動弁機構6は、吸気弁14及び排気弁15のそれぞれについて、最大バルブリフト量及びバルブタイミングを個別に、又は、連動させつつ変更する機構である。可変動弁機構6は、ロッカシャフトの揺動量及び揺動のタイミングを変更する機構として、可変バルブリフト機構6aと可変バルブタイミング機構6bとを備える。
可変バルブリフト機構6aは、吸気弁14や排気弁15の最大バルブリフト量を連続的に変更する機構である。この可変バルブリフト機構6aは、カムシャフトに固定されたカムからロッカアームに伝達される揺動の大きさを変更する機能を有する。ロッカアームの揺動の大きさを変更するための具体的な構造は任意である。
例えば、カムシャフトに固定されたカムとロッカアームとの間に揺動部材を別途介装させ、揺動部材を介してカムシャフトの回転運動をロッカアームの揺動運動に変換する構造とすることが考えられる。この場合、揺動部材の位置を移動させてカムとの接触位置を変更することで、揺動部材の揺動量が変化し、ロッカアームの揺動量も変化する。これにより、バルブリフト量を連続的に変化させることが可能となる。
以下、ロッカシャフトに対する揺動部材の基準位置からの角度変化量のことを、制御角θVVLと呼ぶ。制御角θVVLはバルブリフト量に対応するパラメータであり、制御角θVVLが大きいほどバルブリフト量が増大するように、揺動部材の基準位置が設定されているものとする。可変バルブリフト機構6aは、この制御角θVVLを調節することによって、バルブリフト量を任意の値に制御する。なお、可変バルブリフト機構6aで制御される制御角θVVLの情報は、エンジン制御装置5に伝達される。
可変バルブタイミング機構6bは、吸気弁14や排気弁15の開閉のタイミング(バルブタイミング)を変更する機構である。この可変バルブタイミング機構6bは、ロッカアームに揺動を生じさせるカム又はカムシャフトの回転位相を変更する機能を有する。カム又はカムシャフトの回転位相を変更することで、クランクシャフト17の回転位相に対するロッカアームの揺動のタイミングを連続的にずらすことが可能となる。
以下、基準となるカムシャフトの位相角から実際のカムシャフトの位相角がどの程度進角又は遅角しているかを示す位相角の変化量のことを、位相角θVVTと呼ぶ。位相角θVVTは、バルブタイミングに対応するパラメータである。可変バルブタイミング機構6bは、この位相角θVVTを調整することによって、バルブタイミングを任意に制御する。可変バルブタイミング機構6bで制御される位相角θVVTの情報は、エンジン制御装置5に伝達される。
[1−3.吸気系]
吸気ポート11内には、燃料を噴射するインジェクタ18が設けられる。インジェクタ18から噴射される燃料量は、後述するエンジン制御装置5によって電子制御される。また、インジェクタ18よりも吸気流の上流側には、インテークマニホールド20(以下、インマニと呼ぶ)が設けられる。このインマニ20には、吸気ポート11側へと流れる空気を一時的に溜めるためのサージタンク21が設けられる。サージタンク21よりも下流側のインマニ20は、複数のシリンダの吸気ポート11に向かって分岐するように形成され、サージタンク21はその分岐点に位置する。サージタンク21は、各々のシリンダで発生する吸気脈動や吸気干渉を緩和するように機能する。
インマニ20の上流端には、スロットルボディ23が接続される。スロットルボディ23の内部には電子制御式のスロットルバルブ24が内蔵され、インマニ20側へと流通する空気量がスロットルバルブ24の開度(スロットル開度)に応じて調節される。このスロットル開度は、後述するエンジン制御装置5によって電子制御される。
スロットルボディ23のさらに上流側には、吸気通路25が接続される。この吸気通路25内には、空気の流量QINを検出するエアフローセンサ27と、吸気温ATを検出する吸気温センサ31とが設けられる。ここで検出される流量QIN及び吸気温ATの情報は、エンジン制御装置5に伝達される。また、吸気通路25のさらに上流側にはエアフィルタ28が介装される。これにより、エアフィルタ28で濾過された新気が吸気通路25及びインマニ20を介してエンジン10のシリンダに供給される。
スロットルバルブ24の上流側及び下流側には、それぞれの位置での圧力を検出する大気圧センサ26及びインマニ圧センサ22が設けられる。大気圧センサ26はスロットルバルブ24の上流圧PBP(大気圧に対応する圧力)を検出するものであり、インマニ圧センサ22はスロットルバルブ24の下流圧PIM(サージタンク21内の圧力に対応する圧力)を検出するものである。これらの圧力センサ22,26で検出されたスロットルバルブ部の上流圧PBP及び下流圧PIMの情報は、エンジン制御装置5に伝達される。
[1−4.制御系]
車両の任意の位置には、アクセルペダルの踏み込み量に対応する操作量θACを検出するアクセルペダルセンサ29が設けられる。アクセルペダルの踏み込み操作量θACは、運転者の加速要求に対応するパラメータであり、すなわちエンジン10への出力要求に対応する。ここで検出された操作量θACの情報は、エンジン制御装置5に伝達される。
エンジン制御装置5(Engine Electronic Control Unit)は、エンジン10の各シリンダに対して供給される空気量,燃料噴射量及び点火タイミングを制御する電子制御装置であり、例えばマイクロプロセッサやROM,RAM等を集積したLSIデバイスや組み込み電子デバイスとして構成される。
ここでは、エンジン10に要求されるトルクの大きさを基準としたトルクベース制御が実施される。エンジン制御装置5の具体的な制御対象としては、インジェクタ18から噴射される燃料量や噴射時期,点火プラグ13での点火時期,スロットルバルブ24の開度θTHなどが挙げられる。本実施形態では、スロットル開度θTHの調整によるエンジントルクの制御(吸気量制御)に着目しておもにその機能を説明する。
[2.制御構成]
エンジン制御装置5は、エンジン10に要求されるトルクのうち、吸入空気量の調整によって達成されるトルク分の目標値を目標トルクPiETVとして算出し、この目標トルクPiETVを発生させるのに必要な量の空気がスロットルバルブ24を通過するようにスロットル開度θTHを制御する。エンジン制御装置5の入力側には、可変動弁機構6,インマニ圧センサ22,大気圧センサ26,エアフローセンサ27,アクセルペダルセンサ29,クランク角センサ30及び吸気温センサ31が接続され、出力側にはスロットルバルブ24が接続される。
前述の通り、スロットルバルブ24を通過する空気の流量は、スロットルバルブ24の目標開口面積Sと空気の流速Vとの積として表現され、空気の流速Vはスロットルバルブ部の圧力比(上流圧PBPに対する下流圧PIMの比)に基づいて算出することができる。したがって、目標トルクPiETVを発生させるのに必要な量の空気が算出されれば、インマニ圧センサ22で検出された下流圧PIMと大気圧センサ26で検出された上流圧PBPとの圧力比(PIM/PBP)を用いて目標スロットル開度θTHを算出することができる。一方、本実施形態のエンジン制御装置5は、図3に示すような圧力比と流速との関係を考慮して、より適切な目標スロットル開度θTHを算出するための機能を兼ね備えている。
図1に示すように、エンジン制御装置5には、第一演算部1,第二演算部2,第三演算部3及びスロットル開度制御部4が設けられる。これらの第一演算部1,第二演算部2,第三演算部3及びスロットル開度制御部4の各機能は、電子回路(ハードウェア)によって実現してもよく、あるいはソフトウェアとしてプログラミングされたものとしてもよいし、あるいはこれらの機能のうちの一部をハードウェアとして設け、他部をソフトウェアとしたものであってもよい。
[2−1.第一演算部]
第一演算部1(第一演算手段)は、エンジン10の最大トルク相当値に対する目標トルク相当値の比を圧力比相当値Aとして演算するものである。最大トルク相当値とは、エンジン10で発生しうる最大トルクPiMAX、又はこの最大トルクPiMAXに対応する物理量を意味する。また、最大トルクPiMAXとは、その時点でのエンジン10の運転状態で吸入空気量が最大であるときに発生するトルクの最大値である。一方、目標トルク相当値とは、エンジン10への出力要求に基づいて設定される目標トルクPiETV、又は目標トルクPiETVに対応する物理量を意味する。
ここでは、圧力比相当値Aが、圧力比に相当するパラメータとしてスロットルバルブ部の圧力比とは別個に演算される。図2に示すように、第一演算部1には、最大トルク演算部1a,目標トルク演算部1b,圧力比相当値演算部1c及び目標流量演算部1dが設けられる。
最大トルク演算部1aは、クランク角センサ30で検出(または演算)されたエンジン回転数Neに基づいて最大トルクPiMAXを演算するものである。ここで演算される最大トルクPiMAXは、その時点でのエンジン回転数Neでスロットルバルブ24が全開の状態のときにエンジン10で発生するトルクである。例えば図4中に実線で示すように、最大トルク演算部1aは、スロットル全開時における最大トルクPiMAXとエンジン回転数Neとの対応関係を定めたグラフやマップを用いて、最大トルクPiMAXを演算する。ここで演算された最大トルクPiMAXは、圧力比相当値演算部1cに伝達される。
最大トルク演算部1aでの最大トルクPiMAXの演算では、基本的には、最適点火時期に点火した場合に発生するトルクが最大トルクPiMAXとして演算される。ただし、エンジン10のノッキング防止の観点から点火時期を最適点火時期に設定できないような場合には、最適点火時期よりもやや遅角側の所定点火時期に点火した場合に発生するトルクを最大トルクPiMAXとして演算する。ノッキングは点火時期を遅らせるほど発生しにくくなるが、点火時期を遅らせるとエンジントルクが小さくなる。したがって、ほとんどノックが発生しない点火時期範囲のうち、最適点火時期に近い進角寄りに所定点火時期を設定することが好ましい。
なお、点火時期を変化させると、スロットル全開時における最大トルクPiMAXとエンジン回転数Neとの対応関係も変化し、図4中における実線グラフの位置及び形状が変化する。一方、図4中に破線で示すように、複数の点火時期に対応するグラフを予め設定しておくことで、点火時期に応じた最大トルクPiMAXの演算が可能である。したがって、最大トルク演算部1aが、エンジン回転数Ne及び点火時期に応じて最大トルクPiMAXを演算する構成としてもよい。
また、空燃比に関しては、その時点での実際の空燃比ではなく予め設定された所定空燃比である場合を想定して最大トルクPiMAXを演算することが好ましい。例えば、実際の空燃比がリーン空燃比であったとしても、ストイキ空燃比(14.7前後の空燃比)や出力空燃比(高出力が得られる12.0〜13.0の空燃比)でのエンジン出力の推定値を最大トルクPiMAXとして演算することが考えられる。
なお、点火時期と同様に、最大トルクPiMAXの演算の前提となる空燃比が異なれば、演算される最大トルクPiMAXの値も異なるものとなる。一方、図4中に破線で示すように、複数の空燃比に対応するグラフを予め設定しておくことで、空燃比に応じた最大トルクPiMAXの演算が可能である。したがって、最大トルク演算部1aが、エンジン回転数Ne及び空燃比に応じて最大トルクPiMAXを演算する構成としてもよい。
さらに、吸気弁14や排気弁15のバルブリフト量やバルブタイミングに関しても同様であり、最適な制御角θVVL,位相角θVVT(すなわち、最も大きいトルクをエンジン10に発生させるバルブリフト量やバルブタイミング)であるときの最大トルクPiMAXを演算してもよいし、あるいはその時点での制御角θVVL,位相角θVVTにおいてエンジン10で発生する最大トルクPiMAXを演算してもよい。この場合も、図4中に破線で示すように、複数の制御角θVVL,位相角θVVTに対応するグラフを予め設定しておくことで、制御角θVVL,位相角θVVTに応じた最大トルクPiMAXの演算が可能である。したがって、最大トルク演算部1aが、エンジン回転数Neとバルブリフト量,バルブタイミングとに応じて最大トルクPiMAXを演算する構成としてもよい。
最大トルクを意味する記号PiMAXのうちのPiは、図示平均有効圧(エンジン10の指圧線図に基づいて算出される仕事を行程容積で割った圧力値)を意味し、ここでは図示平均有効圧Piを用いてトルクの大きさを表現している。本実施形態では、エンジン10で生じる力のモーメントのことだけでなく、エンジン10のピストン16に作用する平均有効圧(例えば、図示平均有効圧Piや正味平均有効圧Pe)で表現されたトルク相当量(トルクに対応する圧力)のことも便宜的に「トルク」と呼ぶ。
目標トルク演算部1bは、クランク角センサ30で検出(または演算)されたエンジン回転数Neとアクセルペダルセンサ29で検出された操作量θACとに基づいて、目標トルクPiETVを演算するものである。この目標トルクPiETVは、最大トルクPiMAXと同様に、吸気量制御におけるトルクの目標値を図示平均有効圧Piに換算した値である。ここで演算された目標トルクPiETVの値は、圧力比相当値演算部1c及び目標流量演算部1dに伝達される。
圧力比相当値演算部1cは、最大トルク演算部1aで演算された最大トルクPiMAXと目標トルク演算部1bで演算された目標トルクPiETVとに基づき、圧力比相当値Aを演算するものである。圧力比相当値Aは、最大トルクPiMAXに対する目標トルクPiETVの比(A=PiETV/PiMAX)として与えられる。ここで演算された圧力比相当値Aは、第三演算部3に伝達される。
目標流量演算部1dは、目標トルク演算部1bで演算された目標トルクPiETVを発生させるのに必要な新気の目標流量QTH_TGTを演算するものである。目標流量QTH_TGTとは、スロットルバルブ24を通過する空気の質量流量の目標値であり、ここで演算された目標流量QTH_TGTに基づいてスロットルバルブ24の目標開度θTHが設定される。この目標流量演算部1dには、図2に示すように、目標充填効率演算部1e,目標筒内空気量演算部1f及び流量演算部1gが設けられる。
目標充填効率演算部1eは、目標トルク演算部1bから伝達された目標トルクPiETVに対応する目標充填効率EcTGTを演算するものである。ここでは、例えば予め設定された目標トルクPiETVと目標充填効率EcTGTとの対応マップや数式等に基づいて目標充填効率EcTGTが演算される。ここで演算された目標充填効率EcTGTは、目標筒内空気量演算部1fに伝達される。
なお、記号Ecは充填効率を意味する。充填効率とは、一回の吸気行程(ピストン16が上死点から下死点に移動するまでの一行程)の間にシリンダ内に充填される空気の体積を標準状態での気体体積に正規化したのちシリンダ容積で除算したものである。充填効率はその行程でシリンダ内に導入された空気量に対応し、目標充填効率EcTGTは充填効率の目標値であって目標空気量に対応する。以下、実際にエンジン10の気筒内に導入された空気量に対応する充填効率Ecのことを実充填効率Ecと呼ぶ。
目標筒内空気量演算部1fは、目標充填効率演算部1eで演算された目標充填効率EcTGTを、シリンダ内に導入される空気量の目標値QcTGTに変換する演算を行うものである。ここでは、例えば予め設定された目標充填効率EcTGTと目標値QcTGTとの対応マップや数式等に基づいて目標値QcTGTが求められる。ここで演算された目標値QcTGTは、流量演算部1gに伝達される。
流量演算部1gは、シリンダ内に導入される空気量の目標値QcTGTから、スロットルバルブ24を通過させたい空気量の目標値である新気の目標流量QTH_TGTを演算するものである。ここでは、サージタンク21の体積等に由来する吸気遅れを考慮して、予め設定された物理モデル,数式等に基づいて目標流量QTH_TGTが演算される。ここで演算された目標流量QTH_TGTは第三演算部3に伝達される。
[2−2.第二演算部]
第二演算部2(第二演算手段)は、スロットルバルブ24の上流圧相当値に対する下流圧相当値の比を実圧力比Bとして演算するものである。ここでいう実圧力比Bとは、実際の吸気通路25の圧力状態を前述のスロットルバルブ部の圧力比(PIM/PBP)に正確に反映させたものである。本実施形態では、スロットルボディ23の近傍や吸気通路25における圧力損失の影響を考慮して、実圧力比Bが演算される。
実圧力比Bの演算に係る上流圧相当値とは、スロットルバルブ24を通過する直前の空気の圧力、又はこれに相当する圧力を意味し、例えば大気圧センサ26で検出された上流圧PBPはこれに含まれる。一方、本実施形態では、吸気圧損による圧力変化を考慮して、大気圧センサ26で検出された上流圧PBPを補正した補正上流圧PTH_Uが用いられる。
下流圧相当値とは、スロットルバルブ24を通過した直後の空気の圧力、又はこれに相当する圧力を意味し、例えばインマニ圧センサ22で検出された下流圧PIMがこれに含まれる。本実施形態では、下流圧相当値として下流圧PIMがそのまま用いられる。なお、スロットルバルブ24とインマニ圧センサ22の取付位置とが離れているような場合には、下流圧PIMを補正した値を下流圧相当値としてもよい。
図2に示すように、第二演算部2には、上流圧演算部2a及び実圧力比演算部2bが設けられる。
上流圧演算部2aは、大気圧センサ26で検出された上流圧PBP,エンジン回転数Ne,実充填効率Ec及び最大充填効率EcMAXに基づき、補正上流圧PTH_Uを演算するものである。実充填効率Ecは、例えばエアフローセンサ27で検出された空気の流量QINに基づいて算出され、最大充填効率EcMAXは、例えばエンジン回転数Neに応じて算出される。なお、最大充填効率EcMAXは、前述の最大トルクPiMAXを充填効率(空気量)に換算した値である。
上流圧演算部2aは、例えば図5に示すような関係に基づき、エンジン回転数Neから推定されるスロットル全開時の基準吸気圧損TPRSLOSSWOTを算出する。スロットル全開時の基準吸気圧損TPRSLOSSWOTは、エンジン回転数Neが高回転であるほど増大し、その増加勾配もエンジン回転数Neが高回転であるほど増大する特性を持つ。
また、上流圧演算部2aは、最大充填効率EcMAXに対する実充填効率Ecの比(Ec/EcMAX)を基準吸気圧損TPRSLOSSWOTに乗じて、吸気圧損PLOSSを算出する。最大充填効率EcMAXはスロットル全開時にエンジン10に導入される空気量に対応する値を持つパラメータであるから、最大充填効率EcMAXに対する実充填効率Ecの比はスロットルバルブ24の開口割合に対応する値となる。したがって、ここで算出される吸気圧損PLOSSは、基準吸気圧損TPRSLOSSWOTをその時点のスロットル開度での圧力損失量に換算したものとなる。
さらに、上流圧演算部2aは、大気圧センサ26で検出された上流圧PBPから吸気圧損PLOSSを減算したものを補正上流圧PTH_U(スロットル上流圧,PTH_U=PBP-PLOSS)として演算する。ここで演算された補正上流圧PTH_Uは、実圧力比演算部2bに伝達される。
実圧力比演算部2bは、上流圧演算部2aで演算された補正上流圧PTH_Uとインマニ圧センサ22で検出された下流圧PIMとに基づき、実圧力比Bを演算するものである。実圧力比Bは、補正上流圧PTH_Uに対する下流圧PIMの比(B=PIM/PTH_U)として与えられる。
また、実圧力比演算部2bには、ここで演算された実圧力比Bの急変を抑制するための手段として、演算周期毎の変化量(単位時間あたりの変化量)を制限するリミッタが設けられる。例えば、前回の演算周期で演算された実圧力比をB(n-1)とおき、今回の演算周期で演算された実圧力比をB(n)とおき、演算周期毎の許容変化量をB0とおくと、今回の実圧力比B(n)が前回の実圧力比B(n-1)よりも許容変化量B0以上増加している場合には、今回の実圧力比B(n)にB(n-1)+B0を代入する。反対に、今回の実圧力比B(n)が前回の実圧力比B(n-1)よりも許容変化量B0以上減少している場合には、今回の実圧力比B(n)にB(n-1)-B0を代入する。
なお、許容変化量B0の値は予め設定された固定値としてもよいし、図3に示すような吸気の流速と圧力比との関係を考慮して、今回の実圧力比B(n)及び前回の実圧力比B(n-1)の少なくとも何れか一方(又は両方)が1に近い所定値以上のときに設定されるものとしてもよい。あるいは、今回の実圧力比B(n)が1に近いほど、許容変化量B0が増大するような設定としてもよい。ここで演算された実圧力比Bは、第三演算部3に伝達される。
[2−3.第三演算部]
第三演算部3(第三演算手段)は、実圧力比Bに応じて設定されるスロットルバルブ24の目標開度θTHを、圧力比相当値Aに基づいて補正するものである。実圧力比Bの演算精度はインマニ圧センサ22や大気圧センサ26といったセンサでの検出精度に依存するのに対し、圧力比相当値Aの演算精度はこれらのセンサの検出精度に依存しない。本実施形態では、第三演算部3が圧力比相当値Aに基づいて実圧力比Bの基準流速域(基準流速値域)を設定し、実圧力比Bと基準流速域とから空気の流速Vを演算する。
ここで、圧力比相当値Aと実際のスロットルバルブ部の実圧力比Bとの関係をグラフ化して図6(a)に示す。このグラフは、エンジン回転数Ne及び空燃比を一定とし、吸気弁14のバルブリフト量(制御角θVVL)を変化させた場合のそれぞれの圧力比相当値Aと実圧力比Bとの関係をプロットしたものである。
グラフの横軸,縦軸はそれぞれ圧力比相当値A,実圧力比Bであり、点線状に配置された白丸は圧力比相当値Aと実圧力比Bとが同一値となる点(実圧力比B=圧力比相当値Aの直線グラフ上の点)を示す。図6(a)中の細破線,細実線,太破線,太実線のグラフはそれぞれ、吸気弁14のバルブリフト量をL1,L2,L3,L4の四段階で順に増大させたときの結果である。これらの四つのグラフはそれぞれ、点線状の白丸にほぼ沿った形状をなしている。つまり、圧力比相当値Aと実圧力比Bとの間には相関が認められ、かつ、その相関はバルブリフト量に依存しない。
本実施形態では、このような圧力比相当値Aと実圧力比Bとの相関を利用して、実圧力比Bのみから吸気流の流速Vを演算するのではなく、双方を用いて流速Vを演算する。第三演算部3には、図2に示すように、推定流速演算部3a,基準流速演算部3b,流速補正部3c及び開度設定部3dが設けられる。
推定流速演算部3a(推定流速演算手段)は、実圧力比Bに基づいて空気の推定流速VBを演算するものである。推定流速演算部3aには、スロットルバルブ部の前後圧力比による流速の変化を規定するマップや数式等が予め記録されている。例えば、図3に示すような圧力比と流速との関係に基づいて、実圧力比Bに対応する推定流速VBが演算される。ここで演算された推定流速VBは、流速補正部3cに伝達される。
なお、図3に示すように、管内の絞りを流通する圧縮性流体(圧力変化に応じて密度が変化する流体)の流速は、絞りの前後の圧力比(上流圧に対する下流圧の比)が大きいほど減少する。一方、圧力比が臨界圧力比Z0よりも小さくなると流速は一定となる。このような特性を踏まえて、図3のグラフでは圧力比の定義域が0以上、1以下の範囲に設定され、圧力比が1であるときに流速が0に設定されている。また、圧力比が減少するに連れて流速が増大し、圧力比が臨界圧力比Z0未満のときには流速が音速に対応する上限値V0となるような圧力比と流速との関係が示されている。
基準流速演算部3b(基準流速演算手段)は、圧力比相当値Aに基づき、スロットルバルブ24を通過する空気の基準流速域を演算するものである。基準流速域とは、実圧力比Bが存在すべき値の範囲を意味する。ここでは、中心値VCEN及び幅VWDT(中心値VCENからの距離)よって基準流速域が規定され、これらの中心値VCEN及び幅VWDTのそれぞれが圧力比相当値Aに応じて設定される。
基準流速演算部3bには、図7(a)に示すような圧力比相当値Aと中心値VCENとの対応関係と、図7(b)に示すような圧力比相当値Aと幅VWDTとの対応関係が予め記憶されており、これらの対応関係に基づき、中心値VCEN及び幅VWDTが演算される。図7(a)に示す圧力比相当値A及び中心値VCENの関係は、図3に示す圧力比及び流速の関係と同一であってもよいし、相違するものを別途用意してもよい。
図7(b)に示すグラフでは、圧力比相当値Aが臨界圧力比A0以上、1以下の範囲で幅VWDTが正の値を持ち、それ以外の範囲(圧力比相当値が臨界圧力比A0未満の範囲)では幅VWDTが0となるように、圧力比相当値Aと幅VWDTとの関係が定められている。また、幅VWDTの値は、A=A0及びA=1のときに0となり、A=A1(ただしA0<A1<1)のときに最大値をとるように設定されている。
圧力比相当値Aが1に近い領域(例えば、A>A1の範囲)に着目すると、幅VWDTの値は圧力比相当値Aが1に接近するほど減少して0に漸近する。つまり、圧力比相当値Aが1に近い領域では流速Vの変化量(変化勾配)が大きいため、その変化を強く抑制している。なお、図7(a)の実線グラフの上下方向に、幅VWDTの値を加減算した流速値のラインL1,L2を描くと、上限を示すラインL1と下限を示すラインL2とで挟まれた領域(ハッチング領域)が基準流速域の範囲となる。
流速補正部3c(補正手段,流速補正手段)は、推定流速演算部3aで演算された推定流速VBが基準流速域内に存在するか否かを判定し、判定結果に基づいて推定流速VBを補正するものである。ここでは、推定流速VBが基準流速内に収まるように補正演算が実施され、目標スロットル開度θTHを設定するための最終的な流速Vが演算される。推定流速VBの状態は、以下の三通りの何れかとなる。
(A)推定流速VBが基準流速域の上限を上回っている(VCEN+VWDT<VB
(B)推定流速VBが基準流速域の下限を下回っている(VB<VCEN−VWDT
(C)推定流速VBが基準流速域内にある(VCEN−VWDT≦VB≦VCEN+VWDT
上記の(C)の場合には推定流速VBが適正範囲にあるものと判断し、流速補正部3cは流速Vに推定流速VBの値を代入して開度設定部3dに伝達する。つまりこの場合、推定流速VBは補正されない。一方、上記の(A)の場合には、推定流速VBが過大であると判断し、流速補正部3cは中心値VCEN及び幅VWDTの加算値を流速Vに代入して開度設定部3dに伝達する。また、上記の(B)の場合には、推定流速VBが過小であると判断し、流速補正部3cは中心値VCENから幅VWDTを減じた値を流速Vに代入して開度設定部3dに伝達する。したがって、開度設定部3dに伝達される流速Vは、基準流速域内の値に制限される。このように流速補正部3cは、圧力比相当値Aに基づいて推定流速VBを補正する補正手段として機能する。
開度設定部3d(開度設定手段)は、目標流量演算部1dの流量演算部1gで演算された目標流量QTH_TGTと流速補正部3cから伝達された流速Vとに基づき、スロットルバルブ24の目標開口面積Sを演算するものである。目標開口面積Sは、例えば図2中に示すように、流速Vに補正係数MMACHを乗じた値で目標流量QTH_TGTを除算して求められる。補正係数MMACHは、温度による空気の密度変化を考慮して算入される値であり、例えば、吸気温センサ31で検出された吸気温ATと上流圧演算部2aで演算された補正上流圧PTH_Uとに基づいて設定される。
本実施形態では、図8に示すような関係に基づき、吸気温ATに応じて吸気流の質量流速(流速及び密度の積)が演算されるとともに、標準大気圧に対する補正上流圧PTH_U比を質量流速に乗じた値に所定の係数を掛けたものが補正係数MMACHとして演算される。ここで演算された目標開口面積Sはスロットル開度制御部4に伝達される。
[2−4.スロットル開度制御部]
スロットル開度制御部4は、スロットルバルブ24の開度が第三演算部3内で演算された目標開口面積Sと等しくなるように、スロットルバルブ24に制御信号を出力するものである。ここでは、例えば予め設定された目標開口面積Sと目標開度電圧Eとの対応マップや数式等に基づいて目標開度電圧Eが演算され、この目標開度電圧Eが制御信号としてスロットルバルブ24に出力される。目標開口面積Sと目標開度電圧Eとの関係は、スロットルバルブ24の構造,形状,種類等に応じて規定される。例えば、開度電圧が高いほど通路を大きく開放する特性を持ったスロットルバルブ24の場合には、図9に示すように、目標開口面積Sが大きいほど目標開度電圧Eを増大させればよい。
なお、スロットルバルブ24はスロットル開度制御部4からの制御信号を受けてスロットル開度を制御され、目標開口面積Sが実現される。これにより、スロットルバルブ24を通過する空気の流量が目標流量QTH_TGTになるとシリンダの実充填効率Ecが目標充填効率EcTGTとなり、エンジン10の出力トルクが目標トルクPiETVとなる。エンジン制御装置5ではこのように吸気量制御が実施される。
[3.作用,効果]
図6(a)に示すように、圧力比相当値Aにはスロットルバルブ部の実圧力比Bとの相関が認められる。この相関を踏まえて、上述のエンジン制御装置5は演算過程の異なるこれらの二種類の指標を用い、実圧力比Bから算出される目標スロットル開度θTHを圧力比相当値Aに基づいて補正する。実圧力比Bは、第二演算部の実圧力比演算部2bで演算される値であり、圧力比相当値Aは実圧力比Bとは別個に第一演算部1の圧力比相当値演算部1cで演算される値である。
このような一方の指標を他方の指標で補正する演算により、精度の高い目標開口面積Sを演算することが可能となり、適切なスロットルバルブ24の目標開度を設定することができる。また、上述のエンジン制御装置5では、実圧力比Bの変動,変化が圧力比相当値Aによって抑制される。したがって、目標スロットル開度θTHの制御精度及び確度を向上させることができ、目標トルクPiETVに対して目標スロットル開度θTHを適切に制御することができる。
また、上述のエンジン制御装置5では、実圧力比演算部2bにリミッタが設けられており、実圧力比Bの変動,変化が二重に制限されることになる。これにより、目標スロットル開度θTHの意図しない急変動をより確実に抑制することができ、スロットルバルブ24の制御性を向上させることができる。
さらに、上述のエンジン制御装置5では、実圧力比Bに基づいて推定流速VBが演算されるとともに、圧力比相当値Aに基づいて推定流速VBが補正される。これにより、推定流速VBの急変を抑制することが可能となり、流速の推定精度を向上させることができるとともに、目標トルクPiETVに対する目標スロットル開度θTHの信頼性を高めることができる。
なお、スロットル開度が比較的大きい制御領域では、実圧力比Bが1に近づき、実圧力比Bのわずかな変化に対して推定流速VBの値が大きく変動しやすくなる。つまり、スロットルバルブ24の目標開口面積Sも大きく変化しやすくなり、スロットルバルブ24の制御性が低下してしまう場合がある。
これに対して、本エンジン制御装置5によれば、推定流速VBの値の変動幅を小さくすることができる。したがって、スロットル開度が比較的大きい制御領域であっても、スロットルバルブ24の制御性を確保することができ、例えばセンサの検出誤差によって実圧力比Bが変化してしまったような場合にも、適切にスロットルバルブ24を制御することができる。
また、上述のエンジン制御装置5では、圧力比相当値Aに基づいて実圧力比Bの存在すべき範囲が基準流速域として演算される。この基準流速域は、インマニ圧センサ22や大気圧センサ26で検出された圧力の情報ではなく、エンジントルクに係る情報に基づいて設定される範囲である。したがって、仮にこれらの圧力センサ22,26の検出情報が不正確な場合であっても適切な範囲を設定することができ、スロットルバルブ24の制御の信頼性を高めることができる。
また、基準流速域に幅VWDTを設けることにより、実圧力比Bの微小な変化を許容することができる。すなわち、流速補正部3cでの判定において、推定流速VBが基準流速域の範囲内にある場合には、その推定流速VBが流速Vとなる。これにより、スロットルバルブ24の制御に柔軟性を付与することができ、制御性のさらなる向上を図ることができる。一方、推定流速VBが基準流速域の範囲外にある場合には、基準流速域を定める上限値(VCEN+VWDT)又は下限値(VCEN−VWDT)の何れかが流速Vとなる。これにより、図7に示すような流速の中心値VCENからの推定流速VBの逸脱を防止することができる。
また、上述のエンジン制御装置5では、例えば図7(b)に示すように、圧力比相当値Aが1に接近するほど幅VWDTの設定値が0に漸近する。このような幅VWDTの設定により、推定流速VBが変化しやすい状態のときにその推定流速VBの変動抑制作用を強化することができる。その結果、目標開口面積Sの演算に係る流速Vの安定性を高めることができ、スロットルバルブ24の制御性を向上させることができる。
また、最大トルク演算部1aでの最大トルクPiMAXの演算に際し、バルブリフト量,バルブタイミングに応じて最大トルク相当値を算出する構成とすれば、この最大トルクPiMAXから演算される圧力比相当値Aと実圧力比Bとの相関が強まるため、吸気弁14や排気弁15の制御状態に応じたスロットルバルブ24の目標開度を正確に設定することができる。
また、圧力比相当値Aの演算手法に関して、上述の制御装置ではその時点での最大トルクPiMAXと目標トルクPiETVとを用いて圧力比相当値Aを演算している。これらの最大トルクPiMAX,目標トルクPiETVは、例えば燃料の噴射量や噴射時期,点火時期の制御といった吸気量制御以外のトルクベース制御でも使用されうるパラメータであるため、演算値の転用や他の制御への再利用が容易であり、制御プログラムやアルゴリズムの簡素化が容易であるという利点がある。
また、最大トルクPiMAXの演算に関して、最大トルク演算部1aでは、基本的には、点火時期を最適点火時期としたときにエンジン10で発生するトルクが最大トルクPiMAXとして演算されている。つまり、たとえ実際の点火時期が最適点火時期でない場合であっても、その時点のエンジン10が発生させうる最大のトルクが最大トルクPiMAXとして演算される。これにより、圧力比相当値Aと実圧力比Bとの相関を高めることができ、スロットルバルブ24の目標開度の演算精度を向上させることができる。
一方、点火時期を最適点火時期に設定できないような運転状態の場合であっても、最適点火時期に近い進角寄りに所定点火時期が設定され、その所定点火時期で発生トルクが最大トルクPiMAXとして演算されるため、圧力比相当値Aと実圧力比Bとの相関を高めることができ、スロットルバルブ24の目標開度の演算精度を向上させることができる。
なお、エンジン10の最大トルクPiMAXや目標トルクPiETVを用いて圧力比相当値Aを演算することで、演算構成の簡素化が容易であるというメリットもある。
さらに、例えばストイキ空燃比や出力空燃比といった一定の所定空燃比という条件下で最大トルクPiMAXを演算した場合には、空燃比に由来するトルクの相違の影響を取り除くことができ、圧力比相当値Aと実圧力比Bとの相関をさらに高めることができる。
[4.変形例]
[4−1.充填効率を用いた圧力比相当値の演算]
上述した実施形態に関わらず、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。本実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせてもよい。
上述の制御装置では、エンジン10の最大トルクPiMAX及び目標トルクPiETVを用いて圧力比相当値Aを演算しているが、トルクの代わりにシリンダ内に導入される空気量を用いることで同様の演算を行うことも可能である。例えば、上述の実施形態の最大トルクPiMAX及び目標トルクPiETVの代わりに、最大充填効率EcMAX及び目標充填効率EcTGTを用いて第二圧力比相当値A′を演算し、この第二圧力比相当値A′に基づいて基準流速域を設定する構成とすることが考えられる。
最大充填効率EcMAXとは、上述の実施形態における最大トルクPiMAXに対応する充填効率であり、そのときのエンジン回転数Neで最大トルクPiMAXを発生させるのに要求される空気量に基づいて算出される充填効率(スロットル全開時における充填効率)である。また、目標充填効率EcTGTは目標トルクPiETVに対応する充填効率であり、エンジン10で目標トルクPiETVを発生させるのに要求される空気量に基づいて算出される充填効率である。これらのパラメータを用いて、最大充填効率EcMAXに対する目標充填効率EcTGTの比を第二圧力比相当値A′(A′=EcTGT/EcMAX)とすることができる。
ここで、第二圧力比相当値A′と実際のスロットルバルブ部の実圧力比Bとの関係を、図6(b)に例示する。このグラフは、図6(a)と同様に、エンジン回転数Ne及び空燃比を一定とし、吸気弁14のバルブリフト量を変化させた場合のそれぞれの第二圧力比相当値A′と実圧力比Bとの関係をプロットしたものである。
バルブリフトが異なる四つのグラフは、何れも点線状の白丸に沿った形状をなしており、第二圧力比相当値A′と実圧力比Bとの間にはバルブリフト量に依存しない相関が認められる。したがって、圧力比相当値Aと同様に第二圧力比相当値A′を実圧力比Bと併用してスロットル開度θTHを算出することが可能である。
このような演算を実施する変形例としてのエンジン制御装置5′のブロック構成を、図10に例示する。このエンジン制御装置5′には、第一演算部1′,第二演算部2,第三演算部3及びスロットル開度制御部4が設けられ、上述の実施形態における目標トルク演算部1bの代わりに目標充填効率演算部1eを設けたような構成を備えている。なお、上述の実施形態で説明した要素に関しては同一の符号を付して説明を省略する。
第一演算部1′(第一演算手段)は、第二圧力比相当値A′を演算するものである。この第一演算部1′には、最大トルク相当値演算部1a′,目標トルク相当値演算部1e′,圧力比相当値演算部1c′が設けられる。
最大トルク相当値演算部1a′は、クランク角センサ30で検出(または演算)されたエンジン回転数Neに基づいて最大充填効率EcMAXを演算するものである。最大トルク相当値演算部1a′には、例えば図4中に実線で示すようなエンジン回転数Neと最大充填効率EcMAXとの対応関係を規定したマップや数式が予め記憶されており、この対応関係に基づいて最大充填効率EcMAXが演算される。ここで演算された最大充填効率EcMAXは、圧力比相当値演算部1c′に伝達される。
また、目標トルク相当値演算部1e′は、クランク角センサ30で検出(または演算)されたエンジン回転数Neとアクセルペダルセンサ29で検出された操作量θACとに基づいて目標トルクPiETVを演算し、この目標トルクPiETVに対応する空気量に基づいて算出される充填効率を目標充填効率EcTGTとして演算するものである。ここで演算された目標充填効率EcTGTは、圧力比相当値演算部1c′及び目標流量演算部1d′に伝達される。
圧力比相当値演算部1c′は、最大トルク相当値演算部1a′で演算された最大充填効率EcMAXと目標トルク相当値演算部1e′で演算された目標充填効率EcTGTとに基づき、第二圧力比相当値A′を演算するものである。第二圧力比相当値A′は、最大充填効率EcMAXに対する目標充填効率EcTGTの比(B=EcTGT/EcMAX)として与えられる。ここで演算された第二圧力比相当値A′は基準流速演算部3bに伝達される。
このような構成のエンジン制御装置5′においても、第一演算部1′の圧力比相当値演算部1c′において、実際のスロットルバルブ部の実圧力比Bと相関がある第二圧力比相当値A′が演算される。また、第三演算部3の基準流速演算部3bでは、第二圧力比相当値A′に基づき、スロットルバルブ24を通過する空気の基準流速域が演算される。これにより、実圧力比Bの変動を第二圧力比相当値A′で抑制することができ、目標スロットル開度θTHの制御精度及び確度を向上させることができ、目標トルクPiETVに対して目標スロットル開度θTHを適切に制御することができる。
また、図6(b)に示すように、第二圧力比相当値A′にはスロットルバルブ部の実圧力比Bとの相関が認められるため、上述の実施形態と同様に、精度の高い目標開口面積Sを開度設定部3dで演算することができ、適切なスロットルバルブ24の目標開度を設定することができる。なお、最大充填効率EcMAXや目標充填効率EcTGTを用いた場合であっても、エンジン10の最大トルクPiMAXや目標トルクPiETVを用いた場合と同等の演算が可能であり、演算構成の簡素化が容易である。
また、第一演算部1′の最大トルク相当値演算部1a′における最大充填効率EcMAXの演算に際し、バルブリフト量,バルブタイミングに応じた最大充填効率EcMAXを算出する構成とすることも考えられる。この場合、図4中に破線で示すように、複数の制御角θVVL,位相角θVVTに対応するグラフを予め設定しておくことで、制御角θVVL,位相角θVVTに応じた最大充填効率EcMAXの演算が可能である。これにより、圧力比相当値Aと実圧力比Bとの相関を強めることができ、スロットルバルブ24を制御性をさらに向上させることができる。
[4−2.その他]
上記の実施形態では、実圧力比Bを常時、圧力比相当値Aで補正するものを例示したが、圧力比相当値Aによる実圧力比Bの補正演算を実施するタイミングはこれに限定されない。例えば、通常時には実圧力比Bのみを用いて流速Vを演算し、インマニ圧センサ22,大気圧センサ26の何れかからフェール信号が入力された場合に圧力比相当値Aを用いて補正を加えるような構成としてもよい。これにより、各センサの不調や故障時であっても正確なスロットル制御が可能となり、吸気量制御の信頼性を向上させることができる。
また、上述の実施形態では、図7(a),(b)に示すように、圧力比相当値Aから演算される基準流速域を用いて推定流速VBを補正するものを例示したが、流速の補正手法はこれに限定されない。例えば、図6(a)に示すような圧力比相当値Aと実圧力比Bとの相関を利用して、実圧力比Bの値を圧力比相当値Aに応じて補正することが考えられる。
この場合、基準流速域の代わりに、圧力比相当値Aに基づいて基準圧力比域を設定し、実圧力比Bが基準圧力比域内に収まるように補正演算を実施することが考えられる。なお、圧力比相当値Aに基づいて設定される基準圧力比域と実圧力比Bとの関係を図11に示す。ここでは、上述の実施形態と同様に、圧力比相当値Aが臨界圧力比A0以上、1以下の範囲で基準圧力比域を設定したものを例示する。図11中の実線グラフは、圧力比相当値Aと実圧力比Bとが同一値をとる傾きが1の直線である。
この直線グラフの上下に実圧力比Bの上限値を示すラインL3と下限値を示すラインL4とを描くと、これらのラインで挟まれた領域(ハッチング領域)が基準圧力比域となる。したがって、上記の流速補正部3cでの判定手法と同様に、実圧力比Bがこの基準圧力比域内に存在する場合には実圧力比Bをそのまま用いて推定流速VBを演算し、基準圧力比域外に存在する場合にはラインL3又はラインL4でクリップされた圧力比を用いて推定流速VBを演算することができる。
このような演算手法を用いた場合であっても実圧力比Bの変動を抑制することができ、目標スロットル開度θTHの制御精度及び確度を向上させることができ、目標トルクPiETVに対して目標スロットル開度θTHを適切に制御することができる。また、流速の演算に先立って実圧力比Bを補正することで、制御構成を簡素化することができるとともに、演算負荷を軽減することができる。
また、上述実施形態では、おもに図4に示すようなエンジン回転数Neと最大トルクPiMAXとの関係に着目して最大トルクPiMAXの演算手法を説明した。しかしながら、エンジン10の最大トルクPiMAXはエンジン回転数Neだけでなく、前述の通り点火時期やバルブリフト量,バルブタイミング,空燃比に応じて変化する。したがって、最大トルク演算部1aで最大トルクPiMAXを演算する時点でのバルブリフト量,バルブタイミングに応じて、その最大トルクPiMAXを算出又は補正する構成としてもよい。これにより、圧力比相当値Aと実圧力比Bとの相関をより高めることができ、スロットルバルブ24の制御性をより向上させることができる。
一方、たとえ演算時点のバルブリフト量,バルブタイミングを使わなくても、圧力比相当値Aと実圧力比Bとの相関は確保される。例えば、図6(a),(b)に示すように、圧力比相当値Aと実圧力比Bとの相関はバルブリフト量に依存しない。したがって、最大トルクPiMAXの演算に実際の制御角θVVLや位相角θVVTを常に反映させる必要があるわけではない。
また、点火時期に関しても同様であり、演算時点の点火時期での最大トルクPiMAXを演算する構成としてもよいし、最適点火時期に点火した場合に発生するトルクを最大トルクPiMAXとする構成であってもよいし、ノッキングの可能性を考慮して点火時期を最適点火時期からやや遅らせた場合に発生するトルクを最大トルクPiMAXとする構成であってもよい。圧力比相当値Aと実圧力比Bとの相関が最も強化されるのは、最適点火時期に点火した場合であるが、他の場合であっても圧力比相当値Aと実圧力比Bとの間に相関を認めることができる。
なお、上述の実施形態では、図示平均有効圧Piで表現された最大トルクPiMAX及び目標トルクPiETVを用いて圧力比相当値Aを演算するものを例示したが、具体的な圧力比相当値Aの演算手法はこれに限定されない。例えば、図示平均有効圧Piの代わりに正味平均有効圧Peやクランクシャフト17に生じるトルク値を用いて圧力比相当値Aを演算してもよい。また、上述の変形例における充填効率の代わりに空気量(空気の体積や質量)を用いて第二圧力比相当値A′を演算してもよい。
1 第一演算部(第一演算手段)
1c 圧力比相当値演算部
1d 目標流量演算部
2 第二演算部(第二演算手段)
2b 実圧力比演算部
3 第三演算部(第三演算手段)
3a 推定流速演算部(推定流速演算手段)
3b 基準流速演算部(基準流速演算手段)
3c 流速補正部(補正手段,流速補正手段)
3d 開度設定部(開度設定手段)
4 スロットル開度制御部
5 エンジン制御装置

Claims (9)

  1. エンジンの最大トルク相当値に対する前記エンジンの目標トルク相当値の比を圧力比相当値として演算する第一演算手段と、
    スロットルバルブの上流圧相当値に対する下流圧相当値の比を実圧力比として演算する第二演算手段と、
    前記実圧力比に応じて設定される前記スロットルバルブの目標開度を、前記圧力比相当値に基づいて補正する第三演算手段と、を備え、
    前記第三演算手段が、
    前記実圧力比に基づいて前記スロットルバルブを通過する空気の推定流速を演算する推定流速演算手段と、
    前記圧力比相当値に基づいて前記推定流速を補正する補正手段と、
    前記補正手段で補正された前記推定流速に基づいて前記スロットルバルブの目標開度を設定する開度設定手段と、を有する
    ことを特徴とする、エンジンの制御装置。
  2. 前記補正手段が、
    前記圧力比相当値に基づいて前記スロットルバルブを通過する空気の基準流速値域を演算する基準流速演算手段と、
    前記推定流速の値を前記基準流速値域に収まるように補正する流速補正手段と、を有する
    ことを特徴とする、請求項記載のエンジンの制御装置。
  3. 前記基準流速演算手段が、前記圧力比相当値に基づいて前記基準流速値域の中心値及び前記中心値からの幅を設定するとともに、前記圧力比相当値が大きいほど前記幅を狭く設定する
    ことを特徴とする、請求項記載のエンジンの制御装置。
  4. 前記第三演算手段が、
    前記圧力比相当値に基づいて前記実圧力比を補正する実圧力比補正手段と、
    前記実圧力比補正手段で補正された前記実圧力比に基づいて、前記スロットルバルブを通過する空気の推定流速を演算する第二推定流速演算手段と、
    前記推定流速に基づいて前記スロットルバルブの目標開度を設定する第二開度設定手段と、を有する
    ことを特徴とする、請求項1〜の何れか1項に記載のエンジンの制御装置。
  5. 前記第一演算手段が、吸排気弁のバルブリフト量又はバルブタイミングに応じて前記最大トルク相当値を算出する
    ことを特徴とする、請求項1〜の何れか1項に記載のエンジンの制御装置。
  6. 前記第一演算手段が、エンジン回転数に応じて前記エンジンに導入される最大空気量にて前記エンジンで発生するトルクを前記最大トルク相当値として演算するとともに、前記エンジンへの出力要求に基づいて設定される目標トルクを前記目標トルク相当値として演算する
    ことを特徴とする、請求項1〜の何れか1項に記載のエンジンの制御装置。
  7. 前記第一演算手段が、点火時期を最適点火時期としたときに前記エンジンで発生するトルクを前記最大トルク相当値として演算する
    ことを特徴とする、請求項記載のエンジンの制御装置。
  8. 前記第一演算手段が、予め設定された所定空燃比での燃焼時に前記エンジンで発生する最大のトルクを前記最大トルク相当値として演算する
    ことを特徴とする、請求項又は記載のエンジンの制御装置。
  9. 前記第一演算手段が、前記最大トルク相当値として前記エンジンの最大充填効率を用いるとともに、前記目標トルク相当値として前記空気量に基づいて演算される目標充填効率を用いて、前記圧力比相当値を演算する
    ことを特徴とする、請求項1〜の何れか1項に記載のエンジンの制御装置。
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