JP4967243B2 - GaN系発光ダイオードおよび発光装置 - Google Patents
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Description
なお、本明細書では、GaN系半導体層を気相成長法により製造する際に、結晶基板が下側にあり、その上にGaN系半導体層が積み重ねられるものとみなして、この上下の区別を、素子構造の説明においても適用する。また、上下方向(結晶基板やGaN系半導体層の厚み方向でもある。)と直交する方向を、横方向とも呼ぶ。また、p型GaN系半導体層を単にp型層と呼び、n型GaN系半導体層を単にn型層とも呼ぶ。
このようなGaN系LEDの実装形態の一つとして、素子の上面側を実装用基材の実装面に向けて固定する、フリップチップ実装がある。図14に示す素子がフリップチップ実装されたとき、発光層3で発生される光は、結晶基板1の下面側から素子外に取り出されることになる。
図14に示す素子では、発光層3から上方に向かって進行する光が、上部電極P2の下面で反射されるので、上部電極P2を光反射性の良好な材料で形成することにより、フリップチップ実装したときの光取り出し効率を向上させることができる(特許文献1)。そこで、上部電極P2は、コンタクト層5との接触抵抗が低く、かつ、光反射性が良好な材料で形成することが望ましい。しかし、これらの要求を同時に満足する材料を見つけることは簡単ではない。
(1)少なくともn型GaN系半導体層と、GaN系半導体からなる発光層と、p型GaN系半導体層と、コンタクト層とを、この順に含む半導体積層体と、前記コンタクト層の表面に部分的に形成された、金属材料からなる上部電極と、前記コンタクト層の表面の前記上部電極が形成されていない部分に、前記上部電極と接しないように形成された、金属材料からなる反射膜と、を有するGaN系発光ダイオード。
(2)前記上部電極と前記反射膜との間には、無機材料からなる拡散阻止部材が充填されている、前記(1)に記載のGaN系発光ダイオード。
(3)前記拡散阻止部材の一部が、前記上部電極と前記反射膜の少なくとも一方を膜状に覆っている、前記(2)に記載のGaN系発光ダイオード。
(4)前記拡散阻止部材の一部が前記上部電極を膜状に覆うとともに、前記反射膜は、その一部が前記上部電極を覆う拡散阻止部材の上面に達するように形成されている、前記(3)に記載のGaN系発光ダイオード。
(5)前記拡散阻止部材の一部が前記反射膜を膜状に覆うとともに、前記上部電極は、その一部が前記反射膜を覆う拡散阻止部材の上面に達するように形成されている、前記(3)に記載のGaN系発光ダイオード。
(6)前記拡散阻止部材が、絶縁性の無機材料からなる、前記(2)〜(5)のいずれかに記載のGaN系発光ダイオード。
(7)前記上部電極の、前記コンタクト層の表面に接する部分の少なくとも一部が、電極部分と開口部分とからなるパターンに形成されている、前記(1)〜(6)のいずれかに記載のGaN系発光ダイオード。
(8)前記発光層が紫色〜近紫外の光を発生するInGaNを含み、前記コンタクト層がp型GaN系半導体層からなり、前記パターンが細分化されており、かつ、前記パターンに含まれる電極部分の面積比が20%〜40%である、前記(7)に記載のGaN系発光ダイオード。
(9)前記コンタクト層がp型GaN系半導体からなり、前記反射膜の材料がAg、Ag合金、Al、Al合金のいずれかである、前記(1)〜(8)のいずれかに記載のGaN系発光ダイオード。
(10)前記コンタクト層がn型GaN系半導体または酸化物半導体からなり、前記反射膜の材料がAgまたはAg合金のいずれかである、前記(1)〜(7)のいずれかに記載のGaN系発光ダイオード。
(11)実装用基材と、その表面にフリップチップ実装された、前記(1)〜(10)のいずれかに記載のGaN系発光ダイオードとを含む、発光装置。
図1は、本発明の一実施形態に係るGaN系LEDの構造を示す模式図であり、図1(a)は上面図、図1(b)は図1(a)のX−Y線における断面図である。
図1において、11は結晶基板、12はn型層、13は発光層、14はp型層、15はコンタクト層、P11は下部電極、P12は上部電極、P13は反射膜、P15はボンディングパッドである。
結晶基板11は、例えば、サファイア基板である。
n型層12は、例えば、Si(ケイ素)を5×1018cm−3の濃度でドープした、膜厚3μmのn型GaNである。
発光層13は、例えば、膜厚8nmのGaN障壁層と膜厚2nmのInGaN井戸層とを各10層交互に積層してなる、MQW(多重量子井戸)構造の発光層である。
p型層14は、例えば、Mg(マグネシウム)を5×1018cm−3の濃度でドープした膜厚30nmのp型Al0.1Ga0.9Nである。
コンタクト層15は、例えば、Mgを5×1019cm−3の濃度でドープした膜厚200nmのp型GaNである。
下部電極P11は、例えば、n型層12と接する側から順に、膜厚20nmのTi、膜厚800nmのAlを積層し、熱処理したものである。
上部電極P12は、例えば、コンタクト層15と接する側から順に、膜厚20nmのNi、膜厚100nmのAu(金)を積層し、熱処理したものである。
ボンディングパッドP15は、例えば、上部電極P12と接する側から順に、膜厚20nmのTi、膜厚300nmのAuを積層したものである。
反射膜P13は、例えば、膜厚200nmのAlである。
(結晶成長)
結晶基板11の上に、MOVPE法など、公知のGaN系半導体結晶の成長方法を用いて、n型層12、発光層13、p型層14、コンタクト層15を、順次形成する。結晶成長の終了後、必要に応じて、p型層14およびコンタクト層15に添加したp型不純物を活性化するために、熱処理を行う。
コンタクト層15の表面に、上部電極P12を形成する。上部電極P12のパターニングは、公知のフォトリソグラフィ技法を用いて行うことができる。
例えば、リフトオフ法の場合、まず、コンタクト層15の表面全体にフォトレジスト膜を形成する。次に、フォトリソグラフィ技法を用いて、上部電極P12の電極部分を形成すべき領域から、該フォトレジスト膜を除去し、コンタクト層15の表面を露出させる。次に、蒸着、スパッタリング、CVD等、公知の金属薄膜の形成方法を適宜用いて、上部電極P12の電極膜を形成する。フォトレジスト膜をリフトオフすると、電極膜のうち、コンタクト層15の表面に形成された部分だけが残る。これによって、上部電極P12が所定のパターンに形成される。
他の方法として、先に上部電極P12の電極膜を、コンタクト層15の表面に全面的に形成した後、フォトリソグラフィ技法によりパターニングしたフォトレジスト膜をエッチングマスクとして用い、不要部分をエッチング除去することにより、上部電極P12を所定のパターンに形成することもできる。
上部電極P12の開口部分に露出したコンタクト層15の表面に、反射膜P13を形成する。この反射膜P13の形成およびパターニングは、上部電極P12の形成およびパターニングと同様の方法により行うことができる。
反応性イオンエッチング法により、コンタクト層15の表面側から、コンタクト層15、p型層14、発光層13の一部を除去し、露出したn型層12の表面に、蒸着、スパッタリング、CVD等、公知の金属薄膜の形成方法を適宜用いて、下部電極P11を形成する。
ボンディングパッドは、従来公知の方法を用いて、上部電極P12の上の、所定の箇所に形成することができる。
各電極とGaN系半導体との接触抵抗を低下させるために、ウェハ全体を熱処理し、電極とGaN系半導体との密着を促進させる。熱処理は、半導体の表面にオーミック電極を形成する際に行われる通常の処理であり、その温度と時間は、電極の材料にもよるが、温度は350℃〜900℃、時間は1分間〜60分間とすることができる。
必要に応じて、結晶基板11の下面を研削および/または研磨して、結晶基板11の厚さを薄くした後、スクライビング、ダイシング、レーザ溶断など、公知の方法を適宜用いて、素子分離を行う。
拡散阻止部材P14を、ITO、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛(ZnO)などの導電性金属酸化物(酸化物半導体)で形成した場合には、その導電性によって、素子の横方向の電流拡散性が補われることが期待できる。一方、拡散阻止部材P14を絶縁性の無機材料で形成する場合には、屈折率が特に小さい酸化ケイ素、アルミナ、スピネルなどの材料を用いると、コンタクト層15と拡散阻止部材P13との界面で、屈折率差による反射が生じ易くなるために、光取り出し効率を改善するうえで好ましい。
金属酸化物、金属窒化物などからなる拡散阻止部材を形成する方法としては、各種のCVD法、スパッタリング法、蒸着法、スプレー熱分解法、ゾルーゲル法など、公知の無機薄膜の形成方法を適宜用いることができる。
(結晶成長)
結晶基板11の上に、公知のGaN系半導体結晶の成長方法を用いて、n型層12、発光層13、p型層14、コンタクト層15を、順次形成する。図3(a)は、コンタクト層15の成長が完了したウェハの断面構造を示す模式図である。便宜上、ひとつの素子に相当する領域のみを表示しているが、実際の工程はウェハ単位で行われる。図3(b)および(c)、図4(d)〜(f)図5(g)〜(i)も同様である。
コンタクト層15の表面に、図3(b)に示すように、拡散阻止部材P14を膜状に形成する。この拡散阻止部材P14は、例えば、厚さ300nmのSiO2膜である。SiO2膜の好ましい形成方法としては、プラズマCVD法、スパッタリング法、ゾルゲル法などが挙げられる。
拡散阻止部材P14の表面全体を覆ってフォトレジスト膜PRを形成した後、フォトリソグラフィ技法を用いて、該フォトレジスト膜PRに、形成すべき上部電極の電極部分の形状に開口部を形成する。この状態を図3(c)に示す。
次に、このフォトレジスト膜PRをエッチングマスクとして、ドライエッチング法により、フォトレジスト膜PRの開口部の下方の拡散阻止部材P14を除去し、図4(d)に示すように、コンタクト層15の表面を露出させる。
次に、蒸着法、スパッタリング、CVD等の方法を適宜用いて、上部電極P12の電極膜を形成し、フォトレジスト膜PRをリフトオフすると、図4(e)に示すように、拡散阻止部材P14をエッチング除去した部分に、上部電極P12が形成される。
上部電極P12が形成されたウェハの上面を全面的に覆うフォトレジスト膜PRを形成し、フォトリソグラフィ技法を用いて、該フォトレジスト膜PRに、形成すべき反射膜P13の形状に、開口部を形成する。この状態を、図4(f)に示す。
次に、このフォトレジスト膜PRをエッチングマスクとして、ドライエッチング法により、フォトレジスト膜PRの開口部の下方の拡散阻止部材P14を除去し、図5(g)に示すように、コンタクト層15の表面を露出させる。
次に、蒸着法、スパッタリング、CVD等の方法を適宜用いて、反射膜P13の製膜を行い、その後、フォトレジスト膜PRをリフトオフすると、図5(h)に示すように、拡散阻止部材P14をエッチング除去した部分に、反射膜P13が形成される。
反射膜P13を形成した後は、図1に示す素子を作製するときと同様の方法により、下部電極P11の形成、ボンディングパッドP15の形成、熱処理、素子分離を行うことができる。
図6(a)に示す素子では、上部電極P12と反射膜P13との間に充填された拡散阻止部材P14の一部が、上部電極P12を膜状に覆っている。
図6(b)に示す素子では、上部電極P12と反射膜P13との間に充填された拡散阻止部材P14の一部が、反射膜P13を膜状に覆っている。
まず、結晶成長工程が完了したウェハの、コンタクト層15の表面に、上部電極P12を所定の形状に形成する。そして、この上部電極P12を埋め込んで、ウェハの表面全体に拡散阻止部材P14を膜状に形成する。この状態を図7(a)に示す。
次に、この拡散阻止部材P14の表面全体を覆ってフォトレジスト膜PRを形成し、フォトリソグラフィ技法を用いて、該フォトレジスト膜PRに、形成すべき反射膜の形状に開口部を形成する。この状態を図7(b)に示す。
次に、このフォトレジスト膜PRをエッチングマスクとして、ドライエッチング法により、フォトレジスト膜PRの開口部の下方の拡散阻止部材P14を除去し、図7(c)に示すように、コンタクト層15の表面を露出させる。
次に、蒸着法、スパッタリング、CVD等の方法を適宜用いて、反射膜P13の製膜を行い、その後、フォトレジスト膜PRをリフトオフすると、図8(d)に示すように、拡散阻止部材P14をエッチング除去した部分に、反射膜P13が形成される。
次に、図8(e)に示すように、反応性イオンエッチング法により、コンタクト層15の表面側から、コンタクト層15、p型層14、発光層13の一部を除去し、露出したn型層12の表面に、蒸着、スパッタリング、CVD等の方法を適宜用いて、下部電極P11を形成する。
次に、反射膜P13を形成するときと同様の方法を用いて、図8(f)に示すように、ボンディングパッドP15を形成すべき部位の拡散阻止部材P14を除去し、それによって露出した上部電極P12の上に、ボンディングパッドP15を形成する。その後は、図1に示す素子を作製するときと同様の方法で、熱処理、素子分離を行う。
まず、結晶成長工程が完了したウェハの、コンタクト層15の表面に、上部電極P12を所定の形状に形成する。
次に、この上部電極P12を埋め込んで、ウェハの表面全体に拡散阻止部材P14を膜状に形成する。
次に、この拡散阻止部材P14の表面全体を覆ってフォトレジスト膜を形成し、フォトリソグラフィ技法を用いて、該フォトレジスト膜に、開口部を形成する。この開口部の形状は、反射膜P13がコンタクト層15の表面に接する部分の形状とする。
次に、該フォトレジスト膜をエッチングマスクとして、該フォトレジスト膜の開口部の下方の拡散阻止部材P14を除去し、コンタクト層15の表面を部分的に露出させる。
次に、このフォトレジスト膜を除去し、反射膜P13を、露出されたコンタクト層15の表面と、拡散阻止部材P14の表面の両方を覆うように形成する。ここで、反射膜P13を形成する前に、反射膜P13を形成すべきでない箇所は、フォトレジスト膜からなるマスクで覆っておく。
その後は、前述の、図6に示す素子を作製するときと同様の方法により、下部電極P11、ボンディングパッドP15の形成、熱処理、素子分離を行う。
上部電極P12は、例えば、コンタクト層15と接する部分から順に、膜厚20nmのNi、膜厚100nmのAu、膜厚100nmのPt(白金)、膜厚100nmのAu、膜厚100nmのPt、膜厚200nmのAuを積層し、熱処理したものである。コンタクト層15と接する最下層部分は、コンタクト層15との接触抵抗が小さくなるように、NiおよびAuの積層体とされる一方、最上層部分は、ろう材との濡れ性が良好となるよう、Auで形成されている。最下層部分と最上層部分の間のPt層は、最下層部分と最上層部分との間での、材料の相互拡散を抑制するバリア層の働きを有する。
本発明に係るGaN系LEDにおいて、コンタクト層15は、p型GaN系半導体の他、n型GaN系半導体や、酸化物半導体で形成することもできる。いずれの場合も、その表面に形成される上部電極P12との接触抵抗が低くなるように、層内のキャリア濃度を十分に高くすることが望ましい。
コンタクト層15を、n型GaN系半導体や酸化物半導体で形成する場合には、p型層14とコンタクト層15との接合部での抵抗が低くなるように、p型層14およびコンタクト層15のキャリア濃度を、特に、該接合部の近傍で十分に高くすることが望ましい。更に、p型層14とコンタクト層15との間に、透明または島状の金属薄膜を介在させるなど、該接合部の抵抗を低下させるための公知の構成も、適宜採用することができる。
コンタクト層15を酸化物半導体で形成する場合、その作製には、スパッタリング法、蒸着法、CVD法、スプレー熱分解法など、公知の酸化物半導体薄膜の形成方法を適宜用いることができる。
n型層12と下部電極P11との間には、酸化物半導体層を介在させることもできる。
一方、コンタクト層15をn型GaN系半導体または酸化物半導体で形成する場合、上部電極P12とコンタクト層15との接触抵抗が低くなるように、上部電極P12の、少なくとも最下層部分を、Al、Ti、Auから選ばれるひとつ以上の材料で形成することが好ましい。
反射膜P13の好ましい材料は、例えば、Ag、Al、Rh、Pt、Pd、Irである。特に好ましい材料は、AgとAlである。AgやAlは、光反射性の観点からは、単体を用いることが好ましいが、これらの金属の耐候性や耐熱性を改善するために、他の元素が添加された、Ag合金やAl合金も好ましく用い得る。これらの合金は、反射率が単体の80%以下とならない程度に、他の元素が添加されたものを用いることが望ましい。反射性の良好な、各種のAg合金やAl合金が、液晶表示装置等における高反射性の配線膜用途に開発されているが、それらのいずれも、反射膜P13の材料として好適に用いることができる。
これらの場合には、上部電極P12が、コンタクト層15の表面を部分的に覆いながら、該表面上に拡がったパターンをなすように、即ち、該上部電極P12の、コンタクト層15の表面に接する部分の少なくとも一部を、電極部分と開口部分とからなるパターンに形成することが望ましい。そのようなパターンとして、電極部分が、ネット状(格子状を含む)、櫛状、樹枝状、放射状、ミアンダ状、分散配置されたドット状、分散配置された細線状、などを呈すパターンが例示される。電極部分が分散配置されたドット状や細線状を呈すパターン、即ち、上部電極P12の、コンタクト層15の表面に接する部分が、不連続となるパターンは、図10に示す素子のように、上部電極P12が拡散阻止部材P14の上で横方向に連続した構造を有する素子において、採用することができる。
特に、InGaNを発光層に用いたGaN系LEDでは、発光層のIn組成が低い程、すなわち、発光波長が短い程、電流密度の増加に伴う発光効率の低下が小さく、また、発光波長のシフトも小さいので、高電流密度での駆動に適していることが知られている。そこで、紫色(約420nm)〜近紫外(約365nm)の光を発生するInGaNを含む発光層を有するGaN系LEDでは、反射膜P13が形成される開口部分の面積を広く取り、発光層13の一部の領域(電極部分の下方)に電流を集中させて、高電流密度で発光させた方が効率上有利となるため、前記電極部分の面積比は、20%〜40%とすることが好ましく、20%〜30%とすることがより好ましい。
図12に示す素子の、各部位の具体的な構成を以下に例示する。
結晶基板11は、例えば、サファイア基板である。
n型層12は、例えば、Si(ケイ素)を5×1018cm−3の濃度でドープした、膜厚3μmのn型GaNである。
発光層13は、例えば、膜厚8nmのGaN障壁層と膜厚2nmのInGaN井戸層とを各10層交互に積層してなる、MQW(多重量子井戸)構造の発光層である。
p型層14は、例えば、発光層13と接する部分を、Mgを5×1018cm−3の濃度でドープした膜厚30nmのAl0.1Ga0.9N層とし、その直上に、Mgを5×1019cm−3の濃度でドープした膜厚100nmのGaN層を形成した積層体である。
コンタクト層15は、例えば、膜厚400nmのITOである。
下部電極P11は、例えば、下層側から順に、膜厚20nmのTi、膜厚1300nmのAlを積層し、熱処理したものである。
上部電極P12は、例えば、下層側から順に、膜厚20nmのTi、膜厚700nmのAlを積層し、熱処理したものである。
反射膜P13は、例えば、膜厚200nmのAgである。この反射膜P13は、コンタクト層15の表面を、ほぼ一様に覆うように形成されている。
拡散阻止部材P14は、例えば、膜厚500nmのSiO2である。この拡散阻止部材P14は、上部電極P12と反射膜P13の間に充填されるだけでなく、その一部が延長され、反射膜P13の表面を覆うとともに、発光層13の端面や、n型層12の表面をも覆うように、形成されている。
まず、結晶基板11の上に、公知のGaN系半導体結晶の成長方法を用いて、n型層12、発光層13、p型層14を、順次形成する。
次に、p型層14の表面に、ITOからなるコンタクト層15をスパッタリングにより形成する。
次に、コンタクト層15の表面に、反射膜P13を所定の形状に形成する。
次に、コンタクト層15の表面側から、コンタクト層15、p型層14、発光層13の一部をドライエッチングにより除去し、下部電極P11を形成すべきn型層12の表面を露出させる。
次に、ウェハの上面を全面的に覆うように、拡散阻止部材P14を膜状に形成する。
次に、この拡散阻止部材P14の表面全体を覆ってフォトレジスト膜を形成し、フォトリソグラフィ技法を用いて、該フォトレジスト膜に、形成すべき下部電極P11の形状に開口部を形成する。
次に、このフォトレジスト膜をエッチングマスクとして、ドライエッチング法により、前記フォトレジスト膜の開口部の下方の拡散阻止部材P14を除去し、n型層12の表面を露出させる。
次に、蒸着法、スパッタリング、CVD等の方法を適宜用いて、下部電極P11の電極膜を形成し、フォトレジスト膜をリフトオフして、下部電極P11を形成する。
また、同様の方法を用いて、上部電極P12を形成すべき箇所の拡散阻止部材P14をドライエッチング法により除去し、それにより露出されたコンタクト層15の表面に、上部電極P12を形成する。
図13に示す素子は、結晶基板上にn型層12、発光層13、p型層14、コンタクト層15を順次成長し、図10に示す素子と同様の方法により、上部電極P12、反射膜P13、拡散阻止部材P14を形成した後、導電性接合材料Cによって、上部電極P12に保持基板Bを接合し、素子分離する前に、結晶基板を除去し、露出したn型層の表面に下部電極P11を形成することによって、作製することができる。
ここで、導電性接合材料Cは、例えば、Au−Snハンダ等のろう材や、導電体微粒子が樹脂バインダに分散されてなる導電性ペーストである。保持基板Bは、導電性基板であればよく、各種の半導体基板や、金属基板を用いることができる。また、保持基板Bを導電性接合材料Cで接合する代わりに、上部電極P12を電極とする電気メッキにより、Niなどの金属の厚膜を上部電極P12の表面に堆積させ、これを保持基板Bとして用いることもできる。
12 n型GaN系半導体層
13 発光層
14 p型GaN系半導体層
15 コンタクト層
P11 下部電極
P12 上部電極
P13 反射膜
P14 拡散阻止部材
P15 ボンディングパッド
Claims (6)
- 少なくともn型GaN系半導体層と、GaN系半導体からなる発光層と、p型GaN系半導体層と、酸化物半導体からなるコンタクト層とを、この順に含む半導体積層体と、
前記コンタクト層の表面に部分的に形成された、金属材料からなる厚さ50nm以上の上部電極と、
前記コンタクト層の表面の前記上部電極が形成されていない部分に、前記上部電極と接しないように形成された、金属材料からなる反射膜と、
前記上部電極と前記反射膜との間に充填された、無機材料からなる拡散阻止部材と、を有し、
前記拡散阻止部材の一部が前記上部電極を膜状に覆うとともに、前記反射膜は、その一部が前記上部電極を覆う拡散阻止部材の上面に達するように形成されているGaN系発光ダイオード。 - 少なくともn型GaN系半導体層と、GaN系半導体からなる発光層と、p型GaN系半導体層と、酸化物半導体からなるコンタクト層とを、この順に含む半導体積層体と、
前記コンタクト層の表面に部分的に形成された、金属材料からなる上部電極と、
前記コンタクト層の表面の前記上部電極が形成されていない部分に、前記上部電極と接しないように形成された、金属材料からなる反射膜と、
前記上部電極と前記反射膜との間に充填された、絶縁性の無機材料からなる拡散阻止部材と、を有し、
前記拡散阻止部材の一部が前記反射膜を膜状に覆うとともに、前記上部電極は、その一部が前記反射膜を覆う拡散阻止部材の上面に達するように形成されているGaN系発光ダイオード。 - 前記酸化物半導体がITOである、請求項1または2に記載のGaN系発光ダイオード。
- 前記拡散阻止部材が、SiO2からなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のGaN系発光ダイオード。
- 前記上部電極の、前記コンタクト層の表面に接する部分の少なくとも一部が、電極部分と開口部分とからなるパターンに形成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のGaN系発光ダイオード。
- 前記反射膜の材料がAgまたはAg合金のいずれかである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のGaN系発光ダイオード。
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JP2005064665A JP4967243B2 (ja) | 2005-03-08 | 2005-03-08 | GaN系発光ダイオードおよび発光装置 |
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