JP4959380B2 - インサート付きブロー成形スポイラーの製造方法及びインサート付きブロー成形スポイラー - Google Patents
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Description
ブロー成形において、パリソン内部に加圧気体を吹き込むには、例えば特許文献2に記載されたように、パリソンに吹き込み針を差し込み、その吹き込み針を通して加圧気体を吹き込んでいる。
また、スポイラーの場合、トレーサビリティーのため、適当な箇所にブロー成形日等を刻印(デートマークという)することが求められる。このデートマークは、ブロー成形と同時にブロー成形体の表面に刻印されるものであるが、これも見栄えを損なわない箇所を選択する必要がある。
しかし、インサートは全体としてスポイラー本体部と同程度に肉厚が大きく熱容量が大きいので、溶着の程度は十分ではない。特に蓋部の周縁部ではパリソンが該周縁部(張り出し部)の下に回り込んで薄肉化するため、溶着はより不確実となる。そのため、振動等によりブロー成形体とインサートの接合部が離れて隙間ができ、洗浄時等に溶剤がその隙間にしみ込み、両者のプラスチックにクラックが発生する虞も出てくる。
さらに、本発明は、ブロー成形体とインサートの溶着を特に接合部近傍においてより確実なものとすることを目的とする。
(1)前記インサートとして底面に穴が形成されたカップ状のインサートを用い、その開口部を内側に向けて前記ブロー成形金型の内部にセットし、前記パリソン内部に加圧気体を吹き込む際に、前記インサートの穴を通して吹き込み針を突出させパリソン内部まで貫通させ、前記吹き込み針を通してパリソン内部に加圧気体を吹き込み、前記スポイラー本体部を形成するとともに、パリソンの一部を前記カップ状のインサートの内部に膨出させてその内面に溶着させる。
(3)前記インサートは底面にデートマーク穴が形成され、前記ブロー成形金型はデートマーク形成部を有し、前記インサートを前記ブロー成形金型の内部にセットするとき前記デートマーク穴を前記デートマーク形成部に重ね、ブロー成形時にパリソンを前記デートマーク穴から張り出させ、前記デートマーク形成部に接触させて表面に立体のデートマークを形成する。
(a)前記カップ状のインサートの底面に穴が形成されていて、ブロー成形体の前記穴を被う箇所に加圧気体の吹き込み針が貫通した穴が形成されている。
(b)前記カップ状のインサートの底面にデートマーク穴が形成されていて、ブロー成形体の前記デートマーク穴を被う箇所の表面に立体のデートマークが形成されている。
この場合、本発明は、ブロー成形金型の内部にインサートをセットし、型締めしてパリソンを挟み、ブロー成形によりパリソンを膨出させるとともに前記インサートをパリソンと結合させるインサート付きブロー成形体の製造方法である。このとき具体的に次の方法を個別に又は組み合わせてとり得る。
(1)前記インサートが他部材への取付面を有し、その取付面に穴が形成され、前記パリソン内部に加圧気体を吹き込む際に、前記インサートの穴を通して吹き込み針を突出させパリソン内部まで貫通させ、前記吹き込み針を通してパリソン内部に加圧気体を吹き込む。
(2)前記インサートが前記パリソンと相溶性のあるプラスチックからなり、その周縁部全周をくさび状に薄肉に形成し、前記周縁部にパリソンを回り込ませ前記周縁部全周においてパリソンと溶着させる。
(3)前記インサートが他部材への取付面を有し、その取付面にデートマーク穴が形成され、前記ブロー成形金型はデートマーク形成部を有し、前記インサートを前記ブロー成形金型の内部にセットするとき前記デートマーク穴を前記デートマーク形成部に重ね、ブロー成形時にパリソンを前記デートマーク穴から張り出させ、前記デートマーク形成部に接触させて表面に立体のデートマークを形成する。
(a)ブロー成形された中空のブロー成形体とインサートが結合されたブロー成形体において、前記インサートが取付面を有し、その取付面に穴が形成され、ブロー成形体の前記穴を被う箇所に加圧気体の吹き込み針が貫通した穴が形成されている。
(b)ブロー成形された中空のブロー成形体とインサートが結合されたブロー成形体において、前記インサートが取付面を有し、その取付面にデートマーク穴が形成され、ブロー成形体の前記デートマーク穴を被う箇所の表面に立体のデートマークが形成されている。
さらに、本発明をスポイラー以外のものに適用した場合も、吹き込み針が貫通した穴やデートマークは、インサート付きブロー成形体を他部材に取り付けたとき該インサート付きブロー成形体の見栄えに影響しない。また、ブロー成形体とインサートの溶着がより確実なものとなり、ブロー成形体とインサートの結合をより強固にすることができる点でも、同様の作用を得ることが可能である。
図1に示すように、本発明に係るスポイラー1は、翼状の本体部2と、両端近傍の取付ステイ部3からなり、車体後部のトランクリッド4(図4参照)上にボルト・ナットにより固定される。
図3,4に示すように、取付ステイ部3には、予め別の工程で成形されたプラスチック製のカップ状のインサート5が配置され、本体部2を構成するブロー成形体10の一部が前記インサート5の内面に溶着している。インサート5のプラスチックは本体部2を構成する熱可塑性プラスチックと相溶性を有し、互いに溶着し得る。
また、インサート5の開口側周縁部には全周にわたり、図3,4に示すように、くさび状に先端に行くほど薄肉とされ、開口部内側に突出する突起部19が形成されている。
ブロー成形金型21の内部にインサート5をセットしたとき、インサート5の周壁6及び底面7は、基本的にブロー成形金型21の内周面に面接触するように構成され、ボルト9の先端が凹部23に位置し、穴(デートマーク穴)15がインサート金型24の位置に重なり、穴(吹き込み針穴)14の大径部が突出部25の位置に重なる。
なお、パリソンがインサート5のカップ状内部に膨出するとき、穴16〜18からカップ状内部に残存していた空気が抜け、これによりパリソンはインサート5の周壁6及び底壁7の内面に沿った形状に密着成形される。穴16〜18は加圧空気により押し付けられたパリソンが漏出しない程度に小径に形成されている。
なお、ブロー成形体10のうちスポイラー本体部2を構成する部分の外表面とインサート5の外表面は両者の接合部において滑らかにつながっている。
製造されたスポイラー1を車体のトランクリッド4に設置する際は、図4に示すように、位置決めピン11をトランクリッド4に形成された位置決め穴に差し込んで位置決めした後、ナット8及びボルト9を利用してトランクリッドに締結する。このようにインサート5の底面がトランクリッド4の取付面となるので、吹き込み針26により形成された穴29やデートマーク31がスポイラーのデザインを損なうことがない。
なお、上記の例ではインサート5は取付ステイ3のほぼ全部を占める形態を有していたが、取付ステイ3の一部又は大部分を占めるような形態であってもよい。
2 スポイラー本体部
3 取付ステイ部
5 インサート
10 ブロー成形体(パリソンが固化したもの)
14 吹き込み針が通る穴
15 デートマーク穴
19 くさび状の突起部
21,22 ブロー成形金型
24 デートマーク形成用インサート金型
26 吹き込み針
29 吹き込み針が貫通して形成された穴
31 デートマーク
Claims (8)
- 中空のスポイラー本体部と車体への取付ステイ部からなるスポイラーを製造するに際し、ブロー成形金型の内部に前記取付ステイ部を構成するインサートをセットし、型締めしてパリソンを挟み、ブロー成形によりパリソンを膨出させてスポイラー本体部を形成するとともに、前記インサートをパリソンと結合させるインサート付きブロー成形スポイラーの製造方法において、前記インサートとして底面に穴が形成されたカップ状のインサートを用い、その開口部を内側に向けて前記ブロー成形金型の内部にセットし、前記パリソン内部に加圧気体を吹き込む際に、前記インサートの穴を通して吹き込み針を突出させパリソン内部まで貫通させ、前記吹き込み針を通してパリソン内部に加圧気体を吹き込み、前記スポイラー本体部を形成するとともに、パリソンの一部を前記カップ状のインサートの内部に膨出させてその内面に溶着させることを特徴とするインサート付きブロー成形スポイラーの製造方法。
- 前記カップ状のインサートが前記パリソンと相溶性のあるプラスチックからなり、その開口側周縁部全周をくさび状に薄肉に形成し、前記周縁部にパリソンを回り込ませ前記周縁部全周においてパリソンと溶着させることを特徴とする請求項1に記載されたインサート付きブロー成形スポイラーの製造方法。
- 前記インサートは底面にデートマーク穴が形成され、前記ブロー成形金型はデートマーク形成部を有し、前記インサートを前記ブロー成形金型の内部にセットするとき前記デートマーク穴を前記デートマーク形成部に重ね、ブロー成形時にパリソンを前記デートマーク穴から張り出させ、前記デートマーク形成部に接触させて表面に立体のデートマークを形成することを特徴とする請求項1又は2に記載されたインサート付きブロー成形スポイラーの製造方法。
- ブロー成形された中空のスポイラー本体部と車体への取付ステイ部からなるスポイラーにおいて、前記取付ステイ部にはブロー成形とは別の工程で成形されたカップ状のインサートが配置され、前記インサートの底面が車体への取付面となり、ブロー成形により前記スポイラー本体部を構成するパリソンの一部が前記カップ状のインサートの内部に膨出してその内面に溶着しており、前記カップ状のインサートの底面に穴が形成されていて、ブロー成形体の前記穴を被う箇所に加圧気体の吹き込み針が貫通した穴が形成されていることを特徴とするインサート付きブロー成形スポイラー。
- 前記カップ状のインサートの底面にデートマーク穴が形成されていて、ブロー成形体の前記穴を被う箇所の表面に立体のデートマークが形成されていることを特徴とする請求項4に記載されたインサート付きブロー成形スポイラー。
- ブロー成形金型の内部にインサートをセットし、型締めしてパリソンを挟み、ブロー成形によりパリソンを膨出させるとともに前記インサートをパリソンと結合させるインサート付きブロー成形体の製造方法において、前記インサートは他部材への取付面を有し、その取付面に吹き込み針穴とデートマーク穴が形成され、前記ブロー成形金型はデートマーク形成部を有し、前記インサートを前記ブロー成形金型の内部にセットするとき前記デートマーク穴を前記デートマーク形成部に重ね、前記パリソン内部に加圧気体を吹き込む際に、前記インサートの吹き込み針穴を通して吹き込み針を突出させパリソン内部まで貫通させ、前記吹き込み針を通してパリソン内部に加圧気体を吹き込み、パリソンを前記デートマーク穴から張り出させ、前記デートマーク形成部に接触させて表面に立体のデートマークを形成することを特徴とするインサート付きブロー成形体の製造方法。
- 前記インサートが前記パリソンと相溶性のあるプラスチックからなり、その周縁部全周をくさび状に薄肉に形成し、前記周縁部にパリソンを回り込ませ前記周縁部全周においてパリソンと溶着させることを特徴とする請求項6に記載されたインサート付きブロー成形体の製造方法。
- ブロー成形された中空のブロー成形体とインサートが結合されたインサート付きブロー成形体において、前記インサートは他部材への取付面を有しその取付面に吹き込み針穴とデートマーク穴が形成され、ブロー成形体の前記吹き込み針穴を被う箇所に加圧気体の吹き込み針が貫通した穴が形成され、ブロー成形体の前記デートマーク穴を被う箇所の表面に立体のデートマークが形成されていることを特徴とするインサート付きブロー成形体。
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