JP4303146B2 - スパークプラグ - Google Patents

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本発明は、火花放電ギャップ付近の自己清浄を行うことができる内燃機関用のスパークプラグに関するものである。
従来、内燃機関には点火のためのスパークプラグが用いられている。このスパークプラグでは、一般的には、中心電極が挿設された絶縁碍子を保持する主体金具の燃焼室側の先端部に第1接地電極(接地電極)を溶接して、第1接地電極の他端部を中心電極の先端部の先端面と対向させて、火花放電ギャップを形成している。そして、中心電極と第1接地電極との間で火花放電が行われ、両電極間に曝された混合気に点火することにより、火炎核が形成される。
ところで、燃焼室内に露出されるスパークプラグの絶縁碍子の表面上に、混合気の燃焼によって発生したカーボンが付着する、いわゆる汚損が発生することがある。この汚損が進行して絶縁碍子表面の絶縁性が低下すると、主体金具と絶縁碍子との間で放電してしまって中心電極と第1接地電極との間で火花放電が行われなくなる失火の状態となる。しかし、第1接地電極と並列する第2接地電極を設け、汚損が発生した場合に第2接地電極と中心電極との間で絶縁碍子を介して火花放電が行われるようにして、絶縁碍子の表面上で火花を走らせて付着したカーボンを焼き切り失火を防止することができるスパークプラグが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2001−160475号公報
なお、このようなスパークプラグでは、第2接地電極の先端部を中心電極に向けて折り曲げ、その先端部の端面と中心電極の側面との間で火花放電ギャップを形成している。火花放電が同一箇所で集中して行われ、絶縁碍子の表面上を走る火花が局所的に集中すると、その位置が集中的に消耗するが、これを防ぐには火花放電が行われる位置を一箇所に集中させないようにするとよい。このためには第2接地電極の火花放電ギャップを形成する部位を中心電極と略同心円状に形成することが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開昭57−67295号公報
上記のようなスパークプラグの接地電極の製造方法では、まず、主体金具の先端面に2本の直棒状の接地電極の一端を、両接地電極がそれぞれ対向するように溶接する。次に、接地電極の他端側(先端側)を湾曲した治具へ押し付け、その他端側が中心電極に向けて略L字状になるように折り曲げる。そして、折り曲げられた接地電極の他端側を主体金具の後端側から打ち抜くことにより、第2接地電極の火花放電ギャップを形成する部位を、中心電極と略同心円状に形成している。
しかしながら、このようなスパークプラグを高出力の内燃機関で利用する場合に、絶縁碍子を貫通して火花放電が発生しないように中心電極を保持する絶縁碍子の脚長部の外径を太くした構成とすると、接地電極の先端部が第2火花放電ギャップを形成することが難しくなるという問題が生じた。また、近年の燃焼室の小型化への要求に基づいてスパークプラグを小型化しようとした場合にも、接地電極の先端部が第2火花放電ギャップを形成することが難しくなるという問題が生じた。具体的には、接地電極の曲折した部位より先端側の部分が極端に短くなる構成となるため、L字状に折り曲げることが非常に困難となり、精度良く加工することができず、第2接地電極が自己清浄作用を奏さない形態となってしまうおそれがあった。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、第2接地電極と中心電極との火花放電ギャップを精度よく形成することができるスパークプラグを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明のスパークプラグは、中心電極と、軸線方向に延びる軸孔を有し、その軸線方向における自身の先端部より前記中心電極の先端部を突出させた状態で、前記中心電極を前記軸孔で保持する絶縁碍子と、自身の先端面より前記絶縁碍子の先端部を突出させた状態で、前記絶縁碍子の周囲を取り囲んで保持する主体金具と、一端が、前記主体金具の先端面に接合され、他端が、前記中心電極の先端部の先端面に対向して第1火花放電ギャップを形成する第1接地電極と、一端が、前記主体金具の先端面に接合され、他端が、前記絶縁碍子を挟んで対向し、前記絶縁碍子の先端部の側面との間で第2火花放電ギャップを形成する第2接地電極とを備え、前記主体金具は取付用の雄ネジ部を備えるとともに、当該雄ネジ部のネジ径がM10以下であり、前記第2接地電極は略直棒状に形成され、前記軸孔の軸線方向に沿って起立されるとともに、前記第2接地電極の前記中心電極側の側面全体が、前記中心電極と同心円状に形成されていることを特徴とする。
また、請求項2に係る発明のスパークプラグは、中心電極と、軸線方向に延びる軸孔を有し、その軸線方向における自身の先端部より前記中心電極の先端部を突出させた状態で、前記中心電極を前記軸孔で保持する絶縁碍子と、自身の先端面より前記絶縁碍子の先端部を突出させた状態で、前記絶縁碍子の周囲を取り囲んで保持する筒状の主体金具と、一端が、前記主体金具の先端面に接合され、他端が、前記中心電極の先端部の先端面に対向して第1火花放電ギャップを形成する第1接地電極と、一端が、前記主体金具の先端面に接合され、他端が、前記絶縁碍子を挟んで対向し、前記絶縁碍子の先端部の側面との間で第2火花放電ギャップを形成する第2接地電極とを備え、前記主体金具は取付用の雄ネジ部を備えるとともに、当該雄ネジ部のネジ径がM10以下であり、前記第2接地電極は略直棒状に形成され、前記第2接地電極の他端が、前記主体金具の内周よりも、前記絶縁碍子の前記軸孔の中心軸寄りに位置されるとともに、前記第2接地電極の前記中心電極側の側面全体が、前記中心電極と略同心円状に形成されていることを特徴とする。
また、請求項に係る発明のスパークプラグは、請求項1または2に記載の発明の構成に加え、前記軸線方向において前記絶縁碍子の先端へと向かう方向を正の方向として、前記第2接地電極の前記第2火花放電ギャップを形成する部位は、前記絶縁碍子の先端面を基準として、−1mmから1.5mmまでの間に位置することを特徴とする。
また、請求項に係る発明のスパークプラグは、請求項1乃至のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記第2火花放電ギャップは、0.4mm以上、1mm以下であることを特徴とする。
請求項1に係る発明のスパークプラグでは、中心電極の先端部の先端面に対向して第1火花放電ギャップを形成する第1接地電極と、絶縁碍子の先端部の側面との間で第2火花放電ギャップを形成する第2接地電極とを備えている。通常時、火花放電は導電体(第2接地電極)と絶縁体(絶縁碍子)とで形成される第2火花放電ギャップよりも、導電体同士(中心電極と第1接地電極)で形成される第1火花放電ギャップにおいて頻繁に生じている。しかし、燃焼によって発生したカーボンが絶縁碍子の表面上に蓄積して汚損すると、第2火花放電ギャップは、導電体同士(第2接地電極と絶縁体上に蓄積したカーボン)で形成されることとなる。すると、第1火花放電ギャップよりも第2火花放電ギャップのほうがギャップの距離が短いため、第2火花放電ギャップにおいて火花放電が頻繁に生じるようになる。この結果、絶縁碍子の表面上に蓄積したカーボンを焼き切る、いわゆる自己清浄作用が生じ、再び、第1火花放電ギャップにおいて火花放電が頻繁に生じるようになる。
また、第2接地電極の中心電極側の側面全体を、中心電極と略同心円状に形成した。曲面に対し平面が対向すると両者の最も接近した部位にて火花放電が行われ易くなるため、火花放電は一箇所に集中して発生するので、絶縁碍子の表面が削られる、いわゆるチャネリングが発生しやすくなる。しかし、上記のように第2接地電極を形成したため火花放電が行われる部位を分散させることができ、絶縁碍子、接地電極共に耐久性を向上させることができる。
さらに、第2接地電極を主体金具へ接合した後では加工が困難な小型のスパークプラグを作成する場合や、第2接地電極が太く加工し難い場合において、第2火花放電ギャップを精度よく形成するのが困難である。特に、主体金具の雄ネジ部のネジ径がM10以下の小型のスパークプラグの第2接地電極に対し、主体金具への接合後に曲げ加工等を行った場合、加工用治具の大きさの制約等により第2火花放電ギャップを精度よく形成することが難しい。しかし、請求項1に係る発明のスパークプラグでは、略直棒状の第2接地電極を軸孔の軸線方向に沿って起立させて主体金具へ接合するので、第2接地電極に対する加工は主体金具への接合前に行うことが可能であり、後の曲げ加工を不要とし、第2火花放電ギャップを精度よく形成することができる。
また、請求項2に係る発明のスパークプラグでは、中心電極の先端部の先端面に対向して第1火花放電ギャップを形成する第1接地電極と、絶縁碍子の先端部の側面との間で第2火花放電ギャップを形成する第2接地電極とを備えている。通常時、火花放電は導電体(第2接地電極)と絶縁体(絶縁碍子)とで形成される第2火花放電ギャップよりも、導電体同士(中心電極と第1接地電極)で形成される第1火花放電ギャップにおいて頻繁に生じている。しかし、燃焼によって発生したカーボンが絶縁碍子の表面上に蓄積して汚損すると、第2火花放電ギャップは、導電体同士(第2接地電極と絶縁体上に蓄積したカーボン)で形成されることになり、第1火花放電ギャップよりも第2火花放電ギャップのほうがギャップの距離が短いため、第2火花放電ギャップにおいて火花放電が頻繁に生じるようになる。この結果、絶縁碍子の表面上に蓄積したカーボンを焼き切ることができ、いわゆる自己清浄作用によって、再び第1火花放電ギャップにおいて火花放電が頻繁に生じるようになる。
また、火花放電はそのギャップが小さいほど必要とする電圧が低く発生しやすくなるため、第2接地電極の他端が主体金具の内周よりも絶縁碍子の軸孔の中心寄りに位置されるようにしたことで、第2接地電極の他端から火花放電が行われやすくした。これにより、第2接地電極と主体金具との接合部から火花放電が行われる、いわゆる横飛火を防止することができる。また、第2接地電極の中心電極側の側面全体を、中心電極と略同心円状に形成した。曲面に対し平面が対向すると両者の最も接近した部位にて火花放電が行われ易くなるため、火花放電は一箇所に集中して発生するので、絶縁碍子の表面が削られる、いわゆるチャネリングが発生しやすくなる。しかし、上記のように第2接地電極を形成したため火花放電が行われる部位を分散させることができ、絶縁碍子、接地電極共に耐久性を向上させることができる。
さらに、第2接地電極を主体金具へ接合した後では加工が困難な小型のスパークプラグを作成する場合や、第2接地電極が太く加工し難い場合において、第2火花放電ギャップを精度よく形成するのが困難である。特に、主体金具の雄ネジ部のネジ径がM10以下の小型のスパークプラグの第2接地電極に対し、主体金具への接合後に曲げ加工等を行った場合、加工用治具の大きさの制約等により第2火花放電ギャップを精度よく形成することが難しい。しかし、請求項2に係る発明のスパークプラグでは、第2接地電極の他端(先端)を中心電極側へと傾倒させた状態で主体金具へ接合すれば、後工程において調整する必要がなくなる。後工程にて調整する際も、第2接地電極外側から押さえつけ、傾倒の度合いを調整するだけで良い。ゆえに、第2接地電極に対する加工を主体金具への接合前に行うことが可能であり、第2火花放電ギャップを精度よく形成することができる。
また、請求項に係る発明のスパークプラグでは、請求項1または2に係る発明に加え、軸線方向において絶縁碍子の先端へと向かう方向を正の方向として、第2接地電極の第2火花放電ギャップを形成する部位を、絶縁碍子の先端面を基準として、−1mmから1.5mmまでの間に位置させた。これにより、第2火花放電ギャップにおける気中放電が絶縁碍子の先端面の近傍にて発生しやすくなり、絶縁碍子の汚損がその側面に至らなくとも先端面が汚損されればすぐに、第2火花放電ギャップにおいて火花放電を行えるようにすることができる。
なお、上記第2接地電極の第2火花放電ギャップを形成する部位を、絶縁碍子の先端面を基準として−1mmよりも遠ざけた(1mmを超えて後端側にした)場合、中心電極と第2接地電極との間の距離が大きくなりすぎてしまい、汚損時に第2火花放電ギャップにおける火花放電が発生し難くなる。一方、上記第2接地電極の第2火花放電ギャップを形成する部位を、絶縁碍子の先端面を基準として1.5mmよりも遠ざけた(1.5mmを超えて先端側にした)場合、放電が集中しやすい第2接地電極の稜角部分が絶縁碍子から遠ざかるため、汚損時に第2火花放電ギャップにおける火花放電が発生し難くなる。
また、請求項に係る発明のスパークプラグでは、請求項1乃至のいずれかに係る発明に加え、第2火花放電ギャップの距離が、0.4mm以上、1mm以下となるように形成した。第2火花放電ギャップの距離が0.4mm未満であれば、その間隔の狭さから第2接地電極に付着した燃料が蓄積して第2火花放電ギャップを短絡してしまう、いわゆる燃料ブリッジが形成される可能性がある。また、第2火花放電ギャップの距離が1mmより広ければ、絶縁碍子が汚損していても継続して第1火花放電ギャップにて火花放電が行われてしまう。このため、第2火花放電ギャップにおいて積極的な火花放電が行われず、絶縁碍子の表面上に付着したカーボンを焼き切ることが難しい。そこで、第2火花放電ギャップの距離が、0.4mm以上、1mm以下となるようにすれば、絶縁碍子の絶縁性を維持し、耐汚損性を向上させることができる。
以下、本発明を具体化したスパークプラグの一実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は、スパークプラグ100の部分断面図である。図2は、スパークプラグ100の火花放電ギャップ付近の要部拡大断面図である。図3は、補助接地電極70をスパークプラグ100の先端側から見た斜視図である。なお、図1に示す軸線O方向(図中一点鎖線Oで示す。)において、中心電極2が設けられた側をスパークプラグ100の先端側とし、端子金具4が設けられた側を後端側として説明する。
図1、図2に示すように、スパークプラグ100は、概略、絶縁体を構成する絶縁碍子1と、この絶縁碍子1を保持する主体金具5と、絶縁碍子1内に軸線O方向に保持された中心電極2と、主体金具5の先端面57に一端部が溶接され、他端部が中心電極2の先端部22の先端面(すなわち、先端部22に接合された電極チップ23の先端面)に対向する主接地電極60と、主接地電極60と同様に、主体金具5の先端面57に基部71が接合され、自身の先端部72が中心電極2の先端部22の側面に対向する補助接地電極70と、絶縁碍子1の後端部に設けられた端子金具4とから構成されている。
まず、スパークプラグ100の絶縁体を構成する絶縁碍子1について説明する。絶縁碍子1は、周知のようにアルミナ等を焼成して形成される筒形状を有する。この絶縁碍子1の先端部は、内燃機関の燃焼室に曝される脚長部13となっている。さらに、絶縁碍子1の軸中心には軸孔12が形成され、この軸孔12に中心電極2が保持されている。中心電極2は、インコネル(商標名)600または601等のニッケル系合金等で形成され、内部に熱伝導性に優れる銅等からなる芯部を有する構造を持つ。中心電極2は丸棒状に構成され、これを保持する絶縁碍子1もまた、円筒状に形成されている。なお、絶縁碍子1の脚長部13の先端部外径は、本実施の形態では4.3mmとなっている。
中心電極2の先端部22は絶縁碍子1の先端面15から突出しており、先端側に向かって径小となるように形成されている。その先端部22の先端面には、柱状の電極チップ23が、その柱軸方向を軸線O方向に沿わせ溶接されている。なお、本実施の形態では、この電極チップ23は耐消耗性に優れたイリジウム合金製(例えば純イリジウム、イリジウム−ロジウム、プラチナ−イリジウム等)のチップが溶接されている。また、電極チップ23の外径は0.4mmとなっている。また、中心電極2は、軸孔12の内部に設けられたシール材14を介して後端側の端子金具4と電気的に接続されている。そして端子金具4には高圧ケーブル(図示外)がプラグキャップ(図示外)を介して接続され、外部回路から高電圧が印加されるようになっている。
次に、主体金具5について説明する。主体金具5は低炭素鋼材等からなり、先端部の外周には図示外の内燃機関へ取り付けるための雄ネジ部52が形成され、後端部には工具が係合される六角部51が形成されている。本実施の形態において、この雄ネジ部52の外径はM10としている。
主体金具5はかしめ部53をかしめることにより、内周に設けられた段部56に絶縁碍子1が支持されて、主体金具5と絶縁碍子1とが一体にされる。かしめによる密閉を完全なものとするため、主体金具5と絶縁碍子1との間に環状のリング部材6,7が介在され、リング部材6,7の間にはタルク(滑石)9の粉末が充填されている。また、主体金具5の中央部には鍔部54が形成され、雄ネジ部52の後端側近傍、すなわち、鍔部54の座面55にはガスケット10(薄板を折りたたんだ環状のパッキン)が備えられている。
次に、主接地電極60について説明する。主接地電極60は耐腐食性の高い金属から構成され、一例として、インコネル(商標名)600または601等のニッケル合金が用いられる。主接地電極60は、自身の長手方向の横断面が略長方形を有しており、一端部が主体金具5の先端面57に溶接により接合されている。また、主接地電極60の他端部は、中心電極2の先端部22の先端面、すなわち、先端部22に接合された電極チップ23の先端面に対向するように屈曲されている。この中心電極2に対向する側の面は中心電極2の軸線O方向に略直交しており、電極チップ23の先端面が対向する位置に、貴金属からなるチップ状の電極チップ61が溶接により接合されている。この電極チップ61には、本実施の形態では、耐消耗性に優れたプラチナを主成分とするプラチナ−ニッケル合金が用いられている。なお、主接地電極60の電極チップ61と、中心電極2の電極チップ23との対向面同士の間の距離、すなわち、両電極チップ23,61間にて構成される主火花放電ギャップ(図2においてギャップHで示す。)の距離は、1mmに設定されている。この主接地電極60が、本発明における「第1接地電極」に相当する。また、主火花放電ギャップが、本発明における「第1火花放電ギャップ」に相当する。
次いで、補助接地電極70について説明する。主接地電極60と同様に補助接地電極70は、主体金具5の先端面57にその基部71が接合され、先端部72がスパークプラグ100の先端側に向けて突設状に設けられた角棒形状を有する。本実施の形態では、補助接地電極70はニッケルを98重量%含むニッケル合金からなり、後述する凹面73の形成前の断面形状は1.1mm×2.2mmの長方形状となっている。図3に示すように、この補助接地電極70の中心電極2側の側面全体は凹面73として、凹面状に形成されている。この凹面73は中心電極2と略同心円状、すなわち、補助接地電極70の突設方向断面において、中心電極2側の一辺(断面長手側の一辺)が内側に弓状に凹んだ形状として形成されている。なお、補助接地電極70が、本発明における「第2接地電極」に相当する。
図2,図3に示すように、この補助接地電極70は中心電極2を挟んで対極となる位置にそれぞれ設けられている。この補助接地電極70は、基部71よりも先端部72が中心電極2寄り(軸線O寄り)となるように傾斜させた状態で、主体金具5の先端面57に接合されている。すると、図2に示すように、補助接地電極70の先端部72の中心電極2側の稜角部分付近(E部)は、主体金具5の内周面の位置よりも軸線O寄りに位置することとなる。すなわち、軸線Oと平行な方向において、主体金具5の内周面の延長線(一点鎖線Aで示す。)よりも補助接地電極70のE部の位置(一点鎖線Bで示す。)が、軸線Oに近い位置にくる。これにより、補助接地電極70の先端部72のE部は、主体金具5の先端部内周のいずれの部分よりも中心電極2に近づくこととなり、ひいては中心電極2を保持する絶縁碍子1に近づくこととなる。
また、図2に示すように、補助接地電極70のE部は絶縁碍子1の先端面15よりも突出されている。すなわち、軸線Oと直交する方向において、絶縁碍子1の先端面15の位置(一点鎖線Cで示す。)よりも補助接地電極70のE部の位置(一点鎖線Dで示す。)が、スパークプラグ100の先端側に位置している。本実施の形態では、軸線O方向においてスパークプラグ100の先端側を正の方向として、一点鎖線Cで示す絶縁碍子1の先端面15を基準とした場合に、一点鎖線Dで示す補助接地電極70のE部の位置が−1mmから1.5mmまでの間に位置することが、後述する実施例から望ましい。この範囲内に補助接地電極70のE部の位置を設定することで、E部を絶縁碍子1の先端面15の縁部分の近傍に位置させることができる。ここで、E部に最も近い絶縁碍子1の部分をF部とする。このF部とE部との間は(図2においてギャップGで示す。)、本実施の形態では、両者間の距離が0.6mmとなるように設定されている。
このように構成された本実施の形態のスパークプラグ100では、通常時は主火花放電ギャップにおいて火花放電が行われる。しかし、混合気の燃焼によって発生したカーボンが絶縁碍子1の表面上に付着した場合、そのカーボンに電流が流れるため、主火花放電ギャップよりも補助火花放電ギャップにおいて(すなわち補助接地電極70のE部と絶縁碍子1のF部との間で)行われるようになる。これにより、絶縁碍子1の先端面15の表面上を火花が走り、付着したカーボンを焼き切ることができる。こうして絶縁碍子1の表面からカーボンが除去されると、再び主火花放電ギャップにおいて火花放電が行われるようになる。なお、補助火花放電ギャップが、本発明における「第2火花放電ギャップ」に相当し、前述のとおり、図2においてギャップGと表記している。
このような火花放電ギャップ付近の自己清浄効果を確認するため、補助接地電極70の接合条件について実施例1〜4に示す試験を行った。以下、図4〜図7を参照して、実施例1〜4について説明する。図4は、横飛火の評価についての試験結果を示す表である。図5は、汚損性評価についての試験結果を示す表である。図6は、高速耐久性評価についての試験結果を示す表である。図7は、耐汚損性評価についての試験結果を示す表である。
[実施例1]
横飛びの評価についての試験では、スパークプラグ100の補助接地電極70の倒れ込み量、すなわち、主体金具5の内周面の延長線(一点鎖線Aで示す。)を基準として、補助接地電極70のE部の位置(一点鎖線Bで示す。)が中心電極2に近づく量の違いによって、横飛火の発生の有無を調べた。なお、主体金具5の内周面の延長線よりも補助接地電極70のE部が中心電極2に近づく側を正の方向とした。
図4に示すように、この試験は試験用のスパークプラグ100として4種類のテストサンプルを作成して行った。また、軸線O方向において補助接地電極70のE部の位置(図2において一点鎖線Dで示す。)を、絶縁碍子1の先端面15(図2において一点鎖線Cで示す。)よりもスパークプラグ100の先端方向に0.4mm突出させた。また、補助接地電極70の凹面73の湾曲量として、凹部形成前の平面より凹部形成後の最深部の深さが0.1mmとなるように、凹面73を形成した。
そして、補助接地電極70の倒れ込み量が−0.3mm(すなわち、補助接地電極70のE部が一点鎖線Aよりも外側)となるように補助接地電極70を主体金具5の先端面57に接合し、第1のテストサンプルのスパークプラグ100を作成した。なお、上記各条件が満たされるように、主体金具5の内径と絶縁碍子1の外径との組み合わせが決定された。以下同様に、倒れ込み量が0mm(すなわち、補助接地電極70は軸線O方向に沿って直立した状態)である第2のテストサンプル、0.2mmである第3のテストサンプル、0.3mmである第4のテストサンプルを作成した。
これら各テストサンプルを実際にエンジンに組み付け、以下の条件に沿ってエンジンを駆動させた。エンジンは6気筒2000ccのものを用いた。このエンジンをアイドリング状態で駆動させ、このときの放電波形を調べて横飛火の発生の確認を行った。さらに、アクセルを全開にして50時間の駆動を行った後に試験を終了した。なお、横飛火とは、補助接地電極70の基部71と主体金具5の先端面57との接合部より、絶縁碍子1の脚長部13に対して火花放電が発生することをいう。横飛火の評価では、アイドリング状態において調べた放電波形より1分間に10発以上の横飛火の発生が認められ、且つ、試験後に目視により補助接地電極70の接合部の外観を確認し、実際に横飛火が発生した痕跡が認められた場合に「発生した」と評価した。また、放電波形により1分間に1〜9発の横飛火の発生が認められ、且つ、目視により横飛火の発生の痕跡が認められた場合には「若干発生した」と評価した。放電波形により横飛火の発生が認められなかった場合には、「発生せず」と評価した。
この試験の結果、第1のテストサンプルでは、横飛火が「発生した」。また、第2のテストサンプルでは、横飛火が「若干発生した」。第3および第4のテストサンプルでは、横飛火の発生は認められず、「発生せず」という評価がなされた。つまり、補助接地電極70の先端部72を中心電極2側に倒し込むことによって、主体金具5の内周面の延長線よりもE部が絶縁碍子1に近づく。このため、補助接地電極70の主体金具5への接合位置よりも絶縁碍子1に対する火花放電間隙が短いギャップGにおいて、正常に火花放電が行われ、横飛火が発生しないということがわかった。
[実施例2]
次に、汚損性評価の試験を行った。この試験では、軸線O方向における絶縁碍子1の先端面15(図2において一点鎖線Cで示す。)の位置を基準とする補助接地電極70のE部の位置(図2において一点鎖線Dで示す。)によって、汚損性、すなわち自己清浄が正常に行われるかについて評価した。なお、軸線O方向におけるスパークプラグ100の先端側を正の方向とした。
図5に示すように、この試験は試験用のスパークプラグ100として12種類のテストサンプルを作成して行い、全テストサンプルにおいて、ギャップGを0.65mm、補助接地電極70の凹面73の湾曲量(凹部形成前の平面に対する凹部形成後の最深部の深さ)を0.1mm、補助接地電極70の倒れ込み量を0.2mmとした。
そして、軸線O方向における補助接地電極70のE部の位置が絶縁碍子1の先端面15より−1.4mm突出する(すなわち、E部の位置が絶縁碍子1の先端面15よりも後端側へ1.4mm引いた状態)ように補助接地電極70を主体金具5の先端面57に接合し、第5のテストサンプルのスパークプラグ100を作成した。なお、上記各条件が満たされるように、主体金具5の内径と絶縁碍子1の外径との組み合わせが決定された。以下同様に、軸線O方向における絶縁碍子1の先端面15からの補助接地電極70のE部の突出量を、それぞれ、−1.2,−1,−0.8,−0.6,0,0.4,0.6,1,1.3,1.5,1.8(単位はmm)とした、第6,第7,第8,第9,第10,第11,第12,第13,第14,第15,第16のテストサンプルを作成した。
これら各テストサンプルを実際にエンジンに組み付け、以下の条件に沿ってエンジンを駆動させた。エンジンは6気筒2000ccのものを用いた。−15℃の環境下においてこのエンジンの始動・停止を繰り返すエンジン始動試験をおこなった。そして、この試験の終了後、絶縁碍子1のF部と中心電極2との間における絶縁抵抗値を測定した。汚損性評価では、測定した絶縁抵抗値が1MΩ以下であった場合を「×」とした。この場合では、絶縁碍子1の表面上のカーボンは焼き切れずに絶縁性が失われ、汚損状態にあると判断した。また、絶縁抵抗値が1MΩより大きく20MΩ以下であった場合を「△」とし、絶縁碍子1の表面上のカーボンが完全には焼き切れていないものの十分な絶縁性を有し、汚損状態とはいえないと評価した。さらに、絶縁抵抗値が20MΩより大きかった場合を「○」とし、絶縁碍子1の表面上のカーボンが焼き切れて十分な絶縁性を有し、汚損状態ではないと評価した。
この試験の結果、第5,第6,第16のテストサンプルでは、「×」と判定された。また、第7,第14,第15のテストサンプルでは「△」、第8〜第13のテストサンプルでは「○」と判定された。これにより、判定が「△」または「○」であった第7〜第15のテストサンプル、すなわち、軸線O方向における絶縁碍子1の先端面15からの補助接地電極70のE部の突出量が−1mmから1.5mmまでの間(−1mm以上、1.5mm以下)であるスパークプラグ100ならば、絶縁碍子1の絶縁性は維持され、汚損性が良好となるということがわかった。上記条件を満たすようにスパークプラグ100を作成すれば、補助接地電極70のE部との間で補助火花放電ギャップの気中放電が行われるギャップGを形成する絶縁碍子1のF部が、先端面15の縁部の近傍に位置することとなる。このため、先端面15上を火花が走り、付着したカーボン、すなわち、F部と中心電極2とを電気的に接続させるカーボンを焼き切ることができる。
なお、軸線O方向における絶縁碍子1の先端面15からの補助接地電極70のE部の突出量が−1mmより小さければ、補助接地電極70と中心電極2との間の距離が大きくなりすぎてしまい、汚損時に補助火花放電ギャップにおける火花放電が発生し難くなる。一方、補助接地電極70のE部の上記突出量が1.5mmより大きくなれば、一般的に放電が発生しやすい補助接地電極70の稜角部分が絶縁碍子1から遠ざかるため、汚損時に補助火花放電ギャップにおける火花放電が発生し難くなる。
[実施例3]
次いで、高速耐久性評価の試験を行った。この試験では、補助接地電極70の凹面73の湾曲量によって、絶縁碍子1の耐久性に影響が発生するかについて評価した。
図6に示すように、この試験は試験用のスパークプラグ100として4種類のテストサンプルを作成して行い、全テストサンプルにおいて、ギャップGを0.65mm、軸線O方向における絶縁碍子1の先端面15からの補助接地電極70のE部の突出量を0.4mm、補助接地電極70の倒れ込み量を0.2mmとした。
そして、補助接地電極70の凹面73の湾曲量を「なし」とした、すなわち、凹面形成を行わなかった補助接地電極70を主体金具5の先端面57に接合し、第17のテストサンプルのスパークプラグ100を作成した。以下同様に、補助接地電極70の凹面73の湾曲量を、それぞれ、0.05,0.1,0.15(単位はmm)とした、第18,第19,第20のテストサンプルを作成した。
これら各テストサンプルを実際にエンジンに組み付け、以下の条件に沿ってエンジンを駆動させた。エンジンは6気筒2000ccのものを用いた。このエンジンを、回転数5000rpm・アクセル全開の状態と、回転数3000rpm・アクセル1/4開の状態と、アイドリングの状態とを、20分間で行われる所定のパターンに沿って変化させる。この所定のパターンが一通り実施された場合を1サイクルとし、継続して1200サイクル(400時間)繰り返し実施する高速耐久試験を行った。
この高速耐久試験後に絶縁碍子1に発生するチャネリングの程度について調べた。チャネリングとは、火花放電が繰り返し行われることで絶縁碍子の表面が次第に削れる現象をいい、火花放電が一ヶ所に集中して行われるほどその部分の削れが大きくなる。高速耐久性評価では、絶縁碍子1の表面の削れの深さが0.5mm以上であった場合、絶縁碍子1の耐久性が落ちる可能性があると評価し、「×」とした。また、絶縁碍子1の表面の削れの深さが0.1mm以上、0.5mm未満であった場合を「△」とし、チャネリングによる削れが認められ、さらに長期にわたって使用した際に、絶縁碍子1の耐久性に影響が生ずるものと評価した。そして、絶縁碍子1の表面の削れの深さが0.1mm未満であった場合を「○」とし、チャネリングによる削れはなく、プラグが寿命を満たすまでには絶縁碍子1には問題が生じないものとみなし、耐久性には問題なしと評価した。
この試験の結果、第17のテストサンプルでは、「△」と判定された。また、第18〜第20のテストサンプルでは「○」と判定された。これにより、判定が「○」であった第18〜第20のテストサンプル、すなわち、凹面73を形成した補助接地電極70が接合されたスパークプラグ100について、チャネリングによる絶縁碍子1の削れによる問題は生じないものとみなすことができ、耐久性には影響がないことがわかった。
補助接地電極70に凹面73を形成しなかった場合、曲面を有する絶縁碍子1と平面である補助接地電極70の対向面との間には最も間隙の近い部分が存在することとなる。すると、火花放電がその部分で行われ易くなり、チャネリングにより絶縁碍子1の表面がその部分で集中して削られることとなる。しかし、補助接地電極70に凹面73を形成すれば、補助接地電極70のE部と絶縁碍子1のF部とで構成されるギャップGは、絶縁碍子1の周方向に渡って略等間隔となる。このため、火花放電の行われる部分が分散されるので、チャネリングの生ずる位置が集中せず、深いチャネリングには至らない。
[実施例4]
次に、耐汚損性評価の試験を行った。この試験では、補助接地電極70のE部と、絶縁碍子1のF部との間で形成されるギャップGの広さによって、自己清浄が正常に行われるかについて評価した。
図7に示すように、この試験は試験用のスパークプラグ100として16種類のテストサンプルを作成して行った。このとき、補助接地電極70の倒れ込み量が0.1mmとなるようにするため、各テストサンプルの絶縁碍子1の外径と中心電極2の外径との割合が略一定に保たれるように両部品の選定を行った。なお、各テストサンプルでは、補助接地電極70の凹面73の湾曲量を0.1mm、軸線O方向における絶縁碍子1の先端面15からの補助接地電極70のE部の突出量を0.4mmとした。
第21のテストサンプルは、それぞれの外径が1.6mm、3.4mmの中心電極2、絶縁碍子1を組み合わせ、主火花放電ギャップを1.3mmとしたスパークプラグ100の主体金具5の先端面57に、ギャップGが1.2mmとなるように補助接地電極70を接合して作成した。同様に、第22〜第36のテストサンプルのそれぞれのギャップG,中心電極2の外径,絶縁碍子1の外径,主火花放電ギャップについて、以下の条件に従って作成した。
すなわち、第22のテストサンプルでは1.2mm,1.6mm,3.4mm,1.2mm、第23のテストサンプルでは1.2mm,1.6mm,3.4mm,1.1mm、第24のテストサンプルでは1.2mm,1.6mm,3.4mm,1.0mmとした。また、第25のテストサンプルでは1.1mm,1.6mm,3.6mm,1.0mm、第26のテストサンプルでは1.0mm,1.6mm,3.8mm,1.0mm、第27のテストサンプルでは1.0mm,1.6mm,3.8mm,1.2mmとした。第28のテストサンプルでは1.0mm,1.6mm,3.8mm,1.3mm、第29のテストサンプルでは1.0mm,1.6mm,3.8mm,1.4mm、第30のテストサンプルでは0.9mm,1.6mm,4.0mm,1.0mmとした。また、第31のテストサンプルでは0.8mm,2.2mm,4.2mm,1.0mm、第32のテストサンプルでは0.7mm,2.2mm,4.4mm,1.0mm、第33のテストサンプルでは0.6mm,2.2mm,4.6mm,1.0mmとした。第33のテストサンプルでは0.6mm,2.2mm,4.6mm,1.0mm、第34のテストサンプルでは0.5mm,2.2mm,4.8mm,1.0mm、第35のテストサンプルでは0.4mm,2.2mm,5.0mm,1.0mm、第36のテストサンプルでは0.3mm,2.2mm,5.2mm,1.0mmとした。
これら各テストサンプルを実際にエンジンに組み付け、このエンジンを実施例3と同様の所定のパターンに従って10サイクル駆動させてから、実施例2と同様に、絶縁碍子1のF部と中心電極2との間における絶縁抵抗値を測定した。耐汚損性評価では、測定した絶縁抵抗値が20MΩ以上であった場合を「○」とし、絶縁碍子1の表面上のカーボンが焼き切れて十分な絶縁性を有し、汚損状態ではないと評価した。そして測定した絶縁抵抗値が20MΩ未満であった場合には、何サイクル目で絶縁抵抗値が20MΩ未満となったかを調べた。
この試験の結果、第26〜第35のテストサンプルでは「○」と判定された。また、第21,第22,第23,第24,第25のテストサンプルでは、10サイクル終了時に絶縁抵抗値が20MΩ未満となっており、さらに調べたところ、それぞれ、5サイクル目,4サイクル目,5サイクル目,7サイクル目,8サイクル目で絶縁抵抗値が20MΩ未満となったことがわかった。これは、ギャップGを1mmより広くとりすぎると、継続して主火花放電ギャップにて火花放電が行われてしまう。このため、補助火花放電ギャップにおいて積極的な火花放電が行われず、絶縁碍子1に付着したカーボンを焼き切ることが難しくなるということがわかった。
さらに、第36のテストサンプルでは、5サイクルが終了した時点でギャップGにおいて燃料ブリッジが発生した。なお、燃料ブリッジとは、混合気が接地電極に付着して液化した燃料がギャップGにおいてブリッジを形成することによって、補助接地電極70と中心電極2とが短絡して火花放電が行われなくなる状態をいう。ギャップGが0.4mm未満であれば、その間隙の狭さから、燃料ブリッジが発生しやすくなることがわかった。これにより、ギャップGが0.4mm以上、1mm以下となるようにスパークプラグ100を形成すれば、絶縁碍子1の絶縁性は維持され、耐汚損性が良好となるということがわかった。
以上説明したように、本実施の形態のスパークプラグ100は、補助接地電極70を設けることによって、混合気の燃焼によって発生したカーボンが絶縁碍子1の表面上に付着した場合に、補助火花放電ギャップにて火花放電を行わせることで、絶縁碍子1の表面上を火花が走り、カーボンを焼き切って除去することができる。この補助接地電極70の中心電極2に対向する側の側面全体を凹面73として凹面状に形成することによって、火花放電の行われる部分を分散させ、チャネリングによる絶縁碍子1の削れを防止することができる。また、補助接地電極70を、その先端部72を中心電極2側に倒し込んだ状態で主体金具5の先端面57に接合したことで、横飛火の発生を防止することができる。
また、補助接地電極70の接合に際し、軸線O方向における絶縁碍子1の先端面15からの補助接地電極70のE部の突出量が−1mmから1.5mmまでの間となるようにし、また、ギャップGが0.4mm以上、1mm以下となるようにすれば、絶縁碍子1の絶縁性は維持され、汚損に対する自己清浄が良好に行われることがわかった。そして、補助接地電極70を主体金具5の先端面57へ接合する際に上記条件を満たせばよく、接合後の補助接地電極70に対する加工(例えば曲げ加工など)が不要となるため、ギャップGを精度よく形成することができる。このような加工が困難な小型のスパークプラグ(主体金具の取付用の雄ネジ部のネジ径がM10以下)に対しても、本発明を好適に実施することができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限られず、各種の変形が可能である。例えば、図8に示すスパークプラグ200のように、補助接地電極170の先端部172を倒れ込ませないようにして、その基部171を主体金具5の先端面57に接合してもよい。実施例1において、補助接地電極70の倒れ込み量を0mmとした場合に横飛火が若干発生したが、多少横飛火が発生しても、ギャップGにおいて火花放電が行われれば絶縁碍子1の表面上を火花が走りやすくなり、付着したカーボンを焼き切ることができる。
また、補助接地電極70の基部71を接合する主体金具5の先端面57は、その内周側の稜角部分を面取りし、テーパー状に切削してもよい。一般に火花放電は尖端部分から行われ易いため、こうした面取りを行うことで、横飛火の発生を低減させることができる
本発明は、内燃機関用のスパークプラグに適用することができる。
スパークプラグ100の部分断面図である。 スパークプラグ100の火花放電ギャップ付近の要部拡大断面図である。 補助接地電極70をスパークプラグ100の先端側から見た斜視図である。 横飛火の評価についての試験結果を示す表である。 汚損性評価についての試験結果を示す表である。 高速耐久性評価についての試験結果を示す表である。 耐汚損性評価についての試験結果を示す表である。 本発明の変形例としてのスパークプラグ200の火花放電ギャップ付近の要部拡大断面図である。
1 絶縁碍子
2 中心電極
5 主体金具
12 軸孔
22 先端部
52 ネジ部
57 先端面
60 主接地電極
70 補助接地電極
100 スパークプラグ

Claims (4)

  1. 中心電極と、
    軸線方向に延びる軸孔を有し、その軸線方向における自身の先端部より前記中心電極の先端部を突出させた状態で、前記中心電極を前記軸孔で保持する絶縁碍子と、
    自身の先端面より前記絶縁碍子の先端部を突出させた状態で、前記絶縁碍子の周囲を取り囲んで保持する主体金具と、
    一端が、前記主体金具の先端面に接合され、他端が、前記中心電極の先端部の先端面に対向して第1火花放電ギャップを形成する第1接地電極と、
    一端が、前記主体金具の先端面に接合され、他端が、前記絶縁碍子を挟んで対向し、前記絶縁碍子の先端部の側面との間で第2火花放電ギャップを形成する第2接地電極と
    を備え、
    前記主体金具は取付用の雄ネジ部を備えるとともに、当該雄ネジ部のネジ径がM10以下であり、
    前記第2接地電極は略直棒状に形成され、前記軸孔の軸線方向に沿って起立されるとともに、前記第2接地電極の前記中心電極側の側面全体が、前記中心電極と同心円状に形成されていることを特徴とするスパークプラグ。
  2. 中心電極と、
    軸線方向に延びる軸孔を有し、その軸線方向における自身の先端部より前記中心電極の先端部を突出させた状態で、前記中心電極を前記軸孔で保持する絶縁碍子と、
    自身の先端面より前記絶縁碍子の先端部を突出させた状態で、前記絶縁碍子の周囲を取り囲んで保持する筒状の主体金具と、
    一端が、前記主体金具の先端面に接合され、他端が、前記中心電極の先端部の先端面に対向して第1火花放電ギャップを形成する第1接地電極と、
    一端が、前記主体金具の先端面に接合され、他端が、前記絶縁碍子を挟んで対向し、前記絶縁碍子の先端部の側面との間で第2火花放電ギャップを形成する第2接地電極と
    を備え、
    前記主体金具は取付用の雄ネジ部を備えるとともに、当該雄ネジ部のネジ径がM10以下であり、
    前記第2接地電極は略直棒状に形成され、前記第2接地電極の他端が、前記主体金具の内周よりも、前記絶縁碍子の前記軸孔の中心軸寄りに位置されるとともに、前記第2接地電極の前記中心電極側の側面全体が、前記中心電極と略同心円状に形成されていることを特徴とするスパークプラグ。
  3. 前記軸線方向において前記絶縁碍子の先端へと向かう方向を正の方向として、前記第2接地電極の前記第2火花放電ギャップを形成する部位は、前記絶縁碍子の先端面を基準として、−1mmから1.5mmまでの間に位置することを特徴とする請求項1または2に記載のスパークプラグ。
  4. 前記第2火花放電ギャップは、0.4mm以上、1mm以下であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のスパークプラグ。
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