JP2003229230A - スパークプラグの製造方法 - Google Patents

スパークプラグの製造方法

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JP2003229230A JP2002023270A JP2002023270A JP2003229230A JP 2003229230 A JP2003229230 A JP 2003229230A JP 2002023270 A JP2002023270 A JP 2002023270A JP 2002023270 A JP2002023270 A JP 2002023270A JP 2003229230 A JP2003229230 A JP 2003229230A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 過酷な運転条件によりヒステリシスの大きい
冷熱サイクルが付与された場合でも、電極母材に抵抗溶
接接合された貴金属耐消耗部の耐剥離性を十分に確保す
ることができるスパークプラグの製造方法を提供する。 【解決手段】 電極母材4aがNi又はFeを主成分と
する金属からなる接地電極4の、該電極母材4aの火花
放電ギャップgに面する位置に、Ptを主成分とする貴
金属チップ32’を溶接して貴金属耐消耗部32を形成
する。貴金属チップ32’は電極母材4aの表面に重ね
合わせて抵抗溶接する。貴金属チップ32’の電極母材
4aへの重ね合わせ面は、算術平均粗さが1〜100μ
mに調整される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は内燃機関に使用され
るスパークプラグの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】上述のようなスパークプラグにおいて
は、耐火花消耗性向上のために、電極の先端にPtやI
r等を主体とする貴金属チップを溶接して耐消耗部を形
成したものが多数提案されている。
【0003】上記のような貴金属耐消耗部は、従来、貴
金属チップを電極母材に溶接により接合して形成するこ
とが多い。例えば接地電極側の貴金属発火部は、Ni合
金等で構成される電極母材にPt系貴金属等で構成され
たチップを重ね合わせ、抵抗溶接することにより形成さ
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】抵抗溶接は、チップと
電極母材との接触抵抗を利用した通電発熱に頼る形とな
るので、溶接時の入熱量が小さく、溶接部に形成される
拡散ないし合金化した領域(以下、溶接領域という)の
広がりも、レーザー溶接に比較すれば小さい。他方、近
年の内燃機関は、厳しい排気ガス規制に伴い、直噴エン
ジンに見られるようにリーンバーン化が進み、また、最
適な燃焼を得るためにスパークプラグの火花放電ギャッ
プ形成部分を、従来よりもさらに燃焼室内に突き出させ
る構造の採用も進んでいる。その結果、スパークプラグ
の電極、特に燃焼室のより内側に位置する接地電極は厳
しい高温状態にさらされるとともに、ヒステリシスの大
きい冷熱サイクルが付与されるようになってきている。
【0005】そして、溶接領域が比較的狭い抵抗溶接に
て貴金属耐消耗部が形成されている場合、上記のような
ヒステリシスの大きい冷熱サイクルが付与されると、電
極母材との間の線膨張係数差により貴金属耐消耗部に剥
離等の不具合が生ずる懸念がある。
【0006】本発明の課題は、過酷な運転条件によりヒ
ステリシスの大きい冷熱サイクルが付与された場合で
も、電極母材に抵抗溶接接合された貴金属耐消耗部の耐
剥離性を十分に確保することができるスパークプラグの
製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】上記課題
を解決するために、本発明のスパークプラグの製造方法
は、電極母材がNi又はFeを主成分とする金属からな
る接地電極及び/又は中心電極の、電極母材の火花放電
ギャップに面する位置に、Pt又はIrを主成分とする
貴金属チップを溶接して貴金属耐消耗部を形成したスパ
ークプラグの製造方法であって、電極母材表面への重ね
合わせ面の算術平均粗さが1〜100μmに調整された
貴金属チップを、電極母材の表面に重ね合わせて抵抗溶
接する抵抗溶接工程を含むことを特徴とする。なお、本
明細書において「主成分」とは、最も質量含有率の高い
成分のことをいう。
【0008】Ni合金からなる電極母材に、Pt又はI
rを主成分とする貴金属チップを抵抗溶接することによ
り貴金属耐消耗部を形成する場合、前記した通り、両者
の接合界面部に形成される溶接領域が比較的狭くなる。
このため、溶接領域が広く形成されるレーザー溶接等と
比較して、過酷な冷熱サイクルが加わったときの、耐剥
離性を如何に確保するかが重要である。ところで、この
ような耐剥離性は、溶接前における貴金属チップの、電
極母材への重ね合わせ面の表面粗さと密接な関係がある
ことが判明した。そして、貴金属チップの該重ね合わせ
面の算術平均粗さ(以下、「Ra1」とする)が上記の
範囲に調整される場合に、貴金属耐消耗部の耐剥離性を
顕著に向上できたことから、本発明を完成するに至った
のである。
【0009】なお、本発明において算術平均粗さは、J
IS:B0601(1994)に規定された方法により
測定されたものをいう。該規格には、測定される粗さレ
ベルに応じた評価長さの標準値が示されているが、貴金
属発火部の寸法が評価長さに満たない場合、寸法内に収
まる短い評価長さにより測定場所を変えて粗さ測定を行
い、その評価長さの合計が上記標準長さに到達するよう
に、その測定回数を定めるものとする。また、算術平均
粗さは、各測定にて得られる算術平均粗さに評価長さを
乗じて合計し、その合計値を評価長さの合計値にて除し
た値を採用する。
【0010】貴金属チップの電極母材表面への重ね合わ
せ面の算術平均粗さRa1が1μm未満では、得られる
貴金属耐消耗部の耐剥離性が、前記した過酷な運転条件
下において不足することにつながる。他方、前記算術平
均粗さRa1が100μmを超えると、貴金属チップと
電極母材との接合状態にむらが生じやすくなり、得られ
る貴金属耐消耗部の耐剥離性が同様に不足することにつ
ながる。
【0011】電極母材の側面に、貴金属チップを抵抗溶
接することにより貴金属耐消耗部を形成し、これを中心
電極の先端面と対向させることにより火花放電ギャップ
を形成したスパークプラグは、一般に平行電極型と称さ
れ、着火性が高いことから、リーンバーンエンジンある
いは直噴型エンジンに広く採用されている。このような
平行電極型スパークプラグの接地電極は、火花放電ギャ
ップよりも燃焼室のより中心側に配置されるため特に高
温にさらされやすく、冷熱サイクル付加による貴金属耐
消耗部の剥離がとりわけ生じやすい傾向にある。こうし
た平行電極型スパークプラグの接地電極の電極母材は、
耐熱性を確保するためにNi基耐熱合金(例えばインコ
ネル600:インコネルは英国Inco社の商標名)等
のNi合金にて構成することが有利である。他方、該接
地電極側の貴金属耐消耗部は、火花放電時の接地電極側
の極性が正に設定されることが多く、火花消耗自体は中
心電極側よりも進行し難いことから、Ir系貴金属より
も融点の低い、Ptを主成分とする貴金属(以下、Pt
系貴金属という)からなる耐消耗部を用いることが、抵
抗溶接の容易性とも相俟ってより有利であるといえる。
【0012】この場合、接地電極のNi合金からなる電
極母材の側面に、Ptを主成分とする貴金属チップを抵
抗溶接することにより貴金属耐消耗部が形成される。し
かしながら、Ni合金は線膨張係数が大きいことから、
過酷な冷熱サイクルが付与される接地電極の電極母材と
して採用した場合、Pt系貴金属からなる耐消耗部との
線膨張係数差が特に大きく、剥離等の不具合につながり
やすい。従って、本発明は、該接地電極側に適用した場
合に、特にその波及効果が大きい。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の、いくつかの実施
の形態を、図面を用いて説明する。図1は本発明の適用
対象となるスパークプラグの一例を示すものである。該
スパークプラグ100は、筒状の主体金具1、先端部2
1が突出するようにその主体金具1の内側に嵌め込まれ
た絶縁体2、先端に形成された中心電極側貴金属耐消耗
部31を突出させた状態で絶縁体2の内側に設けられた
中心電極3、及び主体金具1に一端が溶接等により結合
されるとともに他端側が側方に曲げ返されて、その側面
が中心電極3の先端部と対向するように配置された接地
電極4等を備えている。また、接地電極4には接地電極
側貴金属耐消耗部32が形成されており、前記中心電極
側貴金属耐消耗部31と、接地電極側貴金属耐消耗部3
2との間に火花放電ギャップgが形成されている。
【0014】絶縁体2は、例えばアルミナあるいは窒化
アルミニウム等のセラミック焼結体により構成され、そ
の内部には自身の軸方向に沿って中心電極3を嵌め込む
ための孔部6を有している。また、主体金具1は、低炭
素鋼等の金属により筒状に形成されており、スパークプ
ラグ100のハウジングを構成するとともに、火花放電
ギャップg側の外周面には、プラグ100を図示しない
エンジンブロックに取り付けるためのねじ部7が形成さ
れている。
【0015】中心電極3及び接地電極4は、少なくとも
表層部をなす電極母材部分がNi合金で構成されてい
る。本実施形態では、いずれの電極母材もインコネル6
00により構成されている。また、接地電極側貴金属耐
消耗部32は、例えばPt−IrあるいはPt−Ni合
金等のPtを主成分とする合金からなり、他方、中心電
極側貴金属耐消耗部31はIr−RhあるいはIr−P
t合金等のIrを主成分とする貴金属からなる。
【0016】図2は接地電極側貴金属耐消耗部32の形
成方法を示すものである。すなわち、工程(a)に示す
ように、該金属耐消耗部32を形成するための円板状の
貴金属チップ32’を用意する。この貴金属チップ3
2’の、接地電極4の電極母材4aに対する重ね合わせ
面32’pの算術平均粗さRa1は1〜100μmとな
るように調整される。貴金属チップ32’は、例えば圧
延等により形成された板材を円形に打ちぬいたり、ある
いは円状断面の線材を鍛造/圧延あるいは伸線により製
造し、これを放電加工あるいは刃切断等により輪切りに
して製造される。
【0017】板材からの打抜きを採用する場合、板材の
圧延面の表面粗さが上記範囲を充足していれば、これを
そのまま重ね合わせ面32’pとして使用することもで
きる。ただし、圧延面の表面粗さが上記範囲外のものと
なっていたり、あるいは打抜後のバリが問題となる場合
は、粗さ調整研磨が必要となる。この場合、表面粗さが
上記の範囲を充足するものとなるように、研磨砥石の番
手を選定する必要がある。他方、線材を輪切りにして製
造する方法においては、放電加工を採用する場合は、放
電電圧、放電ワイヤ径及びワイヤの相対送り速度等の調
整により、また、切断刃(たとえばダイヤモンド刃)を
用いる場合、刃の砥粒の番手、回転速度及び刃送り速度
等の調整により、得られる切断面の算術平均粗さが上記
範囲のものとなるように調整する。ただし、切断上がり
の状態で算術平均粗さが本発明の範囲外となっている場
合は、打抜の場合と同様の粗さ調整研磨を行なう。
【0018】上記のようにして得られた貴金属チップ3
2’は、工程(b)に示すように、重ね合わせ面32’
p側にて接地電極4の電極母材側面に重ね合わされ、こ
の状態で電極EL,EL間に挟み付けて加圧しつつ、通
電発熱する。これにより、貴金属チップ32’と電極母
材4aとの間で発熱し、工程(c)に示すように、該貴
金属チップ32’が電極母材4aに食い込みつつ、電極
母材4aとの間に、拡散・合金化した溶接部(図示せ
ず)が形成され、接地電極側貴金属耐消耗部32とな
る。
【0019】一方、中心電極3の先端部3aはテーパ状
に縮径されるとともにその先端面が平坦に構成され、こ
こに中心電極側貴金属耐消耗部31の上記合金組成が得
られるように組成調整された円板状のチップを重ね合わ
せ、さらにその接合面外縁部に沿ってレーザー溶接によ
り固着することにより、図1に示すような中心電極側貴
金属耐消耗部31が形成される。
【0020】重ね合わせ面32pの算術平均粗さRa1
が上記範囲を充足しない貴金属チップ32’を用いて貴
金属耐消耗部32を形成したスパークプラグの場合、次
のような事情等により貴金属耐消耗部32の剥離が生じ
やすくなる。例えば、スパークプラグを直噴型エンジン
に取り付け、リーンバーン条件にて高速高負荷運転を行
なった後、エンジン停止するサイクルを繰り返すと、貴
金属耐消耗部32と電極母材4aとの接合部には激しい
冷熱サイクルが加わる。これにより、両者の接合界面に
は、線膨張係数差に基づく剪断応力が発生する。貴金属
チップ32’の重ね合わせ面32pの算術平均粗さが上
記範囲を充足しない場合、上記剪断応力が繰り返し付加
されると、図3に示すように、界面に沿った亀裂Cの発
生及び進展が生じやすくなり、最終的に剥離に至ると考
えられる。
【0021】そこで、上記のように重ね合わせ面32p
の算術平均粗さRa1を調整した後、抵抗溶接を行なえ
ば接合部の界面結合力が改善される結果、亀裂Cの進展
が抑制され、耐剥離性が向上すると推定される。界面結
合力が向上する要因としては、以下のようなことが考え
られる。例えば、通電電流値を多少低めに抑えつつ、加
圧力を大きく設定して抵抗溶接を行なえば、図5に示す
ように、発熱により生ずる拡散層DLの厚さが薄くなる
代わり、重ね合わせ面32’pの凹凸が電極母材4a側
に食い込んで、起伏の大きい接合界面BPが形成され
る。こうした接合界面BPは接合面積の増大をもたらす
とともに、食い込みによるアンカー効果を生じ、接合強
度そのものが向上する。また、接合界面BP自体が大き
く起伏していれば、亀裂Cが仮に発生しても、迂回しな
がら亀裂Cの進展が進むことになる。その結果、耐剥離
性の増大がもたらされる。なお、貴金属発火部32をP
t−Ir合金にて構成した場合、Irの酸化による界面
腐食が起こりやすく、その酸化スケールの進展により亀
裂の進行が助長されやすいが、本発明を適用すれば、こ
のような材質を用いた場合でも亀裂の発生・進展を効果
的に抑制することができる。
【0022】他方、通電電流値を大きく設定し、加圧力
を幾分低く設定した場合は、抵抗発熱が大きくなるか
ら、図6に示すように、重ね合わせ面32’pの凹凸が
つぶれ、接合界面BPが平坦化する場合がある。他方、
電極母材4aとの電気的接触は凸部頂上付近で選択的に
生じ、この部分に電流が集中して発熱が大きくなる。そ
の結果、最終的に形成される拡散層DLの厚さには、も
との重ね合わせ面32’pの凹凸分布に対応した分布を
生ずる。その結果、拡散層DLの境界形状に起伏が生
じ、図5の接合界面BPと同様に、アンカー効果による
接合強度の増大効果及び亀裂Cの迂回効果がもたらさ
れ、耐剥離性が向上する。
【0023】次に、冷熱サイクルが加わったときに発生
する図3のような亀裂Cは、その発生が部分的なものに
留まれば、耐消耗部32の剥離はもたらさない。そし
て、こうした亀裂Cが適度に生ずる状況下においては、
以下のような利点が生ずる場合もある。すなわち、冷熱
サイクルが付加されたとき、その加熱時において、接合
界面付近に発生する剪断応力が耐消耗部32の降伏応力
を上回ると、図4に示すように、耐消耗部32は電極母
材4aに引っ張られる形で塑性変形し、応力緩和する。
この塑性変形による歪は永久的なものであるから、再び
冷却されても元には戻らない。従って、冷熱サイクルが
繰り返し付加されると、耐消耗部32は塑性変形が徐々
に蓄積されて、やがてはその厚さtが無視できない程度
に減少することになる。この厚さtの減少は耐消耗部3
2の消耗代を減少させることになるから、特に長寿命が
要求されるスパークプラグにおいては問題となる場合が
ある。これは、耐消耗部32を軟質なPt系貴金属にて
構成した場合、特に顕著である(従って、Ptに適量の
NiやIrなどを添加して固溶強化を図ることは、耐消
耗部32の塑性変形防止の観点において有効である)。
【0024】しかしながら、亀裂Cが適度に形成される
場合は、応力の一部が亀裂Cの形成により緩和されるた
め、耐消耗部32の塑性変形はその分抑制される。その
結果、熱サイクルが繰り返されたときの厚さtの減少を
抑制することができる。このような効果を得るには、耐
消耗部32と電極母材4aとの間のアンカー効果等に基
づく結合力を、耐消耗部32の耐剥離性が極端に損なわ
れない範囲で、作為的に小さく設定することが有効であ
る。具体的には、貴金属チップ23’の、電極母材4a
表面への重ね合わせ面32’pの算術平均粗さRa1
を、前記のものよりも小さい1〜20μmに調整するこ
とが有効である。Ra1が20μmを超えると、耐消耗
部32は電極母材4aとの結合力が強くなりすぎ、結果
として熱サイクルが繰り返されたときの、厚さtの減少
抑制効果をもはや期待できなくなる。
【0025】なお、上記耐剥離性向上効果は、図2にお
いて工程(a)に示すように、貴金属チップ32を重ね
合わせる電極母材4aの重ね合わせ面4pは、算術平均
粗さRa2を1〜100μmとすることにより、さらに
顕著なものとすることができる。また、冷熱サイクル反
復に伴う耐消耗部32の厚さ減少を抑制する観点におい
ては、上記Ra2を1〜20μmの範囲に調整すること
が望ましい。
【0026】また、上記実施形態のスパークプラグ10
0においては、接地電極側貴金属耐消耗部32をPt系
貴金属により構成していたが、これをIr系貴金属とし
て同様に抵抗溶接を行なう場合にも、本発明の概念を適
用できることはもちろんである。他方、中心電極側貴金
属耐消耗部31はIr系貴金属チップのレーザー溶接に
より形成しているが、抵抗溶接にて形成することももち
ろん可能であり、本発明の概念を適用することができ
る。
【0027】
【実施例】本発明の効果を確認するために、以下の実験
を行なった。接地電極側の貴金属耐消耗部を形成するた
めの貴金属チップを、以下のように作製した。まず、所
定量のPtに対しIrを20質量%までの範囲にて配合
・溶解することにより、Pt−Ir合金インゴットを作
製した。この合金を、1500℃にて熱間鍛造し、次い
で1300℃で熱間圧延及び熱間スエージングし、さら
に1200℃にて熱間伸線することにより、直径0.9
mmの合金線材を得た。これを放電加工により長手方向
に切断することにより、直径0.9mm、厚さ0.6m
mの円板状の貴金属チップとした。各貴金属チップの両
切断面を種々の番手のグラインダにより研磨し、その算
術平均粗さRa1を0.5〜120μmとなるように調
整した。
【0028】他方、接地電極は、縦1.3mm、横2.
7mmの角状断面を有するインコネル600線材を長さ
9mmに切断することにより作製した。なお、貴金属チ
ップの接合予定面については、グラインダ研磨によりそ
の算術平均粗さRa1を0.5〜120μmとなるよう
に調整した。
【0029】そして、上記接地電極の側面に貴金属チッ
プを抵抗溶接し、図1に示す形態の接地電極側の接合構
造を完成させた。なお、抵抗溶接は、加圧荷重が34k
g/cm、交流60Hzによる溶接電流値が1050
A、通電サイクルが10サイクルとなるように条件設定
して行なった。
【0030】他方、中心電極3側については、組成がI
r−5質量%Ptであり、直径0.6mm厚さ0.8m
mの寸法を有する貴金属チップを作製し、インコネル6
00製の中心電極母材の先端面に全周レーザー溶接する
ことにより接合した。そして、これら接地電極及び中心
電極を用いて図1に示す形態のスパークプラグ試験品を
作成し、接地電極側の貴金属耐消耗部の耐剥離性を評価
した。
【0031】耐剥離性の評価方法は以下の通りである。
まず、スパークプラグの火花放電ギャップ側の先端部
を、接地電極の貴金属チップ溶接部近傍の温度である1
000℃にガスバーナーを用いて2分間加熱し、次いで
1分空冷するサイクルを1000回繰り返す(これは、
通常走行条件による実機耐久性試験において走行距離約
10万kmに相当する)。次に、試験品を、接地電極の
貴金属耐消耗部の中心軸線を通る面にて切断・研磨して
顕微鏡にて拡大観察するとともに、貴金属耐消耗部と電
極母材との界面の亀裂進展長を観察視野上にて測定し、
界面の全長で割った値を剥離進展率として算術する。そ
して、その剥離進展率が50%を超えたものを耐剥離性
不良、50%以下のものを耐剥離性良好とする。各スパ
ークプラグとも、1条件につき試験品数nを4に設定
し、全数良好と判定されたものを優(○)、良品が1〜
3個のものを可(△)、不良数が全数になったものを不
可(×)として判定した。また、上記断面にて試験前及
び試験後の貴金属耐消耗部の厚さをそれぞれ測定し、試
験後の厚さ減少率が20%未満であれば、貴金属耐消耗
部の厚さ減少抑制効果が大(○)、20%以上30%未
満であれば中(△)、30%を超える場合は小(×)と
して判定した。
【0032】表1は、電極母材側の算術平均粗さRa2
を10μmに固定し、貴金属チップ側の算術平均粗さR
a1を種々に変化させたときの耐剥離性評価結果を示す
ものである。これによると、算術平均粗さRa1が1〜
100μmのとき、良好な結果が得られていることがわ
かる。
【0033】
【表1】
【0034】また、表2は、貴金属チップ側の算術平均
粗さRa1を10μmに固定し、電極母材側の算術平均
粗さRa2を種々に変化させたときの耐剥離性評価結果
を示すものである。これによると、算術平均粗さRa2
が1〜100μmのとき、良好な結果が得られているこ
とがわかる。
【0035】
【表2】
【0036】表3は、電極母材側の算術平均粗さRa2
を10μmに固定し、貴金属チップ側の算術平均粗さR
a1を種々に変化させたときの、貴金属耐消耗部の厚さ
減少抑制効果の評価結果を示すものである。これによる
と、算術平均粗さRa1が1〜20μmのとき、厚さ減
少抑制効果が大きいことがわかる。
【0037】
【表3】
【0038】表4は、貴金属チップ側の算術平均粗さR
a1を10μmに固定し、電極母材側の算術平均粗さR
a2を種々に変化させたときの、貴金属耐消耗部の厚さ
減少抑制効果の評価結果を示すものである。これによる
と、算術平均粗さRa2が1〜20μmのとき、厚さ減
少抑制効果が大きいことがわかる。
【0039】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスパークプラグの一実施例を示す正面
縦断面図。
【図2】接地電極側貴金属耐消耗部の製造工程を模式的
に示す図。
【図3】貴金属耐消耗部の剥離原因を説明する図。
【図4】貴金属耐消耗部が伸び変形する様子を説明する
図。
【図5】本発明の効果要因を推定して示す第一の模式
図。
【図6】本発明の効果要因を推定して示す第二の模式
図。
【符号の説明】
3 中心電極 4 接地電極 32 貴金属耐消耗部 32’ 貴金属チップ g 火花放電ギャップ 100 スパークプラグ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電極母材がNi又はFeを主成分とする
    金属からなる接地電極及び/又は中心電極の、前記電極
    母材の火花放電ギャップに面する位置に、Pt又はIr
    を主成分とする貴金属チップを溶接して貴金属耐消耗部
    を形成したスパークプラグの製造方法であって、 前記電極母材表面への重ね合わせ面の算術平均粗さが1
    〜100μmに調整された前記貴金属チップを、前記電
    極母材の表面に重ね合わせて抵抗溶接する抵抗溶接工程
    を含むことを特徴とするスパークプラグの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記接地電極のNi合金からなる前記電
    極母材の側面に、Ptを主成分とする貴金属チップを抵
    抗溶接することにより前記貴金属耐消耗部を形成し、こ
    れを前記中心電極の先端面と対向させることにより火花
    放電ギャップを形成する請求項1記載のスパークプラグ
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記貴金属チップとして、前記電極母材
    表面への重ね合わせ面の算術平均粗さが1〜20μmに
    調整されたものを使用する請求項1又は2に記載のスパ
    ークプラグの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記電極母材の、前記貴金属チップの重
    ね合わせ面の算術平均粗さが1〜100μmとされる請
    求項1ないし3のいずれか1項に記載のスパークプラグ
    の製造方法。
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