JP4958657B2 - 自動車用のシフトレバー装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車に設けられた変速機に変速操作を行わせるべくシフトレバーを前後方向および左右方向に傾倒操作可能に構成された、運転席の近傍に設けられる自動車用のシフトレバー装置に関するものである。
従来、特許文献1によって開示された図8に示すような自動車用のシフトレバー装置が知られている。なお、図8は、従来のシフトレバー装置90の一例を示す図であり、図8(A)は、全体斜視図を、図8(B)は、シフトレバー装置90に装着されるボールシート92(特許文献1では樹脂製本体1)の斜視図を、図8(C)は、図8(B)のVIIIC−VIIIC線断面図をそれぞれ示している。
まず、図8(A)に示すように、シフトレバー装置90は、自動車のフロアの適所に取り付けられるベース部材91と、このベース部材91の頂部に装着されるボールシート92と、このボールシート92に前後左右へ回動可能に包持される被包持ボール93(特許文献1では大球部6)と、この被包持ボール93の上面から径方向に上方へ向けて突設されたシフトレバー94とを備えている。
ボールシート92は、図8(B)に示すように、内面が被包持ボール93の表面に摺接する円弧面を備えた複数の包持片921を有している。そして、隣設される包持片921間には、下縁部から切り込まれて形成された状態のスリット922がそれぞれ設けられている。かかるボールシート92は、下面に径寸法が被包持ボール93のそれより若干小さい下面開口923が形成されていると共に、上面にも同様の上面開口924が形成されている。下面開口923は、被包持ボール93をボールシート92に装着するときの入口であり、上面開口924は、被包持ボール93がボールシート92に装着された状態でシフトレバー94を上方に突出させるためのものである。
かかる構成のシフトレバー装置90によれば、当該シフトレバー装置90の組み付け作業時に、シフトレバー94を下面開口923および上面開口924に貫通させ、引き続き被包持ボール93をボールシート92内に押し込むことにより、各包持片921が外方に向かって弾性変形して下面開口923がスリット922の広がりで拡径したのち元に戻るため、被包持ボール93は、複数の包持片921によりそれぞれの内面と摺接状態で包持された状態になる。
そして、被包持ボール93がボールシート92に装着された後には、当該被包持ボール93は、周囲の各包持片921により適度の押圧力で押圧されているため、シフトレバー94を常に適度の手応えで操作することができる。
このように、包持片921間にスリット922を設けることにより、被包持ボール93のボールシート92に対する組み付け性が向上するとともに、ボールシート92や被包持ボール93に多少の寸法的なバラツキが存在しても、当該スリット922の拡幅により当該バラツキが吸収され、かつ、常に適正なシフトレバー94の操作性を確保することができる。
特開平7−332476号公報
しかしながら、特許文献1に記載のシフトレバー装置90にあっては、ボールシート92の構成要素である各包持片921は、ボールシート92を支持する支持体から垂下されているだけであるため、シフトレバー94が大きな無理な力で操作されたときなど、操作方向と反対側の包持片921が外方に向かうように大きな力を受けることになり、これによってその包持片921が外方に向かって弾性変形してしまうという不都合の生じることがある。
そして、包持片921が弾性変形すると、シフトレバー94の確実な節度感を得ることができなくなり、シフトレバー94の操作性が悪くなるばかりか、ボールシート92の破損にもつながるという問題点も有している。
本発明は、従来のかかる問題点を解消するためになされたものであり、被包持ボールのベース部材(本発明ではベースプレート)に対する良好な組み付け性を確保しつつ、各包持片の剛性を向上させることができ、これによって組み付けが完了した状態でシフトレバーの良好な操作性を確保することができる自動車用のシフトレバー装置を提供することを目的としている。
発明は、自動車の車体に固定されるベースプレートと、このベースプレート頂部に形成されたボール装着筒体と、このボール装着筒体に上面開口から装着されるボールシートと、このボールシートに包持状態で装着される被包持ボールと、この被包持ボールから径方向に延びるように立設されたシフトレバーと、前記ボール装着筒体の上縁部に装着された状態でボールシートを介しボール装着筒体に装着された被包持ボールを抜け止めするアッパーサポートとを備えてなる自動車用のシフトレバー装置において、前記ボールシートは、内面形状が前記被包持ボールの外面に対応した湾曲内面を有し、かつ、所定のスリットを介して互いに隣接されて内面側が全体的に被包持ボールの外周面に対応した凹球面を形成する複数の包持片を備え、前記包持片には、外面側に前記スリットと平行に延びる補強用の第1リブが設けられ、前記第1リブは、前記ボールシートが前記ボール装着筒体に嵌め込まれた状態で、当該ボール装着筒体の内周面に当接するように寸法設定されている一方、前記ボール装着筒体の内周面には、上下方向に延び、前記スリットに嵌め込んで、前記スリットの変形を規制する第2リブが設けられていることを特徴とするものである。
かかる構成によれば、被包持ボールがボールシートを介してボール装着筒体に嵌め込まれることによりシフトレバーが被包持ボールを介してベースプレートに装着される。その後、アッパーサポートをボール装着筒体に装着することにより、被包持ボールは、当該アッパーサポートによりボール装着筒体から抜け止めされた状態になる。
そして、ボールシートは、内面形状が被包持ボールの外面に対応した湾曲内面を有し、かつ、所定のスリットを介して互いに隣接されて内面側が全体的に被包持ボールの外周面に対応した凹球面を形成する複数の包持片を備えているため、被包持ボールをボールシートに装着するに際しては、各包持片を広げた状態で当該被包持ボールを複数の包持片に容易に包持させることができる。また、包持片には外面側にスリットと平行に延びる補強用の第1リブが設けられているため、被包持ボールは、各包持片の基端側のみの弾性変形で一旦広がった複数の包持片で包持された後は、第1リブにより保形性が確保された各包持片により確実に包持される。
また、ボールシートがボール装着筒体に嵌め込まれた状態で第1リブがボール装着筒体の内周面に当接するため、この当接によって各包持片が広がるような不都合が生じることはなく、被包持ボールは、常に確実に複数の包持片により包持された状態になる。
さらに、ボールシートがベースプレートのボール装着筒体に一旦嵌め込まれると、各包持片間のスリットにボール装着筒体の内面側の第2リブが嵌り込み、包持片はこの第2リブに阻止されて変形することが防止されるため、被包持ボールは、ボールシートによって確実に包持される。
本発明に係る自動車用のシフトレバー装置によれば、被包持ボールを包持するボールシートは、内面形状が被包持ボールの外面に対応した湾曲内面を有し、かつ、所定のスリットを介して互いに隣接されて内面側が全体的に被包持ボールの外周面に対応した凹球面を形成する複数の包持片を備えているため、被包持ボールをボールシートに装着するに際しては、各包持片を広げた状態で当該被包持ボールを複数の包持片に容易に包持させることができる。
また、包持片には外面側にスリットと平行に延びる補強用の第1リブが設けられているため、各包持片は、基端側のみの弾性変形で一旦広がって被包持ボールを包持したのち第1リブにより保形性が確保された状態でより確実に被包持ボールの包持を継続することができる。
さらに、ボールシートがベースプレートのボール装着筒体に一旦嵌め込まれると、各包持片間に形成されたスリットは、第2リブによりその変形が規制されるようになされているため、被包持ボールをボールシートによって常に確実に包持することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る自動車用シフトレバー装置が自動車に装着された状態の一例を示す一部切欠き斜視図である。なお、図1においてX−X方向を左右方向、Y−Y方向を前後方向といい、特に−X方向を左方、+X方向を右方、−Y方向を前方、+Y方向を後方とう。
図1では、本実施形態に係るシフトレバー装置20として、レバーによるシフト操作をマニュアル(手作業)で行う、いわゆるマニュアルシフト装置を示しているが、本発明に係るシフトレバー装置は、シフト変更操作および変速操作の双方を手作業で行う、いわゆるマニュアルシフト装置に限定されるものではなく、シフト変更操作は手作業で行うが、変速操作が自動的に行われる、いわゆるオートマチックシフト装置にも適用することができる。
図1に示すように、シフトレバー装置20は、自動車10の室内における運転席111と助手席112とからなる前席11の若干前方位置であって、運転席111および助手席112間のフロア(車体)12上に装着されている。具体的には、フロア12上におけるダッシュボード13の下方位置にシフトレバー装置20を支持するためのレバー装置支持フレーム14が設けられている。
前記レバー装置支持フレーム14は、フロア12から立設された所定の高さ寸法を備えた板状立設フレーム141と、この板状立設フレーム141の上部位置から後方に向かって先下がりに傾斜するように突設された板状の上部傾斜フレーム142と、板状立設フレーム141の下部位置から上部傾斜フレーム142と対向するように平行に突設された下部傾斜フレーム143とを備えている。
上部傾斜フレーム142は、シフトレバー装置20の後述する上部ボルト座32をボルト止めで固定するためのものであり、同下部傾斜フレーム143は、シフトレバー装置20の後述する下部ボルト座33をボルト止めで固定するためのものである。
そして、シフトレバー装置20は、このようなレバー装置支持フレーム14に取り付けられた状態で、レバーシャフト(シフトレバー)54の上端の後述する操作ノブ55が運転席111に着座した運転者の延ばす左手の掌に自然と当たるように設置位置および設置寸法が設定されている。
図2は、シフトレバー装置20の一実施形態を示す分解斜視図であり、図3は、その組み立て斜視図である。また、図4は、図3のIV−IV線断面図である。図2〜図4におけるXおよびYによる方向表示は、図1の場合と同様(Xは左右方向(−X:左方、+X:右方)、Yは前後方向(−Y:前方、+Y:後方))である。なお、図2および図3においては、各部材の各所において肉盗みのために設けられた凹部や肉盗み孔さらには射出成形処理時にできる型抜き孔等は図示を省略している。
まず、図2に示すように、シフトレバー装置20は、硬質の合成樹脂製の上下方向に長尺のベースプレート30と、このベースプレート30の上部に装着されるボールシート40と、このボールシート40に支持されるレバー部材50と、このレバー部材50のボールシート40を介した支持状態を安定させるべく前記ベースプレート30の頂部に取り付けられるアッパーサポート60とを備えた基本構成を有している。
前記レバー部材50は、コイルスプリング21の付勢力で左右への操作に対し常に中立位置へ戻されるように付勢されている。因みに、コイルスプリング21は、図3に示すように、スプリング支持部材22に支持された状態でベースプレート30の適所に装着されている。レバー部材50は、左右に操作された後に当該操作を止めることにより、このコイルスプリング21の付勢力で直立した元の中立姿勢(図3)に戻るようになっている。
前記ベースプレート30は、外観形状が上下方向に長尺の直方体状を呈した角柱体31と、この角柱体31の上部から左右に突設された一対の上部ボルト座32と、角柱体31の下部から左右に突設された一対の下部ボルト座33と、角柱体31の頂部に形成され、かつ、前記ボールシート40を介してレバー部材50の後述する被包持ボール51が装着されるボール装着筒体34とを備えている。
前記各ボルト座32,33は、前記レバー装置支持フレーム14の上下の傾斜フレーム142,143に対応するように左方(−Xの方向)から見た側面視で前方に向かって先上がりに傾斜して形成されている。かかる各ボルト座32,33には、それぞれ装着用の貫通孔321,331が穿設されている。これら各貫通孔321,331には、ゴム製の環状緩衝材39が装着される。ベースプレート30は、この環状緩衝材39に差し通されたボルトBが前記上下の傾斜フレーム142,143に貫通された状態で図略のナットにより締結されることによって上下の傾斜フレーム142,143を介してレバー装置支持フレーム14に固定される。
前記ボール装着筒体34は、前記ボールシート40が嵌め込まれる円筒状の筒体本体35と、この筒体本体35の上縁部から径方向に外方に向けて突設されたフランジ部36と、このフランジ部36の上面から同心で上方に向かって突設された、アッパーサポート60が外嵌される環状堰部37とを備えている。
前記筒体本体35は、円形の底板351と、この底板351の周縁から立設された周壁352とを有している。周壁352の内径寸法は、ボールシート40の外形寸法より若干大きめに設定されているとともに、周壁352の上下寸法は、ボールシート40の上下寸法より僅かに長めに設定されている。底板351には、適所にボールシート40の後述する位置決め突起411に対応した位置決め孔351aが設けられている。また、周壁352の内面側の適所には、ボールシート40の後述するスリット424に対応した位置に上下方向に延びる複数本の周壁側リブ(第2リブ)352aが設けられている。
このような筒体本体35には、左方位置にレバー部材50の被包持ボール51から左方へ向けて突設された第1アーム52を通すべく上縁部から切り欠かれた状態の第1切欠き窓353が設けられているとともに、前方位置に被包持ボール51から前方に向けて突設された第2アーム52を通すべく上縁部から切り欠かれた状態の第2切欠き窓354が設けられている。
前記フランジ部36は、環状堰部37に外嵌されたアッパーサポート60を受けるためのものであり、アッパーサポート60の下縁部がこのフランジ部36に受けられることにより、それ以上の嵌り込みが阻止される。かかるフランジ部36は、前記第1および第2切欠き窓353,354の縁部にも沿うように形成され、これによって第1および第2切欠き窓353,354はフランジ部36によって縁取りされた状態になっている。
前記環状堰部37は、内径寸法が筒体本体35の外形寸法より若干大きめに設定されている。かかる環状堰部37の外周面には、後述するアッパーサポート60側の係止突条622に対応するように外方に向かって突設されたベースプレート30側の4つの係止突起371が設けられている。これらの係止突起371は、周方向で必ずしも等ピッチではないが適正にバランスするように設置位置が設定されている。
また、環状堰部37の周面の適所には、後述するアッパーサポート60側の係止突条622(図5、図6)に対応するように突設された上下方向に延びる環状堰部37側の係止突条372(図2、図6)が設けられている。そして、アッパーサポート60を環状堰部37に外嵌した状態における当該アッパーサポート60の軸心回りの捻り操作により、前記係止突起371,622同士および前記係止突条372,622同士が互いに干渉し合い、これによる環状堰部37およびアッパーサポート60の弾性変形により、アッパーサポート60の環状堰部37への装着状態が安定するようになされている。
前記ボールシート40は、レバー部材50の前後方向および左右方向への操作を可能とするべく被包持ボール51を包んだ状態で支持するためのものである。かかるボールシート40は、基礎リング体41と、この基礎リング体41の上面から上方に向けて突設された、被包持ボール51を包持するための複数の包持片42と、各包持片42の頂部にそれぞれ形成されたフランジ片43とを備えている。
前記基礎リング体41は、外径寸法が前記ボール装着筒体34の筒体本体35の内径寸法より僅かに小さめに設定され、これによって摺接状態で筒体本体35内に装着され得るようになっている。かかる基礎リング体41の底面には、前記筒体本体35の底板351に穿設された位置決め孔351aに嵌め込まれる位置決め突起411が設けられている。かかる位置決め突起411を位置決め孔351aと対応させた状態でボールシート40を筒体本体35に嵌め込むことで、ボールシート40の筒体本体35内での周方向の位置決めが行われる。
前記各包持片42は、内面側が被包持ボール51の曲面に摺接するように球曲面に形成されている。かかる包持片42は、筒体本体35の第1および第2切欠き窓353,354に対応した部分には設けられていない。すなわち、ボールシート40における第1切欠き窓353に対応した部分には第1アーム52を通す第1隙間421が形成されていると共に、同第2切欠き窓354に対応した部分には第2隙間422が設けられている。
前記包持片42は、本実施形態においては、5つが設けられているが、5つであることに限定されるものではなく、4つ以下であってもよいし、6つ以上であってもよい。
そして、各包持片42の外面側には、上下方向に延びる補強リブ(第1リブ)423がそれぞれ設けられていると共に、隣設する各包持片42間には、スリット424がそれぞれ形成されている。スリット424は、前記フランジ片43にも亘っている。前記各補強リブ423は、基礎リング体41の周縁部の上面から上方に向かうに従い径方向の外方に向かうように傾斜して形成されている。
従って、ボールシート40を上面開口からボール装着筒体34の筒体本体35内に嵌め込んで行くことにより、各補強リブ423が筒体本体35の内壁面と干渉する。包持片42は、この干渉による弾性変形でボールシート40の上下方向に延びる中心線に向かって弾性変形し、これによって前記各スリット424が狭くなった状態でボールシート40の内部に納められたレバー部材50の後述する被包持ボール51を確実に包持することができる。
前記レバー部材50は、前記ボールシート40に嵌め込まれた状態でベースプレート30のボール装着筒体34に装着される被包持ボール51と、この被包持ボール51から左方に向かって突設された第1アーム52と、同前方へ向かって突設された第2アーム53と、同上方へ向かって突設されたレバーシャフト54とを備えている。
前記被包持ボール51は、半径寸法が筒体本体35へ嵌め込まれる前の包持片42の内面側の曲率半径より若干短めに設定されている。そして、被包持ボール51を支持したボールシート40が筒体本体35に嵌め込まれることによる各包持片42のボールシート40中心線へ向かう弾性変形により、被包持ボール51は、各包持片42により確実に包持された状態になる。この状態で被包持ボール51は、全方向に亘って回動することができる。
前記第1および第2アーム52の先端にはそれぞれ連結球体521,531が設けられている。そして、これらの連結球体521,531が図略の連結部材やワイヤを介して図略の変速機に接続されている。従って、レバーシャフト54を操作することにより、この操作が各連結球体521,531、連結部材およびワイヤを介して変速機へ伝達され、変速機で速度のシフトが変更されるようになっている。
前記レバーシャフト54の上部には雄ネジ541が螺設され、この雄ネジ541に操作ノブ55が外嵌されて螺着される。運転者は、この操作ノブ55を把持してレバー部材50を操作する。
前記アッパーサポート60は、被包持ボール51を包持したボールシート40がボール装着筒体34に嵌め込まれた状態で、当該ボールシート40を抜け止めするとともに、被包持ボール51の上面を押さえて当該被包持ボール51のガタツキを防止するためのものである。
以下、かかるアッパーサポート60について図5を基に、必要に応じて図1〜図4を参照しながら説明する。図5は、アッパーサポート60の一実施形態を示す一部切欠き斜視図であり、図5(A)は斜め上から見た図、図5(B)は、斜め下から見た図である。なお、図5におけるXおよびYによる方向表示は、図1の場合と同様(Xは左右方向(−X:左方、+X:右方)、Yは前後方向(−Y:前方、+Y:後方))である。
図5に示すように、アッパーサポート60は、扁平な二重筒構造で形成され、内筒体61と外筒体62とが環状天板63により一体化された基本構成を有している。前記内筒体61は、前記ベースプレート30の環状堰部37に内嵌されるものであり、上面開口から下面開口に向かうに従い内径寸法が漸減するように形成された漏斗状内壁面611を有し、この漏斗状内壁面611の範囲内でレバーシャフト54が被包持ボール51の中心回りに回動し得るようになっている。これに対し、内筒体61の外周面は、上下方向の全長に亘り略同一径寸法に設定されている。
前記漏斗状内壁面611によって囲繞された空間により、レバーシャフト54を通す上下方向に延びた貫通孔612が形成されている。
前記外筒体62は、前記ベースプレート30の環状堰部37に外嵌されるものであり、上下寸法が内筒体61のそれより若干短めに設定されている。これによって内筒体61が環状天板63により外筒体62と一体化された状態で内筒体61の下端を外筒体62の下端より下方に位置することになる。このようにされるのは、外筒体62が環状堰部37に外嵌されることによりアッパーサポート60がベースプレート30に装着されて外筒体62の下端縁部がフランジ部36に当接された状態で、内筒体61の下端部をフランジ部36よりさらに下位に位置させ、これによって筒体本体35内の被包持ボール51の上面を確実に押さえることができるようにするためである。
そして、内筒体61の外周面と外筒体62の内周面との間には、ベースプレート30の環状堰部37を差し込むための環状隙間64が形成され、この環状隙間64が環状堰部37に外嵌されることにより、アッパーサポート60がベースプレート30に装着されことになる。
前記外筒体62の下部の内壁面には、環状堰部37の外周面に突設された前記ベースプレート30側の4つの係止突起371と対応するようにアッパーサポート60側の係止突起621が4つ設けられている。アッパーサポート60側の各係止突起621は、環状堰部37に外嵌されたアッパーサポート60をボール装着筒体34の筒心回りに上方から見て時計方向に回転させることにより、それぞれ対応したベースプレート30側の係止突起371の下部に摺接状態で潜り込むことができるように設置位置および設置寸法が設定されている。
また、外筒体62の後部の内面側には、ボール装着筒体34の筒体本体35の後部外面に突設された前記係止突条372に対応する係止突条622が互いの傾斜面を対向させた状態で膨設されている。従って、アッパーサポート60を筒体本体35に外嵌した状態で、当該アッパーサポート60をボール装着筒体34の筒心回りに時計方向に回動操作することにより、各係止突条372,622の傾斜面同士が互いに摺接し合い、これによる筒体本体35の径方向内包に向かう弾性変形およびアッパーサポート60の外筒体62の径方向外方に向かう弾性変形により、アッパーサポート60の筒体本体35への装着状態が安定する。
図6は、ベースプレート30側およびアッパーサポート60側の各係止突起371,621の位置関係を判り易く説明するべく平面断面視で示した説明図であり、図6(A)は、各係止突起371,621が互いに係止される直前の状態、図6(B)は、各係止突起371,621が互いに係止された状態をそれぞれ示している。なお、図6におけるXおよびYによる方向表示は、図1の場合と同様(Xは左右方向(−X:左方、+X:右方)、Yは前後方向(−Y:前方、+Y:後方))である。
まず、図6に示すように、アッパーサポート60の環状隙間64は、ボール装着筒体34の環状堰部37そのものが嵌め込まれる細幅隙間641と、この細幅隙間641の溝幅が広げられて形成した、ベースプレート30側の各係止突起371が嵌め込まれる広幅隙間642とからなっている。広幅隙間642は、係止突起371に対応して4個所に形成されている。
かかる広幅隙間642は、ベースプレート30側の係止突起371が嵌め込まれた状態で、アッパーサポート60をボール装着筒体34の筒心回りに所定角度(回動可能角度θ、本実施形態ではθ≒10°)だけ回動することができるように、設置位置および周方向の長さ寸法が設定されている。
すなわち、ボール装着筒体34の筒体本体35の筒心Oを通る筒体本体35の前後方向に延びた方向線(筒体本体側方向線L1)に対し、アッパーサポート60が筒体本体35に装着された直後のアッパーサポート60側の同様の方向線(アッパーサポート側方向線L2)は、平面視で回動可能角度θだけ傾斜した状態になっている。
従って、図6(A)に示すように、アッパーサポート60を環状堰部37に外嵌したのち当該アッパーサポート60をボール装着筒体34の筒心O回りに時計方向にθ(略10°)だけ回動させると、アッパーサポート60側の各係止突起621が、図6(B)に示すように、それぞれ対応したベースプレート30側の係止突起371の下方へ摺接状態で潜り込み、これによってアッパーサポート60はベースプレート30の環状堰部37から抜け止めされた状態になる。この状態では、図6(B)に示すように、筒体本体側方向線L1とアッパーサポート側方向線L2とが互いに一致する。
そして、本実施形態においては、アッパーサポート60側の各係止突起621の、ボール装着筒体34の筒心Oを中心とする曲率径寸法をR1とした場合、ベースプレート30側の係止突起371の下部における環状堰部37の外径寸法R2は、時計方向に向かうに従い、R1から漸増するように(すなわち、肉厚が漸増するように)なされている。
従って、図6(A)に示すように、アッパーサポート60を環状堰部37に外嵌し、引き続き当該アッパーサポート60を筒心O回りに時計方向に向けて回動させると、アッパーサポート60側の各係止突起621がベースプレート30側の係止突起371の下部に摺接状態で潜り込むとともに、曲率径寸法R1の係止突起621の内面側が、環状堰部37におけるR1より大きい外径寸法R2を有する部分に乗り上げる。これによる外筒体62の径方向外方に向かう弾性変形の反力で当該外筒体62が環状堰部37を押圧することになるため、この押圧力でアッパーサポート60の環状堰部37に対する装着状態が安定する。
そして、このようなアッパーサポート60における内筒体61の後方下の内縁部には、図5(B)に示すような、左右方向に所定寸法だけ延びた抜け止めリブ(抜け止め構造)65が設けられている。この抜け止めリブ65は、内筒体61からの突出量が、ボールシート40を介してベースプレート30のボール装着筒体34に装着された被包持ボール51の上部後方の周面に当接し得るように設定されている。
図7は、抜け止めリブ65の作用を説明するための説明図であり、図7(A)は、レバーシャフト54が中立位置に位置設定された状態、図7(B)は、レバーシャフト54が前方に向けて倒された状態をそれぞれ示している。なお、図7におけるYによる方向表示は、図1の場合と同様(−Y:前方、+Y:後方)である。
まず、図7(A)に示すように、レバーシャフト54が中立位置に設定されている状態では、被包持ボール51の上面は、アッパーサポート60の内筒体61の下縁部に押さえられ、特に後部は、得抜け止めリブ65が当接した状態になっている。この状態で操作ノブ55(図3)を把持して前後左右に操作することにより、レバーシャフト54は、被包持ボール51がボール装着筒体34内で転動しつつ前後左右に傾倒し、所定のシフト切り換え操作が円滑に実行される。
ところで、レバーシャフト54が、図7(A)に二点鎖線で示すように、後方に向けて倒された状態で、勢いよく前方に向けて操作されると、図7(B)に示すように、第2アーム53がボール装着筒体34の筒体本体35における第2切欠き窓354の下縁部に衝突し、この部分を支点Pとして被包持ボール51が当該支点回りに反時計方向に向けて回動しようとする。
そうすると、被包持ボール51が、ボールシート40の後方の包持片42の上縁部を作用点Qとし、支点Pと作用点Qとの間の距離をSとし、被包持ボール51の周面が抜け止めリブ65押圧する力をFとした場合、抜け止めリブ65には、以下のモーメントMが作用した状態になる。
M=F×S
このモーメントMは、アッパーサポート60の抜け止めリブ65によって確実に受け止められるため、抜け止めリブ65が設けられていないときには、被包持ボール51がボールシート40から抜け出ようとし、これによってレバー部材50にがたつきが発生することになる。
しかしながら本実施形態においては、アッパーサポート60の内筒体61の後方下縁部に抜け止めリブ65が設けられ、この抜け止めリブ65が被包持ボール51の周面に当接されているため、被包持ボール51は、この抜け止めリブ65に阻止されることでボールシート40から外れるような不都合の発生が確実に防止される。
以上詳述したように、本発明に係る自動車10用のシフトレバー装置20は、自動車10のフロア12に固定されるベースプレート30と、このベースプレート30頂部に形成されたボール装着筒体34と、このボール装着筒体34に上面開口から装着されるボールシート40と、このボールシート40に包持状態で装着される被包持ボール51と、この被包持ボール51から径方向に延びるように立設されたレバーシャフト54と、ボール装着筒体34の上縁部に装着された状態でボールシート40を介しボール装着筒体34に装着された被包持ボール51を抜け止めするアッパーサポート60とを備えて構成されている。
かかる構成によれば、被包持ボール51がボールシート40を介してボール装着筒体34に嵌め込まれることによりレバーシャフト54が被包持ボール51を介してベースプレート30に装着される。その後、アッパーサポート60をボール装着筒体34に装着することにより、被包持ボール51は、当該アッパーサポート60によりボール装着筒体34から抜け止めされた状態になる。
前記ボールシート40は、内面形状が被包持ボール51の外面に対応した湾曲内面を有し、かつ、所定のスリットを介して互いに隣接されて内面側が全体的に被包持ボール51の外周面に対応した凹球面を形成する複数の包持片42を備えているため、被包持ボール51をボールシート40に装着するに際しては、各包持片42を広げた状態で当該被包持ボール51を複数の包持片42に容易に包持させることができる。また、包持片42には外面側にスリットと平行に延びる補強用の補強リブ(第1リブ)423が設けられているため、被包持ボール51は、各包持片42の基端側のみの弾性変形で一旦広がった複数の包持片42で包持された後は、補強リブ423により保形性が確保された各包持片42により確実に包持される。
そして、本実施形態においては、補強リブ423は、ボールシート40がボール装着筒体34に嵌め込まれることで当該ボール装着筒体34の内周面に当接するように寸法設定されているため、ボールシート40がボール装着筒体34に嵌め込まれた状態で補強リブ423がボール装着筒体34の内周面に当接し、この当接によって各包持片42が広がるような不都合が生じることはなく、被包持ボール51を常に確実に複数の包持片42により包持された状態にすることができる。
また、本実施形態においては、ボール装着筒体34の内周面には、スリット424に嵌め込むための第2リブが設けられているため、ボールシート40がベースプレート30のボール装着筒体34に一旦嵌め込まれると、各包持片42間のスリット424にボール装着筒体34の内面側に形成された周壁側リブ(第2リブ)352aが嵌り込むため、レバーシャフト54の操作で被包持ボール51が前後左右に回動しても、包持片42はこの周壁側リブ352aに阻止されて変形することが防止され、結果として被包持ボール51をボールシート40により常に確実に包持することができる。
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下の内容をも包含するものである。
(1)上記の実施形態においては、本発明に係るシフトレバー装置として、マニュアル操作用のシフトレバー装置20を例に挙げて説明したが、本発明は、シフトレバー装置がマニュアル操作用のものであることに限定されるものではなく、オートマチック操作用のシフトレバー装置であってもよい。
(2)上記の実施形態においては、図6(A)に示すように、ベースプレート30側の係止突起371に対応した部分の筒体本体35の外形寸法を、アッパーサポート60の係止回動方向に従って漸増するようにし、アッパーサポート60を回動操作したときの外筒体62の弾性変形による押圧力でアッパーサポート60の環状堰部37に対する装着状態を安定させるようにしているが、こうする代わりに、ベースプレート30側の係止突起371またはアッパーサポート60側の係止突起621のいずれか一方または双方の上下寸法を、アッパーサポート60の係止回動方向に向けて漸増させるように傾斜面にしてもよい。こうすることにより、アッパーサポート60を環状堰部37に被せた状態で当該アッパーサポート60を筒心O回りに時計方向に回動させることにより、ベースプレート30側の係止突起371の下方に潜り込んだアッパーサポート60側の係止突起621がベースプレート30側の係止突起371の傾斜面に誘導されて肘を張ったような状態になり、これによってアッパーサポート60のベースプレート30への装着状態が安定する。
(3)上記の実施形態において、包持片42の外面側に形成された補強リブ423を嵌め込むための隙間をベースプレート30側(具体的にはボール装着筒体34の筒体本体35の内面側)に設けてもよい。こうすることによってボール装着筒体34に装着された各包持片42の変形をより確実に防止することができる。
(4)上記の実施形態においては、本発明に係るシフトレバー装置20が右ハンドルの自動車10に適用されているが、本発明のシフトレバー装置20は、右ハンドルの自動車10に適用されることに限定されるものではなく、左ハンドルの自動車に適用することも可能である。
本発明に係る一実施形態の自動車用シフトレバー装置が自動車に装着された状態の一例を示す一部切欠き斜視図である。 シフトレバー装置の一実施形態を示す分解斜視図である。 図2に示すシフトレバー装置の組み立て斜視図である。 図3のIV−IV線断面図である。 アッパーサポートの一実施形態を示す一部切欠き斜視図であり、(A)は斜め上から見た図、(B)は、斜め下から見た図である。 ベースプレート側およびアッパーサポート側の各係止突起の位置関係を判り易く説明するべく平面断面視で示した説明図であり、(A)は、各係止突起が互いに係止される直前の状態、(B)は、各係止突起が互いに係止された状態をそれぞれ示している。 抜け止めリブ65の作用を説明するための説明図であり、(A)は、レバーシャフトが中立位置に位置設定された状態、(B)は、レバーシャフトが前方に向けて倒された状態をそれぞれ示している。 従来のシフトレバー装置の一例を示す図であり、(A)は、全体斜視図を、(B)は、シフトレバー装置に装着されるボールシートの斜視図を、(C)は、(B)のVIIIC−VIIIC線断面図をそれぞれ示している。
符号の説明
10 自動車 11 前席
111 運転席 112 助手席
12 フロア(車体) 13 ダッシュボード
14 レバー装置支持フレーム
141 板状立設フレーム
142 上部傾斜フレーム 143 下部傾斜フレーム
20 シフトレバー装置 21 コイルスプリング
22 スプリング支持部材 30 ベースプレート
31 角柱体 32 上部ボルト座
321 貫通孔 33 下部ボルト座
34 ボール装着筒体 35 筒体本体
351 底板 351a 位置決め孔
352 周壁 352a 周壁側リブ
353 第1切欠き窓 354 第2切欠き窓
36 フランジ部 37 環状堰部
371 ベースプレート側の係止突起
372 ベースプレート側の係止突条
39 環状緩衝材 40 ボールシート
41 基礎リング体 411 位置決め突起
42 包持片 421 第1隙間
422 第2隙間 423 補強リブ
424 スリット 43 フランジ片
50 レバー部材 51 被包持ボール
52 第1アーム52 521 連結球体
53 第2アーム 54 レバーシャフト(シフトレバー)
541 雄ネジ 55 操作ノブ
60 アッパーサポート 61 内筒体
611 漏斗状内壁面 612 貫通孔
62 外筒体 621 アッパーサポート側の係止突起
622 アッパーサポート側の係止突条
63 環状天板 64 環状隙間
641 細幅隙間 642 広幅隙間
65 抜け止めリブ(抜け止め構造)
B ボルト L1 筒体本体側方向線
L2 アッパーサポート側方向線
F 被支持ボールの周面が抜け止めリブ押圧する力
O ボール装着筒体の筒心 P 第2アームが衝突する支点
Q 被支持ボールの周面が抜け止めリブに作用する作用点
R1 アッパーサポート側の係止突起の筒心を中心とした曲率径寸法
R2 内筒体の漸増する外径寸法
θ アッパーサポートの回動可能角度

Claims (1)

  1. 自動車の車体に固定されるベースプレートと、このベースプレート頂部に形成されたボール装着筒体と、このボール装着筒体に上面開口から装着されるボールシートと、このボールシートに包持状態で装着される被包持ボールと、この被包持ボールから径方向に延びるように立設されたシフトレバーと、前記ボール装着筒体の上縁部に装着された状態でボールシートを介しボール装着筒体に装着された被包持ボールを抜け止めするアッパーサポートとを備えてなる自動車用のシフトレバー装置において、
    前記ボールシートは、内面形状が前記被包持ボールの外面に対応した湾曲内面を有し、かつ、所定のスリットを介して互いに隣接されて内面側が全体的に被包持ボールの外周面に対応した凹球面を形成する複数の包持片を備え、
    前記包持片には、外面側に前記スリットと平行に延びる補強用の第1リブが設けられ
    前記第1リブは、前記ボールシートが前記ボール装着筒体に嵌め込まれた状態で、当該ボール装着筒体の内周面に当接するように寸法設定されている一方、
    前記ボール装着筒体の内周面には、上下方向に延び、前記スリットに嵌め込んで、前記スリットの変形を規制する第2リブが設けられていることを特徴とする自動車用のシフトレバー装置。
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