以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
まず図1を参照して、基板に電子部品を実装して実装基板を製造する機能を有する部品実装システムの構成を説明する。
図1は、本発明の実施の形態の部品実装システムの構成を示す図である。
図1において部品実装システム1は、基板供給装置M1の下流側に複数の部品搭載装置50が直列に連結されて構成されている。部品実装システム1は、これら各装置により、基板に電子部品等の部品を実装して実装基板を製造するシステムである。
なお、複数の部品搭載装置50のそれぞれを区別するために、図1に示すようにそれぞれ、M2、M3、M4、およびM5という。
各装置M2〜M5は同一構造であり、LANシステム2を介して相互に接続されるとともにさらにホストコンピュータ3に接続されている。部品実装システム1の全体動作はホストコンピュータ3によって統括制御される。
基板供給装置M1は未実装の基板を複数枚収納し、これらの基板を1枚ずつ順次下流側の装置M2へ供給する機能を有している。基板供給装置M1によって下流側の装置M2に供給された基板は、装置M2、M3、M4、M5の順に下流側に搬送され、この搬送過程でいずれかの装置によって各基板を対象とした電子部品の実装作業が実行される。
また、M2〜M5の各装置は、例えばホストコンピュータ3が有する無線LANの通信機能を利用し、複数の作業者(A、B、C、・・・)のうちの特定した作業者に警告を報知する機能を有している。
本実施の形態においては、特定された作業者が携帯する情報受信端末装置に警告が送信される。M2〜M5の各装置が有する警告報知機能については、図4等を用いて後述する。
次に図2および図3を参照して、装置M2〜M5それぞれの構成、つまり、部品搭載装置50の構成を説明する。
図2は、実施の形態の部品搭載装置50の斜視図である。図3は、部品搭載装置50の平面図である。
本実施の形態における部品搭載装置50は、以下に説明するように、部品搭載機構17によって電子部品を部品供給部8から取り出して、基板搬送機構5によって搬送され基板位置決め部6によって位置決めされ保持された基板に、取り出した電子部品を移送搭載する機能を有するものである。
図2および図3において、基台16上にはX軸方向に基板搬送機構5が配設されている。基板搬送機構5による搬送経路には基板位置決め部6が設けられている。上流側の装置から供給され当該部品搭載装置50による部品搭載作業の対象となる基板4は、基板搬送機構5によって基板位置決め部6まで搬送される。
基板位置決め部6は、搬送されてきた基板4を下方から下受けして保持することにより、基板4を部品搭載位置に位置決めする。以下に説明する部品搭載機構17による基板4に対しての部品搭載作業はこの状態で行われる。
部品搭載作業が完了した基板4は再び基板搬送機構5によって下流側へ搬送され、下流側の装置へ搬出される。
基板搬送機構5の両側には部品供給部8が設けられており、それぞれの部品供給部8には複数のテープフィーダ9が装着されている。テープフィーダ9は、キャリアテープに保持された電子部品を以下に説明する部品搭載機構17に供給する。
基台16のX軸方向の一端部には、リニア駆動機構を備えたY軸移動テーブル10がY軸方向に水平に配設されている。
Y軸移動テーブル10は水平方向に細長形状で設けられたビーム部材10aを主体としている。ビーム部材10aにはリニアレール10bが水平方向に配設されている。リニアレール10bには、矩形状の2つの結合ブラケット11が、それぞれリニアブロック10cを介してY軸方向にスライド自在に装着されている。
2つの結合ブラケット11には、Y軸移動テーブル10と同様にリニア駆動機構を備えたX軸移動テーブル12が結合されている。それぞれのX軸移動テーブル12には搭載ヘッド13がX方向に移動自在に装着されている。
搭載ヘッド13は複数(本実施の形態においては8個)のヘッド14を備えた多連型ヘッドである。それぞれのヘッド14の下端部には、電子部品を吸着して保持する吸着ノズル14aが装着されている。吸着ノズル14aは、ヘッド14に内蔵されたノズル昇降機構によって個別に昇降する。
Y軸移動テーブル10およびX軸移動テーブル12によりヘッド移動機構が構成されている。このヘッド移動機構により、搭載ヘッド13はX軸方向およびY軸方向に移動する。これにより、各ヘッド14は部品供給部8のテープフィーダ9から電子部品を取り出して、基板位置決め部6によって位置決めされた基板4に移送し搭載する。
つまり、Y軸移動テーブル10と、一組のX軸移動テーブル12および搭載ヘッド13とにより、電子部品を基板4に移送搭載する部品搭載機構17が構成されている。
また、部品供給部8と基板搬送機構5との間には部品認識カメラ7が配設されている。部品認識カメラ7は、搭載ヘッド13が部品供給部8から電子部品を取り出して部品認識カメラ7の上方を移動する際に、搭載ヘッド13に保持された状態の電子部品を撮像する。
搭載ヘッド13には、X軸移動テーブル12の下面側に位置し搭載ヘッド13とともに移動する基板認識カメラ15が装着されている。搭載ヘッド13が移動することにより、基板認識カメラ15は基板位置決め部6に保持された基板4の上方に移動し、基板4を撮像する。
搭載ヘッド13による基板4への電子部品の搭載動作においては、予め設定された搭載位置に対する補正が行われる。
具体的には、部品認識カメラ7による電子部品の撮像結果と、基板認識カメラ15による基板の撮像結果とが認識処理部24(後述する図4に記載)によって処理される。これにより得られる位置認識の結果を予め設定された搭載位置に加味することで搭載位置の補正が行われる。
なお、部品認識カメラ7は、例えば吸着ノズル14aにおける吸着ミスの発生を検出するセンサとしても機能する。また、基板認識カメラ15は、例えば基板位置決め部6における基板4の保持ミスを検出するセンサとしても機能する。
つまり、部品認識カメラ7および基板認識カメラ15は、機構部18における機械的な状態を検出するセンサとしても機能する。
上述の部品搭載機構17、部品供給部8、基板搬送機構5および基板位置決め部6などには、動作確認用や状態監視用などのセンサが各所に設けられている。これらセンサは、装置稼働時に何らかの異常が発生した場合には、その状態を検出し、検出した状態に応じた信号を出力する。
例えば、シリンダスイッチやストローク端検出センサなど動作確認用のセンサは、機構が正常に動作している場合には予め設定された正常なタイミングやシーケンスで所定の信号を出力する。しかし、動作異常が発生するとこれらの信号が欠落する、または、信号の発生タイミングに乱れが生じることになる。つまり、これらセンサから異常の兆候を示す信号が出力される。
また部品供給部8におけるテープフィーダ9の位置ずれや、機構内部への異物の落下、吸着ノズル14aやバルブの目詰まりなどについては、それぞれに設けられた専用のセンサによって異常の有無を示す信号が送出される。
さらに、認識処理部24は、取得した画像を対象として予め定められたアルゴリズムにしたがって認識処理を実行し、取得画像の不良などの原因によって正しい認識結果が得られなかった場合には、認識エラーと判定してその旨の信号を送出する。
次に図4を参照して、制御系の構成を説明する。
図4は、実施の形態の部品搭載装置50の制御系の構成を示すブロック図である。
図4において、全体制御部20は処理演算のためのCPUを備えており、以下に説明する各部を統括して制御する。
記憶部21は基板4に電子部品を搭載するための動作や処理に必要なプログラムやデータを記憶する。記憶部21はさらに、以下に説明する警告処理に必要な、警告生成情報21a、警告レベル判定情報21bおよび実行許可認証情報21cを記憶する。
全体制御部20が記憶部21に記憶された搭載動作プログラムを実行することにより、機構制御部23は、基板搬送機構5、基板位置決め部6、部品供給部8、部品搭載機構17を少なくとも含む機構部18を制御する。
なお、全体制御部20および機構制御部23により、本発明の部品搭載装置における制御部が有する、機構部に対する制御機能が実現される。
この機構部18の制御の過程においては、動作プログラムに予め組み込まれた監視機能によって、プログラム実行状態が正常であるか否かの信号が全体制御部20から出力される。
例えば、動作シーケンス上で機構部18の状態を検出するセンサ35から入力されるべき信号が欠落している場合、または、許容タイミングを超えて遅延している場合などには、何らかの動作異常が生じていると判断される。
なお、機構部18には上述のように複数のセンサが取り付けられている。しかし、本発明の説明の明確化のため、それら複数のセンサのうちのいずれか一つ、または、二以上のセンサの組み合わせを「センサ35」と表現する。
また、部品認識カメラ7および基板認識カメラ15は、上述のように機構部18における機械的な状態を検出するセンサとしても機能する。そのため、部品認識カメラ7および基板認識カメラ15が、センサ35に含まれてもよい。
このように、本実施の形態における部品搭載装置50においては、機構部18における機械的な状態を検出し、検出した状態に応じてセンサ35から出力された信号、および、機構部18を動作させるために全体制御部20が動作プログラムを実行する際に全体制御部20から出力された信号のいずれか一方またはこれらの双方に基づき、動作異常や状態異常など当該部品搭載装置50が何らかの人的な対応行動を必要としている旨を通告するための警告が生成される。
つまり、これら信号の種類(1つの信号の種類または複数の信号の種類の組み合わせ)に応じた警告が生成される。
本実施の形態では、以下に説明するように、これらの警告を予め定められた警告生成情報21aに基づいて生成し、さらに警告の内容についてのレベルが判定される。
具体的には、警告に応じてなされるべき対応行動の難易度を示すレベルが規定されており、各作業者には、それぞれの能力または役職等に応じた実行許可認証が付与されている。
本実施の形態の部品搭載装置50は、生成した警告のレベルと、各作業者に付与された実行許可認証とに基づいて、当該警告に応じて対応行動を実行すべき作業者を特定する。さらに、特定した作業者に対して当該警告を報知する。
以上の警告の生成から報知までの処理は、具体的には、部品搭載装置50が備える警告報知装置40により行われる。
警告報知装置40は、記憶部21と、警告処理部22とを有する。記憶部21は、警告生成情報21a、警告レベル判定情報21bおよび実行許可認証情報21cを記憶する記憶装置である。
警告生成情報21a、警告レベル判定情報21b、および、実行許可認証情報21cは、上述の警告処理において使用される情報である。いずれの情報も予め作成され記憶部21に記憶されている。
警告生成情報21aは、警告生成処理における入力信号、すなわちセンサ35から出力された信号、動作プログラムを実行する際に全体制御部20から出力される信号、またはこれらの信号の組み合わせを、個別の警告に対応させるための情報である。
警告生成情報21aのデータ構成例については図5(A)を用いて後述する。
警告レベル判定情報21bは、個々の警告と実行許可認証のレベルとの対応関係を規定する情報である。警告レベル判定情報21bのデータ構成例については図5(B)を用いて後述する。
実行許可認証情報21cは、当該生産ラインに所属する各作業者に対して、どのようなレベルの実行許可認証が付与されているかを示す情報である。実行許可認証情報21cのデータ構成例については図5(C)を用いて後述する。
ここで、実行許可認証とは、警告の内容に対処するための対応行動(作業)を実行する可能性が有る各作業者に、予め対応行動の内容の難易度に応じて付与されるいわば作業ライセンスである。各作業者には、例えばそれぞれの能力および役職等に応じて、一つ以上の実行許可認証が予め設定されている。
なお、本実施の形態においては、これらの情報は、M2〜M5それぞれの記憶部21に記憶させている。しかしながら、M2〜M5が共通で使用するデータベースとして、これらの情報をホストコンピュータ3に記憶させてもよい。
警告処理部22は、これらの情報に基づいて作業者に各種の警告を報知する処理を実行する機能を有している。警告処理部22は、以下に説明する警告生成部22a、警告レベル判定部22b、警告報知部22c、および実行許否判定部22dの機能を含んだ構成となっている。
警告生成部22aは、当該部品搭載装置50が何らかの人的な対応行動を必要としている旨通告するための複数種類の警告を、予め定められ記憶部21に記憶された警告生成情報21aに基づいて生成する。
この警告の生成は、前述のように、部品搭載機構17、部品供給部8、基板搬送機構5および基板位置決め部6を少なくとも含む機構部18における機械的な状態をセンサ35が検出し、当該状態に応じてセンサ35から出力された信号、並びに、機構部18を動作させるために全体制御部20が動作プログラムを実行する際に全体制御部20から出力される信号のいずれかの信号、またはこれら信号の組み合わせに基づいて実行される。
つまり、警告生成部22aにこれらの信号が入力されることにより、個々の入力信号の種類または複数の入力信号の種類の組み合わせに対応した内容の警告が、警告生成情報21aに基づいて生成される。
図5(A)は、警告生成情報21aのデータ構成の例を示す図である。
警告生成情報21aは、センサ35から出力された信号の種類、または全体制御部20から出力された信号の種類と、警告の種類とが対応付けられた情報である。
具体的には、警告生成情報21aには、図5(A)に示すように、入力信号28aと、生成される警告28bとの対応関係が記録されている。
なお、入力信号28aの“a”等の記号は信号の種類を表し、生成される警告28bの“[1]”等の数字は警告の種類を表す。
同図に示すように、入力信号“a”と警告“[1]”とを1対1で対応させる場合や、複数の入力信号“b”または“c”と警告“[2]”とを対応させる場合がある。また、複数の入力信号“d”および“e”と警告“[3]”とを対応させる場合がある。
なお、図5(A)には図示していないが、3つ以上の入力信号と1つの警告とを組み合わせる場合など、種々の対応関係が存在する。
また、警告生成情報21aにはさらに、複数の警告の種類のそれぞれに対応する作業群28cが記録されている。作業群28cに示される“I”等の記号は、当該警告に応じてなされるべき作業、つまり対応行動の種類を表しており、警告に関連する情報の一種である。
これにより、警告生成部22aにより生成された警告に応じてなされるべき作業の属する作業群が特定される。この作業群の特定処理は、例えば警告生成部22aまたは警告レベル判定部22bにより実行される。
警告レベル判定部22bは、特定された作業群と、警告レベル判定情報21bとに基づいて、当該警告のレベルを判定する。
なお、本実施の形態において、警告生成部22aにより生成される種々の警告に対応するそれぞれの作業は、“I”〜“VII”のいずれかの作業群に含まれているものとする。
図5(B)は、警告レベル判定情報21bのデータ構成の例を示す図である。
警告レベル判定情報21bは、生成された警告に関連する情報と、そのレベルとが対応付けられた情報である。
具体的には、警告レベル判定情報21bには、図5(B)に示すように、レベル29aと、警告に関連する情報である作業群29bとの対応関係が記録されている。
レベル29aは、生成された警告の内容に対処するための対応行動として実行されるべき作業を、その作業の難易度、具体的にはその作業を実行する際の判断および実行の難易度に応じて、低レベルの一般作業と、高レベルの管理作業に分類して示している。
そしてさらに一般作業に属する各作業群を、難易度に応じて難易度の低い順から、レベル1の作業群“I”、レベル2の作業群“II”および“III”、レベル3の作業群“IV”に分類している。
同様に、管理作業に属する各作業群を、難易度に応じて難易度の低い順から、レベル4の作業群“V”および“VI”、レベル5の作業群“VII”に分類している。
例えば、作業群“V”に属する作業はレベル4であり、レベル2である作業群“III”に属する作業よりも難易度が高いことを意味する。
つまり、警告レベル判定部22bは、警告生成部22aによって生成された警告のレベルであって、当該警告に応じてなされるべき対応行動の難易度を示すレベルを、警告レベル判定情報21bを参照することにより判定する。
ここで、一般作業について説明する。警告の対象となる事象としては、部品供給作業における、テープフィーダ9の位置ずれ、吸着ノズル14aの目詰まり、基板搬送機構5における異物の噛込み、認識エラーによる装置停止などである。
これら事象は、日常的に頻発し且つ装置稼動状態を継続するためには無条件で即時対応することが求められ、先延ばしすることが認められない。このような事象は多数存在する。
このような事象に対処する作業は、生産ラインに常駐し、単なる操作者としての役割を与えられたライン作業者が一般作業として実行すべき性格の低レベルの作業に分類される。
つまり、このような事象への対処を求める警告は、警告の内容自体が把握しやすく対応行動としての作業が作業マニュアルなどで明示されている。従って、基礎的な教育訓練を経た作業者であれば大部分の作業を困難なく実行することが可能となっている。
これに対し、装置自体の機能によって発せられる警告の中には、装置稼動状態を改善して生産性を向上させるための勧告的な意味合いの、高レベルの警告が存在する。つまり一般作業よりも難易度の高い管理作業が必要なレベルの警告が存在する。
例えば、部品実装システム1を構成する各装置(M2〜M5)には、当該装置の生産効率(単位時間あたりの基板生産枚数、または、1基板あたりの生産所要時間を示すタクトタイム)をリアルタイムで計測することにより、予めインプットされた生産計画に対する進みまたは遅れを自動的に検出する機能が設けられている。また、シミュレーションにより、自装置の生産効率を予め算出することも可能である。
例えば、本実施の形態の部品搭載装置50では、全体制御部20が、動作プログラムを実行することにより、生産計画に対する進みまたは遅れを実測またはシミュレーションにより算出する。さらに、実測または算出した生産計画に対する進みまたは遅れを示す信号を、警告報知装置40に送信する。
そして警告報知装置40は、例えば、生産計画に対して遅れがあることを示す信号を受信した場合、この遅れを回復するための方策の有無を判断する。例えば、警告生成情報21aに、受信した信号が入力信号として記録されている場合、有効な方策有りと判断する。
さらに、警告報知装置40は、有効な方策有りと判断した場合には、当該入力信号に対応する警告を生産性向上のための指示警告として生成する。生成した警告は、後述する警告報知部22cにより特定された作業者に報知される。
有効な方策の例としては、いわゆる最適化配置の更新がある。最適化配置は、部品供給部8におけるテープフィーダ9の配列または、搭載ヘッド13における吸着ノズル14aの装着配置を、部品搭載の対象とする基板4の品種に応じて最適化することである。
つまり、最適化配置は、部品搭載動作における搭載ヘッド13の無駄な移動動作を排して動作効率を極力高めることを目的とするものである。
近年の部品搭載装置には、マシントラブルや部品切れの発生タイミングなどの予期することが困難な外乱にリアルタイムに対応し、常に動作効率を高く維持することを目的として、このような最適化演算をバックグラウンドで実行しつつ、装置制御を進行させる方式が導入されている。
しかしながら、このような最適化配置の実行には稼働中の装置を一旦停止した上でテープフィーダ9などの配置換えを行う必要がある。従って、配置換えに伴う労力や時間ロスなどを勘案して、最適化配置の変更を行うことの適否を総合的に判断する必要がある。
そのため、部品搭載装置50は最適化配置の更新にメリットありと判断した場合には、総合的な判断を促す意味合いの警告を報知する。
このような高レベルの内容の警告は、単なる操作者としての役割のライン作業者には内容の適正な理解および判断が困難である。そのため、生産ラインの管理技術者としての役割を有する管理作業者に対して報知されなければならない。
このように、部品搭載装置50から発せられる警告のレベルは様々である。従って、ある警告を報知する場合、その警告のレベルに応じた能力等を有する作業者に対して報知しなければ、警告の実効性が失われることになる。
そこで、本実施の形態の部品搭載装置50では、上述のように、警告レベル判定部22bが、警告生成部22aにより生成された警告のレベルを判定する。
以下に、警告生成部22aによる警告の生成および警告レベル判定部22bによる警告の判定の例を示す。
例えば、センサ35から、部品切れの発生を示す信号“a”が警告生成部22aに入力された場合、警告生成部22aは、警告生成情報21aを参照し、「部品切れフィーダを新規フィーダに交換」を内容とする警告“[1]”を生成する。
さらに、警告生成部22aは、警告生成情報21aを参照し、警告“[1]”に対応する作業群“I”を特定し、警告レベル判定部22bに通知する。
警告レベル判定部22bは、警告レベル判定情報21bを参照することで、通知された作業群“I”に対応するレベルが“1”であると判定する。
また、例えば、フィーダ交換に要する時間が許容範囲を超えたことを示す信号の組み合わせである、“d”および“e”が警告生成部22aに入力された場合、警告生成部22aは、警告生成情報21aを参照し、「フィーダ交換に要する時間を最小とするためのフィーダ配置の最適化」を内容とする警告“[3]”を生成する。
さらに、警告生成部22aは、警告生成情報21aを参照し、警告“[3]”に対応する作業群“VII”を特定し、警告レベル判定部22bに通知する。
警告レベル判定部22bは、警告レベル判定情報21bを参照することで、通知された作業群“VII”に対応するレベルが“5”であると判定する。
警告報知部22cは、このようにして警告レベル判定部22bにより判定された警告レベルと、実行許可認証情報21cとに基づき、当該警告を報知すべき作業者、つまり、報知対象となる作業者を特定する。
図5(C)は、実行許可認証情報21cのデータ構成の例を示す図である。
実行許可認証情報21cは、警告レベルと、作業者を識別する情報とが対応付けられた情報である。
具体的には、実行許可認証情報21cには、図5(C)に示すように、警告レベル30aと、認証作業者30bとの対応関係が記録されている。
認証作業者30bは、作業者の名前とIDとを示す情報である。実行許可認証情報21cには、各作業者が実行可能な作業に対応する警告レベル30aが記録されている。つまり、各作業者には、それぞれの熟練度または能力等に応じた実行許可認証が付与されている。
警告報知部22cは、警告レベル判定部22bによってレベルが判定された警告を、当該レベルについての実行許可認証が付与された作業者に対して報知するための処理を、記憶部21に記憶された実行許可認証情報21cに基づいて行う。
なお、警告レベル30aの各欄に“○”が付されたに警告レベルに対応する作業については、当該欄を含む行に記録された作業者に実行許可認証が付与されていることを示す。
例えば作業者“A”は、一般作業、管理作業を問わず、レベル1からレベル5に対応する作業群、つまり、作業群“I”〜“VII”に含まれる作業のすべてを実行することが可能な、オールラウンドな能力を有する作業者であることが示されている。
これに対し、作業者“B”は管理作業者であり、レベル4および5に対応する管理作業のみについて実行許可認証が付与されている。
また作業者“C”および“D”は、いずれも一般作業についてのみ実行許可認証が付与されたライン作業者である。さらに作業者“D”は、一般作業のうちレベル3に該当する作業群“IV”については実行許可認証が付与されておらず、実行可能範囲が制限されている。
すなわち、警告報知部22cは実行許可認証情報21cに登録された作業者のうち、報知された警告の内容に対応したレベルについての実行許可認証が付与された作業者を特定する。さらに、この作業者を対象として警告の報知を行う。
例えば、上述のように、警告生成部22aにより、「部品切れフィーダを新規フィーダに交換」を内容とする警告“[1]”が生成された場合、対応する作業群は“I”である(図5(A)参照)。また、作業群“I”に対応するレベルは“1”である(図5(B)参照)。
この場合、警告報知部22cは、実行許可認証情報21cを参照し、レベル1について実行許可認証が付与された作業者“A”、“C”および“D”を特定する。警告報知部22cはさらに、これら作業者の中から、例えば、認証作業者30bにおいて最も上位に記録されている“A”を特定する。
また、例えば、上述のように、警告生成部22aにより、「フィーダ交換に要する時間を最小とするためのフィーダ配置の最適化」を内容とする警告“[3]”が生成された場合、対応する作業群は“VII”である(図5(A)参照)。また、作業群“VII”に対応するレベルは“5”である(図5(B)参照)。
この場合、警告報知部22cは、実行許可認証情報21cを参照し、レベル5について実行許可認証が付与された作業者“A”および“B”を特定する。警告報知部22cはさらに、これら作業者の中から、例えば管理作業のみについて実行許可認証が付与された“B”を特定する。
警告報知部22cはこのようにして警告を報知すべき作業者を特定し、特定した作業者に当該警告を報知するために出力する。
本実施の形態では、警告報知装置40が、ホストコンピュータ3が備える無線LANの通信機能を介して、特定された作業者が携帯する情報受信端末装置に警告を送信する。これにより警告の報知が行われる。
例えば、警告報知部22cは、作業者“A”を特定した場合、“A”のIDである“P001”を実行許可認証情報21cから読み出す。警告報知部22cはさらに、ホストコンピュータ3に対し、警告生成部22aが生成した警告と“P001”とを送信する。これら情報を受信したホストコンピュータ3は、“P001”に対応する情報受信端末装置に、受信した警告を送信する。
これにより、警告報知装置40は、IDが“P001”である作業者“A”に、“A”が実行することを許可された作業を促す警告を報知することができる。
なお、警告報知装置40は、ホストコンピュータ3を介すことなく、特定した作業者に直接警告を報知してもよい。この場合、警告報知装置40が、各作業者が有する情報受信端末装置に情報を送信可能な通信機能を有していればよい。
また、警告報知装置40による警告の出力先である情報受信端末装置は特定の形態のものに限られず、各種の装置を警告の出力先とすることができる。
例えば、本実施の形態のように、作業者全員に、警告の内容を画面表示することが可能な情報受信端末装置を携帯させてもよい。これにより、各作業員は自身に警告が報知された場合、その時点で警告内容を確認することができる。
このとき、情報受信端末装置の画面表示装置として、眼鏡タイプの顔面装着型のパーソナルモニターを採用してもよい。この場合、視野の一部に警告のための画面を表示させるようにすれば、警告を受けた作業者は、警告の内容を確認しながら作業を実行することができ、作業性が向上する。
また、警告が発生したことのみを示す文字等を表示可能な簡易端末装置を、情報受信端末装置として各作業者に携帯させてもよい。
この場合、警告内容を示す画面表示が可能な受信装置を複数の作業者で共用させる。また、この受信装置は所定の場所に設置しておく。
そして簡易端末装置で自己を対象とした警告を受信した作業者は、その所定の場所にアクセスし、受信装置の表示画面を確認する。これにより、警告報知装置40により特定された作業者に、当該警告を報知することができる。
また、簡易端末装置に、警告が発生したこと、および警告の発生元である部品搭載装置50を示す情報を表示させてもよい。
この場合、簡易端末装置で自己を対象とした警告を受信した作業者は、簡易端末装置に示される部品搭載装置50にアクセスし、その部品搭載装置50が備える表示部26の表示内容を確認する。こうすることでも警告報知装置40により特定された作業者に、当該警告を報知することができる。
また、作業者全員の情報受信端末装置を宛先として、警告内容と報知対象の作業者のID等とを示す情報を出力してもよい。
また、例えば、各作業者が視認可能な位置に大型の表示装置を設置し、その表示装置に、警告の内容および警告の報知対象である作業者のID等を表示させてもよい。
また、警告の報知を音声のみで行ってもよい。例えば、ホストコンピュータ3にスピーカを接続し、そのスピーカに、警告の内容および警告の報知対象である作業者のID等を示す音声を出力させてもよい。
また、警告の報知を、文字、記号、図形、または音声ではなく、例えば、光の点灯、点滅または色、情報受信端末装置の振動、もしくはこれらの組み合わせにより行ってもよい。
この場合、各作業者に、これら光の点灯等の種類と、警告の内容および警告の報知対象者との対応関係を認識させておけばよい。
これらいずれの場合であっても、生成された警告は、その警告のレベルに応じて特定された作業者へ報知される。
実行許否判定部22dは、ある警告の報知に応じて対応行動を行うために当該装置にアクセスした作業者が、当該警告の内容に対応したレベルについての実行許可認証が付与されているか否かを、実行許可認証情報21cを参照することで判定する。
さらに、実行許否判定部22dは、この判定結果に応じて作業者に対応行動の実行許可を与える処理を行う。
すなわち、生産ラインの現場においては、必ずしも上述の警告報知装置40により警告の報知を受けた作業者が対応行動を実行するとは限らない。例えば、当該作業者が何らかの都合によって対応ができない場合がある。
このような場合には、報知された警告に対して替わりの作業者によって対応行動を実行する必要がある。しかし、この替わりの作業者が当該対応行動の実行許可認証が付与された作業者であるとは限らない。そのため、この作業者の実行許可認証の有無を再度確認する必要がある。
このため、部品搭載装置50にアクセスした作業者には、例えば自己のIDを当該装置の操作部25に入力することが求められる。当該装置の警告処理部22は、入力されたIDと、実行許可認証情報21cとに基づいてこの作業者に対して実行許可の適否を判定する。
例えば、作業者“D”が、部品切れフィーダを新規フィーダに交換しようとする場合、作業者“D”は、操作部25から自己のID“P004”を部品搭載装置50に入力する。さらに、作業者“D”は、テープフィーダ9の交換を実行するための所定の操作を操作部25に対して行う。
実行許否判定部22dは、フィーダ交換に対応する作業群が“I”であることを、作業内容と作業群との対応を示す情報(図示せず)を参照することにより特定する。
実行許否判定部22dはさらに、警告レベル判定情報21bおよび実行許可認証情報21cを参照する。これにより、IDが“P004”である作業者は、作業群“I”に対応するレベルである“レベル1”が付与されていることを確認する。
この確認後、実行許否判定部22dは、作業者“D”によるフィーダの交換を許可する。例えば、実行許否判定部22dは、表示部26に作業を許可する旨を表示させ、全体制御部20にテープフィーダ9の交換のための機構部18の稼動停止等を行わせる。
認識処理部24は、基板認識カメラ15、部品認識カメラ7による撮像結果を認識処理する。これにより、部品搭載対象の基板4の位置認識および搭載ヘッド13に保持された電子部品の位置認識が行われる。
操作部25はキーボードやタッチパネルなどの入力手段であり、作業者は、操作部25から操作コマンドやデータの入力等を行う。
表示部26は液晶パネルなどの表示パネルであり、操作部25による操作入力時の案内画面や各種の警告内容の表示を行う。
通信部27は当該部品搭載装置50の制御機能と他の装置またはホストコンピュータ3との間で信号の送受信を行う。
次に、部品搭載装置50が作業者に警告を報知する際の動作を、図6および図7を用いて説明する。
図6は、実施の形態の部品搭載装置50が警告報知処理を行う際の基本的な処理の流れを示すフロー図である。
部品搭載装置50において、センサ35が、機構部18における機械的な状態を検出し、信号を出力する。また、全体制御部20が、動作プログラムを実行することで、何らかの処置が必要であることを示す信号を出力する(ST10)。
警告生成部22aは、センサ35および全体制御部20の少なくとも一方からの信号を受信する。警告生成部22aはさらに、警告生成情報21aを参照することで、受信した信号の種類に対応する警告を生成する(ST11)。
すなわち、警告生成部22aは、部品搭載装置50が何らかの人的な対応行動を必要としている旨を通告するための警告を、センサ35から出力された信号の種類、または全体制御部20が動作プログラムを実行する際に全体制御部20から出力された信号の種類と、警告の種類とが対応付けられた警告生成情報21aを参照することで生成する(警告レベル生成工程)。
警告レベル判定部22bは、警告レベル判定情報21bを参照しすることで当該作業群に対応するレベルを特定する。これにより、当該警告のレベルを判定する(ST12)。
すなわち、警告レベル判定部22bは、警告生成部22aにより生成された警告のレベルであって、当該警告に応じてなされるべき対応行動の難易度を示すレベルを、当該警告に関連する情報と、レベルとが対応付けられた警告レベル判定情報21bを参照することで判定する(警告レベル判定工程)。
警告報知部22cは、実行許可認証情報21cを参照することで当該レベルに対応する作業者を特定する(ST13)。警告報知部22cはさらに、特定した作業者に当該警告を報知するために出力する(ST14)。
すなわち、警告報知部22cは、警告生成部22aにより生成された警告に応じた対応行動を行うことが許可される作業者を、警告レベル判定部22bにより判定されたレベルと、当該作業者を識別する情報とが対応付けられた実行許可認証情報21cを参照することで特定し、特定した作業者に当該警告を報知するために出力する。
本実施の形態では、警告報知部22cは、上述のように、警告生成部22aにより生成された警告を示す情報と、特定した作業者のIDを示す情報とを、ホストコンピュータ3に送信する。
ホストコンピュータ3は、受信した警告を示す情報を、当該IDに対応する情報受信端末装置を宛先として送信する。
以上が、部品搭載装置50が作業者に警告を報知する際の基本的な処理の流れである。
本実施の形態の部品搭載装置50は、上記の基本的な処理に加え、報知内容の記録、および、作業者による作業の実行許否判定等の処理を行う。
そこで、上記の基本的な処理以外の処理を含む、部品搭載装置50が実行する処理の流れの一例を図7を用いて説明する。
図7は、実施の形態の部品搭載装置50が実行する処理の流れの一例を示すフロー図である。
まず装置稼動状態において、警告の対象となる事象が発生するとセンサ35によってその事象が検出され、信号が出力される。また、タクトタイムの増加など、何らかの処置が必要なことを示す信号が全体制御部20から出力される(ST100)。
警告生成部22aはこれら信号の種類に応じた警告を生成する(ST101)。
次いで警告レベル判定部22bは、生成された警告のレベルが高いか否かを判定する(ST102)。なお、警告レベル判定部22bが判定したレベルが“4”または“5”である場合、“レベルが高い(高レベル)”という(図5(B)参照)。
ここで、警告レベル判定部22bによる判定の結果、生成された警告のレベルが高レベルである場合(ST102でYES)、警告報知部22cは、当該警告の報知対象となる管理作業者、すなわち当該レベルについての実行許可認証が付与されたライン管理技術者としての役割を有する作業者を特定する。警告報知部22cはさらに、特定した作業者に対して当該警告を報知するために出力する(ST103)。
具体的には、警告報知部22cは、図5(C)に示す実行許可認証情報21cを参照して警告の報知対象となる作業者を特定する。さらに警告報知部22cは、本実施の形態においては、ホストコンピュータ3を介して、この作業者が携帯する情報受信端末装置に警告を送信する。
なお、警告の報知対象の作業者の特定の際、同一の実行許可認証を付与された作業者が複数登録されている場合には、予め対象者として特定する際の優先順位として定められた順位に従う。
そしてこの警告報知に伴い、報知内容と対象者とが記録される(ST104)。すなわち、生産管理用のログに、対象となった管理作業者の名前またはIDコードと報知日時とを組み合わせた情報が警告報知記録データとして書き込まれる。
この警告報知記録データは、各作業者の作業履歴を記録するとともに、個々の作業者の学習進捗度を評価判定するための基礎データとして用いることを想定したものである。
なお、この生産管理用のログは各装置の記憶部21に設けてもよく、またホストコンピュータ3のデータベースに設けてもよい。
また、この警告報知記録データの生産管理用のログへの書き込みは、例えば警告報知部22cにより行われる。
次いで、報知を受けた管理作業者が当該部品搭載装置50にアクセスした場合、当該部品搭載装置50が備える警告報知装置40は、管理作業者の対応を受け付ける(ST105)。
すなわち、実行許否判定部22dが、操作部25から入力された管理作業者のIDを取得し、実行許可認証情報21cを参照する。これにより、当該部品搭載装置50にアクセスした管理作業者が、当該警告の内容に対応したレベルについての実行許可認証が付与された作業者であるか否かを判定する。実行許否判定部22dはさらに、この判定結果に応じてこの管理作業者に対応行動の実行許可を与える(許否判定工程)。
次に、この管理作業者が必要な判断を行って操作部25から所定の指示入力を行うなどの対応行動を終了すると、その対応行動を行った管理作業者名と対応行動の内容(応答内容)を記録する(ST106)。
例えば、実行許否判定部22dが、これらの情報を、上述の生産管理用のログに応答記録データとして書き込む。
そして上述の対応行動に伴ってライン作業者の対応が必要か否かを、例えば実行許否判定部22dが判断する(ST107)。
なお、この判断は、例えば以下のように実行される。管理作業者による作業の終了後、実行許否判定部22dは、センサ35から出力される信号の種類と、警告生成情報21aとに基づき、警告の生成が必要であるか否かを判断する。
上記判断の結果、NOである場合(ST107でNO)、ライン作業者の人手による処置を必要とすることなく、部品搭載装置50自体に備えられた機能によって必要な処理が行われる(ST109)。
また上記判断の結果、YESである場合(ST107でYES)、必要となる作業内容を示す警告を、対象となるライン作業者に報知する(ST108)。
具体的には、警告生成部22aが警告を生成し、警告レベル判定部22bが当該警告のレベルを判定する。
そして、警告報知部22cが、判定されたレベルについての実行許可認証が付与されたライン作業者を特定する。警告報知部22cはさらに、このライン作業者が携帯する情報受信端末装置に対してホストコンピュータ3を介し警告を送信する。
なお、警告レベル判定部22bによる最初の警告レベル判定処理(ST102)において、警告のレベルが低いと判断された場合にも(ST102でNO)、ライン作業者への警告の報知が行われる(ST108)。
このライン作業者への警告の報知とともに、報知内容とこのライン作業者を識別する情報とが記録される(ST110)。すなわち、上述の生産管理用のログに、対象となったライン作業者の名前またはIDコードと報知日時とを組み合わせた情報が警告報知記録データとして書き込まれる。
この警告報知記録データの書き込みも、上述の管理作業者の名前等の記録(ST106)と同様の目的で行われるものであり、例えば、警告報知部22cにより実行される。
次に、報知を受けたライン作業者が当該装置にアクセスした場合、当該部品搭載装置50が備える警告報知装置40は、ライン作業者の対応作業の実施を受け付ける(ST111)。
すなわち、実行許否判定部22dが、実行許可認証情報21cを参照することにより、当該部品搭載装置50にアクセスしたライン作業者が当該警告の内容に対応したレベルについての実行許可認証が付与されているか否かを判定する。実行許否判定部22dはさらに、この判定結果に応じてこのライン作業者に対応行動の実行許可を与える(許否判定工程)。
次に、このライン作業者が対応行動を終了すると、その対応行動を行ったライン作業者名と対応行動の内容(応答内容)とを記録する(ST112)。
例えば、実行許否判定部22dが、これらの情報を、上述の生産管理用のログに応答記録データとして書き込む。
以上の各処理より、部品搭載装置50における一連の警告報知処理を終了する。
以上、説明したように本実施の形態の部品搭載装置50は、自身が何らかの人的な対応行動を必要としている旨を通告するための警告を、警告生成情報21aを参照することにより生成する。また、生成された警告のレベルを、警告レベル判定情報21bを参照することにより判定する。
また、当該レベルについての実行許可認証が付与された作業者を、実行許可認証情報21cを参照することにより特定する。さらに、特定した作業者に当該警告を報知するために出力する。
これにより、報知される警告の、本来報知対象とされる作業者への伝達の確実性を向上させることができる。つまり、本発明により、警告内容を生産性向上のために有効活用することができる。
また、各作業者からすると、自身の能力および役職等に見合った作業が要求されるため、各作業者は、無駄な行動をすることなく効率よく作業を進めることができる。
なお、本実施の形態では、部品搭載装置50が警告報知装置40を備えるとした。つまり、M2〜M5のそれぞれが警告報知装置40を備えるとした。
しかしながら、M2〜M5のそれぞれの装置が警告報知装置40を備えていなくてもよい。つまり、警告報知装置40が、M2〜M5から独立した装置として部品実装システム1に存在していてもよい。
例えば、ホストコンピュータ3が備えるCPU、プログラムおよび記憶装置等により、警告報知装置40が実現されてもよい。
この場合、ホストコンピュータ3が、M2〜M5のそれぞれから、センサ35の出力信号等を受信し、警告の生成および出力を行えばよい。また、M2〜M5のそれぞれから、作業者により入力されたIDおよび操作内容等を取得し、実行許可認証情報21cを参照することで作業の実行の許否を判定すればよい。
こうすることで、例えば、M2〜M5のそれぞれで発生したトラブルの内容およびトラブルへの対処の内容を集中管理することができる。
また、警告報知装置40は、部品実装システムに含まれる装置が、何らかの人的な対応行動を必要としている旨を通告するための警告を報知してもよい。
例えば、他の装置に基板を供給する基板供給装置、基板にクリーム半田を塗布する印刷機、基板に接着剤を塗布する接着剤塗布機、リフローを行うリフロー炉、および部品の装着状態等を検査する外観検査機など、部品を基板に実装するための部品実装システムに含まれる装置を、警告報知のための監視対象としてもよい。
これら各種の装置のそれぞれは、当該装置の状態を検出し、検出した状態に応じた信号を出力するセンサを備えている。また、これら各種の装置のそれぞれは、動作プログラムを実行することにより当該装置を動作させる制御部を備えている。さらに、これら各種の装置のそれぞれは、作業者からの情報の入力および操作を受け付ける操作部を備えている。
警告報知装置40は、これら各種の装置のいずれかと通信し、当該装置からセンサまたは制御部の少なくとも一方の出力信号を受信する。さらに、受信した信号の種類に基づき、当該装置に応じた、警告生成情報、警告レベル判定情報を参照することで、警告の生成から出力、および実行許否の判定を行う。
また、当該装置から、作業者により入力されたIDおよび操作内容等を取得し、当該装置用の実行許可認証情報を参照することで作業の実行の許否を判定する。
なお、これらそれぞれの処理の流れは、図6および図7に示す処理の流れと同じである。
このように、警告報知装置40は、実装工程に用いられる各種の装置と通信することにより、通信相手の装置に関する警告を、適切な作業者に伝達することができる。
また、本実施の形態の部品搭載装置50は、向かい合って配置された2つの搭載ヘッド13を備えるとした。
しかしながら、警告報知装置40が警告報知のための監視対象とする装置は、他の構造の部品搭載装置であってもよい。例えば、部品を吸着し基板に搭載する搭載ヘッドを1つのみ備える装置であってもよい。また、例えば、ロータリー式の部品搭載装置であってもよい。
また、本実施の形態の警告報知装置40は、図5(A)〜図5(C)に示す、警告生成情報21a、警告レベル判定情報21b、および実行許可認証情報21cの3つのテーブルを参照し、警告の生成から出力までを行うとした。
しかしながら、警告の生成から出力までに必要な情報が含まれていれば、テーブルの数は3以外であってもよい。
例えば、警告レベルの判定と作業者の特定とを1つのテーブルを参照することで行ってもよい。
図8は、警告レベルの判定に必要な情報を含む実行許可認証情報21dのデータ構成の例を示す図である。
図8に示す実行許可認証情報21dは、作業群とレベルとの対応、および、レベルと作業者との対応とを示す情報である。
例えば、警告生成部22aにより生成された警告が“[3]”である場合、“[3]”に対応する作業群は“VII”である(図5(A)参照)。この場合、警告レベル判定部22bは、実行許可認証情報21dを参照することで、当該作業群に対応するレベルは“5”であると判定できる。
また、警告報知部22cは、実行許可認証情報21dを参照することで、レベル5の実行許可認証が付与された作業者は“A”および“B”であると特定できる。この場合、警告報知部22cは、例えば管理作業のみについて実行許可認証が付与された“B”を、当該警告に応じて作業を行う作業者として特定する。
また、例えば、警告の生成と警告レベルの判定とを1つのテーブルを参照することで行ってもよい。
図9は、警告レベルの判定に必要な情報を含む警告生成情報21eのデータ構成の例を示す図である。
図9に示す警告生成情報21eは、信号の種類と警告の種類との対応、および、警告の種類とレベルとの対応とを示す情報である。つまり、警告生成情報21eには、警告に関連する情報である警告の種類と、レベルとの対応を示す情報が含まれている。
例えば、警告生成部22aが、信号“d”と信号“e”とを受信した場合、警告生成情報21eを参照することで、警告“[3]”を生成する。この場合、警告レベル判定部22bは、警告生成情報21eを参照することで、当該作業群に対応するレベルは“5”であると判定できる。
このように、警告報知装置40が有する情報群は、警告の生成、生成した警告のレベルの判定、および、判定したレベルに対応する作業者の特定が可能な情報群であれば、その情報群に含まれる各種情報のグルーピングは特定のものに限られない。