JP4176598B2 - 合成樹脂製連結容器の製造方法 - Google Patents

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この発明は、合成樹脂製の連結容器に関するものである。とくに、この発明は、それぞれ開口を持った複数個の合成樹脂製容器が、隣接する胴部を平面状にして全面にわたって互いに溶着させており、溶着により強固に一体となった連結容器に関するものであり、またその製造方法に関するものである。
合成樹脂製連結容器は知られている。最も簡単なものは、開口を持ち胴部の膨らんだ合成樹脂製容器を1個ずつ別々に成形しておき、これを複数個並べて向き合った胴部同士を互いに接着剤で接着するか、又はシュリンクフィルムで束ねて一体にした連結容器である。しかし、こうして連結容器とするには、各容器の接着又は接触する胴部表面を正確な平面に成形する必要があって、各容器の成形に格別の技術が必要とされる上に、各容器をあとで接着したり、又はフィルムを当接したりしなければならないという煩わしさがあるため実用的でない。その上に接着剤が時に外面に滲出して外観を損じるために、常に良質の連結容器を作ることが困難である。
実用新案登録第2568993号公報は、インジェクションブローによって合成樹脂製連結容器を製造することを記載している。すなわちこの公報は、まず射出成形によって予備成形体を作り、次いで予備成形体を吹込成形型に移して予備成形体内に気体を吹き込み、容器胴部を膨らませて合成樹脂製連結容器を作ることを記載している。しかし、この公報は、吹込成形によって作った容器の胴部側面を近接又は当接させるだけとして、接着させるには至っていない。そのために、この公報は、射出成形によって予備成形体を作るとき、2個の予備成形体の間に連結片を作って、連結片によって2個の成形体を接続することとしている。
上記の実用新案登録第2568993号公報は、上述のように、各容器の膨らんだ胴部同士を互いに接着させるに至っていない。その理由は、胴部同士を接着させようとすると、接着面が平面とならずに形の定まらない湾曲面となって容器の形が崩れてしまうからである。すなわち、容器の胴部同士を直接接着させようとすると、胴部を高い温度の溶融状態に維持し、膨らませると同時に溶着させなければならないが、このようにすると溶着面同士を支えるものがないために、溶着面が平坦な平面とならないで時と場所によって色々な形に湾曲し、各容器の形が崩れてしまうからである。上記の実用新案登録公報は、各予備成形体の間に仕切部材を挿入して吹込成形を行っているが、この仕切部材は吹込成形の最後まで介在させて胴部に部分的な凹凸を形成するためのものに過ぎない。
上記公報が教えるように、各容器を連結片によって連結したのでは、連結片が開口を形成する筒の中間に設けられることとなるので、開口に蓋を被せようとするとき、連結片が妨害となって、蓋を充分な深さまで被せることができない。蓋を充分な深さまで被せようとすると、開口から連結片に至るまでの筒の長さを大きくしなければならない。ところが、このような筒の長さを大きくすると、肝心な胴部よりも筒部が大きな体積を占めることとなって、原料樹脂の利用効果が低下するとともに容器の形状が悪くなる。そればかりでなく、連結片によって連結状態に維持しているだけでは、連結容器全体の結合が弱くて分離し易いという問題を生じる。
実用新案登録第2568993号公報
この発明は、上述の問題を解決して、隣接する複数個の容器が膨らんだ胴部同士を互いに溶着させて、強固に一体となった連結容器を提供しようとするものである。その際、連結容器では、溶着された胴部が全面にわたって平面状となっていて、各容器が形を崩していない連結容器を提供しようとするものである。
この発明者は、実用新案登録第2568993号公報が教えるインジェクションブローによる連結容器の製造方法において、射出成形によって作った予備成形体が、吹込成形型内で胴部を膨張させるとき、互いに溶着し合う直前まで胴部間にシャッターを介在させて、胴部の忌わしい変形を避けることとし、胴部同士がまさに溶着し合う直前に、シャッターを吹込成形型の外へ移動させて吹込成形を完了させると、胴部が平面となって溶着し合い、ここに溶着胴部の崩れていない連結容器が得られることを見出した。この発明はこのような知見によって完成されたものである。
この発明は、合成樹脂製連結容器とその製造方法とを含んでいる。そのうちの連結容器に関する発明は、筒状の開口部と、これに連なる膨らんだ有底胴部とが一体に形成された複数個の熱可塑性合成樹脂製容器が、その開口を同じ方向に向けて並び、隣接する各容器の向き合った胴部同士が、互いに溶着されて全面にわたって1つの平面を形成して、一体とされていることを特徴とするものである。
また、製造方法に関する発明は、複数個の試験管状の有底筒状体を間隔をおいて並べた形状の予備成形体を射出成形法によって作り、各筒状体の開口部を掴んで予備成形を連結容器形状の型窩を持った吹込成形型に入れ、開口部以外の部分を型内で宙吊りにして溶融状態に維持し、各筒状体の間に平面状のシャッターを挿入するとともに、各筒状体の開口からそれぞれ所定量の気体を圧入して各筒状体を膨らませ、膨らんだ部分同士が互いに接触する直前に、シャッターを吹込成形型の外へ移動させ、その後に各筒状体内へ気体を圧入して隣接する筒状体の向き合った胴部同士を溶着させることを特徴とするものである。
この発明に係る合成樹脂製の連結容器は、筒状の開口部と、これに連なる膨らんだ有底胴部とが一体に形成された複数個の合成樹脂製容器が、その開口を同じ方向に向けて並び、隣接する各容器の向き合った胴部同士が互いに溶着されて全面にわたって1つの平面を形成して一体とされているから、形状の崩れていない容器が互いに強く結合し合って一体となっている。従って、この連結容器は、複数種の溶液又は粉末を別々に保管しておいて、使用の直前に混合する必要のある物を収容するのに広く使用することができる。例えば、毛染め用染料、接着剤、芳香洗浄剤などを収容するのに広く使用することができる。
また、隣接する各容器の開口部の下端が初めに連結片によって連結されていると、各容器間の連結が一層強固となる。とくに、この連結片を合成樹脂により初めの成形段階で作っておくと、連結容器の製造が容易となる。また連結片を隣接する容器の肩部内にめり込ませておくと、連結容器の美観が向上し、しかも開口部に栓を付設するのに妨げとならないので好都合である。
また、この発明に係る連結容器の製造方法では、複数個の試験管状の有底筒状体を間隔をおいて並べた形状の予備成形体を射出成形によって作り、各筒状体の開口部を掴んで予備成形体を連結容器状の型窩を持った吹込成形型に入れ、開口部以外の部分を型内で宙吊りにして溶融状態に維持し、吹込成形を行うこととして、いわゆるインジェクションブロー法によって連結容器を製造することとしているから、連結容器を能率よく製造することができる。
また、この製造方法では、吹込成形を行うにあたり、各筒状体の間に平面状のシャッターを挿入するとともに、各筒状体の開口からそれぞれ所定量の気体を圧入して各筒状体を膨らませるので、各筒状体はシャッターにより胴部が忌わしい変形を起こすのを防ぐことができる。そして、膨らんだ部分同士が互いに接触しようとする直前に、シャッターを吹込成形型の外へ移動させ、その後も各筒状体に気体を圧入するので、隣接する筒状体の向き合った胴部同士が平面状となって互いに溶着し合い、ここに溶着により強固に一体となった連結容器が得られる。しかも、この連結容器は、溶着し合った胴部同士が平面状となるので、各容器の形が崩れていなくて外観のよいものとなる。従って、この連結容器は実用上の価値が大きい。
この発明を実施の一例について図面に基づき説明すると、次のとおりである。図1及び図2は、何れもこの発明に係る連結容器を示し、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)は(b)におけるC−C線断面図である。
図1に示したこの発明に係る連結容器は、筒状の開口部1と、これに連なる膨らんだ有底胴部2とが、何れも熱可塑性樹脂で一体に成形された容器Xと容器Yとが開口を同じ方向に向けて並び、容器Xと容器Yとの向き合った胴部2同士が、全面にわたって溶着されて、1つの平面状溶着面3を形成して一体とされている。
開口部1の外面には、蓋を付設するためのアンダーカット又は雄ねじが付設されている。雄ねじ11は、開口部1の全面にわたって、胴部2に接する根元まで延ばすことができる。このために、充分な深さを持ったキャップを付設することができ、容器を気密に保持しやすくなる。また、雄ねじ11は、1つの連続した螺旋でなくて途中で切断されていてもよい。但し、螺旋のピッチは同じであることが必要とされる。
胴部2を構成する合成樹脂の肉厚は、開口部1を構成する合成樹脂の肉厚よりも小さくなっている。これは胴部2を大きく膨らませた結果である。
図2に示したこの発明に係る連結容器は、容器Xの開口部1と容器Yの開口部1との間に連結片4が形成されて、連結片4によっても接続されている。連結片4は、それぞれの容器X及びYの開口部1の下端に付設され、容器を構成する樹脂で容器と一体に作られている。
図2に示した連結容器では、開口部1の外面には蓋を係止するためのアンダーカット12が付設されている。また、図2の連結容器では、連結片4が容器X及びYの肩部の中にめり込んでいて、(a)に示したように、連結容器の側面では全く見えないが、(b)に示したように、連結容器の平面図で見ることができるが、それにしても連結片4は容器X及びYと同じ樹脂で作られているから、平面図(b)でも目立たない。連結片4はのちに述べる連結容器の製造方法において、2つの筒状体を一体にして移動させる際に役立つ。
図1及び図2では連結容器として2個の容器が連結された例を示したが、容器の数は2個に限らず、3個以上であってもよい。また、3個以上の容器が連結される場合には、これら容器が一列に並んでいてもよいが、ジグザグに並んでいてもよく、また三角形又はさらに多い多角形状に並んでいてもよい。
また、この発明に係る連結容器は、図1及び図2に示したように、各容器XとYとが底すぼみとされた形状のものに限らない。例えば、図7に示したように、容器XとYとの胴部が上から下まで一様な断面を持つものとすることができる。
この発明に係る連結容器を製造するには、例えば次のようにする。まず、初めに熱可塑性樹脂を材料として図3に示したように、2個の試験管状の有底筒状体AとBとを間隔をおいて並べた形状の予備成形体を射出成形法によって作る。次いで、予備成形体を加熱装置に入れて加熱する。このとき、予備成形体は、射出成形用型の一部で筒状体の開口部を成形した外型Dによって掴んで加熱装置に入れることが好ましい。
加熱装置は、図4に示したように、筒状体A及びBの内部を加熱する内部加熱具Eと、筒状体A及びBの外面を加熱する外部加熱具Fとからなる。こうして、各筒状体A及びBは、この加熱装置内で胴部を内面と外面とから加熱される。
次いで予備成形体は、外型Dによって捕まれたまま、図5に示したように、連結容器状の型窩を持った吹込成形型Gに入れられる。成形型G内では、予備成形体の開口部以外の部分は溶融された状態にあって、宙吊りにされる。そのとき、吹込成形型Gの内部には平面状のシャッターHが付設されており、シャッターHは2個の筒状体AとBとの間を隔てている。
次いで各筒状体A及びBの開口部へは、図5に示したように、別々に空気吹込具Jが付設されて、吹込具Jからそれぞれ所定量の加圧空気が圧入される。すると、各筒状体は胴部が膨れて図6に示したような状態となる。所定量の空気が圧入されることにより各筒状体A及びBが膨らみ、膨らんだ胴部がまさに接触しようとする直前に、シャッターHを吹込成形型Gの外へ移動させる。こうして、図6に示した状態で、さらに筒状体A及びBの中へ空気が圧入される。
このようにすると、各筒状体A及びBの胴部は、膨らむ過程の初期にシャッターHによって忌わしい変形が防止されて、シャッターHの存在する位置まで膨張する。こうして、隣接する胴部同士が接触するとき、シャッターHが除かれるから、隣接する胴部は直前にシャッターHの存在していた位置で接触し、接触面は1つの平面状を呈することとなる。その後、さらに各筒状体内へ空気を圧入することにより、各筒状体はさらに膨張せしめられ、接触面の溶着を強化するとともに、吹込成形型に密接して、胴部同士が平面で溶着した所望形状の連結容器を得ることができる。
この発明方法は、上述のようにして、複数個の容器が胴部で互いに溶着し、溶着面が1つの平面となって全面的に溶着された強固な連結容器を能率よく成形できる、という利益をもたらす。
この発明では熱可塑性樹脂として色々な樹脂を使用することができるが、そのうちでもポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリオレフィン、ポリスチレンを使用した場合に良質の連結容器が得られる。とくにPETを材料とした場合には、反撥弾性が大きくて強靭であり、しかも透明で美麗な連結容器とすることができる。
また、図2に示したような、連結片4を備えた連結容器は、図3に示した予備成形体を作るとき、筒状体AとBとの間に連結片4を成形することによって作ることができる。連結片4を設けておくと、既に触れたように、吹込成形時に筒状体AとBとが連結片4によって固定できるので、吹込成形がし易く、また連結容器としたあとも各容器が連結片によって結合されているので強固な連結容器が得られる、という利点がある。
なお、筒状体胴部の中央部近くに連結片のある予備成形体を作り、これを吹込成形用型に入れてこの発明方法を実施した場合には、得られた連結容器を仔細に見ると、連結片の近くで容器の胴部間に隙間が生じていて、厳密に云うと胴部同士が全面にわたって溶着していないように見えることがあるが、それは連結片を設けたために起きたことであり、またその隙間は通常小さなものであるから、このような場合には、溶着面は全面にわたって1つの平面を形成していると見るべきであって、この発明に係る連結容器に入るものである。
この発明に係る連結容器を示したものである。 この発明に係る他の連結容器を示したものである。 この発明に係る連結容器の製造方法において、予備成形体を射出成形用型から取り出した状態を示す。 この発明に係る連結容器の製造方法において、予備成形体を加熱している状態を示す。 この発明に係る連結容器の製造方法における、吹込成形の初期の段階を示す。 この発明に係る連結容器の製造方法における、吹込成形の後期の段階を示す。 この発明に係るさらに別の容器を示したものである。
符号の説明
1 開口部
2 胴部
3 平面状溶着面
4 連結片
11 雄ねじ
12 アンダーカット
A、B 有底筒状体
D 外型
E 内部加熱具
F 外部加熱具
G 吹込成形型
H シャッター
J 吹込具
X、Y 容器

Claims (3)

  1. 複数個の試験管状の有底筒状体を間隔をおいて並べた形状の予備成形体を合成樹脂で射出成形法によって作り、各筒状体の開口部を掴んで予備成形体を連結容器形状の型窩を持った吹込成形型に入れ、開口部以外の部分を型内で宙吊りにして溶融状態に維持し、各筒状体の間に平面状のシャッターを挿入するとともに、各筒状体の開口からそれぞれ所定量の気体を圧入して各筒状体を膨らませ、膨らんだ部分同士が互いに接触する直前に、シャッターを吹込成形型の外へ移動させ、その後に各筒状体に気体を圧入して隣接する筒状体の向き合った胴部同士を溶着させることを特徴とする、合成樹脂製連結容器の製造方法。
  2. 前記予備成形体を吹込成形型に入れる前に、予備成形体を加熱装置に入れて開口部以外の部分を溶融することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記加熱装置内では予備成形体中の各筒状体を内部からと外面から加熱することを特徴とする、請求項2に記載の方法。
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