JP4968101B2 - 流体噴射装置 - Google Patents
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Description
紫外線硬化型インクは、紫外線を照射するまでは硬化が非常に遅く、紫外線を照射すると急速に硬化するという、印刷インクとして好ましい特性を有する。また、硬化にあたって溶剤を揮発させることがないので環境負荷が小さいという利点もある。
このため、紙、樹脂フィルム、金属箔等の薄いシート状の媒体の他、光記録媒体のレーベル面、テキスタイル製品など、ある程度立体的な表面形状を有するものに対しても画像を形成できる。
このため、特許文献3に示すように、未硬化の液体状廃インクを固化させた後に廃棄する技術が提案されている。
本発明は、支持面に媒体を支持しつつ回転する第一ドラム部材と、キャリッジに搭載されて前記支持面に支持された媒体に向かってエネルギ硬化型流体を噴射する噴射ヘッドと、前記第一ドラム部材に支持された前記媒体に向けてエネルギを照射する第一エネルギ照射部と、前記噴射ヘッドから回収した前記エネルギ硬化型流体を収容する廃流体容器と、前記廃流体容器に溜まった前記エネルギ硬化型流体を第二ドラム部材に塗布する塗布部と、前記第二ドラム部材に付着した前記エネルギ硬化型流体に向けてエネルギを照射する第二エネルギ照射部と、前記第二ドラム部材上で前記エネルギ硬化型流体が硬化した固化物を前記第二ドラム部材から剥離するスクレイパーと、を備えることを特徴とする。
これにより、新たな駆動源を必要としないので、装置の大型化、高コスト化を回避することができる。
これにより、第一ドラム部材に支持された媒体への廃流体(エネルギ硬化型流体)の付着を確実に回避することができる。
これにより、第二ドラム部材上で固化した廃流体の固化物を容易に削ぎ落とすことができる。
これにより、新たなエネルギ照射部が不要となるので、装置の大型化、高コスト化を回避することができる。
これにより、第二ドラム部材上に廃流体(エネルギ硬化型流体)を均一に薄く付着させることができる。
これにより、前記第二ドラム部材を複数回回転させてエネルギを照射して、廃流体(エネルギ硬化型流体)を確実に固化させた後に、スクレイパーで削ぎ落とすことが可能となる。
図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット式記録装置100の概略構造を模式的に示す斜視図である。
インクジェット式記録装置(流体噴射装置)100は、主に、互いに平行となるように直立した一対のフレーム130の間に配設された記録部120と、給紙部112および排紙部114を含む給排紙部110と、不図示のメンテンナンス部と、から構成される。
支持ドラム((第一ドラム部材,第二ドラム部材))140は、その水平な回転軸142をフレーム130から軸支され、記録用紙(媒体)150を支持面144に保持した状態で、図中に示す矢印Rの方向に回転する。なお、支持ドラム140は、不図示のドラム駆動部により回転駆動される。
そして、照射部キャリッジ160および記録部キャリッジ170は、それぞれ不図示の駆動機構により駆動されてガイド軸132、134、136、138に沿って移動するようになっている。
こうして、記録用紙150の表面に、紫外線硬化型インクにより形成された画像が固定される。
その後、記録ヘッド180が記録動作をしながら支持ドラム140が1回転以上する毎に記録部キャリッジ170が移動するという動作を繰り返すことにより、記録用紙150表面全体に画像が形成される。
好ましくは、照射部キャリッジ160および記録部キャリッジ170の移動開始のタイミングを僅かにずらすことにより、インクジェット式記録装置100の電源部に対する負荷のピークを軽減する。
記録部120において、記録部キャリッジ170は、一対のガイド軸132、134に支持されると共に、インクタンク174を備えて、記録ヘッド180を支持する。
記録ヘッド180は、支持ドラム140の支持面144に保持された記録用紙150に対向して配置され、記録用紙150に向かってインクを吐出する。
照射部キャリッジ160に支持された紫外線照射部162は、回転方向において記録ヘッド180の下流側に配置される。従って、記録ヘッド180から吐出されて記録用紙150に付着した紫外線硬化型インクは、即座に紫外線を照射されて硬化する。
記録部キャリッジ170は、ガイド軸132、134が挿通される一対の水平な貫通穴176と、インクタンク174とを備えたキャリッジ本体172を有する。記録ヘッド180は、キャリッジ本体172の上面に搭載される。
また後述するように、記録ヘッド180は、5個のヘッドユニット181、182、183、184、185を備える。
なお、ヘッドユニット181〜185の各々は、互いに種類の異なるインクを吐出するようになっている。具体的には、例えば、ホワイトW、マゼンタM、イエローY、シアンC、クリアCRの各インクが、ヘッドユニット181〜185のいずれかから吐出される。
記録ヘッド(噴射ヘッド)180は、5個のヘッドユニット181〜185を備えている。また、ヘッドユニット181〜185の各々は、支持ドラム140に対向する面に、ノズルプレート191〜195が配されている。ノズルプレート191〜195の各々には、紫外線硬化型インクを吐出するノズル孔が列状(例えば2列)に形成される。なお、各ノズル列は、例えば、180個のノズル孔から形成される。
ヘッドユニット181〜185からインクを吐出させる駆動構造としては、静電力等によりインクの液滴を吸引する方式、水晶振動子、圧電素子等を用いてインクを打ち出す方式など、種々の方法が既に知られており、用途に応じて適宜選択できる。
紫外線照射部(第一紫外線照射部,第二紫外線照射部)162は、共通の照射部フレーム164に装着された複数のランプユニット161、163、165、167、169を備える。ランプユニット161〜169は、その長手方向に複数のランプユニット161〜169が整列されると共に、記録ヘッド180のヘッドユニット181〜185に対応して5列に配列される。
更に、紫外帯域で発光するLEDを用いてランプユニットを形成することもできる。また、ランプユニット161〜169は、不可避に熱を発生するので、ランプユニット161〜169に放熱部を設ける他、強制的に冷却する設備を設けることも好ましい。
ビヒクルとしては、単官能あるいは多官能の重合性化合物が使用できる。より具体的には、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート等のオリゴマー(プレポリマー)を例示でき、インクとしての粘度を調整する反応性希釈剤もこれらの材料を用いることができる。
この種の光重合開始剤は、その組成に応じて、紫外線吸収特性、反応開始効率、黄変性等が異なるので、インクとしての色等に応じて使い分けられる。
廃液処理部200は、不図示のメンテナンス部を構成要素の一つであって、記録ヘッド180のヘッドユニット181〜185の各々から排出された紫外線硬化型インクiの廃液を、装置外部に取り出す前に固化(硬化)させた上で回収するものである。
紫外線硬化型インクiは、未硬化の状態では皮膚刺激性があり、紫外線硬化型インクiを廃棄する場合には危険が伴う。また、装置内に回収された紫外線硬化型インクiの刺激匂が装置内部や周辺に漂ってしまう。
このため、インクジェット式記録装置100では、廃液処理部200により未硬化の紫外線硬化型インクi(廃液)を装置内部で固化(硬化)させた後に廃棄するようにしている。
更に、上述した紫外線照射部162も廃液処理部200の一部として機能する。すなわち、廃液処理面146に付着した紫外線硬化型インクiに向けて紫外線を照射する装置として利用される。
そして、廃液タンク210は、支持ドラム140の一端側(廃液処理面146)の下方に配置され、他のメンテンナンス部からの紫外線硬化型インクiの廃液が流入するようになっている。
他のメンテンナンス装置とは、主にキャップ部材である。すなわち、不図示のキャップ部材は、支持ドラム140の回転軸142方向の側方のメンテナンスエリアにおいて、ヘッドユニット181〜185のノズルプレート191〜195に対向するよう配置され、ノズルプレート191〜195の各ノズル孔から排出された紫外線硬化型インクiを受け取る部材である。また、キャップ部材は、ノズルプレート191〜195を覆うようにして密着して、ノズル孔内の紫外線硬化型インクiの乾燥を防止したり、ノズルプレート191〜195を覆った空間を減圧して各ノズル孔から紫外線硬化型インクiを強制排出させたりする部材である。
塗布ローラ220のうち回転軸222よりも下方側は、廃液タンク210の内部に収容され、これにより、廃液タンク210の一部は、廃液タンク210に収容された紫外線硬化型インクi内に浸漬される。
また、塗布ローラ220と支持ドラム140とは、例えば、0.1mm(100μm)程度の距離Lを隔てて近接するように配置される。言い換えれば、塗布ローラ220と支持ドラム140の表面は、それぞれの僅かな距離Lを空けて非接触に近接配置される。
塗布ローラ220を回転させると、その外周面には紫外線硬化型インクiが付着し、付着した紫外線硬化型インクiは塗布ローラ220の回転に伴って支持ドラム140に近づく。そして、塗布ローラ220と支持ドラム140とが最も接近した領域において、塗布ローラ220の外周面に付着した紫外線硬化型インクiは、支持ドラム140の外周面(廃液処理面146)にも付着する。更に、塗布ローラ220と支持ドラム140とが回転することで、塗布ローラ220の外周面に付着した紫外線硬化型インクiの一部は、支持ドラム140の外周面(廃液処理面146)に乗り移るように塗布される。
このように、支持ドラム140を回転させつつ、塗布ローラ220を支持ドラム140とは逆方向に回転させることで、支持ドラム140の外周面の全周方向に紫外線硬化型インクiを付着(塗布)させることができる。
しかも、塗布ローラ220と支持ドラム140とは、僅かな隙間(距離L)を空けて配置されているので、支持ドラム140の外周面(廃液処理面146)の全周方向に付着した紫外線硬化型インクiは、均一かつ薄い状態となる。
支持面144と廃液処理面146との間には、溝(流れ止め部)148が形成される。この溝148は、塗布ローラ220により廃液処理面146に塗布された紫外線硬化型インクiが支持面144に流れ込むことを防止するために設けられている。つまり、廃液処理面146に塗布された紫外線硬化型インクiが支持面144に流れ込んで、記録用紙150を汚してしまうことを防止している。
スクレイパー230により剥ぎ取られる。この際、廃液処理面146には、紫外線硬化型インクiの固化物が残存しないことが要請される。このため、廃液処理面146は、撥水性材料、例えば、フッ素樹脂、フッ素ゴム、シリコンゴム、ポリオレフィン、ポリエチレン等から形成される。
なお、廃液処理面146を撥水性材料により形成する他、撥水性コーティング剤を塗布したり、プラズマ照射により撥水性を付与したりしてもよい。
なお、紫外線照射部162は、5列のランプユニット161〜169を備えているが、全てのランプユニット161〜169を点灯させる必要はない。つまり、廃液処理面146の幅に対応するだける列数、例えば、2列分(ランプユニット167,169)のみを点灯させれば足りる。また、ランプユニット161〜169の使用耐年寿命を考慮して、点灯させるランプユニット161〜169の組み合わせを適宜変更してもよい。
また、スクレイパー230は、支持ドラム140に対して平行で基端部側に形成された回転軸を支点にして不図示の駆動部により揺動可能に軸支されている。つまり、スクレイパー230を揺動させて、廃液処理面146に当接させたり、離間させたりすることが可能となっている。
更に、スクレイパー230の先端部を廃液処理面146の幅方向の全域に当接させた際には、スクレイパー230と廃液処理面146とのなす角が鋭角になるように設定されている。
スクレイパー230の下方には、剥ぎ取られた紫外線硬化型インクiの固化物Iを収容する回収トレイ240を設ける。これにより、紫外線硬化型インクiを固化物Iとして、確実に回収することができる。
なお、スクレイパー230により紫外線硬化型インクiの固化物Iを廃液処理面146から剥ぎ取る際に、固化物Iが粉体となって周囲に舞い散って、支持面144やノズルプレート191〜195に付着することで、不具合発生の原因となってしまう可能性がある。そこで、例えば、集塵装置をスクレイパー230の下方に回収トレイ240と共に配置し、集めた粉塵を回収トレイ240に排出するようにしてもよい。
廃液処理部200は、廃液タンク210に廃液、すなわち紫外線硬化型インクiが所定量以上に溜まった場合にのみ動作する。また、原則として、記録部120の非動作時に動作するように制御される。なぜなら、記録用紙150に対する印刷(記録)処理には、紫外線照射部162を記録ヘッド180に連動するように走査させる必要があるからである。つまり、紫外線照射部162を支持ドラム140の廃液処理面146に対応する位置に移動させることができないからである。
そして、支持ドラム140の廃液処理面146の全領域に紫外線硬化型インクiが塗布されたら、塗布ローラ220の回転を停止する(ステップS2)。
支持ドラム140の廃液処理面146に紫外線硬化型インクiが塗布されると、紫外線照射部162を支持ドラム140の廃液処理面146に対応する位置に移動させた上で、紫外線照射部162のランプユニット161〜169の一部(廃液処理面146に対応するランプユニットのみ)を点灯する(ステップS3)。
そして、支持ドラム140が規定回数だけ回転したら、支持ドラム140の回転を停止すると共に、紫外線照射部162のランプユニット161〜169を消灯する(ステップS5)。
そして、支持ドラム140を一回転させることで、廃液処理面146上で固化した紫外線硬化型インクiの固化物Iが、廃液処理面146から剥ぎ落とされて、回収トレイ240に収容される(ステップS7)。
最後に、支持ドラム140の回転を停止させた上で、スクレイパー230を支持ドラム140から離間する(ステップS8)ことで、廃液処理が完了する。
なお、回収トレイ240は、インクジェット式記録装置100の本体から、取り外し可能となっており、メンテナンス時など定期的に取り外されて、回収トレイ240に収容された紫外線硬化型インクiの固化物Iは廃棄される。
したがって、インクジェット式記録装置100は、換気装置等の特別な装置を設置する必要がなく、簡易な構造の廃液処理部200のみを設置すればよいので、装置コストの低減を図ることができる。
この場合には、他のドラムは、必ずしも円筒形に限らず、例えば楕円状筒形等であってもよい。つまり、他のドラムは、無端(管)状帯部材により形成されていればよい。また、紫外線照射部162とは別に、廃液処理専用の紫外線照射部を設けことができる。
このように、廃液処理部200を記録部120(支持ドラム140、紫外線照射部162)から完全に分離した場合には、廃液処理部200による廃液処理を、記録部120による記録(印刷)処理と同時に行うことも可能となる。
つまり、廃液処理面146に塗布された紫外線硬化型インクiが支持面144に流れ込むことが防止できれば、流れ止め防止部としては、どのような形態であってもよい。
また、一つのドラムに対して複数(例えば3つ)の円筒形の廃液処理面146を形成すると共に、各廃液処理面146に対応して、塗布ローラ、紫外線照射部及びスクレイパーを用意することで、紫外線硬化型インクiの塗布、紫外線照射、スクレイパーによる固化物Iの除去を、それぞれ同時(並行)又は異時(独立)に行うようにしてもよい。
例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散または溶解のかたちで含む液状体を噴射する液状体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する流体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる流体を噴射する流体噴射装置であってもよい。
さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する流体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する流体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する流体噴射装置、ジェルを噴射する流状体噴射装置であってもよい。
Claims (7)
- 支持面に媒体を支持しつつ回転する第一ドラム部材と、
キャリッジに搭載されて前記支持面に支持された媒体に向かってエネルギ硬化型流体を噴射する噴射ヘッドと、
前記第一ドラム部材に支持された前記媒体に向けてエネルギを照射する第一エネルギ照射部と、
前記噴射ヘッドから回収した前記エネルギ硬化型流体を収容する廃流体容器と、
前記廃流体容器に溜まった前記エネルギ硬化型流体を第二ドラム部材に塗布する塗布部と、
前記第二ドラム部材に付着した前記エネルギ硬化型流体に向けてエネルギを照射する第二エネルギ照射部と、
前記第二ドラム部材上で前記エネルギ硬化型流体が硬化した固化物を前記第二ドラム部材から剥離するスクレイパーと、
を備えることを特徴とする流体噴射装置。 - 前記第一ドラム部材と前記第二ドラム部材とが同一の回転軸を有するように一体形成されることを特徴とする請求項1に記載の流体噴射装置。
- 前記第一ドラム部材と前記第二ドラム部材との間に、前記第二ドラム部材に付着した前記エネルギ硬化型流体の前記第一ドラム部材への流出を防止する流れ止め部が形成されることを特徴とする請求項2に記載の流体噴射装置。
- 前記第二ドラム部材の外周面は、撥液性材料からなる又は撥液処理されることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の流体噴射装置。
- 前記第一エネルギ照射部は、前記第二エネルギ照射部を兼ねることを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の流体噴射装置。
- 前記塗布部は、前記第二ドラム部材に対して平行、かつ、非接触に配置されたローラ部材であることを特徴とする請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載の流体噴射装置。
- 前記スクレイパーは、前記第二ドラム部材の外周面に対して接触/非接触を切替可能な可動式であることを特徴とする請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載の流体噴射装置。
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