JP4965686B2 - 車両用交流発電機の制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、車両用交流発電機の制御装置に関し、特に界磁コイルに流れる界磁電流の上限を制限するものに係わる。
従来(特許文献1)の車両用交流発電機の制御装置においては、界磁コイルに流れる界磁電流値が、界磁コイルに直列抵抗を接続して、その両端の電圧より検出されている。そして、界磁電流が所定値を超えると界磁電流を遮断している。
特開平3−45200号公報
しかしながら、界磁コイルに直列抵抗を接続し、その抵抗の両端の電圧を検出し、界磁電流値を検出する方式では、抵抗の抵抗値が大きいとその抵抗での損失が大きくなり、かつ、抵抗による電圧降下により界磁コイルに充分な電圧が加えられないため、非常に小さい抵抗値の抵抗が用いられる。しかし、非常に小さい抵抗値の精度を確保するのは困難であり、また抵抗値が小さいので検出される電圧は微小なものになる。微小な電圧から電流を精度良く検出するには、検出回路の精度も必要となり、精度が高い電流センサが必要となり、高価なものになってしまう。
また、界磁電流を制限しないと、自励式交流発電機の発電電圧が高くなったとき、界磁コイルに過大な電流が流れ、界磁コイルの焼損、あるいは、発電出力も過大になり交流発電機の焼損を起こす恐れがある。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、発電電圧が大きくなっても、界磁電流の上限を設定電圧における最大界磁電流に制限することを目的とするものである。
この発明に係わる車両用交流発電機の制御装置は、電機子コイルと界磁コイルを有する交流発電機における前記電機子コイルの交流出力電圧を整流器で整流して得た直流電圧を、前記界磁コイルに印加して界磁電流を得ると共に、界磁電流を前記界磁コイルに直列に接続したスイッチング素子のオン・オフにより制御する車両用交流発電機の制御装置において、前記スイッチング素子のオンデューティの上限を、設定電圧/前記直流電圧とする上限制限手段を備えたものである。
また、この発明に係わる車両用交流発電機の制御装置は、発電指令によるスイッチング素子のオンデューティと、前記上限制限手段によるスイッチング素子のオンデューティとを比較して、その小さい方のオンデューティでスイッチング素子のオン・オフを制御するものである。
この発明の車両用交流発電機の制御装置によれば、発電電圧が大きくなっても、界磁電流の上限を設定電圧における最大界磁電流に制限することができる。
また、発電指令によるオンデューティと、前記上限制限手段によるオンデューティとを比較して、その小さい方のオンデューティでスイッチング素子のオン・オフを制御するので、無理な発電指令がきたとしても、前記上限制限手段によるオンデューティとの比較で、安全な制御が可能となり、発電機の過熱や過電圧を防止できる。
この発明の実施の形態1を適用する車両用交流発電機を示す構成図である。 実施の形態1の車両用交流発電機の制御装置を示すブロック図である。 実施の形態1における発電指令入力手段のブロック構成を説明する図である。 実施の形態1において界磁電流の上限を制限する上限制限手段のブロック構成を説明する図である。 実施の形態1における過出力電圧を抑制する過電圧抑制手段のブロック構成を説明する図である。 実施の形態1における過熱を防止する過熱防止手段のブロック構成を説明する図である。 実施の形態1における不要な界磁電流を遮断する界磁電流遮断手段のブロック構成を説明する図である。 実施の形態1における最小値選択器のブロック構成を説明する図である。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1を適用する車両用交流発電機を示す構成図である。図2は実施の形態1の車両用交流発電機の制御装置9を示すブロック図で、図1のe,f,g端子と図2のe,f,g端子を接続することにより、車両用交流発電機装置10の全体を示すものである。図1において、図示しない内燃機関が始動すると、図示しないベルトを介して交流発電機(以下発電機と称す)の(界磁コイル2を有する)回転子が駆動される。界磁コイル2はスリップリングとブラシ5を介して端子f,gに接続されている。回転子の駆動に伴って、(固定子側の)三相の電機子コイル1で発電された交流出力電圧は、3相全波の整流器3で整流される。電機子コイル1と界磁コイル2と整流器3で発電機を構成している。
整流器3で整流された直流電圧(直流出力電圧)は、整流器3に接続された電気二重層コンデンサ4に充電される。充電されることにより、電気二重層コンデンサ4の端子電圧は上昇する。電気二重層コンデンサ4には電圧変換器(DCDCコンバータ)6が接続され、電気二重層コンデンサ4の電圧を14Vに変換してバッテリ8を充電し、その他の車両の電気負荷7に14Vの電力を供給する。
図2において、11はスイッチング素子で、例えば、MOSFETで構成されるパワー用半導体スイッチング素子である。スイッチング素子11は界磁コイル2と直列に接続される。スイッチング素子11と界磁コイル2の直列体には、直流電圧又は電気二重層コンデンサ4の直流電圧が印加され、スイッチング素子11をオン・オフ制御することにより、界磁コイル2の界磁電流が制御される。12は還流ダイオードで、スイッチング素子11がオフされたときに、界磁コイル2に残留したエネルギーによる界磁電流が還流ダイオード12を通って還流する。抵抗14と抵抗15には、発電機の整流器3の直流電圧又は電気二重層コンデンサ4の直流電圧が印加され、抵抗14と抵抗15の接続点より、その分圧電圧VB/αが導出される。但し、VBは整流器3の直流電圧又は電気二重層コンデンサ4の直流電圧、αは分圧比である。その分圧電圧VB/αが乗算器M1でαが掛け算され、直流電圧VBが出力される。直流電圧VBは外部(ECU)にも出力される。
以下に、図2におけるスイッチング素子11のオン・オフ制御のブロック構成と動作について説明する。ECU(Engine Control Unit)からの発電指令は、スイッチング素子11のオンデューティ(スイッチング素子11がオンする通電率)を指示するものとして入力される。図3は実施の形態1における発電指令入力手段のブロック構成を説明する図である。ECUから発電指令であるパルス列がTimerT1に入力される。TimerT1では、入力されたパルス列(PWM信号)のオン時間と周期を求め、この出力を除算器D1に入力し、発電指令に基づくスイッチング素子11のオンデューティを出力する。なお、ECUから発電指令として、直接に、スイッチング素子11のオンデューティを出力するようなPWM信号,アナログ信号,又はデジタル信号などであってもよい。そして、除算器D1又はECUからのスイッチング素子11のオンデューティが総合選択器20の最小値選択器Min7に入力される。なお、総合選択器20の動作は後述する。
最小値選択器Min7の出力として発電指令に基づくスイッチング素子11のオンデューティが選択されると、そのオンデューティが、駆動回路(ドライバ)21から出力され、スイッチング素子11がそのオンデューティでオン・オフ制御(PWM制御)される。すると、電気二重層コンデンサ4から界磁電流が供給され、発電機は発電を開始して、整流器3で整流された直流電圧が電気二重層コンデンサ4に充電される。電気二重層コンデンサ4は充電されると電圧が上昇する。したがって、オンデューティが一定値であると、界磁コイル2に加えられる平均電圧が上昇し、界磁電流が増加する。電圧が上昇すると、ECUからの発電指令は直流電圧を制限するように、スイッチング素子11のオンデューティを小さくする。
次に、図4は実施の形態1において、界磁電流の上限を設定電圧における最大界磁電流に制限する上限制限手段のブロック構成を説明する図である。乗算器M2には、所定の設定電圧VRとして、バッテリ8の充電電圧、例えば14.0Vが入力される。前記設定電圧VRは、界磁コイル2への界磁電流がオンデューティ100%であっても、通電持続可能な電圧値である。乗算器M2には、さらに、100%デューティ値が入力され、乗算器M2から100VR%が出力される。除算器D2には、前記100VR%が入力され、さらに他方の入力として、整流器3の直流電圧(または、電気二重層コンデンサ4の直流電圧)VBが入力される。除算器D2では、100VR%/VB、つまり、設定電圧/前記直流電圧が求められ、出力される。その出力値は上下限クリップ回路S2で換算され、通電持続可能なオンデューティとして、スイッチング素子11のオンデューティが出力される。オンデューティ出力は100%以下に制限される。
上限制限手段によるスイッチング素子11の上限オンデューティは、設定電圧/直流電圧に基づいているので、整流器3の直流電圧が大きくなっても、界磁電流の上限を設定電圧における最大界磁電流に制限することができる。総合選択器20では、設定電圧/直流電圧に基づいて求めた(上限制限手段による)スイッチング素子11の上限オンデューティと、発電指令によるスイッチング素子11のオンデューティとを、最小値選択器Min7に入力して比較し、その小さい方のオンデューティを、実際のオンデューティとして出力し、駆動回路21を介して、スイッチング素子11をオン・オフ制御する。これにより、例えば、直流電圧が28Vとすると、最大オンデューティは14V/28V=0.5となり、界磁コイルに加えられる平均電圧は、出力電圧28V×0.5=14Vに制限される。したがって、発電指令より過大なオンデューティが入力されたとしても、界磁コイルには平均電圧14Vしか加えられないので、界磁コイルの焼損や、過大な発電による発電機の焼損を防止することができる。また、電流センサを用いないため、安価に実現でき、オンデューティという時間パラメータを制御するため精度がよい。
図5は実施の形態1における過出力電圧を抑制する過電圧抑制手段のブロック構成を説明する図である。抑制ゲイン器DE3には、直流電圧VBが入力され、さらに他の入力として、第1設定電圧VS(過電圧抑制開始電圧で、例えば、27.5V)と第2設定電圧VE(過電圧抑制終了電圧で、例えば、28.5V)が入力される。直流電圧VBが第1設定電圧VSを超え始めると、ゲインを抑制し、さらに直流電圧VBが上昇するにつれて、さらにゲインを抑制し、第2設定電圧VEに達したとき、ゲインをゼロにする。すると、抑制ゲイン器DE3の出力は、1であったものが、第1設定電圧VSを超え始めると、1から連続的に減少(または段階的に減少)し、第2設定電圧VEに達したときに、ゼロとなる。抑制ゲイン器DE3の出力を、総合選択器20の乗算器M6で前記上限制限手段の出力である上限オンデューティに乗算することにより、直流電圧VBが第1設定電圧VSから第2設定電圧VEまでの場合には、オンデューティを減少させることができる。
つまり、電気負荷7が小さい場合、前述のように制限(設定電圧/直流電圧)された上限オンデューティであっても、電気二重層コンデンサ4はさらに充電され、発電電圧が上昇する。通常は、発電指令を出す外部コントローラ(ECU)で電気二重層コンデンサ4の電圧を検出して発電電圧が電気二重層コンデンサ4の許容電圧(第2設定電圧VE)を越えないように発電指令を制御するが、何らかの不具合により電気二重層コンデンサ4の許容電圧を超えてもさらに発電指令が来たとき、抑制ゲイン器DE3がオンデューティをゼロに制御するので、界磁電流は遮断されて発電機は無発電となり電気二重層コンデンサ4の電圧上昇を抑制して電気二重層コンデンサ4を保護する効果がある。
図6は実施の形態1における過熱を防止する過熱防止手段のブロック構成を説明する図である。抑制ゲイン器DE4には、発電機の温度センサ(図示せず)の発電機温度TBが入力される。抑制ゲイン器DE4には、さらに他の入力として、第1設定温度TS(過熱に対して出力の抑制を開始する温度)と第2設定温度TE(過熱限界に対して出力をゼロにする温度)が入力される。発電機温度TBが第1設定温度TSを超え始めると、ゲインを抑制し、さらに発電機温度TBが上昇するにつれて、さらにゲインを抑制し、第2設定温度TEに達したとき、ゲインをゼロになる。
すると、抑制ゲイン器DE4の出力は、1であったものが、第1設定温度TEを超え始めると、1から連続的に減少(または段階的に減少)し、第2設定温度TEに達したときに、ゼロとなる。抑制ゲイン器DE4の出力を、総合選択器20の乗算器M6で前記上限制限手段の出力である上限オンデューティに乗算することにより、発電機温度TBが第1設定温度TSから第2設定温度TEまでの場合には、オンデューティを減少させることができる。第2設定温度TEを超えるとオンデューティをゼロにするので、発電機の過熱を防止することができる。
図7は実施の形態1における不要な界磁電流を遮断する界磁電流遮断手段のブロック構成を説明する図である。除算器D5には、整流器3の直流電圧VB又は電気二重層コンデンサ4の直流電圧VBが入力される。除算器D5には、さらに、発電機の回転速度検出器(図示せず)の回転速度Sが入力される。除算器D5では、直流電圧VB/回転速度Sを求め、比較器C5の反転入力端子に入力する。比較器C5の基準入力端子には設定値R5が入力される。直流電圧VB/回転速度Sが設定値R5以上の時、比較器C5の出力は、ゼロになる。比較器C5の出力を、総合選択器20の乗算器M6で前記上限制限手段の出力である上限オンデューティに乗算することにより、直流電圧VB/回転速度Sが設定値R5以上の時、オンデューティをゼロにすることができる。そのため、界磁電流を遮断することできる。
発電機は、界磁電流を最大に流したとき、発電できる電圧が回転速度により決まってしまうので、回転速度が低いときは界磁電流を最大に流しても発電できない。したがって、発電不可能な回転速度では界磁電流を流しても界磁電流が無駄に使われてしまうので、このときは界磁電流を遮断することで、損失を低減できる。特に直流電圧が可変である交流発電機装置においては、電気二重層コンデンサ4の直流電圧により発電開始回転速度が変化するため、直流電圧/回転速度というパラメータを採用すれば、設定値と比較するだけで発電可否が判断でき、交流発電機装置が簡素化できる。ここで、発電機の回転速度検出器には、残留磁束による発電機の発電周波数を検出してもよいし、エンジン回転速度など、発電機の回転速度を推定できる他の手段を用いてもよい。
次に、図2の総合出力選択器20の動作について説明する。最小値選択器Min6には、過電圧抑制手段(抑制ゲイン器DE3)と過熱防止手段(抑制ゲイン器DE4)の出力が入力され、その中で、小さい方の出力が選択され、その出力が乗算器M6に入力される。図8は実施の形態1における最小値選択器のブロック構成を説明する図である。比較器C6の基準入力端子には過熱防止手段の出力DE4が入力され、比較器C6の反転入力端子には、過電圧抑制手段の出力DE3が入力され、比較器C6で両入力が比較され、DE4に比べDE3が小さいときは、比較器C6より1が出力され、選択器S6よりDE3が選択されて、最小値選択器Min6よりDE3が出力される。一方、DE4に比べDE3が大きいときは、比較器C6より0が出力され、選択器S6よりDE4が選択されて、最小値選択器Min6よりDE4が出力される。このようにして、最小値選択器Min6からは、DE3とDE4で小さい方が選択されて出力される。
乗算器M6には、さらに、上限制御手段(上下限クリップ回路S2)と界磁電流遮断手段(比較器C5)の出力が入力される。乗算器M6では、入力された3入力が乗算され、その出力が最小値選択器Min7に入力される。最小値選択器Min7にはさらに、発電指令入力手段(除算器D1)の出力が入力される。最小値選択器Min7では、2つの入力の中で、小さい方の出力が選択され、駆動回路21に出力され、駆動回路21のオンデューティ出力により、スイッチング素子11がオン・オフ制御される。したがって、界磁コイル2に選択された出力による界磁電流を流すことができる。なお、最小値選択器Min7は、最小値選択器Min6の構成(図8)と同様に構成できる。
なお、図2で説明した車両用交流発電機の制御装置のブロック構成をソフトウエアで構成することも可能である。また、車両用交流発電機の制御装置を交流発電機装置に内蔵することで、ECUからの発電指令が断線などの不具合により正常な発電指令を受けることができなくなったとしても、上限制限手段、過電圧抑制手段、過熱防止手段、界磁電流遮断手段により、界磁電流の上限も制限でき、過励磁、過電圧、過熱、損失低減などの不具合から発電機を保護することができる。
1 電機子コイル 2 界磁コイル
3 整流器 4 電気二重層コンデンサ
5 ブラシ 6 電圧変換器
7 電気負荷 8 バッテリ
9 車両用交流発電機の制御装置 10 車両用交流発電機装置
11 スイッチング素子 12 還流ダイオード
14 抵抗 15 抵抗
20 総合選択器 21 駆動回路

Claims (5)

  1. 電機子コイルと界磁コイルを有する交流発電機における前記電機子コイルの交流出力電圧を整流器で整流して得た直流電圧を、
    前記界磁コイルに印加して界磁電流を得ると共に、界磁電流を前記界磁コイルに直列に接続したスイッチング素子のオン・オフにより制御する車両用交流発電機の制御装置において、
    前記スイッチング素子のオンデューティの上限を、設定電圧/前記直流電圧とする上限制限手段を備えたことを特徴とする車両用交流発電機の制御装置。
  2. 発電指令による前記スイッチング素子のオンデューティと、前記上限制限手段による前記スイッチング素子の上限オンデューティとを比較して、その小さい方のオンデューティで前記スイッチング素子のオン・オフを制御する請求項1記載の車両用交流発電機の制御装置。
  3. 交流出力電圧を前記整流器で整流して得た直流電圧が、前記設定電圧より大きい第2設定電圧を超えたとき、前記スイッチング素子のオンデューティをゼロに制御する請求項1又は請求項2記載の車両用交流発電機の制御装置。
  4. 前記交流発電機の温度を検出し、検出した発電機温度が設定温度を超えたとき、前記スイッチング素子のオンデューティをゼロに制御する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の車両用交流発電機の制御装置。
  5. 前記交流発電機の回転速度を検出し、前記直流電圧/前記回転速度が設定値以上のとき、前記スイッチング素子のオンデューティをゼロに制御する請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の車両用交流発電機の制御装置。
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