JPH025839B2

JPH025839B2 -

Info

Publication number: JPH025839B2
Application number: JP25070784A
Authority: JP
Inventors: Shigeru Unno; Hajime Kimura; Koji Yamato; Toshiro Ichida
Original assignee: Kawasaki Steel Corp
Current assignee: JFE Steel Corp
Priority date: 1984-11-28
Filing date: 1984-11-28
Publication date: 1990-02-06
Also published as: JPS61130498A

Description

【発明の詳細な説明】

＜産業上の利用分野＞本発明は、裸耐食性、塗装後の耐食性およびめ
つき密着性、加工性などの諸性質に優れた電気
Znめつき鋼板、特に複合めつき鋼板に関するも
のである。＜従来技術とその問題点＞ Znめつき鋼板は、耐食性が要求される自動車、
家電製品、建材などに防錆処理鋼板として広く用
いられている。これは、純Znめつき層が鋼板の
鉄に対して卑の電位をもつので、ピンホールなど
のめつき欠陥や加工時に生じた地鉄の露出部分に
対してはZnが先に腐食されるという犠牲防食効
果により、鋼板の赤錆発生を防止するためであ
る。しかし、Znだけでは、活性であるために、塩
水噴霧等の腐食環境においてはZnめつき層自体
の腐食が著しく進行する欠点がある。また、純
Znは、腐食生成物として導電性のZnOを生成し
やすいため、表面に存在する腐食生成物による保
護効果が乏しいことも、耐食性が十分でない一因
と考えられる。このようなZnめつき層の活性を抑制し、さら
に導電性の腐食生成物ZnOの生成を抑制させる方
法としては、従来、次のような技術が開発されて
いる。 (1) Znを主成分として、Mo、Ｗ、Coの酸化物を
１種または２種以上、被膜の全重量当り0.05〜
７重量％含有させる。あるいはさらに、Fe、
Ni、Sn、Pbの金属または化合物を１種または
２種以上、金属として含有させる（特公昭49−
19979号参照）。 (2) Znを主成分とし、Co、Ni、Mg、Mn、Si、
Sn、Feのうち２成分を含み、２成分の電析量
を５〜30重量％にする（特公昭50−29821号参
照）。 (3) 亜鉛めつき浴中に、アルミナコロイド１〜
200ｇ／、コバルトイオンを0.001〜0.5mol／
添加させ、Znを主体にコバルト、アルミナ
を共析させる（特開昭59−123796号参照）。これらの電気Znめつき鋼板は、純Znめつきよ
りも裸耐食性は向上するが、塗装後の耐食性に関
しては、リン酸塩処理後カチオン電着塗装を施し
た場合、ブリスターを発生しやすい欠点がある。以上のように、裸耐食性、塗装後耐食性および
めつき密着性、加工性などの諸性質に優れた高耐
食性電気Znめつき鋼板は未だえられてない。＜発明の目的＞本発明の目的は、めつき層中に所定量のCo、
Cr、AlおよびSiを共析させることにより、裸耐
食性、塗装後の耐食性およびめつき密着性などの
諸特性に優れた高耐食性電気Znめつき鋼板を提
供しようとするものである。＜発明の構成＞すなわち、本発明は、電気Znめつき層中に
Co：0.1〜10重量％、Cr：0.05〜５重量％、並び
にAlの酸化物および／または水酸化物をAl換算
で各々0.05〜５重量％、Siの酸化物および／また
は水酸化物をSi換算で0.05〜５重量％共析させて
なることを特徴とする無塗装および塗装後の耐食
性に優れた複合めつき鋼板を提供するものであ
る。以下に本発明を更に詳細に説明する。 Znめつき層中にCoを含有すると裸耐食性が向
上する。これは、めつき層中のZnとCoが腐食す
る過程でCo²⁺が生成し、保護効果の優れた腐食
生成物の生成と、その安定性に寄与する。本発明において、Co含有量を0.1〜10.0重量％
と定めたが、その理由は、Co含有量が0.1重量％
未満では裸耐食性向上の効果が発揮されず、10.0
重量％を越えると上記効果が飽和し、それ以上含
有させることは経済上好ましくない。さらにはメ
ツキ外観が黒くなり、商品価値が下がる。また、
合金含有率が高くなるにつれ、めつき層の硬度が
高くなり、加工性の低下をもたらすためである。 CrはCo、Alとの共存でめつき皮膜自体の裸耐
食性を向上させる効果があり、特に腐食初期にお
いてその効果が著しい。さらに、Crは塗膜密着
性を向上させる効果が大きい。本発明において
は、上記のCr含有量を0.05〜５重量％と定めた
が、その理由は、Crが0.05重量％未満では、Co、
Al、Siと共存しても裸耐食性の向上効果は見ら
れず、５重量％を越えると上記の効果が飽和し、
めつき密着性もやや低下する。 Alは、めつき層中に酸化物あるいは水酸化物
の形で共析していると考えられ、めつき層中への
Crの共析の促進効果と、Co、Crと共に腐食環境
下で緻密で安定な腐食生成物皮膜を形成し、Zn
の溶出を抑制する。本発明においては、上記の
Alの酸化物および／または水酸化物の含有量を、
Al換算で0.05〜５重量％と定めたが、その理由
は、Alの酸化物および／または水酸化物の含有
量がAl換算で0.05重量％未満では耐食性向上効果
が十分でなく、５重量％を越えるとめつき密着性
がやや低下するためである。 Siも、Alと同様に、めつき層中に酸化物ある
いは水酸化物の形で共析していると考えられ、加
工性を向上させる。この理由は、Siがめつき層中
に分散して存在することにより、加工時の潤滑性
に寄与しているものと考えられる。本発明におい
ては、上記のSiの酸化物および／または水酸化物
の含有量を、Si換算で0.05〜５重量％と定めた
が、その理由は、Siの酸化物および／または水酸
化物の含有量がSi換算で0.05重量％未満では、加
工性の向上に十分な効果が得られず５重量％を越
えると加工性向上効果が飽和するだけでなく、め
つき密着性、耐食性に悪影響を与えるので好まし
くない。なお、めつき層中に共析しているCo、Cr、Al
については原子吸光法を用いて定量を行つた。特
にAlについては、この場合酸可溶性Alのみが定
量されたことになる。またSiについてはMoブル
ーを用いた吸光光度法により定量を行つた。本発明においては、電気Znめつき鋼板の製造
に際して、通常の電気亜鉛めつき浴に、コバルト
イオン、クロムイオン、アルミナゾルおよびシリ
カゾルを添加して電解めつきを行うことができ
る。めつき浴は硫酸浴、塩化物浴、ピロリン酸浴、
スルフアミン酸浴、フツ化物浴、ホウフツ化物浴
あるいはこれらの混合物浴を用いることができ
る。コバルトイオン、クロムイオンは、めつき浴に
あわせて塩化物その他の水溶性化合物としてめつ
き浴に添加する。Al、Siは水分散性コロイド
（平均粒径10^-7〜10^-4cm）をめつき浴中に添加す
る。正に帯電したAlとSiの酸化物あるいは水酸化
物コロイド粒子は、電気めつき浴中で陰極部へ泳
動し、共析することが容易に推察される。そし
て、めつき層中に共析するメカニズムは、陰極近
傍に運ばれた粒子が亜鉛の還元析出の際にまき込
まれているものと思われる。その共析する量は酸
化物ゾルの添加量に比較し、ある濃度に達すると
それ以上共析されなくなる。本発明は、AlとSiの２種の酸化物ゾルを添加
し、さらにコバルトイオンとクロムイオンをも添
加してZnめつきを行い、しかもZnめつき層中の
これらの添加物の共析量を所定の範囲とするもの
である。添加するアルミナゾルの粒径は100nm以下であ
るのが好ましい。粒径が100nmを越えると、コロ
イド液中で沈降し易く、均質なめつきが得られな
いので好ましくない。さらに、めつき助剤として、塩化アンモニウ
ム、塩化カリウムなどの導電材、ホウ酸、リン酸
塩などのPH緩衝剤、クエン酸、酒石酸、EDTA
などの錯化剤、アクリルアミド、デキストリンな
どの光沢剤およびタングステン酸などの助剤を加
えることができ、その種類、濃度など特に制限さ
れることはない。塩化物浴では高電流密度における電解が可能
で、10〜120A／ｄm²が適切であるが、120A／ｄ
m²を越えると、アルミナゾル添加量が多い程、電
析物が黒色を呈するので不都合であり、10A／ｄ
m²未満では電析物が粗大で光沢性が不良となり、
好ましくない。＜実施例＞以下に本発明の実施例を具体的に説明する。冷延鋼板（spcc）をアルカリ脱脂し、５％塩酸
で酸洗したのち水洗し、以下の条件でめつきを行
つて第１表に示すNo.１〜20の組成からなるめつき
層を有する鋼板を得た。撹拌はポンプにより行い、液流速は約60m／
minで陽極にZn板を使用し、極間距離は20mm、液
温50℃で行つた。目付量は20ｇ／m²のものを作成した。以下の例では塩化物浴を主体に示すが、本発明
は塩化物浴のみに限定はされない。ここで、めつき層中に含有するCo、Cr、Al、
Siの量は、めつき液中の添加濃度を変えることに
より、適宜コントロールした。また、Al、Siは、水分散性コロイドゾルであ
る日産化学製アルミナゾル＃520、スノーテツク
ス−Ｏ（シリカゾル）、スノーテツクス−AK（シ
リカゾル）の形でめつき液中に添加した。実施例１浴組成塩化亜鉛 200ｇ／塩化カリウム 350ｇ／アルミナゾル＃520 ０〜100ml／スノーテツクス−Ｏ０〜100ml／塩化コバルト０〜30ｇ／塩化クロム０〜30ｇ／ PH ２〜４、電流密度75A／ｄm² 実施例２浴組成塩化亜鉛 200ｇ／塩化カリウム 350ｇ／アルミナゾル＃520 ０〜100ml／スノーテツクス−AK ０〜100ml／塩化コバルト０〜30ｇ／塩化クロム０〜30ｇ／ PH ２〜４電流密度100A／ｄm² 上記実施例で得られためつき鋼板について以下
に述べる試験を行つた。その結果を第１表に示
す。 (1) めつき密着性評価法 Dupont衝撃試験（撃心径1/4inch、重さ１
Kg、高さ50cm）後のめつき層の剥離状態で評価
した。 ◎：剥離なし〇：極わずかに剥離 △：わずかに剥離 ×：剥離 (2) 加工性評価法第１図のようなカツプ絞りを行い、絞り面に
ついてテープ剥離を行い、重量減少量を測定し
て評価した。 ◎：０〜２mg 〇：２〜５mg △：５mg以上 ×：絞れず (3) 耐食性評価法 (3‐1) 裸耐食性塩水噴霧試験（JIS Z2371）を行い、720
時間後の板厚減少値を測定して評価した。 ◎：0.1mm以下〇：0.1〜0.2 △：0.2〜0.4 ×：0.4〜0.6 〓：0.6mm以上 (3‐2) 塗装後耐食性リン酸塩処理（日本パーカライジング社
製、ボンデライト＃3030）を行つたのち、カ
チオン電着塗装（日本ペイント(株)製パワート
ツプＵ−30）を20μm施した試料について、
素地鋼板に達するまでのクロスカツトを入れ
て、塩水噴霧（JIS Z2371）340時間後のふ
くれ巾で評価した。 ◎：０〜１mm 〇：１〜３ △：３〜６ ×：６mm以上

【表】

【表】＜発明の効果＞表１に示すように本発明により得られる鋼板
は、めつき層自体の裸耐食性と共に塗装後の耐食
性にも優れ、塗膜密着性も良好である。しかも、
めつき密着性、加工性にも優れている。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の高耐食性電気Znめつき鋼板
の加工性評価試験におけるカツプ絞り加工の断面
図である。

Claims

【特許請求の範囲】

１電気Znめつき層中にCo：0.1〜10重量％、
Cr：0.05〜５重量％、並びにAlの酸化物およ
び／または水酸化物をAl換算で0.05〜５重量％、
Siの酸化物および／または水酸化物をSi換算で
0.05〜５重量％共析させてなることを特徴とする
無塗装および塗装後の耐食性に優れた複合めつき
鋼板。