本発明の1つの観点では、経路探索装置は、移動体の走行軌跡に基づいて、地図データ上に存在しない新規道路に対応する新規リンクを生成する第1生成手段と、前記新規リンクが生成された場合に、前記地図データ上に存在する既存道路に対応する既存リンクと、前記新規リンクとの接続点に対応する新規ノードを生成すると共に、当該既存リンクと同一の道路を示すリンクであって、当該既存リンクの端点に対応する既存ノードと前記新規ノードとによって規定される複製リンクを生成する第2生成手段と、前記走行軌跡に基づいて、前記新規リンク及び前記新規ノードに対して走行規制情報を付与する走行規制情報付与手段と、前記既存リンクによって規定される道路と、前記複製リンク及び前記走行規制情報が付与された前記新規リンク及び前記新規ノードによって規定される道路との両方を経路探索の対象にして、目的地までの経路を探索する経路探索手段と、を備える。
上記の経路探索装置は、目的地までの経路探索を行うために好適に利用される。第1生成手段は、移動体の走行軌跡に基づいて、地図データを参照することで、新規道路に対応する新規リンクを生成する。第2生成手段は、新規リンクが生成された際に、新規リンクと既存リンクとの接続点に対応する新規ノードを生成する。具体的には、第2生成手段は、既存リンクとは非接続の新規ノードを生成する。そして、第2生成手段は、既存リンクと同一の道路を示すリンクであって、当該既存リンクの端点に対応する既存ノードと新規ノードとによって規定される複製リンクを生成する。これにより、新規道路の接続先の既存道路の情報に影響を与えることなく(例えば既存リンクのリンクIDを書き換えることなく)、新規リンクと既存リンクとの交差点を生成して接続し、適切に地図データに追加することが可能となる。
また、規制情報付与手段は、移動体の走行軌跡に基づいて、新規リンク及び新規ノードに対して走行規制情報を付与する。「走行規制情報」とは、一方通行規制や、右折禁止規制や、左折禁止規制などの走行規制を示す情報である。このように走行規制情報を付与することで、ユーザの走行実績に従った新規道路の生成を適切に行うことができる。
そして、経路探索手段は、既存リンクによって規定される道路と、複製リンク及び走行規制情報が付与された新規リンク及び新規ノードによって規定される道路との両方を経路探索の対象にして、目的地までの経路を探索する。これにより、既存リンクによって規定される経路、及び、複製リンク、新規リンク及び新規ノードによって規定される経路を、適切に経路探索の対象にすることができる。よって、既存リンクによって規定される経路、及び、複製リンク、新規リンク及び新規ノードによって規定される経路を、適切に経路案内の対象にすることができる。また、経路探索手段は、複製リンク、新規リンク及び新規ノードによって規定される道路を経路探索の対象とする場合、新規リンク及び新規ノードに付与された走行規制情報を考慮して経路探索を行う。これにより、既存リンクと重複するような複製リンクを存在させた状態で、新規リンク及び新規ノードに付与された走行規制情報を考慮して、適切に経路探索を行うことができる。つまり、走行規制情報を順守しつつ適切な経路を探索することができる。
上記の経路探索装置の一態様では、前記既存リンクに付随する交通情報を取得する取得手段を更に備え、前記経路探索手段は、前記既存リンクによって規定される道路を前記経路探索の対象として用いる場合、前記交通情報に基づいて前記経路を探索する。
この態様によれば、既存リンクによって規定される道路を経路探索の対象として用いる場合に、既存リンクに付随する交通情報(例えば渋滞情報や通行止めなどの情報)を考慮して、適切に経路探索を行うことができる。
上記の経路探索装置の他の一態様では、前記経路探索手段は、前記新規リンク及び/又は前記複製リンクを含むリンクによって規定される道路を対象として、前記走行規制情報に基づいて探索した第1経路と、前記新規リンク及び前記複製リンクを含まない、前記既存リンクのみによって規定される道路を対象として探索した第2経路と、のいずれか一方の経路を選択する。
この態様によれば、走行規制情報に基づいて探索した、複製リンク、新規リンク及び新規ノードによって規定される第1経路、及び、既存リンクによって規定される第2経路のうち、最適な経路を適切に選択することができる。例えば、新規道路に走行規制が付与されていることで当該新規道路を通行できないような場合や、走行規制を考慮すると新規道路を利用するよりも既存道路を利用した方が目的地まで早く到着できるような場合には、既存リンクによって規定される第2経路を適切に選択することができる。
上記の経路探索装置の他の一態様では、前記走行規制情報付与手段は、前記移動体が前記新規リンクに対応する道路を最初に走行した際に、当該走行に対応する走行軌跡に従った前記走行規制情報を付与し、前記移動体が前記新規リンクに対応する道路を再度走行した際に、当該走行に対応する走行軌跡に基づいて、前記移動体が前記新規リンクに対応する道路を最初に走行した際に付与された前記走行規制情報を解除していく。
この態様によれば、新規道路を最初に走行した際に、走行規制情報を適切に付与することができると共に、同じ新規道路を複数回走行した際に、適切に走行規制情報を順次解除していくことができる。したがって、新規道路を走行すればするほど、より正確な道路規制を新規道路に対して反映することが可能となる。また、走行時に自動的に走行規制情報の付与・解除を行うことができるため、ユーザが後から手動で走行規制情報を編集する手間を省くことができる。
上記の経路探索装置の他の一態様では、前記第2生成手段は、前記新規リンクと前記既存リンクとの接続点に既存ノードが存在しない場合にのみ、前記新規ノード及び前記複製リンクを生成する。
新規リンクと既存リンクとの接続点に既存ノードが存在しない場合に既存リンク上に新たなノードを挿入すると、例えば既存リンクのリンクIDの書き換えなどの不具合が発生し得る。そのため、第2生成手段は、新規リンクと既存リンクとの接続点に既存ノードが存在しない場合には、このように既存リンク上に新たなノードを挿入せずに、既存リンクとは非接続の新規ノードを生成すると共に、既存リンクに重複するような複製リンクを生成する。なお、第2生成手段は、新規リンクと既存リンクとの接続点に既存ノードが存在する場合には、このような新規ノード及び複製リンクを生成しない。この場合には、単に、既存ノードに新規リンクが接続される。
上記の経路探索装置において好適には、前記第2生成手段は、前記複製リンクとして、前記既存リンクにおける2つの端点の一方に対応する既存ノードと前記新規ノードとを端点とするリンク、及び前記既存リンクにおける2つの端点の他方に対応する既存ノードと前記新規ノードとを端点とするリンクを生成することができる。
また、好適には、前記新規リンク及び前記新規ノードに付与された前記走行規制情報を表示する手段を更に備える。これにより、ユーザは、新規道路に現在付与されている走行規制情報を容易に認識することが可能となる。
本発明の他の観点では、経路探索装置によって行われる経路探索方法は、移動体の走行軌跡に基づいて、地図データ上に存在しない新規道路に対応する新規リンクを生成する第1生成工程と、前記新規リンクが生成された場合に、前記地図データ上に存在する既存道路に対応する既存リンクと、前記新規リンクとの接続点に対応する新規ノードを生成すると共に、当該既存リンクと同一の道路を示すリンクであって、当該既存リンクの端点に対応する既存ノードと前記新規ノードとによって規定される複製リンクを生成する第2生成工程と、前記走行軌跡に基づいて、前記新規リンク及び前記新規ノードに対して走行規制情報を付与する走行規制情報付与工程と、前記既存リンクによって規定される道路と、前記複製リンク及び前記走行規制情報が付与された前記新規リンク及び前記新規ノードによって規定される道路との両方を経路探索の対象にして、目的地までの経路を探索する経路探索工程と、を備える。
本発明の他の観点では、コンピュータを備える経路探索装置によって行われる経路探索プログラムは、前記コンピュータを、移動体の走行軌跡に基づいて、地図データ上に存在しない新規道路に対応する新規リンクを生成する第1生成手段、前記新規リンクが生成された場合に、前記地図データ上に存在する既存道路に対応する既存リンクと、前記新規リンクとの接続点に対応する新規ノードを生成すると共に、当該既存リンクと同一の道路を示すリンクであって、当該既存リンクの端点に対応する既存ノードと前記新規ノードとによって規定される複製リンクを生成する第2生成手段、前記走行軌跡に基づいて、前記新規リンク及び前記新規ノードに対して走行規制情報を付与する走行規制情報付与手段、前記既存リンクによって規定される道路と、前記複製リンク及び前記走行規制情報が付与された前記新規リンク及び前記新規ノードによって規定される道路との両方を経路探索の対象にして、目的地までの経路を探索する経路探索手段、として機能させる。
また、本発明の他の観点では、複数の端末装置と通信可能に構成されたサーバ装置は、前記複数の端末装置から、当該複数の端末装置の各々が搭載された複数の移動体の走行軌跡を受信する受信手段と、前記受信手段が受信した前記走行軌跡に基づいて、地図データ上に存在しない新規道路に対応する新規リンクを生成する第1生成手段と、前記新規リンクが生成された場合に、前記地図データ上に存在する既存道路に対応する既存リンクと、前記新規リンクとの接続点に対応する新規ノードを生成すると共に、当該既存リンクと同一の道路を示すリンクであって、当該既存リンクの端点に対応する既存ノードと前記新規ノードとによって規定される複製リンクを生成する第2生成手段と、前記走行軌跡に基づいて、前記新規リンク及び前記新規ノードに対して走行規制情報を付与する走行規制情報付与手段と、前記既存リンクによって規定される道路と、前記複製リンク及び前記走行規制情報が付与された前記新規リンク及び前記新規ノードによって規定される道路との両方を経路探索の対象にして、目的地までの経路を探索する経路探索手段と、前記経路探索手段が探索した経路に関する情報を、前記端末装置に送信する送信手段と、を備える。
上記の経路探索方法、経路探索プログラム、及びサーバ装置によっても、既存リンクによって規定される経路、及び、複製リンク、新規リンク及び新規ノードによって規定される経路を、適切に経路探索の対象にすることができる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。なお、以下の説明は、本発明を車両用のナビゲーション装置に適用した例を示す。
[ナビゲーション装置の構成]
図1に、ナビゲーション装置1の構成を示す。図1に示すように、ナビゲーション装置1は、自立測位装置10、GPS受信機18、システムコントローラ20、ディスクドライブ31、データ記憶ユニット36、通信用インタフェース37、通信装置38、表示ユニット40、音声出力ユニット50、及び入力装置60を備える。
自立測位装置10は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13を備え、自立測位センサとして機能する。加速度センサ11は、例えば圧電素子からなり、車両の加速度を検出し、加速度データを出力する。角速度センサ12は、例えば振動ジャイロからなり、車両の方向変換時における車両の角速度を検出し、角速度データ及び相対方位データを出力する。距離センサ13は、車両の車輪の回転に伴って発生されているパルス信号からなる車速パルスを計測する。
GPS受信機18は、複数のGPS衛星から、測位用データを含む下り回線データを搬送する電波19を受信する。測位用データは、緯度及び経度情報等から車両の絶対的な位置を検出するために用いられる。
システムコントローラ20は、インタフェース21、CPU(Central Processing Unit)22、ROM(Read Only Memory)23及びRAM(Random Access Memory)24を含んでおり、ナビゲーション装置1全体の制御を行う。
インタフェース21は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13並びにGPS受信機18とのインタフェース動作を行う。そして、これらから、車速パルス、加速度データ、相対方位データ、角速度データ、GPS測位データ、絶対方位データ等をシステムコントローラ20に入力する。CPU22は、システムコントローラ20全体を制御する。ROM23は、システムコントローラ20を制御する制御プログラム等が格納された図示しない不揮発性メモリ等を有する。RAM24は、入力装置60を介して使用者により予め設定された経路データ等の各種データを読み出し可能に格納したり、CPU22に対してワーキングエリアを提供したりする。
システムコントローラ20、CD−ROMドライブ又はDVD−ROMドライブなどのディスクドライブ31、データ記憶ユニット36、通信用インタフェース37、表示ユニット40、音声出力ユニット50及び入力装置60は、バスライン30を介して相互に接続されている。
ディスクドライブ31は、システムコントローラ20の制御の下、CD又はDVDといったディスク33から、音楽データ、映像データなどのコンテンツデータを読み出し、出力する。なお、ディスクドライブ31は、CD−ROMドライブ又はDVD−ROMドライブのうち、いずれか一方としてもよいし、CD及びDVDコンパチブルのドライブとしてもよい。
データ記憶ユニット36は、例えば、HDDやフラッシュメモリなどにより構成され、地図データや地図情報や施設データなどのナビゲーション処理に用いられる各種データを記憶するユニットである。データ記憶ユニット36は、地図データなどが記憶された地図データベースを有する。
通信装置38は、例えば、FMチューナやビーコンレシーバ、携帯電話や専用の通信カードなどにより構成され、通信用インタフェース37を介して、VICSセンタなどのサーバから配信される交通情報などを取得する。通信装置38は、本発明における「取得手段」の一例に相当する。
表示ユニット40は、システムコントローラ20の制御の下、各種表示データをディスプレイなどの表示装置に表示する。具体的には、システムコントローラ20は、データ記憶ユニット36から地図情報を読み出す。表示ユニット40は、システムコントローラ20によってデータ記憶ユニット36から読み出された地図情報などを表示画面上に表示する。表示ユニット40は、バスライン30を介してCPU22から送られる制御データに基づいて表示ユニット40全体の制御を行うグラフィックコントローラ41と、VRAM(Video RAM)等のメモリからなり即時表示可能な画像情報を一時的に記憶するバッファメモリ42と、グラフィックコントローラ41から出力される画像データに基づいて、液晶、CRT(Cathode Ray Tube)等のディスプレイ44を表示制御する表示制御部43と、ディスプレイ44とを備える。ディスプレイ44は、画像表示部として機能し、例えば対角5〜10インチ程度の液晶表示装置等からなり、車内のフロントパネル付近に装着される。
音声出力ユニット50は、システムコントローラ20の制御の下、CD−ROMドライブ31又はDVD−ROM32、又はBD−ROM、若しくはRAM24等からバスライン30を介して送られる音声デジタルデータのD/A(Digital to Analog)変換を行うD/Aコンバータ51と、D/Aコンバータ51から出力される音声アナログ信号を増幅する増幅器(AMP)52と、増幅された音声アナログ信号を音声に変換して車内に出力するスピーカ53とを備えて構成されている。
入力装置60は、各種コマンドやデータを入力するための、キー、スイッチ、ボタン、リモコン、音声入力装置等から構成されている。入力装置60は、車内に搭載された当該車載用電子システムの本体のフロントパネルやディスプレイ44の周囲に配置される。また、ディスプレイ44がタッチパネル方式である場合には、ディスプレイ44の表示画面上に設けられたタッチパネルも入力装置60として機能する。
以下では、本実施例においてナビゲーション装置1が行う処理内容について、具体的に説明する。
[新規道路生成]
本実施例では、ナビゲーション装置1は、新規道路を生成する処理を行う。具体的には、ナビゲーション装置は、車両の走行軌跡データに基づいて新規道路を生成する。
図2を参照して、本実施例に係る走行軌跡データの具体例について説明する。図2は、走行軌跡データ100のデータ構造を示す。走行軌跡データ100は、車両の走行軌跡に対応するデータであり、車両の走行中にナビゲーション装置1によって所定時間毎に収集される。例えば、走行軌跡データ100は、ナビゲーション装置1内のデータ記憶ユニット36に記憶される。
図2に示すように、走行軌跡データ100は、緯度経度座標のデータ101と、車両の走行速度のデータ102と、車両の走行方向のデータ103と、時間のデータ104と、オフロードフラグ105(正確にはオフロードフラグ105のオン/オフのデータ)と、を有する。
緯度経度座標のデータ101は、車両の走行軌跡を示すデータである。具体的には、緯度経度座標のデータ101は、自立測位装置10が求めた車両の緯度経度座標(以下、「自立測位位置座標」とも呼ぶ。)が用いられる。なお、緯度経度座標のデータ101として、自立測位位置座標の代わりに、GPS受信機18が受信した位置座標を用いても良いし、GPS受信機18が受信した位置座標に基づいて自立測位位置座標を補正した位置座標を用いても良い。
車両の走行方向のデータ103は、自立測位装置10の出力値を用いて生成される。時間のデータ104は、ナビゲーション装置1が走行軌跡データ100を生成した時刻を示すデータである。
オフロードフラグ105は、車両が走行している道路がオフロード区間であるか否かを示すフラグである。オフロードフラグ105がオンである場合は、車両が走行している道路がオフロード区間であることを示している。これは、車両が既存道路から外れた道路を走行していることを示している。これに対して、オフロードフラグ105がオフである場合は、車両が走行している道路がオンロードであることを示している。これは、車両が既存道路上を走行していることを示している。
オフロードフラグ105のオン/オフは、ナビゲーション装置1内のCPU22が設定する。具体的には、CPU22は、地図データが有する道路上に自車位置をマッチングさせるマップマッチングを利用することで、オフロードフラグ105のオン/オフを設定する。このマップマッチングは、例えば、自立測位装置10が求めた自立測位位置座標と、当該自立測位位置座標に対応する、地図データが有する道路上の位置座標とを比較することで、自車位置を地図データが有する道路上にマッチングさせる処理に対応する。CPU22は、適切にマップマッチングを行うことができた場合には、つまり自立測位位置座標が地図データが有する道路上の位置座標に概ね一致する場合には、車両がオンロード区間を走行していると判断してオフロードフラグ105をオフに設定する。これに対して、CPU22は、適切にマップマッチングを行うことができなかった場合には、つまり自立測位位置座標が地図データが有する道路上の位置座標から離れている場合には、車両がオフロード区間を走行していると判断してオフロードフラグ105をオンに設定する。
このように、本明細書では、「オンロード区間」は、CPU22によって地図データ上に存在すると判断された道路の区間を指し、「オフロード区間」は、CPU22によって地図データ上に存在しないと判断された道路の区間を指すものとする。基本的には、既存道路は「オンロード区間」に相当し、新規道路は「オフロード区間」に相当する。なお、本明細書においては、「新規道路」の文言は、地図データ上には存在しない道路の他に、オフロード区間に基づいてCPU22が新たに生成した道路についても用いるものとする。
なお、車両がオンロード区間を走行している場合に、自立測位位置座標の代わりに、マップマッチングを行った後の位置座標のデータを、緯度経度座標のデータ101として用いても良い。つまり、オフロードフラグ105がオフの場合に、地図データが有する道路上の位置座標のデータを、緯度経度座標のデータ101として用いても良い。また、走行軌跡データ100に、緯度経度座標のデータ101とは別に、GPS受信機18が受信した位置座標を含めても良い。
ここで、ナビゲーション装置1のCPU22は、図2に示したような走行軌跡データ100に基づいて、新規道路を生成する。具体的には、CPU22は、車両がオフロード区間を走行した際に得られた走行軌跡データ100に基づいて、当該オフロード区間に対応する新規道路を生成する。この場合、CPU22は、車両が走行した道路について、走行軌跡データ100のオフロードフラグ105に基づいてオフロード区間を判別し、判別されたオフロード区間について、走行軌跡データ100の緯度経度座標のデータ101(自立測位位置座標のデータなどに対応する)に基づいて、当該オフロード区間に対応する新規道路を生成する。詳しくは、CPU22は、新規道路に対応するリンク(以下、「新規リンク」と呼ぶ。)や、新規道路の端点に対応するノード(以下、「新規ノード」と呼ぶ。)などを生成する。そして、CPU22は、生成した新規リンクや新規ノードなどのデータをデータ記憶ユニット36に記憶させ、記憶されたデータを用いて経路探索や経路案内を行う。
このように、ナビゲーション装置1のCPU22は、本発明における「第1生成手段」の一例に相当する。
[走行規制情報付与]
次に、本実施例に係る走行規制情報付与について説明する。本実施例では、ナビゲーション装置1のCPU22は、車両の走行軌跡に基づいて、上記したように生成した新規道路に対して走行規制情報を付与する。なお、「走行規制情報」とは、一方通行規制や、右折禁止規制や、左折禁止規制などの走行規制を示す情報である。
具体的には、CPU22は、車両が新規道路を最初に走行した際に、上記した手順で新規道路を生成すると共に、当該走行に対応する走行軌跡に従った走行規制情報を新規道路に対して付与する。詳しくは、CPU22は、車両が新規道路を最初に走行した際に、当該走行と逆方向の走行を禁止するための一方通行規制の走行規制情報を、新規道路に対応する新規リンクに対して付与する。また、CPU22は、車両が新規道路を最初に走行した際において交差点を曲がった場合に、例えば新規道路から交差点で曲がって既存道路に進入した場合、当該曲がった方向と逆方向に曲がることを禁止するための右折禁止規制又は左折禁止規制の走行規制情報を、当該交差点に対応するノードに対して付与する。なお、以下では、このような交差点に対応するノードを「交差点ノード」と呼ぶ。交差点ノードは、既存道路に対応する既存リンクと新規リンクとの接続点に対応するノードである。交差点ノードは、地図データ上に存在するノードを示す既存ノードである場合もあるし、上記した新規ノードである場合もある(当該場合については詳細は後述する)。
この後、車両が上記した新規道路を再度走行した際に、CPU22は、当該走行に対応する走行軌跡に基づいて、最初の新規道路の走行時に新規リンク及び交差点ノードに対して付与した走行規制情報を順次解除していく処理を行う。具体的には、CPU22は、一方通行規制を付与した新規リンクについて、一方通行規制がかけられた方向を車両が走行した場合(つまり最初に走行した方向と逆方向を走行した場合)、新規リンクに付与した一方通行規制を解除する。即ち、CPU22は、新規リンクを往復走行した時点で、新規リンクに付与した一方通行規制を解除する。こうすることで、当該新規リンクを双方向通行可能とする。他方で、CPU22は、右折禁止規制又は左折禁止規制を交差点ノードに付与した場合において、当該交差点ノードを右折禁止規制又は左折禁止規制がかけられた方向に車両が曲がった場合に(つまり最初に曲がった方向と逆方向に曲がった場合)、交差点ノードに付与した右折禁止規制又は左折禁止規制を解除する。こうすることで、当該交差点ノードを右左折可能にする。
このように、ナビゲーション装置1のCPU22は、本発明における「走行規制情報付与手段」の一例に相当する。
以上に述べたように走行規制情報の付与・解除を行うことで、ユーザの走行実績に従った新規道路の生成を適切に行うことができる。つまり、実際にユーザの走行実績がある方向だけを走行許可することができ、走行規制を考慮した新規道路の生成が可能となる。よって、現実世界の走行規制に従った安全な道路を生成し利用することが可能となる。また、走行時に自動的に走行規制情報の付与・解除が行われるため、ユーザが後から手動で走行規制情報を編集する手間を省くことができる。
なお、CPU22は、上記のような走行規制情報の解除を実施するに際して、まず、同じ新規道路を再度走行したか否かを判定して、同じ新規道路を再度走行したと判定された場合に走行規制情報の解除を行う。例えば、CPU22は、新規道路の生成時に、新規道路と他の道路とを識別可能な道路種別(例えば「ユーザ道路」)の情報を新規リンクに対して付与し、この後、付与した道路種別の情報に基づいて、同じ新規道路を再度走行したか否かの判定を行う。
ここで、図3を参照して、本実施例に係る走行規制情報の付与及び解除の具体例について説明する。図3(a)は、車両が新規道路を最初に走行した際の図を示す。図3(a)において、リンクL11a、L11bは既存リンクを示しており、ノードN11a、N11bは既存ノードを示している。また、太線で表したリンクL21は、車両が矢印A1、A2で示すように走行した場合(つまり直進した後に交差点で左折した場合)に生成された新規リンクを示している。新規リンクL21は、既存リンクL11a上の既存ノードN11aに接続されていると共に、既存リンクL11b上の既存ノードN11bに接続されている。
図3(a)に示す例では、CPU22は、矢印A1で示す方向の車両の走行に基づいて、矢印A1で示す方向と逆方向の走行を禁止するような一方通行規制の走行規制情報を新規リンクL21に対して付与する(符号A3参照)。加えて、CPU22は、矢印A2で示すような既存ノードN11b(交差点ノード)での車両の左折に基づいて、既存ノードN11bでの右折を禁止するような右折禁止規制の走行規制情報を既存ノードN11bに対して付与する(符号A4参照)。
図3(b)は、車両が新規道路(新規リンクL21)を再度走行した際の図を示す。図3(a)と同一の符号を付した要素は同一の意味を有するものとする。ここでは、矢印A5で示すように車両が新規リンクL21を再度走行した場合を例に挙げる。つまり、新規リンクL21について、最初に走行した方向と逆方向を車両が走行した場合(言い換えると新規リンクL21を往復走行した場合)を例示している。この場合には、CPU22は、新規リンクL21において一方通行規制がかけられた方向を車両が走行しているため、新規リンクL21に付与した一方通行規制の走行規制情報を解除する。つまり、CPU22は、符号A6で示すように、新規リンクL21を双方向通行可能なように変更する。
上記の図3では、新規リンクL21の終点に対応する交差点(既存ノードN11b)で車両が既存道路に曲がった際に走行規制情報を付与する例を示したが、新規道路の途中に存在する交差点で車両が既存道路に曲がった場合にも、走行規制情報が同様に付与される。
このような場合に行われる処理を、図4を参照して具体的に説明する。図4は、新規道路の途中で既存道路に曲がった場合における走行規制情報の付与の具体例を示す。なお、図4において、図3と同一の符号を付した要素は同一の意味を有するものとし、その説明を適宜省略する。
図4では、リンクL11cは既存リンクを示しており、ノードN11cは既存ノードを示している。また、新規リンクL21は、既存リンクL11c上の既存ノードN11cと既存リンクL11b上の既存ノードN11bとに接続しており、既存リンクL11a上の既存ノードN11aが新規リンクL21の途中に存在するものとする(つまり新規リンクL21の途中に既存リンクL11aと交わる交差点が存在する)。ここでは、新規リンクL21の2回目の走行において、矢印B1で示すように新規リンクL21の途中の既存ノードN11aで車両が左折した場合を例に挙げる。この場合には、CPU22は、既存ノードN11aでの右折を禁止するような右折禁止規制の走行規制情報を既存ノードN11aに対して付与する(符号B2参照)。
なお、上記のように新規道路に付与した走行規制情報を、ディスプレイ44などに表示させても良い。図5は、走行規制情報の表示例を示す。図5は、既存道路201、202と、新規道路203(太線で表している)と、既存道路201と新規道路203との交差点205と、既存道路202と新規道路203との交差点206と、が表示された地図画像例を示している。このような地図画像上に、矢印マークによって、新規道路203に対応する新規リンクに付与された一方通行規制の走行規制情報が表示されていると共に(符号C1参照)、交差点206に対応する交差点ノードに付与された右折禁止規制の走行規制情報が表示されている(符号C2参照)。
上記のように走行規制情報を表示することで、ユーザは、新規道路に現在付与されている走行規制情報を容易に認識することが可能となる。なお、図5に示したように矢印マークで走行規制情報を表示することに限定はされない。
(処理フロー)
次に、図6を参照して、本実施例に係る走行規制情報の付与及び解除の処理フローについて説明する。この処理フローは、システムコントローラ20が予め記憶されたプログラムを実行することにより実現される。また、当該フローは、車両の走行中又は走行後などに実行される。具体的には、当該処理フローは、走行中に行う場合には、所定周期で取得される走行軌跡データ100に基づいて繰り返し実行され、走行後に行う場合には、データ記憶ユニット36に収集された走行軌跡データ100に基づいて実行される。
まず、ステップS101では、CPU22は、図2に示したような走行軌跡データ100を取得する。そして、処理はステップS102に進む。ステップS102では、CPU22は、走行軌跡データ100によって定まる道路に新規道路が存在するか否かを判定する。具体的には、CPU22は、走行軌跡データ100によって定まる道路に対応するデータがデータ記憶ユニット36に記憶されていないか否かを判定する。
新規道路が存在する場合(ステップS102;Yes)、つまり走行軌跡データ100によって定まる道路に対応するデータがデータ記憶ユニット36に記憶されていない場合、処理はステップS103に進む。ステップS103では、CPU22は、走行軌跡データ100に基づいて新規道路を生成する。具体的には、CPU22は、車両が走行した道路について、走行軌跡データ100のオフロードフラグ105に基づいてオフロード区間を判別し、判別されたオフロード区間について、走行軌跡データ100の緯度経度座標のデータ101に基づいて、当該オフロード区間に対応する新規道路を生成する。この場合、CPU22は、新規リンクや新規ノードなどのデータを生成する。そして、処理はステップS104に進む。
ステップS104では、CPU22は、ステップS103で生成した新規リンクに対して、所定の道路種別の情報を付与する。具体的には、CPU22は、新規道路と他の道路とを識別可能な道路種別(例えば「ユーザ道路」)の情報を、新規リンクに対して付与する。そして、処理はステップS105に進む。
ステップS105では、CPU22は、ステップS103で生成した新規リンクに対して、一方通行規制の走行規制情報を付与する。具体的には、CPU22は、車両が新規道路を走行した方向と逆方向の走行を禁止するような一方通行規制の走行規制情報を付与する。そして、処理はステップS106に進む。ステップS106では、CPU22は、新規リンクと既存リンクとの交差点ノードに対して、右折禁止規制又は左折禁止規制の走行規制情報を付与する。具体的には、CPU22は、車両が交差点ノードを曲がった方向と逆方向に曲がることを禁止するような右折禁止規制又は左折禁止規制の走行規制情報を付与する。そして、処理は終了する。
一方、新規道路が存在しない場合(ステップS102;No)、つまり走行軌跡データ100によって定まる道路に対応するデータがデータ記憶ユニット36に記憶されている場合(走行軌跡データ100によって定まる道路が新規道路であっても、当該新規道路が既に生成されたものである場合には、当該場合も含まれる)、処理はステップS107に進む。ステップS107では、CPU22は、車両が新規道路を再走行したか否かを判定する。この場合、CPU22は、リンクに付与されている道路種別の情報に基づいて、車両が新規道路を再走行したか否かを判定する。
車両が新規道路を再走行した場合(ステップS107;Yes)、処理はステップS108に進み、車両が新規道路を再走行しなかった場合(ステップS107;No)、処理は終了する。ステップS108では、CPU22は、新規リンクに付与した走行規制情報(以下「リンク情報」と呼ぶ。「リンク情報」は一方通行規制の走行規制情報に相当する。)を変更すべきか否かを判定する。具体的には、CPU22は、一方通行規制を付与した新規リンクについて、一方通行規制がかけられた方向を車両が走行したか否かを判断することによって、ステップS108の判定を行う。
リンク情報を変更すべき場合(ステップS108;Yes)、処理はステップS109に進む。この場合には、CPU22は、新規リンクに付与した一方通行規制の走行規制情報を解除する(ステップS109)。そして、処理はステップS110に進む。これに対して、リンク情報を変更すべきでない場合(ステップS108;No)、ステップS109の処理を行わずに、処理はステップS110に進む。
ステップS110では、CPU22は、交差点ノードに付与した走行規制情報(以下「ノード情報」と呼ぶ。「ノード情報」は右折禁止規制又は左折禁止規制の走行規制情報に相当する。)を変更すべきか否かを判定する。具体的には、CPU22は、右折禁止規制又は左折禁止規制を交差点ノードに付与した場合において、当該交差点ノードを右折禁止規制又は左折禁止規制がかけられた方向に車両が曲がったか否かを判定することで、ステップS110の判定を行う。
ノード情報を変更すべき場合(ステップS110;Yes)、処理はステップS111に進む。この場合には、CPU22は、交差点ノードに付与した右折禁止規制又は左折禁止規制の走行規制情報を解除する(ステップS111)。そして、処理は終了する。これに対して、ノード情報を変更すべきでない場合(ステップS110;No)、ステップS111の処理を行わずに、処理は終了する。
以上説明した処理フローによれば、新規道路を最初に走行した際に、走行規制情報を適切に付与することができると共に、同じ新規道路を複数回走行した際に、適切に走行規制情報を順次解除していくことができる。したがって、新規道路を走行すればするほど、より正確な道路規制を新規道路に対して反映することが可能となる。
[複製リンク生成]
次に、本実施例に係る複製リンク生成について説明する。本実施例では、ナビゲーション装置1のCPU22は、新規道路を生成する際において、新規リンクと既存リンクとの接続点に既存ノードが存在しない場合に、当該接続点に対応する新規ノード(以下、「新規道路専用ノード」と呼ぶ。)を生成すると共に、当該既存リンクと同一の道路を示すリンクであって、当該既存リンクの端点に対応する既存ノードと新規道路専用ノードとによって規定される複製リンクを生成する。つまり、CPU22は、新規リンクが接続される既存リンク上に当該新規リンクとは異なる新規リンク(複製リンク)を延長することで重複区間を一部持たせて、重複区間の新規リンク(複製リンク)上の交差点に、既存リンクとは非接続の新規道路専用ノードを追加する。
上記のように複製リンク及び新規道路専用ノードを生成する理由は以下の通りである。図3などに示したように、新規リンクL21と既存リンクL11bとの接続点に既存ノードN11bが既に存在する場合には(例えば旧道の痕跡などの既存交差点ノードが存在する場合)、新規リンクL21を既存ノードN11bに接続すれば良いと言える。しかしながら、新規リンクと既存リンクとの接続点に既存ノードが存在しない場合には、当該接続点に新たなノードを追加する必要があると言える。ここで、既存リンク上に新たなノードを挿入すると、既存リンクに付与されているリンクIDが分断されてリンクIDの書き換えが芋づる式に発生して、VICS情報などの交通データや経路探索関連データなどのリンクIDで紐付けされた多くのデータとのリンクID不整合が発生し得る。
本実施例では、このような既存リンクのリンクIDの書き換えなどを回避するべく、新規リンクを生成する際において、当該新規リンクと既存リンクとの接続点に既存ノードが存在しない場合に、複製リンク及び新規道路専用ノードを生成する。具体的には、CPU22は、新規リンクが接続される既存リンクと重複するような複製リンクを生成すると共に、新規リンクと複製リンクとの接続点に、既存リンクとは非接続の新規道路専用ノードを追加する。こうすることで、既存道路情報に影響を与えずに交差点を生成できるため、既存リンクのリンクIDなどを書き換えることなく、新規リンクと既存リンクとの交差点を生成して接続し、適切に地図データに追加することが可能となる。
このように、ナビゲーション装置1のCPU22は、本発明における「第2生成手段」の一例に相当する。
なお、CPU22は、このように複製リンク及び新規道路専用ノードを生成する場合にも、上記したような走行規制情報の付与及び解除を同様に行うものとする。具体的には、CPU22は、新規道路専用ノードに対して、右折禁止規制又は左折禁止規制の走行規制情報の付与・解除を行う。詳しくは、CPU22は、車両が新規リンクを最初に走行した際に、新規道路専用ノードを曲がった方向と逆方向に曲がることを禁止する右折禁止規制又は左折禁止規制の走行規制情報を、新規道路専用ノードに対して付与する。そして、CPU22は、車両が新規リンクを再度走行した際に、右折禁止規制又は左折禁止規制がかけられた方向に車両が曲がった場合に、新規道路専用ノードに対して付与した右折禁止規制又は左折禁止規制を解除する。なお、CPU22は、複製リンクに対しては、当該複製リンクと重複する既存リンクと同等の走行規制などの情報を付与する。但し、VICS情報などの交通情報は既存リンクのみに付与され、当該既存リンクと重複する複製リンクには付与されない。
ここで、図7を参照して、本実施例に係る複製リンク及び新規道路専用ノードの生成の具体例について説明する。図7において、図3と同一の符号を付した要素は同一の意味を有するものとし、その説明を適宜省略する。
図7(a)は、複製リンク及び新規道路専用ノードを生成する前の図を示している。図7(a)に示す例でも、矢印A1、A2で示すように車両が走行した際に新規リンクL21が生成される点で、図3に示した例と同様である。しかしながら、図7(a)に示す例では、新規リンクL21と既存リンクL11bとの接続点に既存ノードが存在しない点で、図3に示した例と異なる。この場合には、図7(b)に示すように、CPU22は、新規リンクL21と既存リンクL11bとの接続点に、既存リンクL11bとは非接続の新規道路専用ノードN22を生成する。また、CPU22は、矢印A2で示すような新規道路専用ノードN22での車両の左折に基づいて、新規道路専用ノードN22での右折を禁止するような右折禁止規制の走行規制情報を、新規道路専用ノードN22に対して付与する(符号D1参照)。
更に、CPU22は、既存リンクL11bと同一の道路を示すリンクであって、既存リンクL11bの既存ノードN12a、N12bと新規道路専用ノードN22とによって規定される複製リンクを生成する。具体的には、CPU22は、既存ノードN12aと新規道路専用ノードN22とを端点とする複製リンクL22a、及び、既存ノードN12bと新規道路専用ノードN22とを端点とする複製リンクL22bを生成する。この場合、CPU22は、新規道路専用ノードN22で新規リンクL21と複製リンクL22aとを接続すると共に、既存ノードN12aで既存リンクL11bと複製リンクL22aとを接続し、且つ、新規道路専用ノードN22で新規リンクL21と複製リンクL22bとを接続すると共に、既存ノードN12bで既存リンクL11bと複製リンクL22bとを接続する。また、CPU22は、複製リンクL22a、L22bのリンクIDは異ならせるが、複製リンクL22a、L22bのリンク列は同一にする。複製リンクL22bは、車両が未走行のリンクに相当する。車両が新規リンクL21を再度走行した際に、新規道路専用ノードN22を右折して複製リンクL22bに対応する道路(つまり既存リンクL11bに対応する道路)を走行した場合、CPU22は、新規道路専用ノードN22に付与した右折禁止規制を解除する。
このように複製リンクL22a、L22b及び新規道路専用ノードN22を生成することで、既存道路情報に影響を与えることなく、新規道路を適切に地図データに追加することが可能となる。また、新規リンクL21と共に複製リンクL22a、L22b及び新規道路専用ノードN22を生成して三叉路の交差点を形成することにより、右左折等の経路案内(図7(b)の例では左折案内)を行うことができると共に、新規道路完成に伴う重複区間の走行規制情報の変更が生じた場合にも適切な規制対応が可能となる。
なお、図7(b)では、説明の便宜上、既存リンクL11bと複製リンクL22a、L22bとを離して示しているが、既存リンクL11bと複製リンクL22a、L22bとは重なり合うものである。実際に既存リンクL11b及び複製リンクL22a、L22bを地図画像上に表示する場合には、例えば、複製リンクL22a、L22bに対応する新規道路が最前面に表示される。こうすることで、既存リンクL11bと複製リンクL22a、L22bとを適切に区別することができ、VICS情報などの交通データが既存リンクL11bにのみ付随することをユーザに適切に認識させることが可能となる。
上記の図7では、新規リンクL21の終点について複製リンクL22a、L22b及び新規道路専用ノードN22を生成する例を示したが、新規道路の始点や途中で車両が既存道路に曲がった場合にも、複製リンク及び新規道路専用ノードが同様に生成される。
このような場合に行われる処理を、図8を参照して具体的に説明する。図8は、新規道路の途中で既存道路に曲がった場合における、複製リンク及び新規道路専用ノードの生成の具体例を示す。なお、図8において、図4及び図7と同一の符号を付した要素は同一の意味を有するものとし、その説明を適宜省略する。
図8では、新規リンクL21は、既存リンクL11bと既存リンクL11cとに接続しており、新規リンクL21の途中において既存リンクL11aと交わっているものとする。また、既存リンクL11a〜11cのそれぞれと新規リンクL21との接続点には既存ノードが存在しないものとする。ここでは、新規リンクL21の2回目の走行において、矢印B1で示すように、車両が新規リンクL21の途中で左折して既存リンクL11aに進入した場合を例に挙げる。この場合には、CPU22は、新規リンクL21と既存リンクL11aとの接続点に、既存リンクL11aとは非接続の新規道路専用ノードN23を生成する。また、CPU22は、矢印B1で示すような新規道路専用ノードN23での車両の左折に基づいて、新規道路専用ノードN23での右折を禁止するような右折禁止規制の走行規制情報を、新規道路専用ノードN23に対して付与する(符号D2参照)。更に、CPU22は、既存リンクL11aと同一の道路を示すリンクであって、既存リンクL11aの既存ノードN13aと新規道路専用ノードN23とを端点とする複製リンクL23a、及び、既存リンクL11aの既存ノードN13bと新規道路専用ノードN23とを端点とする複製リンクL23bを生成する。
他方で、車両が新規リンクL21の始点で曲がって既存リンクL11cに進入した場合にも、CPU22は、上記と同様の手順で、新規道路専用ノードN24を生成すると共に、複製リンクL24a、L24bを生成する。
以上より、新規道路の始点及び終点の両方ともに既存の交差点がない場合でも、複製リンクを適切に生成し、既存道路に影響を与えずに交差点(新規道路専用ノード)を生成することができる。また、新規道路の途中で既存道路に曲がった場合でも、複製リンクを適切に生成することができるため、一度生成した新規道路を2回目以降にどのような走り方をしても、適切に交差点(新規道路専用ノード)を生成することが可能となる。
(処理フロー)
次に、図9を参照して、本実施例に係る複製リンク及び新規道路専用ノードの生成の処理フローについて説明する。この処理フローは、システムコントローラ20が予め記憶されたプログラムを実行することにより実現される。また、当該フローは、車両の走行中又は走行後などに実行される。
まず、ステップS201では、CPU22は、前述した方法により、走行軌跡データ100に基づいて新規道路本体を生成する。そして、処理はステップS202に進む。
ステップS202では、CPU22は、既存道路とステップS201で生成した新規道路との交差点付近に既存ノードが存在するか否かを判定する。具体的には、CPU22は、地図データを参照することで、新規道路が既存道路に接続される位置に、対応する既存ノードが存在するか否かを判定する。既存ノードが存在しない場合(ステップS202;No)、処理はステップS203に進み、既存ノードが存在する場合(ステップS202;Yes)、処理は終了する。
ステップS203では、CPU22は、新規リンクが接続される既存リンクと重複するような複製リンクを生成する。具体的には、CPU22は、新規リンクと既存リンクとの接続点で当該既存リンクを分断したリンクに対応する、2つの複製リンクを生成する。そして、処理はステップS204に進む。
ステップS204では、CPU22は、新規道路と既存道路との交差点付近に、新規道路専用ノードを追加する。具体的には、CPU22は、新規リンクと既存リンクとの接続点に、既存リンクとは非接続の新規道路専用ノードを生成する。そして、処理はステップS205に進む。
ステップS205では、CPU22は、新規リンクと複製リンクとを、新規道路専用ノードで接続する。具体的には、CPU22は、2つの複製リンクのそれぞれの端点を、新規道路専用ノードで新規リンクに接続させる。そして、処理はステップS206に進む。
ステップS206では、CPU22は、既存リンクと複製リンクとを、当該既存リンクの両端の既存ノードで接続する。具体的には、CPU22は、2つの複製リンクのそれぞれにおける2つの端点のうち、新規道路専用ノードに接続していないほうの端点を、既存リンクの既存ノードに接続させる。詳しくは、CPU22は、2つの複製リンクの一方の端点を、既存リンクにおける両端の既存ノードの一方に接続させると共に、2つの複製リンクの他方の端点を、既存リンクにおける両端の既存ノードの他方に接続させる。そして、処理は終了する。
以上説明した処理フローによれば、既存道路情報に影響を与えずに交差点を生成できるため、既存リンクのリンクIDなどを書き換えることなく、新規リンクと既存リンクとの交差点を生成して接続し、適切に地図データに追加することが可能となる。
[経路探索]
次に、本実施例に係る経路探索について説明する。本実施例では、ナビゲーション装置1のCPU22は、既存リンクによって規定される道路と、新規リンク及び前述した方法により生成された複製リンク及び新規道路専用ノードによって規定される道路との両方を経路探索の対象にして、目的地までの経路を探索する。具体的には、CPU22は、新規リンク及び/又は複製リンクを含むリンクによって規定される道路を対象として探索した経路(以下「新規経路」と呼ぶ。)と、新規リンク及び複製リンクを含まない、既存リンクのみによって規定される道路を対象として探索した経路(以下「既存経路」と呼ぶ。)と、のいずれか一方の経路を選択する。例えば、CPU22は、目的地までの到着時間や、出発地から目的地までの距離や、目的地までの有料道路の料金などに応じて、新規経路及び既存経路のいずれか一方の経路を採用する。また、CPU22は、新規経路については、上記したように新規リンク及び新規道路専用ノードに付与された走行規制情報を考慮して経路探索を行い、他方で、既存経路については、既存リンクに付随する交通情報(渋滞情報や通行止めなどの情報)を考慮して経路探索を行う。
このように、ナビゲーション装置1のCPU22は、本発明における「経路探索手段」の一例に相当する。また、「新規経路」は本発明における「第1経路」に相当し、「既存経路」は本発明における「第2経路」に相当する。
以上に述べたように経路探索を行うことで、実際に通行できることが確実である道路のみを対象とした経路探索を実現することができ、新規道路を通る経路が通行できないといった不具合の発生などを回避することが可能となる。また、走行規制情報を考慮して新規経路を探索すると共に、交通情報を考慮して既存経路を探索するため、これらを考慮に入れた最適な経路を適切に選択することが可能となる。例えば、新規道路に走行規制が付与されていることで当該新規道路を通行できないような場合や、走行規制を考慮すると新規道路を利用するよりも既存道路を利用した方が目的地まで早く到着できるような場合には、既存経路を適切に選択することができる。
ここで、図10を参照して、本実施例に係る経路探索の具体例について説明する。図10では、「S」は出発地を示し、「G」は目的地を示している。
図10(a)は、新規リンク及び新規道路専用ノードに走行規制情報が付与されている場合における経路探索の具体例を示す。図10(a)では、リンクL25は新規リンクを示しており、リンクL26a、L26bは既存リンクL15と重複する複製リンクを示しており(以下では、複製リンクL26a、L26bを区別しない場合には「複製リンクL26」と標記する)、ノードN5は新規道路専用ノードを示している。また、特に符号を付していないリンク及びノードは、それぞれ既存リンク及び既存ノードを示している。ここでは、新規リンクL25に一方通行規制の走行規制情報が付与されており、新規道路専用ノードN5に右折禁止規制の走行規制情報が付与されている場合を考える。なお、複製リンクL26及び新規道路専用ノードN5は前述した方法により生成され、走行規制情報は前述した方法により付与されたものとする。
図10(a)に示す例では、CPU22は、新規経路として、新規リンクL25及び複製リンクL26を対象とした経路を探索すると共に、新規道路専用ノードN5に付与された右折禁止規制の走行規制情報を考慮して経路を探索する。その結果、CPU22は、実線矢印E1、E2、E3、E4、E5、E6で示すような新規経路を求める。具体的には、CPU22は、新規道路専用ノードN5に付与された右折禁止規制を順守するべく、新規道路専用ノードN5で左折するような新規経路を求める。他方で、CPU22は、既存経路として、新規リンクL25及び複製リンクL26を含まない、既存リンクのみを対象とした経路を探索する。その結果、CPU22は、破線矢印F1、F2、F3、F4で示すような既存経路を求める。図10(a)に示す例では、新規経路よりも既存経路のほうが、出発地から目的地までの距離が短い(言い換えると到着時間が早い)ことがわかる。この例では、CPU22は、既存経路を採用する。
図10(b)は、新規リンクL25及び新規道路専用ノードN5に走行規制情報が付与されていない場合における経路探索の具体例を示す。図10(a)と同一の符号を付した要素は同一の意味を有するものとする。図10(b)に示す例では、新規リンクL25に一方通行規制の走行規制情報が付与されていないと共に、新規道路専用ノードN5に右折禁止規制の走行規制情報が付与されていない。この場合には、CPU22は、走行規制情報を考慮せずに、新規リンクL25及び複製リンクL26を対象とした新規経路を探索する。その結果、CPU22は、実線矢印G1、G2、G3で示すような新規経路を求める。具体的には、CPU22は、新規道路専用ノードN5で右折するような新規経路を求める。図10(b)に示す例では、新規経路のほうが既存経路よりも、出発地から目的地までの距離が短い(言い換えると到着時間が早い)ことがわかる。この例では、CPU22は、新規経路を採用する。
(処理フロー)
次に、図11を参照して、本実施例に係る経路探索の処理フローについて説明する。この処理フローは、システムコントローラ20が予め記憶されたプログラムを実行することにより実現される。また、当該フローは、ユーザによって経路探索の指示が入力された際に実行される。なお、当該フローは、新規道路と既存道路とが接続する点付近についての最適経路の選択に関するものである。
まず、ステップS301では、CPU22は、経路探索処理を開始する。具体的には、CPU22は、車両の現在位置及び目的地に基づいて、データ記憶ユニット36に記憶されている地図データを参照して、経路探索処理を開始する。そして、処理はステップS302に進む。
ステップS302では、CPU22は、新規リンク及び複製リンクを対象とした経路(新規経路)を探索する。具体的には、CPU22は、新規リンク及び新規道路専用ノードに付与された走行規制情報を考慮して、新規リンク及び/又は複製リンクを含むリンクによって規定される道路を対象とした新規経路を探索する。つまり、CPU22は、新規リンク及び新規道路専用ノードに付与された走行規制を順守するような新規経路を探索する。そして、処理はステップS303に進む。
ステップS303では、CPU22は、既存リンクを対象とした経路(既存経路)を探索する。具体的には、CPU22は、既存リンクに付随する交通情報(渋滞情報や通行止めなどの情報であり、例えばVICS情報)を考慮して、新規リンク及び複製リンクを含まない、既存リンクのみによって規定される道路を対象とした既存経路を探索する。そして、処理はステップS304に進む。
ステップS304では、CPU22は、新規経路のほうが既存経路よりも、目的地までの到着時間が早いか否かを判定する。新規経路のほうが既存経路よりも到着時間が早い場合(ステップS304;Yes)、CPU22は新規経路を採用し(ステップS305)、処理は終了する。これに対して、既存経路のほうが新規経路よりも到着時間が早い場合(ステップS304;No)、CPU22は既存経路を採用し(ステップS306)、処理は終了する。なお、ここでは時間優先で経路を選択する例を示したが、この代わりに距離優先や料金優先で経路を選択しても良い。
以上説明した処理フローによれば、既存リンクと重複するような複製リンクを存在させた状態で、新規リンク及び新規道路専用ノードに付与された走行規制情報を考慮して、適切に経路探索を行うことができる。よって、走行規制情報を順守しつつ適切な経路を探索することが可能となる。
[変形例]
上記した実施例は、本発明をナビゲーション装置1に適用したものであった。変形例では、本発明を、ナビゲーション装置1の代わりに、複数の端末装置と通信可能に構成されたサーバ装置に適用する。
図12は、変形例に係るシステムの概略構成図を示す。図12に示すように、端末装置400a〜400cは、それぞれ車両450a〜450cに搭載されており、サーバ装置300との間で情報の送受信を行う。例えば、端末装置400としては、通信機能を有する携帯型端末装置(スマートフォンなど)などが挙げられる。なお、図12では、説明の便宜上、3つの端末装置400a〜400cしか図示していないが、実際には端末装置400は4つ以上存在してもよい。
変形例に係るサーバ装置300は、上記したナビゲーション装置1と同様の処理を行うことができる。具体的には、サーバ装置300は、複数の端末装置400から、車両450の走行軌跡に関する情報を受信し、受信した走行軌跡に関する情報を記憶する。この後、サーバ装置300は、受信した走行軌跡に関する情報に基づいて新規リンクを生成する。また、サーバ装置300は、新規リンクを生成した際に、当該新規リンクと既存リンクとの接続点に対応する新規道路専用ノードを生成すると共に、当該既存リンクと同一の道路を示すリンクであって、当該既存リンクの端点に対応する既存ノードと新規道路専用ノードとによって規定される複製リンクを生成する。加えて、サーバ装置300は、走行軌跡に関する情報に基づいて、新規リンク及び新規道路専用ノードに対して走行規制情報を付与する。そして、サーバ装置300は、既存リンクによって規定される道路と、複製リンク及び走行規制情報が付与された新規リンク及び新規道路専用ノードによって規定される道路との両方を経路探索の対象にして、目的地までの経路を探索する。この後、サーバ装置300は、探索した経路に関する情報を端末装置400に送信する。
以上説明したようなサーバ装置300によっても、既存リンクと重複するような複製リンクを存在させた状態で、新規リンク及び新規道路専用ノードに付与された走行規制情報を考慮して、適切に経路探索を行うことができる。
なお、上記では本発明を車両に適用する例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。本発明は、車両の他に、船や、ヘリコプターや、飛行機などの種々の移動体に適用することができる。加えて、本発明は、歩行者が利用する端末装置にも適用することができる。つまり、「移動体」には歩行者も含まれる。
以上に述べたように、実施例は、上述した実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能である。