JP3876166B2 - スパークプラグの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関に使用されるスパークプラグの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
上述のようなスパークプラグにおいては、耐火花消耗性向上のために、電極の先端にPtやIr等を主体とする貴金属チップを溶接して耐消耗部を形成したものが多数提案されている。
【0003】
上記のような貴金属耐消耗部は、従来、貴金属チップを電極母材に溶接により接合して形成することが多い。例えば接地電極側の貴金属発火部は、Ni合金等で構成される電極母材にPt系貴金属等で構成されたチップを重ね合わせ、抵抗溶接することにより形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
抵抗溶接は、チップと電極母材との接触抵抗を利用した通電発熱に頼る形となるので、溶接時の入熱量が小さく、溶接部に形成される拡散ないし合金化した領域(以下、溶接領域という)の広がりも、レーザー溶接に比較すれば小さい。他方、近年の内燃機関は、厳しい排気ガス規制に伴い、直噴エンジンに見られるようにリーンバーン化が進み、また、最適な燃焼を得るためにスパークプラグの火花放電ギャップ形成部分を、従来よりもさらに燃焼室内に突き出させる構造の採用も進んでいる。その結果、スパークプラグの電極、特に燃焼室のより内側に位置する接地電極は厳しい高温状態にさらされるとともに、ヒステリシスの大きい冷熱サイクルが付与されるようになってきている。
【0005】
そして、溶接領域が比較的狭い抵抗溶接にて貴金属耐消耗部が形成されている場合、上記のようなヒステリシスの大きい冷熱サイクルが付与されると、電極母材との間の線膨張係数差により貴金属耐消耗部に剥離等の不具合が生ずる懸念がある。
【0006】
本発明の課題は、過酷な運転条件によりヒステリシスの大きい冷熱サイクルが付与された場合でも、電極母材に抵抗溶接接合された貴金属耐消耗部の耐剥離性を十分に確保することができるスパークプラグの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
上記課題を解決するために、本発明のスパークプラグの製造方法は、電極母材がNi又はFeを主成分とする金属からなる接地電極及び/又は中心電極の、電極母材の火花放電ギャップに面する位置に、Pt又はIrを主成分とする貴金属チップを溶接して貴金属耐消耗部を形成したスパークプラグの製造方法であって、電極母材表面への重ね合わせ面の算術平均粗さが1〜100μmに調整された貴金属チップを、電極母材の表面に重ね合わせて抵抗溶接する抵抗溶接工程を含むことを特徴とする。なお、本明細書において「主成分」とは、最も質量含有率の高い成分のことをいう。
【0008】
Ni合金からなる電極母材に、Pt又はIrを主成分とする貴金属チップを抵抗溶接することにより貴金属耐消耗部を形成する場合、前記した通り、両者の接合界面部に形成される溶接領域が比較的狭くなる。このため、溶接領域が広く形成されるレーザー溶接等と比較して、過酷な冷熱サイクルが加わったときの、耐剥離性を如何に確保するかが重要である。ところで、このような耐剥離性は、溶接前における貴金属チップの、電極母材への重ね合わせ面の表面粗さと密接な関係があることが判明した。そして、貴金属チップの該重ね合わせ面の算術平均粗さ(以下、「Ra1」とする)が上記の範囲に調整される場合に、貴金属耐消耗部の耐剥離性を顕著に向上できたことから、本発明を完成するに至ったのである。
【0009】
なお、本発明において算術平均粗さは、JIS:B0601(1994)に規定された方法により測定されたものをいう。該規格には、測定される粗さレベルに応じた評価長さの標準値が示されているが、貴金属発火部の寸法が評価長さに満たない場合、寸法内に収まる短い評価長さにより測定場所を変えて粗さ測定を行い、その評価長さの合計が上記標準長さに到達するように、その測定回数を定めるものとする。また、算術平均粗さは、各測定にて得られる算術平均粗さに評価長さを乗じて合計し、その合計値を評価長さの合計値にて除した値を採用する。
【0010】
貴金属チップの電極母材表面への重ね合わせ面の算術平均粗さRa1が1μm未満では、得られる貴金属耐消耗部の耐剥離性が、前記した過酷な運転条件下において不足することにつながる。他方、前記算術平均粗さRa1が100μmを超えると、貴金属チップと電極母材との接合状態にむらが生じやすくなり、得られる貴金属耐消耗部の耐剥離性が同様に不足することにつながる。
【0011】
電極母材の側面に、貴金属チップを抵抗溶接することにより貴金属耐消耗部を形成し、これを中心電極の先端面と対向させることにより火花放電ギャップを形成したスパークプラグは、一般に平行電極型と称され、着火性が高いことから、リーンバーンエンジンあるいは直噴型エンジンに広く採用されている。このような平行電極型スパークプラグの接地電極は、火花放電ギャップよりも燃焼室のより中心側に配置されるため特に高温にさらされやすく、冷熱サイクル付加による貴金属耐消耗部の剥離がとりわけ生じやすい傾向にある。こうした平行電極型スパークプラグの接地電極の電極母材は、耐熱性を確保するためにNi基耐熱合金(例えばインコネル600:インコネルは英国Inco社の商標名)等のNi合金にて構成することが有利である。他方、該接地電極側の貴金属耐消耗部は、火花放電時の接地電極側の極性が正に設定されることが多く、火花消耗自体は中心電極側よりも進行し難いことから、Ir系貴金属よりも融点の低い、Ptを主成分とする貴金属(以下、Pt系貴金属という)からなる耐消耗部を用いることが、抵抗溶接の容易性とも相俟ってより有利であるといえる。
【0012】
この場合、接地電極のNi合金からなる電極母材の側面に、Ptを主成分とする貴金属チップを抵抗溶接することにより貴金属耐消耗部が形成される。しかしながら、Ni合金は線膨張係数が大きいことから、過酷な冷熱サイクルが付与される接地電極の電極母材として採用した場合、Pt系貴金属からなる耐消耗部との線膨張係数差が特に大きく、剥離等の不具合につながりやすい。従って、本発明は、該接地電極側に適用した場合に、特にその波及効果が大きい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の、いくつかの実施の形態を、図面を用いて説明する。
図1は本発明の適用対象となるスパークプラグの一例を示すものである。該スパークプラグ100は、筒状の主体金具1、先端部21が突出するようにその主体金具1の内側に嵌め込まれた絶縁体2、先端に形成された中心電極側貴金属耐消耗部31を突出させた状態で絶縁体2の内側に設けられた中心電極3、及び主体金具1に一端が溶接等により結合されるとともに他端側が側方に曲げ返されて、その側面が中心電極3の先端部と対向するように配置された接地電極4等を備えている。また、接地電極4には接地電極側貴金属耐消耗部32が形成されており、前記中心電極側貴金属耐消耗部31と、接地電極側貴金属耐消耗部32との間に火花放電ギャップgが形成されている。
【0014】
絶縁体2は、例えばアルミナあるいは窒化アルミニウム等のセラミック焼結体により構成され、その内部には自身の軸方向に沿って中心電極3を嵌め込むための孔部6を有している。また、主体金具1は、低炭素鋼等の金属により筒状に形成されており、スパークプラグ100のハウジングを構成するとともに、火花放電ギャップg側の外周面には、プラグ100を図示しないエンジンブロックに取り付けるためのねじ部7が形成されている。
【0015】
中心電極3及び接地電極4は、少なくとも表層部をなす電極母材部分がNi合金で構成されている。本実施形態では、いずれの電極母材もインコネル600により構成されている。また、接地電極側貴金属耐消耗部32は、例えばPt−IrあるいはPt−Ni合金等のPtを主成分とする合金からなり、他方、中心電極側貴金属耐消耗部31はIr−RhあるいはIr−Pt合金等のIrを主成分とする貴金属からなる。
【0016】
図2は接地電極側貴金属耐消耗部32の形成方法を示すものである。すなわち、工程(a)に示すように、該金属耐消耗部32を形成するための円板状の貴金属チップ32’を用意する。この貴金属チップ32’の、接地電極4の電極母材4aに対する重ね合わせ面32’pの算術平均粗さRa1は1〜100μmとなるように調整される。貴金属チップ32’は、例えば圧延等により形成された板材を円形に打ちぬいたり、あるいは円状断面の線材を鍛造/圧延あるいは伸線により製造し、これを放電加工あるいは刃切断等により輪切りにして製造される。
【0017】
板材からの打抜きを採用する場合、板材の圧延面の表面粗さが上記範囲を充足していれば、これをそのまま重ね合わせ面32’pとして使用することもできる。ただし、圧延面の表面粗さが上記範囲外のものとなっていたり、あるいは打抜後のバリが問題となる場合は、粗さ調整研磨が必要となる。この場合、表面粗さが上記の範囲を充足するものとなるように、研磨砥石の番手を選定する必要がある。他方、線材を輪切りにして製造する方法においては、放電加工を採用する場合は、放電電圧、放電ワイヤ径及びワイヤの相対送り速度等の調整により、また、切断刃(たとえばダイヤモンド刃)を用いる場合、刃の砥粒の番手、回転速度及び刃送り速度等の調整により、得られる切断面の算術平均粗さが上記範囲のものとなるように調整する。ただし、切断上がりの状態で算術平均粗さが本発明の範囲外となっている場合は、打抜の場合と同様の粗さ調整研磨を行なう。
【0018】
上記のようにして得られた貴金属チップ32’は、工程(b)に示すように、重ね合わせ面32’p側にて接地電極4の電極母材側面に重ね合わされ、この状態で電極EL,EL間に挟み付けて加圧しつつ、通電発熱する。これにより、貴金属チップ32’と電極母材4aとの間で発熱し、工程(c)に示すように、該貴金属チップ32’が電極母材4aに食い込みつつ、電極母材4aとの間に、拡散・合金化した溶接部(図示せず)が形成され、接地電極側貴金属耐消耗部32となる。
【0019】
一方、中心電極3の先端部3aはテーパ状に縮径されるとともにその先端面が平坦に構成され、ここに中心電極側貴金属耐消耗部31の上記合金組成が得られるように組成調整された円板状のチップを重ね合わせ、さらにその接合面外縁部に沿ってレーザー溶接により固着することにより、図1に示すような中心電極側貴金属耐消耗部31が形成される。
【0020】
重ね合わせ面32pの算術平均粗さRa1が上記範囲を充足しない貴金属チップ32’を用いて貴金属耐消耗部32を形成したスパークプラグの場合、次のような事情等により貴金属耐消耗部32の剥離が生じやすくなる。例えば、スパークプラグを直噴型エンジンに取り付け、リーンバーン条件にて高速高負荷運転を行なった後、エンジン停止するサイクルを繰り返すと、貴金属耐消耗部32と電極母材4aとの接合部には激しい冷熱サイクルが加わる。これにより、両者の接合界面には、線膨張係数差に基づく剪断応力が発生する。貴金属チップ32’の重ね合わせ面32pの算術平均粗さが上記範囲を充足しない場合、上記剪断応力が繰り返し付加されると、図3に示すように、界面に沿った亀裂Cの発生及び進展が生じやすくなり、最終的に剥離に至ると考えられる。
【0021】
そこで、上記のように重ね合わせ面32pの算術平均粗さRa1を調整した後、抵抗溶接を行なえば接合部の界面結合力が改善される結果、亀裂Cの進展が抑制され、耐剥離性が向上すると推定される。界面結合力が向上する要因としては、以下のようなことが考えられる。例えば、通電電流値を多少低めに抑えつつ、加圧力を大きく設定して抵抗溶接を行なえば、図5に示すように、発熱により生ずる拡散層DLの厚さが薄くなる代わり、重ね合わせ面32’pの凹凸が電極母材4a側に食い込んで、起伏の大きい接合界面BPが形成される。こうした接合界面BPは接合面積の増大をもたらすとともに、食い込みによるアンカー効果を生じ、接合強度そのものが向上する。また、接合界面BP自体が大きく起伏していれば、亀裂Cが仮に発生しても、迂回しながら亀裂Cの進展が進むことになる。その結果、耐剥離性の増大がもたらされる。なお、貴金属発火部32をPt−Ir合金にて構成した場合、Irの酸化による界面腐食が起こりやすく、その酸化スケールの進展により亀裂の進行が助長されやすいが、本発明を適用すれば、このような材質を用いた場合でも亀裂の発生・進展を効果的に抑制することができる。
【0022】
他方、通電電流値を大きく設定し、加圧力を幾分低く設定した場合は、抵抗発熱が大きくなるから、図6に示すように、重ね合わせ面32’pの凹凸がつぶれ、接合界面BPが平坦化する場合がある。他方、電極母材4aとの電気的接触は凸部頂上付近で選択的に生じ、この部分に電流が集中して発熱が大きくなる。その結果、最終的に形成される拡散層DLの厚さには、もとの重ね合わせ面32’pの凹凸分布に対応した分布を生ずる。その結果、拡散層DLの境界形状に起伏が生じ、図5の接合界面BPと同様に、アンカー効果による接合強度の増大効果及び亀裂Cの迂回効果がもたらされ、耐剥離性が向上する。
【0023】
次に、冷熱サイクルが加わったときに発生する図3のような亀裂Cは、その発生が部分的なものに留まれば、耐消耗部32の剥離はもたらさない。そして、こうした亀裂Cが適度に生ずる状況下においては、以下のような利点が生ずる場合もある。すなわち、冷熱サイクルが付加されたとき、その加熱時において、接合界面付近に発生する剪断応力が耐消耗部32の降伏応力を上回ると、図4に示すように、耐消耗部32は電極母材4aに引っ張られる形で塑性変形し、応力緩和する。この塑性変形による歪は永久的なものであるから、再び冷却されても元には戻らない。従って、冷熱サイクルが繰り返し付加されると、耐消耗部32は塑性変形が徐々に蓄積されて、やがてはその厚さtが無視できない程度に減少することになる。この厚さtの減少は耐消耗部32の消耗代を減少させることになるから、特に長寿命が要求されるスパークプラグにおいては問題となる場合がある。これは、耐消耗部32を軟質なPt系貴金属にて構成した場合、特に顕著である(従って、Ptに適量のNiやIrなどを添加して固溶強化を図ることは、耐消耗部32の塑性変形防止の観点において有効である)。
【0024】
しかしながら、亀裂Cが適度に形成される場合は、応力の一部が亀裂Cの形成により緩和されるため、耐消耗部32の塑性変形はその分抑制される。その結果、熱サイクルが繰り返されたときの厚さtの減少を抑制することができる。このような効果を得るには、耐消耗部32と電極母材4aとの間のアンカー効果等に基づく結合力を、耐消耗部32の耐剥離性が極端に損なわれない範囲で、作為的に小さく設定することが有効である。具体的には、貴金属チップ23’の、電極母材4a表面への重ね合わせ面32’pの算術平均粗さRa1を、前記のものよりも小さい1〜20μmに調整することが有効である。Ra1が20μmを超えると、耐消耗部32は電極母材4aとの結合力が強くなりすぎ、結果として熱サイクルが繰り返されたときの、厚さtの減少抑制効果をもはや期待できなくなる。
【0025】
なお、上記耐剥離性向上効果は、図2において工程(a)に示すように、貴金属チップ32を重ね合わせる電極母材4aの重ね合わせ面4pは、算術平均粗さRa2を1〜100μmとすることにより、さらに顕著なものとすることができる。また、冷熱サイクル反復に伴う耐消耗部32の厚さ減少を抑制する観点においては、上記Ra2を1〜20μmの範囲に調整することが望ましい。
【0026】
また、上記実施形態のスパークプラグ100においては、接地電極側貴金属耐消耗部32をPt系貴金属により構成していたが、これをIr系貴金属として同様に抵抗溶接を行なう場合にも、本発明の概念を適用できることはもちろんである。他方、中心電極側貴金属耐消耗部31はIr系貴金属チップのレーザー溶接により形成しているが、抵抗溶接にて形成することももちろん可能であり、本発明の概念を適用することができる。
【0027】
【実施例】
本発明の効果を確認するために、以下の実験を行なった。
接地電極側の貴金属耐消耗部を形成するための貴金属チップを、以下のように作製した。まず、所定量のPtに対しIrを20質量%までの範囲にて配合・溶解することにより、Pt−Ir合金インゴットを作製した。この合金を、1500℃にて熱間鍛造し、次いで1300℃で熱間圧延及び熱間スエージングし、さらに1200℃にて熱間伸線することにより、直径0.9mmの合金線材を得た。これを放電加工により長手方向に切断することにより、直径0.9mm、厚さ0.6mmの円板状の貴金属チップとした。各貴金属チップの両切断面を種々の番手のグラインダにより研磨し、その算術平均粗さRa1を0.5〜120μmとなるように調整した。
【0028】
他方、接地電極は、縦1.3mm、横2.7mmの角状断面を有するインコネル600線材を長さ9mmに切断することにより作製した。なお、貴金属チップの接合予定面については、グラインダ研磨によりその算術平均粗さRa1を0.5〜120μmとなるように調整した。
【0029】
そして、上記接地電極の側面に貴金属チップを抵抗溶接し、図1に示す形態の接地電極側の接合構造を完成させた。なお、抵抗溶接は、加圧荷重が34kg/cm、交流60Hzによる溶接電流値が1050A、通電サイクルが10サイクルとなるように条件設定して行なった。
【0030】
他方、中心電極3側については、組成がIr−5質量%Ptであり、直径0.6mm厚さ0.8mmの寸法を有する貴金属チップを作製し、インコネル600製の中心電極母材の先端面に全周レーザー溶接することにより接合した。そして、これら接地電極及び中心電極を用いて図1に示す形態のスパークプラグ試験品を作成し、接地電極側の貴金属耐消耗部の耐剥離性を評価した。
【0031】
耐剥離性の評価方法は以下の通りである。まず、スパークプラグの火花放電ギャップ側の先端部を、接地電極の貴金属チップ溶接部近傍の温度である1000℃にガスバーナーを用いて2分間加熱し、次いで1分空冷するサイクルを1000回繰り返す(これは、通常走行条件による実機耐久性試験において走行距離約10万kmに相当する)。次に、試験品を、接地電極の貴金属耐消耗部の中心軸線を通る面にて切断・研磨して顕微鏡にて拡大観察するとともに、貴金属耐消耗部と電極母材との界面の亀裂進展長を観察視野上にて測定し、界面の全長で割った値を剥離進展率として算術する。そして、その剥離進展率が50%を超えたものを耐剥離性不良、50%以下のものを耐剥離性良好とする。各スパークプラグとも、1条件につき試験品数nを4に設定し、全数良好と判定されたものを優(○)、良品が1〜3個のものを可(△)、不良数が全数になったものを不可(×)として判定した。また、上記断面にて試験前及び試験後の貴金属耐消耗部の厚さをそれぞれ測定し、試験後の厚さ減少率が20%未満であれば、貴金属耐消耗部の厚さ減少抑制効果が大(○)、20%以上30%未満であれば中(△)、30%を超える場合は小(×)として判定した。
【0032】
表1は、電極母材側の算術平均粗さRa2を10μmに固定し、貴金属チップ側の算術平均粗さRa1を種々に変化させたときの耐剥離性評価結果を示すものである。これによると、算術平均粗さRa1が1〜100μmのとき、良好な結果が得られていることがわかる。
【0033】
【表1】
Figure 0003876166
【0034】
また、表2は、貴金属チップ側の算術平均粗さRa1を10μmに固定し、電極母材側の算術平均粗さRa2を種々に変化させたときの耐剥離性評価結果を示すものである。これによると、算術平均粗さRa2が1〜100μmのとき、良好な結果が得られていることがわかる。
【0035】
【表2】
Figure 0003876166
【0036】
表3は、電極母材側の算術平均粗さRa2を10μmに固定し、貴金属チップ側の算術平均粗さRa1を種々に変化させたときの、貴金属耐消耗部の厚さ減少抑制効果の評価結果を示すものである。これによると、算術平均粗さRa1が1〜20μmのとき、厚さ減少抑制効果が大きいことがわかる。
【0037】
【表3】
Figure 0003876166
【0038】
表4は、貴金属チップ側の算術平均粗さRa1を10μmに固定し、電極母材側の算術平均粗さRa2を種々に変化させたときの、貴金属耐消耗部の厚さ減少抑制効果の評価結果を示すものである。これによると、算術平均粗さRa2が1〜20μmのとき、厚さ減少抑制効果が大きいことがわかる。
【0039】
【表4】
Figure 0003876166

【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスパークプラグの一実施例を示す正面縦断面図。
【図2】接地電極側貴金属耐消耗部の製造工程を模式的に示す図。
【図3】貴金属耐消耗部の剥離原因を説明する図。
【図4】貴金属耐消耗部が伸び変形する様子を説明する図。
【図5】本発明の効果要因を推定して示す第一の模式図。
【図6】本発明の効果要因を推定して示す第二の模式図。
【符号の説明】
3 中心電極
4 接地電極
32 貴金属耐消耗部
32’ 貴金属チップ
g 火花放電ギャップ
100 スパークプラグ

Claims (4)

  1. 電極母材がNi又はFeを主成分とする金属からなる接地電極及び/又は中心電極の、前記電極母材の火花放電ギャップに面する位置に、Pt又はIrを主成分とする貴金属チップを溶接して貴金属耐消耗部を形成したスパークプラグの製造方法であって、
    前記電極母材表面への重ね合わせ面の算術平均粗さが1〜100μmに調整された前記貴金属チップを、前記電極母材の表面に重ね合わせて抵抗溶接する抵抗溶接工程を含むことを特徴とするスパークプラグの製造方法。
  2. 前記接地電極のNi合金からなる前記電極母材の側面に、Ptを主成分とする貴金属チップを抵抗溶接することにより前記貴金属耐消耗部を形成し、これを前記中心電極の先端面と対向させることにより火花放電ギャップを形成する請求項1記載のスパークプラグの製造方法。
  3. 前記貴金属チップとして、前記電極母材表面への重ね合わせ面の算術平均粗さが1〜20μmに調整されたものを使用する請求項1又は2に記載のスパークプラグの製造方法。
  4. 前記電極母材の、前記貴金属チップの重ね合わせ面の算術平均粗さが1〜100μmとされる請求項1ないし3のいずれか1項に記載のスパークプラグの製造方法。
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