JP4962744B2 - テンサイ黒根病抵抗性品種選抜マーカーとその選抜方法 - Google Patents

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Description

本発明はテンサイ黒根病抵抗性品種の選抜マーカーとしてのプライマーとその選抜方法、及びその方法によって得られるテンサイ黒根病抵抗性品種、並びにテンサイ黒根病抵抗性遺伝子の同定方法に関する。
テンサイ黒根病は、土壌糸状菌の1種であるアファノミセス菌(Aphanomyces cochlioides)が製糖用作物であるテンサイ(サトウダイコン:Beta vulgaris L.)等のBeta属植物に感染することで発症する難防除な病気である。その主な病徴としては、幼苗期に苗が立ち枯れる苗立枯症や、生育後期に図1に示すような湿潤な黒斑が根部に現れて腐敗する根腐症状等が知られている(非特許文献1)。その病害は、テンサイの生産現場において収穫量の低減や、パイル内における他のテンサイへの感染等の甚大な被害のみならず、製糖産業においても製糖過程における腐敗根の混入や、糖収量の低減等にも渡り、いずれも大きな問題となっている(非特許文献2)。
当該病気に対する防除法は、現在日本や欧米各国で研究されているが未だに有効なものはない。例えば、テンサイ圃場の透水性・排水性の改善、有効薬剤の探索、又は抵抗性品種の選抜等が検討されている。しかし、圃場の透水性・排水性の改善は、施工にあたり莫大な投資が必要となる場合があり、実現に困難を伴う。また、薬剤による防除は、特効性を示すものが現在のところなく、さらに当該病気の罹患部位が根部であることから薬剤が十分に行き渡らない等の問題を有している。抵抗性品種の選抜は、当該病気の防除対策として最も有効と思われるが、従来技術による抵抗性品種の選抜方法では表現型である根部の病徴に依存しているため、その選抜には多大な労力、時間、そしてコストを必要とする他、環境要因等の影響で偶然病徴を示さなかった罹患株を抵抗性株と誤判定する等の問題がある。
テンサイ市場は、全世界で年間8600億円を越える巨大市場である。テンサイ黒根病はテンサイの収穫量、ひいては製糖原料の供給量を大きく左右し得ることから、当該市場に与える打撃は計り知れない。それゆえ、欧州の育種業界では現在も多大な資金と労力を費やして、テンサイ黒根病抵抗性品種の育種に力を入れている。しかしながら、今もってテンサイ黒根病抵抗性品種やテンサイ黒根病抵抗性遺伝子等に関する有効な研究成果は得られていない。
梶山努、田中文夫,てん菜研究会報,2000,42:59−63. 田口和憲、大潟直樹、田中征勝,てん菜研究会報,2001,43:36−43. Vos P,et al.,Nucleic Acid Res.,1995,23:4407−4414.
本発明の課題は、上記問題点に鑑み、テンサイ黒根病に対する有効な対策方法を開発し、それによって糖収量の低減を防止することである。そこで、本願の第一の発明は、テンサイ黒根病に対して抵抗性を有する品種の発見と、当該品種を表現型に依存することなく、分子生物学的手法によって高い精度で選抜する方法を提供することを目的とする。また、本願の第二の発明は、それによってテンサイ黒根病抵抗性品種の効率的な育成を行うことを目的とする。さらに、本願の第三の発明は、テンサイ黒根病に対して抵抗性を有する遺伝子の同定方法の提供を目的とする。
上記課題を解決するために、本発明者は鋭意研究を重ねた結果、テンサイ黒根病に対して高い抵抗性を有する品種を発見した。さらに、本発明者はAFLP法(AFLPは登録商標)を用いた当該品種のDNA多型、及び遺伝学的解析により、テンサイ黒根病に対する抵抗性を優性の表現型とする遺伝子アリルの遺伝子座と強く連鎖するテンサイ黒根病抵抗性品種選抜用プライマー、及びそれを用いたテンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法を開発することに成功した。以下の(1)から(5)に示す発明は、本発明者らの係る発見等に基づいて完成されたものであり、上記課題を解決するための手段として提供をするものである。
(1)本発明は、配列番号1から5のいずれか一で表される塩基配列からなるテンサイ黒根病抵抗性品種選抜プライマーを提供する。
(2)本発明は、配列番号6から8のいずれか一で表される塩基配列、又は配列番号6から8のいずれか一で表される塩基配列と90%以上の相同性を有する塩基配列からなるポリヌクレオチドを提供する。また、本発明はこれらのポリヌクレオチドのうちいづれか一又は二以上を有するテンサイ黒根病抵抗性品種の種子及び後代を提供する。
(3)本発明は、テンサイをはじめとするBeta属の細胞からDNAを抽出するDNA抽出工程と、AFLP法に基づいて、抽出したDNAを制限酵素で切断するDNA切断工程と、前記DNA切断工程で得られるゲノムDNA断片を鋳型に、前記(1)に記載のプライマーのうち二つをペアとして核酸増幅を行う核酸増幅工程と、前記核酸増幅工程で増幅された核酸中から、核酸増幅で使用したプライマーペアに対応する前記(2)に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチドを検出する検出工程とによってテンサイ黒根病抵抗性品種の選抜を行うテンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法を提供する。
(4)本発明は、前記(3)に記載のテンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法を用いて選抜されるBeta属のテンサイ黒根病抵抗性品種と、当該テンサイ黒根病抵抗性品種を用いて、交配、又はクローニングにより作製されるBeta属のテンサイ黒根病抵抗性品種の種子及び後代及びその生産方法を提供する。
(5)本発明は、Beta属のゲノムDNA、特にテンサイでは第3染色体のDNAおいて、(2)に記載の塩基配列を有する塩基配列座、及び、その塩基配列座とテンサイ黒根病抵抗性遺伝子の遺伝子座との遺伝学的距離が約2.2cMであることとを利用して当該テンサイ黒根病抵抗性遺伝子を同定するテンサイ黒根病抵抗性遺伝子同定方法を提供する。
本発明のテンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法によれば、表現型に依存することなく、分子生物学的手法によってテンサイ黒根病に対して抵抗性を示す品種を高い精度で間接的に選抜することができる。
また、本発明のテンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法によれば、多大な労力や時間、あるいはコストを必要とすることなく、効率的にテンサイ黒根病抵抗性品種の育種を行うことができる。このようなテンサイ黒根病抵抗性品種によれば、当該病気に対して安定した糖収量を確保できることからテンサイ市場における期待は大きく、世界的な利用が予想される。また、製糖産業界における好影響等も期待される等、その波及効果は極めて大きい。
さらに、本発明のテンサイ黒根病抵抗性遺伝子同定方法によれば、前記テンサイ黒根病抵抗性品種選抜プライマーに連鎖するBeta属のテンサイ黒根病抵抗性遺伝子を同定することができる。
以下に、前記各発明を実施するための最良の形態を説明するが、本発明はこれらの実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる様態で実施しうる。なお、請求項1から7は、主に実施形態1にて説明する。
<<実施形態1>>
<実施形態1:概要>
実施形態1は、テンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法と当該選抜方法で得られるテンサイ黒根病抵抗性品種等の発明に関する。
本発明者らが発見したテンサイ黒根病抵抗性品種に基づいて、当該病気に対する抵抗性遺伝資源の研究を行った結果、テンサイ黒根病抵抗性遺伝子座と強く連鎖する3組のプライマーペアを開発することに成功した。これらのプライマーペアを用いることによって、本実施形態のテンサイ黒根病抵抗性品種を、その表現型に依存することなく、高い精度で選抜することができる。
<実施形態1:構成>
実施形態1は、テンサイ黒根病抵抗性品種選抜プライマー、ポリペプチド、テンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法、及び当該選抜方法で得られるテンサイ黒根病抵抗性品種等によって構成される。本実施形態の構成について以下で具体的に説明をする。
(テンサイ黒根病抵抗性品種選抜プライマーの構成)
「テンサイ黒根病抵抗性品種選抜プライマー」とは、配列番号1から5のいずれか一で表される塩基配列からなり、後述するテンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法においてテンサイ黒根病抵抗性品種を検出するためのDNAマーカーとして機能するオリゴヌクレオチドである。いずれのプライマーもその配列中にゲノム上で後述するテンサイ黒根病抵抗性遺伝子と連鎖する塩基配列を有している。当該塩基配列は、配列番号1及び2で表されるプライマーでは約2.2cM(センチモルガン)、また配列番号3から5で表されるプライマーでは約4.3cM、それぞれゲノム上でテンサイ黒根病抵抗性遺伝子から離れた位置に存在する。
図2を用いてテンサイ黒根病抵抗性品種選抜プライマーの構成について説明する。配列番号1から5のいずれか一で表される塩基配列において、nで表される塩基配列(以下「n領域」とする。)は、アダプターの一部にハイブリダイズできるように構成されている。例えば、図2Cで示すように、テンサイ黒根病抵抗性品種選抜プライマーが配列番号1で表される塩基配列の場合であれば、n領域(0205)は、後述するアダプターのコア配列部位の全部、又は一部の塩基配列と相補的な塩基配列を有している。また、配列番号1から5で表される塩基配列において、n以外で表される塩基配列(以下「G領域(0206)」とする。)は、いずれもテンサイのゲノムDNAに存在する塩基配列から構成されている。
「アダプター」とは、後述する本実施形態のテンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法の核酸増幅工程において、図2Bで示すような断片化されたゲノムDNAの制限酵素切断末端部に結合可能なように構成されたものをいう。当該アダプターの構造は、図2Aで示すように1本鎖部分からなる切断末端結合部位(0201)と、2本鎖部分からなるコア配列部位(0202)と、から構成される。アダプターは、EcoRI用アダプターとMseI用アダプターの2種類を用いる。EcoRI用アダプターはEcoRIの切断末端結合部位を、また、MseI用アダプターはMseIの切断末端結合部位を有する。前記二つのアダプターにおけるコア配列部位の塩基配列及び塩基数は、非特許文献3に準じればよい。ただし、コア配列部位の塩基配列や塩基数は特に限定するものではなく、任意の塩基配列及び任意の塩基数であっても構わない。
いずれのテンサイ黒根病抵抗性品種選抜プライマーも、配列番号1から5のいずれか一で表される塩基配列以外の塩基配列を、その5’末側、及び/又は3’末側に付加領域として有することができる。付加領域を5’末側に有する場合、当該付加領域の塩基配列は、図2C及びDで示すように、アダプターの塩基配列においてn領域の5’側に続く塩基配列(0203)が好ましい。ただし、それに限定されるものではなく、任意の塩基配列であっても構わない。また、付加領域を3’末側に有する場合、当該付加領域の塩基配列は、図2C及び2Dで示すように、G領域の3’側に続くBeta属のゲノムDNA上の塩基配列、すなわちN(0204)に相補的な塩基配列によって構成される。具体的には、後述する請求項6から8のいずれか一で表されるポリヌクレオチド上の塩基配列であって、配列番号1から5のいずれかで表されるG領域の塩基配列に相同的な領域に続く3’側の塩基配列となる。
本実施形態のテンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法によれば、プライマーの全塩基数は17塩基以上25塩基以内で、その効果を十分に得ることができる。したがって、テンサイ黒根病抵抗性品種選抜プライマーは、前記付加領域を有する場合、全塩基数で25塩基以内となるように、付加領域を1塩基以上8塩基以内に設計するとよい。当該プライマーの全塩基数が16塩基以下の場合は、ゲノムDNAの塩基配列に対して非特異的なハイブリダイゼーションが生じやすくなることから好ましくない。また、26塩基以上にすることは、プライマーのコストをいたずらに高くするだけであり、あまり好ましくはない。
テンサイ黒根病抵抗性品種選抜プライマーのTm値は、いずれも50℃以上あることが好ましい。これは、テンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法において、鋳型認識の特異性を高めるためである。
テンサイ黒根病抵抗性品種選抜プライマーは、蛍光物質、標識物質、またはRI(放射線同位元素)等で標識されていてもよい。これは、後述するテンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法において、テンサイ黒根病抵抗性品種で増幅されたポリヌクレオチドの検出を容易にするためである。ここでいう「蛍光物質」とは、特定波長の励起光を吸収することで励起状態となり、元の基底状態に戻る際に蛍光を発する性質を有する物質を意味する。例えば、FAM、TET、HEX、Cy3、Cy5、Texas Red、FITC等が該当する。また、「標識物質」とは、ジゴキシゲニン(DIG)等のハプテンやビオチン等が該当する。当該品種選抜プライマーにおいて前記標識物質等で標識される位置は、使用する標識物質等の性質に応じて適宜決定すればよく、特に限定はしない。例えば、T4ポリヌクレオチドキナーゼ等を用いた〔γ―33P〕ATPによる標識等によって5’末端標識する等が挙げられる。当該プライマーの標識は、使用するプライマーペアの少なくとも一方を標識すれば足りる。感度を上げるために双方のプライマーに同一の標識をしても構わないし、あるいは同一の増幅産物を異なる手段で検出可能なように双方のプライマーに異なる標識をしても構わない。
なお、本実施形態のテンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法において、テンサイ黒根病抵抗性品種選抜プライマーは、配列番号1と2で表される塩基配列からなるプライマーペア(以下「第1プライマーペア」とする。)、配列番号3と4で表される塩基配列からなるプライマーペア(以下「第2プライマーペア」とする。)、そして配列番号3と5で表される塩基配列からなるプライマーペア(以下「第3プライマーペア」とする。)を用いることを前提とする。
「テンサイ黒根病抵抗性品種」とは、前記アファノミセス菌の感染に対して高い抵抗性を有し、テンサイ黒根病に罹患しない若しくは罹患しにくいBeta属の品種であって、本発明のテンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法によって同定可能なものをいう。「品種」とは、カブトマル、モノホマレ、ユキノヒデ等のテンサイ品種、またはBeta属に属し、かつテンサイと交雑可能な種が該当する。本発明のテンサイ黒根病抵抗性品種を遺伝学的に説明すると、テンサイ黒根病に対する抵抗性を表現型とするテンサイ黒根病抵抗性遺伝子の優性アリルを少なくとも一方のハプロタイプに有するものをいう。
「Beta属」とは、一般的にはアカザ科フダンソウ属を指す。ただし、本発明においてBeta属とは、テンサイと交雑可能なBeta属植物種を意味する。例えば、テンサイ、テーブルビート、フダンソウ、飼料用ビート等が挙げられる。Beta属植物種の中でも特に製糖用ビートであるテンサイは、テンサイ黒根病による糖収量低減に対する対策方法という本発明の趣旨に即する。
「テンサイ黒根病抵抗性遺伝子」とは、テンサイのゲノム上に存在し、その一のアリルがアファノミセス菌の感染に対して高い抵抗性の優性表現型を示す遺伝子である。当該遺伝子は未同定ではあるが、図5で示すQTL解析の結果からもテンサイでは第三染色体上に存在することが判明しており、また、図7で示すようにその遺伝子座も推定されている。そこで、本発明においては以下、便宜的に当該遺伝子をAcr1(Aphanomyces cochlioides resistance 1)とし、またアファノミセス菌の感染に対して抵抗性を示す当該遺伝子の優性アリルをAcr1とする。これに対して、アファノミセス菌の感染に対して感受を示す当該遺伝子の劣性アリルをAcr1とする。なお、一般的なテンサイはテンサイ黒根病に対して感受性であることから、その遺伝子型はAcr1ホモ、すなわちAcr1/Acr1である。
(ポリヌクレオチドの構成要件)
ここでいう「ポリヌクレオチド」は、いずれも本実施形態のテンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法の開発過程で、テンサイ黒根病抵抗性品種で特異的に増幅された増幅断片の一部の塩基配列から構成される。当該塩基配列は、配列番号6から8のいずれか一で表される塩基配列、又は配列番号6から8のいずれか一で表される塩基配列と90%以上の相同性を有する塩基配列で表される。いずれのポリペプチドも1本鎖、2本鎖は問わない。また、これらの塩基配列は、テンサイのゲノムDNAに存在し、その塩基配列座はAcr1遺伝子座と強く連鎖している。さらに、当該塩基配列は、交雑によって他のBeta属のゲノム上にAcr1と共に置換することができる。
配列番号6から8のいずれか一で表される塩基配列からなるポリヌクレオチドについて、以下で具体的に説明する。
配列番号6で表される塩基配列からなるポリヌクレオチドは、135塩基で構成されている。当該ポリヌクレオチドは、前記第1プライマーペアを用いた本実施形態のテンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法の開発過程で、テンサイ黒根病抵抗性品種で特異的に増幅された増幅断片の一部である。当該ポリヌクレオチドの末端にはMseIの切断末端配列(5’−TAA−3’:以下同じ。)とEcoRIの切断末端配列(5’−AATTC−3’:以下同じ。)を有する。
配列番号7で表される塩基配列からなるポリヌクレオチドは、172塩基で構成されている。当該ポリヌクレオチドは、前記第2プライマーペアを用いた本実施形態のテンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法の開発過程で、テンサイ黒根病抵抗性品種で特異的に増幅された増幅断片の一部である。当該ポリヌクレオチドの末端には配列番号6で表されるポリヌクレオチドと同様にMseIとEcoRIの切断末端配列を有する。なお、当該配列中でnで表される塩基は、未決定の塩基配列である。
配列番号8で表される塩基配列からなるポリヌクレオチドは、307塩基で構成されている。当該ポリヌクレオチドは、前記第3プライマーペアを用いた本実施形態のテンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法の開発過程で、テンサイ黒根病抵抗性品種で特異的に増幅された増幅断片の一部である。当該ポリヌクレオチドの末端には配列番号6で表されるポリヌクレオチドと同様にMseIとEcoRIの切断末端配列を有する。
「配列番号6から8のいずれか一で表される塩基配列と90%以上の相同性を有する塩基配列」とは、前記配列番号6から8のいずれか一で表される塩基配列に欠失、置換、又は付加等の変異が生じた結果、配列番号6から8のいずれか一で表される塩基配列と90%以上の同一性を有することとなった塩基配列をいう。ここでいう欠失とは、配列番号7から9のいずれか一で表される塩基配列において、一または二以上の塩基が失われたものをいう。また、置換とは、配列番号6から8のいずれか一で表される塩基配列において、一または二以上の連続した塩基が他の異なる塩基と置き換えられたものをいう。例えば、点突然変異、逆位、又は欠失を伴う重複や挿入若しくは転座が該当する。さらに、付加とは、配列番号6から8のいずれか一で表される塩基配列において全部でない一または二以上の連続した塩基が新たに追加されているものをいう。例えば、欠失を伴わない挿入、重複、又は転座が該当する。
当該ポリヌクレオチドとその塩基配列の全部又は一部は、テンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法においてテンサイ黒根病抵抗性品種を検出するための指標、プライマー、若しくはプローブとして用いることができる。テンサイ黒根病抵抗性品種を検出するための指標としては、例えば、AFLP法においてその塩基長を利用する方法が挙げられる。これについては、以下のテンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法の検出工程で詳述する。
また、テンサイ黒根病抵抗性品種を検出するためのプライマーとしては、例えば、当該ポリヌクレオチドの末端制限部位にあるSNPにおいて、Acr1に連鎖するSNPの塩基配列をLNA(Locked Nucleic Acid)に置き換えたものが挙げられる。LNAの相補的核酸に対する高い結合親和性と熱安定性を利用して、当該プライマーが鋳型DNAへハイブリダイズする温度差によって、Beta属のゲノムDNAからAcr1に連鎖する塩基配列座を選択的に増幅させる。その増幅産物の有無からテンサイ黒根病抵抗性品種判別する方法等が挙げられる。
さらに、テンサイ黒根病抵抗性品種を検出するためのプローブとしては、当該ポリヌクレオチドの末端制限部位にあるSNPにおいて、Acr1に連鎖するSNPの塩基配列をPNA(Peptide Nucleic Acid)に置き換えたものが挙げられる。PNAの相補的核酸に対する熱安定性と塩基配列の高い選択性性と利用して、Acr1に連鎖するSNPを含むプローブを、Beta属のゲノムDNA断片に対して温度差によって特異的にハイブリダイズさせてテンサイ黒根病抵抗性品種判別する方法等が挙げられる。また、当該プローブを利用したPCR−clamping法によって、Beta属のゲノムDNAからAcr1に連鎖する塩基配列座を選択的に増幅させる方法等も挙げられる。
テンサイ黒根病抵抗性を有する種子及び/又はテンサイ黒根病抵抗性品種後代とは、配列番号6から8及び配列番号6から8のいずれか一で表される塩基配列と90%以上の相同性を有する塩基配列からなるポリヌクレオチドのうち一又は二以上のポリヌクレオチドを有するテンサイ黒根病抵抗性品種を用いて、交配またはクローニングにより作製される種子及び/又は後代であって、Acr1を有する種子及び/又は後代をいう。「クローニングにより作製される種子及び/又は後代」とは、前記テンサイ黒根病抵抗性品種の一部組織を培養して得られる同一の遺伝情報を有するクローン種子及び/又は後代を意味する。例えば、テンサイ黒根病抵抗性品種の根部から得た組織に公知の脱分化処理を行ってカルス誘導させた後に、当該カルスを培養することで得られるクローン種子及び/又はクローン後代等が該当する。
(テンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法の構成要件)
テンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法は、AFLP法に基づいた選択的核酸増幅方法であって、「DNA抽出工程」、「DNA切断工程」、「核酸増幅工程」、そして「検出工程」から構成される。以下、それぞれに工程について具体的に説明をする。
「DNA抽出工程」は、Beta属の細胞からDNAを抽出する工程である。DNA抽出工程で抽出されるDNAは、ゲノムDNAを含んでいればよく、ミトコンドリアDNA若しくは葉緑体DNA等が混在していても、あるいは全DNAであっても構わない。これは、ゲノムDNAが以降の工程で鋳型として必要となるからである。「Beta属の細胞」は、Beta属の植物体を構成する細胞であれば、葉部、茎部、根部等、いずれの細胞であってもよい。鋳型とするゲノムDNAは全ての細胞に含まれているからである。好ましくは緑葉部である。これは、細胞中のゲノムDNAが自己のDNA分解酵素等による断片化をほとんど受けていないこと、採取が容易なこと、また採取の際に植物体に与えるダメージを最小限にできる等の理由による。また、Beta属の細胞は、植物体を採取後、速やかに凍結させたものを使用してもよい。凍結処理によれば、細胞中のゲノムDNAが酵素による分解の影響をほとんど受けないからである。
「DNA切断工程」は、抽出したDNAを制限酵素で切断する工程である。本実施形態で言う「制限酵素」は、非特許文献3に記載のAFLP法に従って、EcoRI若しくはEcoRIアイソシゾマー、及びMseI若しくはMseIアイソシゾマーとの組み合わせを指す。本実施形態のテンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法は、これらの異なる2種類の制限酵素を用いてBeta属のゲノムDNAを切断することによって生じるテンサイ黒根病抵抗性品種とテンサイ黒根病感受性品種との制限酵素切断パターンの違いを利用する。すなわち、本実施形態のテンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法は、Beta属のゲノムDNAにおいてAcr1と連鎖したSNP(一塩基多型)であって、それがEcoRI、及び/又はMseIの制限部位内にあり、かつAcr1とAcr1との間で異なるものを利用した方法である。
「核酸増幅工程」は、前記DNA切断工程で得られるゲノムDNA断片を鋳型に、前述のプライマーペアを用いて核酸増幅を行う工程である。本実施形態のテンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法は、前述のようにAFLP法に基づいている。ゆえに、当該核酸増幅工程は、数段階の工程によって構成される。これについては本実施形態の方法の項で詳述する。
「ゲノムDNA断片」とは、前記DNA切断工程後に得られる様々な長さのゲノムDNAの断片をいう。当該ゲノムDNA断片の末端部は、使用した制限酵素によって切断された末端となる。すなわち、5’末端と3’末端は、EcoRI若しくはEcoRIアイソシゾマーによる切断末端、及び/又はMseI若しくはMseIアイソシゾマーによる切断末端となる。当該ゲノムDNA断片は、当該核酸増幅工程における鋳型として機能する。
「核酸増幅」とは、DNA等を鋳型とし、酵素反応によって二つのプライマーに挟まれた特定の領域を増幅することをいう。核酸増幅を行う方法を「核酸増幅法」といい、その具体例としてはPCR法、ICAN法、LAMP法、又はNASBA法等が挙げられる。本実施形態のテンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法は、鋳型、プライマー、アダプターとして、それぞれ前記DNA切断工程で得られるゲノムDNA断片、前記テンサイ黒根病抵抗性品種選抜プライマーのペア、そして後述するAFLP法用のアダプターを用いる。
「検出工程」は、前記核酸増幅工程で増幅された核酸中から、請求項6から8のいずれか一で記載されたポリヌクレオチドの塩基配列を含むポリヌクレオチド(以下「増幅ポリヌクレオチド」とする。)を検出する工程である。具体的には、第1プライマーペアを用いた場合には配列番号6で表される塩基配列又は配列番号6で表される塩基配列と90%以上の相同性を有する塩基配列を含むポリヌクレオチドを、第2プライマーペアを用いた場合には配列番号7で表される塩基配列又は配列番号7で表される塩基配列と90%以上の相同性を有する塩基配列を含むポリヌクレオチドを、そして第3プライマーペアを用いた場合には配列番号8で表される塩基配列又は配列番号8で表される塩基配列と90%以上の相同性を有する塩基配列を含むポリヌクレオチドを、それぞれ検出する工程である。
「増幅ポリヌクレオチド」は、ポリヌクレオチドの構成要件の項に記載のいずれか一のポリヌクレオチドの塩基配列、すなわち請求項6から8のいずれか一で記載されたポリヌクレオチドの塩基配列と、さらに、その5’、3’の両末端部に前記核酸増幅工程で使用したテンサイ黒根病抵抗性品種選抜プライマーのアダプター配列が付加された塩基配列と、からなるポリヌクレオチドである。ゆえに、当該増幅ポリペプチドの塩基長は、アダプター配列が付加された分だけ長い。当該増幅ポリヌクレオチドは、Acr1をホモ又はヘテロで有する株由来のゲノムDNAで特異的に増幅されるものであって、通常Acr1ホモ個体由来のゲノムDNAからは増幅されない。つまり、これらの増幅ポリヌクレオチドを検出できるか否かで、検査対象である株がテンサイ黒根病抵抗性品種であるか否かを判定することができる。
ただし、本実施形態のテンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法は、Acr1に強く連鎖し、かつAcr1とAcr1の間で異なるSNPを利用して、間接的にAcr1の有無を判断する方法である。それ故、Acr1と当該SNPとの間で交叉が生じた場合には、Acr1ホモ個体、すなわちテンサイ黒根病感受性品種由来のゲノムDNAにおいても増幅ポリヌクレオチドが検出され得る。このような、いわゆる誤検出が生じる頻度は、Acr1と前記SNPとの組換え価(RV:Recombination Value)に対応する。すなわち、当該誤検出が生じる頻度は、第1プライマーペアを用いた場合のAcr1-SNP間で約2.2%、第2プライマーペアを用いた場合のAcr1-SNP間で約4.3%、第3プライマーペアを用いた場合のAcr1-SNP間で約4.3%である。これらの頻度は、従来の表現型に依存するテンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法の誤検出頻度(約50%)に比べれば、極めて低い。また、実際にテンサイ黒根病の抵抗性について検出する場合は、一の個体に関して1組のプライマーペアのみを用いて調べるよりも、2組、若しくは3組のプライマーペアを用いて検出することとなる。したがって、例えば、3組のプライマーペアを用いた場合であれば、本実施形態の選抜方法による誤検出頻度は、約0.004%(0.022×0.043×0.043)となり、これはもはや無視できる値である。したがって、Acr1とそれに連鎖するSNPの交叉によって生じる誤検出の頻度は、本実施形態のテンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法の効果を何ら減じるものではない。
(本実施形態の選抜方法で得られるテンサイ黒根病抵抗性品種等としての構成要件)
「テンサイ黒根病抵抗性品種等」とは、前記テンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法によって同定される、Beta属のテンサイ黒根病抵抗性品種とBeta属のテンサイ黒根病抵抗性品種後代とBeta属のテンサイ黒根病抵抗性を有する種子を言う。
「交配、又はクローニングによりBeta属のテンサイ黒根病抵抗性を有する種子及び/又はBeta属のテンサイ黒根病抵抗性品種後代を生産する方法」とは、種子及び/又は後代を生産できる交配、又はクローニング方法であれば特に限定しない。
<実施形態1:方法>
図3は、実施形態1のテンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法における工程の流れの一例を示したものである。まず、Beta属の細胞からDNAを抽出する(S0301 DNA抽出工程)。次に、抽出したDNAを制限酵素で断片化する(S0302 DNA断片化工程)。続いて、前記DNA断片化工程で得られるゲノムDNA断片を鋳型として、前記二つのテンサイ黒根病抵抗性品種選抜プライマーをペアとする核酸増幅を行う(S0303 核酸増幅工程)。最後に、前記核酸増幅工程で増幅された核酸中から請求項1から8に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチドを検出する(S0304 検出工程)。以上の工程を経て、目的とするテンサイ黒根病抵抗性品種等を選抜することができる。
実施形態1のテンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法は、AFLP法を基本としている。すなわち、テンサイ黒根病抵抗性遺伝子と連鎖するSNPの有無を検出する方法である。当該SNPは、Acr1とAcr1との間で異なる。実施形態1のテンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法の基本的な技術や方法は、公知のAFLP法に準ずればよい。以下、各工程における方法を具体的に説明する。
(1)DNA抽出工程(S0301)
DNA抽出の方法は、Beta属の細胞からゲノムDNAを取り出すことができる方法であれば、特に限定はしない。具体例としては、CTAB(臭化セシルトリメチルアンモニウム)法が挙げられる。当該方法は、実施例1でその具体的な方法の一例を詳述する。DNA抽出は、この他、ISOPLANT(ニッポンジーン)等の市販のDNA調製キット等を利用してもよい。
(2)DNA切断工程(S0302)
DNAの切断は、2種類の制限酵素、すなわち、EcoRIとMseI、若しくはそれらのアイソシゾマーとの組み合わせで行う。これらの制限酵素は、市販のものを使用すれば足りる。また、各制限酵素のバッファ組成、塩濃度、pH等については一般に使用される反応条件に準じて行えばよい。反応に用いる制限酵素量は、反応に用いるDNA量に応じて、それが十分に切断される酵素量を適宜定める。例えば、1μgのDNA量であれば、EcoRIとMseIをそれぞれ2から3ユニット程度用いればよい。制限酵素の切断する順序に関しては特に問わない。例えば、EcoRIとMseIで同時に切断してもよいし、一方の制限酵素で切断した後、他方の制限酵素で切断してもよい。反応温度や反応時間は、ゲノムDNAが十分に断片化される条件を、反応に用いるDNA量に応じて適宜選択する。例えば、1μgのDNA量に対して制限酵素を2ユニット使用する場合であれば、反応温度を37℃、反応時間を1時間〜2時間にすればよい。切断反応後は、切断末端部どうしの再結合等を防ぐために、反応液を一旦70℃から80℃程度に加熱した後、4℃以下に急冷させるとより好ましい。
(3)核酸増幅工程(S0303)
本実施形態のテンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法は、AFLP法を基本とすることから、当該核酸増幅工程は複数段階の工程によって構成されている。通常は図4で示す3段階で行うことが好ましいが、目的のポリヌクレオチドを効率よく増幅できれば段階数は特に限定しない。例えば、第1段階のアダプター結合工程と第3段階の選抜工程の2段階から構成されていてもよい。以下、一般的な3段階から構成される場合について、本実施形態の場合について説明をする。
(第1段階:アダプター結合工程)
第1段階は、アダプター結合工程(S0401)である。この工程は、制限酵素によって断片化されたゲノムDNAの末端部にアダプターを結合させることを特徴とする。結合は、T4 DNAリガーゼを用いたDNA結合反応方法が一般的で便利である。この場合、T4 DNAリガーゼのバッファー組成、塩濃度、pH等については一般に使用される反応条件に準じて行えばよい。アダプターは、EcoRIアダプター、MseIアダプターの二つを用いる。また、添加するアダプター量は等量であることが好ましい。結合反応温度は8℃から30℃の範囲内であればよいが、15℃から20℃の範囲であればなおよい。反応時間は結合反応温度が低いほど長くする。例えば、20℃であれば2時間程度でよいが、10℃であれば約12時間反応させると言う具合である。アダプターの結合は、もちろん、この方法に限られるものではなく、断片化されたゲノムDNAの末端部にアダプターを結合できる方法であれば特に限定はしない。また、最近では様々な酵素等を用いたDNA結合反応キットが市販されており、それらも利用できる。この場合、反応条件等については添付のプロトコルに従って行えばよい。
(第2段階:予備増幅工程)
第2段階は、予備増幅工程(S0402)である。この工程では、テンサイ黒根病抵抗性品種予備増幅プライマーのペアを用いて予備的な核酸増幅を行い、目的の増幅ポリヌクレオチドを絞り込むことを目的としている。
「テンサイ黒根病抵抗性品種予備増幅プライマー」は、前記二種類のアダプターのそれぞれに対して相補的な塩基配列と3’末端側に配置される特定の塩基とから構成される。ここで、アダプターに対して相補的な塩基配列は、EcoRI若しくはMseIの制限部位の全部又は一部及びそれに隣接するコア配列の全部又は一部の塩基配列と、相補的な塩基配列から構成される。アダプターに対して相補的な塩基配列の塩基数は、13塩基以上あれば、特に限定はしない。また、特定の塩基は、1塩基若しくは2塩基から構成されるが、通常は1塩基でよい。この特定の塩基がATGCのいずれであるかは、次の第3段階で使用するテンサイ黒根病抵抗性品種選抜プライマーのペアによって決定される。すなわち、当該特定の塩基は、使用するテンサイ黒根病抵抗性品種選抜プライマーに含まれるEcoRI若しくはMseIの制限部位の全部又は一部の塩基配列の3’末端側(伸長方向側)に隣接する塩基となる。例えば、第3段階で使用するテンサイ黒根病抵抗性品種選抜プライマーのペアが配列番号1と2のそれぞれを含むプライマーペアである場合、配列番号1を含む当該品種選抜プライマーは、EcoRIの制限部位の一部であるAATTCを含んでいる。ゆえに、配列番号1の塩基配列から当該制限部位の3’末端Cに隣接する塩基はGとなる。同様に、配列番号2を含む当該品種選抜プライマーは、MseIの制限部位の一部であるTAAを含んでいる。ゆえに、配列番号2の塩基配列から当該制限部位の3’末端Aに隣接する塩基はCとなる。
当該核酸増幅工程で用いる核酸増幅法は、目的とするポリヌクレオチドを増幅できる方法であれば、特に限定はされない。例えば、PCR法、ICAN法、LAMP法等が挙げられる。中でもPCR法は様々な方法が確立されており、便利である。核酸増幅法の、反応温度、サイクル数等の反応条件については、前記で挙げたそれぞれの方法で公知の技術に応じて最適の条件を適宜定めて行えばよい。本明細書においては、後述の実施例1においてPCR法を用いた場合の反応条件を一例として示すが、もちろんそれに限定されるものではない。
(第3段階:選抜工程)
第3段階は、選抜工程(S0403)である。この工程では、テンサイ黒根病抵抗性品種選抜プライマーのペアを用いて前記予備増幅工程で増幅された核酸断片を鋳型として、さらに核酸増幅を行い、目的の増幅ポリヌクレオチドを増幅することを特徴とする。
当該選抜工程において使用する核酸増幅法やその反応条件は、前記第2段階の核酸増幅法に準じて行うと便利である。また、ここで使用する核酸増幅法は、必ずしも前記第2段階の核酸増幅法と同一の方法である必要はない。例えば、第一段階の予備増幅工程ではPCR法を使用し、第3段階の選抜工程ではICAN法を使用する等のように異なる核酸増幅法を組み合わせて使用する場合等が該当する。それぞれの各方法の具体的な手順や反応条件等については、公知の技術に準じて行えばよい。本明細書においては、後述の実施例1においてPCR法を用いた場合の反応条件を一例として示すが、もちろんそれに限定されるものではない。
このようにして、当該核酸増幅工程で得られた最終増幅産物の溶液は、次の検出工程で使用する。
(4)検出工程(S0304)
増幅ポリヌクレオチドの検出は、ゲル電気泳動法が便利である。本実施形態のテンサイ黒根病抵抗性品種選抜プライマーのプライマーペアを用いた場合には、いずれのペアを用いた場合も、テンサイ黒根病感受性品種では増幅ポリヌクレオチドに近似する塩基長のポリヌクレオチドが検出されない(Acr1とそれに連鎖するSNPの交叉が生じた場合を除く。以下同じ。)。したがって、ゲル電気泳動法は、増幅ポリヌクレオチドの塩基長の有無によってテンサイ黒根病抵抗性品種を容易に判別できるからである。また、ゲル電気泳動法が分子生物学分野に従事する者であれば特段の技術習得を必要とせずに実施できる理由にもよる。
前述のように増幅ポリヌクレオチドの塩基長は、請求項6から8のいずれか一に記載のポリヌクレオチドの塩基配列の両末端に、核酸増幅工程で用いたプライマーのアダプター配列が付加されている。その付加される塩基長は両端のアダプター配列を合わせた20塩基から36塩基の範囲内である。具体的な一例としては、第1プライマーペアを用いて配列番号7で表されるポリヌクレオチドの塩基配列を含む増幅ポリヌクレオチドを検出する場合、当該検出する増幅ポリヌクレオチドの塩基長は155塩基から171塩基が該当する。ただし、これらは鋳型となるゲノムDNAの塩基配列内に欠失、置換、付加等の変異が存在する場合には、それに応じて変動する。
ゲル電気泳動法を用いて、増幅ポリヌクレオチドを検出する場合には、検出するポリヌクレオチドが500塩基以下であれば、PAGE法を用いることが望ましい。この場合、ランニングゲルのアクリルアミド(アクリルアミド/ビス−アクリルアミドの重量比=30/0.8)の濃度は、検出する増幅ポリヌクレオチドの塩基長に応じて10%以上15%以内の範囲内で適宜設定する。スタッキングゲルの使用は任意であるが、使用の場合には5%のアクリルアミド(アクリルアミド/ビス−アクリルアミドの重量比=30/0.8)の濃度にすればよい。
ゲルにアプライするサンプル量は、検出すべき増幅ポリヌクレオチドの量に応じて適宜定めればよく、特に限定するものではないが、一般には前記核酸増幅工程の選抜工程で得られた増幅産物の溶液5μl/ウェルで足りる。必要に応じて、ローディングバッファを増幅産物の溶液5μlに対して1μl程度加えてもよい。
泳動は泳動バッファー(1×TBE等)中で280Vで3時間程度泳動する。この時、サイズマーカーを同時に泳動する。サイズマーカーは、市販のサイズマーカー、例えば、100bpDNAラダーマーカー(TaKaRa社)等を利用すると便利である。
なお、当該検出工程を行う上で、増幅ポリヌクレオチドを判別するために、遺伝型が判明しているゲノムDNAを、ネガティブコントロール(Acr1ホモ)、及びポジティブコントロール(又はAcr1ホモ若しくはAcr1へテロ)として用いることが好ましい。
ゲル電気泳動後のポリヌクレオチドを視認する方法としては、前述のようにテンサイ黒根病抵抗性品種選抜プライマーペアのうち少なくとも一方を予め蛍光物質やRIで直接標識したものを核酸増幅工程で使用する方法や、ビオチンやDIGのように蛍光物質で標識したアビジンタンパク質や抗体等をそれぞれ使用して間接的に蛍光物質標識を行う方法、又は電気泳動後のゲル中に存在するポリヌクレオチドをインターカレーション可能な蛍光物質、例えばエチジウムブロマイド(Ethidium bromide)、ビストラグリーン(VistraGreen:アマシャム社)、サイバーグリーン(SYBER Green;登録商標:ロッシュ社)等で染色する方法等が挙げられる。蛍光物質で標識若しくは染色した場合には、使用した蛍光物質の励起波長光を泳動後のゲルに照射することで発生するケミカルルミネッセンスにより、ゲル中のポリヌクレオチドを視認できる。ケミカルルミネッセンスの視認は目視可能な発光強度であれば目視で行ってもよい。また、発光強度が微弱等の場合には生物化学発光撮影装置(ライトキャプチャー)によって視認すればよい。RIで標識した場合には、泳動後のゲルを適当に処理した後、X線フィルム、あるいはイメージングプレート(富士フィルム)等に感光させることでゲル中のポリヌクレオチドを視認することができる。これらの基本的な操作等についてはいずれも公知の技術であり、詳細はそれらの各種プロトコル等に準じて行えばよい。
通常は、前述したように本実施形態のテンサイ黒根病抵抗性品種選抜プライマーペアによれば、テンサイ黒根病感受性品種で増幅ポリヌクレオチドに近似する塩基長のポリヌクレオチドは検出されないことから、ゲル電気泳動法で判別は可能である。しかし、当該品種選抜プライマーペアで検出するゲノムDNAの領域内で、40塩基を超えるような欠失、付加等の変異が生じた場合には、当該増幅ポリヌクレオチドの塩基長が、テンサイ黒根病感受性品種においても増幅される他の非特異的なポリヌクレオチドの塩基長と近似する可能性がある。このような場合には、前記ポリヌクレオチドの構成要件で述べた、請求項6から8に記載のいずれか一のポリヌクレオチドの全部、又は一部をプローブとして、ハイブリダイゼーション法を行うことで、増幅ポリヌクレオチドを選択的に検出することができる。
ここで使用するハイブリダイゼーション法は、サザンハイブリダイゼーション法、若しくはそれを原理とする公知の方法が便利である。一般的なサザンハイブリダイゼーション法は、電気泳動後のゲル中で分画されたポリヌクレオチドをメンブレンに転写し、標識されたプローブを当該メンブレン上の目的のポリペプチドにハイブリダイズさせて検出することを基礎とするものである。この方法は分子生物学分野において極めて一般的な技術であり、本実施形態においてもそれに準じて行えばよいことから、詳細な説明については省略する。
プローブとしてのポリペプチドの塩基配列は、第1プライマーペアを使用した場合には、請求項6で表されるポリヌクレオチドの塩基配列の全部、または一部を用いる。第2プライマーペアを使用した場合には、請求項7で表されるポリヌクレオチドの塩基配列の全部、または一部を用いる。そして第3プライマーペアを使用した場合には、請求項8で表されるポリヌクレオチドの塩基配列の全部、または一部を用いる。プローブの標識は、前記テンサイ黒根病抵抗性品種選抜プライマーにおいて、蛍光物質や標識物質、あるいはRIで当該プライマーを直接標識した方法に準じて行えばよい。また、ハイブリダイズしたプローブの検出は、そのプローブの標識に応じて適宜決定する。これについても、前記標識されたテンサイ黒根病抵抗性品種選抜プライマーを検出する方法に準じて行えばよい。
本実施形態のテンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法において、プライマーペアを単独で用いた際、増幅ポリヌクレオチドが検出できた場合には、その個体は95%以上の確率でテンサイ黒根病抵抗性品種と判断できる。また、3組のプライマーペアを独立で用いた際に、いずれのプライマーペアにおいても、所定の塩基長のポリヌクレオチドが検出できた場合には、その個体は限りなく100%に近い確率でテンサイ黒根病抵抗性品種と判断できる。
<実施形態1:効果>
本実施形態のテンサイ黒根病抵抗性品種選抜プライマーと当該選抜プライマーを用いたテンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法によれば、病徴の現れる前の幼植物体時であっても、その植物体の一部を採取するだけで、表現型に依存することなく、テンサイ黒根病に対して優性の抵抗性を示す品種を高い精度で間接的に選抜することができる。
また、本発明のテンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法を、選抜されたテンサイ黒根病抵抗性品種から得られるテンサイ黒根病抵抗性後代の選抜に対しても使用することで、多大な労力や時間、そしてコストを必要とすることなく、効率的にテンサイ黒根病抵抗性のテンサイ等の品種改良が可能となる。それによって当該病気によって糖収量が大きく縮減することもなくなり、製糖市場に安定してテンサイを供給する事ができる。すなわち、本実施形態によれば、製糖産業における波及効果は極めて大きい。
<実施形態2>
<実施形態2:概要>
実施形態2は、テンサイ黒根病抵抗性遺伝子Acr1の同定方法に関する。前記実施形態1のテンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法は、AFLP法によりAcr1と連鎖するSNPに基づいて、増幅ポリヌクレオチドを検出する方法であった。ところで、当該テンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法を開発する過程で、テンサイの表現型とそのテンサイからの増幅ポリヌクレオチドとの分離比から、Beta属のゲノムDNAにおいてAcr1遺伝子座と、請求項6から8のいずれか一に記載の塩基配列を有する塩基配列座との間の組換え価を算出することができる。さらに、当該組換え価とコサンビ(Kosambi)の地図関数と、から両者の遺伝学的距離を算出することができる。本実施形態は、請求項6から8のいずれか一に記載のポリヌクレオチドの塩基配列を有する塩基配列座と、当該算出された遺伝学的距離とから、ゲノム上のAcr1遺伝子を同定する方法である。
<実施形態2:構成>
実施形態2は、Beta属のゲノムDNAにおいて、請求項6から8のいずれか一に記載の塩基配列を有する塩基配列座及び、前記請求項6から8のいずれか一に記載の塩基配列座とAcr1遺伝子座との遺伝学的距離を利用してAcr1を同定するテンサイ黒根病抵抗性遺伝子同定方法によって構成される。以下で本実施形態の構成について具体的に説明をする。
本実施形態の「塩基配列座」とは、Beta属のゲノム上、また、テンサイの場合には第3染色体上にあって、配列番号6で表される塩基配列、又は配列番号6で表される塩基配列と90%以上の相同性を有する塩基配列(以下「請求項6に記載の塩基配列」とする。)、
配列番号7で表される塩基配列、又は配列番号7で表される塩基配列と90%以上の相同性を有する塩基配列(以下「請求項7に記載の塩基配列」とする。)、または配列番号8で表される塩基配列、又は配列番号8で表される塩基配列と90%以上の相同性を有する塩基配列(以下「請求項8に記載の塩基配列」とする。)、のいずれかを有する領域である。
また、各塩基配列座とAcr1の遺伝子座との遺伝学的距離は、表1から請求項6に記載の塩基配列を有する遺伝子座の場合は約2.2cM、請求項7に記載の塩基配列を有する遺伝子座の場合は約4.3cM、そして請求項8に記載の塩基配列を有する遺伝子座の場合は、約4.3cMである。ここで、表1は、Acr1遺伝子座と前記各塩基配列座との連載分析結果を示したものである。表中で、Cl.6、Cl.7、Cl.8は、請求項6、請求項7、請求項8にそれぞれ記載の塩基配列を有する塩基配列座を、またA、Bは遺伝子座又は塩基配列座を示す。ここで、各塩基配列座の検出は、本実施形態の方法による増幅ポリヌクレオチドの有無によって、Acr1遺伝子座の検出は、表現型によって、それぞれ行った。表中、+は増幅ポリヌクレオチドが検出された場合若しくはテンサイ黒根病に対する抵抗性の表現型が確認された場合を、―は増幅ポリヌクレオチドが検出されなかった場合若しくはテンサイ黒根病に対する感受性の表現型が確認された場合を示す。例えば、1を例に挙げて説明すると、A:Bの++の値は73であることから、Cl.6に記載の塩基配列を有する増幅ポリヌクレオチド(A)が検出(+)され、かつテンサイ黒根病に対する抵抗性の表現型(B)が確認され(+)た株が73株であったことを意味する。さらに、RVは組換え価を、cMはセンチモルガンを、S.E.は標準誤差をそれぞれ示す。この表の結果に基づいて、Acr1と各塩基配列座との遺伝学的な連鎖地図は、図7のように表すことができる。
Figure 0004962744
<実施形態2:方法>
Beta属のゲノムDNA上で、前記請求項6に記載の塩基配列、請求項7に記載の塩基配列、そして請求項8に記載の塩基配列を有する塩基配列座、及び当該塩基配列座とAcr1の遺伝子座との遺伝学的距離を利用してAcr1を同定することができる。すなわち、通常1cMで表される遺伝学的距離が、物理的距離にして約1Mb(メガベース=1×10塩基)に相当することを利用すればよい。例えば、ゲノム上で請求項6に記載の塩基配列を有する塩基配列座とAcr1の遺伝子座との遺伝学的距離が約2.2cMであることから、当該塩基配列座を基点として約2.2Mb離れた左右いずれかの位置にAcr1が存在することになる。
当該遺伝学的距離を利用してAcr1を同定する方法の一例を、以下で説明する。まず、Beta属のいずれかの種の全ゲノム塩基配列データベースから前記請求項6に記載の塩基配列に相同的な領域を検索する。植物種がテンサイである場合には、第3染色体のみを検索すればよい。続いて、検索によって得られた相同的な領域を塩基配列座として、それを基点に物理的距離にして左右2.2Mb離れた位置周辺にある複数の遺伝子を候補遺伝子として選択する。テンサイ黒根病抵抗性品種とテンサイ黒根病感受性品種において候補遺伝子の全塩基配列決定を行う。候補遺伝子数が50を超える場合には、既知遺伝子若しくは、その機能が予測された遺伝子を選択し、さらにその中でテンサイ黒根病に対して関連性が予想される遺伝子を優先的に調べればよい。テンサイ黒根病抵抗性品種とテンサイ黒根病感受性品種との間で相違が見られる遺伝子、特にテンサイ黒根病抵抗性品種では、その塩基配列がパプロタイプで異なる場合が見られる遺伝子がある場合には、当該遺伝子を有力候補遺伝子として選択する。その後有力候補遺伝子において、テンサイ黒根病感受性品種では見られない塩基配列をAcr1アリル候補として、ベクターに連結する。テンサイ黒根病感受性品種の組織から得た組織に公知の脱分化処理を行ってカルス誘導させた後に、そのカルスに当該遺伝子を連結したベクターを公知技術によって導入する。カルスを培養することで得られる植物体がテンサイ黒根病抵抗性品種の表現型を示せば、Acr1アリル候補が、目的のAcr1遺伝子であり、テンサイ黒根病に対して抵抗性を有するアリル遺伝子となる。
複数の塩基配列座、及び当該複数の塩基配列座とAcr1の遺伝子座との遺伝学的距離を組み合わせた方法は、テンサイ黒根病抵抗性遺伝子同定方法において、より好ましい。なぜなら、2点若しくは3点の塩基配列座によれば、Acr1の遺伝子座を1点に特定することができるからである。すなわち、図6で示す連鎖地図のように、Beta属のゲノムDNA上で、前記請求項6に記載の塩基配列を有する塩基配列座とAcr1遺伝子座、請求項7に記載の塩基配列を有する塩基配列座とAcr1遺伝子座は、ぞれぞれ逆方向に2.2cM,4.3cMであることからAcr1の遺伝子座が特定される。また、請求項6に記載の塩基配列を有する塩基配列座と、請求項7に記載の塩基配列を有する塩基配列座とは、6.5cMの距離にあり、この遺伝学的距離とゲノム塩基配列における物理学的な実際の距離との比較によって補正された各塩基配列座とAcr1遺伝子座との物理学的距離を算出することもできるからである。なお、遺伝子の同定方法については、前記方法と同様に行えばよい。
<実施形態2:効果>
本実施形態のテンサイ黒根病抵抗性遺伝子同定方法によれば、ゲノム上でテンサイ黒根病抵抗性遺伝子をコードする領域を限定し、当該遺伝子を同定することができる。また、テンサイ黒根病抵抗性品種と、テンサイ黒根病感受性品種との当該遺伝子の塩基配列の比較から、Acr1、すなわちテンサイ黒根病抵抗性遺伝子のテンサイ黒根病抵抗性アリルを同定することできる。当該遺伝子を同定できれば、テンサイ黒根病抵抗性品種の選抜において、直接的に検出が可能となるだけでなく、テンサイ黒根病抵抗性遺伝子アリルをテンサイ黒根病感受性品種に導入する遺伝子組み換え体を作製することで、容易にテンサイ黒根病抵抗性品種を得ることができるようなる。
以下の実施例をもって本発明を具体的に説明する。なお、当該実施例は単に例示するのみであり、本発明はこの実施例によって何ら限定されるものではない。
<テンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法>
ここでは、表現型からテンサイ黒根病に対して抵抗性を有することが判明している品種4株(a1〜a4)と、感受性を示すことが判明している品種4株(b1〜b4)とについて、それぞれより得た植物組織(緑葉)を用いて実施形態1のテンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法を行った具体例を示す。
((方法))
(A)DNA抽出工程
ここではCTAB法を用いた方法を例に挙げて説明する。
(試薬組成)
・2×CTAB: CTAB(ICN Biomedicals. Inc.:以下同じ。) 10g/1M Tris−HCl(pH8.0) 50ml/0.5M EDTA(pH8.0) 20ml/ポリビニルピロリドン(WAKO社) 5g/NaCl 40.9gを混合後、滅菌水で500mlにフィルアップしたもの。
・10% CTAB: CTAB 50g/NaCl 20.45gを混合後、滅菌水で500mlにフィルアップしたもの。
・CTAB沈殿緩衝液: CTAB 5g/1M Tris−HCl(pH8.0) 25ml/0.5M EDTA(pH8.0) 10mlを混合後、滅菌水で500mlにフィルアップしたもの。
・High Salt TEバッファー: NaCl 58.4g/1M Tris−HCl(pH8.0) 10ml/0.5M EDTA(pH8.0) 2mlを混合後、滅菌水で1000mlにフィルアップしたもの。
・TE−RNase: 10mg RNase A(WAKO社)/TE 1ml
(CTAB法)
(1)テンサイの生葉(緑葉)を0.3gから0.5g用意し、それに液体窒素を加えて凍結させた後、乳鉢と乳棒等を用いて粉砕した。
(2)粉砕した組織を2.2mlスクリューキャップチューブに移した後、当該チューブに750μlの2×CTABにメルカプトエタノールを20μl加えてウォーターバスで56℃にプレヒートしたものを添加し、混和した。
(3)時々、転倒させながら30分間、室温(おおよそ15℃〜25℃の範囲内。以下同じ。)で混和した。
(4)クロロホルム−イソアミルアルコール(24:1)を800μl加え、15〜20分間、室温で緩やかに転倒混和した。
(5)室温にて12000rpmで15分間、遠心した。
(6)遠心後、上清を回収し、予め70μlの10%CTABを加えた2.2mlスクリューキャップチューブに当該上清を移した。
(7)前記(6)後のチューブ内溶液の1.5倍量(約1200μl)のCTAB沈殿緩衝液を加えて転倒混和した。この段階で不溶物が析出した。
(8)室温にて12000rpmで15分間遠心して不溶物を沈殿させた。
(9)遠心後、上清をデカンテーションによって除去し、沈殿した不溶物を沈殿物として回収した。このとき、チューブをキムワイプ(クレシア社:登録商標)上で転倒静置する等して、残液を十分に除くようにした。
(10)500μlのHigh−salt TE緩衝液に5μlのTE−RNase混合した溶液を前記(9)のチューブに加え、沈殿物を十分に懸濁した。
(11)前記(10)のチューブを55℃で2時間以上インキュベートし、沈殿物内のRNAを分解した。
(12)前記(11)のチューブにイソプロパノールを500μl加え、転倒混和した。
(13)前記(12)のチューブを室温にて12000rpmで15分間遠心して析出した全DNAを沈殿させた。
(14)遠心後、上清を除去し、70%エタノール1000μlを静かに加えて沈殿物を洗浄した。
(15)室温にて12000rpmで2分間遠心した。
(16)70%エタノールを十分に除去した後、風乾、若しくはバキュームによって沈殿物を乾燥させた。
(17)乾燥沈殿物である全DNAをTE 100μlに懸濁したものを、テンサイ全DNA溶液とした。
次のDNA切断工程以降は、AFLP法に基づくものである。ここではAFLP Core Raegent Kit(インビトロジェン社)を用いて、当該キットに添付のマニュアルに従って、以下のように行った。
(B)DNA切断工程
(1)1.5mlチューブに入れた6.2μlのHOに、DNA抽出工程で調製されたテンサイ全DNA溶液1μl、前記キットに添付の5×Reaction Buffer(50mM Tris−Hcl(pH7.5) 50mM Mg−acetate 250mM K−acetate)を2μl、同じくキット添付のEcoRI/MseI(各1.25ユニット)混合液を0.8μl、加えて十分に混和した後、37℃で2時間DNA切断反応を行った。
(2)DNA切断反応後、反応液を70℃に移して15分間保温した。
(3)前記(2)の保温処理後、4℃で急冷させ、当該温度で保温した。
以上の工程をもって、テンサイより抽出した全DNAをEcoRIとMseIによって断片化した。
(C)核酸増幅工程
(第1段階:アダプター結合工程)
(1)DNA切断工程で得られた切断反応後の全溶液10μlに、前記キットに添付のEcoRIアダプターとMseIアダプターが添加されたアダプター/ライゲーション溶液を9.6μlと、前記キットに添付のT4 DNA Ligase(10ユニット/μl)0.4μl加えて、十分に混合した。なお、ここで用いたアダプターのコア配列部位の塩基配列及び塩基数は、非特許文献3に記載のアダプターと同一である。
(2)前記(1)の反応液20μlを20℃で2時間インキュベートし、ライゲーション反応によって、各DNA断片の切断末端部にEcoRIアダプター及び/又はMseIアダプターを結合させた。
(3)ライゲーション反応後は、反応液を4℃に保温した。
以上の工程をもって、テンサイ由来のDNA断片の末端部にアダプターを結合させた。
(第2段階:予備増幅工程)
ここではPCRを用いた。熱耐性DNAポリメラーゼには、Ex−Taq(TAKARA社)を用いた。
(1)前記第1段階後に得られる結合反応産物を含む反応液をTEで10倍に希釈し、「1/10希釈テンプレート」とした。
(2)サーマルサイクラーGP384プレート(TAKARA社、以下同じ。)に、10.2μlのHOと2μlの1/10希釈テンプレートを入れ、前記Ex−Taqに添付の10×Bufferを2μl、同じくEx−Taqに添付のdNTPミックス溶液(dATP、dGTP、dCTP、dTTP、各2.5mM混合液)を2μl、AFLP Core Raegent Kitに添付の2.4μM E−N primerと2.4μM M−N primerをそれぞれ2μl、Ex−Taqを0.2μl加えた後、十分に混和した。
ここでE−N primerとM−N primerは、次の第3段階で使用するテンサイ黒根病抵抗性品種選抜プライマーのペアに応じて、以下のものを用いた。
a)第3段階で配列番号1、及び2で表されるテンサイ黒根病抵抗性品種選抜プライマーのペアを使用する場合、
E−N primer: 配列番号9で表されるE−G primer
M−N primer: 配列番号10で表されるM−G primer
を使用した。
b)第3段階で配列番号3、及び4で表されるテンサイ黒根病抵抗性品種選抜プライマーのペア、又は配列番号5、及び6で表されるテンサイ黒根病抵抗性品種選抜プライマーのペアを使用する場合、いずれも
E−N primer: 配列番号11で表されるE−A primer
M−N primer: 配列番号12で表されるM−C primer
を使用した。
(3)本工程の前記(2)の反応液をサーマルサイクラー(機種:メーカー名、以下同じ。)で、以下のプログラムに従ってPCR反応を行った。
PCR反応プログラム: 94℃5分間処理、続いて、94℃30秒間→56℃1分間→72℃1分間のサイクルを20サイクル行う。その後、72℃10分間処理、最後に4℃に冷却後保温する。
以上の工程をもって、目的の増幅ポリペプチドを予備的に増幅させた。
(第3段階:選抜工程)
ここではPCR法を用いた。熱耐性DNAポリメラーゼには、前記第2段階と同様にEx−Taq(TAKARA社)を用いた。
(1)前記第2段階後に得られる予備増幅反応産物を含む反応液をTEで50倍に希釈し、「1/50希釈テンプレート」とした。
(2)サーマルサイクラーGP384プレートに、3.6μlのHOと2.5μlの1/50希釈テンプレートを入れ、前記Ex−Taqに添付の10×Bufferを1μl、同じくEx−Taqに添付のdNTPミックス溶液(dATP、dGTP、dCTP、dTTP、各2.5mM混合液)を0.8μl、各2.4μMのテンサイ黒根病抵抗性品種選抜プライマーをペアでそれぞれ1μl、Ex−Taqを0.1μl加えた後、十分に混和した。
ここでテンサイ黒根病抵抗性品種選抜プライマーは以下のペアで使用した。
a)配列番号1に基づいた配列番号13、及び2に基づいた配列番号14で表されるテンサイ黒根病抵抗性品種選抜プライマーのペア
b)配列番号3に基づいた配列番号15、及び4に基づいた配列番号16で表されるテンサイ黒根病抵抗性品種選抜プライマーのペア
c)配列番号3に基づいた配列番号15、及び5に基づいた配列番号17で表されるテンサイ黒根病抵抗性品種選抜プライマーのペア
(3)本工程の前記(2)の反応液をサーマルサイクラーで、以下のプログラムに従ってPCR反応を行った。
PCR反応プログラム: (第1増幅反応)94℃5分間処理し、次に94℃30秒間→65℃30秒間→72℃1分間のサイクルを13サイクル行う。このとき、アニーリング温度である65℃は、1サイクルごとに0.7℃ずつ低下するタッチダウンで行う。(第2増幅反応)第1増幅反応に引き続き、94℃30秒間→65℃30秒間→72℃1分間のサイクルを20サイクル行う。その後、72℃10分間処理、最後に4℃に冷却後保温する。
以上の工程をもって、目的の増幅ポリペプチドを増幅させた。得られたPCR増幅産物を含む反応液10μlに、2μlのマーカーdye(0.25% BPB/0.25% XC/1mM EDTA(pH8.0)/30%グリセロール)を加えて次の検出工程の泳動サンプルとした.
(D)検出工程
増幅ポリヌクレオチドの検出は、ここではアクリルアミドゲル電気泳動法を用いて行った。
(試薬組成)
・ランニングゲル(13%アクリルアミド)/枚: 30%アクリルアミド(WAKO社:以下同じ。)&0.8%ビス−アクリルアミド(WAKO社:以下同じ。)混合液 10.8ml/1.5M Tris−HCl(pH8.8) 6.3mlを混合後、滅菌水で23mlにフィルアップしたもの。なお、ゲルの作製は氷上で行った。
・スタッキングゲル(5%アクリルアミド)/枚: 30%アクリルアミド&0.8%ビス−アクリルアミド混合液 1ml/0.5M Tris−HCl(pH8.8) 1.6mlを混合後、滅菌水で5.3mlにフィルアップしたもの。なお、ゲルの作製は氷上で行った。
・10×TBEバッファー: Tris base 108g/ホウ酸 55g/EDTA・2Na(2HO) 3.7gを混合後、滅菌水で1Lにフィルアップしたもの。泳動バッファーとして使用する場合には、滅菌水で10倍希釈した1×TBEを用いた。
(検出方法)
(1)ポリアクリルアミドゲルの作製
ランニングゲル23mlに1.5%APSと2%TEMEDを加えて攪拌した後、シールチューブを挟んだ18cm×18cmのガラス製ゲル板間に、液面の上方を2.5〜3cm程度空ける程度の液量で当該ランニングゲルを静かに流し込む。続いて、ランニングゲルの液上に滅菌水を1cm程度の厚さで重層し、そのまま30分程度放置してゲルを固める。重層した水を除去し、キムワイプで水分を十分に除いた後、スタッキングゲル5.3mlに1.5%APSと2%TEMEDを加えて攪拌したものを固化したランニングゲル上に重層する。次に、気泡が入らぬようにしてコームをスタッキングゲル中に配置し、30分間放置してゲルを固める。最後にシールチューブを外して、泳動用ポリアクリルアミドゲルとした。
(2)ポリアクリルアミドゲル電気泳動
前記ポリアクリルアミドゲルを泳動槽(NA−1214A:日本エイドー)に設置し、泳動バッファー(1×TBE)約2.5Lを泳動層に注いだ。泳動バッファー内でコームを外してウェルを泳動バッファーで洗浄後、当該ウェル内に前記核酸増幅工程の第3段階で得られた泳動サンプルを5μlずつ2ウェルにアプライした。泳動サンプルとともに別のウェルにサイズラダーマーカー(100bpDNALadder:TaKaRa社)を2μlアプライした。続いて、280V一定電圧で約3時間30分電気泳動した。
(3)検出
前記電気泳動後、ポリアクリルアミドゲルをゲル板から剥がし、ビストラグリーン(Vistragreen:アマシャム社)をTBEで1/10−4に希釈した溶液に当該ゲルを浸漬させ、約15分間緩やかに振動しながらゲル中の核酸を染色した。最後に染色したゲルに274nmの紫外線ランプを照射しポリヌクレオチドバンドのパターンを記録した。
((結果))
図6に本実施例のテンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法によるゲル電気泳動後のポリヌクレオチドのバンディングパターンを示す。この図において、Mで示すサイズマーカーの左4レーンにはa1〜a4のテンサイ黒根病抵抗性品種より得たサンプルを、また、右4レーンにはb1〜b4のテンサイ黒根病感受性品種より得たサンプルをそれぞれアプライした。Iは第1プライマーペア、IIは第2プライマーペア、IIIは第3プライマーペアをそれぞれ用いたものである。
図6で示すように、I、II、IIIのいずれにおいてもa1〜a4の4レーンでは矢印で示す位置にポリヌクレオチドバンドが検出されたのに対して、b1〜b4の4レーンでは検出されなかった。このように実施形態1のテンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法によれば、テンサイ黒根病抵抗性品種において、特異的なポリヌクレオチド(増幅ポリヌクレオチド)を増幅させることができる。したがって、当該増幅ポリヌクレオチドのバンドの有無から、検査対象株がテンサイ黒根病に対する抵抗性品種であるか、若しくは感受性品種であるかを容易に判別することができる。
テンサイ黒根病の病徴である根腐症状を説明する図。Aは病徴の認められない発病指数0に相当する株(正常株)、Bは内部腐敗を伴う黒色の病斑が認められる発病指数3に相当する株、Cは内部腐敗を伴う病徴が株全体に及ぶ、若しくは枯死した発病指数5に相当する株を示す。 アダプターの構造と、それに結合するテンサイ黒根病抵抗性品種選抜プライマーの構造を説明する図。AはEcoRIアダプターを、BはゲノムDNA断片のEcoRI切断末端を、Cはテンサイ黒根病抵抗性品種選抜プライマー(請求項1に相当するもの)を、Dはアダプターが結合した鋳型ゲノムDNAを示している。なお、n’はnに相補的な塩基を、NはゲノムDNA上の塩基配列を意味する。 実施形態1のテンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法における工程の流れを説明する図。 実施形態1のテンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法において核酸増幅工程を構成する段階の流れを説明する図。 Aは、テンサイF2世代における個体別のテンサイ黒根病発病指数に関するQTL解析の結果を示す図。また、Bは、テンサイF2個体別F3系統群におけるテンサイ黒根病発病指数に関するQTL解析の結果を示す図。いずれも横軸のchrは染色体を、また数字は染色体番号を示す。縦軸はQTLの位置の存在可能性であるオッズ対数を示す。 実施形態1のテンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法によるテンサイ黒根病抵抗性品種選抜の結果を示す図。 テンサイ黒根病抵抗性遺伝子Acr1と請求項6から8に記載の塩基配列を有するそれぞれの塩基配列座との連鎖地図。図中Cl.6、Cl.7、Cl.8は、請求項6、請求項7、請求項8に記載の塩基配列を有する塩基配列座をそれぞれ示す。

Claims (7)

  1. 配列番号6で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド。
  2. 配列番号7で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド。
  3. 配列番号8で表される塩基配列からなるポリヌクレオチド。
  4. Beta属の細胞からDNAを抽出するDNA抽出工程と、
    AFLP法に基づいて、
    抽出したDNAを制限酵素で切断するDNA切断工程と、
    前記DNA切断工程で得られるゲノムDNA断片を鋳型に、配列番号13で表される塩基配列からなるテンサイ黒根病抵抗性品種選抜プライマー及び配列番号14で表される塩基配列からなるテンサイ黒根病抵抗性品種選抜プライマーをペアとして核酸増幅を行う核酸増幅工程と、
    前記核酸増幅工程で増幅された核酸中から請求項1に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチドを検出する検出工程と、
    によってテンサイ黒根病抵抗性品種の選抜を行うテンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法。
  5. Beta属の細胞からDNAを抽出するDNA抽出工程と、
    AFLP法に基づいて、
    抽出したDNAを制限酵素で切断するDNA切断工程と、
    前記DNA切断工程で得られるゲノムDNA断片を鋳型に、配列番号15で表される塩基配列からなるテンサイ黒根病抵抗性品種選抜プライマー及び配列番号16で表される塩基配列からなるテンサイ黒根病抵抗性品種選抜プライマーをペアとして核酸増幅を行う核酸増幅工程と、
    前記核酸増幅工程で増幅された核酸中から請求項2に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチドを検出する検出工程と、
    によってテンサイ黒根病抵抗性品種の選抜を行うテンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法。
  6. Beta属の細胞からDNAを抽出するDNA抽出工程と、
    AFLP法に基づいて、
    抽出したDNAを制限酵素で切断するDNA切断工程と、
    前記DNA切断工程で得られるゲノムDNA断片を鋳型に、配列番号15で表される塩基配列からなるテンサイ黒根病抵抗性品種選抜プライマー及び配列番号17で表される塩基配列からなるテンサイ黒根病抵抗性品種選抜プライマーに記載のプライマーをペアとして核酸増幅を行う核酸増幅工程と、
    前記核酸増幅工程で増幅された核酸中から請求項3に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチドを検出する検出工程と、
    によってテンサイ黒根病抵抗性品種の選抜を行うテンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法。
  7. 前記Beta属は、テンサイである請求項4からのいずれか一に記載のテンサイ黒根病抵抗性品種選抜方法。
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