JP5861671B2 - 内燃機関用のスパークプラグ及び、その製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1に示されたスパークプラグにおいて、電極母材と放電チップとは、環状に形成された融接部によって接合されている。つまり、環状に形成された融接部の内周側には、電極母材と放電チップとが互いに接合されていない非接合部が存在する。そのため、融接部と非接合部との境界部分において熱応力が集中し、亀裂等の接合不良が発生するおそれがある。
該電極母材の先端に接合された電極母材よりも融点の高い材料からなる放電チップとを有しており、
上記電極母材と上記放電チップとは、該電極母材と該放電チップとの接合界面の外縁部に沿って環状に形成され、上記電極母材の一部と上記放電チップの一部とが溶け合った融接部と、
上記接合界面における上記融接部の内周側において、上記電極母材の一部と上記放電チップの一部とが、互いに拡散した拡散層と、
上記電極母材と上記融接部との界面、及び上記放電チップと上記融接部との界面に、互いの材料が拡散して形成された拡散層とによって、上記接合界面の全体において接合されており、
上記拡散層の厚さtが0.5μm≦t≦20μmであることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグにある。
上記電極母材と上記放電チップとを互いに圧接させた状態で抵抗溶接によって両者を仮接合する仮接合工程と、
互いに仮接合された上記電極母材と上記放電チップとを互いの接合界面における外周縁に沿ってレーザ溶接することにより上記電極母材の一部と上記放電チップの一部とが溶け合った融接部を環状に形成する融接工程と、
上記電極母材と上記放電チップとを加熱することにより、上記融接部の内周側において、上記電極母材と上記放電チップとの間で両者の材料が拡散した拡散層と、上記電極母材と上記融接部との界面、及び上記放電チップと上記融接部との界面に、互いの材料が拡散した拡散層とを形成して、上記電極母材と上記放電チップとを上記接合界面の全体において接合する熱処理工程とを備えており、
該熱処理工程において、上記拡散層の厚さtを0.5μm≦t≦20μmとすることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグの製造方法にある。
このように、熱応力を抑制し緩和することにより、上記電極母材と上記放電チップとの接合界面における接合不良の発生を抑制し、上記電極母材と上記放電チップとを確実に接合することができる。
上記内燃機関用のスパークプラグ及びその製造方法について、図1〜図6を参照して説明する。
図2に示すごとく、内燃機関用のスパークプラグ1は、中心電極2の一部を構成する電極母材21と、電極母材21の先端に接合された電極母材21よりも融点の高い材料からなる放電チップ22とを有している。電極母材21と放電チップ22とは、融接部231と、拡散層232とによって接合されている。
また、拡散層232は、接合界面23における融接部231の内周側において、電極母材21の一部と放電チップ22の一部とが互いに拡散して形成されている。
図1に示すごとく、本例のスパークプラグ1は、自動車の内燃機関において、燃料の着火をするためのものである。軸方向において、スパークプラグ1の一端は、点火コイル(図示略)と接続され、反対側の他端は、燃焼室内に配される。尚、本例においては、図1に示すごとく、軸方向における点火コイルと接続される側を基端側Rとし、燃焼室内に配される側を先端側Fとして説明する。
また、絶縁碍子3の外側には、略円筒形状に形成されたハウジング4が配されている。ハウジング4は、絶縁碍子3における先端部を突出させるように、絶縁碍子3の略中央位置から先端側を覆っている。また、ハウジング4の先端面には、接地電極41が配されている。
図3に示すごとく、電極母材21は、融点が1400℃のニッケル合金からなり、接合前の状態において、先端側に向かって縮径した略円錐台形状をなす電極テーパ部211と、電極テーパ部211の先端面から先端側に延びる台座部212とを有している。台座部212は、接合前の状態において、円柱状をなしており、電極テーパ部211の先端面における直径と、同一の直径によって形成されている。尚、電極母材21は、ニッケル合金以外にも、ステンレス等の鉄合金等の材料によって形成してもよい。いずれの材料においても、融点M1が1300℃≦M1≦1500℃を満足することが好ましい。
融接部231は、接合界面23の外縁部に沿って環状に形成されており、電極母材21の一部と放電チップ22の一部とが溶け合っている。本例においては、電極母材21の電極テーパ部211における外周側の部位、台座部212における外周側の部位、及び放電チップ22の基端側における外周側の部位が溶け合って融接部231を形成している。
尚、拡散層232の厚さtは、1μm〜15μmに設定されている。
図4及び図6に示すごとく、まず、仮接合工程101において、電極母材21と放電チップ22とを抵抗溶接によって仮接合する。
仮接合工程101においては、対向して配された一対の溶接電極(図示略)によって、電極母材21と放電チップ22とを軸方向に圧接しながら通電させることにより、電極母材21と放電チップ22との間に抵抗熱を発生させ接合する。
これにより、上述のスパークプラグ1における中心電極2の製造が完了する。
内燃機関用のスパークプラグ1において、電極母材21と放電チップ22とは、環状に形成された融接部231と、融接部231の内周側に形成された拡散層232とによって接合されている。つまり、電極母材21と放電チップ22とは、融接部231に加えて、拡散層232によっても接合されている。したがって、電極母材21と放電チップ22とにおける、接合界面23の全体を接合することができる。これにより、接合界面23とその周囲における熱応力の急激な変化を抑制すると共に、電極母材21と放電チップ22との間に生じる熱応力を分散し、中心電極2における熱応力の集中を緩和することができる。
このように、熱応力を抑制し緩和することにより、電極母材21と放電チップ22との接合界面23における接合不良の発生を抑制し、電極母材21と放電チップ22とを確実に接合することができる。
M1≦1500℃とすることにより、電極母材21を低融点の比較的安価な材料によって形成することができる。
M2≧2200℃とすることにより、放電チップ22を高融点の材料によって形成し、スパークプラグの寿命を向上することができる。
M2≦2800℃とすることにより、電極母材21と放電チップ22との融点の差が大きくなり接合が難しくなることがある。
尚、融点M1と融点M2との差は800℃〜1400℃の範囲内にあることが好ましい。この場合には、上記電極母材と上記放電チップとをより確実に接合することができる。
厚さt≧0.5μmとすることにより、拡散層232、235における熱応力の緩和効果を確実に得ることができる。
厚さt≦20μmとすることにより、拡散層232、235を形成するための熱処理を適当な時間で行うことができる。
本例は、内燃機関用のスパークプラグ1の製造方法を変更した例である。
実施例1においては、仮接合工程、融接工程、熱処理工程を順次実施したが、本例においては、仮接合工程の次に、熱処理工程を実施し、熱処理工程の次に融接工程を実施した。
尚、本例又は本例に関する図面に用いた符号のうち、実施例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施例1と同様の構成要素等を表す。
本例においても実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
2 中心電極
21 電極母材
22 放電チップ
23 接合界面
231 融接部
232 拡散層
Claims (4)
- 中心電極(2)の一部を構成する電極母材(21)と、
該電極母材(21)の先端に接合された電極母材(21)よりも融点の高い材料からなる放電チップ(22)とを有しており、
上記電極母材(21)と上記放電チップ(22)とは、該電極母材(21)と該放電チップ(22)との接合界面(23)の外縁部に沿って環状に形成され、上記電極母材(21)の一部と上記放電チップ(22)の一部とが溶け合った融接部(231)と、
上記接合界面(23)における上記融接部(231)の内周側において、上記電極母材(21)の一部と上記放電チップ(22)の一部とが、互いに拡散した拡散層(232)と、
上記電極母材(21)と上記融接部(231)との界面(234)、及び上記放電チップ(22)と上記融接部(231)との界面(234)に、互いの材料が拡散して形成された拡散層(235)とによって上記接合界面(23)の全体において接合されており、
上記拡散層(232、253)の厚さtが0.5μm≦t≦20μmであることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグ(1)。 - 上記電極母材(21)を形成する材料の融点M1は、1300℃≦M1≦1500℃であり、上記放電チップ(22)を形成する材料の融点M2は、2200℃≦M2≦2800℃であることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用のスパークプラグ(1)。
- 請求項1又は2に記載の内燃機関用のスパークプラグ(1)の製造方法であって、
上記電極母材(21)と上記放電チップ(22)とを互いに圧接させた状態で抵抗溶接によって両者を仮接合する仮接合工程と、
互いに仮接合された上記電極母材(21)と上記放電チップ(22)とを互いの接合界面(23)における外周縁に沿ってレーザ溶接することにより上記電極母材(21)の一部と上記放電チップ(22)の一部とが溶け合った融接部(231)を環状に形成する融接工程と、
上記電極母材(21)と上記放電チップ(22)とを加熱することにより、上記融接部(231)の内周側において、上記電極母材(21)と上記放電チップ(22)との間で両者の材料が拡散した拡散層(232)と、上記電極母材(21)と上記融接部(231)との界面(234)、及び上記放電チップ(22)と上記融接部(231)との界面(234)に、互いの材料が拡散した拡散層(235)とを形成するとともに、上記電極母材(21)と上記放電チップ(22)とを、上記接合界面(23)の全体において接合する熱処理工程とを備えており、
該熱処理工程において、上記拡散層(232、253)の厚さtを0.5μm≦t≦20μmとすることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグ(1)の製造方法。 - 上記仮接合工程を実施した後、次いで上記融接工程を実施し、該融接工程を実施した後、次いで上記熱処理工程を実施することを特徴とする請求項3に記載の内燃機関用のスパークプラグ(1)の製造方法。
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