JP4961283B2 - 車両用ホイールの製造方法および車両用ホイール - Google Patents

車両用ホイールの製造方法および車両用ホイール Download PDF

Info

Publication number
JP4961283B2
JP4961283B2 JP2007180500A JP2007180500A JP4961283B2 JP 4961283 B2 JP4961283 B2 JP 4961283B2 JP 2007180500 A JP2007180500 A JP 2007180500A JP 2007180500 A JP2007180500 A JP 2007180500A JP 4961283 B2 JP4961283 B2 JP 4961283B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hole
hub
diameter
hub hole
bending
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2007180500A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009018313A (ja
Inventor
重雄 中嶋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Central Motor Wheel Co Ltd
Original Assignee
Central Motor Wheel Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Central Motor Wheel Co Ltd filed Critical Central Motor Wheel Co Ltd
Priority to JP2007180500A priority Critical patent/JP4961283B2/ja
Publication of JP2009018313A publication Critical patent/JP2009018313A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4961283B2 publication Critical patent/JP4961283B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、所定ハブ孔径のハブ孔と所定外周径の開口先端部を具備するハブ孔フランジ部とを備える車両用ホイールを製造する車両用ホイールの製造方法、およびその車両用ホイールに関する。
車両用ホイールは、タイヤを組み付けた後に、ハブ孔を車両の車軸に嵌め込むと共に、該ハブ孔の周囲に形成されたハブ取り付け面に設けられたボルト孔を、車軸に連結されたハブに配設されているボルトに嵌め込み、ホイール表方から該ボルトにナットを螺合して締め付けることによって、車軸およびハブに固定される。車両用ホイールにあっては、そのハブ孔の開口縁に沿ってホイール表方に起立した円筒形状のハブ孔フランジ部が形成されているものが良く知られている。さらに、このハブ孔フランジ部に、ハブ孔を覆い隠すためのセンターキャップを装着するものもあり、該ハブ孔フランジ部の外周面にセンターキャップを係合するためのキャップ係合溝が周成されている。
ところで、車両用ホイールにあって、スチール製のものは、通常、所定の板状基材をプレス加工することによって成形される。このプレス加工による加工工程にあっては、板状基材に所定のハブ素円孔を穿設した後に、該ハブ素円孔の孔周縁部を所定形状の金型(パンチ)によりホイール裏方から押圧して、該孔周縁部をホイール表方へ立ち上げるように折曲加工してハブ孔とハブ孔フランジ部とを成形している。
ここで、ハブ孔フランジ部は上記のように折曲加工により成形されることから、板状基材の板厚に従ってハブ孔フランジ部の肉厚が決まってしまう。板状基材の板厚は、車両用ホイールに要求される強度と耐久性とに基づいて設定されており、車重の重い車両に装着される車両用ホイールは、該車重を支えることができるように、板厚の厚い板状基材から成形されている。特に、車両用ホイールでは、ボルト孔の外側に周成されているハブ面アール部(図1の7a参照)が最も強度が要求されている。そのため、このハブ面アール部が充分な強度を発揮できるように、板厚を設定した板状基材が用いられている。これに伴い、ハブ孔フランジ部は、前記板状基材から形成されてなる厚みでは必要以上の強度を有することとなっている。また、板厚の厚い板状基材からハブ孔フランジ部を成形する場合に、例えば、上記した折曲加工で同じ寸法形状の金型(パンチ)を用いれば、該ハブ孔フランジ部の内径は同径となるものの、外周径が大きくなってしまう。
一方、ハブ孔は、上記したように車軸を嵌入するものであるため、そのハブ孔径は予め決まっている。また、ハブ孔フランジ部は、上記したようにセンターキャップを係合する場合、少なくとも該ハブ孔フランジ部の開口先端部を、該センターキャップを外嵌できる外周径として設定しておく必要がある。ここで、上記のように異なる板厚の板状基材から成形した場合に、ハブ孔フランジ部の外周径が異なってしまうと、それに応じてセンターキャップのサイズを変更しなければならなくなる。しかし、板状基材の板厚に応じてセンターキャップのサイズを変更していては、該センターキャップの製造に要する費用が高騰してしまう。そのため、センターキャップをある程度汎用部品として扱うことができるように、前記したハブ孔フランジ部の開口先端部の外周径についても、予め決められている。
すなわち、ハブ孔フランジ部は、その内径(ハブ孔径)と開口先端部の外周径とは予め規定されており、且つそれぞれの寸法精度も要求されている。そのため、板厚の厚い板状基材を用いる場合であって、ハブ孔フランジ部を成形する工程では、該ハブ孔フランジ部の内径(ハブ孔径)が規定の内径(ハブ孔径)となるように、ハブ素円孔の孔周縁部を折曲加工した後に、該ハブ孔フランジ部の開口先端部を規定の外周径とするように切削加工する方法、又は、開口先端部の外周径が規定の外周径となるように折曲加工した後に、ハブ孔フランジ部の内周面を規定のハブ孔径に切削加工する方法のいずれかが実施されている。
尚、その他の加工方法として、ハブ孔フランジ部の開口先端部の外周径を規定の外周径とするように折曲加工した後に、該ハブ孔フランジ部の内周面を所定金型(パンチ)により削り剥がす加工を行うことにより規定の内径(ハブ孔径)とする方法も提案されている(例えば、特許文献1)。
特開2004−223682号公報
上述したようにハブ孔およびハブ孔フランジ部を成形する工程にあって、ハブ素円孔の孔周縁部を折曲加工した後に、ハブ孔フランジ部の内周面又は開口先端部の外周面を切削加工する方法にあっては、ハブ孔径や開口先端部の外周径を比較的容易かつ精度良く成形できるという利点を有している。ところが、このように切削加工する方法では、折曲加工するプレス加工の加工装置から切削加工の加工装置に移送する必要があるため、加工工程に要する時間が増加して、加工工程が繁雑化すると共に、製造工程にかかるランニングコストが増加するという問題が生じていた。特に、切削加工は、切削チップなどの消耗品を多用し、かつ加工時間もかかることから、製造コストが高くなっていた。
また、上述した従来の、ハブ孔フランジ部の内周面を所定金型(パンチ)により削り剥がす加工方法にあっては、削り剥がす工程で割れ等の不具合を生じ易く、当該加工が難しいという問題があった。さらに、このような問題によって、不良品が増加することから、該不良品の廃棄コストが増加するという問題も生じていた。
本発明は、上記した問題を解決するために、切削加工を用いずに、所定ハブ孔径のハブ孔と所定外周径の開口先端部を具備するハブ孔フランジ部とを成形できる車両用ホイールの製造方法、およびその車両用ホイールを提供する。
本発明は、板状基材の中央に所定孔径のハブ素円孔を穿設する素円孔加工工程と、該ハブ素円孔の孔周縁部をホイール表方へ折曲加工する折曲加工工程とを順次行うことにより、所定ハブ孔径のハブ孔と、所定外周径の開口先端部を具備するハブ孔フランジ部とを形成する車両用ホイールの製造方法において、前記折曲加工工程は、前記ハブ孔径と等しい外周径のハブ孔成形部と該ハブ孔成形部より小径の先端拡径部とが該先端拡径部を前端方に配して同心状に連成されてなる折曲パンチと、前記開口先端部の外周径と等しい内周径の先端成形部を備えた折曲パンチと対向する環状の折曲ダイスとによって、前記ハブ素円孔の孔周縁部をホイール表方へ立ち上げるように折曲加工することにより、折曲パンチの先端拡径部と折曲ダイスの先端成形部とで挟圧して形成した所定外周径の開口先端部と、折曲パンチのハブ孔成形部で形成した所定ハブ孔径のハブ孔を構成するフランジ基部とからなる二段円筒形のハブ孔フランジ部を成形するようにしていることを特徴とする車両用ホイールの製造方法。
ここで、車両用ホイールのハブ孔には、上述したように車両に取り付けられる場合に車軸が挿入される。この車軸は、一般的にハブから突出する長さが比較的短いために、ハブ孔フランジ部の裏寄り部分に挿入されるだけであり、該ハブ孔フランジ部の開口先端部まで至らない。そのため、ハブ孔にあっては、少なくともハブ孔フランジ部の裏側端部の内周径を所定ハブ孔径とするようにして構成されていれば充分である。このようなことから、本発明の方法にあっては、ハブ孔を成形するハブ孔成形部と開口先端部を成形するための先端拡径部とを備えた折曲パンチと、開口先端部を成形する先端成形部とを階段状に設けた折曲ダイスとによって、ハブ素円孔の孔周縁部を折曲加工する。この折曲加工の際には、折曲パンチの先端拡径部によりハブ素円孔の孔周縁部の内寄り部位(孔端部)をホイール表方へ折り曲げながら拡径していき、折曲ダイスの先端成形部に押し付けることにより所定外周径の開口先端部を形成する。さらには、ハブ素円孔の孔周縁部の外寄り部位が、折曲パンチのハブ孔成形部によりホイール表方へ折り曲げられて拡径し、所定ハブ孔径を内周径とするフランジ基部を形成する。すなわち、フランジ基部によりハブ孔を構成している。このように折曲加工することによって、所定外周径の開口先端部とハブ孔を構成するフランジ基部とからなる二段円孔形のハブ孔フランジ部を成形する。そして、開口先端部の所定外周径を、所望のセンターキャップを嵌合する寸法とすることによって、本発明の方法により成形された二段円筒形のハブ孔フランジ部は、所望のセンターキャップを装着でき且つ車軸を挿入できる。
本発明の製造方法によれば、比較的板厚の厚い板状基材から成形する場合にあっても、切削加工を行うことなく、所定ハブ孔径のハブ孔と所定外周径の開口先端部を具備するハブ孔フランジ部とを成形することができる。そのため、上述したハブ孔フランジ部の内周面または外周面を切削加工する従来方法に比して、切削加工の加工装置に移送する必要がなく、加工工程を簡素化し且つ短時間化することができる。そして、切削加工しないため、該切削加工に要するコストを低減することもできる。
尚、折曲パンチの先端拡径部の外周径としては、折曲ダイスの先端成形部と共に所定外周径の開口先端部を形成することができるように、折曲加工によって拡径して周方向へ伸長して薄肉化することを考慮して所定寸法に設定している。また、折曲パンチのハブ孔成形部の長さ(中心線に沿った高さ)としては、フランジ基部内に車軸を充分に挿入できる寸法に設定している。
また、板面方向に延伸してなる板状基材を用いる場合にあっては、該板状基材がその面方向に沿った縞状組織から構成されていることから、折曲加工工程後のハブ孔フランジ部が、折曲加工によって周方向へ伸長されるために縞状組織が周方向に沿って存在し且つ板厚方向に圧密した状態となる。そして、本発明の製造方法では、上述した従来構成のようにハブ孔フランジ部の内外表面を切削加工しないことから、ハブ孔フランジ部の縞状組織が分断されていない。このようにハブ孔フランジ部では、縞状組織が圧密されており且つ分断されていないことから、切削加工により縞状組織を分断してしまう従来方法に比して、強度や疲労寿命を向上でき得る。
また、素円孔加工工程で形成するハブ素円孔としては、その孔径を小さくするに従って折曲加工工程における周方向への延伸変形量が大きくなり、割れ等の不具合を生じ易くなる。また、ハブ素円孔の孔径とハブ孔径との半径差によってハブ孔フランジ部の高さが定まる。このようなことから、ハブ素円孔の孔径は、成形するハブ孔フランジ部の寸法形状に応じて適宜設定する。
上述した車両用ホイールの製造方法にあって、折曲加工工程の前に、素円孔加工工程で成形するハブ素円孔の孔端部をホイール裏方へ凹ませることにより環状凹部を形成する押付加工工程を実施し、折曲加工工程によって、環状凹部によりハブ孔フランジ部の開口先端部を形成するようにしている方法が提案される。
かかる方法では、折曲加工工程前に、ハブ素円孔の孔端部(孔周縁部における内寄りの環状部位)をホイール裏方へ凹ませることにより、該孔端部をホイール裏方へほぼ平行移動して突出する環状凹部を形成し、ハブ素円孔の孔周縁部を予め階段状に成形する。そして、折曲加工工程によって、環状凹部によりフランジ基部より小径の開口先端部を形成し、ハブ素円孔の孔周縁部の、該環状凹部の外側環状部位によりフランジ基部を形成する。このように開口先端部を形成する環状凹部を予め形成しておくことにより、折曲加工工程で折曲パンチと折曲ダイスとに要する加工荷重を抑制することができ得る。本方法によれば、折曲加工工程にあって割れや欠け等の不具合が生じることを抑制する効果に優れる。また、加工荷重を抑制できることから、加圧荷重容量の小さい加工装置にあっても、折曲加工工程を実施することができる。
ここで、環状凹部のホイール裏方へ突出する深さとしては、折曲加工工程の実施後に、開口先端部とフランジ部基部との径寸法差を生ずるように設定されていることが好ましい。
このような車両用ホイールの製造方法にあって、折曲加工工程の前に、素円孔加工工程で成形するハブ素円孔の孔周縁部をホイール表方から押圧加工することにより、該孔周縁部に環状溝を周成する環状溝加工工程を実施し、折曲加工工程でハブ素円孔の孔周縁部をホイール表方へ立ち上げることにより、ハブ孔フランジ部に装着されるセンターキャップを係合するためのキャップ係合溝を前記環状溝によって形成するようにしている方法が提案される。
かかる方法にあっては、センターキャップを係合するためのキャップ係合溝を要する構成の車両用ホイールを成形する場合に、環状溝加工工程で、キャップ係合溝を成形するための環状溝をハブ素円孔の孔周縁部の表面に形成し、該環状溝を折曲加工工程によりキャップ係合溝に形成するようにした方法である。この方法では、ハブ孔フランジ部を形成した後(折曲加工工程の後)にキャップ係合溝を形成するための加工工程を別途設ける必要がなく、総じて製造工程を短時間化することができる。そして、折曲加工工程の後にキャップ係合溝を形成するための切削加工を必要としないため、上述したように切削加工によって生じるコストの上昇や工程の繁雑化などを生じないという利点も有する。
尚ここで、例えば、上述したように、板面方向に延伸してなる板状基材(その面方向に沿った縞状組織からなるもの)から本製造方法によりハブ孔フランジ部を成形する場合にあって、環状予備成形部に押圧加工により環状溝を形成した後に、折曲加工工程により該環状溝からキャップ係合溝を形成すると、縞状組織が分断されることなく該キャップ係合溝を形成できる。これに対して、同じ板状基材を用いて、ハブ孔フランジ部を形成した後に、切削加工によりキャップ係合溝を形成すると、該キャップ係合溝の周囲部分では、縞状組織が切削加工により分断されてしまう。すなわち、本製造方法によれば、切削加工によりキャップ係合溝を形成する方法に比して、ハブ孔フランジ部の強度と疲労寿命とを向上することができ得る。
環状溝加工工程は、素円孔加工工程の前に実施しても良いし、素円孔加工工程の後で折曲加工工程の前に実施するようにしても良い。いずれの場合にあっても、上述した本発明の作用効果を適正に発揮し得る。
一方、本発明は、板面方向に沿った縞状組織からなる板状基材を加工することにより成形されたものであって、所定外周径の開口先端部と所定ハブ孔径のハブ孔を構成する前記開口先端部より径大なフランジ基部とからなる二段円筒状のハブ孔フランジ部を備え、該ハブ孔フランジ部がその円筒形状に沿うように周成されて板厚方向に圧密な縞状組織から構成されていることを特徴とする車両用ホイールである。
かかる構成は、板面方向に沿った縞状組織からなる板状基材から製造される車両用ホイールであって、二段円筒形のハブ孔フランジ部ではその形状に沿うように縞状組織が存在している。すなわち、板状基材を部分的にホイール表方へ折曲して形成されたハブ孔フランジ部にあって、その縞状組織が分断されていない。これは、ハブ孔フランジ部の内外表面に切削加工を実施せずに成形されたものである。そして、本構成のハブ孔フランジ部は、切削加工を用いて成形したハブ孔フランジ部に比して、強度と耐久性とが向上する。
本構成の車両用ホイールは、上述した本発明にかかる車両用ホイールの製造方法によって好適に製造でき得る。そして、上述したように、比較的板厚の厚い板状基材から成形した場合にあっても、切削加工を用いずに、センターキャップを装着する開口先端部を有するフランジ前部とハブ孔を構成するフランジ後部とからなる二段円筒状のハブ孔フランジ部を備えるものとなる。また、ハブ孔フランジ部を成形する折曲加工工程では、ハブ素円孔の孔周縁部を折曲加工して周方向へ伸長して薄肉化する。そのため、ハブ孔フランジ部の縞状組織が、板厚方向に圧密されることから、該ハブ孔フランジ部の強度と耐久性とが向上する。
このような車両用ホイールにあって、ハブ孔フランジ部の開口先端部に、該ハブ孔フランジ部に装着されるセンターキャップを係合するためのキャップ係合溝を備えてなり、該キャップ係合溝が周成された部位は、ハブ孔フランジ部の他部位に比して、板厚方向に圧密な縞状組織から構成されているものが提案される。
かかる構成にあっては、ハブ孔フランジ部の開口先端部の、キャップ係合溝が周成された部位が、縞状組織を板厚方向に圧密した構成であるから、当該部位で縞状組織が切断されていない。すなわち、かかる構成は、キャップ係合溝を切削加工を用いずに押圧加工等により成形したものである。これに対して、キャップ係合溝を切削加工により形成した場合には、縞状組織がキャップ係合溝で分断されてしまう。そして、このように切削加工によって縞状組織が分断された構成に比して、本構成は縞状組織が分断されておらず圧密であることから、ハブ孔フランジ部の開口先端部の強度と耐久性とが高い。
尚、かかる構成にあっても、上述した本発明にかかる車両用ホイールの製造方法により好適に成形でき得る。
本発明の車両用ホイールの製造方法は、所定ハブ孔径と等しい外周径のハブ孔成形部と該ハブ孔成形部より小径の先端拡径部とを同心状に連成してなる折曲パンチと、開口先端部の外周径と等しい内周径の先端成形部を備えた折曲ダイスとにより、ハブ素円孔の孔周縁部を折曲加工する折曲加工工程を行い、折曲パンチの先端拡径部と折曲ダイスの先端成形部とで所定外周径の開口先端部を形成し且つ折曲パンチのハブ孔成形部でハブ孔を構成するフランジ基部を形成するようにした方法である。このように開口先端部と該開口先端部より径大なフランジ基部とからなる二段円筒形のハブ孔フランジ部を成形することにより、比較的厚肉な板厚の板状基材から成形する場合にあっても、センターキャップを嵌合できる開口先端部と、車軸を挿入できるハブ孔を適正かつ容易に成形することができ得る。そして、本製造方法では、切削加工をせずにハブ孔フランジ部とハブ孔とを成形していることから、上述した従来の切削加工を用いる方法に比して、該切削加工に要する時間を短縮できると共にコスト低減することもでき得る。
上記した折曲加工工程の前に、素円孔加工工程で成形するハブ素円孔の孔端部をホイール裏方へ凹ませることにより環状凹部を形成する押付加工工程を実施し、折曲加工工程によって、環状凹部によりハブ孔フランジ部の開口先端部を形成するようにした製造方法にあっては、開口先端部を形成する環状凹部を予め形成しておくことにより、折曲加工工程で折曲パンチと折曲ダイスとに要する加工荷重を抑制でき、当該加工時に割れや欠け等の不具合が生じることを抑制でき得る。
上記した折曲加工工程の前に、素円孔加工工程で成形するハブ素円孔の孔周縁部を押圧加工して環状溝を周成する環状溝加工工程を実施し、折曲加工工程でハブ素円孔の孔周縁部をホイール表方へ立ち上げることにより、ハブ孔フランジ部に装着されるセンターキャップを係合するためのキャップ係合溝を前記環状溝によって形成するようにした製造方法にあっては、切削加工を行うことなくキャップ係合溝を形成できるため、製造コストの低減と製造時間の短縮化を行い得る。
一方、本発明の車両用ホイールは、板面方向に沿った縞状組織からなる板状基材から成形されたものであって、所定外周径の開口先端部と所定ハブ孔径のハブ孔を構成する前記開口先端部より径大なフランジ基部とからなる二段円筒状のハブ孔フランジ部を備え、該ハブ孔フランジ部がその円筒形状に沿うように周成されて板厚方向に圧密な縞状組織から構成されているものである。ハブ孔フランジ部では、その縞状組織が分断されていないことから、優れた強度と耐久性とを安定して発揮し得る。
上記したハブ孔フランジ部の開口先端部に、該ハブ孔フランジ部に装着されるセンターキャップを係合するためのキャップ係合溝を備えてなり、該キャップ係合溝が周成された部位は、ハブ孔フランジ部の他部位に比して、板厚方向に圧密な縞状組織から構成されているものにあっては、キャップ係合溝が周成された部位の縞状組織が分断されていないため、ハブ孔フランジ部が優れた強度と耐久性とを発揮し得る。
本発明の実施例を添付図面を用いて詳述する。
図1は、本発明にかかる車両用ホイールの製造方法で製造したスチール製の車両用ホイール1を示し、板状基材21(図4参照)からプレス加工により成形したホイールディスク2とロール加工により成形したホイールリム3とを嵌合してなるものである。尚、本実施例1にあって、車両用ホイール1は、高い強度と耐久性とを有することが要求されており、ホイールディスク2を比較的厚い板厚の板状基材21から成形してなるものとしている。
上記したホイールディスク2は、図1,2のように、略円盤状のハブ取付部7と、該ハブ取付部7の外周部分(ハブ面アール部)7aからホイール表方に隆起するハット部8と、該ハット部8の外周端からホイール軸方向に沿って周成されたディスクフランジ部9とを備えている。ここで、ハブ取付部7には、その中央にホイール表方へ起立する円筒形のハブ孔フランジ部6が形成されており、該ハブ孔フランジ部6の周囲にナット座を備えた複数のボルト孔4が同一円周上に等間隔で穿設されている。このハブ孔フランジ部6の外周面には、ハブ孔5の内径側に凹むキャップ係合溝14が周成されている。本実施例1にあっては、ハブ孔フランジ部6が、所定外周径の開口先端部6aと該開口先端部6aより径大なフランジ基部6bとからなる二段円筒形に形成されており、該フランジ基部6bの内部の孔により所定ハブ孔径のハブ孔5が構成されている。尚、ハブ孔5およびハブ孔フランジ部6にあっては、本発明の要部にかかり、詳しくは後述する。
一方、ホイールリム3は、図1のように、その両側開口端縁に図示しないタイヤのビードを側方から支持するフランジ部11a,11bが形成されており、該フランジ部11a,11bに夫々に連続させて、タイヤのビードを保持するビードシート部12a,12bが軸方向と略平行に形成されている。さらに、ビードシート部12a,12b間には、ホイールリム3の内径側に陥没するドロップ部13が設けられており、タイヤ装着時にタイヤのビードを該ドロップ部13に落とし込むことによって、その装着が容易となるようにしている。また、このドロップ部13の内周面に、上述したホイールディスク2のディスクフランジ部9が嵌合されて溶接されることにより、車両用ホイール1が形成される。本実施例1の車両用ホイール1は、所謂ドロップ嵌合ホイールである。
このような車両用ホイール1は、タイヤを組み付けた後に、車両に取り付けられる。ハブ孔5を車両の車軸16に嵌め込むと共に、車両のハブ17から突出するボルトにボルト孔4を嵌め込み、該ボルトを所定のナットにより締め付けることによって、ハブ取付部7の裏面をハブ17に圧接して固定する(図3参照)。このように車両に取り付けた後、ハブ孔フランジ部6の表側開口を遮蔽するようにセンターキャップ18が取り付けられる。センターキャップ18は、図3のように、断面コ字形をなし、その開口側に内側に突出する爪部19が設けられている。このセンターキャップ18を、ハブ孔フランジ部6の開口先端部6aに外嵌して、爪部19を該ハブ孔フランジ部6のキャップ係合溝14に係合する。
ここで、車両用ホイール1は、そのハブ孔5のハブ孔径が車両の車軸16を内嵌するように予め規定されており、ハブ孔フランジ部6の開口先端部6aの外周径がセンターキャップ18を外嵌するように予め規定されている。
上記したホイールディスク2は、延伸材料であるスチール製の板状基材21をプレス加工することにより成形される(図4〜6参照)。この板状基材21は、板面方向に延伸してなるスチール製板から所定形状に切り出したものであり、板面方向に沿った縞状組織30からなる(図7(A)参照)。
以下に、本発明の要部にかかる、ハブ孔5とハブ孔フランジ部6を成形する工程について詳述する。
上記した板状基材21に環状溝加工工程を実施して、該板状基材21の表面(ホイール表方の面)の中央部に環状溝26を周成する。この環状溝加工工程は、図4(A),(B)のように、板状基材21の中央部裏面を支持する裏面支持金型41と、環状周突部43がホイール裏方へ突成された溝押圧金型42とにより実施する。図4(A)のように、板状基材21の中央部裏面を裏面支持金型41により支持する。そして、図4(B)のように、板状基材21の表面に溝押圧金型42を板厚方向に押圧する。これにより、板状基材21の表面を、溝押圧金型42の環状周突部43により板厚方向に押圧して、環状溝26を周成する。ここで、環状溝26は、次工程で形成するハブ素円孔28の孔周縁部29に、該ハブ素円孔28と同心状に形成するようにしている。また、この押圧加工の際には、板状基材21の裏面を裏面支持金型41で支持しているため、該裏面は平面形状で保たれる。
この環状溝加工工程の次に、ハブ素円孔28を形成する素円孔加工工程を行う。素円孔加工工程は、図5(A),(B)のように、板状基材21の中央部周辺をその裏面から支持する補助押え金型46と、ハブ素円孔28を穿設するための円柱形の孔開けパンチ47とにより実施する。図5(A)のように、補助押え金型46により板状基材21の裏面を支持する。そして、図5(B)のように、孔開けパンチ47により、板状基材21の中央にハブ素円孔28を穿設する。ここで、補助押え金型46および孔開けパンチ47は、ハブ素円孔28が、上記した環状溝加工工程で形成した環状溝26と同心状となるように、位置決めされて当該加工を実施する。
尚、この孔開けパンチ47の外周径(ハブ素円孔28の孔径)は、予め定められたハブ孔径との半径差が、ハブ孔フランジ部6の所定高さとほぼ等しくなるように設定している。すなわち、後述する折曲加工工程でハブ素円孔28の孔周縁部29をホイール表方へ立ち上げることにより、所定高さのハブ孔フランジ部6が形成されるようにしている。
素円孔加工工程の次に、折曲加工工程を実施してハブ孔5とハブ孔フランジ部6とを成形する。この折曲加工工程では、図6(A),(B)のように、階段状の折曲パンチ51と環状の折曲ダイス55とにより実施する。
ここで、折曲パンチ51としては、予め規定されているハブ孔径と等しい外周径のハブ孔成形部52と、該ハブ孔成形部52より小径の先端拡径部53とを備え、ハブ孔成形部52の前端方に先端拡径部53を配するようにして該ハブ孔成形部52と先端拡径部53とを同心状に連成されてなる構成である。さらに、本実施例1にあっては、ハブ孔成形部52と先端拡径部53とを滑らかに連続する傾斜連成部54が形成されており、上記したハブ素円孔28の孔周縁部29を折曲加工する際に、先端拡径部53による加工からハブ孔成形部52による加工に移行し易いようになっている。このような折曲パンチ51は、その前端を先頭として進出作動することにより折曲加工を行うようになっており、該折曲加工の際には、先端拡径部53、傾斜連成部54、ハブ孔成形部52の順でハブ素円孔28の孔周縁部29に当たる。尚、折曲パンチ51は、先端拡径部53のさらに前端側を略円錐形としており、折曲加工の初期でハブ素円孔28の孔周縁部29を徐々に立ち上げていくことができるようにしている。
一方、環状の折曲ダイス55は、その環口端部57から連成する所定内周径の先端成形部56を備えてなり、折曲パンチ51に対向して設けられている。この先端成形部56の内周径は、予め規定されているハブ孔フランジ部6の開口先端部6aの外周径と等しくしている。そして、折曲ダイス55の環口端部57は、開口先端部6aの内周径よりも大径の開口径となっている。また、この折曲ダイス55にあっても、環口端部57と先端成形部56とを比較的滑らかに連続する傾斜連成部58が形成されている。
上記した折曲パンチ51にあって、その先端拡径部53の外周径は、ハブ素円孔28の孔周縁部29を折曲加工した際に、先端拡径部53によりホイール表方へ立ち上げて拡径した該孔周縁部29の内寄り部位を折曲ダイス55の先端成形部56との間で挟圧する所定径寸法に設定している。すなわち、折曲パンチ51の先端拡径部53と折曲ダイス55の先端成形部56とによって、予め規定された外周径の開口先端部6aを形成するようになっている。また、折曲ダイス55の環口端部57の開口径は、ハブ素円孔28の孔周縁部29を折曲加工した際に、折曲パンチ51のハブ孔成形部52によりホイール表方へ立ち上げて拡径した孔周縁部29の外寄り部位を支持する所定径寸法に設定している。
折曲加工工程は、図6(A)のように、板状基材21の表面に、そのハブ素円孔28と折曲ダイス55の先端成形部56とが同心状となるようにして、該折曲ダイス55の環口端部57を当接する。そして、折曲パンチ51を板状基材21の裏面側から、該板厚基材21の板厚方向に沿って押し上げる。これにより、ハブ素円孔28の孔周縁部29をその孔端(内端)から徐々にホイール表方へ立ち上げていき、これに伴い拡径し、周方向に伸長して薄肉化する。その際に、ハブ素円孔28の孔周縁部29の内寄り部位(孔端部)は、折曲パンチ51の先端拡径部53により折り曲げられ且つ拡径されて折曲ダイス55の先端成形部56との間で挟圧されて、該先端成形部56に倣う形状となる。これにより、所定外周径の開口先端部6aを形成する。また、ハブ素円孔28の孔周縁部29の外寄り部位は、折曲パンチ51のハブ孔成形部52により折り曲げられ且つ拡径されて、フランジ基部6bを形成する。このフランジ基部6bの内周径は、ハブ孔成形部52により定まることから、所定のハブ孔径となる。すなわち、このフランジ基部6bの内側にハブ孔が形成されることとなる。このようにして、図6(B)のように、予め規定された外周径の開口先端部6aとハブ孔5を構成するフランジ基部6bとからなるハブ孔フランジ部6を成形する。そして、このハブ孔フランジ部6は、そのフランジ基部6bが開口先端部6aに比して径大となっており、各内径および外径が夫々に異なるフランジ基部6bと開口先端部6aとにより二段円筒形となっている。
尚、ハブ孔フランジ部6にあって、フランジ基部6bと該フランジ基部6bのホイール表方に位置する開口先端部6aとは、比較的滑らかに傾斜する連成部6cを介して連成している。この連成部6cは、折曲加工の際に、折曲パンチ51の傾斜連成部54と折曲ダイス55の傾斜連成部58とにより形成される。このように径寸法の異なるフランジ基部6bと開口先端部6aとを連成することによって、折曲加工の際に割れ等の発生を抑制できるようにしている。
また、この折曲加工工程によりハブ素円孔28の孔周縁部29がホイール表方に起立することで、該孔周縁部29の表面に形成されていた環状溝26によってハブ孔フランジ部6の外周面にキャップ係合溝14が形成される。
このように折曲加工工程では、折曲パンチ51のハブ孔成形部52により所定ハブ孔径のハブ孔5を正確に形成できると共に、折曲パンチ51の先端拡径部53と折曲ダイス55の先端成形部56とに従って所定外周径の開口先端部6aを正確に形成することができる。すなわち、板状基材21の板厚が比較的厚いものであっても、切削加工を用いることなく、二段円筒形のハブ孔フランジ部6を形成することによって、予め規定されたハブ孔径のハブ孔5と外周径の開口先端部6aとを精度良く成形でき得る。このように成形されたハブ孔5とハブ孔フランジ部6とは、図3のように、ハブ孔5に車軸16を内嵌できると共に、ハブ孔フランジ部6の開口先端部6aにセンターキャップ18を外嵌して、該センターキャップ18の爪部19をキャップ係合溝14に係合することができる。
上述した本実施例1の製造方法と、上述した従来の、ハブ孔フランジ部の内外径のいずれか一方を基準として折曲加工した後に他方を切削加工して寸法出しを行っていた製造方法とを比較すると、本実施例1の加工工程では、切削加工を要しないために該切削加工する装置への移送を必要とせず、切削加工する装置を必要ともしない。そのため、前記従来工程よりも加工工程を簡素化することができるため、加工工程に要する時間を短時間化でき、加工費用も低減可能である。また、切削加工は、切削チップなどの消耗品を多用し、かつ加工時間もかかることから、製造コストが高くなる一因であるが、本実施例1の加工工程では、切削加工を要しないために製造コストを低減することができる。
また、二段円筒形のハブ孔フランジ部6は、上記した折曲パンチ51と折曲ダイス55とにより成形加工されていることから、板状基材21を構成する縞状組織30が、図7(A)のように、その二段円筒形の形状に沿って周成された状態で存在している。そして、折曲加工の際に拡径して薄肉化されることにより、ハブ孔フランジ部6の縞状組織30は、成形前の状態に比して板厚方向に圧密となっている。このハブ孔フランジ部6にあっては、上述した従来構成のように切削加工を行わないために縞状組織が分断されていない。さらに、このハブ孔フランジ部6の開口先端部6aの、キャップ係合溝14の板厚方向内側にある係合溝周成部33は、該ハブ孔フランジ部6のその他の部位に比して、板厚方向に圧密な縞状組織30aとなっている。
これに対して、上述した従来の、切削加工によりハブ孔フランジ部の内周面を切削する方法にあっては、同じ板状基材21から成形した場合、図7(B)のように、ハブ孔フランジ部fの縞状組織gは内周面側で分断された部位を有している。この従来構成のハブ孔フランジ部fと上記した本実施例1のハブ孔フランジ部6とを比較すると、本実施例1の縞状組織30,30aは分断されていないことから、強度と耐久性とが向上する。
上述した加工工程によりハブ孔5とハブ孔フランジ部6とを成形してなるホイールディスク2を、上記したホールリム3に嵌合して溶接することにより、車両用ホイール1を得る。この車両用ホイール1は、上述したように比較的厚肉な板厚の板状基材21からホイールディスク2を成形したものであって、そのハブ孔フランジ部6が所定外周径の開口先端部6aと所定ハブ孔径のハブ孔5を構成するフランジ基部6bとの二段円筒形を成している。この二段円筒形のハブ孔フランジ部6を上記した折曲加工工程により成形することによって、開口先端部6aを予め規定された外周径とすることと、ハブ孔5を予め規定されたハブ孔径とすることとを、切削加工を行うことなく、両立できるようにしている。
実施例2にあっては、素円孔加工工程の次に、図8のように、押付け加工工程を実施して、ハブ素円孔28の孔端部(孔周縁部29の内寄り部位)29aをホイール裏方へ凹ませることにより環状凹部65を形成するようにしている。
上述した実施例1と同様に素円孔加工工程により板状基材21の中央にハブ素円孔28を形成する。この後、図8(A),(B)のように、ハブ素円孔28の孔端部29aを、円形状に窪んだ円形凹部63を中央に備えた凹形支持金型61と、該凹形支持金型61と対向するように円形状に突出する円形凸部64を備えた凸形押付け金型62とによりプレス加工することによって押付け加工工程を行う。ここで、凹形支持金型61の円形凹部63の窪み深さと凸形押付け金型62の円形凸部64の突出高さとは、それぞれハブ孔フランジ部6の開口先端部6aとフランジ基部6bとの半径差に従って設定している。また、凹形支持金型61の円形凹部63と凸形押付け金型62の円形凸部64との各半径を、ハブ孔フランジ部6の開口先端部6aの高さとハブ素円孔28の半径との和に従って設定している。すなわち、押付け加工するハブ素円孔28の孔端部29aにより、ハブ孔フランジ部6の開口先端部6aが形成されるようにしている。
尚、素円孔加工工程の前に実施している環状溝加工工程では、当該押付け加工工程で加工するハブ素円孔28の孔端部29aに環状溝26を形成するように設定している。
押付け加工工程は、図8(A)のように、ハブ素円孔28の裏面に、凹形支持金型61をその円形凹部63とハブ素円孔28とが同心状となるように当接して、該孔周縁部29を支持する。そして、図8(B)のように、ホイール表方から板厚方向に沿って凸形押付け金型62の円形凸部64により、ハブ素円孔28の孔端部29aを押圧する。これにより、ハブ素円孔28の孔端部29aをホイール裏方へほぼ平行移動したように陥没した環状凹部65を形成する。ここで、環状凹部65には、その表面に環状溝26が周成されて存在している。
このような押付け加工工程の次に、上述した実施例1と同様に折曲加工工程を実施する。本実施例2にあっても、実施例1と同じ折曲パンチ51および折曲ダイス55を用いて折曲加工を行う。すなわち、図9(A)のように、ハブ素円孔28の孔周縁部29の表面に折曲ダイス55を当接し、図9(B)のように、該孔周縁部29の裏面側から折曲パンチ51を板厚方向に沿って押し上げて、所定外周径の開口先端部6aと所定ハブ孔径のハブ孔5を構成するフランジ基部6bとからなる二段円筒形のハブ孔フランジ部6を形成する。この折曲加工の際には、板状基材21の環状凹部65を折曲パンチ51の先端拡径部53により立ち上げていき、続いて、ハブ素円孔28の孔周縁部29の、該環状凹部65を囲む外寄り部位を、折曲パンチ51のハブ孔成形部52により立ち上げていく。そして、環状凹部65から開口先端部6aを形成すると共に、該環状凹部65を囲む外寄り部位からフランジ基部6bを形成する。
本実施例2にあっては、折曲加工工程の前に、ハブ孔フランジ部6を形成するハブ素円孔28の孔周縁部29に環状凹部65を予め形成して、該環状凹部65と孔周縁部29の外寄り部位とに、開口先端部6aとフランジ基部6bとの半径差に対応する段差を設けていることから、折曲加工工程における折曲パンチ51を押圧する際に要する加工荷重を低減できる。これにより、折曲加工工程にあって、割れ等が発生しにくくなるという優れた利点を生ずる。
このように成形したハブ孔5と二段円筒形のハブ孔フランジ部6とは、上述した実施例1と同じ構成となっていることから、これらを備えたホイールディスク2とホイールリム3とを嵌合してなる車両用ホイール1は、図3のように、車軸16に固定されて、上述した実施例1と同じ寸法形状のセンターキャップ18を取り付けることができる。
本実施例2にあっては、折曲加工工程の前に、ハブ素円孔28の孔端部29aを環状凹部65に加工する押付け加工工程を実施するようにした方法であり、その他は、上述した実施例1と同様であり、同じ構成および同じ方法についてはその説明を省略している。そして、上述した実施例1の製造方法と同様の作用効果を発揮し得る。
さらに、本実施例2の製造方法により製造した車両用ホイール1にあっても、上述した実施例1と同様に、ハブ孔フランジ部6の縞状組織30は、その円筒形状に沿って設けられており、分断されていない(図7(A)参照)。そのため、この車両用ホイール1は、上述した実施例1の構成と同様の作用効果を発揮し得る。
上述した実施例1,2にあっては、環状溝加工工程の後に素円孔加工工程を実施するようにした方法であるが、素円孔加工工程の後に環状溝加工工程を実施するようにしても良い。また、環状溝加工工程は、キャップ係合溝14を構成するための環状溝26を押圧加工により成形するための工程であるから、キャップ係合溝14を要しない構成の車両用ホイールにあっては、環状溝加工工程を実施しないようにすることも可能である。
このようにキャップ係合溝を要しない構成として、例えば図10(A)のように、ハブ孔フランジ部6’の開口先端部6a’の内周面に圧接する圧接爪片79を備えたセンターキャップ78を取り付ける構成とすることができる。この構成は、板厚が比較的厚い板状基材21から成形した場合にあっても、開口先端部6a’の外周径が所望の寸法となっていることから、センターキャップ78と開口先端部6aとの各外周端が揃うため、見栄えが良く、意匠性を適切に保つことができ得る。尚、このようなセンターキャップ78は、上述した開孔先端部6aに嵌め込むタイプのセンターキャップ18と異なるため、図10(B)のように、ハブ孔フランジ部kをその内周径が所定ハブ孔径とするように折曲加工して成形すれば、板厚が比較的厚い板状基材21から成形した場合にあっても、該ハブ孔フランジ部kの外周面を切削する必要がない。しかし、この場合には、ハブ孔フランジ部kの外周径が、センターキャップ78の外周径より大きくなるため、見栄えが悪く、意匠性を低減してしまう。
また、上述した実施例2にあっては、環状溝加工工程、素円孔加工工程、押付け加工工程の順序で実施した方法であるが、これら三工程の実施順序は適宜変更することができる。
本発明は、上述した実施例に限定されるものでなく、本発明の範囲内で適宜変更することは勿論可能である。例えば、上述した実施例1,2の車両用ホイール1は、ドロップ部13の内周面にホイールディスク2のディスクフランジ部9を嵌合してなる所謂ビード嵌合ホイールであるが、これに限らず、所謂ビード嵌合ホイールやフルフェイスホイールに本発明を適用することもできる。そして、このようなビード嵌合ホイールやフルフェイスホイールに本発明を適用した場合にあっても、ビード嵌合ホイールの場合と同様の作用効果を発揮することができ得る。
車両用ホイール1の断面図である。 車両用ホイール1を構成するホイールディスク2の斜視図である。 実施例1のハブ孔フランジ部6にセンターキャップ18を取り付けた状態を示す拡大断面図である。 環状溝加工工程の加工説明図である。 素円孔加工工程の加工説明図である。 折曲加工工程の加工説明図である。 (A)実施例1のハブ孔フランジ部6の断面組織状態と、(B)従来の切削加工により形成したハブ孔フランジ部fの断面組織状態とを示す概略図である。 実施例2にかかる押付け加工工程の加工説明図である。 実施例2にかかる折曲加工工程の加工説明図である。 (A)本実施例1の別例のハブ孔フランジ部6’にセンターキャップ78を取り付けた状態と、(B)従来のハブ孔フランジ部kにセンターキャップ78を取り付けた状態とを示す拡大断面図である。
符号の説明
1 車両用ホイール
5 ハブ孔
6 ハブ孔フランジ部
6a 開口先端部
6b フランジ基部
14 キャップ係合溝
18 センターキャップ
21 板状基材
26 環状溝
28 ハブ素円孔
29 孔周縁部
29a 孔端部
30,30a 縞状組織
51 折曲パンチ
52 ハブ孔成形部
53 先端拡径部
55 折曲ダイス
56 先端成形部
65 環状凹部

Claims (5)

  1. 板状基材の中央に所定孔径のハブ素円孔を穿設する素円孔加工工程と、該ハブ素円孔の孔周縁部をホイール表方へ折曲加工する折曲加工工程とを順次行うことにより、所定ハブ孔径のハブ孔と、所定外周径の開口先端部を具備するハブ孔フランジ部とを形成する車両用ホイールの製造方法において、
    前記折曲加工工程は、
    前記ハブ孔径と等しい外周径のハブ孔成形部と該ハブ孔成形部より小径の先端拡径部とが該先端拡径部を前端方に配して同心状に連成されてなる折曲パンチと、前記開口先端部の外周径と等しい内周径の先端成形部を備えた折曲パンチと対向する環状の折曲ダイスとによって、前記ハブ素円孔の孔周縁部をホイール表方へ立ち上げるように折曲加工することにより、
    折曲パンチの先端拡径部と折曲ダイスの先端成形部とで挟圧して形成した所定外周径の開口先端部と、折曲パンチのハブ孔成形部で形成した所定ハブ孔径のハブ孔を構成するフランジ基部とからなる二段円筒形のハブ孔フランジ部を成形するようにしていることを特徴とする車両用ホイールの製造方法。
  2. 折曲加工工程の前に、素円孔加工工程で成形するハブ素円孔の孔端部をホイール裏方へ凹ませることにより環状凹部を形成する押付加工工程を実施し、
    折曲加工工程によって、環状凹部によりハブ孔フランジ部の開口先端部を形成するようにしていることを特徴とする請求項1に記載の車両用ホイールの製造方法。
  3. 折曲加工工程の前に、素円孔加工工程で成形するハブ素円孔の孔周縁部をホイール表方から押圧加工することにより、該孔周縁部に環状溝を周成する環状溝加工工程を実施し、
    折曲加工工程でハブ素円孔の孔周縁部をホイール表方へ立ち上げることにより、ハブ孔フランジ部に装着されるセンターキャップを係合するためのキャップ係合溝を前記環状溝によって形成するようにしていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用ホイールの製造方法。
  4. 板面方向に沿った縞状組織からなる板状基材を加工することにより成形されたものであって、
    所定外周径の開口先端部と所定ハブ孔径のハブ孔を構成する前記開口先端部より径大なフランジ基部とからなる二段円筒状のハブ孔フランジ部を備え、該ハブ孔フランジ部がその円筒形状に沿うように周成されて板厚方向に圧密な縞状組織から構成されていることを特徴とする車両用ホイール。
  5. ハブ孔フランジ部の開口先端部に、該ハブ孔フランジ部に装着されるセンターキャップを係合するためのキャップ係合溝を備えてなり、
    該キャップ係合溝が周成された部位は、ハブ孔フランジ部の他部位に比して、板厚方向に圧密な縞状組織から構成されていることを特徴とする請求項4に記載の車両用ホイール。
JP2007180500A 2007-07-10 2007-07-10 車両用ホイールの製造方法および車両用ホイール Active JP4961283B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007180500A JP4961283B2 (ja) 2007-07-10 2007-07-10 車両用ホイールの製造方法および車両用ホイール

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007180500A JP4961283B2 (ja) 2007-07-10 2007-07-10 車両用ホイールの製造方法および車両用ホイール

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009018313A JP2009018313A (ja) 2009-01-29
JP4961283B2 true JP4961283B2 (ja) 2012-06-27

Family

ID=40358411

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007180500A Active JP4961283B2 (ja) 2007-07-10 2007-07-10 車両用ホイールの製造方法および車両用ホイール

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4961283B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9051476B2 (en) 2010-12-30 2015-06-09 Ticona Llc Powder containing a polyoxymethylene polymer for coating metallic substrates

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101850380A (zh) * 2010-05-26 2010-10-06 苏州铭峰精密机械有限公司 高翻边孔成型方法
CN102284624B (zh) * 2011-08-22 2013-08-21 亿森(上海)模具有限公司 一种提高翻孔成型高度和精度的压料机构及其应用
CN103521607B (zh) * 2013-10-15 2015-06-10 重庆大学 一种管壁数控渐进翻孔成形的工具头与方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2716031B2 (ja) * 1995-02-14 1998-02-18 日本電気株式会社 軸受とその製造方法
JP2002224773A (ja) * 2001-01-31 2002-08-13 Chuo Motor Wheel Co Ltd 自動車用スチールホイール及び該自動車用スチールホイールの製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9051476B2 (en) 2010-12-30 2015-06-09 Ticona Llc Powder containing a polyoxymethylene polymer for coating metallic substrates

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009018313A (ja) 2009-01-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4397049B2 (ja) スポーク状ホイールディスクの製造方法及びスポーク状ホイール
JP4961283B2 (ja) 車両用ホイールの製造方法および車両用ホイール
JP5058677B2 (ja) 車両用ホイールのハブ孔フランジ部成形方法
JPWO2017122656A1 (ja) スピニング装置およびスピニング方法
US11135641B2 (en) Vehicle wheel disc and manufacturing method of vehicle wheel disc
US20040107576A1 (en) Method of manufacturing alloy rim for automobile
JP2005035330A (ja) 自動車用スチールホイールディスクの製造方法
JP3471048B2 (ja) 可変オフセットフルフェースホイール及びその製造方法並びに製造装置
JP2010163065A (ja) 自動車用ホイールおよび自動車用ホイールの製造方法
JP5192845B2 (ja) 自動車用ホイールの製造方法
CN104540612A (zh) 车辆用车轮轮辋的制造方法
JP7145528B2 (ja) 単一部品車両ホイールの製造方法
US20060061209A1 (en) Vehicle wheel rim
JP5322397B2 (ja) 車両用ホイールの製造方法および車両用ホイール
JP4270982B2 (ja) ホイールディスクの製造方法
US6571590B1 (en) Method for producing a rim for a pneumatic tire
JP4270980B2 (ja) 自動車用ホイールの製造方法
JP2002045939A (ja) 軽量で広い制動空間を備えたホイールのディスク
JP5986350B2 (ja) 組立式車両ホイール、そのような車両ホイールで使用するためのホイール・リム、およびそれらの製作方法
JP5478876B2 (ja) ホイール用ディスクの製造方法
US10913308B2 (en) Wheel disc manufacturing method and wheel disc
JP5438566B2 (ja) 自動車用ホイールの製造方法
JP5794651B2 (ja) 自動車用ホイールディスクの製造方法
US9724960B2 (en) Automobile wheel disk
JPH0666343A (ja) シリンダ装置用取付ブラケットの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100629

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120220

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120229

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120326

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150330

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4961283

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250