JP4954406B2 - 電子部品用表面処理鋼板及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は電子部品用表面処理鋼板及びその製造方法に関する。特に、半田性、耐錆性及び耐ホイスカ性に優れた電子部品用表面処理鋼板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に電気製品等の電子部品に使用される表面処理鋼板として半田付け性が要求される用途にはぶりきが、半田付け性が要求されない用途にはZnめっき鋼板が使用され、また、一部では耐錆性、耐ホイスカ性についても厳しく要求されているものがある。更に、近年電磁波による誤動作をなくすために、電磁波シールド性も要求されるようになった。この電磁波シールド性は、表面の電気抵抗が小さいことが必要である。
このような状況の中で、ぶりきはホイスカが発生しやすく、長く延びたこのホイスカが電子部品の回路で短絡を起こす原因となる。また、Znめっきはめっきだけでは経時によって表面にZnの酸化物が形成し、半田性が極端に悪くなるとという問題がある。
さらに、ぶりきおよびZnめっきは、防錆性を向上させるために、鋼板をクロム酸塩を含む溶液中で表面処理し、クロメート皮膜などの保護皮膜を形成させている。クロメート皮膜は電解を伴わない浸漬処理や塗布処理、電解処理などの方法を用いて鋼板上に形成される。しかし、電解を伴わない浸漬処理や塗布処理で形成されるクロメート皮膜中には有害な6価クロムが含有されており、人体や環境に対して好ましくない影響を与える。また電解処理による電解クロメート皮膜は有害な6価クロムを含む溶液を用いて行われ、さらに電解中に発生するクロム酸ミストは作業環境に好ましくない影響を与え得る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、半田性、耐錆性、耐ホイスカ性及びシールド性に優れた電子部品用表面処理鋼板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、鋼板の少なくとも片面に、下層としてSnめっき4〜12g/m2、上層にV量が5〜400mg/m2のVを含んだ層であって、陰極電解処理又は浸漬処理によって形成された層を有することを特徴とする半田付け性が要求される電子部品用表面処理鋼板が提供される。
本発明の表面処理鋼板では、前記下層と上層との間に、中間層としてZnめっき10〜1000mg/m2の層を形成することができる。
また、本発明によれば、鋼板の少なくとも片面に、下層としてSnめっき4〜12g/m2の層を形成し、更に上層としてV化合物を3〜150g/Lの量で含有し、pHが1〜6の範囲になるようにリン化合物から成るpH調整剤を含有する処理液を用いて陰極電解処理又は浸漬処理することにより形成されたV量が5〜400mg/m2のVを含んだ層を形成する半田付け性が要求される電子部品用表面処理鋼板の製造方法において、前記Snめっき層(下層)を形成した後前記Vを含んだ層(上層)の形成に先だって、又は前記Vを含んだめっき層(上層)を形成した後に、熱処理を施すことを特徴とする製造方法が提供される。
本発明によれば更に、鋼板の少なくとも片面に、下層としてSnめっき4〜12g/m2を形成し、次いで中間層としてZnめっき10〜1000mg/m2を形成し、更に上層としてV化合物を3〜150g/Lの量で含有し、pHが1〜6の範囲になるようにリン化合物から成るpH調整剤を含有する処理液を用いて陰極電解処理又は浸漬処理することにより形成されたV量が5〜400mg/m2のVを含んだ層を形成する半田付け性が要求される電子部品用表面処理鋼板の製造方法において、前記Znめっき層(中間層)を形成した後前記Vを含んだ層(上層)の形成に先だって、又は前記Vを含んだ層(上層)を形成した後に、熱処理を施すことを特徴とする製造方法が提供される。
上記の製造方法において、熱処理は、板温を150〜400℃の範囲として行なうことが好ましい。
本発明においては、半田として40Pb60Sn%のH60Aを用いた場合のゼロクロスタイムが4.5秒以下である半田付け性が要求される電子部品用表面処理鋼板及びその製造方法が提供される。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の内容について詳しく説明する。
[使用する鋼板]
本発明に使用する鋼板としては普通鋼の冷延鋼板、低炭素アルミキルド鋼連鋳材をベースとするものが用いることができる。また、炭素分が0.003wt%以下の極低炭素鋼やこれにニオブ、チタン等の金属を添加した非時効性鋼板も使用することができる。
【0006】
[Snめっき]
上記の鋼板の少なくとも片面に形成されるSnめっき(下層)において、その形成に使用されるSnめっき浴としては、通常用いられるフェロスタン浴、硫酸浴、塩化浴あるいはフッ化物浴が使える。めっき量としては、半田性、耐食性を満足するためには1g/m2以上あれば良く、上限は特に限定しないが、経済的な点から12g/m2で良い。より好ましくは4〜12g/m2の範囲が良い。
【0007】
[Znめっき]
本発明において、Snめっき(下層)と上層のV層との間に、必要により中間層として形成されるZnめっきにおいて、その形成に使用されるZnめっき浴は通常用いられる硫酸浴、塩化浴が使える。めっき量としては、熱処理による形成する拡散合金層が耐食性、耐ホイスカ性を向上させるため、10mg/m2以上あれば良く、必要以上に付着量を多くすると脆いZn−Fe合金を生成し易くなる傾向があるので、上限は1000mg/m2で良い。
【0008】
[Vめっき]
次に、上層に形成されるVを含んだめっき皮膜について述べる。
従来から行われている一般的な防錆処理である電解処理による電解クロメート処理皮膜が有害な6価クロムを含む溶液を用いて行われ、さらに電解中に発生するクロム酸ミストが作業環境に好ましくない影響を与え得るのに対して、Vを含んだめっきは、6価クロムを含有する処理液を用いずに処理が可能であり、防錆性も十分有している。耐錆性、半田性、ホイスカ性、色むらの発生にはV付着量が強く影響しており、V付着量は5〜400mg/m2の範囲とする。5mg/m2未満では、耐錆性の点で問題がある。400mg/m2を超えると 半田性不良、色むらの発生などで問題がある。また、とくに優れた半田性を要求する場合には、V付着量を低く管理した50mg/m2以下が好ましい。ホイスカ性に対しても、Vを含んだめっきは下層のSnあるいはZnめっきを施した表面処理鋼板表面の変質を抑制しており、経時を行った場合のホイスカ発生を抑制する効果がある。なお、Vは金属としてではなく、酸化状態で付着していると考えられる。
【0009】
Vを含んだめっき皮膜の付着方法については、電解法だけでなく無電解による方法も適用できる。無電解の方法では、浸漬法、浸漬後ロール絞り法、ロールコート法等が適用できる。V以外の元素として、Mo、Ti、Zr、Al、Mg、Pを耐食性向上を目的として同時に皮膜中に存在させても良い。
処理液としては、V化合物に関しては特に制限されるものではないが一般に入手しやすいフッ化バナジウム、塩化バナジウム、酸化バナジウム、二塩化酸化バナジウム、二臭化酸化バナジウム、酸化硫酸バナジウムなどのいずれか1種以上を用いることが好ましい。これらV化合物の処理液中の含有量の総量は3〜150g/L、好ましくは5〜50g/Lである。3g/L未満の場合は皮膜の生成量が少なく、良好な皮膜特性が得られない。150g/Lを超えると、皮膜に色むらが発生しやすく、また皮膜の加工密着性が低下する。さらに薬品が高価であることに加えて、処理時に鋼板に付着して持ち出される量が増加し、経済的でなくなる。
【0010】
処理液のpH調整剤として、リン酸、リン酸塩、ポリリン酸塩、重リン酸塩などのP化合物のいずれか1種以上を用いる。重リン酸塩としては、重リン酸アンモニウム、重リン酸ナトリウム、重リン酸カルシウム、重リン酸マグネシウム、重リン酸アルミニウムが含まれる。これらのP化合物はpH調整剤として作用するばかりでなく、Pが処理皮膜中に取り込まれることにより、防錆性が向上する。これらP化合物をpH調整剤として用いる場合の処理液中の含有量は3〜150g/L、好ましくは5〜50g/Lである。3g/L未満の場合は皮膜の生成量が少なく、良好な皮膜特性が得られない。150g/Lを超えると皮膜の加工密着性が低下する。さらに処理時に鋼板に付着して持ち出される量が増加し、経済的でなくなる。
【0011】
処理液のpHは1〜6、より好ましくは2〜4の範囲にあることが良い。pHが1未満の場合は皮膜の析出効率が低下し、十分な厚さの皮膜が得られにくい。一方、pHが6を超えると処理液が不安定になり、実用に適さない。また、PHが4を越えて6以下の場合には、処理液が濁ることがあるが、処理は可能である。処理液のpHはアンモニア水、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリ性物質、または塩酸、硫酸、硝酸などの酸性物質を添加しても調整可能であるが、皮膜特性を改善するには、リン酸塩など上記のP化合物を用いることが効果的である。
処理浴の温度は20〜50℃の範囲が好ましい。
【0012】
上記の処理液には耐錆性を改善するために、さらに水溶性のMo化合物、Ti化合物、Zr化合物、Al化合物、Mg化合物を1種以上添加してもよい。これらの化合物としては、オキシ硫酸モリブデン、硫酸チタニル、硫酸ジルコニル、モリブデン酸アンモニウム、チタン酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、および前述のP化合物である重リン酸マグネシウム、重リン酸アルミニウムなどが含まれる。処理液中の含有量は、前記のV化合物とこれらのMo化合物、Ti化合物、Zr化合物、Al化合物、またはMg化合物との総量で、3〜150g/L、好ましくは5〜50g/Lである。3g/L未満の場合は皮膜の生成量が少なく、良好な皮膜特性が得られない。150g/Lを超えると、皮膜に色むらが発生しやすく、また皮膜の加工密着性が低下する。さらに薬品が高価であることに加えて、処理時に鋼板に付着して持ち出される量が増加し、経済的でなくなる。これらの浴中に添加したMo化合物、Ti化合物、Zr化合物、Al化合物、Mg化合物に由来する物質は、Vを含んだめっき皮膜中に取り込まれることにより、耐錆性が改善する。
さらにまた、電導度を向上させ処理浴を安定させるために、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウムなどの塩類を50g/L以下含有させても良い。
【0013】
上記のようにして作成した処理浴を用い、鋼板に処理皮膜を生成させる。処理方法としては浸漬処理、陰極電解処理のいずれも可能である。浸漬処理の場合、1〜60秒、好ましくは2〜10秒で十分な厚さの処理皮膜が得られる。60秒以上浸漬しても皮膜の厚さはそれ程増加しなくなる。
電解処理の場合は短時間で厚い皮膜が得られ、0.5〜100A/dm2が好ましい。0.5A/dm2未満では皮膜の成長に時間がかかり過ぎ、短時間で厚い皮膜を得ることができない。電流密度は処理液のpHの影響を受けるが、酸性領域では高pH側のpH6の場合、100A/dm2を超えるとヤケを生じ、均一な皮膜が得られない。また処理皮膜が厚くなると、加工密着性が低下する。
【0014】
[熱処理による拡散合金層]
本発明においては、上述したVを含んだめっき皮膜の形成に先だって、或いはVを含んだめっき皮膜を形成した後に、熱処理を施すことができる。この場合、中間層としてZnめっきを形成する時には、Znめっきを形成した後に熱処理を施すのがよい。
かかる熱処理は板温が150〜400℃の範囲がよい。150℃未満では、拡散速度が遅くなり、工業的に不経済である。熱処理によりSn−Fe合金が形成するとともに、Snの融点以上の温度で熱処理を施した場合には、Sn溶融によりめっき表層は平滑度が向上し、光沢のある美麗な外観が得られる。また、400℃を越える場合にはSn溶融およびSn−Fe合金形成が過度になり過ぎるとともに、特にZnめっきを施した場合には、脆いZn−Fe合金が形成しやすくなるので好ましくない。加熱時間は温度に依存し、温度が低い場合は比較的長い処理時間が必要であり、温度が高い場合には短時間処理が可能である。時間は生産性を考慮すると0.2〜120秒間の処理が好ましい。この熱処理は、めっき皮膜中の残留応力を低減し、ホイスカの発生を抑制するので、特に厳しく耐ホイスカ性を要求される場合には実施する方が好ましい。加熱方法についてはガスおよび電気を使用するのが一般的であり、通電抵抗加熱、高周波誘導加熱あるいはこれらの組み合わせが可能である。雰囲気としては大気中で良いが、非酸化性の雰囲気を使用した方がめっき表面の酸化が抑制出来るのでより好ましい。なお、Vを含んだめっきを施した後に熱処理を施した場合には、最表層のVが下層に拡散するため、ホイスカ性には効果があるが、熱処理を施さずに最表層にVを含んだめっきを施したままの鋼板に比較すると、やや耐食性向上効果が低下する傾向が認められる。
【0015】
【実施例】
以下に、本発明を実施例に基づいてさらに説明する。
[実施例1〜20]
厚さ0.6mmの冷延鋼板を通常の方法で脱脂、酸洗の前処理を行った。次に下記の条件でSnめっき、Znめっきを行った。
【0016】
[Snめっきの条件]
[浴組成]
硫酸錫 80g/L
フェノールスルフォン酸 60g/L
ノイゲンEN 5g/L
[めっき条件]
浴温度 50±2℃
電流密度 5〜30A/dm2
電解時間 2〜20秒
【0017】
[Znめっきの条件]
[浴組成]
硫酸亜鉛 250g/L
硫酸アンモニウム 30g/L
[めっき条件]
浴温度 40±2℃
電流密度 5〜30A/dm2
電解時間 0.1〜5秒
【0018】
Snめっき量を変化させてSnめっき、あるいは、Snめっき後に引き続いてZnめっき量を変化させてZnめっきを行い、乾燥を行った。一部の試料については、乾燥後に285±15℃で0.5秒熱処理による拡散処理を行った。引き続いて、全ての実施例についてVを含んだめっきを施した。さらに、一部の試料については、Vを含んだめっき後に285±15℃で0.5秒熱処理による拡散処理を行った。
【0019】
Vを含んだめっきの条件を表1と2に示す。一部の処理液には水溶性のMo化合物、Ti化合物、Zr化合物、Al化合物、Mg化合物を1種以上を添加した。処理液のPH調整としてP化合物を使用した。P化合物だけでは目的とするPHにならない場合は、微調整にアンモニア水、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリ性物質、または塩酸、硫酸、硝酸などの酸性物質を添加した。
【0020】
[比較例1〜2]
比較例として、市販のぶりき(Snめっき量:5.6g/m2と11.2g/m2)の2種類を用いた。いずれの比較例もリフロー処理を行ったサンプルである。
【0021】
実施例及び比較例における表面処理鋼板の特性は以下のようにして測定した。
(1)半田性
サンプルを幅10mm、長さ50mmに切り出し、レスカ製のソルダーチェッカー(型式:SAT5000)を用いてゼロクロスタイムを測定した。半田濡れ性に優れるものほど、ゼロクロスタイムは短くなる。半田としてJIS Z3282の40Pb−60Sn%のH60A(タルチン製)を、フラックスとしてNA200(タムラ化研製)を用いて行った。
【0022】
(2)耐錆性
JIS−Z2371に基づいた塩水噴霧試験を12時間実施した後、表面を目視観察し、次に示す5段階の評点で評価した。評点4と5を合格とした。
評点5:表面に変化が認められない。
評点4:0%<表面全体の点状錆≦10%
評点3:10%<表面全体の点状錆≦49%
評点2:49%<表面全体の点状錆≦75%
評点1:表面全体の点状錆>75%
【0023】
(3)導電性
低抵抗率計(三菱化学製、型式:ロレスターGP MCP−T600)を用いて、JISK7194に準じた四探針接触抵抗を測った。
0.1mΩ未満を(○)、0.1mΩ以上を(×)で表示した。評価○を合格とした。
【0024】
(4)耐ホイスカ性
90°折曲げ加工した板(片側面積:30×30mm2)あるいは深絞り加工(内径30mm)したカップを恒温恒湿雰囲気(60℃、95%RH)で60日経時させた。経時後、90°折曲げ加工部の内側及び絞り比2で深絞り加工(内径30mm)したカップの内面を走査型顕微鏡で観察し、長さ10μm以上のらせん状あるいは針状のホイスカ発生の有無で評価した。
【0025】
表3にSnめっき量、Znめっき量、Vを含んだめっき皮膜中のV量、熱処理の有無および特性を示すように、実施例1〜20は比較例に比べて、半田性と導電性はほぼ同レベルであった。実施例1〜20の耐錆性は、比較例に比べて良好であった。
比較例1と2では、ホイスカの発生が認められたが、熱処理による拡散処理を行った実施例1〜20では、長さ10μm以上のらせん状あるいは針状のホイスカの発生は認められなかった。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
【発明の効果】
以上のように本発明の表面処理鋼板は、下層としてSnめっき、上層としてVを含んだ層を存在させたものである。さらに、中間層としてZnめっきを行っても良く、半田性、耐錆性及び導電性に優れている。これらの表面処理鋼板は熱処理を行っても良く、熱処理により耐ホイスカ性に優れる。
Claims (9)
- 鋼板の少なくとも片面に、下層としてSnめっき4〜12g/m2、上層にV量が5〜400mg/m2のVを含んだ層であって、陰極電解処理又は浸漬処理によって形成された層を有することを特徴とする半田付け性が要求される電子部品用表面処理鋼板。
- 前記下層と上層との間に、中間層としてZnめっき10〜1000mg/m2の層が形成されている請求項1に記載の半田付け性が要求される電子部品用表面処理鋼板。
- 半田として40Pb60Sn%のH60Aを用いた場合のゼロクロスタイムが4.5秒以下である請求項1又は2記載の半田付け性が要求される電子部品用表面処理鋼板。
- 鋼板の少なくとも片面に、下層としてSnめっき4〜12g/m2の層を形成し、更に上層としてV化合物を3〜150g/Lの量で含有し、pHが1〜6の範囲になるようにリン化合物から成るpH調整剤を含有する処理液を用いて陰極電解処理又は浸漬処理することにより形成されたV量が5〜400mg/m2のVを含んだ層を形成する半田付け性が要求される電子部品用表面処理鋼板の製造方法において、前記Snめっき層(下層)を形成した後前記Vを含んだめっき層(上層)の形成に先だって、又は前記Vを含んだ層(上層)を形成した後に、熱処理を施すことを特徴とする製造方法。
- 前記熱処理を、板温を150〜400℃の範囲として行なう請求項4に記載の製造方法。
- 前記電子部品用表面処理鋼板の半田として40Pb60Sn%のH60Aを用いた場合のゼロクロスタイムが4.5秒以下である請求項4又は5記載の製造方法。
- 鋼板の少なくとも片面に、下層としてSnめっき4〜12g/m2を形成し、次いで中間層としてZnめっき10〜1000mg/m2を形成し、更に上層としてV化合物を3〜150g/Lの量で含有し、pHが1〜6の範囲になるようにリン化合物から成るpH調整剤を含有する処理液を用いて陰極電解処理又は浸漬処理することにより形成されたV量が5〜400mg/m2のVを含んだ層を形成する半田付け性が要求される電子部品用表面処理鋼板の製造方法において、前記Znめっき層(中間層)を形成した後前記Vを含んだ層(上層)の形成に先だって、又は前記Vを含んだ層(上層)を形成した後に、熱処理を施すことを特徴とする製造方法。
- 前記熱処理は、板温を150〜400℃の範囲として行なう請求項7に記載の製造方法。
- 前記電子部品用表面処理鋼板の半田として40Pb60Sn%のH60Aを用いた場合のゼロクロスタイムが4.5秒以下である請求項7又は8記載の製造方法。
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