JP4960682B2 - スパークプラグ - Google Patents

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Description

本発明は、中心電極及び接地電極に貴金属チップが固着されてなるスパークプラグに関するものである。
一般的に自動車エンジン等の内燃機関に使用されるスパークプラグでは、中心電極及び接地電極がニッケル合金等により形成されており、火花放電等による電極の消耗が比較的早い。
このため、近年では、内燃機関の高温化に伴い、中心電極及び接地電極に対し、耐火花消耗性や耐酸化消耗性に優れるイリジウム合金や白金合金等の貴金属チップが固着されている(例えば、特許文献1参照。)。これにより、電極の消耗率が低下し、放電電圧(要求電圧)の経時的な上昇が抑制されるとともに、スパークプラグの長寿命化を図ることができる。
例えば、図5(a)の模式図に示すように、中心電極5側では、放電面となる先端面全域を覆うように貴金属チップ23が固着されている。一方、これに対向する接地電極22の先端部側面には、当該先端部側面から突出するように貴金属チップ24が固着されている。そして、これら両貴金属チップ23,24間に火花放電ギャップGが形成される。なお、接地電極22に対し貴金属チップ24を固着する場合には、例えば予め電極母材に凹部を形成しておき、当該凹部に貴金属チップ24を嵌め込みつつ当該貴金属チップ24の周囲を溶接する。このため、貴金属チップ24の周囲には、当該溶接に際して、電極母材のニッケル合金等を多く含むニッケル部27、いわゆる「溶接ダレ」が形成される。中には、図5(b)に示す例のように、ニッケル部27が貴金属チップ24の放電面24aにまで達しているものもある。また、従来では、一般的にスパークプラグ組付け時における中心電極5の偏芯を考慮して、中心電極5側の貴金属チップ23の径d1より、接地電極22側の貴金属チップ24の径d2を大きく設定している(d1<d2)。
特開2005−135783号公報
イリジウムや白金等の貴金属はニッケル等よりも仕事関数が大きいため、貴金属チップを両電極に設けた場合には、貴金属チップを設けない場合に比べて、放電電圧が全体的に高くなるはずであるが、試験を実施した結果、実際にはプラグ使用初期において放電電圧のバラツキが大きく、場合によっては放電電圧が低くなる場合もあることが確認された。さらに、プラグの使用を進めるうちに、放電電圧が安定する傾向にあることも確認された。
上述したように放電電圧にバラツキがあると着火性に影響が及ぶおそれがある。特に、放電電圧が内燃機関の供給可能電圧を上回ると、電極間に火花放電を発生させられないといった不具合が生じる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、耐久性の向上を図るとともに、放電電圧のバラツキを抑えることのできるスパークプラグを提供することにある。
上記課題で記載した不具合が発生する理由の1つとしては、例えばプラグ使用初期は、貴金属チップの放電面周縁角部、いわゆるエッジ部で電界強度が高くなり、最短距離となる両貴金属チップの放電面間よりも両エッジ部間で火花が飛びやすい傾向にあるためと考えられる。両貴金属チップのエッジ部間で火花が飛ぶ場合には、火花放電に要する放電電圧は設定値よりも低くなる。但し、両エッジ部間で火花が飛ぶ場合には、スワール等の影響により火花が流されることも考えられる。この場合は、逆に火花放電距離が長くなり、放電電圧は高くなる。このため、エッジ部で火花が飛びやすいプラグ使用初期においては、放電電圧のバラツキが大きくなると推測される。そして、プラグの使用を進めるうちに貴金属チップのエッジ部が消耗により丸まってくるため、最短距離となる両貴金属チップの放電面間において火花が飛ぶ頻度が増し、放電電圧が安定してくると考えられる。
このような現象を踏まえて、以下に、上記課題等を解決するのに適した各構成を項分けして説明する。なお、必要に応じて各構成に特有の作用効果等を付記する。
構成1.本構成のスパークプラグは、軸線方向に延びる中心電極と、当該中心電極を保持する絶縁体と、当該絶縁体を保持する主体金具と、当該主体金具の先端部に自身の基端部が接合され、屈曲して自身の先端部の一側面が前記中心電極の先端部を臨むように固定される接地電極と、前記中心電極の先端面及び前記接地電極の前記一側面にそれぞれ固着された貴金属チップとを備え、前記両貴金属チップ間に火花放電間隙が形成されるスパークプラグであって、
前記中心電極及び前記接地電極のうちの一方の電極に固着された貴金属チップの径をd1とし、他方の電極に固着された貴金属チップの径をd2としたとき、
0.1mm≦d1−d2≦0.4mm
の関係を満たすとともに、
正極性となるように電圧が印加される前記他方の電極においては、ニッケルを主成分とするニッケル部が前記貴金属チップの周囲を囲み、当該ニッケル部の前記一方の電極側の端部が、前記貴金属チップの軸方向に対して前記貴金属チップの放電面と同一位置又はそれよりも前記一方の電極側に位置していることを特徴とする。
上記構成1によれば、中心電極及び接地電極に白金やイリジウムといった貴金属を主成分とした貴金属チップが固着されているため、電極の耐久性が向上し、スパークプラグの長寿命化を図ることができる。
また、一方の電極(例えば中心電極)に固着される貴金属チップの径d1を、他方の電極(例えば接地電極)に固着される貴金属チップの径d2に0.1mmを加算した値以上に設定するとともに、その径差を0.4mm以下としている(d1−d2≦0.4mm)。さらに、前記他方の電極においては、ニッケルを主成分とするニッケル部が貴金属チップの周囲を囲み、当該ニッケル部の前記一方の電極側の端部が、貴金属チップの軸方向に対して貴金属チップの放電面と同一位置又はそれよりも前記一方の電極側に位置している。なお、貴金属チップが固着された場合、その軸方向は、中心電極の先端面又は接地電極の一側面に直交する方向となる。従って、貴金属チップの径とは、貴金属チップの軸方向と直交する径方向におけるチップ両端部の距離を指し、貴金属チップの周囲とは貴金属チップの径方向の周囲を指す。
このため、電極消耗の少ないプラグ使用初期における他方の電極側では、貴金属チップのエッジ部が露出していない状態となっており、仕事関数の関係上、貴金属チップ周囲のニッケル部に火花が飛びやすい。結果として、プラグ使用初期において放電電圧が比較的低い値で安定し、バラツキが少なくなる。
そして、他方の電極側では、プラグを継続使用してニッケル部の消耗が進むにつれ、貴金属チップに対し火花が飛ぶようになる。但し、プラグ使用初期において、必ずしも貴金属チップ周囲のニッケル部だけに火花が飛ぶわけではなく、貴金属チップの放電面や徐々に露出するエッジ部にも火花が飛ぶ。従って、ある程度、プラグを継続使用した段階では、貴金属チップのエッジ部も消耗によりやや丸まった状態になる。このため、主に両貴金属チップの放電面間において火花が飛ぶようになった以降も、放電電圧は安定しており、バラツキは少ない。
なお、他方の電極に固着される貴金属チップの径d2を、一方の電極に固着される貴金属チップの径d1から0.1mmを減算した値以下に設定したとしても、仮に図5(a)に示す従来例のように、貴金属チップの周囲を囲むニッケル部が当該貴金属チップの放電面と同一位置にまで達していない場合には、従来技術において両電極の極性を反転させた場合と同様となるため、上記不具合が発生するとともに、放電電圧が従来技術よりも高くなってしまい好ましくない。
一方、ニッケル部が貴金属チップの放電面と同一位置まで達している場合においても、図5(b)に示す従来例のように当該貴金属チップが他方に比べ大径のものであると、ニッケル部が遠ざかるため、ニッケル部に火花が飛びにくくなる。この場合も、放電電圧が高くなり好ましくない。
また、一方の電極に固着される貴金属チップの径d1よりも、他方の電極に固着される貴金属チップの径d2に0.1mmを加算した値を小さく設定したとしても、仮にその径差が0.4mmより大きくなる場合(d1−d2>0.4mm)には、両貴金属チップに径差がありすぎて、プラグ継続使用後も両貴金属チップ間で火花が飛びにくくなり、耐久性に支障をきたすおそれがあるため好ましくない。つまり、耐久性向上のために貴金属チップを設ける意味が薄れる。特に貴金属チップの径d2が小さすぎるものは現実的ではない。
これに対し、上記構成1では、両貴金属チップの大小関係やニッケル部の形成範囲など各構成要素の相乗効果により、耐久性の向上を図るとともに、放電電圧のバラツキを抑えることのできるスパークプラグを実現できる。
構成2.本構成のスパークプラグは、上記構成1において、前記ニッケル部が電極母材の表面より突出していることを特徴とする。
上記構成2によれば、一方の電極にニッケル部がより近づくため、放電電圧の上昇を抑えることができる。
構成3.上記構成2において、前記ニッケル部の外径をd3としたとき、
d1<d3
の関係を満たすことを特徴とする。
上記0.1mm≦d1−d2≦0.4mmの関係を満たしているにも関わらず、一方の電極に固着される貴金属チップの径d1が、他方の電極側のニッケル部の外径d3以上となる場合(d1≧d3)、すなわち他方の電極において貴金属チップとともに放電面として機能する部位の外径以上となる場合には、ニッケル部を形成するニッケル量が少ないことを意味する。従って、この場合、従来技術において両電極の極性を反転させた場合と同様となるため、上記不具合が発生したり、放電電圧が従来技術よりも高くなってしまうことも考えられる。
この点、上記構成3によれば、放電面として機能する部位の外径が一方の電極側よりも他方の電極側の方が大きくなるため、上記構成1との相乗効果により、上記構成1の作用効果をさらに高めることができる。
構成4.本構成のスパークプラグは、上記構成1乃至3のいずれかにおいて、前記他方の電極では、前記貴金属チップが電極母材に溶接され、当該溶接により前記ニッケル部が形成されていることを特徴とする。
貴金属チップを電極母材に溶接した場合には、当該溶接に際し貴金属チップによって電極母材表面が押し退けられるようにして当該貴金属チップの周囲に溶接ダレが形成される。この溶接ダレは、電極母材の主成分であるニッケルを多く含んでおり、上記構成4では、この溶接ダレによって上記ニッケル部を形成している。従って、ニッケル部は成分分析をしたときに主成分がニッケルである。結果として、別途、上記ニッケル部を形成する手間もなく、生産性の向上を図ることができる。
構成5.本構成のスパークプラグは、上記構成1において、前記他方の電極では、前記貴金属チップが電極母材に埋め込められており、当該電極母材により前記ニッケル部が形成されていることを特徴とする。
上記構成5によれば、電極母材の表面より突出したニッケル部を形成する必要もなく、構成が簡素化されるとともに、生産性の向上を図ることができる。なお、構成5においても、上記構成3と同様に、一方の電極に固着される貴金属チップの径d1よりも、他方の電極において貴金属チップとともに放電面として機能する部位が大きくなっていれば、上記構成1の作用効果をさらに高めることができる。但し、構成5の他方の電極においては、電極母材の表面が放電面として機能するため、当該電極母材の幅が上記構成3におけるニッケル部の外径d3に相当することとなる。
また、次の構成6のようにしてもよい。
構成6.本構成のスパークプラグは、構成1乃至5のいずれかに記載のスパークプラグにおいて、前記一方の電極が中心電極であり、前記他方の電極が接地電極であることを特徴とする。
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。図1は、スパークプラグ1を示す一部破断正面図である。なお、図1では、スパークプラグ1の軸線O方向を図面における上下方向とし、下側をスパークプラグ1の先端側、上側を後端側として説明する。
スパークプラグ1は、絶縁体としての長尺状の絶縁碍子2、これを保持する筒状の主体金具3などから構成されるものである。
絶縁碍子2には、軸線Oに沿って軸孔4が貫通形成されている。そして、軸孔4の先端部側には中心電極5が挿入・固定され、後端部側には端子電極6が挿入・固定されている。軸孔4内における中心電極5と端子電極6との間には、抵抗体7が配置されており、この抵抗体7の両端部は導電性ガラスシール層8,9を介して、中心電極5と端子電極6とにそれぞれ電気的に接続されている。中心電極5は、絶縁碍子2の先端から突出し、端子電極6は絶縁碍子2の後端から突出している。
一方、絶縁碍子2は、周知のようにアルミナ等を焼成して形成されており、その外形部において、後端側に形成されたコルゲーション部10と、軸線O方向略中央部において径方向外向きに突出形成されたフランジ状の大径部11と、当該大径部11よりも先端側においてこれよりも細径に形成された中胴部12と、当該中胴部12よりも先端側においてこれより細径に形成され、内燃機関の燃焼室に曝される脚長部13とを備えている。絶縁碍子2のうち、大径部11、中胴部12、脚長部13を含む先端側は、筒状に形成された主体金具3の内部に収容されている。そして、脚長部13と中胴部12との連接部には段部14が形成されており、この段部14にて絶縁碍子2が主体金具3に係止される。
主体金具3は、低炭素鋼等の金属により筒状に形成されており、その外周面にスパークプラグ1をエンジンヘッドに取付けるためのねじ部(雄ねじ部)15が形成されている。ねじ部15の後端側の外周面には座部16が形成され、ねじ部15後端のねじ首17にはリング状のガスケット18が嵌め込まれている。さらに、主体金具3の後端側には、主体金具3をエンジンヘッドに取付ける際にレンチ等の工具を係合させるための断面六角形状の工具係合部19が設けられるとともに、後端部において絶縁碍子2を保持するための加締め部20が設けられている。
また、主体金具3の先端端面21には、略L字状に屈曲形成された接地電極22が溶接されている。接地電極22は、先端部側面が中心電極5の先端面と対向するように配設されている。また、中心電極5の先端面及び接地電極22の先端部側面の両対向面にはそれぞれ貴金属チップ23,24が抵抗溶接やレーザ溶接等により溶接固定されている。これにより、両貴金属チップ23,24の対向面間に火花放電間隙としての火花放電ギャップGが形成される。
ここで、中心電極5及び接地電極22の構成について図2,3を参照して詳しく説明する。図2は、スパークプラグ1の先端部(中心電極5及び接地電極22)付近の要部を拡大した断面図であり、図3は、中心電極5及び接地電極22に固着された両貴金属チップ23,24の対応関係を示す模式図である。なお、図3では、便宜上、両貴金属チップ23,24の部分にのみハッチングを付している。
中心電極5側では、電極母材5aの先端面全域を覆うように貴金属チップ23が溶接されている。一方、接地電極22側では、電極母材22aの表面から突出するように貴金属チップ24が溶接されている。
貴金属チップ23,24は、それぞれスパークプラグ1の軸線Oを軸方向とする円柱形状をなし、円形の放電面23a,24aを有している。本実施形態では、中心電極5側の貴金属チップ23の径d1は0.8mm以上2.5mm以下に設定されている。接地電極22側の貴金属チップ24の径d2は、貴金属チップ23の径d1から0.1mm減算した値より小さく設定されるとともに、両貴金属チップ23,24の径差が0.4mm以下となるように設定されている(d1−d2≦0.4mm)。また、火花放電ギャップGのギャップ間隔g1は0.2mm以上0.8mm以下に設定されている。なお、貴金属チップ23,24の厚みは、火花放電ギャップGのギャップ間隔g1の大小に基づいて定められるもので、本実施形態では特に限定しない。
中心電極5及び接地電極22の電極母材5a,22aは、ニッケルを主成分とするニッケル合金により形成されている。本実施形態ではインコネル600(登録商標)を使用している。一方、貴金属チップ23,24は、イリジウムや白金等の貴金属を主成分とする貴金属合金により形成されている。本実施形態では、中心電極5の貴金属チップ23に、イリジウム(Ir)を主成分とし、1.7質量%の酸化イットリウムが添加されたIr−1.7Y2O3合金を使用し、接地電極22の貴金属チップ24に、白金(Pt )を主成分とし、20質量%のニッケルが添加されたPt−20Ni合金を使用している。但し、両電極母材5a,22a内には、熱伝導性を高めるため、銅等よりなる図示しない伝導芯が埋め込まれている。なお、本実施形態において、「主成分」とは、合金原料中に、着目する金属が50質量%以上含有されていることを示す。
さらに、本実施形態では、接地電極22側において、貴金属チップ24の周囲にニッケルを主成分とするニッケル部27が形成されている。ニッケル部27は、電極母材22aの表面から突出するように形成されており、その外径d3が中心電極5側の貴金属チップ23の径d1よりも大きく設定されている。
ニッケル部27は、貴金属チップ24を接地電極22の電極母材22aに溶接する際に、当該貴金属チップ24によって電極母材22aの表面が押し退けられるようにして形成される。つまり、ニッケル部27は、電極母材22aと一体形成されたものであるとともに、電極母材22aと同様の成分組成となっている。
また、ニッケル部27は、その先端面(中心電極5側の端部)が軸線O方向に対して貴金属チップ24の放電面24aと同一位置に位置している。つまり、貴金属チップ24の放電面24aとニッケル部27の先端面とが略面一となっている。従って、接地電極22側では、スパークプラグ1の使用初期においてニッケル部27の先端面も放電面を形成することとなる。
上記構成により、スパークプラグ1の使用初期においては、接地電極22側の貴金属チップ24のエッジ部(放電面24aの周縁角部)が露出しておらず、仕事関数の関係上、貴金属チップ24周囲のニッケル部27に火花が飛びやすい状態となる。但し、スパークプラグ1の使用初期において、必ずしも周囲のニッケル部27だけに火花が飛ぶわけではなく、貴金属チップ24の放電面24aや徐々に露出するエッジ部にも火花が飛ぶ。
その後は、ニッケル部27の消耗速度が貴金属チップ24の消耗速度よりも速いことから、接地電極22側では、スパークプラグ1を継続使用してニッケル部27の消耗が進むにつれ、貴金属チップ24に対し火花が飛ぶようになる。
ここで、上記スパークプラグ1の作用効果を確認するべく、チップ径など各種構成を異ならせた実施例1〜6及び比較例1〜15に関して、それぞれ500本のサンプルを作製し、机上火花放電試験を行った。この試験では、0.8MPaの大気雰囲気下に設定されたチャンバー内にスパークプラグ1を取付けた上で、中心電極5側が負極性となるように電圧を印加し、要求された要求電圧(放電電圧)を測定した。そして、それぞれサンプル500本分の放電電圧の平均値X及び標準偏差σを求め、一般的な品質管理の目安となるX±3σの幅に基づき、放電電圧のバラツキについて検証した。この評価結果を表1に示す。
Figure 0004960682
具体的に、実施例1〜6(グループA)では、火花放電ギャップGのギャップ間隔g1を0.7mm、中心電極5側の貴金属チップ23の径d1を1.2mm、接地電極22側の貴金属チップ24の径d2を1.1mm、ニッケル部27の外径d3を1.3mmに設定している。
これに対し、比較例1〜9(グループB,C)では、図5(a)に示す例のように、中心電極5側の貴金属チップ23の径d1よりも、接地電極22側の貴金属チップ24の径d2を大きくするために、貴金属チップ24の径d2を1.6mmに設定している。また、比較例1〜3(グループB)では、ギャップ間隔g1を0.5mmに設定している。なお、比較例1〜9(グループB,C)では、ニッケル部27が僅かながら形成されているものの、その先端面が貴金属チップ24の放電面24aにまで達していないため、ここでは形成されていないものとみなす。
また、比較例10〜15(グループD,E)では、図6(a),(b)に示す例のように、両貴金属チップ23,24の径差を大きくするために、貴金属チップ24の径d2を0.6mmに設定している。なお、比較例10〜12(グループD)では、図6(a)に示す例のように、ニッケル部27が僅かながら形成されているものの、その先端面が貴金属チップ24の放電面24aにまで達していないため、ここでは形成されていないものとみなす。一方、比較例13〜15(グループE)では、図6(b)に示す例のように、ニッケル部27の先端面が貴金属チップ24の放電面24aに達しているため、ニッケル部27の外径d3を0.8mmに設定している。
なお、両貴金属チップ23,24の径差が小さく、上記d1−d2≦0.4mmの関係を満たしている場合でも、中心電極5側の貴金属チップ23の径d1よりも接地電極22側のニッケル部27の外径d3が小さい場合には、ニッケル部27を形成するニッケル量が少ないため、ニッケル部27が形成されていない場合と同様とみなしてよい。従って、比較例1〜9(グループB,C)において両電極5,22の極性を反転させた場合と同様の結果が得られるため、試験は省略した。但し、両電極5,22の極性を反転させた場合には、放電電圧が全体的に高くなる。
また、両貴金属チップ23,24の径差が大きい場合、すなわち上記d1−d2≦0.4mmの関係を満たしていない場合には、図7に示すように仮にニッケル部27の外径d3を中心電極5側の貴金属チップ23の径d1よりも大きく設定したとしても、スパークプラグ1を継続使用した段階ですら両貴金属チップ23,24間において火花が飛びにくく、耐久性に支障をきたすおそれがある。従って、耐久性向上のために貴金属チップ23,24を設ける意味が薄れ、現実的ではないため、試験は省略した。
表1では、放電電圧のバラツキ(X±3σの幅)が5ボルトの範囲に収まっているものを良(○)と判定し、収まっていないものを不可(×)と判定している。但し、表1で示す評価は、本試験における相対評価を示すものであり、判定が不可(×)であったとしても必ずしも製品として使用できないことを示すものではない。
また、評価しやすいように表1のデータをグラフ化したものを図8に示す。図8においては、実施例1〜6及び比較例1〜15をA〜Eの5つのグループに区分けして表示するとともに、各例毎に平均値Xを菱形点、X+3σを白三角点、X−3σを黒三角点で印している。また、各例毎に縦棒により示される範囲は、試験により得られた放電電圧の最大値から最小値までの範囲を示すものである。
実施例1〜6(グループA)と比較例1〜9(グループB,C)とを比較して判るように、中心電極5側の貴金属チップ23の径d1よりも接地電極22側の貴金属チップ24の径d2の方が大きい場合には、放電電圧のバラツキが大きい。さらに、比較例1〜3(グループB)と比較例4〜9(グループC)とを比較して判るように、火花放電ギャップGのギャップ間隔g1がより小さい場合には、放電電圧が全体的に低くなる。
また、実施例1〜6(グループA)と比較例10〜15(グループD,E)とを比較して判るように、中心電極5側の貴金属チップ23の径d1よりも接地電極22側の貴金属チップ24の径d2の方が小さくても、両貴金属チップ23,24の径差が大きい場合には、放電電圧のバラツキが大きく、放電電圧も全体的に高くなる。さらに、比較例10〜12(グループD)と比較例13〜15(グループE)とを比較して判るように、ニッケル部27の先端面が貴金属チップ24の放電面24aに達している方が、放電電圧は全体的に低くなる。
上記実施例1〜6及び比較例1〜15の試験結果を踏まえて判断すると、中心電極5側の貴金属チップ23の径d1よりも接地電極22側の貴金属チップ24の径d2を小さく設定するとともに、その径差を0.4mm以下(d1−d2≦0.4mm)に設定し、さらに貴金属チップ24の周囲にニッケル部27を形成するとともに、その先端面を貴金属チップ24の放電面24aと略面一とし、その外径d3を中心電極5側の貴金属チップ23の径d1よりも大きく設定すれば、これらの相乗効果により、スパークプラグ1の使用初期において、放電電圧を比較的低い値で安定させ、バラツキを少なくすることができる。
なお、上述した実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
(a)上記実施形態では、接地電極22側の貴金属チップ24の径d2が、中心電極5側の貴金属チップ23の径d1から0.1mm減算した値以下に設定されている。これに対し、図4(a)に貴金属チップ23,24が同一径(d1=d2)である例を参考例として示している。また、接地電極22側の貴金属チップ24の径d2から0.1mm減算した値以下に中心電極5側の貴金属チップ23の径d1を設定し、当該貴金属チップ23の周囲にニッケル部を形成した構成としてもよい。
(b)上記実施形態では、貴金属チップ24及びその周囲を囲むニッケル部27が電極母材22aの表面から突出した構成となっている。これに限らず、例えば、図4(b)に示すように電極母材22aに貴金属チップ24が埋め込まれた構成としてもよい。この場合、貴金属チップ24の周囲を囲む電極母材22aがニッケル部を構成することとなる。
(c)上記実施形態では、中心電極5側の貴金属チップ23の径d1が0.8mm以上2.5mm以下に設定されているが、貴金属チップ23の径d1はこれに限定されるものではない。但し、貴金属チップ23の径d1が0.8mmより小さい場合には、耐久性が低下するおそれがあり、2.5mmより大きい場合には、製造コストが高くなるとともに、電極母材との良好な溶接状態を確保することが難しくなるおそれがある。
(d)上記実施形態では、火花放電ギャップGのギャップ間隔g1が0.2mm以上0.8mm以下に設定されているが、ギャップ間隔g1はこれに限定されるものではない。但し、ギャップ間隔g1が0.8mmより大きくとなると、ギャップ間隔g1が広すぎて、放電電圧が高くなるおそれがある。一方、ギャップ間隔g1が0.2mmより小さいと、ギャップ間隔g1が狭すぎて加工が困難となるとともに、着火性が低下するおそれがある。
(e)上記実施形態では、中心電極5及び接地電極22の電極母材5a,22aがインコネル600(登録商標)により形成されているが、これに限らず、他のニッケル合金により形成された構成してもよい。
(f)上記実施形態における貴金属チップ23,24は、イリジウム合金や白金合金により形成されているが、これに限らず、他の貴金属を主成分とする貴金属合金により形成されたものであってもよい。
(g)上記実施形態では、ニッケル部27の先端面(中心電極5側の端部)が軸線O方向に対して貴金属チップ24の放電面24aと同一位置に位置しているが、これに限らず、貴金属チップ24の放電面24aよりも中心電極5側に位置した構成としてもよい。
(h)上記実施形態では、円柱形状の貴金属チップ23,24を採用している。これに限らず、少なくとも放電面が円形状となっているものであれば、軸線O方向に沿った断面形状が例えば凹状や略T字形状のものであってもよい。
(i)上記実施形態では、接地電極22が略L字状に屈曲形成され、貴金属チップ23,24が固着される中心電極5の先端面と接地電極22の先端部一側面とが対向した構成となっているが、これに限らず、例えば接地電極22が略く字状に屈曲形成され、貴金属チップ24が固着される接地電極22の先端部一側面が軸線O方向に対して傾斜した構成のスパークプラグに本発明を適用してもよい。
本実施形態のスパークプラグの全体を示す一部破断正面図である。 スパークプラグの先端部(中心電極及び接地電極)付近の要部を拡大した断面図である。 中心電極及び接地電極に固着された貴金属チップの対応関係を示す模式図である。 (a),(b)は、中心電極及び接地電極に固着された貴金属チップの対応関係を示す模式図である。 (a),(b)は、中心電極及び接地電極に固着された貴金属チップの対応関係を示す模式図である。 (a),(b)は、中心電極及び接地電極に固着された貴金属チップの対応関係を示す模式図である。 中心電極及び接地電極に固着された貴金属チップの対応関係を示す模式図である。 各試験における放電電圧のバラツキを示す図である。
符号の説明
1…スパークプラグ、2…絶縁碍子、3…主体金具、5…中心電極、5a…電極母材、22…接地電極、22a…電極母材、23,24…貴金属チップ、23a,24a…放電面、27…ニッケル部、d1,d2…貴金属チップの径、d3…ニッケル部の外径、G…火花放電ギャップ。

Claims (6)

  1. 軸線方向に延びる中心電極と、当該中心電極を保持する絶縁体と、当該絶縁体を保持する主体金具と、当該主体金具の先端部に自身の基端部が接合され、屈曲して自身の先端部の一側面が前記中心電極の先端部を臨むように固定される接地電極と、前記中心電極の先端面及び前記接地電極の前記一側面にそれぞれ固着された貴金属チップとを備え、前記両貴金属チップ間に火花放電間隙が形成されるスパークプラグであって、
    前記中心電極及び前記接地電極のうちの一方の電極に固着された貴金属チップの径をd1とし、他方の電極に固着された貴金属チップの径をd2としたとき、
    0.1mm≦d1−d2≦0.4mm
    の関係を満たすとともに、
    正極性となるように電圧が印加される前記他方の電極においては、ニッケルを主成分とするニッケル部が前記貴金属チップの周囲を囲み、当該ニッケル部の前記一方の電極側の端部が、前記貴金属チップの軸方向に対して前記貴金属チップの放電面と同一位置又はそれよりも前記一方の電極側に位置していることを特徴とするスパークプラグ。
  2. 前記ニッケル部が電極母材の表面より突出していることを特徴とする請求項1に記載のスパークプラグ。
  3. 前記ニッケル部の外径をd3としたとき、
    d1<d3
    の関係を満たすことを特徴とする請求項2に記載のスパークプラグ。
  4. 前記他方の電極では、前記貴金属チップが電極母材に溶接され、当該溶接により前記ニッケル部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のスパークプラグ。
  5. 前記他方の電極では、前記貴金属チップが電極母材に埋め込められており、当該電極母材により前記ニッケル部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスパークプラグ。
  6. 前記一方の電極が中心電極であり、前記他方の電極が接地電極であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のスパークプラグ。
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