JP4962710B2 - 液体収納壜容器用浮き蓋体 - Google Patents

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Description

本発明は、壜容器に収納された内容液の液面に浮いて、この液面を覆う平板状の浮き蓋体に関する。
たとえば、ポリエチレンテレフタレート樹脂製の壜容器は、優れた透明性や表面光沢性を有すると共に、壜容器に必要な耐衝撃性、剛性、ガスバリア性も有しており、飲料、調味料、化粧品等の各種液体を収納するための容器として広く利用されており、特に、2軸延伸ブロー成形された壜容器はガスバリア性(酸素バリア性)が高く、たとえば醤油等の油成分を含んだ内容液を酸化による品質の低下なく、口筒部に密閉状にキャップをして長期間安定して保管することができる。
しかしながら、壜容器本体からの空気の進入は抑制されるものの、一旦キャップを開封して使用する段階になると、内容液を使用した分、外部空気が入れ替わって進入するため、また使用前は口筒部の下端の高さ位置まで内容液を充填して接触面積を小さくしていたとしても、内容液の液面が胴部に下がるに連れて接触面積が増えるため、開封後の内容液の酸素による品質の低下を、キャップの開封前と同様に抑制することは難しい。
ここで、たとえば特許文献1には酸化防止醤油容器についての考案が記載されており、浮き蓋を内部に入れるために容器を上部容器と下部容器から形成するものであり、浮き蓋を入れた後に上下の容器を接合する構成である。
実公昭61−1818号公報
しかしながら、引用文献1に示される容器は上部容器と下部容器とを浮き蓋を入れてから接合するものであり、生産効率の面、製造コストの面から、ペットボトルのように大量に使用される分野では適用が困難である。
一方、壜容器の口筒部から浮き蓋を直接、壜容器内部に挿入する場合には、例えば円板状の浮き蓋を、ロール状に丸める等して挿入する方法もあるが、これも広口の壜容器の場合は可能であるが、一般的な口径のものでは難しく、無理に挿入しようとすると浮き蓋が永久変形して、丸めたものが円板状の形状に戻らず浮き蓋としての機能が発揮できなくなってしまう。
本発明は、上記した特に浮き蓋の挿入性にかかる問題を考慮して創案されたもので、一般的な口径の口筒部からも容易に挿入可能で、挿入後、液面に広がって酸化防止等の機能を十分に発揮できる浮き蓋体を創出することを課題とするものである。
上記技術的課題を解決する本発明の内、請求項1記載の発明の手段は、
壜容器に収納された内容液の液面に浮いて、該液面を覆う平板状の浮き蓋体であって、
中心部側の一端から周縁部側の他端にかけて渦巻き状に合成樹脂製の渦巻片を延設、平板状に形成すると共に、渦巻片の一端と他端の一方に、棒状治具の先端部分と嵌合して渦巻片と棒状治具とを相対回動不能とする小孔を形成し、
棒状治具の先端で小孔を嵌合した状態で、渦巻片を、一端から他端にかけて順次弾性的に引き伸ばすようにして、壜容器の口筒部を挿通して内部に収納可能な構成とすること、
にある。
請求項1記載の上記構成により、ちょうど、渦巻状の蚊取り線香のような形状をした渦巻片を、中心部分あるいは周縁部分に位置する終端部分のいずれか一端から、順次弾性的にコイルスプリングを引き伸ばすようにして、壜容器の口筒部を挿通させて容易に壜容器内に挿入することができる。勿論、渦巻片を中心部分から終端部分にかけて全体をぴんと引き伸ばしておく必要はなく、例えば、中心部分近傍を引き伸し状にし、一端口筒部を挿通させれば、後は捻るようにして押し込むことにより容易に挿入できる。
そして、合成樹脂材料の弾性的な性質により、コイルスプリング状に弾性的な復元力が発揮され、渦巻片は平板状の形状に復元することができ、液面に浮いて、この液面を覆う浮き蓋体としての機能を発揮することができる。
渦巻片を形成する材料は、大きな弾性的変形性と共に、浮力を顧慮して選択するが、合成樹脂自体で浮力が不足する場合には、合成樹脂製の発泡体、積層体、エアキャップのような中空体を利用することができる。
また平板状の浮き蓋の平面形状は、壜容器の胴部の平断面形状によって決められるものであり、たとえば円筒状の胴部では円板状とする。さらに胴部の最小径部分を支障なく通過できる範囲で、できる限り大きな径を有する形状とすることにより、液面の高さ位置に応じてスムーズに浮き蓋の位置が移動し、かつ内容液と液面上の空気との接触面積を必要最低限とすることができる。
また、一つの渦巻片の中で並行状に隣接する部分の隙間は、液面と空気との接触を考慮すると小さいほど好ましく、ほとんどゼロとすることもできるが、平板状の形状への復元性をスムーズにするために隙間を設けた方が良い場合もある。
請求項2記載の発明の手段は、請求項1記載の発明において、合成樹脂製の平板片の中心部分から周縁部分にかけて渦巻き状にスリットを入れて渦巻片を形成したこと、にある。
請求項2記載の上記構成により、シート材料に刃型等により渦巻き状にスリットを入れて渦巻片を得ることができ、市販のさまざまなシート材料、平板材料を利用することができる。勿論、渦巻き状のキャビティを有する金型を使用して渦巻片を直接成形することもできる。
請求項3記載の発明の手段は、請求項1または2記載の発明において、渦巻片の横幅の最大値を、浮き蓋体が収納される壜容器の口筒部の内径以下としたこと、にある。
請求項3記載の上記構成により、渦巻片を順次引き伸ばし状にしながら口筒部からスムーズに挿入することができる。
請求項4記載の発明の手段は、請求項1、2または3記載の発明において、渦巻片を合成樹脂発泡体製としたこと、にある。
請求項4記載の上記構成により、発泡体の発泡倍率を適宜設定することにより、発泡体による浮力を調整できるので、内容液に対する耐薬品等を考慮して比較的密度の高い合成樹脂も選択することができる。
また、独立泡により弾性的な性質が発揮され、大きな弾性的変形性とその復元力を得ることができる。
請求項5記載の発明の手段は、請求項1、2または3記載の発明において、渦巻片を合成樹脂発泡体の表面に、合成樹脂製のシート片を積層したものとしたこと、にある。
請求項5記載の上記構成により、シート片を積層することにより、発泡体部分で浮力を確保しながら、渦巻片の面剛性を高めて、コイルスプリング状の復元力をさらに大きくすることができる。
本発明は、上記した構成としたので以下に示す効果を奏する。
請求項1記載の発明にあっては、渦巻片を一端から順次引き伸ばすようにして、壜容器の口筒部を挿通して容易に壜容器内に挿入することができ、またコイルスプリング状に弾性的な復元力が発揮され、壜容器内部で平板状の形状に復元することができ、液面に浮いて、この液面を覆う浮き蓋体としての機能を発揮することができる。
請求項2記載の発明にあっては、シート材料に刃型等により渦巻き状にスリットを入れて渦巻片を得ることができ、市販のさまざまなシート材料や平板材料を利用することができる。
請求項3記載の発明にあっては、渦巻片の横幅の最大値を、収納される壜容器の口筒部の内径以下とすることにより、渦巻片を一端から順次引き伸ばし状にしながら口筒部からスムーズに挿入することができる。
請求項4記載の発明にあっては、発泡体の発泡倍率を適宜設定することにより、発泡体による浮力を調整でき、また、独立泡により弾性的な性質が発揮され、弾性的変形性とその復元力を十分大きくすることができる。
請求項5記載の発明にあっては、シート片を積層することにより、発泡体部分で浮力を確保しながら、渦巻片の面剛性を高めて、コイルスプリング状の復元力をさらに大きくすることができる。
本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の浮き蓋体11の参考例を示す平面図である。
この浮き蓋体11は全体としては円板状であり、弾性的変形性とその復元性を十分発揮できるようにポリエステル系樹脂、例えばポリエチレンテレフタレート
樹脂の発泡体製としたものである。そしてこの浮き蓋体11は、発泡体製の円板に、中心部分13aから終端部分13bにかけて渦巻き状にスリットSを入れて、このスリットSにより、中心部分13aから終端部分13bにかけて延設される渦巻片13を形成している。
また本参考例の渦巻片13は、中心部分13aでのその横幅Waが最大であり、周縁部を円形にするために終端部13b近傍では、この横幅Wを徐々に狭くするようにしている。
図2は、図1に示される浮き蓋体11を、渦巻片13のコイルスプリング状の性質を利用して、口筒部2から、液体収納用の壜容器1の中に収納する過程を示す概略説明図である。
ここで、渦巻片13の中心部分13aにおける横幅Waを口筒部2の内径以下としておけば、図2に示されるように、渦巻片13の中心部分13a近傍の部分を弾性的にコイルスプリング状に引き伸ばすように変形して、この中心部分13aを口筒部2に容易に挿通させることができる。
このように一端、中心部分13aを口筒部2に挿通させれば、あとは渦巻片13の弾性的な性質を利用して、捻るようにして押し込むことにより終端部13bまで簡単に挿入することができる。
そして、口筒部2、肩部3を介して胴部4に挿通された渦巻片13は、挿入順に順次、コイルスプリング状の弾性的な復元力により、元の円板状の形状に復元を開始し、最終的には元の円板状の浮き蓋体11が復元され、内容液Cの液面を覆うようにすることができ、浮き蓋体としての機能を発揮することができる(図3参照)。
また、液面が口筒部2側に縮径された形状の肩部3に位置する場合には、渦巻片13が前記肩部3内面に沿って略円錐状に配置される場合があり、液面の低下に従って、円板状の浮き蓋体11に復元する。このような場合は、渦巻片13の終端部13b側から容器内に挿通させることが好ましい。
なお、浮き蓋体11は胴部4の断面形状に合わせた略相似的な形状とするが、胴部4内をスムーズに上下できるように胴部4の最小径部分を支障なく通過できる範囲内で、内容液Cと空気との接触面積を最小限とするために、できる限り大きな径を有する形状とするのが好ましい。また、胴部の断面形状は円形に限られるものではなく、楕円形、多角形など、適宜選択することができる。
図4は本発明の浮き蓋体の実施例を示す平面図である。この浮き蓋体11は、図1の浮き蓋体11と比較して、渦巻片13を形成する際に、中央部分に孔Pを形成したものである。この孔Pの空間を利用して渦巻片13の中心部分13a近傍を大きく変形させることができ、この中心部分13aの壜容器1の口筒部2への挿通操作が容易になる。
また、棒状治具の先端で渦巻片13の中心部分13aを摘んだ状態にして、孔Pを介して、棒状治具と壜容器を相対回動させながら、この棒状治具を押し込むことにより、渦巻片13を壜容器1内に容易に収納することができる。収納後は摘んだ状態を解除して棒状治具を抜き出すことができる。
図5(a)、(b)も、それぞれ本発明の浮き蓋体の他の実施例を示す平面図である。これらの実施例はいずれも棒状治具を使用して、渦巻片13を壜容器1内に挿通できるようにしたものである。
図5(a)は渦巻片13の中心部分13aに一対の小孔Hを形成したものであり棒状治具の先端面に形成した一対の突起をこの一対の小孔Hに嵌合させた状態で、棒状治具と壜容器体を相対的に回動させながら、この棒状治具を壜容器1に挿通させることにより渦巻片13を壜容器1内に容易に収納することができ、収納後は、棒状治具を簡単に抜き出すことができる。
この例で、小孔Hの形状は円形に限定されるものではないし、その個数も2ケ以上であればよい。また、この小孔Hを終端部13bの方に形成してもよい。
図5(b)は、中心部分13aまたは終端部13bに楕円形の小孔H1(またはH2)を形成したものであり、棒状治具の先端面に形成した楕円柱状の突起をこの小孔H1(またはH2)に嵌合させた状態で、図5(a)の渦巻片13と同様に、渦巻片13を中心部分13aまたは終端部分13bから壜容器1内に容易に収納することができ、収納後は、棒状治具を簡単に抜き出すことができる。
この例で、小孔H1(またはH2)の形状は楕円形に限定されるものではなく、棒状治具の先端部分を嵌合し相対回動不能とすることができればよく、たとえば長円、多角形等の形状とすることもできる。
図5(a),(b)に示した例のように、渦巻片13の一端部分に小孔を形成し、棒状治具の先端部分を嵌合し相対回動不能とすることにより、棒状治具と壜容器体を相対的に回動させながら、この棒状治具を壜容器1に挿通させることにより渦巻片13を壜容器1内に容易に収納することができるので、この収納工程を機械化することもできる。
なお、棒状治具を使用する上記の渦巻体13の挿入方法とは逆に、小孔を形成した一端部分とは逆の一端部分をまず口筒部2に挿通し、小孔を形成した一端部分に棒状治具の先端部分を嵌合し、この棒状治具を壜容器の外に配設した状態で棒状治具と壜容器体を相対的に回動させながら、渦巻体13をそのコイルスプリング状の性質を利用して壜容器1内に収納することもできる。
この方法は、棒状治具を壜容器内に挿通する必要がないので、衛生的であり、また棒状治具の挿通による液面の上昇がないので、浮き蓋体11を液面に確実に浮かべることができる。
以上、参考例及び実施例に沿って本発明の実施の態様を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
たとえば、参考例では浮き蓋体として発泡体を利用したが、図4に示すように発泡体15に合成樹脂のシート16を積層した構成とすることもできるし、比重の小さい樹脂を使用する場合には、発泡体としないでその樹脂自体で使用することもできる。また浮力を得るために内部にエアーを閉じ込めたエアキャップ状の中空体を利用することもできる。
本発明の浮き蓋体は上記説明したようなものであり、広口の口筒部に限定されることなく、一般的な形状の口筒部からも壜容器内に容易に収納できるものであり、液体収納用の壜容器に幅広い用途展開が期待される。
本発明の浮き蓋体の参考例を示す平面図である。 図1の浮き蓋体を壜容器内に収納する過程を示す概略説明図である。 壜容器内の液面上に図1の浮き蓋体を浮かべた状態を示す、壜容器の半縦断正面図である。 本発明の浮き蓋体の実施例を示す平面図である。 本発明の浮き蓋体の他の実施例を示す平面図である。 浮き蓋体を構成する積層体の一例を示す縦断面図である。
符号の説明
1 ;壜容器
2 ;口筒部
3 ;肩部
4 ;胴部
C ;内容液
11;浮き蓋体
13;渦巻片
13a;中心部分
13b;終端部分
15;発泡体層
16;シート層
S ;スリット
W、Wa;(渦巻片の)横幅
P ;孔
H、H1、H2;小孔

Claims (5)

  1. 壜容器に収納された内容液の液面に浮いて、該液面を覆う平板状の浮き蓋体であって、中心部側の一端から周縁部側の他端にかけて渦巻き状に合成樹脂製の渦巻片(13)を延設、平板状に形成すると共に、前記渦巻片(13)の一端と他端の一方に、棒状治具の先端部分と嵌合して前記渦巻片(13)と前記棒状治具とを相対回動不能とする小孔を形成し、
    前記棒状治具の先端で前記小孔を嵌合した状態で、前記渦巻片(13)を、前記一端から前記他端にかけて順次弾性的に引き伸ばすようにして、前記壜容器の口筒部を挿通して内部に収納可能な構成としたことを特徴とする浮き蓋体。
  2. 合成樹脂製の平板片の中心部分から周縁部分にかけて渦巻き状にスリット(S)を入れて渦巻片(13)を形成した請求項1記載の浮き蓋体。
  3. 渦巻片(13)の横幅(W)の最大値を、収納される壜容器の口筒部の内径以下とした請求項1または2記載の浮き蓋体。
  4. 渦巻片(13)を合成樹脂発泡体製とした請求項1、2または3記載の浮き蓋体。
  5. 渦巻片(13)を合成樹脂発泡体の表面に、合成樹脂製のシート片を積層した請求項1、2または3記載の浮き蓋体。
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